1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月二十日(木曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 西村 直己君
理事 内海 安吉君 理事 大高 康君
理事 荻野 豊平君 理事 久野 忠治君
理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君
逢澤 寛君 池田 清志君
薩摩 雄次君 徳安 實藏君
廣瀬 正雄君 井谷 正吉君
井手 以誠君 中島 巖君
出席政府委員
農林政務次官 瀬戸山三男君
建設政務次官 堀内 一雄君
建 設 技 官
(河川局長) 山本 三郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政局
財政課長) 柴田 護君
大蔵事務官
(主計官) 松永 勇君
農林事務官
(農地局参事
官) 正井 保之君
建設事務官
(河川局次長) 関盛 吉雄君
建設事務官
(河川局水政課
長) 国宗 正義君
建 設 技 官
(河川局砂防課
長) 戸田福三郎君
専 門 員 山口 乾治君
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三月十九日
委員池田清志君及び渡辺惣蔵君辞任につき、そ
の補欠として野依秀市君及び西尾末廣君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員野依秀市君辞任につき、その補欠として池
田清志君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十九日
二級国道小樽江差線島牧地区の整備等に関する
請願(正木清君紹介)(第二一〇〇号)
宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(廣
瀬正雄君紹介)(第二一三二号)
秩父万場線道路建設促進に関する請願(荒舩清
十郎君紹介)(第二一七五号)
の審査を本委員会に付託された。
三月十八日
木地山ダム工事着工に関する陳情書
(第六七五号)
中小河川改修事業費増額に関する陳情書
(第六七六号)
高速自動車道路と一級国道八号線の連結施設増
設に関する陳情書
(第六七七号)
二級国道松山高知間の一級国道昇格等に関する
陳情書(第六七八
号)
那珂川改修工事促進等に関する陳情書
(第六七九号)
嘉瀬川改修工事費確保に関する陳情書
(第六八〇号)
中宇和島宿毛間の道路拡張等に関する陳情書
(第七
五二号)
国道小名浜新潟線建設促進に関する陳情書
(第
七五四号)
伊勢神トンネル改築に関する陳情書
(第七五八号)
中高層耐火建築物等建設資金融資予算増額に関
する陳情書
(第七五九
号)
川俣ダム建設促進に関する陳情書
(第七六〇号)
大陸旋風災害対策に関する陳情書
(第七六一号)
四国地区内国県道改修整備に関する陳情書
(第七六二
号)
大和田、三里塚間観光道路舖装促進に関する陳
情書
(第七六三号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
地すべり等防止法案(内閣提出第七六号)
地すべり等による災害の防止等に関する法律
案(井手以誠君外二十五名提出、衆法第一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/0
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001・西村直己
○西村委員長 これより会議を開きます。
地すべり等防止法案、地すべり等による災害の防止等に関する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。前会に引き続き質疑を行います。井手以誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/1
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002・井手以誠
○井手委員 農林政務次官に一言お尋ねをいたします。
政府提出の地すべり等防止法案によりますれば、地すべり地帯における農村関係の事業に対しては、関連事業として比較的に私は軽く取り扱っておるような印象を受けておるのでありますが、従来、農林省では土地利用計画として、その地帯内における住民がほとんど農家であるという立場から、その地すべり地帯の農地を活用するという意味と、家屋を移転する農家の、たとえば集団的に移転する場合には、新しい部落の建設を援護するという立場に立っておったと私は承知をいたしておりますが、原案によりますれば、ただ防止工事を地元の市町村にやらせる、あるいは家屋移転を計画させる。その地元市町村における家屋移転計画が果して効果があるかどうかについては、先日十分質問いたしましたので、今日はその点については触れませんけれども、移転する農家が、移転する前後数カ年間は、ほとんど収入がない、移転のいろいろな問題について忙殺される、そういうことを考えまするならば、この農家が移転しやすいように、移転しましても住民として生活が安定できるように、さらに農業経営が成り立つように、そういうあたたかい援護あるいは援助をいろんな面においてやるべきではないかと私は考えておりますが、そういったことがほとんどこの原案には抜けておるのであります。先日事務当局からは、自作農創設維持資金も援助しよう、あるいは何もしてやりましょうという話はありました。しかし、かりにそういうものを考えなすっておるとするならば、当然そういうものをやろうという助成規定でありますか、あるいは訓示規定でございますか、そういった、もっと積極的な内容を盛るべきものであると私は存じておるのであります。比較的に農業経営について、この地すべり等防止法案に盛られていない点、この点を政務次官にお尋ねをいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/2
