1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月一日(木曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 山本 粂吉君
理事 大平 正芳君 理事 高橋 等君
理事 保科善四郎君 理事 宮澤 胤勇君
理事 受田 新吉君
大坪 保雄君 大村 清一君
小金 義照君 椎名 隆君
薄田 美朝君 田中 正巳君
辻 政信君 床次 徳二君
林 唯義君 平野 三郎君
福井 順一君 眞崎 勝次君
粟山 博君 山崎 巖君
山本 正一君 横井 太郎君
茜ケ久保重光君 飛鳥田一雄君
石橋 政嗣君 稻村 隆一君
片島 港君 田原 春次君
西村 力弥君 細田 綱吉君
山田 長司君 森 三樹二君
出席国務大臣
内閣総理大臣 鳩山 一郎君
国 務 大 臣 船田 中君
出席政府委員
内閣官房長官 根本龍太郎君
法制局長官 林 修三君
防衛政務次官 永山 忠則君
防衛庁参事官
(人事局長) 加藤 陽三君
防衛庁参事官
(経理局長) 北島 武雄君
防衛庁参事官
(装備局長) 久保 亀夫君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
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三月一日
委員江崎真澄君、田村元君、林唯義君及び下川
儀太郎君辞任につき、その補欠として平野三郎
君、田中正巳君、山崎巖君及び田原春次君が茂
長の指名で委員に選任された。
同 日
委員田原春次君辞任につき、その補欠として山
田長司君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十九日
東北地方に薪炭手当支給に関する請願(田子一
民君紹介)(第九一五号)
元満州国日本人官吏に恩給法適用に関する請願
(纐纈彌三君紹介)(第九一六号)
未帰還公務員に対する恩給法改正の請願(安藤
覺君外一名紹介)(第九一七号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
防衛庁設備法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四二号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/0
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001・山本粂吉
○山本委員長 これより会議を開きます。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を続行いたします。辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/1
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002・辻政信
○辻委員 第二十二国会で防衛関係法案が、七月二十日の当委員会において採決されましたときに、私は当時の民主党を代表しまして、八項目の希望を付して政府原案に賛成したものであります。船田長官も当時内閣委員として列席されたことでもあり、その内容は十分御承知のことと存じますが、御参考までにその大要を申しますと、第一に、長期防衛計画は、経済六ヵ年計画と世界情勢の推移、米軍との関係、科学の進歩等を考えあわせ、すみやかに自主的に決定されたいこと、第二は、国力に即応した空軍を主体とする少数精鋭の自衛軍を作ることを防衛の根本方針となすことであり、第三は、防衛生産の自立についてであり、第四は、米軍のまねをした現在の制度を日本に適するように根本的に改めることであり、第五は、自衛隊の配置において、壱岐、対馬等離島の防衛を強化することであり、第六は、給与を適正にし、特に北海道在勤自衛隊員に対し、その生活環境を考えて増俸または減税の処賢を講ぜられたいことであり、第七は、文民優位とは政治が軍事に優先する意味であり、そのためには現状を改めて適材を適所に配置し、能率を向上させることであり、第八は、基地問題について日本の態度を米軍にもはっきり示して、国民に対ソ攻撃基地なるかのような不安と誤解を与えないことであります。つきましては、これらの諸点について長官が三十一年度の計画にどのように織り込まれたかをまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/2
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003・船田中
○船田国務大臣 ただいま辻委員の御質問にございました、昨年第二十二国会における辻委員の賛成討論の際に述べられました御意見は、御趣旨におきましては私はまことにごもっともであると存じます。ただ今日の財政、また自衛隊の整備の過程におきましてこれを全面的に取り入れることのできませんでしたことは、まことに遺憾に存じます。しかしそのうちにおきまして、三十一年度の予算に取り入れておるものもかなりございますし、なお三十一年度の予算の編成につきまして、辻委員の仰せられたようなことにつきましては、十分考慮を加えてやっておるのでございます。
その詳細については、なお政府委員からも補足御説明を申し上げることにいたしますが、そのうちおもなものにつきまして、私承知いたしておりますことを申し上げますと、長期計画のことでございますが、この防衛長期計画を立てるということは、 まことにごもっともなことであり、私どももそのつもりで計画を進めております。御承知の通り、国防会議法案を本日衆議院に提出をいたしまして、国防会議が設置せられましたならば、さっそくこの国防会議に諮問をいたしまして長期防衛計画を立てることに、そして政府案としてこれを確認するようにいたしたいと存じます。
次に空軍に重点を置けということでございます。このことも予算委員会及び当委員会におきまして、社会党の諸君からもその点についてしばしば御質問がございまして、われわれの考えておりまする大体のところは申し上げたのでありますが、三十一年度におきまして、陸上自衛官一万名を増員するということは、陸に偏重ではないかという御意見は、これはごもっともな点もございます。しかしながら米駐留軍の撤退ということも考慮いたしますと、陸上においてまず自衛隊の整備をはかるということが必要でありますので、三十一年度において一万名を増員するということにいたました。この理由につきましては、先般来たびたび申し上げておりますので、その詳細はここに省略さしていただきます。空の方につきましては、御説の通りまことにおくれておる。これは御承知の通り一昨年の七月初めて発足いたしたのでございますから、その点において陸上及び海上の自衛隊に比較いたしましておくれておりますことは事実でございます。しかしながら航空自衛隊の整備につきましては最善の努力を尽しまして、三十一年度においても相当の増勢計画を立てておりますし、また生産の方におきましても、練習機のT33及び実用機のF86Fの国産化ということにつきまして、すでにアメリカ側とも協定を結びまして着々その計画を進めております。現にT33練習機のごときは、すでに一機製作ができ上りまして飛び立っておる。国産機が初めて日本の空に飛び上る、ことに本日は築城におきましてF86が初めて日本人の手によりまして空に飛び上るというようなところまで進みつつあるのでありまして、この点につきましても、御趣旨の点を十分考慮いたして、その計画を進めておる次第でございます。
三の防衛生産につきましては、これはまことにごもっともでございまして、しかも防衛の責任者として見ました場合において、この点におきまして一番おくれておると存じます。いかにアメリカから優秀な兵器あるいは弾薬、艦船、飛行機等を供与されましても、これがほんとうに日本において根をはやすということでなかったならば、ほんとうの防衛力にはなりませんので、この点につきましては、これまた長期計画と相並行いたしまして、ぜひとも国防会議に諮問をいたしまして、長期防衛生産の計画も立てるようにして参りたいと考えております。しかし飛行機等の生産につきましては、先ほど申し上げましたように、できるだけのことはいたして、始めておるわけであります、ただ弾薬生産につきましては御承知の通り、朝鮮戦争が始まりました後、特需が連合軍の方から出止して、それに依存しておるというようなことでございましたが、この問題につきましては、予算化はできませんでしたけれども、将来においてこの基礎を何とか育成するように進めていきたい、かように考えております。
それから第四の編成の改変の問題でございますが、これもアメリカ式でなく、ほんとうの日本に最も適するように改めるという点につきましてはまことにごもっともでございますので、その点につきまして漸次改変を加え、また改善すべきものは改善をいたしまして、日本の自衛隊としての育成に努力をして参りたいと考えております。
それから五番目に離島の防衛の問題でございますが、これは先般来自衛隊の配備の問題につきまして、社会党の諸君からもたびたび御質問がございまして、そのときに答弁申し上げておることでございますが、何と申しましても今日の内外の情勢を見ました場合において、北海道と九州にまず重点を置くということは当然なことであります。従いまして北部方面総監、四部方面総監、しかもその配下に相当な陸上の自衛隊の整備をはかっておるのでございますが、さればといって治安問題を無視しておるわけではございません。この点につきましても十分考慮いたしつつ三十一年度の配備計画を進めたわけであります。なお離島の問題につきまして、特に御指摘になりました壱岐、対局でございますが、対馬に一個大隊ぐらいのものを置いてはどうかということでございます。これは一応ごもっとものようでございますが、あの地勢等から見まして、まず道路の整備をはかることが肝要ではないかということで、あるいは施設部隊等を派遣いたしまして、道路の整備をはかるというようなところに、まずやって参ることがよくはないかと考えまして、これは関係各省との間においても協議を進めて、ただいま御質問の御趣旨にありました点は十分考慮して参りたいと思います。壱岐の問題につきましても、同様に島民の方々の心配のないような体制を整えるように進めて参りたいと思います。
第六番目に給与の適正のことでございますが、これも御趣旨においてはごもっともなことと存じます。ことに北海道につきましては、ああいう土地柄からいたしまして、相当給与の改善をいたすべき点はあると思いますが、これは一般公務員との関係もございますし、公務員制度調査会が今せっかく研究しておるものもございますので、それらともにらみ合せてできるだけのことはいたしたいと思います。しかし今日におきましても、たとえば隊員の官舎の整備ということにつきましては、他の地方に比較いたしまして、北海道に重点を置いて整備をはかりつつあるような次第でございます。
第七番目に、適材適所主義を実現すべきであるという御意見につきましては、まことにごもっともでございます。これにつきましては十分に考慮を加え、また公務員制度調査会の研究とも相待ちまして、適材適所主義の目的を達成するようにはかっていきたいと思います。
それから最後に、基地の問題でございますが、これも多くの国民諸君の間に非常な誤解があるようでございます。ですからこの誤解を一掃いたしまして――いかにもアメリカの前進基地であるがごとき感を持たれておるということは、まことに遺憾な点でありまして、これは日米の関係から申しましても、まことによくないことでありますので、われわれ防衛の責任者といたしましては、その点をはっきり国民諸君のに説明を加えまして、そして誤解の生じないように進めて参りたい。また拡張すべきものは拡張しなければなりません。ことに日米間の約束によってこちらが引き受けておりますものは、どうしてもすみやかに成立しなければなりませんので、三十一年度の予算におきましても、約百五億円という相当多額の施設等の提供費を計上いたしておるようなわけでございます。これにつきましても、将来日米間にいまわしい関係の生じないように、十分はっきりさせて参りたいと考えておる次第であります。
従いまして大体ただいま申し上げましたように、辻委員の昨年国会において主張せられ、ただいま御質問の要旨としてあげられました点は、御趣旨においてはごもっともでございますので、われわれといたしましては、できるだけのことをいたし、そのよいところで、できるところは直ちに実現するというように進めて参りたいと思う次第であります。今後におきましても十分検討を加え、実現をはかって参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/3
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004・山本粂吉
○山本委員長 この際、議事進行に関し、西村君より発言を求められております。これを許します。西村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/4
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005・西村力弥
○西村(力)委員 一昨日わが党の石橋委員から、自衛の限度について船田防衛庁長官の答弁が、第二十二国会の本委員会における鳩山総理の答弁と食い違うというまことに歴然たる、しかも重大なる御指摘がありまして、鳩山総理の当委員会への出席方の要求が出ました。それに対して委員長は最大の努力をすることを約されましたけれども、結局委員長が腹案としてちらっと示された通り、鳩山総理と船田長官との話し合いによる結論を代読する、こういう方針通りに持っていかれましたので、われわれとしてはまことに遺憾と思う。国会において本人の答弁ではなく、その代読をするという先例を開いた点において、委員長は重大なる前例を作った。われわれは委員長のとった態度に対して一つの警告を与えなければならない、かように考えておるのであります。
次にもっと重大に考えなければならぬ点は、鳩山総理が当委員会に出席できない理由、それは外人と会う約束があるから、どうしても出られない、こういう理由を付しておりますけれども、われわれの調査によりますと、鳩山総理は家で安閑と疲れを休めていらっしゃった。こういうことだ。十時には本院に登院され、参議院の予算委員会には十時半からですか出席なさる。そういうことでありますので、昨日も総理の本委員会に出られないという事情、これは虚偽だといわざるを得ないと思う。前に吉田内閣当時、吉田総理は神経痛と称し、われわれの出席要求に対し、あるいは国民が重大な関心を持っている重要法案に対しても、総理としての所信を披瀝する熱意を失って、大磯の私邸にぬくもっていたのですが、それを与党の諸君はかばい、あるいは国会もそれを見のがしておったということでは、とうてい田夫の信用を高める上から認められないことである。そのことがまた今回鳩山総理のそういう虚偽の行動によってそのまま見過ごされるということになれば、これは重大なことになると思う。総理は御病体でいられるから、そういうようなうその理由でなく、私は病気でどうしても出席できないからかんべんして下さい、こう言うならば、これはわれわれお互い人間同士ですから、それを認めないわけではない。その事情を聞かれた国民は、ああ鳩山さん、御病気になられて御苦労千万、そのような御病気の方ならば、国政を担当する総理としての信をわれわれはおくわけにはいかぬ、一日も早く休んでもらいたいと思う、こういうふうに国民は思うでありましょう。われわれもお互いに真実を吐露しあって、国家のために誤まりなきを期すべきである。それをいやしくも本委員会において虚偽の理由をもって出席を断わってくるということは、われわれは断固として認めることはできない。その間のいきさつについて官房長官もおいででございますから、はっきりしてもらいたい。これはきょうの毎日新聞にも首相が音羽ですか、あそこにおられてぬくぬくせられたということが書いてあるのです。そういう新聞を国民も見ているでしょう。ここで私たちがそのままにしておったならば、国会の連中も間抜けなもんだな、こう笑われるのであります。国会の信用地に落つ、これは非常に重大なる問題であると考える。この点はっきりしてもらいたいと思う。これが第一点。
