1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月二十五日(火曜日)
午前十一時二十五分開会
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委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
上林 忠次君 鈴木 恭一君
五月二十四日
辞任 補欠選任
鈴木 恭一君 上林 忠次君
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出席者は左のとおり。
理 事
江藤 智君
前田佳都男君
委 員
天埜 良吉君
加賀山之雄君
木暮武太夫君
平島 敏夫君
相澤 重明君
加瀬 完君
小酒井義男君
浅井 亨君
国務大臣
運 輸 大 臣 松浦周太郎君
政府委員
運輸大臣官房長 堀 武夫君
運輸省海運局長 若狭 得治君
運輸省航空局長 栃内 一彦君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
海上保安庁警備
救難部長 猪口 猛夫君
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本日の会議に付した案件
○新東京国際空港公団法案(内閣提出、衆議院送
付)
○運輸事情等に関する調査
(ヘイムバード号火災事件等に関する件)
○福島県相馬港の早期完成に関する請願(第三〇
〇号)
○都営地下鉄六号線巣鴨停車場設計変更に関する
請願(第五三〇号)
○地下鉄九号線団子坂駅又は千駄木駅新設に関す
る請願(第二四九九号)(第二五一六号)(第
二五一七号)(第二五一八号)(第二五一九号
)(第二五二〇号)(第二五二一号)(第二五
五七号)(第二五五八号)(第二五九七号)
(第二五九八号)(第二六三九号)(第二七三
一号)(第二七三二号)
○福島交通株式会社の旅客輸送の正常化に関する
請願(第三〇一号)
○トラック運送事業の免許制撤廃反対に関する請
願(第五七一号)(第五七六号)(第五七八
号)(第五七九号)(第五八〇号)(第五八二
号)(第五八三号)(第五八四号)(第五八五
号)(第五八六号)(第五八七号)(第五八八
号)(第五八九号)(第五九〇号)(第六〇四
号)(第六一二号)(第六一三号)(第六一五
号)(第六一七号)(第六一八号)(第六一九
号)(第六二〇号)(第六二一号)(第六二九
号)(第六三四号)(第六三五号)(第六四三
号)(第六四四号)(第六四八号)(第六四九
号)(第六五〇号)(第六五一号)(第六五二
号)(第六五三号)(第六九三号)(第六九四
号)(第六九五号)(第七〇三号)(第七〇四
号)(第七〇五号)(第七〇六号)(第七〇七
号)(第七二三号)(第七二七号)(第七三三
号)(第七四五号)(第七六二号)(第七七七
号)(第七八三号)(第八〇一号)(第八〇二
号)(第八〇八号)(第八八五号)(第九三五
号)(第九六九号)(第一三七九号)(第二五
九九号)(第二六六六号)
自動車運送事業免許制度の維持強化等に関する
請願(第一三一九号)(第一三八二号)(第一
三八三号)(第一三九四号)(第一五〇一号)
(第一五五三号)(第一五六七号)(第一五六
八号)(第一六〇三号)(第二一四三号)
○北海道石勝線鉄道建設に関する請願(第六〇七
号)
○国鉄嬉野新線開通促進に関する請願(第一二九
八号)(第一三〇〇号)
○国鉄第三次長期計画の実現、特に奥羽本線、羽
越本線の複線化及び電化完成に関する請願(第
二七九号)
○国鉄第三次長期計画の実現、特に羽越本線の複
線化及び電化の早期完成に関する請願(第七一
四号)
○国鉄の安全輸送確立に関する請願(第一七六
号)
○国鉄新幹線の騒音等による公害対策に関する請
願(第二二六号)
○北陸線の新線に筒石駅設置に関する請願(第二
五二号)(第五一〇号)
○関西本線の電化に伴い加茂駅に電車庫設置に関
する請願(第八七四号)
○国電大崎駅貨物取扱の縮小反対に関する請願
(第一五三二号)
○国鉄大阪外環状線の高架建設等に関する請願
(第七一三号)(第七六六号)(第八八四号)
(第八九五号)(第九一三号)
○十八歳未満の一般勤労青少年に対する鉄道旅客
運賃割引に関する請願(第一八八二号)
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〔理事江藤智君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/0
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001・江藤智
○理事(江藤智君) ただいまから委員会を開会いたします。
本日は、委員長所用のため、私が委員長の職務を行ないます。よろしく御協力のほどをお願いいたします。
まず、新東京国際空港公団法案を議題といたします。
御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/1
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002・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣に再度ひとつお尋ねしておきたいのですが、この空港の法律が通った場合は設立委員を任命をする、その設立委員は何名を予定をされておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/2
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003・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 大体において、第二条の規定によりまして、設立委員よりも、個所の決定に対するまあ最終的決定でなくても、一応個所の決定をしなければ調査にもかかれないわけですね、ほんとうに金をかけて調査する場合には。でありますから、個所の決定をして——個所の決定をしなければ、公団法の設立委員というか、準備委員というか、そういうものをなすことができませんから、個所の決定を第一にして、その次に準委員あるいは設立委員の決定をするということになる順序でありますが、人数等については政府委員からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/3
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004・栃内一彦
○政府委員(栃内一彦君) 設立委員の人数は、大体十名程度を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/4
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005・相澤重明
○相澤重明君 いや、大臣に私がこの点を再度質問するというのは、法律を通す時期が若干、国会空白の問題でおそくなっておるわけですね。したがって、あなたが前に答弁をされた当時には、この法律が通れば一週間ないし十日前後で個所を決定をする、そういう当時からのお話であったわけですから、いまの設立委員を任命するのを、個所を決定して、設立委員を十名内外のものを任命するということになると、おそらく六月いっぱいはかかってしまう、そういうふうな理解でいいんですか。その設立委員の任命というものは、いま一度スケジュールというか、政府の考え方というものをはっきりしてもらいたい。法律は通っても、実際にはもう仕事というものはずっとあとにならなければできないんだ、こういうことなのかどうか、いま少し考え方を明らかにしてもらわぬと、この前も言ったように、それならば先に個所をきめて、この法律を提案してもおそくはないのじゃないか、こういうことが反面解釈として成り立つと思うんです。したがって、法律が通れば、個所を直ちにきめ、また同時に設立委員もきめられるという運びになるのか、ならないのか。じんぜん日を送って、一カ月も実際には内閣でもって個所をきめる議論が出、あるいは個所がきまった後にさらに半カ月も一カ月も設立委員の任命が手間どる、こういうことであっては、私、いままでの提案をしてきた趣旨からいうと、早くきめてくれということには、逆にならない、こういうように思うんだが、いま少しその点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/5
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006・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 実はほんとうのことを相澤さんに、お願いというとおかしいんですが、お願いしたがったのは、十九日前にきめてもらいたかったんです。そうすれば、いろいろ政治情勢も御存じのような情勢でございますから、私の申し上げたように準備は運ぶんでありますが、それでも二十七日にやってもらえば、大体設立委員の問題もそうおそくはならぬと思います。けれども、法律がきまらなければ、法律のきまらないうちに設立委員をつくるわけにはいかぬ。というのは、この法律は、二条を受けて、二条で個所を、とにかく方向をきめなければ、調査にもかかれないんです。というわけでございますから、個所をきめて、調査しつつ、片方においてはこの公団の設立委員をきめて、公団の結成にかからなければならぬ。それですから、そう二カ月も三カ月もほうっておくわけじゃない、これは同時に出発をしなければならぬと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/6
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007・相澤重明
