1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年六月十六日(木曜日)
午後二時二十七分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君
理事 本名 武君
安倍晋太郎君 今井 耕君
内海 安吉君 大久保武雄君
鍛冶 良作君 金丸 信君
河野 孝子君 笹山茂太郎君
田邉 國男君 高石幸三郎君
二階堂 進君 野原 正勝君
八木 徹雄君 保岡 武久君
渡邊 本治君
出席国務大臣
農 林 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(大臣官房長) 齋藤 誠君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房予算
課長) 檜垣徳太郎君
農林事務官
(農林経済局金
融課長) 太田 康二君
農林事務官
(水産庁漁政部
長) 林田悠紀夫君
専 門 員 岩隈 博君
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六月十六日
委員天野光晴君、加藤常太郎君、金子岩三君、
倉成正君、坂田英一君及び三和精一君辞任につ
き、その補欠として鍛冶良作君、河野孝子君、
内海安吉君、渡邊本治君、大久保武雄君及び二
階堂進君が議長の指名で委員に選任された。
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同日
委員内海安吉君、大久保武雄君、鍛冶良作君、
河野孝子君、二階堂進君及び渡邊本治君辞任に
つき、その補欠として金子岩三君、坂田英一君、
天野光晴君、加藤常太郎君、三和精一君及び倉
成正君が議長の指名で委員に選任された。
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六月十四日
農業災害補償制度改正に関する請願外二十三件
(小島徹三君紹介)(第六四二三号)
同外一件(小島徹三君紹介)(第六六八九号)
同(高瀬傳君紹介)(第六六九〇号)
岩手県のチリ地震津波による被害対策に関する
請願(鈴木善幸君紹介)(第六五五一号)
政府買入米包装容器の麻袋採用に関する請願(
吉川久衛君紹介)(第六五五三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
天災による被害農林漁業者等に対する資金の融
通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一四五号)
昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を
受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別
措置法案(内閣提出第一四六号)
昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を
受けた漁村における漁民の共同利用に供する特
定の漁業施設の設置に関する特別措置法案(内
閣提出第一四七号)
昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を
受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の
建造に関する特別措置法案(内閣提出第一四八
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別措置法案、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法案、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法案の四法案を議題とし、まず政府より提案理由の説明を聴取いたします。小枝農林政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/1
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002・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま提案になりました天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この改正法律案の内容は、本年五月のチリ地震津波により特に著しい被害を受けました一定区域内の被害漁業者に対して貸し付けられる経営資金について、貸付限度額の特例を設けるものであります。すなわち、真珠またはカキの養殖に必要な資金として貸し付けられる場合は五十万円、その他の漁業経営に必要な資金として貸し付けられる場合は二十万円と、通常の貸付限度額の十五万円に比べそれぞれ大幅に貸付限度額を引き上げ、もってチリ地震津波による被害漁業者に対する資金の融通に遺憾のないようにいたしたいと存ずるのであります。
以上がこの法律案を提案いたす理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
次に、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法案、昭和三十五年五月のチリ地震難波による災害を受けた水産業施設の災害復旧に関する特別措置法案及び昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村において漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法案につて
