1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年四月二日(月曜日)
午後一時四十二分開議
出席委員
委員長 廣川 弘禪君
理事 志賀健次郎君 理事 松田 鐵藏君
理事 竹谷源太郎君 理事 渡辺 惣蔵君
安藤 覺君 植木庚子郎君
伊藤 郷一君 瀬戸山三男君
南條 徳男君 本名 武君
小平 忠君 永井勝次郎君
芳賀 貢君 三宅 正一君
門司 亮君 森 三樹二君
岡田 春夫君
出席政府委員
北海道開発政務
次官 白波瀬米吉君
総理府事務官
(北海道開発庁
企画室主幹) 柏原益太郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(北海道関発庁
企画室副主幹) 桑原 幸信君
参 考 人
(北海道知事) 田中 敏文君
参 考 人
(北海道議会議
長) 荒 哲夫君
—————————————
三月三十一日
委員伊藤郷一君、小島徹三君及び田中正巳君辞
任につき、その補欠として橋本龍伍君、渡邊良
夫君及び首藤新八君が議長の指名で委員に選任
された。
四月二日
委員笹山茂太郎君、林唯義君及び北山愛郎君辞
任につき、その補欠として伊藤郷一君、安藤覺
君及び三宅正一君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
—————————————
本日の会議に付した案件
北海道開発公庫法案(内閣提出第六三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/0
-
001・廣川弘禪
○廣川委員長 これより会議を開きます。
本日はすでに決定いたしました通り、北海道開発公庫法案について、参考人各位より御意見を伺うことにいたしております。御出席の参考人は、北海道知事田中敏文君及び北海道議会議長荒哲夫君でございます。
この際一言申し上げます。参考人の方々には、御多用中のところ本委員会に御出店下さいまして、厚くお礼を申し上げます。本委員会では、ただいま北海道開発公庫法案を審議中でございますが、この際本法案に対する皆様方の忌憚のない御意見を承わり、審査の参考にいたしたいと考えておる次第でございます。なお御意見開陳の時間はお一人おおむね十五分程度とし、その順序は田中さん、荒さんの順序でお願いをいたしたいと思います。なお御意見御発表の後、委員側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。
それでは最初に田中さんよりお願いいたします。田中さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/1
-
002・田中敏文
○田中参考人 北海道開発公庫法案の審議に当りまして、本委員会において参考人として意見を述べる機会を与えられましたことにつきましては、心からお礼を申し上げる次第でございます。
私は、昭和二十六年北海道総合開発第一次五ヵ年計画の策定に当り、北海道内における各種資源の開発と高度利用に重点を置き、第一次産業を開発振興するとともに、さらにこれを基盤にした第二次、第三次産業を伸張させ、人口吸収をはかるとともに、北海道の所得水準、生活水準を高め、国民の居住地としても快適であり、かつ投資地としても有利な環境を形成し、日本経済に寄与することを北海道開発の基本方向といたし、産業の基礎となるべき施設の整備拡充を重点とする計画を政府に提出したのであります。この計画においては、公共事業費、食糧増産対策費等による事業の推進と関連して、総合開発の見地から、特に育成強化すべき基礎的企業への長期設備資金の確保をはかるため、北海道開発金庫——仮称を設置することを要望した次第でございます。以来、この問題の重要性が各方面に深く認識せられるとともに、これらの推進に当りましては、強力な支持を得るに至り、北海道開発審議会においては、財政金融小委員会を設けて十分な検討を重ねた結果、昭和三十年六月、全額政府出資による北海道産業振興開発公社に関する建議が行われたのでございますが、第一次五カ年計画の最終年度を迎えた今日、この構想が国会へ付議されるにまで到達しましたことは、私のまことに喜びとするところでありまして、関係者各位に対して感謝いたす次第でございます。
申すまでもなく産業開発の進展は、設備資金の調達いかんにかかるところきわめて大なるものがあり、北海道の諸産業は設備資金の供給を非常に要望している現状でありますが、さらに財政投融資の量の問題のほかに、その内容についても改善すべき多くの問題が残されているのであります。
まず第一に、財政投資の道内への流入は、大部分電気産業及び農業に偏重されているのが特徴であります。第二には、財政投融資は中小企業にも投下されているとはいえ、農業以外は大企業に集中されていることであります。第三には、その機能は主として民間資金の不足を補完する役割しか果しておらず、質的には民間資金を誘発させる主導的推進力となっていない点がうかがわれるのであります。第四点は、国家財政投融資については、基本方針はそれぞれの中央本店における貸付方針に基くものでありまして、本道の総合開発に立脚する投融資計画とは必ずしも一致しないものであることが指摘されているわけであります。
今日御承知の通り、北海道には農畜林水産物を初め、石炭、天然ガス等、豊富な各種資源の賦存に恵まれているのでありまして、これらを原料とする既存の工業はもちろん、新規の工業をすみやかに振興し、国民経済に寄与することが期待されているのであります。
新たに企業化が有望とされる工業といたしましては、まず農林水畜産物を利用する食品加工工業として木材糖化工業、ササ利用フルフラール、ハード・ボード等の製造工業、その他廃材利用工業等があり、第二の石炭を利用する工業としては、製塩、マグネシウム、セメント、コーライト、過燐硝安、高級アルコール、ポリ尿素系合成繊維、ゲルマニウム等の製造工業が考えられ、あるいは第三に天然ガスを利用するものとしては、メタノール、尿素、カーボンブラック、溶成燐肥、アクリルニトリル等の製造工業があり、なお第四にその他として、石油精製、ソープレス・ソープの製造、テンサイ糖工業、PSコンクリート工業、アスパラガスカン詰の製造、チタン工業等寸が考えられる次第であります。
そこで、これらの諸産業の振興に当つて、道民が開発公庫に期待するところはまことに大きいのでありますので、以下これが運用に当りましての私の所見を申し述べたいと存ずる次第であります。
第一に、公庫の機能について申し上げたいと存じます。北海道の鉱工業振興のためには、既存の企業の育成強化はもちろん、さらに今後の開発の基幹となるべき各種の企業を起すことが考えられなければならないのであります。これら企業の振興には相当多額の設備資金を要するのでありますが、立地上の悪条件から利益性が薄いということ、あるいは収益を生ずることがおくれるということのために、企業の採算性のみを主眼とする一般の金融だけでは解決できないので、長期にして低利の資金調達が要請されるのであります。従って、企業化を促進するための投資を積極的に行うことが、民間資金の呼び水としての機能を果す上からも必要と考えるのであります。しかしながら、公庫の本年度原資としましては、産業投資特別会計よりの出資金はわずか十億円でありまして、その他は資金運用部よりの借入金三十億円、債券発行四十億円となっておるために、政府出資金が全体の一割程度という状態では、期待されるような積極的な投資と、低利率での貸付が困難ではなかろうかと予想されるのであります。この意味におきましても、公庫の原資は借入金や債券発行などによらず、できる限り財政資金をもってすることが適当であろうと考えるのであります。なお産業振興計画と見合った投資、融資が願わしいのでありまして、さもなければ、産業振興計画の推進が困難ではないかと憂うる次第であります。
次に貸付に際しましては、設備資金と運転資金との問題を関連して考えなければならなしと存じます。もちろん融資に当つては、設備資金に重点が置かれること当然であろと存じます。が、しかし設備資金の確保のみでは、企業の運営が困難な場合も予想されますので、運転資金についても、貸付の対象とすることが適当ではなかろうかと考える次第であります。また融資対象の選定に際しましては、大規模企業のみに限定することなく、中小企業といえども、真に開発上有望と認められるもの、あるいは基幹産業に対する関連産業等についても、積極的に育成し得る余地を残す必要があると考えるのであります。
第二に、公庫と他の政府関係金融機関との関係について申し上げたいと存じます。公庫の業務は、日本開発銀行、中小企業金融公庫、その他の政府関係金融機関等との融資分野と関連するところが少くないのでありまして、これらの関係については、互いに協調することによって、それぞれの機能を十分にかつ円滑に発揮することが必要であるのみでなく、むしろ公庫の投融資は、他の政府関係金融機関並びに市中銀行の資金投入を積極的に誘発するように、一巧みに運営されなければならないと考えるのであります。
第三に、公庫の運営について申し上げたいと存じます。公庫が国策として遂行されるべき北海道総合開発計画の達成上、重要な役割をになっていることは申すまでもないことでありまして、そのためには、公庫の運営と北海道総合開発計画、特に産業振興計画とは表裏一体ともいうべき関連に置かれなければならないのであります。
そこで北海道開発審議会におきましては、北海道産業振興開発公社に関する建議を行いました際において、公庫の運営に当りましては、諸問題を単に経済的に考究するのみでなく、北海道の総合開発を基本として検討できるような人々の識見を大いに活用しなければならないという趣旨に基きまして、経営委員会の設置を決定したのであります。その権限としましては、一、業務方法書、二、予算、事業計画及び資金計画、三、決算、四、長期借入金及び一時借入金の借り入れ並びに北海道開発債券の発行、五、長期借入金及び北海道開発債券の償還計画を議決することを任務とされていたのであります。また本年の一月、政府より諮問のありました北海道開発公庫法案におきましても、同様の趣旨をもって管理委員会の設置が指定されていたのでありまして、審議会といたしましては、これを了として答申した次第であります。しかるに、今回提案されました北海道開発公庫法案によりますと、この関係条文が剛除されていることは、まことに残念に存ずる次第であります。私は北海道開発審議会の一員として、政府におかれましては、審議会の答申についてこれを十分に尊重されるように望んでやまない次第でございます。御承知の通り国民金融公庫法においては、国民金融審議会の設置を規定いたしております。「公庫の運営関する重要な事項につき意見を述べることができる。」と定められているのであります。また日本銀行法におきましては、政策委員会の設置を定めております。また日本国有鉄道法におきましても、日本国有鉄道の業務の運営に関する重要事項を決定する機関としての経営委員会を制度化しております。さらに日本開発銀行法におきましては、役員として参与五人以内を置くことを定め、一「参与は、総裁の諮問に応じ、日本開発銀行の業務に供する重要事項につとて意見を述べ、又は日本開発銀行の業務に関し、総裁に対して随時意見を述べることができる。」とされているのであります。このほか電電公社経営委員会、日本住宅公団等においても、業務運営の適正を期するための各種委員会、審議会等が、それぞれの必要性に応じて設置せられていることを御参考に供する次第であります。今申し上げましたのは、開発公庫の運営についての委員会の設置についてであります。
第四に、公庫と地元関係機関との協力体制について申し述べたいと存じます。公庫の運営は、あくまでも国策としての北海道総合開発計画にのっとったものでなければならないとの見地から、法制上の管理委員会を設置することが必要でありますことは、ただいま申し上げた通りでありますが、さらに事業の実施に当つて、総合開発の実施を担当いたしております北海道開発局、札幌通産局、北海道庁等の関係行政機関との間に密接な連絡協議も必要ではないかと考えられます。また開発の促進について、地域住民の積極的な参加と協力とが不可欠であるという点から見まして、広く金融並びに産業関係者、あるいは学識経験者等の意向をも十分参酌する必要があろうかとも考えられるのであります。そこでこれらの関係者をもって構成する諮問機関あるいは協議機関を設置することは、公庫の事業効果を高度に発揮せしめる上に最も適切な措置ではないかと存じます。ただ私は、このことを直ちに今の法律の中に入れるべきであるというような、そういう方途に限定しての主張ではないのでございますが、先ほど申し上げました現地におきます意思が十分生かされるための協議機関、あるいはこのような諮問機関を設けることをぜひ一つ実行できるような諸措置をお願い申し上げたいと存ずる次第であります。
関発公庫に対する道民の期待はきわめて大きい次第でございまして、先ほど申し上げました諸事項についての運営の方途を講ずると同時に、公庫の実現につきましては、何とぞ一つ強力にそれが実施されるように、私どもとしては願つてやまない次第であります。
以上、時間の関係もありまして、簡潔に申し上げた次第でございますが、質疑に応じまして、いろいろまた御説明を陳述いたしたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/2
-
003・廣川弘禪
○廣川委員長 議事進行の便宜上、最初にお二方の御意見をお伺いいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/3
-
004・廣川弘禪