それから昨日の合意による首相の意思だという答弁がもう数時間もたたないうちに、参議院においてくつがえっている、首相は外国から侵略を受けたときにはこちらから侵略することができる、こういうことをはっきり言っている、あとで訂正をなさっているようでございますけれども、いやしくも一国の総理が侵略するということと、自衛のための攻撃はやむを得ないということを、こうも日本語の使い方を護まるということは、われわれにはとうてい考えられない。また考えたくない。総理がそれほど言葉の使い分けもわからないような無能力者だというようなことは、私たちは言いたくない。だがああいう言葉が出たということは、結局底の方にそういう意図が隠されているのだ、そのために自衛隊を増強し、憲法を改正し、国防会議法案も通そうとする。その底意があの侵略という言葉にはしなくも現われたのだと考えざるを得ない。そういう底意はないのだ、ただ単にひょっと誤まって使ったんだというならば、日本語の使い方を知らない無能力者、総理は無能力者ということになる。いずれにしても重大な問題である。しかも侵略するということになれば、これは国家のあり方があの答弁を契機としてはっきりと変ってきたのである。われわれは平和を求め、戦争を放棄するという立場から、侵略もできるのだというような工合に、日本が一挙に作目の答弁からあれを契機として変ったといわざるを得ない重大なる発言であると私は思う。
よって昨日代読せられた答弁は、われわれは絶対にその通りであるという工合に受け付けるわけには参らない。今から何年か過ぎてそういう言葉が出たというならとにかく、ここで鳩山総理の感恩だといって答弁された数時間後に、はっきりああいう変った答弁をされた、しかも重大なる違う答弁がせられている。だから私は議事進行として要求するのは、一つは官房長官に、きのう出席せられなかったいきさつを克明に、正直にここに説明してもらいたいということと、もう一つはきのう参議院の内閣委員会の答弁が、われわれに対する答弁と食い違ったということは、われわれが屈辱されたものであると思う。まことにその言葉を受け取るわけにはいかぬから、その答弁は返上し、本日総理の出席を求めてわれわは総理の見解を聞く質問の機会を与えられるまで、本委員会の進行は一時ストップせらるべきである。私はこの質問を留保する。以上委員長においてお計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/5
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006・根本龍太郎
○根本政府委員 昨日総理が外人と会う約束をしておったことは事実でございます。そのために松本官房副長官が通訳のために行っておったのでございます。しかし御承知のように、国会の方は十時から参議院の総括質問がありますので、それまでの間に合わなければならない、こういう約束をしておったのであります。これは相手側はフィリピンのユネスコの代表でございます。総理はそのために待機しておったのであります。九時三十分ごろだったということでありますが、これは松本君から今報告を聞きましたが、行って待っておりましたところ、インペリアル公使の方から、実はこちらの方の都合があって、本日はあいさつに行くところを少しおくれる、こう言ってきたので、実は国会との約束もありますので、それまではお待ちすることはできないということで、これは向うの方から中止になったということでございます。国会は十時から総理が登院しておられまして、決してのんべんだらりと国会を軽視して静養しておったという事実はありません。ただたまたま新聞に、総理が食事までの間ゆっくりしておったのをああいうふうに書かれたので、そういうふうに誤解が出たと思います。しかしその点は、明確に今調べた結果そういうことになっておりますので、御報告申し上げます。
それからその次に、昨日の参議院の予算委員会におきまして、総理が戸叶武君の御質問に対する答弁中、侵略という言葉が使われた。これは当委員会におきまして、総理と船田長官との間において合意の上発表いたしました答弁と違っておる、こういうふうな御指摘でございます。これはあそこに御出席していただきますれば、さような誤解はないことと思います。これは総理が従前も、侵略ということは断じてやらないということは、これは前後の経過から見てもおわかりの通りであります。ただし向うの方から侵略してきてどうにも処置ができない緊急事態の場合には、初手方の基地を攻撃して、いわゆるたたくという意味において申し上げたのでありますが、向うが侵略してきたというところを、言葉が続いておりました閥係上言い違えたのであります。人間にはいかなる場合にも言い違いがあります。言い違いをとらえて、そうしてそれが真意ととられるということは、まことに私らは遺憾であります。その席上におきましては、総理は明らかにそれを訂正いたしている次第でございます。どうぞそのように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/6
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007・西村力弥
○西村(力)委員 フィリピンのユネスコ代表との会見の先約があったが、それを九時三十分に向うが断わった。あなたは国会を重視せられ尊重せられる総理の態度であるというが、重大なる発言の食い違い、しかもこの問題は、新しく自衛の限度というものが政府の見解によって拡大されるかいなかという重大な問題であります。国民の安心感というか、安全というか、そういうものとも直接関係する重要な問題について、そういう食い違いを解明するために総理の出席を求めて、その熱烈なる要求が総理のもとに通じておったはずです。しからば九時三十分に解約になったら直ちにこちらに来れるはずです。そうすれば国会を尊重するというあなたの発言をわれわれも了承しましょうが、これをしないで参議院にだけ行っても、これは国会尊重という工合には言えないではありませんか。そういうことはわれわれはとうていあなたの言葉通りには聞かれないのです。しかもきのうは当委員会は例になく九時三十分から始めることになったけれども、議員各位の精励によって九時四十二分に始まった。例になく十二分間のおくれだけで開会になった。だから九時三十五分となれば、急いでおいでになれば、その開会に間に合うくらいに当然できる。そうしてまた電話があれば二、三分で通じて、今行くからという工合にできるはずなんだ。それをやるというような工合にできなかったのかどうか。十時ごろに出るのを、ちょっと先に出られて、それでは衆議院の内閣委員会の重大なる問題に私の所信を披瀝しましよう、こういう工合にできないのか。そうすれば国会尊重というあなたの言葉も生きてきます。鳩山さんの真価も生きるというものであります。吉田前総理とは全然違うということで、国民の信頼をつなぐゆえんともなるのではないか、こう思う。その点断わられてから参議院に出席するまでにそういう努力をなされたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/7
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008・根本龍太郎
○根本政府委員 私がただいま申し上げましたように、三十分からお会いする予定なので待っておりましたが、来ないので、そこでお尋ねしたところ、向こうから、間に合わない、それで少し時間をおくらせてくれという申し込みがあったので、実は十時から参議院の総括質問に行く予定になっているから、それではきょうは困難であるということを申したという事実を、私は申し上げておるのでございます。総理は、第一次鳩山内閣から今日まで、特にさぼって国会に出ないということのないことは、御承知の通りでございます。今回の問題につきましても、向うの方からの連絡がおくれたために、そうして他にもいろいろな来客があったそうでありますが、それでそういう手違いをしたのだと思いますが、これは故意にやったのではないということを御了承願えると存じます。私は先ほど当委員会の方から要請がありましたので、事実を――私当時おりませんでしたから、その場に通訳のために行っておりました松本副長官が、その状況を明らかにして参った次第でございます。これが昨日フィリピンのユネスコの代表と会う約束がございませんならば、松本副長官をあそこに派遣してはいないのでございます。こういう事実によりましても、これははっきりと事情がわかるのでございます。そういう意味において御了承のほどをお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/8
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009・西村力弥
○西村(力)委員 フィリピンのユネスコ代表と合う約束が向うの都合でだめになったのは九時三十分だった。こちらの開会が九時四十二分です。その間電話で連絡しておけば、総理がおいでになるというので、私たちは喜んでお待ちをするのです。もちろん故意にそういう工合に内閣委員会に出席を回避したのじゃやないのだろうけれども、その間何らの努力をせないで参議院にまっすぐ行かれたということは、故意でないとしてもこれは一つの怠慢である、こういう工合に言えるではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/9
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010・根本龍太郎
○根本政府委員 さような御解釈もございましょうが、実はこの防衛活動の限界についての総理の意思を明らかにするということが趣旨だったと存じております。それにつきましては、私も立ち会いまして、総理と船田長官がお会いになって、こういうのが真意であるということが明確になりまして、それで般田長官からその点を明確にするように手配をいたしておりますので、従ってそれをもって総理の意思が通ずるというふうに考えておりましたので、実はきのうのような措置になったのであります。今後そういうような事態のときには、できるだけ総理が出席できるように考慮いたすべきものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/10
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011・西村力弥
○西村(力)委員 次に参議院予算案員会における発言の問題でございますが、官房長官は、たまたま外国の侵略基地をという発言の行きがかりで、こちらからも侵略ができると言ってしまったんだ、こう言われるけれども、そういう工合に簡単に私たちが、はいそうですかと言えるほど物事は小さくない、かように思うのです。この問題はわが社会党としましても、国家のあり方というものに対する重大なる変貌を予想しての発言と受け取って、重大視して、今いろいろ与党の方面とも折衝中なのでございます。それで私たちとしては、この重大問題をやはり総理じかじかにお聞きして明瞭にしなければ、きのうの本委員会における総理答弁というものがはなはだ受け取れないから、あの答弁をはっきりそのまま受け取るためにも、総理に直接ここにおいで願って、そうしていろいろお聞きしたければならないと思うわけなのであります。委員長は委員会の権威を保つために、与党から選出の委員長として苦しいでしょうけれども、われわれがやるのは、国民の信頼をつなぐ国会たらしめよう、こういう立場でありますので、総理の出席については、委員長は誠意をもってこの際努力されたい。その点についての委員長の努力を一つ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/11
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012・山本粂吉
○山本委員長 西村君にお答えいたします。鳩山総理大臣の出席につきましては、なお当委員会に国防会議法案が付託される予定になっておりますので、適当の機会に御出席か願い、鳩山総理の答弁を十分にお聞き下さる機会を要請することにいたしますから、それで御了承願います。
議事進行について高橋君の発言を許します。高橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/12
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013・高橋等
○高橋(等)委員 ただいま西村委員からの動議の中に、本委員会の審議を一時中止するというような意味合いの動議が出ておりますが、これに対しましては質疑を続行し、約束通りこれが採決を本日実行されんことを私は動議として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/13
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014・山本粂吉
○山本委員長 西村君にお伺いいたしますが、西村君の先ほどの発言は、委員長に善処方を要望せられたように拝聴いたしましたが、動議として御提出になったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/14
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015・西村力弥
○西村(力)委員 まず委員長の見解を聞いて、そのあと動議とするなら動議とする。しかし今の状態では、動議なんか出したって、一ぺんで蹴られたらそれっきりです。それだから、委員長はいかに公正なる立場でやられるか、その見解を一つ聞こうとした。ところが今の御答弁では、国防会議法案が上程になってからやればいいというが、委員長、われわれが一ぺん採決したものをあとでだめだなんということはできない。一事不再議ということはおわかりでしょう。それを、この法案を通すための重大なる疑義力持ちながら採決して、あとで国防会議法案でどんなにさか立ちしたって、これはだめでしょう。だから私は言う。委員長として、長年国会議員として優秀なる勤務をせられたあなたとしては、それはおかしい御答弁じゃないかと思う。私が聞きたいのは、この疑義を解明する必要ないという理由を懇切丁寧にあなたが説明して下さって、そうして、だから呼ぶ必要がないというならいいけれども、あとでやったらいいでしょうでは、これは国会に限らず、すべての議決が一事不再議の原則ということをあなたは知らないのですか。そういうことはとうてい委員長発言としては権威を認めるわけにいかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/15
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016・石橋政嗣
