1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十四日(金曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
理事 永田 亮一君 理事 藤田 義光君
理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君
理事 安井 吉典君
大西 正男君 亀山 孝一君
久保田円次君 武市 恭信君
登坂重次郎君 三池 信君
湊 徹郎君 村山 達雄君
森下 元晴君 山崎 巖君
和爾俊二郎君 秋山 徳雄君
佐野 憲治君 千葉 七郎君
華山 親義君 細谷 治嘉君
門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
自治政務次官 金子 岩三君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
委員外の出席者
検 事
(民事局第三課
長) 香川 保一君
大蔵事務官
(主税局税制第
三課長) 宇佐美 勝君
大蔵事務官
(国税庁直税部
長) 鳩山威一郎君
自治事務官
(税務局固定資
産税課長) 石川 一郎君
専 門 員 越村安太郎君
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二月十四日
委員篠田弘作君辞任につき、その補欠として湊
徹郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員湊徹郎君辞任につき、その補欠として篠田
弘作君が議長の指名で委員に選任された。
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二月十四日
消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共
済基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三一号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二三号)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
昨十三日付託になりました内閣提出にかかる地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案の理由を聴取することといたします。金子政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/1
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002・金子岩三
○金子政府委員 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
地方交付税の算定につきましては、逐年その合理化をはかってまいりましたが、明年度におきましては、新道路整備五カ年計画に基づく道路整備事業をはじめとする、各種公共事業の増大、社会保障制度の拡充等に伴う地方団体の所要経費並びに地方公務員の給与改定の平年度化等により増加する給与関係費等に対応する財源を関係地方公共団体に付与する必要がありますのと、市町村分の基準財政需要額の算定内容の充実及び市町村分基準税率の引き上げ等により、市町村相互間の財源の均衡化をさらに推進することが必要であると考えられます。
また、高等学校生徒の急増に伴う高等学校の施設整備に要する経費につきましては、昭和三十九年度におきましても、昭和三十七年度及び昭和三十八年度と同様、基準財政需要額に加算する特例措置を講ずる必要があります。
以上がこの法律案を提出する理由であります。
次に、この法律案の内容の要旨につきまして御説明申し上げます。
その一は、単位費用を引き上げて基準財政需要額を増額することであります。
まず道府県及び市町村を通じまして生活保護基準の引き上げ、失業対策事業にかかる労力費の引き上げ等により増加する社会保障関係経費を基準財政需要額に算入するため、生活保護費、労働費等にかかる単位費用を引き上げ、新たに住宅関係経費を基準財政需要額に算入するため、その他の土木費の単位費用を増額するとともに、給与改定の平年度化に伴い増加する給与関係経費及び各般の制度改正に伴い増加する経費を基準財政需要額に算入するため、関係費目にかかる単位費用を引き上げることといたしたのであります。
次に道府県分につきましては、道路整備事業、農業基盤整備事業、治山事業等公共投資の充実に必要な財源を付与するため、関係費目にかかる単位費用を引き上げることとし、農業構造改善事業の促進、中小企業設備近代化事業に要する経費等の増加額を基準財政需要額に算入するため、農業行政費、商工行政費等、関係費目の単位費用を引き上げることといたしました。
次に市町村分につきましては、道路整備事業及び街路整備等都市計画事業にかかる投資的経費を増額するため、関係費目の単位費用を引き上げ、小学校及び中学校における学校経費を充実するため、小学校費及び中学校費の単位費用を引き上げ、土地改良事業等の増加額を基準財政需要額に算入するため、農業行政費の単位費用を引き上げることといたしました。
その二は、基準財政需要額の算定方法に関し、経費の種類及び測定単位を新設することであります。
近時国民生活の向上発展に伴い、清掃関係経費の充実は、緊急な課題とされてまいったのでありますが、従来、市町村分の衛生費中に含まれていたこれら経費について、新たに人口を測定単位として清掃費という経費の種類を設けることとし、経費算定の合理化と経費の一そうの充実をはかることといたしました。
その三は、測定単位の数値の補正に関することであります。
まず道府県分につきましては、道路費のうち、道路の延長を測定単位とする分につきましても、交通量等に基づく割り増し補正を行なうことといたしました。
なお、今後補正係数を定めるにあたりましては、従来河川費、港湾費等について適用してまいりました事業費の額に応ずる経費の割り増し補正を強化してまいりたいと考えております。
次に市町村分につきましては、新たに離島等隔遠地の市町村につき、態容補正の一環として、隔遠地にあるための増高経費を基準財政需要額に算入するための補正を行なうこととし、このため態容補正の市町村区分につき、所要の規定の整備をはかっております。
また、弱小市町村に対する財源の傾斜的配分をはかるため、従来に引き続きまして、都市的形態の度合いに応じて定められている態容補正係数を改正し、その格差をさらに縮小してまいる所存であります。
その四は、市町村分の基準税率の引き上げであります。
市町村の基準財政収入額の算定にあたりましては、従来基準税率を百分の七十としておりましたが、市町村における基準財政需要額の算定が漸次適確になってまいりましたことに伴い、今回これを百分の七十五に高め、市町村間の財源の均衡化を一そう推進することにいたしたのであります。
その五は、高等学校生徒の急増対策に関する事項であります。
高等学校生徒の急増に伴う高等学校の施設整備費につきましては、昭和三十七年度及び昭和三十八年度に引き続き、昭和三十九年度においても政府の策定いたしました計一画に基づく昭和三十九年度分の国庫支出金及び地方債を控除した残額九十一億円を、基準財政需要額に算入することといたしたのであります。
以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/2
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003・森田重次郎
○森田委員長 以上で本案についての提案理由の説明は終わりました。
なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/3
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004・森田重次郎
○森田委員長 この際、金子政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。金子自治政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/4
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005・金子岩三
○金子政府委員 昨日私の発言の中に、一部言葉の足りない点があって、各位に誤解を招いた個所があったように存じますが、私の発言の趣旨は次のとおりでありますので、御承知をお願いしたいと存じます。
すなわち、今回の固定資産の評価がえに際し、税率の引き下げを行なえば償却資産については税負担が軽減されることとなり、開放経済のもとにおける産業基盤の安定にも資することとなるのでないかとする意見もありましたが、固定資産税の基本的なあり方についてなお慎重に検討することとし、さしあたり次の評価がえの年度までの間は税率の引き下げ等は行なわないで、土地のみについて税負担の激変緩和の措置を設けることとしたのであって、特に償却資産に対する税負担を軽減し、これを育成するような措置を講じたものではないのであります。
以上が私の発言の趣旨であります。何とぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/5
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006・華山親義
○華山委員 私、別に質問したわけではなかったのでありますが、自分でお立ちになって、御発言になったことの訂正のようでありますが、私一言申し上げたいのでありますが、私が昨日政務次官に対して御答弁を願いたいと申し上げたことにつきまして、一言のごあいさつもなく、局長に答弁させられました。また重ねていまのようなことでございまして、私たちはまじめに本問題に取り組んでおる。あなたはお聞きになっていないんじゃないか。それですから、私か政務次官の御答弁を求めても、何のごあいさつもなしに局長に答弁させたり、それからいまのようなとんでもない間違いのことを言われたり、そういうことだと——私が間違えておれば恐縮でございますけれども、ひとつよく話を聞いておいていただきたい。お願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/6
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007・森田重次郎
○森田委員長 次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/7
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008・安井吉典
○安井委員 きょうは、大蔵省あるいは法務省からもおいでをいただいておりますので、大臣お見えですけれども、初めにそちらのほうのお尋ねを進めていきたいと思います。
今度の固定資産評価がえの適用は、もちろん市町村税である固定資産税、それから道府県税である不動産取得税、そのほか市町村税の都市計画税、これらに当然適用になるわけですが、しかし、さきの固定資産評価制度調査会の答申の中では、現在まで同じ固定資産に対する評価が、国税の場合と地方税の場合でまちまちであるので、それの全面的な統一をはかるということもあの調査会の答申の重要な柱の一つであるわけです。そういうふうに私ども伺っており、今日までその方向で作業が進んできているのではないかと思うのですが、国税である相続税や贈与税をお取り扱いになっておられる大蔵省のこの問題についての今日までの取り組み、現段階における御事情、それから登録税は法務省に関係があるわけですが、法務省についても同様なこれまでの取り組みや、あるいは現状においての問題点、今後の方針、こういうようなことを順次ひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/8
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009・鳩山威一郎
○鳩山説明員 国税庁といたしまして、この固定資産の評価の問題につきましてとってきた態度、いままでの経過を若干御説明さしていただきますが、御承知のように、評価制度の調査会の答申がありましたが、相続税あるいは贈与税というものの評価につきまして、私どももこの答申の線はなかなか実行はむずかしいかと思いますけれども、これができれば、相続税あるいは贈与税の評価が納税者の側から見てきわめて明快になる、申告なども、固定資産税の評価をとれば、すぐ相続税の申告もできるということになることか非常に望ましいのでありまして、そういった方向にはもちろん努力をすべきであると考えまして、内部的にはそういった評価の統一をはかるための職員も増員をいたしまして、相当な時間と労力、経費をかけまして、国税側といたしましてできるだけの努力をいたしてまいったのでございます。約一両年の間、市町村のほうの評価作業と常時密接に連絡をとりながら、統一的な評価ができるようにという作業を進めてまいったのでございます。当初想定されました三十九年から統一評価をやろうというスケジュールがございますので、それに合わせてまいったのでありますが、やはり内容が非常にむずかしい問題がございまして、両方極力努力をして歩み寄ってまいりましたが、結果において相当の部面で大体市町村当局との評価の意見の一致を見ることができたのでございます。ただ若干時間的な余裕等も足りませんので、最近非常に地価が動いておる領域、たとえば一部の新しく発展をしてまいった住宅地のようなところにおきましては、この評価の統一ということがなかなか時間がかかりまして、その結果、現状ではまだ完全な一致というところまでいっていないという面が若干あるのでございます。そういったために、私ども内部としては、両者、評価の水準としては非常に近くなってまいったのでありますけれども、ただ地域的にはまだ若干の開きもあるような結果になっておりまして、全面的に固定資産税の評価自体をとって相続税の評価に使ってまいるということには、ややまだそこまでいっていない面がございますので、さしあたり三十九年度の国税側の評価といたしましては、従来どおりのことを方法としてはやってまいりたい。ただ実体的に評価の水準が非常に近づいてまいったということは、たいへんな成功だったと思います。中身の実体の問題と形式の問題と二つあると思うのでありますが、実体的には市町村の評価を尊重してまいるということができると思いますが、形式としては、従来やっておりました形で三十九年度はやってまいりたいと思います。今後われわれのほうの手続上の理想としては、固定資産税の評価額を、そのまま納税者が申告すればいいというふうにいたしたいというのが私どもの強い希望でございます。ただ現状では、やはり地域によっては、固定資産税の評価に対して、従来のやり方で国税がやってまいりましたものとの若干調整的な検討を加えなければなるまい、それによって従来やってまいった評価との間のつなぎ的な措置を三十九年度はとらなければなるまいかと思います。そういったことで、すでにもう三十九年度の評価に入っておりますので、本年度としては、そういった形式的には従来どおりの形で、固定資産税の評価だけですぐそれで処理するということまでには至っておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/9
