1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年二月二十八日(金曜日)
午後一時四十一分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 青田源太郎君
理事
梶原 茂嘉君
北條 雋八君
森 八三一君
委員
岡村文四郎君
木島 義夫君
北口 龍徳君
仲原 善一君
温水 三郎君
堀本 宜実君
森部 隆輔君
山崎 斉君
大森 創造君
矢山 有作君
国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
政府委員
農林政務次官 松野 孝一君
水産庁長官 庄野五一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
—————————————
本日の会議に付した案件
○中小漁業融資保証法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/0
-
001・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。
中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案を議題とし、昨日に引き続き質疑を行なうことにいたします。
質疑のおありの方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/1
-
002・北條雋八
○北條雋八君 この前の委員会のときに森委員から質問がありました、この漁業協同組合の組合員が基金協会に出資をしてなくても、組合員であるということが証明されれば基金協会が保証をするということでありますが、そのときに、全然、組合が、組合でなしに他の信漁連とか、あるいは一般金融機関から借りたのを組合員を通さずに保証するということは、非常に組合として本来の使命を全うできないというきらいがあるんじゃないかという質問をされましたのに対しまして、きのう新しく参考資料を配られ、この説明をまだ聞いておりませんですが、そのきのう配られた七ページに「法律改正による保証ルートの変化」ということでプリントがありますが、この説明を一応聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/2
-
003・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 昨日当委員会に提出いたしました「中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案参考資料」、それの七ページに、現在におきまする保証制度の運営と、それから、法律改正案によりまして改正されました場合におきまする保証制度の運営の図解を御参考までに記載して提出した次第でございます。それで、一番左の一というのが法律改正前でございますが、現行法でございますが、現行法は、組合が——漁業協同組合でございますが、組合が金融機関に、いわゆる保証によりまする金融機関に指定されてございませんので、組合が金融機関、これは系統もございますし・また法律による指定、あるいは政令によって指定されました金融機関、これは地方銀行あるいは信用金庫、こういったものが金融機関になっているわけでございますが、金融機関から系統資金なり、あるいは地銀の資金を組合が借りまして、その借りるときに基金協会が保証する、こういうたてまえになって、その借りた金を組合が組合員たる甲、乙、丙、丁に転貸しする、こういうことになっております。これが現行法の運営でございます。いわゆる転貸金を取得する場合に組合に対する保証がなされる、こういうことでございます。
それから、その右側のIIといたしまして、法律改正後、組合が金融機関に指定されております場合、組合自体が金融機関でございますので、これは系統の信連とか、あるいは地銀と並んで金融機関と、こういうことに相なる けでございます。それで組合が出資して会員でございますので、組合自体の経営資金なり設備資金を悟りますときは、他の金融機関、これは系統機関も含みますが、借りてきます場合に、組合が債務者になるということで、従来どおり金融機関と組合の間の債権債務について保証する、こういうことに一つなります。それから、組合員の資金調達のためということで、組合が金融機関になっておりますので、組合から組合員たる甲、乙、丙、丁、これは協会の会員ではございませんが、その場合に会員と同じ扱いをいたしまして、金融機関たる組合が組合員に貸します場合、直接協会が保証できる、こういうことに相なっております。組合が金融機関に指定されてないと、こういった場合も今度の改正法では起こるわけでございますが、その場合は(ロ)の場合でございますが、従来どおり組合が事業資金を借ります場合はそれに保証する。それから、組合が出資いたしておりまするその範囲におきまして、非会員でありまする組合員に対しまして信漁連が直接貸し出す場合がございますが、それに基金協会から保証することができるようにいたしております。これに対しまして、組合は通らないじゃないかという疑いもあるわけでございますが、組合といたしましては、出資いたしました出資金の保証倍率の範囲におきまして組合員たる甲、乙、丙、丁に貸す、こういうことに相なるわけでございますので、甲、乙、丙、丁が面接金は信連なり一般金融機関から借りるにいたしましても、組合を通してそういう保証の申請をすると、こういうことになりまして、そういう面におきまして組合の統制からはずれるということはないわけでございます。必ず組合を通して保証申請をするということで、保証は、直接信漁連と組合員の間で債権債務は成立いたしましても、そうしてそれを保証するということになりましても、まず保証する場合におきましては、組合を通してやる、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/3
-
004・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、組合を通すということは、組合の承諾書とか認定書とか、そういう手続をとって、それで初めて保証することになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/4
-
005・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 組合の承認が要ると、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/5
-
006・北條雋八
○北條雋八君 まあ、そういう形式的の手続は踏むといたしましても、このプリントの注のところの第四に「(イ)の場合組合員に対する貸付が回収不能になっても組合は責任がないはかりでなく、資金的にも被害をうけない。」ということで、責任がありませんので、責任がありませんために、自然やはり組合として甲乙丙丁に貸す場合に、ほんとうに貸したいものと、あるいは貸さないでもいいようなものとの仕分けを粗漏にするといったようなことから、実際借りないでいいようなものにどんどん保証するといったようなことで、金がなくなったときにはほんとうに借りたいものが保証ができないために借りられなくなるといったような弊害はありませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/6