○石橋(政)委員 関連して……。一昨日私の質問から総理に来ていただく約束になっておったわけです。そのとき委員長初め与党め理事の皆さんも、責任をもって鳩山総理をきのうの九時半に連れて来るから、何とか納得してくれというお話であったので、私納得したわけです。昨日は委員長あるいは与党の理事の皆さん方の努力によって、必ず御出席あるものと私は期待いたしておりました。ところが御出席はなくて、委員長から、外交上の問題で外国の使臣と会う約束をしておる、しかもそのあとは直ちに参議院の予算委員会に出たくちゃならない、そういう事情だから、まあしんぼうしてくれというお話でございいました。そこで私しんぼうしたわけです。納得したわけです。なぜかといえば、外交という問題に私も非常に大きな関心を持っておりまして、非常に大切に取り扱わなくちゃならないと考えたからなんです。そうでなければ簡単に納得いたしません。ところが今官房長官の話を聞いてみますと、九時半に会う約束だったけれども、瞬間を変更してくれということをフィリピンのユネスコ代表ですか、そういうお方が申し入れてきたという。私ここでどうしても納得がいかない。私すら、外交ということを考えて、この重要な問題を直接聞かなくちゃ納得いかなかったのをしんぼうして、きのうはかわりに大臣に来ていただいた。ところがこのフィリピンの代表は、九時半と約束しておったのを一方的に延ばしておる。私は、少くとも儀礼というものを非常に重んずるのが外交界の風習だということをかねがね聞いておった。一国の総理に面会を申し込んでおって、そんなに簡単に時間を変更するのでありますか。またそれに対して日本政府は何らの措置も態度もとらないのでありますか。それほど日本の総理は軽んぜられておるのであるかどうか。私はこの問題は軽々に見のがすことができないと思う。そういうふうなことであっては、今後日本がフィリピンと賠償というような重要な問題を交渉するときに、どういうことになるのか、まことにもって心細い。これは非常に大切であると思いますので、念のため、こういう際の国際慣習と申しますか、そういうものにも触れて御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/16
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017・根本龍太郎
○根本政府委員 国際慣行においてどうだということでございますが、私外交官じゃないから、慣行のことについてはあまりよく存じませんが、実は政府に対し、総理に対して、いろいろと訪問され、あるいは会談に来る場合もございますす。正式の外交交渉の場合にはそういうことはございません。しかしながら訪問を兼ねていろいろ懇談の場合には、こちらの方で時間の変更をすることもございますし、また相手方におきましても、実はこういう都合でちょっとおくれるからといって、時間が若干おくれるということについて了解を求めることも事実でございます。こういうことは間々ございます。従ってこれによって日本の国家の権威が下ったとか、そういうことはわれわれは感じておりません。たまたまこの委員会において非常に重大な関心を皆さんが持たれているときに、こういう事態が起ったから、さように非常にシリアスにお考えになるのかもしれませんけれども、今日までも二十分、三十分の時間の変更をお互いにすることも、これはあり得ることでございます。その点はそうシリアスに考えず、国威の問題に関連しないで考えていただいた方がけっこうではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/17
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018・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうすると、ますます私は納得がいかない。正式な外交交渉とかそういうものであるならば、絶対に時間を厳守するのが相互の慣習になっておるようなお話であります。きのうのような場合は、やや私的にわたるといいますか、正式なものではない、公式なものではないという今の官房長官のお話がありました。それならば少くとも委員会におきまして、こういう重大な問題が――自衛権の範囲がどういうふうなところで収まるかという重大な問題が論議せられておるさなかに、果してそれではユネスコのフィリピン代表と会うために、出席できないというふうな口実に使われることが妥当かという疑いが私は出てくると思います。そんなに変更できる程度の、公式じゃない話し合いならば、なぜこちらからそれでは時間の変更を申し入れて、ここに出席する誠意を示していただかないか。私はこの点で申しわけないけれども、委員長や与党の理事の方にも不満を申し上げます。できるだけの努力をすると言っておられる。それならばその程度の話し合いならば、なぜ時間の変更をやってもらってでも委員会に来てもらうという努力をしていただかなかったか。私は官房長官の今の説明を聞くと、なおさら納得がいかないような気がします。なぜです。それじゃ向うから時間の変更を言われるくらい、その程度のものであるならば、こちらから時間の変更を申し入れて、この委員会に出て誠意を披瀝していただかなかったか、この点の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/18
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019・根本龍太郎
○根本政府委員 私はここであなたと議論する気持はありません。先ほど申したように、正式とは何かという言葉を非常にシリアスにとられておりますが、私の申し上げたのは、条約、協定とかなんとかいうことで、国際的な会議のそういうスケジュールによった場合はほとんどないのです。しかしながら向うの方から訪問されて、そうしていろいろお話をし、またこちら側も話をするという場合には、時間の変更はままあるという事実を私は申し上げたのでございます。従いましてそのために国威が著しく侵害されたとかどうとかいうことではないと解釈するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/19
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020・石橋政嗣
○石橋(政)委員 向うから時間の変更を申し入れても、こちらが国威がどうのこうのという程度の問題じゃないとあなたがおっしゃるから、その程度のものならば、国会でこういう問題が今出て、ぜひ出ていかなければならないから、こちらからその事情を話して、なぜそれじゃ瞬間の変更をしてでも委員会に出るだけの誠意を示してくれなかったか、私はこういう質問をしているのです。あなたの答弁を聞いて、国威にまでは影響しないということを私は了解した。その問題は私は一応了解した。しからば向うさんから時間の変更ができる程度の外交上の話し合いならば、そういう儀礼的なものならば、国会から要請があるから、何分かでも行かなくちゃならないから、少し時間をずらしてくれという、なぜこちらから申し入れをしなかったかというお尋ねをしておるのであって、ちょっとそこのところ食い違っておりますから、もう一度御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/20
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021・根本龍太郎
○根本政府委員 結果的にはこういう事態になりましたからあれでございますが、先ほども申し上げましたように、船田長官の答弁に対する総理の見解をお聞きになっておるわけでございます。これにつきましては、はっきりと打ち合せの上、総理の見解を文書をもって船田長官がこちらに御説明になるということの問題でございます。従いましてそういう状況を御了承下さるとならば、前から約束してあることでございますから、そちらを話し合いまして、来るということも、私は決して本委員会を無視したことにはならないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/21
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022・山本粂吉
○山本委員長 高橋君にお尋ねいたします。高橋君の動議は、西村君の議事進行の発言を動議としての前提のものでございますので、いかがいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/22
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023・高橋等
○高橋(等)委員 西村委員の御発言が、動議でないというお話で西村君からもお話がありましたので、私はこれに対する動議は一応取り下げることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/23
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024・西村力弥
○西村(力)委員 私は動議かという委員長の質問に対して動議じゃない、委員長が委員会の権威なり、国会の権威なりを保持するためにどう考えられるか、こういう質問を委員長の見解としてお聞きしようとしたわけなんです。それに対してまだ委員長は十分にわれわれを納得させられる、こういう答弁をなさらない。だから委員長、一つその点先ほど申したように、国防会議でやったらいいじゃないかという便宜主義は、これは筋が逢う。一ぺん通したらどうにもならなくなるのですから、国防会議で質問すればよいのだということは必要ないのだということを、あなたの見解としてはっきり示してもらわなくちゃならぬ。これは当然ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/24
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025・山本粂吉
○山本委員長 西村君にお答えいたします。総理が当委員会に昨日御出席のできなかった理由については、根本官房長官より詳細にその理由を御説明がございましたので、出席のできなかった理由については御了承願えることと存じます。なお総理大臣が参議院における質問に対してお答えになった事情につきましては、これまた根本官房長官より詳細御説明がありましたので、この問題に対して総理の出席を求めて答弁を求められるという必要がそれほど強くないと考えますので、この程度において御了承を願って、なお質疑を続行願いたい、かようにお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/25
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026・西村力弥
○西村(力)委員 当委員会に総理の出席できなかった事情については、これは事情そのものについてはわかりましたが、ただ時間的経過や何かを見ますと、やはり本委員会に出席してその食い違いということをるる解明しよう、こういう熱意がなかった、怠慢であった、こういう烙印をどうしても押さざるを得ない。国会を尊重する、こういう御答弁は参議院を尊重したという形を言っておるのであって、重要な問題の考え方においてぜひとも当委員会に出席しなければならぬという熱意を欠いたのだ。ここのところをはっきりしまして、その点だけは私は了承したい、こう思うのですが、委員長の参議院の侵略論争に対する御答弁は、やはり根本長官と同じように単に言葉の端として出たにすぎない、あなたの答弁は官房長官のまる写しでございます。これではとても納得できないのじゃないか。船田長官は座して死するを待つことはできない、憲法は座して死するのをそのまま容認しろという精神ではないのだというのだから、それを最大の基本とせられておるのでありますから、結局とどの詰まりは、外国の日本を侵略する基地をたたくために、こちらからもこれをたたくことはできるのだ。それをやはり最後的に終息させるためには、そこに決定的な侵略的な形をもって、派兵をやらなければならないのだ、そういうように常に考えている。結局外国の侵略する基地をたたく。何べんたたいても、何べんたたいても、わが方の受ける急迫不正なる侵害というものは絶えない。このままでいったら座して死するのだ、こうなってくればこれを徹底的に終息させるためには、そこに海外派兵をやって、そうして沈黙させなければならない、ここまで自衛の限界だとやはり考える、こういう形を考えておる。だから侵略という言葉に出てきたのです。私たちはそう思わざるを得ない。だから単なる言葉として受け取るわけには参らない。総理からよくよくお聞きして、それがわかれば、きのうの答弁というものをはっきり当委員会に対する答弁として受け取る。そこまでいかないうちは、とてもわれわれは納得できないのだから、とにかく一応総理に出てもらって、総理に対して私は質問をさせていただかなければならない。これは党利党略じゃない。憲法の問題であり、日本の自衛の限界の問題であり、国際信義の問題であり、また国の安全と国民の安全の問題なんです。だから私はそういうことを言っているのだ。どうしても総理を呼んでいただけないというならば、この質問は私は留保して、この委員会の進行はどうあろうとも、私の留保した質問の実現を見るまで、この防衛二法案の採決に持っていってもらっては困る。はっきりその点は質問を留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/26
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027・山本粂吉
○山本委員長 片島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/27
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028・片島港
○片島委員 ただいま論議されておる問題は、これは当委員会として最も重要なる問題でありまして、私たちはこの問題をこのまま打ち切るというわけには参らぬのであります。従って委員長においても、どうか本委員会に本日総理が御出席をしていただくように一つ御努力を願い、そうしてこの問題はわが党としては保留いたしまして、今もこの後もこの問題の解明に努めるということを条件といたしまして、私は先日からの質疑を続行いたしたいと存じます。
当委員会におきまして、私が防衛庁におけるむだづかいの問題をいろいろと指摘いたしましたところが、防衛庁当局は首脳部会議を開いていろいろと研究をしたけれども、いい知恵が出ないので、防衛庁も防衛ならずというようなことが新聞に出ておりました。本委員会で指摘をせられましてから、初めてその責任の所在を明確にするために、責任者の処分などをせられたようであります。実は二十九年度における会計検査の報告が各省庁に対してなされますや――この問題は突然会計検査院から出るものではなくして、会計検査院が検査を実施しておる間にすでにわかっておる問題でありますから、それ以前に責任者の処分ということはやられておるべきでありますが、本委員会において指摘をせられて、初めてあわてて指摘をせられた事項についてのみ処分をせられた。その処分の状況を見ますと、四億以上にも上るむだづかいに対して、三十八人が処分をせられておるのでありますが、そのうち免職になったのは一係員、一平職員であります。しかもこれは刑法上の容疑者として摘発せられておる者でありますが、その一平職員が一名だけ免職をされて、あとの最も重要なる役職についておられる方々は、それぞれ注意あるいは訓告といったようなことがせられておるのでありますが、注意ということは、処分といいましても――私も官庁生活をしておりましたからわかるのでありますが、実は処分のうちには入りません。やはり免職とか休職とか減俸とか、それくらいのこと、あるいは降任――自分の現在の職務を下げるということでなければ、実際は処分をしたうちには入らぬのであります。非常に大きなむだつかいをし、本委員会において強く要求せられておるのにかかわらず、この問題が非常に軽んじられておるということは、船田長官が弁明に努められても、私はこの問題についてはあまり注意が払われておらぬということを指摘せざるを得ないのであります。特に、先般の委員会において私が資料の拠出を要求いたしましたものについて、資料が提出せられておるのでありますが、それを見ましても、たとえば空包発射補助具を二回にわたって規格変更をしたという問題にいたしましても、三千円程度のものを八千円以上に高く買うのに、その規格変更というのは、しろうとが見てもわかる程度の軽微なる変更であります。むしろ八千二百十円に対して三千四百七十円の修理費をかけた分の万がよほど大きな規格の変更に相なっております。とりもなおさず千五百円に上るところのこの補助具を、役に立たないものだから五百に減少をして、その業者に損害を与えないために、必要はないけれども五百だけ購入をいたしまして、そのかわりその量を減らした分だけ単価を上げ、規格変更は形式程度にとどめておるということがここに明瞭に指摘をせられるのである、さらにまたフォークリフトの使用状況にいたしましても、具体的な使用個所を要求いたしましたのに対して、どこどこ関係というようなきわめて抽象的な配置個所がしるされておるのでありまして、これも実際に使用しておるということを私たちが調査すると言いましたところ、視察の困難なる遠隔の地に多く配置せられておるということも、これまた非常にあいまいな資料の提出であります。調達実施本部と地方機関の調達の基準を明確ならしむる要があるということも、この中央における調達の関係、地方における調達の基準というものは明確にはされておりません。七十万借に及ぶ譲与された冬、服の生地に対して、その処分が今どういうふうに措置をせられておるかということも明確にはされておりません。せんだっての委員会における私の資料提出の要求に対して、当局がきわめて不親切なる、非常に頭をしぼったかしりませんけれども、納得のいかない資料しか提出できなかったということはまことに遺憾であります.従ってこの前私が保留いたしました二、三の案件について、私はさらにお尋ねをして、その点を明確にしたいと思うのであります。
