1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年四月三十日(金曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 長谷川 峻君
理事 大西 正男君 理事 關谷 勝利君
理事 田邉 國男君 理事 山田 彌一君
理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
有田 喜一君 浦野 幸男君
小渕 恵三君 川野 芳滿君
木村 俊夫君 佐々木義武君
田澤 吉郎君 塚原 俊郎君
西村 英一君 細田 吉藏君
山村新治郎君 小川 三男君
野間千代三君 山口丈太郎君
竹谷源太郎君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 松浦周太郎君
出席政府委員
運輸事務官
(大臣官房長) 堀 武夫君
運輸事務官
(航空局長) 栃内 一彦君
委員外の出席者
運輸事務官
(航空局参事
官) 手塚 良成君
専 門 員 小西 真一君
—————————————
四月二十八日
委員山村新治郎君及び竹谷源太郎君辞任につ
き、その補欠として天野光晴君及び西村榮一君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員天野光晴君及び西村榮一君辞任につき、そ
の補欠として山村新治郎君及び竹谷源太郎君が
議長の指名で委員に選任された。
同月三十日
委員増田甲子七君辞任につき、その補欠として
細田吉藏君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員細田吉藏君辞任につき、その補欠として増
田甲子七君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
四月二十八日
海上運送法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一八号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
新東京国際空港公団法案(内閣提出第一〇三号)
海上運送法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一八号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/0
-
001・長谷川峻
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
新東京国際空港公団法案を議題とし、審査を行ないます。
本案につきましては、すでに質疑を終局いたしております。
これより討論に入ります。
討論の通告がありますので、これを許します。小川三男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/1
-
002・小川三男
○小川(三)委員 日本社会党を代表して反対討論を行ないます。
本国会に提出されました新東京国際空港公団法案の審議は、本委員会において数回にわたって行なってまいりましたが、それを通じて特徴的にあらわれているのは、第一に、日本政府自体が空の交通政策、言いかえれば航空政策について何ら一貫した方針を持っていない。防衛庁は防衛庁独自の立場において現在の軍事航空路を主張しておる。安保条約によるアメリカ空軍の基地についても、外務省がその交渉に当たっておるということを大臣は言明されておりますが、以来その経過について何ら報告されておらない。言いかえれば、アメリカ空軍はアメリカ空軍、防衛庁は防衛庁、運輸省は運輸省というように三つの点に分かれて、これについての統制された航空政策というものを持っていない。持っていないのか、われわれは聞くことができなかった。
第二の点は、この公団法案の根底であるべき飛行場の設置の場所です。言いかえれば、橋をかけるために橋をかける公団が必要であるという、どこの川にどんな橋をかけるのか、どこにかけるのかということすらも言明されていないというのと同様であります。運輸大臣は数回にわたって答弁の中で、航空審議会の答申案を尊重するということを言われておりますが、審議会の答申案自体を検討いたしましても、これは航空局の事務当局の調査した資料に基づいて、単に形式的に答申案を構成したにすぎない。一例をあげれば、第一に指摘されているところの富里や八街の問題にしましても、一体富里、八街にもし飛行場を持ってくるとするならば、いま羽田においてすでにピーク時において一日一万トンの水を使っておるが、そのような水をどこから持ってくるのか、印旛沼から持ってくるのか、あるいは利根川から持ってくるのか、その問題についても水資源公団との間に何らの調整も行なっておらない。しかも一日一万トンの水を使うとするならば、新東京国際空港はおそらくこの三倍ないしは五倍の水を使うでありましょう。このような場合に、この水をどこから持ってくるのか、さらにこの水をどこへ排水するのか、あそこには栗山川があり、あるいは東金、九十九里方面には作田川がある。これらの用水はかんがい用水として、すでに農林省の所管で確保されております。水の問題は、いま建設省において利根河口ぜきの問題が大きな問題となっております。このように水の問題一つをとらえても、現地の調査が非常に不完全である。これらについて何ら言明されておらない。言いかえれば、場所が決定しないのであるから具体的には説明できないということを言っております。
