1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十日(水曜日)
午前十時二十二分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 小沢 辰男君 理事 亀山 孝一君
理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君
理事 河野 正君 理事 小林 進君
伊東 正義君 浦野 幸男君
大坪 保雄君 熊谷 義雄君
小宮山重四郎君 竹内 黎一君
地崎宇三郎君 西岡 武夫君
西村 英一君 橋本龍太郎君
松山千惠子君 渡邊 良夫君
伊藤よし子君 大原 亨君
滝井 義高君 八木 一男君
八木 昇君 山田 耻目君
本島百合子君 吉川 兼光君
谷口善太郎君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
出席政府委員
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚生事務官
(保険局長) 小山進次郎君
厚生事務官
(年金局長) 山本 正淑君
委員外の出席者
厚生事務官
(大臣官房企画
室長) 網野 智君
厚生事務官
(大臣官房審議
官) 伊部 英男君
専 門 員 安井 忠雄君
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五月二十日
委員竹内黎一君辞任につき、その補欠として大
石武一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員大石武一君辞任につき、その補欠として竹
内黎一君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十九日
あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法
の一部改正に関する請願(有田喜一君紹介)(
第三七三七号)
南アルプス国立公園早期指定に関する請願(唐
澤俊樹君紹介)(第三七六〇号)
同(増田甲子七君紹介)(第三八〇四号)
同(松平忠久君紹介)(第三八〇五号)
同(小川平二君紹介)(第三九一〇号)
同(下平正一君紹介)(第三九一一号)
同(中澤茂一君紹介)(第三九一二号)
同(原茂君紹介)(第三九六八号)
動員学徒犠牲者の援護に関する請願外一件(渡
辺栄一君紹介)(第三七八六号)
同(櫻内義雄君紹介)(第三八六一号)
同(久野忠治君紹介)(第三九五五号)
身体障害者雇用促進法の一部改正に関する請願
(永山忠則君紹介)(第三七八七号)
業務上の災害による外傷性せき髄障害者援護に
関する請願(泊谷裕夫君紹介)(第三八六二
号)
P・T師法の制定及びあん摩師、はり師、きゆ
う師及び柔道整復師法の改正等に関する請願(
山下榮二君紹介)(第三八六三号)
駐留軍労務者の離職対策に関する請願(福永健
司君外十二名紹介)(第三八六九号)
予防接種費の国庫負担に関する請願(福永健司
君外十二名紹介)(第三八七〇号)
し尿処理施設整備費国庫補助率引き上げ等に関
する請願(福永健司君外十二名紹介)(第三八
七一号)
公衆浴場営業用上水道及び下水道料金減免に関
する請願(青木正君外一名紹介)(第三八九六
号)
同(岡崎英城君紹介)(第三八九七号)
同(松山千惠子君紹介)(第三九九九号)
療術の制度化に関する請願(竹本孫一君紹介)
(第三九八三号)
リウマチの医療対策に関する請願(西村英一君
紹介)(第三九八四号)
全国一律最低賃金制の確立に関する請願(佐野
憲治君紹介)(第四〇〇九号)
診療報酬引き上げに関する請願外四十七件(小
川半次君紹介)(第四〇三五号)
同(岡本隆一君紹介)(第四〇三六号)
同外五十二件(田中伊三次君紹介)(第四〇三
七号)
同(柳田秀一君紹介)(第四〇三八号)
同外三件(田中伊三次君紹介)(第四〇五五
号)
同外四十件(田中榮一君紹介)(第四〇五六
号)
同(柳田秀一君紹介)(第四〇五七号)
同外三十六件(門司亮君紹介)(第四〇九三
号)
同(岡本隆一君紹介)(第四〇九四号)
全国一律最低賃金制の即時法制化に関する請願
(大出俊君紹介)(第四〇六七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一六四号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一六六号)
社会保障研究所法案(内閣提出第一〇七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/0
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001・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 これより会議を開きます。
内閣提出の厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/1
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002・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 提案理由の説明を聴取いたします。小林厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/2
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003・小林武治
○小林国務大臣 ただいま議題となりました厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
厚生年金保険は、昭和十七年に発足して以来今日まで二十有余年を経過し、千七百万人にのぼる民間被用者を包含する年金制度でありますが、現行の給付体系、すなわち定額部分と報酬比例部分の二本立てによる年金給付の体系が整えられたのは、昭和二十九年の改正によるものであります。その後昭和三十五年には、給付及び保険料について若干の手直しを加えたのでありますが、この改正がきわめて幅の小さいものであったため、厚生年金保険の給付水準は、昭和二十九年以後の著しい経済成長、これに伴う生活水準の大幅な上昇に取り残され、労働者の老後の生活を保障するものとしてははなはだ不十分な状態に置かれているのであります。また年金財政をまかなうため労使が負担する保険料率も、他に例を見ない低い水準のまま推移しているのであります。
以上のような事情にかんがみ、本年は保険料率再計算の時期でもあるところから、政府としてはこの機会に今日までの経済成長、生活水準向上の実態に即して厚生年金保険の大幅な改正をはかることが適当と考え、一昨年以来準備を進めてまいったのであります。今回の改正の趣旨とするところは、まず何よりも、人口老齢化の趨勢がいよいよ明確化し、年金受給者も増加して厚生年金保険が成熟期を迎えようとする時機において、労働者の老後の生活を保障するに足る老齢年金として平均月額一万円年金を実現することを中心として、制度の内容を大幅に改善し、これに伴う所要の調整を加えるとともに、給付の引き上げ、賃金水準の上昇に応じて、保険料負担についても適正な水準にまで引き上げようとするものであります。同時に、最近普及しつつある企業年金と改正後の厚生年金との機能や負担の競合を調整し、老後の生活保障を企業の協力により一そう充実強化し得るよう、両者の調整を労使の合意によって行なう道を開くこととしたのであります。
以下、改正法案のおもな内容につきまして、逐次御説明申し上げます。
第一に、基本年金額の引き上げについてであります。
まず、定額部分につきましては、現行の月額二千円を五千円に引き上げ、さらに被保険者期間二十年以降三十年までは一年につき二百五十円を加算することとし、これによって三十年では月額七千五百円となるようにいたしております。
また、報酬比例部分については、現行の平均標準報酬月額に被保険者期間一月当たり乗ずる率千分の六を千分の十に引き上げることといたしております。
第二に、老齢年金の支給につきまして、現行では退職しない以上は年金が支給されない仕組みとなっておりますのを、高齢労働者の生活安定の趣旨に沿って若干緩和することとし、六十五歳に達したときは在職中でも老齢年金の八割相当額を支給することとしております。
第三に、障害年金及び障害手当金の額の引き上げについてであります。一級障害年金につきましては、現行の基本年金額に月額千円を加算する方式を改め、基本年金額の百分の百二十五相当額に引き上げ、三級障害年金につきましては、現行の基本年金額の百分の七十を百分の七十五に引き上げるほか、さらに月額五千円の最低保障を設けることとし、また、障害手当金につきましては、現行の基本年金額の百分の百四十を百分の百五十に引き上げることといたしております。
第四に、遺族年金につきましては、妻についての年齢制限及び若年停止を撤廃し、さらに年金額については月額五千円の最低保障を設けたことであります。
第五に、任意継続被保険者について、新たに被保険者期間中の事故に基づく障害年金、障害手当金及び遺族年金を支給することとしたことであります。
第六に、年金額の調整についてであります。
年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、すみやかに変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとしたことであります。
第七に、標準報酬につきましては、最近の賃金水準の上昇等の実情に即し、現行の三千円から三万六千円までの二十等級を、七千円から六万円までの二十三等級に改めたことであります。
第八に、保険料率の引き上げについてであります。
今回の給付の大幅改善に伴い、保険料の負担につきましても、相応に増加すべきことはやむを得ないところでありますが、厚生年金保険におきましては、従来いわゆる修正積み立て方式のたてまえをとっており、五年ごとに再計算することとして暫定的な料率を採用しておりますが、今回もこの方式を踏襲いたし、急激な負担の増大を避けるため、とりあえず第一種被保険者(一般男子)については、現行の千分の三十五を千分の五十八に、第二種被保険者(女子)については、現行の千分の三十を千分の四十四に、第三種被保険者(坑内夫)については、現行の千分の四十二を千分の七十二に、第四種被保険者(任意継続被保険者)については、現行の千分の三十五を千分の五十八にそれぞれ引き上げ、さらにこれらの料率については、将来にわたって段階的に引き上げていくこととしたのであります。
第九に、既裁定年金の引き上げについてであります。
現に支給中の年金が、所得保障の趣旨から見て著しく低水準にあるところから、既裁定年金につきましても今回の改正方式を適用いたし、改正後の計算例によってこれらの年金額を大幅に引き上げることといたしております。
第十に、旧陸海軍工廠の工員などの旧令共済組合員であった期間を厚生年金の被保険者期間に算入し、通算老齢年金に準じた特例老齢年金を支給することとしたことであります。
第十一に、厚生年金の老齢年金及び通算老齢年金のうち、報酬比例部分につきましては、民間職域において設立されたいわゆる企業年金で一定の要件を備えるものについては、申請により厚生年金基金を設けてその代行給付を行なう道を開いたことであります。
厚生年金基金は、事業主及び被保険者で組織される特別法人とし、一定数の被保険者を使用する事業主がその被保険者の二分の一以上の同意を得て規約をつくり、厚生大臣の認可を受けて設立することとなりますが、その行なう事業は、厚生年金の給付のうち、老齢年金及び通算老齢年金の報酬比例部分の代行として少なくともそれを上回る額の年金給付を行なうほか、任意給付として、死亡または脱退に関して一時金の支給を行なうことができるものとしております。
また、厚生年金基金は、信託会社または生命保険会社と給付の支給を目的として、信託または保険の契約を締結しなければならないほか、その事業に要する費用に充てるため、掛け金を徴収することとしたのであります。
なお、国庫は、年金給付に要する費用のうち、老齢年金及び通算老齢年金の報酬比例部分相当額に要する費用の一五%(坑内夫たる加入員期間に対応する部分については、二〇%)を負担することといたしております。
第十二に、厚生年金基金は、厚生年金基金の中途脱退者にかかわる年金給付を共同して行なうため、厚生年金基金連合会を設立することができることといたしております。
最後に、実施の時期につきましては、諸般の準備等もあり、主たる部分については昭和四十年五月一日からといたしております。
以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。
次に、ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
