1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月五日(木曜日)
午前十時五十八分開会
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委員の異動
三月四日
辞任 補欠選任
赤松 常子君 基 政七君
三月五日
辞任 補欠選任
基 政七君 赤松 常子君
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出席者は左のとおり。
委員長 中野 文門君
理事
北畠 教真君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
委員
久保 勘一君
笹森 順造君
中上川アキ君
秋山 長造君
小林 武君
柏原 ヤス君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
文部大臣官房人
事課長 安達 健二君
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本日の会議に付した案件
○文化功労者年金法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○私立学校振興会法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/0
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。三月四日、赤松常子君が委員を辞任され、その補欠として基政七君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/1
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002・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、文化功労者年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法律案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/2
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003・秋山長造
○秋山長造君 この質疑の前にちょっと文部当局に対して御注意と御要望を申し上げたいと思います。といいますのは、先ほど開会前に各委員からいろいろ懇談的に御注意があったので、お考えにはなっていると思うのですが、大事なことですから、あらためて申し上げたいと思います。といいますのは、文部省提出の資料についてでありますが、実はこの国会が一月休会明けになりました当初だったと思いますが、豊瀬委員から文部省に対して、文部省関係の資料の提出が非常に消極的だ、二回も三回も要求をしてやっと出てくる程度で、自発的にいろいろ文部省から資料を出されたことがあまりないじゃないかという強い発言があったことを私記憶しておるのです。ところがその後、今日までずっと私ども見ておりまして、依然としてその資料を出し渋られるといいますか、資料の提出ぶりが非常に消極的と解釈するよりしようがないような状態です。たとえば、先般、衆議院の文教委員会でおそらく要求されて出されたと思いますが、三十九年度文部省予算の説明というこういう資料をつくられたわけなんです。ちょうど大蔵省が三十九年度予算の説明というこういうパンフレットをいつも例年配っておりますね、あのいわば文部省版だと思うのです。そういうものでもおそらく衆議院の文教委員の人には配られたと思うのですけれども、われわれには待てど暮らせど何もそういうことはないのですね。そういう事実を御承知かどうか、それも聞いてみなければいけませんが。それからいま問題になっております文化功労者年金法の一部を改正する法律案についても何も資料はないので、ただこの法案を出されただけで、おそらくあなた方のお考えでは五十万を百万円にするのだと、金額を倍にすることについての可否さえ議論してもらえばそれで済みだというふうに簡単に考えられての上でのことかどうかそれは知りませんが、やはり大体こういう法案を出される以上は、ただ五十万を百万円にするだけについての議論で終わるわけではないのですから、こういう法案を出される機会に、やはり文化功労者という制度全般についてのいろいろな問題、その他こういう関係のいろいろな問題があるわけなんで、いつでもというわけにいかないから、こういう法案が出た審議の過程で、いろいろなこれに関連した問題についてやはりわれわれも質問したいし、また政府なり、文部大臣なり、文部省なりの御見解をも伺いたいので、ですから出ている法案そのものは一行半ほどの法案でも、論議する内容はいろいろ幅広くあるわけなんで、そうなればあなた方としても当然この法案の審議についてはこういう資料が要るだろう、ああいう資料が要るだろうくらいのことは常識として予想できるわけですから、それは予想できぬ資料もありますよ、やはり委員から要求されて初めてつくられる資料もあるけれども、そこまで言わない。当然予想できる資料くらいはあらかじめわれわれの手元に配付されるくらいの親切みがあっていいと思う。親切というより、当然あなた方の責任じゃないかと思うのですがね。それはさっき委員長からちょっと注意をされて、要求されて、それで大急ぎで文化功労者名簿というものが間に合わせに配られた程度でしょう。またこのほかにも、文部省でつくっておられる資料として文化功労者の選考委員の名簿なんというものもあるわけでしょう、そんなものぐらいはわれわれが特に要求しなくとも、法案を出している以上はそれに関連した資料としてこれは積極的、自発的に出されるべきだと思うのですよ。そういう態度がどうも認めがたい。私どもは率直に言って非常に不満です。ほかの役所のことと一がいには比較になりませんけれども、私どもいろいろな委員会なんかずっとやってきまして、これはもうまことに言いづらいことだけれども、非常に文部省は消極的なんですよ、資料を出されるととについて。これはたとえば、常識的に一番機密事項の多いように思われる防衛庁だとか、警察庁あたり、こういう役所だって通り一ぺんの、通り一ぺんと言っては語弊がありますけれども、一通りの資料というものは要求しなくても、法案を出すときには前もってどんどん出しますよ。予算委員会なんかに毎日配られている資料だって、ずいぶん込み入った資料を、別に委員から特に要求しなくとも、各役所から配ってどんどん出しておられる。ですから、文部省もなるべく資料は特別に要求のない限り出さぬ、要らぬことは知らせぬ、こういう何かひとつの内規のようなものでもあるのなら別ですけれども、あるのならあるということをおっしゃっていただきたい。それがないなら、もっとやっぱり積極的にいろいろな関連した資料というものを出して、そしてわれわれの審議というものにやはり協力してもらいたいと思うんですがね。これは今後のこともありますし、それからこういうことは再々言うのも、言うほうもいやですから、特にこの際ですから申し上げておきますが、もっといろいろな資料出して下さいよ。これだって委員長から要求されてやっとこれを大急ぎで出してくるというような態度は私は非常に遺憾ですよ。もっとひとつサービス精神を持ってください。これはほんとういうとサービスじゃない、あなた方のつとめですよ。あえてサービス精神と言いましたけれども、サービス精神を持って出してくださいよ。いつか豊瀬君が、さっき言ったように、文部省関係の出版物なんか、できるだけそのつど国会議員の文教委員に配ってほしいというようなことを、例をあげて地方からの出版物なんかについて言うたことあったでしょう。あれだってその後ナシのつぶて。われわにただの一部も一冊も配られたことがない。そういう態度を改めていただきたい。もっともっと積極的にいろいろな資料をわれわれに提供していただきたいということを特に注意し、また希望しておきますから、それに対する御見解なり何かあったらこの際承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/3
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004・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) いま秋山先生からお話がありましたことを弁明しようとは思いません。全く御指摘のとおり、決して意識的に消極的になっておるとは毛頭考えておりませんけれども、なお配慮の足らざるところがたくさんあったと思いますので、十分注意をして、おざなりな言葉ではなしに、積極的に出すように私のほうからも注意し、御要望に沿うようにしたいと思います。なお、三十九年度の予算の資料、説明書というのは、衆議院のほうでそういう要請があって、ちょうどそのとき私出ておったものですから——その前に、私も文部省に入ってみて、農林省あるいは大蔵省、各省が全部やられておるようでもないようでございますけれども、農林省あたりでやっておる資料は非常に参考になる、これはただわれわれだけの参考ではなくて、その他一般で特に知りたがっておる向きもあるわけでございますので、作成するように言った直後にそういうお話が出てきたのであります。至急に調製をして、初めてのことでございますので理想的のものはできておりませんけれども、とりあえず、大まかな重要案件というものの解説といったような形で出したわけですけれども、当然、参議院にもお配り申し上げておるつもりであったのでございますけれども、きていないようでございますので、全く粗漏でございますから、急いで、これこそ準備ができておることでございますので、至急に配らせるようにいたします、まことに申しわけないと思っております。今後気をつけます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/4
