1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月二十五日(火曜日)
午前十一時四十二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 中村 順造君
理 事
稲浦 鹿藏君
川野 三暁君
熊谷太三郎君
瀬谷 英行君
小山邦太郎君
高橋文五郎君
白木義一郎君
田上 松衞君
村上 義一君
国務大臣
建 設 大 臣 小山 長規君
政府委員
建設省住宅局長 尚 明君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
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本日の会議に付した案件
○地方住宅供給公社法案(内閣提出、衆議院送
付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/0
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001・中村順造
○委員長(中村順造君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
地方住宅供給公社法案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/1
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002・田上松衞
○田上松衞君 質疑に入る前に、ちょっと委員長にお伺いしておきたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/2
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003・中村順造
○委員長(中村順造君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/3
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004・中村順造
○委員長(中村順造君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/4
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005・田上松衞
○田上松衞君 それでは内容の質疑に入る前に、大ざっぱに私の考えを先に申し上げておいたほうがいろいろ誤解がなくていいと思うのです。
まず心境をお話しすれば、私は、この法案は内容によっては、これはむしろ歓迎したいという気持ちだったわけです。ところが、いままでのいろいろな質疑を通して感じることは、どうも若干の不安を生じてきたわけなんです。と申し上げる第一点は、当初このことが新聞等で発表されたこと、及び建設省の試案なるものが出されたあのずっと前のことを考えてみると、それからわれわれに今度提案された正式のものとの間には、相当の違いが出てきておるわけなんですよ、これは構想の上においても内容においても。そういうようなことを考えると、国民が期待する、何といいますか、干天に慈雨というようなことばで建設省ではPRしているようですが、そういうものにこたえるような腹がまえといいますか、決意、自信、そういうようなことが実際固まっておるだろうか、若干不安を持っておるわけなんです。したがって、まず私も質疑をせざるを得ないという立場に心境が変わったわけです。もっとわかりやすく申し上げまするが、大体このことは、今日出されるこの中からくみ取られるものは、例の持ち家を望むところの勤労者に対してこれをかなえてあげようとするのが主体だったと思うわけです。そこで、積み立て金というものをもとにして、これだけが主なるものであって、分譲その他いろいろなし得る問題が、やってもいいと考えておるものが八項目あると思うのですが、これらの問題は従のものであって、まあできればやってもいいが、できないということであればやむを得ないというような点が、こまかに検討するとそれが出てくるわけなんですよ。そういうようなことがあるのだが、しかし書き方では、どうもこれは住宅を必要とする勤労者に対してというようなことで、持ち家というようなことは何か隠して、住宅を必要とするという者はひとり勤労者だけでなくして、今日は国民大部分なんですよ、これは。一般階層、庶民階層ことごとくそうなんです。何かそこに見せかけておいて、そうして中身は隠している。中身の問題はあくまで持ち家だ。繰り返して申し上げますけれども、そのためには積み立て金だということに主たる目的を置いているのだということになりますと、さっき申し上げたような干天に慈雨を望むような国民の期待は大きくはずれてしまうのではないのか、こういうことが感じられるわけです。
ついでですから、さっき失礼なことばに受け取られたかもしれぬから釈明的に申し上げますけれども、たとえば一つ一つの、これはくだらない、内容ではないけれども、たとえば名称というものをひとつ考えてみると、今日この住宅供給公社に類似するような名称は別にもあるはずだと私は考えているわけです。公社とつげないにしても、たとえば協会とか組合とか、住宅供給という文字を使ってするようなまぎらわしいものがある。政府の考えとしては、どうもそれはまぎらわしいから、この政府案に大きく引きつけることのために、そうしてそこを唯一のものとするように、公団と同じ資格を与えるようにすることのために、住宅供給ということばを独占しようと考えているわけですね。独占というとちょっと誤解があるかもしれませんけれども、ほかには使わせないぞ、私は、そこの点の思想的な考えを、ひとつ余計なことですけれども考えている。公明党がおられないから必ずしも言うわけではないが、いようといるまいと、たとえば選挙に対して長い間「公明選挙」ということばを使って選挙の推進をしていく、いろいろ指導をしていくというこのことにいたしましても、公明選挙推進委員会という機構をつくって長くやっておったのです。ところが、公明党が、創価学会からだんだん出まして公明会になり、最近は公明党という党を正式に結成するに至った。一体これらのことばがどうなってしまったか、それは公明党の選挙運動を推進するかのような感じを与えてまずいからというので、それで「明るく正しい選挙」というややっこしい名前をつけて、わかりにくいことばをつけて、それほどに後退してしまったわけです。譲ったわけです。本家は国の公明選挙だったにかかわらず、公明党の非常な進出に押されたというか、何というか知らぬけれども、とにかくそういうことをやった。これがもちろんあるでしょう。重要なあれを片方のものが独占することは、これは新憲法下にいろいろ疑義があるからまあこちらのほうで逃げてしまえ、そして国民に大きな疑惑というか、非常な混迷を生じておるわけです。ある地方においては「明るく正しい公明選挙」という標語を使ってみたり、いまだそれが正式に発表されない地方においては、あくまで「公明選挙」ということばを使ってみたり、すっとんごっとんしておりますが、しかし、いろいろそういうあれは別として、このことを比較対照して考えてみますると、どうもこの面については、建設省は大きな決意を示しておるようであって、まぎらわしい、既存のものがあろうとなかろうと、そういう名称は許さないぞ。