1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十三日(木曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 足鹿 覺君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 大石 武一君
大坪 保雄君 加藤 精三君
亀岡 高夫君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 小枝 一雄君
坂村 吉正君 笹山茂太郎君
舘林三喜男君 寺島隆太郎君
八田 貞義君 松田 鐵藏君
亘 四郎君 角屋堅次郎君
栗林 三郎君 中澤 茂一君
楢崎弥之助君 西村 関一君
松浦 定義君 湯山 勇君
稲富 稜人君 中村 時雄君
林 百郎君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(園芸局長) 酒折 武弘君
食糧庁長官 齋藤 誠君
委員外の出席者
農林事務官
(食糧庁業務第
二部長) 中島 清明君
専 門 員 松任谷健太郎君
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二月十三日
委員内藤隆君辞任につき、その補欠として坂村
吉正君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員坂村吉正君辞任につき、その補欠として内
藤隆君が議長の指名で委員に選任された。
二月十二日
土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
甘味資源特別措置法案(内閣提出、第四十五回
国会閣法第一二号)
沖繩産糖の政府買入れに関する特別措置法案(
内閣提出、第四十五回国会閣法第一三号)
甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関す
る法律案(芳賀貢君外二十五名提出、衆法第九
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、甘味資源特別措置法案、沖繩産糖の政府買入れに関する特別措置法案及び芳賀貢君外二十五名提出、甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。伊東隆治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/1
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002・伊東隆治
○伊東(隆)委員 昨年の八月、砂糖の自由化がありましたにかかわらず、国内糖のこれに対する保護の処置ができておりませんので、私の選挙区でございますところの奄美群島におきましては、非常に心細い思いをいたしておる次第でございますが、このたびこの甘味資源特別措置法の成立することが一日も早からんことを望んでおるのでございます。
まず第一に、この生産振興地域の指定の問題でございますが、これによりますと、三つの条件があって初めてその指定を受けるようですが、指定を受けない地域というものを予想しておられるのでありましょうか。こういうことをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/2
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003・中島清明
○中島説明員 ただいまのお尋ねの指定を受けない地域におきましても、従来からいろいろ試験研究でございますとか、そういったような施策も行なわれておりますので、指定の要件を備えるに至りました場合は指定するということで対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/3
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004・伊東隆治
○伊東(隆)委員 指定を受けた地域におきましては、第十一条、第十二条等を見ますと、助言、指導、資金の融通等の便宜があるのでございますが、その指定からはずれた地域においては、それらの便宜がないということになって、それらの地域におけるたとえばてん菜、サトウキビの生産農家は、非常に劣った立場になると思いますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/4
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005・中島清明
○中島説明員 たとえて申しますと、甘蔗糖の生産等も、鹿児島県のいわゆる本土の分でございますが、一部ぼつぼつ行なわれるような状況にあるように聞いておりますけれども、これらにつきましても、やはり営農指導でございますとか、あるいは必要がありますれば、いろいろ農業近代化資金等によります融資の道もございますので、そういうものを通じまして、指導に万遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/5
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006・伊東隆治
○伊東(隆)委員 砂糖の自由化がありまして、外国の安い砂糖がまた国内になだれ込んでくるというようなおそれがある事態になりました際には、てん菜とかサトウキビ、こういう国際的な作物につきましては、まんべんなくそれに国際的な競争力をつけていくということが非常に大事であって、特定の地域だけを指定して、そこだけを大いに援助していくということでは、間に合わないように思うのでございます。特に奄美群島地方においては、振興地域の指定を受けるような三つの条件に完全に合うような地域がどれだけあるか、非常に危ぶむものでございまして、山間僻地におきますサトウキビの生産農家は非常に困るのではないかというような気がするのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/6
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007・中島清明
