1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年七月七日(木曜日)
午前十時四十六分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 小笠原二三男君
理事
石村 幸作君
小林 武治君
赤松 常子君
委員
伊能繁次郎君
西郷吉之助君
岸 良一君
島村 軍次君
館 哲二君
秋山 長造君
中田 吉雄君
森下 政一君
小柳 牧衞君
深川タマエ君
鈴木 一君
政府委員
自治庁税務部長 奥野 誠亮君
自治庁財政部長 後藤 博君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
常任委員会専門
員 伊藤 清君
—————————————
本日の会議に付した案件
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○地方交付税法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/0
-
001・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 委員会を開会いたします。
前回に引き続きまして、地方交付税法の一部を改正する法律案並びに地方税法の一部を改正する法律案について補足説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/1
-
002・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) お手元に地方税法改正事項細目としましたガリ版刷りをお配りしておりますので、それに基きまして説明さしていただきたいと思います。三十数ページになっていますガリ版刷りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/2
-
003・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) ところで、あなたのしゃべる時間はどのくらいの時間を予定しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/3
-
004・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 四十分くらい……。
総則事項でありますが、その一つは、廃置分合又は境界変更があった場合において旧地方団体に属した地域に係る課税権は、原則として新地方団体が承継するものとすること。カッコの中に書いてありますのが関係条文であります。
近来町村の合併が推進されて参りまして、その結果課税権がどう帰属するかということにつきましていろいろ問題を起しておるのでございます。そこで消滅いたしました地方団体の課税権は、承継いたしました地方団体が承継するものといたしまして、従ってまた新地方団体が消滅した地方団体の条例につきまして、別段の改正をいたしません限りは、それが新地方団体の条例とみなすことといたします。また納税者が旧地方団体にいたしました異議の申し立てその他の手続を新地方団体に対する手続とみなしていきたい、かように考えているわけであります。
二は、納税者又は特別徴収義務者が地方団体の徴収金の納付又は納入を委託するため、地方団体の長が定める有価証券を提供した場合においては、徴税吏員は、納付又は納入の委託を受けることができるものとすること。昨年国税においては国税徴収法の改正によりまして、この種の規定が設けられたわけでございます。また地方団体の中でも便宜このようなことを実施しているところもあるわけでございますけれども、やはり法的根拠を与えませんといろいろ乱れがちになるおそれもございますので、国税徴収法に準じた規定を設けようとしているわけであります。納税者が先付小切手を渡しまして納税の委託をする、それが現金にかえられました場合に納税があったものとみなして、そして納税義務の完了としていきたい、こういう考え方であります。
三は、延滞金額及び延滞加算金額を計算する場合の率を日歩三銭に引き下げることに伴い、還付(充当)加算金額を計算する場合の率を日歩三銭に引き下げ、過納又は誤納の原因が納税者の責に帰すべき事由による場合であっても、これをつけるものとすること。最近金利が漸次下ってくる傾向にもあることにかんがみまして、利子的な性格を持ちます延滞金額等の計算の率を四銭から三銭に引き下げるわけであります。従ってまた還付加算金額の率も引き下げることになります。なお後段に書いてありますことは、現在納税者が税金を納め過ぎましても、納め過ぎたことが納税者の責任に帰属するような場合でありますと、還付加算金をつけないことになっております。還付加算金は元来利子的な性格のものでありますので、納め過ぎたものは納税者の責に帰するのでありますが、利子的なものをつけないということは穏当ではございませんので、こういう場合でありましても、利子的なものとして還付加算金をつけるようにしたい、こういう改正であります。
四は、公示送達の場合における、みなす送達の期間を、国税の取扱いに準じ、公告の初日から七日に改めること。納税者が徴税令書の受領を拒みますとか、あるいはまた住所のわかりません等の場合には、その要旨を公告することによって、公告いたしましてから、現在では十四日たてば徴税令書の送達があったものとみなされるわけであります。この期間が国税の場合には七日になっているのであります。国税と地方税の間に税務行政上取扱いを区区にすることは穏当ではございませんので、なるだけそういうものは国税であろうと地方税であろうと合せてゆきたい、こういう考え方のもとに七日にいたしたのであります。
道府県民税では現在、非課税の範囲に社会保険診療報酬支払基金を加え、昭和三十一年度分の道府県民税から適用するものとすること。
二は、市町村の廃置分合又は境界変更があった場合においては、旧市町村にかかる配賦額、税率等を新市町村が承継するものとする等規定の整備をはかること。であります。町村合併促進の関係から新市町村におきましては、不均一の課税をすることも認められているわけであります。市町村民税が不均一でありますと、現在の規定のままでありますと、府県民税まで不均一になってくる場合も生じて参ります。そういう場合には、新市町村が不均一にいたしております区域ごとに、府県の条例の定めるところによって、道府県民税の配賦額を算定し直してみればどのくらいの額になるか、それぞれの区域ごとに配賦きれるべきであった道府県民税の額を、不均一で課そうといたしまする市町村民税のその区域の所得割の額で除して、それぞれの区域ごとの府県民税の率をきめることができるものといたそうとしております。そうすると、市町村民税は不均一でありましても、府県民税は均一になる、こういうことになるわけであります。そういうような趣旨の規定でありますが、あるいはまた町村合併が行われました場合には、それぞれの市町村に配賦されました道府県民税を、新市町村に引き継ぐ場合率をどう定めるか、これはすでに定められた率があります場合は、その率をそのまま承継してゆきまして、市町村民税の課税も従前のままで継承するし、府県民税の課税もそのまま継承するような場合でも規定を設けたりいたしておるわけであります。
