1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年五月七日(木曜日)
午前十時五十分開会
—————————————
委員の異動
五月七日
辞任 補欠選任
柏原 ヤス君 鈴木 一弘君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 中野 文門君
理 事
北畠 教真君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
委員長
植木 光教君
久保 勘一君
斎藤 昇君
笹森 順造君
中上川アキ君
野本 品吉君
加瀬 完君
小林 武君
米田 勲君
鈴木 一弘君
高瀬荘太郎君
発議者 米田 勲君
発議者 小林 武君
発議者 加瀬 完君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
文部省初等中等
教育局長 福田 繁君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
文部省大学学術
局審議官 村山 松雄君
—————————————
本日の会議に付した案件
○教育職員免許法の一部を改正する法
律案(米田勲君外四名発議)
○教育職員免許法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○国立教育会館法案(内閣提出、衆議
院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/0
-
001・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
教育職員免許法の一部を改正する法律案(参第三号) 教育職員免許法の一部を改正する法律案(閣法第一二九号)を一括して議題といたします。
過日の委員会に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/1
-
002・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/2
-
003・米田勲
○米田勲君 委員長から、いま話がありましたように、私のほうから提案をしている教育職員免許法の一部改正法案と、政府提案にかかわる教育職員免許法の一部改正法案というのが同時に問題に出されておるわけですが、そのうち政府提案にかかわる法案の内容を見ますと、これは前回、同僚の委員からも問題が出たそうですが、内容が二つあるようでありまして、第一のほうは高校教諭の免許状に特例を設けようとするものであり、第二のほうは小、中、高校及び幼稚園の教員の免許資格を上進するために必要とされておる在職年数の取り扱いを改めようとするものであります。その第二の内容を見ますと、私がさきに提案をした改正法案の内容とほとんど同じもののようでありますが、政府としては、これをどう考えておられるのか、まずお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/3
-
004・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 今回の改正法案の第二点、特殊教育学校に勤務します教員の基礎免許状の上進の点につきましては、その一部は議員提案にかかる教育職員免許法改正案の内容と同一でございます。これを政府提案で御提案申し上げました理由といたしましては、この点の改正につきましては、かねて御要望がございまして、政府としては特殊教育学校の教員の専門性にかんがみて、きわめて慎重に検討する必要があると再々申し上げておったわけでございますが、教育職員免許法の改正案を提案する最終段階におきまして、御要望の点も含めまして、改正案に取り入れて御提案するのが適当と考え、議員提案にかかる内容の分を含めまして、特殊教育学校に勤務する教員の基礎免許状の上進を扱う場合について認めることといたしまして御提案申し上げました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/4
-
005・米田勲
○米田勲君 話の経過についてはよくわかりましたが、われわれとしては、従来ともこの免許法の一部改正が必要だということはたびたび主張してきたところでありますが、政府側としては、文部省としてもなかなか容易に取り上げないということから、法律案の提案という運びにしたわけであります。ですから、今度、政府がわれわれの提案した法律案の内容を含めて、その他の問題とからめて改正案を出したということについては、事情はわかるのですが、私、こういう事例があるのかと思っていろいろ調査をしてみたところが、さきに議員の提案した改正法律案を、その内容を同一にするようなものを含めて政府があとから提案をしてきたという例は国会史上ないことだと、私は調査の結果わかったわけです。そこで、私は問題をほじくるという意味はないのですが、提案の前になぜ、これを提案しておる私らに対して、実はこういう考え方に基づいて、この内容を改正法案の中に含めて出したいと思うので了解をしてほしいという話があって、それから提案されるのが、まずこれは常識的な筋道でないか、それが何も話がないままいきなり提案をされておる。内容を見ると、どうも私の提案したものの内容と同じだということで非常に疑義を持ったわけです。だから、本来なら私の提出した法律案は先に出しているのですから先議案件の資格がある。この先議案件を審議してもらって、最終的に討論採決をやるということになると、否決されても可決されても政府法案の第二の内容に影響を及ぼすことになるのじゃないかというふうに考えられますが、これはあなた、どう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/5
-
006・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題につきましては、前の委員会におきましても豊瀬委員から御指摘をいただきまして、おしかりも実はいただいたわけでございますが、この法案の作成の最終段階におきまして、私といたしまして、皆さま方の要望というような点も十分考えあわせてこの案をつくりましたわけでございます。いまお話にもございましたように、いまから考えますというと、やはり一度お話し合いをした上でやったほうが適当であったか、かように考えるわけでございますが、その点はこの間、豊瀬さんにも、将来十分注意いたしますということは申し上げたわけでございますが、皆さま方の、先例があったかなかったかということも十分私承知いたしておりませんけれども、政府として提案いたします場合に、いろいろの方面の意向を取り上げて、取るべきものは取り、入れることが適当とするものは入れるというような心持ちで実はやったわけでございますけれども、そのやり方等につきましてそごがあり、あるいはまたお気にさわるようなことがあるといたしますならば、私どもとしても遺憾であります。将来十分に気をつけたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/6
-
007・米田勲
○米田勲君 文部大臣のお考えよくわかりましたので、そのことはこれ以上問題にすることはやめたいと思います。
それでは、最初に、現行の免許法に基づいて高等学校教諭の免許状を取得するためにはどのような経過と手続が必要なのか、それをひとつ説明をしてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/7
-
008・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 現行免許法におきましては、高等学校の教員の免許状は、国語、社会、理科、数学等、高等学校の教科に対応する教科別に免許状が出されるたてまえになっております。そういたしまして、各免許状の取得要件といたしましては、大学における修業年限と、それから取得しました単位の数が要件になっております。大学に四年以上在学いたしまして所定の単位を取った者に二級免許状、それから大学の専攻科または大学院に一年以上在学いたしまして所定の単位を取った者に一級免許状が出されるたてまえになっております。授与の手続といたしましては、本人からそのような取得要件を満たしたという証明書を添えまして、免許状の授与権者である都道府県知事または都道府県の教育委員会に出願いたしまして、知事または教育委員会から取得要件を確認を得た上で免許状が授与されるたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/8
-
009・米田勲
○米田勲君 現行免許法において、高等学校教諭の免許状取得の経過と手続はよくわかりました。そこで、いまの説明にもありますとおり、高校教諭の免許状というのは、大学で定められた年限の履修を必要とするということと、所要の単位を取得しておるということが必要な条件であるわけであります。このことを現行免許法がきめておるのは、日本の高校教育の水準を一定以上に常に維持していかなければならぬという配慮によって定められておるものであるというふうに、私は理解をするわけであります。ところが、政府から提案になりましたこの改正法案の内容、第一の面を見ますと、このような手続によって取得される高校教諭の免許状では、従来の免許法で定めておるところの原則を、結果的にはくずすということになると思うが、政府のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/9
-
010・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 従来、高等学校の教員免許状は、大学で特定の条件を満たした者に授与するという原則に対しましては、今回の検定によって免許状を授与するということは例外的措置になろうかと思います。このような例外的措置をとりました理由は、原則としては大学において履修した者をもって教員の基礎資格とすることが望ましいわけでございます。高等学校の教科はかなり複雑多岐にわたっておりまして、分野によりましては、それに対応する分野が大学教育の中でなかなか求めにくいものもございます。それからまた現実問題として、現在、免許状の取得あるいは教員の就職ということが全く自由になっております関係上、本人が教員になることをあまり希望しない分野もございます。そこでまあ、現在までに例外措置の一つといたしまして、大学のほかに、工業教員につきましては臨時教員養成所といったようなものを設けましてこの不足に対処いたしております。今回提案申し上げました点は、高等学校の教科の中できわめて特殊な分野でございます、体育の中の柔道、剣道、それから商業科の中の計算実務といったような、きわめて狭い特殊な分野でございまして、このような分野につきましては、大学で体育科を出た者でも、必らずしも柔道、剣道に堪能であるとは限らないし、それからまた大学の経済学部等を出ました者でも、計算実務に堪能な者は、必らずしも多くを求め得ない実情でございます。こういう実情からいたしまして、現場の需要を大学卒業者をもって充てるという原則だけでは満たし得ない事情がございますので、そういう場合には、現行免許法ですと、いきなり臨時免許状という制度がございます。これは全くそういう免許法の原則の要件を満たさない者に、免許法の上で例外的な措置があり得るわけでございますが、いきなり現行法で臨時免許状に落とすよりは、やはり何か実技の面に着目いたしまして、検定によってそのような技能に熟達した者をもって充てるという措置も必要であろう、かように考えた次第でございまして、これは現場からの要望の線にも沿いまして、例外的措置として今回取り上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/10
-
011・米田勲
○米田勲君 政府のこの法案を提案した提案理由書の中を読んでみますと、こういうことが書いてあります。最近に至り高等学校の教育が普及し、その教育内容も漸次改善充実を見つつあるが、高校においては、小中学校と異なり、普通教育とあわせて専門教育をも施すのであって、技能に関する教育、指導が特に必要とされる分野が多くなっている。これに対し、現行の免許状は、教科の全分野について、大学において所要単位を包括的に履修した者に授与されるたてまえになっていて、特定の分野のみについて深く指導を必要とする場合に対処するためには必ずしも十分とは申せませんと書いてある。しかし、高校では、普通教育とあわせて専門教育を施すということは、いまさら始まったことではないと私は思うのであります。ですから、国はこの高校における専門教育を相当し得る教員の養成をもあわせて、大学教育の中で解決をするという当然の責任を持っておるのではないかということを考えるわけです。それを大学教育の中で問題を解決するということを避けて、大学教育の中では十分でないという結論を出してしまって、そして、免許法の原則的な高校の教育を一定以上水準に維持しなければならぬというたてまえに立って定められたその免許法の原則の態勢を、便法といいますか、そういう当面した現実の状態に合うようにくずしていくということは、私はたてまえからいうと本末転倒ではないかという批判を持つわけです。先ほどの説明の中で、必ずしも教員を志望する者がおらない、多くないというようなことも、満たし得ない一つの理由に説明されておりましたが、それとても、私らが年来主張しておる大学をはじめとして、各学校における教職員の待遇の現状は、教育界に人材を求めるという態勢にないということを指摘しているわけです。有為な人材がどんどん実業界に引っこ抜かれて逆に行ってしまう、こういう機会に、人材を求めるという待遇の条件でないということは、これは日本の教育の将来でなく、現実の問題として本格的に取り組んで解決しなければならぬ問題です。そういう問題もあわせて考えると、どうも今度出してきたこの政府の改正法律案は、根本的な条件を正当な筋道をとって改善をしないで、それはそのままにしておいて、いきなり現状に合わせるために便法を講ずるということであって、少なくも私は本筋のたてまえではないのではないか、それは政府側としても認めざるを得ないのではないか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/11
-
012・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 確かに御指摘のような点もあろうかと思います。特定のかかる分野は、何も最近高等学校に導入されたのではなくて、以前からあったわけでございまして、何がゆえに最近に至って、特にこのような措置を講ずる必要が起こったか 御疑問もあろうかと思います。まあ、それは一つには、やはり高等学校の普及と申しますか、量的拡大に対して、教員養成の態勢のほうが必ずしも伴ってないという事情もあろうかと思います。そういう事情がこのような特定の分野に顕著にあらわれてきたと申してよかろうかと思います。柔道、剣道は、先ほども申し上げましたように、本来、保健体育の教員であれば、柔道、剣道の指導もでき得るという一応のたてまえにはなっております。しかし、現実の問題といたしましては、保健体育の教員ですと、陸上競技、水上競技、球技、すべての分野をやりますので、柔道、剣道といったような分野だけを抜き出しますと、まあ柔道、剣道を専門にやった者に比べますと、やはり指導力が十分でないという面も出てまいりますし、それから高等学校教育の普及に伴って総体的な不足を生じてくるという問題もありますし、また柔道や剣道は、一時、当該教育そのものが狭められておって、最近その必要性があらためて再検討されて、普及、拡大の傾向にあるといったような事情も伴っているのではないかと思います。それから計算実務というものは、先ほど申し上げましたように、本来、経済学部において商業科の免許状をとる者について、その分野もあわせて指導力を持つべきたてまえでございますが、現実の問題といたしましては、大学の経済学部等は必ずしもこういう実技方面を強化するような傾向にございませんで、文部省といたしましては、こういう産業教育関係の教員の不足に対処いたしまして、産業教育の教員養成のための特別なコースを設けるように、国立大学につきましてはお願いして一部実施いたしておりますが、それすらも教員になる義務を伴わないといったような関係もありまして教員にならない、また計算実務というような分野についてはどうも指導力のつけようがない、こういう事情がございます。そういう事情もございまして、今回のような措置に踏み切ったわけでございます。
なお、関連いたしまして、一般論として、教員の資格を得るためにはスクーリングが原則でありますけれども、学校に行かないけれども、能力のある者について、検定によって教員の資格を一般的にさせたらどうか、こういう御意見も一方においてございます。しかし、今回の改正は、そういう一般的な御意見を背景としたものじゃなくして、やはり主として、そういう特定分野の不足に対して抜本的な措置を講ずべきではないかという御意見は、一面においてたいへんごもっともであるとは思いますけれども、さしあたりの、現場の要望に沿うために、例外的措置として免許法の改正を行なって、そのような必要に応ずるということを主眼としたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/12
-
013・米田勲
○米田勲君 私はいまの説明を聞いて、事情についてはわからぬことはないんです。わかるわけです。ただ、ここで考慮しなければならぬのは、教育というものは、あくまでも理想を追求していなければならぬもので、現実に妥協すべきものでないという原則的な立場はどうしても確保しなければならぬ、私はそう思うわけです。ですから、いまの高等学校の教育の現状、必ずしも満足ではない。われわれの理想はもっと高いものでなくちゃならぬ。そのためには、一定の水準をいかにして確保し、その水準を上げていくかというくふうを常にこらさなければならぬ、こういう立場からみますと、何か現実の社会がこうなってきておるから、それに合わすようにしなくちゃならぬのだというふうに、事教育に関して、そういう姿勢をあまり安易にとることは、日本の教育の将来のために妥当でないんではないか。社会の情勢に対応できないような条件が生まれてくれば、やはり教育の理想を追求しながら、そこで態勢が満たされるように改善、充実をはかっていくべきであって、例外措置だとか、便法だとかいって、社会の態勢に合わせていく、逆に教育の態勢を。免許法の原則も多少次善の策を講じてくずしていく、こういうことは、本来的に、教育を考え、教育行政を考える者の立場としてはとるべき態度ではないでないかというふうに私は常に考える。そういう立場から見ると、これは次善の策であり、現状やむを得ないとして出した事情はわかるにしても、日本の教育という大きな立場から考えると、あくまでもこれは本筋ではないじゃないかというふうに考えますし、これは文部大臣としても、私と同じような考えに立っておられるのかどうか。いや、それは理想は理想だが、やはり教育も現実に合わせていかなくちゃならぬ、多少水準は下がっても社会に妥協していかなくちゃならぬのだという姿勢で日本の教育を考えておられるのかどうか。何かしらこういう一連の最近の日本の教育、日本の教育行政というものの全体の姿勢の中に、多少私たちの考えていることと違うような姿勢、いわゆる社会の情勢に妥協していくというか、そういう面が少し強くなり過ぎてきているのじゃないかというふうに一般的な傾向を批判しておるわけです。この点について大臣の御見解はどうですか、この問題を離れて一般的な問題として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/13
-