○相澤重明君 では、いま一度、再度念を押しておきますが、結局この国会は六月一日までですね、会期延長は。したがって、お互いに議論をし尽くして、法律はあがることはあがると思う。しかし、法律が通った場合に、政府としては一週間前後にとにかく個所をきめる、そういうことは約束できるわけですね。それから同時に、個所がきまれば、その準備をしなければならぬから、設立委員は当然その前後に任命ができるのだ、そういうことですね。いま一度はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/7
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008・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/8
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009・相澤重明
○相澤重明君 そうすれば、私は少なくとも今日の段階で設立委員をどういう人になってもらうかということもほぼ政府の考えがあると思うのです。総裁とか監事というような少なくとも公団にとっての大事なものについては、構想は固まっておると思うのですがね。きょう発表しろと言っても、それは無理だと思いますが、私は、そういう点準備がされておるのだということは、ここでもって答弁ができるのか、できないのか。
それからいま一つは、前回加瀬委員が何回も申し上げたように、多くの農民、あるいは住宅を持っておる人たち、耕作者、こういう人たちにどいてもらおうと言ったところで、これは現実の問題としてはどけないことははっきりしておるわけですから、そういう点で、千葉県の富里というのは、実際には、候補地に諮問委員会の答申に基づいてあがったけれども、これは事実上不可能である、こういうことが私ども考えられるわけです。したがって、いまの法律が通って一週間前後に最もスムーズにきまるというところが候補になっておる、私はこういうふうに考えておるのですが、やはりそういう考え方についてはあまり遠くないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/9
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010・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 人事のことですから、それはひとつきょうは、こめんこうむって、人事のことをいまここで申し上げることはお許し願いたいと思います。
個所の決定については、早くやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/10
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011・相澤重明
○相澤重明君 それで、いま一つは、前回私は、国連関係ぐらいの中で、諸外国の空港の経営形態というものを報告してもらいたいという資料を提出いただいたのですが、三分の一以下のあれで、あとその後運輸省では資料を提出していないというのですか、出したのですか、私の手元にはまだない。こういうことでは困るわけです。少なくとも、公団でやろうという政府の考え方に対して、私どもは公団ではこんな程度じゃだめだ、こういうことで、それならば一体、日本の公団でやるというのに対して、諸外国の例というものをひとつ参考に見せてくれ、こういう中で、公営がいいか、あるいは地方自治団体の経営がよいのか、あるいは公団公社方式がよいのか、こういう点の質疑をしたわけでありますが、その後の調査というものはどうなっていますか、これは局長ひとつ、資料の要求に対しては政府としてはどういう処置をとっておるのか報告してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/11
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012・栃内一彦
○政府委員(栃内一彦君) 前回資料を提出いたしましたところ、主要国については相当な資料が集まっておるというような御意見もございましたので、その程度の資料ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/12
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013・相澤重明
○相澤重明君 そういうことをだれが言った、この程度の資料でいいなんてだれが言った。少なくとも私は、このいわゆる国際空港をつくるのに、世界でも、まずアジアの中における日本の重要な国際空港をつくるのだから、その空港のひとつ参考資料として国連に加盟をしている国くらいのものはすぐできるのではないか、こういうことで話をしたわけです。しかし、なかなか連絡をとらなければいかぬというから、とりあえず手元にある資料だけは出してもらいたい、あとはそれぞれ連絡をとって報告をしてもらいたい。私は、日本の政府のそもそもの考え方が、国連加盟の百十何カ国——二十カ国のものが、アジア、アフリカの国は小さいからそういうものは相手にする必要はないという見解自身が、もうそもそも間違いである。英米だけではない。そういうことからいって、私はもっと基本的に日本政府の考え方というものをはっきりしないと、やはり日本は大国主義だけで、実際にはアメリカと手を組んでおれば、仲よくしておればそれでもう事足れりというような考え方が、全く誤った指導というものが行なわれておる、こういうことにも通ずる。それが、こんなような資料が、三分の一以下の資料しか提出できないという理由になってしまう。これは少なくとも国連の中における日本の立場というものをもっとはっきりさせなければいかぬ。そのために日本では大使を国連にまで派遣をしておる。そのくらいのことが、運輸省が事この国際空港というものをつくる場合に資料の収集ができないなんというふうなことでは困るわけです。これはもうあさっての委員会までにあと残ったものを提出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/13
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014・栃内一彦
○政府委員(栃内一彦君) できるだけの調査をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/14
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015・加瀬完
○加瀬完君 関連で、いま相澤委員の御質問の中で、人事の準備は整っておるのか一どなたを人選するということは、これは現段階では公開の限りではないが、準備は整っておるのかということについてはお答えがございませんでしたが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/15
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016・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 主要人事については、寄り寄り相談をいたしておりますが、まだ決定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/16
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017・加瀬完
○加瀬完君 それから、場所が決定しなければ調査はできない、こういうお答えがございましたが、調査をしなければ場所の決定ができないというのがいままでの航空法の一つのたてまえであった。この前も申し上げたのですけれども、場所を決定したところで設置の条件が整わなければ空港はできないわけですから、どうも場所だけの決定を急いで、その場所が、いわゆる位置がはたして空港設置の条件に合っているかどうかという事前調査は全然行なわないというたてまえをおとりになっておりますが、これでは位置を決定して問題をむしろ複雑にするという心配はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/17
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018・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) お気づきになっている方もあるかもしれませんけれども、できるだけ波紋を起こさないように、反対する人も賛成する人もあるわけですから、あまり大げさにかね太鼓入りでこれを下調査をしますと、いろいろな波紋を起こすものですから、できるだけ内密にいろいろな手を打ってやっております。これだけの大きなことをやるのでありますから、閣僚会議も八人の閣僚が集まって常にその報告をし合っております。その下における次官は、それぞれの技術者を持っており、それぞれの手配をし、これという計画を立てており、ボーリングをしたりするのは、ほんとうのまずここまでやろうというのでなければすべきものではなくて、大体大まかにここがよいということの方向を決定するための調査はもう十分できております。しかし、計画を立てたり、ボーリングをしたり、あるいはその他の水質だとかあるいは気象だとかあるいは土壌だとかいうものを完全に調べていくということをやれば、外部にすっかりわかるのですから、そこまではやっておりませんけれども、しかしそれぞれの手をもってほぼ見当をつけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/18
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019・加瀬完