第三は、これは衆議院におきまする予算修正の関係から、その後税法改正案についても政府修正を加えておるわけであります。ガリ版全体をやり直しておりませんので、御迷惑をかけるわけでありますが、所得割について、減税後の所得税額を基礎として、なお、おおむね従前通りの課税総領を維持できるようにするため、所得税額の合計額に乗ずる率を昭和三十一年度百分の五・五、昭和三十二年度から百分の六に改めること。現在は所得割の課税総額は五%でありますが、来年度から五・五%、再来年度以降は六%というふうに改めたいのであります。総額は変らないわけでありますけれども、所得税そのものが減って来ておりますので、率をこのように改正する必要を生じて参って来ておるわけであります。
四は、法人税割について、減税後の法人税額を課税標準として、なお、おおむね従前通りの額を維持できるようにするため、法人税の税率の引き下げ等に伴い、その標準税率を百分の五・四、昭和三十年七月一日から同年九月三十日までの間に終了する事業年度分及び当該期間内における解散または合併による清算所得に対する法人税額にかかる分は、百分の五・三、現行は百分の五であります。制限税率百分の六・五、やはりこれにつきましても、昭和三十年七月一日から同年九月二十日までの間に終了する事業年度分及び当該期間内における解散または合併による清算所得に対する法人税額にかかる分は、百分の六・三、現行は百分の六であります。こういうふうに改めたいのであります。法人税の減税が行われますが、地方財政の状況がそれに伴って法人税割の減収を生ずるようなことを許さないのでございますので、やむを得ず税率を上げることによって従前の領を維持したいのであります。
なお七月一日から九月三十日までの間につきましてだけ税率の区分を設けておりますのは、今回の法人税法の改正によりまして、法人税率が四二%から四〇%に引き下げられるのは七月一日からでありますけれども、五十万円までの部分につきまして三五%に引き下げられますのは、十月一日以後の事業年度に終了する分からでございますので、このような区分を法人税につきましても設けたいのであります。
五番目に、法人税割の中間申告額が確定申告額をこえる場合においては、当該こえる金額を還付し、または未納の地方団体の徴収金に充当する旨規定の整備をはかること。現在法人事業税につきましては、この種の規定を設けておるのでありますが、府県民税の法人税割、さらにあとに出て参ります市町村民税の法人税割につきましても、同種の規定を設けようとしておるわけであります。
第三は専業税でありますが、その一は、調整組合及び調整組合連合会、酒造組合、酒造組合連合会及び酒造組合中央会並びに酒販組合、酒販組合連合会及び酒販組合中央会、これらの団体は最近の立法によって設けられて参って来ております公益法人でもありますので、それらの収益事業から生じた所得以外の所得に対しては卒業税を課することができないものとしたいのであります。
二は、損害保険事業に対しては、生命保険事業に準じ、収入金額(現行は所得)を課税標準として課するものとし、収入金額は次に掲げる損害保険の種類ごとに正味収入保険料の一定割合とすること。船舶保険は正味収入保険料の百分の二十、運送保険、積荷保険は正味収入保険料の百分の二十五、その他の損害保険、火災保険等でありますが、正味収入保険料の百分の三十五としょうとしておるわけであります。損害保険事業にありましては、事業の性質からいたしまして、資産の運用における収益を中心にして事業活動を行なっておるわけであります。従ってまた株式などを保有しておる量が非常に多いのでありまして、この株式を保有しています場合には配当収入が得られるわけでありますが、配当収入につきましては、配当を支払った法人の段階においてすでに法人税が課されておるというような意味で、配当収入のある法人におきましては、これを益金に算入しないのであります。法人税が課税されます場合には配当収入は所得に算入されないわけであります。昨年の改正で法人事業税の課税標準を所得に求めています場合には、法人税の課税標準である所程と原則として同じものとすることにいたしております。そうしますと、法人事業税におきましても、配当所得が収入に算入されてこない、こういうことになってしまいます。事業の規模から見ましてもいささか軽く課され過ぎている、こういう感じを持つわけであります。そこで配当収入であっても法人事業税の課税標準には算入するのだというような方式を出すことも一つの考え方でございますけれども、純保険料に関係しておる部分もございますし、また、たまたま生命保険事業につきましては、昨年収入金額課税に切りかえた経緯もございますので、それにあわせて収入金額課税に切りかえたいとこう考えたのであります。しかし保険事業の収入金額はあたかも銀行事業の場合に預金を扱う、順金を受け入れる、それをまた引き出しにおいて返して行く、こういうようなものは課税標準とすべき収入金額にはならないと思うのであります。預金を銀行業の純粋の意味の収入金額と見るわけに参らぬと同じように、保険料を受け取ったけれども、保険事故が起った場合には、そのまま益金として課税標準として収入金額に入れることは適当ではないわけであります。こういうような純保険料に相当する部分は除きまして、いわゆる付加保険料と言われておるものだけを課税収入と認めまして、その付加保険料と認められるものは一体全体の保険料の何パーセントに当っているかということを見て参りますと、1、2、3に書いてあります率になってくるわけであります。現実の付加保険料はこれよりももっと商いのであります。現実の保険料の率をそのまま使っていきますと、急激に非常に重い事業税に切りかわって行きますので、大蔵省銀行局と話し合いをいたしました結果、さしあたり代理店に支払う額を引いた残で付加保険料の率をはじき出してみようじゃないかということで、この率を定めたのであります。
三は、清算中の法人が継続し、または合併により消滅した場合においては、解散の日から継続または合併の日までの期間にかかる事業税は、請求中に予約すべきであった事業税をもって確定するものとし、必要な規定の整備をはかること。
四は、事業税の課税標準額を配当金額にとめている各種協同組合等の範囲を、法人税の取扱いに準じ、積立金額、現行法定準備金の額でありますが、それが出資総額四分の一の額に達しないものとするとともに課税標準額の算定を明確にすること。各種の協同組合につきましては、その育成をはかるという見地から一般には一二%の率を使っているわけでありますけれども、八%の率にとどめております。しかもなお基礎が固まるまでは課税上軽減する措置をとっておるわけであります。基礎が固まっているか固まっていないかということにつきましては、積立金の額が出資総額の四分の一の額に達しないまでは固まっていない、従ってそれまでは所得があっても配当しない限りは課税もない、しかも課税する場合でも配当金額部分だけしか課税標準としない、こういうことにしているわけであります。ところがこれを法定準備金額と変えてしまいました結果、第一種の法人税の取扱いと食い違って参ってしまったわけであります。また基礎が固まっているか固まっていないかということは名義のいかんによって異ることではありませんで、法定準備金の額に限りませんで、積立金額全体について判断いたしたいと、こういうふうに考えるのであります。
五の、鉱物の掘採事業と精錬事業とを一貫して行う者の事業税の課税標準となる所得は、これらの事業を通じて算定した所得をこれらの事業の生産品について収入すべき金額を基礎とし、按分して求めるものとすること。この種の事業につきましては、鉱物の掘採事業について鉱山税が課されておる関係上、事業税を課されないわけであります。事業税の課される精練事業部門の所得を算定します場合の方式につきまして、生産品について収入すべき金額で按分する方が現在よりは合理的と考えられますので、かように改正したいのであります。
