1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十二日(金曜日)
午前十時五十分開会
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委員の異動
三月二十日委員近藤鶴代君、草葉隆圓
君及び松澤靖介君辞任につき、その補
欠として田中茂穂君、館哲二君及び坂
本昭君を議長において指名した。
本日委員館哲二君辞任につき、その補
欠として草葉隆圓君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 千葉 信君
理事
高野 一夫君
榊原 亨君
山本 經勝君
早川 愼一君
委員
勝俣 稔君
草葉 隆圓君
紅露 みつ君
田中 茂穂君
谷口弥三郎君
横山 フク君
吉江 勝保君
片岡 文重君
木下 友敬君
藤田藤太郎君
坂本 昭君
山下 義信君
田村 文吉君
竹中 恒夫君
衆議院議員
野澤 清人君
国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
政府委員
厚生省保険局長 高田 正巳君
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本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律
案(山下義信君外四名発議)(第二
十五回国会継続)
○健康保険法等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○船員保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○厚生年金保険法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・千葉信
○委員長(千葉信君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。委員の異動を報告いたします。三月二十日付をもって、松澤靖介君、近藤鶴代君、草葉隆圓君が辞任し、その補欠として、坂本昭君、田中茂穂君、館哲二君が選任されました。三月二十二日付をもって、館哲二君が辞任し、その補欠として、草葉隆圓君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/1
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002・千葉信
○委員長(千葉信君) 健康保険法等の一部を改正する法律案(第二十五回国会参第一号)、健康保険法等の一部を改正する法律案(第二十五回国会閣法第四号)、船員保険法の一部を改正する法律案(第二十五回国会閣法第五号)、厚生年金保険法の一部を改正する法律来(第二十五回国会閣法第六号)、以上の四案を議題といたします。前回に引き続き質疑を行います。衆議院議員野澤清人君から発言を求められております。この際、これを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/2
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003・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 去る十九日の当委員会において問題になりました提案理由の説明書につきまして、御説明いたしたいと思います。その後、委員会の速記録の原稿等を調べてみましたところ、速記録の原稿も「国民全都の要望でありまして」となっており、お配りしてありました説明書も速記録の原稿を読み写したものでありました関係上、おかしな表現になっていたわけであります。しかし、私の御説明いたそうとしました趣旨は「国民全部の要望でありまする国民皆保険」ということでありまして、去る十六日に当委員会で提案理由の説明をいたしました際の私の説明の原稿もそのような表現になっており、また、過般衆議院におきまして提案理由の説明をいたしました際の速記録を調べましたところ、ただいま申し述べましたような説明になっております。当委員会におきましては、私の発音が不明確でありましたためか、速記の方々によく聞き取れなかったのではないかと思われますが、とにかく速記録に出ておりますことと、私の御説明いたそうと考えておりました趣旨が食い違っておりますので、あらためて訂正いたしたいと考えます。私の御説明いたそうといたしましたことは「国民全部の要望でありまする国民皆保険」ということでありますので、御了承願いたいと思います。なお、本日提案理由の説明を印刷し直して参りましたので、あらためてお配りしたいと思います。これによりまし、私の説明の趣旨を御了解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/3
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004・木下友敬
○木下友敬君 今の問題は、この前の委員会で私が質問をいたしたことでございますが、今野澤さんの釈明と申しますか、お言葉を聞きまして了承いたすことにいたします。と申しますのは、国民皆保険というものは国民全部の要望であるということは常識でございますから、そうおっしゃるのが当りえでありまして、自民党の中でも有数な代議士であるところの野澤さんが、健康保険の改正案が国民全部の要であるというようなことを断言なさることはあるべきはずでないと私思うのでございますから、これはあつさおっしゃる通りに私も了承する方がいいのだと考えますので、喜んで了承ることにいたします。(「異議なし」呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/4
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005・山下義信
○山下義信君 野澤発言の問題が、木下委員のきわめてフェアな御了承によりまして、きわめてスムーズに了承されましてけっこうに存じます。本日私は、野澤議員に若干の御質問を申し上げたいと思うのであります。それは今衆議院におきまして御修正になりまた点について質問に入ります前に、まず、付帯決議について伺いたいと思のであります。これはなかなか重大御決議のように拝見いたすのでありますが、見ますと四項目にわたっておるのでありましていずれもきわめて重要な問題であり、健康保険における眼目とでも申すべき事項のように見受けられるのであります。なお、この衆院の付帯決議につきましては、前の当委員会におきまして、厚生大臣におかせられましても、この衆議院の付帯決議に関して御所見を開陳せられておられるのであります。まず、この衆議院の付帯決議につきまして、この際御旨を明確にいたしておかなければならぬと思うのであります。この付帯決議が明確にならねば、衆議院におかれまして御修正になりました点の質問のいたしようがない、かように私は考えものでございます。まず第一点は、どういう御趣旨でこういう御決議をなれたかという点を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/5
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006・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 山下委員の御質問は第一点についてでしょうか、それともまた、全般にわたっての付帯決議を第一問として趣旨を聞きたいという御質問なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/6
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007・山下義信
○山下義信君 全般について、どういわけでこの種の付帯決議をおつけになりましたかという点を承わりたいのであります。なお、具体的に私が伺いたいと思う点を率直に申しますれば、議院の御修正だけでは不十分と考えられましてこの種の付帯決議をおつけになりましたのか、またいま一つは、この付帯決議を付することによって、何らかの政治的効果でも御期待になったのでしょうかというような点につきましても伺いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/7
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008・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 広範にわたっての御質問でありますので、なるべく御趣旨に沿うようにお答え申し上げたいと存じますが、不敏でありますから、あるいは足りない分はさらに追加いたしてお答え申し上げたいと存じますが、全体としましてこの修正をいたします際の要点はすでに御承知の通り、かなりこの法案に対する批判が強うございまして特に一部負担とか、あるいは機関指定、監査の問題、審査の問題、こうしたものが俎上に上りまして、そのほか衆議院としては標準報酬あるいは継続給付の問題、さらにまた、機関指定に対する三カ年更新というようなことも一応問題点となりまして、かなり活発な審議が続けられたわけであります。
その大体の審議の経過から見ますというと、一部負担に対しましては、これは原則的に一部負担の考え方はどうしても法律の上に残すべきであるという考え方と、また、一部負担は患者の負担が増額するから、これはどうしても除きたいのだという考え方の対立と申しますよりも、認識の上においてかなり懸隔のあった議論もありました。しかし、結論としては、一部負担についても、監査の問題につきましても、また、機関指定の問題につきましても、一応政府原案をという声が強い結果、審査の部分だけはかなり複雑にもなるし、しかもまた、医療担当者が不当に刺激されるという部分が指摘されましたために、かえって現在の審査委員会制度を審査協議会にし、また、別に審査委員会を設ける、常任審査委員会を設けるというような制度に対する危惧の念がかなりありますものですから、非常に重要な問題点であるということが指摘されました。特に、この審査委員が果して専門家によって充足されるかどうか、門外漢によってそうした建前をとられたのではかえって医療担当者が不安を増すのではないか、こういう御議論もありましたために、全体を通じまして、どうしても審査の条項だけはこの際全面的に削除しよう、こういうことに衆議院の方では結論を得られたわけであります。