第一には、米国製コンピューター一組を千百五十九万円で三十年九月三十日を納期として契約せられておりますが、その契約に対しまして、三月三十一日に金額前払いをいたされておるようであります。船田長官は、繰越金が多いからというて、年度内にむだな金は使わないようにしておるということを言っておられますが、九月三十日の納期のものを、年度内に、しかも年度ぎりぎりの三十年三月三十一日に、品物が来ないのに、全額の前渡しをして、繰越金の削減のために努力をしておられるようであります。しかもこの問題は、業者が三十年の八月に外貨の割当と輸入の承認を受けておるという事実から見て、前渡しを三月三十一日に受けながら、業者は八月まで外貨の割当と輸入の承認も受けないで、前渡しを受けた金をあっためておったという事実も明確になっておるのであります。アメリカからの輸入品でありますが、米国の業者との、また日本の業者との取引条件にも、前渡しの条件はついておらないのであります。これは長官がこの前言明をせられた車柄と非常に食い違うのでありますが、どうして前もって金額を、しかも年度内の繰越金を減らすために、金を落すために業者の方に前渡しをしておられるのでありますか。この点をまず第一点としてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/28
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029・船田中
○船田国務大臣 片島委員の御質問のうち、全般的な問題につきまして私から答弁申し上げまして、具体的の各論につきましては、政府委員から御説明を申し上げることにいたしたいと存じます。
防衛庁関係の経理につきまして、会計検査院からいろいろ批難事項を受けましたことは、まことに遺憾千万に存じます。この点は先般来私がたびたび委員会におきましても申し上げることでございますが、私就任後におきましては、かようなことのないように最善の努力をいたしておりますが、不幸にして二十九年度の予算につきまして、先般来予算委員会及び当委員会におきまして、幾多の御指摘を受けましたことはまことに遺憾に存じます。しかし先ほど片息委員が仰せられたように、この委員会で指摘されたから、にわかにあわてて処分をして、しかもその処分がいいかげんな処分をしたというようなことを御指摘になりましたが、さようなことはございません。会計検査院の検査は、すでに前々から行われておりまして、そのときは現場の者とよく話し合って、説明のできるものは説明を加え、またその後において、説明して納得されてもなおかつ批難事項としてあげられたものも決して少くないのであります。そういうものにつきましては、現場の係官を十分調査いたしまして、これに対する適切なる処置を講ずるように従来やって参りました。たまたま当委員会におきましてもこのことが取り上げられまして、これに対して適当なる処置を講ずるということになりまして、御指摘のように、ごく最近になりまして、この批難事項につき会計検査院から指摘せられました件数が二十五件ございますが、これに対する処置といたしまして人事処分を行なったものが十七件、不問といたしましたものが八件、そのうちには人事処分といたしまして免職が一人、減給が一人、戒告五人、訓戒十八人、注意を加えたもの十一人、被処分者が退職のため不処分に終りましたものが二人、計三十八人という相当厳重な処置をとったのでございます。これにつきましては十分現場の者を吟味いたし、なお慎重に慎重を重ねて最後的にこれだけの処置をいたしたのでございまして、決して軽々しく、またいいかげんに処置をしておるというようなことはございません。その点においてはむしろ関係者には気の毒なくらい厳重にやっておるのであります。
ただ私ここに一言弁明を申し上げておきたいことは、防衛庁は新しい役所でございまして、機構の上において、また人員の配置あるいはその上下左右の連絡ということにおきまして、他の役所に比較いたしましてふなれな点が非常に多く、未熟の点があったと存じます。従いまして過去のこういう実績についてよく検討を加えまして、改善すべきものは改善をして参りたい、かように考えております。ことに調達関係におきましては、一昨年調達実施本部を設けまして、自来人員の整備をはかり、また技術者等の陣容も整えまして、発注等に遺憾のないように期しておるのでございまして、先ほど御指摘になりましたように、軽々しくこれを扱っておるということはございません。今後におきましても十分戒飾を加えて、かようなあやまちのないようにいたして参りたいと考えておりますので、この点は御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/29
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030・片島港
○片島委員 全額前渡しをしたのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/30
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031・北島武雄
○北島政府委員 本件のコンピューターの件につきまして、私から御説明を申し上げます。このコンピューターは米国より輸入するものでございます。輸入品につきましては、会計法上全額前金払いができることになっております。それとともに前金払いをすることによりまして、当事者の考え方といたしましては、予定価格の積算上も二十数万円安くなるというつもりで実はいたしたのでございますが、何分にも外貨の割当なり承認を受けましたのが、御指摘の通り三十年八月でございまして、三十年の三月に全額前金払いをする必要はなかったのであります。本件につきましては、会計検査院の御指摘の通りであります。その後におきまして、全額前払いいたしましてから、外貨の割当、輸入承認をせられるまでの期間において業者側が得ました金利につきましては、本年の一月に国庫に返納さしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/31
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032・西村力弥
○西村(力)委員 関連。片島委員の指摘された不正というか不当というか、そういう事例について防衛庁においても十分戒慎せられて、三十数名の戒告とか免職とかをなさったということでございますが、注意とか戒告とかいうことはどういう意味を持つのか、われわれにはわからない。免職は首になることはわかりますが、注意というのはどういう方法でどの程度の効果を持つのか、戒告というのはどういう方法でどういう効果を持つのか、一つ一つについて教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/32
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033・加藤陽三
○加藤政府委員 懲戒処分といたしましては、先ほど片島委員からお話しがございました通り、免職、停職、降任、減給、戒告というものがございます。この懲戒処分というのは法律上定められた処分でございまして、これは本人の履歴の上につくことになります。訓戒とか注意とか申しますのは、行政上の便宜によりましてきめておる処分でございまして、これは法律上の懲戒処分ではございません。しかしながらさような処分を受けました者は、本人の将来の人事管理の上におきまして十分な考慮が払われることは、申し上げるまでもないと思います。そういうふうな処分を受けました者の配置等につきましては、今後人事をいたします上におきまして十分に考えていくことになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/33
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034・西村力弥
○西村(力)委員 その三十数名の氏名をここに発表していただきたい。新聞記事によりますと、そういうことは本人の将来をおもんぱかって発表できないということでありますが、せっかくの防衛庁長官の御決意のほども、画龍点睛を欠くということに相なるのじゃないかと思う。この際それを発表していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/34
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035・加藤陽三
○加藤政府委員 これは発表を要求されますれば、お断わりを申し上げるべき筋のものではないのでございます。昨日も新聞社の諸君から、発表しろというお話がございました。私は今申し上げたような筋で、これは私の方で秘密にするべき事柄じゃないし、部内では当然これはわかることでございます。また新聞社の能力をもっていたしますれば、向うの方でもこれはお調べになればすぐわかることであります。ただ人平当局者として考えますと、その中の、たとえば免職せられました一尉官のごときは二十数才、まだ若い者でございまして、本人の将来について親が非常に心配いたしまして、本人の間違いを起した金額は、全額国庫に弁償いたしました。そこで検察庁の方に、私どもが警務官で調べて送ったのでございますが、検察庁の方でもそういう点その他情状を酌量いたしまして、これは起訴しないということにきめられておるのでございます。本人はせっかくただいま新しく更生の道をたどりつつあるのでございまして、この際新聞等に名前が出ますと、本人の更生の上にも非常に大きな支障になるのではなかろうかということを私は考えますし、またその他の職員につきましても、相当高級者でございます。これらのものは相当の部下を持っております。一朝侵略でもあるという場合におきましては、部下を指揮して、祖国の防衛に当らなければならないものでございます。こういう点を考えますと、人事の当局者としては、一つこれは新聞社の方にごかんべんを願いたいと、私から実はお願いをしたのでございます。これは当委員会の方で、委員会の名において要求なさいますれば、当然私は提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/35
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036・西村力弥
○西村(力)委員 人事担当者の御苦心のほどは私も十分わかります。人を殺すだけが能じゃないということになりますと、その通りでございますが、ただ警察は警察の一つの社会だけで生きていくという生き方は、やはり同氏から離れた警察になる。自衛隊は自衛隊のワク内だけで生きていくということになると、やはり国民の信頼を受ける自衛隊でなくて離れたものになる。それだけの機能で動き出すということになって、これは警察法改正の場合の、私の反対の理由はそこに相当大きな問題があったのです。そういう点からいいましても、部内だけでそういう工合に持っていかれること、御苦心のほどはわかるけれども、将来の自衛隊のあり方として、そういう場合にこちこちとからにはまっていくというようなことは、絶対に避けなければならぬのじゃないかという見解を持つわけなんです。それで今の問題は、名前をここに出してもらいたいと言いましたけれども、これはそう軽々にもできないことなんでございますので、私の方の党の諸君と、正式に要求するかどうかということは、ちょっと諮ってみますから、委員長において暫時休憩を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/36
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037・山本粂吉
○山本委員長 西村君にお答えいたしますが、休憩しないでお諮りを願います。片島君の質疑を続行願します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/37
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038・片島港
○片島委員 ただいまの問題は、人事局長も発表すると言っております。(発言する者あり)氏名の発表ということは実は御心配は要りません。あなたの方は今まであまり指摘されていなかったかどうか知りませんが、二十七年度、二十八年度などの決算委員会にはおいでになりましたか。今まで各省庁とも決算委員会には全部処分者の調書が出ております。私も実は昨日決算委員会にちょっと顔を出しましたが、電電公社関係でも、役職から全部出ております。これはもう各省庁全部の慣例でございますから、当然私は委員会には発表されて、本委員会でやはり要求があれば出していただく。特別官庁ではありませんから、決算委員会ではおそらくあなたの方だけが出さぬわけにはいかない。やはりそれを出していただくことを私は要求しておきます。どこの委員会でもよろしゅうございますから、要求があったら出していただく、こういうことに一つお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/38
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039・西村力弥
○西村(力)委員 ちょっと関連。先ほどの結論について党内に諮ってみましたが、やはりこういう問題は正式なものとして要求すべきでないという話し合いにまとまりましたので、(拍手)さようにいたしますが、ただ非常に下級といっては語弊がありますけれども、こういう人だけが処分されて、その監督的立場にある人の責任というものが何ら解明されていない。御答弁をずっとお聞きしますと、防衛庁長官の責任に至るものは一つもない、だれそれの責任に至るものはないとか、こういう工合に、とばっちりがそこまで来ないように、お互いに助け合ってよけていらっしゃるように、幹部諸公は見えるのです。こういうことではいかぬので、この点は重々、形式的な懲戒という問題でなく、自粛せられる気持を、自己反省的な気持で、皆様も十分に持たれて、部下の責任を、将来に禍根を残さないように、あたたかく見守って更生をはかっていこうという気持を、自分自身の反省のもとにおいて、そういう場合に進めていただかなければならぬじゃないか、こういう希望を申し上げまして、先ほど要求するといったことは取り消します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/39