○廣川委員長 それでは次に荒さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/4
-
005・荒哲夫
○荒参考人 北海道開発公庫法案の審議に当りまして、私に参考人としての意見を申し述べる機会を与えられましたことにつきましては、感謝の意を表します。
北海道における産業開発の進展は、設備資金の調達いかんにあるといっても過言ではないのでありまして、設備資金の供給を非常に強く要望しておるのでありますが、現状はまことに低調そのものであります。今その事情を少しく申し上げますると、第一次五カ年計画の鉱業設備資金調達の実績によれば、昭和二十七年度三十四億四千五百万円、二十八年度六十二億一千八百万円、二十九年度四十五億四千二百万円であって、計画所要資金年平均七十七億三千二百万円に対して、年間計画達成感は四四ないし八〇%であります。また工業の実績は、昭和二十七年度五十三億七千十万円、二十八年度四十六億九百万円であって計画所要資金年平均百十四億五千万円に対して年間計画達成は四〇ないし四七%であります。すなわち鉱工業設備資金今正体としては、約五〇%程度にとどまったわけであります。
一方、各産業に投下された資金を金融機関別に見ると、二十八年度の実績では、全国ワクに対する北海道の比率は、開発銀行五・二%、長期信用銀行五・八%、興業銀行九・八%、農林漁業金融公庫九・六%、中小企業金融公庫二・六%、農林中央金庫一二・八%、商工中央金庫三・六%であつて第一次産業を融資対象とする農林漁業金融公庫及び農林中央金庫、並びに主として石炭産業を融資対象とする興業銀行を除けば、開銀、長銀、中小公庫、商工中金のごときは、およそ人口比か、またはこれ以下の低率であります。このように低調な設備資金の投下状況では第二次産業の飛躍的発展は望まれないのでありまして、北海道開発公庫の設備が期待された原因でもございます。
しこうして新たに構想されている各種の企業を興すためには、北海道鉱工業の立地上の悪条件からしても、どうしても低利な資金の調達が要請されるわけであります。低利な資金を供給するには、当然公庫の原資は借入金や債券によらず、財政資金でなくてはならないことになるのでありますが、今回提案の公庫の政府出資が、十億円で全体の一割程度であるというにおいては、とうてい低利な貸付は困難であり、積極的な投資もできないであろうと思います。この意味におきまして、自民党の廣川委員会においては、政府出資百二十億と打ち出しておられたのは、まさに卓見であったと心から敬意を表すると同時に、今回の政府提案の十億円出資には、一まつのさびしさを禁じ得ないものがあるのであります。
次に、公庫の運営についての意見でありますが、公庫が、国策として遂行さるべき北海道総合開発計画の達成上重要な役割をになっていることは、申すまでもないことであります。そのためには、公庫の軍営と北海道総合開発計画とは、表裏一体ともいうべき関連に置かれなければならないことは、今知事も申し述べた通りであります。
そこで、法案が国会に上程されるに先だって、北海道開発法に基き設置せられました北海道開発審議会において、数次にわたり真剣に討議されたのであります。今その経緯を振りかえつてみますと、昨年の五月の十七日開催の第四回財政金融小委員会において検討しました北海道産業振興開発公社案要綱によりますと、参与会を設けることとし、公社の事業計画の設定または変更について主務大臣の認可を受ける前に、この参与会の議を経ることになっておりました。その趣旨は、参与会のメンバーは、物を経済的に考えると同時に、北海道は今後強力に開発を推進すべき地域であるということを十分織り込んで、経済的に考えることのできるような人を集めまして、いろいろ重要問題の決定の討議を願うということでありました。
次に、昨年の六月九日の第五回の財政金融の小委員会において示された案では、参与制ではなく、公社の業務運営に関する重要事項を決定する機関として経営委員会を置き、一、予算、事業計画、資金の計画、二、決算、三、借入金の借り入れ、債券の発行、四、長期借入金及び債券の償還計画、五、経営委員会が特に必要に認めた事項を議決することを規定されておりました。
さらにその翌日の第二十三回開発審議会総会におきましても、前日の小委員会の案と同様に、経営委員会の設置が確認され、北海道産業振興開発公社設立に関する建議が行われたのであります。
最後に、今年一月十一日、開発庁長官から開発審議会に対し、北海道開発公庫法案についての諮問があり、一月十六日答申が行われたのでありますが、開発庁長官の諮問案にも、開発審議会の答申の中にも、公庫に管理委員会を置いて一、業務方法書、二、予算、事業計画、資金計画、三、決算、四、借入金の借り入れ、債券の発行、五、長期借入金、債券の償還計画を議決することになっておりました。
しかるに今回提案された北海道開発公庫法案によりますると、この関係条文が削除されており、まことに遺憾に存じます。私は公庫の業務の適正を期し、開進目的を達するには、このような機関の必要性を信じ、北海道開発審議会の答申を尊重されるよう重ねて要望してやまない次第であります。
ただ十分注意しなければならぬことは、復興金融公庫の苦い経験を再現してはならないということであります。すなわち復金におきましては、大蔵次官を委員長とする復興金融委員会が設けられ、この委員会において、融資方針の決定、大口融資の承認が行われたのでありますが、そのために復金自体の自主性を失い、ついに復金は後日批判の的となつた巨額の企業赤字金融を結果する原因となつたのであります。従いまして、公庫の軍営のために、ぜひとも管理委員会、あるいは経営委員会のごとき機関が必要でありますが、復金の轍を踏まないように留意すべきものと考えます。
以上、私の意見を要約いたしますと、開発公庫を、ただ単に北海道に金融機関が一つふえたというような性格のものにせず、どこまでも開発公庫本来の使命が果せるようなものにしなくては、公庫設置の意味はないこと、それと同時に、そのような公庫は、北海道開発との関連において、適正円滑に運営されることによってのみ、その目的が速成されるので、そのために管理委員会設置が必要であることを強調いたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/5
-
006・廣川弘禪
○廣川委員長 以上で両参考人よりの意見聽取は一応終了いたしましたが、質疑の通告がございまするので、順次これを許します。竹谷さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/6
-
007・竹谷源太郎
○竹谷委員 田中北海道長官、並びに荒道議会議長から、いろいろ参考になる有力な御見解をお開きしたのでありまするが、それにつきまして二、三お尋ねをさせていただきたいと思います。
最初に、北海道開発に関する計画、並びにこれが実施に関してでありまするが、前には、北海道に関しましては北海道拓殖計画というなものが計画せられ、しこうして実施されたのでございます。その当時は、もとより官選北海道長官ではありましたが、地方自治体の長として、なおまた国家の官吏として、両方の面から、北海道長官のもとに北海道の自治行政と国家の開拓事業が、同じ機関のもとで、きわめて円滑に総合調整が行われつつ、拓殖計画の実施を見ておつたのでございまするけれども、現在の制度におきましては、北海道開発庁と北海道知事とは別の機関として、自治体と国教の開拓事業とは別の機構によって実施せられておる現状であります。これにつきまして北海道知事といたしましては、いかなる御見解を持っておられるか。この二つの機関が並進をいたしまして、円滑しかも万全を期した北海道開発が現在運営せられているかどうか。その事情をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/7
-
008・田中敏文
○田中参考人 北海道の開発を推進するに当りまして自治行政と開発行政につきましてつ、これが分離された形の行き方に対して知事としどう考えるのか、こういう御質問でございました。私は、開発行政と自治行政は、現地においては自治体をして一体的に行わしめることが一番いいと考えておるものであります。そこで、かつて昭和二十六年におきまして、開発局設置が問題になりました際に、私はそういう考え方に立って私の主張を述べたわけでございましたが、残念ながら私の主張は通らなかった次第でございます。その後におきまして、私は、開発行政の分離に対して反対ではあるが、しかし反対は反対としても、現実の開発の執行の面において、できるだけその開発が有効に進められることが必要であるとの大乗的な観点に立ちまして、関係開発行政の機関も、できるだけ円満、協力的な態勢をとりたいという努力を払つて参つた次第でございます。従って、端的に申し上げますと、私は本来、自治体をして総合的、一体的にこれを行わしめることが一番いいとは考えているが、反対は反対であるけれども、現実の制度を前提にして、また最善の開発の効果を期待し、その努力をしておるという次第でございます。
そこで、それではその機構の問題を今後どういうふうに考えていくかということでございますが、実は私は、根本的には機構の問題をまずあと回しにして、どういうように開発を実行するか、いわゆる開発計画というものを確立する必要がありはしないか。第一次五カ年計画を作りましたが、私どもは、開発事業というものと、それから自治体の諸行政というものは、切り離せない現実にあると考えております。従って、北海道においては、私どもの作りました開発第一次五カ年計画というものは、住民の生活安定、向上あるいは北海道における生活文化の確立ということまで含めた、広範な総合的な開発計画であったつもりでございます。ところが、私どもがその意見を提出し、北海道開発法に基く開発審議会においてこれが検討された間におきまして、その中の一部分であるところの産業経済のみが取り扱われました。結局、それらの厚生、文化に及ぶ広範な開発計画というものが、ついに確立を見なかったわけでございます。しかも、産業、経済のみに限定された計画といえども、実は閣議決定もされず、国会もまた決議したこともないという非常に不安定な形に置かれた。私はそういう意味において、今後における北海道開発計画というものは、やはりそういう広範な内容を持つた総合開発計画であり、つまり北海道民の生活、文化の確立ということを含めた広範な内容を持ったものであり、かつ、それが政府並びに国会決議等を通じて、安定した確立の仕方が必要である。そういうふうなことで、計画を確立して、その計画を実行するために、しからばどういう機構がよいか悪いか、そういう順序を経た検討に入るべきではないか。従って、先ほど御質問の開発機構につきましては、私はこれをあと回しにしてもらいたい。まず開発計画の確立をしていただきたい。かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/8
-
009・竹谷源太郎
○竹谷委員 次に少しこまかい問題になりますが、北海道庁という地方自治体の行われている公共事業と、それから開発局が行うところの公共事業、こういうものの関連がどうなっているか。またその場合に、費用分担につきまして円滑に話し合いがつくかどうか。そういうことは、北海道開発審議会が総合的に北海道開発全体について計画を立て、それを各公共事業の、文化方面なり、産業の開発なり、あるいは耕地の開発、開墾という問題を、あらかじめ北海道開発審議会で審議せられ、決定を受けて、その計画に基いて各事業にこれを分けて、これは北海道開発局がやる、これは北海道庁がやる、というふうにやつておるのであるかどうか。もう一つは、たとえば新たに内地から移民が入って、そこで学校も作らなければならぬというような、いろいろ国で当然行うべき各般の施設等につきましては、北海道という自治体の経費でこれを全額やるということは、無理が非常に多いと思う。その費用の負担について、あるいは施設者はどうなるか、施設者が北海道という自治団体もしくは当該市町村である場合、その費用がどんなふうに分担せられ、また国がどれだけめんどうを見るようになるか、それに関連して、北海道開発庁との連関がどうなっているか。具体的の産業経済だけのことをおつしやいましたが、その他の文化や何かの方面に関しまして、どのように計画せられ、それが北海道開発局と道庁、あるいは地元市町村との関係がどのように調整——事業を分担し、また費用を分け合い、そしてその仕事の運営を分担し合っているか、その実情をちょっと聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/9
-
010・田中敏文
○田中参考人 まず開発事業を実行する大筋を申し上げたいと思いますが、まず開発局と道庁とはそれらの事業の実行に当り、あるいは予算の決定に当りましては、その根元に開発庁というものがございまして、開発庁において両者の開発に関する予算の獲得をやつていただいておるわけであります。つまり開発庁がございまして、それがそれら開発事業の予算に関する獲得あるいは配分等の官庁と相なっておるわけでございます。従って開発局の事業も、その開発庁の総合的な計画の中から確定されてきます。また北海道庁の開発に関する事業も、開発庁において決定されたことに従って、それが流れてくる、そういう大筋に相なっておる次第でございます。従って、それは開発庁において総合的な検討によってきまつてくることでございます。そこで、その予算の自治体ににおける事業分担及び費用の振り分けでございますが、これはそれぞれの事業ごとにその率がきめられておるのでございまして、全額国費のものは局がやつておりますし、補助事業は道でございます。そういうような大筋に相なっておりまして、そういう意味からも私どもは先ほどの話に関連いたしますが、全体的な総合的な計画というものの確立がきわめて必要であると考えておる次第でございます。非常に大まかな答弁でございますけれども、一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/10