○加瀬完君 外部にわかると申しますが、航空法では、初めからこれは外部に公示をいたしまして、賛否を明らかにして、位置、範囲その他の条件を検討さして、位置なり範囲なりというものをきめるというたてまえをとっておるのですね。いやしくも国際空港をつくるのに、隠密裏に計画を進めて、国民の権利にはいやおうを言わせずに固めていくということでは、私はできるものもできなくなると思うのです。そこで、これは衆議院でも問題になったと思いますけれども、住民の法律上の対抗措置というものが一体政府なのか公団なのか、この公団法では明確になっておりませんね。公団という御説明が衆議院ではございました。しかし、この公団法を見て、公団を相手にそれぞれの権利者が訴訟その他の争いを起し得るという法律的な根拠というものはこの中には認められないように思うのですが、一体法律の上で何を根拠に公団を対象として対抗措置が講じられるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/19
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020・栃内一彦
○政府委員(栃内一彦君) 公団法の一条に空港の設置及び管理を行なうということになっておりますので、この点からも公団を相手にいろいろな折衝ができる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/20
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021・加瀬完
○加瀬完君 設置及び管理ということになっておりますがね。管理の部分はいいですが、設置を許可するのは、これは政府というか、運輸省ということになりますね。位置なら位置の異議あるいは敷地なら敷地に対する異議というものは、これは少なくとも位置は政府がきめるのです。その設立のいろいろ作業というものは公団がやっても、位置の決定なら位置の決定というものに不服という場合に、公団を相手に法律上対抗できますか、この公団法のいまの一条でそれができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/21
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022・栃内一彦
○政府委員(栃内一彦君) 位置の決定と申しますのは、法律案の二条によりまして「政令で定める」ということになっております。「政令で定める位置」と申しますのは、非常に具体的な位置ではございませんで、その政令に基づきまして、具体的な位置というものにつきましては、公団が十分調査をいたしまして、技術的な面あるいは周囲の状況というようなものを勘案しまして、具体的な計画を立てる。もちろん、これについては政府がこれを監督していくということはもちろんでございますが、事業の実施者というものは公団である、そういう意味におきまして、具体的な問題につきまして、また公団が用地を買収するというような点で、公団が外部との間で責任を負うということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/22
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023・加瀬完
○加瀬完君 それはあなたのほうの解釈ですよね。ただいまの大臣の御説明を承りましても、位置の決定は隠密裏にやるということでしょう。あまりこれは公然となってはいろいろ問題が起こるから、隠密裏にやる。隠密裏に位置を決定するということは、その位置の問題に対しては、あまり権利者の対抗措置というものを行なわせたくないという腹がまえでしょう。いままでの航空法関係のきめ方はそうではなくて、位置なり範囲なりというものからはっきりと権利者の権利というものが保護されておったわけです。今度は位置を、大まかなところをきめるといったところで、大まかな市町村というような範囲できめて、実際位置がきまれば、その中で空港の作業というものが進められる、進めなければならないという前提なんですがね。それははなはだしく国民の権利を侵害するのじゃないか。だから、侵害をする場合は、対抗措置というものも、この法律によって政府を相手にできるとか、公団を相手にできるとかいうことがいままで明らかにされておる。今度はそれが非常にあいまいになっておる、手続がですよ。手続がいままでの航空法のようにおやりになるというのなら、その心配はないけれども、そういう航空法を改正していままでの手続を省くのです。それでまあ率直に言うならば、位置をばかんとかぶせておいて、あとはそのなかで有無を言わせず場所をきめていく、こういう形をとるのです。この航空法によれば。そうなってくれば、対抗をする権利というものは非常に制限をされることになるのです。それはもう押し返し何回も聞いておりますけれども、回答は出ない。そこで、そういうトラブルの起こるようなところは全然候補の中には含まないのだ、あるいはそういうトラブルの起こるところは候補からはずしていくのだ、こういうことであれば、これは法律の不備はありましても、行政の措置でそういう心配がないということで、安心がいくわけです。この間も相澤委員のほうから御指摘があったわけですけれども、さらに検討を要するのではないか。なかなか問題は複雑で、さらに検討をしなければ、必ずしもそこに位置をきめても、空港の設置は問題があるのではないか。そういう場所は極力避けていくということをここではっきりおっしゃられますか。おっしゃられるなら、そうおやりになるなら、トラブルは起こらないだろうという安心も持ちますよ。これは大臣いかがですか。どこと私は言いませんよ。そういう問題の多いところは避けて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/23
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024・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) そうそう、私もどこと言いません。それはいろいろこの間じゅうもあなたとやっている間に、最初、まあ三カ月ぐらい前は、一反百万円ぐらいならという説かずいぶんあったのです。あなたのほうも、じゃあまあ百四十万円でも全部はいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/24
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025・加瀬完
○加瀬完君 税抜きだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/25
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026・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) まあ七、三と政府は見ているかもしれぬが、そうもいかぬ。まあ百万円でも三百万円でも、五〇%はどうしても出してもらう。これは八街のことを言っておられるのだろうと思いますけれども、場所のことはそうだと思うのです。けれども、そうなると、とても一反三百万円も出して、そうして半分また出してもらうということになれば、これはまあよそのほうを考えざるを得ないということになるのですよ、予算もあることなんですから。だから、まあそこらのところは早く発表して、ぐずぐず公団をつくるのに時間がかかって、それで発表したところはやらなければならぬということになれば、隠密裏にではなくて、やはり土地の暴騰というものも考えるものですから、それで、発表した、公団はできた、すぐ土地買収にかかるというぐあいに手ぎわよいやり方をやりたいためにやっているのであって、国民に隠してやるという意味ではないのです。いままで、道路の開設、道路の建設についても、あるいは新幹線でも、これはもうあこぎな人の手に、ブローカーの手に渡ってしまったら、とっても問題にならないのですよ。ブローカーの手に渡らぬうちに、ひとつ農業協同組合や町村長の人に中に入ってもらって適当なところできめてもらうというのでないと、もうあこぎな人にいったら、中をこわされたら、手をやくのです。そういうことを考えているのでいろいろなことをやっているのですが、何も隠密裏に、あんな大きなものをこしらえるのにとても隠密裏にはできないのです。そこのところを御了解願いたいと思うのですよ。それでどうしてもいかぬというならば、やりやすいところをまた見つけるよりほかに方法がないということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/26
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027・加瀬完
○加瀬完君 富里付近は空港ができるというので非常な買い占めが行なわれているという事実がございますけれども、それでも地価が低廉に、政府の予定しているような価格で収得できるというお見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/27
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028・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) その買収がどうなんということはよく知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/28
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029・加瀬完
○加瀬完君 これは厳重に御調査をいただかなければ、第二の空港でないまた政治的問題が確実に起こってくると言れておりますので、ひとつ厳重に御調査をいただかなけりゃなりません。
そこで、もう理事会の打ち合わせの時間もございましょうから、端的に一点だけ伺いますが、航空法三十九条の五号、すなわち、三分の一近い反対があって確実に取得するという見込みが立たないというような場所は、これは候補地から、いずれの場所であろうとも、位置決定の場合に除かれると考えてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/29
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030・栃内一彦