今回の改正の主要な内容は、職務外の事由による年金部門の給付につき厚生年金保険法の改正と同趣旨の改正を行なうこと、標準報酬の額を引き上げること、障害差額一時金を新設すること、船内診療の給付制限を緩和すること等であります。
今回の船員保険法の改正につきましては、各方面から種々の要望や意見がありましたが、政府としましては、これらの要望や意見をできるだけ尊重し、関係審議会の意見をも徴して慎重に検討を重ねてまいりました結果、現段階における国の財政事情、厚生年金保険の改正内容等をも勘案して、この際できる限りの改善を行なうこととした次第であります。
以下、改正法案のおもな内容につき御説明申し上げます。
第一に、職務外の事由による年金部門の給付につきましては、厚生年金保険法の改正と軌を一にして、老齢年金の給付額を引き上げ、高年齢船員に対して在職中でも老齢年金を支給することといたしますとともに、五十五歳に達しない退職者にも減額年金の支給の道を開いたのであります。
〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
次に、職務外の障害年金及び障害手当金につきましては、障害の程度を整理区分し、給付内容の充実と制度の合理化をはかろうとするものであります。
その他、遺族年金につきまして妻に対する支給要件を緩和し、任意継続被保険者につきまして新たに障害年金及び遺族年金等に関する給付の道を開きますほか、すでに決定しております年金につきましても、これらの改正に準じて給付額の引き上げを行なうことといたしたのであります。
以上のような給付の改善に伴ない、現在千分の四十二となっております職務外の年金部門にかかる保険料率を、当分の間千分の七十二といたし、将来にわたって段階的に引き上げていくことといたしております。
第二に、標準報酬につきましては、最近における船員の賃金水準の上昇等にかんがみ、現在、七千円から五万二千円までの二十一等級となっておりますのを、九千円から七万六千円までの二十五等級に改めようとするものであります。
第三に、船員保険固有の問題として、職務上の障害年金受給者の障害の程度が軽減し、障害年金の受給権がなくなりましたときに、新たに障害差額一時金を支給することといたし、また、船舶内における療養の給付の制限を大幅に緩和すること等の改正をいたそうとするものであります。
以上のような改正を行なうことがこの法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/3
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004・田口長治郎
○田口委員長 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/4
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005・田口長治郎
○田口委員長 内閣提出の社会保障研究所法案を議題とし、審議を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/5
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006・滝井義高
○滝井委員 社会保障研究所法案について、重要な二、三の点を質問いたしたいと思います。逐条的にやっていったほうがわかりやすいと思いますので、逐条的に質問をさしていただきます。
こういう社会保障研究所というような特殊法人で、それぞれの各省の外郭団体のようなぐあいに、第一条の目的を達成するために、すなわち、社会保障に関する基礎的かつ総合的な調査研究を行なって、その成果を普及して国民の福祉の向上に寄与する、そういう目的でこういう研究所をつくることが、一体行政の上でどれほどのプラスになるのかという点でございます。厚生省としてこういう特殊法人をおつくりになるについては、当然、すでに各省が持っておられるこういうものについても相当御研究になっておるだろうと思います。それから、厚生省自身が、やはり人口問題研究所その他もお持ちになっておるわけです。これらのものの運営の実績あるいは研究の成果その他からごらんになって、一体、行政に非常にプラスになっておるのかどうかということです。こういうものはつくり始めると一つの流行になって、各省が全部つくり始めるのですね。一つの流行ではこれは困ると思うので、一体、厚生省が今回社会保障の研究所法というものを提出するについては、当然各省の、日本原子力研究所とか、理化学研究所とかいうようなもの、あるいは最近法律の一部改正を行ないましたアジア経済研究所、これは池田さんの重要な財界ブレーンである小林中さんなんかが、理事長か何かになっておると思いますが、そういう他の省のものも御研究になり、あわせて厚生省のものも研究した成果の上で、これが社会保障の前進のためには必要だという結論をお出しになっているのだろうと思うのです。そこで、他の省のそういう研究所あるいはこれと類似のものの運営の実績、厚生省のもとにおける——厚生省も人口問題研究所以下九つぐらいあると思うのですよ。そういうものを検討した上でこれはおそらくおつくりになっておると思うのです。何も検討しなくてこんなものが出てくるはずはないと思いますが、それらの研究所あるいはそれに類似のものの評価をどういうぐあいにやっておるのか、これをまず御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/6
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007・梅本純正
○梅本政府委員 ただいまの御質問でございますが、まず、自分のほうの厚生省の試験研究機関と申しますか、これは御指摘のように相当持っております。厚生省の行政といたしまして、直接国民に関係する行政をやりますために、行政自身としては、非常に突然に問題が起こって、それに対処しなければならぬという事態が非常にございます。しかし、国民の衛生面でございましたら生命にも関係する問題も含んでおりますし、社会福祉面におきましては、直接貧困者であすを待てないというふうな事情もございますので、行政としては、語弊がございますが、いわゆるきわもの的な部面も相当持っておりますが、やはり一方におきましては、その根本になります各制度あるいは行政の基礎になりますいろいろのデータにつきまして、じっくりと研究する機関を持つ必要があるということで、各省に比べまして相当の試験研究機関を持っておることは事実でございます。今回、社会保障研究所の設立につきましては、たとえば人口問題研究所あるいは予防衛生研究所のように、いわゆる各行政ごとにいままでそういうものを持っておりましたが、これを横にながめまして、しかももっと基礎的な、学問的なと申しますか、特に今度は、社会保障制度という広い意味におきましての基礎的な研究というものについて欠けておりまして、いろいろやっと安定をしました時代を迎えて、長期的ないろいろの構想なり、そういうものを比較するにつきましては、いつもこの基礎的な研究というふうな部面につきまして欠けておるところがございますので、そういう点から見まして、この社会保障研究所は特に基礎的な、総合的な——といいますのは、社会面、経済面、財政面、心理面、そういうふうな総合的な、基礎的な研究をいたしたいということで設立を計画した次第でございます。特に社会保障制度審議会におかれましてもそういう点の御指摘がございましたので、そういうふうに設立をいたした次第でございます。
それから、ほかの省の同じような研究所との実績の問題でございますが、これはもちろん、御指摘のとおり立案にあたりましてはいろいろお聞きをし、データも調べまして、その上で計画をいたしたわけであります。たとえば一例でございますけれども、この研究所は、先日河野先生から、この財政的基礎につきまして、全額国庫補助で運営するという点について御指摘を受けたわけでございます。これも、ほかの研究所は大体出資金で、その運用利子でその財団を運営されておるわけであります。財政当局ともいろいろ相談をしました点におきましても、どこの研究所でございましたか、出資金の運用利子でスタートされたのでございますが、やはりうまくいかなくて途中から国庫補助を出されたというふうな点から見まして、この研究所は、最初でもございますので、一応出資金という制度をとらずに、全額国庫補助で運営をしていくということで、この運営をやっていくというふうなことも研究の上で考えたわけでございます。ただし、この前の御質問で、社会保障制度審議会の勧告にも、将来基金を持てというふうな点もございました、この点は検討いたすことは申し上げたとおりでございます。一例を申し上げましたが、そういう実績から見まして、相当勘案の上こういうふうにした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/7
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008・滝井義高
○滝井委員 この研究所が、基礎的、学問的なもの、財政的、心理的なことまでやるということをおっしゃったわけです。そして同時に、出資金制度をとらずに国庫の補助金でまかなっていく、こういうことだそうです。しかし御存じのとおり、先日、生ワクチンの問題をとらえて、国立予防衛生研究所の部長さんに委員会に来てもらって、いろいろ意見をお聞きしたところが、とても本格的な研究のできる体制ではございませんという御意見があったわけです。それから国立衛生試験所等の状態を見ても、予算が少なくてとても本格的な研究はできません、われわれの非常な犠牲で血みどろの研究をやっておりますというお話があったわけです。厚生省所管の人口問題研究所にしても、国立栄養研究所にしても、らい研究所にしても、がんセンターにしても、おそらくみんな同じじゃないかと思うのです。厚生省で学問的、基礎的な研究が必要であるということは、われわれは認めておるわけです。あまりたくさんで、わずかの予算しか出さない。今度も、予算をちょっと聞きますが、千六百万円ぐらいでしょう。それをお出しになって、そうして基礎的な、学問的な研究をやる。しかもそれは、財政的、心理的な問題まで検討していくという。総合研究をやろうとすれば、これは相当の大規模の研究機関をつくらなくちゃいかぬわけです。それならば、むしろこの際、臨時行政調査会等もできていろいろ問題を研究して、行政というものがあまり分化し過ぎて困る、総合性が欠けつつあるということと同じように、厚生省でも、あとで具体的な内容を聞いていきますけれども、たとえば社会保障の基礎的な問題を研究しようとすれば、人口問題を無視しては話にならぬわけです。そうすると、そこは人口問題でやっていくのだということになれば、この日本の人口構造、人口革命を論議せずして社会保障の問題というものは論議できないわけです。老人人口がふえたからこそ年金制度というものが必要になってくるのだ、こういう問題が出てくる。そのことは、同時に雇用の問題にも関連をしてくるわけです。あるいは栄養の問題です。こういう小さいものを幾つもやるよりは、むしろ厚生省の外局に、どっかりとした、十億ぐらいの金をもらって、そうして人口も栄養も、いま言った社会保障の問題もひっくるめた社会科学の部面と、それから自然科学の部面との二つぐらいの大きな研究所にして、そこに小さな人口部、社会保障部とかいうものをつくっておやりになったほうがいいのです。そうしてもう少し権威あるものにして、金をよけいもらってやっていく。そうしないと、九つも十もできて一体何をしているのかということです。何か問題が起こったときに、そこの部長さんなり所長さんなりを呼んでも、いや、金が少なくて、とても先生たちの質問に答えられるような成果はございませんというようなことになってしまうのですね。だから私は、こういうようにあなた方がわずかな金をさいてたくさんつくるということについては、実を言うと反対です。むしろ既存の人口問題研究所や栄養研究所等のものを一緒にして、大規模なものにしてしまうということのほうが大事だと思うのです。そういう構想をお持ちなのかどうかということです。たとえば国立予防衛生研究所と国立衛生試験所とすると、ダブっておる施設がたくさんあるのです。同じ機械を両方で買っておる。それだけむだです。それならば、もっと金を入れた優秀な機械を据えつけてやって、その一台分の金を給料に回してやるとか、研究費に回してやったほうが、能率があがるということになる。小さいものをたくさんつくるということは、私は問題だと思う。あとでだんだん触れていきますが、たとえば病院管理研究所のごときものだって私はそういう傾向があると思う。むしろ、こういうものをおやりになるならば、やはりもう少し大々的に大きくやっていくというような形で考えるべきじゃないかと思うのです。小さいものを幾つもつくっても、第一スタッフがいないです。給料が安くてスタッフが来ないです。そういう点では、またこういうものをつくるかと議員から痛くもない腹を探られて、だれか今度やめる局長か次官がここに理事になっていくのやろうというようなことで、これは本格的に議員から評価されないですね。つくった官房長なり大臣は、非常に純粋な気持ちでおつくりになっておっても、今度は、世間はそうは見ないというところに悲劇があるわけです。だから、そういう点の検討をされたことがあるのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/8