-
011・竹谷源太郎
○竹谷委員 田中さんは北海道開発審議会の委員をやつておられると思いますが、御答弁によりますと、北海道全体の開発計画というものはまだできておらない、それは主として産業経済方面だけであって、各般の道民の生活向上の問題、あるいは文化の問題等につきましては、総合的な計画がまだできていないということになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/11
-
012・田中敏文
○田中参考人 北海道開発計画の状態は、先ほど申し上げましたように、開発審議会に取り上げられたわけでございますが、審議会においては、結局公共事業の分と産業経済に限定したもののみが、計画として取り上げられておる。そこで私どもがその原案を出したときには、やはり生活、文化の確立という大きな線に沿いまして、いろいろな厚生文化の諸対策も含めたものであったわけでございます。結局開発計画は、その中の部分に限定をして、審議会にかけられて、審議会がそれをいわゆる産業経済編として、答申をしたという状態に相なっております。ただ、それが審議会から政府に答申されたけれども、それ以上の進展がまだ見られていない。つまり閣議決定にはおそらくなっていないと思いますし、国会の決議にもなっておらないわけでございます。従って、今私どもは第二次五カ年計画の策定をやつておりますが、これについては、やはり私どもの従来のそういう趣旨を生かすような行き方をぜひお願いいたしたい、こう存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/12
-
013・竹谷源太郎
○竹谷委員 もう一つお尋ねしたいのですが、先ほどお述べになりました中で、経営委員会あるいは管理委員会という問題について、御見解の発表がありました。そうしますと、北海道開発審議会にかけられた北海道開発公庫法案、これには管理委員貝会に関する条文があった。それを今回政府が国会に提案してきたところのものは、削除されたものになっておる、こういう事情であるようでございます。これにつきましては、こうした委員会のようなものは、ぜひこの法律の規定をもって設置の必要があるという御見解のように承わりましたが、そうであるかどうか。
もう一つは、地元との協力態勢を確立する意味において、何か諮問機関あるいは協議機関というようなものが必要である、こういうような御見解でございますが、あなたのお考えでは、そうした法律上の管理委員会を設けるとしますならば、そうした委員会の構成はどのような人で充てたらいいか、これは個人的見解でけっこうでございますから、もし差しつかえなければ御意見を承わりたい。
もう一つは、諮問委員会あるいは協議機関を何らかの形で設けたらどうかということも考えられるというのでありますが、これらにつきましても、大体どういうような人で構成したら最も妥当な軍営ができるかということを、もしお考えがあれば、きわめて大略の話でよろしいのでありますが、お話の願いたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/13
-
014・田中敏文
○田中参考人 御質問の第一点は、今の管理委員会に対する審議会としての検討の経過についてでございましたが、三十一年の一月十一日に、北海道開発庁長官から審議会に対して諮問がございました。それは北海道開発公庫法案についてであります。その中に管理委員会の設置という項目が載つておった次第であります。そこで三十一年の一月十六日に、附帯条件をつけまして、この諮問の北海道開発公庫法案は適当であるという答申を行なった次第でございます。これが経過でございます。
それから管理委員会の構成がどうあるべきであるかということでございますが、私、実は細部について今申し上げる内容等の準備をしてございませんけれども、管理委員会の目的は、少くとも開発公庫が北海道開発のために必要な投融資行うということについて、非常に総合的ないろいろな判断が必要である、そういうような大きな方針を議決する機関であります。それらの目的を生かすのに、最もふさわしい人でなければならぬことは、申すまでもないわけでございます。開発公庫の理事機関の選任につきましても、この法案に載つておりますように、非常に慎重な配慮が払われておるようでございます。私はやはり管理委員会というものは、例の復金の実例を見ましても、この人選については、きわめてそのあやまちを犯さないような人選が必要であろう、というふうに考えておることだけを申し上げておきます。
それからもう一つ、私が先ほどの陳述の最後に申し上げました現地の協力体制でございます。これは先ほど申し上げましたように、必ずしも法律の条文に今載せるべきであるという主張をしたわけではございませんでしたが、しかし公庫の目的を速成する上からいいましても、やはり総合開発計画にのっとったものでなければなりませんし、従って、今北海道の現地において開発行政に関与しておるところの北海道開発局、あるいは通産局というような政府機関もございますし、また北海道の私どもの方もこれに携わっておるのでございますので、これら関係機関の代表者をもって構成し、円満な運営がはかれるようにいたしたい。これは先ほどの管理委員会と比べますと、実に軽いと言いましようか、法律決定機関を私は必ずしも必要としないと思いますが、現地の運営の円滑を期する上からいって、先ほど申し上げたような構成メンバーが必要ではないか、かように考ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/14
-
015・荒哲夫
○荒参考人 ただいまお尋ねがありました、審議会において審議をいたしました答申案の中における管理委員会の選任については、だいぶ慎重に審議をいたしました。これは国会議員を除く、それから国家公務員はこれを除く、そして民間から学識経験者、経済人をもってこれに充てて、その委員の選任については、総理大臣から国会に同意を求めて選任をするというふうに詳細に記録に示して、この管理委員会の設置を決定いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/15
-
016・竹谷源太郎
○竹谷委員 それでは荒さんにも、その問題で関連して一つお尋ねしたいと思います。北海道という地方自治体が機関として加わらない方がいい、あるいは知事なり道議会議長なり、その点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/16
-
017・荒哲夫
○荒参考人 この点は特に私発言を求めまして、この点については道の意見が十分反映をするような措置をとつてもらいたい、こういうふうにお話を申し上げました。このことは決して知事や議長のことを言っておるのでありませんで、やはり北海道と直接関係のあるこの法律を作る場合には、北海道の意見が十分反映するような措置をとつてもらいたいという要望を付してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/17
-
018・竹谷源太郎
○竹谷委員 この北海道開発金融公庫が発足したならば、三十一年度当面の問題として、いかなる産業開発のために出資し、あるいはお金を融通するかというわれわれ委員側の質問に対しまして、それは追ってこの公庫法が施行になり、そして理事長、理事等が選任せられたならば、そこできめるのだ、こういうような政府からの答弁でございました。それではわれわれは納得ができませんので、いろいろ追及いたしましたところ、やつと参考資料として、三月二十九日でありまするが、北海道開発庁の方から、昭和三十一年度北海道開発公庫法業種別投融資計画試案というものをわれわれ委員に文書として配付があっのでございます。この昭和三十一年度北海道開発公庫法業種別投融資計画試案、これにつきまして北海道として、地方自治体として、これは北海道開発庁から御相談を受けておるかどうか、また北海道の自治体としての御意見もその中に織り込まれておるのかどうか、知事と議長さん両方にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/18
-
019・田中敏文
○田中参考人 三十一年度の公庫軍営の内容として、業種別の試案について相談を受けておったかどうか、こういう御質問でございます。実はこの参考資料を、ついただいま拝見いたしました程度でござまして、業種別試案の内容を私存じておりません。従いまして、そのことに面接どうのこうのということを、私は申し上げることはできないのでございます。ただしかし、北海道の産業振興に関連してどういうような事業があるかというような一般的なそういう内容につきましては、従来これは常時開発庁と私どもの方は連携をとりつつ、意見を申し述べたという事実はあるわけでございます。そのことが、ただいまの計画試案とどういう関連を持つかということにつきましては、私どもはこれは存じ上げないのであります。
それからもう一つは、この融資計画というものの私の一般的な所見を申し上げたいと思います。それは、いかなる企業にどういうふうな投資ないしは融資をするかというようなことについては、これはやはり公庫ができました場合に、その理事機関が責任を持って検討し、実行しなければならない問題一であることは申すまでもありません。従って、それは私どもがいろいろ意見を問われた場合に意見を言う場合におきましても、何か経営者自身が知らぬうちに、その融資が期待されるというようなことについては、これはそうならないように相当慎重な態度でなければならぬ、私自身はそう実は考えておるわけでございます。しかしながら、国会としてこの問題を討議するためには、やはりある程度それらの内容を知らなければ審議できないというお立場も、私はよくわかるのでございます。実は私は直接それに答えるべき立場でないとは承知いたしておりますけれども、しかし私の一般的考ええ方を参考までに申し上げたいのでありますが、やはり先ほども申し上げましたけれども、要するに、開発計画という大前提の計画というものが、まず確立されなくちやならぬということだと思うのであります。その開発計画が確立されて、その一環として産業振興計画というものが作られる、その大きな方針に基くところの、具体的な公庫の運営がなされなければならない、そういう順序を踏むのが筋だと私は思うのでございます。ただしかし、現在私どもの方で第二次五カ年計画に関連して、諸般の産業振興計画を練りつつあります。これは近いうちに私の方の意見がまとまる予定でございますが、そういうような計画を実は私どもとしても作り上げておらないうちに、こういう公庫が進められていった、こういう時間的なずれを実は私どもは感じております。そこで、ずれはありましても、公庫は必要であるという観点に立って、ぜひ私どもは公庫は作つていただきたい、しかし大きな計画もでき上っていないという段階だから、やはりなお一そう先ほど言ったように運営の慎重を期するために、ぜひ審議会に諮問した原案にもありましたような委員会が必要ではないだろうかということを、さらに痛感をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/19
-
020・永井勝次郎
○永井委員 関連して知事にちょっとお尋ねいたしたいと思います。今竹谷君からの質問に対して、北海道の総合開発は、日本の国土開発というようなものを背景とした開発計画というものが樹立されて、その中から産業振興開発計画というものができて、その一環として開発公庫というようなものが生まれてくるのが順序であり、それが公庫としてのほんとうの機能を発揮することのできる前提条件であるというようなお話が今なされたのでありますが、そういうことの順序が踏まれないで、公庫独走の形で現在ここに現われてきた。しかし知事は、これは必要な事柄であるから、ぜひこの実現をしてほしいというような要求であったのですが、これは矛盾があるのじゃないかと思うのです。その点についてお尋ねしたい。たとえば米を用意してある。この米は食糧として必要なんだ。こういうのですが、この米を食糧として用いるために、火を用意し、水を用意し、そうしてこれをかしいで食べなければ、栄養にはならないのであります。ところが、火の用意もしなければ、水の用意もしてない、米もまだ洗わないで、ぬかのついたそのままで、食事をせいといって、食膳に米をなまのままで出されたら、これは食えないのであります。順序に戻して、ちゃんと洗って、かしいで出してやる、こういうことにならなければならぬのではないか。それを現在知事の前には、金融公庫が独走している。そうしてなま米のままでこれを食えと出されておる。順序は違っているが、しかし必要なんだといって、なま米を食べる考えであるかどうか、その矛盾をあなたは感じないか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/20
-
021・田中敏文
