1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十七日(月曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
四月二十五日
辞任 補欠選任
坪山 徳彌君 上林 忠次君
四月二十七日
辞任 補欠選任
上林 忠次君 高橋 衛君
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出席者は左のとおり。
委員長 竹中 恒夫君
理事
西郷吉之助君
西田 信一君
松本 賢一君
委員
井川 伊平君
熊谷太三郎君
高橋 衛君
館 哲二君
鍋島 直紹君
松野 孝一君
占部 秀男君
鈴木 壽君
辻 武寿君
市川 房枝君
国務大臣
自 治 大 臣 赤澤 正道君
政府委員
自治省財政局長 柴田 護君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
自治省財政局交
付税課長 山本 悟君
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本日の会議に付した案件
○地方交付税法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査
(昭和三十九年度地方財政計画に関
する件)
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001・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
地方交付税法等の一部を改正する法律案、昭和三十九年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。前回に続き質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/1
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002・鈴木壽
○鈴木壽君 せんだっての委員会でお聞きしたのについて、多小聞き残した問題がございますのでお尋ねしてみたいと思います。
せんだってちょっと交付税の算定の単価の問題で、報酬、それから費用弁償等についてちょっとお尋ねをしたのでありますが、教育委員会の委員あるいは公安委員等のあの委員会の委員に対する報酬でありますが、三十八年度までは、これらの報酬は日額で計算をされておるのでありますが、今度、三十九年度からは月額になった、こういうことでございましたのですが、今度そういうふうに三十九年度からは月額に改めるというふうに、はっきりなっておりますね。その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/2
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003・柴田護
○政府委員(柴田護君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/3
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004・鈴木壽
○鈴木壽君 まあ私はこの前もちょっと触れましたように、ここにいただいた資料では、執行機関以外の委員会の委員あるいは委員長のその報酬の資料をいただいておりましたのですが、こういうものであっても全部日額ということで計算をするということは問題があるのじゃないかと思っておりますが、まあそれはともかくとして、今度教育委員なりその他の委員会の委員の報酬が月額になったというので、私はその意味ではけっこうだと思うのであります。ただ、その額をどの程度にしてありますか。その点をひと?…−。たとえば教育委員とかあるいは監査委員、公安委員、それから人事委員等ですね、こういうものについての月額をお示しをいただきたいと思うのです。これは県、市町村それぞれ違うと思いますが、少しややこしくなりますけれども、まあいま述べたような二、三のものについてのそれをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/4
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005・柴田護
○政府委員(柴田護君) 県で申し上げますと、人事委員長につきましては六万六千円、監査委員が七万一千円、これは引き上げ額は、監査委員につきましては四千円、人事委員長も四千円でございます。それから、市町村分につきましては、教育委員につきましては、市町村の教育委員は、委員長が一万円、一般の委員が八千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/5
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006・鈴木壽
○鈴木壽君 県の教育委員長及び教育委員、これはどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/6
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007・山本悟
