1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月三十一日(水曜日)
午後一時二十八分開議
出席委員
委員長 保科善四郎君
理事 天野公 義君 理事 奥野 誠亮君
理事 丹羽 兵助君 理事 南 好雄君
理事 角屋堅次郎君
宇野 宗佑君 熊谷 義雄君
橋本龍太郎君 福田 一君
村山 達雄君 和爾俊二郎君
二宮 武夫君 肥田 次郎君
堀 昌雄君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
出席政府委員
総理府事務官
(経済企画庁水
資源局長) 鈴木 喜治君
厚 生 技 官
(環境衛生局
長) 舘林 宣夫君
通商産業事務官
(企業局産業立
地部長) 馬郡 巖君
建設事務官
(都市局長) 鮎川 幸雄君
委員外の出席者
厚 生 技 官
(環境衛生局公
害課長) 橋本 道夫君
通商産業事務官
(企業局産業立
地部産業公害課
長) 平松 守彦君
建 設 技 官
(都市局下水道
課長) 久保 赳君
自治事務官
(財政局公営企
業課長) 近藤 隆之君
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三月三十一日
委員山本幸雄君辞任につき、その補欠として橋
本龍太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員橋本龍太郎君辞任につき、その補欠として
山本幸雄君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十六日
公害防止事業団法案(内閣提出第九七号)
同月二十九日
水質汚濁防止及び漁場荒廃対策に関する請願
(角屋堅次郎君紹介)(第二二〇六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公害防止事業団法案(内閣提出第九七号)
産業公害対策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/0
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001・保科善四郎
○保科委員長 これより会議を開きます。
公害防止事業団法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。神田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/1
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002・神田博
○神田国務大臣 ただいま議題となりました公害防止事業団法案の提案の理由を御説明申し上げます。
近年におけるわが国の経済成長はまことに目ざましいものがありますが、産業活動の急速な発展に伴い、東京、大阪等に見られますように、産業活動が集中して行なわれる地域におきまして、大気汚染、水質汚濁等による生活環境の悪化が重大な社会問題となっておりますことは、御承知のとおりであります。
政府といたしましては、従来、公害防止のための施策といたしまして、ばい煙の排出の規制等に関する法律、工場排水等の規制に関する法律等により規制を行なう一方、企業に対する助成措置といたしましては、中小企業近代化資金、日本開発銀行等による融資、税法上の優遇措置等を行なってきました。
ところで、最近特に問題となっております産業集中地域の産業公害は、既成工業地域に見られるように、工場と住宅の無秩序な乱立によるもの、あるいは近年における技術革新の進展による大規模工場の集中立地化に伴うものでありまして、深刻にして複雑、かつ、広域的性格を有しているものであります。
したがいまして、政府といたしましても、従来の助成措置の強化と並びまして、このような産業集中地域における公害を早急に解消するために、積極的に、効果的な対策を実施する必要に迫られている現状にあります。
かかる現状にかんがみまして、産業集中地域における産業公害を防止するために、長期低利の財政資金を重点的に活用し、共同公害防止施設、共同利用建物、工場移転のための敷地、公害防止のための緩衝施設等の設置、譲渡、公害防止施設に対する融資等の事業を行なう公害防止事業団を新設することといたした次第でありまして、昭和四十年度におきましては、厚生年金還元融資十億円を含む資金運用部資金二十億円を事業資金として、発足することといたしております。
この法律は、このような事業団設立の趣旨に基づきまして、事業団の目的、業務の範囲を定めるとともに、役職員の任命など事業団の組織に関すること、予算、決算その他会計の方法、事業団の業務についての厚生大臣及び通商産業大臣の監督等について規定しているものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/2
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003・保科善四郎
○保科委員長 以上で、提案理由の説明は終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/3
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004・保科善四郎
○保科委員長 産業公害対策に関する件について、調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。天野公義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/4
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005・天野公義
○天野(公)委員 時間がありませんから、こちらは簡潔に質問いたしますから、政府側においてもできるだけ簡潔に答弁をしていただきたいと思います。