い、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
最初に、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法案について御説明いたします。
今回のチリ地震難波災害により沿岸漁業者の所有する小型漁船で被害を受けたものは六千隻に達し、しかもその被害は地域的に集中して発生しているのでありますが、これら被害沿岸漁業者の多くは経営規模の零細な漁家でありまして、漁船は最も重要な生産手段であり、これが被害は、漁家の経営と生活に対する甚大な打撃となるのであります。従って被害沿岸漁業者の漁業経営及び生活を維持するためには、災害を受けたこれら小型漁船の早急な復興をはかることが先決でありますが、これら沿岸漁業者の信用能力は低く、自力による回復はきわめて困難な実情にありますので、これに対する応急措置として、組合員の所有経営にかかる小型漁船の被害の大きい漁業協同組合に対し、国及び都道府県が特別の助成措置を講じ、被害を受けた沿岸漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造を行なわせることが、必要かつ適当な措置と考えられるのであります。
このため、チリ地震津波災害による小型漁船の被害が著しい都道府県を対象とし、これらの都道府県において組合員の所有経営にかかる小型漁船の被害の著しい漁業協同組合が、チリ地震津波災害によりその所有経営にかかる小型漁船について沈没、滅失その他著しい損害を受けた組合員の共同利用に供するために小型の漁船を建造する場合において、その建造に要する経費の三分の二を都道府県が補助する場合、国は予算の範囲内でこの都道府県の補助額の二分の一を補助することができることとした次第であります。なお、小型漁船の建造及びその利用の方法につきましては、漁村の実態に即して弾力ある運用を期することといたしておることを申し添えます。
次に、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた水産美施設の災害復旧事業に関する特別別措置法案について御説明いたします。
今次津波災害におきましては、水産関係の共同利用施設、すなわち、共同加工場、冷蔵庫、倉庫等のこうむった損害も相当大きいものがあるのでありますが、これらの共同利用施設は、漁業者の漁獲物の円滑な処理を行ない魚価の維持に貢献する等漁業経営上欠くべからざる施設でありますから、漁業者の個人施設と同様その迅速な復旧をはかる必要があることは申すまでもありません。
水産業協同組合の所有する共同利用施設の災害復旧につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律によりまして一カ所十万円以上の復旧事業費につき十分の二の国庫補助を行なうことになっておりますが、今回は、災害の実情にかんがみ、その特例を設けて、被害激甚地域に対する補助率を十分の九に、その他の地域に対する補助率を十分の五に引き上げるとともに、被害激甚地域における補助対象事業費を一ヵ所三万円に引き下げる措置を講ずることとした次第であります。
さらに、この法律案におきましては、水産動植物の養殖施設に対する助成措置を定めております。今次津波災害においては、水産関係個人施設の被害が大きかったのでありますが、特に、カキ、真珠等の水産物養殖施設については、昨年以来再度の災害を受けた漁業者も多く、その打撃は深刻なものがあるのであります。このため、政府といたしましては、被害の大きかった地域におけるカキ、真珠及び真珠貝の養殖施設の災害復旧事業に対しましては被害の程度に応じ予算の範囲内において十分の九以内の国庫補助の措置を講じ、これら養殖業のすみやかな回復を期することとした次第であります。
最後に、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村において漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法案について御説明申し上げます。
今回のチリ地震津波による災害の特色は、北海道及び三陸方面の沿岸漁村部落で集中的な打撃を受け、漁民の住宅や漁船、漁具、養殖施設等の個人漁業施設の大半を喪失したものが多数に及ぶことでありまして、これら漁村部落の漁民は、当面の生活資金にも事欠く現状にあるのであります。従いまして、これら被害激甚漁村部落につきましては、網組、ノリ組、生産組合等の漁民集団により、それぞれその地域に適した漁業を応急的に実施させ、または必要な共同利用施設を建設させることによりその迅速な立ち上がりをはかることが何よりも必要と考えられますので、漁民の漁業施設、住宅等の被害の大きい部落の区域をその地区内に含む漁業協同組合が、これら部落の漁民の共同利用に供する水産養殖施設、網漁具、その他の共同利用施設を設置するのに要する経費につき、都道府県が当該漁業協同組合に対し二分の一を下らない率による補助をする場合には、国は予算の範囲内において当該都道府県に対し二分の一の補助をすることができることとした次第であります。
チリ地震津波による水産関係の災害復旧等の助成に関する三つの特別措置法案の内容はおおむね以上の通りであります。何とぞ慎重御審議のしすみやかに御可決下さるようお願い申し上げまする発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/2
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003・吉川久衛
○吉川委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
