1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年六月二日(水曜日)
午前十時四十五分開会
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委員の異動
本日委員棚橋小虎君辞任につき、その
補欠として、東隆君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 片柳 眞吉君
理事
宮本 邦彦君
森田 豊壽君
江田 三郎君
戸叶 武君
委員
雨森 常夫君
川口爲之助君
佐藤清一郎君
重政 庸徳君
関根 久藏君
横川 信夫君
北 勝太郎君
河野 謙三君
清澤 俊英君
野溝 勝君
東 隆君
松浦 定義君
鈴木 強平君
国務大臣
農 林 大 臣 保利 茂君
政府委員
農林政務次官 平野 三郎君
農林省農林経済
局長 小倉 武一君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した事件
○農業協同組合法の一部を改正する法
律案(衆議院提出)
○農業委員会法の一部を改正する法律
案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/0
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001・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。
本日は農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業委員会法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、昨日に続きまして質疑をお願いいたします。本日は農林大臣が出席されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/1
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002・森田豊壽
○森田豊壽君 農林大臣に一つお伺いいたしますが、このたび提案されましたる両法案の一部改正でありまするが、これは数年前より団体再編成の声が非常に強く農林又は中央方面の団体に醸されたわけでありまして、この点から行きまするというと、すべて今まで二回に亙りまして政府提案として出されたものが葬むられた際におきまして、すべて団体再編成の名目の下に今まで論議されて参つて、遂に廃案となつておつたのでありまするが、このたび議員提案といたしまして衆議院のほうから本院に送付された案でありまするが、これを見ますと、その説明は、団体再編成にあらずして農協法の一部改正であり、農業委員会法の一部改正であるという提案者の御答弁であつたのであります。そういたしまするというと、この二つの法案は何となく国民の声といたしましては、団体再編成の問題であるごとく考えておつたにもかかわらず、今日団体再編成というものはこの二つの法律が通過した暁におきましては、団体再編成という問題は終止符を告げたというような感じを深くするのでありまして、御承知のごとく、講和条約発効後におきまする占領下における状態の是正をしなければならない。今日の機会におきましては、これを農業団体再編成の問題が葬むられるということは憲法問題とか、或いは教育制度とか、或いは警察法の改正とか、地方行政とか、幾多法案を改正しようとして検討している際にもかかわらず、最も重要なる農業国体再編成の問題が終止符を告げたような、葬むられたような恰好になつておりますることは、農民といたしまして、又農民各種団体といたしまして、必ずしもこれを歓迎しようとは思つておらないのでありまして、今や我が国の農業政策は抜本的な農業政策を樹立しなければならない。又今まで数多い団体が占領下におきまして作られましたけれども、これを整理しなければならないような感じを多く持つている際におきまして、団体再編成の問題が葬むられるような状態にありますることは、誠に農民に対しましても、又その関係者に対しましても意気を沮喪させることであり、この問題は将来どうしてもやらなければならん問題だと皆が考えている際におきまして、農林大臣は農業政策の強化刷新を図る上におきまして、団体再編成の問題はこれはこの法案が通る場合におきましては、必ずやあとに重大なる問題を、衆智を集めた世論によりまして、又農林省といたしまして、その抜本的な農業政策を樹立するお考えがあるかどうか。この点に対しまする明答を一つお願い申上げたいと思うのであります。最初にこれをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/2
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003・保利茂
