1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十四日(金曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 足鹿 覺君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
小澤佐重喜君 大坪 保雄君
加藤 精三君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 坂村 吉正君
笹山茂太郎君 舘林三喜男君
谷川 和穗君 寺島隆太郎君
床次 徳二君 中山 榮一君
野原 正勝君 細田 吉藏君
松田 鐵藏君 角屋堅次郎君
東海林 捻君 中澤 茂一君
楢崎弥之助君 西村 関一君
松浦 定義君 湯山 勇君
稲富 稜人君 中村 時雄君
林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
水産庁長官 庄野五一郎君
委員外の出席者
自治事務官
(財政局財政課
長) 岡田 純夫君
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月二十四日
委員内藤隆君、藤田義光君、三田村武夫君及び
亘四郎君辞任につき、その補欠として坂村吉正
君、床次徳二君、谷川和穗君及び小澤佐重喜君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小澤佐重喜君、坂村吉正君、谷川和穗君及
び床次徳二君辞任につき、その補欠として亘四
郎君、内藤隆君、三田村武夫君及び藤田義光君
が議長の指名で委員に選任された。
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四月二十三日
肥料二法期限満了後の措置に関する請願外一件
(小沢辰男君紹介)(第三〇七三号)
同(加藤常太郎君紹介)(第三一三九号)
同(玉置一徳君紹介)(第三二一〇号)
専門農業協同組合の育成強化に関する請願(池
田清志君紹介)(第三〇九三号)
土地改良法の改正に関する請願(池田清志君紹
介)(第三〇九四号)
新橋四丁目に場外馬券売場設置反対に関する請
願(松山千惠子君紹介)(第三一四〇号)
同(粟山秀君紹介)(第三一四一号)
同(神近市子君紹介)(第三一九〇号)
同外二件(戸叶里子君紹介)(第三二四五号)
同(本島百合子君紹介)(第三三六四号)
国内産牛乳による学校給食制度の法制化に関す
る請願外一件(勝間田清一君紹介)(第三二九
一号)
肥料二法期限満了後における措置に関する請願
(大坪保雄君紹介)(第三三四〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会設置に関する件
農山漁村電気導入促進法の一部を改正する法律
案起草の件
漁業災害補償法案(内閣提出第一二三号)
漁業災害補償法案(角屋堅次郎君外十一名提出、
衆法第三五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
この際、農山漁村電気導入促進法の一部を改正する法律案起草の件について、議事を進めます。
本件につきましては、かねてより各党間におきまして御協議をいただいたのでありますが、お手元に配付してありますとおりの草案が作成された次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/1
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002・高見三郎
○高見委員長 採決いたします。
お手元に配付してありますとおりの農山漁村電気導入促進法の一部を改正する法律案を本委員会の成案とし、委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/2
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003・高見三郎
○高見委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。
この際、暫時休憩いたします。
午前十時五十二分休憩
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午後零時三十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/3
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004・高見三郎
○高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、漁業災害補償法案と角屋堅次郎君外十一名提出、漁業災害補償法案、右両案を一括して議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告があります。順次これを許します。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/4
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005・角屋堅次郎
○角屋委員 いよいよ水産関係の重要法案であります漁業災害補償法案の本格的な質疑に入る段階がきたわけでありますが、政府の漁業災害補償法案に対しまして、わが党のほうからも対案として漁業災害補償法案がすでに出ておりまして、重要な法案でありますので、過般来衆議院、参議院において、それぞれ本会議の提案並びにそれに対する代表質問等が行なわれてまいりましたことは、御承知のとおりでございます。私は、社会党案の提案の立場にもございまして、いずれ社会党案について質疑があれば、これに対してわが党の考え方を述べたいと思いますが、きょうは時間の関係もありまして、約一時間という予定でありますので、重点的に法案の骨組みになるべきこと、あるいは法案実施までの段階、あるいは実施以降の問題点、こういうものに焦点をしぼって、数点大臣にお伺いいたしたいと思います。
申し上げるまでもなく、昨年の通常国会で沿岸漁業等振興法案が成立をいたしまして、その沿岸漁業等振興法のいわば漁業政策の第一着手として、漁業災害補償法案が今回提案になりました。これは申し上げるまでもなく、多年にわたる関係漁業者の待望の法案でありまして、この中身については、それぞれ関係団体、関係漁業者いずれも関心の的にしておるのであります。過般の衆議院の本会議あるいは参議院の本会議でも、議論をされたところでありますが、何といっても政府案とわが党案との対比をいたしまして、特色に差異のありますのは、申し上げるまでもなく、県段階の共済組合の行なう共済事業、全国段階の共済組合連合会の行なう再共済事業と同時に、災害補償の制度として国の保険事業というものを入れるか入れないかという点で、われわれは当然のこととてこれを入れ、政府案ではこれが入っていない。したがって、これは附則の第二条として、今後の検討の中身の中にこれを入れて、今後検討する、こういう考え方のようであります。過般の衆議院の本会議における私の質問に対して、農林大臣は、国の再保険の問題については、附則の第二条の検討の中に入れて、そして検討いたしていきたいというふうに答えておりました。ただ、注目すべきことは、衆議院の本会議におけるわが党の代表質問に対する答弁から見まして、参議院の本会議におけるわが党の代表質問に対する答弁は、総理大臣の答弁も、農林大臣の答弁も、国の再保険措置については、やはり相当に前向きになった答弁がなされている点は、非常に注目すべきことだと思います。大臣も当日御出席でありましたから、御承知のように参議院の本会議では、池田総理は、国の再保険の問題については、準備さえできれば両三年を待たずにやりたいのだ、こういうことを明らかにいたしておりますし、またそれを受けて立った赤城農林大臣も、そのあとの答弁で、検討条項の中では、国の再保険措置というものを含めて実施をしていくという、そういう含みで前向きに検討いたしていきたいという趣旨の御答弁がございました。この際、本法案の骨組みとして非常に重要でありますので、政府が行なう保険事業というものについて、農林大臣としてこの機会に基本的な考え方を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/5
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006・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いまおっしゃるとおり、再保険を進めたいという考え方は変わりございません。でございますので、附則二条にある検討するということの中には、当然その方向へ持っていく検討が含まれておるわけでございます。ただ、団体の整備やその他試験の段階は過ぎましたが、これから本格的にやっていく場合に、そういうことがございますので、そういう資料やら団体の組織整備等ができ次第、再保険ということに手をつけていきたい、こういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/6