014・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 原則論と申しますか、大筋の話としましては、私は米田さんの御意見ごもっともだと思っております。学校教育の内容を充実し、また水準を高めていくということは、われわれが永久に努力しなければならない事柄だと思うのでありまして、その意味におきまして、ことさらに大学教育の水準を落とすとか、高等学校教育の水準を落とすとかいうことは考えたくないのでありまして、ただ、社会の状態に妥協するというような心持ちは持っておりません。もちろん、学校教育といたしまして、社会の要請というものに対しましては、十分これにこたえていかなければならぬと思いますけれども、社会の事情がこうであるから、こちらの水準を下げるというような考え方はとりたくないのであります。その意味におきましては、米田さんの考え方と私の考え方と別に変わったところはないと考える次第であります。ただ、今回御提案を申し上げました事情につきましては、審議官から御説明を申し上げましたとおりでありますが、この種の、まあ今回特に認めようかというようなものにつきましては、私はこれを認めることによって高等学校教育の水準が落ちると、そういうふうな問題ではないのじゃないか、このようにも考えておる次第でございます。やはり現実というものを全然無視してやっていくわけにはまいらぬと思うのでありますから、大学の中で、いま申し上げましたようなことを十分満たし得るだけのことができればけっこうでありますが、なかなかこれは急に望むこともできませんし、また、事柄といたしまして、大学教育の中で、たとえばそろばんの専門家をつくるとか、あるいは剣道の専門家をつくるとかいうようなことは事実なかなかむずかしい点があるのじゃなかろうかと思うのであります。そういうものに限りまして、特定の範囲の中でこれを高等学校教育の中に取り入れるというふうなことは、これは必ずしも現在の高等学校教育の水準を落とすことにもならないのじゃないかと、このように考えておる次第でございます。大筋の話といたしましては、何ら米田さんと変わった考えを持っておるわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/14
-
015・米田勲
○米田勲君 私は大臣のいまの答弁で了解をするわけですが、少なくも今度のこの措置は、本来的な、本筋的なものではなくて、あくまで、やっぱり説明にあるように例外的なものだ、便法だと、したがって、そういう立場でいうなら、こういうことは最小限度に食いとめなければならぬ、このことを契機にして、こういう傾向の行き方を拡大をしていくということはたてまえからいっては間違いだ。だから、もうこういう措置については最小限度に食いとめていくだけの考え方がまずなければならぬということを強調したかったわけであります。その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/15
-
016・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 必要な最小限度にとどめるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/16
-
017・米田勲
○米田勲君 そのことに関連して思うのですが、特定の技能を修めておれば、それで高等学校の教員ができるんだという考え方はこれは困る、先ほども大学で体育をやっていても必ずしも剣道、柔道に特にひいでているということは現状としてなかなか求めづらいという説明もありましたが、私はぜひこの場合、何か特定の技能がすぐれていれば、それで高校教諭の資格が与えられるべきなんだ、教員になれるんだという考え方は、これもたてまえからいうと、そういう考え方は間違いだ、現に最近若い人たちの問題が社会的にも政治的にもいろいろに論ぜられています、非行少年だとか、何とかいって。これも私はやはりいまの免許法のたてまえが大学で一定の年限を履修し、しかも、そのことを教育できるだけの所要の単位が取得されているという条件のものに限って免許状が与えられているという立場も、技能さえすぐれていればいいんだ、技術さえすぐれていればいいんだというようなことでは、人間教育というか、全人格を陶冶していくその中で技能が修練されていくんだという立場からいうと、これはやはり考えなきゃならぬ。ただ技能だけすぐれていればいいというふうに考えるんですか、審議官はどう思っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/17
-
018・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 検定の方法の問題になりますが、これは法律では文部省令に授権してございます。私どもといたしましては、検定の方法は実技のみならず人物、学力などについても検定を行ないたい、ただ大学卒業者をもって得られないという前提がございますので、大学履修と全く同等の学力を求めることはあるいは無理かと思いますけれども、教員として最小限度備えておかなければならない一般教養ないし教職課程の知識教養を調べる程度の検定はいたしたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/18
-
019・米田勲
○米田勲君 そうしますと、この場合は一般教養の面についても相当重視をしていくということは常に忘れられないことなんだということを認識しておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/19
-
020・村山松雄
○説明員(村山松雄君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/20
-
021・米田勲
○米田勲君 ところで、私はこの特殊な技能の問題についていま質問の中に取り上げたんですが、私はこの法案の内容を検討したり、考えたりしているうちに、いろいろなことを考えさせられましたが、最近の日本の教育の傾向ですね、これは私、予算委員会でも文部大臣に質問をしたことを記憶しているのですが、どうも日本の最近の教育の傾向には思想的な知識を注入していく詰め込み教育がまたまた台頭してきているんじゃないかという感じを非常に深く感ずるわけです。何か機械的な知識や技術を切り売りして、それを詰め込んで教え込んでいる、形式的な、機械的な知識の羅列をしていく、暗記をしていくといったようなことが案外幅をきかし、そのことが重視されるような一般的な傾向、学校教育もそういう一般的な傾向の影響を受けて、そういう傾向が必ずしもないというわけではないということを非常に心配をしておるわけです。何かしらこういう傾向がもう少し激しくなっていけば、小ざかしい、小器用な、小さくまとまった人間ができればいいというようになっていってしまわないか。もう少し豊かな人同性を陶冶するとか、あるいは民主的な人格を養っていくのだという大きな教育の理想の中で、そういう技能の面、技術の面もまた尊重されていくという形でなければ、最近の教育の傾向は憂慮すべきものがあるのだというふうに考えているところにこれが飛び出してきたわけです。それで、またまたそういうことを考えさせられているのですが、文部大臣どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/21
-
022・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在の教育について米田さんの御心配、私も内容的にはよくわかりませんけれども、教育の実情というものが御心配のような点があるのではないかという意味におきまして、実は米田さんと憂いを同じくしているつもりでございます。もっと伸び伸びとした学校生活を送って、そしていまお話に出ていましたが、小器用な、小ざかしい人間ができるというような教育は避けたいものと私も念願をいたしております。ただ、現在のこの実情につきましては、むしろお教えを受けたいと思いますけれども、いろいろな事情が背後にあって、その結果、学校教育というものが、何といいますか、妙な形にだんだん追い込まれてきているのじゃないかということも、同時に心配をいたしておるわけであります。なかなかむずかしい問題のように心得ているわけであります。十分そういうふうな弊害の助長せられないような方向においてわれわれも努力しなければならぬ、さように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/22
-
023・米田勲
○米田勲君 それでは次に、現行の免許法では、免許状には普通免許状と臨時免許状の二つがあるわけです。そして、普通免許状には一級と二級の二種がある。この改正法律案によると、これによって取得された免許状というのは現行免許法の中に言う免許状のどれに該当をすることになるのでしょうか。その点についてちょっとはっきりしないのでお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/23
-
024・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 教諭の普通免許状でございまして、一、二級の級別は設けない、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/24
-
025・米田勲
○米田勲君 現行免許法の中で、普通免許状は一級二級以外にはないんじゃないのですか。私はそういうふうに理解をしておったのですが、それ以外の免許状はあるのですか、普通免許状の中に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/25
-
026・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 今回の改正案によりまして、新たに級別を設けない教諭普通免許状を設けようというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/26
-
027・米田勲
○米田勲君 それはこの法案のどこでそれを出しているのですか、この法案の中で言えばどこでそれを出しているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/27
-
028・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 改正案の第十六条の二によりまして、高等学校教諭免許状はこれこれのものについて授与することができるとありまして、同じく第二項におきまして、「前項の免許状については、第四条第三項の規定は適用しない。」としてございます。第四条第三項の規定と申しますのは、「普通免許状は、一級及び二級とする。」という級別の区分でございます。これを適用しないわけでございますので、第十六条の二の一項で、特別の高等学校教諭免許状の制度を設けまして、第二項で級別の規定を排除してございますので、級別のない免許状ができるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/28
-
029・米田勲
○米田勲君 私その点でよく理解ができないのです。現行免許法では、免許状には一級と二級としかないわけですね。そのいずれにも該当しない普通免許状というのは、現行法の中では考えられないじゃないか。それからここで「前項の免許状については、第四条第三項の規定は適用しない。」とうたっているが、それじゃどこに該当するのだといわれれば、普通免許状の中に二つしかないのだから、その二つに適用しないという場合には、普通免許状の中には入ってこないんじゃないか。第三の何かがこう入れられる、一級、二級のほかに何か第三のものが入れられるというなら、それに該当するのだと理解できるのだが、普通免許状の中には一級、二級しかない。それのいずれにも適用しないというのでは、現行法の中ではちょっと理解がしづらくなってくる。それで私はお尋ねしている。どういうことに理解すればよいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/29
-
030・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 御指摘でございますが、私どもの解釈といたしましては、第十六条の二の改正規定によりまして、新しく高等学校教諭免許状が現在の第四条第五項第二号に掲げる教科別のほかに、文部省令で定めるものについて授与することができる。この規定は、普通免許状の中に新しいものを設けたというぐあいに読んでおるわけであります。そうしておきまして、普通免許状の級別の規定だけを適用を排除いたしてございますので、級別のない免許状が新たにできたというぐあいに読んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/30
-
031・米田勲
○米田勲君 そうすると、この改正案が通れば、普通免許状のところを開いて見ると、一級免許状、二級免許状、それのいずれにも該当しない免許状と、三つ並んで書かれることになりますか、実際にはどうなるのですか。免許法そのものの中の表現は変わらないのですか、普通免許状の中に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/31
-
032・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 免許法のたてまえといたしましては、現在の第四条の一項、「免許状は、普通免許状及び臨時免許状とする。」と、この規定は改正しておりませんので、免許状は普通免許状と臨時免許状の二本立てだ、こういうことになるわけでございます。それから普通免許状の種類といたしまして、現行法の第四条第三項に、「普通免許状は、一級及び二級とする。」とありますので、原則としては、「一級及び二級とする。」、二種類ができるわけでございまして、さらに改正案によりますと、第十六条の二の一項、二項をあわせ読みまして、級別の区別のない普通免許状が高等学校のかかる特定のものについてできる、こういうぐあいに読むわけでございまして、普通免許状の種類として一級及び二級及び新しい十六条の二の免許状というぐあいに羅列するわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/32
-
033・米田勲
○米田勲君 私はそこが理解できないのです。それからあと免許のほうを見ていった場合、この法案が通ってしまってから免許法を見て、普通免許状のところには一級、二級免許状のことだけが書いてあるわけですね。その一級にも二級にも該当しない免許状が普通免許状の中にあるのだという理解は、これはどうも理解しづらいわけです。私は普通免許状の中に二種類できる。一級、二級のいずれにも該当しない、その他の免許状というのかね。そのほかに一級、二級とこうあるのだというふうに普通免許状の内容がなっていれば、この法案でとられる免許状というのは、この第三の免許状なんだと気がつくわけです。ところが、ここでは一級にも二級にも該当しない、しかも現行の免許法の中には一級と二級と二つしかきめてない。だから、法律のていさいからいうと、どうも説明はわかるわけですが、ぐあいが悪いのではないかという感じがする。これは何でもないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/33
-
034・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 法案のていさいといたしましては、この実技の免許状の制度を例外的措置と考えたということと関連があろうかと思います。これが恒久的な措置でございますと、御指摘のように、四条の中の種類として、現在の免許状と並べて新しい免許状を書くのがていさいがよろしいという考え方が成り立とうかと思いますが、例外的に考えましたので、現在の第四条の原則的なところはいじらないで、ずっとあとの十六条の二というような位置づけで、この新しい免許状にかかる事柄だけを書いたわけでございまして、法文のていさいとしては、論理的に矛盾をしているということではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/34
-
035・加瀬完
○加瀬完君 関連。旧中等学校のころですね、やはり剣道や柔道の先生がいたわけですよね。こういう方は正規の免許証を持っておらない方のほうが多かったわけですね。教諭という免許証でおやりになっておった方は、高等師範の体育科か何か出た方だけにほとんど限られておって、ほとんど免許証を持たなくてやっておったのですね。その当時から見れば、いまのほうが免許法というのはきびしくなったわけですね。きびしくなっているわけですよね。免許法というのが新しい法律ではっきりきまって、いま米田委員の御質問のように、一級、二級ときめられたでしょう、普通免許証は。このいまの御説明のやり方でいくと、便宜的には一応理屈は立つけれども、免許法そのものの純粋論に立てば、免許法がくずれてくるわけですね。そういう免許法をくずさなくったって、そういう方々を教職といいますか、そういう剣道とか柔道、あるいはいろいろのいま問題になっている関係の教科の指導に当たらせるという便宜な方法は他に講ずることができるのじゃないか。昔でさえもきびしかった免許法の中に、無理にもぐり込ませて合法性を与える必要はごうもないのじゃないか、免許法そのものがひっくり返ってしまうのじゃないか、こういう疑問を私たち持ちますが、何ゆえに、助手の制度もあれば講師の制度もあるわけですから、そういう格づけをしたっていいわけですね。いまの免許法というのは、単にたとえば体育なら体育とか、国語なら国語とか、それだけ履修したからといって、昔の検定試験みたいな資格が与えられるもんじゃないでしょう。一級免許証なら一級免許証、二級免許証なら二級免許証を受ける資格というのは、いろいろあるわけですね、それらと比べて、一級にも二級にも入らない免許証なんというのをつくったって、これはちょっと要件が違ってくるわけですね。したがいまして、その方たちの身分というものもやはり限定されてくるわけですよね。そういう苦しい方法で免許法の上に格づけをする必要はないのじゃないか、何ゆえにそういう苦しい方法までとらなければならないのか。くずれてきましょう、どうしたって、米田委員の御指摘のように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/35
-
036・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 御指摘のように、このような実技だけに長じておる方を教員にする方法は、現行の免許法でもないわけではございません。御指摘のように、臨時免許状というもので活用いたしますと、その者が短大卒業程度以上であれば、臨時免許状を授与して、講師、助教諭にするということは可能でございます。しかし、事柄といたしましては、短大卒業程度以上の者を求めることも困難であろうということが一つございます。それからまた、せっかく実技にたんのうな方がおられて、こういう実技教科については、実技指導力というのがかなり重要な要素になるのに、臨時免許状で助教諭ということでは、せっかく来たい方の意欲もそがれるであろうというのが第二点でございます。そこで、臨時免許状という制度を活用しないでやるからには教諭の資格を与えたい。そのかわりに、実技はもちろん教諭として必要な最小限度の人物、学力の検定でもやって、正規の教諭の資格を与えた上で、そういう方を高校教育の道を開いて、実技面におけるいわば高等学校の教科の内容を強化しようというのがねらいでございます。それから戦前の話が出ましたので申し上げますが、戦前の免許令のたてまえでは、現行の臨時免許状に相当する制度がなくて、現在の臨時免許状相当のものはいわゆる免許状がなくて、補助教員というような形で任用の道が開かれておったわけでございまして、そういう補助教員があまりたくさんにならないようにするためには、指導行政の面で正規の免許状を持たない者は学校の教員の何%以上になってはいかぬというような指導をやりまして、教員構成の低下を防いでおったわけでございます。現行の免許法は、たてまえとしては戦前より厳重になったわけでございますが、いわば臨時免許状が制度の中に入ってきておるということを加味いたしますと、戦前の免許令で運営しておりました教員の任用の態様とさほど差異がないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/36
