1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月七日(金曜日)
午前十一時一分開会
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委員の異動
本日委員竹中勝男君辞任につき、その
補欠として江田三郎君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 堂森 芳夫君
理事
大谷 瑩潤君
常岡 一郎君
藤原 道子君
委員
榊原 亨君
高野 一夫君
中山 壽彦君
西岡 ハル君
横山 フク君
林 了君
江田 三郎君
湯山 勇君
山下 義信君
有馬 英二君
衆議院議員
山下 春江君
政府委員
外務政務次官 小滝 彬君
厚生省社会局長 安田 巖君
厚生省保険局長 久下 勝次君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
説明員
法務省民事局第
五課長 池川 良正君
大蔵省管財局第
二課長 牧野 誠一君
参考人
財団法人日本遺
族会理事 長島 銀藏君
財団法人日本遺
族会理事 佐藤 信君
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本日の会議に付した事件
○財団法人日本遺族会に対する国有財
産の無償貸付に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○引揚同胞対策審議会設置法の一部を
改正する法律案(衆議院提出)
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001・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 厚生委員会を開会いたします。財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律案を議題といたします。御質疑を願います。
本案に対する質疑中は秘密会といたしますから、関係者以外は退場を願います。
午前十一時二分秘密会に移る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/1
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002・高野一夫
○高野一夫君 財団法人日本遺族会に、若しもこの法律が通過して、無償貸付をやつたあとの運営の方法について多少ここに厚生省関係の監督の条項があるようですけれども、これはどういう程度に監督ができるでしようか、「法令、法令に基いてする行政庁の処分又は寄附行為に違反した場合において、その役員を解職すべき旨を勧告すること。」ができる。それからそのほか予算が不適当である場合というようなことがあるようでありますが、この経営の方法について、仮りに会計上の問題、予算の編成、いろいろの使い方の問題、そういう点について厳正なる監督批判を厚生省はやり得ることになりましようか。厚生省からの御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/2
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003・安田巖
○政府委員(安田巖君) これを貸付けました場合は、この法案にございますように、普通の公益法人に対しますよりは強い監督権が出て来るわけであります。例えば予算等につきましても、それが不適当と認める場合には、必要な変更をさせるというような権限も出て参ります。又今お話のような法令とか、或いはそれに基づいてするところの行政庁の処分、寄附行為に違反したような場合、今の予算の不適当であるというようなことにつきましては変更を命ずるとか、或いは前項の規定による措置に従わなかつたときは、貸付の契約を解除することができる。この場合の契約解除ということは、もともとこの財団に対する監督権というものが財産を貸すことによつて生ずるのでありますから、これは致命的なものであります。そういう強い監督権を規定したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/3
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004・高野一夫
○高野一夫君 財団法人と厚生省と、貸付けについて詳細な細目の協定、契約ができた場合に、その契約というものを若しも守らない場合は、その契約を解除する。そしてその法律はこのまま生きておるというので、それは差支えありませんか。契約を守らなかつた場合に、向うが契約を解除するということを契約の中に謳つた場合は契約を解除する。そうすると契約は解除する。それはまあ契約のほうでやるわけだが、この法律は法律で生きておるというような場合には、何かそこに齟齬するというようなことは起らないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/4
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005・安田巖
○政府委員(安田巖君) ちよつと御質問の趣旨を解しかねるのでありますけれども、契約を守らなければ契約解除という問題が起るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/5
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006・高野一夫
○高野一夫君 この法律ではすでに無償貸付ということがきまつているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/6
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007・安田巖
○政府委員(安田巖君) それは差支えないわけでございます。法律の中に書いてあることでありますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/7
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008・高野一夫
○高野一夫君 現在の財団法人の日本遺族会というものの本体をちよつと伺つておきたいのですが、これは遺族の団体なんでありましようか、それとも別個の人たちが集まつて遺族のかたヘサービスする団体の形になつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/8
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009・安田巖
○政府委員(安田巖君) お手許に御配付申上げております財団法人日本遺族会寄附行為の第二条を御覧になりますと、「この会は戦歿者の遺族の福祉の増進、慰藉救済の道を開くとともに、道議の昂揚、品性の涵養に努め、平和日本の建設に貢献することを目的とする。」こういうことでございます。併し財団法人でございますから、一定の財産を中心にした法人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/9
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010・高野一夫
○高野一夫君 貸付けるということになれば非常に大事な相手になるわけですが、万一これを貸付けるものの間に、厚生省が適当でないと認められるような点が、寄附行為の条文のほかに例えば役員の構成とか或いは仕事のやり方とかいう点について、如何かと思われるような点を厚生省で御発見になつた場合には、貸付けるものの間に適当にその辺勧告を発せられる、監督官庁として満足の行くようなふうに改善をさせるというような肚組みをお持ちでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/10
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011・安田巖
○政府委員(安田巖君) 私どもはこの法律が制定されまして公布された暁におきましては、従来よりも更に強い監督権が出るものだというふうに考えておりますので、そういう点につきましても折角こういうふうな国家の大事な財産が、無償でそういう法人に貸与されるのでございますから、そういう点につきましても、十分強力な指導を行いたい。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/11
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012・山下義信
○山下義信君 高野委員の御質疑に関連してくるのですが、今高野委員大変重要な点を指摘されてお尋ねになつたのですが、局長の御答弁では要領を得ない。人様の御質疑のことを口を入れては済みませんが、一番最初の御質疑はこの貸付を受ける団体について強い監督をするか、こういう質問をなすつたのです。そうしたら局長は、普通の公益法人に対する監督よりは法案を御覧のように、非常に強い監督をしますと、こう言つている。どういうわけで普通の公益法人よりはより以上の強い監督の規定をしなければならん必要があるのか、これを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/12
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013・安田巖
○政府委員(安田巖君) 国の財産、つまり国有財産につきましては、国有財産の管理の規則があり、又多少例外的な規定はございますけれども、一応国有財産の管理の原則があるわけでございます。そういう原則とは特別に、軍人会館という、旧軍人会館という国有財産を無償で貸与するということは、一つの国が利益を与えることでございますから、その限度におきまして監督権が強化されることはこれは当然じやないか、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/13
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014・山下義信
○山下義信君 それはまあ当然のことです。そうでないでしよう、当局のお答えの肚は。又質問者の肚はです、この国有財産の無償貸与を受けようとする団体に対して十分監督をせねばならない事情というか、そういう心配があるので監督を十分にするかと、こう尋ねておるのです。国の大切な国有財産だから一般のその貸与を受けるものと同じような監督の必要を言つておるのじやない。特別にこの貸与を受ける団体については十分監督をするかという質問なのです。あなたの答弁は、国の大事な財産を貸すのだから十分注意をしますと、それは当り前のことなんです。それは質問者と答弁者との間に私は多少思い違いというか、食い違いがあるのじやないかと思う。この団体が、率直に言つたらば、何となしにこう不明瞭で、この団体が不安だから十分監督するかという趣旨の質問なんです。それに対しては、普通の公益法人以上に十分こういうふうな監督をします、場合によつては無償貸付も返還させますという御答弁は、この団体に対してそういう意味の監督をするということの私は質疑応答だと思つたのですが、そうじやないのですね、あなたは一般論をおつしやつたのですね。この、具体的に今この軍人会館の貸付を受けようとする団体について、まあ現状が、率直に言つて、しつかりしていない、はつきりもしていない、その組織も不十分である。今おつしやつた質問者もそういうことを加えての質問をなさつた、監督を十分にするか、こういうことで心配のないようにと。で、むしろそういうことになつたならば予算も見るし、事業目的に反するようなことをしたり、又いろいろの組織の上についても十分調査をする。後段の答弁にはそれがあつた。そういう意味の答弁では、国有財産の貸付を受けておる普通の公益法人に対する監督よりはより以上の監督をするという御趣旨になるのではないのですか。一般の公益法人、国有財産の無償貸付を受けるような、その種の公益法人の監督と同様というのですが、これは特別に考慮が払つてあるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/14
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015・高野一夫
○高野一夫君 ちよつと私附加えて……、只今申上げたのは、実は必ずしも現在の財団法人日本遺族にいろいろ懸念等の点があるというところまで考えての話ではないのでありまして、普通の団体と違つて、とにかく戦争の犠牲者の遺族団体であるから、普通の財団法人よりは特別の重要なる部面を持つた団体であるべきなんだから、これに国有財産の無償貸付をするということになるならば、この運営は誠に適正、厳正でなければならんと思いますので、その点について万一監督しなければならないようなことが起つた、起るというような場合があるとすれば、どの程度監督ができるかというような意味で実は私は御質問したわけだつたんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/15
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016・山下義信
○山下義信君 関連して、私は今のような趣旨で質問します。高野委員の御質疑はそういう御質疑であつたかも知れませんが、私は敬めてこういう意味で、この国有財産の貸付を受ける団体が、私どもの目で見るというと、どうもその組織というものがはつきりしていない、少し心もとないようなところがある。この貸付を受けた後の運営等々についても不安な思いをするようなところがある。そこで当局はそれに対して十分監督をする考えがあるかどうか。私はそういう質問をします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/16
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017・安田巖
○政府委員(安田巖君) 私が御質問の趣旨を取違えたかと思うのでありまして、大変恐縮な次第であります。この財団法人日本遺族会に対して特別な監督をするということはございましようけれども、とにかくその国有財産を無償で貸与するという限度におきまして実はこういう強い監督権が出て来たわけでございます。で、非常に理窟を申上げるようで恐縮でございますけれども、法距論から言えば、こういう国有財産を無償で貸与することによりまして、日本遺族会に対してこういう強い監督権が出て来る、こういうことでございまして、併し日本遺族会が、この国有財産を無償貸与するのに果して適当な団体であるかどうかというような御質問の意味でございますならば、私ども実は従来やりました遺族連盟では不十分であると、何ら法人格を持つていないところの申合せの団体でございますので、特にこういう団体に国有財産を貸すわけにいかないというので、全国的な組織で、そして従来のものは解消して新らしい団体を作つて頂いたのが日本遺族会でございます。これは一応形式的にはとにかく全国的な団体であり、又そういう意味の日本における唯一の団体だ、こういうふうに考えまして私どもはこういう法案を出したわけでございますけれども、仰せのように人的構成その他におきましては私どもこの法案が通りました暁におきましては、十分考慮して参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/17
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018・高野一夫
○高野一夫君 今の質問に関連して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/18
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019・山下義信
○山下義信君 まだ私の質問があるのです。
私はそれではこういうことを伺つておきましよう。この日本遺族会に対する当局の監督関係の規定は、他に、国有財産の無償貸付を受けておる他に公益法人のようなものがあるかないか私は知らないが、仮りにありとすると、その団体に対する監督規定と同様になつておるかどうかということを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/19
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020・安田巖
○政府委員(安田巖君) 只今大蔵省の国有財産第二課長に伺つたところによりますというと、ほかにはこういう例はございませんそうでございますので、これが初めてのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/20
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021・山下義信
○山下義信君 それでは一般的な一般論としては重要な国有財産を、大事な国有財産を貸すのだから、公益法人に対してはこれは当り前だというような、又これが初めてでございますので一般論ではなくして、やはり具体的にこの種の貸付を受ける団体に対して初めてこういう監督規定を作つたんですからその必要があると、やはりこの団体に対してこういう、これだけの監督を強化する、して置かなければならない必要がある、こういうふうに考えて監督規定を設けられてあるものと解釈して、それでよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/21
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022・安田巖
○政府委員(安田巖君) 大変何度も申上げて恐縮でございますけれども、日本遺族会が特別な監督をしなければならない団体であるからといつて、こういう監督規定を設けたのではなくして、そういうふうに国有財産を無償で貸す特別な利益を与えるという限度におきまして、日本遺族会に対してそういう監督規定が必要になつて来た。更に大きく言いますというと憲法八十九条の関係もあると思うのでありますけれども、そういう意味でこの監督規定が生れた、こういうふうに御了解願いたいのでございます。無償でありますのはこれが先ず最初でございますけれども、例えば昨年でございましたか一昨年でございましたか出ました国有財産特別措置法でございますか、ああいうものも学校法人なり社会福祉法人に対しましては半額にする。賃貸料なり或いは譲渡に対しまして半額でいい、というような規定がございますし、或いは十年でも差支えないというような規定がございますが、こういうこともやはり一つの利益を与えるわけでございますので、そういう場合にも特殊な監督規定がある。そういうことも参考になるかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/22
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023・山下義信
○山下義信君 私は具体的に伺つて、局長は抽象的に一般原則的なお答えなんです。それでまあいい、水掛論ですから……、併し実際は例えば社会福祉法人、全国社会福祉協議会連合会というようなものに国有財産を貸付するときに、当局の指令、指令というか、この法案の規定するがごときことに一々反したときには、あの法人の役員を首切つてしまうというような法律を作りますか。又自他何人が見ても信用がありますような厚生省の外廓団体、伝染病研究所であるとか或いはその他の団体が、国有財産のこの種の関係を結ぶというときにそういうような規定を作りますか。恐らく作らんでしよう。又作ることは非常識です。それは相手方が非常に信用があるのですから作つて悪いことはありませんけれども、恐らくこの監督を厳重にしたということにはそれ相当の理由がある。ただ大切な国有財産を貸すのだからここまでやつておかなければならんというのは一般論であつて、これが別のケースである、而も具体的には日本遺族会でありますから、十分監督をしておかなければならんという、これだけの規定を作つておかなければならんというお考えがあつて作られたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/23
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024・安田巖
○政府委員(安田巖君) たびたびお言葉を返すようで失礼でございますけれども、こういう法律を作ります場合、大蔵省とも或いは法制局等にも相談いたしまして、この法律案ができたわけでございまするが、私は恐らく今後国の普通財産がこういうふうに無償で貸付られるという例があるかどうかわかりませんけれども、今後あるとすれば、やはり私は最低この程度の監督規定というものは当然つくのじやないか、こういうふうに実は考えております。この点につきましては大蔵省のかたも見えておりますからそちらのほうの意見も伺つておいたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/24
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025・山下義信
○山下義信君 私は監督を厳重に規定することによつて、その相手方の日本遺族会が非常に不安定な団体ではないかといつて、あなたの言葉尻を捉えようと思つて質疑しているわけではない。それはあとで私は自分の質問のときに、或いは大蔵省への質問のときにもう一度確かめさせてもらうかわかりませんが、それはそこまでにしまして、今一つ高野委員の御質問の中に、いろいろ監督規定に反したようなときには貸付の契約を取消すぞ、貸付も取上げるぞ、こういうことについて、もうこの法律ができたらば、日本遺族会はあの国有財産については、何というか借地権というか借家権というか、国から無償貸付の一つの権利というものが存在する、国との契約において特別の相手の私人が権利ということは言ひ得るかどうかは別として、法律によつてはちやんと貸付を受ける権利が生ずる。それはこの法律によつて取上げるのだから、取上げるということを法律で規定するのだから、それに対しては異議の言いようがないのだ。訴訟にも何にもならんのだ。それはそれで以て借りるという権利は消滅しているのだ、あとくされないのだという、それはそうでありましよう。法理論から言えばそうでありましよう。ところが実際は貸付を受けてこの種の事業を営んでいるものに対して、今日限り国有財産の貸付をやめた、停止した、取上げるぞといつた時分に、その諸々の事業を経営しているために投じたる資本というか事業そのものというか、その貸付を中止されることによつて相手方が受ける損害等については国はどういうような措置をとるか、何も措置はとらないのか、そういう問題は起きますか起きませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/25
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026・安田巖
○政府委員(安田巖君) 今のお尋ねでございますが、私どももそういう事態が起らないようにできるだけ監督に努めたいと思いますけれども、今のような事態が起きました場合は、これは契約の内容によりますが、現在大蔵省が国有財産を貸付けておりますところの例によりますと、そういう場合補償しないというふうな契約内容になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/26
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027・山下義信
○山下義信君 それは法律とは別に当時者が契約するのですね。大蔵大臣と……。契約というものも関連して、どういう契約をするかということの案ができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/27
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028・安田巖
○政府委員(安田巖君) 大体ございますが、これは大蔵省が従来の一般の例に従つてやるというふうに聞いておりますから、恐らく年々更新して行くような形になつて行くのではないかと私思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/28
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029・山下義信
○山下義信君 ではその点はあとで伺うことにいたしますが、もう一つ高野委員が質問されたことで私も確かめておかなければならんことは、この日本遺族会の在り方について御質疑があつたらば、法律が制定した後にはこの団体に対して十分強力な指導をするのだと、局長今答弁されましたが、それはどういう意味ですか。この法律が制定した後にはこの遺族会について強力な指導をするというのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/29
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030・安田巖
○政府委員(安田巖君) この法律がここで以て制定されまして公布いたされますと、日本遺族会がとにかく無償で貸付を受けるということがはつきりいたすわけでございます。現在におきましては、ただ日本遺族会というものがあるだけでございまして、それは一般の民法の三十四条の法人だというだけでございますが、今後はこれによつて貸付けるということがはつきりいたしますから、そういう意味におきまして私はこの監督を強力にできると、こういうことを申上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/30
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031・山下義信
○山下義信君 ちよつと待つて下さい。今局長はこの日本遺族会は民法の第三十四条の法人だと、公益法人だということを断定されたようですが、これもあとで又承わることにいたしましよう。高野委員はこの遺族会の組織並びに改造といいますか、そういうようなものについて当局は十分今後指導するかどうかという質問に対して、速記を見ればすぐわかる、あなたは今後この遺族会の組織その他については十分強力なる指導をする、こういう御答弁をなさつた。それはどういう意味ですか。私は日本遺族会は立派な団体、あなたから言えば、従来の遺族更生連盟というようなのとは違つて、これは正規に成立をした団体であります、こういうことをおつしやつたのです。そしてこれに対しては何も指導したり協力したりしなくても、もうすでにその団体ができているのだとおつしやつた。今後これを遺族会の編成や組織等については強力な指導をするとおつしやつたのを見ると、まだ現在の日本遺族会の組織などは不十分なようにも受取られる。この貸付を受けようとする日本遺族会という団体は、それならば私は関連して伺いますが、もう完全に組織されているのですか。完全な団体ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/31
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032・安田巖
○政府委員(安田巖君) 先ほど申上げましたように、民法三十四条によります、財団法人でありまして、認可を受けて完全な法人格を持つているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/32
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033・山下義信
○山下義信君 私その法律の手続が終了したか登記が終了したかということを聞いているのではない。その組織の内容というものは、完全に組織された団体かということを聞いている。つまり言い換えれば、日本遺族会というものはどういう順序を経て、どういう経過でどういうふうに組織されましたか、全国の遺族会は全部これに加入しておりますか、どの遺族に聞いて見ても、日本遺族会に加入しているということを全国の遺族は承知しておりますか、どういう手続でこれが組織され、それが形式的には寄附行為の認可を受けて評議員会を招集して理事を選任して、それは一時間や二時間でやつたでしよう、登記もやつたでしよう。厚生省の認可もとつたでしよう。けれども実際の会員というものはこの団体に所属しておるものがどこでこの入会の勧誘を受け入会の申込みをし、初めてそういうものが何人集まつてそうして評議員というものを選任したというか、この種の団体が正規に発足するまでの本当の組織の内容を私は聞きたい。私はそういうような法令によるところの届出や登記ができているから完全だ、完全じやない云々というのじやなくして、この日本遺族会が組織されましたその経過、道程において果して全国の遺族会に通知がされてありますか、会員は誰です。全国の遺族会が皆この種の日本遺族会の設立の通知を受け、この設立に参加しておりまするかどうか、何%が参加し、何%が通知を受けておるのですか、どうです。本当を言つて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/33
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034・安田巖
○政府委員(安田巖君) この資料に財団法人日本遺族会の寄附行為というのがございますけれども、これに会長副会長、顧問、理事、評議員というものがどうしてできたかということが書いてあるわけでございます。それによりますというと理事及び監事は評議員会で選任することになつておるわけでございまして、「評議員は各都道府県の支部より推薦によるもの各一名及び学識経験者にして、この会の主旨に賛同したものの中より理事会の議決を経て理事長が委嘱する。」ということになつております。そこでその各府県にあります支部はこれは現在大日本遺族会の支部になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/34
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035・山下義信
