1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月三日(金曜日)
午前十時三十四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 堂森 芳夫君
理事
大谷 瑩潤君
常岡 一郎君
委員
榊原 亨君
中山 壽彦君
西岡 ハル君
横山 フク君
林 了君
廣瀬 久忠君
有馬 英二君
政府委員
厚生政務次官 中山 マサ君
厚生省医務局長 曾田 長宗君
厚生省社会局長 安田 巖君
厚生省児童局長 太宰 博邦君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁已君
説明員
厚生省保険局庶
務課長 牛丸 義留君
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本日の会議に付した事件
○食品衛生法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○と畜場法案(内閣提出、衆議院送
付)
○民生委員法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○社会保障制度に関する調査の件
(厚生省関係昭和二十八年度予算に
関する件)
(九州地方の水害に就いての報告の
件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/0
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001・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 只今から委員会を開きます。
食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/1
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002・中山マサ
○政府委員(中山マサ君) 只今議題となりました食品衛生法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。
今回の改正は、輸入食品による危害を防止するため、衛生上有害の虞れのある食品の輸入を禁止し、食肉については、相手国政府発行の証明書の添附されたものでなければ輸入してはならないこととし、これらに違反して輸入された食品につき必要な行政処分を行うことができるようにしようとするものであります。即ち、戦後食糧需給の逼迫した際に輸入されました食品中には、衛生上いかがわしいものがかなりあり、このため多くの中毒その他の事故の発生を見たのでありますが、食糧需給のほぼ平常化したと考えられます今日におきましても、なお相当量の衛生上不良な食品が輸入されている現状であります。
この輸入食品による事故を防止いたしますためには、それを流通、消費の段階において、監視することも必要でありましようが、輸入食品は、もともと国内産の食品と異なり、製造、加工等の段階において、我国の監視を受けていないものでありますから、これだけでは不十分であります。どうしてもその輸入時に十分注意して衛生上不良な食品を輸入しないようにすると共に、万一、衛生上不良な食品が輸入されました場合には、直ちに適当な措置をとることが必要であり、且つ、能率的であると考えるのであります。
又、食肉等は、人畜共通の疫病の感染源となる危険性が強いものでありますので国内においては、すべて屠場におきまして厳重な検査を経ておりますが、輸入食肉等につきましては、我国においてこのような検査を行うことができませんので、同様な検査の結果安全であることを相手国に保障してもらう必要があると考えるのであります。
以上、提案理由につきまして御説明いたしましたが、何とぞ慎重に御審議の上、速かに議決あらんことを切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/2
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003・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 本法案の審議は次回に譲りたいと存じますが御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/3
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004・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/4
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005・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 次にと畜場法案を議題といたします。
提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/5
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006・中山マサ
○政府委員(中山マサ君) 只今議題となりましたと畜場法案につきまして、提案理由を御説明いたします。
と畜場は、食用に供するための獣畜の処理が行われる施設でありますので、食肉の衛生を確保いたしますためには、と畜場に対しまして十分な衛生面の監督が必要でありますと共に、一方環境衛生の見地からもと畜場の経営が衛生的に行われることが必要と考えられるものであります。
このような意味におきまして、と畜場及び食用の目的で行う獣畜の処理に関しましては、明治三十九年に制定されました屠場法によりまして今日まで必要な規整をして参つたのでありますが、この間屠場法の部分的な改正はありましたが、本質的な改正を見ておりませんので、今日の社会情勢に適合しない点が存するのであります。例えば最近の農村の家畜の増産に伴いましてと畜場の適正な普及を図ることが必要と考えられるのであります。従いまして今回、現行の屠場法を廃止いたしまして新たにと畜場法を制定しようとするものであります。
現行の屠場法におきましては、と畜場は公営の大と畜場を原則的なものと脅えておつたのでありますが、新たに簡易と畜場の制度を設けますと共に従来の公営主義の考え方を改めまして、衛生上支障のない限りと畜場の設置の途をできるだけ広くしますことが先ず第一に必要であると考えられるのであります。
次にと畜場以外の場所で食用の目的で獣畜を処理することができます場合を法律で明定致しますとともに、この場合におきましても都道府県知事が公衆衛生上必要な指示を与えることができるようにしまして、獣畜の処理が衛生上適正に行われるようにしたいと考えるものであります。
更に、と畜場において行われますと畜検査員の検査を受けていない食肉等を販売の目的で譲り受けることを禁止しまして、食肉の安全を図りたい所存であります。その他と畜場の監督に関する規定の整備を図る等所要の改正を行う必要があると考える次第であります。
以上、この法律案を提案いたします理由を御説明いたしましたが、何とぞ慎重に御審議の上、速かに御可決あらんことを御願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/6
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007・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 本法案の審議も次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/7
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008・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/8
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009・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 次に民生委員法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/9
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010・中山マサ
○政府委員(中山マサ君) 只今提案になりました民生委員法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
改正の第一点は、民生委員の職務につきまして、福祉事務所その他の関係行政機関に対する協力関係を明確にしたことであります。即ち、昭和二十五年の生活保護法の改正によりまして、民生委員は、同法の実施について補助機関から協力機関に変更されたのでありますが、現行の民生委員法におきましては、この点が必ずしも明確であるとは考えられませんので、今回民生委員が福祉事務所その他の関係行政機関の業務に協力することについて、特に明文の規定を設けることによりまして、両者の職務内容と責任分野との明確化を図ることにいたしたのであります。
又、これと関連しまして、生活保護法第二十二条に規定する「求められたとき」の字句が、社会奉仕者としての立場から進んで保護指導の実施に当つております民生委員の積極的意慾を冷却する虞れがある現状に鑑みまして、今回、これらの字句を削除し、民生委員が自発的に協力できるようにすることによつて、生活保護事務の円滑適正な実施に遺憾なきを期することにいたしたのであります。
改正の第二点は、民生委員推薦会の組織を改めたことであります。即ち、民生委員推薦会は、従来、市町村の議会の議員、社会事業の実施に関係のある者、学識経験者をもつて、構成されていたのでありますが、このような方法では社会福祉の各分野の意見を充分代表するような適任者が必ずしも委嘱されない憾みがありましたので、今回の改正におきまして、推薦委員会の委員を広く社会福祉全般の代表者の中から委嘱できるように、その範囲を具体的に明示するとともに、その定数を各分野についてそれぞれ二名以内とすることにいたしたのであります。