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010・香川保一
○香川説明員 それでは法務省の所管の登録税の関係につきましてお答え申し上げます。
登録税の課税標準価額の認定につきましても、相続税あるいは固定資産税との均衡をはかるという方向で従来から検討してまいっておるのでありますが、将来の方向としまして、今回の固定資産税の評価がえの関係から、固定資産の評価額をできるだけ一致させて登録税の課税標準価額とするということで努力いたしたいと考えておるのでございますが、登録税だけの問題ではないかと思いますけれども、最も問題になりますのは、税負担の均衡をはからなければならぬという問題があるわけであります。登記所は御存じのとおり数カ町村を管轄いたしておりまして、その登記所における登録税の徴収の公平、負担の均衡をはかるということになりますと、どうしても固定資産税の評価価額それ自体が均衡のとれたものでなければならないということは申すまでもないわけでございます。従来、その面でのいろいろのでこぼこがあったのでございますが、幸い今回の評価がえによりまして、相当程度この不均衡が是正されてまいりまして、原則的には固定資産税の評価額を基礎としまして登録税を徴収するという可能性が出てまいったと思うのであります。ただ登録税は、登記申請のつど徴収しなければならない。その時点における評価ということが基本でございますので、固定資産の評価額そのものを、据え置き期間中そのままの形で採用するという点には若干問題があるわけであります。また登記申請のつど固定資産の評価額をいかようにして即町に把握するかという技術的な問題もございますので、その点の技術的な検討を重ねまして、できるだけ評価の統一をはかるという趣旨で登録税の徴収事務を取り扱いたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/10
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011・安井吉典
○安井委員 大蔵省並びに法務省からの御答弁によりますと、大体自治省がおやりになっておる評価がえを使うことができると考えるが、しかしそういう原則にもかかわらず、相当部分につきましては、それをそのまま使えないものがある、こういうふうな御答弁のようでありますが、そのうち特に大蔵省のほうのお考えといたしますと、地域的には若干の開きがあるということ、そういうようなこともあって、三十九年はとにかくとして、四十年から先はどうなるかわからないというふうなお話のようであります。
そこで、各土地と家屋と、それらの種目のうちで——土地にもいろいろあるわけですね。自治省側とどういうふうな点において折り合いがなかなかつかないでいるのか、その点をまずお聞かせ願いたいことと、さらにまた地域的になかなか話が合わないという地域はどこなのか、それをまず大蔵省の側からお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/11
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012・鳩山威一郎
○鳩山説明員 ただいまの御質問でございますが、全国の市町村の数が非常に多うございますので、私ども具体的にどことどこといったことはちょっと申し上げかねますが、大体の感じとして申し上げますと、大体問題がありますのは、宅地の関係があるかと思います。農地につきましては、ほとんど意見の一致を見ております。山林等もほとんど見解の相違はないかと思っております。大体大都市の宅地の関係につきまして、これは時価のつかみ方が実際においてなかなかむずかしい面があるのではあるまいか。また最近の値上がり傾向も非常に激しいものがその方面にありますので、この評価につきまして詰めます時間的な余裕が足りませんで、その辺が私どもとしてはまだ自信のない部面になっております。将来のことはわからないということでなしに、私どもは先ほども申し上げましたように、固定資産税の評価を相続税にそのまま使ってまいることが、申告納税のたてまえから非常に必要なことだというふうに積極的に考えておりますので、その点はどうなるかわからぬということでなしに、将来はぜひそういった簡単な手続で済むようなことにしてまいりたい。今後もその検討を続けまして互いに統一をはかる、なるべく近い機会に統一ができますように私どもとしても十分勉強いたしまして、そういったことを実現いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/12
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013・安井吉典
○安井委員 農地については売買実例価額方式で一応価額をきめた上、それに五五%の限界修正率をかけて評価を決定するという自治省の考え方ですが、その修正率を乗じたもので話し合いがついた、大体そごがない、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/13
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014・鳩山威一郎
○鳩山説明員 五五%という数字は、私ども従来そういったはっきりした方式とまでは言えないのでありますけれども、結果においておっしゃるようなことと合っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/14
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015・安井吉典
○安井委員 法務省のほうのお考えも先ほど伺ったわけでありますが、同様、原則的にはできるだけ一致させたい方向ではあるが、場合によってはそれをそのまま採用しかねる場合がある、こういうふうなお話があったわけです。大蔵省のほうは地域的にも、特に宅地については大都市なんかでは話が合わないものがある、こういうことでありますが、その点、法務省のほうも大蔵省と同意見なんですか、それともだいぶ考え方の基礎が違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/15
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016・香川保一
○香川説明員 先ほど申し上げました均衡をはかるという意味におきまして、私どもの考えでは、大体全国的に今回の評価方式によりまして均衡がとれるようにおもわれるのでありますが、具体的に出てまいりました若干の事例は、必ずしも均衡がとれていないんじゃないかというふうに思われます面もあるわけであります。そのおもな例は、まあ評価の方式そのものを当てはめた場合に、そういう結論が出るのはやむを得ないということなのか、あるいはほかの事情があるのか、そこはまだつまびらかにいたしておりませんけれども、やはり国税庁の考えと同じような意味での若干の差があるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/16
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017・安井吉典
○安井委員 それで大蔵省にも、法務省にも、いままでおやりになっておりました評価の基準と、自治省が今度行なっており、原則的に両省ともに了承を与えておるものとは、値開きは、上がるのか下がるのか、あるいは大体横ばいなのか、各資産ごとに一応その傾向だけをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/17
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018・鳩山威一郎
○鳩山説明員 国税側の相続税の評価と固定資産税の評価、これは場所々々によりまして若干上下が残るかと思うのでありますが、大体の傾向としては、やはり従来相続税のほうは毎年評価を見直して、逐年そういった評価がえをしてまいりましたので、比較的相続税のほうが、総体としては少し高い数字にまだあるのではないか、ただ、場所によっては固定資産税の評価のほうが、国税より上回っておるというところも出ておるのでございますが、総体的にはやはり国税のほうが若干高目なところが残っているところが多いのじゃないかという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/18
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019・香川保一
○香川説明員 登録税の面から見ますと、やはり従来は登録税の課税評価額のほうが相当上回っておったように思いますが、今回の評価がえで大体近いところにくるんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/19
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020・佐野憲治
○佐野委員 ただいまの安井委員の質問に関連して、自治省にお聞きしておきたいと思うのです。大蔵省と法務省にもお願いいたします。というのは、四十三国会に建設省が土地鑑定士法の法案を提案して、四十三国会で通過いたしておるわけでありますが、そのときの審議の中で、やはりいろいろ土地評価の問題に対して論議が行なわれておったと思いますが、その中で、土地鑑定士法による今後の運営として公示制度までもっていきたい、これは建設省の意向だったと思うのです。しかしながらいろいろな当面の問題がありまして、公共用地の取得あるいは土地収用その他に限界を置くということにあの法案はなっておったと思うのですが、そのときの質疑の中で、将来大蔵省あるいは法務省の、いま安井委員が指摘いたしました贈与税並びに登録税、この件についてやはり建設省の土地鑑定士制度の評価を尊重して、それを基準としていきたい、このようにいっておるだろうと思うのですが、そのことと、いま固定資産税評価がえによる作業が行なわれておるわけですが、これに対して大蔵省並びに法務省との間に意見の一致が見られたのか。土地評価というものはそれほど困難な問題だと思うのです。しかしながら、ここでお尋ねしておきたいのは、委員会の審議の過程において、土地鑑定士制度を活用していきたい、その中で土地評価の基準を設けていきたい、このように主張しておられたのと、いま自治省がやっている固定資産の評価がえが非常に矛盾を持っている。また正確な土地評価というものは困難である。だからいま大蔵省並びに法務省としても逡巡しておられるわけだと思うのでありますが、将来はどちらの方向を尊重していく考え方なのか、建設省の土地鑑定士制度による評価並びに自治省の固定資産の評価がえ、ここら辺について、一体各省どういう考え方を持っておられるか、この点をひとつ確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/20
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021・宇佐美勝
○宇佐美説明員 お答え申し上げます。
現在の段階では、尊重するという意味は、できるだけこれを参考にいたしまして、税を課税する立場からいいまして、最も妥当な評価に到達する、やはり税は税の観点というのかございますから、やはりその観点で進まざるを得ないのではないか、こういうぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/21
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022・香川保一
○香川説明員 登録税につきましては、やはり自治省のおやりになっております固定資産税の評価基準を基本的に尊重してまいりたい、ただ具体的に年度途中におきまして問題になりました場合に、鑑定士の制度を活用すると申しますか、そういうことはもちろんあり得るかと思いますが、基本的には同定資産税の評価額を基礎にしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/22
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023・佐野憲治
○佐野委員 関連でありますので、大臣に承っておきたいのですが、閣議において、土地鑑定士制度による土地評価、いま自治省のやっておる評価がえ作業、この二つの、背反した傾向をたどっておると思いますが、これの統一に対して、一体どういう努力をやっておられるか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/23
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024・早川崇
○早川国務大臣 まだそういうものが議題になっておりませんし、向こうの土地鑑定の方法についても、まだ最終的にきまっておりませんので、今後の問題であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/24
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025・佐野憲治
○佐野委員 そうしますと、どうも話が——土地評価に正確を期したい、この考え方から政府の方針が二つ出発してきている。一つは、土地鑑定士制度を充実活用する、これによって評価の均衡を保ちたい。片方においては、自治省の固定資産税評価がえにより各均衡を保っていきたい、正確を期していきたい、この二つのものを一体政府としてどう統一していくかということと、もう一つは、いま明らかにされているのは税の問題だ、だから大蔵省の関係は別なんだ、別のカテゴリーに入るのだと、一言われる。そのことは、現実的に税の問題におきましても土地評価に対する基準が明確になっていない。ですから、毎年の査定にしても大体、七割か八割にとどめる。異議の申し立てをされると、一体どれが正確な土地評価なのかという問題が起こるから、税の関係としてはできるだけ時価よりも二、三割低目に査定をするこういうことか慣例として行なわれてくるのではないかと思うのです。そうすると、国民の面から考えてみますと、非常に矛盾した形にもなっておりますし、あるいはまたそれが固定資産評価制度調査会から答申のあった各税の均衡、このことを現実的に何ら解決されていないのじゃないか、こういうことを考えておるのですが、大臣はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/25
