1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十九日(水曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 床次 徳二君 理事 江崎 真澄君
理事 高橋 等君 理事 森 三樹二君
大村 清一君 長井 源君
林 唯義君 保科善四郎君
眞崎 勝次君 粟山 博君
山本 正一君 大坪 保雄君
越智 茂君 小金 義照君
田中 正巳君 福井 順一君
茜ケ久保重光君 飛鳥田一雄君
下川 儀太郎君 長谷川 保君
受田 新吉君 中村 高一君
矢尾喜三郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 大久保留次郎君
出席政府委員
総理府事務官
(恩給局長) 三橋 則雄君
委員外の出席者
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
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六月二十九日
委員田原春次君、杉村沖治郎君及び船田中君辞
任につき、その補欠として受田新吉君、矢尾喜
三郎君越智茂君が議長の指名で委員に選任され
た。
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本日の会議に付した案件
恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する
法律案(高橋等君外百十一名提出、衆法第二八
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。暑中の折柄、上着を脱いで質疑応答することにいたしましょう。長谷川保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/1
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002・長谷川保
○長谷川(保)委員 今回の恩給法改正に際しまして一番重点になりますところは、実際問題といたしましては、やはり仮定俸給の問題が大きな問題であると思うのであります。昨日最後にこの点についていろいろ伺ったのでありますが、昨日承わったところではどうもふに落ちない点がありますので、もう一度繰り返して伺いたいと思います。
普通恩給の仮定俸給の問題で高橋議員に伺いましたが、兵の例をとって、兵の仮定俸給が年額七万九千八百円、従って一カ月六千六百五十円の月給というわけだが、これではあまりに少いではないかということをお伺いいたしましたときに、いや、この俸給六千六百五十円のほかに食糧あるいは住居、被服等が入っているんだ、だから相当なものになるんだというような御答弁をいただいたと思うのであります。念のために伺っておきますが、さように解釈いたしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/2
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003・高橋等
○高橋(等)委員 昨日その質問に対するお答えは、恩給法特例審議会でそうした標準で仮定俸給をきめたのは、おそらくそういうことも入っておるんではないかと推測せられるが、私としてはこれは推測であって、的確なるものをつかんでお話しておるわけじゃない、ただそういうこともあるのじゃないかという意味のことを申し上げたのであって、あとは特例審議会の審議を、その特例審議会の委員に聞かなければわからない。そこでちょうど特例審議会へ恩給局長の方が当時常に列席しておったはずでありますから、何でしたら恩給局長の方に御質問願えば適当で、私に御質問下さる点ではないと思いますので、私はただ想像的な意味のことを申し上げたのでございます。それは速記をごらん下さればすぐわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/3
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004・長谷川保
○長谷川(保)委員 私の伺いたい重点は、つまりこれは非常に少いじゃないか。昨日も申し上げましたように、兵と申しますと、みな応召兵と見てよろしいわけであります。従って恩給の理論として、公務に従ったために失いました経済の取得能力の減損に対して、国家もしくは地方経済がこれを補てんするのである、こういう恩給理論はほとんど確立していると言っていいと思うのであります。そういう考え方からしますと、召集兵の経済取得能力の減損を補てんするその基礎になるべき仮定俸給というものは、月額六千六百五十円ではひどいじゃないか、こういうことを昨日申し上げたわけであります。六千六百五十円というのは非常に低いからこれはどうかというのに対して、高橋議員とせられましては、いやまだこのほかに住居費や被服費や食糧費というものを考えているんだ、こういうようなお話だった。それでもっとこれが高くなるものだというならいいのであります。ただ非常に低過ぎるじゃないかということが私の伺いたいところなんであります。恩給局長、これは高橋委員が今おっしゃったように、また別に何かがあるんだ、だからこれでいいんだ、こういうふうにこの金額を考えてよろしいのですか。私は少し違うと思うのでありますが、局長の御意見はどうなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/4
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005・三橋則雄
○三橋政府委員 軍人恩給が停止せられる前におきまして、旧軍人の方々に対しまする恩給の年額はどういうふうにして算出されておったかと申しますと、一定の仮定俸給が設けられまして、その仮定俸給を基礎といたしまして、現実の給与のいかんにかかわらず、その仮定俸給を基礎といたしまして恩給年額が計算されるようになっておりました。これは昭和八年以後のことだと思っておりますが、そうなっております。その仮定俸給というのは、二等兵のところでございますと四百五十円、それから一等兵のところで四百九十五円であり、上等兵のところは五百四十円、兵長のところで六百円、それから伍長になりますと六百七十五円というふうに、上の方になるに従いまして若干ずつ多くなっておったのでございます。そこで恩給特例制度審議会におきまして、旧軍人の方々に対しまして恩給を、また旧軍人の遺族の方々に対して扶助料を支給するに当りましては、今長谷川委員の仰せられますようなことも一応は考えられたのでございますが、問題は、文官の人々とそれから軍人であった人々と、また軍人の遺族の方々と文官の遺族の方々と両方のことを考えました場合に、かつて同じように取り扱われておった方々に対しましては同じような取扱いをする、こういうような基本的なものの考え方に立ちまして恩給年額計算の基礎方式をきめる、こういうことに相なっていた次第でございます。そういうことからいたしまして、今長谷川委員の指摘されましたごとく、兵長のところは少い金額といえば少い金額でございますが、現在のような金額に相なったような次第でございます。一カ月収入が五万円ある。ところがそれを応召されて、今の話では、これで見られますように、どういう形式で持ってきたにいたしましても、いわゆる仮定俸給であります。一カ月の俸給が六千六百五十円ということで定められたのではあまりに不公平じゃないか。それだから、応召兵はこういう考え方でいきますと、つまり先ほどの局長のお話でありますれば、この仮定俸給の基礎になりましたのは——やはり根本的に申しますれば、いろいろな事情があっていろいろ書いてはありますけれども、しかし基本的な考え方というものはやはり応召兵としての勤務しておりました当時の俸給であります。その俸給を幾らか粉飾してある、こういうわけであります。でありますから、その俸給を基礎としていくという考え方が、根本的に間違いではないか。応召兵は職業ではないわけであります。職業ならばいいのです。職業ならば職業としてふさわしい給料をもらっておったのでありますからそれを土台にしていいけれども、応召者というのはそうではない、これは便宜です。いわば兵隊として、あるいは下士として、あるいは下級将校として勤務いたしますのについての便宜——将校の方は将校としての俸給が出ておるのだろうと思いますが、下士官以下となりますと、今日でいえば小づかい的なものです。だからそういうものを基本としてやっていくというところに非常な間違いがある、そう私は思うのであります。だから月割にいたしまして、兵長までが六千六百五十円ということで今日これを処理されるというけれども、こういう考え方に根本的な誤りはないか、これが私が昨日来伺っている点なんです。これが間違いだということになりますと、この改正案自体が根本的にさらに変えられなければならぬわけであります。こういうわけで、私は繰り返しその点念を押しておるわけであります。そうしないと、この恩給法の改正ということは意味をなさない。改正というからには、より合理的なものにする、今日の時代で考えて、より筋の通った、道理の通ったものにするということでなければならぬが、その一番肝心かなめの仮定俸給において全く不合理の中に入っておるとしますれば、この点を改訂しなければならぬ、こう思うわけです。職業軍人は当時の俸給を土台とし、あるいは文官は当時の俸給を土台としてよろしいのでありますけれども、応召者というものをそれで律してはいけない。別な考えで律しなければ、これは不公平は少しもとれなくて、今回の改正で先ほど指摘したような金額で参りますと、より不公平がはなはだしくなって参るということになるのであります。そこでこの点を私は繰り返し言いたいわけであります。だから、そういうような応召軍人をこういう数字の仮定俸給で律するということは正しいか正しくないか。私は正しくないと思うのでありますけれども、この点大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/5
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006・大久保留次郎
○大久保国務大臣 この点はきのうも申し上げたのでありますが、とにかく日本の恩給法はこういう軍人の階級を認めて、これを基礎として現在支給しておる。それをさらに今回は追加して率を増加する、こういう基礎に立っておるのでありますから、従来の給与体系に影響を及ぼすようなことはなるべく避けたいという観念が一つと、もう一つは、あなたの言うのは一つの理論かもしれませんが、実際にこれを施行することになって参りますと、一番数の多いのは兵士であります。これに多額の金を支給せよといったらとても国家の財政が許すまい、こういう困難が伴ってくると思います。この二つの点を考えまして、まずこの原案でいいだろう、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/6
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007・長谷川保