○説明員(山本悟君) 県の教育委員会の委員長は月額三万円、教育委員の報酬は二万五千円で積算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/7
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008・鈴木壽
○鈴木壽君 市町村の教育委員会の委員の場合、委員長が一万円、委員が八千円、これはまあ市町村の場合はいろいろな態容がありまして、なかなかむずかしいと思うのですがね。しかし、小さくても市の段階あたりになりますと、これは八千円、一万円では、これはちょっと少な過ぎますわね。これは小さい町村へ行きますと、もっと少ない額しか出しておらないところがずいぶんあるのでございますけれども、そこら辺、この一万円なり、あるいは八千円なりというのの計七にあたっては、それぞれ市町村の実態等をお調べになった上で、たとえば平均がこのくらいだとかというような、何か配慮がなされておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/8
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009・山本悟
○説明員(山本悟君) 御指摘のとおりまあ実績単価までに達しているかということになりますと、多少問題があろうと思いますが、ほぼ十万程度の都市をいろいろとってみまして、まあそれの最低限の補償という程度の段階まで今回引き上げたわけでございます。実を申し上げますと、昨年までは日額単価によっていた関係上、きわめて微々たるものしか入っていなかったということでございまして、本年度、月額に直すことによりまして数倍の額に引き上げをいたしたわけでございます。なお、日額をとってみましても、御指摘のとおりに、都市によりましてずいぶん区々でございます。昨年の資料でございますが、やはり相当程度の都市におきましても、月額一万円にも達しないという団体も、やはり十万程度でございます。そのかわりずいぶん高いところもございます。いろいろでございますが、最低補償というような意味からいたしまして、今回の単価を一応決定きせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/9
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010・鈴木壽
○鈴木壽君 いま申し上げましたように、この市町村になりますと、まあ例を教育委員にとってみますと、なかなかどうもこうきちっとどこで押えるべきかというようなこと、あるいはどういうふうな算定が妥当かという、なかなかこれはむずかしい問題が出てくるのでありますが、市の段階あたり、十万ぐらいあるいは二十万程度の市、こういうところのを二、三調べてみますと、委員長はやはり一万五千円あるいは一万七千円、二万円ぐらい、委員でも二万円以下というのはあまりないのですがね。これは調べたのはわずかなところ、何カ所かしか調べておりませんから、それでもって全貌をどうのこうのと言うことは、あるいは無謀かもしれませんけれども、しかし、大体市の段階になりますと、この額では足りない。しかし一方、さつきも言ったように、町村等になりますと、この額以下のところがたくさんある、こういうことなんでありますが、これはあなたのほうの所管ではないかもしれませんが、こういう委員会の委員の実際の仕事なり会合なり、そういうものからして、あるいは負わされておる任務等からして、一体これらの委員会の委員の報酬というものはどの程度であるべきであるのか、こういうことにつきましても、これはひとつ検討してみる必要があると私は従来から考えておるのでありますが、いま申しましたように、これは財政のほうのあなた方より、むしろ行政局のほうででもあるいは担当することかもしれませんが、そういうことにつきまして、部内で御検討なりあるいは話し合いなり調査.なりというふうなことを最近おやりになっておられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/10
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011・柴田護
○政府委員(柴田護君) 先般来、地方議会の議員の報酬問題というのがご.ざいまして御承知のようにいろいろ問題があったわけでございます。なかなか議員にいたしましても、こういった委員にいたしましても、報酬のきめ方はなかなかむずかしゅうございまして、実はいままでは自主的な判断というものに重きを置いて地方団体が自主的にきめるのだ、そのたてまえを尊重していくということを中心にしながら、都道府県の議会の議員につきましても、一定の基準といいますか、よるべきところというのを参考のために示していた。この前、本委員会でございましたか、市川先生からもお尋ねございましたが、その態度をずっととってきたわけでございますけれども、どうも最近の状況では、そうもなるまいということも感ぜられますし、また、やはり財政当局の立場からいいますならば、その程度の基準というものをこの辺でまとめるように努力すべきじゃないか、そうしてやはりそのきめ方の合理化というものと合わせて、基準というものを少なくとも何か示すような方向で検討すべきじゃないか、かように考えておりまして、部内ではおいおい議論もいたしております。