○山下義信君 これはまあ、あとで又聞いてみましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/35
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036・高野一夫
○高野一夫君 この遺族会の寄附行為の三十三条を見ますと、各県から一名ずつですね、評議員が出て、多少学識経験者を加えた評議員会というものがあつて、その「三分の二以上の同意」、「主務官庁の認可」で寄附行為の変更ができるということになつておりますが、この遺族会の仕事の運営、殊に国有財産の無償貸付を受けて仕事をする。特にその面においては大事に大事をとらなければならんと思うのですが、理事会その他評議員会は恐らく万全の処置をとられるでありましようけれども、若しも更になお万全を期するために必要があるという場合には適当の機関を設けるというようなことでも多少考えてみるわけなんですが、そういうような場合に三十三条によつて寄附行為の変更をやつて、そうしてそういうような一つの機関を作るというようなことでもやろうと思えばできましようか。監督官庁のほうからお考えがあれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/36
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037・安田巖
○政府委員(安田巖君) 今日本遺族会というのは実は先ほどから申上げますような財団法人であつて遺族の福祉を目的とする全国的な団体でございます。併しこれは別に国有財産でありますところの旧軍人会館というものを貸付けてもらえるとか、或いはもらつたという状態でないために、まだそういう点についての寄附行為その他については不備な点があるのであります。従いましてこの貸付けることができるという法律が通りますというと、それに基いて今度は国が貸付けることができるし、向うが引受けてくれることになるわけであります。そういたしますとそれに必要な寄附行為なり或いはそういつたような点につきましても十分考慮する余地があり、又しなければならんと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/37
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038・高野一夫
○高野一夫君 今の御答弁で私は多少安心感は持てたのですが、それじやいよいよこの法律ができてそうして契約もするというときになれば、その事前の行為としてこの寄附行為の変更ができる、又そうしなければならんというような監督官庁のお話でありますが、それは要するに結局この国有財産の軍人会館の運営よろしきを得るための点にあると思うのでありますが、そこでこれはまあ一つの試案なんですけれども、何かこれは理事会も評議員会も恐らく万全に間違いなくおやりになると信じますが、とにかく遺族会なんという、この遺族というのは全国の殆んど問題なんですから、そこでこの限られたる理事とか評議員というだけでなくして、例えば国会議員も或いはそのほか官庁側からも、そのほか各方面の代表者、学識経験者、そういうものを集めて一つの運営委員会みたいなものを拵えて、そうしてそれが諮問機関となりますかどうかわかりませんけれども、そういう運営委員会というものでも拵えて理事会、評議員会を更に一つ強化して間違いのないような運営をさせるというようなことについてはどんなものでしようね。そうすると恐らく全国の遺族も非常に御安心なさるでしようし、関係者も更になお一層の安心感が持てるんじやないかしらんと思うのですが、どんなものでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/38
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039・安田巖
○政府委員(安田巖君) この軍人会館は御承知のように相当大きな建物でございますので、これを運営をいたしまして利益を得て、そうして遺族の福祉のためにそれを使つて行くということはこれは相当私は経験も要るし技術も要る、いろんな意味でむずかしいことだと私は考えておるのであります。そこで一つの法人がこういうふうに建物を以ちましてそれを運営して行く場合に管理の機構が二元的になりますと、その辺でいろいろ争いも起る危険がございます。併しそうかと申しましてもいろいろ御心配の点も私も御尤もだと思いますので、そういつたまあ学識経験者が助言をし勧告するような、そういつたような機構というものは私どもは考えられると思つているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/39
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040・高野一夫
○高野一夫君 勿論私が申上げたのは、そういうような運営委員会とかいうようなまあ仮の名前で私申上げたのですが、そういう機関ができても、それが勿論執行部の仕事に当るわけじやないので、そういう助言といいますか、諮問といいますか、そういうような顧問会議みたようなことで、それについでにいろいろな相談を持ちかけるということで、各方面から、殊に国会側からも各方面から一つ経験者、学識者がこれに参加されて、そういう一つの機関を作るということになるならば、なお一つこの万全が期せられるのじやないかというような感じを以つて今御質問をしたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/40
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041・山下義信
○山下義信君 私のさつきの関連質問には、局長は日本遺族会というのはもう立派に成立しておるんだ、今後その内容やそれらに対してくちばしを入れる必要のないほどもう立派な団体が完全にもうできているのだと、こう言う。高野委員のほうの質問には、今度又会館の貸付ができたならば、それから又寄附行為の変更などをしたり、いろいろなことについて又適宜にそれは考えなければならん、不安に思われるのは御尤もだ。私の不安に非常に思う質問には、ちつともそういう不安はないんだという意味の御答弁をなさつて、あちらのほうへ向いてはこれからどのようにでも日本遺族会の内容その他には手直しするということをおつしやつた。なかなか器用な御算だと思つて私は感心しておるのですが、一言だけ申しておきます。あと又局長には伺いますが、私は大蔵省に来て頂きました関係で伺いたいと思うのですが、この資料のおしまいにも国有財産法の一部が抜萃して添附してあつたように思うのですが、ともかくも一応国有財産法に基き又それによつて大蔵省が現に実施をしておる国有財産の無償貸与ですね、無償貸与についての関係法規の御説明を願つて、私どもの感じでは、こういう団体に対して国有財政の無償貸与は現在の法律ではできないのではないかと私は解釈しておる。又先ほどの質疑の中にも現われましたように、曾つて例がない。初めてなんです。それで現在の国有財産法の建前から言えば、この種の事業、この種の団体には国有財産の無償貸与は貸付けることができないんだろうと思う。ただ特別の法律を作ればいわゆるこの限りあらずという例の常奪語と言いますか、それを言えば別でありますが、現在の建前ではそうなつているのじやないかと思う。そういう点につきまして国有財産の無償貸与に関する関係法規の御説明なり又当局の御方針なりというものについてこの際承わりたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/41
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042・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 只今の御質問にお答えいたします。国有財産法では無償貸付という制度は、これは地方公共団体に対してだけ認められております。これはお手許に行つております資料の二十三ページのところに無償貸付という条項がございます。ここに第二十二条というのがございますが、これは緑地、公園、溜池、火葬場、墓地、塵埃焼却場或いは生活困窮者の収容の施設というようなものを無償貸付することができることになつております。これは相手方が公共団体でございます。それから国有財産特別措置法という法律がございまして、この法律にはこの国有財産の本法に規定されておりますこと以外に無償貸付の条項が若干ございますが、この特別措置法のほうには公共団体以外の者に対して減額貸付或いは減額して譲与するというような規定がはいつております。これは国有財産特別措置法の第三条にございますが、この減額貸付ということができるものは三つだけに限つております。学校教育法に基く学校、それから社会福祉法人、それから最後に日本赤十字社と、この三つだけに現在のところ限つております。それでそのほかいろいろな河川法とか或いは道路法、港湾法、下水道法というような特別な法律がございまして、これにはそれぞれ地方公共団体というようなものに対して無償で使用させる、或いは無償で貸付けるというような法律は、若干ございます。それから特別都市建設法というものに無償で譲与するというような制度がこれはやはり地方公共団体に対して認められておりますが、ただ特別都市建設法のうちには国有財産特別措置法と同じような学校法人というものに対して無償で譲与するということができる法律がございます。それで只今の御質問の最後の点の方針でございますが、我々といたしましては只今無償で貸付けるとか或いは無償で譲与するとか、国有財産を無償で、そういう形で処分するというようなものの対象になるものとしては、公共団体を原則というふうに考えております。これは減額して貸付ける場合と或いは減額して譲与する場合というものもそういうふうに考えております。ただ法律に特別の定めのあるものはこれはできる。それでこの特別の定めというのは割合に限定されておる。只今申上げましたように無償で貸付という私の法人或いは私人というものは、昔の法律には、戦争前の法律には特殊なものが若干あつたかと思いますが、現在の法律としてはない。それで減額して貸付ける或いは減額して譲与するというものが特別措置法というものに三つだけ限定されて認められておるという制度に相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/42
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043・山下義信
○山下義信君 私もそうだろうと思う。従来我々が特別都市法等いろいろな今大蔵省の指摘されたそういう法律を作るときも、国有財産について法律でいろいろまあおのおの希望するところを入れようとする、なかなか大蔵省がやかましくてむずかしい。現在国有財産の運用についても、旧軍港都市の転換法にしても、平和都市法にしても、その他の特別都市法についても、国有財産の問題についてはあなたのほうではなかなか厳格なんです。私はそれが当然だと思う。これは国民の財産だから、一部の者が勝手気儘にそれが利用されてはならんわけでありますから非常にやかましい。これは当然です。公共団体のそういう都市が国有財産に対して政府に御希望してもなかなかやかましい。でありまするから、今御説明のように、いわんや私人が国有財産を利用するという場合はもう厳として原則を守られるのが当然と私も思う。最近我々に配付せられました国有財産の現状についての御報告を見ても、無償貸付の事例は関係各省或いは官庁等以外にはない。先ほどの質疑のときにもありましたようにない。而も法務省であるとかその他の各省が使つておる国有財産ですらも、無償貸付関係の国有財産ですらも、今挙げられたようなその使用範囲というものが限定されておる。それで今回のこのような事例は従来ない。私はこの貸付を受けようとする日本遺族会の団体というものを問題にする前に、先ずこの種の私人に国有財産を無償貸付をする一つの事例をこの法律が開く。法律を作つてしまえば法律によるんだという関係者の弁明はできる。今法律を作る前には、これを論議せなければならん。これを聞いて見なけりやならん。こういう事業目的でこういう貸付団体を大蔵省はこれを認めるか認めんか、言い換えればもう契約の内容も話が進んでおる。私はあとでそれを聞きますが、どういう契約をするかということも聞こうと思いますが、先ず原則としてどういう理由でこの貸付を大蔵省は今回認めたのであるかどうかということを私はその理由を承わりたい。原則にない。今御説明のように原則にはない。原則にはないのにこういうような今法律をこれから制定して、法律を制定する前には先ず大蔵省が、よろしい、法律ができれば貸してあげようと、こういうその内諾を得ているからこの法案に出て来るのです。若し大蔵省が貸さんという考えならば、この法案が出づるゆえんがない。大蔵省がこの種の無償貸付をするんだということを、今度初めて新例を開こうとする考えはどういう考えから出ているのかということを私は聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/43
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044・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 先ほど申上げました点の中で減額して貸付ける、これは五割減額でございます。この法人が先ほど申上げましたように、学校法人、それから日本赤十字社社会福祉法人というものがあるわけでございます。その法律ができれば成立いたしますれば、この日本赤十字社のほかに、まう一つ単独の法人として、単独の立法でこの遺族会が五割減額ではなしに、無償で貸付を受けるという団体として生れるわけでございます。一つ法律が生れるわけでございます。この法律が生れました場合、我々のほうといたしましてこの法律ができると貸付ができるということに相成つております。これは貸付を義務づけられたというふうには必ずしも解釈いたしておりません。それでこの法律が通過いたします段階になりますれば、我々のほうもいろいろ法人の内容或いは契約の具体案等について今までも厚生省といろいろ御連絡いたしておりますが、更に具体的に緊密な条件を付して、而も厳格に考えまして、この法人が無償で国有財産を貸付けるにふさわしいというふうに判断されましたときに貸付けたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/44
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045・山下義信
○山下義信君 これは非常に今大蔵省は、牧野課長は重大な答弁をされた。我々も又この法案をもう少し見なければなりませんが、この法律ができたらば政府は無償貸付をしなければならん義務が発生するか発生しないか。今大蔵省の見解では貸付ができるというだけであつて、貸付けるか貸付けないかは大蔵省のこれからの考えだ。諸条件を見て、法律の内容を見て、これからだということ。誠に筋の通つた御答弁、誠にしかくあるべきだと思う。併しながら先刻来からの質疑を見ると、大体あなたのほうは御承諾になつて、そうしてその契約諸条件等についても大体話がついておるというか、済んでおるように見えるのですね。それで私はこの形式的な議論を先ほど局長と私の間に一、二、日本遺族会の在り方について形式的な質疑をした。そういう形式的な質疑でなしに、こうして傍聴禁止をしてまでもやるゆえんは、卒直に実際の審議をしたいと思つてお尋ねしておる。それであなたのほうで、もうこれを貸付けるということの内諾をし、これを承知するという方針でいるとするならば、今私が言うように、どういうわけでこういう無償貸付の新例を開くかということをお尋ねしておる。それでそれがあなたのほうでは、法律ができたらば、今言つたような法律によつては、例えば学校法人、或いは社会福祉法、日本赤十字社法と並んで、この法律が日本遺族会というものがそこへ加わつて来るのだ。これじやぐるぐる廻りの議論になつて来て、私が伺うのは、大蔵省はこれをこういうふうな貸付をする方針をきめたのかどうか。若しこの種の貸付を大蔵省が認めるということになれば、それはどういう方針でそうなつて来たのかということを聞きたい。又それならばもう一つ質疑を進めて、今ここへ来ておるこの法案ですね、これは大蔵省のほうは見ておりますか、あなたのほうは。この今出ておる現在のこの法案によつて、この法律によつて、大蔵省は立派に無償貸付をしてよろしいのだ。この法律の内容ならば、この法律ならば無償貸付をしてもいいのだ、こう考えておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/45
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046・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) お答えいたします。この遺族会は、この法律案自体これは大蔵省といたしましても拝見いたしております。それからこの遺族会の内容等について、貸付けるつもりがあるかどうかという点については、我々のほうといたしましては、具体的に遺族会とは直接には話合いを何もいたしておりません。それでこういうような場合にはどういうふうに措置すべきかということは、これは先ほど申上げましたような五割減額して貸付けるというような法律がございますが、こういうようなものに該当する学校とか、赤十字社とか、或いは社会福祉法人というようなもの、これも同じく十割引くわけではございませんが、五割引きますので、これについても厳密な態度で臨まなければならないということで、今までやつております、いろいろな契約の方式その他先例がございますので、この先例に基きまして、こういうような場合には、この法律案が仮りに通つた場合には、こういう契約書の案でいかなければならないのじやないかということで、我々は今契約の内容等については厚生省とも御相談を申上げて、前例にいろいろ徴しまして、内容を検討いたしております。
それからこの法人の性格自体につきましてはこれは五割減額する場合、学校法人につきましてはやはり文部省、社会福祉法人につきましては厚生省或いは日本赤十字社についても同じく厚生省今回の法律につきましてはやはり厚生省というようなところの御説明を先ず伺いまして、それでこの法人は国として国有財産を五割引くなり、或いは無償で貸付るなりというようなものに適格であるか否かという判断はそういうところとよく御相談いたしましていたしております次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/46
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047・山下義信
○山下義信君 今特別措置法の第三条でありますか、それによりましての減額貸付も非常に限定せられておりまして、学校教育或いは社会福祉事業法或いは日本赤十字社法、この三つに限られておるということなんです。それで今当面我々が審議しております日本遺族会はいずれの範疇にも属していない、而もこの種の日本赤十字社法というような、或いは学校法人でありましても、今大蔵省の説明せられるように半額だ、無償じやない。然るにこれは無償なんです。そうして而も今列挙せられまするような特殊な法人とは違う、あれらはまだ特殊法人、まあ私と言えば私でありまするけれども、天下に通有しておるところの何人が見ても一点疑念のない立派な公益法人、既存の公益法人、厳密な意味の手続をとるところの学校法人その他なんだ。然るに今回のはそれとはいわゆる社会通念、政府がよく使う社会通念から言つても違うのです。それに今度は無償貸与をしようとする。それで今大蔵省の説明を聞くと、私はこの法案を見てこの対象ならば無償貸付をしていいと判断するかしないか、若し判断するならばどういうわけでそういう判断をしたか、又どういうわけでそういう新例を開くという方針に大蔵省がきめたかということを聞くのです。若しその方針をきめられたのならば全国悉くこれに倣うと何百何千と大蔵省に向つてこの種の団体が、この種の事業目的を持つて、これに類似したものを以つて要請したならば、大蔵省は何とこれに応えて行くでしよう。このものには許可し、これより以上の意義あるものには不許可にしたならば、一つの利権問題と言われても恐らく弁解の辞がない、事務当局はさようなことはなさるわけはない、厳密なる法の執行をなさるのでありますから我々は事務当局を信頼する、それで伺うのです。それでこの法律を見てこの対象者ならば国有財産を無償貸付していいかどうかとお考えになるかと……、この法人を御覧になつたかと聞いたらば法案を見たとおつしやる。それでこれによつて貸付していい団体と、相手方と見られるかとお尋ねしたらば、これは中身をよく聞いて見なきやならんとおつしやる。それでは我々もこの法律のこの条文によつてこの団体が国の国有財産の無償貸付団体であるかどうかということはやはり判断に苦しむと言わなければならんのです。私が伺うのはこの法律を御覧下さつて、この法案を御覧下さつてあなたが判断できるかできんかということを伺うのでありますが、この法律では御判断ができませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/47
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048・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) お答えいたします。この法律案自体では、この法人の性格というものは法律案だけではちよつと判断は困難だと存じます。ただこの法案を提案いたします以前に厚生省からいろいろお話を伺いまして、この法人の公益的性格というものをいろいろ伺いまして、この法律案に謳われているこの法人はさような資格があるというふうに我々のほうで判断いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/48
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049・山下義信
○山下義信君 それでは大体大蔵省では貸付をしようというお考えのようですね、今の御答弁を聞きますと。先刻の御答弁と食い違いがある。先刻の御答弁はまだこの内容について十分厚生省に聞いてみなければ、貸付ができるというだけのことであつて、何も国が貸付をしなくちやならんという義務付けられていないのだから、これから大蔵省としてはよく内容を吟味して考えるのだ、こういうことでありましたが、今の御答弁によりますというと、大体この法律を見てこの対象者には貸付をしていいものだと考えていると、こういうことでありますが、先刻の御答弁と違いますようですが、どちらが本当でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/49
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050・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) これは法人が具体的に実際現実に何をやるかということは、或いは何をやろうとするか、やつた際にどういうふうに動くかというようなことについては、この法律に調われている法人が本当に厳密に資格があつてこれは貸してもいいかということで、現実に貸します際の判断というものはこれはまだ具体的に貸すとは方針がきまつておるということでも何でもございません。それは「貸し付けることができる」とこの法律案としては書いてございますが、これで我々も具体的に義務付けられておるとか、或いは先方が無償で貸付けを受ける権利があるというふうには解釈しておらない次第でございます。ただ先ほど申上げましたのは、厚生省或いは法務省等とも御相談いたしまして、いろいろ御説明を伺つた結果、この法案を提案する際にここに語われておりますこの遺族会というものは大体においていいんじやないだろうかということでございます。そのほかの特別措置法に語われている学校とか或いは社会福祉法人等にいたしましても、これはここに本当に貸すという場合、契約をするという場合、この場合には法律にはできるということに相成つておりますだけでございます。具体的に何をやるか、役員その他の人選等はもう一回検討して決定いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/50
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051・山下義信
○山下義信君 わかりました。大蔵省は大体はいいんだ、大体は日本遺族会というものは貸付の対象としてはいいんだと、こういうお考えのようです。つまりこの種の事業もお認めになりますか。貸付の事業種目として大体お認めになりますか、大蔵省としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/51
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052・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/52
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053・山下義信
○山下義信君 どういうわけで認められますか。国有財産の無億貸付の使用目的の限定の範囲との関係をどういうふうに解釈されましてこれを認められるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/53
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054・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) この遺族会はこの法案の第二条にいろいろ事業の目的が調われております。この用途の制限というところにいろいろ謳われております。私ども今まで考えております無償で貸すとか或いは半額に貸付料を減額して貸すとか、或いはその他若干の財政援助的な色彩のあります処分をいたします際には、これはその用途自体が公共的な用途であつて公益性が相当強くなければならんというふうに考えておる次第でございます。それでこの財団法人日本遺族会、この遺族というものに対してこの種の事業をいたしますこと、これは先ほどもお話も出ましたように、遺族というものは日本の全体人口の相当な比率を占めるこの人たちに対していろいろな便宜を与えるという仕事、これは我々のほうといたしまして公益性と申しますか、公共性と申しますか、そういうようなものはあるというふうに判断いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/54
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055・山下義信
○山下義信君 これは先ほどの特別措置法関係の社会福祉事業法というものののその関係については大蔵省はどう考えられますか。それとは別個のものと考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/55
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056・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) この社会福祉法人とは別個なものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/56
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057・山下義信
○山下義信君 団体の事業については、法人格については別でありますが、事業についてはどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/57
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058・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 事業と申しますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/58
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059・山下義信
○山下義信君 事業内容ですね、この日本遺族会がする……、これはあなたに伺うのは、そういうことまで御研究下さつたかどうかということは少し無理かもわかりませんが、私が伺いますのは、こういう種目はあなたのほうでは社会福祉事業と認められますか。それとは別個に、別の事業だとお考えになりますか。この法案の二条の遺族会が軍人会館を使つてしようとする事業種目は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/59
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060・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) これは私どもちよつと社会福祉法人関係の仕事につきまして必らずしも十分な研究を専門的でもございませんし、ちよつとお答えするのはどうかと存じますが、社会福祉事業法に定められております事業というものとは、これは私ども素人考えでございますが、違うのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/60
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061・山下義信
