1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月二十五日(火曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 中井 一夫君
理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君
理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君
理事 鈴木 幹雄君 理事 西村 力弥君
理事 門司 亮君
熊谷 憲一君 保岡 武久君
藤田 義光君 阿部 五郎君
石村 英雄君 北山 愛郎君
大矢 省三君 中井徳次郎君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林与三次君
委員外の出席者
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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五月二十五日
奄美群島復興特別措置法案(保岡武久君外二十
四名提出、衆法第四三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員及び小委員長の選任
連合審査会開会申入れの件
地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/0
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001・中井一夫
○中井委員長 これより会議を開きます。
地方公務員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますので順次これを許します。西村さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/1
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002・西村力弥
○西村(力)委員 地方公務員法そのものに対してわれわれは基本的立場において反対を続けて来、なおわれわれとしてはこの法の撤廃にまで向つてやろうとするのですが、このたび改正法を拝見いたしますると、いろいろございまするが、まず第一に不利益処分を受けたときの理由書の申請期間を十五日以内と定めたということはいかなる理由に基くものであるか、これは昨日も質問があつたではないかと思いまするが、
〔委員長退席、鈴木(幹)委員長代理着席〕
私たちとしましては事務手続の簡素化、迅速化、こういう理由以外に、こういうことによつて不利益処分を受けた公務員が自己の身分を守ろうとする、そういう正当なる行動を制限しようという意思があるように思われる。それで十五日以内というぐあいに制限された理由について、ひとつお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/2
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003・小林与三次
○小林(与)政府委員 これはきのうも一応御説明申し上げたのでございますが、今お尋ねのような意図は実は全然ないのでございます。そこでこれは地方公務員法の四十九条をごらんになればわかるのでありまして、四十九条の一項で懲戒された、明らかに不利益であるという処分を行う場合には、任命権者は必ず理由を書いた説明書を交付しなければならないことに実はなつておるのでございます。そこでそれでなしに一般の任命権者が普通の異動その他の処分をやつた、これは不利益にする意図は一つもないのでありますが、普通にやつた場合において、本人の気持か何かで自分が不利益じやないかと不審に思う場合が実はあり得るわけであります。でありますからそういう場合に職員に対して審査の申立、その他の機会を与えておく必要があるのじやないか。本人がそういう気になつておれば、本人が不審をただす道だけは開いておく必要があるのでございます。それが実は四十九条の二項でありまして、そういう場合に本人が任命権者に対してどういうわけでやめさせるのか——やめさせることはありませんが、普通異動だと思いますが、どういうわけで異動させるのかという説明書の交付を請求することができることになつております。ところが説明書の交付を請求する期間が現在法律上制限がないので、半年であろうが、一年であろうが、二年であろうが、いつでも思い出してやり得る、こういう建前に法律上なるわけでございます。そこでこの説明書の交付の請求があつたあとから、ほんとうに人事委員会に対する審査の請求権がはつきりするわけでございますが、そういたしますと、審査の請求が、一方において現在の第四項におきまして、説明書の交付を受けた職員については交付の日から、三十日以内にやれるという制限がございまして、これは一般的にこういう審査の請求とか異議の申立てというものは期間を定めまして、法律上の処分の効果というものをほどほどの期間で確定させる。こういうことが行政上の扱いとしては適当でありますので、現在の原案にその期間の制限があるわけであります。でありますから明らかに不利益な処分を受けた人たちでも、説明書の交付から三十日以内、こう書いてあります。そうでない、事実上何でもないが本人にとつて不審だという場合についての期間の制限がありませんので、同様な扱いとして期間をきめまして、法律処分についての一応のきまりを与えよう、こういうのでその期間を定めたのでございまして、現在のその他の扱いとむしろ均衡がとれることになりまして、本人にとつては特に不利益というほどのことでもありませんし、それからこういう処分についての結着を与える、そういう趣旨にほかならないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/3
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004・西村力弥
○西村(力)委員 これはやはり今の法のように、三年過ぎても思い出して理由書の交付を受けることができる、そういう非常識なこともやれるようにしておくことはあまり好ましい、適当なことではないと思います。ただ私は十五日以内と非常に短期間に区切つたところに問題を考えるわけなのであります。事実上公務員は自分たちの職員団体を結成する権限を与えられている。そうして職員団体のその団結の力で自分たちの地位、身分あるいは勤労条件、こういうものを確保して行くわけなのですが、この身分上の不利益を受けた場合に、ほんとうにその人の不利益を排除するということは、単に一個人の問題ではない。これは同じ組織に連なる全体の公務員の問題として考えられる。そうでありますので、不利益な処分を受けたと自分も考え、他もそう考える、しかしそれをほんとうに徹底的に、その不当を鳴らして法的な手続を踏み、自分で自分たちの勝利にする、こういうことにするためには、単に個人が思いつきでその理由書の申請を受けるというようなぐあいに参らない。よしんばそういうことをやつても最後まで闘う力というものは個人にはない。