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007・角屋堅次郎
○角屋委員 この漁業災害補償法案という名称をつけるには政府もいささかちゅうちょがあったように経過として承知しております。それは今日二百一条にわたる政府の漁業災害補償法案の中において、はたしてこういう内容をもって漁業災害補償法という法案の名に値するかどうかという問題が、これは法制局の見解としても、私は一つのたださなければならぬ問題点だと思うのであります。言うまでもなく、政府案の第一条においては、「この法律は、中小漁業者がその営む漁業につき異常の事象又は不慮の事故によって受けることのある損失を補てんするため、その協同組織を基盤とする漁業共済団体の行なう漁業災害補償の制度及びその健全かつ円滑な運営を確保するための措置を定めて、中小漁業者の漁業再生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に資することを目的とする。」こういうことで、第二条では、しからば第一条で言っておる漁業災害補償の制度とは何かという点で、「漁業災害補償の制度は、漁業共済組合が行なう漁業共済事業及び漁業共済組合連合会が行なう漁業再共済事業により、中小漁業者の相互救済の精神を基調として、その漁獲金額の減少又は養殖水産動植物、養殖施設若しくは漁具に係る損害に関して必要な給付を行なう制度とする。」つまり、第二条の漁業災害補償制度の中身というものは、民間団体の行なう共済事業、再共済事業、これが中身であって、もう一つの重要な骨組みになりますいわゆる政府の保険事業というものが入っていない。第一条の再生産の阻害の防止及び漁業経営安定のための漁業災害補償の中身というものも、ここに言っておるような「漁業災害補償の制度及びその健全かつ円滑な運営を確保するための措置」というものは、この法案の中身から判断いたしますと、言うまでもなく、漁業共済基金の制度、これによる運営、それと同時に掛け金等に対する若干の助成、こういう程度であって、はたしてこれでもって漁業災害補償法という名に値するのかどうかという点は、これは漁船保険あるいはまた農災等と対比いたしましても、いささか政府として説明するのに面はゆい点だろうと思うのでありますが、この点について、農林大臣は法律案作成の責任者として、どういう見解に立って漁業災害補償法というりっぱな名称をとられるに至ったのか、この点ひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/7
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008・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のとおり、共済事業というものは、精神的に言えば、相互扶助的な制度から発達したものだと思います。しかし、それに対しまして国が助成その他のことを講ずるということでなければ、実際問題として成り立たない。こういうのが農業共済補償その他の現状だと思います。漁業につきましても、この第二条に、根本精神として相互救済の精神を基調とする、それによりまして、漁労、養殖あるいは漁具等に対しましての損害に対し、必要な給付を行なう、こういう一つの根本的な考えを述べておりますけれども、同時に、いまお話のように、共済掛け金の補助とか共済基金への出資等、国がこれに協力していく体制がこれに出ておるわけであります。しかし、さらに補償法という名前に値するのには、ほんとうは再保険という制度まで持っていきませんと、補償法というような名前には値しないような御指摘があったわけであります。でございますれども、団体の整備とかあるいは資料等が試験段階においてのものだけで、まだできておりませんので、先ほど御答弁申し上げましたように、国の再保険ということも附則に書き入れまして、そしてこれを検討して、至急その方向に持っていきたい、こういう理想的なと言いますか、期待的な意味を持ちましたので、現在だけではあるいは漁業災害補償法の補償まではちょっと足らないと思います。しかし、これはいずれそれを十分名前に値するようなものに持っていく、こういう目標、理想、そういうものを持っておりますので、いま補償法という名前をつけておいてもよかろう、いずれそういうところに持っていく約束をしておるというふうなことに御解釈できればけっこうだと思います。内容において足らない分は内容を充実して、補償法に値するだけのものにしていく、こういう約束という意味においては、やはりいまでも漁業災害補償法という名前をつけておいたほうがいい、こういうふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/8
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009・角屋堅次郎
○角屋委員 農林省のほうから出しました資料を見るまでもなく、漁業災害補償法を提案するまでの、ここ十数年来の国会における動き、あるいは政党間の検討、あるいは関係漁業者、関係団体等の非常に熾烈な要求、こういうものをずっと見てまいりまして、昭和三十二年十月の全水共のいわゆる試験実施という段階から、今日まで少なくとも六カ年を経過してきておる。ここでやはり総理大臣の答弁でもあるいは農林大臣の答弁でも、いま政府が保険事業をやるというにはいささか資料的にも十分でない、こういうような点がちらつくわけであります。私は、政府がこの試験実施の段階において、保険理論から見ても、あるいは漁業政策としても、いわゆる国の保険事業というものを当然の必須の条件として考えなければならぬということであるならば、今日までの試験段階の六年間の中で、いわゆる試験実施の漁獲共済なり、漁具共済なりの標本になるべきものだけではなしに、さらに委託その他の方法によって、十分標本理論を満足すべき調査というものを今日まで六年間に続けられてきたはずだと思う。言うまでもなく、大体漁業共済の対象になる母集団というのは二十数万にわたるのですが、二十数万の母集団の中で、漁獲についても、養殖についても、漁具についても、通常危険と異常危険と分けるに至る標本理論に基づくところの数値を求めるためには、一体どれだけの任意的な標本抽出あるいは系統的な標本抽出によるところの標本が必要であるということは、理論的にわかる。そういうものはやはり今日まで六年間の間にじっくり整備しておけば、今日の段階において、いわゆる片羽飛行ではなしに、万全な体制をとって、政府の保険事業も含めたりっぱな漁業災害補償法として発足できるのだと思う。私は、その点、過去の試験実施そのものが、加入の状況は上昇してはおりますけれども、必ずしも全体から見て多数の加入とは言えない、こういう状況であったわけですが、そのときに見送ってきたのじゃないかと思う。要は、変動係数が通常いわれるように、大体三〇%以上にのぼってくるような、そういう災害対象のものに対しては、通常、異常に分けて、そして異常の部分については、民間段階でないところの公的機関でめんどうを見るということが、保険常識のようにいわれておりまして、総理も言っておられるように、漁業の場合には、農業以上に災害の態様は複雑であり、ひどいんだ、こういう認識に立つのであれば、しかもいま大臣がはっきり踏み切った答弁として、漁業災害補償法という看板をつけたのは、これはやはり国の保険事業というのをはっきりやるんだという、いわば方針を確定をしておるので、こういう名称をつけたということであるならば、私は、そういう点において、過去の試験実施の段階から今日までの間に、いささか農林省としても、いま言った三本立ての内容の漁業災害補償法を実施しようという前提において、ちゅうちょがあったのではないかと思うのですが、その辺のところはいかがでございますか。同時に、先ほども大臣から言明のように、国の保険事業というのははっきりやる前提に立っておるんだということであるならば、そしてまた、今日過去の試験実施の段階から見て、若干体制的にちゅうちょがあるというならば、それはいつの時点において本格実施をやるんだという目途において、十月以降の本格実施に踏み切られようとしたのか、ここらあたりの考え方もこの機会に承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/9
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010・赤城宗徳
○赤城国務大臣 試験実施の段階におきまして、本実施すべきことをちゅうちょいたしておったわけではございません。保険事業につきましては、いろいろむずかしい、めんどうなこともありますので、事務的に十分整っておらぬのでございますが、今般踏み切ろうということになったのでございます。試験実施中のいろいろな問題等につきましては、水産庁長官からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/10