○長谷川(保)委員 だからその点は昨日私が鋭く申し上げましたように、予算上の理由、財政上の理由だということであれば、皆さんの考え方は一つの考え方でありますけれども、しかしそれならばそれで、少い財政は少い財政で、それをできるだけ有効に使うように、下に厚くしなければならぬのじゃないか。月割にするとこういうふうな今の六千六百五十円になりますが、高橋委員が昨日お答えになったのは根本的に誤りだと思うのであります。もちろんこの中には寝具代も被服費も食糧費も住居費もみな入っておるに違いないのであります。これは間違いないと思います。それでなかったら変であります。そういうことで六千六百五十円というものを仮定俸給として考えているに違いないのであります。でありますから、六千六百五十円というものはほんとうにひどい。これがさらに数が多いから少くても仕方がないのだ、数が少い上の方はもっとたくさん出しても大したことにならないから、上の方はたくさん出す、こういう考え方はどうにも納得ができない。少いならば少いものをまことに犠牲のはなはだしかった応召者の遺家族の方に持っていくべきじゃないか。昨日辻先生がおっしゃいましたように、自分は恩給をもらっていない。これは日本人としましてはそういう心がけを持っのは当りまえであります。恩給さえももらわないというようにお考えになる筋もあるのです。これはなるほど号俸で言えば上が二号俸、下が四号俸だけれども、金額で言えば、昨日言いましたように、おそろしく違って参ります。上は普通恩給で、表面から見ると大将が七万七千二百円値上りするが、兵の方は六千四百円しか上っていない、これほど違うのであります。昨日もちょっと言いましたように、これも私の方が正しいと思いますけれども、公務扶助料の場合で申しますと、大将は六万五千六百二十円、兵の方は八千四百八十円値上りする、表面だけから見ましても、大将は二十万五千七百円になるが、兵隊は三万五千二百四十五円にしかならない。統計から申しますれば扶養家族はそれぞれ一人、ですから下の方を厚くする方がほんとうじゃないか、こういうような改正案をお出しになるのは間違いではないか、こういう仮定俸給を実施していくのは予算上の理由からだ、これはどうしても納得できない。だから下はいつでも粗末にしていく、もっとほかの言葉で言えば、農民、勤労者等、いわゆる勤労階級は多数であるから、このものは国家はいつでも薄く扱ってよろしい、ごく一部の大資本家や、あるいは社会の上層階級のものは厚く扱っても人数が少いから国家としては大した問題でないからよろしいというような理論です。これは理屈として成り立たない。その辺に旧封建的な時代のにおいがあるから、新しい時代にこういうにおいをもってしてはいけないというのが私の考え方、私の党の考え方なんです。どうですか、この点もう一度大臣の率直な御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/7
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008・大久保留次郎
○大久保国務大臣 今申されましたのはあなたの一つの考え方であります。決して私はあなたの考え方には反対しませんけれども、現在は、現在ある恩給法の改正案を審議しているのです。現在の恩給法はこういうぐあいに現に等級にわかれて支給しているのです。この事実は否定できないし、またこれはこわすわけにはいかない。変えればいいと言うけれども、ただいまはたくさんの金が要ってそういうことはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/8
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009・長谷川保
○長谷川(保)委員 下が多くて財源が少いから薄くしてよろしいという理論はどこから出てくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/9
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010・大久保留次郎
○大久保国務大臣 薄くしてよろしいということは申さぬけれども、数がたくさんなために財政が許さぬのでできないと言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/10
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011・長谷川保
○長谷川(保)委員 下の方は数が多くて財政が許さぬから厚くするわけにはいかぬから薄くしておくが、上の方は数が少いから厚くするということになっております。昨日来数字を指摘して申し上げたのでありますが、大将は普通恩給で七万七千二百円ふえているが、兵隊は六千四百円しかふえていない、これは事実やっているじゃないですか、この事実をどうするのです。も、必ずしも下が月給が高いという制度はないのです。やはり階級に従って上の人は高く下の人は安く給与しているのです。この事実はやはり否定できない、恩給法においてもしかりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/11
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012・長谷川保
○長谷川(保)委員 それはどうしても私は納得できない。なぜ納得できないかといえば、これは恩給であります。昨日来申し上げているように恩給というのはその経済の取得能力の減損を国家が補てんするというものであります。それですから今の世の中で経済の取得能力が六千六百五十円というような人ではなかったそのような人が——ほんの十八か十九で学生から応召になった人は知りませんけれども、一般の応召兵は、昨日いただいた統計によりますと、下士以下百六十万人の戦死者があるが、その人々は決して六千六百円の月給でやっておった人ではない。大部分が家族を持っており、それぞれ社会にあって重要な地位にあった人なんです。こういう方々をなぜ薄くするか、数が多いから薄くするというのは理由にならぬじゃありませんか。数が多かろうと少かろうと国家といたしましては平等に扱うのが新憲法の精神ではありませんか。普通の職業ならばいいのですよ。職業ならば地位の高下によって給料がきまっている。だから職業軍人や文官ならいいのです。けれども応召軍人は違うじゃありませんか。応召軍人についてそういう考え方をするのは無理じゃありませんか。これは職業じゃなく、天皇の名によっていやおうなしにひっぱられ、また表面は喜んで万歳と言って国家のために従軍して行ったけれども、これは法律の力、国家の権力によっていやおうなしにひっぱられて泣きながら家族と別れて行ったのです。その人々が今日犠牲になって大きな被害を受けた。ところが数が多いからたくさん出せない、済まぬけれどもこれはやむを得ないのだ。これは職業ではないのですからそういう考え方ではだめなんです。職業ではないのですから、私どもはそれを職業と考えて恩給でやるのは間違いだというのです。地位があって上もあり下もある、上はたくさんもらっておったからたくさんやる、下は少くもらっておったから少くていい、そういう考え方が間違いだと思う。どうしてもそれは理屈が通らぬと思う。私の言うのが間違いでしょうか。大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/12
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013・大久保留次郎
○大久保国務大臣 いや私はあなたの議論を間違いとは申しませんが、私は事実に立脚しての話をしている、あなたは新憲法の精神を説いている、ここに私は違いがあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/13
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014・高橋等
○高橋(等)委員 提案者と関係があることですから、もう一度問題のありかをわかりよくお話しておきます。おっしやることも一つの考え方だと思います。それから昨日来お話を申し上げておりますように、このたびわれわれが改正を企図いたしておりますのは、文官の恩給と均衡のとれた恩給を作りたい、こういうことが出発点になっております。そこで恩給でやるがいいのか、あなたがお考えになっているような社会保障的な考え方を基礎にしてやるがいいか、これが議論の分れ目でございますが、われわれはこれは恩給でやるがよいと考えております。そこで過去におきましてすでに恩給法特例審議会を経て、この国会において恩給法というものが制定になっているのであります。六八勅令で停止された恩給が復活したと私は考えたいのでありますが、これは議論が分れております。とにかく恩給というものができ上った、そのでき上った恩給が文官との均衡を失している、そこでこの均衡をとるための改正を実はいたしたというのがこの法律を作った根本の考え方です。しかも上の方については文官との均衡上、文官より低くなることを承知の上で号俸を文官より引き下げる措置をとっているのであります。そこがいろいろな議論の分れ道になるわけでございますが、そういうような考え方のもとに兵の給与につきましても——これはどうして兵の給与がああいうようになったか、私は徴兵制度の一つの現れかとも思いますが、これが低い。低いと言えば低いのです。確かに低い。ただし職業軍人の人々は、それを専業としてとにかく自己の全生活能力がそこに集中せられたといいますか、そうしたことに対しましての国の恩給制度というものができたわけであります。先ほど来、会社の重役の連中の、たとえば給与は兵の給与と見るべきではないとか、いろいろなむずかしい議論も起ると思いますが、さりとて、職業軍人が戦死いたしましたような場合には、これは御存じの通りあとは何にもないのです。ところがたとえば、あなたが例に引かれたから申し上げるのですが、会社の重役あたりで戦死された方は、会社よりそれぞれの手当があるか、あるいはその会社の株を持っているか、いろいろなことがあるだろうと想像もされるわけです。いろいろな点とも考え合せて、あなた方の法案が出きますれば、またいろいろその法案に対して反対の御質問を申し上げるようなことになるかと思いますが、一応私たちの建前は、過去におきます給与、これを恩給法特例審議会を通して、受けて、そして恩給制度でやっておる。もしあなた方のようにこれを平均してならすというようなことをやるといたしますれば、恩給というものは——われわれはこれを恩給だと考えている。給与の延長でございますから、結局今の文官恩給全体についてもやはり同じ考察を行わなければいかぬ。ただ軍人恩給だけを直すわけにはいかぬ。あなた方の方もおそらく案をお考えになっている場合に、軍人恩給だけをお考えになっていないと私は思う。それとともに現在の文官の給与自体についてもやはり一つの考察が加えられなければならないのじゃないか。そこまでさかのぼって私たちは考えている。非常に考え方の食い違いがあるわけでございますが、いろいろ申し上げましたところの枝葉は、恐縮ですが、一つ除いていただきまして、ただ私がお答えをしたいのは、過去における恩給としての建前をとるがよろしいということ、過去における恩給を、号俸引き上げとベース・アップをやることを趣旨にした改正である。しかも上の方については、文官との均衡を失しても、これを下げてきている、こういう点を一つ御了承願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/14
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015・長谷川保
○長谷川(保)委員 今のお話のような、軍人は死んでは何も残らない。しかし会社の重役や一般の勤労者は——一般の勤労者ということは言いませんでしたが、何も残らないような口ぶりでございましたけれども、軍人も公務扶助料がちゃんと残っている。一般勤労者の方には何もない。あとに残ったものは惨たんたるものである。そういうことで、今のお話は承わりかねますけれども、しかしこれ以上この点を申し上げましても、確かにお説の通り立場の相違でございます。この点はまた別の面から考えてみたいと思うのであります。して、官制といたしましては社会保障制度にいたしまして、それに切りかえて参る。先ほどお話のように、文官恩給につきましても私どもはその点についてはやはり考えなければいけない。これは個人個人の問題についてはいろいろな問題もございましょうけれども、国家全体、国民全体の運命という点を考えて参りますためには、文官恩給についても同様、やはり国民年金制度において考えるようにしなければならないと思います。この点は厚生大臣のみならず、多分今日の政府全体もさようお考えであると思いますが、将来の問題としてというようなお話が大臣からありましたが、やはり現内閣といたしましてもそういうようには考えていらっしゃらないか。将来の問題としてけっこうですが、もう一度伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/15
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016・大久保留次郎