いままでやったものはその名前を変えてこなければならない、これに罰則をつけるということになるわけですね。間違いないことだ、これは。そして自分のほうがそれを使っている。その面から見ると、き然たる態度をもっていかにも国民大衆のためにやっておるような見せかけをやってきた。よしあしは議論しません、私は。だが、とにかくそういう姿勢をとった。かと思うと、政府内部における態度は一体何であるかということなんです。私が言いたい点は。たとえば、これを遂行していくということのために建設省がしつこく交渉しておった問題は、要求額ですか、建設費坪当たり七万八千円と出したはずである。用地費については坪当たり五万円と出したはずである。ところが、大蔵省の査定はどう変わってしまったか。建設費は七万三千円、用地費に至っては坪当たり八千九百円、五万円がこれは八千九百円ですよ。これに屈服しておるじゃないか。建設費の問題についても、もちろん私は言いたいことはあるけれども、適当に時間を考えひとつやるわけでありますから重点的に申し上げますけれども、今日、用地費が平均して八千九百円でできるなんということは、一体どこからはじき出したのか、どこからやって大蔵省に説得されてしまったのかと言いたくなってくるわけです。試みに、東京はいわずもがな、私の県の神奈川県の場合で考えてみると、これが適用される場合に、県が持ってもよろしいが、同時に、人口五十万以上であるから、横浜はもちろんのこと、川崎市も持てるわけですね。こういうところをねらってきておる、この構想というものは。神奈川県における横浜、川崎等の場合には、どんなことをやってみたって、必要とする場合、相当の金額、何万となってしまうのです。一生懸命やって、そうして県の大きな支出を加えてやってみて、具体的にどこがよかろうかとさがしてやってみますると、それにしても最低一万五千円以下の所はないはずなんですよ。これは事実なんです。それならば、この大部分神奈川県に考えられておると――少し深みに入り過ぎますけれども、たとえば神奈川県ではあなたはどう考えるのか。一万一千戸の交渉をやっておられるわけだが、このことを考えてみると、これで一体どうなるのだ。私が承知しておる限りにおいては、大蔵省が査定した根拠というものは、およそ全国的に見て、平米当たり八百円と見たはずなんですね。ということは、坪に直しますと二千六百四十円ですよ。一体最低のものを、平均ということを言ったはずなんだが、一体いまごろ坪当たり二千六百四十円なんという土地がどこに見つかるかということなんです。山のてっぺんならいざ知らず、それではないのです。これは。勤労者が、より短い時間でより能率的にやっていこうとする希望、しかも、そのことのために苦しい中に積み立てをやっていこうとする努力、そういうことをまじめに考える場合に、大蔵省がいうところの坪当たり二千六百四十円平均だということを押しつげられて、そうでございますかといって頭を下げるような行き方が、さっき申し上げたように、くどいようですが、ほんとうに腹がすわっておるか、やろうという決意があるのか、見せかけでないか、干天に慈雨だといって国民を喜ばすのは罪つくりじゃないかという感じがするのですが、まずこの点についての決意、あわせていま申し上げたことの、どうして大蔵省の査定に屈服したのかという点をただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/5
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006・小山長規
○国務大臣(小山長規君) いろいろお話しになりましたうちで、ちょっと最後に建設費の問題に入りましたけれども、最初にお話しになったのは、おそらくわれわれの構想と多少違った結果が出てきておったのじゃないかと、最初の構想とそれは多少違った点が出てきたわけであります。一つは何かと申しますと、私どもが最初考えましたときには、自分の持ち家のために積み立てをしようとする人たちが多ければ多いほどよろしい、それに応じた住宅金融公庫の資金を供給する方法はないかと最初は考えたわけです。ところが、いろいろ予算の折衝を通じて、だんだん詰まったところは、国家の資金計画にも、特に住宅金融公庫から貸し出す資金計画にも、おのずから従来の経緯その他がありまして、持ち家住宅に振り向け得る限度がおのずからある。そうすると、せっかく積み立てはしたけれども、実際の資金の貸し付けは受けられないという結果になるおそれが出てきた。そこでどちらにしようかと考えました末、積み立てをした人には必ず住宅供給ができるという制度にしたほうが、最初のスタートはあまり大きな戸数になりませんけれども、そのほうが積み立て者に対して安心感を与えるであろうということで、したがって、その面では予算上の建設戸数に合わせて積み立て者の募集をするという方向に変わりましたので、私の最初考えておった、まず募集をしてみて、これだけの人数がおるのだから住宅金融公庫の資金はこういうふうにふやすべきだというような行き方は、実際問題としてむずかしいという結論になったのです。構想がその点においては変わったことを申し上げておきます。それが一つ。
それから、もう一つは、積み立てをした人には必ず住宅が提供できるようにしたいというのが、このいま申し上げた点でありますが、同時に、その持ち家は中堅階層――まあ月の所得が五、六万円見当の人を大体想定しておるわけですけれども、その中堅階層の人が月々積み立てができ、そしてまた住宅が提供された後においては、分割払いに応じ得るぐらいの建設費でなければならぬ。そこで、二月当たりの建設費は、大体都会地においてはどの程度、あるいは地方の市町村においてはどの程度という想定をしまして、それがその建設が可能になるような仕組みのもとにこの公社を発足させようということで、いずれこの建設の単価、あるいはわれわれが想定しております土地の坪当たりは大体どの程度に見ており、そしてその結果二月当たりの建設費は幾らで、そしてその積み立てには月々幾ら程度かかる、あるいは住居が提供された後における月当たりの分割払いをどの程度にするということは、あとで局長からお答えさせますが、そういう想定のもとにつくり上げて、そして現実にそれは可能であるというふうにいまわれわれは確信をいたしておるのであります。問題は、いま田上先生の言われた点の一番大きな問題は、建設戸数がおのずから限定されるじゃないかという点は、確かにそのとおりであります。その点、私が最初考えましたときには、積み立て金でどんどん建設戸数をふやせるような方策を考えたのが、その点が違ってまいりまして、スタートとしては、確かにいかにも小ぢんまりとしたスタートでありますけれども、しかし、こういう制度をつくり上げれば、年を追って私はその建設戸数はふやしていくことができる、予算も当然ふえていくことでありましょうし、ふやすことができまするし、地方の応募者の中から、たとえば一万人の応募者があったのに、実際積み立てを許した者が二千人しかない、五分の一しかないという実績がだんだん出てくるにつれて、これはわれわれの要求の態度も強くなりますし、財政当局も応ぜざるを得ないということになりましょうから、この戸数は最初のスタートは二万戸でありますが、年を追って私はこれはふやすことができるというふうに考えておるわけであります。