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026・早川崇
○早川国務大臣 土地鑑定士は民間関係でございますので、われわれといたしましては評価の基準によりまして、公に固定資産の評価というものをいたしたわけでありまして、矛盾はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/26
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027・安井吉典
○安井委員 大臣もお見えでまだあと質問者もおられますので、法務省、大蔵省に対する質疑は終わりたいと思いますけれども、調査会の答申は全国の市町村ごとの評価のバランスをはかること、それから各土地、家屋、償却資産全体の評価のバランスをはかること、それからもう一つの問題は国税、地方税を通じて一つの同じ資産に対してばらばらではおかしいではないか、そういうようなこの三つの原則が立てられていたと思います。ですからその原則が守られる方向でなければ、もうこの評価がえという問題自体——われわれはその評価がえ自体にずいぶん問題があるということで、この間うちからここで論議をしているのですけれども、やはりその原則の問題がどう扱われるかということに非常に大きな関心を持っているわけです。ですからその点、全体的な筋が通る方向で善処願いたいと思います。きょうのところはそれだけで一応おいでいただきました両省の方への質問を終わりたいと思います。
それで、大臣にお尋ねをしたいのですが、端的に申し上げて、今度の評価がえの問題は、私どもはこの評価そのものの持つところの矛盾点を、今日までいろいろな角度からあげてまいっているわけでありますが、特に、農地は大体二倍近く上がる、全国平均で。上がるところは三倍も上がるというふうなところが出てくる、あるいはそれ以上に上がるところも出てくるのかもしれませんが。特に宅地等は従来の評価から三倍くらい上がるところから四倍、六倍、全国平均は六倍半以上のようですし、基準都市でも十一倍上がるところも出てくるようです。そういうような大幅な値上がり、単にそれは大幅だけじゃなしに非常に大きなアンバランスな上がり方、こういうような評価か行なわれた場合に、一体税金はどうなるのだろう、こういうことについて国民はみんな心配をしているわけで、だから全国的な大きな反対運動が起きているわけです。それにこたえる姿で、一応来週あたり出てくるのだろうと思うのですけれども、その法律案の中で、農地については、現在の税額を上げない措置を講ずる、農地以外の土地については二割増しを限度として課税をする、こういうような方針をお立てのようです。しかしそれはあくまでも暫定的な三年間の措置でしかないわけです。ですから三年をこえたあとは、そのようなお考え方からすれば、税率は同一になっているのですから、もう一躍宅地はひどいところでは十倍をこえるような大幅な値上がりになる。そういうようなことに対する不安というものが非常に高いと思うわけです。三年間のその措置についての問題は、その法案が出たときに私どもは十分論議をしたいと思います。しかしその後の、三年をこえたあとの不安を、一体どう国民に対しておこたえになるのか、まずそれからひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/27
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028・早川崇
○早川国務大臣 安井委員も、現在の固定資産の評価が、現実に即しているとはお考えにならないだろうと思うのです。事実土地の値上がりその他は、もう常識上とうぜんのことでございます。したがって問題は、これに伴って税負担が増加するのではないかという御心配でありますが、私は、固定資産の評価と、どれだけ税をとるかということは別個に考えておりまして、現実に即した評価をするから直ちに三倍、五倍という固定資産税を課するということは、政治の面で妥当ではないと考えております。したがって、農地については現状どおり、それ以外の土地、山林につきましては最高二割を限度に押えたわけであります。
三年後どうするかという問題でございますが、税制調査会に根本的に税率をどうするか、その他固定資産税のあり方を御検討願っておるわけでありまして、いずれ結論が出ましたならば、それをもとに三年後のことは考えていきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/28
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029・安井吉典
○安井委員 そういうおっしゃり方だから私は国民が不安なのだと思うのです。これから三年後でなければ、三年先のことはわからないぞ、そんな先のことを、来年のことを聞いても鬼が笑うのに、三年先のことを言えるか、それは税制調査会で相談するのだ、そういうようなことですから、いまの評価がえそのものに対して、三年間は何か反対運動も強いし一応抑えておく、しかし三年後はそれをクッションにして、高いところにばんと上がるのじゃないかというような心配をみな持っておる。だからいまの評価がえを、この段階できめるのはおかしいじゃないかというふうな意見が強まっているわけです。
そこで、いまバランスの問題をおっしゃったわけですが、それじゃいまの大臣のお話では、新しい評価ではバランスは十分とれている、各土地、家屋、償却資産ごとにバランスは十分とれている、それから地域ごとのバランスも十分とれている、古い評価ではそういうものが十分バランスがとれていない、こういうふうな二つの認識ではっきりおっしゃっておられるわけですか、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/29
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030・早川崇
○早川国務大臣 人間のやることですから、完全にバランスがとれているということはできませんが、少なくとも従来よりはバランスがとれているということは、はっきり申し上げられることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/30
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031・安井吉典
○安井委員 そうすれば、結局土地については、六倍にも上がったり十倍にも上がったりする形に新評価がなるとすれば、そういう上げた形でバランスがとれている、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/31
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032・早川崇
○早川国務大臣 この土地その他の値上がりを、従来の固定資産評価の基準では見込めなかったわけです。今度の新しい評価方法によりますとその値上がりを見込めるわけでありまして、評価それ自身をとりますと、現在の実情に非常に沿ったバランスのとれた評価である、かく考えざるを得ないのであって、どれだけ今度税金をとるか、これはまた別個の問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/32
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033・安井吉典
○安井委員 そういたしますと、現在まで課税されている税金ですね、固定資産税の現在の税負担、不均衡だとお考えなのですか。これは全国的にというか現在行なわれているものはきわめて税の負担が不均衡だというようにお考えになっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/33
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034・早川崇
○早川国務大臣 評価が不均衡であると考えておるので、税というのはもっと高い立場から考えなければならないのであって、私の故郷の田辺の土地についてもべらぼうに時価より安い。私、身にしみて評価がアンバランスだと大臣になる前に感じたほどでありますから、当然現状の評価よりも、この新しい評価のほうが実情に即しているということは言えると思います。しかし同町にそれは、即税の負担の不均衡云々という問題とは別個にわれわれは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/34
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035・安井吉典
○安井委員 私は率直に言って、地方税法という法律の中には、市町村長の評価した額に——それは自治大臣が全国的な基準に準じて平均価格で地ならしをされたりしているわけです。それからその地ならしの方法は、宅地はこういうふうな形、それから農地はこれだ、家屋はこれだ、そういうふうにされているわけです。その評価に一定の税率をかける。標準率百分の一・四、制限百分の二・一、一定の税率をかけて税金がはじかれると思っているわけです。だから税率が一定で評価か非常にアンバランスだとすれば、いま行なわれている税金というものは、きわめて不均衡きわまるものじゃないですか。たとえば宅地の所有者には非常に税金を安くし過ぎていたわけじゃないですか。いまの負担そのものは、間違った負担をやっている。こういうことになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/35
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036・早川崇
○早川国務大臣 税率をどうするか、いろいろな大きい評価の激増に対するしんしゃく規定を設けるか、いろいろ時の政治情勢によって決するわけでありまして、これは税制調査会に御審議を願っておるわけであります。現在それを待って処置いたしたい。いずれにいたしましても、三年後を考えましても、固定資産税を非常に増税するというような政治はよくないと思います。だから、今回も暫定的に土地はそのまま、農地はそのまま、山林その他は二割で押えたのも、私は現在の政治、社会情勢を見て、妥当な措置であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/36
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037・安井吉典
○安井委員 そんなことを私は聞いておるわけじゃないですよ。問題をはぐらかさないでいただきたいのです。
大臣はいま、農地はいまよりも二倍上げたほうがバランスがとれるのだ、宅地は六倍も七倍もあるいは十倍上げることも出てくる、それのほうが評価のバランス、がとれるのだと言われる。だとすれば税率は一定なんですから、いまあらわれておる、今日まで大臣の御指導によって全国の市町村が取っていた税金というものは、きわめて不合理なものだった、不均衡なものだった、そういうことになるのじゃないですか。その点を私は伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/37
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038・早川崇
○早川国務大臣 だから今度は改めるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/38
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039・安井吉典
○安井委員 ということは、いままでのやつが不均衡だとすれば、税の負担も不均衡であったということを、いま是認されたわけです。税負担が不均衡であるにもかかわらず——私はいま一応の筋論を言っておるわけですが、不均衡なものだとすれば、今度暫定的な措置で、国民の税負担のきわめて不均衡なものを、三年間また農地は据え置く。それから宅地は六倍も七倍も上げるやつを二割でとどめておる。いまのままでいく。そうすると、三年間は税負担の不均衡をそのまま是認しながらいく。そういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/39
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040・早川崇
○早川国務大臣 税が不均衡と言ったのじゃなくて、評価が不均衡であったということははっきりしておるわけでありまして、安井委員のように税率はそのままにして、ほかのしんしゃく規定を税法の改正の場合に何ら考えないという窮屈な考えではそうでありますけれども、そういった問題は、たとえば農民の場合には長く自作をやる人もありましょうし、それを売ってうんともうけようという人もおりますし、そういったいろいろな要素を考えながら、税制調査会で、りっぱな妥当な固定資産税の改正の結論を出していただくように期待をいたしておるものでございまして、その結果を待ちまして、政府としては、三年後のことですから、われわれとしては妥当な急激な変化を与えないような結論が出ることを期待いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/40
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041・安井吉典
○安井委員 私が申し上げておるのは、評価だけはきれいにそろえるのだ、しかしあとで——私は筋論として申し上げれば、評価はしっかりできるけれども、税率や課税標準で適当にするのだということになったら、適当な税金をかけるのだということになれば、一体評価は何のためにやるのかということなんです。評価でバランスをとるという意味がないじゃないですか。かってに評価は六倍にして、これで正しいのだ、しかし、税金をかけるときは六分の一の税率にするのだ、宅地のほうは評価が上がらないから、いまと同じ税率でかけるのだ、そんな税法なんてありますか。だから六倍に上げなさいという意味で私は言っているのじゃないですよ。評価が正しいという前提をまずお立てになっていて、しかし税率は別なんだということになれば、われわれが国会で税法なんか論議しても意味がないじゃないですか。だから私が申し上げたいのは、いまの評価そのものが正しいという前提に、どこか誤りがないかということです。そうしてまた評価と税率というものを別々に考えるということ自体に大きな誤りがあると思うのです。だからこういうような大きな問題が出てくるのじゃないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/41