○田中参考人 米の例をとられましたので、米の例をもってお答えを申し上げたいと思います。要するに、どうしても米は必要であるということで、私どもはその米を消化しようといたしております。ただし、その米は、ただなまで食おうというのではございません。直ちになま米を食うのじやなく、長時間をかけてその米を食おうというのでございます。従って開発計画の面で、たとえば私どもの方の……(永井委員「たいて食おうという間に、ネズミが食うかもしれない」と呼ぶ、笑声)そこで、その米がネズミに食われないような配慮を払って、多少の期間はその準備のための保管をいたしましても、たとえば、その間に第二次計画なり、産業振興計画なりを、どの程度においてか確立していただくことも可能であろうとも思いまするし、先ほど言った管理委員会というような機構を設けることによって、さらに慎重な検討を加えるというような、ネズミに食われない対策を考えて、これを消化できるというふうに私どもは考えておりますので、決して私は矛盾していないと考えておる次第でございます。しかも北海道としては、開発公庫の使命を非常に期待しておるわけでございます。道民の渇望でございます。そういう意味で、できるだけ早くこれを作つていただきたいということを、特にお願いを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/21
-
022・竹谷源太郎
○竹谷委員 そうしますと田中さん、ネズミに食われないために、ネコいらずとして管理委員会のようなものがぜひ必要だとお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/22
-
023・荒哲夫
○荒参考人 だいぶユーモラスな討議になりましたが、実は管理委員会は必ずしもネコいらずの役目ではないと思います。これはむしろネコいらずを使わないで、もっと科学的な方法で予防措置を講ずるということが必要だと思います。今の知事のお話が少し足りませんようですから、申し上げます。今、道では、第二次計画というものを早急に作り上げようと考えておるわけであります。今知事からもお話がございましたように、第二次計画案は少くとも四月じゅうには完成をする。しかもその完成をした第二次総合開発計画案の中における第二次開発計画が、具体的に提案される段階になってきておる。それとあわせて公庫法案が通過をして、両々相待って、北海道の総合開発の上に役立たせていただきたいということを、期待いたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/23
-
024・廣川弘禪
○廣川委員長 三宅さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/24
-
025・三宅正一
○三宅委員 私きょうはどうしても抜けられない用がありまして、御両所のお話を承わらなかったので、多少ダブる点があるかと存じますが、お許しを願いまして、二、三承わりたいと思います。二、三日前に黒沢北海道開発審議会長その他の御意見を承わりましたときにも、私どもが一番危惧して追究いたしました点は、基礎調査ないし技術試験、工業試験などが十分にできておらない段階において、あわてて八十億という金を不用意に投入することによって、食いものになったり、なま煮えになったりして、逆に北海道開発を阻害することになるのではないか、少くとも第一段階としては、理事者は金融関係のくろうとではあるけれども、総合計画というような点に立って、最新の科学技術などを北海道に導入する点については、何といっても見識に足らぬ点もあるだろうからどうしても管理委員会を前提としてでなければ、この法案の意図に反する結果になるのではないか、こういう点でありました。それで一番北海道の事情のわかつている黒沢君などに、そういう点をほおつておいて、ただ金をふやしてくれという御意見を出されることは、ほんとうに北海道のためにならぬのではないかという意味の質疑をいたしたのであります。本日は、管理委員会という制度はどうしても必要だという点をお二人ともお述べになつたようでありますので、私は、その点をわれわれの法案に対する態度決定の基礎条件といたしまして、考えていきたいと思います。基礎調査に関する費用をもっと出さなければだめではないかという点は、われわれ社会党関係だけではなしに、自由民主党の方でも御了承のようでありまして、この点については、両党協力いたしまして努力をいたしたいと考えるのであります。そこできょう知事にお伺いしたいのは、第二次産業、第三次産業を興す道路、河川、港湾、発電というものの基礎整備をするのが、第一次五ヵ年計画の目標であるが、それは何十%しかまだいっておらない。従いまして国の費用をつぎ込む線としては、この点にまず第一に思い切つた金をつぎ込むことが、第二次産業、第三次産業をほんとうに開発させるために必要だと思うのでありまして、こういう点で基礎調査にもっと金をつぎ込むこと、それから基盤育成のためにもっと金をつぎ込むことが、公庫を作る前提条件であると考えております。これはその通りだという御答弁があるに違いないのでありますが、こういう点について、現地において痛感しておられます点ついての御感想をまず承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/25
-
026・田中敏文
○田中参考人 基盤育成がまず第一に考えられなければならぬ問題であることは、申すまでもありません。従いまして、基礎調査のために金をかけていかなければならぬということも、私は全く同感でございます。そこで私どものいわゆる開発計画を作るということの中には、それらの基礎調査の問題がいわば前提をなしておるわけでございまして、そういう科学的な調査に基礎を費くところの計画の確立をはかるということが、私は一切の前提として考えられていかなければならないと思っておる次第でございます。
そこで御参考までに、私の方で今までこれに対してどういうような努力を払ったかということを申し上げたいと思うのでございますが、貧弱な自治体の財政でございますけれども、今までこれらの基礎調査につきましてはすでに三億円以上の金をかけておる次第でございます。そして、しかも私どもの基礎調査は、もちろん通路、河川、港湾その他食糧増産も、土地改良等の基礎施設の問題も含んでおることは、申すまでもございませんけれども、同時に、道民の生活そのものをいかにわれわれがつかむか、開発が地域の住民の生活の確立、向上ということを目的としております以上、その生活の分析、生活の実態を把握するということ、これまた北海道開発計画を樹立する前提の調査でございます。そういうような広範な調査対象に対しまする諸般の調査を行なって参った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/26
-
027・三宅正一
○三宅委員 三億円以上かけられて、そういう心がまえでやられましたことにつきましては、敬意を表するわけでありますが、私がさらにお伺いをいたしたい点は、今度の公庫の十億円の政府出資に加えまして七十億の金を出しまして、八十億を三十一年度につぎ込むという計画を立てておるようでございます。その計画の試案をいただきますと、設備資金に七十億つぎ込む、長期運転資金に十億つぎ込むという予定でやつておるようであります。これは先ほど田中知事が申されました通り、まだ知事の方でごらんになっておらぬかもしれませんけれども、地元の長官といたしましては、七十億及び十億をつぎ込みまする第二次産業について、一体どの程度、技術試験、工業試験等が完成しておるか、企業としてどの程度自信があるかという点について開発庁が出しましたものについて、一つ知事のわかりまする範囲において、御説明をいただきたいと思うのであります。第一は、二十五億の金をつぎ込みまして石炭及び天然ガスの利用度の高い工業をやるという点を第一項目に出しておるのであります。それには低品位炭利用の製塩工業を興す、それからカーボンブラックの工業を興す、それから都市ガスの工業を興す、それから家庭用無煙燃料をやる、その他ということで二十五億という概算を出しておるのでございます。私ども考えまして、低品位炭の利用による製塩工業などが興きますれば、日本の化学工業におけるソーダ、塩等の不足の現状にかんがみまして非常にいいと思うのでありますが、これらを工業化する上において審議会、政府、道の調査において一体どの程度確信が持てるものであるかどうか。企業の形態などは営利会社にやらせた方がいいのか、あるいは都市ガスの関係などについては、道一円を通ずる公企体的な形態にしてやつた方がいいのか。これらの点についてまず石炭及び天然ガスの利用に関する工業に一体どの程度の確信を持っておるか。それから企業形態はどういうふうなものがいいかということにつきまして、わかります範囲だけ承わりたいと思います。これは委員長にお願いをいたしますが、この案の審議の過程におきまして一つそれぞれ専門家を呼んでその点は一ぺん念を押したいと思いますけれども、道のことでありますから、わかりました範囲において、まず第一項目を知事から承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/27
-
028・田中敏文
○田中参考人 ただいま御質問のことは、これは先ほど言いましたように、数字としては北海道開発計画並びにそれの一環であるところの産業振興計画の確立によって、慎重な委員会の審議を経て理事者がこれを決定していくという形でなければなりませんし、そのための、まず基本をなす計画自体が、まだはっきりしていないということの状態から、私の今申し上げることが、直ちにもって開発公庫の運営に、どうのこうのという直接的な結びつきをされたのでは、実は私としては困るわけであります。従ってその点は切り離していただきまして、ただ道自体が、今までこれら産業についてどのように調査してきたか、あるいはその他私の考えられ得る企業形態ないしは確信度というものについて申し上げて御参者に供したいと思うのであります。
そこで、この低品位炭の利用製塩工業でございますが、実は北海道の資源活用ということを、私ども取り上げました過程におきましては、未利用の資源としては、やはり低品位炭を非常に強く取り上げたわけでございます。それから天然ガス、さらには石油、それから不良質の木材というものをあげることができます。そこで低品位炭の利用につきましては、中央並びに北海道の学織経験者に委託をいたしまして調査を始めてから、はっきりした年数はわかりませんけれども、大体五年になります。私どもはその間調査費をかけまして、低品位炭の利用方途の研究をして参ったわけでございます。その一つとして、その成果がこの製塩工業に実を結んでおります。製塩工業としてもう実施に入りつつあるものもあるわけでございますので、これにつきましては、工業として確信ありと言い得ると思います。それからカーボンブラックについては、たしか企業化がはかられておるものがあると承知いたしております。それから家庭用無煙燃料というのは、おそらく低品位炭の乾溜によって作る工業のことであろうと思いますが、これにつきましても、おそらく可能であろうという見通しも持っておる次第でございます。これらについては、いろいろな調査研究も進められておる次第でございます。それから都市ガスにつきましても、これは北海道にはおそらくきわめて有望なガス資源があることは明らかでございます。今後石油資源開発会社等の探査を待ちまして、より明確な数つ字が出るものと思っておりますので、これが可能であることは確信を持って言い得ると思います。そこで企業形態につきましては、都市ガス等の産業は、やはり公企業で行うのが、妥当でないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/28
-
029・三宅正一
○三宅委員 知事にそれ以上突っ込んだ御質問をすることは、御無理かと思いますけれども、三十一年度で二十五億つぎ込むという計算が、ともかく試案でも何でも出ているといたしますれば、これは本来開発庁から出した資料でありますから、開発庁においでを願つて聞くのが当然でございますが……。(「そこにいる、聞いたらいい」と呼ぶ者あり)おられますれば御答弁願いたいと思いますが、道庁といたしましても、現実に二十五億の金をつぎ込んでこれこれのことをやるという品目が出ておりまする限りにおいて、現場管庁といたしまして相談もあったことと思いますので、一体二十五億のうち低品位炭の製塩工業には幾ら幾ら、カーボンブラックは一体どれで、企業としてはどうやっている、都市ガスは大体どういうふうにもくろんでいるというような点につきまして、もしわかっておりましたらば、知事から、もし何なら関連いたしまして開発庁で、一つ説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/29
-
030・田中敏文
○田中参考人 ただいまのお尋ねでございますが、私どもの方では、第二次五カ年計画の策定の内容といたしまして産業振興を取り上げて、今のような諸点につきましても、五カ年間の見通しにつきまして、それぞれ検討したものがございます。しかし単年度の昭和三十一年度においてどうかということにつきましての検討は、いまだいたしておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/30
-
031・三宅正一
○三宅委員 開発庁に承わりますが、ともかく相当基本的な低品位炭などの高度利用とかいうことになりますと、今田中知事が申された通り、一年に二十五億金をつぎ込んで、それで済むというものじゃない。工場ができるについても、五年間ぐらいの計画で——ここで本年度この品目に二十五億つぎ込むが、さらつに完成して、経済的な効率からいっても引き合うというところまで持っていくには、五年間に百億なら百億入れなければならぬ、その第一次計画として二十五億だというようなことが出てくるのだと思うのでありますが、開発庁から、その点について関連して御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/31