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011・庄野五一郎
○庄野政府委員 この試験実施は、御指摘のように、三十二年から実施いたしております。これはいわゆる漁業共済というものが、この試験実施を始めますについては、その漁獲高の年変動を対象とする保険ないし共済、こういうものがはたして成り立ち得るものかどうか、いわゆる共済の可能性をこの試験実施においてよく判定するということと、もう一つは、やはり漁業共済というものに対しまする漁業者の有効需要といいますか、掛け金を納めてこの共済をやっていこうというような漁業者の需要というものがどの程度にあるか、こういった点を主体といたしまして、三十二年から六年間やってきておりますし、またその間におきましても、試験実施の方法等につきましていろいろ整備をはかってきたわけでございます。そういう段階におきまして、ただいま御指摘のように、漁業の種類あるいは各県別の漁業者の加入状況といったようなものにつきまして、非常に片寄りもあるといったようなこともございますし、またそういうような試験目的であったために、異常部分あるいは通常部分といったようなものにつきましても、十分な調査資料あるいは実績資料というものが集まっていない、こういうようなこともございまして、試験実施を本格実施に移すというときに、異常部分を分けて、これも農業共済のように国の再保険に付するかどうかということについても、ずいぶん検討もいたしたわけでございますが、まだ共済団体の負担し得る通常保険部分というものと、それを越えるような、責任を越えるような異常部分というものの区別というものが、漁業種類別あるいは地域別というような広がりをもって、十分国がこれを再保険をするという段階までに達する資料としては、不十分であるというようなことで、ただいま大臣がお答えになりましたような、こういう制度になったわけでございます。その制度をさらに検討事項といたしまして、加入を促進していくということによりまして、実績を積み重ね、その調査資料の分析につとめまして、できるだけすみやかに国の再保険制度に持ち込んでいく、こういうふうにわれわれは努力したい。そしてこの共済制度を中心としまする災害補償制度の整備をできるだけ早くやっていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/11
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012・角屋堅次郎
○角屋委員 国の再保険措置というものをこの法案としては前提として、確定をしておるんだというお話でございますが、これは私が本会議で質問したときに対する答弁よりも、参議院段階あるいは本日の答弁の段階で、さらにその点が前進をした姿で明確になったわけでありますが、そうだとするならば、これはやはり第一条、第二条の法案の条文の点においても、そういう考え方というものを明らかに織り込む必要がある、こういうふうに私は思うわけであります。
その点は今後の議論を通じての問題といたしまして、しからば、国の再保険措置というものをいつやるかという問題が一つの問題であります。私は、水産庁でも、たとえば養殖についても、すでにここ数年来相当第一線を通じての調査も進めてきておるわけでありますし、また漁獲その他についても、過去六年間の実施を通じて、やはりいわゆる三本立ての漁業災害補償制度を実施するのに、決意さえすれば踏み切れる段階にほぼ間に合う状態にきておるというふうに私は判断をしておるわけでありまして、要は、政府がいっそういう決意でこの問題に対処するかに結局帰すると思うのです。問題は、そういう政府の保険事業を実施するまでの段階で、本法案のような内容で今後漁業災害補償法を進めていくということにかりに前提をして考えますと、いまの政府が提出しておるこの法案の内容でもって、漁業共済団体の運営というものが何ら支障なしにいけるのかどうかという問題が、一つの重要な問題であります。言うまでもなく、漁業共済幕命で五億の出資によるところの共済基金もつくっているじゃないか、こういうことに相なるかもしれませんけれども、しかし、ことしの場合、十月から来年の三月までのいわゆる本法大雄に伴う共済契約の中身としては、約二百億近くのものを予定しておるわけでありますが、さらにこれは今後拡大をしていくという方針でありましょうけれども、過去の伊勢湾台風あるいはチリ津波というふうな災害が、一度この実施以降の近い機会に発生するという段階がまいりますと、必ず漁業共済団体の運営の中で問題が出てまいりますし、また、漁業共済基金のこの程度の資金量では必ず支障がくる。一体そういう場合に、再保険を実施するまでの期間、政府がそういう事態に対処して、責任を持った措置をするのかどうかということが、スタートにあたっての一つの問題にならざるを得ない、こういうふうに私は思うわけであります。問題は、そういう点において、今日この法案の中身で、はたして再保険の措置をするまでの間支障なくいけるという判断に立っておるのか、あるいは支障なくいけるとは必ずしも考えられないけれども、そのときには政府がきちっとしためんどうを見るのだという方針のもとにこの法案を考えておられるのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。私といたしましては、政府のいま掲げておる二百一条の条文のような仕組みでスタートします場合に、大災害が発生したときには、必ず共済団体の運営にも支障があると思う。漁業共済基金の資金量にも支障がくる、こういうことにならざるを得ない、こういうふうに思うわけであります。この点の考え方について、大臣にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/12
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013・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私は、大体におきましてこれでやっていけると思いますが、伊勢湾台風のような非常な災害がありました場合には、この共済事業によるもの、及び共済事業でなく、災害対策として講ずべき方途等もあろうと思います。しかし、この漁業災害補償法によりまして、あるいはこれで間に合わぬような場合があり得るかもしれません。それに対しましては、そのときにあたりまして私は対処していくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/13
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014・角屋堅次郎
○角屋委員 その辺のところが一つの問題だと思うのであります。そういう事態がきたならば、それに応じて対処していく、こういうお話でございます。たとえば伊勢湾台風のような災害が起こる場合には、いわゆる災害対策としてやっていく面もあるからということでありますけれども、激甚災の適用を受ける漁業関係の問題について見てまいりますと、申し上げるまでもなく、養殖施設というものについて激甚災の適用の場合には、伊勢湾台風、チリ地震津波等において従来から助成が実施されてきておる。問題は、こういう場合、いわゆるこの漁業災害補償法に加入しておる加入者、加入してない者、それが激甚災の適用によって施設の助成を受ける場合に、どういう取り扱いをするのかという問題が一つございますけれども、しかし、いずれにしても、従来から漁獲、養殖、漁具等を通じての災害対策としてやられる部面というのは、いわゆる養殖の施設を通じての以外にほとんど見るべきものがないというのが従来の状況だったと思います。したがって、そういう点から見て、若干カバーできるというのは養殖の施設程度であって、やはりそういう大災害の場合に、本法がこのままで実施されるということになれば、必ず重大な支障がくると私は思う。それに対してはもっと明確な見解というものを持ってもらわなくちゃならぬ、こういうふうに思うわけであります。いまの見解ではいささか納得しがたいので、さらにその点を明らかにしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/14
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015・庄野五一郎