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003・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 申し上げるまでもなく、今回提案いたしております地すべり対策の法律案は、いわゆる地すべりに対する予防措置を講じまして、地すべりによる災害を未然に防ぐ対策をやるのが根本のねらいであります。その際、防止措置をするが、しかしところによっては防止対策の一つとして家屋の移転あるいは農耕地を移転しなければならない、こういう場合が起り得ることを予想して関連事業等の規定を設けておるわけであります。今お話のように、農業関係について積極的な規定がないじゃないか、こういうお話でありますが、法律の案文といたしまして表面に表われておるところは、そういう懸念もごもっともであります。しかしながら地すべりによる対策の農業関係は、この法律だけで解決ができるとは私ども考えておらないのでありまして、この対策に応じて、あるいは農耕地の移転をしなければならない、あるいは家屋の移転をしなければならないという場合には、御承知の通りにそれぞれ関係の法律あるいは制度によってできるだけの救済をしなければならない、こういう建前をとっておりますので、この法律自体についてはそこまで規定をいたしておらない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/3
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004・井手以誠
○井手委員 政務次官の言われるいろいろな事項をお考えになっておるならば、少くとも訓示規定ぐらいは私は加えるべきものであったと存ずるのであります。いろいろな援護措置にいたしましても、十分な予算措置ではございません。これは政務次官よく御存じの通りであります。少いものを全国で分け合っているのを、どうして地すべり地帯に多く重点的に配分ができますか。もしそういういろいろな用意があるとするならば、これを優先的に、重点的に確保するというねらいをこの法案に私は盛るべきであったと存ずるがゆえに先刻来申し上げておるわけであります。なおこの点については与党の皆さんといろいろ御相談いたしたいとは考えておりますが、関係住民がほとんど農家であるという立場を考えますならば、これでは私は足りないと思う。その点については私は強く不満の意を表しておくものであります。これらの点は何回も私申し上げましたから、これ以上は申し上げません。この法案の結論がどうなりますか、いずれにいたしましてもこれを実施する場合には、農業経営が成り立つように、たとえば集団的に入植の問題も起るでありましょう、家屋移転の場合において土地の取得の問題も出てくるでありましょう、放棄される農地の国の賠償というような問題も起きてくるでありましょう、海外移住の問題も出てくるでありましょう、いろいろな措置が私は生じてくると思っております。自分の不注意であるとか、あるいは農業経営が悪いためにということでなくして、第三紀層の地下水による地すべり、こういう地帯に置かれている住民の気の毒な立場を援護するためにあたたかき血の通った行政措置をやってもらいますように、特に私はこの際お願いを申し上げておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/4
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005・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 お説の通りでありまして、御存じの通りに地すべり地帯を指定いたしまして、それに対する対策は各省が関係いたしますが、これは総合的に計画を立てます。総合的に計画を立てまして、農林省関係といたしましては農耕地、農業経営に関することでありますから、その計画を実施しますについては重点的に配慮をする、これは当然のことと考えておりますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/5
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006・井手以誠
○井手委員 大蔵当局に最後にお尋ねをいたしたいと思いますが、松永さんは前回もお見えになって、私の考えの一部はお聞きになったことだと思っております。どの法案を作る場合にも主務省の考えと出る法案とはだいぶ変ってくるのであります。これはもちろん国家財政の立場がありますからやむを得ないときもあろうかと考えておりますが、特にこの法案を見て参ります場合に、予想される大災害を緊急に防止しようというこの防止法案に対してあまりにも予算措置が薄いではないか、こういう印象を深くするものであります。御存じでもありましょうが、緊急に五ヵ年間に五十億に上る地すべり対策をしなければならぬのに、刻々地すべりをしている、ここで私どもが審議している間にも家屋移転をやっているというこの事態に対して、わずか二億とか三億の初年度の予算措置では私はきわめて不足であると思います。特に私が不満に思っておりますのは、先般も申し上げましたように、場合によっては地すべり防止対策の中心ともいうべき家屋移転の対策としては、政府の対策が足りないと思う。農家はほとんど現金の余裕がございません。資金の余裕がございません。もちろん土地に対する愛着もありましょう、執着もございましょうが、刻々に地すべりする。自分の農地がくずれていくのを目の前にしながら移転できないというのは、やはり移転する費用がないことであります。金を借りましても高い利子を払わなければならぬ、借りたものは利子をつけて返さなければならぬ。私ども現地におりまして一番痛切に感じましたことは、家屋移転に対する助成あるいは融資の措置を大幅にやってもらうこと、これがなくてはほんとうに地すべり対策の効果は発揮できないと私どもは痛切に感じております。