○大久保国務大臣 ただいまの問題は、昨日もお話しました通り、将来の問題として起ってくるか知れませんが、今日の状況におきましては、恩給の性質と社会保障の性質においては根本的に違っている。恩給は、昨日あなたの言われた定義の通りです。同感です。社会保障は、政府が憲法の責任に基いて起ってくる問題であります。つまり国民の最低の生活を保障しなければならぬという根本精神に基いて起ってくる問題が社会保障でありますから、これと恩給は全く性質が違っています。恩給は、国家に特別の働きをしたものに対する補償でありますから、これと性質が全然違っている。ですから軍人の中には、社会保障の金なんかもらわぬ、そういうものじゃないのだ、ぼくらは国家に特別に尽したから恩給をもらうのだ、こういって主張する人がある。そういう金なら要らない、こういう思想を持っている人があるのです。現在における実際の思想の状況はそういう状況でありますから、もう少し思想が統一されて進んだ機会においては、あるいはあなたのような構想が実現するんじゃないかと思いますが、今は少し早いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/16
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017・長谷川保
○長谷川(保)委員 大臣にもう一度伺いたいのですが、しかし将来はそういかなければならぬとお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/17
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018・大久保留次郎
○大久保国務大臣 私はそう断言はできませんが、思想の統一ができない限りはなかなか困難と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/18
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019・長谷川保
○長谷川(保)委員 一般の世論から申しましても、社会保障制度審議会の勧告から申しましても、恩給自体の非常な膨張していく点から申しましても、私は国民的公平という観点に立ちますと、将来やはり国民年金ということになっていくのが当然だと思う。厚生大臣がはっきり言っておられますのが、正しいと思うのであります。そこでもし国民年金ということになりましたときに、非常に重大な問題が出てくるのであります。それはたとえば兵の公務扶助料を月額にいたしてみますと、二千九百三十七円であります。これに扶養家族の加給を四百円見ましても、月額三千三百円であります。これが兵長以下であります。曹長以下といたしましてもほとんど変りません。それから普通恩給になりますと、先ほど申しましたように、これが月額にいたしますと六千六百五十円でございますから、仮定俸給がそうでございますから、普通恩給として給せられますのは、さらにそれが御承知のように三分の一になる。二万六千六百円と改正では出ておりますが、これが月額にいたしますと二千円ちょっとということになります。こういうことになってきますと、大体準士官から曹長以下のところは、もし国民年金が施行されますと——今日西欧諸国において国民年金が行われておりますところがほとんど全部そうやっておりますのは、国民年金と恩給との差額だけを恩給の受給者に出すのであります。それが今日世界で国民年金を施行しておりますところの恩給に対するやり方であります。そうなりますと、たとえば公務扶助料で考えられます点は、これに相対するものは母子年金、子供をかかえましたお母さんの母子年金であります。あるいは寡婦年金であります。また普通扶助料で考えられます点は、老齢年金であります。そういたしますと、どちらにいたしても、どう考えましても、これは月額一人三千円以下では考えられないのであります。これは、今日の厚生年金保険制度のことを考えましても、生活水準から考えましても、月額一人三千円以下ということは考えられない。そうしますと、大体準士官、曹長以下の者はほとんど恩給をもらわないことになる。全部差し引かれてしまう。恩給をもらうかわりに国民年金はもらわないということになる。国民年金をもらうならば恩給をもらわない、片方しかもらわないことになるのであります。ドイツにおきましても、あるいはその他の国民年金制度を行なっておりますところも、みなそういうやり方をしておるわけであります。ほとんど全部そうであります。そうなりますと、今日の自由民主の両党から出しておられますこの改正案、この基礎になりました政府案等々を拝見いたしましても、結局今度の改正は——国民年金制度を日本で施行するのは遠い将来ではないと思います。どう考えても遠い将来ではない。もし社会党が政府を作れば直ちにやります。もし一年後、次の総選挙で社会党政府を取れば直ちにやります。あるいは自由党、民主党のどちらがおやりになりましても、二、三年後にはこれに手をつけなければならぬと私は思います。それが四、五年後に延びるといたしましても、今度の恩給改正で先ほど来私が言っておりますようなこんな低いものをここに出しておきますと、恩給の改正をする、下の方は四号俸で厚くしてあるなんと申しますけれども、事実は、国民年金制度が行われましたときには、結局大体準士官、曹長以下は恩給はもらえないのであります。事実全然ゼロになる。もらえますのは将校以上であります。ところがその将校以上の恩給はどこから出ますか、それは税金であります。そうすると、公務扶助料、普通扶助料に関係いたしまする方々に問題を限って考えてみますと、その将校以上だけがもらいます恩給のために、準士官以下の諸君は大体においてみんなそのために税金を出す。自分たちは戦争の犠牲をひどくこうむったけれども、何も恩給にありつけない、税金を負担させられたという、こういう事実が考えられるのであります。でありますから、これは重大な問題だ。日本の社会保障制度の前進のために——これは憲法二十五条の後半において、国の責任としてきめられております。日本の社会保障制度は絶えず前進をしなければならないのであります。その前進の中で一番先に考えられるのは国民年金制度だ。その国民年金制度が実施されれば、今日恩給法の改正で非常に何だかうまいような話でありますが、鰻香だけはかいだけれども、実はウナギは口に入らなかった。ほんの一年か二年、あるいは三年しか入らなかった。結局結果といたしましては、準士官以下は上の将校諸君のための税金を出さなければならぬということになるのであります。でありますからこういう点から申しましても、今回の改正案というものはよほど考え直さなければならぬ。つまり上のほうをもっと下げて下のほうを厚くしなければ、何のことはない、うんと税金だけ出させられて恩給を受けない、こういう結果になってしまいますから、ここにこういうことを申し上げなければならぬ。この私の考え方に対して大臣はどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/19
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020・大久保留次郎
○大久保国務大臣 ただいまのお話はやはり国民年金の案を作りましたときの問題であります。そのときはそのときになれば、下級の軍人の恩給をそれほど損害をこうむらぬでも済むような案が工夫できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/20
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021・長谷川保
○長谷川(保)委員 先ほど来お話しのように、大臣は給与関係の大臣であり、また下の方が数が多過ぎるから財政上困るからできないのだ、こういうお話であります。もちろん国民年金制度ができますときには、これは単なる掛金だけの問題ではありません、国家がこれに対して相当の助力をしなければならないことは当然考えられるのであります。その国民年金制度ができて国庫負担がかさんでくるが、これはかさみましてもけっこうであります。なぜならば国民的公平の見地に立って、全国民に対して平等に扱うからであります。これは幾ら負担がかかりましてもいいのであります。しかし先ほど来お話しのように、この国民的な公平の原則に立つのではなくて、一部の方々のためにこれがなされる。これが許されるのは戦争犠牲がはなはだしかったからということであります。戦争犠牲のはなはだしかった傷痍者、戦死者の遺族、そういう応召軍人に対して集中的にこれを国家補償すべしというのならばわかります。そうではなく、今申しましたように、国民年金制度はどうしたって行われますよ。行われなければ憲法違反である。憲法第二十五条の後半に、国は社会保障制度、公衆衛生、社会福祉の増進に絶えず努めなければならないと書いてある。だから前進していくのです。また社会の趨勢から申しましても当然近い将来にできるのが当りまえであります。そのときにこの恩給受給者がそういうことにならないように考えるといったって、そういうことは財政的な見地から申しましても不可能であります。国民年金制度ができるという見通しは万人が万人認めなければなりません。しかし両方ともこれを給与するということは、これは財政上言うまでもなく不可能であります。今日のこれだけのものを出すにしても、下級軍人諸君、応召軍人諸君の数が多いがゆえにこれを増すことができないというならば、そのときだってできるはずがないのであります。それならば今から見通しをつけなければならないじゃないか。今から見通しをつけて、そういうときになって不公平のないように、何だ、恩給は高級軍人ばかりだ、下の方はその税金を出す方に回された、そういう不公平のないように今からそれを考えなければならない。私は国家の将来のことを見通して考えますゆえに、この御提出になりました改正案というものはもう一つ改正しておかないと、こういう改正案ではどうも不公平をはなはだしくするということをここに申し上げざるを得ないのであります。大臣どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/21
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022・大久保留次郎
○大久保国務大臣 前に申しました通り、まだ年金法案には無関係の法案であります。あなたの御心配の点は、さっき申しました通り、年金法ができました場合に、手かげんによって訂正し得ると思います。あんたの御心配をなくすることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/22
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023・長谷川保
○長谷川(保)委員 そんなようなことはできるはずがないのであります。普通の頭を持っている者ならばだれでもわかります。けれどもこれ以上追及いたしましても御返事にお困りになると思いますから、他の問題で考えて参ります。
昨日もちょっと触れたのでありますけれども、この改正案の仮定俸給及びそれから出て参ります普通恩給、公務扶助料を見て参りますと、なるほど表面から見ますと将官は二号俸上りである、佐官は三号俸上りである、尉官以下の下級軍人は兵に至るまで四号俸の値上りである、こういうことで、表面はいかにも上に薄く下に厚く改正がされるように見えるのでありますけれども——昨日ちょっと申し上げて議論に入る前に時間が過ぎてしまいましたので中絶いたしましたので、この点をもう一度繰り返しますが、昨日申しましたように、なるほど今度のものは普通恩給で見て参りますと、大将は年額二十四万二千円の普通恩給を受けることになるのであります。ところがこれを恩給の実情に従ってしさいに検討して参りますと、御承知のような年数の加算がございます。
年数加算は、十二年を越えます一年に対して百五十分の一がふえていくわけでございます。こういうようにして考えて参りますと、事実は大将程度になりますと、全部が四十年の恩給年限を、在職年限を持っておると考えてよろしいのでありますから、もしそう考えて参りますと、一割八分の値上げになる。事実は二十四万二千円でなくて、二十八万五千五百六十円というものになってくるのであります。従いまして、こういうような事実を見て参りますと、大将の値上りは、普通恩給におきまして今回の値上りで九万一千百円値上りしておる。ところが、たとえば曹長で考えてみましょうか。曹長で例をとってみますると、たとえば兵隊から一生懸命にやって、戦時加算があった、あるいは満州に駐屯しておった、朝鮮に駐屯しておった、当時の支那に駐屯しておったということで、加算がついておった。加算が一ぱいについたから、ここでなるべく早くやめようといってやめた、こういう方々がたくさんございます。下士官の恩給をとっている方々では、そういう方々が多いと思うのであります。こういうようになって参りますと、そういう方々は、御承知のような今度の改正案によりましても、あるいは今までの恩給法によって考えましても、この加算年というものはとってしまう。従いまして、実在職年でいく。そうすると、大体最低の額でいくわけです。恩給法の附則十四条でございますか、その最低の額でいくわけです。従って、百五十分の二十五というものが普通恩給になるわけであります。仮定俸給で百五十分の二十五が普通恩給であります。つまり六分の一になるわけであります。従いまして、曹長でも普通恩給は五千四百三十三円にしかならない。こういう計算が出てくるのでありますが、恩給局長、私の今申し上げておるのは間違いでしょうか。私の計算ではどうしてもそうなるのでありますが、そうなることはあり得ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/23