それから、もう一つの、この供給公社という名前を使うことに、使わなければならないというふうにしましたのは、これは組織の面からいっておるのでありまして、そういう名称を使ったものでなければ積み立て金を受け入れることもできない。それから収用権の発動もできない。同時に、積み立てをするわけでありますから、いわゆる預金者でありますが、預金者の保護を厳重にしなければなりません。そこで、預金者保護のために名前を限定をし、そしてその監督の権限の内容も法定しておく必要があるから、そこで名前は、いわゆる独占的な名前にしておく必要がある、こういうことで供給公社というものの名前を法定した、こういうわけでありますから、その点御了承願いたいと思います。
なお、今度予算化された金額でわれわれが予定しておる二万戸の建設が可能かどうかという点に最後の重点があったようでありますが、この点は、数字その他、われわれが考えている計画の問題もありますから、住宅局長からお答えさせることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/6
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007・田上松衞
○田上松衞君 ちょっと次の答弁を求める前に、これは共通する問題でありますから、念を押しておきます。念を押すというとあれだけれども。まあさっきの名称の問題については、それがいいとか悪いということを言っておるのじゃないのですよ。一方においてはこういうちゃんとした姿勢をとっておるようだ、それは頼もしいと思うのだ。私はそれは了とするのですよ。ところが、言いたかったことは、政府内部における、言いかえれば大蔵省に対する軟弱な屈服が、これが気に食わぬので、姿勢がゆるんでおるのじゃないかという点をただ言っただけの話でありまして、そのことについては問題はない。
それからもう一つ、局長が答弁なさる前に申し上げておきたいのです。必ずしもこういう場において私は何かえらそうなことを言う意味ではないのです。ただ、不必要な、全く私が考えていないようなむだな答弁をしてもらいたくないことのために、特に申し上げておくのです。今日全国に、あなたのほうで表で出してこられたように、現在の各府県、各都市等においてつくられておるところの協会あるいは公社というものの数は八十五あるわけですね。一番初めにつくったのは、東京の大正九年二月十四日でしたか、これが一番で、名古屋市のやつが昭和二十三年の六月一日、三番目が、東京都につくったやつの、別の意味の開発等を意味したほうのやつが二十五年三月一日、大阪の二十五年六月八日が四番目、福岡県の二十五年七月二十九日が五番目。よけいな話を言いますけれども、北九州市の二十五年八月十一日が六番目で、私のところの神奈川県は、実際は八十五の中の七番目の二十五年九月十五日につくったわけなんです。当時――誤解のないようにというような点で、不必要な答弁はしてもらいたくないからという意味で申し上げます。当時、私はいま申し上げたような幾つかのやり方について、その長所、短所を十分くみ取りまして、できるならば完全なものを仕上げたいということで、当時県会におけるところの建設委員長の立場でもって、いろいろな関係で無理やりに、これを政府に協力するという意味合いも加えて、国民的な立場に立って私どもつくったわけなんです。そして、いま申し上げたように、八十五という今日の数になっておりますが、方々からいろいろな意見も聞かれつつ、やはり今日の特にこの住宅事情について、もう住宅を除いては政治はないということまでに国民が痛感しておるこの問題について、真剣に取り組んで私なりに勉強しておるつもりなんです。この立場に立って、この法案の出される――さっき申し上げました新聞の上に手っとり早く出されたというのが第一案。新聞に出ているのです。この変化を見るときに、どうも前段申し上げました建設省の腹がほんとうに貫かれていないじゃないか。いま大臣のお話の中では、その一、二点の程度で、大部分一貫しておると言われたけれども、そうじゃないのです。元来は。そうではないのだ。これは言うまでもなく、大臣が受けられたかどうか――尚局長は十分これを身近に感じたでしょうけれども、全国のこれらの協会、連合会が、何回となくこれに対して、初めは絶対反対の立場をもって抵抗しておったはずなんです。いろいろやって、そうして、あげくの果てが建設省の、さして好ましいということでないところで、やむなくそれもそうだろうか、これを円満に活用することのためにということで、あまり言い過ぎになるかもしれぬけれども、ある面においては涙をのんでやったという姿が、これは想像にあらずして現実にこの法案の移り変りの間に、全都初めから私はこれを知っていますから、これを見てそのことが感じ取られる。しかし、そのよしあしは言いませんよ、今日できたものは、まあまずいいが、だがこの点が欠けているじゃないかということを以下申し上げるのです。
いまのこの法に至った過程については、まずよかったと思う。そういう感じがするのです。この機会に建設大臣も承知しておいてもらいたいことは、いまこれをやろうとするその持ち家という、しかも、これを達成することのために積み立て金という、これを骨にしていくということに変わっておるのだが、それは依然として隠されておることになっているけれども、ちょっとしろうとの人々にはどっちが何だかわからぬ。くどいようだが、そこで干天に慈雨の思いを国民にさしてしまっておるという罪つくりの点があります。最初の重点が分譲住宅ということに構想が変わったことがあるわけです。一体分譲住宅なんというものは一つの企業でありまして、これを建設大臣の積極的な命令権を――私はわかりいいように極言いたしますけれども、命令権を含む監督権というものを強く織り込んでしまったが、反面のそうした企業に関する危険負担というものは何ら考慮していない。この立場における、建設大臣がいまのような監督権の程度はいいけれども、命令権というようなものまでここに挿入するということは行き過ぎだ、不合理だという感じを持っておったのですが、このことは是正されておるからいいと、しかく検討の姿になって法案が出て一おるから、これは経過は別ですよ。あるいは金融公庫の融資の問題ですね、これはいろいろさっき申し上げ、地方のそうした公社、協会というものがあるが、今度はこの地方住宅供給公社にあらざれば金融公庫の金は投入しないぞというようなぐあい、言いかえるならば、いままでおまえたちはかってなことをやって金融公庫の金を使っておったけれども、今後、公社でない限りにおいては、どこまでも、いまの従来の姿で突っぱるというならば、おまえたちのほうには国の融資は断ち切ってしまうぞというようなことを打ち出してきたはずなんですよ。これがさっき申し上げました全国の八十五の数にのぼります人々のつくるいわゆる連合会が協力一致団結して、といいますか、そういう姿をもって抵抗せざるを得なかったという過程があるわけなんです。これは局長の段階で食いとめたかもしれないし、建設大臣は御承知ないかと考えるから、私はあえてこういうことを申し上げておるのですが、事ほどいろいろな大きな変化が、根本的な変化があったことは事実なんですよ。こういうことを御承知の上で全般的に希望しておきたいことは、将来ともかくこれが国会を通過したならば、私は、もうこれ以上にはぐらぐらぐらぐら考えを変えるようなことなくして、たとえば大蔵省がどういうようなぐあいにおどかしを進めようと、勇気をふるって国民的な感覚の上に立っての努力をひとつ貫いてもらいたいということを希望するがゆえにしつこく申し上げるわけです。あなたがおかわりになろうと何しようと、このことだけはひとつの重大な引き継ぎ事項として、次の大臣――さらに留任されるならばなおけっこうですけれども、望めないという場合であるならば、このことは注文として、骨組みの問題ですから、しっかりやっていただきたい。こういうことをお願いしておきたいと思います。