だからほんとうに勝ち抜くためには組織を通して検討をして、そうしてこのような前例をわれわれが認めるならば、確かに次々と同僚諸君がそういうぐあいになつて行くという組織の意思決定ができて、そうして最後までこれを勝ち抜くという組織全体の意思と、それからいろいろな資金上の問題とかそういう準備一般を完了して、それからかかつて行く。普通に皆さんが考えられる一人だけのこととして一人だけがかつてに理由雷の交付を受ければいいじやないか、こういうぐあいに簡単には行かない。組織を認める現在の立場から見て、そういう事情というものは当然考えられなければならないものであろうと思う。私はそういう点からいうて組織というものが民主的な運営をするならば、下の方からその事情を職場でよく検討し、それが代表によつて持ち合わされて討論され、最後の意思が決定される、こういう手続を踏む。すなわち時間的な余裕というのは相当大幅に見なければならない。そういう点からいうて、十五日以内にしたということは、そういう手続一切を踏み得ないというぐあいに制限するのだ、こう断ぜざるを得ない。本人は不利益だとはいつても組合にそれを相談する余裕もない。やつてみたつて、不利益だということがわかつて、理由書が来たつて、それを最後まで闘い抜く組織のバツク・アップもないとしたならば、やつてその理由書の交付を申請しても、これは単に理由書を受けて、そうして沈黙する以外にない。そうすればその理由書を正当であるとむしろ認めてしまつたことになる。だから軽々に、最後までその理由が不当だということで勝ち抜く見通しを立てないうちは、理由書の申請ができない。簡単に理由書の申請をやつて、理由書が出たあと何にもできないということになれば、その理由をはつきり自分が承認したということになる。それだからそういうことはできない。そういう事情を私たちは実際の問題としてよく承知しているので、この十五日以内というぐあいに制限したことは、どうも政府において当然の公務員の地位保全の権利を制限する意図を持つて、こうやられておるのだと思わざるを得ない。私は実情を申し上げましたが、そういう点からいいまして、もつとこの期間を延長することが妥当であるというぐあいに考えられないかどうか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/4
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005・小林与三次
○小林(与)政府委員 今のお話でございますが、これはお話の通り不利益処分を受けたときに、事実上そうした職員団体その他のバツク・アップによつて事を運ふということは、十分にあり得ることだと思うのでございます。しかしながらそれは結局さらに説明書を受けて審査を請求するかどうか、こういうまた第二段の問題があるわけでございまして、現在これは御案内の通り、さらにまた三十日のゆとりがあるわけでございます。それは今の場合だけでなく一般的に明白に懲戒その他の処分をやつた場合でも、それから三十日以内に審査の請求ができるわけでありまして、ほんとうの争いと申しますか、そういうものは、審査の請求で表に出るわけでありまして、説明書の交付はそうじやなしに、ともかくある行政処分があつたときに、どうも理由が納得できがたい、聞いてみれば話がわかる場合もありましようが、理由が全然わかりませんので、その説明を求めるというだけでございますから、これは単に処分があつた後、どうも妙だ、こう気がつけば、どういうわけですかというだけの問題でありますから、この期間に十五日というのは、われわれといたしましてはほどほどのところではないだろうか。それからあとで、さらに審査を請求するか、せぬか、こういう段取りになりまして、それにつきましては現行法の三十日が働くわけでございますから、実はそれをずつと合計いたしますと、一番短かくて四十五日、おまけに説明書の申請がありましても、任命権者はその日にすぐ説明書を書けるか書けぬかわかりませんので、なおここに十五日という期間がありますので、これを入れますと、正式の争いをかりにやるとすれば、二月くらいゆとりがあるわけでございます。現在国の公務員法におきましてもこういう同じ問題があるのでありますが、これは処分を受けた日から三十日以内に審査の請求、こういうことに実はなつておりまして、これはまるつきり三十日がぎりぎり精一ぱいでございして、それから見るとわれわれの地方公務員法は扱いがきわめてゆるやかになつているとも申せるのでございまして、われわれといたしましては、この程度ならばまあ十分であろう、こういう見解を持つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/5
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006・西村力弥
○西村(力)委員 説明書の交付を受けるというのは、組合の団体交渉やその他においてもいろいろ話はあつたが、どうしてもそれは納得できないというときには、公的な手続として説明書の申請を受ける。今申されたような、事情が皆目わからない、それで突然何が来て、だから理由書の交付を受ける、こういうようなぐあいには行かないので、いろいろ話合いに話合いを重ねた結果、どうしても納得できない、こういう、理事者側の意思もはつきりして、そうして公式に提訴を始める場合に、説明書の交付を求めるようになるのです。これはその通りなんです。だからそのときにはもう本人の意思というものは、はつきり、理由書の交付を受ける、受けないにかかわらず、これは不当だ、そういう判断に基いておる。しかしその判断が組合全体の意思としてまとまるまでには、軽々に個人の行動をやつても、ただ自分自身があとで泣寝入りをしなければならぬようになるし、組合にとつても、他の同僚諸君にとつても、決してプラスにならない、こういう観点に立つて、あらゆる闘争の手続、段取りをつけて、そうして後に理由書の公式な交付を受けるようになる。だからあなた方か考えるように、何だかわからないから、まず一応理由書だけとつておこう、こういうように簡単には行かない。しかしそんなことをしてとつた理由書というものは、ただ法何条によつて、どうだといつてよこすだけであつて、どういう理由か、克明に、親切にされるはずはない。わかるなんということは全然ない。ただ理事者の一方的な理由のみをつけてよこすだけです。それで、はい、わかりましたというようなぐあいに行かない。そういう事情をよくお考え願わなければならぬと思う。そういうふうにして理由書の交付の申請をするのですから、交付を受けたあとの三十日の期間なんというものは、これは十分なんだ。初めから最後的に人事委員会あるいは裁判にまで持つて行くという、そういう準備一切を完了して後の理由書の交付申請だから、人事委員会その他にかける期間はあまり要しない。むしろ私が今まで申したように、理由書の交付を受けるまでの諸準備というものに、組織の一員として、あるいは組織として相当の期間を要する。だからそういう事情も考えられまして、ここは大幅に延長されるべきだ。現行法を改正せられることはいいと思うが、十五日にされるということについては、これは実際の組合の意思をまとめて、本人を中心として全組合の問題としてこれを争つて行く期間としては足りない、こう言わざるを得ない。その点われわれとしてはどうしても最低三箇月は要するであろう、こういうぐあいに思うのでございますが、どうでしよう。野党側のわれわれの言ことでも、事情はよくわかつたというようなぐあいには御答弁願えないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/6
