1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年六月十四日(火曜日)
午後三時五十一分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君
理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君
理事 吉田 重延君
相川 勝六君 青木 正君
加藤 精三君 亀山 孝一君
川崎末五郎君 鈴木 善幸君
津島 文治君 富田 健治君
三田村武夫君 山崎 巖君
出席政府委員
自治政務次官 丹羽喬四郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政局
財政課長) 松島 五郎君
大蔵事務官
(主計官) 大村 筆雄君
大蔵事務官
(理財局地方資
金課長) 高柳 忠夫君
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五月二十六日
委員亀山孝一君及び川崎末五郎君辞任につき、
その補欠として山田彌一君及び倉石忠雄君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員倉石忠雄君及び山田彌一君辞任につき、そ
の補欠として川崎末五郎君及び亀山孝一君が指
名で議員に選任された。
同日
委員川崎末五郎君辞任につき、その補欠として
綱島正興君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員綱島正興君辞任につき、その補欠として川
崎末五郎君が議長の指名で委員に選任された。
六月十四日
委員金子岩三君、高田富與君及び津島文治君辞
任につき、その補欠として青木正君、山下春江
君及び川崎秀二君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員青木正君、川崎秀二君及び山下春江君辞任
につき、その補欠として金子岩三君、津島文治
君及び高田富與君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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六月十三日
昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を
受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律
案(内閣提出第一四四号)
五月十八日
大規模償却資産に対する固定資産税課税の改正
に関する請願(田中角榮君紹介)(第四一九六
号)
同月二十五日
古物営業法の一部改正に関する請願(野田卯一
君紹介)(第四七二七号)
同月二十七日
警察施設の整備に関する請願(高田富與君紹
介)(第五一〇六号)
道路交通法案の一部修正に関する請願(保岡武
久君紹介)(第五二〇七号)
同月三十日
古物営業法の一部改正に関する請願(大矢省三
君紹介)(第五四九四号)
六月十日
古物営業法の一部改正に関する請願(辻寛一君
紹介)(第六〇三七号)
は本委員会に付託された。
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六月八日
地方自治の強化及び健全財政の確立に関する陳
情書(第八九二
号)
豪雪地帯に対する特別措置に関する陳情書
(第九〇三号)
青少年犯罪の取締り強化に関する陳情書
(第九二一号)
災害復旧の財源措置に関する陳情書
(第九四三号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を
受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律
案(内閣提出第一四四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/0
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001・濱地文平
○濱地委員長 これより会議を開きます。
昨日本委員会に付託となりました、内閣提出、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/1
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002・濱地文平
○濱地委員長 まず政府より提案理由の説明を求めます。丹羽政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/2
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003・丹羽喬四郎
○丹羽政府委員 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
今回のチリ地震津波による被害が甚大である点にかんがみ、過去の災害の場合に準じて、国におきまして災害復旧のための諸種の特例措置を講ずる必要があるのでありますが、その一環として、この法律は、チリ地震津波による災害を受けた地方公共町体に対し、現在制限されている地方債発行の特例を認め、災害を受けた地方公共団体の財政運営に遺憾なからしめようとするものであります。
次に本法律案の内容の要旨につきまして御説明申し上げます。地方財政法第五条に地方公共団体が地方債を起こすことのできる場合が制限的に列挙されておりますが、今回同条の規定の特例として、災害を受けた地方公共団体が、地方税、使用料、手数料その他命令で定める徴収金の減免を行ない、そのため生ずるところの歳入の不足を補う場合、または災害救助対策、伝染病予防対策その他命令で定める災害対策に通常要する費用であって当該地方公共団体が負担しなければならないものの財源とする場合に地方債を発行することができるようにしようとするものであります。なお、当該地方債を発行できる地方公共団体は、災害を受けた地方公共団体のうち政令で定めるものとされておりますが、政令では、従来の例に準じて指定の基準を定めるようにいたしたいと考えております。