第三点といたしましては、民生委員協議会の任務中に福祉事務所その他の関係行政機関との連絡に当ることを附加すると共に、市町村の区域を単位とする社会福祉関係団体即ち市町村社会福祉協議会の組織に加わることができることとし、民生委員協議会が地域社会における社会福祉の積極的増進に広い視野に立つて活動することができることとしたのであります。
第四点は、常務委員及び常務委員協議会に関する規定を法律上削除し、すべて民生委員協議会の自主的運営に委ねることにした点であります。
最後に、民生委員事務所を廃止したことであります。
なおこのほか民生委員の改選が全国一斉に行われるようにするため、補欠による民生委員の任期は、前任者の残任期間とすることに改めると共に、現在の民生委員の任期は本年十一月末日に終るものとする経過措置を講じた次第であります。
以上がこの法律案の概要でありますが、何卒慎重御審議の上、速かに可決せられんことを御願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/10
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011・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 本法案の審議も次回に譲りたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/11
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012・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/12
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013・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君)次に社会保障制度に関する調査の一環として厚生省関係昭和二十八年度予算について前回に引続き質疑を続行いたします。社会局、児童局、保険局関係について先ず関係局長の説明を求めます。保険局の説明の前に曾田医務局長からこの前の榊原委員からの質問に対して発言を求めておりますので発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/13
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014・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 今回の九州における水害に当りまして、医療機関の被害状況を報告するようにというお求めがございましたですが、只今丁度現地へ派遣しておりましたものから報告が入りましたのでその数字を御報告申上げます。
被害地は御承知のように広汎に亘つておりまして、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、それに中国の山口と、こういうように六県に亘つておるのでありますが、その病院につきましては四百七十病院ございますが、そのうち六十一が被害を蒙つておる。それから診療所といたしましては六千余りになつておるのでありますが、そのうち七百七十四被害診療所があるという報告が参つておりまして、その被害の損害額は推定いたされますところでは一億八千五百万ばかりと推定されております。極く簡単でございますが、以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/14
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015・牛丸義留
○説明員(牛丸義留君) 保険局関係の今年度の予算案につきまして前回の会計課長の説明を補足いたします。
保険局関係の二十八年度の予算案におきまして前年と特に違つております点は、お手許にあります予算書によりますと一番大きな点は国民健康保険に関する補助費でございますが、国民健康保険の助成に必要な経費として二十七年度におきましては三十億五千六百万円の経費が一般会計から繰入れられたわけでございますが、二十八年度の予算案におきましては総計で五十七億四千六百万円になつておるわけでございます。その内訳といたしましては助成交付金の二十九億六千万円、それから再建整備が四億六千八百万円、端数は切り捨ていたしますが、それから直営診療所の設置補助四億等が最も重要な費目でございまして、その他普及指導補助金、保険者補助金、保健指導医補助金、団体連合会の補助金、審査会補助金等が若干でございまして、その合計が五十七億四千六百四十六万二千円でございます。そのほかの経費といたしましては健康保険組合の補助が、これは従来と同様でございまして、事務費の十割の補助でございます。それから結核病床はこれは前年同様三分の一の補助でございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/15
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016・林了
○林了君 ちよつと発言中ですが、予算書の番号で、それから頁と何番の何項ということで御説明頂ければ非常に都合がいいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/16
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017・牛丸義留
○説明員(牛丸義留君) 只今御説明申上げておりますのは、この前の予算書の十六頁の三十九の点でございます。健康保険組合補助というのは四億四千六百二万六千円でございます。これは事務費の十割と、それから結核病床一千五百床に対しての三分の一の補助でございます。それから四十番目の船員保険の国庫負担と申しますのは、これは事務費の十割とそれから保険給付費や失業保険、陸上の失業保険と同様に給付費の三分の一を国庫が負担するわけでございますので、その失業保険の三分の一、それから年金は陸上の坑内夫と同様に十分の二でございます。それから戦争危険分というのは、これは戦争中に危険水域に働いていたものに対する給付はすでに発生した分でございますが、その給付は全額国が持つというふうになつておりますので、それが十割、これは金額といたしましては九千八百八十五万円でございます。それから結核病床は、船員保険におきましては二百床だけ割当がございましたので、その三分の一を一般会計から繰入れるというふうになつておるわけでございます。その合計が二億八千六百四十万七千円でございます。それから四十一は先ほど御説明いたしましたように、国民健康保険の補助が五十七億四千六百四十六万二千円。その次は厚生省一般行政経費、これは一般事務処理の経費でございまして、八億七千九百二十七万円でございます。これはいわゆる事務処理に要する業務取扱の費用でございまして、全額一般会計からの繰入でございます。
保険関係で主として説明を要する分は以上申上げました諸点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/17
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018・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 次に社会局長に説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/18
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019・安田巖
○政府委員(安田巖君) 二十六の生活保護費から御説明申上げます。二百五十三億七千二百七十万、昨年度が二百四十六億一千四百万でございますから、七億五千八百七十万円の増になつております。内訳を簡単に申上げます。と、生活扶助費が百二十五億八百七十七万一千円で、昨年度が百十億六千八百五十九万三千円、差引十四億四千何がしの増となつておるわけであります。これは人員が昨年の八月の扶助人員を基礎にいたしまして、そうして昭和二十七年八月と二十八年度の日本の人口の増加率というものを見まして、その増加率をかけた人員だけ殖えた計算になつております。なお単価でございますけれども、従来は昨年の予算でございますと、東京都におけ標準五人世帯で七千二百円でございましたのを今度は八千円にいたしたいというのが単価の引上になります。ここに七千三百五十四円となつておりますのは、本年の一月に米価の改訂がございましたので、予算は七千二百円でございましたが百五十四円だけ殖えたわけであります。これは実質的には七千三百五十四円と七千二百円との差額だけが今度殖えておる、こういうことになつております。
それからその次の住宅扶助費でございますが、これは差引一億百六十八万二千円ばかり増になつております。人員の増加は先ほど申しましたような人口の増加ということを見込んだだけでございますが、その基準につきましては、一級地が七百三十円でございましたのを千百円まで上げるつもりでございます。それから第三の教育扶助費でございますが、これは前年度に比しまして十一億七千五百六十一万円の減になつております。人員につきましては、先ほど申上げましたような人口増の比率によつた増加を見込んだのでありますが、昨年度に比べまして著しく減少した金額を見積りました理由は、二十七年度におきまして見込みました予算に比しまして、実績が著しく少なかつたということであります。これは一般に食糧事情が好転したために予定した学校給食の実施校が案外少なかつた、又同時に給食回数が減つておるということを斟酌いたしましたことと、その他昨年度は予算に見込みましたパンの原料の小麦代の一部を政府が負担いたしましたために単価が、一人一回十七円五十二銭で平均二円程度下廻つた予算を組んだためでございます。純粋の給食以外の教育扶助につきましては、教科書その他の値上りを見込みましてそれぞれ学年別によりまして若干の増加を見込んでございます。
それから医療扶助費は昨年に比しまして八億二千二百万円ばかりの増加になつております。これは人口増を見込んでおりますが、単価につきましては一応現在のままのものを見込んでおる次第でございます。その他出産扶助、葬祭扶助等がございますけれども、これは省略さして頂きます。