そこで、一体こうした外部の世論といいますか、医療担当者の反対の理由といいますか、いろいろ解明してみますというと、実際にそうした心配も起きるし、また、反面思配の度合いというものがかなり最悪の事態を想定した心配の面もあるのではないか、こういうことで相当の論議が尽されたわけでありますが、たとえて申し上げますというと、審査の条項を削りましても、個人開業医の機関指定の問題は必要ないのだという御議論もありますし、また、反面少くとも今後の保険医療というものが保険医の身分の登録と同時に、今度は診療所を保険医療機関として指定する、こういうことは一人であろうと、複数以上であろうとも、これは当然行うべきであるという考え方と、個々の理解といいますか、認識といいますか、そうしたところにもかなりの差が現われておったようであります。そういう結果からしましてどうしても一般に二重指定といわれていますが、片方は保険医の登録でありますし、片方は機関の指定でありますので、この規定というものを素直に、もっと徹底した理解を深める必要があると同時に、個人開業医の場合、個人登録をし、さらに、医療機関の指定をするということは繁雑だ、こういうふうなお話も出ましたし、また、三年目、三年目の指定更新の際には、極力これを簡易な方法にできないかというようなふうのお話もあって、この点に関しましては、政府当局とも再三自民党自体としてもお話も申し上げ、また、委員会としても幾多質問をいたしました結果、個人開業医の指定更新の際には極力手続を簡易化する、こういう話し合いが大体できましたものですから、それでは強く付帯決議としてこれを取り扱おうじゃないか、こういうことでこの四つの項目の第一項目を取り上げたわけでありまして、これに関しては、政府も具体的にどうするのだという結論がおそらく皆様にお示しできる状態に近いうちになると思うのでありますが、私どもで強く要望しましたことは、たとえば三年目の更新の際に、この事務自体を医療団体が第四項目にありますように法制化でもされて一本化し、しっかりした団体の運営ができるということになれば、一部行政事務としてこれをおまかせすることも一つの考え方でないか。あるいはその手続のできないうちは、たとえて申し上げますと、簡単な通信文で、往復はがきのようなもので再登録の事務を簡素化するという、これはたとえばの話でありますが、そういうふうな方法も考えられるのではないか。要するに、手続上非常に煩蹟にならないように政府としても極力やってもらいたい、こういうことの例を申し上げて要望してあります。これらについては極力大臣も局長も簡易化するように取り計らいをしたい、こういう意思表示でありますので、一応こういう文章にまとめたわけであります。
それから第二項の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/8
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009・山下義信
○山下義信君 せっかく御懇切な御答弁のさなかでございますが、決議の各項目にわたってのこの決議をいたされました経過、御趣旨につきましては、また逐次伺うことにいたしまして、ただいま私が伺っておりますのは、総体的に、こういう御決議をおつけになりました御趣旨は、修正なさいましただけでは不十分であるので、この種の決議を強くおつけになりましたのかどうかということが一点。
第二点は、今この決議を付することによって、言いかえますと、事態の解決に大いに資することができると、政治的の御配慮とでも申しますか、そういうお考えがありまして、この種の御決議をなさったのでございましょうかという、付帯決議全体についての衆議院側のお心持を伺いたいと思っておりますので、ただいませっかく第一項につきましては詳しい御趣旨を拝聴いたしたのでございますが、まず、総体的にこの御趣旨の決議の目的と申しますか、お心持を率直に御披瀝を願いたい、かような質問の要旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/9
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010・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 御注意いただいてありがとうございました。
率直に申し上げます。第一点につきましては、修正点で法律そのものは差しっかえないという考えでありますが、たまたま誤解される部分が相当あるのではないかということを配慮した結果、付帯決議を一部つけることにいたしました。
それから政治的な目的をもってというお尋ねでありますが、実質上、政治的な目的というよりも、この健康保険法運営について一歩でも将来前進し得るような材料があったならばということもあわせ検討いたしまして、今度の付帯決議を書いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/10
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011・山下義信
○山下義信君 わかりました。大体付帯決議をおつけになりました御趣旨は、第一点は今お述べになりました通り。
第二点につきましては、健康保険の運営上必要な事項であるからと考えてこの種の決議をしたのだ、決してこの決議を付することによって健康保険の改正問題に対しまする事態の解決に大いに資するということは、そういう考えは持っていなかった、こういう御答弁のように伺いますが、さようでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/11
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012・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 言葉が足りませんものですから誤解が生ずるといけませんが、健康保険法の改正に対して慎重審議をした結果、衆議院としては一部修正をしただけで差しつかえない。けれども、この法律に対する一般の認識上の誤解もあるようであるから、これも付帯決議において補っていきたい、同時に、運用面等においての御心配もこれによって補っておきたい、同時にまた、将来に対する健康保険法を完全に施行するための要件としてこれらの問題も取り上げて付帯決議に盛り込んでおきたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/12
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013・山下義信
○山下義信君 私はこの付帯決議の御趣旨を伺っている趣旨は、何も直ちにこの内容について御議論しようとは考えておりません。本日の私の質疑は率直に御趣旨が明確になればよろしいのでありまして、この内容についての私どもの見解を申し上げることは他日にいたしたいということでございますので、御答弁もなるべく一つ率直に願いたいと思う。私がこの決議を見ますと、なるほど健康保険の運営について必要なる事項に注意を置いておいたという御趣旨もありましょうが、何といいましても、この健康保険の改正に対する種々なる外部の意見といいますか、この改正案をめぐっての各種団体等、あるいは世論等に対しまして、こういうところをわれわれは注意するのだからこれでいいじゃないかという、問題を円満に解決するために衆議院における御配慮というものが現われておるというようなふうな感じがいたすのであります。従って、そういう御配慮があったのかどうかということを伺ったのでありますが、その点につきましてはあまり重きをお置きになりませんような御答弁、ただいろいろ医療関係団体等の誤解を招くことをおそれて、こういう重要な問題について衆議院の考えている点を明確にしたのだという、軽くお触れになったように思うのであります。御答弁は御答弁で拝聴いたしますから、私はその御答弁のよしあしを申し上げません。しかし、だれが見ましても、虚心にこの決議を見ますというと、何としてもざっくばらんに申しますれば、お医者さんに都合のよいことのみがみなあがっておる、こうもしてよい、ああもしてよい、こういう配慮もするようにというこの付帯決議を見ますというと、まことに医療担当者に都合のよいような事項をみなお取り上げになっておる。これは先般の委員会におきましても、厚生大臣はこの付帯決議によって、医師会方面でも了承がもらえるとわれわれは思うておる。あくまで反対されるのは当局の真意を誤解しておるのであってわれわれはできるだけその誤解を解きたいと思うが、要するところ、衆議院の修正並びにこの付帯決議によって、私どもは医療担当者の了解が得られるものである、かように思うということを厚生大臣としても言及されておる。従って、私はこの決議というものは、ただ単に、将来の健康保険運営上についての衆議院の遠くをおもんばかった御注意だけではない。やはりこの決議を付することによって、この問題に反対している医療担当者側に十分政府与党の真意を示していただき、事態を円満に解決したいという御趣旨がこもっておったのではないかというふうに感じたものでありますから、率直に伺ったのでありますが、そういう意図はないということでありますならば、この決議の価値といいますか、ウエートといいますかというものにつきましては、私どもは考え直ししなくちゃならないと思いまするので、その辺の御趣旨を伺ったのであります。言いかえれば、この決議は相当医師会側の要望を入れようとする気持があったのか、あるいはまた、医師会側の意見も十分聞いた上であるのか、そういう点を私はこの決議の中にお心持が含まれてあるのかないのかということを伺ったのでございます。なお、私はその点についてはいわゆる政党内閣制の立場として政府与党は一体でありますから、この決議につきましても、先ほど申し上げましたように、当委員会で厚生大臣が御言及にもなりましたので、政府はこの決議についてどういうふうに受け取っておるか、どういう感じを持たれておるかという点につきましても、後刻野澤議員の御答弁のあとで厚生大臣の御所見を承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/13
