1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月二十二日(金曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 井原 岸高君 理事 小金 義照君
理事 丹羽喬四郎君 理事 廣瀬 正雄君
理事 松澤 雄藏君 理事 岡本 隆一君
理事 川村 継義君 理事 下平 正一君
稻村左近四郎君 大倉 三郎君
木部 佳昭君 西岡 武夫君
堀川 恭平君 渡辺 栄一君
井谷 正吉君 金丸 徳重君
佐野 憲治君 三木 喜夫君
稲富 稜人君 山下 榮二君
出席国務大臣
建 設 大 臣 瀬戸山三男君
出席政府委員
建設政務次官 谷垣 專一君
建 設 技 官
(住宅局長) 尚 明君
委員外の出席者
専 門 員 熊本 政晴君
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四月二十二日
委員大倉三郎君辞任につき、その補欠として西
岡武夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員西岡武夫君辞任につき、その補欠として大
倉三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事丹羽喬四郎君同日理事辞任につき、その補
欠として服部安司君が理事に当選した。
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四月二十一日
戦傷病者の公営住宅割当等に関する請願(小川
半次君紹介)(第三二九九号)
同(小坂善太郎君紹介)(第三三〇〇号)
同(遠藤三郎君紹介)(第三三八四号)
同(砂原格君紹介)(第三三八五号)
同(田澤吉郎君紹介)(第三三八六号)
同(高瀬傳君紹介)(第三三八七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
住宅建設計画法案(内閣提出第一一〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/0
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001・田村元
○田村委員長 これより会議を開きます。
まず、理事辞任に関する件についておはかりいたします。
理事丹羽喬四郎君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/1
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002・田村元
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
次に、理事の補欠選任に関する件についておはかりいたします。
ただいまの理事辞任に伴い、この際その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/2
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003・田村元
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に服部安司君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/3
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004・田村元
○田村委員長 次に、住宅建設計画法案を議題とし、審査を進めます。
この際、政府委員より補足説明を聴取いたします。尚住宅局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/4
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005・尚明
○尚政府委員 住宅建設計画法案の付属資料の説明の資料といたしまして、先般提出いたしました「住宅建設五カ年計画(案)の概要」の資料につきまして御説明申し上げます。
政府は、昭和四十一年度を初年度とする住宅建設五カ年計画を策定することにいたしまして、去る二月八日閣議了解をいたしました。それが第一ページに資料として提出されております。朗読いたします。「住宅建設五カ年計画の策定について(昭和四十一年二月八日閣議了解)政府は、昭和四十一年度を初年度とする住宅建設五カ年計画を策定するものとする。この計画においては、昭和四十五年度までに一世帯一住宅の実現をはかるため、昭和四十一年度以降五カ年間に総戸数六百七十万戸の適正な質を備えた住宅の建設を目標とし、国及び地方公共団体は、民間自力建設の状況を勘案し、このうち二百七十万戸の住宅をみずから建設し、またはその建設について資金上の援助をするものとする。また、住宅建設にあたっては関連公共公益施設の一体的整備が強力に推進できるよう関係各省庁間において十分な協力体制をとるものとする。」以上が閣議了解でございます。これに基づきまして、予算等につきましてもその措置をいたして、先般御審議いただいたわけでございますが、さらにこの五カ年計画の根拠となります住宅建設計画法案を提出して、ただいま御審議願っている次第でございます。
そこで、この法案におきましては、建設大臣は住宅が安定するまで毎五カ年を一期として建設計画を設定して、これに閣議了解を求めることになっておるわけでございますが、その第一期として、昭和四十一年度以降四十五年までの五カ年間のいわゆる第一次五カ年計画というものにつきまして、ただいま建設省として練っております案を御参考のために資料として提出したわけでございます。