それから生産扶助費が差引千二百三十一万円ばかり減つております。これは人口増を見込みましたけれども、単価のほうの大体実績によりましたために若干少くなつておるわけでありますが、これが少くなりましたことにつきましては、いろいろ私どもも考えておりますけれども、現在のこのろ生産扶助の基準が一人一件四千円というような額でありますために、或いはそれが少し低過ぎるのじやないかということも考えられます。なお又その他県で以ていろいろと母子世帯であるとか身体障害者の世帯に対しまして独自の厚生資金の制度を持つておられますので、そういうものがこちらのほうに影響いたしまして減つたのではないかという見方をいたしておりますが、なお私ども実施上十分これは気を付けたいと思つております。
そのほかは施設の事務費が二億一千二百万円ほど殖えておりますが、これは施設数の増加を見込んでおりますのと、それから物価、人件費等の引上を若干見込んだためでございます。
それから次は二十七の身体障害者の保護費でございますが、第一は身体障害者厚生援護措置の補助これは一億一千六百八十三万六千円ほど殖えております。これは身体障害者福祉法に基きまして、身体障害者の援護措置を行うために補装具でありますとか、そういつたようなものを支給する、補助金或いは援護の事務を県が行いますための補助金でございます。
それから第二の戦傷病者厚生援護委託費というのはこれは減で、六千百八十四万六千円ばかり減つておるわけでございますが、これは戦傷病者戦没者遺家族等援護法というのがございますけれども、それの十七条、二十一条に基きまして戦傷病者の更生援護を図るために昨年御審議頂きました更生医療の給付、補装具の支給、こういうものをやつておるわけでございます。これは全額国費で府県に委託でございます。内訳を申しますというと、更生医療のほうが一億二千四百三十七万五千円、補装具等の支給三億四千八百五十三万一千円でございます。国立光明寮、国立身体障害者更生指導所、国立保養所、これはそれぞれ必要な予算を組んだものでございますが、国立身体障害者更生指導所の減を二千三百八十四万九千円と申しますのは、これは昨年度の予算は相模原にありますものを東京牛込の東京第一病院の裏の元の軍医学校の敷地に移すための費用が入つております。本年度は大体まあ完成はいたしませんけれども、骨組ができ上りましたので、自然減つて来たわけでございます。それから国立保養所も同様でございました。昨年別府と伊東に今でき上つたわけでございます。建築費その他のほうが不用になりましたので、それだけ減を見積つたわけでございます。
その次の(6)の身体障害者援護施設整備費、これは二分の一補助で、県が身体障害者更生指導所でありますとか、或いはその他の施設を行います場合に補助を出すわけでありますが、これは大体百人収容のものが八カ所見込んであるのでございまして、前年通りでございます。
それから婦人保護費、これは御承知の転落婦人の更生のための収容施設でございます。現在十七カ所にございますが、これは措置費の単価を若干上げましたために七百九十七万二千円殖えたわけでございます。
それから地方改善事業費、これは(1)(2)(3)とございますが、(3)の施設設置費というのが一番大きいわけでございます。千三百四十七万八千円、これは全国大体四カ所に隣保館を設けたいという費用でございます。大体一カ所三百三十万円くらいの補助、二分の一補助でございます。
それから消費生活協同組合の予算、これは二千四百七十五万三千円の増になつております。一番大きい問題は生活協同組合がいろいろ生活改善の施設をいたします。例えば洗濯をやるとか、或いは風呂場を設けるとか、浴場を設けるとかいうような場合の資金の貸付でございます。これは二千五百万円でございますが、これを府県に貸付けますと、府県はその同額を計上いたしますから五千万円使えるわけであります。一組合が大体自己資本の倍額だけ、こいうことで百万円を一応の目安にしておるわけでございます、限度にいたしております。現在のところ予算の基礎といたしましては一組合平均五十万円と見まして百組合を見ておるわけでございます。これは国から県に貸しまして、そうして二年据置、五年償還の計画でございます。
それから公益質屋でございますが、これは市町村が設置経営の主体になるわけであります。今年度は五百万円だけ殖えましたわけでございます。A型は都市大体十五カ所、B型が町村で十カ所、A型と申しますのは大体百六十万円の倉庫を考えております。B型と申しますのは大体六十万円の倉庫のつもりでございます。これは現在社会福祉施設でやりまして必ず成功いたしまして、決して赤字を出さなくて、而も各府県とも非常に希望があるというのはこの公益質屋の予算でございます。今後ともこういう施設は殖やして参りたいと思つております。
それから社会福祉施設整備費、これは昨年が二億でございましたのが、二億五千万円で、五千万円の増になつております。これは養老施設から(1)(2)(3)(4)(5)(6)の宿所の提供施設までは大体昨年と同じの二億の予算でございますけれども、本年度におきましては特に浮浪者収容施設五千万円の金を出したいという予算でございます。これは六大都市に大体限りまして、浮浪者を一時保護する収容所というものを百人収容のものを一カ所作りたい、これは二分の一の補助予算になつております。
それから災害救助費でございますけれども、これは七千万円でございます。いつも実は五千万円しか組んでないのが今年は七千万円になつております。ここに二億九千六百十三万九千円となつておりますから、二億二千六百十三万九千円だけ減の恰好になつておりますが、これは毎年五千万円だけ組んでおりまして、災害があつたときに精算いたしまして、後から予備費のほうからこちらに廻すというようなことになつております。当初の予算から申しますと二千万円の増額でございます。
それから日本赤十字社設備の整備費、これが四百万円、これは初めて入りましたもので、これも日本赤十字社法というのが昨年議員提出で出されまして御承知のように成立いたしたのでありますが、その関係で四百万円だけが今年度の予算に計上されたわけでございます。大体内容は患者の輸送車、濾水器、それから医笈、医療器具を入れてかついで歩く箱でございますが、そういうものを考えております。以上が大体社会局関係の予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/19
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020・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) それでは児童局関係を予算の順序で、同時に只今私どもの考えておりますることを申上げて御批判、御教示を仰ぎたいと思つております。
予算書では社会局の次に児童局の分が、主なものが載つております。児童保護費、そのうちの児童措置費の四十二億何がしが載つておりますが、この経費はそこの欄外にございますように、各種の児童福祉施設或いは里親等に子供を収容委託いたしますその生活費等でございます。本人で負担できない場合に公けの費用でこれを見る、その見ました費用の十分の八を国庫で負担する、こういう仕組になつてございます。その施設は現在どれくらいあるかということは、実はお手許に先ほどお配りいたしました資料、これは最近の資料を持つて参つたのでありますが、そのうちの一枚刷りのこういう昭和二十八年度児童保護費の保護人員内訳表というのがございますので、これを見て頂きますると大体そこに施設とか、或いは公けの費用で見ます率、程度、即ち援護率と申しております。そういうものが載つておりますので、あとで御覧頂ければ結構だと思います。この点におきまして、問題は二十七年度までは平衡交付金制度に入つておりましたために、地方で任せきりであつたと或いは申しても差支えないのである。これは元来生活扶助費と同じように、国が見るべき筋合いのものでありますので、補助金制度にこれを戻さねばならないというので、いろいろ御協力も頂きまして、今年度から補助金制度に戻つたのであります。平衡交付金制度の時代には、御承知の通り国がその府県財政の足らずまいをつぎ足してやれば、府県は適当なる行政をするであろうという前提の下に、その行政は府県のほうに一任した形でありました。その関係でこれを補助金制度にいたしまして、国が厳密にこの内容を計算して、この補助率を出すというようなことになりますと、やはりそこにいろいろな問題が出て参るのでありまして、今年度から戻りましたために、現在において若干の問題があることは私どもも認めざるを得ないのでありまして、これを早急に解決して参る、こういうつもりで今折角努力しております。
それから予算書で次の欄に参りまして、小さなところは抜かしますが、季節保育所の補助というのがございます。三千万円、これは純農村におきまして、農繁期に非常に一家総出で以て活動しなければ能率が上らない、そのためにその子を保育することを季節保育所と言つておるのであります。これは前からあつた、昔からあつた制度が途中で切れておつたのでありますが、非常に評判がよかつたので、これを今年度から復活いたしたい、こういうふうに考えております。全国の純農村が約一万の町村の半分を計算いたしまして、そこで春秋二季に約二十日間ほど季節保育所を開設いたすと、その場合に国からはほんの呼び水でございますが、保母さん、及び保母助手を雇い入れますその経費について三分の一を見る、こういうようなことで三千万円計上したわけでございます。
それからその次に身体障害児援護費というのが出ております。ここでは欄外にありますように身体障害児を早く発見して、そうしてこれに対して治療をどうしたらよいかということを相談にのつて指導してやるという、療育指導と申しておりますが、その経費及び補装具に対して負担できない分を公けの費用で見てやる、こういうのが主なる経費でございます。今日におきまして欠けております面は、この療育相談というか、子供を治さねばならないとわかつた場合に、なかなか治療費が出ないという問題が一つ現在残されております。子供のことでありますので、これを適当に治療してやりますれば、一生社会の厄介者にならないで過ごせるわけでございますので、この面について何とかしてこの医療費あたりについても負担できない家庭について公けのほうで面倒を見てやるようにしたいものだ、これは今後に残された問題だと存じております。
それから次の九番目の母子衛生という面でございますが、ここに載つておりまするのは、右の欄で先ず妊産婦、乳幼児の保健指導、これは妊産婦について母子手帳を交付する、そうして健康診断の過程を記録してやる。生れた子供についてもずつと記録して行つて、健康のめどとする、こういうことをやつております。そのほかに健康診断を保健所及び開業医において妊産婦及び乳幼児についてやつております。さような経費がこの一番の保健指導の経費であります。