-
007・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) ただいまの現行法の運営におきましては、やはり組合員が転貸しを受けてやる場合と、それから大口になりますと、どうしても組合員が個々に出資しまして会員資格を取得して、そして直接金融機関から借りる場合、こういう二つに分かれておるわけでありまするが、それで転貸の場合は、組合がいわゆる債務者になりまして組合員に転貸しするという内部的な形になるわけでございますが、今度金融機関に指定いたしますと、組合が直接の組合員に対する債権者ということで、それについてその債権が保証されるということで、組合といたしましては、安心して組合員に従来以上の安心度をもって貸すことができる。特に今度非出資の組合員も組合員と同じ扱いにすることにいたしたのは、そういった小口の零細な漁民が融資を受ける場合に、保証の道とか、担保力がないといったようなときに、この保証制度を活用するわけでありまして、そういう零細な組合員は、みずから協会に出資するというようなことはなかなか期待できないということで、組合で共同利用施設のような形で、組合が全組合員のために会員となって資格を取得しておれば、それを共同に利用するということで、非会員たる組合員にも保証の道を開く、こういうことになるわけでございます。それで、やはり御指摘のように、非常に非会員たる組合員の一部に資金が集中しないようにという配慮といたしましては、組合の規模にもよりますが、大体全国平均いたしまして五十万円以内の範囲の融資に限定するということで、できるだけ多数の組合員が保証制度に均てんできるような、そういう制限をつけておきたい、こういうふうに考えておりますので、御指摘のような心配はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/7
-
008・北條雋八
○北條雋八君 私は、きのうも申しましたとおり、組合員個々の事情を把握しているのは、組合が一番よく把握しておるのでありますので、当然金融をすべきものと、あるいはさほどに金融をしてやらないでもいいものと、そういう区別は組合が一番よく知っているのですから、組合がどこまでもそういう監督といいますか、位置にあるものが仕分けをして、不公平のないように、また正当な金融をさせるようにしなければいかぬと思うのですが、それが責任がないとなると、やはりいいかげんな選び方をするのじゃないか、認証をいいかげんに与えるのではないかという心配があるので、伺ったわけです。この点は非常に大事なことと思いますが、運営にあたっては、その点は厳重に行政指導をしていただきたいと思います。
次に、その前の六ページのところですが、協同組合の合併状況でございます。これは三十八年度の関係組合数、それから件数とありますが、この関係組合数が百六十九、それから件数が六十一となっております。これは百六十九の組合数が六十一組合になったという意味なんですか。この表の数字の意味がよくわからないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/8
-
009・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 六ページの表の説明を申し上げます。これは三十五年度以降の、漁業協同組合整備促進法が制定されて、三十五年度以降から整備促進が始まったわけでありますが、それまでは自由に整備を話し合いで進める、さらに促進法によりまして、合併奨励金を交付することによりまして、組合の合併を促進いたしまして、規模の拡大、経済力の充実をはかる、こういう趣旨でございますが、御質問のように三十八年度について説明いたしますと、まだ確定はいたしておりませんが、ただいま問題になって、すでに合併したものもございましょうし、まだ進行中のものもございますが、予定数も入っております。関係組合数が百六十九、百六十九の漁業協同組合が、件数として書いてあります六十一の組合に合併する、こういうことでございますので、約二・五くらいの組合が一つになる、こういうことに相なるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/9
-
010・北條雋八
○北條雋八君 この協同組合が新しく中小漁業融資保証制度の金融機関として指定されるということになったのでありますが、漁業協同組合の整備促進法による不振漁協の現況並びにその対策を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/10
-
011・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 不振の漁業協同組合につきましては、いわゆる漁業協同組合の整備促進法に基づきまして、これらの整備促進をはかってまいっておる次第でございます。ただいま予定いたしておりまする、これは現状でございますが、三十九年度において漁業協同組合の整備基金から利子補給の対象にしようというのが、予定でございますが、二百十組合程度を対象にいたしまして、この負債の整備をやるというようなことで、利子補給をいたしたい、こういうふうに考えております。まあこういう経営内容の改善ということとあわせまして、合併による規模の拡大、こういうことをいたしておるわけでございますが、またそういうようなことで、三十九年度におきましては、さらに合併につきましては四十件程度を考えると、こういうふうに予定いたしております。現在におきまして、先ほど申しましたように、二百組合程度を不振組合といたしまして整備するという対象に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/11
-
012・北條雋八
○北條雋八君 これは前にいただいた参考資料なんでありますが、この一〇ページの、指標別組合分布状況というようなのがありまして、今度指定するという組合の貸付金残高別組合数というのがあります。このうちで指定されない漁協については、信漁連の直貸しを認めると。この直貸しに関する指導方針というものはどうなっておるかということも伺いたいのであります。この表によって、大体どの程度の線の組合を指定するのであるか。そういうことはきまっておるんですか。五百万円以下、それから五百万円から千万円までといったような段階になっておりますけれども、何かこれについて政府のほうで、ある程度線を引かれてきめられるんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/12
-