○山下義信君 社会福祉事業関係でも当然国有財産の取扱いを受くべきものですらもなかなか容易に受けられないのに、社会福祉事業でないようなこの種のものに、これは社会福祉事業の範疇に入るものという、法がもうすでにこれに対して国有財産の取扱いをしていいという原則の確立しているその範疇以外のこの種のものを新たにいわゆる割引措置ということ以上の無億貸付というような破格の利用をさせようということについては、こういう事業をどう考えるか。公益性、公益性と言えばこれはもう一般的な言葉でありますから、非常に忙漠としたことなんです。これは一体どういう事業と考えるかということを伺つたのでありますが、大蔵省のほうにこれについて伺うのは少し無理かと思いますから控えますが、遺族の関係者のその数が広いことは事実です。数が多いことも事実です。併しその数が八千五百万全体というなら、これは数の理論も成立つのです。けれども数が多いと言つてみたところで八千五百万の中で行けば一部分ですね。遺族の数がどのくらいあるかわかりませんが、五百万にしても或いは七百万にいたしましても、八千五百万の中では一部分ですね。この数が多いから公益性があるとは言えないでしよう。公益性というのはその仕事の質の問題であつて、数の問題、量の問題じや私はないと思う、適用の関係の範囲が広いから……、それも公益性の一つの要件ではありましよう。併しながら仕事の質を言わなければならんのでありますが、私は遺族の数が多いということは違いはないと思う。併し国民の一部分であるということも事実です。私は議論はいたしませんが、大蔵省は例えば学校給食について或いは国費を出すことについても、学校給食というものが全部の学童に行なわれているというなら租税を出すのは至当だけれども、学校給食が一部しか行われていないということについては、国費を以てそれを負担して行くには難色を示すという大蔵省の原則、これは言うまでもなく私は国有財産が非常に強い公共性がある、公益性があるということについての特別措置は、今おつしやつたように原則として、私は言うまでもなくこの遺族に限つて国有財産の特別な利用をさせるということは、比較的数が多いということだけでは納得ができない、いわゆる私はこれをすぐ生半熟な憲法論に結びつけようとは思いませんが、これは遺族という国民の中の一つの階層に対する特別扱いではないでしようか、どう考えられますか、これを一般の国民にも或いは無料、低額の宿泊所を利用させる事業とか、すべての国民にあらゆる生活必需品を実費で販売する事業、或いは就職、結婚媒介斡旋というようなものを、すべての国民にこれを利用させるというなら聞えるけれども、社会福祉事業はすべての必要なる階層に対して何人も拒まず、一切の国民に対してその社会福祉の仕事をするなら認める、対象者は全国民を対象とする、これは全国民の中の一部の、遺族のみの福祉のサービスを考えておる、特別の階層に対して、これは私は俗にいう特別扱い、俗にいう差別待遇をするのではないかと考えるのですが、大蔵省はこの点どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/61
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062・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) この社会福祉事業というものと、遺族会の事業というものとは、私どもこれは素人考えでございますが、違うというふうに考えます。社会福祉事業は御指摘のありましたような、資格のあるものは、全国民何人といえども拒むことができないということで、全国民が少くとも潜在性がある、これは適用を受ける。これについては遺族だけであるという点は、これは事実であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/62
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063・山下義信
○山下義信君 それで、その社会福祉事業の対象でもない、国民の一部分の遺族ですね、これに対して特別な便益を図る理由はどういうふうに大蔵省は考えておるのですか、憲法の十四条には平等を原則に掲げておる、国民の一部分のために奉仕してはならない、特別の扱いをしてはならない、法の下にすべて平等でなければならんという原則は、いつも我々は耳にしておるところである。その意味で、そこで特別の一部の国民のみに利用させるということは、国有財産を貸付けるということは、大蔵省はどう考えるか、而もあなたのほうの国有財産の財産法によれば、無償貸付をしたりすることもできるその対象は、社会福祉事業に関係あつてもなくても、生活困窮者についての利用を認めるのが、あなたのほうの原則です。それを生活困窮者ではないのです、生活困窮者というのは、この法律の中に一つもない、遺族の中の富豪者でも、生活困窮者でも遺族という名がつけばすべて利用させる、生活困窮者のみに利用させるというあなたの原則を破つて、この種の範疇外の一部の人に無償貸付をするという理由を私は聞いておるのです。大蔵省はどういう理由で納得したか、上のほうがこういうふうに許可してやつてくれというので、大蔵省側が止むを得ずそれに従われたのか、それならば私はもう質問をやめるのです。何かそこに理論的な、そういうことについての大蔵省がはつきりした一定の方針を持つて、これを扱われたということならば、その方針が承わりたい、それを言つておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/63
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064・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 只今の社会福祉事業でないということは、これは厚生省が仮りにこれを社会福祉法人と認められれば、この法律の枠の中に入れられたかと思いますが、これは入つていないところからみましても言えるのではないかというふうに存じます。それでこれは遺族というのは非常に数が多い。その遺族に対して何かしらの遺族対策というようなものが考えられた結果の、これは公益性が、その面では可成り強いということで考えられた立法ではないかというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/64
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065・山下義信
○山下義信君 私が承わりたいという質問に対して、御答弁は私は納得いたしがたいのでありますが、繰返しましても同じことでありますから。要するに大蔵当局ははつきり方針を示さないということだけは事実なんです。国有財産無償貸付を新たなる対象者、新たなる事業種目にこれを認めようとする大蔵省の方針そのものについての理由というものは、これはお示しにならない。ただ遺族の数が多いから、その遺族に対して何とかせにやならんだろうと思うから、それで貸付もいいだろうということ、遺族に何とかせにやならんという理由はどういうわけか。国民の一部分の遺族に対して、限られたその人たちに対して、それが社会福祉的な性格を持つてもいない、遺族の中の生活困窮者にこういう福祉を与えるというのでもなければ、ただ遺族というために、生活困窮者であろうとなかろうと、こういう人たちに国有財産を割いて、そうして一部の人たちの利便に供するということの理由は、どういう理由かということを私は聞いていたけれども、お示しにならない、これは今の御答弁でははつきりしがたいということだけを申上げて、あとの問題を保留しておきますが、もう一つ折角大蔵省が見えておるのですから承わりますが、大体法律ができたとしますると、この貸付についての契約といいますか、それはどういう契約をお結びになろうという考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/65
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066・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) お答えいたします。その前にちよつと申上げますが、只今問題になつております物件自体、これは土地が大蔵省の所管の普通財産でございます。その上にあります建物は、これは只今法務省の所管になつております。我々のほうの契約の腹案というようなものは、土地のほうを言うことに限定されると存じますから、その点御承知おき願いたいと思います。
契約の内容につきましては、我々は一般に減額して貸すとか、或いは無償で貸すとかいうようなことを、これ以外の団体に対してやつておる場合と同じような契約内容にいたしたいというふうに考えております。それでこの法律案が通りますれば、この法案に盛られております内容を具体的にきめまして、事業の内容等は具体的にきめまして、それから期間等も、或いは財産の範囲などもきちんときめまして、それから更にいろいろ用途を指定されておりますから、用途の指定に違反した場合の措置、或いは用途を指定します際に、先方がいろいろ手を入れたりいろいろやると思います。そういうような際の措置とか、或いは不可抗力によつて損害が起きた際の措置とかいうような、予想されます附帯して起きます問題、これについて疑義のないように、契約内容をきちんとさして貸付けたい、それで更に法律にもございますが、条件に違反して別の変つたことをやつたというような場合には契約の解除をする、その際には先方は何らの請求権はないということも、契約条項に入れたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/66
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067・山下義信
○山下義信君 大蔵省の契約条項は、とりも直さず、厚生省が今後監督する一つの、それが内容にもなるわけでありますが、これは何か私どもに今おつしやつたことについての資料でも、一点書きのような契約の項目的なものでも我々に資料として頂けましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/67
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068・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) これは先ほど申上げましたように、まだ先方と直接の折衝をやるというところまで行つておりませんので、当方の腹案でございますから、従つて若干変わるかも知れませんし、それから更に我々は詳しく場することを考えておりますが、荒筋を今準備しておるという程度でございますから、その点お含みならば差上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/68
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069・山下義信
○山下義信君 資料を要求して下さい。それからいま一つ簡単ですから伺つておきたいのは、この無償貸付をします。これは一般論、抽象論ではないので、この場合貸付をするというのは、あの軍人会館のあの建物を貸すとする。それで所管はまあ大蔵省にしても、法務省にしても、建物を貸すとする。その国有財産の転貸を認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/69
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070・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 転貸は一般の例では許しておりません。これについても許さないという方針でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/70
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071・山下義信
○山下義信君 そうすると安田局長に伺いますが、これが第二条の第二項には、この他へ貸付ける、まあ転貸というと誤弊があるが、転貸ですが、実質的には。他のものに使用をさせることができるように第二項に謳うてありますが、この点はどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/71
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072・安田巖
○政府委員(安田巖君) 第二条……では、大蔵省から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/72
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073・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 私只今間違つた説明を申上げました。失礼いたしました。訂正いたします。この法案の第二条の第二項に掲げております範囲内においては転貸ということは、これは認める、これ以外のものについては転貸は認めないということに訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/73
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074・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/74
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075・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/75
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076・山下義信
○山下義信君 もう一つ伺うのですが、この又貸しを認める。実にこれは問題だと思うが、恐らく又貸しするでしよう、実際は。私はそう想像しております。それでそういうことの規定を契約の上でどうするか、又貸しをするということになつて、いろいろ又賃貸借権などが随伴して来て問題になると思います。国有財産を無償貸付した、その対象が又貸しをしてもいいということを大蔵省が認める。大分これは国有財産の使用方法についても、処分方法についても、大蔵省は非常に幅を広げて来たが、今まではそういう又貸しを認めなかつたが、この場合は認める。それでそれはまあ別におきまして、あの土地は元靖国神社の所有地ではなかつたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/76
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077・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/77
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078・山下義信
○山下義信君 建物も、元の持主は、他の団体が持つておつたのじやないかと思う。それで私はお尋ねするのですが、国有財産の、仮りに払下げをするといつた場合、譲渡をいたします場合には、従来は大蔵省はよくよくの場合でない限りには、元来元の所有主が返還を求めたならば、払下げる場合でも、時価で相当に当時の事情を御酌して割引きして、元の所有主なるが故に割引きして、特別の払下げの方法と言いますか、そういう計らいをして来ることが原則であつた。例えば工場或いは土地、そういうものを収用したというような場合がある、終戦前にそういう場合に今度又それを払下げる。という場合には元の所有主に先ず優先的に相談をし、又払下げを希望するならば、今日の時価からいろいろ斟酌してやつておるということが事実です。それが今日の大蔵省の方針であると思う。大体そういう方針であるかどうかということが一点と、こういう場合心元の所有主というものに対しては大蔵省はその点についてどういう考慮を払うか、払わないか、ということも聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/78
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079・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 只今のお尋ねの一点、元の所有、王との関係でございますが、一般の例としましては、元の所有主なるが故に払下げるということは、原則としてはそういう場合に随意契約でなると思います。随意契約ができるという規定はございませんので、一般にはやつておりませんが、ただ戦争直後、戦争終了直後行いました財産税、あの関係で国のものになりました財産というものについては、これは財産税という制度の特殊な性格から見まして、これは元の所有者に随意契約で売るということで、元の所有者から希望があれば払下げるということはやつておつたかと存じます。それから本件についての元の所有者との関係でございますが、これは土地は靖国神社ということで、元の所有者は靖国神社ということになつておりますが、これは社寺境内地の関係で審査会がございまして、かねてから審査を続けております。それでこの軍人会館というもののあります土地については、これは靖国神社に渡すのは適当ではないという審査会の結論で、そういう結論を下しまして、それからあと靖国神社から訴願が出されまして、その後審査会にその訴願の内容をいろいろかけて相談しております。審査会の結論としてはその訴願は却下しておくほうがよろしいというような
〔委員、長退席、理事常岡一郎君着席〕
結論に相成つておりますので、土地についての元の所有者との関係は、これは大蔵省としましては一応靖国神社に渡す必要はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/79
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080・山下義信
○山下義信君 大蔵省への私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/80
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081・有馬英二
○有馬英二君 只今、前の所有者ということを前質問者からお話がありましたから伺うのですが、元の軍人会館と称する建物は旧軍人の団体と申しまするか、彼らのまあ零細というかどうかわからんが、給料の一部分を割いて貯金をして、そうしてそれにほかの団体からの寄附等を求めて、そうして作つたというような関係があつて、只今のところ軍人の、これは御承知のように軍人はみんな追放になつたものですからして、旧軍人が只今は全国的の団体を組織するに至つておりませんけれども、だんだん聞いて見るところによると全国的の会を今作りつつある。そうしてその旧軍人の団体がこの会館を元の軍人であつたところの人たちの作つている団体に返してもらいたいというようなことを、寄り寄り相談しているらしい。但し全国的の会がまだ組織されないためにその主張が入れられるところに至らんと、そういうようなことで私のところへも東京都在郷軍人会というような名前で、旧軍人会館の措置に関する意見要旨というようなものを、これは皆さんの手許にもきつと行つているに違いないと思うのでありますが、彼らの意思のあるところを発表しているらしいのでありますが、それに対する政府の御意見はどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/81
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082・安田巖
○政府委員(安田巖君) お話のように現在問題になつておりますところの建物の旧軍人会館というのは、昔の財団法人軍人会館の所有であつたわけであります。ところが御存じのように財団法人軍人会館が解散団体に指定されまして、それによりましてあの財産が政府に接収されたわけでございます。そういうわけで解散そのものが間違いであつたかどうかということが議論があれば別でございますけれども現在の状況におきましてはそれがただ旧来の持主が旧軍人であつたからということだけで返すということは如何であろうかと、同時に又それを国有財産を返すのでありますれば、もう少し筋の通つた公益性というか、社会性というものが目的として掲げられなければむずかしいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/82
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083・有馬英二
○有馬英二君 これは恐らく厚生省へもこの軍人の人たちの陳情が行つておると思うのでありますが、それに対する今お考えを伺つたのですが、何か協議会というような、或いは政府の意見だけでなしに、協議会というようなことでもして多くの人の意見をお聞きになつて、そういうことにおきめになつたのでしようか、どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/83
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084・安田巖
○政府委員(安田巖君) 旧軍人の団体にこの財産を返すかどうかということにつきましては、別に今お話のような多くのかたがたの意見を聞いたわけではございません。
〔理事常岡一郎君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/84
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085・榊原亨
○榊原亨君 これは外務省のほうへお伺いしていいのか、社会局長のほうへお伺いしていいかわからんことでありますが……、ちよつと速記をとめて頂いたらどうかと思うのであります。よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/85
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086・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/86
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087・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 速記をとつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/87
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088・有馬英二
○有馬英二君 私はこの法案が出されたということについてこういうような噂を聞いておるのです。大蔵省はかねてこの建物をほかに処分をしてしまう、言い換えてみまするというと売却をするというような意思があつたのであるかどうか、そういうようなときに急遽これを今回財団法人遺族会というものにして、そうして財団法人遺族会にこれを無償貸与するというような手続をとるに至つたのであるというようなことを聞いたのですが、果して事実であるかどうか。若し事実であるとすればどういうようなことでそういうようなことになつたかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/88
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089・牧野誠一
○説明員(牧野誠一君) 只今大蔵省がこの財産を早急に処分するような、売却するというような予定があつたのじやないかというお尋ねがございましたが、この建物自体が法務省の所管でございまして、土地が大蔵省の所管でございます。建物の点については法務省からお答え願うのがいいかと存じますが、土地につきまして早急に処分するというような計画というものはございませんでした。
それからその次の点で、法律案が何か急いで出たのじやないかというようなお尋ねがございました。これはこの法律案自体は私ども前国会におきまして提案されるようなお話を厚生省からも御連絡を受けたように覚えておるのです。これを急に提案するようになつたというようなことではないというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/89
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090・有馬英二
○有馬英二君 厚生省に伺うのですが厚生省ではこの法人を急遽組織せられたというような事実がありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/90
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091・安田巖
○政府委員(安田巖君) この話は、実はまあ軍人会館が現在極東軍が使つておりますものが他に移転するというところから起つた話でございます。どうも詳しくは存じませんけれども、たしか二十七年度の予算にあの部隊がよそへ動くというような予算が組んであるというような話を聞いたことがございます。そういう意味で遺族会のほうでそれを是非というような話を聞いておるのでございます。ただ仮りにこういう法律案を出すといたしましても、従来の遺族連盟というものは何ら法人格もございませんし、そうしてばらばらのものでございますから、そういうものに対してこういう財産を渡すということは法律の上、事実の上でも欠けるので、そういう意味ではつきりした人格を持つた全国的な一つの遺族団体として唯一のものであるという恰好をとるようにということは申したことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/91
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092・山下義信
○山下義信君 次の機会に法務省の解散団体の財産に関する処分の責任者に一つ出席を要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/92
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093・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 承知しました。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/93
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094・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて。
それでは暫次休憩いたします。
午後零時四十六分休憩
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午後三時三十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/94
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095・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 休憩前に引続きまして再開いたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/95
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096・山下義信
○山下義信君 社会局長に伺うのですが、配付して頂きました資料によりまして、日本遺族会の寄附行為を見ますと、少しこの寄付行為が不十分ではないかというような気がするのでありますが、先ほど御答弁中に、この法律が成立したらば、この寄付行為等についても、更に再検討するというような御答弁があつたように思いまするのでありますが、この日本遺族会の寄付行為につきましては、当局はどういうふうに考えておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/96
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097・安田巖
○政府委員(安田巖君) 日本遺族会の寄付行為につきましては、旧軍人会館の無償貸付を受けまして、これを遺族のために使いますということは、全然これに書いてございません。従いましてこの法案が成立いたしまして、軍人会館が遺族会に貸付けられるということになりましたならば、少くともこれに関連する部分は寄付行為の中で当然改められるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/97
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098・山下義信
○山下義信君 どういう点を改めようというお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/98
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099・安田巖
○政府委員(安田巖君) 一例を申しますと、第二条で、この会は前条の目的を達するために次の事業を行うと書いてございますけれども、これが法律の中に書いてあります事業をここに掲げなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/99
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100・山下義信
○山下義信君 私はこの法案をお出しになるときのお考えは、日本遺族会に無償で貸そうと、こういうわけで日本遺族会を適当と考えられてその対象としておいでになるのですが、元来財団法人日本遺族会というものは、この国有財産の無償貸付を受くるために、それのみとは言いませんけれども、一応はその目的のために、私は率直に伺いますが、しばしば局長の御答弁にありましたように、従来の遺族更生連盟というのでは、これは、まあ一応立派な団体でありますけれども、何と申しますか、ばらばらの団体でと、こういう表現をお用いになつたのですが、適当でない、そこで財団法人日本遺族会というものに切換えられたと言いますか、この団体が適当であると認めると、こういう御趣旨の御答弁もあつたのであります。率直に言いましてこの日本遺族会というのは法律の対象者になるために立派な団体として生れ変つたもののように我々は常識的に判断する。そうではないのでしようか。今の御答弁によりますと、財団法人日本遺族会というのは、この国有財産の無償貸付を受くる、そういう目的なんかは全然考えないでこういう団体を作つたのだ、この法律ができたらばそれに副うように寄附行為等を変更するのだ、言い換えれば日本遺族会の目的を変えて行くのだ、こういう御答弁なのか、その点は如何でしようか。我々は常識的には国有財産の無償貸付を受けて、そうして所期の目的の事業を営むために生れたものが財団法人日本遺族会であると考えられておるのでありますが、そうではないのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/100