○庄野政府委員 激甚災害に対しましてどうするか、これは、従来御指摘のように、特別法ができていたわけでございますが、今度激甚災害に対しましては、財政援助の特別の法律ということになりまして、これによりまして災害指定なり地域指定、こういうことで、いま御指摘になりましたように、ノリ、カキのいかだなり、網ひびとか、あるいは養殖の小割り式の網、こういうものがもし激甚指定を受けます地域の中にあれば、それは激甚災の災害復旧の国の財政援助がなされる、こういうことになります。こういう問題はそのつど政令で定められるわけでございますが、激甚災になるかならないかということは、そのときのいろいろな災害の状況に応じまして、政令で指定されるということになって、恒久的な対策、方針としては、この漁業災害補償法によってやっていくのがいいではないかとわれわれは考えるのであります。災害の状況によりましては、激甚災害の指定をして、両方でそのままやっていくということもあり得ると思います。そういう場合には、いま先生が御指摘になりましたように、漁業災害補償法に入っておるものと入っていないものとに差がないように、こういうことはわれわれとして十分検討して、入っているものがばかを見ないように考えなくちゃならぬが、そのときそのときの激甚災を政令で指定するまでは、共済法によって、災害補償に入っているものが損にならない、そういう措置を十分に考えていかなければならぬ、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/15
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016・角屋堅次郎
○角屋委員 経過措置の問題について、二点お尋ねしておきたいと思うのであります。
まず第一は、昭和三十二年十月一日から実施されてきた試験実施が、本年三月で打ち切られた。問題は、本法で考えておりますところの十月以降の本格実施までの間の四−九の問題であります。つまり、三十九年四月から九月までの問題をどうするか、この点について、当初農林省としては、この間はブランクでもやむを得ないという考え方もあったようでありますが、実際にはそういうことではいけないということで、特定共済契約にかかる引き受けの要件をきめまして、それに基づいて、昭和三十九年四月一日から同年九月三十日までの期間、いわゆる特定期間における共済の引き受けをやる、これは全水共で従来どおりやるというたてまえになるわけでありますけれども、問題は、この中身を見てまいりましても、従来保険契約でやっておった実績、しかもやっておった実績の相手の中であぶなくないものというふうに、従来やっておったものの中でもさらにしぼられるという形をとっておられる。一般論として、従来六年間実施をして加入が上昇カーブにある。これをいよいよ本格実施に切りかえていく前に、一段レベル・ダウンしてしまうという形にならざるを得ないということが適切であるかどうかということは問題であって、四−九の間の実施について赤字が出た場合には、当然政府がめんどうを見るという裏づけがあるなら、これは上昇のカーブで本格実施に踏み切るべきだが、なぜ加入の実績があまりあがらないか。徐々の上昇カーブの段階でこれから本格実施に十月から踏み切ろうというのに、四月以降は非常にシビアーな条件で加入の内容をダウンしてしまう。そうして、いよいよ十月から実施という片手落ちなやり方をやってどうなるのか。従来の試験実施の段階では、言うまでもなく、国庫債務負担行為の関係で、定額についてはめんどうを見るが、これが四月以降には全然ない。したがって、全水共としても、従来の清算事務の助成は若干あるけれども、四月以降九月までの実施をする場合には、みずからの手でもってやらなければならぬという状態になっておる。これだけシビアーにしぼって四月から九月までのものを実施いたしましても、災害のことでございますから、これはやはり赤字が生じないという気持ちでやったかもしれませんけれども、赤字の出る危険性というものが十分ある。御承知のように、従来も掛け金の部分と実際に支払う共済金との関係を見てみると、二倍以上の形になっているのでありますから、いかにしぼってみたところで、赤字の出る危険性というものは十分考えておかなければならぬ。そうなると、この赤字が出た場合に、問題は、新団体が権利そのものは継承していくという附則条項の経過措置になっておると思いますけれども、赤字についてどうするか。新団体がこれを受け継ぐという形は、政府としてなるべく避けたいということだろうと思います。そうであるとすれば、そうした場合には、別個の問題として赤字のめんどうは見るということが明らかになる必要があると思う。大体問題は、いままで上昇カーブになってきた加入の問題について、四月以降の段階で政府が手放してしまって、非常にシビアーな条件で加入が一段階ダウンするというやり方に、一つの問題点がある。そのダウンした形の中でやった問題について、災害のことでございますから、赤字が出てきたら、すべてそのめんどうを見るのか見ないのかということが明らかでないと、私は問題だと思う。これは言うまでもなく、水協法の改正をやって、政府が委託事業としてやってきて、いよいよ本格事業をやろうというこの中間段階の問題でありますから、当然、これは赤字が生ずる場合には、政府がめんどうを見ようという方針を明らかにする必要があろうと思う。また同時に、私は手続過程であろうと思いますけれども、こういうレベル・ダウンのやり方そのものが一つの問題であると思う。こういう点について、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/16
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017・赤城宗徳
○赤城国務大臣 事務当局からなお詳しく御答弁申し上げますが、いまお話のように、附則第四条におきまして、権利義務を承継することになりますから、当然その中には、十月までの間の赤字が出ました場合にも、それは承継するということは含まれる、こういうふうに私は解釈しておりますけれども、なお事務当局から御答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/17
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018・庄野五一郎
○庄野政府委員 いま御指摘のように、試験実施と本格実施の間の空白期間をどうするかということは、新しい制度を発足いたします場合には、非常にその経過措置がむずかしいわけでございますが、いま大臣がお答えいたしましたように、四月一日以降この本格実施を予定いたしておりまする十月一日までの間におきましても、従来から継続して保険共済に入っております漁業者に迷惑がかからないように、こういう趣旨で、全水共の引き受けました共済関係を、やはり新しくできまする本格実施の共済団体に引き継ぐというたてまえをとりまして、こういうような附則四条の規定になったわけでございます。やはり新しい団体が発足するにつきましては、健全な運営をなさるべきこと、われわれは、引き継ぐべき共済関係におきましても、健全な運営がなされるべきものを引き継ぐというのが望ましい、こういうことで、できるだけ共済関係として従来継続してやっておられた漁業者といったようなものに迷惑がかからないようにということで、新しく入るという方々に対しては、本格実施の段階においてこれに加入していただきたい、こういうような考え方で附則四条というものを設けた次第でございます。その点はひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/18
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019・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの点は重要な問題でありますので、再度大臣に確認をしておきたいと思うのでありますが、四月から九月までの、いわゆる全水共の実施する共済事業についての赤字が出た場合には、これはやはり財政的な責任というものを政府は考えておる、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/19
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020・赤城宗徳
○赤城国務大臣 政府が考えておるというよりも、新しい連合会においてこれを引き継ぎいたしますから、その引き継ぎいたしました中には、権利義務を引き継ぐのでございますから、赤字が出たといたしましても、赤字も引き継ぐ、こういうことに相なろうと思います。その連合会のあとの事業等につきましては、また政府は考えなくてはなりませんが、直接政府が経過規定間における赤字を補てんするということではなくして、連合会が引き継ぎを受けますから、連合会が赤字に対しても責任を負う、こういうかっこうになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/20