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024・三橋則雄
○三橋政府委員 突然のことでございますので、今のお話のごとく大将は一割八分増し、そういうことになるか、あるいは曹長がそうなるか、検討いたしてお答えいたします。ただ百五十分の二十五になるというお言葉がございましたが、それは間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/24
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025・長谷川保
○長谷川(保)委員 その点は間違いないです。百五十分の二十五という最低の恩給のところで、それ以下はそこまで下ることがあり得るわけです。だから今の仮定俸給で、曹長の仮定俸給九万七千八百円、つまり六分の一にいたしますと、五千四百三十三円という数字が出てくる。だから表面から申しますと、上が四号、下が二号となりますけれども、事実から申しますと、とんでもないことになる、こういうことがあり得るわけです。だからこの恩給法は、恩給を実施しております事実から判断して参りますと、非常な間違いが入っている。すでに今までの旧恩給自体が間違いである。だから私は反対したい。同時にこの改正案自体も、それが大どころでは何ら是正されておらない。前にも申し上げましたように、なるほど是正されている点は私の主張が幾分通ったところもございまして、その点は私も同感で、御同慶にたえないのでありますけれども、しかしこの根本の大きな問題になりますと、ただいま申しましたような表面と全然違った事実が出てくるのであります。今恩給局長がおっしゃった通りであります。それですから、これは御改正になるならばもっと根本に突っ込んで改正をしなければならぬ。たとえば恩給法でやるにしましても、根本的にもっと考え直さないと、たとい恩給法を認めるといたしましても、旧軍人に恩給法を適用するにいたしましても、はなはだしい不公平ということになって、公平の原則と違ってしまうのであります。だからこの点はもっと根本的にお考え直しになるべきだと思うのでありますが、どうでしょうか。も、委員の御質問に対して御質問申し上げるのははなはだ恐縮でありますが、あなたは加算制度というものをお認めの上でその立論をなされているのか。おそらく加算制度はお認めにならないのだろうと思う。それで、そういうことがあるから国民年金でやれ、こうおっしゃるのだろうと思うのでございますが、そこへ行けばまた元へ返るわけであります。一応いろいろな例を引きますと、中に敗戦の結果の極端に気の毒な人の例も出て参る、これはわかります。また大将等においても、御説のような調子にばかり行っておるものでもないということもいえるでしょう。それはいろいろの例があるので、極端から極端を引いて立論されて、かるがゆえにこれはというように、こう言われますとはなはだ私は心外だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/25
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026・長谷川保
○長谷川(保)委員 しかし、一般論的に考えましても、職業軍人の高級軍人というのは、何と申しましても十三年以上勤務しているわけであります。それ以下という方は高級軍人におきましてはまずないと見てよろしい。戦時のことでありますから、少佐くらいまでは旧の士官学校を出た方で行っている方もございましょうけれども、大体一般論としましても、職業軍人で上級将校になりますれば、十三年以下なんということは全然あり得ないと見てよいと思う。だから、一般論でありますけれども、こういう職業軍人の方々としては大体年数加算ができているということは当然であります。ところが下士以下におきましては、今申し上げましたように、恩給がついたというてやめるという皆さんが多いのであります。十二年以上行っているという方にないのであります。だから、こういう事実に照しまして、下士以下では十二年以上の人にないから、ここにどうしても減算されてくる、職業軍人の方々で、ことに高級の方々に必ず年数の加給がある、こう断定して間違いないと思うが、高橋さんどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/26
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027・高橋等
○高橋(等)委員 それも立論の根拠が非常に断定的過ぎると思うのです。下士宮以下で恩給がついている人も、戦時中はやめようにも実はやめていないのです。これは実情は今日ならおわかりになると思うが、そこで相当の長い期間の勤務が行われている。あなたのおっしゃるのは、非常に古い昔の場合はそういうことはあったでありましょう、ですから一がいにその点は突っ込めないと思います。ただ、加算をやめたために損害をこうむるといいますか、収入が減りますのは、将官も佐官も、内地へずっとおった人は別ですが、ほとんど戦時中はいろいろ戦地にまたがった勤務が多かったわけでありますから、この点はやはり同じような考え方で見ていくのが妥当じゃないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/27
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028・長谷川保
○長谷川(保)委員 そういう考え方は私はどうしても違うと思う。事実違いましょう。なるほど下士以下で今の階級にあられる方、准士官以下にあられる方は、何と申しましても、あなたがおっしゃったように、戦時中ですからやめたくてもやめられなかったでしょう。しかし大体下士以下の方は、召集されたり解除になったり、また召集されたり解除になったりこういうことです。こういうことから、今度の御承知のような一年以上引き続きというような改正がなされてきて、今までの七年以上引き続きというのは、あなたの改正案でも改正されてきたと思う。だから行ったりやめたり、行ったりやめたり、こういうことで、まず一般論として十二年以上いっている方はないと見てさしつかえないと思います。そうすればそれは全部、たとい古いことであっても今日のことでも、それぞれ百五十分の三・五ずつ一年間において引かるべきであります。事実お出しになりました改正案のこの仮定俸給の出て参ります数字を見て参りますと、昨日お示しいただきました普通恩給を見て参りますと、下士以下においてはこの名目によって減っていくのは当りまえじゃないのですか。当然の結論であります。どう考えましてもそうならざるを得ない。しかしあなたがお考えになりましても、大将はともかくといたしまして、佐官以上の方々で、十二年以下という方々はあるでありましょうが、佐官以上の方々はほとんど十三年以上の方ばかりであります。大体将官においてはそうであります。中佐、大佐それらはみなそうであります。だからそこで減額される人はない、これは年数の加算がふえていくだけだ、こう思います。どうでしょうか、そういうふうな事実は違うでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/28
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029・高橋等
○高橋(等)委員 問題になっております点は、普通恩給の点で、遺族の方の問題じゃないことは御存じの通りでございますね。これはよろしゅうございますね。公務扶助料は関係はありません。大体今度の恩給法の中の比率からいいますと、約一割に当る人々についての御議論だと考えます。それで今申し上げました点におきましては、なるほど古くから勤めて階級が佐官とか将官になるのは、相当年限加算があるでしょう。しかし下士官の場合でも出たり入ったりというような例ももちろんありますよ。しかし職業的にそれをやられておった方はそうじゃないのですから、ほんとうは引き続いてやっているのです。しかも相当長年にわたっておやりになっておると私は原則的にそう考えます。しかしこれは水かけ論になりますから、一つこの辺で終っておきたいと思うのでございます。ただそういう意味合いにおいてあなたのを認める点ももちろんあるわけでございます。それは御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/29
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030・長谷川保
○長谷川(保)委員 それ以上申し上げても何でありますからその辺にいたしておきますが、要するに私の質問の趣旨はこういうことになる、表面上が二号、下が四号というてもそれはそうでなくして、しっかりと事実に基いてこれを考えて参りますとそういうことになっておらぬ。事実はむしろ逆である、従って今回の改正案でこういうような上の方を増額をするということは不合理である。下の方をもっと増額しなければいけない。そうしないと国民的な公平の原則が恩給法によってはるかにくずされて参る。そういうことになって新しい社会を作りますときのつまずきになる、こういう点を私は指摘して改正案に対する反省を求めたいので申し上げたのであります。
さらにそれでは次の問題に移って参りたいと思います。ここで念のために伺っておきたいことは、恩給局長に伺いたいと思います。どうでございましょうか、恩給というものを今回の改正でここに出してきた、あるいはすでに二年前に軍人恩給復活で恩給が裁定をされて、たとえば年額三十万円なら三十万円を給付するということになると、それはいわゆる憲法上の既得権、財産権というようなことの確立ということになりましょうか、御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/30
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031・三橋則雄
○三橋政府委員 今長谷川委員の仰せられましたごとく一つの既得権になる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/31
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032・長谷川保
○長谷川(保)委員 それですから恩給を左右することは実に重大なる意味を持つと思う。既得権であと変られなくなってしまって、国民年金制度というようなことを考えますと、この改正についてはほんとうに将来を見通して、将来の国家財政あるいは国家全体の政治のあり方、そういうものを十分に見通してやらないと重大問題になると思う。そこで先ほど来申し上げておりますが、国民年金制度を近い将来にしくということはどなたが考えましても、率直に考えれば当然のことであります。そういう点を考えて参りますと、この恩給法の改正で国民年金より上に出ます金額を給与するという点を考えて参りますことは将来の国民的な公平を欠く大きな問題に至りますので、この点私どもは非常に注意を払わねばならぬ、こういうように私は考えるのであります。これらについても意見の相違ということになりましょう、この点はその程度にしておきまして次の点に移って参ります。満の在職年は恩給基礎在職年に算入するものとする、こういうふうに今度の改正案はなっている。私はこの前の恩給法の改正のときに、よく軍人恩給復活のときに引き続き七年以上を給することによって、この恩給は結局職業軍人だけにいってしまった。そうでなくて、行ったりきたりという応召兵、戦争の犠牲の一番ひどかった応召軍人は何らこの恩典に浴さないじゃないかという点を強く指摘いたしまして、この前の改正案、旧軍人の恩給復活に強く反省を求めたのでありますが、この点現在の改正で幾分緩和されたことにつきましては、私ども主張が通ってきたわけでありまして喜びにたえないのでありますが、しかしなお疑問がある。なぜ一年未満をお進めになったのか、その理由を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/32