013・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) これは前の九ページの表をごらんになりますと、出資をいたしております漁業協同組合のうち、信用事業を営んでおります分が、現状におきまして二千百二十四ございます。それを対象にいたしまして、調査をいたしましたところ、三十七年度末の調査でございますが、千五百五十六組合についてこういった回答がまいっておるわけでございまして、その他の組合につきましては、まだ回答がないか調査中と、こういったことで返答を延期している、こういうような状態でございます。それで、やはりこの中小漁業融資保証法上の金融機関として指定するということになりますれば、金融機関にふさわしいものをやらなくちゃならぬ、こういうことが言えるかと思います。そういう場合に、金融機関として指定いたします指標といたして、この組合の貯金残高がどういうふうになっているか。それから貸し付け金の残高がどういうふうになっているか。それから組合員の水揚げ高がどういうふうに動いているか。あるいは金融機関としての業務執行なり、債権の管理能力といったような面から、常勤の管理役員がどういうふうになっているか。こういうことを調査いたしたわけでございますが、現在におきまして、やはりそういう面からこういった資格があると、こう思われますものにつきましては、まだ最終的決定はいたしておりませんが、貯金残高につきましては、少なくとも二千万円以上ぐらいはなくちゃならぬだろう。それから貸し付け金額の残高につきましては、一千万円程度以上なくちゃならぬだろう。それから組合員の水揚げ高の共販の関係もありますので、少なくとも五千万円程度の水揚げ高がある組合でなくちゃならんだろう。経済能力の面からそういうことが言えるのじゃなかろうか。それから常勤役職員を常置いたしておりますとかいう点におきましては、少なくとも五人以上の役員が常勤して業務執行に当たっておる、こういった組合でなければいけないだろう、こういうふうにわれわれは、現在は考えております。大体、そういうところの四つの条件に当てはまる信用事業を営む組合を指定していきたい、こういうふうに考えております。
それから金融機関に指定されない漁協については、信漁連の直接貸しを認める、こういうようなことになりますが、この運用は系統資金のあり方その他から慎重にこれは考えていかなくちゃいかん、こういうふうに考えております。したがいまして、本制度上の金融機関に指定されない漁協の組合員を、すべて信漁連の直貸しの対象とするという運用に直ちに切りかえるということは慎重を期していったほうがいいのじゃないか、こういう考えでおります。で、直貸しの対象とならない業者につきましては、現行どおり組合が系統機関から借りて転貸しする、こういう現行制度を続けていく、こういう方針で慎重に直貸しのほうを認めていく、こういうふうに考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/13
-
014・北條雋八
○北條雋八君 そうすると、そういうことは全部政令できめられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/14
-
015・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 現在のところにおきましては、先ほど申しました四つの指標につきまして基準を設けまして、その基準を通達で流しまして、その基準案に合う信用事業を営む協同組合を金融機関とするということで、協会ごとにこの基準に合うものを金融機関として保証の対象にしていく、こういうことにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/15
-
016・北條雋八
○北條雋八君 このことは前にあるいは問題になったかとも思いますけれども、一応伺いたいのですが、漁業信用基金協会の一被保証人に対する保証の最高限度の出資、この割合が本法案では五倍から八倍、また協会の保証債務の最高限度は、出資総額に対し四倍から六倍というようなことになっておりますけれども、これはほかの林業とかあるいは中小企業信用保証に比べて非常に低いように思うのでありますが、これは特に漁業は非常に農業以上に所得が少ない漁業であります。これをもっとふやすべきだと思うのですけれども、他のものに比べて非常に倍率が低いように思いますが、これはどういうふうに政府で考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/16
-
017・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) これはやはり水産業の一つの特質といたしまして、非常にリスクが多いというような点も勘案いたしまして、協会自体の保証限度額というものは、四ないし六倍の範囲で業務方法書で定める。協会によりまして四倍のところもあり、六倍のところもあるということになっております。それから協会の会員でございます。いわゆる出資いたしておりまする会員の利用倍率、一被保証人に対しまする保証金額の最高限度ということになりすまが、保証利用倍率は、現行は五倍ないし八倍、基準といたしまして五倍が相当多い、こういうことになっております。それは先ほど申しましたような、やはり水産におきまするリスクが多いということが一つの原因になっておるわけでございますが、最近におきまするこの制度の運営の業績にかんがみまして、保証が非常に進んできているということと、事故率が低下してきている、こういうような業績にかんがみまして、協会の保証限度は出資総額の大体八倍を基準にするというふうに拡張していきたい、こういうふうに考えておりますし、また会員の利用倍率は十二倍を標準といたしまして最高十五倍までいける、こういうふうに三十九年度から拡張する方針で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/17
-
018・北條雋八
○北條雋八君 次に伺いますが、水産加工業については、物品の加工業として中小企業信用保証制度というものがありますけれどども、水産加工業がこの制度と重複しやしないかという懸念があるのであります。そういう点はどうなんですか。水産加工業の組合の組織の状態はどうなっておりますか。これは使用人が四十人以下の場合だけが含まれるから、そういう心配はないのだと言われるかもしれませんが、その点はどうなっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/18
-
019・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御質問の中小企業信用保証制度におきまする信用保証協会、これは大体その性格上、都市的な商工業が中心になっております。で、われわれが中小漁業融資保証法で対象として取り上げていきたい、そしてそういう加工業者に保証することによって融資の円滑化をはかりたい、こういった対象は、いわゆる漁村的な、漁村にあるような加工業を対象にしたい、こういう考えでございまして、これは現在におきましては、そういう保証制度のどちらにも乗らない、商工関係の信用保証協会の対象にもなりにくい、それかといって中小漁業融資保証法の道が閉ざされておる、こういう谷間にある加工業者でございまして、これは大体漁村において、みずから漁業を営んで、それを加工する場合もありましょう。そういう場合は、現在の水産業ということで道が開けるということも言えますが、漁村で生産者に直給して、直ちに原料を買い取って、それを煮干しにするとかあるいはそこで干ものにする、そういった加工業者が、融資の保証の道がないわけでありますが、そういったものをただいまは取り上げていきたい。それも個人、それから法人ならば就業者が四十人以下の小規模のものを対象にする、こういうことで考えているわけでございまして、多少両方の会員になり得るという面もあるわけでありますけれども、そういった面よりは、むしろ谷間になっている面のほうが多いということが言えると思いますほとんど重複はないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/19
-
020・北條雋八