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009・梅本純正
○梅本政府委員 先生のおっしゃいました構想は、戦時中に厚生研究所というふうな構想のものがあったように聞いております。そういうことで、総合的に研究所を一本にするという考え方も検討したことはございますが、結局はいろいろの事情がございましてうまくいかないというふうなことが、大体いままでのところわれわれのほうが聞いております結論になっております。そういうことで、いまの段階におきましては、各試験研究機関の連絡を密接にするということで、毎月一回、研究所長を集めまして連絡会をやるというような形をとっております。やはりおのおのの制度、業務に密接に関連しながら運営していくということで、おのおの研究の分野も違っておりますので、なかなか総合して運営するということにつきましては難点があるというふうにいまのところ考えておるわけでございます。
この社会保障研究所との関係におきましては、おのおの業務、制度、直接試験研究機関が研究するのに比べまして、この研究所はもっと基礎的な、あるいは学問的な問題を研究したいということで、ほかの試験研究機関が付属機関という形で運営しておりますのに対しまして、いろいろ検討の結果、付属機関というよりももっと権威を高め、独立、中立性を保つという意味におきまして特殊法人という形式をとることにしたわけでございます。
また話は前後いたしますが、試験研究機関のほうにつきましても、先ほど御指摘のように中途はんぱな研究で終始しているということでございますが、おいおい予算もふやしまして、特に、ちょっといま数字を持っておりませんが、三十九年度の予算におきましては、いままでに比べて相当大幅な予算の増額をいたしたのでございます。一応そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/9
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010・滝井義高
○滝井委員 予算のことはあとで聞きますが、たぶんこれは千六百万円だったと記憶しておるのですがね。それで相当権威を高めて独立性、中立性を保ちながら研究をされるとおっしゃるけれども、実際にいまの日本の政治構造、予算編成のしかた等から考えて、こういう研究所に大蔵省がばく大な金を出すような、そういう雰囲気というものがないのです。
そこでお尋ねしますが、いま厚生省で厚生科学研究費をお出しになっておりますね。これは、実はわれわれもらっておる予算書にはそれがついておらぬわけです。おそらく「その他」の九十億八千五百七十六万二千円というものの中に、十ぱ一からげにされておるのだろうと思うのです。これはそれぞれ特殊の研究をする学者に、十万円とか二十万円とか出していますね。この予算はいまどこの所管で幾らあって、そして三十八年度の実績、それから九年度はどういう方面で使われるのか、その概要を御説明していただいて、あとでその資料を、ここ三、四年の分を出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/10
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011・伊部英男
○伊部説明員 厚生科学研究費につきましては、後ほど資料を差し上げることにいたしたいと思いますが、予算といたしましては毎年若干ずつ増額いたしまして、現在約三千五百万円程度でございますが、これを各局から、行政の必要上こういう問題を研究してもらいたいということにつきまして問題をあげまして、研究を学者のグループにお願いをしておるわけでございます。最近行ないました研究といたしまして、たとえば岡山県の新産都市につきまして、斎藤潔先生を中心とするいろいろな御専門のお集まりのグループで研究をしてもらいまして、新産都市の建設等の厚生関係のいろいろな側面について考えていただいております。あるいは公害問題等につきましては、これもいろいろな専門学者を含むグループで研究をいたしていただいておるようなことでございますが、直接行政に必要な研究をお願いするという趣旨でございます。いずれ、その内容につきましては資料を提出申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/11
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012・滝井義高
○滝井委員 社会保障についても、政府は、末高さんや近藤さん等にもずっと前にお願いしているということを前に聞いたことがあるのです。そうしますと、日本のいわゆる一流の諸先生方に社会保障に関する基礎的、学問的な研究をしてもらっているわけです。いま言ったように、三千五百万円のほかに、科学技術に関することは科学技術庁にあるのです。たとえばガンの基礎的研究というものは科学技術庁にあるのですよ。私、調べたことがあるのです。そうしますと、そういうものと科学技術庁にある科学技術方面の研究というものは——厚生省における国立がんセンター、国立らい研究所、国立予防衛生研究所、国立衛生試験所、こういうものと科学技術庁の基礎的研究というものは交流してくることになる。それから、厚生科学技術研究費の中の社会科学的な部門は社会保障もひっくるまれているわけですから、したがって、今度できる社会保障研究所との関連が出てくるわけです。この関係は一体どうなるのか。社会保障研究所ができたら、三千五百万円の厚生科学研究費というものは、もう社会保障については出さずに、全部こちらの社会保障研究所のほうに集約をしてくるのかどうか、その関係ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/12
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013・伊部英男
○伊部説明員 厚生科学研究費は、科学について問題が起きましたときのいわば応用的な研究でございますので、社会保障研究所ができましても、やはりその中のある部分は、社会保障の分野にお願いをすべきものが依然としてあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/13
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014・滝井義高
○滝井委員 そこらあたりが、まだあとでだんだん出てきますが、あいまいにしておくと——社会保障研究所というのは、基礎的な、総合的な調査研究を行なって、今度その成果を普及し、そして国民の福祉を向上するというのです。したがって、基礎的な、学問的なものが出てきたら今度その応用が出てくるわけです。いま伊部君の言うように、厚生科学研究費というものは、直接問題が起きたときに応用の研究をやると言うけれども、応用の研究をやろうとすれば、基礎的な、学問的な研究のないような学者に応用はできないわけです。当然、やはり厚生科学研究所の成果というものと同じものをその学者が持っていなければならないわけです。この学者は、自分の研究室で助手をたくさん持ってやっているのですからね。二十万、三十万とずっともらっている人がおるでしょう。だからそれらとの関係を一体どうするのですかということです、私が言いたいのはここなんです。わずかしかない予算を、今度大蔵省は、千六百万円を社会保障研究所に出せば、もう厚生科学研究所の費用、その部面は要らぬじゃないかと必ずやりますよ。そんな抜けている大蔵省ではない、ちゃんと抜け目はないのだから。だから千六百万円取れたと思って喜んでいると、あにはからんや、厚生科学研究所の社会保障に関連するものをいつの間にか削られておったというのでは話にならぬわけですよ。したがって、あまり小さく分けておると、いままで厚生科学研究費でできておったものができなくなる。そしてその金を今度は社会保障研究所のほうに回されて、そちらも少しももらえぬということで、みんな基礎的な、学問的な研究や、その応用の問題に基礎的、学問的なものを利用する場合には、金が少なくてどうにもならぬということになって、かえって社会保障の学問的研究というものは停滞することになる、こういう問題が起こってくると思うのですよ。だから私は、そういう細分化は困りますよということを言っておるわけです。だからまず、その厚生科学研究費との関係をこの際、予算的にも、研究の横の連絡の面からいっても、やはり明らかにしておく必要がある。私、どうせこれはきょう質問が終わらぬですから、できればあしたの質問までに、ここ数年来の厚生科学研究費を、社会保障関係、社会科学部面にどの程度出したか、どういう人にどういうテーマで出しておるのかということをひとつ出してもらいたいと思う。これはたいして時間がかからぬと思うのです。雑誌その他で見てみましたが、二、三ページくらいしかなかったのです。それを出してもらって、そこはもう少し私は詰めたいと思うのです。
それから、御存じのとおり、昨年でございましたか、医療費の基本問題研究員制度というものができたわけです。これは医療費問題の基礎的な研究がないのだ、だから基礎的研究をやるのです、こういうことなんですね。御存じのとおり、日本における社会保障というのは、これは医療保障と長期の年金の所得保障、それから社会福祉、公衆衛生と、憲法二十五条はそうなっておるわけでしょう。そうしますと、何といってもいま一番大きい問題というのは医療保障の問題です。そうすると、その医療保障を、わざわざ大学の先生を委嘱して、西村先生がいらっしゃるが、西村厚生大臣のときにこれはおつくりになったわけです。(「名案だよ」と呼ぶ者あり)名案だと本人もおっしゃっているとおり、名案らしいのですよ。そうしますと、これまた社会保障研究所ができると、この関係は一体どうなるのだということなんです。また新規立法の社会保障研究所でやるというなら、あれは二年間くらいで結論を出すことになっているはずなんですね。そうすると、またこれが延びてしまうということになると、痛くもない腹を医師会から探られることになる。これは、お読みになると、やはり基礎的な研究をやることになる。この両者の関係というものは一体どうなる。これもまた、いまの伊部さんの説明じゃないけれども、直接問題が起きたのでこれは応用的にやるのだということになると、生き証人がうしろにおりますから、そんなばかなことはないと前大臣が文句を言うことになる。この関係は一体どうなるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/14
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015・梅本純正
○梅本政府委員 先ほどからの科学技術の研究費の補助、それからいまの問題、そういう点でございますが、一面こういう社会福祉研究所というふうなものがいままでなかったという点との関連におきまして、特に科学研究費といわれますものに、非常に基礎的なものの研究も一部お願いしておったことはあると思います。ただ、この研究所と先ほどの話との関係は、やはり個々の具体的な問題、制度、直接行政が必要としておる問題につきまして、いろいろの試験研究機関を設け、あるいは調査員を置き、科学研究費で早急に研究をまとめていただくということをやっておりますが、この社会保障研究所の構想しておりますのは、もっと基礎的な問題と、それから大きく横に広がった問題、特にその経済、財政、社会、法制、そういうところの専門家が、そのおのおのの専門の立場からだけ研究をおやり願うということでなくて、いわゆるチームとして、そういう角度から検討を加えた総合的な研究成果を出していただきたい。医療費の問題につきまして、医療制度あるいは医療費、そういうふうな問題につきまして根本的に研究する、その分野はまたその分野で非常に詳細に研究していただくことは必要でございますが、わが国の今後の社会保障制度の中において、欧米諸国と最も異なっております型として医療費の社会保障費に占めます割合が非常に大きい、そういうふうな形で、全体の中に医療費が占めます位置であるとか、あるいは今後向かうべき方向であるとか、そういう点の横の部面から見た経済、財政、社会、法制、そういうふうな総合的な研究をやる必要があるという点で、従来の制度とそれから社会保障研究所との相違を構想しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/15
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016・滝井義高