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021・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの長官と大臣の答弁の間で問題になりますのは、これは大臣もお考えにおいては変わりはないと思いますが、新しく発足する新団体は、やはりスタートから健全な姿で第一歩を踏み出させたい、こういうことは大臣も長官も変わりはないと思うのであります。長官のほうは非常にそこに力点を置く。大臣は、赤字が出た場合には、権利義務の関係で、新団体の中に受け継ぐんだ、そういうふうに事務的に附則第四条の関係で言われる。私は、基本的な考え方の中にありますのは、新しい本格的に発足する新団体の姿は、健全な姿でスタートする、そのスタートする場合に、いまの四月から九月までの問題について赤字が出る場合には、それはやはり別個に考えていく、そういう考え方をもって臨まなければならぬというふうに思うのです。この問題とさらに関連をいたしますけれども、過去六年間全水共が試験実施をしてまいりました過程におきまして、水産庁のほうで聞いてみますと、今日までに累計をいたしまして、どれだけの赤字がことしの三月までの間に出ておるかという点は、こまかい数字までは明確でありませんけれども、大体赤字の出たのは、債務負担行為等を差し引きましても、三十三年、それから三十六年、この三十六年が約五千万円近くの赤字が出ておる。私どもの承知しておるところでは、三十七年度に約一億近い赤字が出ておるであろう。三十八年度はどうなるかという問題もありますが、いずれにいたしましても、過去六年間の試験実施の清算をやってみますと、おそらく一億六千万円をある程度こえるような赤字になるのではないか、こういうふうに見込まれておるわけであります。これはやはり保険設計を立てまして、それで計算をしたところに基づいて国庫債務負担行為の金額をきめる、そうして金額は、掛け金に対する倍数と定額の金額、いずれか少ないほうという形で、今日まで措置してきたと思うのでありますけれども、そういう形で現実におそらく一億六、七千万円の赤字が出てくるだろう。私は、この問題については、清算がきっちりしたならば、これはやはり団体側と話し合う必要があろうと思いますけれども、政府がはっきり責任を持ってこの問題は処理をする、こういうことであろうと思いますが、この点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/21
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022・赤城宗徳
○赤城国務大臣 昭和四十年度中に決算が出てくると思います。その決算の出ぐあいによってでございますけれども、従来も債務保証等をやっておりましたが、そういういろいろなやり方があろうと思います。十分検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/22
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023・角屋堅次郎
○角屋委員 ちょっと検討では、現在新法への問題の切りかえを議論しておる段階でありますので、いささか問題があると思うのですが、承りますと、大蔵省あたりでは、一つの保険設計を立てて、そして保険設計どおりに全水共は試験実施段階でやってきておるというようなことを見てみると、私は内容をこまかくは検討しておりませんけれども、契約の件数においては設計よりも少ない。しかし、契約金額においては設計よりも多い。こういう実情がある。もちろん、これは試験実施の段階でありますから、でこぼこが出るのは当然だと思う。そういうことを通じて設計との間に若干のズレもありましたが、災害でありますから、事故率その他予定しておったのとは、当然災害の実績というものは違ってくる。そこで、当初政府が考えた国庫債務負担行為によるところの程度では、赤字が出てくるというのが過去六年間の間に出てくる。これは、私は政府が委託事業をしたという政治的責任から見て、はっきり清算がついたならば、これは団体側と話し合う問題があるかもしれませんけれども、最終的にはきっちり政府がめんどうを見て片づけますということでなければならぬと思いますが、この点非常にあいまいでありましたので、再度大臣からお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/23
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024・赤城宗徳
○赤城国務大臣 十分検討いたしたいということは、何らかの方法で片づけなければならぬ、こういう意味で申し上げたのでございますが、その方法等につきましては、おまかせ願うといいますか、検討しなければならぬ問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/24
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025・角屋堅次郎
○角屋委員 今後の漁業災害補償法の対象にするものについての問題点でありますが、いま漁業共済事業としての対象は漁獲、養殖、漁具、この三つにしておるわけでありますが、差し辿って本格実施以降において問題になりますのは、全水共がやってまいりました任意共済事業をどうするのかという問題がございます。当初、任意共済事業については、新団体が発足すると同時にこの中に入れてやっていけばいいじゃないか、共済団体の事業というところを見ましても、政府の法案の中ではそこまで踏み切ってないわけでありますが、われわれといたしましても、任意共済並びに漁船保険の問題については、すみやかにこれを全体として入れていくという考え方の中で検討するという検討条項にしておるわけでありますけれども、特に任意共済の問題については、いまの赤字の処理という問題をきっちりけりをつけたならば、方向として当然漁業災害補償法の中の漁業共済団体の行なう事業の中に入れるということには間違いないと思いますが、この点明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/25
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026・赤城宗徳
○赤城国務大臣 任意共済につきましては、発足当時に、これを入れることにつきましては、なお検討を要する問題があろうと思いまして、入れておりません。御承知のように、農業共済におきましても、任意共済の事業はだんだんあとから加えていくというような形でできております。でありますので、現在は三つの対象を対象として強く進めておりますので、任意共済につきましても、逐次検討を加えていく、こういうことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/26
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027・角屋堅次郎
○角屋委員 きょうは大臣非常に慎重主義で言っておられるようですけれども、私は、この問題は、大臣も直接新法をつくる生みの親でありますから、任意共済の問題あるいは漁船保険の問題をどうするかという点では、ずいぶん検討されたと思う。与党の折衝もありますし、団体側の要望もありますし、また実態として経済的に、しかも下部の団体、中央の団体を通じて、いかにすれば合理的にそういうものを含めての運営ができるかという立場から、十分検討されたと思うのです。したがって、私は、任意共済の問題については、これは方向としては、新団体に入れていくのだという方針には変わりはないと思うのですれども、どうもあまり慎重主義の答弁で、腹のうちがわかりかねるのですけれども、方向として明らかな問題については明らかにしてもらいたいと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/27
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028・赤城宗徳
○赤城国務大臣 一度にあれもこれもやれと言われても、いまの問題の解決だけで相当骨が折れてきておりますので、逐次そういうものも含めていくという考え方でございますから、これを排撃しているという気持ちはございません。ただ一度にあれもこれもというよりは、一つ一つ進めていきたい、こう思いましたので、そういう答弁を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/28
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029・角屋堅次郎
○角屋委員 この法案の中身について、時間の関係もありますので数点触れて、松田委員のほうに譲りたいと思うのです。
