1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月九日(金曜日)
午後一時五十五分開会
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出席者は左の通り。
理事
青山 正一君
重政 庸徳君
戸叶 武君
三浦 辰雄君
委員
池田宇右衞門君
佐藤清一郎君
関根 久藏君
横川 信夫君
河合 義一君
小林 孝平君
溝口 三郎君
森 八三一君
千田 正君
政府委員
農林政務次官 大石 武一君
農林省畜産局長 渡部 伍良君
水産庁長官 塩見友之助君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○本委員会の運営に関する件
○飼料の品質改善に関するの一部を改
正する法律案(内閣送付、予備審
査)
○漁港法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
○家畜取引法案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/0
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001・戸叶武
○理事(戸叶武君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
最初御報告を申し上げ、御了承を願います。それはかねて御決議になっております農林漁業金融に関する参考人の意見を聞くのは、来たる三月十三日火曜日午後一時からにいたしますから御了承を願います。
つきましては、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案についてお諮りいたします。この法律案は、昨八日衆議院を政府原案の通り通過して本院に送付、同時に当委員会に付託になりました。この法律案は、昨日の委員会において予備審査を終ったのでありますが、お差しつかえなければ、来たる十三日農林漁業金融に関する参考人の意見を聞いた後において残余の質疑を終り、直ちに討論採決を行うことにいたしたいと存じますが、お差しつかえありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/1
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002・戸叶武
○理事(戸叶武君) 異議なしと認め、そのように御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/2
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003・戸叶武
○理事(戸叶武君) 一、飼料の品質改善に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。
本法律案は、去る三月八日閣法第百四号をもって内閣から送付、即日当委員会に予備付託になったものであります。まず提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/3
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004・大石武一
○政府委員(大石武一君) ただいま上程せられました飼料の品質改善に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
畜産を振興して参ります上におきまして、飼料問題の解決が家畜家禽の生産力の増大、飼養管理方法の合理化、畜産経営の安定等の見地から重要な前提でありますことは、今さら申しあげるまでもないところでございます。しかして、この飼料問題の解決につきましては、量及び質の両面について従来から種々の対策が講じられているのでありまして、量の問題につきましては、別途飼料需給安定法等の適切な運営により処理することとなっていますが、質の問題すなわち飼料の品質の改善向上をはかりますことにつきましては、すでに御承知のように、昭和二十八年四月飼料の品質改善に関する法律が制定されて、これに基きまして飼料の登録、検査等が実施されて参ったわけでございます。同法施行後の状況を顧みまするに、飼料の品質改善上相当の効果を上げているのでございますが、なおこれを促進いたしますため、この法律の中心をなしております登録制度に関し若干の改正を加えるとともに、取締りの面におきましても必要最小限の強化をはかることが必要と考えられますので、今回この法律案を提出することといたした次第であります。
次にこの法律案の内容を簡単に御説明申し上げます。改正の第一点は、登録制度に関するものでございます。すなわち、現行の制度におきましては、登録は、製造業者または輸入業者の任意の申請に基いて行われ、かつ、申請にかかる飼料が異物の混入その他著しく品質が劣ることが認められる場合のほか、すべて登録を行うという建前になっているのであります。従いまして登録飼料と申しましても、必ずしも品質佳良なものとは申しがたい実情でありまして、登録制度の性格がやや明瞭を欠くきらいがございますので、今回登録の基準となるべき公定規格を設け、これに適合する飼料に限り登録を行うこととし、良質飼料推奨制度としての性格を明確化することといたしました。公定規格の制度につきましては、農林大臣が必要と認める場合飼料の種類を指定してその種類ごとに定めるのでございますが、なお公正かつ妥当な規格の制定を期するため、製造業者、輸入業者、販売業者または飼料の消資者におきましても、公定規格の制定を申し出ることができることとするとともに、農林大臣は、必要と認める場合には、規格の制定にあたり製造業者等利害関係人及び学識経験者の意見を聞くことができることといたしております。
