1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二日(木曜日)
午前十時二十三分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 森 三樹二君 理事 田原 春次君
長井 源君 保科善四郎君
眞崎 勝次君 粟山 博君
山本 正一君 大坪 保雄君
田中 正巳君 田村 元君
石橋 政嗣君 下川儀太郎君
矢尾喜三郎君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 三木 武夫君
国 務 大 臣 川島正次郎君
出席政府委員
総理府事務官
(行政管理庁管
理部長) 岡部 史郎君
文部政務次官 寺本 広作君
委員外の出席者
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
専 門 員 遠山信一郎君
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六月一日
岐阜県大垣市の地域給引上げの請願(野田卯一
君紹介)(第一四九三号)
新潟県松代町の地域給指定に関する請願(塚田
十一郎君紹介)(第一四九四号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五二号)
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇七号)
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府より提案理由の説明を求めます。文部政務次官寺本広作君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/1
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002・寺本廣作
○寺本政府委員 文部省設置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
最近フイリピン、ビルマその他東南アジア諸国との賠償折衝の進展に伴い、文部省においてもこれらに関連する事務が増加する傾向にあります。これらの事務は、将来関係各国との賠償協定の締結に伴いさらに一そう増加するものと予想されます。また、賠償関係事務のほか、各国との国交の正常化に伴い各般の国際協力関係事務も増加しており、現在すでにこれら事務の一部を処理いたしております。
この法律案はこのような情勢に即応するため、文部省設置法の関係規定を整備しようとするものであります。すなわち、第五条の改正は、文部省において、所掌事務にかかる賠償及び国際協力に関する事務を所管することを明らかにしようとするものであります。また、第十一条の改正は、調査局において賠償に関する事務を処理させようとするものであります。
以上がこの法律案の提案の理由及び概要であります。何とぞ十分御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/2
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003・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。石橋政嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/3
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004・石橋政嗣
○石橋(政)委員 今回提案されました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきましていろいろ御質問いたしたいわけでありますが、法案の細部にわたる質問に入ります前に、政府の行政機構なり、あるいはこの法において定めようとする定員に対する考え方について、一言お尋ねしておきたいと思うわけであります。
今回のこの行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の提案理由を読みますと、各行政機関の事業予定計画に即応するための必要最小限度の増員を行う、それから業務の廃止及び減少に伴う余剰定員の縮減を行う、こういう両面から定員の適正化をはかろうとするのだということが述べられているわけでありますが、ともあれ結果的にはこれは若干の増員を示している。これははっきりしているわけであります。そこでお伺いいたしたいのは、昨年非常に強力な反対があったにもかかわらず、非常に大量の人員整理を強行しておる。その翌年早くも定員の増加を見るというようなことは、内閣がかわったとはいうものの、何か割り切れないものを覚えるわけでございます。そこでいわゆる従来の自由党内閣においては、行政機構の改革あるいは人員整理というのは常に掲げられておった選挙公約、スローガンであり、これを実行しようとするために非常に大きな摩擦を起してまでやってきたわけでございますが、現内閣においては、前内閣である自由党内閣と考え方においてどういうふうな違いがあるのか。やはり自由党当時と同じように機構の改革を根本的にやる考えがあるのか、これに伴って人員整理をやろうとする意思があるのかどうか、この点まず最初にお尋ねしておきたいわけです。特に現内閣が公務員制度調査会なるものを作って、いろいろの角度から検討しているというようなことを再々述べておられるのでございますが、この公務員制度調査会の中で、行政機構の問題あるいは公務員の定員の問題というものをどういうふうな形で検討しているのか、この作業の進捗状態と、それから政府なり大臣なりの考え方というようなものもあわせてこの中に含めて御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/4