-
037・加瀬完
○加瀬完君 免許法をきびしくしたというのは、教師の資格というものを厳密にするということからのねらいであろうと思うんですよ。教師の資格を厳密にするということは、これは教育を向上させるために当然ですから、この厳密度を低めていいという理屈は成り立たないと思うのです。かりに技術強化、技能強化であろうとも、それはそういう適材がおらなければ養成をするのが文部省の当然の考え方でなければならないことであって、便宜的に技能がすぐれているからといって、他の教師としての資格要件に欠けている者までも別な免許制度をきめて、これに資格を与えるということは、これはちょっとあまりにも便宜にすぎると思うんです。ならば、養成所なり、あるいはそういう特殊な技術者を必要とすることが急であるならば、そういう学科をどっかの大学に養成機関を設けるとかということにすべきであって、その間は臨時免許状を使おうが、あるいは講師という形で現在の技術者を当てはめようが、これは許せることだろうと思うんですよ。くずれてきますよ、免許法がどうしたって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/37
-
038・村山松雄
○説明員(村山松雄君) こまかくなりますが、現行法では講師にするにも教員免許状が必要でございまして、臨時免許状ですと助教諭にしかならないわけであります。助教諭では、全く技術たんのうな方で、高等学校の柔道なり剣道なり特定分野の指導をしてくれる者を受け入れる態勢としては不十分ではなかろうかというのが基礎にありまして、こういう例外的措置を講じた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/38
-
039・加瀬完
○加瀬完君 関連ですからこれで終わりますけれども、旧中等学校における柔剣道の先生というのは、ほとんどその当時は講師と呼んでおったかどうか——いずれにしても正規の教諭ではありませんでしたよ。それでも柔剣道の成績があがらなかったということはないわけです。そういうことになれば、柔剣道なら柔剣道の先生になろうということで、特別の大学の教育を受けるという方は——むしろ便宜的に柔道ができればいいということになれば、だれも正規の学習をやってそういう職につこうかという者はかえって減ってくるという逆結果も生まれてきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/39
-
040・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 正確な資料を持たずに申し上げてたいへん恐縮でございますが、戦前におきましても柔剣道がほとんど無資格教員であったということは事実に反するのじゃないかと思います。と申しますのは、戦前は武道という免許状がございまして、高等師範の体育科はもちろん、武道専門学校ですとか、あるいは警察官の方等でも検定によりまして武道の免許状が得られたわけでございます。そこで、戦前の中等学校の武道の教員は、むしろ有格教員のほうが過半数であって、補助教員のほうが少数であったというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/40
-
041・加瀬完
○加瀬完君 違いますよ。そんなことはない。ちゃんと資料を調べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/41
-
042・米田勲
○米田勲君 加瀬委員の言われていることがわが党の本筋的な主張なんです。ただ、私はそれは先に述べましたので、一歩、政府提案のほうに近づいて質問をしているわけです。それにしても先ほど私の指摘したように、せっかく配慮をして教諭の資格をいろいろな事情で与えなければぐあいが悪いのだという事情がわかるならば、普通免許状のほうに一級、二級しかないところに、なぜこういう方法によって教諭の資格を得る免許状はここに該当するのだということを明記するような法文上のていさいをとろうとしいなのか。普通免許状の一級でも二級でもない、それに該当しない普通免許状があるのだというふうに無理にどうしてそこだけしておくのですか、ここまで便法を講じてきているのに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/42
-
043・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 今回の検定による免許状は、程度から申しまして一級と二級のどちらに格づけるか、資格付与の態様が違いますので、判然としない点がございましたので級別を設けないことにいたしたわけでございます。と申しますのは、現在二級は御承知のように高等学校のほうは大学卒が基礎になっておりますし、一級は大学院の修士あるいは専攻科一年終了程度以上が基礎資格になっております。このような検定による資格付与というものはスクーリングを基礎にいたしました一級、二級とは必ずしもなじまない。しいて言えば二級相当ということになろうかと思いますが、一、二級の区別を設けることがあまり意味がないのじゃなかろうか。かりに二級相当といたしましても、これを一級に上進させることは、現行の一、二級の制度からいたしますと、またバランスがとれない面もございます。とにかくそういう級別というようなことにこだわらないで、最小限度の教諭の資格を与えようというのが級別を設けなかった理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/43
-
044・米田勲
○米田勲君 その事情についてはわかるのです。わかるのだが、なぜ普通免許状の第三に該当する者なんだということをはっきりさせないのか。これは待遇にも直接影響してくるのですよ。一級免許状か二級免許状かというのは当然待遇のほうにも影響してきましょう。その場合にどうするつもりなんですか。この一級にも二級にも該当しない普通免許状で教諭の資格を持つ者の待遇はどこに該当させるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/44
-
045・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 現在、教員の待遇は免許状の種別よりは、むしろやはりスクーリングと経験年数とを基礎にして計算をいたしております。したがって、一級、二級ということをはっきりさせないために給与と直接関連を生じて不利をこうむるということはないと思います。私どもといたしましては、この検定による教員につきましては、その経験年数なり年齢その他を勘案いたしまして、教諭と同じ格づけをするように人事院と折衝するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/45
-
046・米田勲
○米田勲君 この点の疑点は、事情の説明はよくわかっても、最後まで私は疑問が残っておるということにしてとどめたいと思います。
そこで、この四条の五項には各教科について免許状が授与されるようになっているわけですね。今度のこの改正法律案によって出される免許状は、省令か何かでこの各教科以外に新たに加えるという措置をとるのですか、実際にはどういう措置がとられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/46
-
047・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 今回予定しておりますのは柔道と剣道と、それから計算実務でございまして、その種別は省令の段階で明らかにするという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/47
-
048・米田勲
○米田勲君 そうすると、法律の各教科について免許状が授与されるようになっている四条五項には全然手を加えないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/48
-
049・村山松雄
○説明員(村山松雄君) そのとおりでございます。第十六条の二に、「高等学校教諭免許状は、第四条第五項第二号に掲げる教科のほか、」云々、「文部省令で定めるものについて授与することができる。」とございます。文部省令で定めるものといたしまして、柔道、剣道、計算実務という種別を出してくる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/49
-
050・米田勲
○米田勲君 そうしますと、本法にはさわらないで省令の中でそれを規定する。その省令の中に規定されたものがこれとあわせて考慮される、こういうふうに理解すればいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/50
-
051・村山松雄
○説明員(村山松雄君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/51
-
052・米田勲
○米田勲君 いまの質疑応答の中で、ちょっと答弁の中に出てきたんですが、この改正法律案の提案理由を読みますと、「特定の技能に関する分野に限って、」ということばで説明されているんですが、この特定の技能の範囲というものをこの際明確にしてほしいわけです。それは先ほど私の質疑をした基本的な立場からも、この場合、「特定の技能に関する分野に限って、」とあるものをこの際は明確にしてほしいわけです。いま説明のあったのは柔道、剣道、それから計算の実務と、こういうふうなものをあげられましたが、その点を全部どういう範囲に限って考えられているか。この改正法案の対象となる特定の技能に関する分野を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/52
-
053・村山松雄
○説明員(村山松雄君) まず、高等学校の教科を大別いたしまして、いわゆる普通教科に属するものと、それから芸能関係に属するもの、それから体育、産業教育、いろいろな分野がございます。この特定の分野として考えておりますのは、普通教科に属するものは除いて考えてございます。芸能、体育、産業教育に関する分野で、その一部で大学では養成がしにくくて需要に対して供給が間に合わないもの、こういう考え方でございます。そういう考え方に沿うものとして具体的にあげますと、この三つのほかにタイプライティングとか、速記とか、書道とか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/53
-
054・米田勲
○米田勲君 書道ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/54
-
055・村山松雄
○説明員(村山松雄君) はい、書道。それから希望といたしましては、芸術関係の一部の分野について認めてほしいというような要望がございます。それから体育関係では特に体操だけに限って検定制度をやってほしいというような御意見もございます。それら検討中でございますが、要するに普通教科を除きまして、芸能、体育、産業教育に関する分野の中で技能に重点を置き、供給が不足するもの、具体的にやはり先ほども述べたようなものがあげられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/55
-
056・米田勲
○米田勲君 私はそういうふうになっていくことをおそれるんですよ。だから、先ほどのこういう便宜措置をとり、本筋をくずす場合には、それが本筋でないんだという認識をもって最小限度に食いとめるべきだということを主張しているのもその立場なんです。あなたの説明によると、これは相当にこういう分野に広がっていく懸念がある。先ほど私は柔道、剣道、何か、こう実務と言いましたから非常に限られていると思っていましたが、いまの説明を聞くと、今後この問題は相当に、分野に限るのでなくて、その分野が広がっていくおそれがある。これは文部大臣、どうなんですか。先ほどの大臣の考えからいっても、こういう便宜的な措置を講ずる場合にはごく限ったものにしてもらいたいのですが、こういうあいまいな——現状においても説明があいまいなんです。こういうことでどういうふうな方向にこの便宜措置が講じられていくか、はっきりしないままにこの法案の審議を進めていくということは不本意なんです。だからこの場合には、われわれとしては改正法律案を出すたてまえとしては、こういう分野に限って考えているのだということを明確にしてもらいたいのですな。いまの説明ではどうもその点がはっきりしない、もっとルーズになっていく感じがするわけですよ、聞いておって。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/56
-
057・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど審議官がお答えしたとおりであろうと思うのであります。ことばに出せばそういうことになろうかと思うのであります。現在の場合としまして、柔道、剣道、あるいはいわゆる計算実務というもののみに限るという考え方はいたしておらぬわけでございますが、基本的には、先ほどお答えしましたとおりに、こういう例外の措置でありますから、教育の内容の充実向上ということを期する立場からも、この例外の措置をみだりにやるべきじゃないと私は思うのです。十分皆さんの御納得のいくものについてやっていかなければならぬ、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/57
-
058・米田勲
○米田勲君 これは文部大臣考えていただかなければならぬのは、われわれが審議しているこの法律案が通ってしまうと、あとは省令でどんどんやっていけるわけです。そうなりますと、もうわれわれがタッチして、それはいいとか悪いとかという論議をする場所がなくなるのですよ。だからこの場合、私はたてまえとしては反対であるが、実情からいって真にやむを得ないことなんだ、だから、この特例措置を認めるべきなんだという主張を納得する最小限度の譲歩は、これをごく限ったものにしてもらいたいという強い希望を持つわけです。それがどうも文部大臣の話を聞いても、柔道、剣道、計算実務に限るものではないのだということになりますと、芸能、体育、産業教育全般にこの特例が及んでいくということを、あらかじめわれわれが承知しなければならなくなってくるわけです。それではあまりにいまの免許法のたてまえ、高校教育の水準を一定限度に維持しなければならぬというたてまえからいって納得がしがたいのです。しかし、私は前からこの説明を聞いておったときは、これは公式な場所ではありませんが、柔道、剣道と計算実務ということに限ってこの特例を認めようではないかという御意見を話されておったわけです。それが芸能、体育、産業教育全般に及んでこの特例が発動していくのだ。今後それが省令によってこなされていくのだということになれば、どうも納得ができないのです。この点は初めのようにごく限定していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/58
-
059・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 基本的には先ほど申しておりますように、この特例というものを特例でないような形で云々するつもりは毛頭ございません。先ほど審議官も申しましたように、現在の大学教育というものになじまないと申しますか、そういうふうなもので、しかも相当需要のあるものというふうなものに限定しなければならぬのは、これは当然のことだと思うのであります。ただ何と何というふうにいまはっきり限定をすることは私は困難だと、ただそういうつもりで運営していかなければならぬ性質のものということを私は申し上げるにとどめたいと思うのであります。とりあえず、いまやろうとしておることは何かと、こうおっしゃれば、先ほど申しましたとおり、もう柔道と剣道と計算実務、これをやろうとしておるのだということは申し上げることはできますけれども、範囲の問題についてこの三つにこの際限定いたしますということは申し上げにくい、やはりいろいろな要求というものも出てまいる、そういうふうな場合に本筋を誤らないように、本筋にもとらないような心がまえでもってこの法律は運用してまいらなければならぬ、かように私ははっきり申し上げるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/59
-
060・米田勲
○米田勲君 私は灘尾さんの人格を信頼しているから、この場限りの話としてはわかる。しかし、私は一度法律が制定されてしまえば、あなたいつまでも文部大臣としてやられるわけではないのだから、われわれの意思がどこにあろうとも、これは自由に活動を始めるわけです。そうしてその高校教育に関係する芸能、体育、産業教育の全分野にわたって、こういう便法が特例としてどんどんいくことを阻止することはできないでしょう。私はできないと思うのですよ。それは文部省の考えでもってやられてしまって、個々の審議にはよらないのだから、だから国としてはこういう本筋をくずすようなときには、こういう現状だからこれに限るのだということを一応きめてもらって、それ以上にまだ特例措置を必要とする場合には、もう一度法律審議にゆだねるというくらいの慎重さがあるなら私はいいと思う。しかし、もうこの法律案を通してしまったら、再びわれわれの手で論議する場所がないわけです。だから、いま大臣が言われるような芸能、体育、産業教育の全分野にこの特例は及ぶような余地を、この法案審議の際に答弁をいただいたのでは何としても納得できなくなる。これはそういうことまでして高校教育の水準を、いままでとにかく苦労しながら維持してきた免許法のたてまえを、高校教育の水準を維持しようとする努力がこの便宜措置によってくずれてしまうということは納得できない。私は譲歩できるのは、現状からいってこれとこれとこれはやむを得ないのではないかという説明で、それもそうかなという気持ちが私の気持の一部に起こってきているわけです。それがいまの説明のようだと、これはいかぬという気持ちになる。こういうルーズなことでこの特例を今後拡大発動するようなことは、これは高校教育の将来のためにこの法案を阻止しなければならぬではないかという気持ちになりますので、そういうことでなく、当面ではほんとうに困っているものに対してこの特例を発動したいのだ、それはこれこれに限るのだ。その他のものに拡大する必要がどうしてもあるという場合には、あらためて法律の審議に訴えるというくらいの慎重さをとるのだということを約束してもらわなければ、幾ら灘尾さんを信頼しても、私はどうもその心配は残るので、それでは困る。この場合は、とにかく将来ともその憂いがないようにして、ひとつの歯どめをかっておいてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/60
-