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005・秋山長造
○秋山長造君 重ねて、次官そうおっしゃるから申し上げるんですが、特に文教関係の問題というのは非常に幅も広いし、それから根も深いわけなんで、だから文部省だけが、文部省という建物の中に閉じこもっていろいろやられるだけで満足に解決のいく問題じゃないと思う。これは国民各階層はもとより、国会にしても、文教だけじゃなしに、すべての国会議員、衆参すべての方面の人たちに理解を深め、また協力も求めなければ、満足に文部行政というものが進んでいくわけじゃないから、ですから、そういう、いまおっしゃるような、文部省としてはよその役所でもやってないような、いわば画期的な初めての試みくらいでやられたのなら、なおさら、いち早くわれわれに配るのはもちろん、文教委員以外の国会議員なんかだって、それくらいの予算はあると思うのですよ、文部省に。金がないからできぬというのなら別ですけれども、そのくらいのことはPR資料にもなるのですから、全国会議員に配るくらいの熱意を示してもらいたいと思う。とにかく要求されたら要求された人だけにちょろちょろと出しておいて、あとは知らぬ顔、そんな消極的な態度ではいけないのですよ。それではやはり文教行政というものがほんとうに国民のものにならぬと思うのです。どうも私らから見ますと、ひが目でなしに、何か秘密主義と言うたらちょっと適切でないかもしれぬけれども、何か一つのからの中にじっと閉じこもって、あまり外にあけっぴろげというようなこと、知らさないというような感じにどうもとれるのです、文部省のやり方というものは。それはやはり文部省自身にとってプラスにならぬと思うのです。もっともっとあけっぴろげで、虚心たんかいにいろいろな方面に資料も提供し、情報も提供し、同時に協力を求める。そしてまた文教予算のこの問題なんかについても、広く各方面の総合的な協力を足場にして、そうして充実していくというような状態に切りかえてもらいたいと思うのですが、私はほんとうに文教行政を思って御注意することなんですから、だから、すなおに聞いていただきたいと思う。どうぞぜひひとついままでの態度を改めていただきたい、重ねてお願いしておきます。徹底さしておいてください。もう一度ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/5
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006・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) 了承いたしました。真心こめてそういう努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/6
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007・秋山長造
○秋山長造君 いまの資料は至急に配ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/7
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008・中野文門
○委員長(中野文門君) これは委員長からも申し上げますが、ただいま秋山委員の申されたことですが、文部省関係の出版物等で、そう経費のかからぬものは、なるべく文教委員のほうへ御配付願いたいと思いますし、さらに衆参両院の国会の各種委員会等に、文部省関係のまとまった資料等を配付する場合には、その機会に、当院の文教委員会のほうにも原則としてお配り願うことが非常に望ましいと思います。よろしくお願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/8
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009・秋山長造
○秋山長造君 ただいま議題になっております法律案について若干御質問を申し上げたいと思います。
まずお尋ねしたいのですが、一般的に言う文化功労者に対する優遇方法としてはどういうことがあるのか、ひとつ網羅的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/9
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010・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 文化功労者につきましては、功労者として顕彰いたしまして、そうしてその行なわれましした功績に対しましてこれを顕彰し、なお優遇措置として、従来年額五十万円の年金を支給してまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/10
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011・秋山長造
○秋山長造君 私の質問がちょっと誤解を与えたと思うのですが、それはもちろんこの法案に書いてあることですから、いまの点はわかっていることなんですが、そうでなしに、文化功労者年金ということに限らずに、いろいろな名目で文化上の功労者に対する優遇の方法が国の制度として講ぜられておりますね、文化勲章もその一つであろうし、そういうものがどれだけあるのかということを列挙的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/11
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012・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) この文化功労者につきましては、ただいま申し上げましたが、なおこのほかに文化勲章の制度もございまして、現在は文化勲章を受けられた方は同時に文化功労者の中に選ばれるという措置がとられております。したがって、文化勲章を受けられた方は文化功労者として年金を受けております。なおそのほかに、学術上の功績の顕著な科学者を優遇するために日本学士院というものがございまして、その学士院会員になりまして、そうしてこれも年金が支給されております。また、芸術上功績の非常に顕著な芸術家を優遇するために芸術院会員制度がございまして、このほうも年金制度になっております。そのほかなお褒章制度がございまして、藍綬、黄綬、紫綬という褒章制度もございまして、これで国家的な顕彰をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/12
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013・秋山長造
○秋山長造君 いまおっしゃったもののうち、年金を伴うものとしては文化功労者、それから学士院会員、それから芸術院会員、この三つですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/13
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014・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 年金はそれだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/14
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015・秋山長造
○秋山長造君 この文化功労者に対する年金と、それから学士院会員に対する年金、芸術院会員に対する年金というのは公的な性格はこれは同じものなんですか、違うものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/15
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016・安達健二
○説明員(安達健二君) 性格的に申しますと、文化功労者年金は賞金的な性格を持っているものと考えております。それに対して芸術院会員あるいは学士院会員に対して支給されます年金は、優遇措置ではございますが、賞金というよりは、その方々の生活をより豊かにして、長年の功績に報ゆるという意味合のものでございまして、優遇措置であることにつきましては共通でありますが、年金という性格はある程度異なるものと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/16
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017・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、芸術院会員や学士院会員の年金というのは、生活給といって適切かどうかわからぬが、とにかくそういう生活費を見ていく、生活費の幾ぶんかでも国の手で見ていこう、こういう性格のものだというように解釈したらいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/17