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005・川島正次郎
○川島国務大臣 行政機構の問題につきましては、昨年約六万人を目標にしまして行政整理を始めまして、大体完了いたしました。ただいま残っておりますのは特別調達庁の一部と厚生省の一部などであります。現内閣といたしましては、行政整理の意味でこれ以上人員を整理する考えはただいま持っておりませんけれども、平素機構の簡素化、合理化等につきましては、当然処置すべきものは処置いたしたい、かように考えております。三十年度の予算編成にあたりましても、機構の拡大、人員の増加につきましては極力これを抑制いたしまして、必要やむを得ざる最小限度にとどめたのであります。御審議を願っております法案において三千幾人かの増員がありますが、大体におきまして郵政省関係のもの並びに厚生省におきます医者、看護婦、こういうものが大多数でありまして、事務系統のものはごく小部分にとどめたわけであります。今後とも行政機構の合理化ということを常にやりながら行政機構全体を見ていきたい、こういうように考えております。現内閣で特に取り上げて人員整理をするとか行政機構の大改革というような案は、ただいま持ってもおりませんし、考えてもおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/5
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006・石橋政嗣
○石橋(政)委員 行政機構の根本的な改革あるいは人員整理などというものを本質的にやろうという考えはないということでございますので、一応わかったわけでございますが、確かに今度の増員というものは、航空技術研究所の新設、あるいは原子力室の新設、アジア局賠償部の新設、移住局の新設、横浜移住あっ旋所の新設、失業対策部の新設といったような、事務の拡大に伴う増員に伴って、必要最小限度ふやしたのだという意図はわかるのでございますが、そのためになるべく大量の増員を伴わないようにということで——やはり片一方においては減員をやっておる。この減員の面において相当無理があるのじゃないかというふうな懸念を持つわけでございます。たとえば建設省関係でございますが、建設省の営繕関係の職員を今度首切るということになっておるわけでございますけれども、私の持っている資料に基きますと、今の定員のもとにおいてすら、建設省の営繕局関係の職員の一人当りの工事量というものは、他の省庁に比べまして非常に負担が大きいのであります。参考のためにちょっと数字を申し上げますと、衆議院事務局の庶務部管繕課の職員は、一人当りの工事量はざっと百十万円程度でございますが、この建設省営繕局はちょっと一千万円をオーバ一しておる。そのほか郵政省大臣官房建築部ですか、ここの職員の一人当りは三百二十四万円、せいぜい二百万円前後の工事量負担というものが普通のようでございますけれども、この営繕局あたりでは一千万円程度の負担をやっておる。こういった過重な負担を強いられておる職員をさらに減員するということになりますと、これまたますます労働過重を来たすのではないか、こういう面は非常に不合理のような気がするわけです。基本的に機構の問題、あるいは人員の問題について整理をしないというその反面には、こういった部分的なプラス、マイナスをやろうというようなことから、無理が出てくるのじゃないか。その一つの現われがこの建設省の職員の定員減じゃないかというふうな懸念を持つわけでありますが、こういった実情を行政管理庁としてはつぶさに検討し、把握しておるのか、この点ちょっとお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/6
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007・川島正次郎
○川島国務大臣 官庁の人員を合理的に使うためには、常に配置転換に留意をいたしておるのでありまして、ただいまお尋ねの営繕関係も、そういう意味でもって多少減員をいたしますが、今度計画しております建設省の営繕関係で二百幾名を減す人は、これを全部住宅公団に持っていこう、こういう計画でありまして、これは建設大臣とも十分話合いがついてやっておるわけでありますが、なお配置転換等のこまかいことは、お尋ねがありますれば政府委員から、この際御説明申し上げさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/7
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008・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それではこまかいことは、あとで政府委員の方にお伺いすることにいたしまして、引き続いて大臣の答弁を求めたいと思います。今の問題は、住宅公団が新設された場合に、これに引き継ぐという確認を得たので安心したわけでございます。
それでは次に定員法におけるこの定員というものについての考え方を一つお尋ねしておきたいと思うのでございますけれども、その前に予算と法で定める定員との関係をお尋ねしておきたいと思うのであります。現在提案されております昭和三十年度予算案の中で検討してみました場合に、予算定員というものは明示されております。ところがこの法によって定めんとする定員との間に開きがある。各省によって違うのであります。総理府、法務省、文部省、通商産業省、郵政省、建設省というようなところは予算定員と法に定める定員とが一致しておるにもかかわらず、大蔵省、厚生省、運輸省、労働省の四省については相当な開きを示しておるのであります。予算定員と法の定員が違うというようなことでは、わざわざ法で定員を定めることが薄らいでくるのではないかという懸念を持つわけでございますが、政府はこの点をどういうふうに割り切っておられるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/8