改正の第二点は、飼料の品質の取締りに関するものでございます。この点につきましては、従来から品質の低下するような異物の混入を禁止する規定があるのでございますが、現在流通いたしておりますところのいわゆる粗悪飼料の中には、たとえば炭カル、貝がら粉末等異物とは言いきれない材料を多量に混入いたしましたものが何らの表示もなく流通し、ために家畜の生産能力を低下せしめ、はなはだしきはその健康を害するに至るという事例が少なからざる状況にあるのでございます。これに対処いたしますため、これらの材料を混入した飼料につきましては、その混入物の名称及び混入割合等の表示を強制することとし、消費者の保護をはかり、あわせて取引の公正化を期することといたしたのであります。またこれに伴いまして、この法律の適正な運営をはかるため都道府県知事に権限を委任することといたしましたほか、若干の所要の改正を加えたのであります。
以上がこの法律案を提案する理由でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/4
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005・戸叶武
○理事(戸叶武君) 本法律案の審議は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/5
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006・戸叶武
○理事(戸叶武君) 漁港法の一部を改正する法律案を議題にいたします。昨日に引き続いて御質疑を願います。
なお昨日の委員会の御決定によって、本日質疑を終り、直ちに討論採決を行うことにいたしたいと存じますから、御了承を願います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/6
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007・戸叶武
○理事(戸叶武君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/7
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008・戸叶武
○理事(戸叶武君) 速記をつけて下さい。
本案につきましては、質疑は終了いたしたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/8
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009・戸叶武
○理事(戸叶武君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。
別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/9
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010・戸叶武
○理事(戸叶武君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。漁港法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/10
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011・戸叶武
○理事(戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条による議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/11
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012・戸叶武
○理事(戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。
なお本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
青山 正一 重政 庸徳
三浦 辰雄 池田宇右衞門
関根 久藏 佐藤清一郎
横川 信夫 河合 義一
小林 孝平 溝口 三郎
森 八三一 千田 正
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/12
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013・戸叶武
○理事(戸叶武君) 次に家畜取引法案を議題にいたします。
この法律案につきましては、去る三月六日の委員会において提案理由の説明を聞いたのでありますが、本日はこの法律案審査の前提となる家畜取引の現状、その他の参考事項ならびに本法律案の内容等について政府委員の補足説明を聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/13