ただ、お話のように実際問題といたしましては、なかなかその辺のところがむずかしいのでありまして、ずいぶんむずかしい作業なり、むずかしい議論のあるところでございますけれども、やはり私どもは適当な報酬のあり方というものは、少なくとも理論的にあるのだし、実際問題としても、それを、そのものずばりでなくしても、ある程度それに近いものといいますか、ワクといいますか、幅といいますか、そういった形のもので示し得るのじゃないか、こういったことで、部内でおいおい議論をしておるわけでありますが、まだ結論を申し上げる段階にはもちろん至っておりませんけれども、おいおい相談はいたしておりますし、その方向で考えていくべきじゃなかろうかなという感じを財政当局としては持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/11
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012・鈴木壽
○鈴木壽君 これは国の機関としての各種の委員会、これなんかともやはり関連づけて検討しなければならぬ問題だとは思うのですが、少なくとも府県段階におけるこれらの委員会の委員の報酬の一つの基準、あるいは都市の場合、町村の場合と、大体おおまかでありますけれども、三つくらいの段階で——何かあまりばらばらになって、しかも、ばらばらの場合はきわめて低い額で行なわれておるところもありますし——そういうものを、一つの基準になるような線というものをやはり考えてみる必要があるのではないか。もちろんこれはお話の中にもありましたように、各地方公共団体が自主的にいろいろやるのだ。そこで、一つの自主の建前からすれば、あるいは基準を設けるとか水準がこうだとかということが多少問題になると思う点がありますけれども、だからといって、その基準を何もそのまま押しつけるという意味ではなしに、そういうものをやっぱり考えなきゃならぬじゃないだろうかと、こういうふうに思うのですがね。まあこの点、ひとつこれからの検討問題としたいというお話でございますが、やっぱりやっておかないと困るのじゃないか。そうして、それがもう交付税の算定のときに入ってくるし、地方財政計画の中に当然これは織り込んで考えられていくのですからね。やっぱり問題はほうっておけるものじゃないと私は思うのですがね。あらためて聞いておきます。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/12
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013・柴田護
○政府委員(柴田護君) 実際に問題を考えます場合には、前提をどうするかという問題が実はあるわけでございます。私どもの体験から申し上げますならば、県の出納長というものを考えましても、出納長というものを副知事と同じような格で考えておる県もあります。また出納長というものは副知事よりか相当下がった。むしろ総研部長のほうに仕事のウエートを置いておる県もあります。そういうところでは、出納長に副知事並みの報酬を支払うということについてはおかしいじゃないか、こういう議論がすぐ出てくる。したがって、同じような事例が市町村段階になってまいりますと、特に各種委員になってまいりますと、非常に、まあ何と申しますか、仕事の幅があるわけでございますけれども、その仕事の幅のこなし方等について、ほかの県なりほかの特別職との間に関連が出てきてむずかしい問題が出てくる。しかし、お話のように、全然そういうものについてめどが全然ないのか。めどがないのはおかしいじゃないか。こういうことになってまいりますれば、私どもはやっぱり財政的立場に立てば、これはやはりめどというものを、可能であれば、できるだけそういうような努力をして、何かお示しすべきじゃないだろうか。まあ幅をもって示すということにおそらくならざるを得ないでしょうけれども、何かそういうものが要るのじゃなかろうか。そうしませんと、やはり地方財政の将来を考えてまいりますと、その辺に国が財源措置をする場合に生ずる不安というものが抜けない。この不安をぬぐい去るという立場からいいましても、そういうような南治の立場を尊重をしながら、なおかつ一定のよりどころと申しますか、ものきしめいたものを参考のためにつくる、こういうことはやっぱり必要だろうと私どもは考えるわけでございますが、具体的問題になりますと、先ほど来申し上げておりますとおり、なかなかむずかしい問題がたくさんございますので、なお慎重に検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/13
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014・鈴木壽