○北條雋八君 単に使用人四十人以下とそうでない場合との区別だと、これは非常にどっちでもある程度なるわけでありますから、それをつまり監督といいますか区別して二重に金融ができないようにするには、どういうふうな監督をされますか。行政指導といいますか、政府のほうでどういうふうに考えられておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/20
-
021・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) こちらのほうで対象にいたします分は、水協法によりまする水産加工業協同組合とその組合員ということを対象にいたすわけでございまして、おおむね小口のものがあろうかと存じます。それで中小企業信用保証制度による信用保証協会というものが、別個にこれは地域的な機関としてあるわけでありまして、これは会員制度はとってないわけであります。それでわれわれのほうの水産加工業協同組合は、これは二百三十七組合ありますが、またそういうものが、またそういうものが組合を結成されるということも今後はあろうかと思いますが、そういう面につきましては、私らのほうの協会から保証する、こういうことでございます。ダブらないようにということについては一十分これは保証協会とも連絡をとらなくちゃならぬかと思いますが、この資金需要といたしまして、こういう面にいままで実際の道が開かれておりませんので、これからその保証の面で、資金需要が大きくなってゆくという段階でございまして、重複というようなことについては、それはないかと思いますけれども、協会同士の連絡、そういう面については十分注意して、そういうことのないようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/21
-
022・北條雋八
○北條雋八君 なおこの水産加工業協同組合は、いまお話がありましたように、全国で二百三十七という数字がここに出ておりますけれども、これは沿岸漁業等の振興をはかるために、水産加工業の健全なる発展を推進するということは、ほんとうに基本的な大事なことであると思うのです。それにしては非常に数が少ないと思うのです。で、そういう点に対して、この間いただきました昭和三十九年度において沿岸漁業等について講じようとする施策、この中の十六ページ、水産加工業対策というところに「水産加工業の近代化を促進するため、ひきつづき指定機械の特別償却制度を実施して資本蓄積を高め、また民間試験研究に対する補助を行なって技術の近代化を図る。」ということと、それからもう一つは、「さらに、三十八年度に「中小企業近代化促進法」にもとづく業種の政令指定を行なった缶詰製造業については、これに属する中小企業について近代化計画を作成し、これにもとづきその近代化の推進を図る。」ということだけうたってあるわけで、この水産加工業の健全な発達をはかるための施策というものが、これでは一向わからぬわけです。政府として、水産加工業の発展をはかるための対策を、もしできているならこの際伺いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/22
-
023・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 水産加工業の対策でございますが、これはやはり水産業と密着しまして、水揚げされました生産物をいかに流通加工の面において利用して高度の価値あるものにしていくかということで、水産業を振興するには、やはり加工業ということを十分振興するということが当然必要であるわけでございます。そういう意味で、この中小漁業融資保証法というものにつきましても、水産業の融資保証にあわせて、やはり水産業を振興する意味において、付帯業務として加工業に対しまする保証の道を開いて金融の円滑化をはかる、こういう対策を講ずることにいたしたわけであります。
なお、講じようとする施策の十六ページにあります面につきましては、新しい機械を入れた場合のその機械の償却費を特別償却制を採用して、できるだけ経営を合理化できるようにするというようなこと、それから利用加工の面におきまする試験研究機関の整備をやっておりますが、今までは国の水産研究所というのが八ございます。七海区に一つずつ、こういうことで海区の試験研究所、それから淡水区の研究所というふうに八海区でございますが、その利用加工の研究所が分散してまいりまして、やはり力が分散して弱いというような面もありまして、三十八年度からやはりこれは消費地にも密着しておいたほうがいいというような感じもいたしまして、この東海区の試験所に整備集中いたしまして、利用加工の研究機構を拡充する。こういうことで、そこでいろいろな加工技術あるいは材料の研究といったような面を強化いたしております。そういう面もありまして、たとえば北海道におきますタラあるいはホッケといったいままで練り製品の原料として問題があったわけでございますが、これを現地ですり身まで加工して、これを練り製品の高次の加工にする、これが二次加工品として提供するといったような道も講じられておりますし、またそういう面の補助もする、こういうことにいたしております。
なおこの水産加工の施設につきましては、公庫のほうからも施設の資金というものが出るわけでございますし、また今度の制度で系統資金等を借りる場合にも保証の道を開いて、運転資金なり施設資金の整備ができる。それから中小企業近代化促進法というようなことで、特にこれはかん詰めとか特定のものが指定されておりますが、国際的にも輸出かん詰めというようなものが非常に伸びておるわけでございますが、そういう面の合理化計画については、これによって推進をはかる、こういうような道を開いております。いままでなかなかそういう面にも手を伸べなかった次第でございますが、御指摘のように、今後はやはり水産業の振興には加工業も振興すべきだという面は、強くわれわれは押し出してこの育成なり発展に尽くしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/23
-
024・北條雋八
○北條雋八君 この予算から見ましても、あまり加工業の推進ということについて力が入っていないのじゃないか。わずかに全国で二百三十七というのは、いかにも少ないような気がするのでありまして、流通面からの加工ということについては、幾分か予算面にもあらわれておりますけれども、もっと加工業を推進するには、やはり政府の指導をもっと強力にして対策を確立する必要があると思うのであります。この点、なお機会があればまた質問することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/24
-
025・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) なお、先ほど申し落としましたが、やはり利用面で、動向でも報告いたしましたように、非常に餌料向けの需要が需要配分上もふえている、そういう面もございまして、魚かすの製造といった面につきましてもあるいは魚油の製造というような面につきましても、三十八年度から魚かすの工場の施設補助あるいは魚油の貯油タンクの補助、こういったものを共同的にやる場合に補助するといったような施設補助等も講じておりますが、御指摘の点、今後とも十分この水産加工業の伸展ということについては、予算的にも行政的にも処置してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/25
-
026・北條雋八