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014・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 山下委員よりだんだんと御意見がありまして、さらにまた、御質問がありましたが、解釈のしようでこれはどういうふうにもとれると思いますが、私が申し上げた意味は、国民の世論を没却して付帯決議をつけたという態度ではありません。あくまでも国民の世論を基盤にして、この付帯決議をつけまして、同時にまた、健康保険法の運営ということは保険医療にいろいろの問題点がありますので、医師会等の要望に対しても十分検討を加え、その結果、医師会の要望等に対してもでき得るだけおこたえするという態度も返事いたしました。従って、医師会を重点にしたか、歯科医師会を重点にしたかというような問題でなしに、全体の世論の中枢を検討いたしまして、その結果、法案を通過させるに当っては、この程度の付帯決議はぜひとも必要だという考え方からつけましたものでありまして、ただいまの御批判のように、大して比重の重くないものだという御解釈は非常に迷惑すると思いますので、一つ山下委員の方でも、もう少し衆議院自体として苦心惨たんした跡だけを一つ御賢察を願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/14
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015・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまの山下委員の衆議院の健康保険法の改正案について、付帯決議をされましたことについて、政府は一体どういうふうに考えているか、先般私がここでお答え申し上げたような意味が党と一致した意味で、政党内閣であるからその辺も考えて答弁しろ、こういうようなことのように承わったのでございますが、政府といたしましては、この付帯決議に盛られております内容は、健康保険法の御審議を衆議院にお願いいたしている際に、いろいろと質疑応答の際に出て参りました重要事項でございまして、強く要望された点でございます。しこうしてまた、私もこの付帯決議に盛られた精神につきましては、政府といたしまして、これは考えを尊重してこれをやらなければならぬという意味のお答えも申し上げまして、事実またそういうような方向をとっていくことが衆議院の審議の際の各委員の御意思を尊重したい、こういうふうに考えておったわけでございまして、これは十分尊重して、そうして御要望に沿った解決をすべきものであると、こういうふうに考えておりまして、非常に重要なことだと、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/15
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016・山下義信
○山下義信君 私は、この付帯決議を付することによって、医師会側が了解をしておった、あるいは少くともこの付帯決議については好感を持っておった、あるいはこの付帯決議によって納得をしてもらえるつもりであったと言うならば、先ほど申し上げるように、この付帯決議は、いかほど医師会側に偏重された決議であっても、この付帯決議の目的というものは、健康保険の運営上に関する重大な要望であるにしても、一面においてはそういう目的が含まれていると言うならば、非常にこれは重要である。言いかえますというと、価値がある。大いにこの付帯決議の内容について私は価値がある。ただ単にこういう注意を健康保険法の建前、将来の運営上、こうあるべきだという一片の衆議院側の希望を表現せられたと言うならば、これはただ単に、さような希望はこの数項にとどまらぬのでありまして、これは幾多の重大問題がたくさんある、基本的な問題は無数にある、御承知の通りであります。特にこの四項目取り上げられて、しかも、当面医療担当者が非常に問題としておる点についてかような強い決議をなされたについては、医療担当者側がこの決議を付することによって、相当の了解をするであろう、あるいはこの決議を内示せられたか、示されたか、それはわかりませんけれども、相当この決議を付することによって、医療担当者が、納得をいたしたかいたさぬかは別として、ある点の了承、少くとも好感を持つということがあってこそ、これは非常に権威がある、私はそう思うのです。そういうことが考えられたかどうかという点をまず伺って、もしそういう点が深く考慮せられた決議であるならば、一つこの御趣旨を明確に承わるということは、非常に値打のあることである。ただ単に、一片の希望を述べられたと言うならば、私はここで伺うのはやめます。そのかわり、医療担当者はこの決議を重視する必要のないことをここで宣言をいたします。何となれば、与党の方では、衆議院におかれては、こういう決議によって、何も医療担当者の希望を満たそうという熱意が全然ないということならば、いい加減な決議である。ただ、当面、何というか、こういう決議をきわめて不用意にばく然とやっておいて、お茶を濁そうといった気持であるというだけにとどまるのであります。私はこの決議というものが、相当医療担当者側に重要な大きな影響を与える健康保険の改正に関する、少くともその方面の人たちの了承が得られるという、そういうお心持がある、権威ある決議ではないかと思いましたので率直に実は伺ったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/16
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017・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) だんだんと指摘されましたが、先ほども申し上げました通り、あらゆる面について強く要望にこたえ得るという考えでこの決議を作ったわけであります。ただいま山下先生のおっしゃられたような、医師会の意思というものが説得できるとか、了解ができ得るような自信を持ったものでなければ価値がない、こういう具体的なお話でありますが、自民党自体といたしましては、この医師会、歯科医師会、薬剤師会等の外郭団体に対する考え方、態度というものも、一貫した考え方で進んでおります。従って、この程度でありさえすれば、大体医療担当者も了解してもらえるものと信じてやったわけでありまして、先生のおっしゃるような御趣旨も十分取り入れてございます。また、委員会自体としましても、幾多の質疑応答の結果、付帯いたしました決議でありますので、尊重できるできないというようなお話でなしに、十二分に検討して、党の態度をきめ、さらにまた、委員会の態度を決定したわけでありますので、どうぞよろしくこの点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/17
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018・山下義信
○山下義信君 それならば、私どもは非常にこれを重要視しまして、権威ある御決議をなさったものというお心持に従って御質疑を進めていきたいと思います。従って私は、こういう決議をして医療担当者側の幹部といろいろお話なさったということはよいと思うのです。当然あるべき過程だと思う。そういう過程があってこそ私は政治であると思う。そのことが取引という言葉、語弊のありまする用語によりましていろいろ非難いたしまするということも、これは一面そういうことも言い得られましょう。しかし、当然あるべき経過でありますから、私はそういう点は、かりに事実があっても責めようとするものではありません。ただ遺憾ながら、これはお互いに遺憾とするところは、この決議をなされました当時の情勢と今日の情勢とが、先般の委員会で御指摘になりましたように、情勢が変化いたしましたということは非常に遺憾に存ずるのであります。従って、この決議を付することによって、医療担当者の了解を得ようとした、あるいはまた、若干のこの関係者の気持も汲んだということにつきましては、この際は私は当然そうあるべきことであるという見地に立ちまして、次の質疑を進めたいと思うのであります。つきましては、かりに関係方面の情勢が変ったといたしましても、お気持は依然一貫されてあることだろうと思いますから、その方の関係者が、どういう受け取り方をするかは別といたしまして、決議そのものは権威あるものでなくてはなりません。従って、そういう重要な権威ある決議ということになればなるほど、この数項目にわたるこの決議の内容というものは、きわめて明確なものでなければなりません、言うまでもないことであります。非常な不明確なものを決議されましてそう出して有効適切なる環境を望まれると恥いうことは無理であります。従って、私はこの数項目にわたりました決議を拝見いたしますというと、きわめて不敏にしてこの御趣旨を汲み取りかねるのでございます。言いかえますというと、この御決議の表現がきわめてばく然といたして、まあ忌憚なく申し上げますというと、あいまいな点があるように思われます。私はこの際、この決議の内容を明確に願いたいと思うのでありますが、そのうち特に本日伺いたいと思いますのは、第三項なんです。この第三項は非常に簡単に決議の字句も表現されておりますが、どういうふうにこれを受け取ればよろしいのでございましょうか、御明確に願いたいと思う。私どもでは、これはいわゆる多年の宿題でありまする一点単価の引き上げを解決するのだ、やるのだという御趣旨のようにとれるのでありますが、この第三項の意味はどういうふうに解釈すればよろしゅうございましょうか、御明確に願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/18
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019・坂本昭
○坂本昭君 関連して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/19
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020・千葉信
○委員長(千葉信君) 同じ問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/20
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021・坂本昭