○鈴木壽君 まあ一応私はそういう県における報酬というものの一つの基準なりというものを考えなきゃならぬじゃないか、こういうのは、まあそれによってさっきも言ったように地方団体を拘束してしまうきちっとそれで押えてしまうのだと、こういうことではもちろんありませんが、しかしその財政計画の上で、いままでたとえば特別職の場合はこうだというような一つの算定のしかたをしておりますので、もちろん交付税のほうにもそれをやっておると、こういうことになりますと、それがやっぱり一つのあるべき姿として当然考えられる線だろうと思うのであります。ですから、それをやるためには、しかし実情がいろいろ玄だ千差万別——ということははちょっと当たらぬかもしれぬけれども、いろいろな態様がある、こうしますと、やっぱりある意味において財政計画に合わせるというようなこういう考え方を持たざるを得なくなってくるのですね。だからそういう意味で、私はそこに一つの基準というものを、現行やっております、たとえば三十九年度でやったものが、はたして適切なものであるのかどうかということを、ひとつやはり根本的にやっていただいて、その上で財政計画の上でこうなるんだというようなことでやっていけば、市町村等においても、あるいは都道府県等においても、自主的に条例によってきめるんだと、こうは言っても、一つの、やはりおのずとそこに基準というふうなものが定められるというふうなことになる、私はこういうふうに思うわけですから、そういう意味でのこれはやはり御検討をぜひしていただきたいと思うわけなんであります。実は三十九年度のこまかいそれをいただいておりませんので、このいただいた資料からどういうふうになったのか、はっきりしないのでお尋ねも何かこう抽象的なようなことになりましたけれども、ひとつそういう点について…。他のこの人件費等についても、やはりいろいろ問題があるのじゃないかと思うのであります。せんだってもちっょと申し上げましたように、その点、これから検討して、四十年度の交付税の算定の際には、そういうものはひとつ検討された結果が生かされるように私はぜひやっていただきたい、こういうふうに思います。
それから次に、もうちょっとお尋ねしたいことは、これはせんだってもちょっと触れましたのですが、これは交付税全般の問題として、基準財政需要額の見方が実態に合わないんだと、実態よりも低く見られておるとこういうことに関連してでありますが、繰り返すことになりますが、もう一度いまの問題に関連をして、交付税の算定の基本的な問題として、お尋ねをし、できればひとつ要望を申し上げたいと思うのでありますが、いまの交付税の基準財政需要額の算定は、交付税のワクの中でいろいろ操作した結果、これを入れないと思うのであります。たとえば三十九年度においても、交付税が八百億なら八百億ふえると、基準財政収入額の引き上げによってこれぐらい出てくるんだと、合わせてこれくらいの額になる、こういう中で、その範囲においての交付税の算定のときの基準財政需要額の引き上げを考えておる。私は交付税のまあそもそもからここで申し上げるつもりはございませんが、一つのあるべき行政の水準、あるいは標準的な行政というものの必要経費を見るという、こういうたてまえに立ってやるならば、いまとられておるような基準財政需要額の引き上げというもののワク内での操作というものは、これはやはり一度ワクをぶち破るようなことをぜひしなきゃいけないのじゃないか。非常にこれは基本的な大事な問題、大きな問題だと思うのでありますが、こういう点について、せん、だってもちょっと触れましたけれども、あらためてひとつあなた方に考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/14
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015・柴田護
○政府委員(柴田護君) 現在の交付税の鎌定方法からいいまして、お話のような疑いと申しますか、疑問といいますか、そういうような気持ちをお持ちになる、あるいはそういう気持ちがわいてくるということは、私どもにはよくわかるのであります。それはなぜかと申しますと、結局いまの地方団体の実態というものが、一定の行政事務の繰り返し、巻き返しと申しますか、経済でいえば、いわゆる非拡大再生産といいますか、そういう形で行なわれておるのでなくして、行政事務からいいますと、激しい拡大再生産といいますか、そういうような形で事務が行なわれておるのが実際だ。したがって、そういう意味合いのいろいろな新しい経費が次々と押しつけられてくる。ところがそれを交付税の中で吸収いたします場合には、どちらかというと、やや昔の、つまり行政事務が一定のペースをもって年々繰り返されていくという形において、どちらかといえばとらえがちだ、そういうぐあいに見える。それは結局投資的経費の算定の問題になろうかと思うのでありますが、その点からそういったような疑問を申しますか、感じというものを感じとられるようになってしまう。そういうようなことになるだろうことは、私どもも実はよくわかっておるわけでございます。問題は、それならば、その技術的な方法を別として、地方財源全体として十分かどうかということになってまいりますと、やはり財政計画というものに問題が返ってくるのじゃなかろうか。その場合に、あるべき姿をどうするかという問題になってまいりますと、これは結局私どもは水かけ論になってしまうだろう。と申しますのは、仕事は財源さえあれば早くやったにこしたことはないのであって、できるだけ早く必要な財政需要を満たしてしまうというような措置をとるのがいいことはわかっておるわけでございますが、と申しましても、財源には限りがあるわけでございますので、その財源全体とにらみ合わせて、この地方財政にどの程度のものを期待するか。国の財政とバランスをとりながらどの程度のものを期待するかということになってまいるのではなかろうか。