二番目の母子歯科保健指導補助、これは局の編成上では医務局の歯科衛生課で経費が載せてございますが、これはやはり同様にこの歯のほうについて特に妊産婦及び乳幼児については歯の面について注意をしてやるということは、健康についても非常に大きな影響を持つものと考えて、特に歯科保険指導というものについて別に補助費を出しておるわけでございます。母子衛生の面につきましては今後の問題といたしましていろいろ考えておりまするので、又近く申上げる機会もあるかと存じます。
それから次の母子福祉対策でございます。母子福祉対策といたしましては七億九千五百万円ほど計上してございます。このうち母子相談員の設置費の補助、それから母子福祉資金の貸付というものが主なものでございます。母子福祉資金等の貸付に関する法律が制定せられまして、その法律の中におきまして母子福祉資金として生業資金或いは子供の就学資金などについて貸付けるという制度がございます。それと並んで母子相談員を各府県に配置して、母子家庭の生活指導に当らせるという面がございます。なおこのほかにその法律の中には、公共施設及び専売公社などが、売店、専売公社の場合にはたばこの小売店を成るべく母子家庭に考えてやるように努めなければならないという規定もございます。このうちで母子相談員の設置補助は、全国の各社会福祉事務所に一人という割合で、これは府県に配置されまして、これは世の中のいろいろな酸いも甘いもわかつたような御婦人のかたの相談員で、母子家庭の生活万般に亘つて指導するという意味でこれが配置されております。
それから母子福祉貸付資金はその摘要欄にございますように、生業資金から始まりまして、子供の修学資金、修業資金まで約七種類に分けて貸付をすることになつております。その成績をちよつと申上げますると、現在までは予算として総額七億四千七百万円でございまするが、そのうちで暫定予算としてすでに国会の議決を経ました分は七月末までを合せまして二億四千九百万円が暫定予算として通過しております。これに対しまして全国的の要望でございまするが、都道府県で以て当初予算に計上いたしました額が六億一千六百万円でございます。七億四千七百万円と見ますると、若干下廻つた線になつております。これは今後補正予算などで府県で計上されることもあろうかと思うのでありまするが、なお一つ督励する必要もあるように感じております。その六億一千六百万円計上いたしました中で、差当つて四、五カ月分というものについて申請書が出て来ております。で、私どものほうの建前といたしましては、その府県がこの法律によりまして、母子福祉資金を貸付けるために特別会計を設置する、そうして特別会計に一般会計から繰入れました額について国は二分の一を貸付ける、こういう建前になつておりまするので、府県が特別会計に繰入れました場合においては、その繰入れしたあとにおいて、私のほうから府県に貸付することになつております。只今までのところで、すでに一回、二回、一両日に三回目がもう出ることになつておりますので三回まで仮に合せますると、二十八件で、六千三百万円ほどが出ることになつております。いささか全体の母子家庭の要望に対しまして、府県のほうの予算化が若干遅れているような感じもいたすのでありまするが、これは何と申しましても、国の予算が御破算になつて、そして暫定予算としてやつて行くというような点がやはり府県のほうにも大きな影響を与えているように感じるのでございます。
それからこれに対しまして起債としては約一億一千五百万円というものが認められてございます。
次の児童福祉施設の整備でございますが、これは先ほど申上げましたようないろいろな児童福祉施設はまだまだ設置しなければならない段階にあるのでございまして、非常に府県の要望が強いのでございます。特に最近の傾向といたしまして、保育所についての設置要望が非常に強くございまして、私どもの予算の十倍近くのものが府県から要望されておるという現状でございます。この予算案におきましては、一応私どもの割振りといたしまして、前年度の一億一千五百万円に対して一億五千七百万円と、約倍以上の額をこの保育所の設備費に当てておるのでございますが、それにいたしましても今申上げたような状況でございまするので、今後におきましては、この保育所の対策について飛躍的に考えを進めなければならないと感じておる次第でございます。児童局の予算面でいろいろ細かい点に入つて申上げますればきりがないのでありますが、大体以上が予算に即して申上げておるわけでございます。
なお今私ども考えておりまする二、三の点について申上げますと、母子福祉資金の貸付に関連いたしまして、最近は孤児のほうで修学資金を貸してもらいたいという要望が強まつて来ているように考えます。母親一人しかないという子供は気の毒だとは思う、併し両親がない孤児のほうは更に一層みじめであるから、この子供たちが社会に巣立ちますときにハンディキヤツプのつかないように何か考えてもらいたい、その必要性から言えば孤児こそ考えられて然るべきじやないかというような要望が出て参ります。これは今後の問題として検討して参りたいと存じます。
なお混血児の問題が最近この春からやかましくなりました。これにつきましてはお手許に「いわゆる混血児童実態調査結果について」という資料を差上げてございます。これは本年の二月一日現在で、私どものほうが各府県を通じて混血児の数、及びその実態を調査いたしました結果でございます。
ここで一枚めくつて頂きましたところにいろいろ説明がございまするが、その中ちよつと特に御注意頂きたい点は、その1、2と上から順番がございますが、二番目の「この調査の対象について」という欄でございます。そこの一行目に書いてありますように、「この調査の日までに外国軍人軍属等を父に持ち日本人を母に持つて出生した児童であつて」とあります。従いまして母が日本人である混血児ということであります。それからその二行目の終りのほうに但し書がございまするが、さような場合におきましても、中国人とか韓国人の血統というように、日本人と余り肌の色、目の色、髪の色が変らない者は落しまして、とに角目の色、頭髪その他が明らかにこう違つているという、いわゆる今日混血児問題としてやかましく議論の対象になつているその分だけをここで取り上げているのであります。それとその次になお書きの所に、「現に児童福祉施設に収容せられている児童は本調査の対象から除外している」この施設におりまする者については、下の欄の5の(1)(2)昭和二十七年、昨年の三月一日現在では、この児童福祉施設に入所している混血児が四百八十二名である、こういうふうに書いてございます。このようなことを前提といたしまして、又数字がたくさん並んでいるので、甚だ恐縮でございまするが、差当つて一、二の点だけ申上げさして頂きますと、先ず二枚めくつた所に1がありまして、混血児の数がございます。左の欄の総数の所に、三千四百九十というのが入つております。これが私どもが施設外におりまする先ほどのような基準で選ひました混血児の数でございます。そのうち白い系統が三千、黒い系統が四百というような数字になつてございます。これが施設に現在ありまする児童が、先ほどのように一年古い資料でございまするが、約四百八十何人ということでございます。総計いたしましても、私どもいわゆる混血児問題となる対象の数は、四千前後、多くても五千にはならないというふうに私どもは感じておるのでございます。それにつきまして、以下戸籍があるとかないとかいろいろございますが、3のところで父親の判明の有無別、児童認知の別というところを、ちよつと誤解を招く慮れがありますので申上げておきまするが、3のところで、総数三千四百九十のところに対して認知しているのが千七百八と、約半数の者が認知しているということになつております。これは実は私どももいささか疑問な点があります。これは調査いたします際の、少しこちらの注意がまずかつたんじやないかと実は思つておるのでありまするが、私どもは、日本の民法によるいわゆる認知というつもりで調査してもらうように頼んだのでありまするが、私どもの常識では、こんなに多くが認知されているというのは、いささか疑問でございます。恐らくこれは父親がわかつているということでありまして、てのわかつているというにもいろいろな段階があると、母親のほうでわかつているが、父親のほうでは必ずしも認めていないというようなケースも或いはこの中に入つているのではないか。従いまして、この認知している数の欄だけは若干疑問があるということをお含みおき願いたいのであります。
それ以下の資料につきますと、ほぼやはり大半が軍人、軍属であるということは5に書いてございます。
それから養育の点でございまするが、大半がやはり母親の系統で養われておると私は考えております。この8の欄はいろいろ分析してみる必要があるのでありまするが、この欄からいたしまして、約七〇%近くの者は母親及び母親系統において養育されておるというふうに私どもは見ております。従いまして、父親がその養育を持つ、或いはその大半を分担するというのは、極く限られた数でございます。かような点からして、混血児の将来を面倒みてやりまするについて、母親がただ徒らに困つているだけで、その父親に対して子供を養育する責任の分担を要望するということについて、何らかのことを考えてやらねばならないのではないかというような感じがいたすのでございます。
それから一番最後の11という欄、12という欄には、これは結論だけ申しますると、近隣の人々が子供や親の家庭に対して冷たい感じを持つていやせんかどうかということでありますが、この数字に現われたところでは、大半の家庭は理解をしてくれておるということが一応出ております。従いまして一応のところは先ず先ず思つたほどのことはないという感じを持つのでありますが、併し、更にこれを深く掘り下げて見ますると、幾多の問題が今後に起きて来るように、私どもは感じておるのであります。混血児に対する対策といたしましては、これは日本の国内に生れましたからには一般の児童と同じように無差別平等にこれを育成して行くという考えでございます。教育問題についても又然りでございます。併しながら、何と申しましても混血児であるというそのこと自体によつていろいろな意味でこの子供たちが一生不幸な目に陥る可能性があるわけでございますので、それにつきましては、私どもはできるだけの配慮をしてやつたらどうかということに考えております。同時に一般の社会の人々に対しても、混血児に対して温い眼で見て行くようにこれは啓発しなければならないのではないかと考えております。て、当面の問題といたしまして、先ほど申しましたように母がたのほうで、これが面倒を見られておるということにつきましては、私ども何らかの方法を講じて、この問題について善処して行きたいということに考えております。最近民間の団体、篤志家などにおいても、この混血児問題は単なる一つの混血児の問題じやなしに、これは更に大きな問題を含んでいるんだ、できるだけのことをしようじやないかという動きがあるやに感じております。かような点などについても、こういうような団体の動きというものも、私どもとしては促進して行きたいというふうに考えております。