何といっても、漁業災害補償法を考える場合には、漁業災害補償の対象になる漁業者が喜んで入るような魅力ある共済制度にしなければならぬ、これがやはり一つの法案をつくるものの政治的立場だと思うのです。そういう点から見て、漁獲共済一つを取り上げて考えますと、やはり共済限度額、その限一度額の前提になる限度額率、こういう問題一つを考えてまいりましても、限度額率については、安定漁業、普通の漁業、不安定漁業、こういうものについて、法律でいきますと、九〇%の範囲内においてとなっておりますけれども、実際考えております水産庁の今日の時点の考え方では、一番最低が六五彩、その上が七二%、その上が八〇%、特約のものについて九〇%、こういう考え方の腹案ではなかろうかという感じを持っておるわけですが、これではやはり実際漁船漁業で漁獲共済に入る諸君には魅力ある共済制度ということにならないし、またいままで六年間実施してきた試験実施の中でも、過去三年のうちの最高を除いた二年のものの平均の九五%、これを限度額率にとっておくと承知をしておるわけです。したがって、三年に引き直せば大体八〇%、つまり、安定漁業の最高に考えておる八〇%というものを試験実施ではあたりまえのこととしてとってきた。それを今度はいわゆる試験実施の段階よりもさらにレベル・ダウンをする、そういう限度額率を考えようとする。もちろん、保険設計として、あるいは共済団体の運営としてあぶなくないようにという考え方からいくのなら、それも一つの考え方かもしれませんけれども、魅力ある共済制度として喜んで関係漁業者が入るという漁業政策的な立場からいくと、そういう従来よりレベル・ダウンしたやり方というものは問題がある。少なくとも団体側が要請しておる下が七〇、その次が八〇、そして安定したものについては九〇%、特約のものについてはわが党の提案では九五の範囲内でということで九五を考えておりますけれども、場合によってはそれ以上のものを考えてもよろしいかと思うのです。そういう漁船漁業の漁獲共済の場合の限度額率一つの問題をとらえても、私は、いま水産庁が腹案として考えておる点は、従来の試験実施よりもレベル・ダウンしておるという点に問題があると思う。これは当然もっと魅力のある制度の考え方で前進をさせてもらわなければならぬ。さらに特約の問題については、少なくとも九五%というわが党提案まで考えることは当然のことだと思うのです。
それともう一つは、共済金の支払いの問題の方程式の一つでありますてん補率の問題でありまするけれども、政府の考え方によりますと、五五%から九五%の範囲内、こういうことになっているのではないかというふうに思うのです。そうですね。問題は、いわゆる災害額が大量になった場合には、てん補率でもって低い掛け算をやりますから、金はそうもらえない。いわゆる最低の場合には五五%ということになる。まるきりとれなかった場合は災害金額に対して五五%しかもらえない。ひどい目にあってもそういう状態になる。いろいろ説明を聞いてみると、てん補率の考え方というものは、漁獲がそれだけとれないときには、いわゆる経営資金としてそれだけかかっていないだろう、いわゆるどれだけ金をかけたかということに見合って考える場合には、てん補率というもののいわゆる立論的根拠はあるのだということを言いますけれども、もちろん、その点はある程度はあるだろうと思いますけれども、一つは、賃金におけるところの歩合給という考え方が、やはり一つのてん補率の根拠になっていく。しかし、労働政策として、歩合給の問題についてはこれを廃止して、だんだん固定化していこう、そうして沿岸漁業等の漁業者に対する労働力というものを近代的な労働条件のもとにおいて確保していこう、こういう労働政策上の問題がある。これは漁業政策と密接不離の関係にある。そうしてみると、いま申しましたてん補率の問題一つをとらえても、ひどい災害を受けた場合に、金はそういう期待したほど入らないというてん補率の係数というものが、いま考えておるような状態でいいのかどうかということがやはり問題になる。いわゆる共済限度額から漁獲金額を引いた、その差額の災害金額というものがまるまるもらえるのかと思っていると、いまのてん補率でかけられ、あるいはさらに法律でかけられていく、こういうことになっているのです。この辺のところは、水産庁が考えておられる試案よりも、政令内容になってくるわけでありましょうけれども、前進した形で考えなければいけないのじゃないか。特に漁獲共済に入ってこようとする対象の諸君にいたしますと、この点がやはり一つの注目の焦点なんです。この際、これはまだ法律案事項ではございませんから、九五%の範囲内とするか、九〇%の範囲内とするかということは法律の条項でありますけれども、いま言った法律あるいは限度額率の中におけるところの三段階の数字というものは、コンクリート化している問題ではございませんから、大臣としてこの基本的な見解というものを、この点について明らかにしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/29
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030・赤城宗徳
○赤城国務大臣 十分検討いたしますけれども、事務当局から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/30
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031・庄野五一郎
○庄野政府委員 御指摘のように、今度の限度額率ということは、安定型、一般型あるいは不安定型、こういうふうに分けたわけでございます。これは試験上実施中は、御承知のように、一本になって試験実施におきまする共済事業の問題点がここにあったわけでございまして、これはこの漁業共済の研究会においてもずいぶん検討されまして、この限度額率というものについては、やはり漁業の安定型なり一般型なりあるいは不安定型、そういうものに分けて限度率というものは考えなくちゃならぬ、こういうような答申もあったわけでございまして、この点はやはり漁業のいわゆる事態に応ずる限度額率をやるということが、やはりこの共済事業を健全に安定して運営していくという上においては、非常に大事なことだと思います。そういうことで三種類に分けて限度額率をきめる、こういうことになって、安定型については法律で八〇、特約によって九〇、社会党案は九五、こういうことになっていることは御指摘のとおりでございますが、こういうことでやっていくということでございますが、先生のおっしゃるように、魅力あるものにしなくちゃならぬ、これは御指摘のとおりでございます。やはり共済事業としてこれか安定して運営されるということも、この制度を本格的に実施する上においては大事なことでございまして、この不公定な要因を含んだようた形でこの制度を開始していくということについては、われわれとしても、発足にあたっては十分これは注意しなくちゃならぬ、こういうふうに思っております。この共済金額というのは、漁獲共済では過去三年ということになりますし、養殖については六年、定置については六年、こういうことで、十分最近におきまする漁業、実情に合うようにこの共済金額を定める。そのうちでやはり次年度に再生産が確保されるということを目標にする。災害によって損害を受けた業者が、次年度にやはり単純再生産の形において、少なくともそういう形において漁業が継続される。それを共済事業によって救済していく。これがこの制度の本旨でございますので、そういう意味におきまして、やはり限度額率をきめ、さらにてん補率もそういうことできめていく。てん補率は、災害の態様によって不要な経費があるわけでございますから、そういう不要な経費はてん補率を定めることによって再共済の対象から除いていく、こういうような配慮をいたしておるわけでございます。この点については、いろいろと制度の実施の段階におきまして、制度を実施しながら、十分実態に合うようにまた是正する面もあろうかと思いますが、制度の出発にあたりましては、やはり健全な発展の基礎を固めるということで十分慎重に進めていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/31
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032・角屋堅次郎
○角屋委員 時間の関係もありますので、大庭に対する質問は相当部分残ったわけでありますが、ただ、この機会に、大臣にお伺いをし、またそのお気持ちを承りたいわけでありますが、いずれにいたしましても、この漁業災害補償法案の問題は、関係団体なり関係漁業者の多年の要望でありまして、私どももりっぱな法案を早期に成立さしたいという希望を持っておるわけであります。私は率直に言って、昨年の総選挙後における特別国会で、わが党の赤路委員が池田総理に質問した段階では、三十九年度は無理だというふうな答弁があったあと、赤城農林大臣が、この問題については鋭意大蔵省とも折衝を続けておる段階だというふうに前向きに答弁されたのは、たいへん骨のある発言として敬意を表したところでありますし、また、現実にいろいろ内容的には問題がありましても、関係漁業者の期待にこたえて十月から本格実施に踏み切ろう、そういう芽を出されたことについては、深く敬意を表するわけでありますけれども、しかし、法律というものは一たんすべり出しますと、農災法を見てもわかりますように、抜本改正ということを何度叫びましても、相当な年数がかからないと、なかなか実を結ばない、こういうことになるわけでありまして、せっかく生みの親として赤城農林大臣がこの法案を努力して、日の目を見る段階まで持ってきた。