○坂本昭君 山下委員に大へん悪いのですけれども、もうすでに決議事項の中に御質問が入りましたので、その前にまだ私納得できない点がありますので、入るその前に一つお聞きしたいことがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/21
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022・千葉信
○委員長(千葉信君) それでは今野澤君の答弁を聞いてからにいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/22
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023・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 第三項の問題に関しましては、たびたび質疑応答の際に大臣から御発言になりました将来の一点単価を含めた問題について、ぜひとも単価の値上げ等についても協力したい、また、それを実施したい、こういうことの再三発言がありました。さらに、従来この国会において取り扱われました新医療費体系等の問題もありますものですから、それらについての質疑応答もございましたし、そこでこの際、一点単価についての値上げが可能かどうか、また、従来問題点になっておりましたものを中心にした技術料の査定というものにも相当の高低がある、こういうことが新医療費体系というものの追及をすれば、ワク内操作ということになる。一点単価を上げることになれば相当な財政的な裏付けもしなければならぬ、こういうことのためにたびたび衆議院では質疑応答が繰り返されました。それで、大臣の方からお話がありましたことは、少くとも政策が先行するか、財政が先行するか、予算が先行するかというような議論も行われ、概して相当の決意をもって大臣としては進みたいという意思表示がありましたので、今回の決議に対しましては、診療報酬の点数の改訂も一部行なって、少くとも技術料も上げなくちゃならぬじゃないか、同時にまた、一点単価の値上げというものもやらなければならないじゃないか、こういうことで、すでに自民党内では党の態度を決定いたしまして、これらの保険医療の、保険診療の問題に関しましては、特別委員会を設けるということもすでに決定済みでありまして、近々のうちに発足いたすことになっております。従って、強くここに政府与党一体となってこうした待遇改善の面に極力努力をしたいという意図でこの付帯決議をつけたのであります。御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/23
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024・坂本昭
○坂本昭君 野澤委員から大へん御丁寧な御説明をいただきましたのでございますけれども、衆議院におきますところの審議の経過を速記録などで拝見いたしますと、まだ私たちとしましては、きわめて不満な点が多々あるのでございます。いつも委員会の御出席が不十分であったとは申しませんけれども、公聴会というような一般の世論を聞く重大な会議に大事な方が出席していなかったというようなことも指摘せられておりますし、そういう点で私、野澤委員がせっかく衆議院の委員会を代表せられまして、御説明いただきますその御親切には敬服いたしますが、果して十分な審議ができたかどうかについて、まあいささか危惧の念をいだいている。まあそういうことはあとで本論になりましたときにあわせていろいろお伺いいたしたいと思いますけれども、この付帯決議のことにつきましても、今山下委員からいろいろ追及がございましたが、非常に重大な決議でございます。その決議が、今のお言葉によりますと、与党の中でも、いろいろと討論せられ、また、衆議院の社労の委員会においても討論せられて、こういう付帯決議をつけられるということになったという御説明を今お伺いいたしました。ところで、その付帯決議が成立するまでの経過でございますね、私はそれについてまだ御説明を聞いていないのですが、その点をまず一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/24
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025・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 坂本委員からの、いろいろ危惧の念もあるというお話でありますが、これは衆議院において慎重審議を加えた結果、ここまでの結論に到達いたしましたので、御懸念については、なるべく御明解を願いまして、御了解の上において御検討願ったら大へんけっこうだと存じます。
それから衆議院における審議の経過でありますが、大体衆議院におきましては、一応の日程も立て、与党、野党ともに審議の目安をつけまして、話合いをした結果、お互いに十分これは質疑応答をしようじゃないか、こういうことで、いまだかつてないほど審議時間を十分かけまして、なお、野党の方からの御要望で、総理大臣、大蔵大臣、また、厚生大臣に対する委員会への出席の時間等も要求されまして、これらについても理事会等で十分お打ち合せした上に、前例のないほど慎重な態度で、重要法案でありますから、大臣も出席してやりました。重要な委員が出ていなかったじゃないかという御指摘もありますが、これは御承知の通り、衆議院の性格でありますので、野党の方から要求されて、定員を、という場合には必ず定員が出席して審議したという状況でありますので、御指摘のような問題については、全く慎重な態度で審議してきたので、その間の事情等につきましては、私からあらためてここでるる申し上げるよりも、速記録をごらん願う方が的確だと思います。どうぞ御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/25
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026・坂本昭
○坂本昭君 私の一番聞きたいところは、この付帯決議の成立についての経過を特に御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/26
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027・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 付帯決議に関しましては、与党の方の議員が、一応こうしたものを作りまして、お諮りしようというときに、社会党の方々は全部御退席になってしまいまして、それで継続してもかまわぬという態度で、席をけって出られたものですから、全会一致ということでなしに、あとで委員長も修正しましたが、多数で採決したという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/27
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028・坂本昭
○坂本昭君 そうしますと、この付帯決議については、これはつまり審議されていないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/28
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029・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) さようでございます。あ、失礼しました。審議はされ、この決議がなされたわけであります。失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/29
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030・坂本昭
○坂本昭君 そのときに、この付帯決議の取扱い方、あるいはその内容について、どういうふうな意見が衆議院の委員会においてはかわされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/30
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031・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) この付帯決議は、討論の際に決議案として提出されまして、委員長から特別に付帯決議案についての採決を願ったわけであります。そうして決定いたしたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/31
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032・坂本昭
○坂本昭君 先ほど山下委員は、医療担当者にきわめて都合のよいように見えていると、そういうふうな御意見を漏らされましたが、実は私必ずしもそうではないと思うのです。これは野党の意見と違っておってはなはだ奇怪かもしれませんが、必ずしもこの医療担当者に都合のいいようには私はこれはうかがわれない決議だと思うのです。今野澤委員の言われました通り、こまかい点は審議のこの記録を見ていただきたいということで実は私も読んでおりますが、読んでみますというと、どうもこの政府の御答弁には、これらの付帯決議に関係のある内容について、大臣としては調査を命じてある、そういうような御意見、御意思の表明がありましたが、実際はこの調査に取りかかる心がまえであるとか、調査に取りかかりたいとか、そういう点できわめてあいまいであります。この点は山下委員の指摘せられた通りであります。でありますから、私この決議の内容についてこういうあいまいなままで衆議院の方から当院の方へ回されたということについて私は非常な不満を感じているのであります。実は衆議院の委員会における全体的な態度がどうであったかということをお伺いしたいのですが、どうもこの付帯決議を審議されたときにはもう野党の方は退席しておっておらなかった、そして十分な審議もしていないということになれば、この重大な付帯決議について私たちはここでかなりこれはよく検討してみなければならない。私はそういう必要は非常に痛感するのであります。もちろん大へん野澤委員に対しては失礼でございますけれども、われわれの任務としまして、この付帯決議についてかなり批判的にあるいは少し時間がかかるかもしれませんが、そういう検討してみることについて、野澤委員としては別に御異存はあるまいと思われますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/32