そうしますと、問題の落ちつくところは、結局いまの財政計画の算定の仕方からいいますならば、やはり給与費等については国家公務員の水準によってこれを計算をしているわけでございます。公債費等は実額をつかまえておる。投資的経費の中でも、公共事業費あるいはその他の一般の補助事業につきましては、国の補助負担金というものを基礎にして計算をしてきておる。そうしますと、問題の残りますところは、この計算方法がいいか悪いかということになるのじゃないか。つまり地方公務員の給与費の算定が大きくいいますと妥当かどうか。それから国庫補助負担金に伴う虚業、これの超過負担その他の吸収のしかたをどうするか。それから一番大きな問題は、地方の投資的経費全体を、公共事業費と単独事業費と合わせまして、合理的な姿というものが理論的に鮮明できるか、こういうことになるのではないか。それができてまいりますと、それを受けて交付税の算定方法の合理化というものもさらに進められるのではなかろうか。私どもは実はそういうぐあいに考えておるわけでございます。この交付税だけの、基準財政需要額だけの問題でいくら議論をいたしましても、問題は解決しない。むしろやはり本来の財政計画に立ち返って、そこで議論を一ぺんこなして、それが今度は交付税に反映をしてくる。その反映のしかたの場合に、やはり問題がございますけれども、その問題は問題としても、大もとから考え直していかなければいかぬではないか、そういうぐあいに実は考えておるわけでございます。したがって、この意味合いから、先般からお答え申し上げたと思いますけれども、現在の地方財政のあり方というものについては、従来の態度と別の角度から、さらに再検討する必要が出てきているんじゃなかろうかというぐあいに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/15
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016・鈴木壽
○鈴木壽君 これは地方財政計画全般の問題として考えると、こういうお話でございますが、それは理屈はそのとおりだと思います。ただ現実の地方財政計画と、いまのこういう交付税のあり方というものが、一体どういう見方でやられておるのかと、こういいますと、あなたのおっしゃるような意味で地方財政計画を立てた、たとえば、税収入なり、あるいは起債なり、いろいろの財源と、あるいは交付税の問題と、こういう中で、一体交付税がこの額でいいのか悪いのか、悪いならば内容の算定のしかたがいいのか悪いのかという、そういう検討は、実は加えられておりませんね、実際は、だから私が言うのは、もう少しその点を申し上げますと、これは交付税というのは、国の三税の一定の率で出てくる。もちろんその年その年によって、景気がどうのこうのと、三税がふえたり何かしますし、総額もふえてきますが、とにかく思想というものは、三税の一定率というものは動かないものとして、いま考えられている。したがって、財政計面はそういうふうに出てくる。交付税と、地方税と、その他の交付税、それをただ合わせて、いかに事業的に配分するか、少し悪口のようになりますが、そういうような反省がいまの財政計画ではないと思うのですね。それ以上に出れないと思うんだ、財政計画の上から。ですから理屈としては、地方財政計面全般の問題として、その中で一体交付税がどうあるべきか、地方税がどうあるべきか、したがって、あるいは地方債というもの、その他の収入というものはどうあるべきか、こういうことにいくのは当然でありますけれども、現実は、そういうふうな意味での地方財政計画の役割りは、私はいま果たしておらぬと思う。また、いまのところは果たし得ないと思うんだ。あなた方は根本的にそれをやりましょうと、こう言うのであれば、私もほんとうの意味でそういうふうに取っ組んでやっていただけるなら、それはそれとしていいんですが、そうじゃないと思うのですね。一方いまの交付税というものは、この前の委員会の際にもちょっと触れましたように、かえって地方財政計画を規制するような、一つの役割りを持っておる。額の上ではわずかの額でありますけれども、この一つの必要経費というものを見ていく場合に、これがやっぱり一つの柱になってきていると思う、事実上そうなっておる状態からしますと、私はここしばらくは、やっぱりそういうかっこうにいくしかないんじゃないかと思うんだが、そうだとしますと、私はいま言ったようにこれに対してやっぱりもう少し検討を加えていくという、こういうことが必要になるんじゃないか、そういう考え方を私前提にして実は申し上げて、また、それに対するお考えはどうかというふうにお聞きしているわけなんであります。理屈からおっしゃると、確かにあなたのおっしゃるとおりでありますけれども、しかし、それは現実にはなかなかこれは簡単でない問題だと思うし、事実上、交付税というものが、いわゆる必要経費をどう見るかということによって、その場合に交付税あるいは地方税なりその他の財源の問題が考えられてこなければいけないような現実になっているのではないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/16