今後審議を通じて問題点を明らかにし、また与野党の間で、政府原案を中心にして、どうこの内容をさらに充実させるかという点については、わが党案の優秀な法案と対比させながら、いろいろじっくり相談をいたしたいと思うわけでありますが、その中には、もちろん不漁準備金の問題もありましょうし、無事故戻しの問題もありましょうし、あるいは漁獲金額に対するところの修正の問題もありましょうし、あるいはまた養殖共済等におけるところの、実際に災害の適切な措置を講じた場合、組合の指示による場合のみ組合の負担でその費用を認める、適切な矛、ういう作業を自主的にやって、総合的に判断をして、それが適切であったというふうな場合に、めんどうを見るのかどうか。われわれはめんどうを見るという方針を立てておるわけですが、そういうきめこまかい点までくると、私は、やはり基本的に、一つは、経済条件の弱い中小漁業、特に沿岸漁業に力をつけていくという漁業政策上の立場と、また同時に、今後労働政策面なり何なりを加味して考えていく部面もございまして、もっとやはり政府原案の内容については、内容を整備し、充実をする、こういうことで最善の努力をしたい、こういうふうに思っておるわけですが、大臣といたしましても、非常にあわただしい中でこの法案が整備され、そして提案の段階でありまするから、本会議でも明らかにされておりまするように、まだ十分なものと言えないという気持ちについては率直に表明されておるわけでありますし、私どもわが党案をつくるのには、一カ月以上ほとんど不眠不休でやってみて、法律案をつくるのはいかに苦労なものかということを身をもって感じた一人でありますけれども、いずれにしても、内容を整備するという点においては、政府も与野党も共通の基盤を持っておると思うのでありまして、そういう点については、謙虚に意見を受けていくという考え方に立ってもらいたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/32
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033・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御意見、御趣旨等も十分しんしゃくいたしまして、この制度の内容を充実していくという気持ちでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/33
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034・高見三郎
○高見委員長 松田鐵蔵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/34
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035・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 さきに沿岸漁業の振興のために、中小漁業の基本法ともいうべき沿岸漁業等振興法が制定されて、沿岸漁民も非常に喜んでおるような次第でありますが、今回国の施策の一環として漁業災害補償法案が提出されて、いま一番経済力に弱い、不安な漁業をやっておる日本の漁民全体に対して、こうした法律案が国会に提出されたことに対しては、沿岸漁民は非常な喜びを感じておるものであります。しかし、この法律案に対して、ただいま角屋委員が指摘されたようなことについて、私ども自民党としても、この法律を制定するにあたって、社会党が今日出しておる法律案とほとんど同様な意見を持って、この法律案の制定に努力してまいったのでありまするが、われわれの政治力が微弱なためと、また先ほど大臣がるる御説明をされた御答弁の中にあったような次第であって、社会党が出されておる法律案の域にまで達していないことは、私は非常にやむを得ないことであろうと存じておるものでありまして、ただいま大臣が御答弁されたようなことで、将来において努力されることと同時に、私ども自民党のあり方としても、また大臣もよく御承知のように、社会党の法律案より以上のりっぱなものをつくり上げて、沿岸漁民に対する国の恩恵を与えていかなければならぬと思っておるのでありまして、この点に対して、大臣としてもせっかく御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/35
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036・赤城宗徳
○赤城国務大臣 全く御趣旨同感でございます。ただ、立場といいますか、われわれ与党の立場であり、政府の立場でございますので、一挙に理想案というまでにはいかなかったわけでございます。そういう意味におきましては、権威者の松田さんなどの意見も聞きまして、なお十分充実していくようにつとめていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/36
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037・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 次に、私は、長官に対して二、三、重要な法律案でありまするから、質問をしたいと思います。
まず第一に、この制度は、漁業協同組合を中心としてこの制度を実行するものであります。しかもこの制度が実施されるにあたりまして、当時制定するときにおいて非常に問題があったのは、漁民の心がまえであろうと思う。この心がまえをどのように指導されていくか、もしこれが一朝にして非常な誤りを起こしたときにおいては、私どもの責任も非常に重大である。これに対して政府はどのように指導されていくか、その心がまえが一番大事であろうと存じますが、この点に対する御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/37
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038・庄野五一郎
○庄野政府委員 御指摘のように、この漁業共済の基盤といたしまする漁業災害補償制度を本格的に実施してまいります段階におきましては、漁業者の共済事業に対する認識なりあるいはこれに対する熱意が非常に重要なものだと思います。この法案の第二条にも「中小漁業者の相互救済の精神を基調として、」こういうふうに書いてあるわけでございまして、やはり助け合いの精神はわが国古来の美風でございますが、そういう精神にのっとってこの共済事業を運営する、こういうことに相なるわけでございまして、これは三十二年の試験実施におきましても、この共済制度に対する漁民の有効需要といいますか、熱意はどうであるかということも、この試験実施段階においては十分検討する事項になっておるわけであります。それは全水共におきましても、三十二年以来政府の委託事業として試験実施をやられた段階におきましても、全水共の指導も非常な熱意があったわけでございますが、漁民もやはりそれにこたえまして、漸次加入件数といいますか、加入数もふえてきているということも言えるわけでございまして、まさにその熱意によることと存じます。やはりわれわれといたしましても、指導し、またこの熱意を共済事業にいかにかき立てていくかということにつきましては、系統組織を通じてやらなくちゃならぬと思いますが、この本格的実施に移しますものにつきましても、三十九年度におきましては、やはり事業浸透費といたしまして、すでに予算を一千万円以上組み、また、この漁業協同組合が会員になるのでございますが、それに対しまする協力の謝金あるいは調査をする費用というようなことで八千八百万円以上の国費を投入する、あるいは県の指導費その他漁協に対しまする共済費等も含めまして、やはり七百十二万円というような金も指導費として助成いたしまして、ますますこの事業に対しまする漁民の関心なりをPRし、あるいは普及する、こういうことによりまして、さらに高まりつつありまする漁民の方の共済に対しまする認識を深めていく、こういうことをやりまして、この加入を上げていく。それによりましてできるだけこの事業運営が安定をするように、そしてさらに整備の基礎となりまする資料も確保するように、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/38
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039・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 本年度における政府の出資金は二億五千万円、また都道府県において出資すべき金が同様一億五千万円ですか、これでは先ほど角屋委員がお話しのように、基金としては非常に足らないじゃないかという議論もわれわれ考えておるのでありまするが、この制度はほんとうに画期的なものであり、りっぱな制度をつくり上げていかなければならないという、これは与野党ともに同感のものであります。