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007・小林与三次
○小林(与)政府委員 今のお話でございますが、今お話の通常の場合は第一項でやる場合でありまして、処分をするとか、せぬとか、いろいろ問題があつて、団体交渉その他の過程においていろいろ論議されておつたような事件をやる場合は、たいてい不利益処分に違いないから、これは一項で処分をする場合に、当然に説明書を任命権者が交付しなければならぬわけでございます。これが大半の場合だろうと思います。これは通常の異動をちよつとやつた、ある課の課長補佐から隣の課あるいは教育委員会の課長補佐というような、ちよつと違つた役所にかえた、こういうような場合に、不利益であるかないか、こういうことについて本人にとつても争わせる道だけは開いておく必要があるんじやないか、こういうところでこぼれたものを全部道を開いておかなければならぬというのが、現在の二項の建前だろうと思うのでございます。でありますから、通常は理由書があるのでありますが、そうでなく、ただ異動があつたときに、栄転ならば、だれもそんなことは気にしませんが、凡転というようなときに、これはちよつと妙じやないかというような場合に、どういうわけかと聞くだけの問題でございますので、この説明書の交付については、それほど非常に重々しく重大な手続として数箇月を要するというほどに考える必要はないと私は思うのでございます。これは一般の訴願とか異議の申立とかいうものにつきましても、地方自治法あたりでも一般的に提起の期間が全部ありますが、これは地方自治法は、普通の一切の税その他の処分についての訴願、訴訟、異議の申立は、通常は処分の日から二十一日という扱いにいたしているわけでございますが、これは個人の身分に関する特に重大な問題だからというので、説明書の交付からさらに三十日ということが公務員法の建前になつておりまして、その前の、理由を聞くというだけの問題でありますから、この期間の長短にはいろいろ御意見はありましようけれども、われわれといたしましては、これにつきましてはこの程度あれば十分じやないか、こういうふうに実は考えておるのでございます。先ほど国家公務員との比較を申しましたが、国家公務員法は処分の日から三十日でぎりぎり審査の請求権を実は制限してしまつているのでございまして、むしろどつちかといえば、国家公務員法に合せてもいいんじやないかという考え方もなきにしもあらずであつたのでありますが、われわれといたしましては、現在の公務員法の建前を利用して改正した方がよかろうというので、この場合はこの程度に定めておけば、国家公務員法に比較してでも十分手厚いゆとりであります。また本人にいたしましても、理由を求めるだけのことならばこれで十分じやないか、こういう考えを持つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/7
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008・石村英雄
○石村委員 関連——今の四十五日という御説明ですが、九十条に、処分を受けた後三十日以内とあるのですが、この処分を受けた後という意味は、十五日以内に、前の四十九条で説明書の交付を受けたということから、四十五日というのが出て来るのですか。もしそうだとすると、説明書の交付を四十九条の二項で受けなかつた場合には、何日で審査請求の期限が切れることになるのですか。それと、今まではこういう十五日という期限がなかつたようですが、今までこうしたことで審査請求が一年後に何件くらいあつたとか、何年後に何件あつたとかいうような例があれば、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/8
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009・小林与三次
○小林(与)政府委員 四十五日と申しましたのは、一応処分があつてから説明書の交付の請求が十五日、その上にさらに精密に加えますと、三項によつて任命権者が説明書を交付するまでに最長十五日かかり得ることになつておりまして、それを合せますと——これは十五日になりますか十日になるかしりませんが、幾日かあります。それと四項で三十日、合せて一番短くて四十五日、長ければ六十日、こういう一応機械的に期日を計算しただけでございます。国の公務員法は、処分を受けた後三十日ということになつておるのでございます。そこで今のお話の、それなら説明書の交付を請求しなかつた場合はどうなるのかと申しますと、これはそもそも不利益に対する審査の請求を要求するのでありますから、理由がわからずに審査の請求というのはおかしいのでありまして、納得し得る理由ならもちろん不利益でありませんし、そうでない場合でありますから、任命権者の趣旨を聞かなければ不利益であるか不利益でないかよくわからぬはずでありますので、当然説明書の交付の請求が前提になつておると解すべきものではないかと思うのでございます。さらに四項の後段の説明書を要求したけれども説明書をくれなかつたという場合もあり得るわけでありまして、そのときにはちやんと説明書の交付を受けなかつた職員は、期限経過後の三十日ということになつておりまして、だから実質上はその期間はみな最短、交付を受けなかつた場合はむしろ六十日ということになるわけです。十五日以内に交付申請をやつてそれから任命権者がくれなかつた期間が十五日、それからあとさらに三十日でありますから、説明書の交付が請求したにもかかわらず、全然なかつた場合は六十日まるまるということに相なるのでございます。それで従来の実例でありますが、従来はやはり処分があつて、これは普通の異動の場合ですが、一年も経過してから、これはおかしいじやないかということで、事が始まつた事例があるのでございます。こういうのはいやしくも役所の身分が転勤その他の命令であつたときには、やはりそこは身分をおちつかせることが本人のためにもなれば、役所の公務執行のために必要でありますので、そこで一年もたつてからひつくり返すのはいかにも穏やかでないので、ほどほどのところでけりをつけようという趣旨でございます。
〔鈴木(幹)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/9
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010・西村力弥