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042・早川崇
○早川国務大臣 たとえば、全然税率をゼネラルにする場合にも、今の税率よりも三分の一に下げれば、農地が二倍になっても、農地の固定資産税は減税になるじゃありませんか。ですからそういうことも考えて、全体としてそう激増するような結論が三年後の本格的なあれにも出るとも思いませんし、同時に、安井委員が言われるように一定しても、そういう方法がある。それから一定しなければならぬという規定もないわけですし、税法では、御承知のとおりいろいろしんしゃく規定があります。これは国税にも地方税にもあるわけですから、そこはひとつ弾力的にお考えになっていただきたいと思います。
ただ評価そのものをとりますれば、現状よりもより常識的なものに近づいておるということはお認め願わなければならないのじゃないか、こう申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/42
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043・安井吉典
○安井委員 いまここに、私がこの間要求していろいろいただいた資料があるわけです。これがいま一般に知れましたら、ずいぶん大きな反響が出てくると私は思うのです。そういう問題をひとつお考えいただきたいわけでありますが、そこでいまあらわれておりますその評価を、変動が大きいものですから、調整の方法がすぐに発見できないものですから、三年間の余裕を置いて、三年後までに考えつこう、自治省の態度はそういうことですね。だから三年間だけは暫定的な措置をしていこう、三年間のうちに考えるのだというふうに言われているわけでありますが、いま私どもが見ているその評価のあり方は、たとえば宅地についても農地についても、一般的な論議として言えますことは、上下の幅が非常に大きいということです。だからたとえば問題を捨象して申し上げれば、A市は現在よりも評価額は三倍くらい上がっております。B市は二倍くらい上がっておる。それからC市は現在とほとんど変わりません。三倍、二倍、それからいまと同じレベル、そういうような姿であらわれているようであります。その場合に、全国平均は大体B市と同じ二倍くらい上がっている、こういう形になるわけでありますが、そうなれば全体の調整のために税率を二分の一にすれば、なるほど全国の固定資産税のあれはいまより上がらないことになります。B市は二倍になっても、税率が二分の一になれば、それで税金は上がりません。しかしA市の場合にはいままでは安かったのかどうかしれませんけれども、評価額が三倍になって、税率を二分の一かけても、税金は一・五倍になります。三倍を半分にするわけですから一・五倍になって、つまりA市の場合には税金はやはり五割上がるわけです。それからもう一つの問題はC市の問題であります。Cの町は評価はいまと同じだ。税率が法律で二分の一にきめられれば、Cに住んでいる人の全体の税金は五割下がります。これはなるほどいいでしょう。下がるなら文句を言うわけはありませんけれども、C市の財政の上には、固定資産税が半分になるということはたいへんなことです。こういう町は主として農村に多いかもしれませんけれども、ただし書きの採用で住民税はがったり落ちる、固定資産税も半分に落ちる。私がいままでいただいております資料からは、そういう事態が起きるような要素を持っている新評価が生まれそうな気配があるわけです。まだ決定をされたわけではない。だからそういうような問題があるから、いますぐにそれに対する課税標準の調整措置をお出しになることができなければ、三年延ばしてもらえるわけですよ。そうだとすれば、むしろいま評価そのものを確定する必要はないんじゃないか。三年間は新評価はほとんど使わないのですよ。農地についても現状維持でしょう。来週ですか、再来週ですか出てくる法律には、税金はいまと変わらないということですから、税率は同じで税金が変わらないということは、旧評価に旧税率をかける。それから農地以外の土地については二割増しで押えるということは、旧評価の二割増しにすれば、この税金の算定期間の三年間が出てきますよ。家屋と償却資産は現行の旧評価と新評価とあまり変わりはないということなら、これも旧評価で出ます。そういたしますと、今度一月一日付で新評価そのものが決定はするけれども、三年間これはたな上げになるわけですね。お使いにならなくてもいけるわけです。そうだとすれば、いまおきめにならないで三年目までに新評価をおきめになればいいわけです。いまきめておいて、これからあとで三年間でやり方をきめるのだということは、とんち教室みたいなもので、固定資産税とかけて何と解く、税金六倍、その心はというような、これから税制調査会で税率をどうするとかこうするとかやらせようというわけですね。ですから私はいまあわててそういう問題があるままに、ここで評価を決定する必要はないと思うのです。もう少しゆっくり——全国のやつをまだ自治庁はつかんでおられないわけですから、具体的なものがまだきていないんでしょう。三月半ばごろでなければ終わりませんという県の報告が一ぱいあることを、この間いただいた資料で拝見しています。だからそうあわてて、一カ月延ばすぐらいじゃなしに、一年なり二年なり延ばすような姿の中から、もっと先行きの見通しを持った形をお出しになるほうが、先ほどから政治的配慮、政治的配慮と言われますけれども、私はそのほうが政治的配慮らしいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/43
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044・早川崇
○早川国務大臣 われわれは、新評価によって固定資産の評価がえを行なう意義はあると見ておるわけであります。まず、従来の方法では、市町村間のアンバランスが全然是正されないということ、それから土地と償却資産、農地間のアンバランスも是正されない、この評価を実施することによって、少なくとも評価が、より権衡のとれたものであるということの結果を得ること自体、非常に価値あることだと思います。同時に私は、すべて漸進主義の考えを持っておりますので、二割の幅というものの不均衡が是正されるということ自体も、非常に大きいことだと思うのでございます。四倍とか五倍とかの大きい変革ということは、必ずしもいいことではない。ですからそういう意味からもこの評価の意義がないという御意見には賛同しかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/44
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045・安井吉典
○安井委員 私は、評価そのものは無意味だというわけではないのですよ。現行からもドラスティックな改革案、これはやはり問題があると思う。それは二割くらいならいいですよ。いままで十万円くらい宅地の税金を払っている人は、二割上がれば十二万円でいいわけです。しかし六倍上がれば、これは六十万払わなければいかぬのですから、その差というものは大きなものですよ。だから、そういうふうな形で問題をなまのままでお出しになるというふうなこと自体、私は問題があるのではないかと思う。自治省は、評価の結果はまだわかっていないと思うのですよ。わかっていないような段階では、全国はどうなるか知らぬけれども、一応出てきたやつを決定するのだ、そういうふうな姿ではいけないと思うのです。やはり一年くらい余裕を置いたほうがいいですよ。私は、ただ単に党利党略でものを申し上げているのではなしに、ほんとうに、全体的にバランスのとれた姿を出すには、やはりそのほうがいいのではないかと思います。だからこれは、たとえば農民もずいぶん心配をして、反対運動を起こしているし、それから最近は私どものほうにもきておりますが、関西経済連合会ですか何かからもきております。やはり私は、財界のほうの意見と全く同一ではありませんけれども、大きな工場なんかで、特に敷地を非常に持っているところの場合は、まあ三年間は二割増しくらいでいいならそれは了承した。——二割増しというのも、これも大きな問題ですから、それはまたそれであとで論じますけれども、しかし評価そのものが土地台帳の上に、六倍に上がる形でばっと書かれてしまうのです。それはもう動かしがたいようなものにことしなってしまう。しかし、それは実際お使いになるのは、三年後にしかお使いにならない。いま二割増しでしかおとりにならないから、三年間はそんなものはたな上げですよ。三年後に使うやつをいまぽんと上げて、今度固定資産税の評価台帳を縦覧させてごらんなさい。これは全国的な大きな反響が起きてくると思うのです。どうでしょうね、やはりもう少し、一年くらい延ばす中で全体的な情勢をしっかり調べてから評価がえを確定される、こういう措置のほうが、私は全体的にスムーズに問題を持っていく道に通ずるのではないか、そう思うわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/45
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046・早川崇
○早川国務大臣 先ほど申し上げますように、今回の固定資産税の再評価の意義を、私は十分認識をいたしておるわけでございます。同時に、固定資産税の、農地につきましては据え置き、それ以外のものは二割までの限度で認めるということ自体も、一歩前進を示しておるわけでありまして、法律でも固定資産税の再評価をはっきり三十九年度やるようにきまっております。これをさらに延ばす意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/46
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047・安井吉典
○安井委員 私どもも、それを延ばすことに関する改正法案をいま準備をしつつあるわけでありますが、それはおやりになるというお気持ちさえあれば、法律でやろうと思えばできないわけはないわけですね。この問題はもういまきまったわけではないのですから、またさらに論議をあとに残こしてまいりたいと思います。
そこで法案の点で税務局長、三月三十一日までに作業を終了しない市町村のある場合は、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/47
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048・細郷道一
○細郷政府委員 先般差し上げました資料にもございますように、土地につきましては、もう大部分のところが完了いたしております。家屋につきましては、おそらくとも三月中旬には、全国的に完了するという見込みでございますので、四月一日には間に合うと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/48
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049・安井吉典
○安井委員 大臣のお帰りになる時間があるし、それからまたあと質問したい人もございますので、私これで一応打ち切りたいと思いますけれども、やはり三年間の御定期間の措置だけを強調されておるが、これだけではいつまでたっても私は納得しないと思うのです。そういうような基本的な問題については、何ら満足できるような御回答がないわけです。税制調査会にまかせっきりで、逃げっきりで、一体どうするんだというふうなあれは全くないわけで、きわめて遺憾だと思います。さらに、次の段階の、本法の改正法案も出ますから、そういうような段階で論議をいたしたいと思います。きょうのところは一応終わりまして、次の方に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/49
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050・森田重次郎
○森田委員長 華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/50
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051・華山親義
○華山委員 昨日、政務次官にお尋ねしたのでありますが、私にはお答えがございませんでした。大臣がお見えになりましたので、お尋ねいたしたいと思います。
一カ月とか二カ月前に政府の方針、そういうものが決定をしているものならば、この法律を出す必要はなかったのではないか。それで、私は法律というものは行政府というものを拘束するものであって、こういうふうに厳然としてできてきているところの法律に基づいて自治省が仕事を進めるべきではなかったか、あるいは政治的な配慮をなさるべきではなかったか。それがおくれたために、このような法律を出さなければならないということは、一カ月税の納付がおくれたために、私の胸算用では、市町村は二億円以上の実害をこうむっておる。大臣は、大臣である前に、国会議員なんです。法律というものをよく守って、法律に合うように政治的の意見をまとめるなり、行政の手続をするなりすべきじゃないか。もうこの問題は突発的なことではございません。二年も三年も前からわかっていることなんです。その間に、自分の信条なり、あるいは政治上の意見をまとめるなりすべきだと思うのです。こういうようにおくらせる何らの理由も私にはわからない。そういうふうなことで、この法だけ新しく出てきたのでございますが、先輩としてお聞かせ願いたいのでございます。そういうふうな法律を軽視するようなやり方でよろしいものでございましょうか。これは社会党であるとか自民党であるとかの問題ではございません。国会議員の態度であります。根本的なものの考え方だと思う。ひとつ、大臣の所見をお願いいたしたいのでございますが、私は、この事案の説明につきましても、やむを得ずこういうふうになったので御了承願いたいということが、一言でも出るのかと思ったら、何にもおっしゃらない。あたかも当然のことであって、円滑にとおっしゃるけれども、二カ月か三カ月前にきちんとできておれば、本法どおりにやって円滑にできるはずのものだと思うのです。そういうことで行政府と立法府との関係はいいものであるかどうか、御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/51
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052・早川崇
○早川国務大臣 必ずしも事務がおくれたというだけではなく、やはり負担調整のための立法を別途やらなければなりません。そういう関係から、一カ月おくらすということになったわけでありまして、それによって二億近い国費が減るということは、まことに遺憾でございますけれども、この大きい問題の事務を円滑化するためにやむを得ないことだと考えまして、御審議を願っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/52