○政府委員(栃内一彦君) この三十九条の五号、これは具体的な場所の決定でございます。で、三分のというような点はいろいろ問題があると思いますが、何回も御答弁申し上げておりますように、とてもこの土地では用地の入手が困難だというようなことが見通せるような場所、そういうところはやはり避けるべきであろうと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/30
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031・小酒井義男
○小酒井義男君 関連して一つだけお尋ねしたいんですが、この第六条によると、国鉄の職員が公団の設立に相当出ていくようなんですが、公団の職員というのは大体どのくらいの人数で、国鉄からとる人はどのくらいを予定しておるのか、ちょっとお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/31
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032・栃内一彦
○政府委員(栃内一彦君) 初年度におきます公団の職員は三百数十名を予定しておりますが、国鉄から何名の人に来ていただくかというような具体的な数字はまだきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/32
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033・小酒井義男
○小酒井義男君 国鉄からどういう仕事をやる人を職員の中から要求をするか、そういうことはお考えになっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/33
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034・栃内一彦
○政府委員(栃内一彦君) その点は考えておりますし、またそういうことを考えたからこういう条文をお願いしておるわけでございますが、今度の空港は非常に技術的にも大きな問題でございまするので、国鉄に多くの専門技術者がおりますので、そういう方に手伝ってもらいたい。それから用地の取得、これはどこにきまるか現段階ではわからないわけでございまして、そういう点につきましても国鉄にはかなりの専門家がおるというふうに伺っております。主として技術的な国鉄の力を拝借してこの仕事を円満にやっていきたい、こういう意味でこの条文を入れてある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/34
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035・江藤智
○理事(江藤智君) 本案の質疑は、本日はこの程度といたします。
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036・江藤智
○理事(江藤智君) この際、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
海上保安に関する件について、運輸省当局から発言を求められておりますので、これを許します。松浦運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/36
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037・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 去る二十三日午前七時十七分室蘭港に起こりました「ヘイムバード号」の火災事件に対しましては、多数の人命を損傷し、あるいは死亡せしめ行くえ不明を起こし、あるいはけが人を出しました。そして、しかも多額の財産を失いましたことに対しましては、まことに遺憾のきわみであります。今後かようなことの起こらないように、すべての施設、その他技術の練摩をいたしまして、再びかかることの起こらないように努力するつもりでございます。事件の内容に対しましては、海上保安庁より説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/37
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038・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) お手元に資料を配付さしていただきましたが、その内容につきまして御説明申し上げます。
昭和四十年五月二十三日午前七時十七分、室蘭港水先人岩井良作が乗船して、ノルウェー船「へイムハード号」(三万五千三百五十一五トン、三十八名乗り組み、原油二万六千七百七十キロリッター積載)を、同港日本石油埠頭に接岸中、同船の右舷前部が桟橋に接触し、外板に亀裂を生じ、原油が海上に流失しました。
同船は原油流出防止の措置を講じながら接岸作業を続行しましたが、同日午前七時三十五分ごろ、後部もやい取り作業中の網取り船「港隆丸」(七トン、二名乗り組み、ディーゼルエンジン)の付近から流出油に引火し、一瞬のうちに「へ号」一番船艙に引火し爆発いたしました。
直ちに離岸せんといたしましたところ、船底が浅瀬に乗り上げ航行不能となり、火災は各船艙に延焼し、二十五日午前八時三十分現在なお炎上中であります。
これに対しまして、巡視船艇等六隻と化学消防車五台及び航空機三機により消火を実施しており、また、日石埠頭前面海域に石油拡散防止せきを設置いたしまして、流出油による延焼の防止に当たっております。
この火災で、「へ号」の乗り組み員中死亡君名、行くえ不明五名、重傷三名、軽傷七名を出し、また「港隆丸」は炎上沈没し、乗り組み員二名は行くえ不明となっております。
被害額は、船体、積み荷ともで約二十二億円程度の見込みでございます。
原因等につきましては目下調査中でありますが、「へ号」水先人の供述によりますれば、同人の旋回圏、惰力等の操船要素の判断不十分のため桟橋に接触し、このためその破口から原油が海上に流出して、もやい取りに従事しておりました「港隆丸」の火気またはその他の火気により引火に至ったものと推定されております。
この事件に、海上保安庁のとりました措置は、以下のとおりでございます。
室蘭海上保安部長は、二十三日午前七時三十三分、「へ号」から接触及び原油流出の情報を入手し、その直後火災が発生いたしましたので、直ちに巡視艇三隻に化学消火剤を積載し現場に急行させ、消火作業及び流出油の拡散防止に当たらせました。
また、第一管区海上保安本部長は、その後航空機一機、巡視船二隻を現地に応援派遣させております。
また、室蘭港長は、二十三日午前八時船舶の室蘭港への入港及び火災現場付近への立ち入りを禁止するとともに、在海船十八隻を防波堤外に退避させました。
これにさかのぼって、二十三日午前九時、日本石油室蘭製油所内に災害対策本部 本部長は室蘭市長、本部員は室蘭海上保安部ほか関係機関でございますが——が設置されまして、米軍関係機関の協力を得て消火及び被害の拡大防止につとめております。
二十四日午後六時十五分、別図についておりますような流出油拡散防止のための油防止せきを設置いたしました。これがため、二十五日午前六時半には室蘭港で実施しておりました航行管制を解除いたしまして、一般船舶の出入港を許しております。しかるところ、二十五日午前六時四十五分再び「へ号」が爆発、油が海上に流出いたしましたので、再度航行管制を実施しております。
現在は、海面の燃焼油は消火して、「へ号」のみがあと一万キロリッターぐらいの油を残して燃え続けておる次第でございます。
以上が「ヘイムバード号」の火災事件の概要でございます。
この機会をかりまして、先般京浜港大黒運河におきます船舶の火災事件につきまして、あわせて御報告さしていただきたいと思います。
京浜港大黒運河におきます船舶火災は、御承知のように、五月十三日十三時二十分ごろ、横浜市鶴見区大黒運河日本アスベスト会社山岸壁に係留中のオイル・バージ「第五東亜丸」——二百トン積みでございますが、この船上で東京港区赤坂の吉川商店の作業員二名がドラムカン入り廃油を陸上に積みかえ中突然爆発炎上し、このため付近係留中のオイル・バージ「尾鷲丸」外八隻が次々と引火炎上し、その後海上に流出いたしました油に引火炎上いたしましたが、横浜海上保安部所属の消防艇、巡視艇及び横浜市消防局の消防車、消防艇並びに民間消防団の消火作業によりまして、十五時二十五分ころ鎖火した事件でございます。
この事件にあたりましてとりました救難措置は、以下のとおりでございます。
横浜海上保安部は、十三時三十二分、横浜市消防局から前記火災の情報入手後直ちに消防艇「なち」、「おとわ」、巡視艇「うみかぜ」、「あさかぜ」に備えつけの化学消火剤、中和剤のほかに保安部備蓄の全化学消火剤を積み込み、警備救難課長を現場指揮官として現場に急行せしめております。
第三管区海上保安本部は、羽田航空基地から状況調査のためヘリコプターを現場に急行せしめております。
また、これと同時に、京浜港長は、寿老橋、小倉橋及び大黒橋に囲まれたいわゆる大黒運河水域の船舶の航行を十三日十三時五十分から同日の二十時まで、また停泊を十三日の十三時五十分から十五日の十時まで禁止し、交通の安全確保をはかっております。
十三時五十分以降、消防艇、巡視艇が順次現場に到着いたしまして、横浜消防局の消防車二十五台、消防艇三隻及び地元消防団とともに消火につとめ、前記のとおり五時二十五分ころ鎖火に至った次第でございます。
この事件の原因につきましては、目下調査中でございますが、現在推測されております原因といたしましては、廃油をドラムカンに積みかえ中のモーターのスパークによるものではないかということで目下調査を進めておりまますが、確証を得ておりません。ちなみに、この事件によりまして一人行くえ不明、一名軽傷、それから物件等につきましては約六百万円くらいの損害でございます。
以上、大黒運河におきます船舶の火災につきまして御報告を終わります次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/38