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033・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) どうもこの御解釈の点がかなり食い違っていると思うのですが、私どもとしては、決してその審議の程度が不誠実であったとか、不行き届きであったという考え方は毛頭ありません。十分に慎重審議をした結果、たまたまこれを審議したときには野党の方がおらなかったというだけでありまして、しかも、その際にこれを議題にしましても与党議員ばかりでありますからほとんど質疑応答等は行われません。そのまま全員賛成でこれは通ったものであります。従って、自信をもって私どもはこの付帯決議をお出しいたしました。今あなたの御指摘になりましたようなことは、参議院の態度としてのお話ならともかくも、衆議院自体としては一応慎重審議をした結果、こうしたものを付帯決議いたしましたわけでございますから、誤解のないようにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/33
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034・片岡文重
○片岡文重君 関連して……。今の坂本委員の御質問に対して野澤委員からの御答弁でありますが、私は別にあげ足を取るとか、ごろにどうこうという、そういう小さな字句にこだわるのでは決してありませんし、先ほど来の野澤委員の御答弁を伺っておりますと、非常に御懇切に紳士的に御説明いただいておりまするので、好感を持って拝聴いたしておりますから、重ねて申し上げるようですが、決してあげ足を取る、あるいはこまかな字句に拘泥しておるということで御質問申し上げるのではありませんので、御了承の上で御説明いただきたいのですが、慎重にこの付帯決議を御審議なされたとおっしゃいますけれども、与党のみの席でもって審議されるということは、私は意義がないと思うのです。結局与野党があって、つまり国民全体の声というものが代表される形の中にあって質疑応答が続けられ、十分な検討がなされて初めて慎重審議がなされるものと思います。しかし、どういういきさつがあったか存じませんけれども、とにかく野党側がそろって退席をされたということになりますれば、その間にさらに話し合いをなされ、あるいは意見の調整をはからるべき必要がなお存しておったのではないかと私どもには与えられます。特に全員の賛成というよりも、出席されておったものの中では異論がなかったということであって、しかもその出席されておったものはことごとく与党の方々だそうですから、これまた、審議とか検討とかいうことではなしに、おそらく野澤さんの御人格と御識見から、提案されれば与党側の議員諸君はもうすべてこれはまるのみにされて御賛成なさろうと思うのです。従って、慎重審議ということに私はならなかったのではあるまいかと思うのですが、こういう点はなお特に先ほど来野澤委員がおっしゃられるように、あの付帯決議の内容が重要であるともしお考えになられるならば、その点さらにお話し合いをなされ、あるいは意見の調整をなさるべきではなかったかと考えるのですけれども、それをあえてされなかったということはこういうところに理由があるのでしょうか。なお、私はこの付帯決議の御説明に対する点について、先ほど山下委員からの御質疑に対する野澤委員の御著弁には、前後必ずしも一貫して、この付帯決議に対する意見が表明されているとは拝聴されなかったのでありますから、この点については、後刻またお尋ねしたいと思いますけれども、まず最初に、もう少しこの点について意見の調整、あるいは野党との話し合い等について御考慮をいただけなかったものか、また、する必要がないとお考えになられたのか、あるとお考えになられるとすれば、なぜそれをされなかったのか、それらについて、もう少し詳細に御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/34
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035・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 私が先ほど坂本委員に速記録をごらん願いたいと申し上げたことは、今のような問題が出るといけませんものですから、これは丁重に、私が余分なおしゃべりをするといかぬものですから申し上げただけでして、実はこの決議案を作る内容というものは、衆議院の社会労働委員会を通じまして与党、野党ともにたびたび意見の出ましたことを総合したものでありまして、特にこの第一項、二項、三項に関しましては、これはむしろ野党の考え方が多分に取り上げられたと見るべきであります。そういうことを、与党の方としまして十分にこれは党自体としても検討した上に、こうした付帯決議に持ってきましたので、審議の経過において、決して与党だけでもって独善的にやったという事柄ではありません。ただ事態がちょうどこの決議案を作るときに話し合いができなかっただけでありまして、ただし翌日再度理事会も開き、委員会も開会いたしまして、特例をもって、特例といいますか、すでに議決された案件についての意見開陳も野党の方で十分していただきまして、その上で本会議に上程したという状況でありますので、この件に関しましては、この付帯決議が野党の方も全然意見を述べなかったというのではなくして、十分御検討された上、この付帯決議は賛成でございすというお話し合いも、意見の開陳の際にございました。そういうことで慎重に取り扱って持って参ったものでございますから、どうぞよろしく御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/35
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036・山下義信
○山下義信君 いろいろ関連して同僚諸君の御質問があろうと思いますが、まあ先に進むこととして、私はなるべく時間をかけないようにいたしたいと思うのです。ただし、御答弁が不明確であればやむを得ません。明確になるまで伺わなければなりませんが、第三項を私は聞くのです。他の項目は機会があれば伺いますが、とりあえず第三項を聞くのです。それで第三項の御趣旨につきましては、ただいま野澤委員からお話がありました端的に申し上げましてですね、第三項の決議はいわゆる価値上げをやろうじゃないかということが中心だろうと思うのですね。それで今お話にありましたような、もとより関連して診療報酬の制度全般にわたって検討を加えるということであります。御説明の中にもありました新医療費体系についても関係して再検討の中に含まれましょう。しかし、そういう問題は何もここで事新しくお取り上げになって御決議になりませんでも、すでにそれぞれの所管の調査会、協議会に取り上げられてあることでありましてですね、ここに事新しく特筆大書されましたゆえんのものは、自他周知のごとく、言うまでもなく、一つ多年の懸案である単価の値上げをやろうじゃないか、こういうことが第三項の御決議の中心であると私は思います。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/36
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037・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) 御指摘の通りでありまして、ただし、単に一点単価を値上げする、というだけではおそらく医療担当者も満足しまいという考え方から、診療報酬の点数の問題も加味しまして、医療報酬全般の支払いに対して再検討する。御指摘の通り、新医療費体系というものはすでに国会でも審議され、別の審議会等において調査されておりますが、そうした過去の事例は一応参考にはし得ても、これにかかわりなしに、とにかく大臣も決意をしておることだから、単価の値上げをしたい、その通りいき方としては診療報酬の点数の問題も一応考慮に入れるべきじゃないか、こういうことで単価の点数の改訂と単価の値上げというものを重点にしてこの決議案を作ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/37
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038・山下義信
○山下義信君 私はですね、年をとりましてむだな質疑はいたしたくないと存じまして、はなはだ失礼でございますが、衆議院の方で御審議になりました過程も拝読いたしました。衆議院の方の審議の御過程を見ますると、この単価問題に関する限り、どうも当局の御真意が私にはつかみかねる。この委員会でも厚生大臣しばしば言及なさった、相当お言葉数も多く御言及になったのでありますが、しかしながら、どうしても私は真意をつかみかねる。そこで本日は、私は当局の御真意、すなわち御決議の御趣旨を政府、与党から明確に願いたいと思う。言葉の上のあやはともかくといたしまして、政府の方では、どの程度までこの問題に取り組むことを明確に審議されておられるのかということを承わりたいと思います。たとえば、この問題に関する限りは閣議の了解が得てある、こういうことですが、閣議の了解、どういうことになっておりまするか、これも御明確に願いたい。閣議の了解ということだけでは私どもはわかりません。閣議の了解がどういう程度に了解されてありまするのかお示し願いたい。下僚に命じて調査が命令されてあるとおっしゃった、どういう命令が下されてあるかということも明確ではございません。ごまかせば畿らでもごまかせます。この問題は、失礼ではありますが、ごまかそうと思えば畿らでもごまかせます。何も当局はこの問題に対する態度をごまかそうという御趣旨はもとよりおありになろうはずはございません。明確でないと自然そういう失礼な疑惑もいたさなければなりません。そこで私は、単価のいわゆる改訂問題ということを政府としては正式にどういう御方針をお立てになっておるのか。ただばく然と診療報酬全体を調査してみろ——こういうことは単価の引き上げの方針じゃございません。単価に関する方針とは、調査してみよ、調べてみよ、資料を集めてみよ、検討してみよ、それはあなたが今おっしゃられなくても数年前からやっている。臨時診療報酬調査会、新医療費体系については中央医療協議会とそれぞれやっておるのであります。かようしてみよ、かようそれを調査せいというようなことが、そんな、それを催促すること、促進することが閣議のそんな重要な事項でございますか。少くとも政府においては、単価を引き上げるという方針をきめて、その方向で調査するのだとか、具体化しなければ方針というものに私はならぬと思う。いろいろ御説明や衆議院における御答弁の模様を見ますると、そういう具体的な、基本的な方針に対しては、きわめてあいまいな御答弁をお述べになっているように伺えますので、当局の具体的な基本方針はどういうふうにおとりになっておられるのか、閣議ではいかなる内容が了解事項となってありまするのか、また、事務当局にはいかなる具体的な御指示が相なってありまするのかという点につきまして明確に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/38