○西村(力)委員 先ほど地方税の異議申立ての例がありましたが、前から申し上げましたように地方税というのは個人の問題なのです。ところが公務員の身分に関する問題では、おのれ一人の問題として処理することはできない。こういう関連性を持つておるものでございまして、その準備期間に相当期間を要する。その間に十五日間という期限が切れてしまつて、その関門は通れないということになつてしまうから、相当の期間を置かなければならないと私たちは強く主張するのです。ことに現在一つの方向としては、組合の幹部とか何かそういうものはどうしてもにらまれる。そうして表面いかにも合法的な方法によつて不当なる待遇を押しつけられる場合が非常に多い。そうしますとなお一層それは組合の全体の問題として、本人も全体の組合も考えなければならないことになるのです。だから組合の幹部であつたものが相当不利な立場に追いやられる。私はがまんするが、こう言つて行くようなことは、組合全体の友愛としては認められない。こういう場合も相当出て来る。そのような事態を解決するために相当の期間を置かなければ、意思決定の積み上げができない。こういう事情を十分認めて行かなければならない。そうしないで十五日を押しつけるということは、組合に対して、あるいは公務員全体に対して非常に穏当でない意図をもつてやられておる、こういうぐあいにわれわれは考えざるを得ない。まあ、その点は幾ら申しましても、あなたの方では納得するということにはいかないようですからこの程度にいたしますが、少くとも民主主義を助長するという立場は、やはり労働者の一般の組織を認め、そういう立場を認めて行かなければならないので、そういう組織が民主的な手続でもつて、十分に組織力を発揮されるようにしてこそ、かえつて政治の円滑なる運営を期する道であると考えますので、これは政府側に御答弁をお願いせずに、各党の委員の御了解をいただいて修正をして行きたい、かように考えておるのでございます。
その次に地方公務員の待命制度を国家公務員に準じてできる、こういうぐあいに規定されておりますが、こういう規定を出すにはそれだけの財政的の裏づけが当然に考えられておるものと思うのですが、その財政的の裏づけは一体どうなつておるか、その点について御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/10
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011・小林与三次
○小林(与)政府委員 これはある程度の行政整理を見込んで、今度の財政計画ができておるのですが、財政計画上は退職金と行政整理によつて浮く給与費その他とはパーになつておる。こういう計算をいたして財政計画が生れて来ておるのであつて、金額の上におきましては差引して差がない計算にいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/11
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012・西村力弥
○西村(力)委員 整理を前提とし、退職資金とパーにするということでございますが、待命ということになれば、これは現在の財政計画を上まわつて支出しなければならないことに相なるのではないかと私は思うのです。これに対する十分なる裏づけをしなくては、この法案をつくつてもいたずらに犠牲をしいるということになるのではないかと思う。しかも現在あなたの所管しておられる町村合併ということが着々進められておりますが、その合併をするためのいろいろなトラブルを解決するために、あの村の村長さんには従来の給与を与えて名義だけをこれこれにしておく。あるいは向うの助役さんをこうしておけというようなぐあいに、自治団体の高級幹部が相当の高給をはんでそこに残つておる。そのため全体的に一般職員の上にそれがしわ寄せられて、人員整理が各方面に起きて来ておる。そういう点からしましても、財政の裏づけができておるというぐあいには、全然われわれとしては考えられないのでありまして、その財政の裏づけができておるとおつしやるならば、それをひとつ具体的に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/12
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013・小林与三次
○小林(与)政府委員 二十九年度の整理の目標は、全体のうちの府県は三・五%、市は三%と一応計算をいたしておりまして、あとを三十年度に持ち越すという前提で財源の計算をいたしておるのであります。その場合に一般職員につきましては一万八千三百三十二人という計算になつておりまして、これを整理するといたしましての不要額が十七億、これは待命期間中は当然給与をやりますから、待命期間経過後退職したものとして本俸を計算し、その他本人のために見ております勤勉手当、期末手当、あるいはその他の物件費というようなものを入れまして十七億という一般職員につきましての金額が考えられておるのであります。これが大体退職手当の所要額と一致する、こういう計算で算定をいたしておるのでございます。
それから今お話の町村合併に伴つて高給者がやめる場合の問題が実はあり得るのでございますが、これにつきましては、この財源と別の問題でございまして、そういう経費も念頭に入れて、善後措置費として予算の補助を一部やるとともに、特別平衡交付金を一部やる、こういう考え方で予算を組んでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/13
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014・西村力弥
○西村(力)委員 待命制度そのものに私たちは非常な疑義を持つておるのですが、その点はそのくらいにいたしまして、次に臨時職員の問題についてお伺いいたします。
完全なる臨時職員はとにかくとしましても、定員外の定員、それが臨時職員というようなぐあいになつて、ほんとうに継続勤務の者が臨時職員というような立場で不遇な境遇に追いやられておる。こういうのは各地方団体にどこにでもあることなんでございますが、これを正規の職員と同様な取扱いをしなければならないと私は思う。実際、財政上定員のわくをしぼつても、仕事の上からこれだけの人数はいる、しかし定員はこれこれだからというので、常時勤務の人も、形は他の継続勤務の一般公務員と何らかわらないけれども、名義だけは臨時職員として、そうして待遇上に非常な差別を与えておるということがあるのですが、これを地公法の第十七条の正規の職員と同様に取扱うという方法はないものかどうか。それに対して自治庁としてはいかなる方策をとられるのか。聞くところによりますと、昨日府県の人事担当官の会議を聞かれたとか、開かれるはずだとかいうことを聞いておりましたが、この問題についてどういう立場を宣明せられ、また指示を与えられるのか。こういう基本的な考え方と、また昨日行われたならば、その際の指導の方針というものについてお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/14
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015・小林与三次