○中島説明員 指定の問題でございますが、私多少質問の趣旨を誤解しておったかと思いまするが、指定は、たとえばどの村のどの地域というようなことにはいたしませんで、地域一円を指定いたすような方針で考えております。たとえば奄美で申しますと、鹿児島県の西南諸島というような形での指定になりますので、したがいまして、いま先生の御心配のようなことはないのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/7
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008・伊東隆治
○伊東(隆)委員 それで、振興地域の指定についての範囲がよくわかりましたが、サトウキビまたはてん菜の生産農家に国際競争力を持たせるようにすることが、ぜひこの際必要ではないかと思う次第であります。
次に、金融の問題についてお尋ねいたしたいのでありますが、現在、これは巷間伝うるところによりますと、南西諸島におけるサトウキビから製造する製糖業者に対する金融と、北海道におけるてん菜の製糖業者に対する金融との間に、優遇方法が違う。たとえば金利とか、あるいは償還期限などに差があるということを聞きますが、事実どういうことに両者相なっておるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/8
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009・中島清明
○中島説明員 開発銀行から融資されておりますものはいずれも八分七厘で、期限は十年以内というように承知をいたしております。なお、北海道におきましては、たとえばホクレン農業協同組合連合会がビート糖の生産をやっておりますものもございまして、これらにつきましては、農業近代化資金の対象にもなるわけでございます。そこで、農業近代化資金の対象になりますと、金利は七分五厘でございますので、したがいまして、そういうホクレン農業協同組合連合会のような特殊なものを除きましては、一般の会社の場合には、奄美も北海道も同様であるというように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/9
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010・伊東隆治
○伊東(隆)委員 それでは、サトウキビからとる製糖業者とてん菜からとる製糖業者との間に、金融面においては差がないということは確かであろうと思うのであります。しかし、現に奄美大島におきましては、償還期限がわずかに五年だというので、企業者は非常に困っております。その五年間に返すために、どうしても利益を上げなければならぬ。その利益は、みんなサトウキビの農家にしわ寄せされておるというような状況でありますので、この償還期限をもう少し緩和するということが特に必要かと思うのであります。いま承れば、十年ということですが、奄美だけには特に五年ということになっておる実情のように思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/10
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011・中島清明
○中島説明員 ただいま十年以内と申し上げましたが、十年以内で、結局融資機関である開発銀行が審査をいたしましてきめるわけでございます。私、いま奄美の融資期限と北海道のビート糖に対する融資期限と、実際に不均衡になっておりますかどうですか、その辺の実情はよく承知いたしておりませんけれども、それらの点につきましても、もし無理があるようであれば、金融機関等にも申し入れまして善処したい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/11
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012・伊東隆治
○伊東(隆)委員 いま承れば、八分七厘という利子でございますが、電気事業に対しては六分五厘ということになっておるようでございます。この八分七厘という利子は相当高いように思いますが、この際、自由化の機会に、この利子を少し下げるというように政府としては考慮しておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/12
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013・中島清明
○中島説明員 金利の問題につきましては、実は開発銀行におきましても、業種によりまして差があるということは、私どもも承知いたしております。もちろん、金利は安いほうが企業にとってはいいのでございますけれども、いろいろやはり企業のウエートと申しますか、企業の重要性と申しますか、そういうものによりましてもおのずから差がございまして、また、いま先生から電気事業のお話もございましたけれども、ほかのたとえば食品加工業とのバランスはどうかというような問題もあろうかと思いますので、これを引き下げるということは、実際問題としてはなかなかむずかしいのじゃないか。ただ、一般的に開発銀行の一般の業種に対する八分七厘というものがもっと安いほうがいいということは、これは事実でございますので、私どもも、将来の問題といたしてはそういう方向で努力はいたしたいと思いますけれども、いま直ちにこれを引き下げるというようなことは、なかなかむずかしいのではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/13
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014・伊東隆治