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018・安達健二
○説明員(安達健二君) 生活費と申しますと、ちょっと実態と違うと思うのでございますが、これらの芸術院会員なり学士院会員の方々の生活をより一そう豊かなものにするということでございまして、生活費の補助ということじゃなくて、生活費にさらにプラスアルファするものと、こういう意味合いと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/18
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019・秋山長造
○秋山長造君 文化功労者のほうは年金は従来五十万円だったのですが、芸術院、学士院は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/19
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020・安達健二
○説明員(安達健二君) 現在は四十万円でございますが、三十九年度からこれを五十万円にいたすべく予算を提出いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/20
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021・秋山長造
○秋山長造君 芸術院、学士院の年金を幾らにするというのは、これは法律事項じゃないですね。文化功労者のほうは法律事項になっておるのですが、そこら辺、何ですか、やはり文化功労者のほうが格が高いから法律事項に特にしているのですか、何か特別の理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/21
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022・安達健二
○説明員(安達健二君) 学士院につきましては、日本学士院法という法律がございまして、その法律で予算の範囲内において年金を支給すると、こういうことになっておるわけでございまして、一方、文化功労者のほうは年金額を法律できめておられる、こういうことでございまして、立法政策の問題でございまして、おそらくは文化功労者という制度自体が、国の文化に果たす役割りがより一そう高いというような観点からさようになっているとみなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/22
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023・秋山長造
○秋山長造君 それからもう一つこの機会にお尋ねしておきたいのですが、学士院のほうは学士院法という法律でこまかいことまできめていますね。学士院といわば対をなしておる芸術院のほうは、こまかいことは全部政令事項になっているのですね。そこら辺は何か沿革的に理由があるのですか。どういうわけでそういう片ちんばなかっこうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/23
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024・安達健二
○説明員(安達健二君) これは必ずしも明らかでございませんが、芸術院につきましては文部省設置法の第二十五条で規定がございます。学士院法は同じく二十五条の二でございますが、くわしくは日本学士院法の定めるところによると、こういうことになっておるのでありまして、学士院法のほうがこういうような法律の形式をとって、法律をもって詳しく規定しておるということは、おそらくは学術会議との関連その他からこういうようになったんじゃなかろうかという沿革の点でございまして、特に性格上違うということはないと、まあ大体想像いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/24
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025・秋山長造
○秋山長造君 想像といって、あなたがその法律をつくったときに当事者じゃなかったからそうおっしゃるのかもしれませんが、いずれにしても、これができたのはそう大昔じゃないでしょう。ここ十年か十年前後くらいというようなことでしょうが、そこらの経緯が、文部当局から想像に基づくような御答弁しか聞けぬということは私はおかしいと思うのですが、何かその程度のばく然とした理由しかないのですか。どうしてこういうような形になったか。それはかくかくしかじかだというきっぱりした答弁はできぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/25
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026・安達健二
○説明員(安達健二君) 私どもときどき先生のような感覚で前の人に聞いてみるわけでございますけれども、大体沿革的なそういう理由だというように伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/26
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027・秋山長造
○秋山長造君 学士院にしても、芸術院にしても、事務局があるでしょう、それで院長その他の役員もおられるわけでしょうからね、別に内容的に学士院のほうが非常に世帯が大きくて芸術院のほうはただ肩書きだけのものだということじゃないだろうと思う。大体似たような組織なり何なり持っていると思うのですがね。だとすれば、やはり大体ほぼ両方つり合いのとれた形にしておいたほうが、ていさいもいいんじゃないかと思うし、実際の運営上からもそのほうがいいんじゃないかと思うのですが、別に、たとえば芸術院法というような独立した立法をおやりになって、そして芸術院というようなものをもっと充実をしていく、そして一国の芸術行政といいますか、というようなものをもっと豊かなものにしていくというお考えはないのかどうか、これは政務次官からお考えを聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/27
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028・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) 的確な準備をしておりませんので、御満足のいくようなお答えができかねるかと思いますけれども、先ほど人事課長が申しましたように、立法当時の経緯というものも、いま言ったような経緯でございますわけでございますが、しかし、秋山先生のおっしゃるように、文化功労者、芸術院会員というもの、それはやはり文化、芸術に寄与するという点において、日本のトップレベルであることは間違いないわけであります。その意味で、おっしゃることにつきましては検討を要する課題ではないかと思いますので、あとでよく検討いたしまして善処をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/28
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029・秋山長造
○秋山長造君 実は私、前に一度、灘尾文部大臣から直接お伺いしたことがあるのですけれども、灘尾さんとしては、どうも現在の芸術行政といいますか、そういう方面の行政というものが非常に不十分だ、したがって、何とか芸術行政というようなものをもっと幅広く豊かなものにしていきたいのだというような抱負を承ったことがあるのです。であるから、ちょっとお尋ねしたのですが、これはいずれまた次の機会にでも大臣に直接お伺いしてみたいと思っています。
それから、従来五十万円を賞金的な性格を持つ年金として支給しておられたわけですが、この五十万円は当初から五十万円だったのか、途中で何か増額されたとか、そういう過去の経緯をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/29
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030・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 文化功労者年金が制定されましたのが昭和二十六年の四月でございまして、当時からやはり五十万円でございます。この五十万円をどうして算出したかということは、手取り額を当時三十万円として、それに当時の税額を加えて積算した額でございます。当時は課税所得でございましたが、三十七年度以降は非課税になっております。今日まで五十万円でまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/30
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031・秋山長造