以上が昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案の提案理由及びその内容の要旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/3
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004・濱地文平
○濱地委員長 以上をもちまして提案理由の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/4
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005・濱地文平
○濱地委員長 これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。鈴木喜平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/5
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006・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 きわめて簡単に御質問申し上げたいと存じます。今回の津波災害にあたりまして、政府におきましては、いち早く交付金の繰り上げ支給等の措置を講ぜられますと同時に、政府から進んで今回の起債に関する特別措置法を御提案になり、地方団体の財政措置に対して深甚の配慮をいただいておりますことにつきまして、深く敬意を表するものであります。
今回の特例法におきまして、政府では、伊勢湾台風と同じように今回の措置を講ぜられることに相なったわけでありますが、この第五条の中で、地方税あるいは使用料、手数料等の減収に伴う財源の補てん、さらに災害救助対策、伝染病予防対策、その他命令で定める災害対策に通常要する費用、これは起債で見るんだ、こううたっておられるのでありますが、このような災害地の地方団体の歳入の欠陥あるいは災害対策のために特に要したところの費用の財政負担、これの補てんにつきましては二つの面が当然考慮されていかなければならぬと思うのであります。それは第一点は特別交付税でできるだけ地方公共団体のめんどうを見るということであり、それから今回の特例法による起債の措置と、この両面で災害地方団体の財政をめんどうを見ていく、こういうことになろうかと思いますが、大体政府では、この特別交付税と起債の二つの措置を、どういう面を特別交付税で重点的にめんどうを見、どういう面を起債で見るか、この点をお伺いいたしたいのであります。地方公共団体では、できるだけ特別交付税によるところの財政援助を強く期待をいたしておるのでありますから、この点を政府からまずお伺いをいたしたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/6
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007・丹羽喬四郎
○丹羽政府委員 お答え申し上げます。今回のチリ地震の結果起こりましたる津波につきまして、被災地に非常な甚大な被害がございましたことはまことに同憂にたえない次第でございます。自治庁といたしましても、できるだけの措置を講じたいと思いまして、ただいま鈴木委員からお話がございましたごとく、交付税の繰り上げ交付をやりますと同時に、皆様方の御協議を願いまして、今日地方頂の特例措置をお願いする次第でございます。ただいま鈴木委員からお話の、この財源措置につきましては、地方債によるものと特別交付税の補給によるものと二通りあるが、どちらに重点を置くかという御質問でございますが、私ども、この制度の両面の重点的充当によりまして万遺憾なきを期したい、こう思っておる次第でございます。ただいま御説明申し上げました通り、起債の特例につきまして、起債で充当する方面は地方税、使用料、手数料その他命令で定める徴収金の減免等によりまする歳入の欠陥あるいはまた災害救助対策、伝染病予防対策その他命令で定める災害対策に要する費用などにつきましては、できるだけやはり地方債で行ないたいと思っておる次第でございます。特別交付税は、その他どうしても当該市町村においてそれ以外の費用に非常な負担があるというものにつきまして、重点的に行ないたいと思っている次第でございます。よく地方におきましては、起債の方はあとに残るからというお話があるわけでございますが、災害の起債につきましては、後ほどまた一般交付税その他につきまして、これが償還の財源を付与することになっておりますので、その点は起債によりましても、あるいはまた交付税によりましても、それほどの大差はないと思っている次第でございまして、そういう方は十分勘案をいたしまして、万遺憾なきを期したい、こう思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/7