最近、産業の発達、技術の革新、人口の都市への集中等によりまして、公害という問題が非常に大きくクローズアップされてきたわけであります。その中で、特に広義の公害と狭義の公害とあるように考えられるわけでございます。それにはまず、国及び地方公共団体が協力をして公害の防止にいろいろ努力をしなければならないというのがたてまえでございますが、また民間企業におきましても、その公害をどうやって防止するかという上において一致して協力してくれなければならないことは、言うまでもないところでございます。そこで、国のほう、もしくは地方公共団体で公害対策をやる部門と、民間企業がやる部門と、明確に区別する必要があると思うのであります。政府としては、今後公共投資、都市計画、工場許可等十分調査をし、また公害の起きないように対策をやっていかなければならないわけでございますが、これらの点と、民間の企業の公害に対する関係、これらを含めまして、政府は公害に対してどういう認識を持っておられるか、また公害の範囲等をどういうふうに考えておられるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/5
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006・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 御質問にございました点は各省にまたがる分野でございますが、一応私から便宜お答え申し上げます。
公害の範囲は、最も問題となりますのは大気汚染並びに水質汚濁でございますが、そのほか騒音、地盤沈下、悪臭等非常に広範囲にわたり、近年ますますその範囲は広がってまいっております。これに対します政府の姿勢並びに一般企業に対する国の態度というような点のお尋ねがございましたが、公害は近年非常に急速に問題となってまいったわけでございまして、政府としても施策のおくれた分野もございますが、何としてもこれを全面的に排除する努力を傾注いたしたい。この公害防止のための努力は、まず、公害を発生する企業が第一次的な責任があることは申すまでもないのでございますが、地方公共団体並びに国といたしましても、それぞれの分野でできるだけの努力をする、かような心がまえで施策を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/6
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007・天野公義
○天野(公)委員 いままで野方図に工場の設置が許されたり、またそれらが集積をすることによって公害の起こる場合が非常に多いわけであります。こういう場合には、企業よりも公共団体のほうに多く責任があるというふうに考えられるわけでございます。また、それに関連をいたしまして、産業、技術、社会の進歩等によって、公害はだんだん増大をしてきているわけでございますが、これらの公害の増大に比べまして、法制並びに技術の研究等について非常に立ちおくれておるようでございますが、政府の見解はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/7
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008・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 仰せのとおり、公害に対する法制的分野並びに技術的分野は、現在の公害の問題の重要性から考えてかなり立ちおくれておる事態であることは、おっしゃるとおりでございます。現在公害を直接対象とする法律としましては、ばい煙の排出の規制等に関する法律並びに水質の保全に関する法律、この両法律が大きな柱となって一応やってはおりますけれども、なお必ずしも十分でございませんし、また公害の測定あるいは人体への影響あるいは公害の防止、それらの技術開発の分野におきましても、研究が非常に立ちおくれておるわけでございますが、これらは公害問題が急速に問題となってきたことも一因であるわけでございますが、政府といたしましても、なお今後法制的な施策並びに研究分野の努力を急速に進めてまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/8
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009・天野公義
○天野(公)委員 次に、事業団関係についてお伺いをいたします。
ただいま公害防止事業団法の提案理由を承ったわけでございますが、もう少し突っ込んで、事業団の考えておる公害対策はどういうものをお考えであるか、また、事業の計画及び融資条件、将来の構想、この点に関連して、本年度の予算の二十億というのは少し足りないじゃないかという感じもするのでありますが、それらの点についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/9
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010・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 公害対策には各種の分野の施策が総合的に行なわれなければならないわけでございまして、たとえば河川の汚濁防止に関しまして環境衛生諸施設、下水道等の完備が非常に必要なわけでございます。したがいまして、ただいま御提案申し上げました公害防止事業団によって、公害対策の核心がすべて解決されるというわけではございませんけれども、公害施策に関する各種法律に基づいて企業側が公害防止装置等をしようといたしましても、なかなかこれの資金にも困るし、技術的な分野でも困るということから、法律で一面企業側に責務を負わせると同時に、事業団を設けまして、資金の融資並びに防除施設をこの事業団が実際につくり、企業に与えるというような分野を分担させようとするわけでございまして、この事業団は、当面は共同の処理施設をつくり企業側に譲渡する。並びに、そういうような共同の施設に対して資金を融資してまいりたい。また緩衝地帯のようなものを設けて、その地帯に厚生施設をつくり、これまた企業側に譲渡するというようなことを考えておるわけでありまして、昭和四十年度における資金のワクは二十億でございます。これは非常に少ない額でございますが、事業団の発足が年度半ばでございますので、まだ計画もすべり出したばかりであるという点がございまして、今後はこのような少額ではとうていこの目的を達することができないと思っておりまして、増額に努力するつもりでおります。