○秋山長造君 三十七年度から免税ということになっているのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/31
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032・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/32
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033・秋山長造
○秋山長造君 二十六年の発足当時の五十万円ということを決定されたのは、手取り三十万円にあと税金ということで五十万と決定されたということですが、それはやっぱり何かの基準があってきめられたわけですか、それともいきなりぽっと五十万という数字が飛び出してきたのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/33
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034・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) いまの手取り三十万円という金額の算出の基礎は必ずしも明確でございません。が、この金額は当時の国家公務員の俸給にいたしますと、当時の十四級六号俸に相当するものでございまして、これは本省の局長の最高額に相当する金額になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/34
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035・秋山長造
○秋山長造君 今度百万円ということになった場合、やはり当初の一つのものさしになったと言われる局長の最高額というのはどういうことになるのかわかりませんか、高いですか、低いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/35
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036・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) これを現在の給与に切りかえますと、本省の局長の最高額、当時の十四級六号俸に相当する金額が現在の俸給表では行政職(一)の二等級六号俸に相当いたします。これによって年額を計算いたしますと百二万七千円に相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/36
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037・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、やはり今度五十万円を倍にして百万円にされた経緯の中にも、いまおっしゃったような局長最高額が現在大体この程度だったということで、それとほぼ同水準ということで百万円ということにされたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/37
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038・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 大体さように心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/38
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039・秋山長造
○秋山長造君 大臣が御出席になったので、さっきの御質問をもう一度繰り返したいと思うのですが、私のお尋ねしたことをもう一度繰り返しますと、いま政府の手でやられております文化上のいろいろな優遇措置というものを大体分けてみますと、文化勲章、それから文化功労者、それから日本学士院会員、芸術院会員、それからさらにその他の褒章制、大体こう五種類ぐらいある。そのうち文化勲章、文化功労者等ももちろん関連するわけですが、学士院とそれから芸術院というものがおそらく組織としては最高のものだろうと思うのですが、そのうち学士院のほうは日本学士院法という独立した法律ができて、それに基づいて機構、運営、その他のこまかい点に至るまできちっと規定されている。ところが芸術院のほうは全部政令事項になっているわけです。ただ、文部省設置法の二十五条で、文部大臣の所轄のもとに日本芸術院を置くということがきめられているだけで、内容、運営、組織、その他すべて政令にゆだねられている。で、どうもその点だけから見ますと、芸術院のほうが、学士院に比べて何か影が薄いような感じを受ける。また、別の面から考えますと、特に日本の場合、これはもう学術ももちろん大いに振興していかなきゃならぬが、同時に、芸術の振興といいますか、尊重といいますか、これも非常に日本文化の特殊ないろいろ伝統もあるわけでして、芸術の振興といいますか、尊重ということは非常に重要な国策だと思うのです。特に大臣は、どうも国のやっておる芸術行政といいますか、美術行政といいますか、そういうものが非常に不十分だと、大いに芸術行政、美術行政についてはもっともっと力を入れて、従来の旧套を打破して積極的に進めていかなきゃならぬというような抱負を持っておられるように従来承ってきておるわけですが、まあその芸術行政、美術行政についての何かこういうことをやるのだ、やりたいのだという具体的な抱負があれば、この際承りたいことと、それから同時に、そういうもののいわばまあ法的な裏づけにもなるわけですが、芸術院というものを、学士院と同じように一つの独立した立法をやって、そうしてその内容を充実していくというようなお考えがないかどうかというような点についてお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/39
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040・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在の芸術院と学士院、いずれも文部省設置法によって設置せられておるわけでございますが、その基本的な措置について、学士院のほうは法律によっている、それから芸術院のほうは政令によっているということについての御不審であろうかと思います。この点は、私も実はどういうわけでこういうふうな区別がついておるのであろうかということを思ったことがあるのでございます。まあ主として沿革上の理由じゃないかと、このように考えておる次第であります。芸術院が政令であっても、あるいは学士院が法律であってもその価値に変わりはない、どちらも日本の最高の学術、あるいは芸術に関する機構である、このように考えておりますので、しいて立ち入った検討をしたことも実はいままでなかったのでございます。お話の点につきましては、なおよくひとつ検討さしていただきたいと思います。正直なところ、実はあまり立ち入って、従来その点については検討したことがなかったのでございますが、検討さしていただきたいと思います。
なおまた、美術についての抱負ということでございますが、私もしろうとでございますので、特に深くこうしたい、ああしたいということじゃございませんけれども、しかし、日本が文化国家として進んでまいります上において、いかにも美術とか、あるいはいわゆる文化というふうなものに対する行政が手薄なんじゃなかろうかということを始終思っておりまして、まあ予算をごらんになりましてもおわかりになるように、文部省のいわゆる芸術に関する行政というものは、きわめてまだ手薄なものであるということを思いますので、芸術の振興をはかるということにつきましても、芸術院を置いたとか、あるいは芸術院賞を出すとかいうだけでは、いかにも貧弱じゃないか。また、各種の展覧会等につきまして、ときに文部大臣賞というようなものを出しておりますけれども、ただ、それだけのことで、やはり美術を振興するとか、芸術を振興するという場合には、美術家あるいは芸術家のことについても、何らか行政的に考える余地はないものだろうかというような点を思うものであります。あるいはまた、外国との芸術、文化等の交流を行なうに際しましても、いかにも日本の体制というものが不十分ではなかろうか、このようにも思うのでありまして、もう少し積極的な行政ができるような仕組みにしなければいけないのではないかと、この程度を考えておるわけでございます。
日本に、はたして美術行政があるのかということになりますと、いかにも貧弱という気がしてならぬのであります。諸外国の例等も、ひとつ十分勉強さしてもらって、将来その方面の充実をはかってまいりたいものだというのが、私の心持ちでございますが、なかなかそこまで手が回りかねておるのが、今日の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/40
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041・秋山長造