○伊東(隆)委員 この利子の引き下げ、償還期限の緩和ということは、この機会にぜひひとつ考えていただきたいと思うのでございます。ことに奄美大島のごときは、まだ十分復興いたしていないので、サトウキビこそは農民の生活の基盤になっておりまして、サトウキビで住民は生きておるというようなことでございます。しかるに、今度分みつ化促進ということに国の方針がきまりまして、大型工場が進出してきた。これらの大型工場、すなわち企業家が、短い期間に高い利子を払って償還しなければならぬというようなことでございますと、それらのしわ寄せばみんな農家にくるというので、住民は非常に困っておる。すなわち、サトウキビの取引値段もみんなそれが加算されてしまう、考慮されてしまうということになりますので、この機会に、農林省としてはぜひひとつ、利子の引き下げと償還期限の緩和ということについて、開発銀行とも誠意をもって御交渉あらんことを特に希望する次第であります。この件に関してひとつ食糧庁長官、または大臣がいないですから、政務次官から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/14
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015・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 御要望に沿うように前向きの姿勢で努力さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/15
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016・伊東隆治
○伊東(隆)委員 それからサトウキビのごときは、十年に一ぺんその品種を変えていくということでなければ、その品種が改良されていかないという実情があるのでございますが、いま種子島にありまする農林省の種子島試験地というものが、非常に権威あるものとしてみんなから重宝がられておるのでございます。しかるに、いま甘蔗糖の中核地帯である奄美大島においては、何らこういう近代的な研究機関がございませんので、ひとつ奄美大島に近代的な試験研究施設をぜひ整備してもらいたい、この機会にそれを考慮してもらいたいということを現地の者は熱望しておるので、この機会に要望する次第でございます。これに対してひとつ御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/16
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017・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 実はこの生産関係につきましては、園芸局のほうで所管いたしておりまして、すぐ園芸局長が参ると思いますから、それによってお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/17
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018・伊東隆治
○伊東(隆)委員 ではそのときに承ることといたしまして、最後に一つ、最も重要な点についてお尋ねするわけでございます。それは黒糖の問題でございます。現在分みつ化促進の国策に従いまして、奄美大島におきましても、大型工場が進出して盛んに分みつ糖の製造に当たっておるのでございますが、黒糖は何百年という歴史を持って、島民の生活の基盤になっておるのでございますが、この第二十三条の政府買い入れの対象となる国内産糖の種類の中に、黒糖が含まれておるかどうかということをまずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/18
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019・中島清明
○中島説明員 ただいまの二十三条の買い入れの砂糖の種類の中には、黒糖は含まないつもりでおります。含まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/19
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020・伊東隆治
○伊東(隆)委員 その理由をこの機会に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/20
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021・中島清明
○中島説明員 黒糖は、非常に規格がいろいろございまして、規格がまちまちでございまして、これを政府の買い入れの対象といたしまして、規格をきめることが非常に困難であるという点が一つでございます。それから第二点は、非常に貯蔵性が悪いので、買い入れましても、貯蔵が非常にむずかしいという点が第二点でございます。第三点といたしましては、黒糖につきましては、なるべくこれを分みつ糖化を推進するという方向で従来からも指導いたしておりまして、現在の生産量によりますと、固有の用途等もございますので、おおむね需給関係もだんだん安定をしておりまして、対糖価比、すなわち上白価格に対する比価等におきましても、非常にいまはいいわけでございます。そこで、生産も毎年減退をしておりますが、いわゆる分みつ糖に対するキビの供給のほうがだんだんふえてまいりまして、したがって、分みつ糖の買い上げを通じましてキビの値段を支持いたしますれば、黒糖に向けられますキビもおのずから価格の水準が安定をしてまいりまして、間接的な保護で、農家の経営の支障になることはまずないというように考えられる点が第三点であります。以上の三つの理由をもちまして、黒糖は政府の買い上げ対象としては考えないという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/21
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022・伊東隆治
○伊東(隆)委員 第一点の基準の点ですが、現に黒糖にはやはり一等、二等、三等品と基準を設けておるようでございますし、また第二の理由である保存の点ですが、低温倉庫に入れれば三年ほどは十分もつという実験も行なわれておるようでございますので、一番問題になっておる第一、第二の点は、これによって考慮の余地があるのではないかと思われるが、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/22
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023・中島清明