それから先般基地の対策について御質問が予算委員会なんかで出ましたのでありますが、この基地の問題のうちの一つといたしまして、基地の周辺の子供が非常に蝕まれておる。これについて政府は何とかしなければならないのではないかというふうに考えて折角案を練つて参つたのでありますが、大体只今の私どもの考え方といたしましては、この四つの面で考えて行きたいと思います。
一つは、その基地周辺の子供たちに対する面でありまして、子供たちがこの自分の家などにおりますると、そのいかがわしい風景を見せつけられたりすると、又、外で、道路で遊んでおりますると、ジープなどが飛びかつて非常に危険であると、かような点からいたしまして、この子供たちに対する何か遊園地なら遊園地というような厚生施設或いは保育所というような施設、こういうものを設置してくれという要望が非常に全国的に強くありまするので、この面について考えて行きたいと思います。
それから基地の周辺の大人たちに対しましては、この大人たちが子供の幸福というものを本当に真剣に考えているのか、それよりも目先の、間貸しをして幾らかの収入になる、そういう面に目が眩んでいる点がありやしないかと思われる節がございまするので、なお一段と児童の福祉について成人階層に対する啓発をして行きたいと考えております。
それから第三には、駐留軍に関する関係でございます。駐留軍に関しましてはやはり単なる自分たちの兵隊のことばかり考えないで、その基地周辺の子供たちについてもやはり考えてもらつて然るべきだと感じておるのです。この点につきましては、すでに先般日米合同委員会の中に風紀の分科会というものが設けられまして、関係者が相談いたしまして、単なる性病とかそういうような問題だけでなしに、風紀の面からもお互いに協力して行かねばいけないという結論に到達いたしまして、向う側からその傘下の機関に指令を出す、日本側では関係各省次官通牒を以て各府県に通知をする、そうして、それぞれ現地においてこの両者の協議会というようなものを設けまして、そうして極力かような広い面においてこの摩擦をなくするように協力して行く、こういうような態勢になつておりますので、日ならずして実を結ぶように成果を挙げるであろうということを期待しておるのです。
なお最後に、第四番目として、特殊婦人というものがございます。この特殊婦人に対しましても、いろいろ対策として考えて行かねばならない点があると存じまするが、やはり先ず差当つて子供に対する悪影響を防止するということは、成人の何人といえども一種の社会的義務でありまするので、この人たちの自粛を促すということについて手を打つて行きたい、現在さような四つの点について私ども考えを進めて行きたいと考えておる次第でございます。
お手許に配りました資料はそのほかにこの「児童福祉の現況」というので、これは概括的なもので、すでに各方面にも配つておるものでございます。大よその概況がわかると存じまするので、お手すきのときでもお読み頂ければ結構だと思います。なお全国母子世帯の調査結果というのがつい一両日前にこれがまとまりましたので、これも差上げてございます。これなどもあとでお読み頂ければ又幸甚に存ずるのでございます。駄弁になりましたが、最近の私どもの考えていることを申上げ、併せて予算の説明にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/20
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021・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 只今の三局の予算関係の説明に対する御質問がございましたらお願いいたします。御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/21
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022・林了
○林了君 安田局長にちよつとお伺いしたいのですけれども、社会福祉の面で、施設整備の点で二億五千万円これはとつてありますが、五千万円を今年増額してありますけれども、社会福祉事業団体のかたがたがこの頃白い羽根とか赤い羽根の募金をやつておりますね。あの赤い羽根とか白い羽根の募金をやつておる募金が年に大体十億ぐらい入るんだ、それが政府がまあどこか中央でこれを一括して、その社会事業をやつている人たちのいろいろ設備だとか或いはそれを拡充するんだとかというような方面に向けておるのか、或いはこれを勝手に各県でやつているのか、これをちよつと伺いたいのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/22
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023・安田巖
○政府委員(安田巖君) 白い羽根のほうはこれは日本赤十字社の募金でございまして、日本赤十字社の災害救助活動とか、或いはその他日本の赤十字本来の目的に使用されるわけであります。それから赤い羽根はいわゆる共同募金と申すものでございまして、これは私設の社会事業施設に対しまして、経営費なり臨時費に対しまして金を出す、こういうことでございます。それでこの機関といたしましては、中央に中央共同募金委員会というのがございます。それから地方の各府県に地方の共同募金委員会がございます。そしてそういう人たちが民間の本当の篤志家が集まりまして金を集めて、又同時にそれを分けておるという実情でございます。只今の法律でございますと、政府がそういうものに関与しないような方針になつておりまして、金を分けるときの唯一の制約と申しますか、それは共同募金委員会が地方の社会福祉協議会に意見を聞いて、そうして分けるということになつておるだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/23
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024・林了
○林了君 さようなことを自由にやらして、私的社会事業の機関に許していていいかどうかということについての私は政府の方針をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/24
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025・安田巖
○政府委員(安田巖君) これはいろいろ見方がございましようが、大体共同募金というのは、外国の御承知のコミユニテイ・チェストという運動を真似てやつたものでございまして、その考え方から行きますと、本当に民間のかたがたの浄財を集めて、それも民間のかたがたが集めて、それを私の社会事業施設に分けるという考え方で来ておるわけであります。そういうふうな考え方でございますので、政府の者はそれに入らないということになつておるのであります。併し地方の県当局でありますとか、そういうようなものを分ける場合は或る程度いろいろ相談も受けておりますし、現在のところではわざわざそれを官製のものにするとか、或いは官庁の監督権限を特に強めなければならんというところの段階ではないんじやないかというふうに私ども承知いたしております。併し不都合のないようにはいろいろ注意をいたしておりますし。又そういうことがございましたならば、一つ一つの事例につきまして厳重に一つお話をして行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/25
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026・林了
○林了君 あの募金の問題は国民は恐らくこれは社会福祉の面に浄財を集めて使われる金だから、正しく又そういう方面に使われて行くという観念で協力しておると思います。我々も勿論その気持でやつているんですけれども、地方の各県々々で勝手にやつておるということは、まあ言葉が過ぎるかも知れませんが、とにかく統一してやるというのではなくて、各県で集めて、集めただけそれが各県で使えるんだというようなやり方であると妙な結果が出て来ないか、或いは又この募金されたものが正しく使われると思うけれども、ややもするとこれが正しく使われないということも巷間聞きますから、この問題については一応私は政府のほうでよく、今局長が言われた御答弁で私も承知はいたしましたけれども、なお一層の御研究を頂きまして、これらの機関を育成強化してやりたいと私は信じておるのであります、同時に今これらの人が施設拡充をするために、どうしても何らかの貸付金なり資金を獲得するためにどうも困難であるというので、この間参衆両厚生委員のかたがたに集まつて頂きたいということで陳情に参りましたあの金融公庫設置の問題も運動しておりますが、一応こういう問題も強化というか、適切に運営できるように政府のほうでも一つお考えを頂きたいということを一つ要望したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/26
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027・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 児童福祉の面についてちよつとお伺いいたします。農繁期の季節託児所の補助金は僅かに三千万円ということでありますが、我々の聞いておるところでは相当年々増加もしておりますし、又その効果も相当上つておるようにも考えられるんですが、その三千万円というのは一カ所に対してどれくらいずつ御補助になる御予定になつておりますか、それを一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/27