○秋山長造君 私も全然しろうとですけれども、芸術関係なんかでは、日本の水準というのは、おそらくフランス、イタリアあたりと比べて、別に遜色がないくらいな水準じゃないかと思うのです。フランスやなんかでも、特にこういう問題を専門に扱う役所だって、独立して相当権威を持った役所があるということも聞いておるわけですが、それに比べると、いま大臣がおっしゃったとおり、どうも芸術院賞とか、学士院賞とか、あるいは文部大臣賞とかいうような程度であって、子供だましといってはちょっと語弊があるけれども、まあそんなもんですわね。何か一貫した一つの国家的なスケールを持った美術行政、あるいは芸術行政というようなものは、これはないわけです。それからまた、一国の政治上の大きな課題なんかに取り上げられたこともない、そういうわけで、いわば好事家の骨とう趣味みたいなところに追いやられておるというのが、実態じゃないか、これではやはり、ほんとうに文化国家というような根がおりてこないと思うのです。
それには、いろいろやることはあるでしょう。金の面からも、機構の面からも、またやり方についても、これは根本的にひとつ、いままでのやり方を再検討されて、相当強い決意を持って、見識を持って、大臣がおやりにならなければ、なかなか実効を伴わぬと思いますが、その一つの出発点として、それはいまも大臣がおっしゃったように、政令事項であろうと、法律事項であろうと、そんなことで別に、学術と芸術との間に甲乙の差別をつける毛のじゃない、それはそのとおりだと思うが、しかしそのとおりならば、なぜ片一方は、法律で詳しくきめ、芸術院のほうは、一行か二行のこの文部省設置法でお茶を濁しているのかという反問もできるわけなので、やはり芸術院についても、学士院のとおりにせいというわけでは別にないんですけれども、芸術院については、もっともっとそのあり方、その果たす機能というようなものについても、ただ、何か芸術家の隠居所みたいな感じでなしに、もっともっと生きて動いて、新しい時代の芸術を指導していくというような、生きた機能を期待したい。
そのためには、たとえば芸術院法というような独立した立法をやられて、そうして芸術院というものを法律の面からも、かちっと確立していく、充実していくということが、内容の検討とともに、ぜひ必要なんじゃなかろうかというように思うのですが、これは、灘尾大臣がおやりになる文教行政の中の最大の課題の一つとして、ぜひこの機会に、竿頭一歩を進めるということじゃなしに、これは数歩進めていただきたいというように期待しておるのです。重ねてお伺いしますが、その点についての御見解をもう一度承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/41
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042・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 芸術、文化等に関する行政というものが伸びておらないというふうに私も感じておりましたが、秋山委員の力強い御発言をいただきまして、大いに意を強うするところでございます。私としましては、この方面の行政を将来伸ばしていくために努力もし、研究もしてみたいと存じます。芸術院の問題につきましても、その一環として十分ひとつ検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/42
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043・秋山長造
○秋山長造君 先ほど官房長から承ったのですが、文化功労者の年金五十万円というのは、当初、本省の局長クラスの最高給相当の額ということが、大体一つの目安になって、五十万円ということをきめられた。それから、今度百万円としたについても、大体今日の局長級の最高給が、百万円前後なので、大体、それと照応されて百万円ということをきめられたというようなお話なので、それはそれとして一応の理由が立つことだろうと思うのですが、これはなんですか、百万円というと、文化功労者に対する年金としては、これは適当だ、それでよろしいのだというようにお考えになっているのでしょうか。あるいは、予算関係その他で、ちょっと百万円ではと思いながら、その程度にとどめたということなんでしょうか。また今後、相当の期間にわたって、もうこれで据え置きというようなおつもりなんでしょうか。そこらを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/43
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044・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 文化功労者年金の額が、どのくらいが適当か、妥当であるかということになりますと、なかなかはっきりしたことは申し上げにくいと思うのであります。当初にきめました五十万円という額が、結局一つの標準になってくると思うのであります。そのことから考えまして、だいぶ世の中も変わってきたから、五十万円じゃ、いかに考えても低過ぎるのじゃなかろうか、こういうふうなところから百万円という線を出したわけでございます。的確な根拠があって、これだけなければならぬものが、こうなったのだというふうなことではございません。その程度にひとつ御了承を願いたいと思うのであります。将来、また増額ということもあり得るかと思いますが、さしあたり、しばらくはこれでひとつやってまいりたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/44
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045・秋山長造
○秋山長造君 もう一つお伺いしたいのですが、例年の文化功労者に決定された人の名簿をここにいただいておるわけですが、大体、例年十人前後ぐらいのようですが、これはやはり一つのワクがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/45
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046・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 予算の面におきまして、十人の年金の予算が計上されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/46
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047・秋山長造
○秋山長造君 予算のワクから、人員がはじき出されてくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/47
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048・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 大体、そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/48
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049・秋山長造
○秋山長造君 役所のやられる仕事ですから、万事が予算というところから出発するのもわからぬことはないですが、文化功労者というものが、予算によって人がきまるというのも、ちょっとどうかという感じがするのですが、毎年十人ぐらいということは、つまり文化功労者の予算は、もうふえないんだ、ふやせないんだ、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/49
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050・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) ふやせないということは、もちろん予算の面でございますから、そういうことはございませんけれども、従来からも、大体十人程度ということにしぼってまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/50
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051・秋山長造
○秋山長造君 この法律の文面を見ますと、選考委員会で選考された人の中から文部大臣が決定する、こういうことになっているのですが、選考委員会から文部大臣へ推薦してくる数は、例年どのくらいですか、三十八年度は何人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/51
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052・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 選考委員会でも、大体十名にしぼって文部大臣のほうへ答申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、選考委員会で推薦してきた者を、そっくりそのまま文部大臣が決定するというのが従来の例なんですね。選考委員会で選考された者の中から、何人かふるい落とすとか、あるいは選考者の中に入っていない者を、文部大臣がそれにつけ加えるというようなことは、かつてなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/53