その案につきまして概要を御説明申し上げますと、まず閣議決定すべき問題として、五カ年間の住宅建設の目標というのがございます。いま建設省といたしましては、この目標をおおむね次のごとく定めたいと思っております。それが二ページ以下に書いてあるわけでございますが、朗読させていただきます。「1 住宅の建設の目標(1)総戸数 昭和四十一年度以降五カ年間において、おおむね六百七十万戸の住宅の建設をはかるものとし、その所有関係別戸数は、国民の需要動向及び過去の建築実績等を勘案し、おおむね、次のとおりとする。持ち家三百三十五万戸(五〇%)借家二百七十万戸(四〇%)給与住宅六十五万戸(一〇%)合計六百七十万戸(一〇〇%)」
次の後段の資料は、この六百七十万戸を推算いたしました資料でございまして、住宅需要動向その他を考えまして、今後六百七十万戸が要るという総数の計算根拠でございます。次に、三ページにまいります。三ページの上にございます参考資料の二は、ただいま御説明申しましたように、持ち家、借家、給与住宅等につきまして政府の計画を立てましたが、それは国民の世論調査である住宅需要調査においてはどういうふうになっておるか、それから過去五カ年間の実績はどうなっておるかという参考資料でございまして、おおむね持ち家が五〇%、借家が四〇%、給与住宅が実績の上では七・二%、このようにして過去建設せられていたわけでございます。その実績と需要動向を勘案して、さきに申しましたように持ち家を五〇%、借家を四〇%、給与住宅を一〇%ということで実施いたしたいと考えておる次第でございます。
次に、「(2)公的資金による住宅 公的資金による住宅は、住宅を自力で建設しまたは賃借することが困難な低所得階層及び中所得階層に対して、二百七十万戸供給することを目標とし、その所有関係別戸数は、おおむね、次のとおりとする。持ち家百十七万戸 借家百三万戸 給与住宅五十万戸 合計二百七十万戸」これは参考の資料にございますように、さきに持ち家を五〇%、すなわち六百七十万戸の三百三十五万戸といたしましたが、持ち家につきましては、三百三十五万戸今後建設するうちの三五%、百十七万戸を公的援助において行なう。それから賃借住宅につきましては、同じく三百三十五万戸につきまして、その援助の率を四六%といたしまして、全体として百五十三万戸を建設したいと考えておるわけでございます。この賃貸住宅の中身が借家と給与住宅にさらに分解されるという参考資料でございます。
さて、これらの公的資金による住宅二百七十万戸を持ち家、借家、給与というふうに分けましたその根拠は、この(注)に書いてございますが、「(注)公的資金による住宅の援助の考え方は、おおむね次による。(1)持ち家の総戸数のうち、中所得階層のおおむね半数程度を援助の対象とする。」この持ち家につきましては、中所得階層の半数程度を援助の対象としたわけでございます。
それから次の四ページにまいりまして、「(2)賃貸住宅(借家及び給与住宅)の総戸数のうち、二人以上の世帯用については、低所得階層の全部と中所得階層のおおむね半数程度を援助の対象とし、一人世帯用については、おおむね二割程度を援助の対象とする。」うち、給与住宅の数につきましては、近年の実績の横ばい程度建設する。そして残りが一般の賃貸住宅である。こういう計算をいたしたのが先ほど申し上げたものでございます。
次の五ページにまいりまして、公的資金による住宅の建設二百七十万戸の、さらに事業実施の種類別と申しますか、事業主体別計画として次のように考えております。「公的資金による住宅の建設計画 公的資金による住宅二百七十万戸は、おおむね次により建設するものとする。公営(改良を含む)五十二万戸 公庫百八万戸 公団三十五万戸 その他四十八万戸 小計二百四十三万戸調整戸数二十七万戸 合計二百七十万戸(注)調整戸数は、計画期間中において建設大臣が必要に応じその配分を定めるものとする。」
御説明申し上げますと、二百七十万戸の約一割でございます二十七万戸、これを調整用の戸数として保有いたしまして、その後の住宅需要動向等を勘案いたしまして、建設大臣が必要に応じてこれらの事業別につけ加えたりして調整をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
そこで、一応一割程度各事業別から保有したような形になっておりますので、一応の目安としては、この(参考)に書いてあります「事業主体別必要戸数の目安」といたしまして、公営住宅(改良住宅を含む)が五十八万戸、公庫百十九万五千戸、公団三十九万戸、その他五十三万五千戸、これらのおのおのにつき約一割が右の欄に調整戸数としてございまして、その合計が二十七万戸。ただいま建設省としてはこのような計画によって二百七十万戸を実施いたしたいと考えまして、今後とも各省と折衝して案を固めたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/5
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006・田村元
○田村委員長 以上で説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/6
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007・田村元
○田村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。小金義照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/7
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008・小金義照