以下、あとはさっきの第一段の質問にありましたことに対して、局長の答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/7
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008・尚明
○政府委員(尚明君) お答え申し上げます。初めにお話のありましたうちの建設費の単価の問題でございますが、私どもこれを実行する上におきまして、ただいま先生が御指摘になかましたように、羊頭狗肉のようなことであってはまことに国民に対して申しわけないというふうに考えまして、この建設費の獲得につきましては実は非常な努力を重ねました。その間において大蔵省との折衝等におきまして相当の努力を払ったつもりでございます。結果におきまして、一〇〇%私どもの意思が通らない点がございまして、先生の御指摘のような単価の不足というような問題はございましたが、私どもの決意に対して、大蔵省はいろいろな角度で協力の姿を見せております。たとえば二万五千戸の分譲住宅の予算をつけたわけでありますが、そのうちの一万戸を、最も国として融資の費用の要る鉄筋コンクリートにした予算をつけてきたという、そういうあたりにはわれわれの熱意がある程度届いたものというふうに考えられたわけでございます。
それから単価の問題でございますが、先生の御指摘になりましたように、単価は一見低く見えるわけでございます。それは全国平均の単価を大蔵省と折衝して定めるわけでございます。ただ、その額につきましては、先ほど先生が御指摘になりましたように、鉄筋コンクリートの共同住宅の土地は坪当たり平均八千九百円、太造は五千九百円という形で予算の協議を終了したわけでございます。私どもは、もちろんこれでは十分ではございませんが、これをさらに全国各地に割りつけて実行上の単価を組みますと、これが実際問題として地方住宅供給公社等に示されますのはこうなるわけでございます。すなわち、鉄筋コンクリートでは、都市における、たとえば東京、神奈川等におきましては、坪当たり最高二万六千二百八十円ということになるわけでございます。したがいまして、実行上二万六千二百八十円という単価は、それは東京、神奈川等では十分だとは私ども申し上げられませんけれども、まあ不足分を若干積み立て額等で補足していただけば一応建設に支障なく供給できるであろう、こういうふうに考えたわけでございまして、私どもは大蔵省と折衝いだしまして全国平均単価を試算しているときに、これを大都市に適用したらそれが幾らになるかということを常に試算しつつ交渉しているわけでございまして、御指摘のような点は、できるだけ地域差等において勘案して実行上の不便はないように努力いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/8
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009・田上松衞
○田上松衞君 ちょっと局長と私の感じの食い違う点は、大体この住宅の場合二万五千戸、この中でいまお話のように一万戸をアパートにする、最も比重の高いということなんです。ここでちょっと食い違う。これはあとで申し上げたいと思うのですけれども、私が一番冒頭に、この金額を違えられないようにという注文を、明敏な局長であるからこう言っておけばいいと思って言ったのですが、今度のは何といったって家を持たせるということなんです。持ち家なんです。くどく申し上げますように、あとのいろいろ従たる仕事を八つくらい考えておられるけれども、もう絶対至上命令といいますかな、必須条件、これは、ほかのものは全部やめても、積み立てによるこの持ち家だけは達成しなければこれは意味をなさぬわけですね。私はこう理解しておるわけなんです。そこで考えてみると、持ち家をそれならば望む人々はどういう階層であるかということが問題で、これは私はこまかいいろいろな例を聞きたいのですけれども、何か国会の次の委員会が私の行くのを待っているということで、すでに待っているようですから、はなはだ残念で話を簡単にしなければならぬことになるのだけれども、要点だけ申し上げますけれども、その人々は、とにかく少なくとも、具体的に申し上げますると、月収八、九万以上の人々でないとできない。そうだとなると、私は考えておるわけですが、それ以下の単に住宅を望んでおるという人々の一般低所得階層のためには、これは賃貸をつくるべきなんですね。その方面に重点を置くべきです。このことについても、私は全く腹が煮えくりかえるほど、建設省の住宅政策に対して実は不満を感じておるわけです。なぜもっとこれらの一番必要な方に対して重点的に賃貸住宅をつくらないのかと。このほうに振り向けられるものは幾らもないでしょう。この中で数字を見ましても、これは私の了解する程度では、賃貸住宅、すなわち税金で、国民の税金を使ってやっていくという、国民のお互いが助け合うという意味において振り向けられる施策というものは、たしか三百七十五億かそこらの程度でしょう。今度これを主体としてやっていくこの問題はおっしゃらなくして、積み立てのもとをつくろう、これに対しては別段の国民のあれは使わないで、融資をして利子をつけて建てさせるのだというのですね、わかりやすくいえば。その方面を望む階層というのは、さっき申し上げたような、少なくとも八、九万円以上のような人々でなければできない相談だ。しかも、さらに掘り下げて考えてみますと、そういう人々はいますぐはいれさえすれば、それで満足するという人々じゃないと私は考えているのですね。いま夫婦だけである。子供ができて三人になった、二人できて四人になった、親が一人死んだ、一人母親でも引き寄せようか、五人、六人になるというような、実際の問題を考えてみると、将来これに対しては、できることならば増築可能なことがまず第一条件として考えられなければいけない。それはそういうことができる人でなければならない。ところが、この鉄筋アパートによりまするとそれは不可能なんですね。一時的なしのぎにしかならぬということになりますると、ねらっていきまする、ほんとうに持ち家ということに重点を置いていく施策としては、まだ考えが浅いのではないかということが考えられる。