○北條雋八君 最後にこの点を伺いたいと思うのですが、農業の近代化資金制度と同じように、漁業にもこういう近代化資金制度というものが必要ではないかと思うのでありますが、沿岸漁業、特に漁船漁業は農業より所得が非常に少ないことは御承知のとおりであります。漁業金融には、農業のような近代化資金制度というものがないので、非常に不利な立場に立たされておると言わなければならないと思うのです。これは近代化資金に充てるその原資の問題で、農協みたいに金がないからということでできないのだと思いますけれども、農林漁業の系統金融全体から考えてみるならば、その確保は当然できると思うのであります。資金がないから、原資がないからという理由で、農業よりなお一そう所得の少ない、貧しい漁業には本制度ができないという考えがあるとすれば、これはあまりにも政治的に不公平じゃないかという気がするのであります。農業改良資金制度というものもこのたびできまして、無利子の金融ができるわけであります。これまた同様に、漁業にも前に言ったような理由と同じような理由で当然設けてやるべきじゃないかというふうに思うのですけれども、そういう点につきまして政府の所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/26
-
027・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御指摘のように、漁業につきましては近代化資金あるいは無利子貸し付けの道といったものが農業のようにはできておりません。近代化資金を設けましたときの理由は、農業におきまする余裕資金の活用方法といったような面もあったと思いますが、やはり経済力の低い沿岸の漁家につきましては、低利資金の融通が必要かと存じます。現在におきます漁業におきます金融状態は、この系統資金なりあるいは漁協を通じまして流れます資金につきましては、オーバーローンの傾向があるぐらいに資金は活用されておるわけでございますが、先ほど申しましたように、先生の御指摘のように、やはり低利資金あるいは利子のない資金、こういったものの必要性は痛感するわけでございます。今後ともこういう問題につきましては、十分研究してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/27
-
028・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) どなたか御質問ありませんか……。
それじゃ、ちょっと瞬時休憩します。
午後二時三十二分休憩
—————・—————
午後三時十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/28
-
029・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
赤城農林大臣が御出席になりましたので、農林大臣に対し御質疑のある方は、この際御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/29
-
030・矢山有作
○矢山有作君 実はきようわざわざ大臣御出席をいただきましたのは、漁業の動向等に関する年次報告が出まして、これを本会議のほうで私のほうからは、渡辺議員がいろいろとお伺いしたわけですが、なおもう少し何といいますか、詳細にわたってお伺いをしてみたい、こういうことで実はわざわざおいでいただいたわけであります。時間の制約がありますので、要点だけを申し上げてから、ひとつ御見解をいただきたいと思うのです。
今度の年次報告、私もずっと大体目を通させていただいたわけですが、最初御説明の際にもおっしゃっておったと思うのですが、沿振法に基づいて出した年次報告だから、沿岸漁業あるいは中小漁業というものに焦点を合わせて年次報告を作成したのだ、こういうふうにおっしゃっておったと思いますが、まさに理屈としてはそのとおりだと思うのです。しかし、これを検討してみまして、なるほど沿岸漁業の現在の状況あるいは中小漁業の現在の状況、そういったものがこれは問題点が指摘されてきておると思うのです。ところが、一番私どもが問題として考えますのは、沿岸漁業といい、中小漁業といい、あるいは資本漁業といいましても、これは沿振法の規定でも御承知のように、その区別のしかたというものがただ何というのですか、その漁船のトン数とか、あるいは従業員の規模、こういうもので区別をされておるわけです。したがって、漁業そのものとしては非常に深い関係をお互いに持っているわけなんです。そういう状態からして、年次報告のようなとらえ方をされますと、沿岸漁業や中小漁業における問題点というものが、一体どこから生じてきておるのか、こういう点が不明確になってくると思うのですね。特に現在の漁業の状況を見ておりますというと、生産から加工、販売これらを通して大資本による支配の力というものは、非常に強化されておると思うのです。したがって、そういう大資本漁業の影響というものが、中小漁業にも沿岸漁業にも問題を引き起こしておるでしょうし、さらに、中小漁業と沿岸漁業との間でもいろいろの問題点をかかえている。また、沿岸漁業の中でもまたそれぞれ競合するものがある、こういう状態だと思うのです。そうすれば、そういう点を関連づけて総合的に年次報告に出していただきませんと、これは問題点が指摘されただけであって、じゃその問題点はどこからどういう原因で発生しておるのだから、対策をどう立てたらいいのか、こういうことにはならぬと思うのです。そういう点でこれは本会議でも指摘されておりますが、私どもとしては、ぜひこの次の年次報告を出していただく際には、そういう点を考えて年次報告をつくっていただきたいと思うのです。
それでもう少し申し上げますと、私どもが昨年沿振法を審議いたしました場合にも、沿岸漁業等振興法案という形で、沿岸漁業と中小漁業に焦点を合わした法律になっておる。漁業全体としてとらえた法律でない。したがって、今後の沿岸漁業、中小漁業の振興の上からもそういうことでは、いろいろと問題点が生じてくるのじゃないかという、この点がひとつの沿振法審議のときの重点になったわけです。そのことがやはり年次報告の中でも、いま申し上げましたような形でばらばらに問題点を指摘しただけという形で出てきておると思うのですがね、そういうことから重ねて申し上げますが、この次の年次報告においては漁業全体としてとらえて、そうして相互の関連を明らかにし、その中で問題点がどこにあるのか、さらにそれに対する対策、こういうものを明確に打ち出していただく、そういう方向でひとつやっていただけますかどうか。この点まずひとつお伺いしたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/30
-
031・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) お話の点等にもいささか配慮はいたしたのでございますけれども、非常に不十分だと思います。そういう意味におきましては、やはり漁業全体、まあ国際漁業と申しますか、資本漁業、あるいは遠洋、カツオ・マグロ、中小漁業、沿岸と、そのおのおのの役割と関連、位置づけといいますか、そういうものの観点から報告をするようにしたほうが、より問題点を把握するのにいいのじゃないかというふうに私も考えます。ことしは最初の報告でもありますので、また少し急いだせいもありまして、十分でなかったと思いますが、次年度からは、そういう点も考慮に入れて一できるだけいい報告といいますか、にしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/31