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053・華山親義
○華山委員 事務当局にお伺いいたしますが、二、三カ月前にすっかり準備ができておる、それでもやはりこういう法律を出さなければいけなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/53
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054・細郷道一
○細郷政府委員 新評価の事務は、一昨年からすでに始まっておるわけでございます。ただ、何ぶんにも全市町村、全土地、家屋に及んでおりますので、市町村によりましては、そのテンポが必ずしも一致をしていまいところもございます。ただ今回、こういうふうに統一的に台帳縦覧時期を一カ月延ばすということは、必ずしもその事務の問題ばかりでなく、新価格によってどういう負担調整の方法が行なわれるかということを納税者も承知の上で、その段階において台帳を見てもらうほうが、課税事務におきましても無用の混乱を避けることができるであろう、こういったようなこともございまして、統一的に一カ月延ばすことをお願いいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/54
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055・華山親義
○華山委員 大臣はお忙しくて、速記録等もお読みにならないかと思いますから、私の所見を申し上げておきます。
昨日、私は申し上げたのでございますけれども、償却資産については時価主義をとっておる、農地についてば時価主義をとっておる、このことにつきましては、事務当局の意見は私とは一致いたしておりません。しかし、私は独断的なことを言っておるものではございません。万一その方に御迷惑をかけるといけませんから、私は極力控えたのでございますけれども、十二月に発行されました自治省の役人の書かれた新しい本にも、りっぱな内容の本でございますが、償却資産については原価主義であるというふうに書いておられる。それで、これはだれでも経済的なあるいは経営的な知識を持つ者であるならば、原価主義が税法上有利であって、時価主義が不利であるということは、これはもう議論の余地がない。こういうことはとりもなおさず大企業を含む製造工業については有利である、農業については不利であるということでございます。この点、お考えがございましたならば御答弁を願いたいのでございますけれども、大きな問題だと思いますので、格別、御答弁も要りませんが、申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/55
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056・早川崇
○早川国務大臣 償却資産の評価方法は、原則として取得価額を基準といたしております。また新しい償却資産の取得の場合には、その新しいときの時価をもとに取得価額としておるわけでありまして、その後の耐用年数によって減価していくという方法をとっておるわけであります。これは法人税においても同じことでありまして、われわれはその方法によって評価をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/56
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057・華山親義
○華山委員 それはわかっていてお聞きしているのです。時間も参りましたから、もうよろしゅございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/57
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058・森田重次郎
○森田委員長 秋山徳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/58
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059・秋山徳雄
○秋山委員 私はきょうは簡単に尋ねておきたいと思います。
昨日、華山委員の御質問に対しまして税務局長が、それは第何条か覚えておりませんが、縦覧期間の問題でございましょうけれども、それがただし書きにおいて「災害その他特別の事情」ということが書いてあるはずです。これについて何か答弁の中では非常に簡単に扱われて、もしも提案されておる法律が一カ月延ばすことにおいて、これが延ばされなかったという場合にどうなるかということの質問に対して、各市町村がまちまちになってしまったのではうまくないという御答弁であったわけですけれども、この条文はおそらく私は全体の問題として一つの欠格条項に当たるのではないか、こう思うわけです。これはたとえば、官吏がやることは法律条項に違反しても行政指導でできるのだと受け取れるような答弁をしておるのでありますが、私はそういうことでなくて、民主主義の原則にのっとって、住民の縦覧を経て、初めてこれがほんとうのものになっていくのだということに立っての条文ではないかと思うのでありますけれども、私はたまたまいままでは法律をつくる方面におりませんのでよくわかりませんけれども、いまも華山委員から御質問がありましたように、衆議院議員の先輩たる大臣に、先輩として御答弁いただければ幸いだと思います。私はそういうふうに理解するわけでございますが、法律を上回って行政指導の面でこれがどうにかなるものだということは、私はけしからぬことだと思いますが、そういう点について御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/59
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060・早川崇
○早川国務大臣 われわれは、あくまでも立法府の議員である。私も長年代議士をやっておりますから、行政が立法に優先するというようなことはあり得ないことであって、またあってはいけないのであります。さればこそ法律を出しまして、一カ月問縦覧期間を延長するということで御審議願っておるわけであります。あなたと全くそういう点では同じ気持ちでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/60
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061・秋山徳雄
○秋山委員 大臣がお帰りになるので、来週にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/61
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062・森田重次郎
○森田委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/62
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063・門司亮
○門司委員 ごく簡単に大臣に聞きたいことが一つあるのですが、それよりも事務当局に一応聞いておきたいと思いますことは、いままでいろいろ議論されておりますが、基本的な問題についての考え方を正しいと思います。
この税金の沿革は、日本の税制度の沿革とからみ合わせて考えてみると、どう考えても、工業の非常に発展しておらなかった時代における土地、家屋に対する税制というものは、当時の税財源として非常に重要視されていた。しかし最近、国のあり方が変わってきておる。そして何といっても工業を中心とした国の産業経済になっていることは、いなむことができないと思います。そうだとすれば、この固定資産税の評価その他についても、その見方については一応考えられる必要があるのではないか。私が申し上げておるのは、したがって自治省で考えてもらいたいことは、農民の持っている土地というものは生産の手段にすぎないのである。従来の、土地と家屋にしか租税を求めることのできなかった日本の経済構造とはいまは違ってきておる。同時に負担能力も変わってきている。したがって今日の土地、ことに農地については、実際そういう考え方で考えたほうが、この際適合する考え方になってきているのではないか、その点について自治省はどうお考えになるかということです。単にこれを収益還元の方式でやるとか、あるいは財産税的な性格を持っているということでなくて、もはや基本的なものの考え方をこの際変えることが妥当であるのではないかと考えるのだが、この辺どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/63
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064・細郷道一
○細郷政府委員 土地につきましては、農民のみならず宅地等を通じての評価上のバランスを得たいということから、売買実例価額をもとにして時価を求める方式をとろうとしているわけであります。そのうち農地につきましては、おっしゃるように、確かに他の都市とは若干趣を異にしている面があると思います。ただ、そういったようなことも価格の上にいろいろ反映されていると思いますが、われわれは、昨日も申し上げましたように、この評価にあたりましては、限界収益補正というものをかけて、それによって農地の評価額をきめてまいりたいと考えているわけであります。
なお、その評価額自体をもとにして税負担をどうするかということについては、お説のような意見も税制調査会の場でいろいろ議論されることと考えております。十分検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/64
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065・門司亮
○門司委員 いまの御答弁だけでは私ははっきりしないのですが、もう少し突っ込んでものを考えてもらったらどうかと思います。実際問題として、何といっても生産手段として見ることのほうが私は正しい見方だと思います。おそらくあなたは、技術的な問題と、現実に税金をかけてどう算定していくかというようなことについてはそのようなことはございますが、見方としては、少なくとも農地は一つの財産であることは間違いないと思います。しかも農地については、売買が制約を受けている。自由に売買できるものではない。国が法律で制約している面が一つと、いま一つは、いま申し上げましたように、生産手段にすぎないということであります。土地を持っているからといって、別にどうこうということはないのであって、都会の土地であれば、土地を持っているということによってかなり収益がある。土地自身がかせぐことができるのであります。農村の場合は、土地はかせがない。その上に種をまいて耕して、肥培管理を行なわなければ収益がないのであって、農村の土地は生産手段に使われる。この法律の中の、事業の用に供するものだというふうな観点からものを考えるほうが実際は正しいのではないか。税制問題、国の財政全体からいって、昔のように土地と建物以外には税財源がないから、ここからとるんだという考え方でなく、——私はそう考えますが、そう考えられませんか。それは生産手段と見るほうが明らかに正しい。農民が汗とあぶらを流して働いて、初めて収益がある。工場の機械が回っているのとどこが違いますか。機械でも回らなければ収益はあがらない。農地は草がはえたら三文の価値もなくなってしまう。その点についてはどう考えられるか、その点をもう少し伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/65
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066・細郷道一
○細郷政府委員 農地が農業におきまする生産上の重要な要素であるということは、私どもも承知しております。ただ、それのみが生産手段であるというふうに割り切るのには、なお十分研究を要するものが残っておると思います。同じく宅地の問題につきましても、一言に宅地といっておりますが、そこで収益性の強い宅地もございますし、非常に弱い宅地もあるわけでございます。そういったようなこともありまして、今回の新評価額をどういうふうに税の負担に移すかということについて、税制調査会でも議論があったわけでありまして、なお引き続き議論がなされると思います。ただ、今回の場合、そういった農業の特殊性といったようなことを考えまして、この暫定措置におきましても、税負担は一応据え置きを最高にするというような措置がとられるようになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/66
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067・門司亮
○門司委員 だから、据え置きをするというなら、これから自治省がお考えになることであって、それについてはいつお考えになるのか。税制調査会が何とか一言うだろう、それから考えるというのは他力本願であって、自治省なんかあってもなくてもいいというとおこられるかもしれませんが、その中には私は、自治省の一つの筋がなければならぬと思う。あれは諮問機関ですから、絶対あそこの一言うことをきかなければならぬということは法律に書いてない。尊重しなければならないと書いてあるが、なかなか尊重されないのが今日の政府の実情です。そこに逃げ込まれるのは、きわめて不見識だと思うのです。こういう機会に、自治省は自治省としてのものの考え方を強く出されることが、諮問機関として受けた調査会もやりいいということです。私は、やはりもう少しはっきりしてもらいたい。農家にしてもそうでしょう。農家の家というのは大体生産手段なんだ。都会の家なら、たとえばこれを他人に貸し与えることもできる。そこから収益も上がってくる。しかし今日の純農村は、そういうことはできるはずはない。だから、私は、もう少し税の負担の公平ということ、世の中がこういうふうに変わっておりますから、昔のようなものの考え方で、どうも固定資産税あるいは住民税なんというやつは、土地、建物にかけることは、大体昔からそういうことになっておったからという時代ではもうないと思うんですね。そうしなければ結局、農村と都会との所得格差なんというもの、負担格差なんというものはなくならないと思うのです。私は、農村を育てようとするならば、税制面においても、十分にそのことを考ええて、農村のあるべき姿というものを十分に考えて、そうしてこれを打ち出すことが正しいのではないか。だから、機械器具に対する例の免税点と、農地に対する免税点は必ずしも一致してないと私は思う。同時にこれには限界がある。いわゆる生活をしていくということには限界がある。いま自民党さんのお考えの中にはいろいろあって、農家の規模をどのくらい大きくしなければ生活できないとかなんとか議論がされておりますが、そういうことがあるのであります。土地を持っている、そこで仕事をしておることは間違いない。しかし、その土地だけで生活ができるかというと、その土地だけで生活のできないきわめて零細な農家がある。そういうところにも、やはり財産を持っているからということで税金がかかっていくという形、したがってこの税金を財産税というのなら財産税といってもいいかもしれないが、しかし税金の性格は、財産税とも考えられるし、あるいは収益税とも考えられるし、今日の固定資産税というのは、その辺がきわめてあいまいになっておる。これは何もかも税金をかけようとしたから、実際にそういうことになったわけだ。土地あるいは建物と機械とを、別にかければよかったのです。それを固定資産税の中で全部一緒にかけるようになったから、こういう変な性格になったわけです。しかしそれにいたしましても、今日の農村の実態から見て、税負担の公平を期そうとするならば、固定資産税のそういう配慮が必要ではないかということが考えられます。したがって、なお突っ込んで一言うならば、たとえばその地方における耕作反別等についても、やはり考え直す必要があるのではないか、免税をする面がありはしないか。そういうきめのこまかい配慮をすることが、もうこの際必要だと思います。しかしいまこれを議論したところで、事務当局ではなかなか始まらぬと思うので、いずれ大臣がお見えになったら、今度は大臣に、ほんとうに腹を据えて答弁をしてもらいたいと思います。