さらにもう少しあれをするならば、持ち家を望む人々の気持ちの中には、その場所が、通勤時間は、大ざっぱにいって、少なくとも遠くとも一時間以内ぐらいで勤務地に行けるような場所、できるならば三、四十分で行けるというならばなお理想だと、そうして付近に学校であるとか、あるいは幼稚園であるとか、病院であるとか、あるいは、いろいろな日常生活の上に必要な購買施設というようなものが近くにあるというような所が望ましいのではないだろうか。それから、さっき申し上げた増築可能というような点ですね。しかもそれであって、法文の理想の中にうたわれるもめ-環境の良好、まあ今日騒がれておるような公害等の心配のないような、あるいは台風なり洪水なりというようなもののあるような地帯を避けていきたいというような、いろいろな希望があるだろう。やっぱり現実にそういう面を見ていくこととあわせてこれを考えてみると、できることならば遠くない所に安い土地を広く持たせて、そしてむしろ木造で、そのほうが手っとり早くできるのじゃないだろうか。このことについて、私のところの神奈川県では、これは御承知だろうと思うのですけれども、いろいろな工場、会社に向かってアンケートを求めたのですよ。そのデータを私は持っておりますけれども、きょうはそんなことを言う時間もありません。石川島播磨造船のまうでやってみたり、あるいは日本石油のほうでやってみたり、こまかいところまで手を出してやってみたところが、いま私が申し上げたようなことがぴたっぴたっと答えに出てくるのです。それとにらみ合って、一番大きく政府機関が――公社を利用して建てておりますものは、これはだぼらのようですけれども、一番これは熱心にやっております。いろいろな団地をつくってやっております。この中の希望が一体何倍ぐらいになったか。さて当選してみたけれども、棄権した者が幾ら出てきたか。事こまかに地域地域にいろいろ試験的にもやってみたのですが、いま私が申し上げるようなことがぴたっとくるうよな結果が生まれておる。
こういうことを考えるときに、さっき申し上げた、ただ二万五千戸、この中でとにかく私たちは考えるとしても、一万戸は鉄筋アパートに入れるというようなことにしたから、まあ必ずしも大蔵省もわからず屋じゃないとして喜んでおるというような気持ちの御答弁では、私はまだ不満足なんですよ。これについての御感想を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/9
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010・尚明
○政府委員(尚明君) まず、まあ今日都市で分譲住宅をつくりますときについて、先生の御指摘のように、確かにすべての国民が一番望ましい家は、敷地が七十坪、八十坪とかということで、それに二月建ての住宅を建てる、この形で進めるならば、これはまあ一番望ましい姿であるということはわかっておるわけでございます。しかしながら、残念ながら、今日の地価の事情、それからいま一つは、都市として考えまして、その不燃立体化、すなわち、都市を堅固にするという問題、そういった都市計画的な問題及び経済的な問題からいたしまして、ただいま木造のかりに土地が八十坪ついている家を供給いたそうといたしますと、かりに三万円の土地――三万円の土地と申しますと、都市の郊外になるわけでございますが、それでも八十坪ですでに二百四十万円になってしまいます。その上にさらに建築物を建てますと、それがやはり百万円ついて、そうして結局は三百数十万というような家になります。そういうふうにいたしますと、その頭金を積み立て、かつ、かりに住宅金融公庫から融資をいたしましても、割賦金の支払いというのが相当の負担になっております。そこで私どもは、どうしても一番の大都市におきましても、全建設費が土地ともに三百万円で仕上がる状態で、しかも、環境のいいものをつくらなければならぬ。そこで鋭意研究いたしました結果、やはり大都市におきましては、鉄筋コンクリートのアパートにして共同住宅建てとして、児童遊園その他の施設を先生の御指摘のようにできるだけつけて、家自身は残念ながら共同建てになるけれども、環境を整備するということで、全体を三百万円以下に上げたい。でき得るならば通常二百五十万円ぐらいで上げたいというように考えたわけです。なぜと申しますと、二百五十万円でかりに上がったといたしますと、住宅金融公庫の融資がおおむね百八十万円でございますので、七十万円を三年ないし五年で積み立てていただける、それから百八十万円をお貸しして、金額の割賦払いはおおむね月一万円、精密には九千六百六十六一円になります。そのようにいたしまして中堅階層の方が持ち家を大都市において取得する方法としてアパートが最も適切だろうと、こういうふうに考えたわけです。しかし、鉄筋コンクリートアパートは、一方で木造よりは若干建設費が上がるわけで、国の融資額としては、やはり鉄筋コンクリートにいたしますと、どうしても値段が上がる、こういう実情でございます。しかしながら、鉄筋コンクリート建設費が高いけれども耐用年数等が長いので、割賦金も長期にわたって支払っていただくことができる。すなわち、たとえばいま考えておりますのは、鉄筋コンクリートにつきましては、三十五年で払っていただくというふうな方法がとれるわけでございます。ところが、木造にいたしますと、木造の分譲住宅というのは、普通二十年未満で支払っていただかなければ家そのものがだめになってしまう、こういうことがございまして、そういうことをかみ合わせまして、先生の御指摘のように、最も理想の居住環境というわけには、やはり大都市の事情と中堅階層の所得をにらみ合わせまして、いま申し上げましたように大都市では……。しかしながら、土地の安い所、あるいは地方都市等は、もちろん在来どおりの国民の最も望む木造住宅なり、あるいはほかの構造で二戸建て、これもかまわない。あるいは中間的に二階建てでやるのもいいし、それから、あるいは二階建てのアパートというように、それは地域地域の実情に応じて建設し得るようにいろいろな形の融資を考えているわけでございます。
そこで、確かに、持ち家でございますので、そう急にいろいろ模様がえをやり、あるいは移っていくことができないわけでございますから、私どもは一応の基準といたしまして最低三室、それに浴室、台所、便所等がついたものとしまして、これを坪数で考えますと、おおむね十五坪から十八坪ぐらいになるわけでございます。それでも先生の御指摘になりましたように、さらに家族がふえて、子供たちが大学に行ったり、さらに次男が中学に行ったり、あるいは妹さんがまだ小学校に行っていると、非常に家族のふくらんだときには、まだそれは十八坪ぐらいの家では不便でございますし、かつまた将来のことを考えますと、それはやはり十分な家とは申し上げられません。ただ、いま申し上げましたように、今日中堅階層の所得の中からこれを取得するには、まあやむを得ずその辺でがまんしていただくという考えでございます。そこで将来、家が持ち家として持てても狭くなるということについての技術的な解決策としていま私どもが考えておりますのは、二つの方法を考えております。