061・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど審議官がお答えいたしました中に、こういうふうな特例措置が講ぜられる範囲と申しますか、範囲について、あるいは産業教育、あるいは芸能というふうなことを申し上げました。私はしかし、ただ産業教育ならすべてこの特例措置を講じていこうというようなつもりでお答えしていないと思う。その中で今回柔道あるいは剣道あるいは計算実務、こういうふうなものを特に選んで、そうして免許状を出そう、その考え方そのものはずっと続いてまいるわけであります。産業教育であれば何でももう特別な扱いをしていいのだとか、芸能であれば何でもいいのだというふうな考え方ではないのであります。その中に今回選びましたようなものが、該当するようなものが出てまいりますれば、また、そういうものがあって、特にそういうことに対する必要がありました場合には文部省令でもって指定をしていく、こういうような考え方をいたしておるわけでございます。基本の考え方は一貫する考え方であります。私は、これはひとついろいろどんなものが今後出てまいりますか、そういうふうな事態に即応して考えさせていただく、こういう意味で文部省令にひとつおまかせになってもよろしいではないか、このように考えている次第でありまして、みだりに産業教育だからこうだとか、芸能だからこうだとかいうふうなルーズな考え方はいたしておりません。その中で特に今回取り上げましたような趣旨において取り上げる必要があるものについては考えていこう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/61
-
062・米田勲
○米田勲君 私は、提案者である文部大臣がいまそう考えておられることについては理解できますよ。しかし、違法でないことはやれるのですから、違法でないことは今後やれる。つまり、この法律が生きてしまえばやれることなんです。あなた自身はそういう本筋をくずすようなところまで特例を拡大していくなんということは間違いだというふうにお考えになっていても、芸能、体育、産業教育全般にこの特例を及ぼしていくことは違法だということはいえなくなってきはしませんか。これが生きてしまうのですから、そういうことを私は考えなくちゃならぬという立場なんです。いま提案されたあなたが、そんなルーズなことをやります、そういう計画のもとにこの提案をしたのですとはもちろん考えてもおられないし、言われない。しかし、違法でないことは今後やれるのだ、こういうことになると、あなたがいまは心配されていないことが将来は心配されるのです。ですから、私は少なくともこういう本筋をくずす場合には、ごく限定したものについて一応認めて、将来そういう特例がまた必要になってきたという問題にぶつかったときには、法律の改正によってその特例を拡大していくという慎重さが、事教育に関しては必要だ、特にまた、これは高校教育なんです。私は何としてもその点は譲る気持になれないのです。文部大臣が幾ら私はそういうことでないといっても一、違法でないということを将来言われる。だから、その点の歯どめをこの法律をつくったときには、この法案を議決した立法府の趣旨はここに限定すべきものとして出したのであるということを、少なくとも将来残す必要がある。これはみだりに拡大はできないのだ、そういうお互いの、提案者の説明もそうであったし、これを審査した立法府の立場もそうであったのだというくらいの歯どめがあって初めてそういう特例がむやみに拡大していくことを防ぐことができる。ところが、あなたのそういう説明であれば、これはおそれは十分あります。ですから、これは何としても文部大臣に、この際あなたがお考えになったのは、むやみに問題を拡大しよう、特例を拡大しようということでなく、ごく限られた問題にぶつかったから出したんでしょう。だから、現在の場合は、そのごく限られた問題についてこの特例を適用したいからこの法律案を出しているのだ、われわれは少なくともこの分野に限りたい、将来新たに問題ができた場合にはまた御検討願うのだ、そういうたてまえなんだというぐらいのはっきりした態度を披瀝してもらいたい。そうすればわれわれもその点を信頼していくことができる、審査を進めることができるわけです。私の言っていることはしつこいですか。国務大臣(灘尾弘吉君) おっしゃる御趣旨はよくわかっております。ただ、今回の法案はごらんのとおり、このような特殊の例外を認める問題については、「技能に係る事項で文部省令で定めるもの」、こう書いてあります。つまり、こういうふうな問題については文部省にひとつおまかせをいただきたい、こういう趣旨でもって御提案申し上げている。それに対しまして、その趣旨はこういうことだと先ほど来いろいろ申し上げたわけでございます。これに対して米田さんが、それは気にいらない、こうしろと、こういうことになりますというと、提案の趣旨と違ってまいってくるわけであります。私といたしましては、御意見は御意見として承っておくという以外に申し上げようがないのでありまして、この法律を幸いにして御可決いただきますならば、先ほど申し上げましたような趣旨で運用してまいりたいということははっきり申し上げますけれども、それ以上は申し上げることは実は困難でございます。御意見は御意見として承っておくということになろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/62
-
063・加瀬完
○加瀬完君 ちょっと関連。しかし文部大臣、基本線はあくまでも免許法に定められております一級あるいは二級の教員が教育を担当するということがたてまえでなければならないと思うのです。現状では、いま提案されているような内容の教科科目については、そういった教員だけにたよるわけにいかないので便法を用いるということでありますので、その便法というものは、あくまでもはっきりとその科目なり期限なりというものは、私はつけられてしかるべきだと思うのです。そうでなければくずれていくおそれもあるわけでありますから、くずす考えはないという文部省の御態度でありますならば、科目はこれとこれとこれ、でき得るならば、これは暫定期間として何年なら何年の間、その間において十分文部省が責任を持って担当の教員を養成するというくらいのかまえがなければ私はならないと思うわけです。そうでなければ、いわゆるいまのような教育制度にたよる以外にそういった有資格者を求めたいということならば、これは私たち賛成ではもりませんけれども、旧文部省検定制度というものをもう一回考えたほうが、まだいまの便法より私はいいと思う。中等教員検定とか、高等教員検定というものがあった。その制度というものを民主的にもう一度復活するには何か方法はないかという御研究をなすっていただいたほうが私はよろしいのじゃないかと思うのです。具体的にこれを拡げていくという中にいま体育がありました。体育の先生というものは回転がうまいとか、鉄棒がうまいということだけでは体育の先生にはなれない。保健衛生とか、生理とか、ほかの学科についてもこれは学習がなければ体育の指導はできませんよ。中学校の指導だってできませんよ。それを実技本意で、体操がうまいということで体育というものを選定されたならば、これは生徒は迷惑だ。教育が破壊されるということも、大げさに言えば言えると思う。あるいは書道にいたしましても、芸能の一部というのですけれども、どういうものか知りませんが、書道でも、芸能でもこれは子供の情操に与える影響は大きいですから、やはり教育者としての適格というものを兼ね備えた書道の先生であり、芸能の先生でなければ困るわけで、これを無制限に技術がうまいからといって採用されるならば、これはいま考えているような免許法の制度というものは全くなくなっていきますよ。そういう点で、私はあくまでも便宜的なものであり、一時的なものであり、基本はいまの免許法による正規の教員によって教育を担当させるのだ、しかし、便宜、暫定の期間としてこの措置をやるのだという点だけははっきりさせていただかなければ、米田委員の御指摘のように、どうも足りないから質が悪くてもいいだろうということで教師の質そのものがくずれてくると、これは新教育の出発の理想というものが全くなくなってしまうことでございますので、そういう点も心配して伺っておるわけなんです。この点はやはり米田委員の御主張を認めていただくわけにはまいりませんか。何も反対しているわけではなくて、はっきりさせていただきたいということだけでございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/63
-
064・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 御趣旨はよくわかっております。ただ、政府といたしましては、こういう案でもって御提案を申し上げ、御審議をお願いしているわけでありますから、その線に沿ってひとつ何とか御賛成をいただきたい、かように考えておる次第でございます。今度の免許につきましては、私どもただ柔道がうまいから、剣道がうまいからという、それだけでもって教師に採用するという考えはいたしておりません。そのために検定試験をやろうといたしておるわけであります。また、必ずしも大学を出なくてもりっぱな人物というものはあり得るわけでありますから、やはり教師たるにふさわしいものを備えた人を採用したい、こういうようなことを念願いたしておるわけであります。これをいま、何と言いますか、暫定的な制度としてやるかどうか、あるいはまた特殊の、いま申し上げましたような二、 三のものに限ってやるかどうかということになりますれば、私は、まあ制度としましては、この種の制度をやはり認めておいていただいたほうがよろしいのじゃないか、このように思うのでありまして、柔道、剣道あるいは計算実務——計算実務と申しましても、これもまたいろいろあろうと思います。あるいは先ほどお話に出ておりましたようなタイプライターであるとか、速記であるとか、こういうふうなものにつきましては、今日ただいますぐこれをやろうということは考えておりませんけれども、やはり実情によってはそういうようなものを考えていかなければならぬというようなこともあろうと思います。世の中がだんだん変わってまいりますことでありますから、それだけの余地はひとつ与えておいていただきたい、このように思うわけであります。法令の運用につきましては、免許法の大精神を乱す、大精神を後退させる、こういうような考え方で運用してまいりたくないのでありまして、あくまでも補充的なものとしてこの制度をひとつ取り上げていきたい、補充的、例外的なものとして運用していきたい、かように考えておる次第でございますから、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/64
-
065・米田勲
○米田勲君 これはすでに提案されておるのですから、政府の閣僚の一人として、いまさら提案の内容について変更したりすることは許されないでしょう。それは私もわかる。しかし、法律案を審査したときの立法府の趣旨がどうであったかということは、将来やはりこの問題はこの法律が生きて動くときにはたえずつきまとうものなんです。そういうものなんです。立法府でこの法律を審査したときに、立法者の趣旨はどうであったのかということは大事なことなんです。その意味では、ここの場所の論議というものは大事なものだと思っておる。だから、少なくもこういう便法を講じなければならない羽目になったいまの大臣の立場というものは、ごく限られたものであるはずなのです。だから、私は提案の内容を変えろ、法文の内容を変えろという主張は、これは否決しない限りできないことはわかっています。しかし、ただこの審査の過程において、こういうものに限って便宜的な措置をしようと考えておるのだということを明確にしてほしいし、それがたとえ省令によってできるように形はなっていようとも、この法律の改正案の趣旨は、そういう特例をむやみにふやすことでなかったのだということが、一つのまた省令を将来発動する場合にも大きなブレーキになるし、反省の材料にもなることなんだから、だから、私は当然、文部大臣も芸能、体育、産業教育全般にこんな特例を及ぼさなければならぬのだといってこの改正法律案を出されたのではないのだから、当面して、突き当たっている問題に限って、この特例をいま必要とするのだというふうに明確にしてほしい、そういう主張なんです、私は。だから、そういう提案者の考えであり、立法者もそれを認めてこの法案は議決せられたのだという経過が必要だ、この場合。そういうことを主張している。そのことが、むやみにこういう種類の教員免許状が乱発され、特例を拡大されない大事な歯どめになるのだと認識しているわけです。ですから、私はそういうことで限定してほしいということは、法律案を変えてくれということではなく、提案者の趣旨はこういう限定したものなのだ、そういうふうに説明をしてほしいと要求している。それでもだめですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/65
-
066・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) こういう種類の免許状と申しますか、免許の仕方と申しますか、これについては先ほど来、さしあたって考えております柔道とか、剣道とか、計算実務のほかにもいろいろ議論はあるのであります。文部省といたしましてはいろいろ検討いたしておるところでありますが、さしあたって考えておりますのは、先ほど申し上げましたところであります。これと同じような条件のもの、同じような事情のものがありましたときに、それはやらないと、ちょっとここで申し上げることはできない。その辺はひとつ立法の趣旨というものを、十分、文部省といたしましても将来ともに守ってまいりまして、今回われわれがやろうといたしておりますことに類するような場合におきましては、文部省が十分検討いたしまして、そうしてこれを指定の中に文部省令でもって追加していくという余地だけはひとつ与えていただきたい、このように私は思うのでありまして、繰り返して申し上げますが、みだりにこういうものを拡大して何も能とするものではない、やはり本筋を進めていくということが文部省の本来の責務であります。これに努力することは当然のことでありますけれども、実際の状況からいたしまして、今回考えておりますような種目ないしはこれに類するようなものにつきましては、将来追加する余地だけは与えていただきたい、このように思います。私のほうもあまりしつこいかもしれませんけれども、こういうようなことを申し上げておるわけであります。気持ちはひとつ御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/66
-
067・米田勲
○米田勲君 そうしますと、特定の技能に関する分野というこの特定の技能の範囲というものは、柔道、剣道、計算実務だとわれわれは考えて提案しておるのだという、そういう答弁はいただけないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/67
-
068・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在さしあたって考えております、つまりこれが幸いにして御可決を願い、法律になりました場合にやりたいと考えておりますのは三つの種目であります。しかし、それのみに限るということは私は申し上げにくいのであります。これは多少の余地は残しておいていただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/68
-
069・米田勲
○米田勲君 これは相当時間を費やしても依然としてその点の私の懸念はなくなりそうもありませんので、これは留保しながら前に進みます。私は納得ができません。
次に質問いたしたいことは、「特定の技能に関する分野に限って、大学の教育を受けたかいなかの別を問わず、文部大臣が行なう試験によって、教員として適当な資質、能力を有すると認められた者に対し、」云々と提案の趣旨説明にあるわけです。この点で私少しく明確にしてほしいことの第一は、「大学の教育を受けたかいなかの別を問わず、」ということは、学歴は全く受験の条件にしないということなのかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/69
-
070・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 原則といたしまして高等学校卒業程度以上の者について試験をやりたいという考えでございます。ただ、例外的に旧制中等学校を出た者も経過的には受験資格を与えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/70
-
071・米田勲
○米田勲君 旧制中学卒業者については経過的な措置という説明がありましたが、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/71
-
072・村山松雄
○説明員(村山松雄君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/72
-
073・米田勲
○米田勲君 そういたしますと、この場合、「大学の教育を受けたかいなかの別を問わず、」という意味は、学歴は全く受験の条件にはしないんだということではなく、高等学校の卒業以上という条件がついていることになりませんか。そう理解していいんですか、高等学校卒業程度以上、卒業者。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/73
-
074・村山松雄
○説明員(村山松雄君) そのとおりでございます。米田勲君 そうすると、現在の中学校卒業の学歴を持っておって、非常に実技にひいでておる、抜群である、こういう場合は、この場合の受験の資格を持つ対象にはなれませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/74
-
075・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 新制の中学校は含めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/75
-
076・米田勲
○米田勲君 次に、「教員として適当な資質、能力を有すると認められた者」というふうに説明されておりますが、この場合はもちろん高校教員ということを対象にしておるのですから、高校の教員として適当な資質、能力のあるなしを認定することになるわけですが、具体的にはこの適当な資質、能力のあるなしの認定はどのようにしてなされるのか、また、どのような水準の資質、能力をこの試験では要求する考えなのか、その点を詳しく説明してほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/76
-
077・村山松雄
○説明員(村山松雄君) まず試験の方法でございますが、これは専門家、学識経験者を委嘱いたしまして、試験委員によって試験をやっていただく考えでございます。それから試験の項目でございますが、これは実技並びに人物、学力についてやるつもりでございます。それから具体的なやり方でございますが、実技に関しましては実地の考査を行ないますし、それから人物、学力等につきましては筆記試験あるいは口述試験といったような方法を加味することを考えております。詳細につきましては、試験委員を委嘱いたしますと試験委員の方々のお考えもあろうかと思いますので、それらの方々の御意見なども参照しながら文部省令できめていきたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/77
-
078・米田勲
○米田勲君 この試験は、実技、人物、学力について試験をするという御説明ですが、その試験委員になられた方の判断にまかされるものでなく、省令でその点は規定したいと、こういうお考えのようですが、省令の中に規定される内容は、相当具体的に適当な資質、能力のあるなしの認定ができるような、そういうことになると確信をしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/78