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039・江藤智
○理事(江藤智君) 御質疑の方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/39
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040・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣に、特にあなたは北海道の出身ですから、今回のこの「ヘイムバード号」の事故のよって来たった大きな理由ですね、どういうふうにお考えになっておるのか。いまこの事故報告は聞いたが、また同時に、こういう事故が起きた場合に、もっと早くこれを軽微なうちに防ぐことができないか、こういう対策はどうするのか。
それから、全国から見れば、石油コンビナートというものも各地にたいへんあるし、新産業都市等の問題も考えれば、こんなことが次々に起こるということを予想すると、私はたいへんなことじゃないか、こういう点で、政府のひとつ考え方をこの際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/40
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041・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 大まかな面において答弁したいと思いますが、現在までの日本の港は、せいぜい五万トン以上のものは係留できない情勢になっておる。ただ、先般私の友人の高村君が徳山の市長になりましたので、徳山に「日章丸」が着く前からしばしば応援に行っておりまして、「日章丸」の着く場所は、二千メートル以上の沖合いにブイを置きまして、そのブイから相当太いパイプを陸上のほうに持ってきて、それで十三万トンの「日章丸」が満載してきましても、その沖合いでブイからタンクに送り込む。それで相当軽くなってから、ずっと喫水が浅くなってから岸壁に着くなら岸壁に着くという設備になっているのですが、ところが、いま説明の中にもありましたように、ぶつかって油が流れて、それに引火し、離岸しようとしたがしりがつかえて座礁してしまったと。だから、逃げるもの、逃げるものということで、どうにもならなくなってしまって、しりがつかえなければ、ずっと沖合のほうに逃げてしまえば損害はなかっただろうし、またほかの船にもあまり大きな損害を与えなかったと思うのです。ということで、これは港が浅い、こういう大きな船を収容する港ではないということが一つの私は大きな原因であると思うのです。でありますが、今度の事故で六千五百万円ももらうのですから、そういう場合に、船型が大きくなるに従いまして、港の岸壁も、鉱石の場合はポンプじゃ送れませんからどうしても岸壁でしなければならない。しかし、油の場合はパイプで送れるのですから、もっと自由のきく、沖合いのほうにブイ及びパイプを備えるということが、こういう災害を頻発しない一つの方法になるのではないかと、私はしろうと並みに考えております。今後の港湾行政においてもこれだけはぜひひとつやってもらいたいということを、きょうの閣議におきましても報告いたしました。
それから、この隣接の富士鉄の岸壁は七万トンの鉱石が入るようになっている。これはパイプじゃいけませんからどうしても接岸しなければならないということでありますが、これからできる港は、十万トンの船が自由に入れるという港をつくらなければ、水先案内人の技術及び勘の問題もあると思いますけれども、そういう問題よりも、国として大きな面で考えることは、船型が大きくなるに従って、港のふところと港の深さというもの及びその背面における倉庫及び荷揚げ設備というようなものが、港湾荷役及び港湾労働の問題にもつながるのでありますから、荷揚げ設備と港の深さ及びふところ、広さというものの大きい面にわれわれは目を注いで、そういう面に力を入れていくべきであると、私はいまそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/41
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042・相澤重明
○相澤重明君 このもらった事故の図面を見ると、事故発生当時の状況、原油の桟橋ですね、この原油の桟橋にいまの外国船が接岸をするようになっておるようですが、ここは海上保安庁に伺いますが、水深は何メーターあったのですか。それから、いま大臣は、富士鉄の室蘭のほうは七万トン余の船も接岸できるがと——しかし、これは報告によれば、こちらのほうの「ヘイムバード号」は三万五千トン余ですね。船としてはそう大きい船じゃない、いま世界的に見ればですよ。そうすると、それほどああいう船が初めてだということにもならぬわけです。という、パイロットの人の岩井さんという人の水先の誤りだというふうにも出ておりますが、このことはふだんこういうことは行なっておったんでしょう。このときだけが初めてでこの接岸をさしたということでなくして、ふだんからこの三万トン前後の船というものはこの桟橋にはつけておったのでしょう。これはどういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/42
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043・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) 相澤先生の御質問の最初の、日石埠頭の前のドルフィンの前面海域の水深は十一メートルに深くしゅんせつされております。この「ヘイムバード号」は、当時の喫水が八メートルでございますので、これは十分な水深があるわけでございます。また、そういうことを予想されまして、ある一定の水域を十一メートルに深く掘り下げてある次第でございますので、ただいま先生がおっしゃいましたように、この船が着くことには十分安全な措置がとられておる次第でございます。
第二点の、従来何回もやられていたんじゃないかという点につきましては、この船は初めてだと思いますが、過去にもこの埠頭にはこれに類した船は逢着しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/43
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044・相澤重明
○相澤重明君 この報告によると、接岸しようとしたところがうまくいかなかったと、そのうちに爆発したと、そこで直ちに離岸せんとしたところが、船底が浅瀬に乗り上げたと。そのいまあなたの言う十一メートルの水深というのと浅瀬というのとはどのくらいの距離があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/44
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045・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) 非常な確実なお答えできませんので、まことに申しわけないと思いますが、私が海図上でそののし上げました浅瀬の位置と接岸する予定のドルフィンとの間を見ますと、大体、船の長さの二倍程度でございますので、四、五百メートルだと思います。普通はそういうところは達着のためには行かない場所でございますので、これは、この報告にも書いてありますように、ぶつけまして油が出た、その油に綱取り船が動きかけたら引火いたしまして爆発したので、これではいけないというので、達着するのをやめてエンジンの後進をかけた。御承知のように、デッドウエート——この場合は二万六千なんですが、これ自身がフルに積みますと約六万トンぐらいのデッドウエートになりますが、この種の船になりますと、エンジンをかけましても動き出すのに非常に時間がかかる、それから、当初動き出しましたときにはほとんどかじききが悪くて、思うように操舵できない、そのためにずるずるとよけなければならない浅瀬のほうに行ってのし上げたと、こう考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/45
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046・相澤重明
○相澤重明君 どうなんですか、この室蘭に接岸をしたときには原油を二万六千七百七十一キロリットルと、これは三万五千トンの「ヘイムバード号」は満載ではないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/46
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047・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) 詳しく申し上げますと、この船は満載して横浜の根津に寄港いたしまして、半分根岸で揚げ荷いたしまして、残りの二万六千トンのものをここまで持ってきたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/47
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048・相澤重明
○相澤重明君 そうすると、必ずしも満載していない、半分程度のことになれば、いわゆる操船といいますか、船をあやつるにもそんなに自由がきかないというほどのことではないわけですね。いま警救部長の言うことを聞くと、四、五百メートルのところで浅瀬に乗り上げたというと、三万トン前後ぐらいの船で、そんなに操船というものはむずかしいのかと、そういうようなことならば、前もって運輸省自体としては、その港湾のつくり方というものがわかっていなければならぬじゃないかと。満載をしておって、全くこれはもうなかなか動かすのはたいへんだということになれば、あるいはパイロットの案内も悪かったし、条件がすべてが悪かったということが言えるかもしれないけれども、そうじゃなくて、その半分だとするならば、船そのものからいけばたいしたことじゃないじゃないですか。結局、この浅瀬に乗り上げたというところが、港のつくり方自身が、やはり私はこういうことになってくると問題になってきやせぬか、こういうふうに思うのですが、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/48