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039・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまの山下委員の単価改訂に関する問題、まことにごもっともなお尋ねでございますが、これは衆議院の社労の委員会、あるいはこちらの委員会等においてもお答え申し上げたのでございますが、徹底ができなくてまことに残念でございますので、もう一度申し上げまして御了解を得たいと存じます。
単価の改訂の問題につきまして、これはもう長いことの懸案であり、要望のあったことはこれはもう御承知の通りでございます。そこで、健康保険法の継続審議をお願いするか、あるいは一ぺん取り下げて再出発するかということが石橋内閣の閣議でございまして、これを一ぺん検討してすぐ一つきめたいということでございまして、その際に時間もなかったのでございまするが私ども厚生省の省議といたしまして検討を加えたのでございます。その際に、今の情勢においては一つそのまま継続して御審議を願おう、しかし、この一点単価の問題はこれ以上放置できないから、これは一つすぐ調査をしてもらおうじゃないか。これは値上げをするという前提で調査をしましょう。しかもこの一点単価もいろいろ議論があるようでございます。私もしろうとでございまして、関係が浅いのでございますが、当時まだ浅かったわけでございますが、一点単価をそのまま一体値上げをすることが合理的であるか、ことに薬の薬価が非常に下っておるという問題、それから今までの点数、単価等におきましては、薬の薬価代の一割をお医者さんの方の報酬というようなきめ方でございまして、すでに薬が下っておる。それを新薬を加えるものももちろんあるのでございまするが、下っておるものを、今の一点単価主義をとって参りますると、下った値段で一割だということになってくると、単価改訂というものは、すなわち医師の収入の減少という問題になってくる。そこで、私は二十四年、二十六年の改訂等におきましていろいろ事情があるかとは思いますが、そういうきめ方自体について実は疑問を持っているのであります。薬の単価にかける一割が医師の収入だ、私どもはそういうふうに考えないで、やはり病院なり、あるいはまた、診療所の経営単価というものがございまして、お医者さんのこの技術というものを一体どういうふうにこれは表わしていくかということが私は問題じゃないかと思うのであります。ただ薬代に一割かけるのだということでは、きめる方は非常に樂かもしれませんが、きめられる側からとってみると、これは大へんなことであります。ですから、今の現制度でも、一つどういうふうにそれならば医師の技術というものを見ていくか。ことにまあ患者の増減によってこれはやはり経営が違って参りますので、そういう面もこれは考えなければならぬわけでありまして、お医者さんが企業として成り立っていく、現在の社会情勢の中にお医者さんのお仕事が、正当に報酬を得るというようなあり方を、どういうことにすれば一番正しくいくか。そこで今の制度そのままを取り入れて改正した場合には、一体他のベース・アップもみな出ている際でありますから、見合ったならばどういうことになるか。それとも、七人委員会でございますか、その方からもいろいろ今のよりも他の方がよいというような案もあるようでございます。あるいはまた、諸外国の例もあるようでございまして、私どもといたしましては、まあこの辺で一つ今の一点単価そのものをいじるだけにこだわらないで、一つ、一案、一案、三案と申しましょうか、もっと合理的なものが出てくるのじゃないか。そうしてこれを一つ、これは専門的にも外部の御協力をお願いしなければならないし、十分資料として一つまとめてくれないか、そうして検討しよう、その結果、どれだけ上げるべきものであり、あるいはまた、財政支出がどういうことになるかということが出て参ろうと思うが、それはあるべき姿というものを一つまず出しておいて、そうして財政上それは聞ける、あるいは財政上今年は聞けないが、来年は聞くと、何かそういういろいろ、そういうことは一つあとのことにして、厚生省としては、今までどうもお医者さん方の過重労働によって健康保険というものを押し進めてきている。そこに問題があるのだから、これはもうこの際、一つ思い切った改正案を出したい。だからこれは国家予算に関係することでございまするから、その方をつかみ金で相談したのでは、ほんとうのあるべき姿が出ないから、私は専門家でないからよくわかりませんが、企業の経験がある立場から、そういう感覚で、一案、二案、三案というような、一つものを資料として急速にまとめてくれないか、こういうまあ命じ方をいたしたのでありましてと同時に、この継続審議をお願いすると同時に、これはまあ先般もお答え申し上げたのでありますが、政府といたしましてこれを十分なおもう一ぺん検討するということは、時間的にも余裕がないから一ということは、これはまあ政府側の熱望でございますが、三十一年度に政府の補助金三十億円というものをちょうだいいたしたい、そういう計算で参りますると、継続審議をもう一ぺん引つ込めてまた出すという時間的余裕がないから、両院の権威に訴えてそこでもう一度御審議を願いたい、と同時に、一つ急いで今の一点単価の問題をこれは医師の待遇改善という意味で、今まで犠牲をこれはもうかけ通しであった、これは何としても合理的なところに持ってこなければならぬ、それは一体政府がそういうことをのんでくれないと、この健康保険法を国会に御審議願っても、そういうことをほんとうにやるのだということを厚生大臣が答弁する、また、事実それをやることを政府が認めてくれるということでないと、私もこの健康保険法の御審議を両院にお願いできない、このことを閣議で申し上げたわけであります。閣議におきましても、閣僚諸公がよくその間の事情を——これはもう長いことの問題でございますので、御了解されておりまして、それは厚生大臣の言う通りだ、皆が一つ応援しようじゃないか、そこで早く一つ資料をまとめなさい、こういうのが政府の申し合せ、と申しましょうか、閣議の御了解だということを私は申し上げた。これは一度ならずもう……、これはなかなか、申し合せ、御了解でございますから、あらゆる機会にこれほ何回となく——実は国家予算があとでこれは問題になることでございますから、独走するわけには参りませんが、御了解願えたということと、それから一方党に参りまして、党の大役、あるいは総務会等におきまして、この間の経緯を申し上げまして、党といたしましても、重大な決意をもってこれは取り上げなきゃ困るのだ、健康保険法を通してもらう、そしてあとはいい加減にされたのでは、担当大臣としてこまるし、また、実際にこれはもうお医者さん方の長いこと、この法案に対する御不満ということの点もよく存じておりますので、よって来たった事情もいろいろあるようでございまするから、こり際、抜本的にいろいろな懸案を解決いたしたい、こういうことでございます。この点につきましては、衆議院の社労委員会におきましても、もう非常に突き詰めた御質問でございまして、これを通して食い逃げするのじゃないか、そういうことがあってはならぬということでございまして、私もそういうことは考えておらない、事務局にもこうして資料を集めさせておるし、ただそのどういうことになるか、どういう程度になるかは、ここでその結果を見て考えなきゃならぬことですから、具体的なことは申し上げかねるが、とにかくやります、もし私がそうでないと言うならば、これはいい加減なことを申し上げている疑いがあるならば、それは担当以外の関係閣僚にお聞きになってもよろしいのだというようなことから、大蔵大臣、あるいは最高首脳部の総理大臣の出席を委員会が要求されまして、そして、厚生大臣はしばしばこういうことを答弁しているのだが、一体それは政府閣僚一体としての了解事項であるかということまで突き詰めたわけであります。大蔵大臣といたしましても、厚生大臣がしばしばそれは閣議で了解を求められておる、自分としても、厚生大臣が適当な案を作って参るときには、相談に乗るということになっておるということを言っておられまするし、また、総理大臣といたしましても、そういうことをお答え申し上げております。
それで、ことにこのただいま問題になっております付帯決議の際には、与野党意見を異にしたと申しましょうか、いろいろ事情があったようでございまして、野党の総退場のもとで行われたようでございまするが、その後、両党の話し合いによって、さらにまた、総理、大蔵大臣の出席を求めまして、この付帯決議については、誠意をもってやるかという野党側のお尋ね等かございまして、それにつきましても私から、また大蔵大臣、総理からも御満足のいくような御答弁を申し上げまして、野党の方々からも、ほんとうにこのわれわれ健康保険法の改正には反対だが、この付帯決議そのものについてこういうことをほんとうにやるというのなら、応援を惜しまないというような声援を受けたような事情もございます。これはもちろん非常に重大なことでございまして、山下委員御指摘のように、簡単なことではございません。私はそこでこの付帯決議は、私がお答え申し上げ、そして大蔵大臣もお答えしておるのでございまするが、さらにこの決議がそれを縛って、しかも与党もこれをやれという、与野党一致の声でございますので、これはもうやることをやれという声援であり、同時に、命令だと、こういう強いものであるというふうに私は考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/39