そこでお尋ねしたいことは、この地すべりに対してどうして二割か三割程度の家屋移転に対する助成措置しか講ぜられなかったのか。農林省にも建設省にも最初の案にありました家屋移転の勧告がずっと後退して、地元市町村の移転計画による関連事業計画により作られたものによって移転されるものに融資をしようというので、ずっと後退して参っております。勧告ができないから、自主的な地元の計画に基いたものに融資しようというものに下っております。この家屋移転に助成されない理由、その点を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/6
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007・松永勇
○松永説明員 御質問の二つの点でございますが、まず第一に事業費が三十三年度の予算として不足ではないかという御質問でございます。これにつきましては私たちも現在必ずしもこの予算をもって十分とは考えてはおりません。昨年の災害から地すべりというものが非常に大きくクローズ・アップされまして、これに対する何らかの確固たる対策を立てなければならないということが論議されまして、法案の形にもなったわけでありますが、一方予算といたしましても三十二年度の予算に比べまして、砂防の中に入っておった地すべりの予算、それから治山の中に入っておった地すべりの予算も、ともに大体昨年の五割増しという増額はいたしたのでありますが、しかしそれでも現在予想される地すべり対策としてはなお不十分であろうというふうに考えております。これは今後この地すべりの防止等の法律が施行されまして、これに基く指定その他の措置が順次進行いたしますに伴って、逐次これの対策を確立していきたい、そのための予算を今後考えていきたい、かように考えております。
次は第二点の、家屋の補助をなぜ設けなかったかという点でございますが、従来国が補助するという場合に、その補助がどういう経済的効果を持つかという点、すなわち補助政策としての意義をどの程度持ち得るかという点、それからその補助する対象が一般公共の利益の増進ということになるか、個人の財産に対する補償になるかという点が非常に考え方のポイントになるわけでございます。今回の地すべり移転のための家屋の補助というものは、個人財産に対する補助ということになりますので、この点は非常に厳格に考えていかなければならないのではないか。一般の道路とかあるいは河川の補助という点とは、その点は若干趣きを異にしておる。特にこの家屋の補助というのは、本人がそこに住んでおることは非常に危険に瀕する、むしろ本人を安全なところに移転することに伴う本人自身の利益がそこにある。だから国としてもそういうことを勧奨していきたい。公共の一般の利益のためになるような道路あるいは河川というものとは違う。なお昨年から始まりました災害復興住宅の融資制度、これとの均衡ということも考えてみなければならない。昨年の災害に、現実に災害を受けて家を失ったという人に対しても、現在補助は行わないで、昨年から特別に住宅金融公庫の融資の制度を開いたわけでございます。低金利の住宅資金を供給するという道を開きましたのでございますが、地すべりの今回の移転をされる方々にも、この災害復興住宅の融資と同様の融資の道を開くということで、十分その目的を達し得る、またそれが妥当であろう、こういう判断に基いたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/7
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008・井手以誠
○井手委員 住宅金融公庫の融資で十分である、妥当であるという見解に対して、私は反対します。大蔵省は、ただいまの御答弁によりますると、経済効果、国土保全と、いうことを考えなければいけない、個人の財産については補償しないのが建前だ、こういう御答弁であります。なるほど個人の財産について簡単に補償しないということについては、私も理解いたします。当然のことだと思います。それを広げたら無限に広がって参ります。それは私も十分承知をいたします。しかしこの地すべりの防止のために家産を移転させるというものは、決して個人のことばかりじゃございません。地すべりを防止するために家屋を移転させなくちゃならぬ場合が非常に多いのであります。前会、あるいはお聞きになっておったかもしれませんけれども、地すべり防止工事を行うためには、緊急に移転しなくても済むような家屋でも移転しなくちゃならぬ場合も出てくるのであります。自分はあくまでもがんばっていいと思う人もあるでありましょう。いつすべるかわからないというので、一時間でも一日でも長くそこへ住まいたいという土地への執着から、簡単に移転しないものもあるでありましょう。しかしそうすれば地すべり防止工事ができない。すみやかに移転してもらわなければならぬ。移転してもらって、そこに地すべりの防止工事を行い、水田を畑地にかえたり、いろんな土地利用の計画も出てくるでありましょう。そのようにまさに崩壊し、つぶれてしまうような農地を利用するために、家屋を移転しなくちゃならぬ、国土保全のために、民生安定のためにやろうとする地すべり防止工事を、どうして個人の財産ばかりと言えましょう。私は公共のために家屋を移転しなくてはならぬ面が非常に多いと思うのです。特に私は先刻申し上げましたように、その関係者が農家である。どこでも簡単に移られるような人ではないのであります。移さなくては地すべり防止工事ができない。この本法の目的に対して、これは個人の財産である、経済効果云々というような冷たいことでは、地すべり防止の対策は成り立たないと思うのです。また住宅金融公庫のもので適当であるとか十分であるとかいうことについては私は意見を持っておりますが、それはさておきまして、その地すべり防止工事に関連する家屋移転についてあまりにも冷たい態度である。この点についてもう一ぺん大蔵省の見解をただしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/8
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009・松永勇