-
032・矢山有作
○矢山有作君 それならば、いま御答弁をいただきましたような形で、ぜひ次の年次報告はお願いしたいと思います。たとえば年次報告読んでみましても、これは漁業の調整ということで、ここに、報告の六十八ページですか、そこにもかなり漁業転換を進めていった状況なんかも出てきておるわけですがね。やっぱり漁業転換を進めていく中に、指定漁業の許可の問題の問題とも関連してくるわけですし、そういう中からやはりこういうふうな転換をやったんだということの指摘だけでは、やはり不十分だというふうな点も私も感じましたので、もういまおっしゃったようなことで今後はひとつやっていただきたいと思います。
でそれ、第二の質問は、実はこの白書見まして、もう御承知のように漁業の生産量を見てみますと、三十二年を一〇〇とした状態で書かれておるようですが、三十七年では沿岸漁業が一〇七、約二百三十万トン、それから中小漁業が一二七で約三百五十万トン、それからその他の漁業で二四〇、九十五万トン、その他の漁業というのは、これは資本漁業だと、こんな御説明だったようですが、こういうぐあいで沿岸漁業の伸びが、これで見ると非常に停滞しておるということがはっきりいえると思います。それから今度は漁業の経営数から見ますと、三十七年が二十二万七千、その中で沿岸漁業が二十一万八千、残りの九千足らず、これが中小漁業と資本漁業、こういうことになっておるわけです。だから漁業の経営数はもう圧倒的に沿岸漁業が多い、こういうことになっております。それからさらに沿岸漁業の漁家を見ていくと、経営数で漁船漁業が七一%を占めておるようです。それから定置・地引網が四・四%を占めておる。それから養殖が二四・四%を占めておる。ところが生産量の伸びで見ると、三十二年に対比した場合に、漁船漁業が一〇四、それから定置地引網が八二、養殖が一四九、こういう数字になっております。養殖は非常に伸びておるわけです。ところが漁船漁業のほうが非常に停滞しておる。だから全都市の勤労世帯に対して所得のほうを見ましても、三十七年の漁船漁家の所得が八〇・二、それから漁家のほうが八九・五、こういうふうな状態です。それからエンゲル係数を見ると、これはページの三十九ページですが、全都市の勤労世帯が三六・六、農家が三八・一、漁船漁家が四二・一と、こういうように非常に劣悪な状態になっております。漁船漁家が日本の底辺を形づくっておる、こういうふうに私どもはこれらの数字から見ていえるのじゃないかと思うのです。ところが、これも三十五年以降のかなり改善された結果だと、こういうふうに年次報告にいうておるわけですね。ところがそういう状態もただその数字の面からだけながめるわけにはいかぬので、年次報告の指摘しておるように、生活環境上の不利、こういったものを考えた場合にはさらに大きな格差がある、こういうふうなことを指摘しているわけです。で、こういう原因は一体何から生じておるのか、このことが一つの問題点だと思うのです。したがって、その主たる原因は何か、これをひとつお伺いしたとい思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/32
-
033・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 沿岸漁業は御指摘のとおり、漁船漁業と養殖漁業に大別して報告いたしてございます。その中でも漁船漁業は漁家所得におきましても漁業収入におきましても、また世帯当たりの所得家計費にいたしましても一番低いわけでございます。三十八ページで世帯所得でも全都市勤労者一〇〇に対して八〇・二%というふうになっております。一人当たりの家計費でも漁船漁家は全都市勤労者世帯に対して六七・八、こういうふうに低いわけでございます。これは結局漁業収入あるいはその他の収入が低いということに尽きるわけでございますが、その点につきましては、やはり沿岸漁業といたしまして、最近におきまする就業者の流出とか、そういうこともありまして、漁船漁家数、いわゆる経営体数が減ってきている、そういう面から漁家あたりの生産量というものは上がってきております。また、沿岸漁業が水揚げしております水産物は、非常に高級魚が多いということで価格が、非常に最近の需要構造の変化に従いまして価格が上昇しておる、そういう価格の面の上昇にもささえられて、最近好転してきておることは、御指摘のとおりでございますが、なぜ沿岸漁家のそういった点が非常に悪いか。こういうことになりますと、やはり最近におきまする漁場の条件等が相当影響しているのではないか。こういうふうにわれわれは考えます。そういう面で構造改善事業を行なうという契機が与えられておるわけでございますが、構造改善事業につきましては、やはり養殖漁業というものの採算性が非常にいいということで、そういう方向への可能性のあるものは転換していくということは言われると思います。またそれが漁業の中心になっておるわけでございますが、やはり過剰な人口をいままでかかえておったという点が非常に影響しておるということと、それに相応する水揚げがやはり漁場の関係等で悪いということ、資本装備が非常に低くて、その面における新しい技術の導入というものがおくれておる、そういうことが言えるんではないか。こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/33
-
034・矢山有作
○矢山有作君 私もそういうことだと思うのですが、さらにもうちょっと年次報告を検討してみますと、こういう結果が出てまいっておるのです。経営数で見ると沿岸漁業のうちの二五・七%それから漁船漁家の中の三六%を占める無動力漁船の存在が大きい。しかも無動力船漁家の漁業所得というのが非常にこれは低いんですね。三十七年度で十六万五千円、ところがその前までは大体十万円か、あるいは十万円をちょっと上がったところにいっておるわけです。このように非常にたくさんの無動力漁船漁家が存在しておる。しかもその漁業所得が非常に低いということ、それからそれに加えて兼業の依存度がそういう無動力漁船漁家においては高いんですけれども、地域的な環境などからして、この第二種の兼業農家と比較してみても、漁業外の所得というものが、これもまたあまり高くないのです。つまり低いのです。こういう無動力漁船漁家の存在というのが、非常に沿岸漁業の全体の足を引っ張るというような形になっておるんじゃないか、そういうように思うわけです。そうすると今後の対策としては、ひとつ沿岸漁業の中の漁船漁業が非常に不利である。ところが、その漁船漁業の不利な条件の中でも、なおもっと不利な条件に置かれておるのは、無動力漁船漁家なんですね。そうすると、これの対策をどうするかということが、一つの大事な問題になってくるんじゃないかと思うんです。それに対する対策というものを今後どう考えていくか、このことをひとつお考えがあれば承ってみたい。もちろん、先ほど御指摘になりましたようないろいろな原因から、漁船漁業というものの不振だということはわかりますが、その中で特に問題点のあるのは、重ねて言いますが、無動力漁船漁家の多数の存在と、それの所得が非常に低い、こういうことになってくると思うんです。その対策をひとつお聞かせ願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/34
-