ところで、折衝の段階において、これが自治省において一つの抵抗があった。そこで、この抵抗に対する私どもの考え方は、全国の漁民のほとんどが町や村に住んでおるものであって、大きな都市にはあまりいない。町村は漁村であるならば漁村であるだけ、水産に対する依存度が大きいはずだ。この点をよく自治省においては御理解を願いたいのです。そこで、町村が負担するのではない、出資をするのではない、都道府県が出資をするようになっておるじゃありませんか。しからば、都道府県においては工業もあれば、商業もあれば、農業もあれば、いろいろな事業があるのであります。こういう点に対して、貧しい漁民にこの制度を生かしていくというたてまえからいったならば、都道府県においてもこの制度を完全に生かして、そうして県民、道民を育成していかなければならない、めんどうを見ていかなければならない、国の施策によってより以上に幸福な漁業を営ましめなければならないというときにおいて、都道府県の利益になることだと思うのであります。小さい村の利益になることが、都道府県の利益にもなるし、大きな企業をやっておれば、そこからあがる県税なりそういうものでもって、貧しい漁村を救っていくことになるという考え方を持っていかなければならないと思います。これに対して水産庁はどのように折衝をされたのか、また自治省は、これ以上に前向きの考え方を持って、こうした出資に対しては、県民の育成になるからという了解をして、こういう出資金に対してむしろ進んで協力をするように言いつけてやるようにしてもらいたいと思いますが、水産庁長官、また自治省の財政課長がおいでになっておるようでありますから、こういう点に対するお考えを知らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/39
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040・庄野五一郎
○庄野政府委員 この漁業災害補償の制度を運営いたしますにつきましては、共済団体の支払いにつきまして、やはり年度間あるいは年度をこえまして過不足があるわけでございまして、いわゆる支払いに不足ができました場合の支払いに充てる資金といたしまして、漁業共済基金を設立して、この共済金の支払いに支障ないように円滑な運営をはかる、こういう趣旨で基金を設定いたしたわけでありまして、この基金といたしましては、ただいま御指摘のように、五億円、そのうち国は二億五千万円を出資する、今後必要が認められるときは、予算の定める金額の範囲でこの基金に追加することができる、こういうように百五十三条で指定したわけでございますが、これはやはり漁民の共済団体からもこれに協力を仰ぐということとともに、この漁民の地域の福利あるいは産業行政を担当いたしておりまする府県におきましても、その一半につきまして出資をしていただく、こういうことで自治省にも折衝いたしたわけでございまして、百五十三条の三項で「都道府県は、自治大臣の承認を受けて、基金に出資することができる。」ということで、この漁業共済基金に漁業共済団体とともに地方公共団体たる府県も出資することができるということになっております。現在におきましては五億に対しまして国が二億五千万円、その半分の二億五千万円を都道府県において一億二千五百万円、それから漁業共済団体におきまして一億二千五百万円ということで、大きく資金造成をはかるということにいたしておるわけでございまして、その点は自治省とも相談いたしまして、百五十三条の三項にこういった都道府県の出資をするということを明記したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/40
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041・岡田純夫
○岡田説明員 漁業共済の話がありました段階から、やはり交付税でもって措置すべきものであるというふうに判断いたしておりましたので、したがいまして、話を伺う場合に、十分腹に入るようにと申しますか、納得いたしまして、また理解いたしまして、賛成いたしたのであります。いまもお話がありましたように、都道府県のほうでもって出資いたそうとする場合には自治大臣の承認ということになっております。承認いたします場合には、その団体がそれだけで赤字になるということはないと思いますけれども、財政的にどうなっておるか、どういうふうな事情であるかということを判断いたしまして承認いたしますし、また承認いたしました以上は、また十分都道府県についても、そういう面からもめんどうを見てまいりたい、そういうふうな気持ちを持っております。さようにいたしまして、自治省としても、今後財政事情等によって判断をしてまいり、また考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/41
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042・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 いまどこの都道府県においても、監督されておる自治省においては、ほとんど都道府県には自治省から派遣されておる役人があると思います。そういうことで緊密な御連絡をひとるとりまして、今後とも近い将来においてもっとこの出資金がふえる——ふやしていかなければ完全にこの法案が実行されないことになりますので、こういう点に対するせっかくの御理解のほどをお願い申し上げます。
時間がまことにないので、小委員会に譲りたいと思いまするが、ただ、一点だけ水産庁長官にお尋ねをいたします。先ほど申し上げたようなことでありまするが、漁民の心がまえというものが一番大事だ、それには政府においてもよく指導される、また財政的な面からいっても、いま自治省の岡田財政課長からお話があったようなことで、まず軌道に乗ることであろう、われわれもまた懸命にこれに努力をしていかなければならないという点からいきまして、ややもすれば農業共済のようにしてもらわなければならぬというような議論も出てきます。しかし、それは米麦を中心とした農業共済と、水ものであるこの水産業というものは、根本的にそこに差異があるのでありまするが、要は、この制度によって、より多く漁民はこれに加入していかなければなりません。その加入していくということからいって、先ほど角屋議員からお話のあったように、もっともっとめんどうを見る法律案に持っていかなければならないということであります。これは同感です。与野党ともにそれに努力をすることでありましょう。政府においてもせっかくの御努力を願います。ただし、漁民そのものが法に従った漁業を営んでいくことが一番大事だと思います。しかし、ややもすれば残念ながら、北海道において非常な誤りな漁業をやっておる者がある。きょうは時間がないから、五分前にやめろというんだから、もう小委員会に譲ってこのあとはしたいと思いますが、かつての北海道におけるエビけた漁業に対する資料をひとつ出しておいていただきたいと思います。
きょうはこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/42
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043・庄野五一郎
○庄野政府委員 承知いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/43
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044・高見三郎
○高見委員長 この際小委員会設置の件についておはかりいたします。
内閣提出、漁業災害補償法案及び角屋堅次郎君外十一名提出、漁業災害補償法案、右両案審査のため、小委員十二名からなる漁業災害補償法案審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/44
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045・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/45
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046・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
小委員及び小委員長の氏名は追って公報をもってお知らせ申し上げます。
なお、今後小委員及び小委員長から辞任の申し出がありました際の許可並びに小委員及び小委員長の補欠選任につきましても、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/46
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047・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
次会は、来たる二十八日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X04219640424/47
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