○松永説明員 先ほど井手委員の御質問のように、工事を行うためにその家屋を移転さす必要が出てくる。本人自体として、その家屋を置いても一向危険はない。従って関連事業計画をしてこれを移転させる、移転を勧告するというような措置は必要でないにかかわらず、防止工事を行うために家屋の移転を必要とするというような場合には、それは一般の事業に伴う移転補償ということで国が補償する場合も出てくるだろうと思いますが、そういう場合でなしに、そこに危険がある、そこを立ちのいて他に移転することが本人の利益にも役立つ、むしろ本人の利益が非常に大きいという場合に、国としてそれに融資の措置を講ずるということが妥当であろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/9
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010・井手以誠
○井手委員 ちょっと今の答弁の中から聞きたいのですが、私が申し上げたのは、もちろん住民も危険を感じている、緊急に移転しなくちゃならない場合が相当多いのでありますが、中には防止工事を行うために、さきほど危険と思われない地帯の人も移転させなくちゃならないという場合も出てくるというふうに私は申し上げたわけであります。
そこでちょっと、途中でお尋ねいたしますが、それでは防止工事のために移転させるような場合には補償ということができるわけでありますか、これは建設省の方にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/10
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011・山本三郎
○山本(三)政府委員 防止工事をやるために必要な移転は、当然補償ができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/11
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012・井手以誠
○井手委員 関係の住家も危険である。危険であるが、工事のためには緊急に移転してもらわなくちゃならぬという場合は、補償でやるのか、移転の融資でやるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/12
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013・山本三郎
○山本(三)政府委員 工事のために移転しなければならぬ場合は、もちろん工事をやるために支障になるわけでございますから、当然補償いたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/13
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014・井手以誠
○井手委員 それでは悪く解釈いたしますと、あくまでも自分はその土地に住まいたい、たとい危険に瀕しても、何月同日何時には必ず来るという、そういう的確なものではありませんので、だれが見ても危険だとは感じながらも、自分はあくまでもそこに居すわりたいという住民がもしあったとするならば、その地すべり防止工事を府県で計画し、実行しようとする場合には、補償でやられるわけでありますか。自分は融資ではなかなか立ちのかない、何月何日来るかわからないが、しばらくがんばりたいというものに対しては、どういうふうな措置をなさるのですか。それでは工事の必要上から補償しようとするのか、こういうことになって参りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/14
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015・山本三郎
○山本(三)政府委員 くずれるとかなんとかいうお話がございましたが、それがくずれるのを防止するために工事をやる、そういうときに必要な場合は、移転していただかないと工事もできませんから、お話しして御了解を得るようにいたしまして、一つ移転してもらう、その補償は工事の費用から出す、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/15
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016・井手以誠
○井手委員 そういたしますと、地元市町村の関連事業計画ができ上っても、それが公表されても、なお危険地帯の住民が立ちのかない場合には、補償によって立ちのかせるという場合が相当出てくるというように考えられますが、そういう場合を予想されておるわけでありますか。これは実際問題として、非常に重要な問題でありますから、もう一ぺん念を押しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/16
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017・山本三郎
○山本(三)政府委員 ただいまの場合は、関連事業計画に入っても入らなくても、地すべり防止工事をやる必要があるために、移転を要するという場合には補償をいたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/17
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018・井手以誠
○井手委員 大蔵省にお尋ねをいたしますが、経済効果の問題とか、国土保全の問題に関連して、この地すべり防止対策というものの取扱い方、これはあなた方とはだいぶ見解が違いますのでこの点についての論議はあまりいたしませんが、その関係住民、ほとんど農家ですが、農家が金を借りて移転をしなくてはならぬ、利子を払わなくてはならぬ、その前後数年間はほとんど収入がない、そういうものに対して利子を、払わせるということです。これくらいは、補助はできなくても、利子の補給くらいは御用意になるお考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/18