-
079・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 省令の段階で規定しますことは、専門家、学識経験者を委嘱して、人物、学力、実技について口述、筆記、実技の面で試験をやるという旨を規定するにあるいはとどまろうかと思います。省令の段階でその考査の基準までを明確に書くことは現段階では困難ではなかろうかと考えております。現実にどの程度のレベルに達すれば合格せしむべきものであるかにつきましては、おそらく試験委員の方の判断が大きな要素になり、省令等で字であらわすことは困難になるんではなかろうかと思います。それらの点につきましては、これから専門家の意見を聞いて慎重に練っていきたいと考えております。実技につきましては、申すまでもなく高等学校の担当すべき科目、つまり柔道、剣道につきましては指導要領の線に沿って指導でき得る程度の実技というところが目標になるわけでございますが、そういう目標そのものを文章に表現することには限界がございますので、実質的にはかなり試験委員の判断に待つところが多くなるんではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/79
-
080・米田勲
○米田勲君 試験の中に学力というのがあるのですが、どういう水準の学力を持っておることを要求するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/80
-
081・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 現段階で考えておりますのは、これはやはり専門の学力並びに教養、教職、全般的に調べたいと考えております。専門の学力、つまり実技そのものにつきましては実技の試験が主たるものになるわけでございますけれども、これは何も実技の演技者の試験じゃございませんから、あくまでも教員になるという段階で、個人指導、集団指導、いろいろ指導の方法があるわけでございますから、専門とする柔道、剣道につきましても、場合によっては筆記試験等の学力テストを行なう必要があろうかと思います。それから一般教養ないし教職課程につきましては、この試験の趣旨からいたしまして、およそ高等学校の教員として最小限度備えておらなければならぬ良識的なこと、あるいは学校あるいはクラス経営、生徒指導等について最小限度心得ておかなければならぬ教職の常識といったようなものを、筆記並びに必要があれば口述をも加えて試験をいたしたい、現段階ではかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/81
-
082・米田勲
○米田勲君 専門教育のほうは別にして、一般教養と教職課程の面を学力によって判定をするということになれば、この学力試験というのはどういう科目にわたるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/82
-
083・村山松雄
○説明員(村山松雄君) この検定試験の趣旨からいたしまして、形式的に現在大学でやっておりますように、教育心理学とか、あるいは教育行政学とか、そういう科目に分けてやるというようなことは、少なくも事務的な面では現在考えておりませんので、そういうものを総合いたしまして、およそ高等学校の教員として、技能にかかる分野といたしましても、生徒を指導するのに必要な最小限度の総合的一般的な教職の知識いうようなものを調べる方法があれば、そういう線に沿って試験をやっていただきたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/83
-
084・米田勲
○米田勲君 あなたは盛んにさっきから最小限度、最小限度ということばを使うのが私は気になるわけです。もちろん、便宜的な措置を講じていくのですから、その点はもちろん考慮の中に入るけれども、少なくともやはりこういう特別な技能を持つ教諭を採用しなければならない実情にあるとしても、教師としての一般的な教養や、その他教職課程についてもやはりそれにふさわしい人物を選ぶべきですな。それを無理に最小限度、最小限度といって、そのことを軽視するようなたてまえを初めから持つこと自体がこれは非常に危険だと私は思うのですよ。やはり一般教養なり教職課程の問題についても、高等学校卒業程度以上のこれこれの科目についてこの程度の水準を要求するというくらいのはっきりした決意もなしに、何かしら漫然として高校教員に必要な最小限度の教養がテストされるというようなことでやっていくとどうなるか、やはり最後には実技になってしまうのです。実技さえよければあとは可もなし不可もなしでいいじゃないか、そういうことになってはうまくないのですよ、これは。そんなほうまで走っていっては。私はいまあなた方がそんなことをしようと思っているというようなことはないと思っていますよ。文部大臣もそんなことを軽率に考えているとは思いません。しかし、一度こういう法律が出たら、ともすると安易にそっちのほうに走ってしまうのですよ。実技さえできればいいじゃないか、あとはむずかしいこと言うな、最小限度だと、こういうふうになっていっては、やはり小手先で何かが器用にできれば、それで高校の教員は教員としてりっぱにやれるのだということでは、日本の教育の将来のために芳しくないですよ。少なくもこの改正法案を出した皆さんは、政府の人たちは、そういうルーズにならないようなはっきりした考え方を持って出さなければ、大学を卒業した、そうして所要の修養年限あるいは単位の修得を要求はしないが、少なくもその点についてはルーズにならないように、一般教養の面についても、こういう科目を通じてある一定の水準を要求しますというくらいの明確なことであって、初めて私はこういう便法が許されるのであって、初めから最小限度だ、最小限度だ、科目を聞いても何を試験をするのか科目すらも言われない。大体、高校教員として常識的な一般的な教養があればいいのだといったような、初めから出発がルーズなんでは先が思いやられるわけですよ。もう少しそれは明確にできないですか、少しけじめをつけたらどうですか。学力について試験をすると言っているのでしょう。それではどういう科目にわたって学力試験をするのかと聞いても、科目は言われないというのがあなたの説明でしょう。そうじゃないですか。私はそういうように聞いたから反論しているわけです。そんなルーズなことでなく、もっと明確にできないのか。幾ら便法を講ずるにしても、何ぼでもくずれていくでしょう。あなたの言うような最小限度、最小限度というのは主観的なものですからね、最小限度だと言い出すと。私はそれを心配するのですよ。もう一度はっきり答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/84
-
085・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 一般教育、それから教職課程ということになりますと、御指摘のように、そういう科目が現にあるわけではなしに、一般教育であれば、人物、自然、社会科学にわたりましていろいろな科目がありますし、教職課程であれば、教育心理学、教育行政学あるいは教育財政、教育原理といったような科目がございますが、この高等学校の実技の教員の検定に関しまして、そういう科目に分解して学力の試験をやるのが適当であるか、あるいはそういう科目に分解しないで総合的な試験をやるのがいいか、これはまだ研究課題でございまして、現段階ではいずれともきめかねておるわけでございます。先ほども申しましたように、この法律が通りますれば、省令段階で試験委員に委嘱して試験をこういうものについてやる旨を規定いたしまして、委嘱しました試験委員の意見も伺いまして、高校教員の水準を下げることなく実技の教員の不足を補うという趣旨が実現できるような適正な試験の方法を講ずる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/85
-
086・米田勲
○米田勲君 文部大臣にお答えを願いますが、この場合、実技、人物、学力等にわたって高校の教員としてふさわしい資質、能力を持っておるのかどうかとい5認定をするための試験をやるのだと思いますが、この場合、実技だけ重視されるということに走らないで、一般教養、教育課程の面についても同校教員としてふさわしいかどうかという一定の水準を重視し要求しますという立場であるのかどうか、その点だけははっきりしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/86
-
087・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 試験のしかたにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、なお検討を重ねてまいるつもりでおりますが、この特殊の免許につきましても、ただ単に実技だけがすぐれておるというだけでは私は教員として採用するわけにはまいらぬ。やはり教員たるにふさわしいものを身につけておる人でなければなるまいかと思うのでありまして、幾ら柔道がすぐれておりましても、学生生徒からみましていかにもひどいというような人を先生にするわけにはまいらぬ。やはり先生らしい人に先生になってもらわなけりゃならぬ。そういう意味におきましては、いまお尋ねのございました、私はただ実技だけを重視するものではない。その他の資質という問題について十分重視して試験を行ないたいものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/87
-
088・米田勲
○米田勲君 そこで私一つお尋ねをしたいことは、こういう特例を設けて便宜的な措置で高等学校の特に特殊の技能を持つ教員を補充をするということになれば、これはいままでよりは、少なくもわれわれの期待としては、数多くこういう該当の教員を求めることができると思っておる。それをまた提案者も期待しておられる。そこでお考えを願いたいのは、現在この高等学校に対する教職員の配置基準といいますか、この問題については、どこの高等学校でも非常にいま問題にしているわけですよ。もっとその配置の基準をよくしてくれ、そうでないと充実した高校教育ができないのじゃないかということがしきりに問題になっております。特に義務教育関係の教職員の配置基準が改正されたものですから、それを契機にして高等学校の各職場では相当それが論議されている。そういう実情にあるということを認識していただきたい。そこで、いまこうやって特例を設けた法案が成立をしますと、その面の教諭が補充されていきますが、この補充される教員は現在の高校の教職員の配置基準のワク外にしてもらいたいという要求です、当面。もう少し根本的な高校の教職員の配置基準を改善をするまでの間は、少なくもいまの配置のワク内でこれを求めるというのでなく、ワク外にして、こういう特例技能の面を持つ教諭を充実していくという措置を講じてもらいたいというのが私の主張なんです、現状からいって。この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/88
-
089・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 御指摘の点につきましては、これは初等中等教育局におきまして十分善処せられることと思いますが、まあ実際問題として私ども考えておりますのは、この新しい免許状はごらんのように非常に分野が限定されております。現行の免許法のたてまえでいきますと、その免許状の範囲以外のものは担当できないたてまえになっておりますので、実際問題としては、まあ柔道、剣道の免許状がどのようにして授与されましても、定数の範囲内で常勤として採用されるというようなことはほとんどなくて、非常勤講師としての採用によって、その分野の指導力を強化するという措置が、まあとりあえずとられることと思います。そういたしまして、この教師の現場における受け入れ状況などともにらみ合わせまして、定数の問題は、今後、十分に善処していくように、初等中等教育局においても現在考えておられるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/89
-
090・米田勲
○米田勲君 文部大臣にお約束を願いたいのですが、いまそちらから説明がありましたが、この種の教諭をこれから補充をしていく、充実をしていくことになりますが、当面、現在の高校の配置教員の定数に食い込んでこれを補充していくという措置はとらないでもらいたい、そういう方針でいってもらいたい、そうして近い将来には、やはり高校の教職員の配置基準そのものを改正する必要があるのですが、そういうときに総合的に検討するとして、当面としては定員のワク内に食い込んでいくということでなく、ワク外の採用の仕方を認める、こういう方針でやってもらいたい。こう思いますが、大臣から、ひとつはっきりその点の御答弁をいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/90
-
091・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 御趣旨を十分尊重いたしまして検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/91
-
092・米田勲
○米田勲君 そこで、私、最後にお尋ねをしたいことは、この法案に関連して高等学校教員資格試験規程要綱案が文部省の中ですでに準備されていると聞いておるのであります。その要綱をこの際、この法案の性格からいっても、ここでお聞きをしたい、こう思います。ひとつ御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/92
-
093・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 現在、この法律の規定を受けまして高等学校教員の資格試験の規程を文部省令として、法律が通れば立案すべく、準備中でございます。その内容といたしましては、第一に、試験の施行期日、場所、出願の期限、その他実施の細目はあらかじめ官報で告示する旨、規定したいと思っております。第二点といたしましては、試験資格でございまして、試験を受けることのできる者は、高等学校を卒業した者またはこれと同等以上の資格を有する者ということを規定いたしたいと思っております。それから第三点といたしましては、試験の手数料の問題といたしまして、試験を受けようとする者は、文部大臣に願い出るものとし、この場合、所定の手数料を納付しなければならない旨、規定いたしたいと思っているわけでございます。それから第四点は、試験の委員と方法でございます。試験は大学の教授、その他学識経験者のうちから文部大臣が委嘱する委員が受験者の人物、学力及び実技について行なう旨、規定したいと思っております。第五点は、文部大臣は試験の合格者に対して合格証書を授与するということを規定いたしたいと思います。それから第六点は、授与権者の規定でございまして、免許状は都道府県の知事または教育委員会が授与する旨、規定いたしたいと思っております。以上が現在考えております高等学校教員の資格試験に関しまする文部省令の案の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/93
-
094・米田勲
○米田勲君 現在は案でしょうが、いま説明された六項目については、これはあとからそのうちの重要な事項が削除になってしまうというようなことはなく、ほとんど最終的な要綱だと理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/94
-
095・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) そのように御了解願ってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/95
-
096・米田勲
○米田勲君 四番目に、試験は大学の教授、その他云々とありましたが、これは実際の問題としてどうなさるお考えですか。試験の場所から考えて、この委員の委嘱というのは、全国を幾つかのブロックに区切って、そのブロック別に委員を任命し、そこで受験ができるようにするものかどうか。あるいは全国に一つ、東京なら東京に一つだけ置いて、そこに委員の委嘱をして試験を行なう、こういうふうになるものか。構想としては、どういうものを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/96
-
097・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 試験の場所は、この試験の趣旨にかんがみまして、全国ブロック別に数カ所設けたいと思っております。したがいまして、この試験委員の方には、たとえば問題の作成とか、基本方針に関しましては、おそらく東京にお集まりを願って御相談願うことになると思いますが、たとえば実地の試験などは、各ブロックの試験場に御出張願って試験をしていただくというような運営の方法になろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/97
-
098・米田勲
○米田勲君 そうしますと、ここで一定の数の委員を文部大臣が任命して委嘱をする、その委員が各地に出かけて、そこで試験の審査を行なう、こういうやり方なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/98
-
099・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 試験の中身にもよります。たとえば筆記試験のごときは、中央で問題を作成していただけば、あとは事務的に処理できると思いますが、実地の試験等になりますと、どうしても会場を全国に数カ所設けるとすれば、試験委員の方に試験場に出張願って試験をしていただくことになろうかと思います。そういたしまして、最後の取りまとめといたしましては、会場によってレベルが違っては困りますので、また、その結果を全体がお集まり願ってバランスをとれるように御検討願った上で最終的な判定をする、そういうやり方になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/99
-
100・米田勲
○米田勲君 委員の委嘱はどれくらいの数をこの種の試験のために委嘱する考え方を持っておりますか、全体として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/100
-
101・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 現在のところまだはっきりした数の予定はございませんので、実は一ぺんに全員ということでなしに、この法律が通りましたら、柔道、剣道、計算実務別に、まずこういう問題についてかねて関心のある大学の教授もありますし、それから現場の高等学校のほうでかなり具体的な御要望もございますし、その他実地の経験者などもございますので、それら中心的な方と御相談をいたしまして、次に全体的なやり方をきめていく、そういう二段がまえの準備をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/101
-
102・米田勲