○滝井委員 あなたの言われるように、基礎的な問題でしかも横に広がった問題、その経済、財政、法制上の問題をおやりになるというけれども、これは研究員というのは何人おるのですか。これが百人とか二百人とかおるということなら、私はいまのような御答弁でいいと思うのですよ。そんなものは大学の研究室よりか少ないでしょう。大学の研究室というのは、無給の助手その他がおって、二十人や三十人のものを持っておりますよ。ここは何人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/16
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017・梅本純正
○梅本政府委員 全体の研究員としまして、常勤が十二名、非常勤が十名、合計二十二名でございます。これは所長と常務理事を除いております。これが、平年度に直しましたときのいわゆる研究員の数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/17
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018・滝井義高
○滝井委員 常勤が十二人と非常勤が十人というと、少し有名な教室はこのくらいのものを持っておるわけで、一つの教室とたいして変わらないのです。そうなりますと、そうあなたたちの言うようにここで大成果を期待するなんということは、木によって魚を求めるにひとしいことになる。私はまた百人くらいおるかと思った。そのくらい置かなければ話にならないですよ。だから結局、私の言いたいのは、それならば非常に歴史的な成果を持っている人口問題研究所やこういったものと統合して、もっと大きなものにしたほうがいいと思うのです。厚生科学研究所というくらいにして、そうして人口部門をやってもらう、あるいはいま言ったような財政部門をやってもらう、経済部門をやってもらう、医療部門をやってもらう、医療費の基本問題研究員もできたのだから、ここに入れてくるというふうにして膨大なものにして、総合的な横の連絡を所長のもとにとっていくということにしないと、人口問題研究所は人口問題研究所長の主宰のもとにわが道を行く、経済研究所はわが道を行く、医療費の基本問題研究員のほうは一橋の高橋長太郎先生ですか、この先生のもとに統括されていく、今度社会保障研究所は、だれになるのか知らぬけれどもその所長のもとに統括されていく、こういう形になっていくと非常にまちまちになって、研究の得た結論が同じ厚生省の内部で違ってしまってどうにもならぬ。結局あなた方が自分でやってしまうというようなことで、ビューロクラシーだといわれるのです。だから医療協議会あたりでも、いま医師会あたりから出ておるのをごらんになると、なんだ、これは役人の作文じゃないか、あれだけ一生懸命になって六カ月もかかってつくってもらったのに、出てきたのは役人の作文じゃないかといわれるようでは、これは権威がないのですよ。あなた方は、そんなものはそれでいいかもしれない、それぞれ各研究所にみなやらせておって、いいところだけとって自分たちがいいようにしてしまうということで、それでていよく学者はダシコンブみたいに利用されておるということでは、これはいい学者なんか集まらぬですよ。いわゆる御用学者しか集まらぬということになってしまう。だからこれは、いまのあなたの言うようにほんとうに権威のある独立の機関とするためには、十人や十二人くらい——これは、ことしは常勤は四、五人でしょう、発足するときは四、五人しかおらぬはずですよ。そうしますと、これはいい人は来ないですよ。これが大研究所になって、相当の金が入ってきて研究ができるということなら来ますよ。御存じのとおり、いま優秀な学者がなくて困っておるのですからね。社会科学の面でも、技術の面でも、優秀な人がいなくて困っているのですよ。それを、あなたたちの言うような理想的ないい学者がここに集まってくるかというと、集まってこない。そうすると、どういうことになるか。非常勤が多くなる。非常勤が多くなれば、厚生科学研究費と同じような形になってしまう。腰かけじりになってしまって、自分の研究室の研究の成果のためにここの金を持っていくだけのことになる。自分の研究のためにこの研究所を利用することになってしまうのです。それでは国民の福祉の向上ではなくて、学者の福祉の向上になったのでは困るのです。だから二十二人程度に平年度はなる、しかも十人が非常勤だということになれば、非常勤は厚生科学研究費をもらっておるのと同じだから、非常勤を減らして、非常勤の十人の分をむしろ三人でも四人でもいいから常勤にして、そうして非常勤の分は厚生科学研究費で出すという割り切り方のほうがいいのです。なまじっか腰かけじりの学者を集めても研究はできないのです。むしろここを利用されるだけです。ここが学者を利用することにはならないと思うのです。そういう点で、こういう機構を考えるときには、優秀なスタッフを集めるということで相当高い給料も出し、予算も大蔵省からもらってやるという形にならぬと、ほんとうの研究はできないと思うのです。研究所というものはそういうものですよ。研究をやろうとする人は、やはりいい機械設備と相当ふんだんな研究費がないと来ないということは、日本の各大学の優秀な頭脳がアメリカにどんどん移動しているということを最近言われることが、具体的にそれを示している。行ったら学者の待遇もいいし、研究設備もいいしするからこそ、頭脳がみんなアメリカに逃避するのです。そういう関係があるのですから、もう少し研究してもらわなければならぬが、そうすると医療費の研究員制度はそのまま置いておくということになれば、高橋先生たちの研究成果と、ここの社会保障研究所の成果が全く違ってきたというときは、これは大問題になる。そういう関係の調整というものはどこがすることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/18
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019・梅本純正
○梅本政府委員 さっきの医療費の問題の医療調査員の関係、先ほど申しましたように、これは個々の制度の直接行政に関係する部面の研究でございまして、社会保障研究費のほうは、もっと基礎的な、総合的な研究で、個々の具体的な制度にまでは研究が入らないと思います。
それから、先ほど御指摘がございました人口問題研究所その他の研究所との関係でございますが、この社会保障研究所は、特殊法人ということで研究の独立性を保つことに苦心をしたわけでございますが、ただ、やはり全額国庫補助でおやり願っているという点で、法文におきましても、やはり事業計画につきまして厚生大臣のほうに相談をしていただくという制度にもなっております。その辺は、各研究所との関係におきましては、研究の自主性は確保するけれども、対象の問題につきましてはほかの試験研究機関とのダブリのないように、事業計画その他の点で十分相談をしていくということで、十分調整がとれると信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/19
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020・滝井義高
○滝井委員 医療費の基本問題のほうも、国民所得の上昇と医学医術の進歩、国民所得と医師の稼働というような、やはり基礎的なところをやるのですよ。国民所得と言うときには、日本経済の輸出とか輸入とか、労働の生産性とかいうような、あるいは物価というような基礎的なものを全部整理してこないと、国民所得という成果は出てこないのですからね。だから、その国民所得と医師の稼働の状態がどうなるか、その稼働というものは一体世界的に見て他の労働の報酬との関係はどうなんだ、労働時間との関係はどうなんだという、やはり基礎的なものを十分照合しないと稼働というものは出てこない。あるべき稼働なのか、いまある稼働なのか、ザインかゾルレンかという問題になって、ずいぶん議論してこないと、医師の稼働をどの程度に見るかということは生まれてこないと思うのですよ。各国の例なり日本の他のものの労働の状態等、基礎的なものを把握した上で医師の稼働というものは出てくると思うのです。そういう点から言うと、やはりあなたの言うように、基礎的、総合的な研究をやらぬと基本問題というものは解決できないと思うのです。学問というものは、そう根のほうを研究せずして、幹から上だけの枝葉だけをやればそれで応用の問題は解決するというものではないと思うのです。ほんとうの根本的な解決をやろうとすればするほど、行政の根を深くしようとすればするほど、やはり基礎的、総合的なものに行政が目ざしていかなければならぬ。これが科学的な行政だと思う。そういう点では、医療費基本問題研究員制度との関係というものは、どうもいまの答弁ではあいまいです。それはあなたが総理府か援護局かにおられるときにできたので、当時あなたは関係していなかったからあるいはそれだけの認識しか持たないのかもしれないが、ほんとは小山保険局長に来てもらうとよくわかるのです。これも宿題にして、次会に小山さんに来てもらって、もう少しその関係を明らかにしておかぬといかぬと思う。
次に、そうしますと、この研究所は社会保障に関する基礎的、総合的な調査研究を行なうことになっておるが、当面の研究テーマというのは一体何なのかということです。基礎的、総合的な研究のテーマが必要になってくるわけです。ところが、そのテーマがどういうものかということの前に、まず厚生省に企画室ができました、この企画室をつくるときに一体何と説明したかと言うと、厚生行政のやはり基礎的、総合的なことをやるために企画室が必要なんだということでできたのです。これは内閣委員会等の説明でもそうなっておるはずです。それで当時、これは大きく新聞のトップ面に取り上げられて出てきたわけです。そうしてこれで何をつくったかと言うと、厚生行政の長期計画なるものをつくったのです。この長期計画は、むしろ私が強硬に主張してきたのです。私、代議士になってから十二年くらいになりますが、なって二、三年後ごろから、厚生行政の長期計画を立てなければならぬということを強硬に主張して、歴代の大臣に長期計画をお出しなさいと言ってきたのです。どの大臣も全部約束しました。小林さんも例外ではない、お約束しておる。ところが、出した大臣は一人もない。そして一回、予算委員会でもやってみましたが、企画庁の答弁と厚生省の答弁が違う、たとえば所得倍増計画なり鳩山内閣の経済五カ年計画等を企画庁でおつくりになるときでも、その基礎には厚生行政の長期計画というものはあった。あったけれども、一体振りかえの費用をどの程度に見るか、社会保障の総経費をどの程度に見るかという点になると、意思統一がちっともできていない。そして新聞のトップ面にはいつも出るのです。これは古井さんのときも出しました。灘尾さんになっても出しました。前の川崎君が厚生大臣のときも出した。小林さんも例外ではない、出した。ところが、われわれが資料をくれと言うと、そんなものは海のものとも山のものともわかりませんから、資料は差し上げられませんと言って、絶対資料はくれないでしょう。けれども新聞には、各大臣みなアドバルーンを上げておるのです。だから一体、企画室とこの社会保障研究所との関係はどうなるかということです。企画室は、総合的な、基礎的な研究をやるためにできたのです。これは企画ということを書いておるからには、社会党も企画担当の中央執行委員というものは、やはり総合的な、基礎的な研究をやっておるわけです。これとの関係は、一体どうなるのか。こういうものができてくれば、もうこれで企画室は廃止するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/20
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021・梅本純正
○梅本政府委員 先生御承知だと思いますが、企画室は行政の組織の中の一つの単位でございます。調査研究と申しましても役人流の調査研究であり、具体的日常の制度の問題でございます。社会保障研究所におきましては、再三申しておりますように、学者のお集計りの学問的な基礎的な研究でございまして、企画室は、その研究されましたことの役所の窓口として、それを行政的に受け入れられる面につきましては各局と連絡して、いわゆる行政的な検討を加えて実現をしていくというふうな形におきまして、そういう点で、特別に研究所ができましたから企画室がなくなるというものではございません。役所の機構と学問的な研究所ということで、全然別のものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/21
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022・滝井義高