035・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御指摘のように、十四ページの「階層別、漁業別の沿岸漁業経営数の変化」という表によりますと、漁船漁業といたしまして、三十七年度が全体のウエートの七一%、定置なり地びき網が四四%、養殖が二四・四%、こういうようになっております。これは二十八年に比べますと、漁船漁業八〇%のウエートが七一・二に下がっている。それから定置が六一が四・四%に非常に減っている。それから養殖の一三・九%のウエートが二四・四%というふうに非常に経営数が伸びている。こういうふうに動向では示しております。これが、御指摘のように、三十ページの漁業所得の推移という表のII−6というのを見ますと、やはり無動力、三トン未満と三トンから十トン未満、こういう階層別漁業所得というものの年次別変動を掲げておるわけでございますが、こういうふうに、これは全国平均のマクロの数字でございまして、地区によりましては、これよりいいのもある、また悪いのもあるというふうに言えると思いますが、そういうふうに、御指摘のように無動力階層というのが相当のウエートを占めておりますし、また、その漁業所得というものがどうしても低いということは、御指摘のとおりであります。それで、これにつきましては前の十三ページの表をごらんになりますと、「沿岸漁業の経営数の年次別変化」というのがございまして、二十八年を一〇〇といたしますと、無動力階層というものは非常な急カーブをもって減少をいたしております。それから定置網も減少しておる。それから、五トン以上の沿岸漁業で十トン米満の階層も、これは経営の面から見ると相当の不利な条件にあるというようなことで下がってきておりまして、大体三トン未満から五トン未満、こういった面がやはり経営の面で非常に有利だということで増加いたしております。これは労働力の問題もありまして、いわゆる、昨日御説明いたしましたように、家族労働力の完全燃焼をはかる、こういった面で三トンなり五トン階層というものが伸びているわけでございます。無動力はやはり減ってきつつあります。われわれといたしましては、やはり無動力漁船が全体の傾向としては動力化いたしておりますが、動力化して漁船建造をするという面につきましては、公庫の低利資金なりの融資を重点的にやるというようなことで、こういう面がこの表にもあらわれてきて、三トンなり五トン未満層がふえている、こういうことが言えるんじゃないかと思いますが、今後ともやはり無動力漁船の動力化し動力もディーゼル化という、こういった点につきまして、また新しい電探とか新しい網の導入、そういうことにつきましても、公庫融資というような面で促進していくということをやりたいと思いますし、また構造改善におきましても構造改善の近代化、助成事業の対象としてそういう面のレベル・アップということに努力いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/35
-
036・矢山有作
○矢山有作君 漁業における対策自体としては、そういう方向に向かっていくと思うのです。ところが、最近の先ほども御指摘になりましたように、経済成長という関連で、労働力がかなり流出しておるという問題も出てきておるわけですね。そうなると、ただ無動力漁船が減っておるから、さらに無動力漁船を減らしてこれを動力化し機械化し、能率をあげていくということの対策だけでは、現在の漁場の条件から見てやはり問題が残ってくるのじゃないかと思うのです。そうなると、やはり沿岸漁民の、しかも零細な状態に置かれておる沿岸漁民の転業といいますか、そういう対策をかなり重視して考えなきゃならぬのじゃないか。この点はきのう小宮委員のほうからもちょっと触れたと思うのですが、その場合に、大体沿岸漁村というのは、地理的にも非常に不便な地位にあるわけですね。したがって、職業転換を求める機会も少ないしまた職業転換をやるために職業訓練を受けていくそういう機会も比較的恵まれていないという問題があるわけです。だから、そこらのところを、やはり今後ひとつお考えにならなきゃならぬのじゃないかということがあります。
それからもう一つは、これは計画の中でもいろいろ考えておられるようですが、ただ単に漁村から零細な沿岸漁業を追い出すのだということだけでは、問題は片づかないわけですよ。その場合にやはり産地に加工の施設等をどんどんつくっていって、それに浴岸漁民を安定した形で就労さしていくと、こういうことも同時にやはり考えていただかなきゃならぬ問題じゃないか、これを一つ思うわけです。
それからもう一つは、漁場の条件の問題については、あとから触れたい思いますが、確かに漁場条件をよくしようということで、構造改善事業が進められております。ところが、構造改善事業を進めて漁場条件をよくするとともに、もう一つ考えなきゃならぬのは、最近は非常に漁具が整備され、漁法も進んできた関係で、かなり略奪的な漁業が行なわれているのじゃないか。そうすると、幾ら漁場の整備をやっても、略奪漁業が行なわれるのを放任しておいたのでは、これはやはり構造改善をやったといっても、漁場を整備し、魚族資源を確保していくと、それによってまあ沿岸漁民の生活向上にも資するのだということにはならぬと思うわけです。だから、そこではやはり魚族資源の枯渇を防ぐために構造改善をやると同時に、もう一つは何といいますか、略奪漁業を何とかして防止すると、こういうことを具体的に考えていかなきゃいかぬのじゃないか、こう私はまあ考えているわけですがどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/36
-
037・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 一々適切な御意見だと存じます。まあ、職業の転換等につきましても、あるいは消費地にももちろんつくりますが、産地にも加工設備等を本年度の予算等においてもつくる予定を持っております。
漁場の整備、漁場条件でございますが、漁場条件と同時に、資源を枯渇するようなことのないように再生産といいますか、そういうことを配慮していかなくちゃならぬと思います。なお、最近青年の組織が御承知のようにできておりまして、非常にそういう面でも漁場を守り、漁業を伸ばしていこうという動きがあるのは、非常に私は喜ばしいと思っております。そういう方面も助成していきまして伸ばしていきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/37
-