○中島説明員 等級の問題はございますけれども、黒糖自身の品種と申しますか、種類が非常にたくさんございます。この種類を統一することも、実際問題としてなかなかむずかしいようでございますし、低温倉庫等の設備につきましても、政府はそういう黒糖の保管のできるような設備は現在ございませんので、そういう点から考えましてむずかしかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/23
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024・伊東隆治
○伊東(隆)委員 そういうことは前々から承っておるわけでありますが、第三の点、すなわち、分みつ糖のほうの価格を安定に導けば、黒糖もそれに従って安定するであろうからということであります。そういうことがあれば非常にけっこうですが、問題は、だんだん黒糖が分みつ化されていって、国の方針に従って分みつ化されていくということになれば、黒糖は漸次減ずるのでありますが、政府としては、奄美大島における黒糖は、その際大体幾らぐらいの分量が黒糖として残ると見ておるのでありましょうか。すなわち、奄美大島におきましても、小さな島々がありまして、そこにおいてもサトウキビで生きておる。それらの地方においては、どうしても大型工場にそれらのサトウキビを運べないのでありますし、また大島本島等におきましても、山間僻地においては、サトウキビの大型工場への運搬は困難であるということになりますれば、黒糖はどうしてもある程度残るわけであります。そういう黒糖の量は大体どれくらいだと推定いたしておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/24
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025・中島清明
○中島説明員 非常な山間僻地等で、あるはい離島等におきまして、いかなる手段をもちましても分みつ化できないようなものといたしましては、千四百トンくらいではなかろうかというぐあいに考えております。もちろん、いまは一万トン以上の生産がございますし、需要につきましても、いろいろ固有の需要、製菓用等の需要が相当ございますので、いまの千幾らと申しますのは、直ちにこういうぐあいに黒糖の生産が減ってしまうだろうということではございませんので、要するに、離島とか僻地とか、立地条件から見まして、どうしても分みつ化できないところはこの程度じゃないかと思っております。したがって、黒糖の実際の生産というものは、需要の程度に応じまして、現在奄美では一万七千トン程度の数量があるわけでございますが、これはさらに漸減をするとは思いますけれども、一挙にこういう数字に減ってしまうという音心底ではございません。どうしても立地状況から転換できないようなところ、そういうようなところに生産されるものは千四百トン程度というぐあいに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/25
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026・伊東隆治
○伊東(隆)委員 お説のとおり、現在一万数千トンの黒糖が製造されておるわけであります。これがどうしても黒糖を製造しなければならぬという地域は、あるいは千数百トンかもしれませんが、それなのに、その十倍にも当たる黒糖が現に分みつ化促進運動の中において行なわれておるということは、一つには、さっき申しました、大型工場が高い利子と償還期限の短いことに苦しんでおるということで、それがやはり農家にしわ寄せされて、サトウキビの値段にしわ寄せされておるものだから、農家といたしましては、自分で黒糖を製造して家計を維持しようということで、そういうことになっておるのでありますから、政府がこの分みつ化促進を徹底的にやろうとするならば、さっき申しましたこれらの企業家への融資の点に特に力を入れられて、この分みつ化を促進するのでなければ、黒糖はいつまでも相当残ると思うのであります。そこで、どうしても黒糖というものは歴史的な産物であって、こうして大島に残るのでございますが、砂糖が自由化のために暴落を始めてきた場合に、分みつ糖については、政府が出ていって第二十一条によって買い上げをいたしましても、黒糖については、さっきのお話のとおり、いろいろの理由で買い上げに適しないということで放置せざるを得ないということになれば、これらの黒糖製造の農民は座して苦しまなければならぬ。ほうっておかれるということになりますので、それでは気の毒でございますので、これらの黒糖製造者、農民の保護について、また押し詰めて言えば、どうしても黒糖の残る地域の農民保護のために、農林省としてはひとつ特別の考慮をしていただきたいと、私どもの立場としては要望するわけでございますが、農林省として何かそれに対する特別の考慮をする用意がございましょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/26
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027・中島清明
○中島説明員 どうしても分みつ糖化し得ないような地域にある黒糖の生産農民の保護の問題でございますが、農林省におきましては、実は黒糖につきましては、需要量に見合いました適切な生産が行なわれますように、沖繩と奄美で生産をされる黒糖の数量の調整等につきまして、毎年鹿児島県並びに沖繩と生産調整会議というものを開催いたしまして、そこで生産計画の調整をやりまして、需要量に対して生産が過剰にならないように配慮をいたしておるところでございます。したがいまして、その生産調整会議でいろいろ計画を立てます際にも、どうしても分み化し得ないような地域の黒糖につきましては、これを生産計画の中に優先的に取り入れますとか、あるいは現在は黒糖工場の転廃業資金につきましては、奄美復興基金から融資の道も開かれておりますけれども、さらに黒糖工場の合理化につきましても、何らかそういった融資の道が講ぜられないかというようなことも、今後前向きの姿勢で検討いたしまして、黒糖農民の保護というものにつきましても、十分関心を持って事に当たりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/27