-
032・桑原幸信
○桑原説明員 ただいまの三宅委員の御質問に対して簡単にお答えいたしますが、たとえば低品位炭の利用工業につきましては、現在二万五千トンのものを二つ考えておるわけです。大体二万五千トンの設備計画に対して、七億五千万円くらい所要資金が必要でございますので、それを五万トンと見ますと十五億、都市ガスその他のこまかい数字は今取り寄せておりますけれども、大体そういうような見当になるという意味で積み合せたのが、二十五億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/32
-
033・岡田春夫
○岡田委員 ちょっと関連して聞きますが、投資と融資と、これは区別していただかなければならぬ。投資の方は、新規にやろうというのは四つか五つかきまっているはずですが、それを一つ御発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/33
-
034・桑原幸信
○桑原説明員 ただいま投融資の別をはっきりせよというお話でございましたが、一昨日お手元に差し上げました業務方法書の中に、採算性が近い将来においてとりにくいものを投資計画に入れるということが書いてございます。そこでたとえば離島航路の整備事業のようなものは、投資事業計画に入れなければならぬのではないか。しかし投資の方は無利子の金でございますから、投資をしてもつらいたいという事業の要望も非常に強いものでございます。しかし、われわれとしましてはあくまで業務方法書に載せてありますような、採算性が近い将来においてとりにくいというものを投資事業に入れたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/34
-
035・岡田春夫
○岡田委員 ですから、私申し上げるのですが、もう大体きまっているのが四つ五つあるはずです。あなたがおっしやらないから申し上げますが、地下資源開発株式会社、それから都市ガス供給の株式会社、これは知事は先ほど公企体ならば望ましいという話ですが、開発庁の案は株式会社なんです。これは知事から一つ開発庁に要求してもらいたいと思います。それから離島航路の会社、それから建設機械の会社、少くとも四つがきまっているはずです。ところが、ここで問題になるのは、たとえば、例を一つ申し上げますが、地下資源なんかは、炭鉱の大手が乗つてこないのです。作ろうたつてなかなかできない状態なんです。政府は五千万円の金を出すのだからといっているが、大手の方は、そんなもの作ったってしょうがないでしようというので、あまり乗つてこない。今宙に迷っている状態のはずです。だから、そういうふうに無理して作ったって、これはなかなかできぬですよ。そこで、こういう点を今後は十分御研究願わなくちゃならぬと思う。それから融資の問題にしても、木材糖化、石炭利用の関係、その他融資の大体のめどができているはずなんです。こういう融資の関係なんかについても、もしいろいろな資料をお持ちならば次の、機会にでも出していただいて、そうしてわれわれにいろいろ検討する機会を与えていただきたいということを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/35
-
036・桑原幸信
○桑原説明員 ただいまの御趣旨の点については、できるだけ要望に沿いたいと思いますが、先般差し上げました適地工業の資料の中に十分書いてあるのです。(岡田委員「金額もあるはずです」と呼ぶ)金額は、再々申し上げますが、公庫がきまりまして公庫の理事者が具体的に決定するものでありますから、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/36
-
037・三宅正一
○三宅委員 今の点で、なおもう一ぺん聞きますが、たとえば都市ガスの関係などにつきましては、私の認識が違っておるかもしれませんけれども、まだどれだけ埋蔵があって、どれだけ出るかということを調査する段階ではないかと思うのです。これが不十分な調査で始めまして、予定通り出なかったとかなんとかいうことになりますと、国費の乱費になると思うのであります。従いまして、もうすぐ企業化するものについては、北海道のために金をつぎ込んでもちっとも惜しくないのでありますが、むしろ都市ガスの関係などについては、調査費と申しますか、それをもう少し国会八が努力をして出しますことが、やはりほんとうに長い目から見た北海道のためではないかと思うのであります。この点一つ技術的な確信の上に立って次長からもお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/37
-
038・桑原幸信
○桑原説明員 ただいま都市ガスの点について三宅委員から御指摘がございましたが、これは現在あります都市ガスの企業の合理化計画と申しますか、これの方の資金を当年度は予定しておる。それから先ほど御指摘になりましたパイプ・ラインの会社でありますが、これはやはり都市ガスの概念に入るのでありますけれども、たとえば石狩炭田は炭坑から出る排ガスが非常に多い。保安上非常に危険なんです。そこでこの保安上下必要なガスを抜きまして、これを各都市のタウン・ガスとして送りたいという計画が、現在札幌通産局あたりで進められております。それはただいま三宅委員御指摘のように、なお調査する段階にあると思います。しかし、これは企業の具体化は相当はかりやすいものであります。三宅委員の一番御指摘の問題は、天然ガスの問題ではないかと思うのでありますが、これはさらに調査を確立いたしまして、天然ガスの賦存量がはっきりした上で、実際に利用しなければいかぬのだ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/38
-
039・三宅正一
○三宅委員 そこで第二の方に、二十億使うことになっております。農林畜水産物の加工度の高い工業について、私も全くのしろうとでありますから、多少ポイントがはずれるかもしれませんけれども、それほど知らない内地の者に対しまして、認識を与える意味においてもお伺いをいたします。そこでこの問題で一番大きいのは木材糖化だと思いますが、木材糖化がもしほんとうに工業化しますならば、日本のある意味における非常に大きな産業の革命的な要素だと思うのであります。その意味においてこれの重大性を考えれば考えるほど、やはりこれもまだ工業化試験にやっととっついた段階ではないかと考えておるわけであります。それらの将来性と、それから工業化試験の現段階。それでこれなども、やるについて企業形態をどう考えるかということを、バード・ボード工業、テンサイ糖、すべてこの項目について知事からも伺いたいし、それから次長からも伺いたい。
そこで、私がなお農林畜水産物について申しますことは、テンサイ糖などについていえば、今会社の形態できっとやつておると思いますが、農林畜水産物の加工につきましては、たとえば酪農の形態におきまして、農協が高度のバター工業をやるとか、そういう意味で、農協とか協同組合がこれに応援してやらした方がいいという面もたくさんあって、この点は一つ企業の競合を来たしたり、農林畜水産団体にかえって迷惑をかけるような点もあるので、そういうことの調整を考えてやらないといけないと思うのでありますが、その工業化についてどの程度進んでおるか。それから将来をどういうふうに見通しておるか。それから企業の形態についての農協や水産連等との関係についてどう考えておるか。これらの点について質問をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/39
-
040・田中敏文
○田中参考人 まずハード・ボード工業でございますが、これは私どもの方の例の旭川林業指導所において試験に着手いたしまして、さらに外国の技術、力等も借りまして、具体的な製品製造まで実は入っておるわけでございますし、さらに民間企業も存在いたしておりまして、これにつきましてはそういう形で、事態が進んでおると承知いたしております。
それから木材糖化の問題でございますが、これはかつて世界の他の国々においても、この木材糖化についてはいろいろな試験も行われ、また経営も行われている面もあるわけでございます。そこでただいま日本におきまして木材糖化についての試験研究は、一つは野口研究所を中心にいたしました塩酸法の研究がございます。もう一つは、私どもの方でやっておりまする濃硫酸の方法があるわけでございます。これら二つの方法が、現在それぞれ試験を進めておるという段階でございます。しかもその進行の度合いでございますが、塩酸法につきましては、ただいま中間試験の施設の建設に着手されつつございます。それから私どもの方の試験は、多少おくれておりまして三十一年度内において大体中間試験が相当進捗するであろうという見通しを持って、今進めておるような次第でございます。従って木材糖化の事業につきましては、それらの試験の進み方が今後どうなるかということと関連して、これは判断されなければならない、少くとも道庁の私どもの方での濃硫酸法は、三十一年度は経営化は困難であると考えておる次第でございます。
それから企業形態の問題でございますが、木材糖化に関しましては、今後これから一つその経営形態についていろいろ判断を加えたい、かように存じております。
それからその他の工業について、たとえば協同組合が経営主体になることについてどう思うかという点でございますが、私どもはその産業の事情によりまして、協同組合もちろんけっこうの場合もございまするし、これは今後の産業の内容、事情等に応じて、それぞれ検討すべきことであろうと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/40
-
041・三宅正一
○三宅委員 開発庁に聞きます前に、もう一つこれも加えて御返答願いたいと思います。二十億という予定をしておられますので、そのうち木材糖化などについては、基本的な大きな産業として、相当考えておられると思うのでありますが、今知事から聞きましても野口研究所が中間試験の施設をやる段階である。それから濃硫酸方式による道の研究は、今まだそこまでいっておらない、こういう状態ですから、たとえば、もう技術的には濃硫酸によるか、塩酸によるかして、もうどちらも完成している、ただ非常に資金が要って、新しい仕事だから、一つの企業として別個に考えなければならぬので、それに金を出すというのなら、わかりますけれども、この程度のあやふやな状況において——私はやはりこの段階においては、相当まとまった金を試験研究のために国が出しまして、間違いのないところで企業化させることが、親切なやり方だと思うのですが、一体この二十億の中で、木材糖化については具体的に幾ら今年出されるつもりか、またそれは野口にやらせるつもりなのか、どこにやらせるつもりなのか。こまかい金の貸し方につきましては、新しい理事者がきめるでしょうけれども、一応予算を出しておられる限りでは、大まかに考えておられましょうから、その腹のあるところをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/41
-
042・桑原幸信
○桑原説明員 ただいまの点についてお答え申し上げますが、木材糖化の現況はただいま道の知事から御説明申し上げたような進行状況になっております。ただ沼津のそばに福泉醸造というのが一応小さい形で試験プラント程度でありますが、やっております。それから各国の状況を見ますと、現在企業として成功いたしておりますのは、確かではございませんが、スイスだけだというように記憶しております。そういうような状況でございまして木材糖化については今後なお相当研究調査することを要するのではないか。それで本年度これを果してすぐ融資対象に取り上げるかどうかということは、ただいま申し上げましたような野口研究所あるいは道——道はただいま三十一年度では間に合わないという御説明でございましたが、その研究の進行状況とにらみ合せて考えていきたいというつもりで、ここに計上をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/42
-
043・三宅正一
○三宅委員 幾ら計上をしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/43
-
044・桑原幸信
○桑原説明員 今具体的に申し上げる段階に至っておりませんが、たとえば私から私見として申し上げれば、百トン・プラントでございますと、所要資金が二十五億かかります。そういう意味で、当年度は七億程度を一応計上をしてみたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/44
-
045・三宅正一
○三宅委員 これは百トン・プラントで二十五億、それで七億程度予定しているとのことですが、どこでやることを予定しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/45
-
046・桑原幸信
○桑原説明員 それはただいま申し上げましたように、企業体については別に考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/46
-
047・三宅正一
○三宅委員 そうすると、意地の悪いことを言うようで恐縮ですが、だれかやるようだから七億だけ用意しておこう、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/47