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014・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) それでは家畜取引法案の提案理由につきましては、先般御説明申し上げたのでありますが、それにつきまして補足的に御説明をさしていただきたいと思います。
まず最初に申し上げたいのは、昭和二十三年までは家畜市場法がありまして、明治四十三年から施行されまして、家畜市場の開設を地方長官の許可制度としておったのであります。ところが新憲法のもとにおける法律態勢からそれが適合しなくなり、あるいはまた取引の自由の原則を相当その法律ならびに施行規則において規制しておりまして、それが新憲法下ではうまくないというふうな関係から、昭和二十三年に進駐軍の命によって廃止されたのであります。それ後家畜市場そのものはなくなるわけではありませんので、北海道ほか二十県におきまして、おのおの条例を制定いたしまして、家畜市場の規制を行なってきたのであります。しかし御承知のように戦後畜産の伸び方は、先般家畜伝染病予防法のときに配布いたしました資料、ならびに本法に関係して配布しております資料にもありまする通り、急速に伸びてきているのであります。内容的に言いましても、馬の軍馬としての要求が減ったので伸びないそのかわりに、乳牛なり綿羊なり、ヤギなり、あるいはいわゆる和牛の伸び方は相当なものであります。そうしますると、どうしても家畜の取引の公正をはかるために法制的な措置が必要になってくるというふうになったのであります。ことに昭和二十八年に有畜農家創設特別措置法が国会を通過いたしまする際に、衆議院の農林委員会においても、家畜及び畜産物の流通機構の整備並びに価格の維持に対し、十分なる措置を講ずべしということが付帯決議としてつけられておるのであります。条例のきめ方なり条例の運用等についても、県の力の入れ方もまちまちでありますので、どうしても国としてこの問題を取り上げなければならないということになったのであります。そういう事情で法律を作ったのであります。
まず家畜の取引市場の状態がどういうふうになっておるかと申しますと、お手許に配布しました別の資料の第一表を見ていただきますと、あとから一枚の紙を第一表の訂正として差し上げておりますが、右の欄の一番下に合計が出ております。千四百三ということになっております。これは家畜取引市場についての法的規制がなかったので、調査をたびたびやることはできませんので、昭和二十八年度に調査したもの、それをその後是正していっている、こういうふうな関係でありますが、千四百三あるわけであります。県別にそれを出しております。東京、神奈川を除きましては各県にあるのであります。その経営主体は農協——県連、郡連、村農協が大部分でありまして、その他公営、あるいは個人、家畜商、会社、その他団体というふうになっております。その中でこれを多少内容的に申し上げますと、約千百が産地の市場であります。その残りが集散地市場、多少規模の大きい市場、こういうふうになっております。参考のために別に大きい地図をお配りしております。鹿児島県の牛馬の生産状況と、それに相応する市場の関係の図面であります。これは相当めんどうなので、全部の県の表を作るのには金がありませんので、参考のために、一番端の所で相当綿密な調査ができている所のを作っておるのであります。丸が子牛、子馬の生産頭数で、丸のあいているのが百頭単位、丸のあいていないのが十頭単位、こういうことになっております。赤が牛、青が馬、三角が市場、こういうふうになっておるわけであります。
そういうふうな状況でありまして、数は非常に多いし、それから必ずしも生産頭数と家畜の所在が経済的になっていない。乱立をして市場が成り立っていかないのもあるし、あるいは場合によりますと、もっと市場がほしいというような所もあるのであります。そこでそれをもとにしまして、現在ありまする条例を調べてみますと、きわめて微温的でありますので、私の方としましては、まず第一に家畜市場は登録制度としておるわけであります。
〔理事戸叶武君退席、理事三浦辰雄君着席〕
登録にしまして、家畜市場としてはっきりした県の認定をもらう。しかし従来の許可制度のように、新憲法下では営業の自由を侵すということはいたしません。できてきたものを順次いいものにしていく、こういうふうにしておるのであります。しかし運営がうまくいくためには、登録によりまして、法律案の第五条に、一定の欠格要件に該当するものは登録を与えない、こういうふうにしておるのであります。
それからどういうふうにして運営するかということは、必ず業務規程というものを定めさせるということを第六条に規定いたしております。これを県の登録簿に載せると同時に、市場を利用する人にもはっきりわからせる、こういうふう々仕組みにしておるのであります。