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028・伊東隆治
○伊東(隆)委員 黒糖の保護といたしまして、価格維持としまして、政府が分みつ糖のように直接買い上げの体制をとらず、間接にその価格維持をするということであります以上は、ただいま申されておることが、まず黒糖を特別に保護するという一つの重点であろうかと思うのでございまして、そういうことにつきましては、どうか今後農林省におきましても力を入れて御考慮願いたいと思うのであります。黒糖というものは、何と申しましても、奄美群島におきましては今日一万数千トンの製造がありまして、島民の生活の基盤をなしておるものでございますので、砂糖の暴落でもありました際などは、やはりこれの製造農家を助けることを一刻も忘れてはならないわけでございますので、どうかこの黒糖の保護の問題については十分今後とも御配慮を願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/28
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029・酒折武弘
○酒折政府委員 先ほど御質問の試験研究所の問題につきましては、現在種子島に試験研究所がございますが、さらに大島等に設置することにつきましては、技術会議のほうに検討を依頼してございます。技術会議で現在検討中でございます。
それから黒糖対策として特に重点を置いておりますことは、一つは、機械の導入等によりまして黒糖地帯に重点的にやっていきたい。それからことし初めて土壌線虫の防除の予算がサトウキビ全体で三百三十万ばかりついております。これも重点的に黒糖地帯に使用していくということで、黒糖の生産振興対策を強化していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/29
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030・伊東隆治
○伊東(隆)委員 一つ忘れましたが、現地の要望といたしましては、知事の諮問機関として現地に甘味資源の審議会を設けたいという希望があるのでございます。この法律によりますと、中央に審議会があるのでございますが、これに対しまする政府の見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/30
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031・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 この法律におきましては、中央におきまして甘味資源審議会を設けることになっておりますが、各府県におきましても、たとえばすでに北海道においては審議会を設けておるわけでございます。今後必要がある場合におきましては、そういう機関を設けられるような県もあろうかと思います。特にまた、これらの生産振興、利用は、県のいわば本来の固有の事務でもありますので、われわれといたしましては、必要に応じましてそういう県に対しまして指導してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/31
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032・伊東隆治
○伊東(隆)委員 以上をもちまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/32
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033・芳賀貢
○芳賀委員 資料の要求をいたしますが、政府案の各所に出ている政令並びに農林省令、これについては審議の都合上、政令案、省令案というのを直ちに出してもらいたいと思うわけです。これはいつごろまでに出せるか。法案の中に大体十七ヵ所くらい政令ないし省令によるという個所があるわけです。ですから、それらの政令案、省令案をいつごろお出しになれるか。
その次は、北海道においては、知事の諮問機関として甘味資源振興審議会というものが北海道の条例で設置されることになっております。そして先日、知事の諮問に応じて甘味関係の答申が出されておるわけです。これは直接政府とは関係がないかもしれませんが、今後の甘味資源の生産振興とか、あるいは原料の集荷、販売、あるいは価格の設定等に対する具体的な答申が出ておるようでありますから、これを農林省のほうから至急取り寄せて、当委員会の資料としてお出し願いたい。
その次は、会社別、工場別の生産費、いわゆるコスト、原価計算の報告が出ておると思います。また、政府として報告を徴することができるわけですからして、この点について、三十七年度生産の製造されたものの原価計算と、それから三十八年産についてはまだ確実なものは出ないかもしれませんが、すでに工場別の原料の買い入れ数量とか、あるいは欠減であるとか、それからおおよその歩どまり等は判明しておると思われるからして、これらの点について、特に明らかな資料を取り寄せてもらいたいと思うわけでございます。特に今後の審議を進める関係上、できるだけ確実な製造コストというものをわれわれとしても参考にしたい。民間会社の場合にはなかなかいろいろな都合で正確を期しがたいと思いますが、できれば農林省が指導しておるいわゆるホクレン——ホクレンの工場は二工場ありますけれども、清水工場はまだ操業日が浅いからして、これは対象にならぬかもしれませんが、中斜里の工場における具体的な原価計算等について、これをぜひ参考資料として取り寄せてもらいたいと思うのです。