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040・片島港
○片島委員 さらに私は具体的な問題についてお尋ねいたしますが、防衛庁においては、工事にいたしましても、物品調達にいたしましても、非常に随意契約による調達が多いのでありますが、各省とも随意契約の範囲については、大蔵大臣と協議の上、その基準がきめられておるのでありますが、防衛庁はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/40
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041・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 片島委員の御説の通り、随意契約にいたしますかどうかは相当慎重に検討いたしております。部内に随意契約に関する審査委員会といったようなものを設けまして、あらゆる関係者が集まりまして、慎重に検討する、それからある一定の金額以上は一件々々ごとに長官の決裁を受けるという手続を実はいたしておるわけであります。ただ防衛庁の場合は、調達品の内容が非常に技術的要素の高い、高度の技術を要するものが多いといったようなこと、たとえば航空機などはその一例でございますが、自動車等についても技術その他特殊な性能を要するといったようなことで、比較的金がさの高いもの、単価の高いものが随意契約になっている場合が多いのでございまして、これはもちろん予算決算会計令の条章を適用してやっておるわけでございますが、その範囲内でやっておるものが大部分でございまして、会計法上特に大蔵大臣と協議すべしという条項になっているもので随意契約をいたしておるものはほとんどございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/41
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042・片島港
○片島委員 各省とも実は大きな基準――これは具体的な個々の物品なり工事でなくして、大きな基準を作って、その範囲内において長官あるいは大臣の裁量にまかしてある、その基準は大蔵大臣と協議をしてきめるということになっておるのであります。それをやらないと、たとえば今久保政府委員の御答弁では、大きなもの、値段の上るものというような御答弁でありますが、たとえば航空発動機の予備部品の購入に当って、これも金額はあなたの方から見れば、四千二、三百万円くらいの金で、微々たるものでありますが、しかしこれを伊藤忠との随意契約でやっておられるということが指摘せられておる。ところがこの製品はアメリカのコンチネンタル・モーターズの製品でありまして、そのコンチネンタル・モーターズの日本における代理店は野崎産業というのであります。野崎産業から買えば代理店でありますから安いのです。それをわざわざ随意契約で、代理店でない伊藤忠から購入して、一千万円近く、八百万円ばかり高い値段についてしまっておるのであります。こういうのは当然競争入札をやるべきであって、こういうことをやられると、当然代理店から安く買えるという品物を、ほかの者に随意契約をやったということになれば、一千万円近くの国損をするのであるが、そのうちの幾らかがどうかなったのではないかという疑惑さえ起るのであります。そこで私は競争入札と随意契約というものの幅というものは、各省庁とも、その省だけで非常に特殊なものであってやむを得ざるもの――あなたが言われたような航空機などのごときはそうでありましょうが、しかし輸入品などで生産者は同じ会社である、その仲買いをするところは競争入札をすれば安くつくのに、こういうことが出ておるのでありますが、こういうのは今の随感契約と競争入札との関係でどういうふうに御判断せられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/42
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043・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 ただいま御指摘の航空機のエンジンの予備部品でありますが、これに関しましてはメンターT34と称しておりますが、これは当時米軍でも新しく正式練習機として採用したものでありまして、私ども技術的に検討いたしました結果、これを採用するのがよかろうという決定をいたしまして、まず国産化の前に完成機の輸入をいたしたのでありますが、この完成機の輸入につきまして、ビーチクラフトがメーカーでありまして、その部品はコンチネンタル・モーターから持って参りましてビーチクラフトで全部組み立てて検査をするということであります。米軍としても当時まだ正式化したばかりでありまして、私どもも戦後の日本における最初の航空機の関係でありまして、どうしても組み立てメーカーであるビーチクラフトで全機組み立てて、予備部品についても検査をした上で持ってくるということが一番われわれとしては、ことに非常に安全を重んずる航空機については、重要ではないかということを判断いたしまして、すべてビーチクラフトと折衝いたしました。もちろんその中には伊藤忠が介在いたしましたが、機体もエンジンもあわせて実はビーチクラフトから伊藤忠を通じて購入するということにいたしたわけでありまして、当時としては私ども実はやむを得なかったものと考えております。ただ野崎産業がコンチネンタルの、ことに問題の四七〇というエンジンについて代理権を持っておるということは、実は明確でなかったのでありまして、その後二十九年ごろにコンチネンタルのエンジンを国産化するという段階になりまして、そのときに初めて野崎産業から申し入れがありまして、そこで初めてわかりました。そこで私ども単価を十分検討いたしまして、時期はおくれましたけれども、予備エンジンそのものについては約五百万円を以後に減額いたしました。ただ予備部品につきましては、ビーチクラフトと再三交渉させた結果、やはり解約料を払わないとだめだということで、結局差し引きプラスにならぬということで、この方はやむを得なかったと考えたわけであります。その当時といたしまして、ビーチクラフトからぜひまとめて責任を持ったものを買い取りたいということと、その後この事情が判明しということの二つで、当時伊藤忠の随意契約にいたしたわけでありますが、今後につきましては、こういった問題については十二分に情報も集め、またどれだけ責任を持てるかにつきましては、できるだけ相手方を多くして競争等にして参りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/43
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044・片島港
○片島委員 調査が非常に不十分であるというような問題、それからさらにほかにも業者があるのを一人だけに随意契約をやらせる。特にこういう問題は輸入品であり、アメリカの製品である場合に非常に多いのでありますが、今こういうことはないようにすると言われるが、実はその前年度二十八年度にもそういうことがあるのをまた繰り返しておるのであります。これは幾らかずつは小さくなりますが、もっと大きいアメリカ製のトラック、四分の一トン車、ジープを四千七百余両、これは金額が大きい、四十四億二千七百万円という金額です。もちろん国内において改装するのでありますが、その改装費が三万か四万でいいものを七万から八万も見積っておる。約倍以上もこの改装費を見積りておる。ニューヨークの定期航路の料金につきましても三十一ドルなにがしでいいものを四十ドルから六十ドルというものを見積っておる。そうして合計して三億円近い国損を来たしておる。三億というと、この予算の編成の場合において与党の方方も二億、三億といういうことをあっちにつけるかこっちにつけるかということは大へんな重大な問題で、大へんなてんやわんやで予算を編成し、また党の態度なんかもきめる。それがちょっとしたあなた方の勘違い、見積り違いから一つの案件について三億円近い国損を来たしておるのです。これが一皮に買ったならばそういうことも間違いだったと言って頭をかいてもいいかもしれぬが、三回にも分割して購入しておって第一回目のしくじりを第二回目もわからず、第二回目のしくじりを第三回目もわからずにこのような膨大なものを、倉敷から出した予定価格を丸のみにして三億円近い国損を招いておる。これは会計検査院から指摘をされ、国会に報告されたのでありますが、ほんとうにいえば国民がこのことを十分知ったならばこれは大へんです。知らないからいいのです。決算委員会とか国会においては、案外使う前はがあがあいって予算のぶん取りをやるが使ってしまうとあとはやむを得ぬというような感じが非常に多いのであります。知ったら大へんです。アメリカ製のタイヤの取りはずし機でも、卸売価格で契約すれば非常に安いものを小売価格で契約をして、しかももしまずかったならば契約を改めましょうということを向うから言っておるのに、こちらではそういう確認書もとらないで、また外貨の申告書も調べないでそのままになっておる。人から指摘をせられて、ああそうですかといって初めてやる、こういうことが非常に多い。しかもアメリカの輸入品について多いのであります。前の年に指摘をせられたならば、その次の手はそういうことがないように努力するのがほんとうじゃないか。見積り価格でハラゾン錠の購入をして、これなんかのごときは金額が少いから問題はありませんが、しかし見積り違いといいましてもハラゾンの原末キログラム四千円でいいものをキログラム当り七万円に見積っておる。これなんかは実を言うと使用量が少いから金額は少いのでありますけれども、まあ三倍くらい間違ったというのならばまだいいのですけれども、十何倍も間違うなんということは、こういうことがわからないであなたたちが膨大な予算を取っておって、何百億円も繰り越しがあるのでありますから、使いきれぬのでありますけれども、もう少し慎重な態度をもって予算の経理をやってもらわなければならぬのであります。高周波線輪、これは三十年二月、一年前でありますが、これも随意契約。随意契約ならこういう間違いがすぐ出てくる。随意契約で実は六百しか必要ないものを千二百購入する。倍購入したのでありますが、それはこれが複合剤であるということを知らないで実は倍購入した。しかも三十年八月に至ってまだ在庫が千五百四十八個もある。六百でいいものを千二百買った。六百も必要なかったのじゃないか。こういうのは購入当時在庫品がどのくらいあるのか、補給の実績などはどうなっておるのかという実績調査なども全然やっておられない証拠であります。まずこれらの問題について一応御答弁を伺いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/44
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045・北島武雄
○北島政府委員 まずハラゾン錠の購入につきまして御指摘を受けました事柄につきまして、私から一応御説明申し上げます。このハラゾン錠の予定価格の作成に当りましては、厚生省につきまして調査いたしましたところ、当時の薬事法によりましてこの品物の製造許可を有するのは、本件の契約者でありましたところの株式会社岩城商店外一社のみであるということがわかりました。それからまた当時米国軍の払い下げ品が市販されていた以外は輸入を承認された実績がないという厚生省のお話でありました。そこで勢い当該指名競争入札者の兄積り価格を基礎としたのでありますが、それとともに当時におきますところの米国品の市価も十分に調査いたしております。見積り価格を立てまして入札に付しましたところが、再入札しましてもなお落札者がなかったということ、それからこの麺の製品の現在の市場価格等を見ましても、予定格格が御指摘のように非常に高かったとは私ども考えられないのであります。
次に高周波線輪の問題でございますが、この件につきましてはまことに遺憾でございます。実を申しますと初めの在庫の把握にまず不十分な点がございました。当時担当のある若い下士官が他の係からこういうのがあるかと聞かれたときにないと答えた。そこに非常に誤まりがあった。実はあったのでありまして、梱包されたのが他の場所にあったのをその若い下士官が知らなかったのです。これがまず間違いの発端でございます。それから複合体として六百個要るというつもりのところ、複合体のものですから一個ずつ数えると千二百個となります、それで千二百個と書いて調達要求を出した。これが原価計算の方に参りまして、千二百というのは一体単体のものであろうか複合体のものであろうかということに一応疑問を持ちまして尋ねましたところ、また当時の係がかわっておりまして、これは複合体であるという問答でありました。そこで複合体として千二百個というふうに誤まって調達された。本件につきましては、はなはだ不始末でございまして、私どもといたしましてもまことに遺憾に存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/45
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046・片島港
○片島委員 輸入品の調達関係について非常なる不始末が繰り返されておるということはまことに遺憾であります。ところがだれがやってもわかるところのいわゆる建設工事などについて、また異常なる積算の誤まりをされておる。建設工事の積算の誤まりといいますと、この建設工事というのは、国内において業者も多いし、ごまかしがきかない。実は補助金等の整理などの問題につきまして、各委員会において常に問題になっておりますのは、ほとんど建設工事についてでありまして、最近業者がもうからぬようになったといって苦情を言っておるようであります。ところが非常に明らかなのは、第一地方建設部で掘さく一メートル当りダイナマイト一・九キログラム、仙台建設部では〇・七キログラム、ところが掘さく個所が軟砂岩でありますために、実をいうと〇・六キログラムでよかった。その結果が二千万円以上高くついておる。大きな建設工事をやる場合に、ダイナマイトをどの程度に使うか、あるいはセメントの配合をどうするかというようなことは、きわめて簡単なる事柄であります。やわらかいところは弱いのをつける、かたいところには強いハッパをかける。このくらいのことはしろうとでもわかる。そのために二千万円以上も高くついておる。ダイナマイトばかりではありません。その同じ工事で型ワク工の積算を誤まって平メートル当り六百七十六円というのを、第一の方は九百三十円、仙台は七百七十六円、そのためにこれがまた数百万円高くついておる。同じ工事で、コンクリート工の歩掛りは、ポンプを使用しない場合の標準の歩掛りが、一・二人というのを、第一建設では三人、仙台では四人、そのためにこれがまた数百万円過大についておる。押しなべて三千数百万円の損害を来たしておるのでありまするが、こういうことは、わかりますればあとで損害賠償なり何かの取り戻す方法があるのかどうか、損害のしっぱなしでありますかどうか、この点を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/46
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047・北島武雄