一つは、純粋技術的なアパートの増築でございます。これはすでに私自身がその最もの主唱者でございまして、実験を二件もうやってございます。一つは、東京都住宅公社が茗荷谷に持っておりましたアパートですが、これはコンクリートで、一部屋と、それから台所を拡大してダイニング・キッチンにするという増築工事をすでにやって、人々はそれに移って、これは賃貸住宅でございますが、家賃を二千円ばかりよけい払うことにして住んでおります。これは二年ばかり前にやりました。さらに、それでは私は足りないと思いまして、公営住宅につきまして、川崎市営住宅におきまして、これは入居者が工事中迷惑をする期間をなるべく短くするようにと考えまして、増築部分を主として鉄骨で工場においてつくり、現場工事をできるだけ短くするという実験方法をいたしまして、一部屋継ぎ足すということをやっております。したがいまして、将来アパートの人々が、そこで狭いといって心を合わせて増築すれば、技術的には私どもとしてはすでに実験段階を経ております。
これは一つの方法でございますが、いま一つの方法は、この供給公社は、やはり私どもの覚悟としては、かなり永続的に国民にサービスしなければならないというふうに考えておりますので、私どもは、将来の問題としてではございますけれども、いずれ数年の後になってくれば国民所得もふえていき、十五坪ないし十八坪という供給が、これを所得から見合っても二十坪あるいは二十数坪という供給ができるわけでございますので、同時に建てます分譲住宅はそういうことになると思います。その場合にアパートは、そちらのほうを買い取りをしたい方は、何らかの形で既存の方がその大きいほうに移って、その小さくあいたほうはまた新しい家族の少ない方に譲り渡すというような、仲介的な役目をこの公社の管理として当然今後検討していかなければならない問題ではないかと、私どもは公社をつくるにあたりまして、先ほど先生から御指摘のありましたとおり、相当の決心をもってこの公社が永続的に国民に奉仕するようにということで考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/10
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011・田上松衞
○田上松衞君 言いたいことはたくさんあるのですけれども、それはいまただ御答弁に触れてだけのことにとどめておきます。
私は、前のことばに、これも誤解があってはいけませんから、一般の賃貸住宅を望む方面に少し力を入れるべきだと、そこに政府の施策の不足があるという点を指摘しました。まあそれはそれとしまして、考えるならば、積み立てをやって持ち家にしてしまうという階層の方面がふえれば、したがって、いままで大きく食い込んでおった賃貸の方面がだんだんやわらいでくるのだから、これもやはり一つの方法であることには、これはよく理解できるのです。いいと思っておるのです。ただ問題は、もっと大きな所得の高い人々は、これは何もこういうことをしなくても、御自分でかってにつくるわけなんですから、そこにはおのずから程度、限度というものがあるだろうと思う。その尺度を厳密にひとつこれから御検討を願いたいと申し上げるのですよ。私の考えておりまするものは、大体この人々に対してするのは、できることならば月収が五万円以上十二万円までの人々に対してこれをやっていくということになれば、あっちこっちいろいろ考えて、まあ説明は略しますが、これは相当役立つだろうと、そこに非常な一つの魅力すら感ずるわけです。ところが、実際に当てはめて考えると、一体公庫が融資する金額はどれだけかと考えてみると、いま局長が言われたように、大体最大限百八十万円ですわな。そしてしかも、今度つけておる条件は、頭金は百万円以内でとどめろという注文があるのでしょう。これをやって建設省が考えたのは、大体六十万程度の頭金にしようかということなんですね。そうすると、いまこれをまずそうして譲渡価格は、いま局長の説明によりますると、三百万円以内ということですね。三百万円ということをかりに考えて、これはすぐ頭の中でも計算できる。やってみると、この場合は3DKですな、建物は。そうでしょう。3DKでもって三百万円の譲渡価格で、頭金を六十万としてみた場合に、結局合わせて、融資を受ける者の立場から考えると計二百四十万ですよ。こうなりますね。そうすると、これを毎月どれくらい償還するかということを考えてみると、やはりアパートといえども維持修理が必要であります。一方に固定資産税が必要であります。あるいは管理費が必要であります。こういうものを加えると――これを除けばまあ一万一千幾らぐらいになると思うのですが、概算してみると、これを加えると、実に毎月一万八千円を償還しなければ計算が立たないことになってしまいますよ、私の計算でいえば。三Kの場合で考えてみると、これは二百八十万円を譲渡価格とした場合に、融資の総額は二百二十万円、この場合でも、三DKで説明したように、維持だ、固定資産税だ、管理費だというものを加えると、この場合でもなおかつ一万七千円を月額償還としていかないと……。あなた方はこれを少なく見積っておられるが、それではしかたないと言っているんですよ。最後の一番下のところの二百十万の譲渡金額というものでとらえてみますると、これは二DKだ。この場合に考えてみると、融資の総額は百五十万しかならないのであって、これでかつ一万三千円の償還をしなければならぬということが一計算の立て方はいろいろあります。そのことについて私は議論するのじゃないんですから。私がさっき申し上げたようなことで、こまかい現実をとらえて、そして神奈川県におきましてつくったものの実数をあげながら、最低のもの、最大の努力を払ってやってなおこうなるだろうという自信を持っておりますから申し上げますが、論争は抜きにしておきます。こういう場合、そこで考えてみると、大体三十五歳あるいは四十歳というような人々、こういう人々が、これをなすこと、なし上げることのために月収十万円以上十二、三万、あるいは二DKの場合においてもなおかつ月収七、八万というものがなければできないということが出てくるんですが、こういう人々が、普通のサラリーマンでこういう多額所得者というものはほとんど少ないのじゃないか、こういうことが考えられる。まあ平均の月収五万円とかりに見てみますると、あるいはもっと六万円と計算してもいいです。こうやってみても、毎月一万ないし一万三千円というもの、すなわち月収の二〇ぐらいになりますか、これを償還していくということは、事実において非常に困難を感ずるのじゃないだろうか。そこで、こういうことを考えてみると、申し上げたいことは、頭金を六十万円程度ということで建設省が考えたこの案は、大体そこに無理がくるんじゃないのかということなんですよ。したがって、そうかといって頭金をよけい出させるということは、なお勤労者の場合には困ってしまうから、もっと具体的に言うならば、金融公庫の融資を大幅に上げていくというところに持っていかなければほんとうの達成は望めなくなってくるんじゃないかという心配をするので、これについての考えと、そういう点について、これは大臣のそういう努力をされるような熱意をお持ちなのかどうかを念のために聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/11
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012・小山長規