六は、個人の事業税の基礎控除の額は、昭和三十年度分年十万円(現行昭和二十九年度分年七万円)、昭和三十一年度分以降年十二万円とすること。
七は、所得のうち年五十万円以下の金額について百分の十の軽減標準税率の適用される法人は、「三以上の道府県において事務所または事業所を設けて事業を行う法人で資本または出資の金額が五百万円以上のもの」以外のものに限るものとすること。
昨年五十万円以下の部分につきましては、中小企業等の負担を緩和するというふうな趣旨から二%だけ税率を引き下げているわけでありますけれども、数府県に事務所、事業所を持っております法人でありますと、まず五十万円部分を関係数府県の従業者数に按分して、その部分についてのそれぞれの団体の税率を乗じ、五十万円をこえる部分をさらに関係府県の従業者数に按分してそれぞれの団体の税率を乗じて、両方の税額を合算して納付すること、こういうことになってくるわけであります。で、五十万円について二%の軽減は、ちょうど二万円軽減されるわけでありますけれども、そのために非常にまあ煩瑣な計算をしなければならないので、かえって非常に多くの府県に事務所、事業所を持っている法人にあっては経費倒れになる、こういう話もございますので、三以上の道府県に左たがっておりますような法人については、二段階税率は適用しない。しかしその結果、中小の法人で手放をいとわず軽減を受けるというような法人があっても困りますので、五百万円以上のものに限っていきたい、こういうふうに改正したいのであります。
なお、前段の基礎控除の額の引き上げについて、大臣からの説明が詳しくございましたので省略したわけでありますが、何分昭和三十年度の地方財政が非常に窮乏しておりますので、十二万円に引き上げることは来年度からにいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。その減収につきましては、また地方道路譲与税の収入の平年化等によりまして、来年度から増収が得られるというような問題等もございますので、可能になってくるのじゃないか、こういうまあ考え方を持ったわけであります。
八は、法人の事業税の税率の適用区分について、清算所得に対しては解散の日現在に改めること。現行は、残余財産の一部分配の場合は分配の日の前日、残余財産が確定した場合は確定した日現在になっております。事業活動中の所得を清算段階になってから配分するものでありますので、解散の日現在によることが正しい、こういうふうに考えておるわけであります。
九は、法人の設立後または外国法人となった後最初の事業年度が六月をこえ、八月以内のときは、当該事業年度の所得に対する事業税については、中間申告納付を要しないものとすること。わずかの間に二回も申告納付しなければならないことは手数であると考えられますので、八月以内であれば中間申告納付は要らないということにしたいのであります。
十は、申告書及び修正申告書にかかる法人の代表者等の自署押印の義務は、二以上の道府県において事務所または事業所を設けて事設業を行う法人が提出する申告書等にあっては、主たる事務所または事業所所在地の道府県知事に提出するものに限り、適用するものとすること。経済界からは自署押印の義務はやめてもらいたいという意見がたびたび寄せられております。しかし、法人税についても自署押印の制度がとられているわけでございます。また、事業の代表者には地方税を納めることについての認識も持っていただきたいと考えますので、本店所在地に提出する部分についてだけはなお自署押印の制度を続けていきたい。しかしそれ以外の部分は簡素化という見地から記名捺印でよろしいということにしたいのであります。
十一は、法人の事業税の課税標準となる所得等が法人税において確定された所得等を基準として算定した額と異なるときは、当該額によって更正し、または決定することができるよう規定の整備をはかること。法人専業税の申告の場合に、法人税について申告したところと書き違える場合もございまするし、計算違いをする場合もございますが、こういうものにつきまして一々国の税務官署の更正を求めるというような格好も穏当じゃございませんので、そういう部分についてはみずから更正、決定できるようにしておきたいのであります。
十二番目は、二以上の道府県に事務所または事業所を設けて事業を行う法人が前事業年度の確定税額を基準として予定申告を行う際、現事業年度開始の日から六月間における関係道府県ごとに分割すべき基準の数値が前事業年度のそれに比して著しく異なるときは、現事業年度の数値によって分別することができるものとすること。六カ月をこえる嘱業年度を定めております法人が、六カ月を過ぎたときに前事業年度の実績によって予定中間申告をいたします。その場合に、前中業年度においては事務所、事業所があったが、現在はすでにない、こういう場合もございますが、その場合にもなおかつ前事業年度の分割基準でそのまま分割していきますことは、納める必要のない府県に中間申告の場合だけは納めておかなければならないというような矛府も生じますので、そういう意味で、分割する場合の基準の数値が著しく異なってきます場合は、現事業年度によって分割していくことができる、こういうふうに改正したいのであります。
十三は、清算所得にかかる分割基準の牧値は、従業者の数及び事務所または事業所の数による場合であっても、解散の日または被合併法人の合併の日の属する事業年度に属する各月の末日現在における数値をそれぞれ合計した数値によるものとし、規定の整備をはかること。
十四、主たる事務所または事業所在地の道府県知事に対する申告または修正申告と関係道府県知事に対する申告または修正申告と異なるとき、または申告がないときは、主なる事務所所在地の道府県知事が更正し、または決定することができるものとすること。
十五、個人の事業税について所得税の控除失格者が税務官署に申告した場合において、政府が更正しないときは、道府県知事が調査により事業の所得を決定できるものとすること。所得税を課する必要のないものについて事業税を諒する必要のあることがございます。そういう場合についてまで国の税務官署の決定あるいは更正を待っていることは適当でないと思いますので、そういう部分につきましては、道府県知事が自主的に決定できるようにいたしていきたいのであります。
第四は、不動産取得税でありますが、家屋の改築の範囲の判定を主要構造部の一種以上について行われた資本的支出と認められる更新(現行過半の上更新)に改めること。家屋の改築が行われました場合には、不動産取得税の対象になって参りますが、修繕のようなものにつきましてまで、一々不動産取得税を課することは穏当ではございませんから、柱でありますとか、階段でありますとか、床でありますとか、そういうような主要構造部の一種以上について、現行では過半の更新が行われた場合だけ改築とみなすことにしております。ところが、これが非常に大きなビルディングになって参りますと、過半の更新ということは、非常に莫大なものにならなければ改築とみなされないことになってしまいまして、小家屋の場合の改築との間に権衡を失してしまうわけであります。そこで過半の更新という言葉を、「一種以上について行われた資本的支出と認められる更新」ということに改めたい、こういうふうに考えるのであります。