○小林(与)政府委員 お尋ねの問題はきのうも門司委員からいろいろお尋ねのあつた問題でございますが、自治庁といたしましても、今の臨時職員、特にそれがいわゆる常勤的臨時職員と申しますか、そういうものの扱いをどうするかということは、非常に大問題として苦慮いたしておるのでございます。これは地方だけにおける問題ではなしに、国におきましても同様な問題がございまして、国家並びに地方を通ずる公務員に関する基本的な最も困難な問題の一つとして、何とかしてすつきりとした体制をとりたいというのが政府全般の考え方でございます。根本的には政府でつくりました公務員制度調査会でその問題も取上げて検討することになつておるのでございます。われわれといたしましての基本的な考え方は、だれが考えても本定員とかわりのない経営的な、しかも恒久的な仕事を続いてやる者を、単に予算その他の都合でもつて、あるいは定員の都合でもつて、こういう形でおるということは、これはいわば定員の上からいえば定員もぐりということにもなります。本人について見れば本人に対する正常な処遇でもないということにもなりますので、そういうものはなるべくすつきりして本格的なものに上げるように持つて行きたい、これが根本の考え方でございまして、きのうの人事課長会議におきましても、そういう基本の考え方たけは明らかにいたしておいたのでございます。しかしながらいわゆる非常勤職員というのは実にもう千姿万態でありまして、仕事も各種各様ございます。それからやはり仕事によつては、ほんとうに臨時的なものもありますし、ほんとうに事業とともに終始しなければならぬものもありますので、ただちに事業予算からいわゆる定員予算に切りかえることが困難なものもいろいろございまして、この実態に即するように具体的に妥当な解決をする以外には方法はないのでございまして、そういう実態もほんとうに各団体につきまして明らかにする必要があるのでございますが、きのうもいろいろ聞いてみますと、各地方庁におきましても必ずしもその実態が正確につかまえられておらないのが実情でございます。それはおそらく各廨各部それぞれのところで自由に任命いたしておるものでありますから、そこで人事課長も十分につかまえておらぬという実情も正直のところあるのでございまして、そういう点も、もつとはつきりつかまえることをきのうは明らかにしておいたのでございますが、基本的にはできるだけすつきりして、本定員にすべきものは本定員にするということによつて事をさばく。それから定員にはできなくても、明らかに常勤の恒久的職員と同様に考えるべきもの、それから事業とともに終始すべきものであつても、そうならそういうものとして、待遇その他というものは筋道を立てて普通のようにやるように、こういう基本方針を明らかにして、できるだけその線に沿うように運んで行きたいと考えておるのであります。しかしこれは根本的には予算の問題もからみますし、それからやはり定員をどうするかという基本問題もありますので、一挙に右か左かというわけには行きませんが、事情の許す限りそういう方向に筋を立てて行くということを、われわれといたしましても切に希望をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/15
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016・西村力弥
○西村(力)委員 基本的な考え方は了承いたしましたが、それを具現する順序というか、そういうものをどういうぐあいに段階を考えられていられるのか、そしていつごろまでにそういうことを具体化するようにお運びになつていらつしやるか。そこまで当然お考えはおありのことと存じますので、ひとつお答えを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/16
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017・小林与三次
○小林(与)政府委員 これは根本的にはやはり中央、地方を通ずる公務員制度の問題として制度的にも考えなくちやならない問題でありまして、そういう点は公務員制度調査会の結論を待つて、国と同様な方向で解決をはかりたいと思うのでございます。それから一段下げましても予算上並びに定員上の問題がありまして、ただちに右から左というわけには参らぬと思うのでございます。われわれといたしましては逐次その方向に持つて行きたいと考えておりますが、そのまず根本の実態把握が、大体数などは一応調べておりましたけれども、これも聞いてみれば必ずしも正確な資料であるかどうかはつきりしておりませんし、その点をはつきりする必要がありますので、早急に精細な調査項目というものを人事課長と相談しながら明らかにしたのでありまして、そういう結果を待つて筋道を立ててできるだけ早く問題を解決して行きたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/17
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018・西村力弥
○西村(力)委員 正確な資料に基いてという第一段階をとられておつて、そのあとは可能な限り早くということでございまするが、その可能な限り早くというのは一体いつごろと考えていられるのか。政府側の御答弁の善処するとか可能な限りとかいうことは、普通の場合でも結局その実現はなかなか早急には望み得ないという答弁とわれわれは受けているのです。それでもつと進んで、いつごろまでにはこれを実現したいと考えているか、こういう腹構えをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/18
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019・小林与三次
○小林(与)政府委員 これは先ほど申しましたように非常に困難な問題でありまして、制度的にどうこうするということになれば、公務員制度調査会の一連の思索の結果を待つて考えなければならぬのでありますが、われわれとしては、一人でも二人でもともかくも正常な地位に当てはめて行くということが根本でございまして、その他全体的には、かりに制度がどうこうならなくても、現行法のもとにおきましても、予算措置その他の問題を伴わなければ解決できない問題がありますので、そういう点は各団体の財政力も考えなければ、ただちに右、左というわけに行きませんので、基本方針だけ明らかにして、ともかくも一日も早くその方向に行くように、具体の人事の運用も考えておるのであります。その点だけは明らかにして運用上遺憾のなきことを期したいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/19
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020・西村力弥
○西村(力)委員 この法律は都道府県の警察の職員については、昭和二十九年度から三十二年度までの間に臨時待命を命じ、あるいは承認することができる、こういうふうにしましたが、警察法では衆議院において五大市に限つて一年間現行にとどめておく、こういうことになりましたので、この点は二十九年度から三十三年度までとか、こういうぐあいに修正する必要はないかどうか、この点の御検討はございませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/20
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021・小林与三次