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008・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 ただいま丹羽政務次官からの御答弁で、政府の御方針はよくわかるのでありますが、災害地の地方団体の要望といたしましては、伊勢湾台風の際におきましては、相当広範な各般の国の助成、補助の特例法が立法されたのであります。今回は、それを重点的にしぼりまして立法いたしました関係から、伊勢湾台風当時の、今回の立法以外の補助、助成に関する特例法で措置いたしました面につきましては、その補助にかわるものとして特別交付税でぜひめんどうを見てほしい、こういう強い要望がございます。それは原則として、私は、あの自民党の政調会で、いかなる特別立法をしようか、どの範囲のものを取り上げようかという論議がいろいろかわされました際に、特例法は特に今回は立法しなくとも、十分政府において特別交付税その他で財源措置をする。こういう党に対する御説明があって了承した経緯もございまするので、そういう伊勢湾台風当時の特別立法による補助等の面につきましては、原則として特別交付税で見ていただくように御措置を願いたい、こういう強い要望があるわけでございます。この点もう一度政務次官から政府の御方針を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/8
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009・丹羽喬四郎
○丹羽政府委員 ただいま重ねての御質問でございますが、鈴木先生からの御質問は、確かに被災団体といたしましての立場から考えますともっともな御意見でございまして、私どもといたしましても、実質的にはやはり伊勢湾台風と同じような措置を講じたいということを念願をしておる次第でございます。ただ、今回の津波被害の短期的なことであるとか、あるいは被害個所の場所的の関係からいたしまして、あるいは特別立法を成案化したいとも思う次第でございますが、実質的にその被害場所についての財源措置というものは十分講じていかなければならないということを感じておる次第でございますので、その点につきましては、ただいまおっしゃいました補助に該当するようなものにつきましては、できる限り特別交付税を充当いたしまして、被害団体につきまして財政欠陥の生じないように努めていきたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/9
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010・加藤精三
○加藤(精)委員 松島説明員にお尋ねしますが、ただいま起債の事由として丹羽政務次官がお読みになったような事項は、私は特別交付税の該当事由だと思っておるのですが、その点はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/10
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011・松島五郎
○松島説明員 お答え申し上げます。従来からも災害が医大になりました場合には、起債の特別措置と特別交付税とあわせて被災地の財政的救済措置を講じてきておるわけでございます。この歳入欠陥補てん債並びに災害対策債につきましては、御指摘の通り、特別交付税の配分にあたりましても、そういった災害に伴います諸経費が増高いたしますことを考慮いたしまして、特別交付税を配分いたしておるのでございますけれども、御承知のように特別交付税を交付いたすことになりますと、いろいろな災害の場合に一つの客観的な基準をもって交付いたさなければなりませんので、個々の団体において税の減免を特殊な形態でやりたい、あるいは特殊な災害に伴う経費があるというような点について、全部が全部この特別交付税で救済し得ない場合がございますので、そういった事情も勘案いたしまして、地方債を歳入欠陥並びに災害対策のために特に認める、こういうようなことで運用して参っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/11
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012・加藤精三
○加藤(精)委員 それはよくわかるのですよ。私の申し上げるのは、たとえば税の減収が具体的に起こりますね。その税の減収が起こったということは特別交付税の交付事由になるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/12
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013・松島五郎
○松島説明員 税の減収が起こりました場合には、たとえば所得税の減免が行なわれたというような事情がございますと、御承知の通り市町村民税等は所得税を課税標準として課税することにしておりますので、翌年度の市町村民税は当然当該剛体においては減収になりますので、そうした場合には、翌年度においては普通交付税の計算上、税収入が減ります関係から交付税が相対的に多くなってくるということがございます。そのほかにさしあたっての措置といたしましては、当該年度の税の減免のやり方も団体によって区々でございますし、特別交付税で従来やっております方法は、公共災害の査定額の二%相当額を一応交付の対象にするというふうなやり方をとっておりますので、それでは個々の団体の実情に必ずしも一致しない場合がございます。そういった点も補完する意味も含めまして起債による特例措置を講じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/13
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014・加藤精三