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040・竹中恒夫
○竹中恒夫君 今、私まだ野澤先生にいろいろお聞きしたいことがあるのですけれども、それに関連して、発展していって、今日問題が出ましたので、ちょっと大臣にお尋ね申し上げた方がいいと思います。
今日の事態において、単価値上げは常識になっておるわけなんですが、今の御説明を聞きまして、私が最も懸念するところは、単価の要素は、薬の薬価が非常に重要な要素であって、薬価によって左右されるような御答弁であられた。これは仰せのように、よくしろうとでわからないからということなんで、それで一応それはけっこうなんですが、単価の算定の要素は決して薬価という事柄によってのみわれわれは従来からやってきておりませんし、もしそういう御認識でもって単価を大臣が考えられておると非常に困るわけなんです。単価の要素には、もちろん生活費もあれば、医業の再生産あるいは減価償却その他税金の面、資材の面あるいは医師、歯科医師の稼働時間、一日にどれぐらい働くか、この稼働時間からの一分稼働価格というようなものも考え合せての価格でございまして、単に薬価が一割上ったからどうこうというようなものでないということを一つ御認識を願っておきたいと思うわけなんです。そこでなお、私が懸念いたしますところは、健康保険法と単価の問題とが、取引すべき筋合いのものでない、あくまでも単価の値上げというものは、もう二十六年以来のことでございますからして、保険法が改正されようと改正されまいと、適正な医療報酬金を算定する義務を怠っておったわけでございまして、今急に健保案が出ておるから、その取引としてやるというような考え方でやられては困るし、また、われわれも、当局はそう考えておるとは思っておりません。思っておりませんが、とかくそういうふうに考えられるわけでありますが、そこへもってきまして、最も私が懸念いたしまするところは、単価と点数と両方付帯決議にあるように考えられるのだということでございまするが、この付帯決議の趣旨は、医師の待遇改善ということでございますからして、点数を下げろ考えではないでしょうし、単価を下げる考えでないと思うわけなんです。そういたしまするというと、点数と単価の相乗積が報酬金になる関係からいたしまして、非常に大きな私は財源が要ると思う。なまやさしいものでないと思います。重大な決意をしておられる、総理大臣初め、大蔵大臣よく了承しておられるようでございますからして、一応その点は信用いたしまするが、相当大きなものであるということを強く前提にしなければいけないと思うのでありますが、そこへもって参りまして、私は非常に最近、新聞その他で見ておそれますることは、せっかく大臣がそういうようなお考えであられるにかかわりませず、事務当局のこれの表現が、必ずしもそうでないと思うわけなんです。たとえば単価の値上げということを、これはごまかしといっては語弊があるかわかりません——わかりませんが、概算払いだとか、現金表示の方法でやるとかあるいは請負制度の方法があるとかというように、医療報酬金の支払い方を、単価の値上げをしなくてもほかの方で考慮できるのだと言うておられるわけです。なるほどそれはできます——できますが、今単価問題を論じておるときに、ピントをぼやかして、そこへ持っていくということには、その底意にはごまかしがあるのじゃないかという懸念をわれわれ持つわけなんです。と申しますることは、財源が、事務当局としては非常にこれは大きいのだという懸念がありまするからして、当然そういうことも考えられるのじゃないかと思うわけなんです。そこで私がお聞き申し上げることは、大臣の考えと、事務当局とは、必ずしも一致いたしておりませんということなんですが、これは実は社会保険週報というのに出ておりますが、三十二回の健康保険連合会がこの間ありました。高田局長も出席しておられたようでございまするが、この記事が真意であるとするならば、非常に大きな食い違いが出てくるわけなんです。名前は申しませんが、ある事務当局の相当責任のある方が、単価問題は、一点値上げをしても百億をこえる財源を考えねばならぬので大へんであると、問題はまだそこまで突きとめて考えていない、こういうことなんです。問題はまだそこまで突きとめて考えていない、大臣は非常に突きとめられまして、閣議なりあるいは与党の三役なりその他の方面に十二分にそのつもりで、決心でやっておられるにかかわらず、事務当局は、まだ問題はそこまで突きとめて考えていない、虚心たんかいに検討し、必要とあれば考慮したいというのである。必要とあればというようなことを事務当局が公開の席上で言うということは、一体何事かと言いたいのですが、それは今、大臣に対する私の質問の範囲外でございますからそれは申し上げませんが、そういうように、事務当局と大臣との間に非常に考え方に開きがあるという点から考えまして、非常に私は疑点を持たざるを得ない、あるいは実際に移す場合に、実行難に陥るのじゃないかということなんです。ですから、衆議院でもいろいろ知りたがったのはそういう点だろうと思います。決して大臣の人格を疑うとか、政治的な逃げ口上とは思いませんが、現実に果してこれがここ半年や一年でやり得る、適正な報酬金を算定し得るところの財源があるかないかという問題と、それに対する考え方が、大臣と事務当局とは違うという点において、私、はなはだ遺憾に思うのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/40
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041・神田博
○国務大臣(神田博君) いろいろ御注意を承わったわけでございますが、私が先ほど申し上げた一点単価のあり方についての御注意は、これはもう私も承知いたしておりまして、お述べになられた通りの事情でございますから、ただそういうようなことを重視しておるという意味で申し上げたのでございまして、御了解願いたいと思います。
それから何といいましょうか、今お述べになられました大臣の考え方と、それから省内の考えと違うじゃないかというようなこともよくお尋ねを受けます。しかし、これは私、まことにこれは微力でありまして恐縮でございまするが、どなたがそういうことを言われたのか、今お聞きいたしましたその雑誌も、私よく——実は今初めて伺ったわけでございますが、局長会議、省議でこれをやるということをはっきり申し渡しておりまするし、しかもこれは私が勝手に頭から命令したわけではございませんで、十分そこに討議をいたしまして、検討を加えまして、数回検討いたしまして、そこでやるということを踏み切ったのでございまして、その点は私は、たくさん厚生省にも人がございますから、いろいろ個人的な考えの異なった方もあろうかと思いますが、省といたしましては、すっきりした気持で踏み切っておりまして、もう改正しなければならない段階だと、そこで調査をいたしましょう、さっそく取りかかりましょう、こういうことを言っております。これはあとで保険局長からもお答えさせたいと思います。上の方が勝手にきめた命令でないことは事実でございまして、よく御相談した結果、省議としてやることにしようということでございますから、これは御了承願いたいと思います。もし反するようなものがございますれば、それはまた具体的なことについていろいろ考えて参りたいと思います。
それからもう一つ、これは大事なことでございますが、政府は一体、健康保険法を通す材料として、医師の待遇改善のことを言っているんじゃないか、こういうことも私、再三耳にいたしておりますが、そういう考えは毛頭ございません。これと関連なくとも、これは当然やる時期がきておりますことは今お述べになった通りでございまして、そういう感覚で私ども考えております。ただ衆議院でもお答え申し上げましたように、何といいましても、この健康保険法の一部改正をお願いしているということは、厚生省といたしましても、政府全体といたしましても、今までのいきさつからいっても、これは非常に大きな問題でございますから、これと取り組んでおりますると、勢力がこちらの方に取られまして、そちらの改正案の資料を集めたり、それを検討する余裕がない。そこで、前後しているということだけは御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/41
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042・山下義信
○山下義信君 私は一点単価の改訂の中身の議論を今伺っているんではない。関連して、竹中委員の財源云々のことがありましたが、これらは中身に入ったときにまた一つ御質疑を関連なり何なりしていただくことにして、私はこの御方針を、いわゆる単価改訂といいますか、医師に対する診療報酬の、いわゆる引き上げといいますか、そういう方針をおきめになったことを明確にただしたいというのが、私の今、質問であったんです。それで私は、大臣の言葉を疑うなんてそういうことはございません。いやしくもあなた、一国の閣僚の言葉を疑いはしません。しかし、不明瞭ということは、疑いじゃございませんから、不明瞭な点は明確に願いたい。こういうことで、それを閣議の了解々々とおっしやいまするが、それは非常に重大で、政府部内の意思統一に御努力願うということは、これは非常に重大な御努力でありますが、しかし、先ほど申し上げましたように、ただこの問題だけを一つ促進するとか、調査するとかというばく然じゃいけませんので、いわゆるその医師に払いまするこの診療報酬の引き上げということが政府の御方針になりましたのか、つまり閣議決定というところまではいかなくても、閣内の了解は得られたのか、従って、厚生大臣としては、事務当局にこの診療報酬の引き上げの方針で作業をしろと、こういう具体的な御命令が出たのか、ただばく然と調査をしろ、まあできることなら少しでも引き上げができたらええことじゃが、何ぞできる方法はないか調べてみいと、穴探しのようなことをばく然とおっしゃったのか、具体的な御方針で御命令が出たのかということを伺ったのですが、その点はまだ御答弁もない。事務当局にどういうふうな御指示をお下しになったかということを尋ねまして、たまたま竹中委員が関連して事務当局の御見解が云々、何かに出ているということの御質問があったんですが、私もその点を伺いたいと思ったんです。どういう具体的な御指示を大臣として事務当局にお下しになったかということをお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/42