市場の中のやり方につきましては、これも取引の公正、円滑を期する最小限度の規制をやっておるのであります。第十二条から第十七条までにこれを規定しておるのでありますが、開設者は家畜取引前及び終了後に所定の事項を公表する。どれだけどういう価格で売れということが大体の内容になります。あるいは獣医師を置いて健康検査の要求があればいつでも検査してやるし、あるいは市場にはつなぎ場とか、あるいは衛生的に周囲に迷惑をかけないような畜舎とか、あるいは排泄物の処理施設を作るというようなことをやる。さらに場の取引はせりを原則とする。それから決済は必ず市場の開設者を経て行う、こういうふうにしておるのであります。いわゆる他の農産物あるいは水産物の中央卸売市場に比べますれば、取引が多少簡単でありますので、これだけのことを規制いたしますれば、一応従来とかく言われるそでの下の取引ということで、いろいろ不安あるいは疑惑を持たれておったところはなくなるということになると思います。
次に産地家畜市場は先ほども申し上げましたように、千四百のうち千百に及ぶ数字を示しております。それの状況を見ますと、家畜の生産された地域にあり、家畜を生産する農家がその生産した家畜を売りにいくという、すなわち家畜商同士の取引が主になる集散地と違って、農家が自分の生産したものを売るというのを産地家畜市場と言っておるのであります。主として小牛小馬を扱っております。しかし開催日数も少く、一日当りの入場頭数も少く、ほとんど全部が農協または地方公共団体で開設されておるのであります。率直に申し上げまして相当乱立しておる地域が多いのであります。従いまして、その結果は取引の公正が期しがたいし、手数量等もそう廉価でない、こういうふうな関係でありますので、でき得ればこれらの市場の開催者もしっかりし、比較的多数集めることができ、従って施設も手数料もりっぱなものができるような市場に再編することがいいと、こういう目的をもちまして第十九条から二十条までに市場の再編整備の条項を置いておるのであります。これは市場の再編整備をやったらいいという地域をその地域内の市場の開設者の申請に基いて都道府県がきめる、そうしますと、市場の開設者が談合いたしまして、生産者であるとか、そのほか利害関係人の意見も十分に聞きまして、一定の期間を定めまして話し合いで整備をしていこう、こういうのがねらいであります。そのほか市場外の取引ということも現在相当行われておりますので、そういうものにつきましても、まあ市場が確立すれば市場において取引されることを期待するのでありますが、しかし全部そういうふうにするというわけにも参りますまいと思いまして、市場外で取引する場合には、取引業者に価格とか、性とか、特徴というようなものを書いた証明書を契約書と同時に売り手に渡すというような規定を置いているのであります。
以上が大体ただいま出しております取引法のおもな点であります。
なお配付いたしておりまする表についてちょっと申し上げますと、第二表は家畜市場を上場される家畜の種類別によって分類してみたのであります。乳牛、役肉牛、馬、綿羊、ヤギ、豚というので、千四百の市場で二千二百八十のそういうふうな家畜の種類別に見ると市が開催される、こういうふうになっております。
第三表は一市場当りの上場される家畜の頭数別に今の表を分類してみたのであります。その表でごらんになりますように、百頭以下の市場が半分を占めている、百頭から六百頭の間がやはりそれに次いで相当の部分を占めている、すなわち産地の家畜市場が非常に多いということを示しているのであります。
それからその次は第四表としまして、これらの上場される家畜の種類別の表を掲げておきました。
それから第五表としましては、市場で何日ぐらいやられているかという分類に仕分けてみたのであります。
六表以下は、六、七表は家畜の飼養頭数あるいは飼養戸数であります。
八表では成畜子畜別に販売先別にどういうふうに売られているかという調べを出してみたのであります。
あとは牛の価格の変遷のグラフとかであります。
なおお断り申し上げておきますが、この調査は府県の報告に基くものが主でありまして、そのほかの調査を参考にしながら分析をしておりますので、必ずしも各表の数字がぴたっと合っておりません。その点はただいままで法律的な規制ができておりませんので、私の方で調査いたしましてもはっきりした数字が出ていなかったものですから、やむを得ずそういうふうな表になっておりますので、お断り申し上げます。
以上大体簡単でありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/14
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015・三浦辰雄
○理事(三浦辰雄君) 以上説明を聞いたのでありますが、これから質疑に入ることにいたします。御質疑の向きは順次御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/15
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016・森八三一
○森八三一君 三点お伺いしたいと思います。今御説明にもありましたように、この法律の制定前に、すでに多数の府県では、府県の条例その他の規程をもちまして、市場の開設の許可制だとか、あるいは類似市場の取締り等に関するいろいろの措置を講じているわけであります。そこでこの法律が実施になりました場合に、そういうような、すでに現存しておる都道府県等の条例、規程等によって行われておるものとの関連が一体どういうふうに整理されるかということが第一点でございます。