それで、事務的の問題として次に聞いておきたいと思いますことは、山林であります。山林の地積、この間資料をもらいましたが、その資料については、異論も実はございます。六百分の一の地図というのはこういうものだということをお書きになっておるよう、だか、県市町村に行くと、六百分の一の地図が整備されているかというとないのであります。これはこしらえようとするならば、非常に大きな費用と、大きな人員と、年限がかかる。かつて私は、予算委員会でこのことを聞いたのでございますが、時の大臣はだれだったか、大臣の名前は忘れたが、その人の言うのには、この地図をつくるのには、少なくとも一年間に五万人くらいの人間をかけて、三年間をかけて、四百五十億くらいの費用をかけなければ地積の精密な地図はできませんという答弁だった。航空写真をとって、実測して、それを合わせてみて、なお誤差があるなら誤差を整備していこうとすると、たいへんだということです。だから私は、自治省がこういう資料をお出しになっているけれども、お出しになって、われわれは見たということだけにとどめておきたいと思う。正しいものではないはずです。そこで、最も今日大きな誤差を持っておりますのは、山林であります。この山林の実地調査ということを一体自治省は真剣にお考えになっておりますか。私は、これはある意味においては脱税だと思うのですよ。実際は相当大きなものでありながら、帳簿に記載されておる記載の面積が小さいからといって、税金はそれだけで納められておる。ところが、最近問題になっております土地造成その他で、だんだん山林が開放されてくる。そうなってまいりますと、帳簿面と実測面か合わなくなってくる。合わなくなったのはだれの土地かということになりますと、法律では、何者にも所属しないものは国に所属する、こう書いてあることは間違いはない。しかし出ただけの土地は必ずしも国の所属にはなっていない。結局、これは誤記登記という形であらためて登記されて、そうして本人の所属になってしまう。そういう面においても私は、厳密にいうならばかなり問題があろうと思う。だれの所有でもない土地だからということで国が没収するわけにはいかぬ。そういう点については、この固定資産税の再評価をする場合あるいは基礎を変えられるというなら、どういうお考えですか。だから私は、実測をきちんとすべきだと考えるのだが、こういう実測と実際との違った面の処置はどうされておりますか。誤記登記ということが行なわれてから後に税金をそこだけかけるということになっておりますか、過去にさかのぼって脱税をどうするかということをお考えになっておりますか、こまかい技術的な問題ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/67
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068・細郷道一
○細郷政府委員 御指摘のように、山林については、実測面積と台帳面積に差があるのではないかということで、調査会におきましてもまたこの審議会におきましても、いろいろ議論が出たのでございます。ただ、もちろん私どもとしましても、実際の面積でやるのが、当然、それが公平な行き方でもあるし、実際に合った負担を求める方式として最上ではないか、こう考えておりますが、何分にも現実の姿は、いま御指摘もございましたように、相当膨大な手数を要する問題でございます。やはりこれは将来問題として検討していかなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/68
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069・門司亮
○門司委員 いや、私が聞いているのはそうじゃないんです。そういうことを考えなければならぬことはあたりまえです。いまあなた方が、どんなにしゃっちょこだってみたところで、わからぬものはわからぬのだ。それはわかるはずがない。ただ、問題になるのは、誤記登記その他で問題が出てくる。その場合に、税金についてどう処置されているかということです。だから、誤記登記が出てきて、さかのぼって——たとえば従来一万坪であったと考えておったのが、売買することになって実測したら一万五千坪出てきた。その五千坪は実際今日税制上は取られていない。それは脱税と見ておるか、やむを得ないものとして放任されておるかということです。私は、こういうこまかいことをくどく聞きますのは、今日、ことに農村をたくさんかかえております。特に山林をその中によけい持っております寒村といった地方の自治体の財政は、非常に苦しいのであって、そうしてあげて山林の収益あるいは山林にかなりの税財源を求めるということが、これらの町村の唯一の財源補てんの場所でございます。ところが、先日からも話しておりますように、実はそういうものについてもほとんど税金がはっきりかけられておらない。また、かけようがないといわれておる。地積についてもいいかげんだということになると、今日の山その他をたくさん持っておりまするいわゆる町村の財政というものは、ますます苦しくなってくる。だから、税財源を確保するということのためにも、やはり弱い町村には国が強い施策を行なってあげるということが必要であります。立木税についても同じであります。立木税の取れないという原因は、地方には非常に強い勢力家がおって、村役場の役人が行って、一々山に入って立木の検査をするなどということは、とうていできないのだ、それこそ山林地主からにらまれたら村の運営はできてないから、そんなところは手をつけないほうがいいということで、いいかげんなことをやっている。そういう適当な措置が行なわれているのか今日の実情であります。だからといって、それを放任しておけばますます地域差が出てくる。その地域差がなくする一つの方法としても、やはり自治省は確固とした方針を立てて、そして町村財政の充実をはかっていくということがこの際望ましいのではないか。そういう意味で聞いておるので、別に悪口を言って聞いておるわけではありません。したがって、それらの問題についても、いまのような答弁でなくて、その誤差についての税金は、さかのぼって取るのか取らないのか、当然納めなければならないものが、わからなかったから納めなかったということで済まされるのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/69
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070・細郷道一
○細郷政府委員 地積が明らかに誤記であるといったようなものは、当然取るべきだと考えております。ただ、実際問題として把握が困難なために、時間を経過することによって、時効その他によって、課税がさかのぼってできないといったような事態は、実際にあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/70
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071・門司亮
○門司委員 これ以上私が聞いておっても、おそらく満足のいく答弁を引き出すことは困難だと思います。実際問題として、自治省がもう少しこれらの問題に強く当たっていただいて、そうして町村役場ができるだけ税財源を求めるのに容易な方法をぜひとってもらいませんと、さっきから申し上げておりますように、格差というものがだんだんできてくるのであります。
そこで、私はこのことだけはぜひひとつ大臣に聞いておきたいと思うことでありますが、今度の国会に出されております公害防止の問題は当然いろいろな形で出てくるわけでありますが、これは大臣よりもむしろ事務当局に事務的な問題を一応聞いておきたいと思います。
公害施設に対しましては各企業がかなり大きな負担をしなければならないことは当然であります。したがって、公害施設を行なったものに対して、固定資産税をかけるかかけないかということも、公害施設を急速に行なわせる一つの手段あるいは方法としては考え得ることだと私どもは考えております。したがって、公害施設に対する固定資産税を免除するかどうかということは、事務当局としても考えられるかどうか。このことは大臣にはっきり聞かなければわからないと思いますが、もし事務当局でお考えがあればはっきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/71
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072・細郷道一
○細郷政府委員 御承知のように、現在でもばい煙排出規制法によって、ばい煙処理施設をつくる場合、二条四項に規定します処理施設につきましては非課税という措置をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/72
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073・門司亮
○門司委員 この法律ができたときのばい煙というものより、いまの公害は非常に範囲が広くなっております。したがって、この法律だけでは適当でないと考えるから実はお聞きしておるのであります。今後汚水その他の問題がいろいろ出てまいりますので、これを積極的にやらせようとすれば、やはり何としてもそういう施設が必要である。ところがこの施設の実際の監督権限を自治省は持っておらない。持っておらないから、その施設その他を十分に自治省で把握できておるかどうかということについても、問題が残されていはしないか。したがって、公害防止に対します施設については、全体に固定資産税の対象にしないのだということを、この際私は明らかにしておいていただきたい思うのです。そうしませんと、公害対策を進めてまいりましても、企業家というのは一切そろばんでやっておりますから、なかなか進まない。したがって、その辺は、いまの法律だけでこれが充足されるものとは考えられません。ただばい煙、ばい煙と言っておりましても、ばい煙だけではないので、ばい煙の中に含まれるものとしては、たとえば自動車の排気ガス等についてもばい煙といえるかどうかということがあります。これなどは都市をよごしている最も大きな問題である。ところが、自動車についてああした排気ガスが出ないように装置するのには、かなり金がかかるといわれております。これを強制的にやらせようとするには、やらせようとする温情ということばは悪いのでありますが、当然の処置というものを講ずべきである。その中に、それらの問題についても、固定資産税の対象にしないということが明らかにされる必要があると思う。事務的の答弁だけでなくして、できるなら、次に税法改正が出てまいりますから、そういうものをそのときにはっきりする、あるいは公害防止法の中にそういうものをはっきりする、いずれかにして、この問題の解決とまではいかなくても推進をはかっていきたいと思いますが、もう一応答弁をしてもらいたい。あとで大臣が見えましたらそのときはっきり大臣から聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/73
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074・細郷道一
○細郷政府委員 公害と申しましても、いま御指摘のように非常に広範な要素を含んでおります。したがいまして、ほんとうの意味の公害防止ということになりますと、それぞれの施設を持つ人が、全般的に公害防止という観念に徹してやっていかなければならない、こう考えるわけであります。ただ具体のもんだいとしまして、公害防止の施設を、どういうふうに税法上扱っていくかということにつきましては、いろいろ考え方があろうと思います。たとえば、法律によってこういう施設をつくらなければいかぬということが、義務づけられた後に新設をいたしますような工場、事業場につきましては、むしろそのことを含めての措置をとるべきものと考えますので、直ちにそれをもって税法上またそれに軽減措置をすべきかどうかということは、若干疑問があると考えられます。またそういう新しいものにつきましては、国あるいは地方団体でも、別途にいろいろ融資あるいは助成とかといったような措置が講ぜられておることもございますので、そういう面との均衡を考慮してまいらなければならぬと思います。
それから、従来からありますものに転換を求めるというのが、当面の問題としては起こってくるわけであります。転換を求めます場合には、厳格に税法上申しますれば、転換による価値の時価の差額というものが新しい負担になるわけであります。その負担をどう解決するかということが税法上の問題であろうと思いますが、これも反面先ほど新設の場合に申し上げたと同じように、財政上の援助等とのにらみ合いもございますので、現状におきましては、ばい煙規制法によりますものが法律上の免税措置になっておりますけれども、その他のものにつきましては、各市町村におきまして固定資産税上のいろいろな措置を、実際にとっておるのが相当あると思っております。ただいずれにいたしましても、税法上は、考えからとしましてはそれだけの価値があるものを、どう扱っていくかということになるわけであります。当然、課税の対象にすべきものと考えます。別途政策的にこれをどう考えるかということになりますと、その規制の内容、その範囲、その期間等によってこれを考えていかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/74