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017・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私がお答え申し上げておりますのは、現在の財政制度の立つ基盤というものが変わってきておるのだから、その認識の上に立てば、地方財政計画だって、また地方交付税制度だって、中身について検討する必要は十分ある、したがって、私どもは、その検討を逃げておるわけでも何でもない、正面からぶち当たろうとしておるのであります。しかし地方財政計画なり、あるいはこの交付税制度なりというものを検討いたします場合には、実態がこうだから、交付税がこうだということばかりをやるべきでもないと私どもは思うのでございまして、実際問題といたしましては、この交付税の予想しておりますのは、いわば、一種の地方公共団体の財政経費の生活保護費的な面を多分に持つのでございますので、やはり今日の実態からいいますならば、これが一つの経費合理化のめどというような役割りも持つ点はあるわけでございます。特に管理経費等につきまして考えますれば、これはできるだけ、むしろ管理経費の合理化という意味合いについて一つの指導的な役割りを果たすのだ、こういう考え方も入れてきておかしくないというように思うのでございます。したがって、単価等につきまして、もちろんいろいろ問題は残っております。それは逐次合理化に努力はいたしますけれども、しかし、実態の分析のそのまま反映という形ではなくして、やはり交付税の持つ本来の機能なり、性格というものに基盤を置いて、合理化をどうするかということを考えてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/17
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018・竹中恒夫
○委員長(竹中恒君) この際、委員の異動について報告いたします。四月二十七日付、上林忠次君辞任、高橋衛君選任。以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/18
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019・鈴木壽
○鈴木壽君 端的に一つ、いまの交付税のたてまえは、いわば、何といいますか、義務的なというか。だれでもやらなければいけない行政の、それの一つの財政の需要を見ていこうとこういうことにあると思うのです。いまのそれは。それは税とか何か、あるいは地方債とか一応別にして。だから、さっきから言っているように、交付税のワクの中でそういうものを見ていこうという、これしか私いまなってないと思うのですよ。だから、端的に言うと、その義務的な行政に必要な経費というものも、実は実態に合わぬと、こういうことを私は申し上げたいのです、問題を突き詰めて言えば。そうすると、もっと実態に合わせるように、実態というものも、必ずしもどこの団体でもやっているものをそのままやれという意味ではないですが、少なくとも平均的なものというものも考えられておらなければいけないと思うのだが、それすら見ておらない、こういうところにいまの交付税の一番大きな問題があると思うのです。教育費なんかは、比較的そういうような場合に、いま私が言ったような意味でのそれはとらえやすいと思うのですが、この教育費なんかで見ましても、どこの団体へ行っても、基準財政需要額で見られるそれを、小学校なり、あるいは中学校、高等学校ですね、こういうものの経費が、一応かりに建設費なんかを除いたものについて見ましても、とてもじゃないが、必要経費を満たしているような見方じゃないと、こういうことは言えると思うのですが、あなた方、それは、いや十分見ているのだと、こういうふうにおっしゃることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/19
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020・柴田護
○政府委員(柴田護君) 十分か十分でないかという判断が実はなかなかむずかしいのでご、ざいますが、私が先ほど申し上げました趣旨は、地方の実際の平均値をそのまま使うということにつきましては、ややためらいを感じるわけでございます。特に義務的経費といいますか、行政事務費ということになってまいりますと、これは、やり方によっては、これはある程度、現在の交付税の金額の中だって、合理化する面があるかもしれません。でまた、どうも、どうにもならないものがあるかもしれません。しかし、全体として考えてみますると、やっぱりもとは税金なんでございますから、これはそういった事務の経費というものは、これは極力合理化を進めていくのがたてまえなんでございます。そうなってまいりますと、実態というものを見きわめていきます場合に、どこまでが可能でどこまでが不可能かという判断、非常に安易なやり方でいいますならば、平均値ということに近づけるということも一つでございますけれども、それだけでもいかぬのじゃないか。さらに合理化する道がないかどうかということも、検討に値する問題ではないか。私どもは実はそういうふうに考えて、そういうようなものを相関的に考えて、いままでやってきたわけでございます。しかし、お話のように地方の実態と比較してまいりますと、いろいろそこに符合しないところが出てくるし、また非常に下回るところも出てくる。そうしますと、この下回っている原因が何だということを、やはり突き詰めて考えていかなければ、ものごとは解決しない。逐次そういうことをやりながらきたわけでございますけれども、まだまだ至らない点が多々あることは、認めるのにやぶさかじゃございません。しかし、おことばを返すようで非常に恐縮でございますけれども、交付税の、今日御指摘のような、何と申しますか感じを与えているもとというものは、先ほど来申し上げました点にあるのであって、交付税自身の算定方法の中に内在する問題もないことはございませんけれども、それよりか、むしろ基本的には、もっと根本的なところがら出てきているのじゃなかろうかというような認識に立っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/20