それから第二点は、ここで家畜そのものの公正な取引を確保していくということについては、一応の方法が打ち出されて参ったのでありますが、先刻おっしゃったように、委員会の付帯決議には、畜産物の公正な取引についても適切な措置を講ずべきであるという趣旨からいたしまして、枝肉なんかの取引の公正を期する、これは非常に現在では乱雑に乱れておると思うのでございますが、これまたこの法律を作って家畜そのものの公正な取引をやって、家畜の増産に資しようということは、その製品、枝肉なんかのことについても考えていかなきゃ、首尾一貫しないということにもなるわけでありますが、そういう点についてどういうようにお考えになっておるかという点を第二点としてお伺いをしておきたいと思います。
それから第三点は、再建整備といいますか、乱立している市場の整備をしよう、これは意味はよくわかります。わかりますが、そういうことが進んでいく結果として、生産者の庭と市場との距離がだんだん遠隔になっていくということから生ずる、産地市場の整備に伴って生産者に不利を来たすおそれがあるようにも思われます。また一方登録制度になることによって一種の独占的な傾向も持ってくるわけでありますが、そういうことからも、そういった危険が考えられますが、これに対してはどう取り組んでいかれるのか、一面臨時市場を開設することによるというような規定もございますので、そういうような規定によってこれを救済しようというようなことが考えられるとすると、そこにもまた臨時市場の開設によって一方には本来の市場の整備、再建をやろうということと全然逆の結果が生まれてくるということも、これは考えられるのでありますが、その辺のところをどうお考えになるのか、以上三つの点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/16
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017・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 最初の点は、法律が施行されますれば、当然その法律に従って市場開設者を法定の登録を受け、あるいは施設をしなければいかなくなる、条例は効力がなくなります。
それから第二点の主として枝肉の取引の改善をどうするのか、こういうお話でありますが、お話のように枝肉の取引改善は焦眉の急務だと思います。御承知のように肉の生産量は戦争前の約倍になっておるのであります。ところが屠場なりあるいは冷蔵庫の施設は前のままの状況であるといっても過言でないのであります。わずかに加工業者がある程度そういうものを自営するということによってやっておりましてもです、どうしても屠場の能力あるいは冷蔵庫の能力が足りませんので、肉に対する需要は非常に旺盛であるけれども、屠殺の能力が足りないから、あるいは冷蔵、貯蔵の能力が足りないから、小売り価格は下らないで、かえって成畜の価格は下る、こういうような非常に変な現象を呈しておるのでありまして、従いまして私の方の考え方といたしましては、まず屠場、冷蔵庫あるいは屠場における取引室の整備に着手したい、こういう考え方で三十年度におきましては、東京都の冷蔵庫あるいは取引室の整備を約四千万円の補助金を出して着手することにいたしております。さらに三十一年度におきましては、福岡、大阪、名古屋等の人口密集地の屠場、冷蔵庫等の整備に着手したい、そのためには見返り資金の利用等も考えていきたい、こういうふうに考えております。それができませんと、枝肉を中央卸売市場法の適用を受ける品目になっておりましても、取引をうまくやる場がない。そういうふうな状況でありますので、まず流通が行われる基盤を、施設を作っていきたい、こういうふうに考えております。従いまして、追っかけて枝肉等の流通の整備に関する制度も考えていきたいと、こういうふうに考えております。
それから第三点は市場の整備がかえってマイナスの結果を生ずるおそれはないか、こういう点であります。これを作るときにもそういう点非常に関心を払っております。従いまして無理にある勢力に支配されてですね、お話のような家畜を生産する農家が迷惑のこうむるような結果にならないような配慮を法律の条文に置いておるのです。従って条文としましてはまあ弱い。すべて話がつかなければやらない。それからたとえば二十条の四項にありますように、協議がととのわない場合には、都道府県知事の助言、あっせんを求める、そういうふうに非常にやわらかく規定いたしまして、関係地域の利害関係者、あるいは家畜整備をしようとする範囲内にある産地家畜市場の関係者が完全に意見が一致してからやろうと、こういうような考え方にしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/17
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018・三浦辰雄
○理事(三浦辰雄君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X01619560309/18
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019・三浦辰雄
○理事(三浦辰雄君) 速記をつけて下さい。
本法案の取扱いについては、懇談によってお取りきめを願ったように取り運びたいと存じますから、御了承をお願いいたします。
都合によって残余の議事は後日に回して、本日はこれをもって散会いたします。
午後二時四十八分散会
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