融資条件は、中小企業は七分、その他すなわち大企業は六分五厘ということで、償還期限は十年ないし二十年ということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/10
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011・天野公義
○天野(公)委員 事業団のほうは大体共同施設に主体があるようでございまするが、公害防止というたてまえからいたしますと、各企業それ自体においても努力してもらわなければならないことは言うまでもないところであります。大企業のほうは開銀、中小企業のほうは近代化資金等、融資の道は開かれておるわけであります。しかしながら大企業も中小企業も公害に対しては道義心を持ってもらって、それ自体の企業の責任において、ある程度公害の起こらないように努力をしてもらわなければならない。それに対して政府側も大いに援助していかなければならないということは言うまでもないところでございます。ところが、中小企業は自己資金があまりありません、不足いたしておりますので、自己資金で公害防止施設をやるということはなかなか困難でございます。ところが、中小企業近代化資金助成法に基づく無利子の融資にいたしましても、ワクまで借りられない。また借りておらないというような事態があるわけです。こういう点を考えてみますと、大企業においても中小企業においても、公害施設をもっともっとさせ得るような方策を政府ではとらなければならない。まして中小企業に対する融資においては、そういう点に重点を置いて、現行制度で欠陥があり、不備な点があれば、これを改善是正していかなければならないことは言うまでもないし、さらに公害施設については、特に税制上優遇措置をとる必要があるわけでございますが、これらの点について政府の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/11
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012・馬郡巖
○馬郡政府委員 ただいまお説のとおり、公害防止施設を積極的に設置していただくように、各工場に対しても、各企業に対しても、助成措置を従来から行なってまいりまして、すなわち大企業につきましては日本開発銀行の融資、中小企業につきましては中小企業近代化資金の貸し付けなりあるいは中小企業金融公庫からの貸し付け、こういうものを実施してまいったわけでございますが、御指摘のように、たとえば中小企業近代化資金による無利子貸し付けの制度にいたしましても、残念ながらワクまで到達してなかったような状態でございます。こういうふうな状態にかんがみまして、開銀融資にいたしましても、従来、三十九年度につきましては十億円でございましたが、本年度からこれを量的にも二十億円に増大いたしまして、金利も八分七厘でございましたものを七分五厘ということに引き下げることにいたした次第でございます。それから中小企業金融公庫につきましても、従来の金利が九分でございましたのを四十年度から七分に引き下げることにいたしたいと思います。
なお、中小企業近代化資金の貸し付けにつきましては、これが従来不振でございました理由は、償還期限が短かった、あるいは中小企業近代化資金と申しますのは、所要資金の半額を貸し付けることになっておりまして、あとの半額についての条件なり——条件と申しますのは、期間なり金利につきましていろいろ問題がございましたので、中小企業近代化資金につきましては、四十年度から貸し付け金額も大幅にふやしますとともに、貸し付け条件のうち、償還期限を従来七年でございましたものを九年に、二年間延長いたしますと同時に、これと並行しましてあとの半分を受け持ちます金融については、先ほど申しましたように、中小企業金融公庫の金利を九分から七分に二分引き下げるというような方法を講じまして、そのほか運用上につきましてもいろいろな配慮をいたしまして、四十年度から積極的にこの活用がはかられるようにいたしたいと考えております。
なお、税制につきましては、従来から、直接の公害防止施設そのものにつきましては、固定資産税の免税あるいは特別償却の実施というものを行なっておりましたが、今後につきましても、これらの点についてはさらに検討を進めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/12
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013・天野公義
○天野(公)委員 いまの問題でございますが、公害防止施設というのはあまり生産に寄与しない施設でございますので、その金を借り、いろいろな対策をやったところで利益があがるというようなことはございませんので、そういう点をよく考えて、今後指導なり改善をしていただきたいと思うわけでございます。
次に、水の関係についてお伺いしたいと思います。工業の発達とともに地下水のくみ上げが行なわれると、地盤沈下を起こす地帯が非常に多い。工業用水道の建設でその地下水の代替をやることにたてまえはなっておりますが、どうも政府の施策は後手に回る傾向が非常に多いようでございます。地盤沈下のために川の流れがとまる、そうしてまた、河水が汚濁し、悪臭を発する例が非常に多い。また、市街地のどぶや川等も流れがストップしてしまって、非常に悪臭を発するというようなことがたくさんあるわけでございます。これらを直すには、どうしても地盤沈下対策、改良下水道、ポンプ等の整備等、急速にやっていただかなければならないことは言うまでもないことでございます。これらの点につきまして、政府はどういう考えをお持ちでございますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/13