○加藤(精)委員 どうも御答弁が私の質問とうまくいかないのです。結局、当該年度のことを言うておるのです。明年度一般交付税がふえるとかなんとかいう問題じゃないのです。当該年度で税の減免とかなんとかいうのじゃなしに、課税対象が滅失毀損したりすれば、それだけ税金がとれなくなるわけです。それから年税ならば別ですが、一ぺんにとってしまわないものは歳入欠陥になることは違いないのです。そういうことが特別交付税の交付事由になると思うのです。おそらく特別交付税の交付事由が二十、三十あるでしょうが、その中に入っておると思うのです。そういうものをできるだけ活用してもらいたいということは無理がないと思うのです。これは歳入欠陥補てんの起債をやるといったって、元利とも全部免除にはなるわけじゃなし、特別交付税なら財源が現実にふえるわけですから、それだけ財源の補てんになるわけです。元利償還の何割とか、元本も免除されるなら別ですけれども、そうでなければ、やっぱり特別交付税の方がその町村の財政としてはありがたいわけです。できるだけ特別交付税でいただきたい。その趣旨は自治庁として認めて下すっていいと思うのです。その点どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/14
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015・松島五郎
○松島説明員 御指摘の通り、特別交付税で全部措置することができますれば、将来の元利償還の問題も起きないわけでございますので一番望ましい姿であるわけであります。ただ、特別交付税は、甲の町村にも乙の町村にも一応同じような基準でもって配分をいたさなければなりません。一方税の減免の仕方そのものは、個々の町村によって内容が違って参る場合もございますので、そういった場合には、多少そのやり方に従って、当該年度に起こる歳入欠陥を補てんするという必要は別途に生じてくる場合もあり得ると考えまして、起債の特例法をあわせて用いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/15
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016・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 ただいまの丹羽政務次官の御答弁によりまして、今回の特例法で取り上げた八つの大きな特別助成による災害復旧のほかに、伊勢湾台風のときにとられた措置、そういう面についてはできるだけ特別交付税で補てん措置を講ずる、そして残余の分を今回の起債の特例法でめんどうを見て、そしてその償還にあたっては元利を補給する措置を講ずる。こういうように明快な御答弁がございまして、災害地の地方団体も非常に意を強うするものと思うわけであります。
次にお尋ねをいたしたいのは、この災害救助対策あるいは伝染病予防対策、その他命令で定める災害対策に通常要する費用であって、こううたっておるのでありますが、命令で定める災害対策というものはどういうことを想定なさっておられるのであるか、この点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/16
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017・松島五郎
○松島説明員 その他命令で定める、従来は救農土木事業でございますとか、あるいは防疫に要します経費でございますとか、それから種子対策というようなもので、いろいろ災害対策としてとられますものがございました。そういった場合の国庫補助の対象になりました事業をとりまして、その所要負担額を基準としてこれに起債を許す、こういうような取り扱いにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/17
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018・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 私は、それに関連いたしまして今次の津波災害で特に地方団体が要望しております二、三の点を例示的に申し上げましてお願いをいたしたいのであります。
第一点は、小災害に対する対策を地方団体では急いでおるのでありますが、前にも伊勢湾台風等におきましては、この小災害に対して特別措置法を作ったわけであります。今回はいろいろな事情から、災害が比較的総額が少ないというような理由等もありまして、特別立法をしなかったわけでありますが、この小災害の対策については、ぜひ起債の特例で措置を講じてほしい、こういう要望が強いわけであります。
さらにまた今回の特別立法の中で、小型漁船の復旧、これを漁業団体に共同施設として復旧させる。その場合に、道、県が三分の一の補助をする、国が三分の一の補助をし、残余の三分の一を農林漁業金融公庫の融資で復旧をする、こういうことに相っておるのであります。この道、県が負担いたします三分の一の小型漁船建造に要する費用の補助については、地方団体としては相当の経費の負担に相なるわけであります。こういう面については、当然今回の起債の特例措置でめんどうを見るべきものだ、こう考えるわけであります。
さらにノリ、カキ養殖施設あるいは漁船の復旧、こういう面につきましては今回特別措置法が政府から提案になったのでありますが、それよりももっと零細ないそ漁業あるいは一本釣漁業というような沿岸の零細漁民の雑漁具あるいは運用漁具というものに対しましては、損害の程度を捕捉することが困難であるという事情から、今回は国の補助の特別な措置が講ぜられなかった。これは道あるいは県においてそういう面はめんどうを見てくれ、こういうのが政府の考え方でございます。そういたしますと、この真珠養殖業者、ノリ、カキ養殖業者あるいは定置漁業者、こういうものよりもさらに零細なるところのいそ漁業者の雑漁具等の復旧に要する費用は道、県が負担するということに相なるわけでありますが、そういう面の費用も当然政府において起債等で財源措置をやってやる必要がある、私はこう思うのであります。