○滝井委員 そうすると、研究には役所流の研究と学者流の研究とあるようであるけれども、そこにおられる伊部さんにしても、江間さんにしても、書いておるものを見るとけっこう学者以上のことを書いている。学者と同じようなことをぼくら読ましてもらうのだけれども、学者と変わりはしないのですよ。企画室ができるときは、やはり厚生省の長期構想をおやりになるということでできた。長期構想をおやりになろうとすれば、ただ財政上の問題だけで長期構想を立てられるものじゃないのです。やはり各国の社会保障の研究をし、その基礎的なデータを集めて、日本経済の中でどの程度の社会保障ならば一体やれるのかという日本経済発展の姿、そこから出てくる財政負担の能力、それから人口の構造というような総合的なものを十分知っておかないと、総合的な長期計画というのはできないでしょう。そうすると、学者の研究とちっとも変わらない。そういうことをいままでおやりになっておったはずですよ。
そうすると、当面の研究テーマは何ですか、これを説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/22
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023・梅本純正
○梅本政府委員 研究のテーマとしましては、非常にばく然としておりますが、これがすべてすぐに研究できるというわけではございませんけれども、一応私どものほうで考えておりますのは、各国の社会保障制度の現状と動向、これは一つの問題点だと思っております。それから、わが国の社会保障の当面する問題点というような、今度は少し現実的な問題との関連の基礎的研究としまして、そういうテーマを考えております。たとえば社会保障等国民経済への影響、消費、貯蓄、投資等への影響、これが内訳でございます。それから、社会保障の所得格差是正機能であるとか、あるいは社会保障と福利厚生施設との関連でありますとか、あるいはわが国の二重構造の緩和という現状におきまして、社会保障がこの構造を改革するのにどれくらいの役割りを持つのか持たないのかという問題、それから、いま中心問題の人口構造の変化に伴う社会保障の役割り、たとえばそういう問題につきまして研究をしていただくわけでございます。
ついででございますが、先生のおっしゃいますように、先ほどの医療調査員の研究にしましても、企画室の問題にしましても、これは研究でございますので、研究をする人の立場とテーマによりましては、やはりどの研究をする場合におきましても基礎的なデータに触れてくることはやむを得ないことだと思いますし、医療費をやられますについて、いろいろ基礎的な問題の研究にも一部入ってくるということで、役所の権限流にはっきり分けるということにつきましては、研究の分野では非常に困難かというふうに考えておるわけであります。その点、人口問題研究所は統計調査部から人口動態統計、総理府からセンサスと、両方にらみながら人口問題の観点から研究をしますし、また一方のデータを中心にして医療調査員がまた検討される、あるいは社会保障研究所がその研究の成果を前提にしてまた基礎的な研究をするということがあり得ると思いますので、先ほどの問題との関連におきまして、その点はひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/23
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024・滝井義高
○滝井委員 これは一月二十六日の新聞に出ておったのですが、小林厚生大臣の指示で、社会保障政策の充実をこの際積極的に推進したいという意向から、その基本となる社会保障政策長期展望の立案検討を進めてきたが、ことしの一月二十五日、その骨格となる厚生行政の長期構想をまとめた。その内容は、三十五年の厚生行政長期計画基本構想を新しい角度から改定しようとするもので、今度まとめられた厚生行政の長期構想課題によると、農業、中小企業などおくれた部門の近代化を助け、所得格差の是正をする、これが一つです。その中に、児童手当制度創設とか、社会保障給付水準を引き上げるとか、リハビリテーションの確立とか、社会福祉活動家の水準の向上というようなものが入っているわけですね。二番目が、急速な都市化、工業化に伴う社会的施策を推進する。これも生活環境から、公害から、交通戦争の防止から子供の遊び場のことまで、非常に広範なものがこの中に入っておる。それから生活構造、生活様式の変化に伴う施策の確立ということで、これは主としていまあなたが御説明になった面と幾ぶん違う側面を出してきておるわけです。
ところが、最近東京新聞に出ていたのを見てみますと、やはり人口の問題から、医療から年金の問題まで含まれたものが出てきておる。そうすると、いま言ったあなた方の当面のテーマとたいして違いはないのです。やっていることは、同じことをやっていることになる。社会保障研究所と銘打ったけれども、やっていることは同じだということになる可能性が非常に強い。いまここにおあげになった各国社会保障の現状と動向なんというものは、もう書物もたくさん出ていますし、あるわけですね。結局これは基礎的な研究とかいっても、各国の文献を集めて、見るようなことになる。それから社会保障の所得格差是正の問題にしても、所得格差の是正をどの程度やり得るかということは、もう現実には、全く所得格差を縮めるということはわかっておるわけです。わかっておるけれども実施しないだけなんです。金を出さないだけなんです。そしてますます所得格差を拡大する方向に持っていっているだけだ。これは何も学者に研究してもらわなくてもわかり切っている。その実践を、いまの政治家がいかに良識を持ってやるかということなんです。これが問題なんです。いま社会保障の当面する問題は、もうこれはたくさんあり過ぎてどうもこうもならぬ。人口構造の変化は人口問題研究所がたくさん書物を出してやっておるということになれば、これから社会保障研究所ができて目新しくやるということは、非常に少なくなってくる可能性がある。あまり大きな期待を持っていると、期待はずれがするという可能性がある。これは、ここにあるあなたのほうの所管の九つばかりの研究所ができるときには、みんな大きな期待を持たれたが、行った学者諸先生方は、学者流の研究をやろうと思ったが、何も研究ができないので悲観して、いま神経衰弱になっている。何か問題が起こると役所からは呼ばれ、議会からは呼ばれて、一向に答弁ができかねます、なぜならば研究費がありません、給料が安くていいスタッフを集めようと思っても集められませんというのが、みんなの一致した意見なんです。とにかくこの前、小林厚生大臣はポリオのときに、それを直しましょう、こういうことだったのです。私はそんなところは初めはよく知らなかった、実態がよくわからなかった、こういうことなんです。だから、できてしまってしばらく年月がたって、初めて大臣が、そういうことだったか、それは知らなかったということでは困ると思うのです。できるときから、大臣がそういうほぞをかむような発言を国会でしないような制度につくっておくことが必要なんです。だから、まず第一に出発のときが大事なんです。出発のときからちゃちなことではどうにもならぬ。われわれも、これをつくることについては賛成します。しかし、ちゃちなものをつくったのでは意味がない。予算をただ食いつぶして、何人かの人に職を与えて失業救済の役割りを演ずるという点については利益があったかもしれぬけれども、日本の社会保障の前進と国民福祉の向上には役に立たないということでは困ると思うのです。だから、こういうテーマをおやりになろうとすれば、やはりここにほんとうに財政的にも金を集約をして、そして出た基礎的、学問的な成果というものを企画室が応用していって、そして企画、立案に充ててそれを各局に流していく、こういうことでないと話にならないわけです。そうすると、企画室は企画室でおつくりになる、保険局や医務局は、かってにまた学者を動員しておやりになる。悪くはないです。それはもういろいろの方面から、上から下から、縦から横から問題を検討することはいいことですけれども、いま言ったように、少ない予算の中からしていると、ろくな研究はできてこないということになる。だから、それならばさいぜん言ったように、厚生科学研究費もここに集めてくるし、医療費の基本問題を研究する金もここに集めてくるというような形で一挙に研究所をここに統合することができないとするならば、厚生省がいろいろなところに出しておる金をここに集約してきて、官房なら官房で集約をしてやる。そしてそのできた成果は責任を持って各局に流していく。それから、必要ならばその学者との討議には各局の優秀な事務官が参加するというような形で有機的に、総合的にやっていく。そしてその成果は、官房長から次官、大臣を通じて絶えずその報告をされるというような形にしていかなければ、いまのような形ではどうにもならぬでしょう。研究成果ができたって、大臣は忙しくて読むひまがない。いよいよポリオの国産の問題がけしからぬといって起こったときに、初めて大臣が予防衛生研究所の予算の実態を知るということでは、これはもう政治が後手後手になる。だから私たちの立ち会い演説会で、自民党の代議士が、池田内閣の政治は後手の政治です、だからだめだと言うのですよ。私たち野党が言うのではなくて、与党が言うのですよ。与党から後手の政治と言われないようにしてもらいたいということです。いまのように、研究テーマだって、いままで出したものとほとんど重なってしまっているのです。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/24
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025・小林武治
○小林国務大臣 だんだんのお話を承ったわけでありますが、私もいろいろの点で滝井さんの御意見は首肯するところが多いのでありますが、実際問題といたしまして、今度こういう研究所をつくろうという点は、政府の慣例と申しますか、やり方、姿勢はなかなか通るめどが小さいので、自然からだを狭めなければ通らないというようなことでまたかようなものができるわけでありまして、内容につきましても、むろん私どもとしては、きわめて不満足な形においてこれが誕生しようとしておるということは事実であります。しかし、やはりものというものは一度にはまいりません。こういうものを出発させてから、みんなの協力を得て、そしてこれを十分なものにしていく、こういうことはある程度やむを得ないことでありまして、あなたの意見もいろいろ私ども参酌してこれからの運用にもつとめたい、かように考えておるものでございます。ことに、前にも申し上げましたが、自然科学の研究と違いまして、こういう社会科学と申しますか、人文科学の研究というものは、初めの形が大きくても、だんだん形がしぼむ心配もあります。したがってわれわれは、今後十分続いてこれを見守って育てていく努力を固めなければならぬ、こういうふうに思います。そういうことで、いろいろのお話は私は十分傾聴すべきものがあると存じますので、そういう御意見も参酌してひとつつとめたい、こういうふうに思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/25
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026・滝井義高
○滝井委員 すでに厚生省の中で、人口問題研究所、国立公衆衛生院、国立精神衛生研究所、国立栄養研究所、国立予防衛生研究所、病院管理研究所、国立らい研究所、国立がんセンター、国立衛生試験所と試験研究関機が九あるわけで、今度十になるわけです。したがって、佐藤さんの臨時行政調査会ではないけれども、あまりに行政が分化していくと大局を見誤ることになるので、ある程度総合性を持たせる必要がある。しかし、社会科学部面の研究機関は、官房長の言うようにそれぞれ歴史的なからを背負っておりますから、一挙には統合しにくいと思うのです。しかし、日本の人口構造その他を見きわめるということがやはり今後の政策の確立の上に非常に重要だとすれば、人口問題研究所といま言ったような社会保障研究所とを一本にして、社会保障人口問題研究所としてでもいいと思うのです。そうして、もう少し予算をよけい取ってやる必要があると思う。いままで、鳩山内閣のときにも新しい経済の五カ年計画をおつくりになったが、全部違ったのです。合ったものは何かと言うと、日本の人口の動向だけです。出生の状態だけが合った。あとみんな統計資料が間違ったのです。輸出も輸入も間違うし、生産も間違うし、全部間違った。人口だけだ。それだけに厚生省の人口問題研究所というのは、いま舘さんが所長さんですが、これは優秀なものです。相当の研究成果も出していますよ、われわれも見せてもらいますけれども。何としても人つくりをやろうとする池田内閣が、人口問題の動向を知らずしては話はだめなんですから。その人口問題の動向を池田さんが十分研究していなかったからこそ、労働力の不足という問題にいま池田内閣はぶち当たっているでしょう。ここでいつも言うようだけれども、高度経済成長政策をやるのに見誤っていたのは、労働力がこれほど不足になろうとは思わなかったことです。それから、これほどたくさんの青少年の諸君が高等学校、大学に行こうとは思わなかったのだ、バナナとエビがこれほど輸入されようとは思わなかったのだというようなことを言っておる。その中で一番大事な点は労働力の動向でしょう。それは人口の動向ですよ。これは結局、歴代の厚生大臣が、優秀な人口問題研究所を持っておるけれども、結論から言えば、池田さんにレクチュアすることができなかったのだ。これは池田さんの高度経済成長政策における新規若年労働力の不足という、この点を見誤り、技術者の不足を見誤った点にある。その人間の面から所得倍増計画は倒れようとして、佐藤さんなり藤山さんから批判を受ける形になっておるのです。だから、これは一面から言うと、池田さんを補佐する小林厚生大臣が足らなかったことになるのです、春秋の筆法をもってすれば。だから、そういうことをぜひ閣議で発言をされて、人口問題研究所に金を出せ、社会保障研究所に金を出しなさい。ひとつ今後は、あなたが三選をしようとするならば、新しい政策をここから打ち出してやろうというくらいの厚生大臣のプライドと勇気を持ってやらなければ話にならぬでしょう。千六百万円くらいもらって、それでしようがない、身を小さくしていかなければならないというのでは困ると思うのです。身を大きくしてやってもらわなければ困るのですよ。上を向いて歩こうです。それをしないと人間の問題が無視され、社会保障が無視される、こういうことになるのです。これは小林さん、研究すると言うから、ぜひひとつ研究してもらって、だれが次の大臣になってももう一回厚生大臣に残ってもらって、ひとつわが道を邁進してもらいたいと思うのです。