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014・馬郡巖
○馬郡政府委員 地盤沈下対策につきましては、従来から工業用水法を施行いたしまして、地盤沈下の激しい地区に対しまして地下水のくみ上げ規制をいたしておるところでございます。すでに十一の地区につきましてその指定をいたしておるわけでございますが、このために毎年度相当額の工業用水道事業施行のための補助金を支出しておりまして、三十九年度におきましては七十二億円、四十年度におきましては約八十三億円という補助金をこのために支出しておる次第でございます。ようやく最近におきまして、これらの工業用水道の施設が漸次進みまして、給水開始という時期になってまいったわけでございまして、それによりまして、従来ございました地下水のくみ上げも完全に停止することができるという地域が漸次広がってまいったわけでございます。尼崎、大阪あるいは東京の一部におきましては、すでに完全に地下水のくみ上げが停止いたした次第でございます。その結果、大阪、尼崎におきましては、漸次この効果があらわれてまいりまして、地盤沈下の度合いが若干減少しつつあるというような状態でございますが、さらにこれらの事業を急速に推進いたしまして、地盤沈下をできるだけ早くとめてまいりたいというふうに考えております。なお、この工業用水のほかに、建築物の地下水くみ上げに対する措置も建設省から法律が出されまして、これも漸次実施段階に移っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/14
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015・天野公義
○天野(公)委員 東京では隅田川の汚濁が非常に大きな問題になっておりまして、人権擁護委員会でございますか、そこでも取り上げて非常に問題にいたしたことがございます。ただ、まわりが汚濁し、悪臭を発するというばかりではなくて、まわりの沿岸の金属が腐食をいたしたり、また人間の気管が痛められたり、いろいろ悪影響を及ぼしているわけでございます。また中川も地盤沈下のためでございましょう、ほとんど流れがとまって悪臭を発するような状態になっております、河川をきれいにするということについて、政府はどういう見解を持っておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/15
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016・鈴木喜治
○鈴木(喜)政府委員 お答えいたします。
ただいまの河川の汚濁の防止の点でございますが、経済企画庁といたしましては、特に隅田川等につきましては、すでに御承知のとおり、昨年に水質基準を策定いたしまして、今年から実行に移しておるわけでございます。ただ隅田川の例等で申し上げますと、すでに過密化いたしまして御承知のような無数の中小工場なり、人口の密集による家庭下水、こういうことによりまして、これを昔の川に戻すというようなことはとうてい不可能な状態にございます。したがいまして、策定いたしました水質基準にいたしましても、最小限、ただいまのような環境衛生上非常に有害である、くさいガスが発生するような状況、これを除去するということで水質基準をつくり、それに従ってそれぞれ工場などの規制をやっているわけでございます。
そのほか、根本的には、これは建設省関係でございますが、河川浄化のためにすでに御案内のとおり、荒川から新河津川を通して浄化水を流す、あるいは、より基本的には公共下水道の整備について、特に四十年度以降非常な予算の増額をいたしまして整備をやっていく、こういうような措置によってやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/16
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017・天野公義
○天野(公)委員 ばい煙規制法の指定地域内でも一定規模以下の排出施設は法の規制対象外であり、まだ条例で補っているというわけでありますが、また、指定地域外でも大気汚染のひどいところがあるわけであります。ばい煙規制法の再検討及びばい煙等の大気汚染対策の再検討がここに必要ではないか。また人体に及ぼす影響等もこのごろ出ているわけでございまして、ばい煙に対する考え方をもう少しきびしく考えていく必要があるのではないかということを感じさせられるわけでございます。それからその中でも特に、重油燃焼による亜硫酸ガスが問題でございます。これに対する除去の研究が未開発のようでございます。これは早急に開発をしていただかなければならないわけでございますが、このばい煙規則の関係並びに亜硫酸ガスの問題、これが一つ。
それから次には、最近自動車が非常に多くなってまいりまして、排気ガスが非常に多くなってきた。ある自動車の密集地帯においては、前方がかすんで見えないというような状況のところもあるわけでございます。これまた、人体に非常に悪い影響を及ぼすわけでございます。この排気ガスの無害化も問題であるわけであります。この排気ガスの問題が第二。
それから第三点といたしまして、ある企業においては耐えがたい悪臭、異臭を発する企業があるわけであります。このにおいもその地帯一帯に対して非常な害を及ぼしているわけでございますが、においに対する対策も考えていかなければならないわけであります。これが第三。
最後に、第四として、最近ビルの建築等が盛んになってきたし、また地下鉄工事も盛んに行なわれる。そうすると、騒音、振動等、そこの住民に対する影響も非常にあるわけでございます。これが第四。
これらの点について今後政策が早急に要望されておるわけでございますが、これらに対する政府の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/17
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018・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 防除措置のこと等につきまして、概括的に私から申し上げます。