二は、家屋が建築された場合において当該家屋の主体構造部の収得者と付帯設備に属する部分の取得者とが異なるときは、主体構造部の取得者が付帯設備に属する部分をもあわせて取得したものとみなし、これに対して不動産取得税を課することができるものとすること。この場合において、主体構造部の取得者が付帯設備に属する部分の取得者と協議の上、付帯設備に属する部分の取得者の所有に属する部分の価額を申し出たときは、その部分の価額に基いて付帯設備に属する部分の収得者に不動産取得税を課するものとし、主体構造部の取得者に課した不動産取得税から付帯設備の取得者に課した不動産取得税に相当する額を減額するものとすること。これは現在、最近のビルディングの建築を見て参りますと、建築主は主体構造部までの建築しかしない。最初から使用者をきめておきまして、それ以上の部分は使用者に行わせるというようなやり方が多くなって参ってきております。従いまして、主体構造部ができますと、壁の上塗りからおのおのの閥仕切り、配線の工事、冷暖房の装置まで使用者の方でやっております。しかし評価をします場合は、全体を一つの家屋として評価せざるを得ないのでありますが、その場合に、どの部分が使用者の所有に属し、どの部分が所有者の所有に属するのかなかなかわからないのであります。しかしながら一応主体構造部の所有者が全体を所有していると推定をして不動産取得税を課していけるようにしていきたいのであります。しかし主体構造部の所有者と使用者とが協議をいたしまして、使用者の所有の部分はこれだけと申し出てきた場合には、さきに課税をいたしました部分を軽減し、軽減した部分を使用者に課税をしていくようにいたしたい、こう考えているわけであります。
三は、市町村職員共済組合法、水産業協同組合法及び中小企業等協同組合法による組合が病院及び診療所の用に供するものとして取得した不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができないものとすること。農業協同組合等に認められておりまする課税上の恩典を、この種の組合にも与えたいというふうに考えるわけであります。
四は、住宅組合法による住宅組合の組合員が住宅組合から譲渡を受ける場合の不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができないものとすること。住宅組合が取得した場合には不動産取得税を課していく。しかし実際問題としてはいろいろな軽減措置がありますから、課税の対象にはならぬだろうと思います。そこで課税するかしないかをきめるわけなんだから、あと組合員が住宅組合から譲り渡しを受ける場合には不動産取得税を課さないようにしたいわけであります。一種の二重課税になるような面を排除しようとするものであります。
五は、免税点を定めるものとし、その額を土地の取得にあっては一万円、家屋の取得のうち建築にかかるものにあっては一戸につき十万円、その他のものにあっては一戸につき五万円とすること。零細なものにつきましてまで一々不動産取得税を課税して参りますことは、徴税費倒れになるという意味で免税点を定めたいのであります。そういう意味で土地の取得に当っては固定資産税の場合の免税点を合せまして二万円と規定いたしたのであります。ところが家屋につきましては、もし不動産取得税を課税いたしますと、その建物を家歴と認定したことになります。自然また市町村は固定資産税を課税して参るわけであります。ところが鶏舎でありますとか牛舎でありますとか、あるいは農具の収納所でありますとか、大して家屋と見ないでおけるものならば見ないでおいて、従ってまた固定資産税を課さないでいいと思われるものは多分にあるので、ざいます。そういうものについてはやはり家屋と見ないでおけるなら家屋と見ないでおきたい。そういう意味では不動産取得税の家屋の建築についての免税点を高くしておかざるを得ないわけであります。そこで家屋の建築にかかりますものにつきましては、一戸について十万円と免税点を高くしておきたいのであります。従ってまた古い家屋の売買についてはその半分の五万円と、こういうふうに免税点を定めたいと考えたのであります。
第五は娯楽施設利用税であります。学校の教員の引率により、学校における教育に資するため、学生、生徒または児童がスケート場の施設を利用する場合においては、当該利用に対しては、娯楽施設利用税を課することができないものとし、昭和三十年十月一日から適用するものとすること。近来アイススケート場を利用しておる団体競技というものは漸次多くなってきておるわけであります。団体競技の訓育のために利用するのに娯楽施設利用税が課せられることになりますと、いささか穏当でもございませんので、そういう関係の部分については課税をしない建前にいたしたいのであります。
第六は自動車税であります。その一つは、地方道路税の創設による揮発油にかかる租税負担の増額に伴い、「揮発油を燃料とする自動車」以外の自動車に対して課する自動車税の標準税率を次の通り引き上げること。現在は軽油を使っている自動車は揮発油の五割増しになっておりますのを、本年度は七割五分増し、来年度からは十割増しにしたいというのであります。揮発油の負担は現在の一キロリットル一万三千円から地方道路税と合せまして七月以降一万五千円に引き上げる、二千円だけ引き上げるというふうにして国会に提案されているわけであります。現在トラックでいいますと、揮発油税の負担を年間に十万円から十五万円くらい負担しているようであります。それがさらに十五%余り引き上げられることになるわけでありますので、自動車の揮発油税負担もさらにそれだけ増額してくるわけであります。こういうような事情から昨年この種の不均一の課率是正をおきめいただいたわけでありますけれども、これだけではなお軽油課税を行わないといけないのに、さらに揮発油関係の税が上るとしますならば、均衡が得られていないのであります。上に、さらにその均衡がはずれてくることになりますので、この種の改正をいたしたいのであります。
二は、自動車税を完納した場合における完納証票の制度は、軽自動車にかかるものを除き廃止するものとすること。
第七は狩猟者税であります。納税義務者で千八百円の税率を適用されるもののうち、「所得税を納付する義務を有しない者」の範囲を明確にするため「所得について所得税法第九条に規定する総所得金額が同法第十一条の三から第十二条までに規定する控除額の合計額に満たない者」に改めること。所得税を納付する義務を有しないものにつきましては半分の税率が定められているわけでありますけれども、外国人等につきましては所得税を納付する義務を有しない者が非常に多いわけでありますが、実質的に相当の所得を持っているわけであります。実質的に所得を持っているにかかわらず所得税を納めていないものだから低い税率を課せられているということは穏当を欠きますので、その人の所得が実質的に所得税を課せられるものであるか課せられないものであるかということで判断をしたい、そういう趣旨でこの改正をいたしたいわけであります。
第八は市町村民税でありまして、その一は、扶養親族の範囲をその総所得金額四万円(昭和三十年度に限り三万八千八百円)(現行三万五千円)以下のものとし、前年において適用されるべき所得税法における扶養親族の範囲と一致させるものとすること。
二は、非課税の範囲に社会保険診療報酬支払基金を加え、昭和三十一年度分の市町村民税から適用するものとすること。
三は、納税義務者の課税標準額、事務所等の所在等についての申告義務は廃止し、市町村長は当該市町村の条例の定めるところにより賦課徴収上必要があると認める場合に限り必要な事項を申告させることができるものとし、昭和三十一年度分の市町村民税から適用するものとすること。現行法では必ず申告しなければならないことになっておるわけであります。なるべくなら申告義務につきましても、市町村がみずから税務署について調査すればわかる限りはそのような措置をとりたいと考えますので、今の規定をやめまして、そのかわり市町村が必要があって申告させたいという場合はその種の条例を定めるべきだ、こういうようにいたしたいのであります。