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019・松永勇
○松永説明員 先ほど融資べースで考えるということは、利子もその本人が負担するというのが当然なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/19
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020・井手以誠
○井手委員 重ねてお伺いいたしますが、政策の面は別にいたしますが、実際問題としてそういう農家が、一年ないし三年の措置期間を経て、年々償還しなくてはならぬ、しかも原案によりますと、住宅金融公庫と一方では農林漁業金融公庫、両方に違った利率で払わなくてはならぬ、そういう利子を払うということが実際問題としてできるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/20
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021・松永勇
○松永説明員 これは先ほど申し上げました通り、個人財産に対する補助ということは、非常に制限して考えるという考え方をとっております。災害の復興住宅につきましても、その資金を借り受けた人間が、その利子を払う建前になっております。それと同様に、この場合にもその利子は本人が払うという建前にいたしております。利子につきましても、住宅金融公庫の融資を考えるということは、結局利子の面も一般の利子よりはもちろん非常に低利の利子になっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/21
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022・井手以誠
○井手委員 地すべり地帯の関係府県においては、条例によって融資をするようになっておりますが、その場合にも県なり市町村が折半、あるいはその—他の比率によって利子を補給しておるわけであります。この利子を補給するという考えそのものが、関係住民には利子を負担する能力がないという見通しから、そういう措置をやっておるのであります。現地の府県なり市町村がそういう建前をとっておるならば、大蔵省よりもっと実態をよく知っておる府県の市町村がそういう対策をとっておるならば、当然中央においても利子補給ぐらいは考えるべきじゃないですか。理屈ばかりでは割り切れないと思う。先日来の政府の答弁を聞いておりますと、災害があった場合でもこうだというお話であります。災害よりずっと下にお考えになっている。しかしこの地すべりというものは、決して災害より下に考えるべきものではないのです。一たん地すべりが起って参りますと、関係住民が全部、住宅なんかは土の中に埋まってしまうのです。一瞬にしてなくなってしまうのです。水かさがぐんとふえてきて、そのうちに移転とかなんとかできるような洪水より、その被害、惨害というものはもっとひどいのです。しかも予想されぬものです。しかも地すべり工事をやれば国土保全にも役立つというものですよ。そういうものを災害よりもずっと下の方に簡易にお考えになっている。その点私どもは非常に不満であります。災害でもこの程度だから地すべりはもっと下でもいいじゃないかというお考え、そこが私は不満です。その点について一つ災害との関係、それから地元市町村なり府県がやっている利子補給、その点についてどうお考えになっておるか。政府は融資をする、しかし利子まではやらないから利子補給については地元で考えてくれというお考えなのか。そんなものは個人の財産だからあまり関係せぬでもいいぞというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/22
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023・松永勇
○松永説明員 第一点の、災害復興住宅よりも下に見ているのではないかという御意見でございますが、必ずしも災害復興住宅よりも下に見るわけでもございません。現実の取扱いの条件は大体これに準じてある。すなわち均衡を考えているのみならず、災害復興住宅の場合には一戸当りの坪数が約九坪ぐらいになっておるかと思いますが、この地すべりの場合には十五坪ということで、実際にある住宅を移転するという現状を考慮いたしまして、相当坪数もふやしておるという実情でございます。従って災害よりも特にこれを下に見るということは別にいたしておりません。ただ、均衡をはかるという点を考慮しておるのでございます。それから次は利子補給につきましては、各県が条例によってなしている実情も承知しております。事実地すべりの移転のために非常に気の毒な方々がおられることもよくわかっておりますが、しかしながら気の毒な人だから国が全部に対して利子の補助をやるかどうかということは、また別の問題であろうかと思います。特に地元の市町村なりあるいは地方公共団体が、隣保精神と申しますか、その地方の気の毒な人の、そういうものをやられるということについて、国がどうこうという立場ではございませんが、国としては利子の補助をやらなければならないかという点は、やはり融資制度で見る建前上、補助は考えない、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/23
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024・井手以誠