今回の災害対策は、国でできるものは国で見る、国の手の届かないこまかいものは道、県でこれを見ていく、国と道、県で両々相待って災害対策の万全を期する。こういうことに相なろうかと思うのでありまして、道、県が行ないますところの今申しました小型漁船の復旧に要する三分の一補助の面あるいは零細漁民の漁具の復旧のための道、県のとった救済措置、これに要する財源、こういうものも私はこのその他命令で定める災害対策という中に当然取り上げて、そうして災害対策に万全を期すべきものであると、こう考えるのでありますが、政府のお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/18
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019・丹羽喬四郎
○丹羽政府委員 ただいま鈴木先生から、零細漁業に対する国の救済の手が及ばないものについて県で救済する、その場合、起債あるいは交付税で何とか補てんする考えはないかという御質問でございますが、ごもっともでございます。ただいまそれらの点につきましては、私の方といたしましては全般につきまして検討中でございます。被害の甚大なるにかんがみまして、できるだけ財源措置を考究させまして御期待に沿うように研究させるつもりでございます。
それから一つ、先ほどちょっと私、言い過ぎと申しますとはなはだ恐縮でございますが、実は特例債の交付税であとを見るという問題でありますが、先ほど財政課長から加藤さんの御質問につきましてございましたが、特別交付税によるのがあたりまえではないか、特例債によるのはあとに残すではないか、それはその通りですが、ただいま財政課長からお話しの通り、やはりその団体々々によりまして税の減免の率や何かが違って参りますので、そこに自主性を維持されるという点で、やはり特例債の方式によっておる次第でありまして、従いまして交付税で見る点も大体は三割程度を見てやる、公共土木の起債につきましては約全額、九五%見る、こういうことになっておる次第でございます。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/19
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020・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 私が最後に申し上げました、国では手が届かない零細規模の災害対策、道、県でなければその災害がなかなか捕捉できないような観点から道、県にゆだねた災害対策、そういうものに対する財政の裏づけという面につきましては、これは金額的には大した大きな金額ではなかろう、こう思うのでありますが、ただ対象かきわめて零細な罹災民の諸君に対する措置でございますから、ぜひ政府におきましても、あたたかい御配慮を強くお願い申し上げておきたい、こう思うわけであります。
以上をもって私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/20
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021・濱地文平
○濱地委員長 纐纈委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/21
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022・纐纈彌三
○纐纈委員 伊勢湾台風、二十八災のときの台風等におきましては、地方市町村職員の共済組合によりまして見舞金を出す特例法が認められて参ったようでありますが、今回のチリ地震津波の災害につきましては、その地理的の関係その他におきまして特に個人の災害が非常に多かったというようなことからいたしまして、今回政府から提案されました特別措置につきましても、大体そういう線に中心を置かれておるわけでございます。今回のチリ地震津波につきましても、ことに市町村職員の住宅の災害というものが、先般の災害に比しましても非常に多い割合を占めておるというような事情のようでございます。ところが、きょうの本会議におきましても、この問題につきましては特別に特別立法の提案もなかったようでございますが、これにつきまして自治庁としてはどういうお考えを持っておられますか、またお出しにならなかった点についての理由を伺わせていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/22
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023・丹羽喬四郎
○丹羽政府委員 ただいま纐纈委員からの御質問でございますが、今回の災害は、公共施設の被害もさることながら、個人の被害が非常に大きかった。その方面に救済の手を強く伸べるということは、全般を通じて、今回のいろいろの政府措置におきましても考慮されておる点でございます。従いまして、ただいま御指摘の公営住宅の災害に対しまする特別措置も講じられておるという際でございますので、組合員の個人の住宅災害につきましても、見舞金その他につきまして特別に考慮を払うことは当然と考えておる次第であります。本日の本会議に提出しなかったのはどういうわけかという御質問でございますが、実は私どもの方といたしまして、調査が幾分おくれて参りまして、事務的の折衝もまだ整って参りませんので、ついおくれまして申しわけなかった次第であります。私どもといたしましては、関係官庁と十分協議をいたしまして、できるだけ早い機会に御協賛を得たいというので、せっかく検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/23
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024・纐纈彌三
○纐纈委員 調査がおくれたという理由につきましては、いささか自治庁が怠慢ではなかったかと思うのでありますが、また一面から伺いますると、大蔵省の方でも何かこれに対する反対の態度を示されておるというようなこともちょっと伺っておるのであります。大蔵省としてこれに対するお考えを一つ伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/24