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004・吉川久衛
○吉川委員長 これより質疑に入ります。本名武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/4
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005・本名武
○本名委員 今般のチリ地震津波による災害対策については、政府は、想像以上に手回しよくそれぞれの御施策を樹立されまして、関係法案の御提出をなされ、また政令の策定等も急速にお進めになって、罹災者に対しまず不幸の中にも一つの安堵を与えたということは、非常にわれわれとして政府に対し敬意を表する次第であります。ことに、今次の災害が、今日までのいろいろな災害に比較いたしまして、その被害額というものは必ずしも大きくはなかったと思いますけれども、局地的にはあるいはまた個人的には非常な災害であった。その点も十分くみ取られまして諸施策をなされたということは非常に適切な御処置であると考えておりますが、ただ一、二点についてこの機会にお伺いしておきたいと思います。先般の本会議におきまして田口議員から詳しく御質問がありました。従いまして努めて重複は避けたいと思いますが、なおその点においても明らかにしたい点がございますので伺います。たくさん伺いたいこともあるのですが、切り詰めてほんの一、二点だけ伺います。
第一に、今回の災害の性格からいたしまして、非常に零細な漁民が個人的には大きな被害を受けたという特色を十分に理解されまして、たとえば前の伊勢湾台風におきます小漁船の再建助成措置から見ましても、今回経営の近代化を考慮しつつも小漁民の実態あるいは小漁業者の実情というものをくみ取られて一そう対一そうの対策をお立てになったということは非常に前進であると思うのでありますが、ただ、この際、これが助成の対象となるトン数をどういうふうに御決定になってこの施策を実行なされるか、この点を伺いたいのであります。実は、先ほどの理事会におきましてもいろいろの御説明をいただきました。先般、田口議員は、大臣に対して、仄聞するに三トンということであるが、そういうことではいかぬ、もう少し対象トン数を引き上ぐべきだ、これに対して大臣は、努めて弾力性を持って処置するから御安心を請うという意味の御答弁があったように思いますが、委員会としては、弾力性の言葉だけではなく、具体的に数字を明らかにされてここで一つ御発表願いたいと思います。そこで、先ほどの理事会で政府の御説明を承っておりますと、三トンではなくして五トン未満の船に対してこれを適用するという御説明がございましたが、実は、これについてはいろいろ事情がありまして、たとえば北海道などにおきましては、政府の親心として考えられた小漁業者、小型漁船に対する対策として考える場合に、沿岸の実態や漁撈法やあるいはまた魚族と申しますか魚の種類等によりまして、実態は六トン、七トンの船でも小型の三トン、四トンのような漁業をやらなければならない、六トン、七トンの船を持っている漁業者でも実は三トン以下の零細な漁業者と同じような生業を営んでいるこの実態というものを考えたときに、ぜひ一つこの対象を七トン以下の船にも適用してほしいという要望もあったのでありますが、一応先ほどのお話では五トン未満ということでございましたので、そのように政府の考えとして理解していいかどうか。
なお、ついでながら申し上げますが、五トン未満ということになりますと、四トン九分以下の船になって、そうすると、五トンという登録のトン数、実際五トンの船というものは相当あると思いますが、これがみな除外されるということになりますが、この場合、もし五トン未満というふうにおきめになるならば、御訂正なさって、五トン以下ということで、五トンの船も全部含まれるというようなお取り扱いになされないかということをこの機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/5
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006・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま本名委員の御質疑にありましたように、今回のチリ地震津波災害は、伊勢湾台風の当時のそれとだいぶその趣を異にするものであり、お説のように、今回の災害の特色は、特に中小漁家が深刻な打撃を受けたという点にありますので、その点につきましては、ただいま本名委員から御意見のございましたように、当初大蔵省側と折衝いたしましたときには、財政当局といたしましては、最初小型漁船に対しては三トンというようなことでございましたが、委員各位の熱心なる御意見もございまして、十分交渉いたしまして、これは五トンといたしたいということで、五トン以下ということにいたすつもりでございます。五トン未満というようなことで一応考えたのでございますが、ただいまお説のように、理事会におきましてもそういう皆さんの多数の御意見があり、われわれといたしましても四トン九分で、五トンが入らない、除外されるというようなことでは、はなはだ遺憾であると考えまして、ただいま本名委員御発言のごとく、五トン以下ということで善処いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/6
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007・本名武
○本名委員 明確に五トン以下ということに御決定のようでございますので、そのようにわれわれも理解いたします。大臣がお見えになりましたが、今、実は、大臣のこの間の本会議における御答弁を顧みまして、トン数の問題を一点明確にしていただいたわけであります。もちろん大臣もこれはお認めのことと思います。