さらに、その場所を決定すれば、発表すれば土地が値上がりすると言われておりますが、運輸大臣は数回の答弁の中で、場所の決定の前に、その地方の知事なり市町村なりと事前に交渉するということを言明されております。その場合に、一体その言明どおりであるとするならば、地方自治体と交渉を始める前に土地を買っておいて交渉するのか。交渉を始めたならば、ここの土地に飛行場を持ってくるんだということは明らかになるわけです。その場合に土地の値上がりは、きょうとあすとでどうして差ができるのか。単に土地の値上がりを防止するというために飛行場の位置の決定をおくらせるということはあり得ない。しかも飛行場の位置の問題は、国民の権利義務に大きな影響を与える問題である。これは当然法律によって決定すべき問題であります。それを政令にゆだねて、しかもその政令を決定するものは閣僚会議である。その閣僚会議自体が意思の統一を欠いておる。このことは明らかであります。数回にわたっても河野国務大臣はこの席に参りませんが、少なくとも河野国務大臣と運輸大臣との間に意見の食い違いがあるということは天下自明の事実であります。このような中にあって、しかも政令によってきめる、その政令の根拠であるべき閣僚会議の意思の統一を欠いている。したがって、まず第一に、日本政府は航空政策、空の交通政策を十分に確立することが第一であり、第二に閣内の意見の調整、それが第二の問題であります。したがって、提出されました新東京国際空港公団法は位置の決定を持たない。どこに空港をつくるのかということすらも持ってない。ここに飛行場をつくるがゆえにこの公団法が必要であるという前提に立つべきだ。その前提であるべき飛行場の位置すらも決定できない。このような状態は本末転倒であります。したがって、この法案に対して日本社会党は断固として反対するものであります。
以上で討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/2
-
003・長谷川峻
○長谷川委員長 竹谷源太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/3
-
004・竹谷源太郎
○竹谷委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、この法案に反対の意見を述べたいと思います。
私ども民社党は、現在及び将来の国際航空の要請にかんがみまして、りっぱな新飛行場をすみやかに建設すべきものと考えるものであります。しかしながら、残念にして今回提案された政府のこの法案は、附則第一条において、まず施行期日がきわめて不確定であり、期限もなく、政府の政令発布という政府自身の全くの自由裁量にゆだねるものでありまして、こうした法律は他に前例がないと考えるのであります。しこうして、その政令発布がすみやかになし得るやいなやということも、ただいま小川委員も述べましたように、閣内不統一でありまして、まことに心細い。このような全然白紙の委任をするような法案に対しては賛成しかねるのが第一点であります。
第二は、法案の第十三条において役員の欠格条項が書いてありまするが、これには国会議員、地方議会議員等が除外されております。現在、日本の法制からいいまして、いわゆる三公社、通常形式的に公共企業体と称される国鉄、電電公社、専売公社等の法律には——国会法第三十九条に公共企業体の役員には議員はなれないと書いてある、その上にこれら三公社の法律にそれぞれ国会議員の兼職禁止規定が厳として存在をいたします。また、現在施行中の法律による十の公団については全部兼職を禁止してある。また、今国会に提案された七つの同様な公社公団をつくる法律においても、そのうちの二つのうちの一つの小規模企業共済法案はすでに衆議院を通過しておりまするが、この法律には、国会議員、地方議員の兼職禁止を明らかに書いてございます。またオリンピック記念青少年総合センター法案も同様。その他の新東京国際空港公団法案ほか四つの法案につきましては兼職禁止規定がないという非常な不統一を暴露しておるのであります。しかも、この新東京国際空港公団法案は、先般衆議院を通過しました小規模企業共済事業団の法案に比べて、はるかに公共性、国家性も強く、国家が本来当然に行なうべき特殊な事業でございますので、公団として国家の分身がこの仕事をやる、すなわち重要な国家行政でございまして、このような仕事に議員が兼務ができるということになりますると、立法府、行政府の独立性が混淆いたしまして、立法府の独立性保持がまぎらわしくなる。この点はとうてい小規模企業共済法案とは比較にならない。そうした三権分立の精神からも、このようだ公団の役員には議員の兼職禁止を認むべきである。こういう考えをわれわれは持っておるのでございます。
以上の二点、その他の理由によりまして、新東京国際空港のすみやかなる設置は念願しておるのでありますが、残念ながらこの法案に対しては反対せざるを得ない。以上の理由によりましてわが党は本法案に反対を表明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/4
-
005・長谷川峻
○長谷川委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより新東京国際空港公団法案を採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/5
-
006・長谷川峻
○長谷川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/6
-
007・長谷川峻
○長谷川委員長 この際、關谷勝利君より発言を求められておりますので、これを許します。關谷勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/7
-
008・關谷勝利
○關谷委員 ただいま議決せられました新東京国際空港公団法案に対しまして附帯決議をつけたいと存じます。これは自由民主党並びに民主社会党共同提案にかかるものであります。
まず案文を朗読いたします。
新東京国際空港公団法案に対する附帯決議
将来に亘る航空輸送需要の急激な増加と航空機の急速な進歩の趨勢とにかんがみ、新国際空港の建設は必須かつ緊急の問題である。
政府においては、このような事態に対処するため、航空審議会の答申に基づき速やかに候補地の決定を行なうとともに、建設及び管理に当る公団の設立を促進するよう万全の措置を講ずベきである。
右決議する。