次は、千六百万円の予算の内容ですね。官房長、こういう初めて出る法案を出すときには、千六百万円の予算があるならば、その予算の内訳その他はやはり委員会に前もって資料で配るとか、あるいはこの法案の一番最後に予算ぐらいつけるのがエチケットですよ。エチケットがないというのは、非常に遺憾しごくだと思うのです。厚生省でも他の局は、やはりこういうものを出すときには、最後に研究するテーマとか、それから予算の内容ぐらいは示すのです。これにはついておらない。だから、どこか予算がついておるものはないかと思って調べてみたら、このもらったものの一番最後についておるのです。しかし、見ると内容はさっぱり書いておらない。特殊法人社会保障研究所に千六百万円とあるだけのことなんです。何も内容はわからないのです。会計課長の説明も、この説明を詳しくしておらぬ。だからわれわれは、何かこの内容、テーマを書いておるものはないかと思っていろいろ厚生省関係の専門誌を調べて、ようやく日本医事新報というのにいまのテーマが出ておるのを見た。いまのあなたの説明と違うんだけれども、出ておったのをやっと見つけたぐらいです。こういうところがPRがへたなんです。やはりこういうものをつくるとすれば、大々的に宣伝しなければならぬ。日本は社会保障がおくれておる、基礎的、学問的研究が足りない、だからこれをやることになったのだという大臣談話くらいやはり発表さして、天下に周知させなければならないのです。そうして予算は、残念ながらたった千六百万円しか取れませんでした、内容はこうですというくらいの説明はしないと、議員でさえあっちこっちさがさなければ質問の材料が集まらぬということでは、この先が思いやられるのですよ。これは先天性の弱質児ですよ。しばらくこれは保温器に入れなければ育たぬですよ。インキュベーターの中に入れなければ育たぬです。それじゃ困るのです。だから、予算の内容くらいは、議員がちゃんとわかるようにしなければならぬ。おそらく与党の皆さんだって知らぬでしょう。千六百万円は知っておるけれども、予算の内容は知らぬでしょう。だから、そこらあたりを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/26
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027・伊部英男
○伊部説明員 本年度千六百万円でございますが、この研究所の設立を明年の一月一日に見込んでおります。したがって、三カ月分でございます。三カ月分の経費として千六百万円でございますが、そのうち百七十六万一千円が設立準備費でございます。設立準備委員会をつくっていろいろ事務を進める費用でございます。したがって、三カ月分の研究所運営費が、この残りの一千四百二十三万九千円でございます。うち管理費が九百八十万四千円、非常勤給与が六十二万四千円。内訳は、顧問、理事——これは非常勤の理事でございます。それから監事、評議員の手当、専門委員等でございます。研究員も、もちろん教授級、助教授級それぞれ二名でございます。いずれ資料を差し上げますが、職員給与が二百八十四万三千円、常勤の理事と所長と、その他一人おられるのですが、所長の給与が月十六万円でございます。それから常勤の理事が十四万円でございます。したがって、国立大学の総長、東大や京大並みではございませんが、それに近い額を所長には出すことになるわけです。このほか常勤の研究員の教授級一人、助教授級四人、事務職員五名等に対する給与でございますが、これはおおむね教育公務員の給与体系に準じて計算をしてございます。それから庁費が二百一万円、初度調弁費、机その他百十九万五千円。そのほか自動車購入費、厚生費等。事業費として四百四十三万五千円、これは調査のときの速記料、翻訳料、印刷費等でございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/27
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028・滝井義高
○滝井委員 四十年の一月一日から三カ月分が千六百万円で、いまのような予算の内訳になる。そうしますと、平年度に直すとどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/28
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029・伊部英男
○伊部説明員 試算でございますが、平年度化いたしますと、三千七百万円程度というのが現在の見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/29
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030・滝井義高
○滝井委員 大臣、お聞きのようにいまのような研究スタッフをそろえて、所長は国立大学の総長クラスだ。十六万円ですね。平年度化すると三千七百万円だ。さいぜん私が御指摘を申し上げました厚生科学研究費が三千五百万円程度なんですね。大体厚生科学研究費程度の研究しかできないとすると、厚生科学研究費が一体どの程度厚生行政の基礎的な学問的成果として応用ができたかというと、これはもう相当応用できたと思いますけれども、それに近いものが今度できるという形になるのですが、それではちょっと少ない感じがするのです。それで私は十億円と言いましたけれども、まあ一億円くらいの金は平年度に取ってやるくらいの体制をつくらないと——いいですか、医療費だけでも八千億というんでしょう。これを今度、八%か一割か知らぬけれどもお上げになれば、約九千億近くになるわけですよ。医療費だけで九千億を使う。それに年金その他の積み立て金だって二千億近くもできてくるということになれば、相当の社会保障の金を厚生省は国民から取り立てて動かしておるわけですよ。相当実力がある。金その他の面について動かしておる状態を見ると、実力があるわけですよ。だから、その中から、やはり一億や二億の金は基礎的な研究に持っていくというのが常識ですよ。日本人というものは、あまり基礎的なことに使わずに目先だけがきき過ぎて、全部外国のものを使っちゃうのですね。最近、原子力商船の問題、あれだけ国会でわんわん騒いだ原子力商船にしたって、日本の原子炉でつくるのだと言っておったけれども、いつの間にか、ウェスティングハウスかGEか何か、ああいう外国のものを買おうというようなにおいがし始めておるわけです。やはり苦心惨たん、粒々辛苦して、基礎的なものはみずからつくるという体制を行政の面においても、科学の面においてもやはりつくっておく必要があると思うのです。そのためには、こういう基礎的なところにやはり厚生省の他の金を削ってでも持っていってつくるという習慣をつけないと科学的な政治というものができないですよ。そういう点では、どうもいまの平年度で三千七百万円だということになれば、これは社会保障の基礎的な研究だと非常に官房長意気込んで説明してくれるけれども、三千七百万円ではどうもこれはお茶を濁した程度になってしまう。幸い八月ともなれば昭和四十年度の予算編成が始まりますから、伊部さんのほうはもう少し規模を雄大に持って、もう少し学者も集めて、研究体制をつくって、大臣のところへ案を持っていく。こういう形にしてもらわないと、どうも三千七百万円くらいで、これから日本の社会保障を背負っていくというんじゃ、これはちょっとあまりひ弱いですよ。だから私はさいぜんから言うように、これは先天性弱質者で、とても親に孝行はできませんぞ、こう言っておるのです。まあ親に孝行はしてもらわなくてもいいですよ。やはり貧しい階層の多い日本の社会保障を背負っていくためには、たくましい社会保障研究所でなければだめなんです。たくましくあるためには、これは先天性弱質者だから、お母さんも乳が出ないだろうから、これは相当たっぷり人工栄養でやらなければ、おそらく初めから一億円かけなければ、三千七百万円くらいではどうにもならぬですよ。だから第二年度にひとつ期待しておきます。これはがんばりますけれども、与党も気ばると言っておるんだし、ぜひひとつ基礎的研究ですから、大臣も一言言っておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/30
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031・小林武治
○小林国務大臣 お話のとおり、社会保障研究所をつくるということは、社会保障制度を強化するというような制度の問題に対する姿勢を強化するということで、世間に対する啓蒙とか、との問題について力を入れているということをおわかりになる一つの手段としても、これが働くと思うのであります。お話のように、実は社会保障研究所というものは、そうやすやすと通ったわけではありませんで、われわれ宣伝したくとも、しまいまで通るか通らぬかわからなかったというような、お話のように多少ひ弱い状態における出生であるということが申せると思うのでありまして、私どもこれでいいと思いませんし、初年度等におきましては、お話のようにこれを強化するということにひとつ十分つとめたいと思います。
なお、先ほど厚生省の長期展望の問題もありましたが、これは率直に申してむずかしい問題で、出ればあとになって、あれはだめだったじゃないかと強く非難を受けまするし、ことしの厚生省の白書なども従来多少厚生省の抱負を入れておったのでありますが、その抱負も国会のあれでできなかった。これはまた非常に強い論議を巻き起こすことにもなるのでございまして、そんな関係でもって、なかなか正確な資料を発表するということはむずかしい。こういう関係もあるのでありまして、われわれこういうものを持たないで、仕事はできないと思うのでありますが、やはり役所の中の仕事の一つの目標と申しますか、目安、こういうことで新聞にも発表した、こうおっしゃるかもしれませんが、これは出したというか、出たというふうなことが多いのでありまして、その辺をひとつ御了解願っておきたいと思うのであります。
要するに、社会保障というものは非常に大事で、こういうふうな研究も積み重ねて、早急にこれを前進させなければならぬという政府の大きな一つの姿勢を示したものとして、ぜひ御了承願いたい、かように考えております。したがって、内容もこれにふさわしくやっていこう、こういうことでありますから、われわれもふさわしいようにぜひ進めたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/31
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032・滝井義高
○滝井委員 予算が千六百万円、平年度化したら三千七百万円ということでございます。小沢君は、それはただ平年度の機械的計算をしたのだというようなことを言っておりますが、目標として十億を取れとは言わぬ、一億でけっこうですから、来年は一億くらいはひとつ取る努力を、われわれももちろん強く主張しますが、しかし、あなた方もそのくらいの腰は持っていかなければいかぬということを言っておきます。
それからいまの予算の内容は、あとで資料として同時にもらいたいと思う。少し早目に説明したから内容がよくわからぬところもありましたから、そのもらったものでもう少し予算の内容を質問したいと思います。