四は、所得税額を課税標準として課する所得割について、課税限度額の規定(現行課税総所得金額の百分の七五)を改め、減税後の所得税額を課税標準として、なお、おおむね従前通りの額を維持できるようにするため、昭和三十一年度分から標準税率を百分の十五、制限税率を百分の十八とすること。この改正の中には二つの趣旨が入っておるわけでありまして、一つは標準税率の規定はないわけでありますが、やほり標準税率を定めたい。しかもそれを百分の十五と定めたいのであります。現在標準税率の規定はないのでありますが、地方財政法とかあるいは地方交付税法には標準税率に相当する率として百分の十三を定めてあります。従いましてここで百分の十五と定めることは、実質的には標準税率を二%ほど上げたと同じようなことになるわけであります。しかし所得税額が下って参ってきておりまするので、実質的な負担は変らないわけであります。その点が一つと、もう一つは課税限度額の規定が現在では課税総所得金額の百分の七・五と定めておるのでありますが、今後は所得税額の百分の十八と、こう定めたいわけであります。その趣旨は、所持税は累進税率を採用しておりまする結果、年所得四百万円前後の人になって参りますと、百分の十五が課税総所得金額の百分の七五になってしまうわけであります。そうしますと、それをこえる所得の人につきましては、百分の十五という率を定めておりましても、十四とか十三とか十二とかだんだん所得がふえるに従ってこの比例税率を下げていかなければならない。そういうことは町村の課税される住民の感情の上にもあまりよろしくございませんので、課税総所得金額の何%という形で限度額を定めませんで、やはり所得税額に対する率で限度額を定めておきたい。そういう意味で二、三年前まで行われましたような制限税率の規定を復活したいわけであります。
その五は、法人税割について、減税後の法人税額を課税標準として、なお、おおむね従前通りの額を維持できるようにするため、法人税の税率の引下げ等に伴い、法人税割の課税標準を百分の八・一(昭和三十年七月一日から同年九月三十日までの間に終了する事業年度分及び当該期間内における解散または合併による清算所得に対する法人税額にかかる分は、百分の七・九)(現行百分の七・五)、制限税率を百分の九・七(昭和三十年七月一日から同年九月三十日までの間に終了する事業年度分及び当該期間内における解散または合併による清算所得に対する法人税領にかかる分は、百分の九・五)(現行百分の九)に改めること。
六は、特別徴収の方法について次のように改正を加え、昭和三十一年度分の市町村民税から適用するものとすること。
1、給与所得者の給与所得にかかる所得割額及び均等割額については、給与所得者の数が少い場合その他特別の事情がある場合で特別徴収によることが不適当であると認められる市町村を除いては、特別徴収の方法によるものとすること。給与所得者については源泉徴収ができることになっておるのでありますが、市町村が条例で定めた場合だけ源泉徴収ができるのでありますが、その建前をひっくり返しまして、原則として源泉徴収するのだと、例外的に条例で定めた場合には普通徴収によれるのだと、こうしたいのであります。といいますのは、この特別徴収の制度をめぐりまして、特別徴収してやるのだからリベートをよこせという式の問題がとかく起りがちでありますので、そういう不明朗な問題が起らないようにしたいという趣旨であります。
二番目は給与所得者について給与所得以外の所得がある場合においては、当該市町村の条例の定めるところによって、給与所得以外の所得の全部または一部についても、給与所得者から普通徴収の方法によって徴収されたい旨の申出がない限り、特別徴収を行うことができるものとすること。納める側では、給与所得以外の所得部分につきましても源泉徴収してもらった方が都合がよろしい場合が多いと思われますので、こういうような改正をするわけであります。しかし、本人がその部分は普通徴収によってもらいたいという場合には、もとより普通徴収の方法によらなければならないことにいたしております。
七、法人等の均等割の徴収の方法は、申告納付の方法によるものとし、昭和三十一年四月一日以後に終了する事業年度分の市町村民税から適用するものとすること。府県民税の取扱いと同じようにしようとするわけであります。
八、法人税割の中間申告額が確定申告額をこえる場合においては、当該こえる金額を還付し、または未納の地方団体の徴収金に充当する旨規定の整備をはかること。府県民税について申し上げましたと同じように、法人事業税と全く同じ取扱いにいたしたいのであります。
九は、固定資産税であります。その一つは納税義務者について次の通り改正を加え、昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。
1、公有水面埋立法第二十三条の規定によって使用する竣工認可前の埋立地で工作物を設置し、その他土地を使用する場合と同様の状態で使用されているものはこれを土地とみなしてその使用者に固定資産税を課することができるものとすること。
次は、土地区画整理法による土地区画整理事業の施行にかかる土地について、施行者以外の者がかりに使用する土地または保留地についても、現行の規定に準じ、それぞれその仮使用地もしくは保留地の使用者または保留地の取得者に課税することができるものとすること。
二は、非課税の範囲に次のものを加え、昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。
1、水産業協同組合法及び中小企業等協同組合法による組合が所有し、かつ、経営する病院及び診療所において直接その用に供する固定資産。農業協同組合等につきまして、この種の非課税の規定が置かれておるわけでありますので、通産委員会等から毎年やかましく文句を言われておったのであります。
2、国民健康保険組合、国民健康保険組合連合会、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、市町村職員共済組合、漁船保険組合、漁船保険中央会、社会保険診療報酬支払基金及び輸出水産業組合が所有し、かつ、使用する事務所または倉庫。やはり農業協同組合等について設けられておりまする非課税の規定を、同種の法人に拡張するわけであります。
三は、固定資産のうち土地及び家屋については、昭和三十一年度及び昭和三十二年度並びに昭和三十三年度以降三年度ずつ経過する年度を基準年度とし、基準年度、第二年度及び第三年度においては次の各号による評価を行うものとし、原則として基準年度と基準年度の間は課税標準となるべき価格を据え置くものとして次の改正を加え、昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。現在の土地や家屋の評価を毎年行なっておりますのを三年ごとに行うように切りかえたいと、そういう趣旨であります。
1、基準年度の賦課期日に所在する土地または家屋(以下「基準年度の土地または家屋」という。)については当該土地または家屋の基準年度にかかる賦課期日における価格(以下「基準年度の価格」という。)によって評価するものとすること。」