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054・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) かつてございません。選考委員会の選考を尊重いたしまして決定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、やはり選考委員に選ばれる人が、その人選の仕方その他、非常に重要なわけですね。それが決定的なことになるわけです。その選考委員の顔ぶれなんかについて、とやかくの批判なり何なりというものを私どもあまり聞いたこともないのですけれども、従来私どもの受けている感じとしては、この文化功労者に決定された顔ぶれをずっと見てきまして、芸術関係あるいは学術関係、広くいろんな方面の碩学泰斗が選ばれているわけですが、どうも社会科学関係の学者が非常に少ないように思うのですが、こういう席で、たとえ話をして私の思いつきを、具体的な人をあげたりしてお尋ねするのは、ちょっとどうかと思うから申し上げませんけれども、非常に社会科学の関係の学者というのが少ないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/55
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056・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 昭和二十六年制定以来、今日まで百五十七人の功労者が選ばれておりますが、哲学も含めまして人文科学の方が二十九人に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/56
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057・秋山長造
○秋山長造君 人文科学というふうに広げますと二十九人、それにしても全体の数との比率からいいますと少ないわけですけれども、それは多い少ないといったところで、別にこれは専門によってバランスとっているわけでも何でもないのですから、そんなことをとやかく言うつもりはありませんが、人文科学の中の社会科学というような方面の人は、ほとんどないのじゃないですか。たとえば経済学者、経済学関係なんかでいったら小泉信三さんだとか、それから高橋誠一郎さんぐらいなものですね。私たち、社会科学の方面が、他の面に比べて非常におくれているとか、劣っているとかいうようには思わん。それからまた、外国の社会科学の水準と比べて、日本の社会科学が非常に幼稚だとも思わない。むしろ日本の社会科学者、新しい社会科学者なんか、どんどん優秀な人が育っていっているし、またその方面のほんとうの碩学泰斗というにふさわしいだけの老大家もおられるわけです。そういう人が当然こういう場合に、ときには一人くらい選考にあがってきてもいいように思われるような人がないことはないと思うのですけれども、そういう人が、全然問題にならないわけですね。何かそういう点、別に私、この選考委員会の選考の仕方なりあるいは選考委員の人選なりがへんぱだとか何とかいうような、ひがみを持つわけでも何でもないのです。ないのですけれども、すなおに見渡して、どうも社会科学関係は、少し文部省あたりで敬遠されているのじゃないかというような感じを受けるのですが、そういうことがあっては、私はやはりいかんと思うので、広く各方面の功労者を網羅するというたてまえからいってもおかしいと思うのですが、大臣、その点そういうお感じ持たれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/57
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058・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) そう言われまして、確かに御指摘のような方面の人が少ないことは、そのとおり事実でありますが、文化功労者を、どういう人を選ぶかという問題が、かなり私はむずかしいのじゃないかと思うのです。功労者という、日本の文化に対して功労があったという人は、もっともっと範囲が広いだろうと思うのでありますが、さていよいよ選考するということになりますと、なかなか選考しにくいといいますか、実際問題として、しにくい点が多々あるのじゃなかろうかと思うのであります。自然、結果として、そういうことになっているのじゃないかと思います。しかし、結局は、主として芸術あるいは学術方面の人であります。社会科学の範囲に属する人について、なにもその種の者を毛ぎらいするとか何とかいう必要は、これはないと思います。そういうようなことではないと思います。文部省が特に、そういうようなことで指図をしているというようなことも格別ないのでありますが、選考上そこまで従来至っていないという結果が出てきているわけでありますが、決して社会科学は排除するというふうな考え方はしておりません。ただ、功労者ということで、ものを考えますというと、すべての功労者に、なかなか行き渡りかねる、実際問題として、そういう点が私はあろうかと思うのであります。やっぱりすべての人が一致して推してくれるような状態でないと、結果としては出てまいりませんものですから、その辺は、そういう実情があろうかと思います。
いまお話しになりましたような点について、特にそれを排除するとか何とかいう考え方は、従来ともになかったものと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/58
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059・秋山長造
○秋山長造君 冒頭にもちょっと申し上げたのですが、文化功労者の選考委員の名簿ですね、文化勲章の選考委員の名簿というものが、簡単なものが文部省にありますね、ああいうものをこの次でもけっこうですから……ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/59
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060・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/60
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061・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/61
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062・秋山長造
○秋山長造君 もう一点お尋ねいたしますが、文化功労者名簿の最後のところに、昭和三十九年二月十八日決定、尾崎士郎、三十九年二月十九日死亡と尾崎さんのことが出ておりますが、尾崎さんのような決定の仕方は、これは過去に例がなかったことだろうと思うのです。ただ例外的に、特におやりになったので、おやりになったこと自体は、別にとやかく言うつもりはありません。これはそれでけっこうなのですが、ただいまの選考委員会での選考の経緯というようなことと関連して、参考のためにお尋ねするわけですけれども、選考委員会で、三十八年の十一月の三日に決定されたわけですが、この選考委員会での選考のときに尾崎さんという名前はあがったことがあるのですかないのですか、どうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/62
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063・安達健二
○説明員(安達健二君) 尾崎先生の話も、話題としては出たようでございますが、特に、その選考委員会として正式に選考されたということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/63
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064・秋山長造
○秋山長造君 話題としてはあがった程度で、別に選考委員会の相当数の人が、ぜひ入れたらどうかというところまでの話でもなかったのですね。だれか、どなたかから、いろいろな人の名前が例示的にあがった中の一人として尾崎さんの名前が出てきているという程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/64
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065・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 選考審査会におきまして、かなり尾崎氏につきましては強いお話といいますか、強く推薦するような方もございましたけれども、選考委員会としての決定にはならなかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/65