それからもう一つは、原料価格の設定の点でありますが、原料の価格と、いわゆるその原料によって製造された砂糖の価格というものは、いまの国内における砂糖の価格あるいは国際的な糖価に比べてどういうことになるかということは、これは国民経済上からも大事な点でありますから、単に原料だけをどのような方式で幾らにきめるということだけでは問題の解決にはならぬわけです。ですから、これにつきましては、工場における規模別の想定原価というものを農林省のほうで試算してもらって、たとえば一工場当たりの原料が十三万トンであるとか、十五万トンとか、十八万トンとか、そういう操業度に応じて生産された製品価格というものは、たとえば原料代が去年政府が指示された六千五百円の場合とか、七千円の場合とか、七千五百円の場合とか、そういう想定された原料の価格あるいは製品の価格等について、できるだけ詳しく資料として出してもらいたい。きょうはその程度の要求をしておきたいと思います。これに対して御意見があればお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/33
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034・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 法案を御審議願うについての資料要求でございますが、第一の御要求の資料につきましては、至急という御要求でありますので、きょうじゅうにお届けしたいと思います。
第二の御要求につきましては、北海道のほうからきておるかと思いますが、きていないようでしたら、さっそく取り寄せまして提出さしていただきます。
第三につきましては、できるだけ詳細なものを取りそろえます。
なおまた、第四のコストの問題につきまして等、なかなかめんどうなようではありますけれども、できるだけ詳細なものを御要求にこたえたいと思っております。
いずれの御要求にもこたえられると思いますけれども、ただ一点、事務当局の申しておりまするのは、工場別のコストの計算については、いまだ公表したこともありませんし、なおまた法律に根拠もございません。なかなか困難なことと思いますが、できるだけ趣旨に沿うようには努力いたします。でき上がったものをひとつ御検討をちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/34
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035・芳賀貢
○芳賀委員 私たちも、私企業に対する内容の公表ということは、困難な事情があるということは知っておりますが、しかし、北海道においても内地県においても、これらてん菜糖の工場等については、国の政策によってこれが建設されておる。それから設備の経費等についても、農林漁業金融公庫の融資とか、あるいは北海道東北開発公庫の融資であるとか、これらの国家資金が大体建設費の半ば以上を融通されておるわけです。それからまた製品の価格等についても、国がそれを保障しておるわけです。保障までいかないとしても保護しておる。だから、国の政策を通じて、国の制度金融を通じて、これらの事業が経営されておるという場合においては、これは当然内容にタッチすることができるわけですね。これらの問題に対する法律的な根拠は、いまのところ空白になっておるが、政府案においても、報告を提出させるとか、あるいは立ち入り検査をやるとか、そういうことは明確になっておるわけです。ですから、いま法律がないからできないというのであれば、これは制度を空白にしたのは、むしろ政府の責任です。そういうものをとれないということはないわけです。ただ、一般の委員全部に文書にして配付するという措置が妥当かどうかという問題があるから、それができない場合には、要求した委員だけに対して資料を提出するとか、それがどうしてもできない場合は、信頼できる資料をこちらが閲覧するとか、方法というものはあると思うのです。委員会においても特に公開をはばかるような場合においては、委員長の判断によって秘密会においてそれを説明するとか、できないということはないのです。国会における資料要求権というものは明らかに明文化されておるわけですからね。できないというのであれば、われわれ所定の手続に基づいて要求資料というものはぜひ出してもらうようにしたいと思います。そういうなまぬるいことをやっておるから、正確を期しがたいのです。どういう方法で出すかということについては、委員長並びに政府委員におまかせいたしますが、出せませんということでは絶対に了解できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/35
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036・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 芳賀さんの御要求でございますので、要求者の御了解願えるように、事務当局とよく相談いたしまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 もう一つ追加いたしますが、農業基本法に基づく甘味は、てん菜も甘蔗も、あるいはブドウ糖も、選択的拡大の対象品目になっておるわけですから、これの生産と需給の見通しは、これは第一回のは以前に公表されていますが、全く実情に合致していない現在の時点に一番接近しておるそういう長期見通し、需要の見通し等については、これもぜひ出していただきたい。
それから三十九年度国内生産、それから輸入、国内の品目別の需要の見通し等について、これもあわせてお出し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/37
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038・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 これはちょっと手間どるかと思いますが、至急出すように努力します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/38
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039・高見三郎
○高見委員長 次会は来たる十八日午前十時より開会することにし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X00619640213/39
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