038・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 ちょっと関連して長官にお伺いしたいのですけれども、今度の報告の中で非常に興味があるといいますか、非常に関心のある問題は、先ほどのお話の五トン以上十トン未満の動力船が減ってきているわけですね。そうして三トン未満がふえてきている。それから収支の状況を見るというと、五トン未満のほうは成績がよろしい、五トン以上十トン未満のほうは比較的よろしくないというふうなのが出ているわけですね。これは先ほどの御説明では、五トン未満とか三トン未満のものだと、家族労働力の完全燃焼というのでいくのだ、五トン以上十トン未満になると、雇用労働力が必要だ、その関係でそういう現象を出してきているのだというふうに御説明があったのです。そういう趣旨にも説明されたのですが、そこのところは、ほんとうに五トン以上十トン未満というふうな層は、どうしても雇用労働力でなければ、いわゆる家族労働力完全燃焼じゃいかない性質のものなのか、あるいは別に五トン以上十トン未満という、そういう層の漁業の対象ですね・漁業の種類というのですか、そういうものからくる原因があるのか、どういうところにほんとうの原因があるのであろうか。普通のあれでいいますと、これまでは五トン未満じゃあまり小さいから、できる限りある程度規模を大きくしていくという一つの常識があった。それから五トン以上十トン未満程度じゃ、どうもこれはうまくいかない。これは、陸上のほうは、農業のほうとは違いますけれども、農業と非常に性質が違うのだけれども、一町見当から一町五反見当はおもわしくない。かえって小さいほうが、兼業農家とかいろいろな関係で経営上よろしいということがある。それとは違いましょうけれども、五トン以上十トン未満というのが減ってきまして、かえって下のほうがふえていく。下のほうがふえるのは、ある程度わかる、無動力が動力にかわってくる。しかし、収支の状況といいますか、これの比較においても片一方のほうがいい、ちょっと中くらいのやつが悪いというところを、労働力の観点からだけ見ていいのかどうか、その点をひとつお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/38
-
039・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御指摘のように、五トン以上十トン未満というのが減っております。先ほど労働力の面から私この一面を申し上げたわけでございますが、それだけでは不十分と思います。報告の三十三ページにも「五トン以上十トン未満層は、三トン以上五トン未満層にくらべ、一人当たりの資本装備率が高く、したがって一人当たり付加価値も高いが、売上利益率、企業利潤率等では逆に少なくなっている。」これは五トン以上十トン未満層は、三トン以上五トン未満層よりも漁業収入は高いが漁業支出、利子支出が一そう高いからである。このような事情が五トン以上十トン未満の経営の減少の原因の一つとなっていると思われるということで、こういった経営の面からいわゆる漁業支出なり、あるいは設備投資のための借り入れが多いということで利子の支出が多いということが、大きく言われまして、企業利潤なり利益率が下がっているということもあって、経営の面からも、五トン以上十トン未満層が三トン以上五トン未満層に比べて不利であるということが指摘されるわけでございます。ただ、これはやはり技術の問題も非常にあるわけでございまして、雇用労働力の確保なり、あるいは最近におきまする賃金の値がりが非常にあるということで、労働力の確保もできにくいし、また雇った賃金も、労働者の賃金も非常に高いということで、それが経営面を圧迫するということもあって、やはり家族労働三人ないし四人といったところで完全燃焼するには、三トン未満、あるいは五トン未満が非常に適切であるということが、現状の技術段階ではいえると思います。さらに省力化の技術といったものを入れれば、もっと大きな船で、家族労働だけでもこれを完全燃焼していくというようなことができると思いますし、今後のそういった沿岸の漁船漁業の発展のためには、そういう技術を導入するということも必要であろうと思いますし、それによりまして、やはり漁場条件もからみますが、大型化したもので、家族労働で大型化したものを経営し得るということも言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/39
-
040・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/40
-
041・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/41
-
042・矢山有作
○矢山有作君 長官が指摘されましたように、なるほど三トン未満、あるいは三トン以上五トン未満のがふえているということは事実です。ところが、私も言おうと思ったのですが、梶原さんのほうから指摘されたように、これはただ三トン未満層がふえておるとか、あるいは三トンから五トン未満のものがふえておるということだけで、私は沿岸漁業の状態がよくなっていっておるのだというふうに考えてもらっては困ると思うのです。なるほど、沿岸漁業の中でも一番底辺をなくしておる無動力漁船というものは減っていっておるわけです。ところが、それが三トン未満のもの、あるいは三トンから五トン未満のものが動力化されていって、かなりその技術というものは向上されていき、多少省力化されていくというような改良の面は見られるにしても、あなたが御指摘になったように、実際の所得の面では、これはその漁家が安定するというところには及びもつかないような状態になっているわけです。それは何かというと、やはり問題は魚族資源、漁場条件の問題になってくると思うのです。それをあなたは漁業の構造改善事業でやると、こうおっしゃっているわけです。ところが、私はそれが漁業の構造改善事業だけで片づく問題でもないと思う。これは漁場の確保の問題ということになりますと、後にまた触れたいと思うのですが、漁場のいわゆる荒廃の問題ともからんできます。それから魚族資源をいかにして確保するかという問題も出てくる。その一つとしては、やはり、先ほど私が言ったような略奪無法を厳に戒めていくと同時に、魚族資源をふやしていくような努力も一面には要るわけです。ところが、それと同時に、それだけでも、私は、まだ解決しない。それにはやはり、先ほど言ったような水産加工施設等をつくり、そういう方面に安定した雇用の道を見出していくとか、あるいはそれ以外の他産業への安定した雇用の道を開くための施策を充実さしていく、こういうことも考えなきゃならぬと思うし、それからさらに、中小漁業への転換、あるいは遠洋漁業との問題も出てきます。そういうふうに総合的に広く考えて解決せぬと、私は解決はできぬのじゃないかと思います。そういう点を考えると、今度の白書のように、問題点を指摘していただいただけでは、はたしてそういう問題はどこでどういう原因で起こったのか、だからそれの対策のためには、どうしなければならぬのかということが出てこないわけですね、これだけじゃ。それで、私は最初に年次報告のあり方を指摘したわけです。そういうことなんで、ひとつ、今後無動力漁船が減って、三トン未満なり三トンから五トン未満の漁船が動力化されていっておる、その中で沿岸漁業の振興があるんだというふうな単純な考え方でなしに、今後の沿岸漁業の問題については、さらに一そうの御検討をいただき、その振興のための対策を打ち出していただきたいと思います。
きょうは大臣がおられませんので、あとどうしても大臣に聞かなきゃならぬ問題がありますので、きょうは私はこれで打ち切らしていただいて、また大臣が見えたときにお伺いしたいと思うんです。といいますのは、あとは国際漁業との関連の問題なり、あるいは漁場の荒廃の問題に関連してきますので、それは現在ある法制度をどうしていくかという問題とも関連が出てまいりますので、これはぜひ大臣のほうから御見解を承りたいと思いますから、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/42
-
043・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後三時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00919640228/43
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。