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049・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) 港湾関係の問題は別といたしまして、操船上の問題について申し上げますと、満載と半分だから違うんじゃないかという先生の御意見でございますが、大体三万五千トンぐらいの大きさになりますと、それが満載いたしましても、半載の場合でも、空船でない限りは、そう大きな操船上のあれはないと思います。もちろん半載よりも満載のほうがむずかしいということは事実でございますが、そんなに大きな問題ではないと思います。また、御参考に申し上げておきますが、二月三日に同じくノルウェー船の「ジャルナー」——三万四千トンぐらいのものが、ちゃんと無事にここへ入りましてやっております。その点は、港湾の浅瀬があったかどうかということではないと私は考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/49
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050・相澤重明
○相澤重明君 そんなことはない。この報告、ここにちゃんと君のほうの報告に、船底が浅瀬に乗り上げたと、こうしてあるじゃないか。浅瀬がなかったら乗り上げないじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/50
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051・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) 私の申し上げましたのは、乗り上げましたのは、確かに浅瀬がありましたので乗り上げたのでございますが、乗り上げましたところの浅瀬が、ここの日石埠頭のドルフィンに逢着するためにじゃまになる浅瀬であったかどうかということにつきましては、先ほど申しましたような操船上の点、また過去にも二月三日に同じ大きさの船が無事に逢着しているという点からいたしまして、その達着には関係のない浅瀬であったであろうと、こう申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/51
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052・小酒井義男
○小酒井義男君 関連をしてお尋ねしたいのですが、この水先人ですね、これが室蘭港の事情等は十分知っておったのだと思うのですが、この室蘭港で水先人をやっているような年数 どのくらい現地で仕事をしておったのか、そういう点についてはお調べになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/52
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053・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 先ほど海上保安庁の報告にもありました岩井水先人につきましては、室蘭港における水先の経験は約六年間でございます。昭和三十四年から水先人をいたしております。それからその前に船長経歴が十二年ございまして、船長時代に長い間無事故であったということで表彰を受けている方であります。
なお、昨年四月から本年三月までにどの程度の船の水先案内をしたかということでございますが、日本船及び外国船合わせまして四十八隻の水先案内をやっておりまして、そのうち四万トン以上の外国船を九隻、三万トン以上の外国船を十二隻——三万トン以上の大体今度の船舶と同じようなものを昨年度中に二十一隻水先、案内を行なっているわけであります。それ以外に二万トン以上の日本船を五隻、それから外国船を二十二隻、これはすべてもちろん無事故で今日まで水先案内を行なってきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/53
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054・小酒井義男
○小酒井義男君 原因の報告によると、水先人の供述として、「旋回圏、惰力等の操船要素の判断不十分」だったと、こういうふうになっているのですが、そういうことが明らかになった場合に、水先人の責任というのはどの程度のものがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/54
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055・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 海難事故につきましては、海難審判にかけまして、これによって責任関係が明らかになるわけでございます。同時に、海難審判庁において、海技所有者に対するたとえば免状の停止あるいは取り消しというような処分が決定されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/55
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056・小酒井義男
○小酒井義男君 それからもう一つですね。非常に大きな損害なんですが、この船体と積み荷に分けて、この損害に対する賠償といいますか——はだれが負うことになるのか。そういうもののおそらく国際的な慣例があると思うのですが、そういう点はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/56
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057・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 本件の場合は、現在は水先人の過失というように言われております。これは今後の取り調べの結果あるいは海難審判の結果を待たなければ断定はできないわけでございますけれども、かりに水先人の過失であるということになりました場合に、水先人自身に賠償責任があるかどうかという問題が出てくるわけでございます。これにつきましては、諸外国の例は、水先人の賠償責任を認めておらないという実情でございます。なお、わが国の判例におきましては、この点不明確なものがございますけれども、外国の例は水先人の責任を認めておらないということでございますので、賠償責任がないとすれば、まあ不可抗力というような考え方をとる以外に方法はないのじゃないかというようにわれわれとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/57
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058・小酒井義男
○小酒井義男君 そのほかのですね、水先人の責任問題は別にして、それだけの大きな損害をだれかがしょうことになるのですね。これはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/58
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059・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) われわれ具体的に本船の積み荷あるいは船体の保険関係は調査いたしておりませんけれども、常識的には積み荷及び船体自身につきましては損害保険が全部かけてあるわけでございますので、それによって処理されるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/59
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060・相澤重明
○相澤重明君 そこで、さっきの質問に戻りますが、この図面をもらって見ると、日石室蘭製油所のこのいまの桟橋ですね、このところの航路がつくってあるのは、こういうかぎになっているわけですね、航路の設定が。だから、この室蘭港の港内の航行についてやはり私は問題があるのではないか。第一、いまの警救部長の言う四、五百メートルのところに浅瀬があるかないか、そういうことも、この航路設定の、航路がとってある、この航路の中側にあるのでしょう、いまの話は。だって、この接岸の桟橋でしょう。パイロットが案内をしたところが、岸壁へ衝突をして、それから破口から油が流れた、そして急速離岸しようとしたところが今度は逆に浅瀬へ、乗り上げてしまった、こういうので身動きができなかったのが事故の報告でしょう。そうすると、この航路の内側の、最も大きい船が接岸をするなりあるいは停泊をさせておるところの地帯がまだ浅瀬があるということが言えることじゃないですか。この港の中には浅瀬がたくさんあるのだということが言えるでしょう。どうなんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/60