○米田勲君 私は先ほどからの質問の中で述べているから繰り返しませんが、あまりにこの試験委員が少数だということになりますと、試験の審査の結果に主観が働く余地が多い。特に実技の人ばかりを多くして、試験委員がそういう選ばれ方をするというような場合には、それだけが重んぜられるという思わぬ結果になるということから、私はある程度数についても潤沢な委員の委嘱があらかじめ必要だろう。それらの人の衆知を集めた中で便法を講じても、高校教諭としての資格が十分あり、水準が落ちないというようなことを配慮しながら試験が行なわれていくという必要があるので、いま承りますと、全く数については考えておられないようですが、その点の配慮はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/102
-
103・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 数が何人であるかというところまでまだ考えておりませんが、御指摘のように、少数で個人の主観によって試験のレベルが乱れるということのないように、十分予算あるいは会場の許す限り多くの方にお願いをいたしまして、適正な結果を得るように配慮をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/103
-
104・米田勲
○米田勲君 いまの要綱の説明によりますと、私の理解としては、試験を受けたその結果の合否は、この試験委員によって最終決定されるものと、こう判断をして聞いているのですが、それに間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/104
-
105・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 実質的に試験委員の判定が最終的なものというぐあいに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/105
-
106・米田勲
○米田勲君 その実質的というのはどういうことですか。私の聞いているのは、試験の合否は委嘱した委員の合議でしょう。合議によって最終判定がされる、そうしてその最終判定をされて、合格ときまった人に対して文部大臣が第五項に基づいて合格証書を出す、こういうふうに私は理解しているのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/106
-
107・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/107
-
108・米田勲
○米田勲君 間違いないですか。この法案については第一項ばかり主として質問しましたが、第二項のほうにかかわる問題は、私自身が提案しているので、そのほうの質問はする必要がないわけです。ただ、私は先ほどからしつこいようにこの法案の過程で質問をしておることは、こういう便法はあくまで本筋ではないということを文部省としては固く堅持してもらいたい。先ほども加瀬委員から話が出ていましたが、私の主張をもってすれば、これはやはり暫定法とすべきだとすら思っているのです。そして本格的なそういう教員の養成は、いまの大学教育の中で不足しておる面を充実していくのが本筋だとは思いますが、しかし、その点については提案されたほうで考慮されておらないんですが、少なくもそういう特例を便宜上の理由から講じていかざるを得ないという事情についてはわかるけれども、先ほどから幾つかの重要な点について質問をいたしますと、どうもこれは将来省令の中でしきりに拡大されていく懸念がある。また試験の場合におけるその高校教員としての資質や能力の査定についても、その水準が不用意に下げられていく懸念もあるということから、私は原則的にこういう便法はやはり講ずべきものではないというふうに考えますが、一応、時間の関係がございますので、以上で私の質問を終わらしていただきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/108
-
109・中野文門
○委員長(中野文門君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、柏原ヤス君が辞任され、その補欠として鈴木一弘君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/109
-
110・中野文門
○委員長(中野文門君) 他に御発言もなければ、両案のうち教育職員免許法の一部を改正する法律案(閣法第一二九号)についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/110
-
111・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議がないと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/111
-
112・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、これより採決に入ります。
教育職員免許法の一部を改正する法律案(閣法第一二九号)を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/112
-
113・中野文門
○委員長(中野文門君) 多数と認めます。
よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/113
-
114・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
午後二時まで休憩をいたします。
午後零時五十四分休憩
————・————
午後二時十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/114
-
115・中野文門
○委員長(中野文門君) これより委員会を再開いたします。
国立教育会館法案を議題といたします。
本法案については、提案理由の説明をすでに聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/115
-
116・加瀬完
○加瀬完君 最初、国立教育会館法案の条文における語句の内容、または意味等につきまして、いろいろ御質問申し上げる前に確かめておきたい点がございますので、お伺いをいたします。最初に、第一条に、「国立教育会館は、その設置する教育職員その他の教育関係者のための研修施設を運営し、」云々とございますが、この「運営し」と申しますのは、同二十条にございます業務として、「教育会館は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。一、教育職員、教育機関の職員、教育行政機関の職員及び社会教育の関係者のための研修施設を設置し、及び運営すること。」とございます。この二十条並びに第一条の「運営」というのは同じ意味でございますか。また、どういう内容を指しておりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/116
-
117・福田繁
○政府委員(福田繁君) 教育会館法の第一条の目的でございますが、「国立教育会館は、その設置する教育職員その他の教育関係者のための研修施設を運営し、」云々という目的を規定いたしております。この研修施設の運営ということばの解釈になるわけでございますが、二十条にも一項の第一号に、「研修施設を設置し、及び運営すること。」と、こういうようにございますが、この運営するということば自体はこれは同じ意味でございます。ただし、教育会館法の第一条の目的に示しております趣旨は、大体、教育会館のの設置の目的そのものをここに抽象的に書いたというような意味でございますので、具体的な業務の内容につきましては二十条にこれを規定すると、こういうような方法をとっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/117
-
118・加瀬完
○加瀬完君 衆議院の審議のときに同じ問題が出たと思いますけれども、昭和三十六年の三月十七日の衆議院の文教委員会で、前荒木文部大臣が、「運営ということは建物の管理、運用ということだけであって、たとえば教職員の研修会を催すことそれ自体を企画したり、あるいは研修それ自体をみずからの責任においてやってみたり、などということは考えられないことなんで、」と言っておりましたが、この第一条の運営について。ただいまではそうではなくて、二十条のとおりに、建物の管理、運用のみにとどまらないで、教職員の研修の主催あるいは企画、あるいは研修自体の責任、こういうものも行なう内容を含めて運営といっておるのだと解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/118
-
119・福田繁
○政府委員(福田繁君) 最後のところの御質問の趣旨を十分に聞き取れなかったのでございますが、この第一条の「研修施設を運営し、」ということ自体は、二十条の第一項の一号の「運営」云々ということばと同じように解釈をいたしております。ただ一条のほうの「研修施設を運営し、」、それ以下に、「教育関係者の資質の向上を図り、」云々ということがございますので、これはもちろん目的条項でございます。そういった意味で、単にこの施設を管理、運営するということだけでなく、その他の資質向上をはかるために必要な業務というものも当然第一条に予測しているものだと、こういうように解釈をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/119
-
120・加瀬完
○加瀬完君 これは大事なことでございますから念を押しますが、そうすると、前文部大臣の荒木さんの御説明とは、いまの文部省のお立場が違っておる、荒木さんの御指定になった単に管理、運用だけではなくて、教職員の研修会を主催、企画、あるいは運営自体の責任と、こういうものもこの運営の中には含まれて現在は考えていると解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/120
-
121・福田繁
○政府委員(福田繁君) 荒木前大臣の御発言と違うというようにお聞きいただきますとちょっと困るのでございますが、衆議院でも申し上げましたように、荒木大臣が三十六年の文教委員会におきましてお答えになりましたことは、これは事実でございますが、私どもといたしましては、当時まだこの国立教育会館という営造物を建設いたしまして、そしてどういう形においてこれを運営するかということもまだ確たる決定はいたしておらなかったわけでございます。いわんやこの特殊法人にいたしましても、どういう細目の運用をするかということにつきましても、当時まだ決定をいたしていなかった時代でございますので、荒木大臣がお答えになりましたことと若干違うようでございますけれども、私どもといたしましては、この営造物ができてまいりまして、これを具体的に特殊法人として管理、運営するその細目につきましては、現在の時点におきまして法文にそれを具体的に詳しく書いていくというようなことになりましたので、その点があるいは御質問の要点かと思いますが、そういう点において、三十六年の荒木大臣の御発言とは少し違っているというような御指摘だろうと思いますが、それはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/121
-
122・加瀬完
○加瀬完君 ですから、二十条の内容が、現在、文部省の考えております教育会館の運営の内容だと考えているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/122
-
123・福田繁
○政府委員(福田繁君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/123
-
124・加瀬完
○加瀬完君 次に、十三条の役員の解任の第二項でございますが、「文部大臣は、役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任する」とございまして、その二号に、「職務上の義務違反」ということがございます。この職務上の義務違反というのは大体どういうことを推定をいたしているのか。また、違反の認定はだれがするのか、文部大臣でございますか。また、文部大臣はどういう形式を踏んで違反の認定をなさるのか、形式を踏んでというのは、どういう補助機関などによりまして違反の認定をなさるのか、この点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/124
-
125・福田繁
○政府委員(福田繁君) この役員の職務につきましては、第九条に、館長あるいは理事の職務規定がございます。したがいまして、館長なり理事はこの職務規定に従いまして、この国立教育会館法なるものが成立いたしますと、この法律に従って職務を忠実に執行する責任があるわけでございます。また義務もあるわけでございます。したがって、この法律に基づく会館のきまり、言いかえますと、定款に従って業務を運営する必要があるわけでございます。したがって、この「職務上の義務違反があるとき。」というような場合は、これはもちろんこの法律に違反するとか、あるいは法律に基づく定款に違反するというような具体的な事実がありましたときに職務上の義務違反があった、こういうふうに認めざるを得ないのであります。したがいまして、だれがこれを認定するかということでございますが、これは最終的には文部大臣が任命権を持っておりますから文部大臣であろうかと思いますが、業務上のことにつきましては、監事もまたこの業務を監査いたしまして、適正に業務が行なわれることを、それを監査をするのが役目でございますから、したがって、監事のそういった監査の上から、そういう義務違反だということが出てまいりますれば、具体的にはそういう手続を経て文部大臣が解職をするということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/125
-
126・加瀬完
○加瀬完君 この国立教育会館の業務方法書に記載すべき事項を定める省令というのがいずれ公布されると思います。その内容は、運営に関する事項、業務に関する事項、その他資料の収集、整理、保存及び利用に関する事項でございますけれども、ばく然といたしておりまして、これは定款の上でも法律の上でも業務上の義務違反というものが推定できないのです。しかし、業務上の義務違反というものは、これは教育会館の作用が大きいだけに、よほど、このようなことをすれば業務上の違反になるということは、おそらく文部省としては御推定があるだろうと思いますので、それを聞かせていただきたいということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/126
-
127・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、この法律の規定に従いまして業務を執行しなければならないわけでございますので、この法律に規定をいたしております事柄と違った、この法律にそむいて業務執行が行なわれた場合には、当然に職務上の義務違反ということになろうかと思います。一例をあげますと、館長の場合でございますが、一定の事項については評議員会の意見を聞いてこれを行なわなければならないということになっております。これは十八条でございます。三項に、「定款の変更」とか、「業務方法書の変更」とか、いろいろ掲げてございますが、そういう場合に、評議員会の意見を聞かなかったという場合には、やはり法律の規定にたがうわけでございます。そういう点において欠陥が生ずる。あるいはまた、いろいろあると思いますが、所管官庁の認可等を経なければならないような手続規定がございます。事業計画とか、あるいは予算とか、そういうものにつきましては文部大臣の認可を受けなければならないということになっておりますが、そういう認可を受けないで予算、事業計画をきめるというような場合においては、やはり法律の規定によれば義務違反という問題が起きるだろうと考えております。この法律の中に書いてありますいわゆる監督規定等で許可あるいは認可、届出といったような所定手続を経ないでいろいろ勝手なことをやられた場合にはそういう問題が起きようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/127
-
128・加瀬完
○加瀬完君 その点は内容の質問の際にもう少し具体的に私のほうでは疑義をただしたいと思いますが、一応、文言の質問に限りたいと思いますが、役員の兼職禁止を規定しております十四条でございますが、ここに、「ただし、文部大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」とあります。すなわち文部大臣は兼職禁止の十四条におきましても、禁止をしないで済ませ得る、承認も与えられるわけでございます。そこで文部大臣がどういう場合に承認を与えるのか、承認要件といいますか、承認の条件を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/128
-
129・福田繁
○政府委員(福田繁君) この会館の役員でございますが、この役員につきましては、第一条の目的に示しておりますように、「研修施設を運営し、教育関係者の資質の向上を図り、もって教育の振興に寄与することを目的とする。」ということが書いてございますが、そういった目的のもとに、具体的にこの二十条に掲げますところの業務を遂行するわけでございます。したがって、役員としては、この会館の目的に従ってこの業務を忠実に執行するいわゆる職務に専念する義務があるわけでございます。そういったたてまえから申しまして、この会館の目的と相いれないようなものについては役員としては適当でないということが言えるわけでございます。したがいまして、そういった意味から、これはいわば教育団体でございますので、営利を目的とする団体の役員になることは適当でない。こういうような観点からの禁止規定でございます。ただ、職務専念義務と申しますか、この会館の維持、運営、管理等につきまして、その役員が営利事業に従事いたしておりましても、それがさして影響がない、支障にならないというような軽微なものでございますれば、これはその当該の役員の人物、識見にもよるわけでございますが、支障がないと認められる場合においては、文部大臣は、これの兼務を認めよう、こういうようなことでございます。抽象的に申しましたが、それらの承認の要件は、やはり従来の特殊法人などの先例や、あるいは個々の人についての具体的な問題について判断をして文部大臣が決定される、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/129
-
130・加瀬完
○加瀬完君 業務内容を規定した二十条でございますが、「教育会館は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。」といたしまして、一に、「教育職員、教育機関の職員、教育行政機関の職員及び社会教育の関係者のための研修施設を設置し、及び運営すること。」とございます。で、この「運営」は、教職員の研修会の主催、あるいは企画、運営、こういうものを全部含んでおると認めていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/130
-
131・福田繁
○政府委員(福田繁君) この二十条の第一項の一号でございますが、これはこの研修施設としての会館を設置し、これを管理運営するという趣旨のことを書いてある。したがって、行政機関あるいはその他の機関におきまして研修等を行ないます際に、この会館を借りて研修会を実施するというような場合、すなわち、言いかえますと、その施設を提供してやるという場合がこの一号でございます。みずから教育会館が特殊法人として研修会その他の教職員のための資質の向上に必要な事業を行なうということ自体は二号で規定しているわけでございます。一号はさような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/131