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028・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 大体お話のように、考えようによつては僅かな金額でございます。一カ所当り保母さんと助手とで二十日間ぐらい雇つて、その経費九千円、それに対して三分の一を国で見る、こういうような建前になつております。季節保育所でございまするので、格別な大きな施設をしなくてもよく、例えばお寺の庭を借りるとか、学校の校庭を借りるとか、又極力皆が手助けしまして、その経費を余りかけないでやつて行く、従来がそういうようなふうに季節保育所として運営されておつたと思うので、従いまして私どもはこれは非常にいい施設であるから、皆もそれを知つておるのであるからどんどん伸びて行くだろうと思つておつたのでありますが、やはり今の日本の状況では若干でも中央が何か面倒を見たということにならないと案外伸びないというような面から、これは僅かな経費だとは承知の上で計上したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/28
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029・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 それからもう一つお伺いしたいのは、現在都会の保育所が盛んに幼稚園に切換えられる傾向がありますが、そういう面で何かお聞及びとか、或いはその理由等について御調査になつたことがあれば承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/29
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030・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 保育所の幼稚園化ということが、ここ最近一両年私ども非常に注意して参つておるのであります。御承知の通り保育所と幼稚園とは違うのでございまして、保育所は言わば夫婦共稼ぎというような勤労家庭に対する援護施設、勿論それ以外のものもございますが、大半はやはり勤労する家庭に対する援護施設、両親が働きに出ている間その子供を預つてやるというのが建前でございまして、従いまして幼稚園ならば、昼過ぎには家に帰すわけですが、保育所では両親が晩の五時、六時に帰つて来るまで預つてやるというので筋が違うのでございます。ただ保育所を経営いたします人々が、その保育所の社会的使命というものを十分に自覚していない。更に市町村当局あたりが、最近福祉国家というようなことになりまして、何か文化施設を一つくらい持たなければ肩身が狭いというので、そういう場合に、彼らが保育所イコール幼稚園というような気持を持つて、保育所でありますると、いろいろと国からの援助もあり得るというので保育所を以てこれを申請して行く、併し実態についての認識が足りませんので、当然運用されます実態が幼稚園みたいになつておるというような面が出て来ておる点もあるのじやないか。私ども最近保育所に対する要望が非常に強い。それだけにこの保育所が健全な姿で伸びて行くことは是非とも必要なのでございます。これが間違つた方向に持つて行かれるというようなことでは、これは極力戒しめねばならん、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/30
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031・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 身体障害児童の援護施設の点ですが、これは京都の公立病院を私ども視察したのですが、これは全国でどれだけ、何カ所ほどございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/31
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032・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) それはお手 許に差上げましたその中に最初の一枚刷りの紙を差上げてございます。そこの一番下の欄に肢体不自由児施設というのがございまして、昭和二十七年度の末の計が右側の欄で十二カ所、一番下の欄でございます。これが肢体不自由児施設として現在全国にある数字の統計であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/32
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033・常岡一郎
○常岡一郎君 児童福祉施設の問題についてちよつとお尋ねしたいのですが、平衡交付金がありました時代には各県によつて児童養護施設というものが非常に差があつたように思います。ところが国家が直接取扱うようになりまして平衡交付金から削除された。従つて養護施設に入らなければならぬ子供がたくさんあるのに、県によつてはそういう金のかかることは余りしないでおつたような傾向があるのでありまして、これは平衡交付金から転換されましてから福祉児童というものが非常に殖えたほうでありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/33
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034・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 養護施設は先ほど説明したのですが、その欄で一番上の欄でございますが、これによりますると、二十七年度末に二十八カ所殖えて四百九十三カ所に二十七年度末になつております。そこに収容いたします人員が約二万八千人でございます。この養護施設に収容いたしまする児童は、主として両親のない孤児などが大半でございます。孤児の数はなお更に多いと思います。その中には養護施設に入れないで里親に委託している場合もございます。それで養護施設は、これは平衡交付金時代と申しましても、設備費だけは国が二分の一補助してやつておつたので、先ほどちよつと説明が足りなかつたと思いますが、それでやはり国の補助の下に各府県でもつて緊急度を勘案いたしまして施設をしておるわけであります。昨年が二十八カ所ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/34
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035・常岡一郎
○常岡一郎君 それは神奈川県などの場合は非常に施設が多いのです。福岡県などの場合は非常に少かつたので、当時どちらかというと、県によつて相当これを作らなければならんのにむしろできるだけこれをやらないような傾向があつたようです。それが最近その意味で殖えて来たのですか、それをちよつと聞いたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/35
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036・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 昔相当アンバランスがあつたのを最近それを是正するようになつて来た。実は率直に申しますと、まだそこまで私ども手が伸びておりません。極力府県に足りないものを伸ばすように言うておりますけれども、まだまだ十分とは申しかねる。今後としては当然お話のようにその県の要保護児童の実情を把握いたしまして、それに反映するような施設を殖やして行くということについて県を指導して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/36
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037・林了
○林了君 保険局長おられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/37
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038・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 牛丸課長がおられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/38
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039・林了
○林了君 じや牛丸さんにちよつとお聞きしますが、この間、大臣がここで予算の説明をされたときに、社会保障の中で社会保険、特に医療保険の面を最も大きく力を入れなければならないのだというお話があつたのですけれども、私が大蔵省からの今度の暫定予算でなくて、二十八年度の予算の書類を持つて来ておりませんが、それを見たときに、例えば生活保護だとか或いは児童福祉、こういう政策の問題については予算が殖えておりましたが、社会保険全般の費用がたしかこの前の不成立予算のときよりも一億幾ら減つているという数字を見たのですけれども、それはどういう理由で不成立予算に対してほかの面では増額がされておるにかかわらず社会保険の面で減額されているか、それをちよつと理由を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/39
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040・牛丸義留
○説明員(牛丸義留君) お答えいたします。不成立予算と今度の予算の違い、一億何がしの減額は、主といたしまして日雇健康保険が当初の考えでは八月から施行されるという恰好になつておつたようであります。予算が不成立になりまして解散になりました結果、今日の情勢では八月から法律案を通して施行するということが困難でございますので、十一月から施行いたしまして二カ月半の準備期間を置きまして、保険料の徴収を一月の十五日から徴収をする、従いまして給付が三月から始まるというふうな恰好になつたわけでございますので、その間の事務費の補助金が相当減額されたわけであります。その経費が大体一億数千万円になるわけであります。それ以外については何ら減額された点はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/40