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066・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、なくなった人のことをとやかく言うのは失礼なのですが、その点は御了解願いたいのです、他意はないのですけれども、ただ、今後の前例になると思うので、そういう意味でお尋ねするのですが、そうしますと三十八年の決定のときには、尾崎さんは漏れておったけれども、いずれ三十九年度に決定をされる、また三十九年の十一月三日におやりになるのですね。次年度には、今度はおそらく選に入るだろうというくらいな見通しはあったわけなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/66
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067・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 次年度のことにつきましては、年々選考委員の方も、かなり更新されますので、明年度必ずしも選考されるであろうというふうなことは予想できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/67
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068・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) いろいろな人の名前が、私現場を見たことは一度もございませんが、出るようでございます。そのうちに、これはひとつこの次にしたらどうかというようなことで、いろいろきまっていくのではないかと思うのです。尾崎さんの場合について、いま官房長が申したとおりでありまして、選考委員もかわることであります。したがって、結果がどうなるかということはわかりませんけれども、しかし、ことしの選考委員さんで残られる方もおられる。また多少、そういう配慮もいたしておるわけであります、従前の関係というものもございますから。そういうことでありますので、それらの人たちからは、従来の経過というものはお話が出ることだろうと、かように存じております。三十九年度になりますか四十年度になりますかわかりませんけれども、尾崎さんが文化功労者の当該者としてふさわしい人だということについては異論のないところだろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/68
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069・秋山長造
○秋山長造君 これは尾崎さんの場合は、例外的に死後追贈ということをおやりになったのですが、今後もこういうことはどんどん、どんどんではないでしょうけれども、まあ十分あるということなんですか、新例を開いたということなんですか、例外的なことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/69
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070・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 従来の例からいえば、これは異例ということに相なりますが、しかし私は、これをお願いすることにいたしました心持ちは、新例を開いたというふうに考えるわけです。したがって、将来そういう場合もあり得る。しかしおっしゃったとおりに、たてまえとしては、年に一ぺん選考するというのがたてまえでございますので、こういう場合は、そうしょっちゅうあるとも思いませんけれども、一つの例が開かれた、また、その扱いをすべきである、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/70
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071・秋山長造
○秋山長造君 新例を開かれたと同時に、私、文化功労者を選考するたてまえについても、一つ先例を開かれたのではないかと思うのです。というのは、従来は文部大臣が選考委員という人を任命されて……任命するのですか、委嘱するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/71
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072・安達健二
○説明員(安達健二君) 任命でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/72
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073・秋山長造
○秋山長造君 選考委員を任命されて、そしてその選考委員に全部白紙でまかされるわけでしょう、推薦を。それで選考委員が選考して推薦した者を、そっくりそのまま文部大臣が認める、決定すると、こういう形になって、文部大臣の積極的な意思というものは全然響いていなかったわけですね。ところが、今度の尾崎さんの場合はそうでなしに、逆に、閣議決定か何か知らぬけれども、文部大臣のほうの意思が先にきまって、そしてそれについて、この了解を求めるといいますかね、選考委員の了解を求めるというような形で事が運ばれたのではないかというように私思うのですがね。だから、そういう意味でも、この文化功労者の選考の仕方に一つの新例を開かれたのではないかという気がするのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/73
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074・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) おっしゃるとおりだと思います。あのような場合といたしましては、文部大臣から相談を持ちかける以外には持ちかけようがないと私は思います。了解を求めると申しますか、私の心持ちは、お一人でも反対があれば、もちろん認められない、すべての方に賛成していただくということでなければもちろんやるべきものではないわけであります。一応皆さんの御意見を伺いまして、みなが賛成だということで決定いたしましたわけであります。まあ、ああいう場合としては、それ以外、やりようがないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/74
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075・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、従来の文部大臣が、白紙で選考委員会に推薦を一任すると、そしてその推薦されてきたものを文部大臣がそのまま認めていくというたてまえは、あくまで今後も貫くので、この間の尾崎さんの場合は、これはこういう本人がおなくなりになるというような特殊の場合で、それ以外にきっかけのつくりようがないから、文部大臣がいわばイニシアティブをとられたというにすぎない、選考のやり方としては、これはもうあくまで異例なんだ、こういうふうに了解してよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/75
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076・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) そのとおりに、ひとつ御了解をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/76
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077・小林武
○小林武君 一点質問しておきたいのです。功労者の名簿を見ますと、全部とは言いませんけれども、大体日本芸術院会員、日本学士院会員というような方が非常に多数を占めておる。先ほどの御説明によると、日本学士院会員にも年金があり、芸術院会員にもそういう制度がある。より生活を豊かにするという角度から、そのようにするというお話でありますけれども、私はそういうものが二重になり、三重になるということについては、かれこれ言う気持はございませんけれども、日本学士院、芸術院というようなものがある。さらに文化功労者年金法がつくられるということになると、この間の関係が一体どうなっているのか、文化功労者の推薦というようなものは、私なりの考え方をすれば、新たな角度と言いますか、そういうようなものがあっていいのじゃないかと思いますが、そういうものは、どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/77
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078・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 先ほども申し上げましたように、学士院会員は、学術の分野で功績の顕著な方、芸術院会員は芸術の分野において功績の顕著な方が会員として選ばれ、年金を受けておるわけであります。文化功労者になられる方は、何と申しますか、格づけをするような意味ではございませんけれども、一そうまた、文化に功労の高い方を選ぶという意味からいたしまして、学士院会員の方、あるいは芸術院会員の方からも、文化功労者に選ばれるということはあってしかるべきじゃないかというふうに考えられます。