-
132・加瀬完
○加瀬完君 その二号の、いま申しました「研究集会及び講習会を主催し、その他これらの者の資質の向上のため必要な業務を行なうこと。」とございますが、「必要な業務」というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/132
-
133・福田繁
○政府委員(福田繁君) この二号の、「講習会を主催し、その他これらの者の資質の向上のため必要な業務」と申しますのは、研修会、講習会そのものを主催し、実施する場合もございますが、また、研究会、講習会といったようなそういう名称のものでなくても、たとえば文化講演会式のもの、一般教職員のいわゆる教養を高める上におきまして講演会を実施する、そういうたぐいのものはまあ後段のほうに入ろうかと思いますが、そういった意味で、各種の資質向上のための業務を行なうという規定が置かれたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/133
-
134・加瀬完
○加瀬完君 このいろいろ衆議院段階の質疑の中で明らかにされておりますけれども、たとえば教育会館の仕事として、教養講座とか、まあ説明を若干加えなけりゃ誤まられますけれども、まあ大ざっぱに言えば、語学講座とか、視聴覚教育講座とかというようなものが考えられておりますね。それらをこれはさすのか。「必要な業務」というのか、「その他」をさすのか、その他何かあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/134
-
135・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは抽象的な規定でございまするので、「資質の向上のため必要な業務」という概念の中にはいろいろ入り得ると思います。しかし、具体的に何をやるかということは、これはまあ会館の運営上の問題でございますので、いまここで申し上げる内容ではないと思いますけれども、たとえば、先ほど御指摘のありましたような語学の研修会、あるいはまた視聴覚関係の設備を使った視聴覚教育関係の研修、そういうものもその前段の研修、研究集会といえば研究集会になるわけでございますが、研究集会という名称に適しないような、そういう類似の事業があるわけでございます。そういうものをひっくるめてその他の必要な業務、こういうように解釈していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/135
-
136・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、法律的には教育会館で、ここに定められておる、本法で定められておる目的に従っての必要だと考えられる業務は幅広くやり得る権限が与えられておるのだということに解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/136
-
137・福田繁
○政府委員(福田繁君) これはむろん抽象的な規定でございますけれども、幅広くと申しましても、そう無制限にこれはやるわけにはいかないだろうと思いますが、もちろん第一条の目的を逸脱するようなものであってはならないわけでございます。先ほど申し上げましたような語学の研修とか、あるいはまた視聴覚関係の研修、あるいは一般の文化講演式なものは、当然こういうものに入ろうと思いますが、それにやはり類似したものであっても、そう無制限にそれを広げるわけにはいかないだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/137
-
138・加瀬完
○加瀬完君 あと、こまかいことは内容の質疑のときに触れます。
それから二十一条の「業務方法書を作成し、文部大臣の認可を受け」とありますね。業務方法書は、先ほどちょっと申し上げましたが、省令でできるわけですね。その案を見ますと、研修施設の設置及び運営に関する事項というのがございますね。それから必要な業務に関する事項というのがございます。これはいずれもそういう内容を整えまして文部大臣に申請をいたしまして認可を受けなければ業務の執行ができないことになりますね。そこで、業務方法書の中の運営に関する事項なり、あるいは業務に関する事項というものは、さらに細分をするとどういうことを一体書かなければならないものなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/138
-
139・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん他の特殊法人におきましても業務方法書の記載の仕方というものは、大体これは先例と申しますか、他の類似の特殊法人と同じような内容になろうかと思います。したがいまして、第一号、第二号、第三号等にあげておりますように、業務につきましてはそうこまかく具体的に書くようなやり方をいままでいたしておりません。したがいまして、この場合におきましても非常にこまかい規定を置かないだろうと思いますが、たとえば業務方法書でございますから、業務執行の基本原則、あるいはまた施設の運営についての基本原則、そういったものの方針を述べるといったようなことが他の特殊法人についても行われております。したがいまして、具体的にはあまりこまかく業務方法書の中に書かないのが通例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/139
-
140・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、いつどういう講習会をやるとか、研修会をやるとかといったような詳細なことは、一々文部大臣の認可を受ける必要はなくて、教育会館独自でできるのだということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/140
-
141・福田繁
○政府委員(福田繁君) その点につきましては、毎年度の教育会館の予算並びに事業計画によってこれはきまるものでございます。業務方法書そのものは先ほど申し上げました方針でございますので、抽象的にしか書きませんけれども、毎年度の予算とそれから事業計画ということによりまして、たとえば英語の研修を何回やるとか、あるいはまた視聴覚教育関係の講習会を何回実施するとか、それに必要な予算はこれこれだといったようなことをそれらによってきめるわけでございます。それによって当該年度の事業というものがはっきりしてくる、こういうように御了解いただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/141
-
142・加瀬完
○加瀬完君 次に、報告及び検査が記載されている三十三条でございますが、その三項に、「第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」、こう書かれてありますが、これはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/142
-
143・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは御承知と思いますが、戦後の立法例はこういう三項のような規定を置くのが普通でございます。もちろん行政機関の職員でございますので、特殊法人につきまして立ち入り検査などをいたしましても、それはもちろん犯罪捜査のためにやるものではございません。行政機関が必要とする範囲において具体的に調査をする、実地に調査をする、そういう趣旨でございますから、それを念のために三項において書いた、こういうように御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/143
-
144・加瀬完
○加瀬完君 九条の「(役員の職務及び権限)」の四項でございますが、「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、館長又は館長を通じて文部大臣に意見を提出することができる。」とございます。ほかの、大体、教育会館に類似している特殊法人で一は、やはり監事の監査結果は館長あるいはその特殊法人の責任者を通じて上級の監督者に報告をするということにはなっていないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/144
-
145・福田繁
○政府委員(福田繁君) この点も最近の立法技術上のいわば慣例とでも申しますか、やり方でございまして、最近の立法例にならったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/145
-
146・加瀬完
○加瀬完君 最近の立法例はこういうふうになっていないのじゃないですか。他の法人、なっていますか。それからさらに御説明いただきたいのは、館長または館長を通じてその館長の権限内の監査の結果を報告しようとしたところで、これは文部大臣にそのまますなおに通る場合ばかりはないということも考えられますね。なぜ一体、監事から監査の結果を直接、館長を通さなくて、文部大臣に意見を提出するという普通の方法をとらなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/146
-
147・福田繁
○政府委員(福田繁君) この点はむしろお説のような、御指摘のようなことも当然に考えられるわけでございます。ただ、政府といたしましては、法制局の立法技術上の問題としてこういう書き方をいたしたわけでございます。ただ、館長を通じてというようなことにつきましては、考え方といたしまして、この監事が監査をした結果を文部大臣にそれについて意見を出すという場合におきましては、当然に館長というものを通してこういうことがあるということを館長にも知らしておくという意味において必要なことではないか、こういうような考え方から館長を通ずるような規定にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/147
-
148・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/148
-
149・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/149
-
150・加瀬完
○加瀬完君 文部大臣のお話もございましたので、いずれまた私どものほうでは十分研究をしてみたいと思います。
逆になりましたが、八条の役員のところで、「教育会館に、役員として、館長一人、理事三人以内及び監事二人を置く。」とございます。これは、役員は十四条によって兼職が禁止されているようですので、したがって、この役員は研修を受ける面の教師の側からは役員は出されないと考えてよろしゅうございますね。研修を受ける側のほうは役員にはなれないと考えていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/150
-
151・福田繁
○政府委員(福田繁君) この役員でございますが、十二条に役員としての欠格条項をきめております。したがいまして、その他におきましてこの役員として適当な学識経験を備えるという者であれば、この役員として任命し得るわけでございます。したがって、教師の側とか何とかというような、そういう考え方ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/151
-
152・加瀬完
○加瀬完君 しかし兼職規定があるわけです。ですから研修を受ける学校の校長、教頭、教諭といったような側からは役員に出られるわけにはいかないでしょう、これは。出す出さないということではなくて、法文上出られないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/152
-
153・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほどちょっと申し落としましたが、十二条の欠格条項の中には、政府または地方公共団体の職員というものは役員になれないように規定されております。そういう意味でなれないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/153
-
154・加瀬完
○加瀬完君 十八条の評議員会ですけれども、二十人以内の評議員には、兼職規定または禁止規定というものはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/154
-
155・福田繁
○政府委員(福田繁君) 評議員は一般に非常勤の者でございますから、したがって、兼職規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/155
-
156・加瀬完
○加瀬完君 四条の資本金でございますが、「教育会館の資本金は、教育会館の設立の際現に国の有する別表に掲げる不動産及び政令で定めるその他の財産の価格の合計額に相当する金額とし、政府がその全額を出資する。」、二項には、「教育会館に追加して出資することができる。」、三項には、「その出資額により資本金を増加するものとする。」とございますね。そうすると、これは他の特殊法人の資本金の規定とは違っていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/156
-
157・福田繁
○政府委員(福田繁君) この資本金に関する第四条の規定は、他の特殊法人とも大体同じ規定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/157
-
158・加瀬完
○加瀬完君 大体といいますと、違っているところもあるわけですね。どこが違っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/158
-
159・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは国立競技場の資本金の規定と同じ規定のしかたをいたしております。私いま申し上げましたのは、若干、記憶は正確でございませんが、私学振興会などの資本金の規定と若干違っておるんじゃないかというような考え方をいたしておりますから、さよう申し上げましたが、国立競技場の規定と全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/159
-
160・加瀬完
○加瀬完君 こういう法文上の資本金というものは、資本金の額が明示されていることによって、大体事業内容なり事業規模なりというものが理解できる、こういうたてまえをとっているわけですね。で、この第四条の資本金は、まあ極端にいうならば、資本金は無限大にふえていくわけですよ、年度の中で。それではその資本金をつかんで、大体事業内容がどうだろうか、事業規模がどうだろうかということを推定するわけにいかない。かりに、これが特殊法人で国会に予算がかかる問題だとしても、国会にかかった予算が、また変化をしていくわけですから、これは国会で十分な監督をしようたってできないですよ。国に関係ある機関の特殊法人というのは、こういう資本金の構成というものは今までとっておらなかったわけだ。それを特別こういう形をとるということは異例じゃないか。しかも、競技場は競技場の設備がよくなっていくだけで、事業規模は、過程においてはふくらんだとしても、結果においてはだれが考えたって資本金がふえ、事業規模がふくらんで、設備がよくなるということは見当のつくことです。教育会館の場合はそうでない。事業内容がまるきり変わってくる、資本金の金額の増減によって。そういう心配のあることが多いので、通例は資本金というものは明文化して、動かないものにしてあるわけですよね。これは非常に運用のほうからは、運用の側からは都合がいいけれども、監視をする側からは不得要領、つかみどころのない規定の資本金ですよ。こういう資本金というものは特殊法人は今まではとられておらなかった。それをことさら、これをお取り上げになりましたのはどういうわけなのか、念のため伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/160
-
161・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御指摘のように特殊法人の資本金につきましては、規定のしかたに二通りあろうと考えております。たとえば私立学校振興会法などによりますと、第五条に資本金の額を具体的に明示しております。これは設立当初の資本金の額でございます。これは政府が出資金を出資し、あるいは債券を出資する、そういう形においてできた法人でございます。したがって、当初はその債券並びに出資金というものを資本金として掲げているわけでございます。現在はもうすでに百億近くになっておりますけれども、この私立学校振興会法の資本金の規定は、別に百億というような改正はいたしていないはずでございます。それから別の形といたしましては、国立競技場のようなこの物的施設、設備、そういうものを出資します場合には現物出資でございますから、この資本金の額としては法律の中に規定をしないのが普通であろうかと思います。したがいまして、国立競技場法の中にも資本金の額というものは明示してございません。それと同じように、この場合におきましても第四条における資本金の額というものも、これは出資金ではなく現物出資でございます。土地、建物あるいは設備というものを現物出資の形でなすわけでございますから、個々に資本金の額としては掲げていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/161
-
162・加瀬完
○加瀬完君 この教育会館に追加して出資することができる資本金の増加額の元ですね、これは国立教育会館協力財団ですか。——建設の過程かどうかは知りませんが、いまございますね。こういう第三者の寄付というものをも将来受け入れて、この資本金の中に入れる、あるいは予算の中に入れるということも含まれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/162
-
163・福田繁
○政府委員(福田繁君) 将来そういう一般の民間からの資金によって設備を増加するという場合におきまして、それを教育会館の資本金に追加して出資する、そういう場合もあり得ると思います。また、政府自体がこの施設を拡張するというような場合におきまして、その拡張した施設を現物出資するということも将来あり得ることでございます。しかし、当面ここでそういう具体的な事柄については予測はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/163
-
164・加瀬完
○加瀬完君 こまかいことになりましたが、一応、会館法案の文言上の疑義を終わりまして、次に、会館の建設理由等についての質問に移りたいと思います。
いろいろ文部大臣の趣旨の御説明などを承わりましても、教育の振興のためには教職員の資質の向上をはかることが大切であるということが力説されておるわけでございます。これはそのとおりだと思います。それならば、教育能率といいますか、効率の上がらない教育の悪条件の除去という点も当然文部省の責任でございましょうので、教育の振興のためには、教職員の資質の向上ということと、教育の悪条件の除去ということと、先後はつけられないようなものの、もし先後をつけるとすれば、文部省としてはいずれを先に取り上げるべきだとお考えになりますか。直接的責務は、むしろ私は教育の悪条件の除去というところに重点を置いて考えていただかなければならないのが文部省のお立場ではないかと考えておるわけでございますが、この点は大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/164