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061・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) まことにこの図のあらわし方が悪いものですから御迷惑をかけていると思いますが、実はその「現状」と書いてある船の型がございますが、この「現状」と書いてある船の型はちょうど「原油桟橋」と書いてある線と同じような位置なんでございます。ですから、船はそういうところを通らない、通ってはいけないわけなんです。通っても無意味なんで、結局、どちらかと申しますと、その「現状」と書いてある船型の手前に小さなぽつんとしたブイが書いてございますが、そちらから桟橋に航行するというのがこの港のできておる構成でございまして、大体いま申し上げている位置というのは、もう防波堤、護岸から約七十メートルくらいのところでございますので、ふだんは船舶の通行せない場所に、先ほど申しましたような三万五千トンの、二万六千トンの油を積み込んだ大型タンカーが操縦を失ってエンジンのみがかかって後退して、その行き足でそのふだんは通らないところへぶつかって、たまたまそこにありました浅瀬に座礁したんだと、こういうことでございます。ですから、先ほど先生がおっしゃいましたように、水路の内側にどこにでも浅瀬が室蘭港にはあるんじゃないかとおっしゃいます。わりかたこの港はよく航行のためには整備されておりますし、先ほど大臣からもお話のありました富士鉄室蘭の製鉄所の岸壁の四万トン鉱石船の入るところなんかも、りっぱにしゅんせつされております。またこの航路筋のかぎになっておりますのは、これはこの港をつくるときの状況だと思いますが、おそらく外から入る波とかそういうものを考慮して桟橋をつくると、桟橋に達着するためには、防波堤を通って、やはりこのようなかっこうで曲がっていかなくては桟橋に着かないということだと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/61
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062・相澤重明
○相澤重明君 いまの説明でいけばですね、大型船は、一たんこの港に入った場合には、ブイのところでとめる、一たんそこにとめて、そうして、あとは小さい船で曳航する、案内をする、こういうことをやらせておるのか。それとも、いまの話で、この船の事故の原因をあなたのほうで述べておるのを見ればですよ、パイロットが結局はこの「旋回圏、惰力等の操船要素の判断不充分」、こういうことを見ると、そのまま惰行運転をしてきた。機関を一たんとめてですね、そうして港に明るい引き船によって案内によって来たということになっておらぬように見えるのですね。この図面から見ると、ブイはいまあなたの説明されるように確かにあるわけです。あるけれども、しかし、このブイでもって、一たんその付近でとめて、桟橋まで曳航していったものなのか、あるいはとめずに惰行でそのまま入れたものなのか、そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/62
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063・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) 最初にお断わり申し上げておきますが、上の図面の先ほど申し上げましたブイは、この航路筋のところにあるブイではないのでございまして、これからずっと入りましたちょうど航路筋の点線と日石埠頭との、航路筋から約三分の一のところに設置されたブイでございます。それはどういう目的であるかと申しますと、日石埠頭に着岸するための船舶用の係留ブイでございます。それで、そのブイを基準として航路筋に入るとか入らぬとかいう先生のお話がございましたが、それとはこのブイは無関係でございます。
それから、パイロットはどうしておったかというお話でございますが、これにも書いてありますとおりに、その大型船の旋回圏なり惰力等に対する判断の誤りであったということは、私たちの水先人に対します供述調書によりますと、はっきりと本人が言っておるわけでございます。実はこの実情をよく調べますと、このうしろに富士鉄のタグボートがちゃんと準備されておったわけでございます。おそらく水先人の運航計画は次のようなことであっただろうと推察されるのですが、おそらく、このドルフィンの岸壁近くになりましたら、船をすっかりとめまして、そこでタグボートを使って、タグボートによって無事に逢着しようという計画だったと思うのでございます。それがその自分の計画に至らないうちに惰性等の判断の誤りからそのままぶつかったと。だから、準備をされておったタグボートも使用するに至らず、まことに残念な仕儀になったのだろうと推測しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/63
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064・相澤重明
○相澤重明君 結局は港の航行についてのやはり不十分の点が見られるわけですね、いまのあなたの説明を聞いておっても。で、パイロットの岩井さん自身がそういう供述をしておるわけでありますから、御本人の足りなかった点ももちろん私はあると思う。しかし、港の運営自体について、たくさんのほかに船もあったと私は思うんです。また、こういう船も今後もやはり入るわけですね。そうすると、何かここは一つ足りない点が私はやはりあると思うんです。これはいまの報告を聞いておっても。ですから、この点は、こういう大型船等を接岸をさせる場合のきちっとした安全規則なりというようなものをやはり私はつくっておく必要があると思う。それがいまの話では、タグボートがそばにあってもそれが使用もできないうちにそういう事故になってしまったというようなお話でもありますが、どうも浅瀬のことから、あるいは、まあ図面のとおりでは航路はないと思うけれども、一応航路のとり方から見ると、この室蘭港の中の航行そのものをいま少し考えていかないと事故はやはり続くのではないか。それから、パイロット自身にもそういう点案内人としてのきちっとしたやはり方針というものをとらしていくいうことが私は大事なことじゃないか。そういうことをなおひとつ検討をしてもらって、あとでいずれの日かまた御報告をいただきたい。
そこで、運輸大臣にお尋ねするわけでありますが、ともかくこういう事故が起きないことが望ましいことだし、事故が起きた場合には被害をできるだけ少なくすることが大事なことである。ところが、全国の事情を見るというと、化学消防艇というものはきわめて少ない。いま保安庁にはどういう化学消防艇というようなものがあるんですか、またあるとすれば何台、それから運輸省で把握しておる全国の重要港に対するそういう施設等についてはどんな状況なんですか、あわせてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/64
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065・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) 海上保安庁で所有しております消防専用艇は七隻でございまして、現在京浜に二隻、それから名古屋に一隻、それから阪神に二隻、関門に二隻配属しております。この船はいまから約十五年ほど前に建造いたしました船でございますので、当時の状況から申し上げますと、まあ当時といたしましては海上保安庁で消火専用艇をつくった規模といたしましては妥当なものであったと思われる次第でございます。しかし、その後御承知のような大型船舶の急激な増加に伴いまして、十五メーターぐらいの先ほど申しました消防専用艇では——それから出します放水の長さが約十五メーターぐらいしかございませんので、たとえば「ヘイムバード号」でも深さが約十七メーターございます。ですから、とうてい届かないというようなことでございますので、私たちは化学消防艇をほしいというので、三十九年度から大蔵省と鋭意折衝中でございますが、他の巡視船艇等の増強整備等の関係もございまして、まだ実現を見ておらない次第でございます。ちなみに、化学消防艇と申しますが、いわゆる普通の巡視船艇でも、あるいは消防専用艇でも、化学消火剤を使えばいわゆる化学消防艇になるのでございますが、私たちが現在計画しております化学消防艇というのは本格的な化学消防艇でございまして、むしろ常に大型タンカー用に使うというような心がまえの化学消防艇でございます。他の公共団体等で持っております化学消防艇といわれるものは、現在大阪市に約九十トンぐらいのものが一隻あるのと、それから東京都に一隻小さな十五メーターぐらいのものがあるだけでございまして、そのほかは一般の船舶に大きなポンプを備えつけているという程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/65
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066・相澤重明
○相澤重明君 一隻どのくらいですか価格は、つくるとすると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/66
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067・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) 私たちがいま計画しておりますものは、大体一億ぐらいのものでございます。大体トン数が百トンで、双胴艇で——船の安定が必要でございますので双胴艇にいたしまして、やぐらを可動式にして必要なときにはうんと伸ばす、それから使わないときはそれをしまい込むというようなシステムのものにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/67