文面に書いてあるとおりでありまして、いろいろ論議をせられました際に、運輸大臣等から、この公団はすみやかに位置並びに時期を決別するということをしばしば言明せられておりまするので、それを促進する意味におきましてこの決議案を提出いたしたわけであります。御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/8
-
009・長谷川峻
○長谷川委員長 ただいまの關谷君の動議について発言はありませんか。——竹谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/9
-
010・竹谷源太郎
○竹谷委員 わが民社党は、ただいま闘谷君から提案になりました附帯決議に対し共同提案をいたしておるものでありますが、この附帯決議の案文の中に「航空審議会の答申に基づき速やかに候補地の決定を行なう」というふうに書いてありまするが、航空審議会の答申は、この委員会において幾たびも出ましたとおり、富里第一、その他は第二、第三だという意味ではなく、平等の立場にあると理解し、しかも、この候補地決定にあたりましては、地元に対する損害、犠牲はできるだけ少なく、また、この飛行場を将来拡張する必要があるような場合には、できるだけ支障のないような、そういう地点を選ぶ方針であるということは、たびたび政府から答弁もありました。そういう趣旨に基づきまして、私どもこの提案をいたしたことにつきまして申し添えておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/10
-
011・長谷川峻
○長谷川委員長 ただいまの關谷勝利君の動議のごとく、本案に対し附帯決議を付するに賛成の秘君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/11
-
012・長谷川峻
○長谷川委員長 起立多数。よって、さよう決しました。
この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。松浦運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/12
-
013・松浦周太郎
○松浦国務大臣 新東京国際空港公団法案に対しましては、二長時間にわたって慎重御審議の上、先刻は御議決をいただきまして、まことにありがたく感謝申し上げる次第であります。
また、ただいまは、これに対する附帯決議を議決していただきましたが、この附帯決議を出されるに至ります前に、それぞれ、われわれにいろいろ一御親切なるお話がございまして、そのお話に基づいて、政府部内においていろいろと相談を行ないました。その結果、政府部内におきましては、この法案が通ったならば、早急に個所を決定する、そして公団をつくるということに意見一致をいたしました。でございますから、いま御決議をいただきました「航空審議会の答申に基づき速やかに候補地の決定を行なうとともに、建設及び管理に当る公団の設立を促進するよう万全の措置を講ずべきである。」という点に対しましては、この文旨のとおりに極力努力いたしますことをお誓い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/13
-
014・長谷川峻
○長谷川委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/14
-
015・長谷川峻
○長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/15
-
016・長谷川峻
○長谷川委員長 引き続き海上運送法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取することといたします。松浦運輸大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/16
-
017・松浦周太郎
○松浦国務大臣 ただいま議題となりました海上運送法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
改正の第一点は、近年、自動車航送をする船舶運航事業が急激に発達してまいりましたので、その適正な運営をはかるため、必要な規定を整備しようというものであります。
自動車航送は、旅客定期航路事業者がこれを行なっている例が非常に多いのでありますが、現行法におきましては、旅客定期航路事業について、旅客の運送の面についてのみ種々の規制を加えているのでありまして、自動車とその運転者、乗客、積み荷を一体として運送する面については、これを的確に規制する手段がないのであります。そこで、旅客定期航路事業者が行なう自動車航送につきましては、その自動車航送についての運賃及び運送約款を認可制にするなど、旅客の運送の場合と同様な規定を設けることといたしました。
また、自動車航送をする貨物定期航路事業につきましては、現在内航海運業法による登録事業となっており、規制が比較的ゆるやかでありますため、最近、その増加が特に著しく、このまま放置することは、自動車航送に関する秩序の維持とその健全な発達をはかる上において好ましくありませんので、これを許可制とし、必要な規制を加えることといたしました。
改正の第二点は、現行法におきましては、定期航路事業者の間の貨物の運送の過当競争の防止について運輸大臣が必要な勧告をすることができることになっておりますが、最近、不定期航路事業者が定期航路事業者と過度の競争をする事態が生じてきておりますので、不定期航路事業者に対しても同様に勧告することができるようにしようとするものであります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/17
-
018・長谷川峻
○長谷川委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X02819650430/18
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。