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033・高橋等
○高橋(等)委員 今の御質問は一ヵ月以上認めろ、こういう御質問なのですか、どうなのですか、よくわかりませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/33
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034・長谷川保
○長谷川(保)委員 恩給期限を計算しますときに、実在職年の一年未満のものは切り捨てておらないと思うのであります。全部それは計算の中に入っていると思いますが、私の記憶違いでしょうか、恩給局長どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/34
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035・三橋則雄
○三橋政府委員 この問題につきましては、実は、民主、自由両党の間におきましてできるだけ通算をしたらどうかというお話がありました。御通算の話につきましては私たちの間におきましては他種公務員との間における場合、軍人の場合でいいまするならば、軍人と私たちのような文官との在職年を寄せ集めます場合を通算といっておりまして、それから軍人なら軍人、文官なら文官だけの在職年を合せますのを合算といっていますが、今度の問題は軍人の在職年だけの問題だと思います。そこで一年未満の在職年も合算するということになりますと、一体どういうことになるか、こういうことを検討してみたのでありますが、御承知の通り、軍人として軍務に服した人は、徴兵によりまして徴集されて軍務に服しましてから、その後、あるいは教育召集とかあるいは臨時召集とかによりまして召集されて、短期の間軍務に服する場合もありますし、また充員召集によりまして戦務に服する場合もありまして、軍務に服しました場合は、原因によりましても違いまするが、期間もいろいろ異なるのでございます。そうしますと、教育召集なんかの場合は、長谷川委員も御承知の通り、ごく短かい期間もございますし、種々さまざまであります。また防衛召集なんかに至りましてはごく短かい期間の召集もあるのであります。そういうようなことで、召集されて軍務に服されました期間につきましては、すべて合算することができますれば、これはもちろんけっこうなことでありますし、筋が通ったことと私は思います。また民主、自由両党の委員の方におきましても、そういうようなお話でございました。筋としては私は当然そうだと思います。しかし現実の問題として考えました場合におきましては、御承知のように、終戦前後におきまする混乱のために、記録書類というものが必ずしも判然としていないのでございます。結局は、問題は筋を通しつつなお現実の問題に立脚をして、どこへ線を引いて現実に即した合理的な解決をはかるか、こういうことになってくるわけであります。そこで、少くとも一ヵ年くらいまでは何とかやれるかやれないか、こういうようなことになって参りました結果、厚生省の事務当局とも打ち合せいたしまして、一ヵ年以上というところに線を引いたわけでございます。そういうようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/35
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036・長谷川保
○長谷川(保)委員 事務的な処理として、今の内地の充員召集とか教育召集とかいう問題が入ってくると非常に困るという点はよくわかります。しかしこの規定のために、戦地に引っぱり出されていっていながら、いろいろ合算して参りますと恩給の実在職の最短年限にもうわずかで達するけれども、これでだめだ、こういう問題も出て参ります。事実は戦地に引っぱられているけれども、この規定があったために、もう半年加われば実在職の最短年限に達して普通恩給が受けられるのに、実際は働いておっても一年未満はだめだということが実際出て参りますね。だから、教育召集とか充員召集とかいう問題は一応捨てると考えましても、戦時勤務あるいはこれに準ずるこういうようなもので恩給がもらえないというものが出て参りますね、そういうことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/36
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037・三橋則雄
○三橋政府委員 一年ということで切っておりまするからして、お話しのようなことは出て参ります。しかし私たちの間でいろいろその点も検討いたしたのでありますが、確かにそういうようなことも出て参りますけれども、大体戦地に行った人たちにおきましては、一ヵ月、二ヵ月で帰ってきたというような人は、ごくまれであって、大体におきましては一年ということで、これにはずれる人はそうたくさんはないだろうということが一つ。もう一つは、先ほど申し上げましたように、終戦時におきまする動員兵力というものは非常にたくさんに上り、しかもその書類というものは、今申し上げますように、非常に整備されていない、こういうような現実からいたしまして、どうしてもこの程度の制限をつけなければ、円滑に公平なる事務はとれないのじゃないだろうか、こういうようなことが非常に危惧されたわけでございまして、そういう見地から、実は私たち事務当局といたしまして民主、自由両党の方々に、公平にしかも迅速に一般の受給者の要望に沿うようなところからして、ぜひこの程度の線を引いていただきたいとお願いいたしたよう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/37
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038・長谷川保
○長谷川(保)委員 事務的な問題としては理解できますけれども、この今質問しております長谷川自身が実は戦地に引っぱられて参りまして、朝鮮から満州、山東省、それから上海、台湾というように、香港を取るために台湾まで持っていかれて、船の中で司厨をやっております者にチフス患者がおりましたために、船内四百数十名、およそ五百名がチフスになって、とうとう私もチフスになりまして台湾に上げられまして、やせ衰えた動けもしない惨たんたるからだで内地に送還されて、ちょうど八カ月で私は召集解除になった、こういう事実があるのです。戦闘もやって参りました。私は恩給に関係しませんから、どちらにしても私個人の問題ではもちろんございませんが、そういう事実もありますから、戦地に引っぱられた人で、あとわずかのことで恩給が切れるというような人は少し考えてあげないと、この点は応召軍人が場合によっては非常に不公平になる。十一年六カ月行っている、あるいは十一年八ヵ月行っている、あとわずかなことでついに受けられない、こういうような事実が出てくると思います。でありますから充員召集、教育召集は別といたしまして、戦地に取られたというものにつきましてはもう少し考えないと、応召者が不利になるのではないかというふうに考えるのであります。次の問題でございますが、この改正案の一ページの終わりのところに出て参ります「旧軍人、旧準軍人又は旧軍属の普通恩給を受ける権利を取得する」、この権利はたとえば下士官、兵でございますと年限は十二年ということをいっているのでありましょうか。それとも最短在職年限で受けられるものをさしているのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/38
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039・三橋則雄
○三橋政府委員 お許しを得まして私からお答えいたします。
お話しの通りでございまして、最短の在職年で受ける普通恩給のことをいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/39
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040・長谷川保
○長谷川(保)委員 この法案の二ページに、最短在職年数をこえることになるという場合には、こえる年数は恩給の基礎在職年に算入しないというのがございます。これはやはり財政的な見地からだけしたのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/40
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041・高橋等
○高橋(等)委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/41
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042・高橋等
○高橋(等)委員 一連のものといいますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/42
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043・長谷川保
○長谷川(保)委員 たとえば二十四条にもほぼ同じような傾向のものが出て参りますが、それは財政的な見地からだけでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/43
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044・高橋等
○高橋(等)委員 財政的な見地でいたしましたものと、また財政的の見地とともに、かくすることも妥当ではないかと思われる一般の国民感情その他すべてのものを勘案してやったものと、いろいろあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/44
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045・長谷川保
○長谷川(保)委員 四ページの拘禁の関係のところを拝見いたしますと「拘禁されている者に給する恩給は、当該拘禁が解かれた日の属する月の翌月から給するものとする。」となっております。こう点は恩給法全体に照らしてみますと、拘禁中は公務に服しているのだ、だから給料をもらっているからやらぬでいいのだ、拘禁が解かれると公務に服していることから解放されるから恩給が出るのだ、こういうように考えられます。そうすると拘禁中は一体どういう処遇をしているかということになって参るのでありますが、ただいま私が考えましたようなふうに考えてどうでありましょうか。提案者はまた別の考えで提案なさっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/45
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046・高橋等
○高橋(等)委員 この問題は中共、シベリア等で拘禁せられておりますものと歩調を合す考え方が基礎になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/46
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047・長谷川保
○長谷川(保)委員 五ページに終戦時の非常事態において責任自殺をした者に対しまして公務扶助料を出すというような、援護法と相応ずる条項がございます。これは終戦時非常事態の責任自殺のことをさしているようでありますが、三十五条の三ですね。しかしこれを私は終戦時の非常事態の責任自殺だけに限るべきでない、全戦争期間において責任自殺をしたもの、そればかりでありません、戦争に連れていかれましていろいろな理由で自殺した者がたくさんあります。あるいは平病死したものがございます。その全戦争期間の自殺者に拡大すべきである。これは平時と違いまして、異常な神経になります。これはどなたも戦地に参りましたものはわかるわけであります。従いまして、それがどういうような事情で自殺をいたしたにしましても、私はやはりこれは全自殺者に適用すべきである、こう思うのでありますが、終戦時の非常事態だけの責任自殺というようにお考えになる点はどこにありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/47