次に、時間がありませんので先に進みますが、漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法についてお伺いいたします。実は、この法律の実施にあたっての政令についてはまだわれわれは詳しく承知いたしておりません。これにつきましても、実は、先ほど親心をもって小型漁船に対する前向きの前進した対策をおとりになったと同様に、漁村における漁民の共同利用に供する施設については、かなりの被害をこうむると同時に、これが復興については、零細漁民の関係のことでございますので、非常な関心を持っておりますが、ごく大ざっぱにどういうふうに実際お扱いになるか、政令事項についての扱い内容を簡単に一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/7
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008・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 今回、特別に被害の著しい漁村部落に対しまして共同施設に対する助成を特別立法をもって実施するということにいたして御提案申し上げた次第でございます。被害の激甚な地域ということで、実は、伊勢湾台風のときにおきましても、具体的な激甚部落の状況をいかにしてつかまえるか、大体の状況をつかまえるような基準を考えて実は予算内措置で実施いたしたわけであります。今回におきましても、そのような部落を選びまして、いわば復旧というよりも復興方式で実施して参りたい。その激甚部落の基準として一応考えておりますものは、一つは、被害の激甚な漁村部落におきまして小型の定置網の被害がどのような程度であったか、第二点は、養殖施設が相当今回も大きな被害を受けておりますが、この養殖施設の被害の程度がその被害激甚部落の漁村におきましてどの程度の状況になっておるか、第三点は、その部落の中におきます漁民の住宅がどのような程度に被害を受けたかどうかというような三つの項目を一つの基準といたしておるわけであります。それで、現在われわれといたしましては、この率をどのような率にすればいわば激甚部落を対象につかまえることができるかということで検討いたしておる段階でございまして、伊勢湾の場合におきましては、これらの比率が五割ということでございます。今回の場合に、これは初めて漁村に対象適用するものでございますので、やはり相当被害激甚な部落をつかまえるということでなければ効果はございませんので、今申し上げました基準を考えると同時に、目下、激甚部落を調査いたしまして、それらがこれらに包含できるようなことを頭に置きまして最終的にその率なりあるいは基準の範囲なりを考えて参りたい、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/8
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009・本名武
○本名委員 伺いますと、まだ具体的に方針がきまっていないようですが、これは、先ほど申し上げましたように、実は漁村にとって重大な関心を持たれることでありますので、実は本日この法律を扱う上についてぜひ御決定をいただいておきたかったことだと思うのでありますが、はなはだ残念でございます。しかし、実際できていないものはこれはやむを得ませんが、どうか、これが調査が進みましたならば、努めて御決定前に一つ当委員会に御相談をいただきたいと思います。その上で一連のせっかくただいままで御決定になった諸施策とあわせてまた救済策がとれるようにしていきたいと思います。
そこで、関連してこの際申し上げておきたいのは、ただいまも官房長から御説明がありましたが、大体伊勢湾においては五%見たということですが、今のお考えとしては、大臣にお聞きする方がいいのかもしれませんが、漁業共同施設の場合に、今までは漁業施設施策以外のものは非常に手厚くお考えいただいたのであるが、五〇%をやはり踏襲されるお気持であるかどうか、もっと有利な条件になさろうとするお気持はないかどうか、何%にするということは今伺わなくてけっこうですが、そのことを伺っておきたいと思います。
それから、対象は激甚地の調査の結果ということでありますが、これはやはり漁村の特殊事情からいたしまして、いわゆる小型定置網等の漁網具やあるいはまたノリの養殖施設、住宅等のこの被害のそれぞれの項目、それぞれの組み合わせということに、はたして漁村の場合においてはむずかしい点がないかどうか、あるいは組み合わせの面において矛盾がないかどうか、この点も一応御検討なさって調査をしておられると思うのですが、この点について、このいわゆる率をどういうふうにお考えになって御調査なさるのか、施策としてやる場合にはなるべく下げてほしいというわれわれの希望でありますが、どの程度の御見当でおられるかという二点についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/9
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010・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 第一点の率でございますが、実は、伊勢湾の場合におきましては、先ほど申し上げましたように、漁村というものについては対象に考えませんで、農村だけを考えました。従って、耕地の被害率が五割であるとか、あるいは流失家屋が五割であるとかいったような率をとったのであります。今回の場合に、そういうようなことで直接漁村の被害激甚部落がつかまえられるかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、われわれとしては、これをメルクマールとして実際そのような実態をつかみ得るようなことでなければ意味がありませんので、その実情に即するような率をあくまでもがんばって参りたい、かように考えております。