-
048・桑原幸信
○桑原説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/48
-
049・三宅正一
○三宅委員 それからテンサイ糖などについても、何億入れられる予定でいるか知りませんけれども、そういたしますと、たとえば生産費などがうんと安くなって外国から入ってくる普通の砂糖と大体引き合う程度に生産費が下るとか、何かそういう見通しがあってのことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/49
-
050・桑原幸信
○桑原説明員 テンサイ糖の計画は、単に工場誘致という面だけではございませんので、いわゆる北海道の農業生産の面からテンサイ糖の振興ということが強く叫ばれているわけでございます。そこでわれわれといたしましては、北海道における適地作物という意味でのテンサイ糖、また土地改良としてのテンサイ糖の増産というような意味合いから、このテンサイ糖工業を北海道で特に振興したいという意味合いで、ただいま申し上げましたように単に砂糖という値段の問題でなく、相当研究をしなければならない問題を含んでおりますが、いわゆる農業政策の見地からこれを強く考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/50
-
051・三宅正一
○三宅委員 きょうは参考人が二人おいでになっておりますから、いずれもう一ぺんスタッフを連れてきてもらってお伺いいたしたいと思いますので、簡単に触れておきますけれども、アルギン酸の関係はどれくらい金を出されて、どういう予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/51
-
052・桑原幸信
○桑原説明員 アルギン酸につきましては、現在操業をしておりますのが日高で一工場ございます。しかし、これはいろいろな経営状況の点からなお問題を残しておりまして、今漁信連が試験操業をやっている段階でございます。そこでこの漁信連の試験操業でいくか、あるいは特定の会社でいくかということについては、今後道側と農林省側で研究の上結論を出したい。現在は大体農林漁業金融公庫からすでに三千八百万円の融資を仰ぎまして、大体四トンくらいの能力が出ることになっておりますが、操業の安定度を考えますと、大体十トン程度の操業に持っていかなければいけないのじゃないかというふうに考えておりますので、大体五千万円くらい、このうちには長期の運転資金も含んで五千万円くらいを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/52
-
053・三宅正一
○三宅委員 そこで第三の品目に五億という予定をしておられるようであります。鉱業及び製錬業に対しましてこれは鉱山の設備と鉱山の道路その他という予定のようでありますが、具体的にどことどこを予定しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/53
-
054・桑原幸信
○桑原説明員 鉱山設備については、具体的には別にどれというものを要求しておりませんが、主として鉱業の機械でございます。たとえばロータリー・キルンとか選鉱設備というようなもので、業界から一応こういうものを考えてほしいというものだけを大体三億六千万円、それからいわゆる鉱山道路というものは、これは私設道路、市町村道路以外のいわゆる鉱山の専用道路、大体四十キロくらいを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/54
-
055・廣川弘禪
○廣川委員長 三宅さん、ちょつとお願いいたしますが、遠路わざわざ参考人がお二方お見えになっておりますので、質問の要点を参考人の方にお向け下さるようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/55
-
056・三宅正一
○三宅委員 それでは委員長にお願いしますが、この問題については、もう一ぺん一日目をとっていただきたい。そのつもりであとに譲りますが、私ども考えてみますと、第三、第四等に関連いたします離島の航路整備だとか、航空事業の整備だとか、鉱山の整備だとかいうものは、特に社会政策的に中小の鉱山等を考えられるならば、別でありますけれども、大体開発銀行などが鉱山の設備などについては考えておることだと思うので、ともかくこの点で私どもが総括的に考えますと、ただ一年に八十億使うということの方が先に立って、どうも企業の形態、それから産業の水準の段階、それから試験の完成等について、少し用意不十分に考えておるなま煮えの案じゃないかというふうに感じますが、こういうことについて、これは参考人から、本来産業資金はほしい立場でございましょうから、それはそれだが、これはほしいというお考えだろうと思いますので、十分なお話もできないかもしれませんけれども、こういう点について、私は長い目から見た北海運の開発から、よほど考えないと危険な点が多いんじゃないかと思います。その点について、もう一ぺん両参考人からそれぞれ御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/56
-
057・田中敏文
○田中参考人 ただいまの御質問につきましては、先ほど米をなまで食うか、煮て食うかという論議を通じまして、私どもの意見を表明してある次第でございます。ごく簡単に申し上げますと、要するに御指摘のように、これは北海道開発計画というものを確立して、その一環として産業振興計画を確立して、その大きな方針にのっとってやるということが私どもとしては筋だと考えております。しかし計画策定につきましては、私どもの計画即国の計画というふうな形になるか、ならないかは、今後の問題でございますけれども、私どもの方の計画は、ともかく学識経験者百名になんなんとする方々に協力を願いまして、今慎重に審議をしておる最中であります。それが大体四月末にはまとまるというところまでも参っておりますし、中央の方におきましても、それぞれいろいろ御検討が進められておると存じますので、そういうような体制の整備はできるだけ今後早く進めていただくということにして、この公庫は一つ確立させていただきたい。ただしその運営についてはしばしば私の方からも、また荒参考人からも申し上げた次第でございますけれども、やはり公正な運営ということの面から見まして、委員会はきわめて必要な機関ではないだろうか。そういう機関の設置軍官と相待って、今の計画の立ちおくれをできるだけ促進しながら、私どもなま米を十分こなし得る米にするということにしたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/57
-
058・荒哲夫
○荒参考人 今知事さんからも答弁をされておりますように、やはり第二次五カ年計画というものを早急に確立して、この公庫の資金を消化していきたいと考えておるわけであります。ただこの公庫の資金の振り合いと申しますか、いわゆる投資に充てるべきものと融資に充てるべきものとの振り合いの問題が、やはり重大な問題となってくるのではないかと思うわけであります。今いろいろ議論されているようでありますが、融資のワクが非常に大きくて、投資のワクが非常に少いというところに問題があるのでございまして、この問題は私ども審議会として討議いたしましたときには、投資のワクがうんとふえておって、融資のワクはこれに付随しておるのだ、こういう考え方で実は出発いたしたのであります。ところが資金ワクの振り合いの問題につきましては、ここでただいま御審議を願っている法案の内容としては、いわゆる融資のワクが多くて、投資に充てるものが少い、だから、そういう点でやはり議論が集中してくるのではないか。私どもから判断をいたしますると、融資のワクが多いということは、既設の産業、現にある産業に融資をされる危険性がある。その鷹巣がどれがいいか、これがいいかという問題は当然批判の対象になって参ります。ところが、北海道における第二次工業を発展させるという考え方からいたしますると、これは投資が重要な問題となってくるわけであります。こういう点で私はこの公庫は、本来われわれの審議したような形の資金割りをお考え願わないと、われわれが期待したような北海道の工業開発を促進する効果を果せないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/58
-
059・三宅正一
○三宅委員 開発庁が出しておりまする八十億の資金の大ワクでありますが、これ以外に、これに落ちておって、北海道長官として、これに金を入れてもらえば経済効率も多いし、やってもらいたいというようなことがございますれば、参考のために承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/59
-
060・田中敏文
○田中参考人 その八十億の融資計画試案なるものをただいま拝見したばかりでございますが、私の方の五カ年間にわたるいわゆる産業振興計画は、第二次五カ年計画の一環として進めておりますので、それらとつき合せますれば、その他となっておりますから、その他に該当する内容のものが、あるいは出てくることと存じますけれども、ただいまここで即答することは、ちょっと時間の関係もありまして、差し控えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/60
-
061・岡田春夫
○岡田委員 お二人にお伺いをいたしたいと思いますが、まず第一点は、先ほど米とネズミの話も出ましたけれども、実際に効果があるかどうかという点が問題だと思うんです。効果があるとしても、八十億の金を使うのだから、幾らかの効果はあるだろうと思うんだが、しかし逆に効果がなくなって、逆効果になる場合があるのではないか。というのは、基礎になっている計画がない。しかも管理委員会というようなものもないだけに、多分に利権的なものに結びついたりなんかして思わない方向に使われていく。そのために、先ほど荒さんが言われたように、ポンプの呼び水として投資をやるというような場合においても、こういうことに投資を使っているのでは、むしろ民間資本は別な面で考えなくちゃならぬというような形になってくる場合があるのじゃないか。
具体的な点を一つ伺いますが、業務方法書、これはごらんになっているかどうか知りませんけれども、業務方法書の要点だけ申し上げますが、業務方法書の内容に入ると、従来の企業体、また新設の企業にしても、開発銀行や中小企業金融公庫その他の政府金融機関、そこから投融資を仰いでいるものに対しては、この公庫からは投融資はしない、そういう前提になっているわけです。それからもう一つは、投資の場合においても、五千万円以上の資本金を持っている会社でなければならない。そしてそれに対して半分の投資をする。それから貸付融資の場合、あるいは債務保証の場合においても、一千万円以上の会社に限る。こういうことになって参りますと、第二次産業関係のいわゆる生産的な企業というのは、一千万円以上だと、私の目見当ですけれども、大体二百五十社見当だろうと思うんです。一説によると五百社くらいあるという説もあります。そうすると二百五十社くらいの中で、開銀、中小企業金融公庫その他からの融資を仰いでない既存の会社といっても、これはほとんどないのではないか。それからまた投資の場合においても、そういう厳格な限度があるとするならば、これは非常に困難な制約を受けるのではないか。そうなってくると、実際には公庫を作ってみたけれども、ほとんど意味がない。さっき永井君の言われたように、米をなまで食わせるようなことを無理にするために、さっき私が一、三指摘をいたしましたように、たとえば地下資源の会社を作る。ところが大手の方はいやだといって、それもできない。あるいは近ごろでは、苫小牧の海岸の埋め立ての会社を作るなんということまで、苦しまぎれに考えていくというようなことになってきて、これが結果的には、何か利権屋の食いものになってしまう結果になるのじゃないか。とすると、知事の考えておられたように、これはポンプの呼び水の役割として、幾らかでもこれによって民間資金を入れるという可能性ができるのではなくて、逆の結果になってしまうのじゃないかというように私は考える。そういう意味では、永井君のお説の通りにこれはなま米で、そうしてそういう結果になって、かえって胃腸障害を起す結果になるのではないかという点を私は心配する。そこの点について率直な御意見が伺えれば、けっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/61
-
062・田中敏文
○田中参考人 今の一千万円というような限度の点についてまず申し上げますが、いわゆる対象企業を資本の額によって分けるという間口をきめる行き方は、実は賛成できない。その点を私は先ほど参考人として、当初あの中に入れて申し上げたつもりでございます。これはやはりその企業が、たとえば小さいものであろうとも、そういう投資、融資を必要とする、また公庫から措置した方がいいと思うものが出てくるであろうと考えます。だから間口は広げておいていただきたい。そして運営の面では、先ほど来しばしば主張してきましたけれども、やはりその公正を期する意味で、開発の方針とマッチしたところで、公正な判断のもとにこの公庫の方針をきめるところの委員会というものを、ぜひ一つ作っていただきたい。その他の点につきましては、先ほど来しばしば申し上げましたのでタブりますから、答弁を省略させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/62
