1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十七日(月曜日)
午後一時四十四分開会
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委員の異動
七月二十四日委員岡田宗司君辞任につ
き、その補欠として木下源吾君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 森崎 隆君
理事
秋山俊一郎君
千田 正君
委員
青山 正一君
野田 俊作君
森 八三一君
松浦 清一君
菊田 七平君
政府委員
農林政務次官 篠田 弘作君
水産庁長官 清井 正君
水産庁次長 岡井 正男君
郵政省電波監理
局長 長谷 愼一君
事務局側
常任委員会専門
員 岡 尊信君
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本日の会議に付した事件
○久六島周辺における漁業についての
漁業法の特例に関する法律案(内閣
提出・衆議院送付)
○水産政策に関する調査の件
(民間放送の漁業放送に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/0
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001・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 只今から委員会を開会いたします。
本日の議題の第一は、久六島周辺における漁業についての漁業法の特例に関する法律案、提案の理由説明を篠田農林政務次官からお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/1
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002・篠田弘作
○政府委員(篠田弘作君) 久六島筒切における漁業についての漁業法の特例に関する法律案についてその提案の理由を御説明申上げます。
昭和二十六年漁業法改正により、久六島周辺の漁場に新たに共同漁業権が設定されるに当りまして、漁場の利用関係と、これに関連して古くから不明確であつた同島の地籍の所属につき、青森、秋田両県の間に紛争が生じたのであります。爾来二年余、政府としましては、両県間の斡旋に努めると共に、漁場利用関係の調整のため、漁業法の特例を設けた後に、同島の地籍を決定する方針の下に両県関係者とたびたび協議を重ねて参りましたところ、去る七月十八日両県沿岸漁民の漁業の操業に不安を与えないことを旨とし、両県とも漁業上の問題について完全に意見の一致を見たのであります。
この法律案は以上のような経緯に鑑みまして漁業法の特例を設けようとするものであります。即ちその趣旨とするところは、漁業法によれば、漁場を管轄する都道府県知事が漁業の免許可を行うことになつているのでありますが、久六島周辺漁場に関し、将来万一紛争が起り、その調整のため必要がある場合には、農林大臣がみずから同島周辺の漁場を管轄する県知事の漁業法に基く権限を行うことができるようにいたしたのであります。
何とぞ慎重に御審議の上、速かに御可決されるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/2
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003・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 有難うございました。引続きまして同法案につきましての御説明を水産庁のほうからお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/3
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004・清井正
○政府委員(清井正君) 只今提案理由の御説明があつたのでございますが、なお少しく御説明を附加えたいと思います。問題となつております久六島は青森、秋田県境の真西の線のやや北にございます日本海上の島嶼でございます。本土より約二十哩程度の距離にある極く小さな岩礁でございます。この問題につきましては、地籍の問題につきまして、青森、秋田両県において古くから争いがあつたのでございますが、更に水産関係といたしまして、同島周辺におきまして、「あわび」、「さざえ」等の貝類つの漁業をいたすことがありましたし、又一部「たなご」の角網定置漁業をやつておりましたし、或いは更にその周辺海面一帯に「ほつけ」の漁業がありましたので、この問題は地籍という問題と離れまして、更に漁業の問題といたしまして、古くからいろいろ問題があつたのでございますが、併しながら、この問題も爾来両県の関係官民の間におきまして早急に解決いたしたいという機運が、醸成されて参つておりまして、たまたま水産の関係が多いのでございますので、水産庁におきまして両県の間の斡旋の労をとりまして、過去二年以来、いろいろ当庁が斡旋役となりまして、両県のかたがたと折衝懇談を重ねて参つて来たのであります。昨年の漁期におきましては、実は両県の間に或る程度の争いが起りまして、水産庁の或いは海上保安庁の取締船も現場に出動したというようなことがあつたのでございましたが、本年の漁期につきましては、いろいろ両県間におきまして話合もあり、かたがた私どもこの問題につきまして、いろいろ斡旋を重ねて参りまして、何とかして解決をしたいという機運が、只今申上げた通り醸成して参つておつたのであります。問題は先ほど申上げました通り、同島方面海域の「ほつけ」旋網の問題と、同島ににおきまする共同漁業権との問題に分れますが、先ず「ほつけ」旋網の漁期が先に参ります関係上、いろいろ問題になりまして、水産庁といたしましても、いろいろ斡旋の労をとつて参つたのでありますが、去る四月の二十一、二十二の両日、宮城県において、両県下におきまする話合が付いたのでございまして、主として「ほつけ」の旋網は、秋田の旋網漁業が青森県の海面沖合において漁業をいたしますために、秋田県の「ほつけ」旋網漁業に対して、青森県の知事がそれを許可するという問題であるのであります。