なお、年金の支給でございますが、これは年金を差し上げて、これらの功績に対し優遇をするというものでございまして、いわゆる給与とは違いますので、併給しても差しつかえないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/78
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079・小林武
○小林武君 年金を支給したら工合が悪いとは考えておらないのですが、ただ、私が考えるのは、どうも選ばれた方々を見ますと、ほとんど学士院会員、芸術院会員が選ばれておる。一段、格の上の人を選ぶという意味ですか。そういうふうに、文化功労者というようなものを眺めてよろしいのか。これは私はかなり問題だと思うのです。
そういうことになりますと、学士院というところ、あるいは芸術院というところは文化功労者の予選を行なうような場所になってしまうのじゃないかという気もするわけです。文化功労者そのものには、もっと別な意味があるのではないか、性格づけがあるのではないかと思うのですが、この性格が明らかでないと、私のような考え方をするものも、これからもどんどん出るのじゃないかと思うのです。私もその文化功労者については、できればもっと優遇の措置が講ぜられることを願うものでありますけれども、いまのようなやり方に、多少疑義を感じますので、ほんとうに大体格づけから言えば、芸術院、学士院、その上のものであってということになる。そして事実として、いまのような形でほとんどの人が芸術院会員、学士院会員ということになると、その二つのものが、まるで文化功労者の予備的な意味しかなくなる。このことは、一体学士院というものの存在、芸術院というものの存在を、性格を逆に弱めるということにならないでしょうか、この点についてどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/79
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080・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) たびたび繰り返すようでございますけれども、学士院は学術の面で功績の顕著な方、芸術院は芸術に功績の顕著な方が会員になるわけでありますが、学士院、芸術院ともに、それぞれまた委員としての目的あるいは使命を持って活動しております。文化功労者のほうは、そういう何と申しますか、団体としての活動はございませんで、その個人の功績に対して年金を支給するということでございます。この学士院会員と芸術院会員の中から、おっしゃいますように多数の方が功労者に選ばれておることは事実でございますけれども、目的が違いますので、格づけでどちらが高いとか、あるいは格が低いとかということにはならないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/80
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081・小林武
○小林武君 先ほど、そのような何か御答弁ではなかったのですか。格が何とかという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/81
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082・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 格づけが高いとか低いとかいうことは、これは語弊がありますがというふうに申し上げたかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/82
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083・小林武
○小林武君 そうなると、一体文化というものは何かということになるのですね。学士院というのは、芸術院というのは、一体文化とどういう関係があるのか、こういうことにもなると思うのですよ。いまそういう議論をしてもしょうがないから、この次にまた譲るといたしまして、私の質問、これでよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/83
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084・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと資料要求。官房長、この次までに芸術院の政令、資料としてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/84
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085・中野文門
○委員長(中野文門君) 官房長、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/85
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086・蒲生芳郎
○政府委員(蒲生芳郎君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/86
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087・中野文門
○委員長(中野文門君) 本法律案についての本日の質疑は、この程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/87
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088・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、私立学校振興会法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、文部大臣から提案理由の説明を聴取いたします。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/88
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089・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま上程になりました私立学校振興会法等の一部を改正する法律案について、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、私立学校振興会法及び私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律の一部を改正し、私立学校振興の線に沿って国の助成の拡充をはかろうとするものであります。
まず、私立学校振興会法の一部改正については、私立学校振興会の資金の融資対象を拡大し、従来からその融資対象であった私立の小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、幼稚園及び特殊教育諸学校のほかに、職業に必要な技術の教授を目的とする私立各種学校で学校法人または準学校法人の設置するもののうち、政令で定めるものを加えようとするものであります。
私立各種学校には、さまざまなものがございますが、その中で、職業に必要な技術の教授を目的とするもので学校法人または準学校法人の設置するものの多くは、充実した組織内容を持ち、価値の高い職業技術の教育を行なって、社会的にもきわめて意義のある役割りを果たしておりますが、ことに、そのうち理科系のものについては、技術者養成の緊急性にかんがみ、国の積極的な助成を行なうことが当面必要であると考えます。かような観点から、融資対象の具体的な範囲、条件等を政令で定めることにしております。
次に、私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律の一部改正については、その補助率が従来二分の一以内であったものを三分の二以内に改めようとするものであります。これは、日進月歩の学術研究の進展に伴い、私立大学における研究設備も次第に高度のものが必要となり、これが整備には多額の経費を要しますので、この補助金の補助率を引き上げ、私立大学の財政負担を軽減しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/89
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090・中野文門
○委員長(中野文門君) 以上で、本法案についての提案理由説明聴取は終了いたしました。
本日の委員会は、これをもって散会いたします。
午後零時二十三分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01219640305/90
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