-
063・岡田春夫
○岡田委員 あまりおそくなるといけませんので、大体の御趣旨は一応わかったことにして、進めさせていただきます。
そこで、やはり基礎になる第二次五カ年計画というのは、再三話が出ております通りに、これがなくちゃ話にならない。ところが開発庁に対してこの間から、第二次五カ年計画はどうなんだ、道庁じゃすでにアウトラインだけでも作っているのじゃないか、あまりに開発庁は怠慢じゃないかということで、だいぶ責めておりますが、まだ案がないようであります。そこで、道庁の案を実はこの機会に伺いたいと思うのですが、私の仄聞するところでは最終年次を五百五十万の人口としての算定を作っておられて、すでにその点については、経済規模の想定というもので、御決定になったように私は聞いているのですが、その点についてもし具体的な点がございましたら、お話いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/63
-
064・田中敏文
○田中参考人 第二次五カ年計画の人口想定の問題について申し上げますが、これは計画の一番基本的な数字でございましてこれをどうするかということによって、計画全体が非常に変ってくるわけであります。従って私どもといたしましても、この数字の決定につきましては、非常に慎重な検討を加えたのでございます。大体その数字の基礎を説明申し上げますためには、ここで順序として、どうしても五カ年計画をどういうふうに積み上げていったかというところから御説明申し上げませんければ、実は十分な説明にならないわけでございますけれども、その点は非常に長くなりますので、省略させていただきたいと思います。しかし、ともあれ、北海道におきまして第一次五カ年計画の実績にかんがみての基礎施設の拡充、それから産業の発展、特に第二次産業の発展ということと、道民生活の向上ということに目標を置きまして、国土開発計画との関連を私どもはまず第一に考えたわけでございます。国土開発計画は御承知のように完全雇用と経済自立という、この二つの項目に目標を置きましてそして生活水準を想定して、それを裏打ちするところの国民総生産をどうするかという計算をして、しからば、それが可能であるかどうかについては各産業別にいろいろ積み上げをしていって、そしてその数字の調整をはかって、五カ年計画が決定されているように承知をいたしております。私どもの方の検討の進め方も、大体それと軌を一にいたしている次第でございますが、特に国のあの経済五カ年計画というものは、これは実は地方計画を含んでおりません。地方別の産業構造が明らかでないというような事情もございまして、国においてはまだ地方計画に入っておりません。ところが、幸いにして私どもの方におきましては、長い期間非常に広範な調査をして参っておりますので、それらの数字もきわめて明確でございます。そういう意味において、国の国土開発計画、いわゆる経済五カ年計画との関連性を十分考えながら、しかもそのワク内というただ狭いことでなしに、もっと北海道自体の開発の必要性と実態というものから、ゆがめられないところの開発の姿を考えつつ、北海道の第二次五カ年計画を練り上げていったわけであります。そして北海道の、特に人口問題につきましては、従来の長い期間にわたります自然増と、それから社会増というものの二つの数字を検討いたしまして、それと道民の総生産というものの数字と関連づけながら作っていった結論として出たものが、実は五百五十万であります。最初その五百五十万という数字を想定しながら、いろいろ産業面の、あるいは生産所得というような面から裏打ちを検討していってその裏打ちによって、やはりその五百五十万という数字が、ここでより強く確信づけられたという経過でございますが、そういう形で五百五十万という数字が出た次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/64
-
065・岡田春夫
○岡田委員 お伺いすると、切りがなくなって参つりますので、重点だけ伺って参りますが、計算の方式は、今お話のように、自立五カ年計画はコルム方式を採用すると同時に、積算の方法と両方兼用してやっているわけです。しかしここで、その計算方式がいいのか悪いのかという点も、一つ問題点として出てくるだろうと思う。それからもう一つは、自立五カ年計画は、実は再検討をしているのは御承知の通りであります。先月の八日の経済審議会で、コルム方式を本来日本で使うことは適当ではないんじゃないか、こういうことになって参りまして、実はこの間高碕長官にもここに来ていただいて、再検討をしているという点の御答弁をいただきました。その結果、数字が変ってくるような場合があるかもしれない、今のところは考えていないけれども、ある場合には、そういう点は予算の面においても再検討をしなければならない、という意味の答弁を高碕長官がしているわけです。そうなって参りますと、北海道の第二次五カ年計画の一つの基準になっている自立五カ年計画の根本が、実は変っちゃうわけです。なぜ変るかというと、これはおわかりの通り、たとえば食糧増産の予算にしましても、五カ年計画では千九百四十億円の金を五年間で使うといっているのですが、これだけの金は、現在の予算のシステムから言うと、どうしても入らないわけです。そうすると、どうなるかというと、結局余剰農産物でアメリカから小麦でも押し売りされる。そうすると、自立五カ年計画の基本は、貿易のバランスをとって、ドル・ギャップを直すという点に基本があったのですから、そういう点で、もう自立五カ年計画は行き悩みにならざるを得ないという問題がある。それから東南アジアとの貿易の問題にしても、今後の問題としては、ますます貿易の面で苦しくなってくると思わなければならない。それがそういう考え方でないというので、自立五カ年計画は再検討の時期になっているとするならば、第二次五カ年計画の計算方式は同じ形式をとりながら、しかもこの数字が出てきたとするならば、これまたこの第二次五カ年計画それ自体も、再検討しなければならなくなるのではないか、こういう点を実は私は心配いたしておるのですが、この点の御意見を伺えれば、けっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/65
-
066・田中敏文
○田中参考人 コルム方式が最適であるかということが問題であることは事実だと思います。しかし北海道では、先ほど申し上げましたような実態を基礎にいたしましていろいろな調査を進め、また計数としては、そう大した変化はないであろうというふうに実は考えております。国の計画が非常に大きく変った場合は別でございます。その変り方によって、これは影響があるわけでございますけれども、私どもとしては、相当弾力的にいろいろな判断をいたしておりますので、実は結論的には、そう大きく計数をいじくる必要はないんじゃないかと、今の段階では考えております。しかしここで申し上げたいことは、第一次五カ年計画を作りましたときには、北海道の人口想定を六百万にしたわけでございます。ところが、第二次五カ年計画の最終段階の目標は五百五十万と、前の五カ年計画よりも少いということは非常に大きな矛盾じゃないか。これはこの間道議会でも質問があったわけでございます。私はその際に申し上げたのでございますが、結局第一次五カ年計画を作りました際には、国全体の経済に対する統計数字というのが、非常にあいまいな状態で、われわれがよって参考にすべきところの資料が非常にない状態なんです。こういう長期計画というものは、だんだん年を経るに従って調査も進んできますし、そういう形でだんだん完成されてくるものと承知いたしております。従って第一次五カ年計画の際には、そういうよりよい計画を作るべき環境になかった。つまり計画の精度が違う。その意味では、この第二次五カ年計画の場合は、精度が相当に進んできたということになると思います。
そこで先ほど結論的に申し上げた次第でございますが、われわれの与えられた環境として、国の五カ年計画が非常に強く変ってきた場合、そうなった場合の影響は当然あるわけでございます。ただ私どもとしては、現在与えられた前提条件のもとにおいて、些少の変動がございましても、大体はこの計数でいいじゃないかというところをねらって、実は編成をいたしておるつもりでございますが、これは今後の事態の推移によって、私どもも考えなければいかぬことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/66
-
067・岡田春夫
○岡田委員 今知事のお話の通り五百区五十万にしたということですね。それで六百万という前の数字が出ている。この悩みが、開発庁がいまだに数字ができない一つの理由だと思う。もう一つあるのは、自民党が大ぼら吹きで、七日百万というものを出したから、’自民党の政府なら七百万くらいの線に出しておかないと困るのじゃないか、そういうようなところで悩んでいるわけです。だから、数字が出ないわけです。コルム方式からいえば、人口想定ができなければ計画が立たないというので、開発庁は頭をかかえて横を向いたり、あっちを向いたりしているわけです。そういう状態なんで、現実の問題としては、私は正直な話、五百五十万というところがいいところじゃないかというふうに考えて言うのだけれども、それについて開発庁は何とも言わないわけです。しかし私はこの北海道庁の努力に対しては、今後の問題もありますけれども、ここまで作業されたことに対しては敬意をささげておきたいと思います。
そこで問題になるのは、道民生活の向上ということを今お話しになったのだが、私はこの経済規模の構造を見ると、失業者数について相当政治的なさじかげんをしているという印象を持っております。どういうわけかというと、例をあげて申し上げましょう。完全失業者は、二十九年、基準年次に四万六千であったものが、昭和三十六年に二万五千に減るというわけであります。三十五年には二万七千になる。ところがあなたの方で去年の十月一日にお出しになつた自立五カ年計画の策定のための参考案、これを見ると、三十五年には三万四千になっている。三万四千になっているのが、今度は二万七千というところで、知事さんは社会党でありますから、だいぶいろいろ政治的なさしかげんをなすっておられるのではないかという印象を受けているんですが、これはどうも昭和三十年度の失業来者の実数を見ても、この点については納得ができない点があるということが一点。それから、このふくらましをそれではどこへしわ寄せをしていったかというと、これは私は第三次産業にふくらましているという印象を受け取つております。この指数で見ると、第三次産業の増加趨勢は七%になっている。ところが自立五カ年計画では四・三%です。この四・三%でさえ、自立五カ年計画のふくらましは少しおかしいという意見が実は出ているわけです。ところが第三次産業に七%ふやすというところにみそがあるのではないか。言葉をかえて三十言うならば、第三次産業来というのは、パチンコ屋とか、そういうのが入るわけです。パチンコ屋だけではないけれども、そういういわゆる非生産的な産業関係に入口を吸收するという計算によって、失業来者の数字の政治的な操作が行われているのではないかという印象を受ける。ということは、第三次産業というものを、潜在失業者の形でふくらましているのではないかということになると、道民生活の向上とは、ちょっとかけ離れてくるのではないかという印象を受けるのでありますが、こういう点についてはいかように考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/67
-
068・田中敏文
○田中参考人 この数字でございますが、いわゆる政治的操作はしていないのでございます。結局こういう総合開発計画を作りましてこれは、ただこうなるであろう、というところの数字を並べておるわけではございません。たとえば私どもの道民所得の伸び、生産の伸びというものは、あの国の経済計画の伸びよりもずっと進んでおります。パーセントは高い。それが可能であるいろいろな条件についての検討をしながら、一つの数字をそういうふうにまとめ上げております。それを具現するためには、そこにいろいろな政策がなければならない。つまり国の経済計画にしても、われわれの総合開発計画にしましても、これが確立し、これを実現するところに、その実現するための政策というものが生まれてくるものと承知いたしております。従って私どもは、そういう政策的な譜面にまで今後なお細部に入っていくわけでございますけれども、決してそれがいわゆる政治的操作ということではないのでございます。結局第三次産業の増加した原因は、二次産業というものは機械化の方向に産業が高度化されてきまして、労働力の使用というものは割に少いということで、生産的な第三次産業の不備があるから、従って北海道はそれらの是正に待って、その三次産業に吸收するという面を拡大していくということで、中間的にはいろいろな数字が出ております。うちの部内では、関係各部それぞれ検討を進めておりまして、労働部においても中間的ないろいろな数字を出しておりますが、最終的には、それら各部が寄つていろいろ可能な条件等も検討して数字を出しておるのです。以上申し上げましてお答えといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/68
-
069・岡田春夫
○岡田委員 もう一点伺いますが、これも政治的操作というように疑うのは同じ革新派の知事さんですから、いけないのかもつしれませんけれども、印象を受けておりますので、率直に伺います。