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041・常岡一郎
○常岡一郎君 社会局長にお尋ねしたいのですが、戦争犯罪人というので刑死された人、そういうかたがたに対して何か格別な救済の、或いは何か遺族なりに対しまして今までどういう方法で救済されたんでしようか。又今後まだそういう点について救済を若ししてなかつたらば、申込まれる場合があるのじやないか、そういう場合に対してはどういうふうにお考えになつておりましようか、それをちよつとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/41
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042・安田巖
○政府委員(安田巖君) その問題は引揚援護庁のほうでやつておりますので、私も確かなことは存じませんけれども、昨年できました戦没者遺家族援護法、そういうものの適用はされていないのじやないかと思いますが、なお調べまして、引揚援護庁のほうからお答えするように申しておきます。一般的な措置といたしましては、生活保護法その他による援護しかございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/42
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043・西岡ハル
○西岡ハル君 保健所の設置につきまして、保健所の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/43
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044・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 公衆衛生局長がおりませんから、次にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/44
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045・有馬英二
○有馬英二君 社会局長が最近、昨日ですか、水害地からお帰りになつたというので、向うの状況を一つ御報告願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/45
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046・安田巖
○政府委員(安田巖君) 私は二十七日の朝飛行機で福岡へ参りまして、それから一昨日一日の午後こちらへ帰つて参つたわけでございます。大体現在までの被害の状況を申上げますと、死者が福岡が二百八、佐賀が四十九、長崎が二十一、熊本が三百八、大分が四十六、山口が二十四、鹿児島、広島、岡山あたりは少うございますから、これは省略させて頂きます。それから行方不明が福岡二百二十五、佐賀が十二、熊本が二百六、大分が二十。それから住家の被害を申上げますと、全壊福岡七百三十九、佐賀二百二十一、長崎百四十六、熊本七百九十八、大分三百三十一、山口八十三。それから流失が福岡千百五十七、佐賀六十八、長崎十二、熊本六百二十七、大分六百五十三、山口十四でございます。それから半壊が福岡二千二百八十八、佐賀三百三十、長崎三百十四、熊本二千八百二十二、大分千八十、山口三百三十五。それから被害の拡がりを見るために、床上浸水をちよつと申上げますと、福岡六万四千七百五十二でございます。それから佐賀が二万四千三百二、長崎六千三百二、熊本三千八百十三、大分六千百五十、山口七千百二十三、その他いろいろ数字がございますけれども、大体そんなところでございます。
これで見ますと、福岡、それから熊本、佐賀はどちらとも言えない程度の被害でございますけれどもその次、それから大分というような順序じやないかと思います。この二十七日の午後着きましたときは、まだ被害の直接の原因になりました雨が二十五、六日降つたわけでありますけれども、二十七日も台風警報が出ておりまして、盛んに降つておつたのであります。その日は勿論どこにも連絡ができないような状況で、福岡県の知事も民生部長も、久留米市に見舞、視察かたがた参りまして、二十七日はどうしても帰つて来れない。二十八日になりまして漸く帰つて、二日二晩久留米市に罐詰にされたという状況であります。なお知事が県庁まで帰るということは、非常に重要な問題でございますので、あらゆる手段を講じたらしいのでありますが、船も考えましたし、或いは米軍にヘリコプターを頼むとか、水上機を頼むとか、いろいろなことをやりましたけれども、雨が降るし、連絡がとれない、そういうような状況であつたわけであります。それからその晩一晩やはり警報通り降りまして、それから二十七、八日もやはり台風警報が出まして、これも百ミリ乃至百五十ミリの台風警報が出まして、やはり二十八日も降りまして、漸く三十日の日にお天道さまが見えたというような状況でございます。それで二十七日はいろいろ各県に連絡をとりましたけれども、無電で被害状況なり、或いは各県でとつた措置なり、或いは我々に対する要望事項なんかをとりましたけれども、その晩のうちに返事が来なくて、二十八日、二十九日に漸く返事が来たというような状況でございます。それから二十八日の朝になりまして、建設大臣の一行にお供をいたしまして、飛行機で被害地を見ようじやないかということでございましたのですが、そういうお天気で飛行機も出ないということでございましたので、トラックに乗りまして、道路が浸水いたしておりましたけれども、佐賀まで無理に参つたのであります。佐賀でその晩に一泊して、二十九日佐賀県の附近を見て、晩に遅く福岡へ帰つて参りましたけれども、私が通りました道路の橋が、その晩の雨で又落ちてしまつた、帰りに橋が復旧されるまで待たなければならんというような状況でございましたので、向うに三日か四日滞在いたしましたけれども、割に被害の一番ひどいところに行けなかつたというような実情であつたわけでございます。で、私どもの大体応急救助の面から見ますというと、先ず行きました当時は、人命救助というのが一番問題になつたような段階でございまして、久留米市とそういうふうに連絡はとれないというようなこともありまするし、或いは筑後川の堤防に、あそこに何百人、ここに何百人というように上つていて救いを求めている、或いは村が全部水に流されまして、そうして屋根の上で救いを求めているのをどうして助けるかということで家は騒いでいたのであります。一番困りましたのは、何と言つても船が不足だということでございまして、舟艇が足りないということでございました。いろいろ筏を組んだり、或いは漁船等を頼んでおりましたけれども、思うに任せなかつた。そういうときにやはり米軍の援助でありますとか、或いは保安隊の活動というようなものが非常に力付けられたようでございまして、殊に保安隊が現地へ出て参りますということは、民心の安定上も、又実際の活動ぶりから見ましても、非常に目ざましいものがあつたように見て来たわけであります。大体筑後川あたりは、この前大正十年の水害のときには、まだ農家が、あの辺でございますから、船を皆持つておつたのだそうでございますけれども、だんだんその後筑後川は堤防か改修されますし、災害もなかつたものでありますから、昔と比べてそういうような準備も非常に少なかつたというようなことも、一つの、人が死んだりいたしました原因になつたかと思うのであります。
それから食品の給与、炊出しでございますが、これも炊出しましたものをどうして運ぶかということが実は問題なんで、いろいろ船を動員いたしまして連絡いたしますけれども、それが当初思うにまかせなかつた。炊出しなんかも思うにように向うに届かなかつたというような状況でございまして、そういう状況でございましたので、普通場合には握り飯なんかをやるのでございますけれども、乾パンを大分たくさん買いまして、そうして運んでおつたような状況でございます。
それから佐賀県なんかへ行きますというと握り飯なんかよりは全市のパン屋を動員いたしまして、パンを作らせましてそれをまあ袋につめてどんどん送つておるというような状況でございますが、殊に飲料水が足りなくなります。そういたしますと炊事なんかも勿論できませんし、それから乾パンでありますとなかなか食べにくいからパンのほうがよいという要求がございまして、福岡ではなかなかパンができないというので乾パンを配つておりましたけれども、佐賀ではパンを作つております。小麦粉はありますけれども、イースト菌がないというようなわけで大分騒いでおつたような状況でございます。そういうわけで炊出し等につきましても当初のうちは必ずしも円滑ではなかつたということが言えると思うのであります。なお私どもの仕事の関係から申しますというと、大体炊出しというものは一日が一人三十四円くらいになつておるのであります。乾パンやパンを作りますというと、この基準ではとても参りません。乾パンが今五十九円くらい農林省の放出のものでもいたしますので、そういう点で大蔵省とよく話をいたしておるところでございます。それから飲料水でございますが、これも非常に困りまして、忽ちぶつかつた困難な問題でございましたが、濾水機とか、濾水車、給水車というものがないのでございます。これもやはり米軍から濾水機を借りるとか、保安隊の濾水車が出動するとかいうようなことでいろいろ急場を凌いで参りました。なお又東京のほうにも申しまして、東京、神奈川から現在濾水機を送つておりますけれども、そういうような非常に困難な実情でございます。それから米軍が浄水錠、これはどの程度のものか私知りませんけれども、錠剤になつたものを入れますと水がきれいになるそうでありますが、そういう浄水錠あたりも米軍が無償でくれておつたようでございます。そのほか消防車を使うとか或いは酒樽に水をつめてトラックで送るとか或いは一升瓶や湯タンポなりを買つてそれにつめて送るというような状況でございます。それが少し落付きますと、やかましくいわれましたのが実は被服、寝具でございます、一番毛布を早く寄こせということがございました。これは各府県に若干の手持がございまして、福岡あたりも五千枚ばかり持つていたようでございますけれども、それではとても足りません。大阪に地元の商人を通じて注文をいたしたわけでありますが、これがなかなか着かないというような状況で、将来やはりこういう問題は私ども考えなければいかんと思つております。この点につきましても米軍あたりから相当の放出物資もございました。丁度佐賀へ参りましたけれども、そのときにアメリカ軍が毛布を一万枚出してくれるという話を聞いておつたのであります。まさか一万枚もすぐ届けてくれるとは思わなかつたのでありますが、私がもう橋がかかるのを待つておりますうちに、翌日もう大きなトレーラー・バスに毛布をたくさん積んで参りましたし、それから携帯口糧、レーシヨンでございますが、あれを一万食ばかりすぐ持つて参りました。それからシャツとズボンというようなものは五千人分ばかり持つて参つたのであります。その他薬品関係、赤チンだとかそれから繃帯だとか、そういうようなものも大分各県がもらつております。私のほうでとりました措置といたしましては、現在アメリカの三つの宗教団体が日本の施設に衣料を送つて来ておるのであります。その衣料が一万三千四百人分を被害地に割当てることになつております。それをすぐに災害用に切換えて使うということをしております。福岡とそれから長崎でございましたか、これだけはこちらからまだ送つておりませんでしたから、送る措置をとつております。それからララ物資が残つておりましたので、それを九十七梱包、大体一包百人分、或いはそれ以上ございますから、約一万人分、それをすぐ送る手続をいたしたわけであります。