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075・門司亮
○門司委員 いろいろ事務的に御答弁があったようでありますが、一つの問題は、なぜ私そう言うかといいます。と、公害防止条例というものが都道府県で大体ございます。しかしこれは実際はなかなかうまくいかない。公害防止条例というような名前をつけなくてばい煙防止条例というようなものが、明治三十六年の東京都の条例の中にちゃんとある。あるが、しかしこれが、実際に行なわれてない実情であります。同時に、この税金が市町村の税金である。条例をこしらえるのは県、これが私は大部分だと思います。またそれでなければたいして効果がないと思います。したがって、そういうことで府県あるいは市町村にまかしておくというようなこと、そこでいいかげんにやられておるというようなことでなくして、国でたとえば公害防止法というものが独立立法としてできるかできないかということは問題でありますが、あってもなくてもやはりそういう施設については免税の対象にするのだということは、税法上の一つの考え方で考えられるなら法律の中で明記しておくということで、あとの、どういうものをそれじゃこれの対象にするかということについては、各都道府県のあるいは条例にまかしていいかもしれない。私はこれはやはりほうりつでなければまずいと思うんだが、一歩譲って、各都道府県の条例にまかしてもいいと思います。そういう場合、条例に定めたものについては、結局固定資産税の対象にしないのだということを、助長策をこの際講じなければ、これだけやかましく公害問題が叫ばれているときに、私はこれを促進することも困難であり、また広い意味における保健衛生のたてまえからいっても、私は当然じゃないかということが考えられる。これは資本家がやっているのだから、向こうの義務だから何でもかんでもやれといっても、資本家はそろばんばかりしか考えない連中だから、そろばんに合わなければ法律でやかましくいわなければやりはしない。だからこれは法律面で助長し、多少でもこれを強制し得る根拠をはっきり道徳的につくっていこうとするには、やはり私はどうしてもそういう配慮がこの際必要ではないかというように考えられるので聞いておるのであります。いまの答弁だけでは私としては了承するわけにまいりませんので、いずれ委員長にお願いして、大臣がおいでになりましたらその間のことだけ私ははっきりしておきたいと思います。
それからその次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、固定資産税の算定をいたしております基礎的の調査をいたしております各地にある委員会の制度でありますが、これは自治体にまかせてありますから自治体が適当な人をということになっております。それからさらに多少の経験を持った有能な人たちがこれに当たっておると思いますが、今日のように非常に複雑してきて膨大なものになってきておったのては、私は調査というものはなかなか困難だと思う。私はなぜそういうことを言うかというと、この前の調査の時期に、私は東京都に対して、東京都のそれらの問題の明細な基礎数字を出してもらいたい、どこに基準があるかということを請求いたしましたときに、私の手元に、東京都が非常に親切に各区の問題、こういう形でこういうふうに査定をいたしておりますという書類をいただいたのでありますが、この間また同じこの問題が出てきたから、東京都に電話をかけて聞き合わせたら、実はあの仕事はなかなか大へんな仕事でございまして、いまは手が足りないので、この前のような書類を作成するいとまがなかなかございませんからということで、もらえなかった。私はことほどさように非常に複雑だと思います。たくさんの問題だと思います。したがって、この制度をもしほんとうに円滑にやっていこうとするには、三年目にこういうことが行なわれておるのだということではなしに、常時私はそれらの価格の移動その他については、何らかの方法で役所がこれをあらかじめ把握することができるような方法を、法律で講ずる必要がありはしないか。そうして、そういうものがやはりある程度義務づけられる必要があるのではないか。そうすることが評価にしても案外スムーズにいくのじゃないかということであります。この点について、事務当局のお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/75
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076・細郷道一
○細郷政府委員 都道府県にも固定資産の評価審議会が置かれておるわけでございますが、その顔ぶれは大体府県の関係部長、それから国の関係で国税庁の関係者あるいは法務省の関係で地方法務局の関係者、そういったような方のほか、市町村の代表者、それに学識経験者といったようなものによって構成されております。そこにおきまして、いわゆる自治大臣の行ないます指定市町村以外の市町村に対する評価の基準を作成するようにいたしておるわけであります。そこにおいて標準的な価格なり、あるいは評価の方法といったようなことも議論されて、順次市町村に流れていくというような仕組みになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/76
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077・門司亮
○門司委員 それはわかっておりますが、私の聞いていますのは、常時そういうものが絶えず、たとえば毎年なら毎年時価がどういうふうに変わっている、ここはこういうふうに変わりつつあるということを報告をする義務を、市町村なら市町村に義務づけていくべきではないか。そうして常時これらの調査が行なわれておるということにしなければ、必ず高いところと低いところができて、私はうまくいかないのじゃないか。なるほど役所の面からいえば、ものを決定する法務省と大蔵省の連中が出てきて、あるいは自治省の諸君が出てきてきめれば、それでよろしいかもしれない。しかし、それらの諸君も、実際問題はわからぬでしょう。ただ帳面の上だけしかわからぬでしょう。地元から出てきた資料をもとにして議論されるだけでしょう。それは私は、この問題についてはいまのいき方じゃなくて、やはりもう少し親切に、地方の自治体が土地の値上がりなら値上がりの推移がどうなっておる、農村の土地の推移はこういうふうになっておるということを、この委員会なら委員会に、地元の意見というものを十分に把握ることができるようなことを義務づけたらどうかというのです。そうして単に固定資産税の調査委員というものが三年ごとに調査するというのじゃなくて、私はやはり常時、毎年調査していって、そうして適正なものにする。そうしませんと、税の負担の公平ということが考えられないのであります。
それから立ったついでにもう一つ聞いておきますが、私は今度の場合に、この評価によって多少でも地価あるいは家屋の価格が今度は公認されるわけですから、実際からいえばこの場合は、それが地代や家賃にどういうふうにはね返るかということは、自治省はお考えになったことがあるかどうか。またお考えになったことがあるとするならば、地代や家賃についてはどういう処置をとられようとするか。据え置いて、いままでどうりに絶対に動かしてはならぬということなら話はわかりますが、多少でも動いてくれば、これは地代や家賃が上がったりする原因をこしらえることは明らかであります。それについてどういうふうに対処されるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/77
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078・細郷道一
○細郷政府委員 前段のほうは、今度の新しい評価方法でありますと、従来のいわば上から下へという評価方法と違って、下から上へという積み上げ方式の評価方法になってまいりますので、やはり市町村当局におきましても、十分売買実例の記録を把握する。それからまたそれによる時価の動きを把握するといったようなことをつとめなければならないわけであります。現在のところは、そこまでの義務を明文上明らかにはいたしておりませんが、市町村長がそういう評価をする義務がございますので、それの反射的な作用として、当然そういうことをするようにつとめなければならないものと考えております。またそういった傾向はこのいま申しました道府県の固定資産評価審議会にも反映されてくるものと考えております。
それからあとのほうのお尋ねでございますが、地代、家賃に対する影響ということも、私どもいまの政府のとっております方針もございますので、十分検討いたしたのでございます。そういったことから今回の暫定措置によります影響は、宅地につきましては高い場合でも二割ということでございますが、その上に乗っております家屋につきましては、やはり経年の減価でだんだんと評価が下がってまいるわけでございます。そういったようなことをかみ合わせてまいりますと、地代家賃への影響はきわめてわずかなものではなかろうかというような計算になるのでございます。そういったことも十分検討いたしてまいったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/78
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079・門司亮
○門司委員 私の聞いていますのは、たいへん意地の悪い聞き方ですけれども、池田さんは公共の料金を上げないという方針をおとりになっているのですね。その際公共料金といっていいかどうかわからぬが、公用の料金というべきかもしれない。もう少し公共という意味じゃなくて、もっと幅広い意味の問題かもしれぬ。しかし、かりにいまのお話のように二割程度上がるということになれば、地代は二割上げてもよいという結論になりませんか。私はとにかくこの際は上げないという方針をとられることのほうが正しいんじゃないか。評価その他についてもこういう法律をお出しにならないで、これを引っ込めて、従来どおりにいくんだというような形のほうがよろしいのじゃないか。そのほうが池田内閣の今日の施策にぴったり合うのでないか。少なくとも二割税金の基礎が上がるということになると、二割地代が上がる理論的な根拠を与えるということになる。そういう意味でひとつはっきりしておきたいのですが、いまの御答弁に間違いはございませんね。大体二割程度土地は上がるんだ。——これは宅地だと私は思います。宅地だということは、結局とりもなおさず公共用地その他一切を含むと思いますが、都会の土地であると解釈してよろしいと思います。農村の宅地に適用されては迷惑だ。農村の宅地は、そうむやみに売れるわけではありません。宅地を持っていても、特別に利潤が上がるわけでもありません。したがって、都会の土地と解釈するということが、行政的にはそれのほうがが正しいと思いますが、それにしてもいま申し上げましたように、大体二割方上がるんだということを確認しておいてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/79
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080・細郷道一
○細郷政府委員 宅地自体につきましては、税負担としては従来の二割増程度を求めるわけであります。ただ土地も家屋も償却資産も、全体を含めてまいりますと、今回の措置によります増は、従来の基準年度におきます自然増収とほぼ同じ程度のものになる。したがいまして、そういう意味合いにおきまして、今回の措置はほっておいても、従来の基準年度としてはこの程度の自然増があるという範囲にとどまっておるのでございます。なお、土地、家屋というものを合わせて持っております人、これについて見てまいりますと、土地につきましては、先ほど申し上げたような二割の負担増になるけれども、このこと自体が積極的な増税というほどの強いものでもございません。先ほど申し上げましたような自然増収程度のものであろうと思いますが、同時に家屋につきましては経年による減価があります。したがって、家屋のほうはいわば税率が変わっておりませんので、固定費席税の負担としては若干下がりぎみになるわけでございます。したがって、土地と家居と両方併有しております場合には、その総体の税負担といたしましては必ずしもそんなに高い増にならないわけでございます。全国的に見てまいりますと、土地一に対して家屋を三くらいの割合で持っておるケースが多いわけでございますそういうケースのものについてみますと、土地、家屋を通じて、税負担は現行に比して五%程度しかふえていない、こういうような状況でございます。われわれはこれは全く自然増にも比すべきものではなかろうか、こう考えます。したがいまして、地代、家賃への影響自体は、例の地代家賃統制令上の計算をいたしましても非常にわずかなものであります。これをもって直ちに地代、家賃が上がるということは言い切れないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/80
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081・門司亮
○門司委員 事務当局の答弁は、地代、家賃が上がらぬというが、それは自分の土地に自分の家を建てている人はどうか知りませんが、日本はそういうものでな、借地の方がおおいのであります。だから、金持ちを基準にして税金を取られちゃ貧乏人が困る。税金を上げるときには貧乏人を基準にして考えてもらわなければ困る。
大臣に伺いますが、いま事務当局に一応答弁はいただいたのでありますが、一つはいまの問題であります。かりに土地に対して二割くらいの評価のが出てくるということになれば、それだけ地代が上がるということに直接国民は受け取ると思います。そうすると、これは池田内閣の持っております公共料金を上げないという趣旨とやや反する形がこの際必ず出てまいります。したがって、私はよけいなおせっかいではありますが、そういうことをやらないで、去年のままでいくのだということのほうが、池田内閣のためにはよろしいのだということで実は御質問申し上げたのでありますが、大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/81
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082・早川崇
○早川国務大臣 御承知のように、土地の固定資産税がどれだけアパートとかそういうものにかかるかということは、よし一番上としましても千分の十四の二〇%ですから、千分の二・八という非常に小さい金額より上がらないわけであります。そこでそういうことを考えますと、地代にそれをすぐひっかけてくるほどのウェートを持つかどうか。それから新築家屋というものは、御承知のように、固定資産税はいずれ御審議を願いたいのですが、三年、五年、十年というのを二分の一に減税いたしますし、そういったことをあわせてこの問題は考えなければならぬ問題だと思いまして、私はそう大きい、すぐに上げなければならぬほどの金額が借家人とかアパートに住んでいる人にかかるとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/82