次は六条ですが、研究所でないものは社会保障研究所という名称を用いてはならぬ。こういうことになっているわけです。御存じのとおり、社会保障研究所というのはたくさんあるわけです。そうしますと、社会保障研究所というものをもって社会保障前進のために活躍しておる方には非常に迷惑になるわけです。というのは、附則の六条ですね、附則の六条をごらんになると、「この法律の施行の際現に社会保障研究所という名称を使用している者は、この法律施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。」全部こういう特殊法人は政府が法律でつくるときにはこういう規定が入っておるわけです。いままでのものはそう世間に名前が五つも六つもあるような名前ではないわけです。ところが社会保障研究所というのは、憲法二十五条に「社会保障」ということばが出て以来、日本の大衆の中に相当浸透しておることばなんです。至るところに社会保障研究所というものをつくっておる。そうすると「研究所でない者」というのは、研究所ならば用いてもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/32
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033・伊部英男
○伊部説明員 第六条で申します研究所は実は特殊法人でございます。社会保障研究所をさしておるわけでございます。したがいまして、この法律による社会保障研究所でなければ社会保障研究所という名称を用いてはならない、こういう趣旨でございます。そこで第六条の趣旨の社会保障研究所というのは、いろいろ何々社会保障研究所という研究所が他にもあるわけでございますが、ここでは社会保障研究所という名称そのものを用いてはいけないという趣旨でございますから、したがってたとえば総評が社会保障研究所をやる。総評社会保障研究所ならばそれは一向差しつかえない、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/33
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034・滝井義高
○滝井委員 ただ条文で「研究所でない者は、」と書くと、研究所であるものはいいという機械的な読み方になる可能性がある、条文上の問題だけれども、何かほかに書き方がなかったかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/34
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035・伊部英男
○伊部説明員 第二条におきまして、「社会保障研究所(以下「研究所」という。)」ということで名称をつけたわけでございます。したがいまして非常に厳密に書けば、社会保障研究所でないものはということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/35
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036・滝井義高
○滝井委員 法制局がそれでいいといえばいいんでしょうが、そうしますとこれは三十五条で「第六条の規定に違反して社会保障研究所という名称を用いた者は、一万円以下の過料に処する。」ということになっておるわけです。一万円罰金を出したら社会保障研究所というものを続けていいのかどうか、社会保障研究所というのはずっと雑誌その他を出しているわけですね。そうしますとこの社会保障研究所というのを他のものに変えるということになるとどういうことになるかというと、相当の損害が出るわけですよ。これはまず印鑑とか、名刺とか、全部これは変えなければならぬことになるわけでしょう。そうすると、それらのものを厚生省があるいは損害賠償をかえって訴えられるおそれがある。非常に長く十年も二十年も使ってきたいわばのれんです。ところがあとから出てきた厚生省がそれをつけた。だからむしろここに厚生省のほうが厚生省社会保障研究所とこうやったほうがいい。厚生省という名前は日本に一つしかないのですから。他のものを変えさせるというのはちょっと官僚的じゃないか。おれのほうが法律で社会保障研究所ときめたから他のものは六カ月以内に変えなければ一万円の罰金だぞというには、あまりにも社会保障というのは人口に膾炙しすぎておるのです。したがって厚生省社会保障研究所、こういうようなものにしてもらったら他のものに関係がなくなる。いま言ったように総評社会保障研究所とは総評あたりはつけておらぬわけです。総評にはないですけれども、つけておらぬわけです。それは私が持っておれば滝井社会保障研究所、小林社会保障研究所、古井社会保障研究所、古井さんたちは社会保障研究会というのをやっていますよ。だけれどもそれは社会保障研究所とはいっておらぬようだ。しかし社会保障研究所というのは雑誌も出ておるところがあるから、むしろわがほうが厚生省社会保障研究所といったほうが、厚生省にあるということがすぐ大衆にわかる。人口問題研究所といっても、あれはどこだったかな、内閣だったかな、それとも公衆衛生院だったかなと考えることがあるのですよ。われわれでも、あれは厚生省だったかなと迷うくらいだ。だからむしろ厚生省というのをつけておったほうがいいじゃないか。厚生省というのをつけても何も恥ずかしくない。かえって厚生省に社会保障研究所というのがあるのですということになる。特殊法人厚生省社会保障研究所、これなら何もどこからも文句がないし、こういう六カ月間は許す、それ以上したら一万円ということをつけておったって実際それは法律上の修辞になって、飾りの条文であって、実質的にはそれはほとんど動くことがないということで、実害が他に起こらなければそのほうがいいのじゃないか。何も別に厚生省を上につけたからといって、この研究所が腐るわけでも価値が下がるわけでも権威が下がるということでもないわけでしょう。ただ修正するのがいやだというだけのことなんだ。そんなものはメンツにこだわる必要はない。社会保障研究所というのは総理府にあるわけじゃない、厚生省にあるのだから、厚生省社会保障研究所、こうつけてもらえば非常にわかりやすい、われわれもわかりやすい。初めて代議士になって社会保障研究所というのはどこにあったかな、資料をもらいたいが、いや厚生省だ、厚生省がついておればすぐわかる。どうですか、これは。他の者には実害があるのですから。
〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/36
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037・伊部英男
○伊部説明員 名称の制限につきましては他の研究所、特殊法人たる研究所も同様の規定を置いておりまして、こういう立法でございますのでその例によったわけでございます。既存の社会保障研究所はしたがいまして少しでも名前が違えばよろしい、たとえば滝井社会保障研究所であればこの条文に触れないわけでございます。なお既存の社会保障研究所ということで雑誌を発行しておられを方がございます。その方につきましては、この法律をつくります際に、われわれのほうとしても先生のおっしゃったような意味でいろいろ話し合ったわけでありますが、その方のほうでも、厳密にいいますれば、たとえば株式会社社会保障研究所という場合にはこの六条に触れるわけでもないわけでございますけれども、その方も社会保障研究所の設立に御協力いただくという趣旨で名称を多少変更されるというように、両者で話し合いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/37
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038・滝井義高
○滝井委員 そういう名称変更を他人にさせる必要はないので、こちらが新しくできるほうなんですからできるほうがよけて通ればいいですよ。いまこういう問題が出ておるのですよ。建築基準法が改正になって、三十一メートル以上の建物は建てることができなくなっておった。ところが今度は建ててもいいことになった。ところが電波がこれを通る。そうすると、高い建物を建てると電波のじゃまになる。通るのに突き当たるから。だから電波が、しばらく建てるのを待ってください、私のほうがよけて通るようにしますから、こういうことなんですよ。郵政省はそれだけの民主的な寛容の精神を持っておるわけだ。だから厚生省も他のものに、おれのほうがつくるんだからおまえのところを変えいという、そういうことではいかぬのですよ。大衆から愛されなければならぬのだから。社会保障研究所というようなところやるのは、社会保障のためにみんなやっている。それを一々名称を変えさせれば、何だ厚生省のやろう、あとから自分でつくりやがっておれらの名称を変えろなんというのはけしからぬ、そういうことになる、必ず。そうすると敵をつくることになるでしょう。敵をつくる必要はない。厚生省社会保障研究所とつければいい。そうしてどんな差しつかえがありますか。ただあなた方のメンツがつぶれるだけのことでしょう。あなた方のメンツが少しつぶれたっていいじゃありませんか。われわれがここで修正して三字をつけてあげますから、予算その他の問題があれば別だけれども。私はそういうのが民主主義だと思う。そういうのが議会主義だと思うのですよ。役所なんだから、つくるのによそにある名前を持ってきて、おまえのほうは変えい、変えなければ一万円の罰金だ、そういう高飛車なことはないと思うのです。名前を変えたってちっとも差しつかえないんだから、他人の使うような名称を用いてやって、だから滝井社会保障研究所、小林社会保障研究所とつけなさい、株式会社何々とつけなさいという前に、みずから厚生省社会保障研究所としたらいい。小林厚生大臣、それでいいでしょう。事務的にはいいんですから。私はここに厚生省とつけるべきだと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/38
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039・伊部英男
○伊部説明員 特殊法人でございますので、特殊法人としてやはり独自の存在を保つ機関でございます。したがって厚生省の国立の研究所でございますれば厚生省社会保障研究所になるわけでございますが、これは特殊法人でございますので、厚生省をつけるのはあまり適当でないのじゃないか。先ほどお話がございましたように、たとえば中立性あるいは独立性という見地から見ましても、厚生省という字をつけるのは適当でないのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/39
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040・滝井義高
○滝井委員 そういうのはこだわる必要はないわけですよ。別に厚生省をつけたからといって独立の人格がつぶされるわけではないのですから。厚生省所管という意味です。そういうことでいい。そういうふうにあなたのほうがこだわるように片方もこだわるわけですよ。民主主義というのは人が名前を持っているのに、わしが滝井義高という名前をつけておるのに、今度の法案で滝井義高という名前をつけて、ぼくの名前を変えいという、こんな不遜なことはないですよ。だから私は厚生省をつけても差しつかえない。特殊法人厚生省社会保障研究所でもいいですよ。じゃなかったら厚生省所管、こう入れてもいい。厚生省所管なんだから。だから厚生省所管を小さく書けばいい。他人には株式会社と書きなさい、そうして社会保障研究所はつけてもいい、株式会社をつければいいというけれども、その人が株式会社を先につけていなかったらどうしますか。そういうものの考え方がそもそも社会保障の前進を妨げると私は言うのですよ。いままで長年の間社会保障のために貢献している雑誌なり新聞があったとした場合、私はあるかないか知らぬけれども、社会保障というのはあるでしょう、幾らでもある、小さいのである。雑誌を発行しているのがある。私はそういう相手方があるのに、おれのほうが法律を出すのだからという権威主義というものがまかり通るのが困る。だから私はそうではなくて、悪かったら厚生省所管社会保障研究所とやるか、それとも厚生省のほうは特殊法人社会保障研究所とやるか、これはちっとも差しつかえないですよ、三、四字上につけさえすればいいのですから。まだ判こもつくっておるわけではないし、発足しているわけでもない。相手は判こをつくり雑誌をそれで発行しているのに、それを今度は変えいということは無理ですよ。私どもはそういうヒューマニズムを持ち、こういう、義を見てせざるは勇なきなりという気を持っておる。だからあなたががんばればがんばるほど私もがんばることになる。私はそういう性格を持っている。社会主義者としてしょうがない、体質なんだからね。ヒューマニズムです。これはどうしても役所に変えてもらわなければならぬ。何だったら特殊法人でいいですよ。あなた方のいい名前をつけますよ。名づけの親は滝井義高でなくて小林厚生大臣でけっこうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/40
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041・伊部英男