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009・川島正次郎
○川島国務大臣 予算上の定員と定員法上の定員とは一致することが当然でありますが、ただ特別職などの数をどういうふうに計算しておりますか、それから一般会計、特別会計の関係もあるので、必ずしも一致しない点が出てくるのではないかと思います。原則としては予算上の定員と定員法上の定員とは一致さすべきものでありますし、そういうふうに努力いたしておるわけでありますが、ただいま御指摘の現実に出ておる事実につきましては、一応実際の問題を政府委員からお答えさせますから、ちょっとお聞き取り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/9
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010・石橋政嗣
○石橋(政)委員 特別職は私の方もちゃんとのけてある、それから特別会計の方もちゃんと合計しての話です。相当開きが大きいわけです。大蔵省において予算定員と法定の定員との差が、一般職だけで一千六百五十六人、厚生省に至りましては一般職だけで五千九百七十六人、運輸省では一般職で一千百二十六人、労働省では二千二十二名というような大きな開きが出てきておる。あまりにも差が大きい。これでは法で定員を定めるということの意義が薄らぐのではないかという気がしたので、お尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/10
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011・岡部史郎
○岡部政府委員 お答え申し上げますが、定員法がカバ一します定員と予算がカバーします定員との範囲において若干食い違いがあるものですから、そういうことになるのでございますが、たとえば今御指摘の厚生省であるとか、運輸省であるとか、労働省というようなものは、それぞれ二、三千名ずつの府県に勤務する地方事務官というものを持っておりますので、その地方事務官の合計が八千四百名ばかりになっておると思いますが、それが定員法以外の定員でございまして、地方自治法施行規則に載っておる定員でございますが、そういう関係で違うのでありまして、そういうものをえりわけて参りますならば、原則として予算定員と定員法との定員が合っておりまして、定員法以上に人を置くこともできないし、また予算がないのに定員法に余裕があるからといって人も置けない、また予算があっても定員法に束縛される以上は置けない、予算と定員法とが合致する範囲内において人が置ける、こういう建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/11
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012・石橋政嗣
○石橋(政)委員 細部についてはまたあとで計算をしてみたいと思いますが、大体そういう精神に基いて定員が定められるということが納得がいくわけです。そこでふに落ちない点は、定員というものが予算との関係において当然定められるものだと思うわけでございますけれども、そうすればいわゆる非常勤職員と申しますか、あるいは常勤労務者といいますか、そういうものは最近では予算の中に一つのワクぞ認められておる。それにもかかわらずこの定員法の定員の中には入れておりません。こういうところから矛盾が広がってきはしないか、私はそれを懸念するわけなんです。せっかく定員法で定員をきめてこれで規制しようと思っても、ちょっとはみ出るからというので、常勤労働者なり、あるいは非常勤の職員という形の方に持っていってしまう。こういうことでは定員を法で定めるという意義が薄らいできて、結局法軽視というふうな悪習すら生んでくるのではないかと思うわけでありますが、この点、非常勤職員あるいは常勤労務者といわれるものを定員の中に織り込んで、すべての面で、定員内の職員と同等の待遇もし、身分の安定をも与えてやるということが、行政管理庁あたりでは特に考えてやらなければならない問題ではないかと思うのでありますけれども、この点御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/12
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013・岡部史郎
○岡部政府委員 これは後に詳しく申し上げた方がよろしいと思いますが、今簡単に申し上げておりますと、この常勤労務者、非常勤の職員というものは、公務員制度全体として検討し解決しなければならぬ問題でございますから、公務員制度調査会におきまして取り上げて検討いたしておりますが、実は定員法の建前といたしまして、定員法の第一条におきまして、これらの常勤労務者及び非常勤の職員は定員法の職員から除くという建前になっておりますので、定員法には載せておりません。しかしこれらの数が相当ふえてきておるということは事実でございますので、これらを何とか考えなければならぬということはあとから申し上げたいと思います。とりあえずその点だけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/13