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043・神田博
○国務大臣(神田博君) 適当な線まで上げるということをはっきり言いました。上げるという方針で調査するということを申してあるのでございます。それからこれはまあ医師会の方にも要望がございますので、そちらでも案を作って出してくれというお願いを申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/43
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044・山下義信
○山下義信君 大臣の御答弁は率直できわめて明確でありました。そこで私は保険局長に伺わなければなりません。保険局長は、単価引き上げ、診療報酬の引き上げという方針が示されて、これによる作業の御指示を受けられたかどうか、これはまあこの席で伺うのもどうかと思いますが、これはもう言いにくいことでありますが、これも率直におっしゃって下さい。禍根があとに残りますと大へんなことが起きる。で、この点に関することは、まあ外部はともかくもといたしまして、衆議院の方の御論議におきましても、局長の御答弁も明確でない。局長の御答弁をここに抜き書きしてきましたが、大体においてその引き上げろというような命令は受けていない、まあ総合的に一つ案をまとめてみいという命令は受けている。たとえば二月二十七日にはわが党の滝井委員の質問に対して保険局長の御答弁は、大臣から命を受けたのは、単価を今の十二円五十銭、十一円五十銭をどのくらい上げるとか何とかということではなくして、単価の問題をも含めて、あるいは点数の問題、あるいは税制の問題、そういうものも関連づけて総括的に検討いたせというふうな御命令を受けたというふうなことであります。従って、具体的に医師に支払う診療報酬の一つ引き上げ、値上げをするという方向で作業をするようにという命令は受けていないというふうな御答弁でありました。厚生省の省議がいかに決定せられましたか、また、いかなる御命令を受けましたかということは明確にしなければ——私の私見によりますると、この診療報酬の引き上げをやるということになりましたならば、おそらくわが国の保険制度は運営不可能に私は陥ると思うので、同時にそのような問題はここ半年や一年で解決のつこうはずはありません。それを今にもやるかのごとく前回の委員会におきましては厚生大臣——速記に残っておる——即時やるつもりでございます、こういうこともおっしゃっておる。かような作業がいかに厚生省の全力を尽されたからといって、私はこの単価の引き上げをやり、診療報酬の引き上げをやるということになって、果してわが国の国民皆保険が所期のごとくに実施できるやいなや、多大な疑問を持ちますので、こういうことはまた後日の機会に譲りますが、とにかくさような作業をあなた方の方は大臣の命を受けられ、この診療報酬の引き上げの方針に向って厚生省は作業を開始なされるのか、どうなっておりますかということも、これは一つ保険局長から率直に御答弁をわずらわしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/44
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045・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 私が衆議院で答えておりまするところはその通りでございまして、別にそれが間違いというのではありませんが、言葉があるいは足りないかと思うのであります。
先ほど来、また先日来、大臣がお答えになっておりまするように、この医師の待遇改善と申しますか、あるいは診療報酬の引き上げといいますか、山下先生は今そういう言葉で御表現になりましたけれども、そういう方向で一つものを考えてみろという命令を大臣から明確に受けております。私どももその方向でものを検討いたそうと考えております。その点につきましては、大臣と事務当局の間にはいささかの食い違いもございません。で、いかなる方法でどの程度やるかということが結局問題であると思います。そのやり方なり程度なりというようなものについては、これは先ほど来、先生方の御指摘のございまするように、事柄は非常に広範に関連をいたし、複雑な問題でもございまするので、いろいろな案を考えてみろということは御命令を受けておるわけでございます。しかもその際に、事柄の性格上、そういう御命令を受けなくてもそういうことになるわけでありますが、関連のいろいろな問題をもあわせて検討をしてみろというふうなことに相なっておるわけでございます。それで、衆議院のその私の答弁で今申し上げましたことも御察知をいただけると思うのでございますが、ただいまこの単価を引き上げる、十二円五十銭を何円に引き上げるという問題だけに物事を限って私どもは考えておるわけではございません。と申しまするのは、単価には御存じのように、端数がついておっては工合が悪いじゃないかとか、あるいはまた、甲地、乙地の問題で非常に論議を起しておりますることは皆さん御承知の通りでございます。また、二十四国会以来—いやその前からも、そういう国会の委員会におきましてたびたび御意見が出ておるのでありますが、そういうふうなこの端数とか何とかというようなことについては、十分将来検討すべきじゃないかという御意見が出ております。従いまして、私どもといたしましては、単価を何円平板に—現状の報酬支払い方式をそのままにして平板に単価を何円引き上げるというふうな案を考えまするよりは、むしろこれはまあ私の今の考えでございますが、それらの問題をもこの際あわせ解決をして、物事を考えていくべきではあるまいか、結局診療報酬は御存じのように、単価に点数をかけて出て参るわけでございますから、それらのところは点数で操作をいたしまするとも同じようなことに相なるわけでございます。従いまして、そのやり方につきましては、いろいろやり方があるわけでございます。いかなる方法でどの程度やるかというふうなことについては、数案を作って、ものを、自分たちのまあ大臣のお言葉をお借りすれば、自分の判断を仰ぐようにと、こういうふうな御命令を受けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/45
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046・山下義信
○山下義信君 あまり時間もないようでございますから、私はこの点だけを一つ今日は明確にしておきたいと思います。今、保険局長の答弁で、命令を受けたことの範囲、方針というものは、一応この席では明確になりました。衆議院との答弁の食い違いの点の釈明もありましたし、単価の問題だけに限ったものではないということの、そこのニュアンスの釈明がありましたから、その点は了承いたします。ただ現在の建前で十二円五十銭、十一円五十銭をどうするかということならばきわめて簡単だ。そのことは簡単だ。また、端数をまるめるということならばこれも簡単でしょう。しかし、その簡単なことでなくして、これはもうみんな知ってることなんで、非常に総合的な大問題を片づけよう、あわせて片づけようというような事柄が短時日の間にできるとお考えになりますか。厚生大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/46
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047・神田博
○国務大臣(神田博君) 短時日と言いますと、これはまあすぐという意味に申すわけでございますから、そうすぐできるとは私は考えておりませんが、しかし、時間をかけたからできる、時間をかけないからできないという問題でもなかろうかと思うのであります。事柄は非常に——私はしろうとでありますから大胆なことを出し上げているかもわかりませんが、もう多年の懸案になっておることでございますから、私は問題の焦点というものは大体きまっているのじゃないかと思うのです。問題は、政府の一体腹とかあるいはそれにかわる何か方法があるんだということが見つかれば時間かけなくともきまるものではないか。また、予算の伴うものは今年度補正ができないということならば来年度にいくという問題になりましょうが、とにかく何といいますか、私どもの考えから言いますと、長いこと非常に問題になったことでございますから、私が厚生省に参りまして、一番むずかしいものから取っ組んでやろうじゃないか、一番長く引きずられてこられて一番むずかしいものから一つ取っ組んで解決していきたい、その解決は十分諸君に資料をお願いするが、これは厚生省だけの考えでいきたくない、外部のいろいろな練達堪能の方々の御意見をお聞きして、そうして調整していきたい、それに多少の時間かかるかもしらぬが、とにかく自分はしろうとであるだけとらわれないで大局から見て判断していきたい、時間をかけるとむしろなおきまるものがなかなかむずかしい場合がありますから、あるいはものによっては時間をかけた方が自然にきまる場合もありますが、今度の場合は、私はたくさん時間をかけたからとかあるいは少いからという問題でなく、とにかく案としてまとめることはそう時間は要らないのではないか、と言っても二ヵ月、三ヵ月でできることとも考えておりません。できるだけ一つ可能な限り急いで案を得たい。この案を実施するまでにはいろいろ段階、御意見等も聞かなければなりませんが、それはどの程度かかりますか、これはまだ考えていかなきゃなりませんが、厚生省の試案が、外に相談ができるような試案を作るにはそう時間のかかる問題じゃない、こういう意味でお答え申し上げたのでございます。予算等の問題になりますと、これは時期が不明でございますから、これは私だけのお答えを申し上げても値打のないものとなりますから、それは別として申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/47
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048・千葉信
○委員長(千葉信君) まだ御質疑もおありかと思いますが、時間の関係もありますので、暫時休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01219570322/48
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