○北島政府委員 お尋ねの件は、反町弾薬支所新設のための隧道式弾薬庫とその付帯の建築に関するものであるかと存じます。本件につきましては、会計検査院の御指摘の通り、直接費の計算につきまして非常に不手ぎわがあったのであります。ただし、当事者といたしましては、はなはだ自信のない話で恐縮でありますが、最後の諸掛りのところにおきまして、一般の標準よりも相当下げて掛けておったのであります。普通でございますと、諸掛りにつきましては一般標準で大体一五%ないし一七%当りが適当とこういう工事としては考えられておるのでありますが、これを最高一〇%に下げまして、総体としては必ずしも検査院御指摘のようにそう高くはなっておらなかったのではなかろうかと考えております。ことにこの工事につきましては、当初いずれも八社ないし九社の指名競争に対したのでございますが、あるものにつきましては三回入札しましても落札者がなくて、随意契約まで持ち込まれた、あるいはまたある工事につきましては、三回入札せしめて、やっとそこで落札したというような状況でありまして、工事費の方につきましては必ずしもそう過大ということはいえないのじゃなかろうか、こう私はただいまも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/47
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048・片島港
○片島委員 非常に不明快な答弁であります。与党の方から非常に時間をせかれておりますので続けてお尋ねしますが、二十九年三月より六月に方面地方建設部の土木工事におきまして、コンクリートの配合一、二、四の配合率を、一、二・三、三・七という配合にしてもかまわない、かまわないのならば、結局最初からそういうことにして契約をしておれば損はしないのでありますが、そこでまた数百万の不要なものがそのままになる。最初にことらで契約をしたものよりもレベルを下げた施工をやった場合に、そしてそのために高くついたというような場合に、仕上り後に支払うのならば検査をした後に支払うのでありますが、これはおそらく検査をする前に支払ってしまったから、そのまま高くつくのであります。支払ってしまった場合に、損害賠償の請求というようなことはやらないで、あなたの方では、この前久保政府委員から一つか何か損害賠償の請求をするとか言われましたが、そういうことはやらないで、こういうのはそのままほったらかしておくということになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/48
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049・北島武雄
○北島政府委員 コンクリートが設計と違った配合で施工されているとして、一般的の場合を申し上げますと、一応請負契約でございますので、一般的な標準におきまして妥当であろうと思われる場合におきましては、その後の事情の変化によりまして、請負者が損することもございますし、ある程度予期以上の利益の出ることもあるわけでございます。これが請負契約の本貫であろうかと存ずるのでございます。ただそれが、非常に基本をなす食い違いのある場合におきましては、その後精算の際におきまして随時協議して、これを訂正の上減額いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/49
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050・片島港
○片島委員 私は最後に船田長官に注意を喚起したい。二十八年度におきまして、急いで買わなくてもいいものを買ったために、莫大なる損をした。例をいえば、片ちんばの発動機を購入したとか、無用の長物となったコンバーターを買ったとか、非常に狭いところに大きなかやを買い過ぎたとか、ぜいたくなる黒綿を使用したマットレスを買ったとかという、規格のふつり合いから一億数千万円ものむだな金が使われておる事実が指摘をせられておる。二十八年度にも、注文通りできているかどうかということを調べないために、あとの検査がはっきりしないで金を払ったために、多額の国損を来たしておるということが明らかに指摘をせられておるのに、二十九年度においても同じようなことが繰り返されております。おそらく三十年度においても繰り返されるでありましょう。しかもここに正式に指摘をせらている案件というものは、全体の調達工事の施行等の何%しか指摘せられておらぬのであります。あなたの方には監察局というのがないようでございますが、非常な膨大なる経費を使っておるならば、内部監査を強化いたしまして、内部監査について強力なる監察機構を作るということがまず第一。それから長官が幾らここで何と弁解せられましても、また長官がそのうちに変るでありましょう。結局防衛庁全体として、あまりしろうとのやるような予算の経理をやらないで、慎重なる態度をもって、これらの国損を繰り返さないように、真剣に取り組んでもらいたいと、私は長官に対して注意――注意というと懲戒処分じゃございませんから、非常に簡単なものでありますが、あなたの将来の身分に影響するそうでありますから、一つこの際長官の決意を私はお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/50
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051・船田中
○船田国務大臣 先ほども申し上げましたように、防衛庁の経理につきまして、会計検査院からいろいろ御指摘を受け、先般来予算委員会及び当委員会におきまして、各位から具体的の事実を指摘せられまして、御非難のございました点は、責任者といたしましてまことに遺憾に存じます。ただいま御忠告のありました点は十分今後戒飭して、あやまちを再び繰り返すことのないようにいたしたいと存じます。
なおただいまご質問のうちにございました、内部監察を全然やらぬじゃないかということですが、これは現実はやっております。調達実施本部におきましても、また各幕僚監部におきましても、監査室もしくは監査隊というものを持ちまして、内部監察をやっております。しかし至らない点、不注意の点、ふなれの点はまだ決して少くないと思います。それらの点につきましては、今後十分戒飭を加えまして、今片島委員の御忠告のような点について、再びあやまちのないように、最善の努力をして参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/51
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052・山本粂吉
○山本委員長 受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/52
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053・受田新吉
○受田委員 私は、特に今回船田防衛庁長官が発言をされ、総理がこれを確認された内容について、うがった質問を一、二いたしておきたいと思うのであります。それは、私が二十七日に質問申し上げたときに、爆撃機に乗って敵地に行った場合には、これは軍人が敵地へ行くのであるから、海外派兵ということにならぬかとお尋ね申し上げたら、船田長官は、それは武力行使の目的で敵地に上陸しなければ海外派兵にならぬというお言葉があったのであります。ところが私がここでさらに疑義をただしておきたいのでありますが、敵国の領空へ日本の飛行機が行った場合、日本の軍人が敵の領空にいるのでありますが、領土とその領土の上にある領空及び領海ということについてお尋ねしたいのでありますけれども、この点につきまして、敵国の領空に日本軍人が行った場合でも、これは海外派兵とはならないかどうかを御答弁願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/53
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054・船田中
○船田国務大臣 先般来私の答弁申し上げておりますことは、昨日総理大臣の答弁を代読申し上げました通りに、繰り返して申し上げますが、急迫不正の侵略があり、そして誘導弾等の攻撃が加わって参りまして、このままおったんでは自滅をしてしまう、そういう場合に、現行憲法におきましても、ただ座して自滅を待つということを期待しているものではなかろう。そういう場合におきまして、他に方法のないやむを得ない場合におきましては、敵地をたたくこともあり得る、それも自衛の範囲であるということを申したのでありまして、ただいま御質問のような場合は、多くは海外派兵とかあるいは先制攻撃、こういうようなことになりはしないか。それで、この先制攻撃を加えるというようなことは、自衛の範囲とは私は考えておりませんし、またさようなことはないと存ずるのであります。ただ先般来受田委員が御質問になっております仮定の問題でございますが、そういう場合は、多くは日米安保条約、ことに行政協定の第二十四条によりまして、いかなる措置を講ずるかということにつきまして、日米間に直ちに協議をしなければならぬという事態になるかと存じます。その具体的の、どういう反撃をするか、防衛方策をとるかということは、日米で協議をいたしまして決定すべき問題になっておりますので、ただいま御質問のありましたような点は、私繰り返して申し上げますが、他にもうどうしても方法がないという場合に、敵地をたたくことも自衛の範囲であるということを申したのでありまして、これは昨日の総理の御答弁を私が代読したその趣旨と、少しも違っておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/54
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055・受田新吉
○受田委員 私は、多くの場合でなくしてきわめてまれな場合であるが、そういうことが法理論としても考え得る場合をお尋ねしているのであって、大臣の御答弁でも、最小限度の抵抗をしなければならぬというお言葉によるならば、敵国の領空に爆撃機で飛んでいく場合があり得るということに結論はなるわけです。敵の基地をたたくという大臣、総理のお言葉は、結局爆撃機でたたく場合があり得るということになると私は思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/55
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056・船田中
○船田国務大臣 かような場合に、最もまれなことと存じますけれども、誘導弾等、それから飛行機等を全然理論的に区別しなければならぬということはなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/56
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057・受田新吉
○受田委員 しからば敵国の領空に日本の軍人が行っている場合に、そこへ上陸しなかったら海外派兵にならぬという大臣の御答弁は、そのまま今日も変りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/57
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058・船田中
○船田国務大臣 大体敵地に上陸をするということが海外派兵である、かように私今まで答弁申し上げておったわけでありまして、さような場合に海外派兵にはならぬと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/58
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059・受田新吉
○受田委員 敵地をたたく場合には、艦隊で敵国の海岸近くまで行って敵の基地をたたく場合があり得るわけです。国際法上でいう領海は干潮時三海里沖合いまでが領海になっておる。その領海の中へ入っても海岸へ上陸しなければ海外派兵にならぬ、領海のすぐ波打ちぎわの外におれば上陸でないから海外派兵にならぬという結論が出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/59
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060・船田中
○船田国務大臣 他に方法の尽せる場合に、自衛隊が敵地をたたくというようなことはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/60
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061・受田新吉
○受田委員 方法がない場合です。あらゆる手を尽したが方法がない場合に、敵の基地をたたく場合には、艦隊で敵の基地近く寄って、そうして、そうして敵国の領海の中へ入って攻撃を加える場合が考えられるはずです。これはあらゆる方法をを尽しても他に方法がない場合に、敵の基地をたたく一つの方法としてはそういう場合があり得ると思うが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/61
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062・船田中
○船田国務大臣 さような場合はあり得ないと存じます。というのは、日米安保条約、ことに行政協定の第二十四条によりまして、日米共同作戦をしなければならぬという場合でございますから、従いましてわが自衛隊が敵基地に多くの飛行機を飛ばしていくというようなことはなかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/62
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063・受田新吉
○受田委員 長官、他のいかなる方法を尽しても道がない場合に、日米共同作戦の場合においても、今日本の海軍ははなはだ貧弱でありますが、ごく近いところの敵国の海岸に基地をたたくために出動し得る場合があり得るということは、法理論という意味ではなくして理論的には考えられると思うがいかがですか。敵の基地をたたくという解釈の中へ入ると思うがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/63
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064・船田中
○船田国務大臣 そういう場合は日米共同作戦という場合でございます。従いまして行政協定の二十四条によって協議をしてやるという場合ですから、多くの場合はアメリカ軍がその任に当ることになるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/64
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065・受田新吉
○受田委員 多くの場合はアメリカ軍が任に当るでしょうが、きわめてまれな場合に、日米共同作戦の話し合いの結果日本軍が担当することにきまったらどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/65
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066・船田中