2、基準年度の土地もしくは家屋または第二年度の賦課期日に所在する土地もしくは家屋で、地目の変換、家屋の改築もしくは損壊その他これらに類する特別の事情または市町村の廃置分合もしくは境界変更があるため基準年度の価格もしくは第二年度の価格によることが不適当であるかまたは当該市町村を通じて固定資産税の課税上著しく不均衡を失すると市町村長が認める場合は、第二年度または第三年度において当該土地または家屋に類する土地または家屋の基準年度の価格に比準する価格によって評価を行うものとすること。一たん土地や家屋について評価をいたしましたものは、三年間据え置きたいわけでありますけれども、しかしながらこの事由がありまする場合には、第二年度、第三年度についても特に評価がえできるようにしておきたいのであります。その一は、前段に書いてありますように、地目の変換が行われる、田畑が宅地になる、あるいは家屋の改築とか損壊、その他これらに類する事由がある、こういう場合であります。第二の事由は、市町村合併等が行われまして非常に不均衡になってくることがございます。こういう場合にも評価がえを行うことができる。こういう二つの場合を除いては全部据え置いていくのだ、こういたしたいのであります。
3、第二年度または第三年度において新たに固定資産税を課することとなる土地または家屋(以下「第二年度または第三年度の土地もしくは家屋」という。)については、第二年度または第三年度において、当該土地または家屋に類似する土地または家屋の基準年度の賦課期日における価格に比準する価格によって評価するものとすること。
4、基準年度の土地もしくは家屋または第二年度の土地もしくは家屋について地目の変換家屋の改築または損壊その他これらに類する特別の事情があるため、当該土地または家屋に類似する土地または家屋の基準年度の価格に比準する価格によって決定したときは、市町村長は、その旨を納税義務者に通知するものとすること。据え置きまするので、二年度、三年度は、ごく一部のものにしか評価がえが行われていないことになります。従って、またごく一部のものでありますから、そういう部分のものにつきましては、市町村長の方から納税義務者の方に課税台帳を縦覧には供するが、さらに別途本人にも通知する、こういう措置をとりたいわけであります。
5、第二年度もしくは第三年度において基準年度の土地または家屋について基準年度の価格による場合においては固定資産課税台帳に登録されている基準年度の価格をもって第二年度または第三年度において登録された価格とみなし、第三年度において基準年度の土地もしくは家屋または第二年度の土地または家屋について比準価格による場合においては固定資産課税台帳に登録されている当該比準価格をもって第三年度において登録された比準価格とみなすものとすること。
6、固定資産課税台帳の縦覧は毎年行うが前項によって固定資産課税台帳に登録されたものとみなされる土地または家屋の価格については、地目の交換、家屋の改築または損壊その他これらに類する特別の事情により当該土地または家屋に類似する土地または家屋の基準年度の価格に比準する価格を決定する場合を除いては、審査の請求をすることができないものとすること。最初に価格を決定いたしました場合には、台帳を縦覧に供しますし、いろいろ審査の請求を求めることができます。第二年度、第三年度も縦覧には供しますが、据え置きます部分につきましては、審査の請求はできない。しかし、損壊したとか、改築をしたとか、そういうような事情があって、評価がえできる性質のものにつきましては、もとより審査の請求はできるわけであります。また、市町村長が評価がえをいたしました場合にも、納税義務者にも通知いたしますし、通知を受けました場合には、これに基いて審査の請求ができるわけであります。今年の一月一日現在で、土地につきましては二割八分程度の評価増になるような価格を市町村に指示したわけであります。家屋については据え置いております。すでに評価決定したものをあとから三年間据え置きの立法をしてしまいますことは、市町村についてはいささか乱暴でありますので、来年はもう一ぺん評価はさせる。しかし自治庁から示す平均価格は現在のところ原則として上げない。従って市町村内で均衡をとるような意味の調整を市町村は行うことができる。もとよりまた平均価格まで上げていないところは、あるいはそれにならうように上げるところが出てくるかもしれませんが、原則として市町村は調整的な評価改訂を行う程度にとどまるだろうと思うのであります。再来年は据え置きます。三十三年度において、もう一ぺん価格を見直しまして、自治庁からしかるべく価格を指示しなければならないようになると思います。その場合には、評価を上げる代りに標準税率を引き下げるというような問題も検討されることになるのではなかろうかというふうに思うわけであります。あるいはまた評価が据え置かれ、税率も据え置かれるということになるかもしれませんが、そういう検討を三十三年度にやってもらう。来年度は据え置かないけれども、平均価格は原則としていじらない、従って市町村は調整をする余地は与えられておる、こういう考え方を持っておるわけであります。
四は、大規模の償却資産に対する固定資産税にかかる市町村の課税限度額について激変緩和等の措置を講ずるため次の通り改正を加えること。
1、大規模の償却資産の所在市町村の昭和二十九年度の基準財政収入額の一定割合(昭和三十年度にあっては百分の九十、昭和三十一年度にあっては百分の八十、昭和三十二年度にあっては百分の七十)の額が、現行の規定に基く大規模の償却資産にかかる課税限度額によって算定した基準財政収入見込額をこえる場合においては、その額に達するまで、課税限度領を引き上げるものとすること。昨年の改正で大規模の償却資産がありました場合には、一定部分以上のものは府県が課税をする、こういうことにしたわけであります。それ以前は関係の市町村に配賦しておったわけであります。その結果、市町村によっては収入がかなり減ってくる団体もございます。減ってゆきましても、基準財政収入額が基準財政需要額の一・三倍までは保証されておるわけでありますが、しかしそれをさらに、従前非常によかった場合には一・三倍はこえるけれども、しかしとにかく減ってくるということがございますので、昨年の九割までは保証しよう、来年は八割まで保証しよう、再来年は七割まで保証しよう、こういうことで激変を避けるような措置を講じたいと考えております。
2、大規模の償却資産の所在町村が他の大規模の償却費魔の所在町村と昭和三十年一月二日以後において合併し、その合併について町村合併促進法の適用がある場合においては、当該合併の日風後に到来する固定資産税の賦課期日にかかる年度分から三年度分の大規模の償却資産に対して課する固定資産税に限り、当該大規模の償却資産に対して当該合併後の市町村が課することができる課税限度領が当該合併前の各市町村にかかる課税限度額の合算額を下ることとなるときは、当該合併後の市町村が課することができる課税限度額は当該合算額によるものとすること。これは市町村が合併をした結果、例外的に課税限度額が下ってくることがあるのであります。そういうことは不都合でございますから、合併前の課税限度額までは課税できるようにしておきたい。そうして合併促進の支障にならないようにしたい、こういう趣旨でございます。
3、大規模の償却資産に対する固定資産税にかかる市町村の課税限度額にかかる規定は、地方自治法第百五十五条第二項の市については適用しないものとすること。要するに国道等の管理までやっております五大市につきましては、適用しないわけであります。道府県と同じような規模を持っておりますので、適用を排除していきたい。さしあたっては関係はないのでありますが、将来問題が起るかもしれません。