○国務大臣(保利茂君) お答えをいたしますが、いわゆる農業団体の再編成という呼声で前二回に亙りまして国会の御審議を願いまして積極的に国会の意思を葬むるという意思は表明せられてはおりませんが、結論を付けて頂く段階に行かなくて、即ち審議未了の形に終りまして懸案となつておりますことは御承知の通りであるのであります。一体この農業団体の再編成というものは、いろいろおつしやるかたによつてその意味は違うのだろうと思いますけれども、私一人の考えを以て申しますれば、今後の農村のあり方或いは農家の発展向上を図つて行くために、どういう団体のあり方がいいかということは、これは非常にむずかしい問題だと思いますけれども、或いは見解を異にせられるかたもあろうかと存じますが、私はやはりこの経済行為に重点を置いて、そうして農村、農家の繁栄発展を図つて行く、いわゆる農業協同組合、純経済団体と農政一般に関して農家、農村の政治的と申しますか、農政一般を推進して参る団体は、これはやはり両建であることが望ましいのじやないかと、かように考えております。今回衆議院の議員提出にかかつておりまする農業団体両法案は、森田委員の御指摘の通りに私も解釈をいたしておるわけであります。私としましては、右申しますような方向において、十分一つ政府内部におきまして広く又御意見も承わつて、根本的に一つ検討をして成案を得たいという希望を持つておるわけでございまして、森田委員の御意見の通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/3
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004・森田豊壽
○森田豊壽君 大臣のお気持がはつきりわかりましたので、なお、くどいようでありまするが、農業団体のあり方につきましては、とかく輿論もやかましいのでありまするが故に、この際におきまして十分、この際と申しましようか、今後におきまして速かにこの団体のあり方につきまして御研究を願いたいことを重ねて申上げておきます。なお、この際に農業委員会の問題を一つ率直にお尋ねしてみたいと思うのであります。農地委員というものは、私が申すまでもなく、終戦後におきまして幾多の農地改革或いは調整関係の調整事務所等の職員が用がなくなりまして、ここに農業委員会というようなものにすべてまとまりが付いて来たような恰好を政府が作つて来たわけなんであります。むしろ今までの用がなくなつたものを三つをまとめまして、農業委員会といたしまして一まとめにしたという恰好でありまするが、何となくこの農業委員会法は救済的な一つの団体のごとく考えられる点が相当あるのであります。私がかくのごときことを申上げますると、とかく農協人であるから委員会に反対するがごとく考えられまするけれども、つぶさに地方の意見を聞きましても、又公平にこれを批判いたしましても、農業委員会というものに対してはとかくの批評のありますることは、ひとり私のみではないと思いますが故に、この際にそのことを強調するわけであります。この点は勤めておるかたには誠にお気の毒でありまするけれども、農業委員会なるものが農政活動をするということを非常に強く打出しておりまするけれども、実際やつておることはどうかということはつぶさに研究しなければならんと思うのであります。この点から行きますならば、農業委員会なるものは必ずしも供出に協力したか、又その供出に対しまして協力は別といたしましても、協力的なことのみをなすのが目的でなく、農民に対して供出を少くすることをしたといたしましても、どんな影響を与えたかというようなことに対しましては、十分検討を要したこととは考えまするけれども、この点に対しては再検討を要するのではなかろうかと私は思う。なお、この問題に対する地方の声は、県知事を初めとし市町村がこういう制度を置かれたがために、地方におきましては相当迷惑をしておるということの批評がありますることは、大臣初め皆様方は御承知のことと考えるのであります。この点に対しまして今度の改正におきましてその悪いところをよくしたとおつしやるかも知れません。又地方的に考えましたならば、現段階におきましては相当今度の案によつて一部改正とは申しながら、幾分の改正はできたと考えておるのであります。併しながら、大臣は農業委員会というものに対して、これは必要なしとは今まで提案した関係もありますから言われないでありましようが、どんなお考えを持つておるか、この際に率直に一つ話をして頂きたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/4
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005・保利茂
○国務大臣(保利茂君) この農業委員会の功罪につきましては、いろいろ意見がありますことは私も直接耳にもいたし、同様のお話はしばしば伺つてもおります。私はこの農業委員会が特に米の供出で本来相当供出面に寄与しなければならない任務を持つておるにもかかわらず、大してその米の供出等にも余りいい結果がなかつたんじやないかというような点は、これは広く言われておるわけでございますが、多少私は角度を変えて見ますと、今日の供出制度がかなり緩んでおるということは率直に認めますから、この点については又別の観方もあろうと存じますが、私は農業委員会にそういうふうな決定的な多くの批判がありますのは、占領中の強権供出でございますね、農家の実状を或る程度無視したジープ供出というような形で強制せられた、このあり方について農業委員会が相当強く活動をせられた、そのことが私は大きな、今お話のような批判が出て来ている、まあ今日は私はそうは考えておりません。先ほども申上げますように、やはり農政一般を推進して行くべき農村活動をすべき農民の自主的と申しますか団体は私はやはり必要だと考えております。そういう意味で、この農業委員会がそのまま今度衆議院から提出されているような形で結論を付けてよろしいかどうかということは、これは私は大きな問題が、やはり先ほど申しますように残つておると思うのでありまするから、農政活動は今日はとにかく、ほかに団体がございませんから、主としてここでやつておるわけでございますが、この点は十分検討の余地があるというふうに私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/5