○国務大臣(小山長規君) いまおっしゃいました数字については、私もつまびらかにいたしませんが、おっしゃる趣旨は、頭金は少なくて住宅金融公庫の貸し出しが多くないと実際問題として非常にむずかしくなりはせぬかという点は、私もわかります。そこで、この融資比率については、毎年の予算折衝でこれを引き上げるようにということで財政当局とやっておるわけでありますが、こちらのほうは戸数もふやしてくれ、そうして比率もふやしてくれ、こうなってきますと、最後のどたんばになっときに、戸数と比率とどっちをとるかという判断に迫られて、いままで戸数のほうがほしいものですから、融資率の引き上げが実現を見ないでいるという歴史はあるわけです。これは御承知のとおりですが、しかし、これはわれわれの願望としましては、戸数もふやしそうして融資比率もふやしていくというところにわれわれの願いがあるのでありますので、今後引き続きそういう態度で進んでいきたい、こういうふうに思い、また、そういう決心で進むつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/12
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013・田上松衞
○田上松衞君 局長のさっきの御答弁は――また元に戻ると時間がだんだんなくなってしまいますから。大臣に、釈迦に説法のようですけれども、この法令の妙味というものは、これを強行することによっていろいろな特権といいますか、が付与されているということですよ。たとえば公庫の融資について私が気に食わぬのは、「法令及びその事業計画の範囲内において、」ということは非常にばく然としたものですけれども、そのあとの「地方公社の住宅の積立分譲による住宅及びその敷地の供給が円滑に行なわれるよう、必要な資金の貸付けについて配慮しなければならない。」という一つの方途をここへ出してあるわけですから、この条項について、いまの「法令及びその事業計画の範囲内において、」と非常にごまかしているのは、相当の努力のしようによっては、あるいは工作のしようによっては、ゆとりが見られると思いますから、この点については、いま申し上げた融資に関する点を強くやってもらいたい。さらには、特権付与の中で非課税があるわけですが、こういうものについてはいろいろありますわ。積み立て金の利子相当額についても税金はかけないぞ、あるいは印紙税だ、法人税だ、所得税だ、事業税だというような、こういう種類、何のかんのというようなもろもろのものについてもこれを非課税とする。あるいは土地の収用等についても収用権を付与していくというような、こうしたもろもろの特権まで与えているわけです。その精神は、私は、ここに、やっぱり立案の趣旨の中にこれは同時に盛り込んで、一方にはこの裏づけがあるのであるから、そこで足りない点は、せんじ詰めてくるならばもう一歩、百八十万というようなけちなことを言わないで、これを達成するくらいにすればいいじゃないか。あわせてさっき申し上げたような……、大蔵省は今日の事情がわかっているのか。土地の金額等についても、一体、平米八百円とかいうことはどこの国のことか。机の上で考えていたらどうなるのか。この前、私どもが行ったような、飛行機で上から飛んで見るぐらいな熱意を持っていくならば、なおかつ、これは並みたいていではない。平米八百円なんという土地はこれはもうありっこない、ほとんど。それと、それに合わせて必要な場所にこの目的を達成するために、地所を選ぶのについても、ほんとうにこれが達成できるようにしなければならないのではないかという熱意を加えられての交渉をひとつ十分将来やっていただきたい。
念のために申し上げますが、私は、この問題について先ほどから言っておりますように、これに対してじゃまをしようとか、けちをつけようとか、破壊に持っていとうとかというようなけちな考えはみじんもないのであって、何とかしてこれを達成させ、よりいい効果をおさめるようにすることが、今日のあの住宅困窮事情における大きな問題だと、こう思いますから、だたやるだけでなく、何べんも繰り返したような観点に十分の思いをいたし、内容のないものによって罪つくりをしないで、実際にこれをあらわしてもらうようにひとつ一そうの努力をしていただきたいということを、最終的には大臣にお願いをしておきたいと思うのです。
以下、私の不満な点についての答弁は、したがってもう論争はいたしませんが、それで局長から、さっき申し上げたようなことについての、まああわせて感じといいますか、見通し等について、答弁していただければそれでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/13
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014・尚明
○政府委員(尚明君) 御指摘のとおり、この積み立て分譲住宅供給を実施しますにあたりましては、積み立て金の積み立て額、それから将来の割賦額、これは非常に重要な問題でございます。先ほど申し上げましたような程度の割賦額になるようにする予定でございまして、先ほど三百万円を最高といたしましたが、実際問題として、まあ全部が三百万円に大都市がなるのではなく、通常は二百数十万円でおさめるようにできるだけ技術的に指導をいたしたい、こういうふうに考えております。しかし、あまりこれを下げるために住宅の質が今度は下がってしまうのでは、これはまた住宅問題としては重要な問題でございまして、その辺が最も大きな問題でございますが、御指摘のように融資率の引き上げ、あるいは単価の引き上げ等で、一般中堅階層の方ができるだけ――それも先ほど先生が御指摘になりましたように、五万円以下の所得の人にも利用できるというふうに持っていきたいと思います。いまのところ、正直いいまして、四十年度の予算計画では、五万円の方では若干無理になってしまって、まことに私どもとしても残念に考えておりますが、できるだけ今後そういう点に改善を加えまして、中堅階層の方が取得できるようにいたしたいと思っております。
なお、四十年度の予算では、そういう以下の方についても十分な配慮が必要でございましたので、先般御審議願いました予算計画でも、公営住宅におきましては六万戸を六万五千戸にふやす、それから住宅公団で二万四千戸の賃貸住宅を二万六千戸にふやすというふうにいたしまして、この持ち家供給のほかに、一方で低所得者あるいは中堅階層でぜひ貸し家でなければならない人たちの貸し家供給というものにも、一様の力を入れたわけでございます。
今後の方策といたしましても、持ち家住宅の拡充及びその内容の改善ということとあわせて、賃貸住宅についても同様に戸数の増加及び質の向上、あるいは補助金、単価の改善ということに努力を続けて、住宅全般としていい供給になるように努力を傾けていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/14
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015・田上松衞
○田上松衞君 これ以上の時間は遠慮したいと思いますから、一言だけ最後に。特にこの場合は、いつも扱われておる局長に対して希望申し上げておきます。