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101・安田巖
○政府委員(安田巖君) 日本遺族会の定款の寄附行為の中にはまだ旧軍人会館を譲り受けて、それを利用するということは、これは書けないことだと思います。そこでそういうことは当然予想しておるのじやないかというお話だと思うのでありますが、この法律の趣旨はいろいろ戦後遺族のかたがたが国家から何ら援護の手が差延べられなくて御苦労なさつておつた。漸く講和、独立をいたしまして援護の手が差延べられましたけれども、まだ十分でない、そこで遺族の福祉を増進する一つの措置として遺族のかたがたにこういうものを利用して頂いて福祉の増進を図りたい、ということであつたわけであります。そのときに遺族更生連盟というのが従来からそういうふうな団体でありましたけれども、併しその団体は今朝ほど申上げましたように別に法人格もなくて、ただ申合せてお集りになつた、まあいわばそういう意味ではしつかりしない団体でございます。そこで若し今度法律を作りまして、どこの誰にどういう団体にやるということになりますというと、それはやはりはつきりした公益法人であつて、人格がしつかりしたものでなければならんと、こういう意味で新らしくこの日本遺族会というものが生れたわけでございます。それにつきましては、やはり全国的にこれが一つの団体だという趣旨で各府県におきます支部は、この新らしい団体の支部になるということでこういうふうな団体ができたのであります。そこで御質問の骨子に触れるわけでありますけれども、勿論こういうことを予想しております。予想しておりますけれども、論理的に申しますと、遺族会というのが先にあつて、そうしてそれに対しまして国が国有財産を無償で貸付けると、こういうことでございますので、仕事の幅から申しますというと、この遺族の団体は財産貸付をされるということによつて行う事業というものは非常に重要な部分を占めますけれども、それのみではない、こういうことが言われようかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/101
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102・山下義信
○山下義信君 一応そういうことも御尤もな考え方だと思うのです。併し私の言うように本当にすつきりした筋の通つた考え方を言えば、私は自分の意見は差控えますが、一応日本遺族会というものはそれのみを目的としないと言いましても、あれだけの大きな仕事なんです。その国有財産の無償貸付を受けて、あれだけの仕事をしよう、それを目的とする、あなたのおつしやつたような、当局の期待されるような十分公益性が満ち満ちておるところのこの法人団体をその目的のために組織いたしまして、そうしてその相手方のこの種の財団法人の内容をしつかり確認をされまして、このものに託したならばもう立派に事業の遂行ができるこの団体の組織、即ち会員でありますとか、その他役員の選任でありますとか、元来組織が全く全遺族に納得の上で作られた団体であるということを確認せられまして、そうして本法の対象として、一応国会に御提案になる、国会がそれに十分審議の対象になるだけの団体の組織を一応検討せられて、若し不幸にしてそのことが成立しなかつたらば当初の目的が容れられないのでありまするから、その団体は当然解散してよろしい、解散すべきなんだ、それが他意なき本当の真面目な姿だと私は思うのです。それでありまするから、この目的のために、この貸付を受くるために立派な団体が先に生れて、こういう団体がございますが、無償貸付が頂けませんか、御信用が願えませんかと質してみるのが当り前ではないか。然るに今の御説明によりますと、それは寄附行為が合致していないし、その他のことに若し問題があつたらという用心のことのためにこの日本遺族会としては必ずしも無償貸付を受くることのみが目的で生れたのではない。ほかの仕事もする。ついでにこの無償貸付の対象に一応したのだ、幸いにこの法律が通つたならば、それに必要な定款の改正もするのだ、午前中のお答弁によりますというと、従つて必要なら監督の強化、組織の再検討、指導もやるのだということになりますと、言い換えるというと、この無償貸付を受くるのに適当な団体であるか、又それだけ内容等もしつかりしてきた経路を持つて生まれて来たかどうかということの検討をしなければならんということになつて来る。言い換えたならば、貸付を受けたならば、しつかりした団体に仕立直しをします、補正をします。寄附行為も改めます。こういうことは非常に私どもでは何と言いますか、用心深い御答弁のようであつて、一応それも御尤ものようであつて、この無償貸付のために生まれた団体でない、そういうことにつきましては一応の何と申しますか、用心をされての御答弁のようでありますが、それでは今日この法案を審議するに当りましては、この日本遺族会の組織というものが、この団体が果して適当であるかどうかということをどうすれば我々は確認ができましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/102
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103・安田巖
○政府委員(安田巖君) 重ねて御答弁申上げますけれども、私ども別に特に用心して答弁しているのではなくて、実際遺族の団体があつたのであります。これは御承知のようにいろいろ遺族の問題について働いておつたことは御承知の通りなんでございます。併しそういう団体に仮りにこういうような旧軍人会館というものを国から貸付けるということにいたしました場合には、これはやはり法人格というものがしつかりしていなければならない。而もそれが全国における全国的な組織を持つ唯一の団体であるという点がしつかりしなければならん。そういう考えからいたしまして、前からこういうふうな団体がありましたし、又それが強化いたしましたけれども、それはそれだけで以て存在の理由のある団体である。それに我々のほうでこういうものを貸すのだという考え方でございます。陣容その他につきましてはいろいろ御意見があると思いますけれども、我々といたしましてはその点については十分注意しなければならんと思います。今朝申しましたように、若しこの法律が通るようなことがありまして、実際に渡されるというようなことならば、十分私どもは念には念を入れて陣容を強化し、又監督を厳重にして行きたい、こういうふうな考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/103
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104・山下義信
○山下義信君 ちよつと社会局長に対する質疑、今の問題だけ関連して済ましておきたいと思うのですが、この日本遺族会の成立、即ち寄附行為の政府が認可したときといいますか、どちらでもよろしい。登、記したとき、どちらでもよろしいのでありますが、大体成立したときはいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/104
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105・安田巖
○政府委員(安田巖君) ちよつと今資料の持合せございませんけれども本年の三月十日に認可したような記憶がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/105
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106・山下義信
○山下義信君 これは先ほども質疑のときに有馬委員からの質疑に関連してでありますが、これは一応前の国会に出たのですね。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/106
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107・安田巖
○政府委員(安田巖君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/107
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108・山下義信
○山下義信君 それと全く同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/108
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109・安田巖
○政府委員(安田巖君) 同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/109
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110・山下義信
○山下義信君 そうすると前の国会にはいつ政府は提案しましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/110
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111・安田巖
○政府委員(安田巖君) 三月十三日だそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/111
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112・山下義信
○山下義信君 承わりました。政府はこの法案を前国会に三月十三日に国会に提案したという。国会に提案する前の手続といたしましては言うまでもなく政府のほうで立案、法制局、閣議いろいろ手順を経てこの法案を提出されたのでありますから、この法案に政府が起草に着手せられたということはずつとその前と言わなければならない。然るに今の御答弁によりますと私は揚足取りするわけじやない。政府を攻撃するわけじやありませんが、この日本遺族会の成立は三月十日、つまり言い換えますとこの法案を提出しようという、立案をしようということを考えられた後に日本遺族会が生まれておるのですね。若し局長の先ほどの御答弁のように日本遺族会は無償払下げのことのみを目的として生まれたのじやないのだということならば、これは政府の考えの御立案の前にこの種の団体がずつとあるというならば、いわゆる遺族更生連盟から生れ変つたにしても、脱皮したにしても、その前からあるということならあなたの御答弁も百%御尤もと聞きますが、政府がこういうことを考えられて然る後に日本遺族会が生まれた。日本遺族会が生まれる前に政府は日本遺族会ならば貸そうという立案をしておられる。こういうことになるのですね。そうすると生れんものを先に、日本遺族会の誕生もしない前から日本遺族会に貸そうと考えられたというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/112
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113・安田巖
○政府委員(安田巖君) 私先ほど答弁の中にも申上げたのであります。遺族のために旧軍人会館を貸そうということでございます。そのときに今までございましたのは遺族の団体といたしましては遺族更正連盟である。ところが遺族更生連盟というものは法人格も何もない団体であります。従いまして若しそれを貸すならば、これは法人格を持つたしつかりしたものに貸さなければならんということを先ほど申上げたのでありますが、そういう意味でこういう法人格を持つたものにいたしまして、而もそれが全国的な組織のものであるということにいたしたわけであります。それに対してこういう法律ができるわけでありますが、重ねて申しますと、そのときにこれは法律の書き方が、これは遺族会は貸してもらうための団体であるという表現はできないわけであります、まだ法律は通らないのでありますから。それから同時に又今までやつておりましたような遺族の仕事もこの団体が当然行なうわけであります。そこで私が申上げましたのは、この団体の存在理由というものが、ただこの軍人会館を貸すため、借りるためだけの団体ではない。確かにこれは成立するときに私申しましたように、法人格がないじや貸せないから、これはしつかりした団体にしなければならんということは申しましたし、又そうしたわけであります。多少私の言葉の足りない点がありましたら御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/113
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114・山下義信
○山下義信君 理窟は局長は頭がいいのですから、理窟はそういう理窟が立つのですけれども、実際問題としては私の問にはお答えにならなかつたけれども、局長の御答弁の中に自然にお認めになつたことは、この遺族のために何とか軍人会館を利用させたい、それがためには遺族更生連盟という団体では適当でないので、日本遺族会のような団体が一つ生れることを要望した。ただ法律ができる前にこの目的のために寄附行為を掲げて、先にそれを枢つておることはどうかと思つて遠慮した。法律が成立したならば、寄附行為その他もそれは当然変えて行くつもりだ、自然に御答弁の中にいわゆるあなたのお話の中でそういうことをおつしやつたわけなんでありますが、私は実際問題としてはこれは寄附行為は一般の遺族を扱う問題にしてあるけれども、本当は軍人会館の、まあわかり易く言えば払下げ、厳密に言えば無償貸付、これを受けるために生まれた団体であるということは事実です。厳として明らかなのですね。ですから、その当時の遺族更生連盟から遺族会が生まれるためには、つまり財団法人日本遺族会を誕生さした当時の関係者の意見を徴してみればよい。又いわゆる日本遺族会の役員に選任された相当知名な士のかたがたの証言をここで求めたら、どういう目的でこの会が生れたとあなたは思うか、どういう目的であなたがこの会の役員に就任したかということを我々が必要に応じて成規の手続で証言を求めたら、口を揃えて、恐らく軍人会館の払下げを受けるために、そのために日本遺族会を創立し、役員に就任したと証言せられるかも知れない。私はそう信ずる。そうでないとお考えになればあなたは念のために後日のために速記録に御答弁を残して頂いてもいいが、私はそう思う。それでいずれにしても、日本遺族会の寄附行為或いは組織等について、もう午前中から高野委員の質問にも私の質疑にも繰返してお述べになりましたように、寄附行為も変つて来るのだ、これは本来は私は日本遺族会のこの寄附行為でやろうとしたのでしよう、事実は。事実はやろうとしたのでしようけれども、そうはなかなか問屋が許さんので、この法律に謳うように無料々々ということを入れなければ、なかなか国会の通過、世評も許さんので、法律のほうではすべて遺族に対しては無料でどうする、無料でどうするということを言うてある。然るに日本遺族会の寄附行為には無料ということは一言半句もない。これは今局長が、この法律が通つたならば日本遺族会の目的も皆それに副うて変えなければならない、当然の話であります。
〔委員長退席、理事常岡一郎君着席〕
それは変えるとおつしやつたのですから、私はその点はそれ以上は申上げませんが、それならば私は伺うのですが、政府から配付せられましたこの資料ですね。旧軍人会館を利用する場合の事業計画書並びに予算書と書いてある、これは社会局とこういう署名をした案が我々に配付せられた。これは社会局で事業計画を立てるのですか、日本遺族会が事業計画を立てるのですか、どちらが立てるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/114
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115・安田巖
○政府委員(安田巖君) これは貸付を受けますならば、経営の主体は日本遺族会でございますから、日本遺族会がこの内容をきめるべきものだと思います。ただいろいろこの法案を審議を願います場合に、政府提案でございますので、私どもが資料を整えた形になつておるわけであります。そういうふうにこれへ差出したわけであります。飽くまでそれは遺族会がやるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/115
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116・山下義信
○山下義信君 政府は大変御親切で、日本遺族会がその事業計画や予算書プランを持つておるべきはずであるのに、政府のほうで大変御親切にこういうことまでお手伝いなすつて、これは御親切で随分肩をお入れになつている証拠でありますが、政府がこういう事業計画と予算書をお出しになつて、大体こういうふうにやらせようというお考えでしようか。ただ一片の申訳的なものでしようか、こういうふうな事業内容をやらせようというお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/116
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117・安田巖
○政府委員(安田巖君) この法案を御審議を願います上に、これだけの建物を運営して行くけれども、一体成案があるか、うまく行くかどうかというようなことについて考えてみたことがあるかというふうな御質問もあるだろうと思いまして、一応私どもがこういうふうにやれば収支償うのではないかという案をいろいろ専門家等に聞きましてやつてみたわけでございます。この通り行きますならば、丁度収支が償つていろいろ仕事ができるわけでございますので、この通りとは行かんとは思いますけれども、成るべくこういう線に沿つてやらせたい。なお又もつと利益も得て遺族のために計らえるようなことができればいいくらいの考えでありまして、ぎりぎりこんなところで何とかやつて行けるのではないかという案をお添え申したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/117
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118・山下義信
○山下義信君 私は本来ならば日本遺族会の当面の責任者にここへ来てもらつて、そうしてこの軍人会館を無条件貸付を受けた場合に、その後の経営についての所信も質し、計画も聞くということがこれは本筋だと思います。私のこの発言は速記録に残る。多数党のかたがどういう議事の進行をなさるか知りませんが、その貸付を受けようとする相手方の意見も聞かず、どういう者がその相手かたになつておるかも知らずしてこの法案を通すことはできない。政府が代つて事業計画書、予算書というものを果してこの通りやる意思があるかどうかということも日本遺族会の当面責任者に聞いてみなければならんのであります。或いは私はあとでそういうことをお願いするかもわかりませんが、政府が出したこういう資料は、これはでたらめがあつてはいかんのです。一ときのごまかしのためにプリントに刷つて審議のときに我々委員をごまかすためにでたらめを出してはいかんのです。若し日本遺族会が貸付を受けたらこの事業計画のように、この予算書のようにやらせるという厚生省の社会局の確たるこれが、何と言うか、監督方針と言うか、指導方針と言うか、私はそういうものじやと思う。でたらめなものじやいかん、私はそう思う私は伺いますが、この事業計画書の中にはこの法律に謳うてあるような事業計画がないがどういうわけですか。言い換えたらば、遠廻しのことはよしましよう。この事業計画書の中にはこの法律に謳うてあるところの肝腎要の目的ですよ、この国有財産を無償貸付しようど言つて従来にないところの異例の措置までもとろうとするようなその目的には、遺族を無料で泊める、遺族に無料で集会所、食堂、理容所、洗だく所を利用させようというわけですね、そういうような無料の計画がここには一つもないのですが、どうしたわけですか。無料で泊めるという事業には一文も経費が要らないのですが、無料で宿泊させるには一文も経費は要らん。無料で集会所や食堂や理容所、洗だく所を利用させる、無料でやらせる。無料でその事業を営むところの計画がこの計画書にないのはこれはどうしたわけですか。これは有料の計画書ですよ。その料金が高いか安いか知らんが、それは低廉でしよう。これは宿泊にも宿泊費を取る、食費も一日何人にどういう料理を食べさせるかということまで計算して、全部有料でやるのだから、全部が有料じやないか。無料の計画がないのはどういうわけか。若し無料の計画がないならば、一体無料で宿泊させるのか。どのくらいの遺族に無料で宿泊させようという計画ですか。無料でどれだけ利用させるという、そういう計画が私はこの事業計画書にはないと思いますが、それはどういうわけでこの計画書の中に入れておいでになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/118
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119・安田巖
○政府委員(安田巖君) 先ほどこの案を社会局が出すのが穏当でないというようなお話もあつたのでございますが、実はこれは当初付けておりませんのでございます。衆議院でいろいろ問題がございまして、一体これだけの建物を運用して行つてうまくやれるという計画があるかどうか、こういうことでございます。私は勿論こういうことは前から持つておつたのでございますが、今山下委員のお話のようにいろいろ内容に亘つて御意見もあるかと思いまして、それを承わつてから出すのが順当かと思つておりましたが、そういうお話がありましたから、参議院のほうには当初からこれを付けて出したようなわけでございます。これは社会局の案かとおつしやいましたが、その通りでございまして、私どもはこういうふうなやり方をすれば一応収支償う、もつとうまく工夫すればこれよりもつとうまく行くだろうという一つの基準を示したわけでございます。そこで無料のほうは一応ここの中に入れておりませんけれども、その他の低額というような料金でこれを貸して行く。そうして又或いは遺族の上京いたしましたときの宿泊を低廉にやるとか、或いは遺族の子弟に無料で、低額で学生寮を提供いたしますとか、或いはそれから得ましたところの益金で以て育英資金、これは非常に大事なことだと思うのでありますが、そういうこともやりたいということで、一応無料のほうが落ちたわけでございますが、これはいろいろやり方によりましてそういつたようなことも将来実行の上ではやれると私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/119
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120・山下義信
○山下義信君 私は遺族の大部分に無料で利用させて、そうして何ベツト備えるのか知りませんが、宿泊設備、千人でも二千人でも無料で宿泊させ、そうしてそのシーツを洗濯させるような、そういうような費用を何とか捻出してやつて行つてこそ、それがいわゆる公益性があつて、遺族のために福祉であつて、少々安かろうが何であろうが、料金を取つて、この事業計画害、予算書を見ると立派な営業です。利益を上げているのです。利益が計算されて、利益が差引出ておる。そうして百人近いものが、職員が一千万円の寄附金その他必要な経費は皆賄うようになつておつて、立派な利益計算書ができているのです。そうしてこの遺族会というものは何一つ自分のものは一文も出さない。日本遺族会は何も手前のものは出さないのです。借入金をしてみたりいろいろなことをして、言葉が甚だ悪いけれども、二十万円か三十万円、目くそほどのものを出したような形にしておいて、非常な利益を上げて、その大部分のものを人件費や経費というものにして、なお益金のある計算ですよ。そういうような有料な仕事をして、利益の出るような仕事をして、それがどういうわけで公共性か、それがどういうわけで公益性というのですか。そういうことが何の福祉になる。大部分はおそらく有産階級の人たちが来て、そうして比較的普通の旅館に泊まるより安くついて、得をするのはそういう階級。東京へ来る旅費の払えるような遺族は相当生活のできる遺族なんです。汽車賃もないような靖国神社へ参られんような遺族はどうすれば会館の利用ができるのですか。そういう者に無料に提供してこそこの趣旨に副う無料のものは一つもない。若しそういうような本当に公益性、本当に遺族の福祉を図つたら。こういう利益は上らんはずです。こういう計算はできないはずなんです。財団法人というものは財物を持つて集まつたものが法人なんだ。よう御承知の通り。然るに幾らの財物が集まつて財団法人を組織するわけですか。この種の公益事業を志すには、おのおの財物が集まつて、その目的のために金を持ち寄つてこれを使うというか、金が五千万円かり一億円隻まつて組織するのが財団法人です。財団法人を作つて、そういう手前の寄附金というものつは一文もこの関係者は持ち寄らない、ただ会館の貸付を受けて、そうしてことごとく有料で、この計算書によると儲かつて、そうして百人近いものが寄附金をもらつて多額な経費をその利益金で支弁をしてというようなことで、一体この財団法人日本遺族会というものがそれだけの公益性を持つということが言えるでしようか。御見解を私は承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/120
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121・安田巖
○政府委員(安田巖君) これはまあいろいろ考え方があると思うのでございますが、全部遺族のために無料にいたしますこと、これは非常に結構でございますし、公益性から言えば一番高いにきまつておるわけでございます。併しあれだけの財産を運営して行くということになりますとこやはりそれを全部無料にしたのでは私は成立つて行かんと思いますし、それから又幾ら基本財産を持つておりましても、そういうやり方をいたしましたのではとても私はこの経営が立つて行けないのじやないかというようなことを考えるわけであります。そこで政府が評価いたしますと相当の財産になるところの軍人会館というものを無償で貸し与えるということになりますというと、その分だけがいろいろ一種の財源といたしまして、ここに書いてありますように、安く遺族を泊めるとか、或いは育英資金を出すとか、或いは学生寮にするとかいうことが出て来るわけです。決してそういう利益を得まして、利益を積立ててどうとか、分配するとかいうような団体ではございませんし、そういうことはとてもできるものではございません。その辺の考え方だと思うのであります。今の育英資金の問題にいたしましても、ほかで若干の収入を得るからしてそれが出て来る、又非常に安価に学生寮にできるというのも、ほかに若干の収入があるからだと、まあこういうふうに考えるのであります。なお又この遺族の利用々々と申しますけれども、あそこに立派な講堂がございまして、これはまあ音楽会或いは集会その他におきまして、現在の東京の都内のそういう集会所の実情から言いますと、非常にまあ、そういう場所がないために困つているような状態でありますから、そういうところに貸付けます場合に、まあ遺族の利用だけではなくて、一般の人にも貸付けて、それからも収入を得るというようなことも実は考えておるわけでございます。そういう点で私どもはこれは不在のぎりぎりの案を立てておりますから、もつとたくさん取れるようでございましたならば、山下先生のおつしやるような無料のものを殖やして行くとか、こういうふうにまあ運営して行つたならばいいのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/121
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122・山下義信
○山下義信君 私はまあ細かいことは他の委員の御質疑の時間をお邪魔してはいけませんからあとで又伺わさせて頂くとして、大たいのことを伺うのでありますが、この事業を営みますために又貸することができることになつておる。私はこの点臭いと思う。卒直に言つて。最近会館の経営ですね、或いは鉄道会館も皆悉く然りなんですけれども、この日本遺族会が自分で直営ができない場合にはおおむね又貸を、つまり請負をさせることができることになつているのですね。或いは食堂であろうと何であろうと、皆そうなんですね。そういうような場合の一体食堂の請負だとか、まあ小さいことを言うようでありますけれども、理髪部の請負だとか何だとかいうような、そういう業者に請負わさせるというような請負わせ方はどういうことにする考えですか。私はこれが非常な権利というと語弊がありますが、そういうことになることを非常に恐れるのです、実は。それで役員の人やら事務員の人が皆奉仕的に公益事業に従事するんだというので腰弁当、手弁当のような気持で皆で当るというのならば話がよくわかるのですけれども、役員は勿論のこと、その他の大部分はただ机の事務に携るだけであつて、実際のこの種の事業はことごとく業者にこれを請負わせるのだ、そして家賃を取り、そしてその上のまあ何と言うか、俗に言うコミツシヨンというと語弊がありますが、マージンと言つても語弊があるが、上前をはねるというのが一番わかりやすい、その上前をはねるようなことになつて行くということを私は非常に恐れるのですね。そういうような実際の業務をその業者に若し又貸する、俗に言う請負わせるというようなときには、どういうふうにして指定しようという考えでしようかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/122
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123・安田巖