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006・森田豊壽
○森田豊壽君 農業委員会に対しましては、政府はこの委員会におきまして、しばしば米の供出に協力させるために選挙の期日を一月の十九日より七月の十九日に半年延ばすということで、この前の国会で、そのときに私どもは米の供出に協力するという理由では延期は不賛成だ、そういうことを盾にして行つても、事実はそういうふうではないから不賛成だと率直に申しまして、取消しましてそれを削りまして、漠然と半年延したという現状であるわけでございます。而も米の供出制度は相当農業政策として、或る意味の転換時期に近付きつつあるのでありまするからして、この際に供出の問題を強く農業委員会に要請しておりましても、その任務は先はだんだんなくなつて来るだろうという感じも起るのであります。従いまして、農業委員会というものが、目的は農政活動であり、而も農民の利益代表機関だと銘を打つて、ここに提案されておるのでありますが、この議員提案とは申しながら、政府といたしましては、この代表機関といたしまして、利益代表機関といたしまして切換えることにつきましては、農業委員会そのものをもつと有効に使う、又この機能を発揮させるという意味におきまして一部改正に出ておりまするけれども、幾分悪いところを直した程度でありまして、農業委員会法の改正といえども根本的ではないと私は考えるのであります。この点に対して将来農林大臣は、先ほどちらつと申されましたけれども、大いに研究すべきだということを言われましたが、この点を十分お考え下さいまして、農業委員会そのものに反対するものでも何でもありません。併しながら、この程度のものでありましては満足することができないし、又農業委員諸君もこの程度に改正された程度では農業委員会の使命は誠に薄弱なるものがあり、而も働き甲斐がないということになるだろうと思うのでありまするから、この点は十分お考え下さると同時に、将来農業団体の再編成と言いましようか、農業政策の確立の上から行きまして、その際はこういう問題もすべてその際に解決するような方法をとつて頂かなければならんと思うのであります。現在ありまする問題は、御承知のごとくいろいろの団体がありまするが、そのほかに或いは食糧検査の問題、検査事務所の問題或いは統計事務所の問題その他幾多の問題があるのでありまして、農業政策の転換と申しましようか、そういう点から行きまして総合的に農業政策を打立てて行かなければならんと思われるのでありまするから、この点に対しまして将来農林大臣は十分お考えを願いまして、この点を推進して頂くようにお願いしたいと思うのであります。この点に対するお願いでありまするが、大臣の心構えだけを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/6
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007・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 農政活動をいたすべき団体が必要であるということについての認識は、私も森田委員と同様でございますが、ただこの農業委員会が、今回提案されておるような一部改正で完全であるか、これはもう先ほど申しまするように、私は幾たびか検討して講じなければならない問題を残しておるというように考えておるわけでございますが、併し実際問題といたしまして、なかなかそう変革的なことをやるべきではないと私どもも考えますし、とにかく着実に一歩々々農村農家の発展を促して行くためには、やはり現実の事態というものを相当尊重してかからなければならんということは申すまでもないと思うわけであります。その上に立ちまして、前回政府もほぼ今回提案せられておりまする両案と同様な次善策として一部改正を提出をいたしておつたわけであります。それが国会の事情或いは会期の都合等によつて審議未了になり、而も農村各方面からやはりこの程度のものであつても次善策として国会の御賛成を願いたいという強い要望が行われておりますので、これはこれとして、一応一つ是非この機会に次善策として成立を希い、根本的には一つ先ほど申しまするように十分検討いたしまして、できるだけ速かに成案を得たい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/7
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008・森田豊壽
○森田豊壽君 この程度でとどめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/8
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009・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 本会議が始まりましたから、議長からのあれもありますので、防衛法案が議了するまで休憩をいたします。
午前十一時七分休憩
〔休憩後開会に至らなかつた。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X05019540602/9
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