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021・鈴木壽
○鈴木壽君 時間もなくなりましたから、いずれまたあとでいろいろ地方財政の問題、あるいは特に交付税の問題につきましてもお尋ねをする機会もあると思いますから、きょうはあまりこれ以上やらないようにしたいと思います。
実は、いま例にあげました教育費なり、あるいはその他の行政費の項目の一々についてもやりましたし、全般的な問題として、いまの点に関連することで、地方の団体において、交付税等に見られている経費の上に、さらにどの程度の継ぎ足しをしなければならぬのかというような資料も、実は私、二、三の団体について持っているのでありますが、これはもちろん、いわゆるいま一般にいわれている起過負担の問題、そのまま交付税に見なきゃならぬとかなんとかということじゃないけれども、やっぱり実態というものを、もう少しよく洗ってみる必要があるんじゃないですか。いや低いことはわかっているのだと、しかし、こう毎年のようにこういうふうな問題について出ますが、よくひとつその実態を洗ってみて、われわれが大まかに言っているこれだけでは足りないんだという経費、それは、そのままに全部正しい意味での不足額ではもちろんないでしょうけれども、それじゃ一体どの程度なのかということを、やっぱり私は洗ってみて、押える必要があるのじゃないか。かりに三十九年度で、いろいろ単位費用の引き上げをやっても、依然としてやっぱり問題は残っていくのです。そういう意味でひとつこの問題を、ほんとうの意味でいい交付税の算定をここにつくり出すと、こういう考え方から、ひとつ御検討を願いたいと思いますが、その点、ひとつお聞きした程度で、あとやめましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/21
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022・柴田護
○政府委員(柴田護君) 毎年、実態との比較検討を実はやってきておりますけれども、まあ思うにまかせないところもあります。また、その結果の反映のしかたも御指摘のように不足している部分もあろうかと思います。しかし、私どもはやはり交付税の本来の理想といいますか、これを求めて努力しているわけでございますので。お話のように実態等、なお十分精査いたしまして、その合理化にはつとめてまいりたいと、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/22
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023・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/23
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024・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 速記を起こして。
ほかに御質疑はございませんか。——他に御発言もないようでございますので、本法律案についての質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。
御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——討論もないようでございますので、これより採決を行ないます。
地方交付税法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/24
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025・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 多数であります。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。
本日はこの程度にいたしたいと存じます。次回は五月七日木曜日午前十時、大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案並びに地方行政連絡会議法案等について審査の予定でございます。
これにて散会いたします。
午前十一時二十分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02819640427/25
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