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068・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣どうなんですか、これはいまの部長の説明を聞くと、大阪と東京には小さいものが地方自治体にある。しかしその他はほとんどない。それで運輸省自体としても十五年前につくったものが七隻ある。こういうことじゃ近代的な設備とは言えないわね、これはほんとうの話が。いま聞けば、わずか一億そこいらでできるというのですからね、これは政府がやる気になったらできるのじゃないですか。地方自治体にまかせて、地方自治体にそれぞれやれと言ったところで、地方自治体の予算からいえばたいへんなんだと思うのです。そういう点で、政府がもっとこういう問題について積極的に取り組む必要が私はあると思うのですが、この事故を振り返ってみて、閣僚の中でもそういう意見はないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/68
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069・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 先ほど、最初遺憾の意を表しましたときに申し上げましたとおりでございまして、私は北海道ですから、まあいまは飛行機で多く通っておりますけれども、とにかく津軽海峡を始終往復しておりますが、あそこの岸壁に着けるったって、二万トン以下の小さな船ですが、それでも途中でとまって、それでタグボートでワイヤーを送って、ウインチで巻いて、それでまあ、あれはフェリボート的なものですから、狭いところをこう押し込まなければならぬところもありますけれども、それで青森でも函館でも同様に岸壁に着けております。この絵を見ますと、この大きな船がいきなり行って岸壁に着けようという、それ自体私には無理があると思うのです。ほんとうは。だから、一ぺん途中でとめて、タグボートに引かして持っていくのがほんとうだと思うのです。そうでなければ、もっと非常に港が広くて、このゴー・アスターンしても、その辺の十
一メータなり十二メーターあるならいいけれども、すぐうしろに動かすとすれば座礁するといったような狭い港であるならば、これは自力で行って岸壁に着けるなんということを考えるのは、それはぼくは無理だと思うのです。だから、やはりこの場合はタグボートに引かして行くのがほんとうだと、こう思うのです。だから、問題は予算の問題ですが、まず根本的に考えるならば、これからの港はどうしたって五万トン以上の船が出入りするのですから、それに即応するようなしゅんせつもしなければならぬし、岸壁もしなければならぬし、ふところも大きくしなければならぬ。そのためには、予算を惜しんではならないと思います。それから、この間の新潟の昭和石油の火事のときも、どうもとまらなかった。それは化学消防がなかったからです。それで、米軍の持っているものを使ってようやくとめたという事実があるのでありまして、室蘭の場合においても二万トンぐらいしか化学消防の原料がなかったと言っておりますが、そういうわけでございますから、こういうものに対しては、政府も相当薬品の用意もし、同時に消防の施設も拡充しなければならぬ、かように思っております。また、政府のみで負担がやり切れぬとするならば、石油の精製工場を持っている人たちの協力を受けることも必要であろうと思う。そういう消防が石油工場だけに必要なものでありますから、一般のものには必要のないものですから、そういうものに協力させることも必要であると思いますが、とにかくこういう事故が起こったときに直ちに化学消防を動員して最小限度に災害を食いとめるということを中心にして、政府も大部分出し、あるいは石油業者にも負担させるというようなことを私は考えるべきものであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/69
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070・相澤重明
○相澤重明君 時間の関係で、私はいま大臣から御説明をいただきましたけれども、ひとつ積極的にこの化学消防艇を政府がやっぱりつくる。いまの事故報告だけでも、このたった一隻のこの事故によって二十数億も被害を受けるというのですから、これはもう一億くらいの船を十隻つくったって十億なんです。被害のことから考えれば、設備をして決して損ではないわけだ。要は使い方にあるわけです。税金の使い方にあるわけで、私も決算委員会で毎年毎年この決算をやっているわけですが、税の自然増収というのは非常に伸びているわけだ。だから、どこに優先的に国民の生命、財産を守るために税を使うかということが大事なことになると思う。この室蘭港の事故そのものの報告を聞いても、この設備が決してよいわけではないし、また港自身のつくり方もいま一度検討してあとで報告してもらいたい、こういうことを特に大臣に要望しておきます。
それからいま一つ。先ほど報告をいただいた横浜の大黒運河の問題の事故報告がありましたが、これは八隻「第五東亜丸」とともに炎上したというのでありますが、船はもっとたくさんやられていますね、実際には。そこで、こういう運河の中に船をたくさん置くのがいいのかどうかということが私は問題だと思うのです。航行の問題と、いま一つは事故が起きた場合のそういう事故を最小限度に食いとめる防災計画が私はなくちゃいかぬと思う。そこで、船だまりとか、あるいは、私が前に申し上げたのは、廃油を直ちにどこへでも捨てないで、いわゆる一定の個所を指定をしてそういう廃油というものを捨てるような場所もこれからつくらなければいかぬ、こういうことを運輸委員会で何回も申し上げておったのですが、大黒運河のこの事故を見ると、ますますそういう点が私は深く痛感をされるのですが、こういう点について、船だまりとかあるいはそういう廃油の処理の問題とかいうようなことについて、重要な港については、特に油輸送等についての問題点のところは、私は考えなければいかぬと思うのですが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/70
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071・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) お答えする前に、先ほど申し上げなかったのですが、一言申し上げておきたいと思いますが、しかも本船はノルウエーの船であります。二十二億の損害といいますが、そのうちの二十億以上のものは船の損害でございまして、これは日本の港の不完備のためにかような損害を外国の——つまりノルウエーというのは、日本の海運問題に対しましては、この間もノルウエーの海運大臣が参りまして、いろいろ協調してやっている相手国でございまして、まことに申しわけのないことをした、友邦に対して申しわけのないことをしたと思っております。このノルウエーに対しましては、全く遺憾の意を表する次第であります。
それから、いまのお話に対しましては、御意見全く私は同感でありまして、そういう狭い運河にたくさんの船を置いて、しかもその火だるまになった船があっちに行ったりこっちに行ったりしたこの間の事件なんぞは、全く注意の不行き届きだった。船主というか、船の船長というか、船を取り扱う人の非常な不注意から起こったことで、あの大事に至ったことについては、これはほんとうに今後保安庁のほうとしても十分それらに警告を与うべきであると思っております。今後かようなことが総合的に起こらないように、十分それぞれの警告を発しまして注意をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/71
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072・相澤重明
○相澤重明君 最後に、いまの大臣の御答弁で、それではこれからどういうふうにやってそういう防災上の施設をするかということを、海上保安庁と運輸省が——もちろん運輸大臣の監督は全部ですから、運輸大臣は、関係の局長や保安庁長官と相談をされて、ひとつできるだけ早い機会に報告をしてもらいたい。
以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/72
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073・江藤智
○理事(江藤智君) 本件については、本日はこの程度といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/73
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074・江藤智
○理事(江藤智君) 次に、請願の審査に入ります。
まず、専門員から請願の趣旨について簡単に御説明を聴取いたします。
速記とめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/74
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075・江藤智
○理事(江藤智君) 速記を起こして。
これより請願について採決をいたします。
請願第一七六号外百件の請願は、いずれも願意おおむね妥当と認め、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/75
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076・江藤智
○理事(江藤智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/76
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077・江藤智
○理事(江藤智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
次回は二十七日午後一時開会の予定とし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02719650525/77
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