○政府委員(安田巖君) 私もこの会館の運営につきましては、これは非常にむずかしい問題でございますし、又山下先生のおつしやるような御心配も御尤もだと思うのであります。そういう意味からも、例えば宿泊所を経営するにいたしましても、或いは食堂を経営いたしましても、役員なり或いは従業者に人格的に或いは手腕の上にも非常に適任者を得るということがこれは大きな問題だと思うのであります。原則といたしましてはそういういい人を得まして直営することが理想でございますけれども、実際問題としてそうやることが却つて経営がうまく行かんで収入が上らなくて、特定の人に委託したほうがうまく行くという場合も考えられるのじやないか。そういうときの場合のためにこの第二項というものが実は設けられたわけであります。どういう人を選ぶかということにつきましては、これは厚生大臣の一々承認を得なければならんことでございますので、十分慎重に一つやつて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/123
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124・山下義信
○山下義信君 速記に残して明言しておきますが、殆んど直営の部分はないでしよう。これは全部業者に請負わさせるにきまつております。問題はそこにある。直営する部分があつたら今から指摘しておいて下さい。殆んど大部分が又貸で請負でしよう。そういうことの弊害を私は非常に憂慮する。我々が問題にするのはそれなんです。例えば鉄道会館の一つの店舗を出しますために何百万円でも何千万円でも建築費の一部を負担する、そのために鉄道会館というものが問題になつておるのは御承知の通り。私は言葉に衣を着せずに申しますが、この貸付が大きな利権化することを恐れるのです。これが絶対に利権化することはないという保証は政府はいたしますか。どういうふうにしてこれが利権化しないような保証を与えることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/124
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125・安田巖
○政府委員(安田巖君) 私どもは、まあこういうことに大変知識が乏しいものでございますが、いろいろよく研究をいたしまして、御心配のないように努めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/125
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126・山下義信
○山下義信君 それでは本案の審議に必要ですから、この法律が通つたあとで今の心配の解消について研究するという回答をもらつたのじや役に立ちませんから、この法案が利権化することのないようにどうしたらば防ぎ得るかということの政府の御検討の結果を法案の審議中に我々にお示しを願いたい。私は厚生省への質疑はあとへ残しておきまして、法務省から見えておりますから伺いますが、この軍人会館はいわゆる旧在郷軍人会、すなわち解散団体の没収財産ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/126
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127・池川良正
○説明員(池川良正君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/127
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128・山下義信
○山下義信君 この解散団体の国有財産にした財産は、あなたのほうの処分方針は、大体これは従来売却処分をするということの原則によつておられるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/128
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129・池川良正
○説明員(池川良正君) これは解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令という政令によりまして、売り渡して処分するというのを原則といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/129
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130・山下義信
○山下義信君 私もそうだろうと思うのです。然るにこの財産はこれは無償貸付をする。どういう趣旨でこの財産に限つて、限つてとは言いませんけれども、無償貸付というふうな措置を法務省は、あなたの主管局としてはそういう考えをとられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/130
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131・池川良正
○説明員(池川良正君) 軍人会館はもと軍人の更生或いは福祉の事業のために設立された団体というふうになつておるのでございますが、これが解散団体の財産になりまして法務省が長らく所管いたしておりましたけれども、これを遺族の厚生福祉事業に使うという目的の下にこれが使われるということは、従来のいきさつからいたしまして望ましいことであるというふうに考えまして、無償貸付ということに案を作成いたしまして御審議を煩わしました次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/131
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132・山下義信
○山下義信君 この財産の使用目的はわかるのです。あなたのほうで使用目的を認められて処分しようという気になつたということはわかる。その処分が売却処分をしないで貸付処分にされたという理由はどういうわけかというのです。即ち私は先の質問で、あなたのほうには好ましからざる団体の解散団体のこれらの没収した、没収というのは俗語を申しておりますが、その財産の処分は、従来いろんなこういう解散団体がある、その財産を処分されるについては、あなたのほうでは一日も一刻も早くそれを売却してしもうて片を付けるという方針でやつて来られたことは、もう天下周知なんです。然るにこの軍人会館に限つて売却処分をしないでこういうような無償貸付の処分に出られた理由はどういうわけか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/132
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133・池川良正
○説明員(池川良正君) 私どもといたしましては、この財産を社会福祉事業に使いたいという希望は持つておりましたのでございます。それでこれを如何にして社会福祉事業に使うかというようなことを考えておつたのでございますが、たまたま当時遺族更正連盟というものがございまして、このほうから遺族のためにこれを使いたいというような話がありまして、私どもといたしましてもその間遺族更生連盟と話合つたこともあるのでございますが、何分にもこれが財産価値といたしまして巨大な財産でございまして、これを買い受けてそしてその上でこの上に事業を営むというようなことをいたしますれば、それを裏付けるべき財的な資力が非常に乏しいのでございまして、さような意味からいたしまして、厚生省からの話もありまして、これを無償貸付をいたして福祉事業を営んだならば如何であろうかというような話がございまして、それに御同意申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/133
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134・山下義信
○山下義信君 それでは伺いますが、あなたのほうの帳簿価格ではあの軍人会館は幾らになつておりますかね。建物だけの価格ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/134
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135・池川良正
○説明員(池川良正君) これは解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令という政令によりますれば、一応財産を評価した上で処分するといいまして、評価委員というものを選任いたしまして、二つに実は評価いたしております。一つが昭和二十六年の三月十日、これは建物、什器機械を含めまして約三億二千万円でございます。それからもう一口が昭和二十六年の二月の七日、これは建物、什器、機械を含めまして、さつきは三億二千万円、今度は四億一千万円ということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/135
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136・山下義信
○山下義信君 そうすると、ものの一ト月ほど経たん間に一億ほど評価が下つたのですね、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/136
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137・池川良正
○説明員(池川良正君) は、さようでございます。これは一つは大蔵省から選任せられました評価委員でありまして、一つは東京信託のほうから選任せられました評価委員でありまして、評価委員の立場によりまして評価額が違つて参るわけでございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/137
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138・山下義信
○山下義信君 ああそうですか。どつちの評価ですか、三月十日のほうの評価は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/138
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139・池川良正
○説明員(池川良正君) 三月十日が大蔵省から選出になつておりました評価委員の評価でございます。二十六年の二月七日初めのほうが東京信託のほうの評価でございまして、これが四億一千万円。それからあとのほうの三月十日が大蔵省の評価委員によりまして、これが三億二千万円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/139
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140・山下義信
○山下義信君 大蔵省の評価がものの一ト月も経たん間に一億余ほど評価が下つた。それは評価のしかたによるのですから、併し三億前後のものが一億も違うということは非常に大きな開きですが、そこで私は法務省に伺いたいのですが、これが大体俗に言う、政府で言うところの時価として若し売却払下げの処分をしたときには大体この価格が売却の価格の基準になるのですか、これは一応帳簿価格であつてこの上に更に時価というものを考えるのですが、どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/140
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141・池川良正
○説明員(池川良正君) 従来解散団体の財産の売却委員会で実施いたしておりました売却価格の決定につきましては、只今申しましたように評価委員によりまして評価が異なつている場合がございます。殊にこういうような財産は現在の駐留軍、当時占領軍でございますが、これが使用しておるような関係もございまして、一応のこういう価格を出したその上でなお建物の使用の現状というようなものを更に再検討いたしまして、評価委員会にその議を付して、その上で処分の価格決定をすることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/141
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142・山下義信
○山下義信君 これは時価はいろいろな見方がありまするから、一概には言えませんけれども、少くとも政府の俗に言う公定価格、帳簿価格の何倍、何十倍ということは常識なんです。随分の価格だろうと思いますが、私が伺いたいと思いますのは、先ほど池川課長の御答弁の中にありましたが、あの会館を使いたいということは、かねてから遺族更生連盟からちよいちよい話があつたことを聞いておつたということをおつしやつたのですが、私は当初から法務省で遺族更生連盟に払下げをすることのお話をされたことがあつたと思うのですが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/142
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143・池川良正
○説明員(池川良正君) 売却の交渉を扱いましたことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/143
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144・山下義信
○山下義信君 それは幾らくらいで払下げようという話になつておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/144
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145・池川良正
○説明員(池川良正君) これは当時の現状によりまして、当時理事会でございましたか、私もはつきりした資料は持ち合わせていないのでございますが、二億六千万円ぐらいではなかつたかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/145
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146・山下義信
○山下義信君 私はその当時の遺族更生連盟へ政府のほうでは一つ払下げをしよう、片一方のほうでも買おうというような話の出たときの価格とか、いきさつとかいうものが承わりたいのですがね、実は。それで委員長、これどういうふうにいたしましようか、先に外務政務次官も見えておられるならあとにいたしましようか、この点どうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/146
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147・常岡一郎
○理事(常岡一郎君) 外務政務次官も大分急がれるようですが、できたらあとにして頂いて、政務次官のほうの質疑をして頂くといいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/147
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148・山下義信
○山下義信君 今の、私は従来の遺族更生連盟があれを法務省から特別の価格で払下げを受けよう、又法務省のほうでも売ろうと、殆んど話がきまつておつたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/148
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149・池川良正
○説明員(池川良正君) これは遺族更生連盟のほうに買受の資金がありませんために話がきまつておると言いますか、買受資金が全然と言いますか、我々が予想する買受資金を持つておりませんために、まだまだ、殆んどきまつたという段階までには行つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/149
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150・山下義信
○山下義信君 その売買の話が、まあ金のできるできんは別として、話が大体まとまつておつたのはいつ頃でありましたかね、一昨年の冬頃でありましたかね、一昨年と言いますと二十六年の夏か春ですかね、御記憶がありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/150
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151・池川良正
○説明員(池川良正君) これは理事会が、私今記憶を辿つてみますと、理事会が昭和二十七年の七月に廃止になりまして、その前やつぱり昭和二十七年の一、二月というふうに私は記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/151
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152・山下義信
○山下義信君 その当時を顧みますと、その当時いわゆる遺族に対するところの遺族年金問題、遺族援護問題が非常に、鼎の沸騰するごとく国内の問題になりまして、そうして関係者が東京都に集つて数千の関係者が集まつて政府当局に対して遺族年金、遺族援護について、もう非常に猛烈な要望の声まさに酷な最中であつたのですね。その当時を顧みますと、その当時遺族更生連盟と政府との間に軍人会館の特別割引の払下げのお話が、一歩交渉が進められつつあつたのですね。それでこの記録等を、今の御答弁によりますと、まあ東京信託の見方は四億一千万円、それから今度は一月経たん間に大蔵省が査定したのは三億二千万円、三億幾らか、四千万円、約一千万円の開きが出て来て、そうしてものの数ヵ月経たない間に遺族更生連盟に払下げようとする払下価格は二億数千万円ということになつて来ておるわけなんですね、一方遺族更生連盟関係者は東京都に全国の遺族を皆集めて、そうして政府に非常な勢いで迫りつつある真最中、その時期におきましては、私はその当時のこの更生連盟と軍人会館の払下について価格の点や、又いろいろあの会館を利用する事業の目的、内容等についてどう話合いが行われておつたかということを実は伺いたいのですが、そういう点は池川課長御承知でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/152
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153・池川良正
○説明員(池川良正君) 知つております。これは先に申しましたように、軍人会館の成立、そうしてこれに伴つてこれが終戦後解散団体の財産として処分せられることになつたのでありますが、元軍人会館であつた特殊な性格からいたしまして、私どもといたしましては遺族の更生或いは遺族の援護ということが強く叫ばれた当時でありまして、成るべくはこれを遺族団体の手に、又日本全国の遺族の福祉のためにこれを使つて頂きたい、こういう念願を持つておつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/153
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154・山下義信
○山下義信君 法務省が払下げの話をされましたときに、金ができないからと言つて売渡をしよう、買受をしようという話が、資金の、まあ困難のためにやめになつたということは、そういう売渡をしよう、じや買受をしようという話がありまして、およそどのくらいの後に金ができんから、まあそんな話はやめようということになりましたでしようか。相当私はその間長い期間あつたのじやないかと思うのですが、直ぐに、一ヵ月や二ヵ月後に、いや買おうと思つたけれども、金がないからよそうということが、一、二ヵ月のうちに、まあ遺族更生連盟のほうからそういう意思表示がなされたのでなくして、そもそもその意思表示がなされるまでには、私が想像するには、半年もその間があつたのじやないかと思いますが、いつ頃金がないから買えないということをあなたのほうに関係者が申出たでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/154
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155・池川良正
○説明員(池川良正君) 先ほど申しましたように、これは昭和二十七年の二、三月ではないか、その前に約半年くらい交渉があつたということは事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/155
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156・山下義信
○山下義信君 法務省に対する私の質疑はこれで終ることにいたしました。厚生省に対する質疑はなお保留いたしておきますが、法務省に対する質疑は一応これで終了いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/156
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157・常岡一郎
○理事(常岡一郎君) 小満外務政務次官が来ておられますが、先ほど質疑が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/157
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158・榊原亨
○榊原亨君 先ほど外務省から課長さんがおいでになりましたときに、私のほうからお尋ねしたのでありますが、何かこの法案を早く実現しなければ進駐軍のほうの今進駐軍がおられるそうでありますが、それが又はかのほうに移転されてもほかの所が何か立退かなければならんというようなことで、直ぐそこのほうへ又移つて来るのじやないかというような虞れがあるというようなこともたびたび私承わつたのでありますが、まあそういうような点について外務省としての御見解を、先ほどは立退きは一、二年も先だというようなお話を承わりました。そういうことは外務省としては考えておらんというようなお考をお述べになつたのでありますが、何か私どもが聞いておる報道と違つておりますので、もう一遍政務次官から御責任あるお話を、はつきり承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/158
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159・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 私は午前中外務委員会のほうにおりましたので、こちらにお伺いすることができなくて係の課長からどういうように申しましたか存じませんが、多少誤解があるのじやないかと考えます。あの軍人会館は国有財産でありまするからして、国有財産は駐留軍に対して区域、施設を提供する場合には、先ず民有地と違つて、民有の不動産と違つてそれを提供するという原則になつておりまするために、この軍人会館も、普通でありまするならば、又新たな建物を作つてそこへ入れるというようなことをしないで、あそこの空軍が出ていきますれば、他のほうで収容しきれないのがありますので、そこへ詰めて、他の部隊を連れて行くのか普通の順序なわけであります。が併し、これはどこかへ貸与せられるという話もありまして、他のほうはそういう関係もあるから、是非そのほうは変えてもらいたいというので、これまで合同委員会から強く主張して来たわけであります。が併し、若し本日の御審議願つておりますような法案が通らないというようなことになりまするというと、又元の原則へ帰つて、而も向うとしてはもう既設の建物があるので、ほかへいくよりこちらのほうが内容がわかつておりますので、そこへ帰りたいというような希望を強く表明して参りまして、向うとの話合いが非常に困難になるだろうと思います。そういう意味におきまして、外務省側として駐留軍へ折衝している方面から申しましても、この法案が一日も早く承認せられまして、あの軍人会館の問題は解決したほうが万事をはつきりさせる結果になりますので、非常にこれを希望している次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/159
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160・山下義信
○山下義信君 今政務次官は、……午前あなたのほうの課長が来て、そうしてこの軍人会館の問題について、はつきりとその手続というか、見通しというようなものを述べられて、そうして米軍側であける、あけんは、この法律の成立不成立には何も関係がないということを言つたのですよ。殊にあなたは上司であり、殊に外務省を代表される政務次官として、課長が、はつきりこの法案ができるできんについては、成立する成立しないについては関係ないということを、あなたは否定されたのです。それですから、若し課長が言うことが間違つておれば、どういうわけで課長がそういう間違いの見解を述べたか、課長が誤解をしておるのじやないかとお述べになりましたが、どこが誤解しておつた点であるかということを、今少しはつきりしてもらいたいと思うのですよ。外務省の課長が国会へ来て、そうして証言したことが、そうしてあとで政務次官が見えておつしやることと全然違う。前の課長の説明を否定されるということは、私はその誤解の点がどこにあるかということをはつきりして頂きたいと思う。それでこの法案は、あの軍人会館から、米軍の使用を一日も早く撤退するために立案するのじやないのですね。その目的に、米軍の使用の一日も速かにやめてもらうためにこの法案を作るのじやない、この法案の我々が審議しておる目的はほかにある。米軍の撤退を促進するためにこの法案を作るのじやないわけだ。米軍の使用廃止促進法案というものをやつているのじやない。そういう目的で我々はこの法案を考えていない。ですから、この法案の成立と、米軍の使用の廃止との必然的な関係というものを立証、証言してもらわなければならん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/160
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161・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 私はこれを向うへ、返してもらいたい目的でこれを通して頂こうというのじやなしに私が申上げました趣旨は、この法案切目的を達成させるためには、この法案が早く通過したほうが、私たちの側からとつても便利であると、この目的を達成するためには、早く法案が成立したほうが好都合であるということを申上げた次第であります。なお課長がどういうように表現したか知りませんが、恐らく課長が言つたのは、実際上の手続を今朝説明したのじやないかと考えます。今空軍を出しますには、府中のほうへやらなくちやならん。府中のほうの部隊は、大和村へやらなければならない。それをただ単に通常の手続でやれば、相当期間がかかる虞れがある、こういうことを申したのだろうと思います。併しもう予算も通つておりまするしこういう目的で提出されるので、そこをあけるためにやるということになれば、私はこの移転もそれほど長い期間をとらなくて実現するだろう、又それを実現するのにはこの法案が成立しておつたら更に向うの追立を早くすることができる、私はアメリカ側との交渉のためにこれが通過したほうがいいというのでなしに、この法案の目的を達成なさるのには早く法案が成立通過したほうがよろしいのでありまして、私どももそのためには是非協力いたしたいという趣旨を申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/161
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162・山下義信
○山下義信君 私は政府のほうが、アメリカ側の追立を、これはこの法案があろうとあるまいと、いわゆる促進されるのが当り前、事務的に極力お進め願うということが当り前であつて、そうしてそれがちやんといつ頃あくかという見通しが立つて、そうしていよいよあくという時期が接近して、初めてその利用ができる、その活用ができるという見通しが立つたときに、この使用目的の法案を我々が作るとか、審議するとかいうことが、これが常識であつて、これは外務省に関係の法案じやありませんが、今関係があるような政務次官の御答弁があつたのですが、半年先にあくのやら、午前の証言によれば、およそ見通しとしては一年以内にあくということは考えられない。或いは一年以上あけんということを証言された。外務省当局の、私は一課長と思わん。外務省の、あなたのほうの課長を、相当私は重視するのです。その人が来て、一年以内には、近々の間には、これがあこうとは思われない。一年も半年も先のことを、今から法律を作つて待とういうのですね。これが非常な利権問題なら、私は急ぐのにも納得するのですが、若し利権でも何でもないということならば、急ぐ必要は本当はない。即座にやればいいのですが、併しこの法律ができることが、米軍にあけたてをさせるのに、やかましくあけてくれ、あけてくれという、こういうことに使うのだから、せかすのに便利だと、こういうことを御証言なさる、御説明なさる、本当にそうでしようかね。これは若し本当にそうならば、私はこれは一方的なあなたのほうの想像だろうと、そうすれば便利がいいだろうと、こういう御予想ですか。或いはこのことをお話なさつて、先方がそういう目的で使うということなら、俺たちもこれは移転を急がなければならんとか何とかいうお話でもありましたでしようか、何かお話なさつたでしようか、まだお話なさらずに、一方的にあなたのほうがこうしたほうが便利がいいとおつしやるのですか、その点を御説明願つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/162