○伊部説明員 先生のようなお話もごもっともでございますので、われわれもそういうことにならないように実は事前に十分話し合いをして、この機会に事業刷新の意味で名前を変えようというようなことで円満に話がまとまっておるわけでございます。なおその際に、いまお話しのように、たとえば日本社会保障研究所というようないろいろ研究もいたしたわけであります。ところが、社会保障研究所というものはお話しのようにいろいろあるのじゃないか。そこで全国を探してみますと、日本社会保障研究所というのがどこかにまたあるかもしれない。そうすると、また似たような問題が起きる。それならば、社会保障審議会から社会保障研究所という名称を用いておりますので、かつ、社会保障研究所ということが何も上についていないのは一つだけでございますので、この方とお話し合いをして問題を整理をしていきいた、かように考えた次第でございます。これは従来の経緯を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/41
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042・滝井義高
○滝井委員 それは一つであっても、やはりそういう権力をかさに着てやれば、どうしてかというと、やはり社会保障研究所ということがあれば、いろいろ厚生省から資料その他をもらわなければならぬわけですから弱みがあるわけだ。それをやはり一つのつけ目にして話を進めていくというようなことはよくないと思うのですよ。もちろん特殊法人でもいいですよ。厚生省所管社会保障研究所でいいですよ。何も厚生省所管をつけたからといって権威が落ちるわけじゃない。むしろ厚生省所管をつけたほうが権威が上がる。厚生省にあるということがすぐわかる。われわれ代議士が初めて出てきて、社会保障研究所というのはどこにあるのか、あるいは役所の関係があるのかないのか、民間のものかといったときに、厚生省所管とあればすぐわかる。だからそういう点は何も伊部さん、こだわる必要はない。だから民間のものをそういじめて名前まで変えさせてこれを貫く必要はちっともない。何だったら、ここに基礎的、学問的と書いてあるから、社会保障基礎問題研究所でもいいです。医療費基本問題研究員なんというむずかしい名前をつけられるのだから。西村大臣のときはつけておる。だからそれでもいいです。社会保障基礎問題研究所でもいいです。それのほうが、ほんとうの基礎的なことをやるというのですからね。だからこういう点は、民間がやっているものを、話がついたからといって、ぼくらはそうですかというわけにはいかぬ。こういうものはあとからだってつけるのです。民間が社会保障研究所といったほうが一番わかりやすい。通りやすい。役所のものはそうでなくてもいいですよ。予算をよけいもらって一生懸命いい成果さえ出してくれればいいのですから。よその持っている看板を持ってきて、そうして聞かなければ一万円の罰金だという。だから私は一万円の罰金を出せばいいですか。ところが今度は、こういうところにはもう資料をやるな、こういわれると、社会保障の研究家というものは困るわけです。だからあまり無理をしたらいかぬですよ。こういうヒューマニズムがあふれておらなければ、こんなものは発展しないですよ。だから名前をつけるときからよその名前をとってきてつけるなんというけちな——先天性弱質ですよ。人の名前をつけなくて、すなおに自分が名前をつける。こういうことですよ、だからこれはぜひひとつ修正してもらいたい。これは私は納得しませんよ。そういう社会保障がまかり通るようなことではいかぬですよ。だからあとでひとつ研究をしてください。それこそ研究してもらわなければならぬ。わが子に名前をつけるというけれども、わが子に名前をつけるぐらいむずかしいことはない。だから人の名前をとらずに独自の名前をつけてください。
次は十二条の役員の欠格条項です。役員というのは所長一人と理事二人、監事一人ですね。そうすると、さいぜんの御説明で、所長一と理事一の給料しかことしは組んでいないという御説明があったですね。十六万円と十四万円とあったわけですが、これは理事はあと一名は来年になってから置くということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/42
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043・伊部英男
○伊部説明員 所長が理事長——ほかの法人で申しますと理事長になるわけですが、そのほかに理事が二人。一人が常勤でございます。先ほど申し上げましたのは常勤の方の給与でございまして、非常勤の方の給与は月二万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/43
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044・滝井義高
○滝井委員 こういうところも、役員に所長一人と理事二人置くならば、この二人の理事も常勤にする必要があるですよね。その理事を一人を非常勤にするというところがやはり問題なんですよ。だから私はさいぜん、三千七百万くらいではどうにもならぬぞ、ほんとうに社会保障の基礎的、学問的研究をやろうとすれば、やはり所員も百人くらいおらなければならぬことになるだろうと言うのはそういうところです。そうしますと、やはり理事は二人は常任にしなければならぬ。どうもいまのお話だと一人だ、こういう点も不満ですね。やはり専従体制をとらないと、こういうものを腰かけじりではどうにもならぬのです。
それと関連して、十二条の二号に「政府又は地方公共団体の職員(教育公務員で政令で定める者及び非常勤の者を除く。)」と書いておるわけですね。この「教育公務員で政令で定める者」というのは一体どういう者なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/44
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045・伊部英男
○伊部説明員 これは国立大学、公立大学の学長、教授、助教授または講師の職にある者ということを考えておりまして、これも他の研究所の例によりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/45
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046・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、大学の学長やら教授、助教授それから講師までは役員になれるということなんですね。そのために理事は非常勤というものをつくる、こういうことなんですか。理事の一名を非常勤にするというのは国立大学のプロフェッサーを持ってくる。それは理事では専従の形になり給料は十四万円差し上げる。所長は十六万円差し上げるのだけれども、非常勤の方は大学のほうの給料をもらってもらう。こちらの非常勤の理事になれば二万円です。それは全く出日当だという形にするためにそうやっておるのかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/46
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047・伊部英男
○伊部説明員 先生のお話のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/47
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048・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、また繰り返すようになるけれども、厚生科学研究費との関係が出てくる。いま社会保障の優秀な研究をしている人は相当厚生科学研究費をもらっておるわけですよ。私はこういう点があいまいでいけないと思うのです。だからあんまりよそにたよらずにこれを権威のあるものにするためには、やはりここで研究体制をつくって、ここでアルバイトもできる、いわゆる博士号もとれるというくらいの権威あるものにしなければいかぬと思うのです。そのためには理事は、この条文では一名が非常勤とは書いていないわけですから、当然これはあなた方の判断で常勤になし得るわけです。それは予算の裏づけがあればいいわけですから。これは大臣に確認を求めるわけですが、所長一人と理事二人、すなわち理事長を含めて三人になるわけですね。そうしますと、この三人は私はやはり常勤体制をとるべきだと思うのです。そして他の研究員の中にやはり非常勤の者を——ほんとうはここだって非常勤は置くべきではないと思うのです。しかし過渡的な措置として、どこかの有数な教授なり助教授をしばらく委嘱をして、非常勤の形で御協力を願う、しかしだんだん二年たち、三年たつうちには、研究員も全部常勤体制を確立していく、こういうことにならないと困ると思うのです。そして別に必要ならば厚生科学研究費のほうで補ってもらって、そして役所がこの研究所にその成果のレポートを差し上げればいいわけですから、せっかく研究所をつくるなら、そういうように徹底をしてもらいたいと思うのですが、どうですか、大臣。その所長、理事二名は当初から常勤体制をとっていく、それから研究員は過渡的な措置としてやむを得ないから非常勤をある程度認めていく、しかし将来は研究員も全部常勤体制をとる、こういう形をはっきりしておいてもらう必要があると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/48
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049・小林武治
○小林国務大臣 お話のことは検討いたします。研究員などはあるいは非常勤があってもいいかもしれませんが、これはこの運用の際の問題としてひとつ検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/49
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050・滝井義高
○滝井委員 これは条文が、役員として所長一、理事二、監事一、そして役員の欠格条項として、「(教育公務員で政令で定める者及び非常勤の者を除く。)」こうなって、教育公務員は役員になることができるわけです。しかしなるためには、厚生省の所管の特殊法人の研究所の理事に就任しようとすれば、おそらくその大学はやめなければならぬということになると思うのです。だからいずれを選ぶか二者択一ということになると、これはここがよほど給料がよくて、将来の展望が明るくないと、優秀な人は来ない、こうなるわけですから、したがって優秀な人を迎えようとすれば、給料を高くして展望を明るくしてやる体制を政治なり行政がつくらなければならぬ、そういうことになるわけです。そのことが同時に社会保障の基礎的、学問的な成果を高からしめることになるのですから、これはうらはらの関係にあるわけです。だからぜひひとつ常勤体制をとって、この第一条の目的を達成するようにしてもらいたいと思うのです。
次は十五条ですが、代表権の問題です。所長と研究所との利益が相反する事項というのは、たとえばどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/50
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051・伊部英男
○伊部説明員 これも他の研究所の例によっておるわけでございます。実際問題としてこういうケースはほとんどないとは思いますが、たとえば、所長さんが非常にりっぱなビルを持っておられる、そのビルが研究所が入るのにきわめて適当だというような場合において、貸す貸さない、あるいは家賃の交渉をする際に、所長は、自分の建物を自分が所長である研究所が借りるというのは、その相談をする場合に一人でやることになります。それは不適当だということで、そういう場合は監事が代表しなさい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/51
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052・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/52
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053・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 速記を始めて。
暫時休憩いたします。
午後零時二十六分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604410X04419640520/53
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