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048・高橋等
○高橋(等)委員 私も同感でございます。それでこれは援護法を受けた規定でございます。援護法の審議の際に基本的な問題は御審議を願う方が適当ではないかと考えます。それで大体御心配のないように実際は運ばれておると御了承おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/48
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049・宮澤胤勇
○宮澤委員長 長谷川君、あなたの質問がまだ続けば午後にしますし、短かければ午前中引き続いてやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/49
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050・長谷川保
○長谷川(保)委員 それでは午後にしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/50
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051・受田新吉
○受田委員 今高橋さんから四ぺ一ジの拘禁中の恩給のことが出たのですけれども、長谷川君の御指摘の点に対する高橋さんの御答弁としては、ソ連、中共に抑留されておる者とのつり合いを考えておるのだというお言葉でありましたが、これは重大な問題だと思うのです。それは恩給法の二十八年の一部改正で、未帰還公務員に対する恩給の規定が定められてありまして、それによりまして二十八年七月三十一日現在で十七年に達した者には普通恩給を支給することになっておるのです。従って抑留中に普通恩給を支給されておる。この抑留拘禁されておる者が拘禁が解かれた日の属する月の翌月からというのとは関係なく、抑留中に恩給を支給されている、恩給法の付則と二十八年の法律の一部改正と今のお言葉との関連について、もう一度高橋さん及び恩給局長さんから御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/51
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052・高橋等
○高橋(等)委員 恩給局長から…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/52
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053・三橋則雄
○三橋政府委員 ただいま受田委員から御質問がありましたいわゆる昭和二十八年法律百五十五号の第三十条の未帰還公務員に関する規定の適用を受けておる人は、今大体受田委員の仰せられました通りでございます。今巣鴨に拘禁されている方々などにつきましては、未復員者としての取扱いはいたしておりません。それで連合軍最高司令官の命令によりまして逮捕、抑留せられ、そして拘禁されて現在に至っておる方現在までに拘禁を解かれた者もありますが、その拘禁された方を、その拘禁中を未復員と同じように考えられるか考えられないかという問題が、この法律的な取扱いのもとになっておると私は考えておるのであります。未復員者と同様なふうに考えて措置をしましたのが今度の法律でございまして、その点から考えますと、中共、ソ連に抑留されて未復員者の取扱いをされている方と少しも本質的には変らない、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/53
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054・受田新吉
○受田委員 今日のソ連、中共に抑留されておる人は、これはソ連では戦犯と称しておりますが、恩給局長はこれを戦犯としてお考えですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/54
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055・三橋則雄
○三橋政府委員 国内法的には戦犯とは考えられておりません。従って私も戦犯とは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/55
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056・受田新吉
○受田委員 今抑留されている人々は現に普通恩給を支給されておる。それが今度戻ってから後に職場に帰るならば、その普通恩給が支給された者はもう一応過去のものとして新しい給与体系の公務員になってくるのでありますが、二十九条の二項は、巣鴨に拘禁されている者の拘禁中の機関は、未復員公務員の抑留中との関連はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/56
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057・三橋則雄
○三橋政府委員 連合国最高司令官の命令によって逮捕抑留せられ、そうして拘禁された人の中には、すぐ巣鴨に拘禁された方もおりましょうし、また南方の諸地域において逮捕抑留されて拘禁され、その後巣鴨の方に輸送されて巣鴨におられる方もおられるのでございます。そこでそういうような方を全部考えました場合におきまして、拘禁の期間を——少し語弊があるかもしれませんが、大まかに申し上げますならば、ソ連に抑留されている方と同じように考えられないだろうか、こういうことがこの考え方の基本になっておるわけです。従いまして結局今お話のようにソ連に抑留されているその期間が恩給の期間に繰り入れられると同じように、連合軍最高司令官の命令によって逮捕抑留されて拘禁されて、抑留といいますか、拘禁というと少し言葉が違いますが、拘禁イコール抑留と考えますと、その期間は未帰還の期間に繰り入れて恩給を考える、しかしながら無条件に繰り入れるということはしない、ソ連に抑留されておる方も恩給年限に達するまでを前提として考えられております。それと同じような取り扱いをしようというのがこの考え方の基礎であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/57
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058・受田新吉
○受田委員 抑留されているソ連中共の未帰還公務員は普通恩給を給せられるに至る月の翌月よりその家族に恩給が支給されているのです。ところがこちらの方は抑留中は恩給が支給されていないという、そこの差異をお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/58
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059・三橋則雄
○三橋政府委員 それにつきましては、今お話のように、確かに差は設けられてあります。これにつきましては同じように取り扱いをせよという議論もありましょうし、あるいは若干差をつけてもいいじゃないかという御議論もあります。この案は若干差がついております。お話の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/59
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060・受田新吉
○受田委員 その普通恩給を給せられておる人々は、二十八年七月末現在において普通恩給の期間に達したる人々は、そのうち四十五歳に達せざる人々に対しては若年停止規定によって恩給が停止されております。この人々はいかなる形で救済されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/60
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061・三橋則雄
○三橋政府委員 ちょっともう一ぺん……。給与をとめられておる結果になっておるのですがね。このことをちょっと伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/61
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062・三橋則雄
○三橋政府委員 恩給は現実に給せられませんから、未復員者の家族として手当が給せられることと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/62
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063・受田新吉
○受田委員 その方の手当が出ていないのです。そこでそこを一つ研究してもらいたい。それともう一つ、ここであとでお尋ねするときの参考にしていただくために、資料を明日の委員会までにお出しいただきたいものを指摘申し上げておきたいと思います。それは社会保障制度審議会の意見書が今出されておりますが、その意見書に対する恩給法上の政府における対策、特にお示しいただきたいのは、公務員制度調査会の実態及び最近における委員会の決定事項等をお示しいただきたい。
次は、明日委員会までに、この恩給法によって昭和三十一年七月から本格的な予算措置が講ぜられるのでありますが、その予算措置を政府として十分受け入れるだけの用意があるのかどうか、予算的に政府の確実なる御答弁をいただく用意を願いたい。
その次は、文官と武官との恩給比較で、昭和二十三年六月以前に退職した文官は著しく低い仮定俸給が設けられております。それは二十三年の恩給特例を定めたときに、その仮定俸給はいかなる基準で作られたかを、特に恩給局長において御調査の上御報告をいただき、今の武官の恩給の仮定俸給と、文官の二十三年六月以前の退職公務員の仮定俸給との比較検討を、できれば官等別、職種別等を含めた意味で御報告いただきたい。特にこの問題は、明日私が質問申し上げる最も中心点になるのでありまして、文官と武官との仮定俸給の設定に対する理論的根拠を明瞭にしていただくために、仮定俸給設定の基礎をお示しいただきたいと思うのです。
それからすでにこの法律にうたってある以上は、ある程度の数字がはっきりすると思いますが、武官の、恩給局でいわれる合算に当るところの該当者が何人あるか。それから、文官と武官といわゆる通算をすることになれば、どれくらいの人が浮かび上るかというようなことの数字をお示し願いたいと思います。
もう一つ、外国との比較において、これは私の方で用意もいたしますが、諸外国のうち恩給に類する制度を設けている国で、今長谷川さんから御指摘になられたような国民年金的な諸出費と比較検討した例をお示しいただきたいと思います。
それだけをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/63
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064・三橋則雄
○三橋政府委員 今の資料の中で最も力を注いでいるといわれました二十三年六月三十日前にやめた文官の仮定俸給の問題についてでございますが、これについていわゆる不均衡是正に関する法律というのができております。あの法律ができましたときの仮定俸給の作られた基礎になっているもの、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/64
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065・受田新吉
○受田委員 それと、その後のベース・アップとの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/65