○小林(与)政府委員 今お話の通りこの臨時待命の制度につきましては、行政機関職員定員法とこちらと両方にまたがつて規定になるかつこうになつておりますが、行政機関職員定員法は地方警務官、国の職員になる警察官についての規定でございます。それでありますから、地方の職員である者につきましては、もつぱらこの地方公務員法で行くよりしようがないのであります。それで地方公務員法では、大体警察法が一部修正になりましたけれども、結局従来の問題と考え方を全然かえる必要はないのでありまして、かりに一年遅れたといたしましても、二十九年度及び三十年度について考え、さらに三十年度のころになると、修正法によりましても都道府県警察の職員になるはずでありますから、この原案の通りの附則の三項の括弧の中の二十九年度から昭和三十二年度までという規定が当然に働きますので、今度の修正はこの規定に全然影響はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/21
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022・中井一夫
○中井委員長 北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/22
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023・北山愛郎
○北山委員 昨日各条項について御質問したのでありますが、その際門司さんからの質疑の中で、条例できめるような場合には、その条例がたとい職員に対して不利益な条例でありましても、これは不利益処分の審査請求であるとか、そういうふうな訴えができない、こういうようなお話でありまして、その機関の長がやつた人事行政についてはいろいろ救済の道はある、人事委員会としてのいろいろの権限もある。しかし条例できめた場合にはどうにもしようがないのだ。条例では、どんなことでもというか、首切りでも何でもどんどんきめ得るというふうなお話があつたわけでありますが、これは少くとも条理上は私はおかしいのじやないかと思うのです。たとえば普通の企業の場合につきましてこれを類推して考えてみますると、社長がやつたときと、重役会なりあるいは株主総会なりできめた場合と、これはやはり被使用者として会社に対して要求する場合においては同様じやないかと思うのです。ところが地方公務員の場合においては、その意思決定機関できめた場合には、これに対し対抗することができない。長がやる人事行政についてだけいろいろ救済の手段はあるが、意思決定機関で、いわば企業においての重役会なりあるいは株主総会できめるような問題についてはどうにも手も足も出ないというようなことは、これは普通の企業と労働関係においてはやはり共通の原則をでき得る限り適用するのが当然だと考えますので、私はそういう考え方は現行法の解釈としてはともかく、条理上は当然できないというふうに考えるのですが、その点についてお考えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/23
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024・小林与三次
○小林(与)政府委員 お尋ねでございますが、不利益処分に関する審査の請求は、任命権者が法令なり条例の適用を誤つて不当に処分をした、こういう場合に限るべきだと私は思うのであります。それは申し立てる相手も人事委員会または公平委員会でありまして、人事委員会、公平委員会も法令が条例に反しておるかどうか、こういうところを判断するのが筋でありまして、条例そのものが有効だとか無効だとかいうようなことを判断する権限は持つておる筋のものでもないと思うのでございます。そこで今の問題で明らかに条例そのものが職員のため不当じやないかという場合も確かにあり得るわけでございまして、現に昇給ストップ、こういうような条例ができて自治団体としては最高の意思が決定したけれども、それはおかしいじやないかということは私はあり得ると思うのでありまして、それにつきましてはいわゆる勤務条件に関する措置の要求という規定が別に地方公務員法にもありまして、この規定を適用いたしまして、地方公共団体に対して再考なり再検討を求める、こういうのが筋合いだろうと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/24
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025・北山愛郎
○北山委員 私のお伺いしたことの本筋には触れておられぬようでありますが、地方公共団体の人事委員会というのは、普通は任命権者といいますか、その機関の地方団体の長、人事行政をやつておる、その範囲内においてその職務というか権限がある。ただ現在の地方公務員法におきましても、議会に対してもやはり意見を申し出ることができるというふうな規定もあるわけであります。また何条でありますか、人事行政の一般的な運営、それについて勧告することができるという場合に、それはたとえば府県知事が議会に対して人事に関する条例の提案をするというような問題も、やはり広い意味の人事行政の運営であるから、そういうことについても人事委員会は勧告ができると解すべきではないかと思うのですが、これについてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/25
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026・小林与三次
○小林(与)政府委員 それは今お尋ねの人事委員会が人事の問題につきまして、それぞれ条例の改廃なり何なりにつきまして意見を提出することは、もちろん自由にできることと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/26
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027・北山愛郎
○北山委員 今のあとの地方公務員法の第八条の第四号ですか、人事行政の運営に関し任命権者に勧告することができるということは、ただいまお伺いをした人事に関する条例の提案というようなことについては、こういうことは適用がないのであるかどうか。府県知事がある人事に関する、あるいは費用に関する条例を提案しようとした、これに関し、これはやはり一つの広い意味の人事行政の運営であるから、その任命権者に人事委員会が勧告をする、その提案という事柄について、そういう仕事について勧告をするということはできないものかどうか。それからまた第九号にあります「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する措置の要求を審査し、判定し、及び必要な措置を執ること。」こうあるのでありますが、これは非常に広い規定でありますから、条例にきめてあることでありましても、それが適切であるかどうかということに関する措置の要求、そういうふうに解すべきじやないかと思うのですが、そういう範囲では、やはり人事委員会がそういう部面まで権限があるのじやないかと思うのですが、第四号、第九号等に関連いたしまして、そういうふうな運営というか、職権というか、そういうものを人事委員会がやつてもいいかどうか、ひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/27