○船田国務大臣 これは事実問題でございまして、さような場合にどういう作戦をとるかということは、行政協定二十四条の発動によりまして、その場合場合によって考えていかなければならぬ。通常わが自衛隊は憲法及び自衛隊法の現行法令のもとにおいて最大限の反撃をするということを、ここで御答弁申し上げる以外に道はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/66
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067・受田新吉
○受田委員 領空に侵入した場合にはこれは海外派兵でない、しかしその領空に攻撃を加える場合に、燃料の関係その他のためにたまたま敵国の地上に不時着をしなければならないような作戦計画を立てられるという場合、地上におりなければ海外派兵でない、空を飛んでおる場合は海外派兵でないというこの言葉ははなはだあいまいな言葉であって、上陸しなければ海外派兵でないという大臣の言葉は詭弁だと私は思う。敵の領空に入った場合にはりっぱに海外派兵という結論が出ると私は思うのでありますが、この点大臣は敵の領空にあっても、国際法上これは海外派兵ではないというはっきりした言明をされますか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/67
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068・船田中
○船田国務大臣 国際法上海外派兵という観念がそうはっきりしておるわけではございません。先般来受田委員の御質問になっておることは、おそらくもう大戦争の場合でなければそういうことは起り得ないのであります。従いましてそういう場合には、先ほど来申し上げておりますように、行政協定二十四条の発動を待って適当なる措置を講ずる。わが方といたしましては、どこまでも憲法及び自衛隊法の命ずるところに従って行動するということを申し上げる以外に道はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/68
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069・高橋等
○高橋(等)委員 この際動議を提出いたします。両案についての質疑はこれをもって打ち切られんことを望みます。
〔「反対」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/69
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070・山本粂吉
○山本委員長 ただいまの高橋君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/70
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071・山本粂吉
○山本委員長 起立多数。よって高橋君の動議の通り決定いたしました。
暫時休憩いたします。
午後零時五十六分休憩
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午後四時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/71
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072・山本粂吉
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。この際総理大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
〔「議事進行、議事進行」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/72
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073・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 委員長の許可を得ましたから発言を……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)昨日の参議院予算委員会における……(発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能)に対する私の答弁中……
〔「議事進行」と呼びその他発言する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/73
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074・山本粂吉
○山本委員長 この際細田君より議事進行について発言がありますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/74
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075・細田綱吉
○細田委員 午前中当委員会で高橋君から質疑打ち切りの動議が出されました。そのときちょうどわが党の受田理事が質問中だったが、その際に、その動議を出して強引に押し切ったわけであります。しかし――しかし、かくのごときことはきわめて変則的な、と同時に、質疑を打ち切って総理の説明を聞いても、これは実際何にもならぬ。きわめて重大な憲法上の大きな解釈を来す問題なんで、従って、われわれは、総理の御説明のあと、あるいは重大な質疑が出るかもしれぬ、また出ないかもしれないが、とにかく質疑を打ち切ったまま総理の説明を聞くというようなことは、言いっぱなしであり、開きっぱなしなんです。こういうきわめて変則な形でなく、質疑打ち切りの動議を撤回していただいて、そして総理の説明を聞くようにお取り計らいを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/75
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076・山本粂吉
○山本委員長 この際総理大臣より発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/76
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077・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 昨日の参議院予算委員会における戸叶君の昼間に対しまする私の答弁中……(「動議を出したんだ。」と呼び、その他発言する者、離席する者多く議場騒然、聴取不能)委員長の許可を得ております。(発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能)……侵略という……。
〔「委員長不信任案提出」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/77
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078・山本粂吉
○山本委員長 速記止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/78
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079・山本粂吉
○山本委員長 速記を始めて。
ただいま委員長不信任動議提出されましたので、私は退席いたします。委員兵長の席を宮澤胤勇君に譲ります。
〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/79
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080・宮澤胤勇
○宮澤委員長代理 ただいま私が委員長に指名せられましたから委員長の席を汚します。つきましてはこのままの形において理事会を開きます。
それでは暫時休憩いたします。
午後四時二十五分休憩
――――◇―――――
午後五時十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/80
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081・宮澤胤勇
○宮澤委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
石橋政嗣君より発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/81
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082・石橋政嗣
○石橋(政)委員 委員会の議事を正常に戻して慎重なる審議を進めるために、先ほど提出いたしました山本委員長の不信任案を撤回いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/82
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083・宮澤胤勇
○宮澤委員長代理 ただいまの石橋君の発言により、受田君外二名提出の委員長不信任案の動議は提出者より撤回の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/83
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084・宮澤胤勇
○宮澤委員長代理 御異議なしと認め、さように決します。委員長の復席を願います。
〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/84
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085・細田綱吉
○細田委員 議事進行について。先ほどの本委員会においてわが党の受田理事の質問中、突如として高橋君から質疑打ち切りの動議が出まして、遺憾ながら質疑はそれで打ち切られたのであります。しかし本日せっかく総理の御出席を願って、総理の真意を伺うことになりまして、下はきわめて重大でございます憲法の解釈に関する問題でありますので、総理の御説明をただ附くだけということでは、ただいま審議されております防衛二法案の審議をわれわれ十分尽したとは言えない。総理の御説明はもちろんわれわれ納得のいくものだと信じますけれども、もしわれわれの信じられない、まだ質疑が残されるようなときは、やはり一応総理からじかにお答えを願った方が十分審議を尽されると思いますので、先ほど高橋君が質疑打ち切りの動議を出されて質疑が打ち切られておりますが、総理の釈明に対する質疑はこれを認むべしとの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/85
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086・山本粂吉
○山本委員長 ただいまの細田君の動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/86
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087・山本粂吉
○山本委員長 起立少数。よって細田君の動議は否決されました。
この際総理大臣より発言を求められておりますので、これを許します。鳩山内閣総理大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/87
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088・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 昨日参議院予算委員会における戸叶君の質問に対する私の答弁中、侵略という言葉がありましたことは、私の言葉の言い違いでありますが、私は直ちにその席で右の言葉を取り消した次第であります。すなわちわが国に対して急迫不正の侵略が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨であるということは、私どもは考えられないと思うのでありまして、そういう場合にはそのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思うのであります。どうしてもほかに方法のない場合に、この誘導弾等の基地をたたくという意味をとっさのことであったので、侵略と言い違えをいたしましたので、趣旨は以上申し述べた通りであることをここに明言いたしておきます。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/88
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089・西村力弥
○西村(力)委員 議事進行。私はこの際議事進行について動議を提出いたしたいと思います。
一昨日、本委員会において、わが党の石橋政嗣君が自衛権の限界についてはまことに重大なる問題である、現憲法の解釈とも関係いたしますし、また国民の生活、国家の安泰、そういうものに重大なる関係を持つものでありますので、鋭意研究してみましたところが、船田防衛庁長官が答弁いたしたその趣旨と、鳩山総理が去る第二十二国会において答弁なされたその趣旨とは明らかに食い違っているということを発見いたしたのでございます。船田長官は、その趣旨の食い違いでないことを、るる納得せしめようといたしましたけれども、そのことはとうてい不可能なことでございます。それで問題は、面接総理にお聞きする、そうして自衛権の限界に対して、自衛隊の発動を命令する権利を持つ総理の口から面接に聞いて、その食い違いをはっきりしなければならぬ、こういうために総理の本委員会に対する出席を強く要求したのでございました。この要求はまことに当然なことでございました。その要求を受け入れないとするならば、これは委員長としてもその適格性を疑われるものであり、それを拒否するならば、与党の諸君といえども、国民に対して何の言いわけあるか、こういうことでありますので、結局本委員会に出席することに対して、最大の努力をする、こういうことになったのでございました。私たちは吉田総理と相当違う努力を、御不自由なからだを押してなさっておる鳩山総理であるから、寸暇をさいて、でも必ず御出席になるものとかたく信じて、期待しておったような次第でございました。ところが昨朝になりまして、総理は外国使臣と会談をする所用のために本委員会には不本意ながら出席はできないので、船田長官と総理と打ち合せた、合意に基く答弁を船田長官の代読でこの席でやるから御了承願いたい、こういうことになったような次第でありました。私たちは、そのことはまことに不本意でありますけれども、一応お聞きしようということになったのでございましたが、そもそも本国会において総理の答弁を代読するというような前例が今まであったかどうか。私たちはこういう前例が今回をもって開かれたということは、まことに国会の運営上軽々に見のがすことはできないことである、かように考える。どう考えておりますか。その際に合意の回答として出されました答弁は、わが田に対し急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段として誘導弾などの攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのがふ法の趣旨だというふうには考えられない。その場合には、その攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾などによる攻撃を防ぐのにほかに適当な方法がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは法理的には自衛権の範囲に含まれ、可能であるというべきである。昨年私が答弁した場合は普通の場合で、ほかに防御の手段があるにもかかわらず、侵略国の領域にある基地を攻撃するのは自衛の範囲には入らないだろう、ほかの趣旨で申したものだ、私の答弁は防衛庁長官とこの点食い違いはない、こういうことでありました。食い違いは、われわれとしてははっきりあると思うのでございますが、その前に私たちが総理に対して強く反省を求めなければならぬ点が一つあるのであります。