さっき申し上げたように、きょう私は半日くらいの時間をかけても、事こまかくいろいろ大阪なり東京なりあるいは福岡、愛知等の例を引いて――私は知っておりますからこれを出して、こういったところはこうなった。こういう欠陥が出ておるじゃないかということを大臣にもお聞かせしつつ、認識を新たにしてもらって、ゆるぎない態勢を希望したいと考えておったのですが、時間がありません。ことに、私はこれで国会議員に出ようと考えておりませんので――平たく申し上げるならば国会議員の座から引退するわけです。おそらく委員会でも発言はきょうで私はおしまいになるのだから……。過去、初めから建設のことだけ、常任委員会としてはこの一点ばりでがんばっておって、この点はだれもが言うとおり、昔の衣食住は逆転いたしまして、住衣食に変わってきた、これは間違いない事実です。そのためにこれを担当する建設委員会でいろいろ意見を述べたいと思って努力してきたのですけれども、もう私は発言する機会はないと思いますから、この法案が通ったあとでは間に合わぬことですから、いろいろ申し上げたような希望を達成することをお願いしておきます。
あわせて、初めに申し上げておいた、むしろ木造のほうを持ち実として持ちたい方面が多いのだということも、数字で明らかになっております。これは私もこれほどかと思うほどなんですよ。これは尚さんよくおわかりだろうと思うのですけれども、きわめて最近におけるたった一つだけの例を引いてみても、住宅公団がやっておりまする神奈川県の辻堂の中で、三DKと三LDKをやってみたわけですね。いろいろやってみた結果出たのは、三DKの場合の十八坪ですか、これに対しては、頭金は同じく百万円ですけれども、これに対しての応募は八倍です。しかし、あとの三LDKの場合の二十七坪というものについては、私はむしろあ然としたのですが、この場合については実に二十四倍余というような応募者があったわけですよ。事ほど大きな違いが出てくるのであって、将来持ち家を持っていこうとする者は、やっぱり将来のことを考えておるから、これに応じられる階層は、できるだけ大きいものを希望する者がふえていくというような傾向が一面に出ておるわけであって、こういう点も考えつつ、あるいは、これがきまったら、いずれ今度はいままでやった協会なり公社なりというものは、多くの場合、これによってこっちへ肩がわりしてしまって、この中に飛び込んでしまうというような形に大部分はなろうと思いますので、建設省が考えた案だけを唯一無二のものにしないで、その中に長年お互いが研究した問題をくみ取ってもらって、それらの希望も十分入れつつ、ほんとうの効果があがるようにひとつしていただきたい。このことは、軽い意味における親心とかおせじとかいうことにあらずして、いかに目的を達成するかという大きなめどになると思いますから、そのことに御努力していただくようにひとつお願いを申し上げておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/15
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016・小山長規
○国務大臣(小山長規君) ずいぶんお調べになっておるように伺います。それであるいはわれわれが考えておりますのが低目に過ぎておるということになるのかもしれませんが、これはもう少し、われわれも地方の住宅供給公社の実情を、これからわれわれがいろいろ指導しますから、それについては地方地方のいろいろな要望――もっと大きい家がほしいのだというような要望もあろうかと思います。そういう場合には、何もしゃくし定木にやるわけではありませんから、われわれの予算の範囲あるいは将来の計画等を考えながら、できるだけ地方の公社の要望するところに従ってやっていきたい、こういうふうに思います。問題は、建設戸数の問題とからみ合ってこようかと思いますけれども、これは全体長い目で、この公社は長い存続期間を持つわけでありますから、これは十分地方公社の意見なり、経験なりを聞きながらやっていけば、必ずよい結果が得られるであろうと考えますので、われわれのほうでしゃくし定木な考え方はさらさらありませんから、その点は申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/16
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017・尚明
○政府委員(尚明君) ただいまお話にありましたように、持ち家を希望する人につきましてはいろいろの幅があるわけでございます。それで、先生のお調べになりましたのは、在来の手法で積み立てをするという制度のまだ開かれていないころの実情でございまして、それですと、やはり頭金を即座に百万円持ってきてくださいというような募集のしかたになります。その結果、確かに頭金を即座に百万円持ってこられるような方というのは、かなり蓄財のある方でございまして、どちらかというと、大きな家を希望されるという傾向は、確かに強いわけでございます。今度はそれに、さらに積み立てを月々ある程度、三年、五年やっていくということで、それらの方よりいま少し下の方も持ち家のほうへ希望がかなえられるという方途を開いたわけでございまして、若干その下をねらっているきらいがございます。したがいまして、その積み立て分譲住宅をやったら、在来の持ち家希望のほうの仕事は廃止するかと申しますと、それは依然として私どもはそういう要望があるわけでございますから、これは存続さしておきたいと思いまして、今度の法案には出てまいりませんけれども、予算上分譲住宅二万五千戸でございますが、そのうちの二万戸をその積み立て分譲に当てまして、あとの五千戸につきましては、在来のような手法で、ある程度部屋数の多い家を希望される方についても供給できるように、というような配慮をしております。地方住宅供給公社は積み立て分譲を大部分行なうわけでございますが、そのほかに、いまお話のありましたようなことについての融資も受けられるような道も開いたのでございますが、今後は、先ほど大臣が御説明になりましたように、地方公社への希望者の成り行き等を見て、その配分等につきまして万全を期していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/17
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018・中村順造
○委員長(中村順造君) 他に御発言がなければ、本案に対する質疑を終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/18
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019・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。
本案の討論採決は、次回に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02219650525/19
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