五、電気事業者がその供給区域内の電力の周波数の統一をはかる場合において、当該電気事業者から電気の供給を受けて物品の製造または鉱物の掘採事業を行うものその他政令で定める事業を行う者が当該電力の周波数の変更によりその事業の用に供する機械設備を更新し、または改良しなければならないときは、その更新または改良に要する費用に充てるため、電気事業者が金銭または資材を提供したときに限り、当該更新または改良にかかる機械設備等に対して課する固定資産税の課税標準については、企業合理化促進法の規定の適用を受ける機械設備等に準じ、課税標準の特例を認めるものとすること。これは九州電力の地域内において現に起っておる問題でありまして、周波数がばらばらでありますために、電力の融通ができないわけであります。そこで五十サイクルのものを全部六十サイクルに統一したい、こういうことで電気設備の更新をやっておるわけであります。九州電力が資材や資金を提供して個人の所有になっておりまする設備を変えておるわけであります。変えますと評価が上ってくるわけでありますから、固定資産税の負担が個々の事業者においてふえてくるわけであります。そこでそういう場合には、ふえた部分につきましては、企業合理化促進法の規定の適用を受ける機械設備等にも準ずるものでありますので、三年間は二分の一を課税標準にするようにいたしたい、こういう考え方であります。
六は、償却資産に対する免税点を十万円(現行五万円)まで引き上げるものとし、昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。たまたま百姓が農具を持っていると、すぐ五万円以上だということで償却資産として固定資産税を課していく。あまり零細なものをあさりましても、いたずらに苦痛感を与えるだけでありまして、税額としても僅かなものでありますので、十万円まで上げたい、こう改正することによって、納税義務者が四三%くらい減ってしまいます。しかし税額としては三億足らずしか減らないわけであります。
七は、固定資産税の課税標準の基礎となるべき固定資産の価格は法人税法または所得税法の規定による所得の計算上損金または必要な経費として控除すべき減価償却額または減価償却費の計算の基礎となる固定資産の価格を下ることができない旨の規定は、家屋については適用しないものとし昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。償却資産につきましては簿価をもって評価することはできないのであります。家屋につきましても同じような規定があります関係上、事業用の家屋でありますと、建設当初は非事業用の家屋よりも研く評価される、こういうことになってしまいます。しかし建設後、相当年数を経て参りますと、簿価の方はどんどん下って参ります。しかし非事業用の家屋につきましては、そう下るものではございませんので、簿価よりはずっと高いところで評価されることになっております。六割以上のものは非事業用のものであるのが家屋の姿でありますので、事業用の家屋でありましても、非事業用の家屋と同じように評価することが正しいのではなかろうか、そういう意味においてやはり簿価を下って評価することができないような規定は、家屋についてははずしておきたい考えであります。その結果、建設当時は簿価よりは低く評価されます。しかし建設後相当年数を経て参りますと、簿価よりはずっと高く評価される、こういうことになって参りまして、非事業用の評価とあわせてやって参りたいのであります。
八は、市町村の設置があった場合においては、市町村の長の職務執行者または市町村の長は、それぞれ、市町村の長が選挙されるまでの間または市町村の設置後最初に召集される議会の同意を得て固定資産評価審査委員会の委員が選任されるまでの間は、従前の固定資産評価審査委員会の委員のうちから選任したものをもって固定資産評価審査委員会の委員に充てることができるものとすること。
第十は自転車荷車税であります。
一、道路運送車輌法における自動車の範囲が改められ、その一部が原動機付自転車とされたことに伴い、原動機付自転車の標準税率(現行五百円)を次の通り改めるものとすること。今まで軽自動車の扱いを受けておったものが自転車に下ってくるわけであります。そういうものにつきまして、従来千五百円でありましたか、税率が定められておったわけでありますが、原動機付自転車になりますと、一律に五百円になります。若干そこに差等を設けた方がよろしいと思うので、このような規定を設けたわけであります。
二、月割課税の場合における賦課期日は、自転車又は荷車を新たに取得した日に改めるものとすること。
三、自転車及び荷車については当該市町村の条例において標識を付けるべき旨の規定を設けている場合においては当該市町村の条例の定めるところにより当該標識を交付する際証紙徴収の方法により徴収することができるものとすること。
第十一はたばこ消費税でありまして、道府県たばこ消費税の税率を百分の八、現行は百十五分の五、百分率にしますと百分の四・三四であります。市町村たばこ消費税の税率を百分の九に引き上げ、現行は百十五分の十、百分率ですと百分の八・六九であります、昭和三十一年三月一日以後日本専売公社から小売人に売渡される製造たばこの分から適用するものとすること。今年度の分につきましては、地方交付税の方に専売益金から繰り入れられているわけであります。
第十二はその他の部分でありまして、
一、延滞金額及び延滞加算金額を計算する場合の率を日歩三銭(現行日歩四銭)に引き下げること。
二、検査拒否、虚偽申告等に対する罰則を緩和すること。昨年当委員会で御決議いただきました趣旨を立法化したわけであります。その他若干規定の整備をはかっております。以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/4
-
005・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 次に地方交付税法の一部を改正する法律案について補足説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/5
-
006・後藤博
○政府委員(後藤博君) 交付税につきましては、提案理由に詳しく説明がございまするので、簡単に今度は条文の方を基礎にいたしましてお話を申し上げたいと思います。
交付税の第六条の改正をいたしておりますが、これは交付税の種類ごとの増額の規定でありまして、従来の規定では特別交付税の額は財源不足額が非常に交付税額よりも多い場合には、九八%から六%まで下るというふうな規定になっておりましたのを、最近のいろいろな財政需要の状況並びに昨年の特別交付税の配付の実績に徴しまして、やはり八%だけ特別交付税を確保する必要がある、かように考えましたので、八%の額は特別交付税にするというふうにはっきりきめまして、六%まで下らないというふうに改正をいたしたいと考えたのであります。これが第一の改正の点であります。
それから十二条に単位費用の改訂がございます。この単位費用の改訂いたしました内容的なものをかいつまんで申し上げますと、大体五つくらい種類がございます。第一は、共済組合負担金、これは職員費の中に共済組合の負担金を入れておるのでありますが、その共済組合の負担金の率が改訂されましたので、それに基きまして改定の率に応じまして単位費用の増加をはかったわけであります。これが第一の点。第二は、施設につきましては、火災保険の保険料の料率の改訂がございましたので、その料率の改訂を織り込んだことであります。第三の点は、各種の補助金、負担金の率の改定がございましたので、それに伴いまして単位費用の改訂を行いました。これが第三であります。それから第四は、経費の測定の方法の変更、種別補正の適用等、算定の技術的な理由によります積算の基礎の改訂をいたしております。それから次に従来経費の算入漏れまたは不足しておるもの、または補助金以外の特定の財源に著しい変動があったもの、そういうものを拾いまして、そういうものを基礎にいたしまして補助金の単位費用の率を改正いたしております。この中で変っておるものだけ申し上げますと、警察費の額が変っております。それから土木費の中では道路費が変っております。それからその他土木費も一人当りにつきまして多少変っております、それから教育費が小学校、中学校は全部変っております。それから高等学校はその他教育費が変っております。それから厚生労働費は社会福祉衛生費が変っております。それから労働費中失業関係の失業者数一人当りについての単位費用が増加しております。それから産業経済費は全部変っております。