この問題につきましては、いろいろ御相談になつた結果、とにかくこの問題が円満に解決いたしまして、本年の「ほつけ」漁業も極めて円滑に両県の船が秋田及び青森県の沖合、日本海面におきまして操業をいたしたのであります。次いで「ほつけ」の旋網の問題が解決いたしましたに伴つて、更に懸案でありますところの久六島周辺の漁業権の問題につきまして、いろいろ根本的な解決を見出したいということでございまして、又私もこの機会に両県のかたがたが何とかして解決したいという機運にありまするから、この際何とか解決できないものかどうかということにつきまして種々斡旋をいたしまして、数次に互りまして、いろいろ会談をいたしたのでありますが、これ又幸いに両県当局の熱心なる努力によりまして、六月二十二日より二十四日主での間において相談いたしまして、最後の協定が根本的な了解に達しましたのであります。その後更に去る七月二十四日最後的に全般に亘りまして、この久六島周辺の漁業に関する問題につきまして完全な了解に到達し、水産庁が立会の上で両県三者間におきまして協定書の円満なる調印妥結を見ました次第であります。
最後に、久六島問題の解決に関する覚書におきましては、すでに資料により御覧と思いますが、結局確認事項として三点が上つておるのであります。その第一点といたしましては、「両県沿岸漁民の漁業の操業について不安のないことを旨とし、将来万一紛争が起つた場合には、農林大臣はみずから知事の権限を行うことができるよう成るべく速かに立法措置を講ずるものとする。」ということが、一点として挙つておるのであります。それから第二点といたしましては、「漁業の免許可については、漁場を管轄する知事が行うことになるが、漁場の管轄が明確になるまでの間は、漁業法第百三十六条の規定により農林大臣が措置するものとする。」ということが第二点であります。第三点は、「免許並びに許可漁業の細目等については、水産庁及び両県事務当局において速かに協議決定するものとする。」という三点をきめまして、なお細かい点につきましても決定をいたしたのであります。
御審議願います法律案は、この久六島問題の解決に関する覚え書の第一点の、いわゆる「両県沿岸漁民の漁業の操業について不安のないことを旨とし、将来万一紛争が起つた場合には、農林大臣はみずから知事の権限を行うことができるよう成るべく速かに立法措置を講ずるものとする。」というこの項目に基いて、今回政府において法律案の審議をお願いたす次第であります。即ち法律案におきましては、「農林大臣は、久六島周辺の農林大臣が指定する海域における漁業につき、漁業調整上特に必要があると認めるときは、当該海域内にある漁場を管轄する県知事の漁業法に基く権限の全部又は一部を行うことができる。」というわけでありまして、特に御説明するまでもなく、漁業調整上特に必要があるということを農林大臣が認めるに至りました場合におきましては、当該海域にあるところの漁場を管轄する県知事の漁業法に基く権限、即ち漁業権の免許とか、許可とか等あるのでございますが、そういつた当該県知事の漁業法に基く権限の全部又は一部を農林大臣が行うことができる、こういう一本規定をいたしたのであります。この発動いたしまする場合におきましては、その旨を告示しなければならないということを更に附加えておるのであります。まあそういつたような法律の基礎によつて、この覚書の第一点がこれによつて解決せられておるわけであります。第二点は、これは申すまでもなく、現行漁業法におきまして、管轄区が明らかでないところの漁場については、現行法の第百三十六条によつて農林大臣が措置することになつておりますので、その旨を規定いたしたのであります。第三点につきましては、先ほど申上げました通り、両県で完全に協議決定になつておるのであります。
以上のようなことでございましてこの法律を御決定願いますにつきまして、以上挙げますようなこの問題につきまして、長年関係県におきまして問題になつた懸案がすべて円満に妥結することができるのであります。極めて法律は簡単な法律でございまして、特殊な事情ではございますが、そうした実情に基く特別な立法でございますので、この点御了承願いたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/4
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005・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 本法律案につきまして御質疑のおありのかたは順次御発言を願います……。
別に御発言もありませんようですから、質疑はこれで尽きたものと認めて御異議はございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/5
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006・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにいたしまして御発言を願いたいと思います。
別に御発言はございませんか……。それでは御意見もないようつでございますから、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/6
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007・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に移ります。
久六島周辺におけるつ漁業についての漁業法の特例に関する法律案につきまして、これより採決に人ります。本法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/7
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008・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 全会一致でございます。
よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容等爾余の手続は、前例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/8