○井手委員 大蔵省にはいろいろ申し上げたいのですが、時間の都合もありますからあと一点程度でとどめておきます。この法律は四月一日から実施するようになっております。ところがこの法案が作られる動機というものは、先刻も御答弁があったように、昨年の大災害を動機としたものだと私は考えております。その場合に考えますことは、昨年の地すべりに対する措置、特に家屋移転に対する融資、また現に地すべりが進行いたしましたために家屋移転を行なっておる地区に対して、先日の委員会におきましては、なるべく早く関連事業計画を立てさせて適用したい、こういうふうに建設省ではお話しになっておりますが、さかのぼって昨年の被害者にもこれを適用なさるお考えはないのか。もちろん原則としてはさかのぼらないのが建前でありますけれども、災害の場合には逆にさかのぼっておるのが常例であります。従来特別な災害があります場合には特別立法をいたしまして、そしてすでに起った災害に適用するという建前になっております。従ってこの法案が成立いたしました暁は、昨年の六月ですか、七月ですか、あの佐賀県伊万里市における大災害に適用なさるのか、そういう御意思がおありなのかどうか、その点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/24
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025・松永勇
○松永説明員 この法律は、移転の問題について考えてみますと、関連事業計画に基く住家の移転とか除却について適用することになるわけでございますから、昨年の災害によってすでにどこかに、自分の資金なりあるいは何かの都合をつけられて移転されておられるという方には、もちろん災害関連計画に計画化されてこないだろう。しかし災害を受けられて、そこに掘立小屋か何か建てられて、まだ住まわれておる、そういうような方については、この関連事業計画が立てられた場合には、おそらくそういうものも含まれて立てられるでございましょうから、そういうものにつきましては、この法律がもちろん適用になり、これに伴う融資の措置ということもはかられるわけでございます。要は、その地すべり関連事業計画の作り方というものにかかってくるでございましょう。ただ法律自体の建前としては、先ほど申し上げましたように、適用は遡及しないという建前でございますが、実際の問題としては、今のような事業計画の立て方によって、相当救済されるという実情になるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/25
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026・井手以誠
○井手委員 その点はそれで了解をいたしました。建設省もよく忘れないようにしてもらいたいと思います。きょうはめずらしく大蔵省がはっきりしたことを言われて、私は敬意を表します。しかしいずれにいたしましても、地すべり防止対策に対する措置は、私は不十分であるという考えには変りはございません。
もう一つ伺いますが、最初の日に私伺いました、ボ夕山の付近にある家屋の移転、これについては関連事業計画から抜けておりますが、これを加えるような、その後のお考えの進歩はありませんでしたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/26
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027・山本三郎
○山本(三)政府委員 それにつきましてもいろいろ研究しましたし、現在におきましても、実はボタ山につきましては、すでに今積み終っておるボタ山でございまして、鉱業権者等が当然処置すべきものは除いてございまして、それ以外のものを扱うわけでございますが、それらについては、該当する住宅なり農地等の問題が非常に少い。しかも地すべりに比べまして、そのくずれ方が、今取り上げようとするものにつきましてはちょぼちょぼくずれるようなものでございまして、これを長く放置しておきますと、川等に非常に影響がございますけれども、農地とか家屋の問題については、的確にすぐ関連事業計画を立ててやるというようなものは非常に少いという観点から、現在のところボタ山につきましては、そういう措置をとる必要がないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/27
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028・井手以誠
○井手委員 それは私は片手落ちだと思っております。私の見聞したところでは、鉱業権者の不明なボタ山のま下にある家屋がかなりあります。大雨が降らなくても、次々にくずれており、非常に危険に瀕しております。せっかくこういう法律ができましたならば、かねての懸案でであるボタ山の地すべり防止措置についても、同様な対策を講ずべきであるということを、特に申し上げておきたいのであります。
以上で、私は質問を終りますが、先刻来申し上げますように、不備欠陥が非常に多い。この点は、主管省の建設、農林においても十分認められておるのであります。ただ、建設大臣が二回にわたって御答弁なさったように、ともかくもこの法案が提出されるに至ったことは、対策の第一歩だ、前進だ、こういうことに私は特に理解をいたしておきたい次第でございます。しかし、近々に五十億の工事をやらなければならぬ地すべり防止対策、刻々に危険の迫っておる現地の模様を考えますと、この法案のままでは、緊急対策としてはなお不備でありますので、その点については、すでに問題点を数点指摘をいたしましたが、与党の皆さんもお聞き及びだと思いますから、さらに検討をしていただきたいと思います。以上で私は質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/28
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029・大高康
○大高委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01619580320/29
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