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028・小林与三次
○小林(与)政府委員 人事委員会が条例の制定改廃についての意見を述べます権限は、八条の三号に明記してございます。「人事機関及び職員に関する条例の制定又は改廃に関し、地方公共団体の議会及び長に意見を申し出ること。」これで人事委員会としてはつきりできるわけであります。第四号はむしろ運営上についての勧告権でございます。それから今の九号の措置の要求とか、それからその他十号に「不利益な処分を審査し、及び必要な措置を執ること。」こういう規定がございますが、これはうしろの四十六条、四十七条以下に書いてあります。法律上はつきり認められました勤務条件に関する措置の要求、不利益処分に関する審査の請求の権限に対応してここに書いてあるのでございまして、それぞれの必要な措置なり審査の問題は、四十六条以下の規定によつて人事委員会としてやるべきものである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/28
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029・北山愛郎
○北山委員 大体わかりました。実は昨日問題になつた岩手県の一般職員に対するある意味の給与ストップというか、その条例の問題であります。詳しくは申し上げませんが、一応昇給した場合の実際に受ける給与の月額というものは、これこれの一級下の月額であるというふうな書き方、そういたしますと、これは昇給したというのであるから、少くとも昇給させたに違いない。そうすると、それよりも下の月額を現実に支給するということは、一旦昇給したものを降給したことになるのではないか。昇給であるというのにそれをやらないで下の月額をやるというのですから、降給になるのである。そうすると、降給する場合にははつきりとした条例の事由によらなければならぬ、こう書いてあるわけでありますが、そういうふうに解釈されないかどうか。ただ昇給したと称して実際は今度は事由を示さないで降給しておる。昇給でないものを昇給するということは詐欺みたいなものですから、これは無効だ。私はどうしてもあの条例は変だと思うのです。そしてまたきのうの部長さんのお答えは、非常に巧みなる条例のつくり方であるというようなお話でありましたが、確かに今の地方公務員法に定めてある各条項には、表面上どこに違反したということはたとい証明されないにしても、少くとも地方公務員法というものは、あのような非常識な条例などが出るということ、そういう措置がとられるなどということは全然考慮していない。やはりすべての法律がそうでありますけれども、あらゆる場合を書いているのではなくて、当然原則として条理としてそういうばかげた条例が出ようなんということは予想しておらないから、むしろ公務員法に書いてないということは、そういうことは全然問題にならない、条理にも何にも当てはまらないようなものであるという意味において、この規定にはないのであつて、そういう意味で違法ではないということはただちには言えないのではないか、違法以前の実にあらゆる常識に反するものではないかというふうに考えなければならぬと思うのですが、これについてのお考えを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/29
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030・小林与三次
○小林(与)政府委員 これはお話の通りでありまして、昇給だといいながら、月給は別表でもう一つ下のやつをやるぞ、こういつておりますから、私は明らかに規定の仕方は技術的に大いに批評があり得ると思います。あれと同じ実際の効果を上げるためにも別の規定の仕方があつたのでありまして、ある意味ではあの規定が私は必ずしもよかつたという考えは持つておりません。ただ実際の意図が、単に昇給ストップが許される、しかし昇給ストップだけじや本人のためにかわいそうだという気持がありまして、恩給その他は見てやろう、それから一定の期間が過ぎたら正常コースまでもとしてやろうという気持があつたのでありまして、規定としては技術的に上手だとは思いませんが、かりにそういう意味の昇給ストツプの仕方の条例をつくつた場合に、それが違法かどうか、こういうことになれば、私はそのことだけを理由にして違法だということは言い過ぎではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/30
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031・北山愛郎
○北山委員 部長さんは実質的に悪い条例の形よりは職員にとつて有利ではないだろうかという基準からお話をなさつておるようですが、しかしこれはどろぼうより詐欺がいいという議論であります。やつぱり詐欺は詐欺として別のものとして論ずべきじやないか。一つの条例なり法律というものは、それ自体が守られなければならぬのでありますから、そういう点で私は非常に問題になる条例であると思いますので、この点については自治庁におかれましてももつと御検討願いたいという希望を述べまして、その点は終ります。
それからなおお伺いしておきたいのですが、今各府県なり市町村において行政整理あるいは今の昇給ストップのごとく、職員にとつていろいろ不利な措置がとられているわけであります。その原因はやはり何としても財政上の理由だと思うのでありますが、最近における新聞報道等によりますと、これは大蔵省側のきまつた意見かどうかわかりませんが、地方に起債などを許可する場合に、昇給をストップしたりあるいは行政整理をしたり、そういうような人件費を節約することに誠意を持つてやるような団体は、これは奇篤な団体であるから、これに対しては起債を許してやろうというような方針をおとりになるようなことを、実は新聞で見たのでありますが、そのようなことがあるかどうか。これは少くとも国なり地方公共団体の運営としてはよくないことじやないかと思うのです。お前のところは首切つたら金貸してやるということは、よく銀行が企業に対してやる手であります。今度は政府が地方団体に対してちようど銀行と同じような考え方でやる、そういう方針でお進みになるということであれば、これは相当な問題であると思いますので、実際そういうことがあるかどうか、それをはつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/31
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032・小林与三次
○小林(与)政府委員 ただいまお尋ねの問題でありますが、行政整理でもやつたら起債をよけいつけてやろう、こういう趣旨のことを一般的に言つておるというふうには、私案は承知しておらぬのであります。まさかそういうことはやつておらぬだろうと思いますが、特別の団体で赤字などを解消するためにいろいろ再建計画を立てておる、こういう場合に赤字なるがゆえに起債をするという場合は、これはいろいろ困難な事情があろうが、財政、経理全般を合理化する、そういうことを考えなければいかぬのじやないかという趣旨のことを言つておる場合はあると思います。お尋ねのような一般的なことを言つておることはないと存じますが、なお調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/32