財政投資の面についてどうもこれの見積りの仕方がだいぶ多過ぎるのです。これに財政投資のことがあるわけですが、これは実際問題として、昭和三十年、昭和三十一年の財政投資としての実数が出ているわけです。この計画によると、財政投資は昭和三十年で五百五十三億、昭和三十一年は六百十億になっている。これは実績と比べて一体どうなんでございますか。この点が一つ伺いたいのと、最終年度の昭和三一十六年に八百一億になるというこの財政投資については、非常に問題があると私は考えます。予算をよけいとるために——その意味で政治的な操作と私は申し上げるのですが、予算をたくさんほしいということで、そういうような政治的な操作が行われているのではないかという感じがいたしますので、計画策定に当つてのお考え方という点も伺いたいと思いますし、実は開発庁案というものも、内々でありますが、あるのでありまして、五カ年計画で千三百億程度であります。これは北海道開発事業費です。ところがお宅の方に伺うと、千五六百億になるのではないかと思うのです。そういうような政治的操作が多分にあるのではないかという印象を受けるのですが、財政投資の面については、特にわれわれ国会関係の者として重要でありますので、この点は伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/69
-
070・田中敏文
○田中参考人 この財政の数字は、端的に申し上げますと、経済規模にマッチした財政数字を計算したということに尽きるのでございまして、格別多く要望するために、これをふやしたというような操作は加えられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/70
-
071・岡田春夫
○岡田委員 これで終ります。初めの案では、もっと少かったような私は印象を持っておりますが、最終的に部長会議でおきめになったので、だいぶふえたような印象を持っておりますけれども、まあこの点は、きょうは革新派の知事でありますから、私は言いません。
最後に、こういう点で資金が足りないということになりますと、またぞろ世界銀行その他のひもつき融資をもらおうじゃないかという話が出てくるのじゃないかと思うのです。そうすると、アメリカに土地を担保にしたりして金を借りるということは、われわれ革新派としては、なかなか承認するわけにはいかないのでございます。世界銀行あるいはアメリカの輸出銀行その他の投資については、知事の基本政策としていかにお考えになっておるのですか、この点だけを伺つて、終りにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/71
-
072・田中敏文
○田中参考人 この計画におきましては、そのような計画は全然入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/72
-
073・廣川弘禪
○廣川委員長 小平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/73
-
074・小平忠
○小平(忠)委員 簡単に二点ほどお伺いいたしたいと思います。
最初に、知事の田中さんにお伺いいたしますが、公庫法案の審議の過程で、参考資料として公庫の業務方法書の配付があったわけです。それによりますと、公庫の融資対象は、一応資本金一千万円以上というのを原則に考えているわけですが、そのことが妥当かどうかということについてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/74
-
075・田中敏文
○田中参考人 先ほどどなたかの御質問の中にもその点がございましたが、対象として資本金の多寡によって門口を狭めるというやり方は、私どもとしては望ましくないので、ぜひその点の是正をお願いしたい。結局運営の面で——たとえば資本金が小さくとも、その融資を必要とする、それが北海道開発のために必要であるものがあるであろうと考えます。運営の面で、ぜひそれらに対しても措置できるようにいたしておいていただきたいつと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/75
-
076・小平忠
○小平(忠)委員 第二点は管理委員会の問題でありますが、一昨々日、すなわち三月三十日の本委員会におきまして、参考人としておいでになった北海道開発審議会の黒沢会長、さらに本公庫並びに前の案でありました公社案の審議の際、中心となってまとめられた財政金融小委員である永田さんの御意見を承わったのでありますが、黒沢さんはこういうことを言っております。この管理委員会についていいか悪いかは、立場その言明を避けたい、こういうことでありました。永田さんは、公社案に対しては、これは私はぜひあった方がいいと思うということで、強く主張したのであるが、当時の北海道産業振興開発公社ですか、その案のときは、多分に投資的役割が主であったけれども、今回の北海道開発公庫の場合には、金融機関としての性格が重くなったので、管理委員会というものを置いてもいいけれども、しいて置かなくてはならぬというものでもないのではなかろうか、こういうふうに述べておられました。私はこの問題は、私も開発審議会の一員でもありますし、おいで願つておる御両氏も、開発審議会の委員として、非常にこの問題は重要に取り上げて審議なされたわけであります。特に審議会というものは諮問機関であって、この諮問機関たる審議会が建議または答申したものに対しまして、行政庁たる政府が、その諮問機関の答申やあるいは建議に対して修正を加えることは、これは自由でありますが、しかし筋合いが、今回の場合は私は若干違うのでなかろうかと思うのであります。と申しますのは、審議会が初めて建議をした内容のものを修正するとか、あるいは政府が諮問をして、それに対して答申をした内容が全然触れていなかった問題だとかいうような場合ならば、いざ知らず、今回の管理委員会の問題は、当初公社の場合には経営委員会として建議して、政府が十分に検討いたしました結果、公社から公庫に変りました関係上、いろいろ検討の結果、これを管理委員会に修正いたしまして、審議会に再び諮問をいたしておるわけであります。審議会としましては、先ほど御両氏のお話の中にもございましたように、最初の経営委員会について、管理委員会と名前は変っております、若干内容も変っておりますが、大体経営委員会の筋は人つておるという見地から、審議会におきましては、満場一致この管理委員会の必要性を認めて答申をした、こういういきさつから見まして、特に本日御両氏のお話の内容について、長時間のいろいろな質疑を通じまして明らかになってきておりますことは、公庫自体の投融資計画あるいは資金計画、さらに北海道の長期開発計画、産業振興計画等の具体的な問題がまだ決定を見ていないというようなこと、さらに、かりにこの公庫は金融機関的性格が主であったといたしましても、農林漁業金融公庫であるとか、あるいは中小企業金融公庫であるとかいうふうに、限定された一つの政府機関あるいは公庫という場合と違いまして、今回の北海道開発公庫というものは、業務方法書にもありますように、非常に幅が広いのであります。そういう見地から、この公庫の軍営の適正化、合理化を期するために、経営委員会あるいは運営委員会、管理委員会的なものつが必要であるということを指摘されたわけでございます。そこで私は黒沢審議会合会長、永田小本音員長の御者急見といううものは、何か遠慮をされて、立場など考えんての発言のようにうかがわれたのでありますが、知事とかりあるいは北海道議会の議長とかいう立場ももちろんございましょう。しかし、審議会においてこの審議に加わられた委員の立場におきまして、この問題は非常に重要であろうと思う。この管理委員会というものは、審議会の経過から見て、どうしてもこの公庫の法案の中に入れるべきであると考えるのであります。従って、これに対する考え方と、さらに審議会の会長である黒沢さんや、当時この案の取りまとめの責任者であった永田さんなどのおつしやられたことはわれわれこの委員会においての論議の外であろうかと思いますけれども、われわれは、審議会においてこの問題を重要視いたしまして、取り上げなければならぬと考えておるわけであります。この点についてお二人の方はどのようにお考えでありますか。この法案の最後の意思決定という非常に重要な段階に参っておりますから、率直な御意見をこの際承わっておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/76
-
077・田中敏文
○田中参考人 率直に私の所見を申し上げります。北海道開発審議会の会長である黒沢さんが、この管理委員会がよいか悪いかの言明を避けられておるようでございますが、私にはその意図はどういうことかわかりませんけれど、しかし、少くとも審議会においてこの問題を重要な課題として取り上げたのは、御承知の通りでございます。従いまして、私どもとしては、知事という、いわば北海道の開発推進の関係者という立場からはもちろんでございますが、北海道開発審議会の委員といたしましても、ぜひこの管理委員会を設けてもらいたいということを、率直に発言することをはばからないのであります。先ほど来この点に集中して相当強く申し上げたつもりでございます。それから、永田さんの御発言についてどう思うかということでございましたが、何か現在出されておる案が、多少資金構成で変つておるから、それで管理委員会を置くか置かないかについて、必ずしも置かなくてもいいというような発言をされたということでございました。実は私どもは、先ほど来申し上げておりますように、今回の公庫の資金構成には大体反対なんでございます。これは先ほど荒参考人から申し上げましたように、投資の額をもっと増大しなければならないというふうに考えておるわけでもございます。従って、それらの是正の点について今すぐということが不可能であれば、今後において、ぜひワクの是正をなさることをお願いしたいと思うのでございます。従って、その資金のワクがどうあろうとも、この公庫の運営のために、やはり委員会の設置が必要であるというふうに考えておる次第でございます。要するに、北海道開発審議会というものは、北海道開発法に基礎を置く機関でございます。私どもは総理大臣から委嘱の辞令をもらってこの委員になっております。私どもは責任を持って委員としての活動をして参つたつもりでございます。その機関が、責任ある会議を開き、責任ある結論を出したわけでございまして、そのことは、政府も開発庁としても、当然実施すべきであるとお考えになっているものと実は考えておる次第でございます。その点について政つ府並びに国会においてもう一度今までの経過を振り返っていただいて、ぜひ設置されるよう最後に強くお願いを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/77
-
078・荒哲夫
○荒参考人 今、審議会の黒沢会長並びに本公庫法案の生みの親でありますつ水田さんの発言の内容をお聞かせ願ったわけであります。今知事からもお話がございましたように、私も開発審議会の委員でございます。この開発審議会は北海道開発法に基く公般な機関で、委員はそれぞれ総理大臣の任命によって構成されております。この開発審議会において決定された答申案、それを強く実現しなければならぬ立場にある黒沢さんが、この委員会でのお話の中で、委員会設置に対する見解を明らかにしなかったことは、非常に遺憾であります。もしそういう考え方でございますならば、この開発審議会の今後の運営について——きょうは正力さんおいでになっておりませんけれども、開発庁長官に、われわれ委員として、今後この審議会をどう運営されるかお聞きしておかなければならない、かように考えております。さらに永田さんの意見でございますけれども、永田さんが当初計画されましたものが、今回法案として出され、そしてその資金の裏づけをなされており資金構成については、永田さんの意図とは全く反対のものが出ているわけでありますが、将来これは皆さんの手によって是正せられるものと確信をいたしております。この公庫を運営するために、どうしても経営委員会なり運営委員会を強く審議会において主張せられましたのは、永田さん御自身でございます。われわれは、その内容その他いろいろなことについて永田さんに質問をして、永田さんはそれに答弁をして、絶対に必要であると主張して、答申案の中にそれが入れられたのでありますから、永田さんが今日の状態に甘んずるようなことはおそらくなかったと思うのでありまして、この点私どもも非常に遺憾に存じておる次第であります。従って私どもは、黒沢会長がその設置に対して明確な答弁をしなかったことは遺憾でございます。また永田さんが態度の表明についてあいまいな点がございましたのは、今後開発審議会の席上において究明いたさなければならぬと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/78
-
079・廣川弘禪
○廣川委員長 もう御質問ございませんか。——では、ほかに御質問もないようでございますから、これにて参考人よりの御意見をお伺いすることを終りたいと思います。
参考人各位には、長時間にわたりまして非常に貴重なる御意見を承わり、本案審査の上にきわめて参考になることと考えます。この際私から厚く御礼を申し上げます。
本日はこの程度にし、明三日午後一時より委員会を開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01519560402/79
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。