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025・大村筆雄
○大村説明員 この問題についきましては、担当給与課長がおっつけ参りますから、また給与課長から詳細御説明申し上げるかと思いますが、とりあえず私から概要を申し上げます。
現在、国家公務員にいたしましても、地方公務員にいたしましても、共済組合の短期給付の付加給付といたしまして、災害等を受けられました公務員に対しまして、住居及び家財の全部が消失または滅失したとき、あるいはこれと同程度の被害を受けましたときに本俸の三月分、ないしは住居または家財の三分の一以上が消失または滅失しましたとき、あるいはそれと同程度の被害を受けましたときに〇・五カ月分、大体この範囲内で被害の程度に応じまして災害の見舞金が給付されておるという状況でございます。ただ昨年は御承知の通り未曽有の大災害がございまして、これに関連いたしまして、国、地方を通じまして、国家公務員及び地方公務員が約一万九千余りでございましたが、広範にまた長期的に災害をこうむったのでございまして、従いまして、その災害の状況から勘案いたしまして、特に特別立法をお願いいたしまして、本則である三月分の場合にはこれにさらに二月分を付加して給付する、最低の〇・五カ月の場合には〇・三カ月を足して給付するという措置を例外的にとったわけでありますが、それ以外の通常の災害の場合には、原則通りに見舞金を支給しておるのでございます。今回も地域的にはきわめて被害が大きかったのでございますけれども、これに関連しますところの被災民の数等も約五百人余りという状況でございますので、通例の災害対策の一環としての災害見舞金で間に合うのじゃなかろうか、こういうふうな考を持っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/25
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026・纐纈彌三
○纐纈委員 ただいまの大村主計官のお話でございますが、実は数字的に見ましても、今回の公営住宅の全壊が四万四千四百九十一戸に対しまして、市町村職員の被害は四千五百八十三戸というような状況になっております。また公営住宅の被害はこの前の、前年度に比しまして六・三%でありますが、市町村職員の被害戸数は前年に比して八・四%というようなことになっておりまして、今度の市町村職員の被害のパーセンテージというものは非常に多いような調査ができておるわけでございます。しかも昨千の伊勢湾台風等におきましては、相当共済組合の中においても特別措置法を出すことについての論議もあったようでございますが、今回におきましては、ぜひとも多数の市町村職員の被害者に対して見舞金特例法によって出すべきだという御議論が非常に多いのでございます。範囲といたしましてはなるほど小さいかもしれませんが、私ども考えますのに、被害を受けた方々の苦痛というものは、その範囲が大きい小さいにかかわらず、これ同じだと思うわけであります。従いまして、ことに主として東北地方等の比較的貧弱市町村というような点において、地方公務員の住宅の被害が非常に多かったということでございますので、私は、この際におきましてもぜひとも特別の措置法において見舞金を出してやりたいということを考えておるわけでございますし、地方行政部会におきましても、ぜひやってもらいたいという強い要望を実は持っておるようなわけでございます。
大蔵省も、今日まで災害に対しましてはなかなか十分なことをやっていただけないようなうらみがあったわけでございますが、ことにこの問題につきましては、組合の積立金というものもありまして、国費の方には関係がないというようなことでもございますので、ぜひとも大蔵省の方におきましても、このことにつきまして十分御考慮を願いまして、ぜひこれに対しまして賛意を表していただくように、地方公務員の非常に困っております被害者に対しまして、特例法によって見舞金を出すようにしていただきたいことをこの機会に特にお願いし、自治庁といたしましても、ぜひとも早急にこれに対しまする実現の法案を提出するような運びに御努力を願いたいということを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/26
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027・濱地文平
○濱地委員長 ほかに質疑はありませんか。——別に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/27
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028・濱地文平
○濱地委員長 これより討論に入る順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/28
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029・濱地文平
○濱地委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)
次にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/29
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030・濱地文平
○濱地委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03319600614/30
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