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014・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは次に移りますが、昨年度の被整理者、それから昨年度の年次計画の分として、先ほど御指定の通り、調達庁とか厚生省関係の被整理者、こういう者に対しては、臨時待命制度——本年度は指名退職制度というのですか、そういう見方によってはいわば恩典といってもいいような制度が適用されておるにもかかわらず、本年新たに整理される者については、そういうような恩典めいたものも全然ないようでありますが、この点は不公平だというふうに思わないかどうか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/14
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015・川島正次郎
○川島国務大臣 昨年施行しました臨時待命制度はすでに期限が切れましたので、新たに指名退職というような形のものをいたすのでありますが、被整理者に対する恩典は同じであります。ただ根本的に違うところは、臨時待命制度でありますと強制ができるのでありますが、指名制度でありますと強制はできない、話し合いで任意退職してもらうという点が違うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/15
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016・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それではこの法律がもし効力を発生した場合に、この法律に基いて整理される者には、全部指名退職制度というものが適用される、こう言われるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/16
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017・川島正次郎
○川島国務大臣 昨年決定しました約六万人の年次計画の人だけに指名退職制度が適用されることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/17
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018・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そこで、その年次計画の分で整理される者だけに適用されて、今度新たに整理される者については何らこういった恩典的なものがないということは、不公平じゃないか、こういうお尋ねをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/18
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019・川島正次郎
○川島国務大臣 昨年は政府の計画的方針によりまして約六万名の整理をいたしました。特に臨時待命制度を設け、引き続いてこれとほとんど同様の同じ指名制度を設けたのでありまして、おのずから昨年の方針と今後のは違うわけであります。新たに整理される者は、昨年の恩典には浴さないようになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/19
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020・石橋政嗣
○石橋(政)委員 政府の考え方においては、昨年度の整理と今年度の整理とは事情が違うのだという理屈は成り立つかもしれませんけれども、整理をされる職員にとっては、去年整理されようと、ことしの法律で整理されようと何ら変るものではない、去年整理される分には恩恵というものがあったけれども、ことし整理される分にはないというようなことは、私は公正を欠くものだと思いますが、これは意見になりますので、一応この質問はあとに譲ります。
次にお尋ねしたいのは、昨年の法律の中には、配置転換が困難な事情にある者については特にこういったものをやる。たとえば臨時待命を命じて、臨時待命というものの中に含まれているいろいろな恩典を与えるということで、特に配置転換が困難な事情にある者については、ということをうたっておりましたが、本年はそういうことが全然規定されておらないということは、これは先ほど長官が言いましたように、昨年の場合は任意と強制の二本建があった。今年は任意の場合だけだから、特にそういうふうな配置転換が困難な事情にある者については、という言葉を除いたのだということに理解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/20
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021・川島正次郎
○川島国務大臣 三十年度におきましては、整理の意味におきまして人を異動することはないのでありまして、配置転換によりまして失業者が出ないような措置をとっておるわけでありますから、御心配のような事態は起らないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/21