それは本日根本官房長官がここに御出席になって、総理が本委員会に出なかった理由についてるる陳弁されましたが、きのうはフィリピンのユネスコの代表との会見があった。これは公式のものではない。しかも九時三十五分に向うから時間を延ばしてくれということになってきた。それはできないといってお断わりになられた。こういう経過になっておりますので、そういう正式でない、向うからは勝手に断わられるような、あるいは時間を延ばされるような会談であるならば、この自衛権の限度に対するわれわれの関心と、国民の重大なる関心を思うときに、総理はみずから先方にかくかくの理由でもって本日の会談はちょっと延期してもらいたいという工合に、こちらから申すべきであって、フィリピンのユネスコの代表と会わるることは、これは外交の問題として大半なことでございましょう。しかし今問題になっておる問題の重要性を思うとき、やはり向うから断わられる程度のものであるならば、こちらからお断わりになって本委員会に出席になるべきであったと私は思う。その点が鳩山総理の諸外国に対する態度として一つ御反省を願いたい。次に、その日は九時三十五分にユネスコ代表から時間延期の申し入れがあって、お断わりしたということになっておる。本委員会は九時三十分からでございます。ところが例に漏れず十二分おくれて開会になっております。それでありますから、そのフィリピンのユネスコ代表との会談がだめになったならば、直ちに民話をして、今からすぐかけつけるから、こういうような誠意ある処置をわれわれは望んでやまないのです。これでこそ初めて国会の審議を尊重する、民主主義政治下における日本国政府の代表としての価値を私たちは兄出すことができるのですが、その努力をなさらなかったことは、まことに遺憾しごくであり、極端な言葉で言えば、怠慢のそしりを免れないではないかと思うのでございます。そういう経過をたどって、船田長官がこのような、今申し上げたような答弁をなされました。ところが、その日わずか二、三時間後に参議院において、総理ははっきり侵略という言葉を使っていらっしゃる。そのことは、きのうのわが党の参議院の戸叶武君の質問に対して「海外派兵ということをわれわれは考えておりません。私も考えていないし、船田君も考えてない。飛行機でもって日本に侵略してくる飛行機の基地は粉砕してもいいというようなことを無条件に船田君が言うはずがない。これは条件があって、どうしてもその飛行基地を粉砕しなければ、そこに飛んで行かなければ、日本の防衛ができないというような場合には、その基地を侵略してもいい、侵略というのは、攻撃してもいいという意味であります。」それに対して、わが党の戸叶君の質問は「今の速記録は明快にとどめておいて下さい。単なる失言じゃないです。侵略してもよいという意味は、爆撃してもよいという意味であるということを総理大臣がみずから育っております。これはあらためて速記録を読んでから後に……」こういう再質問に対する総理の答弁は、「先刻、ただいまではありません、先刻戸叶君の質問のときに申したのは、船田君と私との意見の相違があるというときに私が申した言葉を大体記憶しているのですが、そのときに私の言いましたのは、船田君が無条件に侵略をし、攻撃してもいいということは言うはずがないということを言いました。それは条件があるに違いない。その条件というのは、その基地をも叩かなければ日本の防衛ができないというような条件、そのほかには条件がないというような場合においてはそのときにその基地を攻撃しても差しつかえないだろうという意味で船田君が言ったに違いないと私は思う。それならば私は船田君とは意見の相違はないはずであって、こういう答弁をただいま問題になる発言の前に戸叶君に私はしたはずです。速記録をよくごらん下いまして、海外派兵ができるという意味で船田君が言ったのではないだろうという否定の言葉を言っていることは記録を見て下さればわかると思います。侵略という言葉は非常に間違った言葉でありまするから、ここに正確に取り消しておきます。」このような発言がなされておりますが、何としても、われわれの大事な憲法は交戦権を認めていないはずです。無理やりあなたは自衛権を認め、それを無制限に拡大してこれを認めようとしますが、はっきり本音は、この前の参議院において発言されました通り、陸軍を持たない、海軍を持たない、飛行機を持たない、そのような憲法には反対だと言わっしゃっておられる。こういうところから、明らかに自衛権の範囲の拡大解釈は即交戦権と同じなんだということを、御自分みずから認めていらっしゃる、こういう立場に立っておる。そうでなければあなたのお考えの中には、侵略を受けた場合には憲法なんかはどうでもいい、憲法よりも国家だ、このようないかにも時代的な感覚にマッチするような考え方に、基本的に立っていらっしゃるのである。そのいずれかではないか、かように私たちは思うのでございます。それでこの船田長官を通じてなされた御発言、参議院においてなされた御発言、いずれを検討してみましても、これは明らかに自衛権の限界に対して重大なる転機を持っておる。強く言えば、国家のあり方に対して全く変った一つの契機を作っている御発言であると私はいわざるを得ないのです。平和憲法によって、われわれの世界の、この推進に合致する国を作ろうとするわれわれの努力を一切踏みにじって、そうして交戦権を認める、そういう戦争を誘発するというか、そこに飛び込むというか、そういうところに国家の志向というものを向けていく、その契機をこの発言は出しているのだろう、こう考えざるを得ないわけなんです。しかもこの答弁を見ますと、まことにその解釈に不徹底を覚えるのでございます。まず……。
〔「議事進行じゃないじゃないか」「本論に入れ」「発言中だ」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/89
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090・山本粂吉
○山本委員長 お静かに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/90
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091・西村力弥
○西村(力)委員 急迫不正の侵害が行われた、こういうことでございますが、急迫不正の侵害、確かに近代戦においてはそういう形をとるでしょう。しかしながら、わが国は遺憾ながら米軍が駐留し、東亜の平和を守り、日本の国を守るんだ、こう言っておりますが、たとえば朝鮮事変の場合において米軍が介入し出動する、その場合において日本の国においては、事前承認を求める権利がないはずだ。あるいは承認じゃなく通告を受ける権利もないはずなんです。ところがそういうような介入が朝鮮の国民にとって、向うにとっては急迫不正の侵害だ。こういうわけでその根拠地をたたくんだ、これは自衛の戦いだと、朝鮮の飛行機なり何なりが日本に来て攻撃をした場合に、かつてにアメリカ軍がお断わりなしに、われわれの知らぬうちにやった戦争によって、われわれの受ける侵害が急迫不正の侵害である。かように考えざるを得ないということになってくる。これは日本国民にとっては迷惑しごくじゃないですか。この前東京の小岩にジェット機が落ちた場合に補償の問題について私は本委員会で質問いたしましたが……
〔「議事進行と内容が違うじゃないか」「発言中だ」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/91
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092・山本粂吉
○山本委員長 お静かに願います。――お静かに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/92
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093・西村力弥
○西村(力)委員 そういう場合に、たとえば日本のわれわれの住家の上に、あるいは人間そのものの上に、アメリカ軍のタンクなり、爆弾なり、あるいは飛行機なりがおっこちた場合、それに対して……
〔「約束が違うじゃないじゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/93
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094・山本粂吉
○山本委員長 西村君に御注意申し上げます。議事進行に関して発言を許したのでございますから、どうぞ本論を率直簡明にお述べ願います。
〔「そんな議事進行があるが、内容が違うじゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/94
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095・山本粂吉
○山本委員長 お静かに願います。――お静かに願います。――どうぞ発言して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/95
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096・西村力弥
○西村(力)委員 こういう工合に、アメリカの爆弾なりあるいは油のタンクなり、そういうものがおっこちた場合に、アメリカ軍の戦闘行為における日本国民の被害であるが、それに対する補償は何ら要求する権利がないということになっている。こういうことではまことにわれわれは悲しいことなんだ。今言ったような工合に、急迫不正の侵害というても、われわれの責任が少しもない場合におけるその侵略に対しても、われわれは急迫不正の侵害として、そうして日本の青年を死地に追いやらなければならないということになってくる。この点もまことに疑義がある。そうしてまた米軍といよいよの場合には協議をするんだというが、米軍は日本を守る権利があると言っている。この間はダレスが台湾を守る権利があると言っている。彼らは日本を守る権利があると言っている権利の行使であるから、日本との協議は決して対等ではない。彼らの軍事行動に日本の自衛隊が付属させられるだけである。この協議は決して対等な協議ではない。そういう意味からいいましても、それはまことに困った発言である。こういう工合にいろいろあげてみますれば、いざという場合には、議会の承認を得ずして自衛隊の全部または一部の出動を命ずることができる、進めと、今度は十六万何千ですか、あるいは飛行機を置けばそれ以上になりますが、それに対して進撃の号令をかけることができるあなたが、侵略ができると怪々に発言をなさったり、あるいはこのように実に解釈に苦しむ、御判断次第によってはいかようにもできることでもって自衛権の限界をそのままにすり抜けていくというようなことは、これはわれわれ国会議員の責任として児のがすことはできないことなんであります。近く三月十七日か十八日ですか、ジョン・フォスター・ダレスですか、あの人が日本にやってくるようです。ダレスが何しに来るか。今までダレスさんが足跡を印せられるたびごとに、何か血なまぐさい問題が起きておる。そういうダレス訪日を前にして、鳩山さんの発言というものは、単なる失言だとわれわれは受け取れない、こういうことでありますので、私たちとしましてはこの防衛二法案を審議し、先ほどは高橋君の強引で審議打ち切りになり、ただいまはこれの撤回を求めたが、またそれも皆さんの多数の力で否決になりました。しかし問題は簡単に多数の力で押し切っていいものではない。国民のすべては、ことに次代をになう青少年は、この鳩山発育に対して重大なる関心を持っておる。また子を愛する母親やすべての人――まことにいい発言だと思っておるのは、鉄砲をかつぐ能力のなくなった連中だけです。鉄砲をかつぐ能力のなくなった連中こそ、鳩山発言まことにけっこうだ、こういうことになっておる。その次に、鉄砲だまを作ったが、特需が一千万ドルに減ったので、今度は何とか頼むというような連中、こういうことになるのではないかと思う。
それで私たちはこの際動議として提出いたしたいのは、明日鳩山総理が本委員会に御出席なさる、御苦労千万でございますが、その際にわが党からも、ほんとうにお互い国を憂える国会議員の仲間として、そうして自衛権の限界について徹底的に総理の御見解をただしていかなければならない。それが国民の負託に報いるゆえんのものである、かように考えるので、本日これから強引に採決をなさるようなことは絶対ないように、明日の質問が終って、全体の納得が国民の前に示される段階になりまして、初めて防衛二法案の採決にいくべきである、私はさように動議を提出するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/96
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097・山本粂吉
○山本委員長 ただいまの西村君の動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/97
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098・山本粂吉
○山本委員長 起立少数。よって西村君の動議は否決されました。
両案に対する質疑は終了いたしておりますので、これより討論に入りますが、別に討論の通告もございませんので、これを省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」「討論々々」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/98
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099・山本粂吉
○山本委員長 なければ、さよう決します。
これより両案について採決いたします。両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/99
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100・山本粂吉
○山本委員長 起立多数。よって両案はいずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)
なお両案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/100
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101・山本粂吉
○山本委員長 御異議がなければさように決します。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十五分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01619560301/101
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