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033・北山愛郎
○北山委員 地方財政、ことに府県に対する影響、これはこの前にも申し上げましたが、現実の問題としては今度警察制度の改正によつて、都道府県がどれぐらいの警察費の負担をしなければならぬか。一方においては新税法によつてどれぐらいの税の増収が期待されるかということが一つと、それから一方においては新しく都道府県の仕事になるべき警察費というものは、どれぐらいかかるかということが、この地方団体の一つの大きな関心らしいのでありますが、その基準になることは——その府県の警察職員の定員だとか、そういうものがきまつて来なければならぬ。それは事務的にどの程度進んでおるか。これは行政部としてはおわかりになるかどうかわかりませんが、各府県の警察職員の定数、これは基準は政府の方でお示しになるわけでありますからして、案をつくらなければならぬ。それを基準にして今度は各都道府県ごとに警察費がどれぐらいかかるか、警察の人件費はどれぐらいかかるかというようなことをきめなければならぬと思うのでありますが、それがどの程度に進んでおるか。それからまた例の府県に移る警察職員に対しては、本俸について調整をしなければならぬのでありますから、こういうものが各府県ごとにできておるかどうか、それをひとつわかつておつたならばお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/33
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034・小林与三次
○小林(与)政府委員 これはごもつともでありまして、実は自治庁といたしましてもその資料を早くもらわなければ地方の予算も組めぬのでありまして、財政部ともどもそれを国警の方へ要求いたしておりますが、国警の方でもそれにつきまして成案ができておらない模様であります。これは調べる時間の関係もありますが、今月中には予算の大綱がきまるはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/34
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035・北山愛郎
○北山委員 それはなるべく早く知りたいわけなのです。というのは実は地方財政の計画上においては、今度の警察制度の改正によつて三百十五億というのが地方財政計画上の数字であります。ところがこの前のこの委員会の公聴会では、ある知事は四百二十億ぐらい出るであろう、こういうようなことを言われておりますので、その差が百億以上ある。これだけ地方財政を、また警察というものが府県財政というものを圧迫するわけであります。すでに委員会において再建整備についていろいろ論議されておりますように、府県においては莫大な赤字が出ておりますから、たとい百億でもこれが赤字の府県財政をさらに圧迫することになり、その結果がこの臨時待命ということになり、首切りになり、整理ということになるからして、そういう意味で私どもは府県、市町村の財政という点で、大いに関心を持つわけであります。個人的な意見を言えば、今度の警察法案が流れますと、府県においては昇給ストップもやらなくても済むし、臨時待命もやらなくても済むとも言えるわけであります。そういう点でなるべく早く各都道府県ごとの警察の実際の所要額を調べていただきたい、ひとつお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/35
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036・小林与三次
○小林(与)政府委員 われわれもその通りでございまして、なるべく早く警察法案を確定してもらうことを希望しておりまして、そうしなければなかなか間に合わぬものでありますから、しきりにそれを苦慮いたしておるわけであります。なるべく早くきめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/36
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037・中井一夫
○中井委員長 午前の審議はこの程度で中止をいたします。午後は一時半から続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/37
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038・中井一夫
○中井委員長 なおこの際お諮りをいたしたいことがございます。すなわち目下大蔵委員会において審議中の補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案について、同委員会に連合審査会を開会したい旨申し入れたいと思うのでございますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/38
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039・中井一夫
○中井委員長 御異議なしと認めさよう決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/39
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040・中井一夫
○中井委員長 なお請願小委員会の設置の件についてお諮りをいたします。すなわち本委員会に付託せられました請願は全部で五百九十二件であります。今後付託される請願を含めて、これら各請願の審査のため小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/40
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041・中井一夫
○中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
つきましてはその小委員及び小委員長を選任をいたしたいと思いますが、これは投票の手続を省略して委員長より指名するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/41
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042・中井一夫
○中井委員長 御異議なしと認め、委員長より指名をいたします。すなわち小委員には
加藤 精三君 吉田 重延君
鈴木 幹雄君 藤田 義光君
北山 愛郎君 石村 英雄君
門司 亮君 大石ヨシエ君
松永 東君しこうして小委員長には門司亮君を指名いたします。
これにて休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06819540525/42
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