コンビネーション、組み合わせの問題でございますが、これは、大体の内部におきまする考え方としてきめております点は、やはり、一番大きな被害の程度といたしましては、その部落の漁家がほとんどやられてしまったとかいうようなことが問題だと思うのであります。そこで、激甚のつかまえ方でありますが、やはり、流れたり倒壊したりした漁家、あるいは、今回の場合は、流れたり倒壊したはかりではなしに、もう少し幅を広く実情に合わせて浸水程度も考慮するかしないかというような問題もございますが、いずれにしても、漁家の住宅が相当ひどくやられたということを前提の第一条件として考えまして、そうして、それにあわせて、ある部落においては、共同の網を作るとか、あるいは干場を作るとか、あるいはコンブのほし場を作るとか、あるいは養殖施設を作るとかいうことでございますので、それと養殖施設なりあるいは小型定値網等の被害の程度を結び合わせて激甚のメルクマールにしたらどうかというような考えで現在やっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/10
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011・本名武
○本名委員 実は、お聞きしたい大事なことがまだ一向にきまっていないので、御発表いただけないことを非常に残念に思うのです。どうも一番大事なところだと思うのですが、できれば遠慮なく一つ聞かしていただいたら、またそれによってわれわれの意見を申し上げたいのですが、これではちょっと意見を申し上げられない。けれども、時間の関係でこれ以上私はこの点については突っ込みませんが、ただ、今申し上げたように、コンビネーションの問題については、実は被害の程度がそれぞれの種類によって差があった場合に、この部落復興という一つのりっぱな制度も活用できない。従って、本法をかりにきょう通したといたしましても、大きな不安がやはり漁民には残るだろうと思うのです。こういう場合に、一体、われわれは、これで責任は済みました、この法律は万全でございます、通しましたとは実は言い切れないと思うのであります。ことに、非常に従来の施設が考え方によったら不合理な場所にあったり、当然原形復旧でなしに全面的な改良復旧をしなければ、流された施設というものを失ったばかりでなく、将来操業もできないというような問題、たとえば、北海道における海産干場のごときは、これは重大な関心を持っておる。それがはたして部落復興に該当するかしないかということについて、今の御答弁だけではほんとうはこの法律は通せない、そういう点について実はもう少しはっきりそのお考えを承っておきたい、こう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。せっかくかゆいところの近くまで手が届いておるのですからもう一言お答えをいただいて、この法律を通し得るようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/11
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012・福田赳夫
○福田国務大臣 この法案の趣旨につきましては、大体御賛同をお願いできるのじゃないかと思うのですが、その実施の要綱の問題と存ずる次第であります。要綱につきましては、まだ最後案が整いませんで、まことに恐縮なんでございますけれども、最終のものをきめました上は、当委員会にお示しして、十分御審議いただきまして実施に移したい、これで一つ本日のところは御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/12
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013・本名武
○本名委員 まあわれわれの信頼する大臣のお言葉でありますから、この機会には一つ御信頼申しあげまして、ぜひ一つ、具体的な案がまとまりましたら、当委員会に発表願って、相談さしていただきたいと思います。
この機会に、ちょっと離れたことですがお伺いしたいのです。やはり災害関係ですが、北海道ではカキの養殖をやっているのです。たまたまこの話をしますと、北海道でカキはとれるのかというようなお話があるのです。実は、厚岸などでは、年間四千万ぐらいの水揚げをいたしております。あの漁村にとっては非常に大事な生産物であります。御承知のように、北海道は冬季間水が凍結いたしますので、内地のようないかだをもってカキの養殖はできない。従って、できた養殖施設というものはあたかも自然にできたようでございますが、これが今度の災害で全部流されてしまった。従って、これが復旧のためには、いわゆるカキ床を作るためには相当の資金が要るわけでありますが、でき得るならば、共同利用施設としてこの復旧に対して助成をお願いしたいということで、おくればせながら声を出してみたのでございますが、実は、何か御請願の時間切れもあったり、われわれの努力の足らなかった点もあったかもしれませんが、こういうことが一つあるということを大臣もお含みの上で、今後さらに政令その他の内容をお進めになる場合にぜひ御検討いただいて、北海道の新しい将来の水産業として御関心を持っていただきたいと思うわけであります。
私の質問はこの程度にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/13