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083・門司亮
○門司委員 これは池田内閣の総体的な施策でありますから、必ずしも私の批判が当たらないかとも思いますが、いま大臣の答弁の中で新しい家屋については三年とか五年とかの税金をと言われますが、これは税金の対策からきたお考えではないはずであります。住宅政策からお考えになったことのほうが原因だと私は解釈しているのであります。これを大臣が税金としてここでお話しになるのは、いささかわれわれにとって受け取りにくい考え方であります。住、宅政策の一環でありまして、決して税制対策の一環ではないと私は考えておる。
もう一つの問題は、いまお話しのように、たいした影響はないとおっしゃいますけれども、今日の物価が上がっておるということで公共料金を押えなければならないということは、そのこと自体はたいした問題でなくても、そういう値上がりのムードをつくることが非常に危険であるということ、いわゆる便乗の値上がりが最もおそろしいのであります。したがって、今度地代を上げてもよろしいのだということになればあなたの一日われるように、そろばんをはじいてこれだけ税金を上げたからこれだけ地代を上げてもよろしい、たいしたことはないということになるのでありますが、なかなかそうはいかないのであります。その点に問題が出てくるのでありまして、したがって、先ほどから池田内閣のためにも、国民のためにも据え置かれたほうがよろしいのじゃないかということを申し上げたのであります。しかし、これ以上大臣から答弁をいただくことは、大臣もここでそうだというお返事はなかなかできないだろうと思います。すっかり閣議できまってやっておいでになるからできないでしょうが、しかし、私としてはそのくらいの腹は大臣は持っていただきたい。そうして地方の今日の物価の値上がりになる原因を自治省がつくるというようなことは、ぜひひとつやめてもらいたい。私も時間がありませんからこれ以上押し問答いたしませんけれども、ぜひ考えておいてもらいたい。
それからもう一つ、先ほど事務当局から御意見を聞いたのでありますが、公害が非常にやかましい問題になっておりまして、公害を防止するためにいろいろな施設をしなければなりません。そうすると、かなり企業家には大きな負担になってまいります。この負担増が、企業家をして公害防止の施設に逡巡させる一つの大きな原因になりはしないかということが、私はきわめて憂慮される。したがって、これらの問題については固定資産税の対象にしないということを、ひとつ大臣からここで言明が願えれば、公害防止も進めよくなるのではないか。現行法がございますか、現行法では限られておって、なかなかうまくいかない。同町に県の条例あるいは市の条例できめましても、条例程度では——こういうものと、こういうものと、こういうものをするということは、あるいは条例にまかしてもいいかもしれないと思いますけれども、しかし、減税の処置というものを国ではっきり法律できめていただいたほうが、地方の自治体もやりいいのじゃないか。そうして、そういうことによって公害が迅速に行われることがこの際必要ではないか、こう考えて質問いたしましたので、ひとつ大臣からこの点について、あらためて答弁をわずらわしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/83
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084・早川崇
○早川国務大臣 法律上、一律に公害関係の施設を非課税とするには、その施設が公害防止のために消極的である場合もありますし、また法律によって、企業に義務づけられておるもの以外をやれという御意見でございますから、これはよくその公害の実情、それから地方団体の実情に応じまして、今後の問題として、いま直ちに非課税というわけにはまいりませんので、よく研究し、また検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/84
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085・門司亮
○門司委員 いまの大臣の考え方の中に、ちょっと違っている点がありはしないかと思いますが、私が申し上げておりますのは、現行法はありますが、しかし現行法はかなり不備であります。それからもう一つ、大臣のお考えの中には、それならこれとこれとこういうものというふうに羅列してきめればよろしいというようなお考えがあろうかと私は思います。私は、これは具体的な問題としては、一応そういうことがいえるかと思います。文章を書く場合には、そういうものが考えられるかもしれない。列記しておかなければどうも逃げるやつができるとか、あるいはやりにくいとか、そしてそこから公害防止であるかないかということで論争が起こってくるというようなことがあるかもしれない。したがって、列記する必要があるかもしれないというような懸念があれば、いまのような大臣の答弁でわたしはよろしいと思うが、そういうことではなくして、基本的にそういう施設については課税の対象にしないということだけ伺っておけば、あとの操作については事務当局のほうで十分操作ができると思いますので、大臣のお考えをひとつ率直にお問かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/85
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086・早川崇
○早川国務大臣 公害関係は、はっきり非課税の対象が法律で規定されておるわけでありますから、それ以外の問題につきましては、いまここで非課税にしろというわけにもまいりませんので、よく自治体の状況、公害防止のための施設の実情を検討して、その後に、非課税にしたほうがいい場合には、法律の非課税対象に入れるという措置をとらなければなりませんので、よく研究させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/86
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087・森田重次郎
○森田委員長 他に質疑はありませんか。−なければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/87
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088・森田重次郎
○森田委員長 これより本案を討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。久保田円次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/88
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089・久保田円次
○久保田(円)委員 私は自由民主党を代表して、今回提案された地方税法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。
固定資産税及び都市計画税につきましては、昭和三十九年度から新固定資産評価基準による評価に基づいて課税が行なわれることとなりますが、別途提案される税負担の調整措置とも関連して、課税の円滑化をはかるためには、固定資産課税台帳の縦覧期間を延則すそ措置をとることが必要であると考えられます。本案は、昭和三十九年度における固定資産課税台帳の縦覧期間、固定資産税及び都市計画税の第一期分の納期等を一カ月ずつ延期しようとするものでありまして、今回の評価がえに伴う課税の円滑化をはかるために適当な措置であると考え、原案に賛成をいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/89
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090・森田重次郎
○森田委員長 安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/90
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091・安井吉典
○安井委員 私は、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、この法案に対する反対の討論をいたしたいと思います。
固定資産の新様式による評価につきましては、自治大臣は三年前から評価基準の試案を示し、全国市町村を指導しながら、三十九年一月一日の評価期日を目前にする十二月二十五日に至ってようやく正式の基準を告示いたしました。このこと自体、新評価方式に対する自治省の側の自信のなさを示していると思います。市町村の側の作業も予定よりはおくれ、新評価決定の時期を一カ月延ばす法案をいま提出したわけでありますが、われわれは一カ月ではなく、少なくも一年、できれば三年の暫定措置の期間中新評価の決定を延ばし、その間に十分な内部調整を行なうことを政府に要求するものであります。さもなければ重大な事態の生ずるおそれがあることを警告するものであります。
この改正法案は、きわめて簡単な内容のごとく見えますが、新方式の実施の方向を確認する立法として重要なものであり、われわれは賛意を表するわけにはいかないのであります。
以下、反対の理由を申し述べます。
第一に新評価方式は多くの矛盾を持っております。たとえば、農地は収益無視の売買実例価額方式により、宅地は物価騰貴と住宅難のおりに平均六倍半、基準地の中では十一倍も評価を上げるという内容を持つものであり、これは単に生活の問題だけではなく、企業経営にも大きな影響を及ぼすことが考えられます。そのため農民や中小企業者、さらに一般の住宅の居住者、それだけではなく、地方自治体や財界等も反対をしておるわけであります。
第二に、現在あらわれております新方式による評価額の傾向におきましては、調査会答申の、増税はしない、激変を緩和するという原則に立ち調整しようと考えましても、旧方式との変動の幅があまりにも大き過ぎ、筋の立った調整措置を求めることは非常に困難であります。したがって、一たんこれが発表をされれば異議の申し立てが続出し、全国的に多くの混乱を生ずることは必至であります。そのため政府は三年間の暫定措置を打ち出し、評価がえはするが、評価上昇率の高い農地は旧評価による税にとどめる、農地以外の土地は同じく二割増しを限度とするという税法改正を行なおうとしているわけであります。しかし、暫定措置が終わったあとの恒久措置をどうするかにつきましては、新評価による変動があまりにも激し過ぎるため、国民を今日納得せしめ得る説明がつかない状態であります。したがって暫定措置と同時に新評価を確定しようとするのは、三年間の暫定期間を一つのクッションとし、矛盾の多い大幅増税に三年後乗り移そうとするのではないかという心配が強まってきているわけであります。
第三に、三年後の暫定措置の期間は、旧評価額を基礎とし、農地据え置きや農地以外の土地の二割増しを算定するもので、したがって、新評価額は実質的にはたな上げされるわけです。政府みずからが、新評価ではなく、旧評価の三年間の踏襲を規定づけているようなものであり、したがって、いま急いで新評価額を決定する必要はありません。評価の激変に対する調整、緩和の措置にきっちりとしためどがつくまでは、新評価の決定を延期すべきであると考えるわけであります。
以上の理由により、われわれは新評価を憂える国民の立場に立ち、本法案に対し反対する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/91
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092・森田重次郎
○森田委員長 以上で討論は終局いたしました。
これより採決いたします。
地方税法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/92
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093・森田重次郎
○森田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
おはかりいたします。ただいま議決せられました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、ありませんか。
〔異議なしと呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/93
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094・森田重次郎
○森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/94
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095・森田重次郎
○森田委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/95
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096・細谷治嘉
○細谷委員 きょう提案されました地方交付税法等の一部を改正する法律案について、次のような資料を審議の必要上お願いしたいと思います。
第一は、単位費用の改定が行なわれるわけでございますが、その改定のよってきたる計算内容、これを費目ごとにひとつ具体的に示していただきたいと思います。
第二は、費目別の基準財政需要額の増加額、こういうものが付表についております。それの積算された内容、これをお願いしたいと思います。
第三は、いろいろな補正係数、補正が行なわれるわけでございますが、一二十八年度の実績からいきますと、この補正によってかなりの激変が起こっておるのが随所に見受けられます。そういう激変が起こるようなことになるのか、なるとすればそういうものについての具体的な点をひとつお示しをいただきたい。
以上、三つであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/96
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097・森田重次郎
○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00919640214/97
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