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163・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 無論これは向うにも話してあります。最初申しましたように、国有財産を提供するという原則で来ている際、あれは国有財産であるのに、そうして向うとしては実はアメリカ側のほうから言えば東京市内にいたいです。いろいろな点で便利なんだ、あれが今まで余りにも平穏無事に使つていたのに、それを使いたいという希望はずつと前から表明されておつたものですから、それを今度どうしてもあれは困る、一応こういう事情も話しまして、それでやりたいということを言つたのは事実でございます。向うは非常に市内にいたいので、アーニー・パイルのほうをこつちへ持つて来たいとか、いろいろなこうした案もあるということを率直に申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/163
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164・山下義信
○山下義信君 私は小瀧政務次官を信用したいと思う。又信頼するのです。それで外務省の民事局の御証言と食い違いが生じたのですが、何と言うても政務次官がそうおつしやればそうでしよう。ところでその先方の意向をお聞きになつたのは、こういうお話をなさつたのはいつ頃でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/164
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165・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 私正確に覚えておりませんが、私が政務次官になりましたのは三ヵ月ばかり前でありまするから、そのときにはもうすでに向う側から、あれへ、空軍を追出してほかのを入れたいという申入があつたわけであります。それでは困るというので、私も実はこの問題は当時からよく承知いたしております。でありまするから、少くとも三ヵ月ばかりは経つております、申入れをいたしましてから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/165
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166・榊原亨
○榊原亨君 ちよつとここで速記をとめて下すつて、山下先生や何かと御相談を一つ願つて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/166
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167・常岡一郎
○理事(常岡一郎君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/167
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168・常岡一郎
○理事(常岡一郎君) 速記を始めて下さい。
それでは暫らく休憩いたします。
午後五時一分休憩
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午後五時九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/168
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169・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 委員会を再開いたします。財団法人日本遺族会の理事長島銀藏君、同じく佐藤信君の両君に対しまして参考人として日本遺族会について各委員から御質疑を願いまして御答弁願いますように決定いたしましたので、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/169
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170・藤原道子
○藤原道子君 その前に厚生省にちよつと一言聞きたい。それ聞いてから……。局長にちよつとお伺いしたいのでございますが、この遺族会の理事を御決定になりまして、ここにずらつと並んでおるのでございますが、これがどういう人だかわからないのであります。遺族のかたであるか、そうして又どういう経歴を持つておいでになるかたかということを一応お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/170
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171・安田巖
○政府委員(安田巖君) 私本日申請者の書類を持つて参りませんでしたために、一々履歴書につきまして御説明申上げることができないことは、誠に遺憾と存じます。お配りしました資料の二十四ページに理事の氏名が載つておりますが、その後改組になりまして館哲二さんが理事の中に入つております。これは御承知の緑風会の議員のかたであります。あとは、寺田さんは、これは関西のほうの実業家で慶応大学を出た遺族で、全部遺族でございます。筑波さんも遺族でございます。小泉信三さんは皆様御承知のかた……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/171
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172・藤原道子
○藤原道子君 筑波さんというのはどういうかたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/172
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173・安田巖
○政府委員(安田巖君) 筑波さんだけが遺族でなく、靖国神社の宮司になつております。小泉信三さんは御承知の通りであります。石坂泰三さんは東芝の社長をしておられますが、やはり遺族のかたであります。明石照男さんもこれは銀行家として有名なかたであります。やはり遺族であります。それから、長島銀藏さんは御承知の参議院議員であります。佐藤信さんも、これも遺族のかたで、本日ここにお見えになつております。あとは私ちよつと詳しく存じませんけれども、百軒富治郎さん、これは東京都の都会議員をしております。現在社会福祉協議会のほうに関係をしております。大体佐藤信さん以下は府県の会長のかたが入つておられます。理事が十五人に幹事が三人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/173
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174・藤原道子
○藤原道子君 これをお選びになるのは、どういう方法でお選びになりましたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/174
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175・安田巖
○政府委員(安田巖君) これは午前中に山下先生にも申した通りで、評議員会で決定いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/175
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176・藤原道子
○藤原道子君 今朝高野先生に対する御答弁がちよつと落ちたと思うのですが、遺族会というのは遺族が構成しておるものか、それともそうでない人が遺族を援護する意味でできておる会である会であるかということをお聞きになつたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/176
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177・安田巖
○政府委員(安田巖君) それはお答えしたと思いますけれども、遺族のかたがたが、遺族の福祉を図るためにお作りになつた団体でございますけれども、財団法人でございますから、財産を中心にした法人であるということを申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/177
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178・藤原道子
○藤原道子君 この遺族のためにというのでございますから、あれとしましても、あの法案の中に公務によつて戦死した者ということになつておるのですね、そうすると、戦争の犠牲でお気の毒にも戦死されて、而もなお恩給法にも入ることのでぎなかつた遺族がたくさんございますね、こういう人たちはどうなんですか、ただ限られた遺族のためだけにおやりになる目的でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/178
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179・安田巖
○政府委員(安田巖君) これは旧軍人、軍属で公務によつて死亡した人、こういうかたがたは国でいろいろ保障しなければならんような立場にあるかたでございますので、そういうかたがたの福祉を図る団体である遺族会に、国の財産を無償で貸与する、こういう建前なんでございます。そこでこれは衆議院でも問題になりまして、公務というのをとつたらどうかというようなお話もあつたのでございます。或いは戦死とかという言葉で書いたらどうか、戦争中とかという言葉はどうかということがありましたが、そうなりますとやはり表現が非常に不正確になるわけであります。同時に公務というのをとりますと、これは殆んどが、日本国民全部が軍人の遺族ということになりますから、これも又対象といたしましては極めて不適当だ、そこでこういう表現を用いたわけであります。ただお話のように本当に公務か公務でないかわからないのだ、実際はこれなんか入れて上げるべきじやないかというようなものもあるかと思うのであります。そういうものは元々これは権利義務がどうとか、或いは恩給証書がどうとかという問題でございませんから、その辺は私は常識に従つて判断し得るのじやないか、こういうふうな解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/179
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180・藤原道子
○藤原道子君 この点はやはりあいまいではいろいろ問題が起ると思うのです、私は。
それから公務によつて戦死されたかた、この御遺族は或いは恩給法により、或いは援護法によつて援護されているわけなんです。ところがすれすれのところで不幸にもこれに外れた人は何らの恩典にも浴せられないで、なお且つ国有財産の莫大のものを無償で貸付けるところの、この恩典にすら浴することができないということになると、私非常に不公平だと思うのでありますが、そういう点に対しては、やはり明確な線を引いておくべきだと、こう思うのでございますが、局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/180
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181・安田巖
○政府委員(安田巖君) 御尤もでございますけれども、いろいろ援護局その他と相談いたしたのでありますが、そういうふうにびしつと線を引くということはなかなかむずかしいのであります。それで一番いい方法が公務に関してということになつたものですから、こういう表現を用いました。併し先ほどから申上げますような軍人会館の利用ということその他は、そうちよつと違つたから怪しからんというほどの問題ではありませんから、その辺は私は実情に応じて判断できるのじやないかというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/181
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182・藤原道子
○藤原道子君 時間もございませんので今一点伺いますが、それは事業ですね、この事業の中の育英事業が非常にお粗未なんです。人数も少いし、而も育英資金等は母子福祉資金貸付法によつても二千円なんです。これは千円、千五百円ということになつている。諸外国等の例を見ますと、遺児の育英ということには非常に力が注がれておる、ところがこの面で行くと非常に軽く扱われておるような感じがしてならないのでございますが、それはどうなんですか。先ほど山下さんも言われましたように、全部有償であつて、この遺児等の上京のとき或いは宿泊のとき、いろいろな点についてはもつと明確に無償の扱い、こういうものが私は現われていいのじやないか、こういうふうに考えるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/182
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183・安田巖
○政府委員(安田巖君) これは大体千円というのは高等学校、千五百円というのは大学を考えたのでありますが、これは大体育英会の資金に合わせたのでございます。
それからあの人数は、遺族の子弟のうちで大体大学なり高等学校へ行つているものがどのくらいあるかということで、而もそれに対しまして、上京いたしましてやる者が何%あるかという率をかけてみまして、それで大体二百六十人、六十五人という、こういう率を出したわけでございます。そこでこれは先ほどからたびたび御指摘のように、これでどうしても一歩間違つても困るじやないかということじやなくて、大体我々もこの程度のことで収支のやり繰りができはせんかという案を出しておるわけでございます。今後私はこういう方面にどんどん力を注いで行くべきで、やり方によりましては、どんどん利益が出て来ますならば、こういうところにこそ力を注いで、お説のように、金額におきましても人数におきましても殖やして行くように努力すべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/183
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184・藤原道子
○藤原道子君 今育英会のほうに合わしたとおつしやいましたけれども、育英会のほうは大学は二千円だか二千百円ですよ、母子福祉資金貸付法も二千円ですよ、遺児がそれより少いというのはおかしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/184
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185・安田巖
○政府委員(安田巖君) 私の調べ違いかも知れませんが、そういうことで実は出したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/185
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186・藤原道子
○藤原道子君 質問し出すと切りがございませんので、一応遺族会のかたにお伺いするということにいたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/186
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187・有馬英二
○有馬英二君 私はちよつと安田さんに私はたつた一つなんですが、先ほどもお伺いしたのですけれども、旧軍人ですね、在郷軍人会を作りつつあるとかいうのですが、これはそういう軍人会の作つた軍人会館であるということから、そういう人たちの団体がこれの返還を迫るという時分にはこれは当然法律上返さなければならんという御意見であつたように思うのですが、これは勿論返さなければならん性質のものかも知れない、であるかも知れませんけれども、それではこれは遺族は気の毒である、軍人の遺族であるから気の毒ですよ。私はこの御趣旨に不賛成を唱えるわけなんではないのですが、旧軍人が戦争のために追放になつたり、或いは外地から引揚げて来て非常に悲惨な境遇に陥つている人たちがたくさんある。我々の知つている範囲内でもこれも将校階級でもそうですが、戦後ずつと生活が困窮というわけじやなくても逼迫した境遇に陥つている人がたくさんあります。ですからそういう人もやはりこの中に加えて、同じようにこの恩典に浴することが私は本筋じやないかと思うのです。そこで今どうもそいをすぐ入れるというわけには行かないでしようが、将来若しそういう旧軍人たちが日本全国に亘るところの一つの統一した機関を作つて、団体を作つて、そして同時にこの恩典に浴したいという希望を持ち、又そういう意思を発表した時期にはそれをどういう工合にお取扱いになるつもりであるかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/187
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188・安田巖
○政府委員(安田巖君) 今朝ほど申上げましたように、これを持つておりました昔の財団法人軍人会館が解散団体になつて、指定されました。そこでこれは国庫に接収されたということでございますが、従つてその事実がいい悪いということは、もうここで言わないことにいたしまして、国庫の財産がある、それを遺族のために使うことがまあ皆さんの御納得の行く理由である、御納得の行く理由になるということで、こういう法律が御審議になつているわけでございますので、今のところでは改めて又軍人が団体を作つたならば、それに渡すとか、或いは軍人の子弟であれば全部この恩典に浴せるかということまでは実はまだ考えておりません。そして又この軍人の子弟ということになると、これは非常に数が多うございまして、恐らく今、先生のおつしやる軍人というのは将校だけではなくて、一般の兵隊も入る、これは非常に多い、日本全国の人が入るような状態でございますので、それを育英資金ということでやると殆んど仕事が成り立たなくなつて来る。そこでせいそれ軍人会館を利用するにしても、今までのそういつたいきさを考慮に入れるかどうかということ、程度の問題ではないかと私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/188
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189・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 如何でございましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/189
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190・藤原道子
○藤原道子君 今一点だけ、遺族は男と女とどちらが多いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/190
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191・安田巖
○政府委員(安田巖君) ちよつと私調べを持つておりませんが、男が死んであとへ女が残るということになると女が多いと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/191
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192・藤原道子
○藤原道子君 そうでしようね。そこで私お伺いしたいのですが、遺族の福祉のためにというのですね、この女のかたが絶対多数なんです、遺族の中には。だから女に対しての援護、そういうことに対しては非常に力を入れなければならない。理事を見ますと全部男です。有力者ばかりです。女の中にも相当な力のある人があると私は思う。ところがこれは女は一人もいない、これはどういうわけですか。私はこういう点から言つても、どうも臭い点があるように思えてならない。本当に女のためにしてやろうとおつしやるならば、本当に婦人に対して、子供に対して、遺児対策に本当に重点を置かれなければならないのに、こういう点に目が欠けておる。だから男が多いか、女が多いか聞いておるのです。こういう点を頭に置いて審議をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/192
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193・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 如何でございましよう、さつきの決定通りに。質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/193
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194・山下義信
○山下義信君 今の質疑に答弁をなさらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/194
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195・安田巖
○政府委員(安田巖君) 今後仕事をやつて行きます場合に、一応ここに掲げたようなことがございますけれども、そういつた今御指摘のようなものにつきましても、これが貸付が行われるようになりましたならば、十分考慮するように指導して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/195
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196・藤原道子
○藤原道子君 不満足でございますけれども、まあ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/196
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197・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 参考人のかたに御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/197
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198・山下義信
○山下義信君 私は先刻の質疑応答で政府は軍人会館の貸付をするについては遺族更生連盟の従来のあの団体は、これが十分な資格のあるところとは考えられないので、そこで財団法人日本遺族会というこの団体ならば貸付の対象として結構だと考えているのだ、こういう御説明があつたのですが、それで参考人として御出席を煩わしました、御両所は遺族更生連盟からずつと引続いて御関係で、又承わりますというと日本遺族会のほうへ続いて御関係で、取りも直さずこの問題については、まあ最大の御関係のかたなんです。一番よく事情を御承知のかたです。
それで私どもは日本遺族会のことで政府との間にも質疑応答をいろいろやつて来ました。やつて来たのでありますけれども、政府は日本遺族会の役員ではないのです。監督者の立場でありますから、政府のほうを幾ら聞いて見ましても、日本遺族会の実情につきまして政府も御承知ではありますのですけれども、やはりその内容等につきましては監督者の立場という御答弁しか得られんわけです。それで御両所に御出席を煩わしましたのは、直接日本遺族会の実情について承わり、それによつて国有財産の無償貸付をしてもよろしい対象の団体であるかどうかということを我々は確認をしたい、こういう意味で御出席を我々希望いたしましたのであります。そこで伺いたいと思いますのは、日本遺族会の御創立の事情をざつくばらんに納得の行けるような、よそ行きのことでなしに一つ簡明に我々にわかるように御説明を煩わしたい。それで従来の遺族更生連盟と全然別個の団体かどうか。何ら関係がないかどうか。関係がないのなら関係のない御立証を願いたい。こういうふうに全然遺族更生連盟とは関係がないということを御立証を給わりたい。政府は全然関係がない、全然別個の団体であると言うのです。それで日本遺族会を御創立相成りました前後、御創立に遺族更生連盟の主要なかたがたがその設立計画に御参加に相成つたかどうかという点ですね、前後の事情……、全く関係かないのか。やはり御関係かあるのか、あるならあるでいいんです。こういうわけである。確かにないのならはつきりない、こうおつしやつて頂きたい。その辺の御事情を私は先ず佐藤さんから承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/198
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199・佐藤信
○参考人(佐藤信君) 日本遺族会の理事の佐藤であります。只今の御質問についてお答えをいたします。日本遺族会は従来あるところの日本遺族更生連盟と関係があるかないかという御質問でありまするが、これは私ども従来日本遺族更生連盟というものを長い間やつて参りまして、その事業を推進して行く上におきましていろいろの点について不便な点がたくさんございました。そういう意味において、従来日本遺族更生連盟は任意団体でございますけれども、これを公けの法人の資格を得て、その仕事をもつと強く推進して行きたいという念願をもつて従来も財団法人組織、或いは社会福祉法人組織にしたいという希望を持つておりましたが、なかなか実現できませんでございました。そのうちにいろいろの関係からそういう考えを持つておりますところに、軍人会館の無償貸付ということは、従来日本遺族更生連盟の時代にこの問題を採上げて推進をして参つたのであります。その経過におきまして国有財産を初は有償で払下げを受けるという建て方でございましたが、その後の経過におきましても任意団体に対してはそういう払下げを受けるということは非常に何と申しますか、政府として払下げをする団体としてお認め願えないというような状況でございましたので、財団法人の設立を希望いたしておりましたが、その経過におきまして財団法人を作りたいということで、財団法人を作るのにはいずれにしても或いは財団法人ですから、財産登記というようなものも必要でございましたりしますので、おおむね在来の日本遺族更生連盟の役員たちがそれを発起いたしましたのでございますが、新たにそれ以外の人たちも、できるだけの遺族の中から有力なかたがたに入つて頂きたいということで、そういう従来の日本遺族更生連盟の役員及び新しく遺族の立場であつて、そのほかに協力して頂けるかたがたと一緒になつて財団法人の設立をしたと、こういうことで現在この日本遺族会というものができ上つたわけでございますが、関係があるかないかということになりますれば、そういう経過については関係がございましたが、作りました日本遺族会というものと別個の団体である。創立した当時には元の遺族更生連盟の関係者が中に入つて作りましたけれども、できたところの団体というものは日本遺族更生連盟とは関係がない。関連という言葉がどうかわかりませんが、全然その程度は別な財団法人日本遺族会というものができ上つたわけでございます。それができますと同時に在来のものが解散をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/199
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200・山下義信
○山下義信君 私は佐藤さんが率直にありのままに御説明下さつたことに対して非常に多とするのですが、結局お話のように、遺族更生連盟がまあ日本遺族会に、財団法人遺族会に衣替えをした、仕立替えをした、塗り替えたというのが実情なんですね。従つて法的手続の表面的なことを言えば何ら関係がない別個の団体であるわけでありますが、実際の内容はそもそも日本遺族会の発起からしてその成立過程に至るまでは遺族更生連盟の各位が中心としてなさつたことはこれは天下公知のことでございますから、今おつしやつた通りだと思う。それで従つて、つまり財団法人日本遺族会を設立なさつたその仕立替えをなさつた目的は今もお説のありますように有償払下げの御計画の当時から任意団体ではいかんので、法人組織でなくてはいかんということで長い間の懸案を解決するために財団法人日本遺族会というものは、即ちこの種の事業を営むために国有財産の無償貸付を受けられるお資格の財団法人にするために切替えたのでありまして、全く財団法人日本遺族会の創立の目的は、軍人会館を受けられるこの目的を遂行されるために設立されたものと我々は了解するのでありますが、佐藤さんはどういう御見解でおいでになるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/200
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201・佐藤信
○参考人(佐藤信君) お答えを申上げますが、勿論それが絶対唯一の目的としてそのために作つたということではないのであります。前にも申上げました通り在来日本遺族更生連盟当時その仕事を強化し、推進して行く上においては分けの資格を受けるということがいろいろな面で必要であるということで、これは長い間の軍人会館の払下げを希望する前からそういう希望をもちましてずつと前からそういう念願を持つて参つたのであります。これは我々が会を経営するのに当然な考え方であつたと私どもは思います。任意団体であるよりも、むしろ公けの資格をもつて仕事を推進して行くことにしなければならないということで、従来考えておつたのでございます。たまたまその経過におきまして一つのいわゆる軍人会館の有償払下げを受けたいということに相成りまするので、なお一層財団法人にする必要が強化されたということでございます。財団法人を作ることは軍人会館の払下げのために作つたというわけではない、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/201
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202・山下義信