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022・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ところがどうもふに落ちない点が現実に発生しておるわけです。特にこの法案の附則の第十項によりますと、今大臣の言われておるように、職員の申し出に基いて、この下欄に掲げる員数の範囲内においてその職員を指名するということで、あくまでも任意の場合だけが今度の退職のようにいわれておるのでありますが、実際には、調達庁のごときにおいては強制的に勧告を実施しておるというふうな面が出てきておるわけです。そうするとこの法の建前からおかしい。それからもう一つは、まだ国会で審議され
ておるにもかかわらず、そういうことが行われるということはおかしい。どう考えてもおかしいのでございますが、大臣はこういうことがあった場合にこれをどうなさるつもりであるか、この点をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/22
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023・川島正次郎
○川島国務大臣 予算の面から申し上げて調達庁において特に人員を整理するはずはないと思います。あるいは任意に退職者があれば別でありますが、特にこれを強要して退職させるということは、予算の面から見てもないし、また私ども定員改正の面から見てもないはずでありまして、どういう処置をしていきますか、これは一応調達庁の方を調べまして適当な機会に御返事を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/23
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024・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そういうことはないはずだと言われますけれども、実際には行われておる。こういうふうな申し出書というようなものまで作って、半ば強制的に判を押させようとしておる。向うの調達庁当局の方から指名して、これに判を押しなさいというような形で実施させようとしておるわけです。これは先ほど申し上げたように、新しい法の建前から言ってもおかしいし、まだ国会で審議中の法案に基いてやろうということはおかしい。内容をちょっと読んでみますと、こういうふうに書いてある。「行政機関職員定員法の一部を改正する法律が成立した際に同法附則第十項の規定による申し入れをいたします。なお同法附則第十項で指名された上は同法附則第十二項に定める期間の末日、昭和 年 月 日において離職することを申し添えます。」法が成立した場合を仮定してこのようなものを出させようとしておる。私はこれはいささかおかしいのじゃないかと思うわけであります。少くとも国会で審議中の法案に基いて、それが成立したならばというような仮定に基いて辞表めいたものを強制的に書かせるということは絶体に許すべからざることだと思うのですが、こういうようなものを即時撤回させるだけの決意が大臣にあるかないか。決意があればこの点について私はまたあとで質問をやってもいいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/24
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025・川島正次郎
○川島国務大臣 ただいまのお話は行政管理庁としましては初めて承わりました。至急調べましてお答えをいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/25
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026・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私ここにちゃんと持ってきて言っているわけなんですが、至急調べなければならぬとあれば至急調べて、それこそきょうあすのうちに御回答を願いたいわけなんです。特に新しい法に基いてこの手続は人事院規則で定めることになっているのです。その付則の第十一項に「前項の規定による申出及び指名の手続については、人事院規則で定める」こうなっておる。そうすると、法はまだ定められておらない、成立しておらない。これに基く人事院規則ができておるとも私は思わない。そうすると人事院規則でやらなくちゃならないような問題を、すでにできたらどうにもならぬような形で強制するということはもってのほかだ。これは考え方によっては法律を無視するものであり、国会を無視するものであると私は考える。非常に重大な問題だと思うので、あえて大臣の御答弁を求めておるわけですが、調査しなければというのであればなるべく早く調査して態度を表明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/26
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027・宮澤胤勇
○宮澤委員長 田中正巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/27
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028・田中正巳