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014・田口長治郎
○田口委員 ちょっと関連して……。ただいま齋藤官店長が部落復興で住宅の問題に触れられたのでありますが、この住宅をやられる場合、公営第二種住宅との関係、そこらの点はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/14
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015・林田悠紀夫
○林田説明員 私たちが家屋を基準として考えておりますのは、漁民の生活が相当やられておるということで、家屋の倒壊とかあるいは流失とか、それ以上の被害、あるいは床上浸水までもう少し程度を下げて考えたいというふうなことを考えておる次第でありまして、公営とかそういうふうな、いかなる家屋を問わず、大体その部落にあります家屋につきましては、その家屋の大多数がそういうふうな状態にあるということを基準として取り上げたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/15
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016・田口長治郎
○田口委員 いずれ、部落復興の場合も、公営第二種の場合におきましても、被害激甚地の部落に両方が起こると思うのです。それで、いろいろな公営第二種の場合の基準はありますけれども、一方の方では御承知の通りに最高四分の三の助成で家を作るわけです。ですが、実際問題としてはこの公営第二種住宅で建築する戸数が大体きまっておりますから、その方はその方で作って、そうしてこの残った分はこっちの方の助成でいける、そういうようなことになるんじゃないかと思いますが、そこらの点、もうちょっとはっきりお考えを聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/16
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017・林田悠紀夫
○林田説明員 住宅建設の問題は——実は、住宅の損壊の程度をその部落復興の場合の部落を選定する基準として考えておるわけでありまして、その復興の内容につきましては、住宅のことまでは実は考えていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/17
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018・田口長治郎
○田口委員 その点はっきりいたしましたからよろしゅうございます。
それから、もう一点、本名委員が触れられたのでございますけれども、北海道のコンブ等の干場の問題でございますが、あれは、御承知の通り、現在では地主がおりまして、そうして漁師にこま切れに貸しておる。そして使用料は物納させる。こういう全く前世紀的な状態でございますが、これは一日も早く世間並みの状態に切りかえなければならぬ、こう考えておる際に今度の災害が起こったのでございます。心ある漁業組合では、この機会に新しいところに共同で干場を作って、こういうような旧習を打破したい、こういう意欲が相当盛んでございますから、この点も一つお含みになって、そういう方向にこの問題を持っていっていただきますように要望いたしておきたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/18
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019・吉川久衛
○吉川委員長 他に御質疑がなければ、ただいま議題となっております四法案に対する質疑はこれにて終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/19
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020・吉川久衛
○吉川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もないようでありますから、直ちに採決に入ります。
天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別措置法案、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法案及び昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法案の四法案を一括して採決いたします。以上四法案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/20
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021・吉川久衛
○吉川委員長 起立総員。よって四法案は原案の通り可決いたしました。
次にお諮りいたします。ただいま議決いたしました四法案の委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/21
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022・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X03319600616/22
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