-
165・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) どちらがどうということを、先後を言うわけに私はまいらぬと思うのであります。今日までの実際についてごらんをいただければ御理解いただけるかと思うのでございますが、教育に関する諸条件を整備する、言いかえますれば、また教育に関する悪条件を除去していくということは、これは教育行政として基本的な問題でございます。それに努力することは当然過ぎるほど当然のことだと私は思うのでございます。同時に、教育関係の職員の研修という問題も大事なことでございます。従来からやってまいっておるわけでございます。しかし、さらにこれをよき環境のもとに徹底してやりたいということで、この教育会館法というものを考えたわけでございます。いずれが重いとか軽いとかということは、はなはだ申し上げにくいと思うのでありますが、基本的には、何としても教育諸条件を整備するという教育行政本来の目的、これを何よりも大事なこととして考えなければならぬ。大きな意味から申せば、この法案もまた諸条件を整備することの一つだ、こういうふうにお考え願ってもいい問題ではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/165
-
166・加瀬完
○加瀬完君 この国立教育会館法案の提案の御説明の中で、教育を振興し、次代をになう青少年を健全に育成していくためには、常に教育職員その他の教育関係者の資質の向上をはかっていくことが重要である。これらの教育関係者の効果的な研修に資するために研修施設を設けることとして、一昨年以来、施設の建設を進めてきたのがこの教育会館だ、こういう御説明がございました。次代の青少年の健全育成のためには、教職員の資質の向上をはかっていくことが重要でありますことは御説明のとおりでございます。しかし、この資質の向上をはかる責任は文部省だけではございませんで、これはむしろ、研修の責任は教育委員会、任命権者にあるわけでございます。研修の責任が任命権者にあることは法文上これは明かでございまして、むしろ、第一義的に責任といえば、研修が不十分だということであれば任命権者が責められるべきであって、文部省は任命権者に完全な研修をさせるよう指導助言なり、あるいは勧告なりというような方法が講じられてしかるべきだと思うわけでございます。しかし、そういう条件というものを一切抜きにいたしまして、この会館というものを建てなければ、教職員の資質の向上ははかれないとお考えになっております理由はどこでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/166
-
167・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいま御指摘になりましたように、教職員の資質の向上を絶えずはかっていくということは、これは、とりもなおさず教育の振興のためには必要なことでございます。したがいまして、任命権者である教育委員会につきまして、研修のいわば義務を公務員法等において課しているわけでございます。同時にまた文部省も、文部省設置法におきまして具体的に教職員のための研修事業を行なうように、いま職責を与えられております。そういった意味から、文部省あるいは地方の教育委員会などが協力いたしまして、絶えず教職員のために資質の向上をはかるような事業を進めていくということは、これは当然必要なことでございます。ただ、そういう際に、いままで適当な施設がないために十分研修の目的に沿わないようなことも往々あったわけでございます。と申しますのは、相当やはり全国的な教職員の研修になりますと、数も多くなりますし、また、いろいろ近代的な設備も必要な研修もございます。そういった意味で、やはり必要な施設設備というものを持たなければ十分効果的な研修というものをやり得ないといううらみがございましたので、そういった点から、こういう施設がつくられることによって、さらにいままでやっておりました研修の効果というものを一そう高めるゆえんであろう、こういう趣旨からこれがつくられてきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/167
-
168・加瀬完
○加瀬完君 文部省が教職員の資質向上のために研修をする権限があるかどうかということは、私には局長の御説明とは違った意見がございますので、それは文部省設置法その他の法律の条文の上からあらためて質問をするつもりでございます。とにもかくにも、いままでの地方まかせの研修では研修成績が上がらないということですね。上がらないのはどういう点でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/168
-
169・福田繁
○政府委員(福田繁君) 地方で行ないます研修会等でこの成績が上がらないというようには、一がいに私どもは申していないわけでございます。地方の教育委員会などでやります研修会等でも、そういうりっぱな成果をあげている研修会、講習会等もあるわけでございます。それは、それぞれの目的あるいはその事業計画に従って評価されるべき問題だと思います。ただ私どもといたしましては、そういう地方で行ないます研修、講習ももちろん必要でございますが、文部省としても、やはり全国的な立場において教職員の研修というものをやる必要がございますので、そういった意味で文部省でもやり、地方教育委員会でもやり、あるいはまた一般の団体等におきましても有益適切な研修会が行なわれます際には、教員は、授業に支障のない限り、校長の許可を受けて参加することができるということになっておりますので、あらゆる機会に有益な研修会には参加し、またその機会を提供することが行政機関の責任であろう、こういうように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/169
-
170・加瀬完
○加瀬完君 それでは、地方の教育委員会の研修ではこと足りなくて、教育会館というものを設けて、そこで全国的な視野で文部省が中心になって研修をさせなければならないのはどういう点でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/170
-
171・福田繁
○政府委員(福田繁君) 文部省自体でやらなければならないという意味でございますが、私どもとしては、たとえば校長とか、指導主事とかいうような者に対する研修、あるいは特別の教育課程等につきましての研修等は、やはり全国のそういう関係者が一ぺんにできれば研修に参加してもらったほうが、より効果が上がるというように考えております。また、東京でやることがいろんな意味において、講師その他においても便宜を得やすいという意味もございますので、そういった趣旨から文部省で、従来それのみに限定はいたしませんが、いろいろな研修会を計画し、これを実施しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/171
-
172・加瀬完
○加瀬完君 ことばじりをとらえるようでおそれ入りますが、そうすると、文部省が主催者として考えておりますのは、校長とか、指導主事とかという、一応、行政面にもタッチし得る管理職のような方々だということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/172
-
173・福田繁
○政府委員(福田繁君) 必ずしもそうではございません。たとえば理科の研修会にいたしましても、教科課程の実技の講習会等にいたしましても、文部省として必要な事業を従来やってまいっております。そういった、地方ではなかなかやりにくいような事業もいろいろございますので、そういったものはなるべく文部省で主催し、あるいはまた必要によっては後援するというような立場をとってもよろしいかと思いますが、文部省も一緒にそれに加わって実施をしていくというようなやり方をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/173
-
174・加瀬完
○加瀬完君 地方でやりにくくても、地方でやれるように財政的や行政的な措置をしなければならない問題もあろうと思うのです。なぜならば、東京へ集めるということは、もう時間的からいっても人員の上からいっても非常にワクが狭められてくるわけです。地方では五百人でも安い予算で集められるものが、東京でやるということになれば、それは二十人集めるのも骨が折れるということもあり得るわけなんです。一般の教職員の資質の向上というものを考えるならば、地方地方で、少なくも県単位で、現在ある施設で講習を行なったってちっとも行ない得ないことではない。何も東京に新しい教育会館というものをつくって、そこに集めなければできないということはないわけです。そうすれば文部省として考えておりますことは、どうしてもここへ集めなければできないものということになるでしょう。そうすると、人も人数も非常に限定されたことになるでしょう。しかも、それは必ずしも教育委員会の任命権者と一致する意見で講習が進められるとも限らない、そういう点は当然これは計画の中で研究されたわけでございますが、それでもやらなければならないものというのは一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/174
-
175・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん県の段階あるいは市の段階におきましていろいろ研修会などをやっております。その効果について私ども否定をするものではございません。先ほど申し上げましたように、いろいろ地方で有益な講習会、研修会というものは行なわれております。ところで、そういう一地方的な研修会、講習会よりも、先生としては、そういうものをもう一段階上の、全国的な立場において、全国の先生方とやはり集まって切磋琢磨をしていくということのほうがより研修の効果をあげるというものがあるわけでございます。そういった意味で、文部省としては、全国的な立場において必要なそういう研修会というものをなるべく実施していくというような考え方でおるわけでございます。ただ御指摘のように、入れものには限度がございます。それほど多くの先生方を一ぺんに講習会、研修会に参加していただくということはできませんが、できなければ何回でも分けまして、できる限り多くの方々に参加していただくという考え方で実施をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/175
-
176・加瀬完
○加瀬完君 この任命権者によっては、それらの研修がうまく進められないという御認定でございますね。先ほどはそれを御否定になりましたが、任命権者にまかせておいて進められるというならば、任命権者におまかせになっていいじゃないか。もし進められないことが財政的な、あるいは行政的な欠陥だというならば、財政的な行政的な措置を講じて、少なくとも任命権者が研修するという責任があるのですから、資質が劣っておるという者があれば、任命権者の責任でそういう教員は向上させなければならない義務があるのですから、その義務を大いに文部省としては指導助言をして履行させるようにするのがたてまえではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/176
-
177・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん、お述べになりましたような趣旨で、私ども地方の研修会などもできる限り充実したものをやっていただきたいと考えております。先ほど私申し上げましたのは、そういう研修会などのほかに、やはり地方、たとえば何々県という県内の研修会だけじゃなくて、教職員としてはやはり全国の段階において、全国の先生方と自分の研究を討議したい、研究し合いたい、そういうことのほうがはるかに研修としては効果を上げるという場合があるわけでございます。そういう点から、やはり全国の先生方が、人数は限られておりますけれども、できる限り優秀なそういうその道の研究を遂げた方々が集まって、お互いに切磋琢磨するということがやはり教育の進歩になる、向上になる、こういう観点から文部省は実施をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/177
-
178・加瀬完
○加瀬完君 これは釈迦に説法でございますが、あなた方のほうの御制定になった学習指導要領によっても、これは学習というのは求めていくもので与えられていくものじゃないのですよ。まして、教師の学習ですから、求めていくものであって与えられて進むものではないはずですよ。現状においても教職員は夏休みとか、あるいは春の休暇とかというものを利用して、それぞれの大学の研究室に通ったり、あるいはそれぞれの講習会に出席したり、求めて全国的な視野で学習を行なっておるわけです。それをもっと助成してやればこと足りる問題なんです。文部省が一つのワクを持ってきて、ここへみんな集まれといったようなことで、ほんとうの求められる資質の向上というものが進められるもので私はないと思う。そこで、いまの研修の制度というものは、一応、任命権者と研修を受ける者というのが近い関係にありますから、こういうものを講習したいのだ、こういうものを勉強したいのだ。それはいま困る、予算がこれこれだから、ここの地域でまずこれを先に講習しようかということで、求むるものと与えるものが相談の上で研修というものは進められているわけです。この研修の形というものは、私は育ててやらなければならないものだと思う。育ててやるということは、その研修がしやすいような行政的な財政的な文部省が援助をしていただければいい問題なんですよ。そういうことに対する援助あるいは指導、助言というものをあまりおやりにならないで、何か教育会館を幾らどんな大きなものをつくったって、これは建物ですから、限度がありますよ。そこに集めたところで、それは何百分の一にもなりません。そういうところに研修の主眼を置かれるということが、私はどうも幾ら御説明を承りましても納得がいかない。どうしていままでの研修方法を助成をしてやって、研修の効果が上がらないという御認定をなさったんですか。教育会館をつくらなければならないという御理由が生じたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/178
-
179・福田繁
○政府委員(福田繁君) 誤解のないように申し上げたいと思いますが、いままでの地方での研修会などは効果の上がらないものだというように私は申し上げておるつもりは毛頭ございません。くどいようでございますが、地方でやっております研修会などにも非常に充実したりっぱな成果をあげているものがたくさんあることも私どもは承知いたしております。ただ、そういう地方の教育委員会などで、あるいは団体等でやっております場合もございますが、そういうものに対してなぜ助成をしないかという御指摘でございますが、私どもとしてはできる限りそういうりっぱな研修会、講習会にも助成したいという趣旨で、まあ補助金はわずかでございますけれども、毎年、地方の教育委員会などに対してその経費の助成をいたしております。また、研修などのために教職員の旅費が非常に足りないということも考えられておりますので、そういう実情に即するように、年々この教職員のいわゆる研修旅費というものも引き上げてまいったわけでございます。そういうことで除々ではございますけれども、できる限りの援助、その研修の機会が十分与えられるようにという配慮のもとにいろいろな施策を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/179
-
180・加瀬完
○加瀬完君 いずれにしても教育会館で研修を受ける人員というものは限定をされます。やはり幹部講習という色彩を持たざるを得ないと思う。文部省講習に行った者と——文部省講習というのは語弊がありますけれども、教育会館の講習に行った者と行かない者と、行かせる者と行かせない者と、この参加や選定ということに対して対立が現場では生まれてきますね、どうしたって希望者が全部行かれるというわけにはまいりませんから。そしてこの教育会館講習から帰ってきた者は、その地域のどうしても指導的な役割で、何人かを集めて再講習あるいはブロックに行って講師になるというふうな形になりましょう。しかもその教育会館講習の大体内容というものは文部省が握っておりますよ。そうすると、これは好むと好まざるとにかかわらず、地域の研修の方向というものに、一つの教育会館方式というものがかぶさってきて、それが強い勢いで、何といいますか、圧迫をするような形になりますよ。これは教育内容に対する容啄ということにも私はならないとは断言できないと思う。そうなってまいりますれば、それは資質の向上ということのためにやるんですから、目的から判断をすれば、形式的には議論の余地はございませんけれども、具体的に教育会館講習というものが動いてくると、現場は一つの混乱を生ぜざるを得ないということにもなろうかと思うわけです。こういう点では何か御考慮をなさっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/180
-
181・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御承知のように、現在地方では文部省の主催の講習会ももちろん行なわれておりますが、そのほかいろいろな現場での講習会というものが行なわれておりますことは御承知のとおりでございます。したがって、必ずしもその講習会の内容について、文部省がワクをはめるとか、あるいはそれを規制するというような考え方ではなく、いろいろな研修会、講習会が行なわれております。そういう意味で、先生が資質を高めるという意味からそういういろいろな研修会等が行なわれまして、お互いに子供の指導上必要ならば、いろいろ研修会とか、あるいはまた教師としていろいろな必要な知識技能というものを十分体得していただくという意味におきましては、いろいろ研修会があったほうがよろしいと思いますけれども、そういう意味で決してワクをはめておるわけではございません。ただ文部省が主催する研修会等に参加します場合には、やはり経費とそれからその施設の面からの限度がございます。文部省としては全部の五十万の教師に、できれば全部やはり参加していただきたいと思っておりますけれども、年間やります研修会等で参加していただきます人員もごく限られたもので、ございます。これは長期に考えて、できる限り全部の先生方に参加していただく機会を持ってもらいたい、そういうような方向で私どもは毎年毎年やっているわけでございまして、別にそういう点から分け隔てをするというような考え方はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/181
-
182・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/182
-
183・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記をつけて。
本日の委員会はこれをもって散会いたします。
午後三時二十五分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02519640507/183
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。