御承知のように、大気汚染の一定の地域の規制に際しても、その制限を一定の規模以上のものにしかかけないということで、小さいものがたくさん出てくれば、規制がかけられても空がよごれるという事態もあるわけでございます。そのようなことは絶えず調査をいたしておりまして、基準についてはさらに改定をするし、きびしくするということは今後十分心がけていかなければならない、かように考えております。特にその主眼点は亜硫酸ガスに置かなければならないことは、お説のとおりでございます。
それからそのほか、自動車の排気ガス、これは今後ますます重大な問題となってまいると私どもも十分認識しておりますが、問題はこれの排除といいますか、有毒ガスをとる装置の技術開発が一番のポイントでございまして、目下それに対して関係各省が努力いたしております。
また騒音の問題も、お尋ねのとおり、これからますます問題となりますし、またビル建設のみならず、その他の分野から出てくる騒音の問題が非常に重要でございまして、政府としましても、特に四十年度、調査費を計上して今後その方面にも十分努力してまいる、かように思っております。
悪臭は一番むずかしい問題でございまして、ときどき一過性に非常に悪臭が出てまいる、またそれほど一過性でなくても、長期に悪臭を発するという工場等もあるわけでございます。これらに対しては随時その悪臭をとるようにいたしております。これは必ずしも工場だけでなくて、動物の廃棄物等の処理工場等もなかなか大きな問題でございますので、今後それらのものは、いまの段階では指導に努力する必要があろうかと思いますが、必要に応じては法的規制も考えてまいる必要があるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/18
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019・馬郡巖
○馬郡政府委員 御指摘の亜硫酸ガス及び自動車排気ガスの技術の研究というのは、これは実は世界的にもなかなかいい技術がないというような状態でございまして、世界各国競ってその研究に努力しているところでございますが、通産省といたしましても、数年前から研究に努力しておりまして、四十年度におきましても、両者合わせて約三千万円程度の予算を、研究費を投じまして、さらにこの研究を積極化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。現在までの研究段階におきましては、一応の小さな規模ではございますが、試験プラントをつくりまして、ある程度の成果をあげておるわけでございますが、さらに今後これらの技術の安定性なり、回収率をよくしていくという研究を引き続き行ないまして、一刻も早く実用化に持っていきたいという最大の努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/19
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020・保科善四郎
○保科委員長 角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/20
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021・角屋堅次郎
○角屋委員 公害防止事業団法案が本日は提案になりまして、本特別委員会の審議もこれからいよいよ本格的に展開をしなければならぬ段階に来ておるわけであります。しかし最近のこの特別委員会の出席状況を見ますと、必ずしも良好とはいえません。本特別委員会の設置は、非常に関係者の待望久しき問題が実現された姿でございまして、しかもそれにこたえて、政府としても、必ずしも十分とは言えないけれども、公害防止事業団法案を出して、一歩前向きに進めようということでございますから、次会からの審議は公害の基本的問題、さらに法案審議ということで、われわれのほうからも質問が展開されるわけでございますが、その点で与野党ともに今後の委員会の審議については協力して審議の実績をあげてまいらなければならぬと同時に、われわれのほうから希望しておきたいのは、特に重要な問題でございますので、できる限り責任大臣に出席をしてもらうということと、さらに、この公害防止事業団法案を見ますと、この法案の内容を全部通覧をいたしまして、通産大臣あるいは厚生大臣、これが監督あるいは任命その他の面で二本立てになっておるわけです。そしてあとのほうに大蔵大臣との協議事項というのがありますが、しかし、申し上げるまでもなく、この公害問題は、被害者の立場にある農林大臣、あるいはそうでなくても、総合官庁としての経済企画庁、あるいは科学技術庁をはじめ、河川その他の問題から、あるいは都市改造ということからいけば建設大臣というふうに、各省にまたがっておるわけでありまして、本法案の最終的な処理をするにあたりましても、こういう法律の体系でいいのか、さらに公害の性格から見て必要なものを補強しなければならぬという点についても十分議論をして、よりよきものをまとめるようにわれわれも努力しなければなりませんし、また、そういうことで最終的に委員長においても取りまとめを願いたい、こういうことを強く希望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/21
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022・保科善四郎
○保科委員長 角屋君の御意見、もっともでございます。きょうは参議院の予算の関係で大臣の出席ができなかったのですが、これからは所管大臣の出席を求めることにいたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日これにて散会いたします。
午後二時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00719650331/22
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