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066・三橋則雄
○三橋政府委員 わかりました。今いろいろ詳しい資料の要求がございましたが、できるだけ御希望に沿うようにいたしますけれども、明日までではあるいはできないことも少くないかと思います。第一の問題の、社会保障制度審議会の意見書に対する政府の政策と、公務員制度調査会の最近の決定事項ということでございましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/66
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067・受田新吉
○受田委員 それは大久保国務大臣です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/67
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068・宮澤胤勇
○宮澤委員長 それでは暫時休憩いたします。午後一時より再開いたします。
午後零時十五分休憩
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午後一時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/68
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069・宮澤胤勇
○宮澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。長谷川保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/69
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070・長谷川保
○長谷川(保)委員 先ほどの三十五条の三の終戦時非常事態における責任自殺者の項の問題でありますが、これは援護法を受けている法文ではありますが、しかしこれから援護法の方も、御承知のように、お互いにこれを討議するのでありますが、今日ここでそれに先だって、私どもがどういう精神でこれをやるかということを十分論議しておきますことは、後の援護法の審議に当って大きな影響を与えると思います。そういう意味で私はやはりこの改正案の中にも出ております以上、ここで私ども論議を尽しておくべきだと思います。私は全戦争期間中どこかの戦線に召集せられ、後に自殺しました者については、やはり公務扶助料を与えるということを適用すべきじゃないか、こういうように考えるのであります。もちろんたとえばその本人の肉体の弱さというような点、あるいはいろいろな個人的な関係から、軍隊に召集せられまして戦地に行くというようなことで発狂をするというような問題もありましょう。いずれにしてもそういう非常に弱い精神的な欠陥を持っている人にとりましては、非常にそのことは重大なることであって、発狂するあるいは自殺をするということになっているわけであります。だから私は戦争の全期間を通じて自殺をした人は、やはり国家の名において召集しました以上、そこで自殺をして御遺骨になって帰るということがあれば、当然国家が公務扶助料を与えるべきだ、こう思うのであります。それと同様に、たとえば発狂というような者もございましょう。こういうような者も、やはり私は当然恩給を与えるべきである、その死没後は扶助料を与えるべきである、こういうように思う。これを終戦時の責任自殺ということに限るべきではない、こう思うが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/70
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071・高橋等
○高橋(等)委員 これは援護法の問題でございますから、本来なら社会労働委員会での審議の過程においてお願いするのが適当かと思いますが、私が改正案の提案者として、どうしてこれだけを入れたかという点を御説明しておきたいと思います。先ほど御指摘になりました公務に服している間の自殺については、特殊の者を除きましては、実際問題として公務扶助料が支払われることに実は処置されております。そこでここにこの問題を特に取り上げてないのであります。非常に疑義のある者だけをはっきりと書いてある、こうおとりをお願いいたしたいと思います。いずれこれは社会労働委員会の方で十分御審議をお願いいたしたいと思います。別扱いをされておりますが、こういうような人々もみなこういう精神で、公務扶助料を与えあるいは普通恩給を与えるように、当然しなければならないと私は思うのであります。先ほど来のお話のように、単に財政的な理由でできないというなら別でありますが、やはり公平の原則から申しますれば、そうたくさんの数ではないのでありますから、私はそこまで広げてあげるべきだと思います。軍人恩給の建前に立ってこれを改正するというならば、そこまで広げるべきだと思いますが、そこまで広げなかった理由はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/71
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072・高橋等
○高橋(等)委員 お話の通り援護法が基本になって、それを受けて恩給法による公務扶助料の支給になるわけであります。それでこのたびの公務死の、いわゆる範囲拡大という問題が、援護法の改正に出ておりますが、それはやはり社会労働委員会で議を尽される問題だと思いますけれども、一応申し上げてみますと、戦地におきまして、ただいま御指摘になったような平病死その他で、恩給年金の支払いがなされない者が現在まではあるわけであります。これは御指摘の通り、因果関係を広く見ます場合には、当然公務扶助料その他が出されてしかるべきものだと考えます。そうした者につきましては公務扶助料を出すことに、援護法の審議の過程で修正いたしたいということは、これは自民両党でも話がついております。そこで自己の重大な過失または故意によらないものは全部やるのだ、実はこういう考え方をいたしているのであります。それを受けまして恩給法上も、援護審査会において過去において恩給を拒絶した者がございますが、それらにつきましてもう一度厚生省で援護審議会にかけて慎重に審査して、そしてそれを通りました者については全部恩給を払うというように、現行法ではどうにもならなかった者の救済規定も、この改正法の中に入っておりますが、今の内地の問題は、確かに内地の方々の死亡についてもお気の毒の方がたくさんございますが、元来この恩給法の精神が、戦地における問題及び内地で敵を攻撃によって事故が起った、いわゆる公務という問題で、公務死または敵の攻撃下というようなことが中心になって公務扶助料が規定されております。この内地の公務死の範囲をどこまで拡大するかということは、これはいろいろな問題があるでございましょうが、これは、財政上の問題と、その他一般の戦争犠牲者の人のいろいろな均衡の問題、また過去からのいろいろな沿革——天変地異その他のいろいろな内地死亡については、恩給法で扱わないで、ほかにいろいろな扱いを従来やって参っております。そういうようなことを考慮いたしまして、このたびはこれを入れておりません。その点は何とぞ御了承をお願いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/72
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073・長谷川保
○長谷川(保)委員 たとえば内地で召集されて勤務しておりまして、栄養失調あるいは過労が原因になりまして結核が発病してしまった、そういう人たちが今日なお差別待遇を受けて療養所におりますが、援護法すらも適用されない。もし軍人恩給というものをやるならば、当然これは、たとえば手足を失ったと同じような——現実問題として非常に大きな身体障害を受けて、働くことができないで、ずっと病床にそのままおるのであります。あるいは常時看護を要する者もその中にあるわけであります。こういうことでありますから、もし軍人恩給というものを復活するならば、援護法で扱うべきではなくて、軍人恩給で正々堂々と扱うべきである、こういうふうに思うわけであります。また、高橋議員も御承知であったと思いますが、ビキニの水爆のあとで、私どもが都築博士を参考人として国会にお呼びいたしまして、都築博士が申しました証言の中に、このビキニの患者たちが将来、一応からだがなおって、町へ出て自動車に衝突して死んだ、そういう事故で死んだとしても、それは水爆の結果と考えるべきである、つまりそれほどに、水爆の放射能をあびたということで、身体のどこぞに大きな故障が起きておる、あるいは精神に故障が起きておる、こういうふうに都築博士は考えられて、そういうふうに証言されたと思うのでありますが、同様に、たとえば戦地で自殺をしたとか、あるいは当然自己の責めに帰すると考えられるような死に方をいたしたり、あるいは重大な過失だと考えられるような死に方をしたとしても、それらは戦地に引っぱられたからこそ起った問題で、広くいえば、従軍したから起った問題なんです。公務に服しているから起った問題なんです。だから私はそういうような区別をすべきでない。特に御遺族の身になってみますと、たとえば私が調査を依頼されましたのは、歩哨に立っておる間に倒れて次の歩哨が行ったら倒れて、死んでおった。これに対して、当時の診断書は脳出血です。ところが戦友の諸君は証言をいたしまして、いや、それはたまに頭を撃たれて死んでおったのだ、こう言うのでありますが、また同じ部隊におりました他の諸君は、いや必ずしもそうともいえないのだ、こういうような証言で、わからない。その結果恩給法に該当しないで、その御遺族は犬死にだといって非常に悲しんでおります。やはり今日の日本人にもそういう感覚がありますから、国家のために死んだのだ、靖国神社に祭られたのだということと犬死にだということでは、大きな違いがあるわけです。そういう御遺族の感情を考えますと、同じ戦地において死んだ、あるいは内地で栄養失調、伝染病その他で死んだという場合に、御遺族としましては、ことにそういう方々は犬死にだといって泣かれる、これはごもっともなことだ。だからそういう悲しみを絶対させないために、また実際問題として、これらの人々がたとい重大なる過失、自己の責めに帰すべきものだと考えることであっても、ただいま申しました都築博士の証言をもって考えられますように、戦争のためにいろいろな心理状態になり、いろいろなからだの状態になって、そういう場合に立ち至るわけです。だからむしろそんな文句は法律の中から取ってしまうべきであって、戦地に動員せられました方々の死亡等については、どんどんいさぎよく公務扶助料を出し、あるいは今日病床にありまする、いわゆる二等症といわれております、内地で発病した結核患者の諸君に対しても、当然恩給を出して、見てあげるということにすべきだと思うのであります。そういうような区々たる差別をつけることはおかしいと思う。これは援護法でやるべきでなく恩給法でやるべきである。また自己の責めに帰するべきだとか重大な過失だとか、そういうような言葉を残していくことの方が変だと思う。そうしないで、むしろ思い切って直すべきだ。単なる財政上のことというようなことでこれを処理すべきでないと思うのです。ここまで改正するならばもう一歩進んでそこまで改正なさいませんか。とお考え願ってけっこうであります。ただ内地の問題については先ほど申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/73
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074・長谷川保
○長谷川(保)委員 この恩給増額を三十年の十月からというようになさいましたり、あるいはまた三十一年の六月という期限をつけ、七月からどうとか、こういうようないろいろなことでございますが、これはただ唯一に財政的な意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/74
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075・高橋等