○田中(正)委員 このたび行政機関職員定員法の改正案が提案になったのですが、この提案しました根拠において一貫した方針があるのか、腹案があるのか、その点をお聞きしたいと思うのでございます。先ほど同僚石橋委員からの質疑によりまして若干の片鱗というものがわかったようでありますが、どうもこの法案を見ると、一つの傾向があるように思えるのです。それはすなわち昨年の定員法改正で各官庁が相当に減員をした、その穴埋めと申しますか、その抵抗というものがこの法案の中で徐々に頭をもたげてきたのではないか、かように思うのです。官吏というものは国民なりあるいは政府が少しでも気をゆるめたり注意を怠ったりすると、定員をふやそうとする傾向があることは世間熟知の事実であります。わが国はその上に敗戦で官僚主義と占領軍のビューロクラティズムと一緒になりまして国の機構というものが膨大になったということは、すでに世間でもよく言われておるのであります。これに対しまして、十九国会で吉田内閣は大いに占領政策の是正という面からこれの改正に努力をしたはずであります。この場合においても、今民主党の内閣委員会をやっておられる辻委員のごときは、この行政機構改革というものは政府が官僚どもの組織的な抵抗に敗れた案だ、こういうふうに見ておったのです。ともあれかような意味で、とにかく一応の成果をあげたのでありますが、その後民主党が結党の当初におきまして、たしかあの日比谷の結党大会の日だったと思いますが、現在の官房長官の根本氏が近代政党の基本はその政策にあるということから、その政策の中に行政機構の改革ということを述べておったようであります。行政機構の改革を断行して、これが能率、簡素化をはかり云々ということを言っております。それからまた本年一月の民主党の選挙対策の公約の中にもはっきりこの問題はうたっておるのです。政官界の刷新ということ、「また現行の行政機構は、占領下著しく厖大複雑化し、そのため国費は増大して国民負担は加重の一途を辿り、」云々というふうになっておりまして、さらに「われわれはこの行政機関を国力相応のものに簡素能率化するため行政機構に根本的な改革をはかる」云々かように公約しておるのであります。しかし現在の、このたび出てきたところの定員法の改正を見ますと、こういったような政府の公約を果しているような面が全然見えないのであります。便宜的な官僚の要請に対してこれを漫然と受けたというふうな傾向があるのであります。もちろん昨年人員を減らしたのでありますから、今年また人員の整理をやるということはどうかと思いますが、行政機構の改革というものは何も人員整理にとどまらないと思うのであります。機構の整備と申しますか、具体的に申しますれば縦の共管事務の整理、つまり中央、地方の事務分掌の整理、あるいは横の共管事務の整理ということになりますれば、水道であるとか、あるいは砂防の問題であるとか、あるいは起債の問題とか、いろいろたくさんの問題が従来からあるのであります。これらの問題を今後民主党内閣は一体取り上げるつもりがあるのかないのか。現在のところはほとんどないのです。各省設置法を見ても、便宜的な各省の要求、それから当面の問題をニュース・ヴァリュー的に取り上げる法案ばかりなのです。民主党は政権を取った当初のこういったものをやるといった意気込みが見えないのであります。清新にして強力なる民主党内閣はすみやかにこれを取り上げるつもりであるのか、もし取り上げるならば、いつごろから取り上げるつもりであるか、はっきり御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/28
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029・川島正次郎
○川島国務大臣 ただいまの御質問でありますが、行政機構の合理化、簡素化につきましては、これは常時やらなければならぬことでありまして、行政管理庁といたしましては、各官庁と連絡もし、これを指導いたしまして、その線に沿ってやっておるわけでありますが、根本的に全般の行政機構をどうするかという点については、今日まだその案を持っておりません。公務員制度調査会におきまして、そういう点に触れて調査をいたしておるのでありまして、その答申も待って取り上げたい、かように考えております。今日全般的に行政機構をどうするかということについては政府としてはその案を持っていない、こういうふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/29
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030・宮澤胤勇
○宮澤委員長 田中君、川島国務大臣が出席しないと予算委員会が開けませんから、石橋君のもありますからまたあらためて大臣に質問してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/30
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031・川島正次郎
○川島国務大臣 午後に参りますから、どうぞよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/31
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032・田中正巳
○田中(正)委員 それではまたあとでします。
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033・宮澤胤勇
○宮澤委員長 それではこの際運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。三木運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/33
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034・三木武夫
○三木国務大臣 ただいま提案になりました運輸省設置法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。