○山下義信君 まあ唯一の目的でなくても、その目的を持つておられたことは事実なんですね。ところが日本遺族会の寄附行為の中にはそのことが具体的に現われていない。どうして寄附行為にそのことをお書きにならなかつたのですか。財団法人日本遺族会の寄附行為の中には軍人会館の無償貸付を受けて、この種の事業をするということがないのです。どうして目的の中にお入れにならなかつたのか。その辺の事情はどういう、何か考えがありましたからでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/202
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203・佐藤信
○参考人(佐藤信君) お答え申上げますが、もちろんそれは考え方としては軍人会館を払下げを受けたいという希望をもつて、その受入態勢の一部としても財団法人を作るということはもちろん考えておりました。併しこれは果して許可になるかならないかということはわからんのでございまして、もちろんそういうことを会則の中に加えてないでも、それが事業の内容において寄附行為に書いております目的の範囲において軍人会館をとつたら、そういう仕事をやるという、その目的の中に書いてあることによつて別に軍人会館の払下げを受けるということはその目的ではないので、一つの手段である、こういうふうに考えましたので、目的の中には入れなかつた、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/203
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204・高野一夫
○高野一夫君 関連して。長島さんにちよつとお伺いしたいのですが、二点だけお伺いします。只今山下委員からも御質問がありました通りでありますが、御答弁も伺いましたが、これがきまらない間はその国有財産の処理についてのことは定款の中には盛れないと思うのです。これはきまりましたら然るべく目的かどこか、事業について寄附行為の定款の改正をなさる用意がおありになろうと思うのですが、おありになるかどうかということが一つ。それからもう一つは、先ほどから話が出でいるのですが、財団法人軍人遺族会が無償貸付をお受けになつたら公正な運営をおやりになるに違いないとは思いますけれども、更に全国の遺族その他が安心するために一つの諮問機関を作りたい、それにも寄附行為の定款を一つ改正して、例えば各界の代表の有識者を集めた諮問委員会、運営委員会みたいなものを作つて、それに国有財産の使用運営に関する限りは、その運営委員会に相談を持ちかける、そういうようなことをしたらなお明朗な堅実な運営ができるということに見通しがついてますます安心を持ちはしないか、こう思つて先ほど来当局には質問したのですが、そういうふうなことを我々が希望した場合に定款を改正しておやりになれるかどうか、この二点をちよつと簡単で結構ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/204
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205・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 只今高野委員からの御質問でございますが、むろん我々が日本遺族会を作りました目的は、本当に全国の遺族のために尽したいという一点でございます、従いましてさしづめできました定款というのは、いわばとり急いで作つた定款でございます。従いまして衆知を集め、只今高野委員のおつしやいましたような方法、これがいいということでありますれば如何ようにでも私どもはこれに応じて、そうして本当に福祉のためになるようにいたしたい、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/205
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206・山下義信
○山下義信君 私佐藤さんに伺いたいのですが、日本遺族会を組織せられたときには、大体軍人会館の無償貸付が当局の内諾、それは法律が通る通らんは別です。これは国会がいつ開かれるか、国会の通過不通過は何人もこれは予想つかないのですが、そうでなしに、大体政府のほうから軍人会館の無償貸付をしてよろしいというようなお話を受けられたのはいつ頃ですか。つまり日本遺族会が組織せられた後ですか。組織せられる前に軍人会館を借りることができるということが、政府からのそういう意向を受けられたのは、遺族会というのが組織せられる前ですか、後ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/206
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207・佐藤信
○参考人(佐藤信君) ちよつとお答えいたします。私は軍人会館を初は有償払下げ、それでここにできるならば無償にして頂きたいという希望を、これは希望としては今から三年半前からいたしておつたわけでございます。そうしてそれに対してそれぞれ関係の向に対してお願を申上げておつたのは三年半ほど前でございます。で、当然そのときから希望はずつと持つておりましたのです。それから一時有償で払下げを頂戴するということにその当時の解散団体財産売却理事会から御内示を頂いて、それを了承いたしまして有償払下の手続を進めて参つたのでございます。いろいろの都合でそれが実行できないうちに、今度はできるだけ無償にして頂きたいという希望に変つて来たのでございますが、その当時から財団法人で作りたいという希望で進んで参りまして今日に至つたのでございます。政府のほうからは貸下げをするとか、或いは払下げをするというような、いわゆる御内示というようなものは今まで曾てないわけでございます。ただこれは私のほうが希望を申出まして非常にそれに対してなんと言いますか、手続を進めて行く意味において好意ある助けを頂いておつたというわけでございます。勿論私どものほうはできるものとは信じておりましたけれども、的確にできるかどうかについてはいろいろな情勢から多大なる疑念を持つておりました。現に今日も御承知のような情勢でありますので、非常に熱烈なお希望を持つておりますけれども、的確に無償貸付をして頂けるというようなことは財団法人を創立する当時においてはそれはまた見込が付かなかつた、今日もその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/207
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208・山下義信
○山下義信君 ちよつとその点を納得しがたいのですが、佐藤さんまだ軍人会館の貸付をしてもらえるか、もらえないかということについて、もう厚生省が三月にこれは前国会に提案したのですが、それにもちやんと財団法人日本遺族会に貸付けるということを言つておるのですが、未だに今日に至つても政府があの会館をお前のほうに、日本遺族会に貸付けてやる、一応貸付けるというようなことはなんら意思表示を受けていない、言い換えればあなたがたのほうは何も知らずに政府がこういう法律を一方的に出されて、これが通つたら初めてお話があるのだろう、こういう考えでおられるということは、私納得しがたいのです。それで政府のほうから軍人会館は結局は無償貸付が受けられるというようなことを遺族会の或いは創立のときとか、或いは役員会、或いは前の遺族更生連盟とか、いわゆるそういう役員会でお話になつたことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/208
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209・佐藤信
○参考人(佐藤信君) 勿論それは私どものほうは非常に熱心に希望をし、政府も非常に御好意的にこれをまあ無償貸付にしたいという御希望じやない、いわゆる御内意というものはこれは伺つております。で、今私が申しましたことは終局的にその的確ということでございますが、まあそれは現在においても、もとよりできないわけでございます。できるだけ勿論それぞれの機関、国会の御決議も又頂かなければいけないわけでございますが、その事前において政府のほうとしては、なんとか希望に副うようにしてやろうという御内意は私ども当然これはしばしばそれは相談いたしておつたことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/209
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210・山下義信
○山下義信君 私はそうでなければ平灰が合わんと思います。私は決して揚足とりやあなた方に対して無理なことを伺つておるのじやない。事態を明白にいたしたいという念願なんです。それで結局政府のほうで大体そういう内意があればこそ財団法人日本遺族会の組織ができるわけなんです。創立ができるわけなんです。そういうことなしに、一向無関係で日本遺族会を作つたんだとおつしやると、私はいろいろな事例を挙げて伺わなきやならんことになる。それで軍人会館の無償貸付を受けるということが大体内意が政府から御承知で作られた定款、つまり寄附行為に、その軍人会館を手に入れられた後のその事業の活用ぶりについてちつとも具体的にも表わしておいでにならん。すなわち言い換えれば、本法案に盛られたあなたのほうに貸した後の事業目的と寄附行為の事業目的とが全く違うのですね。若干似たようなところがありますけれども、非常に違うところがある。そういうところが私共には解しかねるので、そういうことを私は伺つたわけなんです。それで政府の説明と若干違うのでありますが、これはまあ長い間のことなりいろいろないきさつで思い違いもありましようから追及しようとは思いませんが、評議員が八十名御選任になりましたですね。理事のほうは大分お顔ぶれが違つたようでありますが、評議員の八十名の中に元の遺族更生連盟の役員であつた方々は何人くらいおいでになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/210
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211・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 私からお答え申上げます。まあ全部今までの日本遺族更生連盟の当時の評議員であつた方とかというのでございまして、全部遺族会のメンバーでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/211
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212・山下義信
○山下義信君 それで長島さん、私それを伺いたい。従来の遺族更生連盟とは衣替えをした、切り換えたとおつしやつても、ただ財団法人日本遺族会と名称やらその人格、手続が変つたというだけで、そうして一部の理事の表面に押し出す看板が変つたというだけで、主要なる評議員の大部分のかたがたが殆んど全部今あなたがおつしやつた殆んど全部元の遺族更生連盟のおかたがただということになると、評議員会はいわゆるこの遺族会の運営の機関ですね、評議員会から理事が皆生れて来て執行機関が出て来て、評議員会が母体なんです、結局日本遺族会の実際の機関の中心は遺族更生連盟と何も変らんということになりますね。そうするとそういう役員が全部引き継がれておつたんでは、世間で言う、率直に言つてただ二、三の知名の人を看板に借りて来たということになるわけですね。又実情がそうなんです、実際上。それを高野委員等がいろいろ御心配なさつて、今後のそういうメンバー等についても改めて再検討なさるかなさらんかということがこれからの問題になるか知りませんけれども、まだ私はそこは伺わないのですが、遺族更生連盟のメンバーがそのまま日本遺族会のメンバーになつておる点についてどういうふうに考えていられるかということを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/212
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213・佐藤信
○参考人(佐藤信君) ちよつと私から今長島先生のお話になりましたことを補足いたしまして申上げます。現在の規定によりまする評議員の八十名中四十六名は、各県から一名ずつの評議員を出す、各県の遺族会の代表者を一名ずつ評議員に出すということで、現在できておりまする評議員というものはその四十六名。これで先ず発足をいたしました。八十名に充足するまでの三十四名のものは、学識経験者の中から理事会の決議を経て推薦ができるということになつておるわけでございます。その推薦は現在まだいたしておりません。これからおいおいに適当なる方々を御推薦申上げたい、こういうことに考えております。更に理事に就任したものは逆に今度評議員の資格を得るということになつております。その立場において五、六名の人が逆に評議員の資格を持つております。そういたしますると、四十六名の府県の代表と六名ばかりの理事の逆に評議員の資格を得た人、この合計が五十二名が現在の評議員の数でございます。現在の在り方はそういう在り方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/213
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214・山下義信
○山下義信君 私大変時間をとつて恐縮ですから、成るべく早く打切りたいと思いますが、今とにかく遺族更生連盟の役員が全部こつちに引き移つていることだけは事実なんです。それを今後どうなさるかということをお答えになりませんが、それはあと廻しにして、衆議院で問題になつた点を私もこちらで伺つておかなきやならんと思うのは、この財団法人日本遺族会の組織をなざいますときに、財団法人ですから、財団法人への寄附行為者が集まつたらば組織ができるわけなんですから、それは三人でも五人でもいいわけなんですが、実際としては遺族のこういう機関であるとすると、今藤原委員もその点を言われたのですけれども、これは遺族の一部の者の団体とする考えか、全国の遺族を網羅した団体となさるお考えか。つまり言い換えると、日本遺族会の御組織のときには一般の遺族に対しての関係はお取りになつたかお取りならなかつたか、そういうことは全然関係なしに従来の遺族更生連盟の役員のかたがたのみによつてその設立がお運びになつたのでしようか。その辺の御関係はどういうふうになつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/214
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215・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 遺族更生連盟というのは、その下部組織といたしまして各地に皆遺族会があるのでございます。その下部組織にありまする遺族会、即ちまあ広島県で言うならば広島県遺族会、この遺族会に今度は財団法人にしたいがどうかという諮問を出しますると、支部でありまするところの広島県遺族会はやはり評議員会なりなんなりに諮りまして、そしてよろしいということになりまして、それが日本中全部が集りまして、その承諾書も得られまして、財団法人日本遺族会というものができることになつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/215
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216・山下義信
○山下義信君 私はいろんなことを伺つては却つて失礼であると思いますから省略しますけれども、世間ではこういうふうに見ているのです。この日本遺族会を組織せられましたときの理事や理事長の選任等も非常に急がれた関係もあるかも知らんけれども、極く早急の間に極く一部分の間のかたがたで取きめられて、まあ殆んど遺族更生連盟等の役員等へもとつくりと御相談なしに、ほんの少数の人が、具体的に言えば理事長館哲二君の選任のごときも、もう極く少数の間でこれが御選任になつた。而も暫定的な……今館哲二君は御関係ないのですか、この日本遺族会には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/216
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217・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 理事長になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/217
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218・山下義信
○山下義信君 而もそれも暫定的な当分の間というような含みで御選任になつたというようなことを聞いておりますが、そういうことはあつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/218
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219・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) その通りでございます。それじや申上げましよう。この現在の理事を選びまするときには、日本の国を大体五ブロツクに分けまして、東京から東北、これを第一ブロツクと申しております。それから名古屋近辺までを第二ブロツク、それから近畿を含めましたところが第三ブロツク、それから中国、四国が第四ブロツク、九州が第五ブロツクでございます。で、ブロツクで推薦いたしましたかたがたで今度のこの十五名の理事が選ばれた、こういうわけであります。従いまして少数の人でやつたという意味合いにもならんわけでありまして、実際は各ブロツクことに今度は誰にしようということできめたわけでありますから、全体の代表という意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/219
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220・山下義信
○山下義信君 わかりました。最後にあなたのほうの日本遺族会のこの貸付けを受けられたのちの事業計画というものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/220
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221・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 無論ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/221
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222・山下義信
○山下義信君 それは資料としてすぐ出して頂けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/222
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223・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 取りに行つて持つて来させましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/223
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224・山下義信
○山下義信君 それは政府のほうで社会局の事業計画書並びに予算案として参考資料を配付しているのはこれと同じものですか。違うものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/224
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225・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 全部同じものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/225
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226・山下義信
○山下義信君 それは社会局の案をそのまま持つて来られるのでは何にもたらんのですよ。やつぱり遺族会のほうで一応の事業目論見書というものが当然なくちやならん。まだ作つておられんならそれでいいのです。ないものを出せと言つたつて尼さんに何とかで、ないものを出せというわけに行かないから、ないものはないでいいのです。それならば政府の事業計画をあなたのほうでやつてもらうという点で私は了承せねばならん。併しながら不完全ながら独自で当初立てた目論見書とか計画書というものがあるならば、あるならばあると御答弁願いたい。政府の計画書をもつて来て、これだというのじや意味をなさん。それを見て追及しようというのじやない。あなたがたが日本遺族会というものを作られたのはもう五カ月も前なんですからね。その間に目論見書というものがあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/226
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227・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 山下先生にお尋ねしますが、軍人会館の事業目論見書であるか、それから遺族会の目論見書であるかどちらでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/227
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228・山下義信
○山下義信君 それは軍人会館を政府が三月に、前国会にあなたのほうに貸付けるという法案を出したのですから、それを借受けたならどういう事業をするという計画がなけらにやならんわけですね。それを手を拭いて五ヵ月も七ヵ月も何らの計画も目論見もなしに待つておいでになるようでは、私は常識的でないと思う。何かそれについて研究されたか。貸付を受けたらどういう事業をしようというような計画やらを大体において私はなさつておいでになるのじやないかと思う。そういう御研究ができていなければいないでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/228
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229・佐藤信
○参考人(佐藤信君) 私からちよつとお答え申上げます。勿論現状におきましては財団法人日本遺族会の事業計画というものはそれは作つて、それぞれの機関の議を経まして確定したものがございます。その中に軍人会館の事業を取入れて、今後一年間の事業計画或いは十年先の事業計画というものは、その日本遺族会の現在の事業計画の中には入つておりません。但し軍人会館が手に入つたならばこういう事業をすると、当然この元の事業計画に加えて、軍人会館を取入れた事業計画をそれに加えて行くということにつきましては計画を立てまして、いろいろ研究をし調査をいたしておるわけでございます。大体でき上つてはいるが、まだそれは確定したものではないと、こういうことを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/229
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230・山下義信
○山下義信君 それはまあまだ手に入つていないのですからね、確定するというわけには行きますまいし、日本遺族会の事業計画として予算の裏付というわけにも行きますまい。これは今直ぐできるという見当は立たんでしようからね。併しながら一応の研究はなさつていると思う。なさつているはずだと思う。あれだけの厖大なものを手に入れて遺族のために福祉を図るということを呼号して全国の遺族に待望させておいて、そうして本当に法律が通つてから研究するというのでは遺族会の首悩部としてそういう漫々的なことがあるはずはないのですから、御研究をちやんとなさつて、幸いにして法律案が通つてあの入れ物が皆さんがたの手において運用されるということになれば、こういうふうにやる、ああいうふうにやるという御研究は、これは又一方にはお進めになつていなければならないと考えたから伺つたわけでありますが……。序でに最後に私伺つておきたいと思いますが、いろいろ案を作つて所期のごとく活用なさるについて、あなたがたのほうで直接できないような事業がありますね。美容室、食堂というようなもの或いは活動写真館もありますし、劇場のようなふうにお使いになることもあるでしよう。そういうことについての御準備というものも若干進んでおりますか。御研究しておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/230
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231・佐藤信
○参考人(佐藤信君) ちよつとお答え申上げます。その前に今山下先生からお尋ねありました事業計画のことにつきまして、この前のお答えがちよつと足りなかつたように思いますので、それを補足させて頂きたいと思います。前に申しましたように、軍人会館が手に入つたならばこういう事業をこういうふうに、こういうふうな規模においてやりたいというようなことに対して調査研究はいたしております。そうしてその大要の成案もできておりますということを申上げましたが、この計画につきましてはいろいろ厚生省と御相談をいたしまして、厚生省の御意思もございますので、あれの払下げを受けた場合にはいろいろ勝手にあれを使うというのではないわけであります。いろいろ使用の目的についていろいろの御指示もある。その範囲内でこれを利用して行かなければならないという場合におきましては、厚生省の御意思を受けて行くということについておのずから事業計画もきまつて行くという意味におきまして、事業計画は厚生省と相談して、そうして両者においてこれを作つたというものが今お手許に提出されておりまする事業計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/231
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232・山下義信
○山下義信君 わかりました。私はこれで……。
最後に、最後にと言うて済みませんでした、時間を経過して……。それじやもう一つだけ伺いますが、この事業の中においては相当巨額な運転資金が要ると思う。それで遺族会はその会の持つておられる財産、失礼でありますけれども、これは資本金といい、その他が承わるまでもなく、まあ殆んどあるのかないのか知りませんが、極めて少額である。実は主要メンバーの役員のかたがたがどれだけの財産への醸金をなされたかということを聞いているのですが、恐らくこれは現実にはまだそこまで行つていないと思う。従つてこの遺族会は資金を持つておいでにならない。あれを運営して行くだけの資金を持つておいでにならない。私はそういう資金についても今度著名な人が入つたから心配ないと思うのですが、いろいろ関係者の間で極秘になつているということを仄聞するのです。それでそういうことに必要な資金、例えば予算の中には三千万円とか、五千万円とかありますが、そんなことでは足らんかも知れませんが、相当の財源を要すると私は思いますが、そういうことについての見通しはどういう見通しを持つておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/232
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233・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) これは理事全部の責任におきまして、借入れその他の方法によりまして資金を集める予定で、よりより相談をいたしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/233
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234・山下義信
○山下義信君 私はその資金についていろいろ御相談やら話があつたことを仄聞しておりますので聞くわけです。相当巨額な資金が要るのです。そしてその資金の出資等についていろいろ話合いがあるのだろうと思う。見通しとしては御確信があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/234
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235・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 大体確信がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/235
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236・山下義信
○山下義信君 私の質疑は終りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/236
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237・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 他に御質疑ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/237
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238・有馬英二