それから引揚用の毛布、作業衣袴が舞鶴の援護局に若干ございますのと、それから九州にありますところの検疫所に残つておりましたので、これを毛布が一万四千九百枚、作業衣袴が七千百枚、これを三十日の日に送る手続をいたしました。舞鶴のものは海上警備隊のほうの船を使いまして送る手続をいたしたわけでございます。
そのほか国立病院や療養所あたりに余つたものがあつたならばそれを出すようにという手配もいたしたわけでございます。
私ども向うへ参りましてすぐ手が打てるということはその程度のことでございまして、そういうことも非常に喜はれたわけでございます。
それから医療救助活動でございますが、これはまあ私は佐賀と福岡だけでございまして、他の府県につきましては推測でございますけれども、割に早く医療班を編成をいたしておりました。保健所を中心にいたしますとか、或いは日赤とか国立病院、療養所、或いは県立病院とか済生会の病院とかいうようなものがそれぞれ二班ずつくらいを組んでいつでも出られるような態勢におつたわけであります。併し結局災害直後でありますし、医療班が現地に行くことができない。それで福岡のごときも十班ばかり作つておつたのでありますけれども、私が行きましたときは僅かに三班が出て、後はまだ待機しておるというような状況でありまして、勿論その後交通がだんだんと開けて参りましたらばそういうものはたくさん行つたことと思いますけれども、そういう点でもやはり何か日赤あたりでも舟艇くらいを持つていませんと、いざというときの役に立たないというような問題がございます。
三十日の日に福岡の筑後川の下流のほうで、久留米のちよつと手前でございますけれども、大橋村とか善導寺村というのに無理に入つて行つたのであリますが、そこらで見ますと、まだ医原というものは必ずしも十分でないというような感じがいたしました。被害の実情は、例えば佐賀へ行く途中で鳥栖の町を鉄道の線路が通つている陸橋の上から見ますと、下流のほうが一面ずつと湖のような状況であります。勿論そういう状況ですから、船でなければ行けない。船でも出してもらえばいいのでありますけれども、食糧を運んだりするのにとても我々までそんなところをのこのこ見に行くわけに行かないというような状況であります。それから善導寺村とか或いは大橋村まで行つて参りましたけれども、もう殆んど軒先以上水が入つております。田圃なんかも上から流れた泥でもつて畠のようになつております。それから三十日の日に初めて天気になりましたものですから、いろいろ荷物を引出して、それをどぶのような色の川で洗いまして、それを道路とか屋根の上にたくさん乾しております。ふとんなんかも丸洗いで、泥だらけ、家の中に泥がこんなに積つておる。街を歩きますときにゴム靴で歩きますと、道路の上に泥がたまつているために入つて行つて足が抜けないような状況の所がたくさんあります。車なんか勿論通りません。善導寺村に行きましたが、二階に上つておりまして、農家なんかでは窓なんか余りないような二階で、そこにいろいろの収穫いたしましたものを入れておるのでありますけれども、そこまで逃げておるうちにだんだん水が上つて来ておる。そうして二階にも浸水してだんだん危くなるというので、上の藁屋根を破つて逃げた跡があります。そこの親父さんにいろいろ話を聞いて見ましたが、非常にすごいものであつた。筑後川が決壊した箇所がその村で三百メートルくらい大きな品をあけておりますが、そこから一遍に入つて来た。屋根の上に上つたりして、或いは酒屋の倉庫の屋根などに十数人も避難して救いを求めておるという状況で、私が丁度そこの町長さんと一緒に参つたんでありますが、町長さんもあれだけ助けてくれと言つて叫んだのに、俺のほうに先に来ないで、向うに先に行つたというような怨み言を言われておつた、さだめしひどかつたのだろうと思います。牛なんかもごろごろ死んでおつたような状況でございました。それで食糧なんかも殆どそういうわけで浸水いたしまして、麦なんかも穫り入れたりしたものが水を冠つたわけでありますが、それを道端にたくさん並べて乾しておる、それが醗酵しまして腐つて妙な臭いがするのです。農林省の人が行きますと、そんなものは使えません、飼料にもならない、飼料にすると牛が下痢をするしだめだそうであります。それでもやはり自分たちが丹念に作つたものでありますから、一生懸命にかき廻わしたりして乾しております。それから袋の中に入れた豆類なんかも袋を通して芽が出ておるというような状況でございます。
それから防疫対策てございますか、これは私どもが行きましたときにはまだそれほど問題になりませんでしたけれども、恐らく今後一番大きな問題になると思いますが、私が帰りますときには福岡県で四十七名くらいの赤痢患者が出ておりました。昨日の正午現在の調べによりますと、福岡県が大体赤痢が九十九でございます。佐賀県が十九、長崎県七、熊本県が四十三、大分県が一、山口県七十二という数字が出ております。勿論これは連絡が不十分のために必ずしも正確な数字とは考えられません、恐らく落ちておる数字もあると思いますけれども、まあ現在のところでは、平素の発生件数に比べて特別に多いということはまだ考えられません。併しその中で避難所あたりから収容されておるものの中から赤痢が発生するということがございますと、将来やはり集団発生の危険がありますので、この点については非常に努力をしなければならんと思つております。この防疫用の資材、薬品等でございますが、最初参りましたときには、クロールカルキとかクレゾール石鹸液、生石灰、殊にクロールカルキで浸水地の井戸替をするとか、井戸の消毒をする必要がある、水源地なんか汚染された場合には消毒する必要がある。福岡あたりでも百トン以上足りないというようなことで、本省に私早速手配いたしたのでございます。佐賀でも十二トン以上足りないというようなことで、ところがだんだんその後努力をいたしまして、福岡県に実はメーカーがございまして、小倉に大阪曹達というのが確かある、大牟田市に三井化学なんかがございまして、そういうところが一生懸命生産をするというので、参りました三十日の夜は、すでに一日の朝、小倉からクロールカルキ二十トンが福岡に送られるというような状況でございます。勿論この現地でも薬品や消毒資材が足りないということを訴えておりますが、そういうわけでございますので、そういう末端に早く交通が回復いたしまして、配る必要がある、末端にはないのでありますけれども、併し大体そういつた薬品なり或いは防疫資材が地元で補給をし得る見込みが立つたようでございます。なおこちらから薬務局長が参つておりますので、薬務局長がいろいろそういう資材や、殊に薬品につきましての一覧表を持つて参りまして、電報一本ですぐにそういうものを使いましたならば補給ができる、或いはクロロマイセチンなんかでもすぐに送れるような手配をいたしております。なおクロロマイセチンも三万人分ばかり三十日に飛行機で持つて参りましたので、現在のところでは、そういう面の不自由は恐らくなかろうという見通しだと存じます。ただ末端までそういうものが早く届きまして、そうして防疫対策がうまくやれるようになることを願つておる次第でございます。
そのほか生業資金とか、仮設住宅というようなものについても相当要望がございましたが、これらは従来災害救助法で考えておりました基準よりは、できるだけ基準をよくいたしますように、現在折衝中でございまして、大体見通しがつきましたので、もう一両日中に府県に対しまして通知をいたしまして、府県が出しました災害救助費につきまして、私どものほうから概算払いができるようにいたしたいと思つております。
なお畳の要望がございまして、一遍畳が水につかるとどうにもなりません、畳表を何とか心配してくれないかということを私どもにも頼まれたような次第でございます。
なおこの国民健康保険でございますが、やはり浸水地に相当国民保険がございます。こういうものの直営診療所の復旧も必要でございましようし、なお又今後活動しなければならん診療所が、運営資金がないためにうまく行かないというようなことがございます。そういうような医療費の支払いにつきましては、保険局のほうで災害地におけるところの貸出しをするような措置をとつておるようでございます。
なおこの国民救援運動というのを厚生省が主唱で起しまして、新聞ですでに御承知の通りでございますけれども、そういう運動を起して、義捐金なり或いは救援物資を集めまして、その窓口と申しますか、世話役を日赤のほうにお願いをいたしております。これもだんだんと効果が上つて来ると思つております。
簡単でございますが、以上で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/46
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047・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 只今の安田社会局長の説明に対して御質疑がございませんですか。予算関係の残余は次回に譲りまして、これくらいで今日は散会いたしたいと思います。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X00819530703/47
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