市町村の方につきましては、消防費が変っております。それから土木費中道路費が変っております。それから都市計画費が変っております。その他土木費も変っております。それから教育費につきましては学校数以外のものが変っております。小学校、中学校の学校数以外のものは全部変っております。それから高等学校はその他の教育費が変っております。それから次の厚生労働費でありますが、これは全部変っております。それから虚業経済費も変っております。その他の行政費は戸籍住民登録費が変っております。その他諸費も変っております。先ほど申しましたような理由でこういう単位費用の改訂を行なっております。
それから次の十二条の条文、これは非常にややこしい条文でありますが、これは経費の種類及び測定単位の改正の規定であります。長官からの説明の中にございましたように、従来は港湾につきましては特別な単位費用を設定いたしておりましたが、漁港につきましては従来漁港の測定をいたします基礎になりますものがなかったのでありますが、それを新しく農林省でいろいろ漁港の台帳をこしらえることになりましたので、その台帳に上っておりますものを基礎にいたしまして、漁港につきましてもやはり港湾と同じような測定方法をとったのであります。これは新しく挿入したわけであります。それから次の都市関係は、これは戦災復興費というのが従来項目があったのでありますが、戦災復興というものがなくなりまして、土地区画整理の方に入ってしまいましたので、その関係で名称の異動でありまして、実態的には土地区画整理の関係の中に経費は積算することになっております。従って振りかえの格好になります。その関係で項目が一つふえますので、あとはずっとずらす条文が七ページにございます。一つ違っておりますのは、失業者の関係で、従来は、「労働大臣が調査した最近の当該道府県又は当該市町村の区域内に住所を有する失業者の数」ということにしておりましたのを、「労働大臣が調費した最近の当該道府県又は当該市町村における失業者の数」、こういうふうにいたしまして、職業安定所で失業対策中の数を基礎として失対関係の経費をみることにいたしたのであります。
それから第九ページにございますのは、これは規定の整備でありまして、従来地方債の元利償還というものを災害復旧関係の地方債の元利償還金の中に交付公債の関係が入っておるのか入ってないのかはっきりいたしませんので、従来の規定は読みにくいので、交付公債の規定を交付公債の関係のものも含める、こういうふうに直したのであります。
それから十三条の規定はこれは態容補正の規定でありまして、地方団体の中で行政の質が団体の規模に上って異なって参ります。従って県の方も異なって参っておりますので、それを測定するものといたしまして、従来態容補正という補正の仕方をいたしておったのであります。態容補正は人口とそれから勤務地手当と固定資産の平均価格、宅地の平均価格、それからもう一つ経済構造、労働者の数等を一定の点数に引き直しまして、その点数によって十段階の種別を設けておったのであります。ところがこれが非常に変化いたしますために、十段階で区分いたしますと、たとえば二種地と三種地の間に経費が交付税の額で何百万円か違う、こういう声が非常にありまして、一種地と二種地の間で、たとえば九十六点の場合と百一点の場合では一種地違うわけでありますが、一種地のごく少数の差下違うために交付税の額が非常に狂ってくると、こういう声が特に市の間に非常にあるのであります。従ってこれを十種地を二十種地にいたしまして、その差をなるたけ少くしよう、こういう意味で、今度は少し繁雑になりますが、種地を多くしたわけであります。
それから十四条の規定は、市町村民税の標準税率に関する規定でありまして、規定の整備でありまして、内容は変っておりません。そのほか基準財政収入につきましての算定方法について多少の改正をいたしております。特に償却資産につきまして簡単な改正をいたしております。
それから二十条の三の規定は、これは交付税の減額措置の規定でありますが、それに新しい項を一つ加えたのであります。これは交付税の交付が誤まっておりました場合に、その返還をさせることになっておるのでありますが、その返還をさせますのに、ほうっておきますと雑収入に入って参りまするので、翌年度、翌々年度において交付税の額に算入して配ると、こういうふうに計算の仕方をはっきりいたしたいと考えましたのであります。
それから五項の規定は、法人関係の税が非常に変動して参りまして、当初に法人関係の税の測定をいたしましたときと、現実に入って参りました法人関係の税の収入との開きが非常に多い団体がございます。従ってそれをどういうふうにやりますかということでありますが、従来は特別交付税だけで片づけておったのでありますが、しかしその額が相当大きな額になって参りますと、特別交付税だけではまかない切れないのであります。従ってこれは翌年度にまたがって精算をするというふうな方式に直したいと考えましてこういう規定を設けたのであります。つまり特別交付税の額があまり多くありませんので、その中でまかない切れない場合においては、翌年度の基準財政収入で差し引きをしてやると、こういう規定であります。
それから付則の第二項に特別交付税の関係の規定がございますが、これは本年度に限って当初三十億のたばこ専売益金が交付税会計に入って参ることになったのであります。従ってその場合に普通交付税と特別交付税というものをどういうふうに割り振って考えるかということでありまして、私どもといたしましては、本年度に入りますたばこの交付金は、本質的にはたばこの消費税であると思いますけれども、交付団体だけに配ります関係からいたしまして、交付税と同じ考え方をとりたいと考えまして、交付税の額にたばこの益金を加えたもの、当初三十億でございましたが、それを加えたものの九二%を普通交付税にすると、こういうふうに考えまして、特別交付税はその残っております八%のものから三十億を引いたものを特別交付税、こういうふうに考える、こういう規定でありまして、ちょっとおわかりにくいかと思いますけれども、つまりたばこの益金と交付税との額の総額の九二%が普通交付税として配ばられる、その分に当る額が普通交付税である、従って残っております八%の額のうち、三十億を引いたものがほんとうの特別交付税である、こういう考え方であります。これが二項、三項の規定の内容であります。大体簡単に改正の趣旨を申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/6
-
007・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 以上で政府の提案理由の説明は終りましたが、これらに対する質疑は次回に譲ることとして、本日はこれにて散会することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/7
-
008・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01619550707/8
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。