○有馬英二君 理事のかたに伺うのですが、先ほど私は厚生当局にこういう質問をしたのです。御承知のように軍人会館は軍人が零細な自分の俸給から集めて、満鉄その他が金を出したりして建てて作つたということから、今御承知のように追放から解除されまして、全国の軍人が一団となつて一つ法人組織を作ろう、丁度恐らく数ヵ月のうちにはあなたがたの法人組織の日本遺族会と同じような何か在郷軍人会というようなものができるのではないでしようか、できるという話です。そこでこれは将来は架空のものじやないと私は思うのですが、軍人の人たちはこれは遺族だけがこれを財産にもらう、恩典に浴するということはどうも不当じやないか。だから自分たちに全部帯してくれというのじやない、そういう慾はかかんが、少くとも遺族会と同じように自分たちがそれを使うということの権利はあるものと考える。それだから若しそういうような団体ができたら、日本遺族会とどういう関係になるかわかりませんが、ともどもにそういう恩典に浴したいという希望です。私はさきに厚生省にそういう点についてはどう考えるかという質問をしたのですが、厚生当局は今のところそういうことを考えておらないと言う。あなたがたはどういう考えをもつておられるか、それを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/238
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239・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 軍人会館は、時代はいつか知りませんが、私の知つている範囲ですと、満鉄が日露、日清両戦役で亡くなられた戦没者の霊を慰めるという意味で御寄附があつたのだそうです。それに加えまして俸給から積立てたというお話も聞いております。併しながら将来は又いろいろ厚生省に御監督を願つておるのでございますから御相談をして進めて行かなければならんと思いますので、今、只今かようしかじかと申上げる段階でないように考えますが、併しながら同じ日本人でございますから、御相談にはいろいろな場面でお乗りすることができるのじやないかとも思います。併しながらこれは監督官庁のやはり御認可がないとできないという工合に了承しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/239
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240・有馬英二
○有馬英二君 ただこういう考え方、遺族というのは軍人の遺族なんですから、死んだ人の側だけにこれを使わして現に生きている軍人になぜこれを使わせないかという理窟も一つの理があるように私は考える。私は何も関係者じやないのですが、併しこれは何十万か何百万か知りませんけれども、そういうような軍人の会が今日本全体としてできつつある。そうしてやはりこの軍人会館を目当にしているわけです。これは必ず将来に何か、日本遺族会と軍人会との間に、この財産を巡つての経緯が起るに違いないということを私は予測するわけです。当るか当らんかわかりませんが、併しそれが私必ずしも理窟がないとは考えられない。遺族も困つているでしようが、併し追放されて今や解除になつた軍人も困つているということを私は認める。軍人の子供でやはり学校へ入れないという人もたくさんありましようし、職を失つて困つている人もたくさんあるのですから、やはりこの恩典に浴するということは、これは許さるべきじやないかと思うのです。今厚生省がどういう考えを持つておるということはそれは別ですが、それは今の大臣にも問うたわけじやないのですが、ただ局長の考えだけなんで、これは併しこれから国民全般の意思がどういう工合になつて来るかということはわかりませんが、今の遺族会もただ遺族の者が、若し軍人がこれを返せと言われたら、軍人会館のほうは軍人の意思によつて、或いは資金によつてできたのですから、軍人会のほうが発言権を多く持つているように私ども考える。遺族のほうは何もあれを作つたのではない。その軍人の遺族があれをもらうのですから、これは差支ないのです。私は反対をしておるわけじやないのですよ。反対はしておりませんけれども、将来そういうようなことがあつたらば、どういうような心持であなたたちがその軍人に対して或いはその軍人会の申入に対してお答えになるか、どういうお気持でおられるかということを伺えればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/240
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241・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 先生の御意見をよく伺つておきまして、又監督官庁の関係もございまするので善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/241
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242・山下義信
○山下義信君 私は質疑ではないのです。恐らく議事の進行をなさるだろうと思いますから、折角御両所に来て頂きまして、御足労を煩わしたこの機会に、私はお考えを承わつておきたいと思う。この種の仕事は非常に、俗に世間で言う危険ないろいろ収支計算が伴いますために、さまざまな世評を招き易い。当事者としては大変そのへん御苦労なさることだろうと思うのです。それでいろいろな、そこでいろいろな売店等やら各種の事業をなさるについて、業者を御選任なさつて、その業者薫入れになつたり、いろいろすることについて又何かと世評の噂も喧ましいことであつて、金銭も伴い、多くの人が出入りいたしますと、さまざまなことを言う。従いましてこのことを運営なさるにつきましては、高野委員からも先刻御指摘もあつたのでありますが、非常にこれは、殊に遺族のためにと打ち出した以上は、真に天地神明に恥ざるところの立派な経営がなされませんと、私はいろいろな噂が立つてはいけないと思う。それでこれは援けを受けられる遺族会のほうにも責任があるし、監督官庁のほうにも私は責任があると思う。それに対しての御覚悟を私は承わつておきたいと同時に、今一つは、この種の遺族団体が、私は政治的行動をすることはいけないと思いますが、御両所の御所見は如何でございましようか。それで私は率直に申しますが、遺族の利益を代表せられる各位が政治力を発揮してその目的を貫徹せられる段階は私は十分納得できるのです。併しながらその遺族会の名において或る特定の候補者を支持し、或る特定の政党の側に立ち、又それぞれの機関誌等を拝見するというと、常にそういう句いが濃厚であつて或いはその幹部の中から立候補される人たちができて、いわゆる遺族を食い物にする、売物にするというような傾向が生じますると、私は実にこれはお互いに自他慎まなければならんと思うのです。従来遺族更生連盟が遺族問題の解決のために天下を震駿させて、遂に今日のことに及ばれたその努力には衷心敬意を表しますが、同時に地方の末端の遺族団体等が常に選挙のときには、或いは選挙母体になり、或いは選挙の手先になる弊害なきにしもあらずと私は憂慮する。それで将来とも私はこの多くの、俗に言うこれだけの仕事、これだけの容れ物、これだけの権利を獲得されて、多くの遺族が、それが魅力を感じさせる大事業を掌握するものが、そういう団体が、これが政治的に動く、それが政治的に利用せられるということになりますと、私は実にこれは慎まなければならんことであろうと思うのであります。そういう点に対しまして、従来遺族更生連盟の幹部であられた御両所、又現在財団法人日本遺族会に引続いて役員として御就任になつておられるお二人に、これは従来から遺族会の幹部として我々もお馴染を重ねて来ているのでありますから、将来に対してそういう二点につきましてどういう御見解を持つておられるかということを、私は速記のある間に承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/242
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243・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 山下委員からのお尋ねの経営面に対するいろいろな御心配、私と全くこれは同じ意見でございます。この点につきましては、誤解を招かないようにと思いまして苦慮いたしておるわけでございます。
それから第二点の政治問題ということに関しましてお答え申上げますが、以前はこれは日本遺族更生連盟時代は、団体等規正令の届出をさせよという、何と申しましようか、そういう御当局の御指示がございまして、政治運動的なこともずつとやつて来たわけでありますが、もうその段階は過ぎまして、今は落着いて遺族の福祉を図つて行けばいいんだというような形にお陰でなつたわけでございます。従いまして、これからはそういつた色は払拭いたしたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/243
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244・高野一夫
○高野一夫君 最後に私お願い且つお尋ねしておきたいのですが、先ほど現在の役員の理事のことについて藤原さんからお尋ねがございましたが、藤原さんの御意見に私も非常に御尤もだと思う点があつたのですが、それはこの中に女性代表が一人も入つていない。これはやはり普通の社団法人と違つて財団法人ですから、理事の選定にもいろいろの制約があつて、そう簡単に行かないと思いますが、やはり社会的にいろいろな意味においた信用のある女性代表も必ずおられると思うので、女性代表が一名でもお加わりになれば見た目もいいし、(藤原道子君「見た目じや困るのだよ」と述ぶ)そうじやない……、見た目もいいし、それから何とへく感じもいいし、又違つた意見も出十しようし、かたがた名実共にいいと思いますので、その辺のところもこの次の役員の改選をされる機会でもあつたらお考え願いたいものだと私も思うのですが、ちよつと簡単にお考えを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/244
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245・長島銀藏
○参考人(長島銀藏君) 只今の高野委員のお説、誠に御尤もでございまして、今度実は理事を増員することになつております。それでその理事は大体六十名といたしまして、一道一部二府四十三県ですか、このかたがたの代表を全部理事にいたしまして、それから学識経験者も五、六名お願いをいたしまして、それからあと十名ばかりまだあくのでございます。全国の代表の中にも無論婦人を混えてもらいたいということを私ども言つております。果してそういう形になつて来るかどうかわかりませんが、婦人も、高野先生二、三名というお説ですが、もつと殖やしまして、十分御意見のように取入れて行くことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/245
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246・高野一夫
○高野一夫君 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/246
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247・藤原道子
○藤原道子君 私その点発言しようと思いましたが、もう時間がございませんからやめました。ただ女を入れたら見た目がよいというような考えでなく、遺族の絶対多数が女であると、遺児の問題も、未亡人の問題も、真剣にやつて行こうとする御意思があるならば、私は私の期待に一つどの程度応えて下さるかを拝見いたしておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/247
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248・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 他に御発言ございませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/248
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249・常岡一郎
○常岡一郎君 ちよつとお尋ねいたしますが、役員の選定ですね。理事なんかきめるのは誰がきめるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/249
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250・佐藤信
○参考人(佐藤信君) 私どものほうの役員の選任方法は、全部選挙によることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/250
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251・常岡一郎
○常岡一郎君 選挙母体は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/251
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252・佐藤信
○参考人(佐藤信君) 現在の機構は、各都つ道府県から一名ずつの推薦を頂きましたのが評議員になつております。四十六都道府県で四十六名でございます。この一名を推薦することは、各県に遺族連合会というものがございますから、その遺族連合会の会議によつて、その会から選出をして参ります。それを評議員に任命し、そのほかに学識経験者から理事会の決議によつて推薦した者を評議員に加える。その評議員から評議員の互選によりまして理事を選出する、こういう形になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/252
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253・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/253
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254・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) それでは速記を始めて下さい。
別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/254
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255・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
午後六時三十分秘密会を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/255
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256・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/256
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257・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 本案に別紙のような附帯決議を付することの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/257
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258・榊原亨
○榊原亨君 只今の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/258
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259・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 附帯決議を朗読いたします。
附帯決議
一、財団法人日本遺族会は本法により無償貸付を受けた国有財産に付特に厳正且つ民主的な使用運営を期するため、その寄附行為を変更して国会側を含む各界の代表的有識者を以て構成する運営委員会を設置し、諮問機関とすること。
二、財団法人日本遺族会をして十分なる準備を整へさせるため、約三ケ月の期間を置き、十一月一日以後において無償貸付の契約を結ぶこと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/259
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260・榊原亨
○榊原亨君 只今の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/260
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261・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 只今の大谷君の附帯決議の動議は成立いたしました。
他に御発言はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/261
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262・湯山勇
○湯山勇君 私は本案に只今の附帯決議を付することを条件として賛成をいたします。
なお本案の審議に当りましていろいろ問題点が指摘いたされましたが、それらの点につきましてはいろいろ疑念が残つておる状態でございます。従いまして特にこの附帯決議の実施に当りましては、十一月一日以降という期日が明示されておりまして、いつ渡すということははつきりいたしておりません。で、渡すまでの期間の間には、この厚生委員会を開かれる機会も多々あることだと思います。従つて附帯決議の趣旨並びに質疑の過程において問題にされておつたような点が払拭されたかどうか、或いは附帯決議の趣旨が十分果されているかどうか、そういうことを更に本委員会に御報告願つて確認する機会を必ず持つて頂きたい。こういうことを強く要望いたしまして本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/262
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263・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 他に御発言ございませんか。他に御意見もないようでございますから討論は終結したものと認めて差支えございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/263
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264・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。
財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律案を衆議院送付案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/264
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265・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 全会一致でございます。よつて本案は衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
次に大谷君提出の附帯決議を採決いたします。
大谷君提出の通り附帯決議を付することに御賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/265
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266・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 全会一致と認めます。よつて大谷君提出の通り附帯決議を附することに決定をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/266
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267・安田巖
○政府委員(安田巖君) 附帯決議の第一につきましては、日本遺族会がそういうようにいたしますように指導して参りたいと思います。
第二につきましては、御趣旨の通り取運びます。
なお湯山委員の仰せのことにつきましては、委員会がございましたならばその機会に御報告申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/267
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268・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 速記とめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/268
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269・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 速記始めて下さい。
先ほど可決になりました法案を委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
高野 一夫 山下 義信
江田 三郎 湯山 勇
西岡 ハル 横山 フク
藤原 道子 榊原 亨
林 了 有馬 英二
常岡 一郎 大谷 瑩潤
中山 壽彦発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/269
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270・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 署名漏れはございませんか。署名漏れはないものと認めます。
なお本会議における委員長の口頭報告については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/270
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271・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
暫時休憩いたします。
午後六時三十九分休憩
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午後六時五十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/271
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272・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 委員会を再開いたします。この際追加いたしまして、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案者から提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/272
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273・山下春江
○衆議院議員(山下春江君) 只今議題となりました引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
引揚同胞対策審議会は第二回国会に衆参両院において議決されました引揚同胞対策に関する決議に基きまして法律第二百十二号を以て昭和二十三年八月から最初は一年を限つて総理庁に設置され、海外同胞の引揚促進、帰還者、遺家族及び留守家族の援護等に関する諸問題につぎ民間の陳情を審議し、且つその実情を調査して、引揚同胞対策を考究いたし、その結果を内閣総理大臣に報告して参つたのであります。
併しながら海外同胞引揚に関する諸問題は未だ完全に解決を見ず、情勢の変化と共に困難視せられておりましたが、漸く最近中共地区よりの引揚及び外地戦犯の赦免、内地送還と共に明るい見通しが見られる状況になつて参つたのであります。従つてこの設置法も現在まで五回の改正を重ね、引続いて今日に及んでいるのでありまして、今日までこの審議会で取上げられ調査した結果、総理大臣に報告されました事項は十数件に上り、その殆んどが政府の施策に組み込まれている点より鑑みましても、この審議会の重要性が窺われるのであります。
この法律案の要点は未帰還者留守家族等援護法における政府の未帰還者の帰還促進及び調査究明に対応して、この審議会を更に三年間存続させるため、本法第七条中の「施行の後五年」を「施行の後八年」に改め、本法が本年八月で消滅するのを更に延長しようとするものであります。独立以来一年有余になります今日、なお多数の同胞が海外に残留し、故国に帰ることを得ないのは国民の一大痛心事でありますが、今日中共地区よりの引揚、外地戦犯の赦免、及び内地送還の実現並びにソ連地区抑留同胞に対する一縷の明るい見通しが認められるこの機会に引揚問題に関する多年の懸案を解決することは現在の急務であると存ずるのでありまして、政府はその責任において未帰還者の調査究明と帰還促進に努め、国民の憂慮を一掃すべきであります。かかる事情に鑑み、未帰還者留守家族等援護法に対応し同法運用の妙を発揮せしめるため、更にこの法律の有効期間を延長して、この引揚同胞対策審議会を存続する必要があると考えるのであります。以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ御審議の上、速やかに御賛成御可決せられんことを切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/273
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274・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/274
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275・中山壽彦
○中山壽彦君 質疑もないようでありますから、討論を省略して直ちに採決されるよう動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/275
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276・榊原亨
○榊原亨君 只今の中山委員の動議に賛成します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/276
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277・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 只今の中山君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/277
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278・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それでは質疑を打切り討論を省略して採決いたします。引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案を衆議院送付案の通り可決することに賛成のかたは挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/278
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279・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 全会一致でございます。よつて本案は衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次署名を願います。
多数意見者署名
湯山 勇 藤原 道子
西岡 ハル 高野 一夫
榊原 亨 中山 壽彦
有馬 英二 常岡 一郎
大谷 瑩潤発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/279
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280・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 署名漏れはございませんか。署名漏れはないものと認めます。
なお本会議における委員長の口頭報告については委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/280
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281・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
それでは暫時休憩をいたします。
午後六時五十六分休憩
〔休憩後開会に至らなかつた。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03019530807/281
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