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009・森崎隆
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めます。
それでは本案を可とされましたかたの順次御署名を願います。
多数意見者署名
秋山俊一郎 千田 正
青山 正一 森 八三一
野田 俊作 松浦 清一
菊田 七平
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/9
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010・森崎隆
○委員長(森崎隆君) ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/10
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011・森崎隆
○委員長(森崎隆君) それでは速記を始めて下さい。
この際法案以外のことでございますが、ちよつとお願い申上げたいと思いますが、民間放送の問題で、特に瀬戸内海関係で漁業放送を早くからやつてくれという熱望が随分協同組合のほうからあるのでございます。それで、今民間放送がどういうような計画になつておるか私も十分にはわかりませんが、岡山、高松あたりがこの漁業放送から考えますると中心になるのじやないかと考えておるのです。特に高松の民間放送設置関係の人からの強い要望としましては、是非そういう漁協のかたの要望に応えて、うんと魚価の放送とか、天候の放送とか、いろいろな問題を全部取上げてやりたいが、あれを中心にして放送をするといたしましても、今何か割当が大体百でございましたか、何か近くの他の松山、高知、徳島は皆五百になつておるが、百くらいなんだそうですね。それではとても瀬戸内海全体に対する漁業放送の効果を出すことができないので、この点について是非とも一つまあ電波監理委員会のほうで善処願いたいというお話が実はあるわけなんですが、その間の御計画なり、御意向なり、委員会ほのうで一つどういう模様でございますか、ちよつと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/11
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012・長谷愼一
○政府委員(長谷愼一君) 只今お話の民間放送を漁業方面に活用なさることにつきましては、私どもも非常に結構なお話ではないかと思います。勿論この漁業に関する放送の内容の如何によりましては、現在の民間放送ばかりでなくて、日本放送協会の放送もその協力を求めることができるだろうと存じますし、又日本放送協会も御協力するに違いないと思いますが、いろいろな御事情から民間放送を御活用になろうというお考えも一つの方法ではないかとも存じます。尤も民間放送は御案内のように、いわゆるスポンサーに時間を切り売りするような恰好をとつておりますので、漁業協同組合なりが民間放送の或る時間を買つて漁業に関する放送をするというような形、或いは又ニユースの時間に漁村向けの放送をやるというようなこともできるだろうと思いますが、民間放送は御案内のように一般の聴取者を相手にしてたくさんの人が聞くような番組を編成をし、それによつて時間を売つて行くということでございますので、いつも特定の放送だけを特定の方向に向つてするというわけには行かないだろうと思います。従いまして、今申上げましたように或る時間を適当に御利用になるということではないかと思います。いずれにしましても、今お話の瀬戸内海方面におきましては、現在民間放送で運用されておりますのは、大阪、神戸を別にいたしますと、徳島及び広島だけでありますけれども、近く今お話の高松、岡山及び愛媛のほうにもできることになつておりますが、実は電波は御案内かと存じますけれども、無限というわけには行きませんので、非常に限定されております。それに非常にたくさんの放送局が入つております。又日本の内地ばかりでなくて外国放送との関係等もありますので、特に近畿、それから四国の東部の辺におきましては非常に電波が混み合つておる所でございますので、過般来数ヵ月に亘つて公聴会を開き、或いはいろいろな実地調査等もいたしました結果、一つの計画が出来上りまして、これは割当ての計画なわけでありますが、これに従つて民間放送をどこにどのぐらい置けるかというような具体的なところまで決定いたしまして、それに基いて実は申請を現在審査中なわけであります。この計画によりますと、いろいろ御要望もありましたけれども、高松にはどうしても民間放送としての百ワツト以上が技術的に不可能な状態でありますので、百ワツトで御計画をして頂いておるわけであります。なおこの際御参考に申上げますと、高松には従来から日本放送協会の放送局があります。これも従来地元の非常な強い御要望がありましたけれども、どうしても百ワツトから五百に増力することが不可能でありまして、最近まで百ワツトのままで運用しておつたのでありますが、今回の計画におきましては、長い間の香川県及びその附近のかたがたの御要望に副うように、このNHKのものだけは多少無理ではありましたけれども五百ワツトに増力されております。併しこれ以上民間放送その他のものを増力することは現益不可能な状態にありますので、実は申請者のほうにもよくその事情を御了承願つて現在進んでおるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/12
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013・森崎隆
○委員長(森崎隆君) この問題につきましては、又いろいろと要望者のほうからもつと詳しいような資料を要望されると思いますが、できるだけ一つ民意に答えるように御協力頂きたいと思います。
それでは委員会はこれを以て散会いたします。
午後二時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614562X01519530727/13
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