○高橋(等)委員 先ほどちょっと申し落しましたが、援護法の問題は政府原案はそういうことになっているわけでないのであります。これは自民両党でそういう修正を用意をいたしておるということを申し上げたのでありますから、その点は誤解のないようにお含みを願って、社会労働委員会の方で十分御審議をお願いいたしたいと思います。
今の来年の六月まで半額、その他満額というのは、これは一に財政上の要請からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/75
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076・長谷川保
○長谷川(保)委員 昨日来の質問応答でもわかってきましたように、もう来年から一兆円予算は堅持しないのだ、もう一兆円予算はワクをはずすのだ、こういうことならば、来年は何も七月以降なんというけちなことをつけぬで、来年度になったらどんどんおやりになったらいかがかと思いますが、一兆円予算をはずすというおつもりでなおかつこれをしなければならないか。本年度は予算がないからというならばわかりますが、来年度もなおこういう制限を考慮しなければならないという理由がわからないのです。どうしてこういうように段階をつけたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/76
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077・高橋等
○高橋(等)委員 これは予算が前年度に比べてその次の年に急激に膨張することを防ぎたいために、実は三十二年度をピークにいたして、三十年度、三十一年度、三十二年度と上っていくように、一ぺんにぎゅっといくのを控えるという趣旨でありますから御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/77
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078・長谷川保
○長谷川(保)委員 終っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/78
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079・宮澤胤勇
○宮澤委員長 床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/79
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080・床次徳二
○床次委員 この機会に伺いたいのですが、今回の恩給法におきましては、相当軍人恩給に対して考慮されておると思うのであります。過般本会議の質疑の際においても指摘せられたのでありますが、実は旧日本軍人にして日本人にあらざる者が残されておるのであります。この点に関しましては、日本人でないからというゆえによってお答えになったのでありますが、現実の状態を見て参りますると、そのお答えだけではわれわれは満足ができないと思うのであります。すなわち現在巣鴨に多数の戦犯者がおるのでございますが、その中には、たとえば台湾出身の旧日本軍人がおります。しこうしてこれらの人は何ら恩給法の恩典にもあずからないのみならず、今後の生活その他に対しましても何らの措置がないのであります。この点を恩給法において見ろということにつきましては、これは提案者のお考えと同様でありまして、私は恩給法では困難であろうと思うのでありますが、さりとてこれは決してそのままでほうっておいてよいというのではないのでありまして、当然私は政府のなすべき大きな職責であろうと思うのであります。この点に関しまして国務大臣のお考えを承わりたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/80
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081・大久保留次郎
○大久保国務大臣 床次さんの言われた通りでありまして、実情は実に気の毒でありますけれども、今日の恩給法の建前としては、日本国に国籍を持っておる者に支給するという建前になっておるので支給はできません。しかしながら外務省の交渉次第によっては何らかの救済の方法を講じられるのじゃないだろうか、こういう期待はかけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/81
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082・床次徳二
○床次委員 外国人でありますので、外務省の折衝によって何らかの方法が得られるのではないかという御答弁でありますが、一例を台湾の関係者にとりますと、台湾といたしましては、実は旧日本軍人は、現在の中国政府から非常なる反感を受けておるような立場であります。従ってこれが中国政府から救済を得るということにつきましては事実困難であります。すなわち彼らが巣鴨で釈放せられましても、これが台湾に帰ることが不可能であるばかりでなしに、その生活それ自体もできないというような状態でありまして、全くこれは日本政府でもって処置すべき状態になっておるのであります。これは所管が違うかと思うのでありますが、場合によりましたならば、厚生省におきまして厚生大臣より承わらなければならないと思うのでありますが、もし大臣から御答弁がいただけるならば、政府として善処をするということに対しましての御答弁を得たいし、また具体的には厚生大臣からお答えを得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/82
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083・大久保留次郎
○大久保国務大臣 今申しました通り、まことに気の毒でありますから、厚生大臣でもよろしゅうございます、私の方からも申し上げますが、外務省及び厚生省に向って請求してもよろしゅうございます。できるだけ善処します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/83
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084・床次徳二
○床次委員 この点に関しましてはただいま御答弁がありましたから、それぞれ関係大臣から御答弁をいただきたいと思いますが、特に現下の情勢から見ますと、すなわち日本人関係の戦犯者に対しましては、今回の提案によってそれぞれ現況におきましては適正だと思われる処置が講ぜられつつある際、彼らのみとり残されるということは非常に大きな問題になっておりますので、当局におきましては十分御研究の上御答弁あらんことをお願いいたしておきます。適当のときでよろしゅうございますからお願いいたします。
それからこの機会になお提案者たる高橋議員に承わりたいのでありますが、今回は主として軍人恩給に対する処置が考究せられまして、最善と思われるところの対案ができたのであります。しかし恩給法全体から見ますと、いろいろ問題が残されておると思うのであります。特に提案者といたしまして、いかような——これはきわめて概括的でいいと思いますが、今後機会がありますならばぜひとも解決しなければならない問題、たとえば文官恩給等のごときものにつきましてもあると思いますけれども、将来において処理すべきものとして残された問題について二、三御指摘をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/84
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085・高橋等
○高橋(等)委員 せっかくの御質問ですが、私の私見をお聞き下さってもこれは何にもならないと思います。私は共同提案者の一人としまして、本法に対する将来の政策について提案を申し上げたわけでありまして、ただいまのお尋ねは結局私個人の考え、自由党の考えを申し上げることになるわけでありますから、一つ御容赦をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/85
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086・床次徳二
○床次委員 恩給問題に関しましては、それぞれ各党において研究し、われわれといたしましてもなすべきことがたくさん残されておると思うのでありますが、しかしながら現下におきましては、事情やむを得ないものとして最も緊急と思われるところのこの軍人恩給の問題を率先して取り上げて、これを現実化いたそうとしておるわけでありますから、将来の問題に関しましては相当残されたものがあることを私どもは考えておるのであります。この機会に政府に伺いたいのでありますが、政府が今後善処したいと思う問題に関しましては、いかようにお考えになっておるか、御指摘をいただきたい。これによって関係者といたしましても満足ができるのではないか。今日軍人恩給のみを取り上げて、他のものを顧みないというのではないということをこの機会に明らかにしていただきたいと思います。ますが、この問題の研究は兵の書類が、あるいは焼けたり紛失したりして完全なものが残っておりませんので、その内訳をこまかく調べる機会が今のところないのでありまして、各県における世話係というのがありますが、そういう係で多少材料を集めておりますけれども、完全なものはないのです。幸いに今回の恩給増額に伴なって多少事務費が増額になりました。この経費の幾分でも使ってこういう方面の調査をしたり、この問題をいかにするかということをきめたい。これが、一つの軍人恩給として残された問題ではないかとこう私は思っております。
それからもう一つ、これは軍人恩給ではなく、文官の恩給でありますが、文官の恩給は必ずしも公平にいっていないところがあります。ことに今は一万五千円ベースでありますけれども、恩給は決して一万五千円ベースに計算されていないのであります。前のベースをとって計算されておるというようなありさまでありますからこの調和をどうするか。つまりこれからやめた人は得をして、前にやめた人は損をするという結論になるのでありますから、これは不公平ではないかということでありまして、このでこぼこをどうして是正したらいいかという問題がまず残されておる問題ではないか、こう想像しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/86
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087・床次徳二
○床次委員 ただいま最も大きな二つの問題について御指摘があったと思うのですが、これはそれぞれ関係者におきまして非常に是正を要望しておる点であります。本年度におきましてこれを実現することにつきましては、私ども非常に困難だと思うのでありますが、政府におかれましても、これをすみやかに結論を出されて善処をせられるべきものと思うのでありますが、この点に関しましてあらためて政府の御所信を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/87
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088・大久保留次郎
○大久保国務大臣 加算の問題につきましては材料の整い次第方針を決定いたしたいと思います。文官の方は、ことしは主として軍人関係に重きを置いて増額になりましたが、将来においてこの問題と取り組んで何とか方法をきめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/88
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089・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかにこの際御質疑はありませんか。——なければ本日はこれにて散会いたします。
午後二時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03019550629/89
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