まず、改正の第一点は、最近、賠償関係が漸次具体化して参りましたのと、技術援助等の国際的協力関係が緊密の度を加えて参りましたのに伴いまして、運輸省の所掌にかかるこれらの事務も次第に繁忙になって参りましたので、所掌事務としてこれを追加いたしたことであります。
改正の第二の点は、付属機関の関係でありますが、現在の港湾整備審議会を港湾審議会に改めまして、新たに重要港湾の港湾施設の建設改良等当該港湾の開発に関する計画についても調査審議させるものといたしました。また、最近における都市周辺の交通事情にかんがみまして、都市交通の基本的な計画について調査審議するために、都市交通審議会を設けることにいたしたのであります。
右のほか、町村合併に伴う行政区画の変更その他法令の改廃等がありましたので、地方出先機関の管轄区域に改正を加え、また、権限、所掌事務等の規定を整備する等の措置を講ずる必要があるのであります。
以上が、この法律案の提案理由であります。何とぞ慎重御審議を賜わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/34
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035・宮澤胤勇
○宮澤委員長 本案に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/35
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036・宮澤胤勇
○宮澤委員長 それでは岡部管理部長から調達庁の件に関し発言を求められておりますからこれを許します。岡部政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/36
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037・岡部史郎
○岡部政府委員 いずれ大きな問題につきましては大臣からお答え申し上げることにいたしますが、この際私からこまかい点について申し上げますと、御承知の通り調達庁の職員の整理につきましては、他の各省と違いまして三年計画で整理することになっております。これは一部は業務の性質にもよりますし、一部は職員の整理を円滑にするということもあわせて考えておるわけでありまして、現在の定員法の建前では第二年度分といたしまして、ことしの六月三十日までに調達庁の職員三百三十二人が整理されることに相なるわけであります。これは現行法がこのまま参りますれば六月三十日に三百三十二人が落ちる、こういうことになります。そういたしますと、この三百三十二人が六月三十日に整理されっばなしになるということは、昨年他の各省の職員が臨時待命の恩典に浴していたのに対しまして不均衡である、公平な取り扱いでないからこれを何とかしようと考えまして、この六月三十日に落ちる前に、これを臨時待命とほぼ同じような恩典であるところの指名退職制度をこれに施行しよう、こういうことでございます。指名退職制度は、御承知の通り、ほとんどその内容におきましては臨時待命と変りありません。ただ変るところは、この前は強制措置もあわせて行うことができたわけでありますが、このたびは強制でなしに話し合いでいこうという建前になっております。従いまして調達庁内部におきましては、話し合いを内々進めているというような事情があろうかと思うのでありますが、これはすでに現行法で三百三十二人がどうしても落ちる、それを改正法においても引き継いで、その三百三十二人を整理するという数は、変更していないという前提の上に立っておることを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/37
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038・田原春次
○田原委員 調達庁の職員の問題についてただいま御説明を承わりましたが、なおわれわれは事の正確を期するためにもう少し質問をしたい点もあるし、それから調達庁の職員の方からもいろいろな見解を述べられておるはずでありますから、明日は飛行場の問題があるからだめだと思いますが、最も近い機会に、調達庁の職員で組織しております労働組合がありますから、そのうちから適当な者を本委員会に参考人として御招致願って、資料も出していただきたい。それから日にちが六月三十日になっておるようですから、なるべくすみやかにその機会を作っていただきたい。質問は後日に保留してその点だけお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/38
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039・石橋政嗣
○石橋(政)委員 今の岡部さんのお話でございますが、現行法でやるのだということであれば、一応理屈であれ、へ理屈であれ筋は通るかと思うのであります。先ほどから申す通り、新法が成立した場合を予想してすべてやっておるわけです。これは文書がそうなっておるだけでなしに、職員組合と長官あたりが団体交渉をやった場合でも、それを前提として話をしておる。これはおかしいじゃないかということを私先ほどから申しておるので、その点は年次計画をやられていることも承知の上で質問しておるということをよく知っておっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/39
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040・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01519550602/40
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