○小金委員 この案件は何ぶんにも画期的なものであって、そして総合的であり、かつ非常に広範囲に関連を持つものであって、これは建設省というよりも政府自体が本気になってやってもらわないと、法案並びにいま建設省としての五カ年計画の概要を示されましたけれども、これは絵にかいたもちに終わるおそれがございます。そこで私は、私たちの住宅宅地政策についての大筋を申し上げながら逐次質問を展開いたしますが、問題の性質がいま申し上げたように広範囲にわたるので、同僚議員の諸君の質問とともに問題点を解明してまいりたいと思います。
まず第一に、佐藤内閣の最重点政策であるといわれておる社会開発、その中心課題が申すまでもなくこの住宅政策である。これを担当せられる瀬戸山建設大臣の日ごろの抱負や経綸はしばしば承り、われわれはこれを支持してまいっております。昨年の秋以来だったかと思いますが、関係閣僚の協議あるいは懇談ということでいろいろなことをお取りきめになっておるようなことを承知しております。政府の熱意のほどもよくわかり、これを多としておりますが、昭和四十一年度を初年度とする第一次住宅建設の五カ年計画、これに関連して関係予算も相当大幅にとりましたし、関係法律も逐次、住宅金融公庫法ですか、それから住宅公団法ですか、それらも改正されて進んでおりますが、戦後二十年で衣と食のほうはおおむね戦前の水準を越えておる。しかしながら、住宅に関しては、近年相当予算等の増額も見ておりますけれども、いまだに著しく不足しておるという状態であります。その不足の実態は、まず第一に、依然としてまだ、居住といいますか、住宅がほしい、何でもいいから入る家がほしいのだという要望も相当たくさんあるし、特に低所得者、中所得者の中にはそういう方がたくさんある。第二には、一応住宅は手に入れたが、もう少し住みよい住宅がほしいという要望が相当出ております。第三には、年賦でも月賦でもいいからとにかく自分の家がほしいという希望が出ております。大体この三つの要望をかなえなければならないのがこの住宅政策じゃないかと思います。
こうして考えてまいりますと、衣食住のうちのおくれておる住宅に政府はたいへんな力を注いでおりまして、われわれもこれには全く同感であります。孟母三遷のたとえにまつまでもなく、居は心を移すということは、洋の東西を問わず、現実、今日まで人間の住んできた世界の法則であります。そこで、ただ住宅をつくればいいということだけではなくして、住宅政策は人間形成の上においてもたいへん重要な役割りを果たすものでありまして、人間形成人間形成といわれる佐藤内閣の住宅政策はここにも一つの大きな意義があると思います。いままでとかくばらばらであったといわれる住宅の建設に関して、今度総合的な計画を策定することによってその適切な実施をはかり、もって国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するためにこの住宅建設計画法案を御提出になった。これはまあ総合的に施策をしようということで一大進歩だと申し上げていいのであります。いま申し上げたとおり、逼迫しておる住宅を豊富に、そしてできるだけ安く供給することは、人心を安らかにし、ひいてはいろいろな意味で物価対策にもなるし、また国民の教養の問題にも関連してくるものと思います。過去二十年の間に一千万戸以上の住宅が建設されてきた。にもかかわらず、いま申し上げたとおりに住宅難は依然として解消していない。これは人口が自然増加をする。そのほかに、経済の高度成長に伴って急激な人口の移動、すなわち大都市に人口が集中する。それから産業の変貌、構造の変化というものが人を集めたりまた散らしたりする大きな刺激になっております。また一方において、家族の構成も相当著しい変化を起こして細分化されつつあります。独身居住から夫婦生活、夫婦と子供、また親を引き取るというような扶養家族の付加等があって、幾段階にも分かれておる、収入の差異、こういうものがあって、住宅政策というのは画一的ではいけない、また単純算術的でもいけない世の中の実情の変化に伴って政策の実施を考えていかなければならない。口では言えますけれども、いま冒頭申し上げたとおり、各方面に関連することが非常に多いので、ひとり建設大臣だけのハッスルでは解決しない。こういう大所高所から、建設大臣は一体どういう御方針をお持ちになっていますか。大体は常に聞いていますが、あらためてこの法案の審議の冒頭に御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/8
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009・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 もとより住宅の問題は、一建設大臣が意欲を燃やしたり、ハッスルしたりとかいうだけでは解決しないことお説のとおりであります。いま小金委員からいろいろお話あったことは、私どもおおむね認識を同じくしておると考えておりますが、御存じのとおり、昭和三十六年に住宅一千万戸計画というものを立てたことがございます。これはその当時は、建設省の計画という考え方で、厳密な意味においては、閣議の決定、政府の最高方針というところまではいっておりませんでした。昭和三十三年十月の住宅統計を基礎にし、今後の人口の増あるいは世帯の動態、人口の移動、そういうものを勘案いたしまして、昭和四十五年ごろを目標にいたしますと、まあ世帯では二千四百万戸前後であろうと想定いたしまして、三十六年を起点といたしますと、大体一世帯一住宅ということで、各種の住宅不足等を勘案して、一千万戸くらいやるとまずまずの状態になるであろうという想定で進めてまいり、それが七カ年計画——三十六年に想定いたしまして、実際に計画いたしましたのが三十九年でありましたから、それまでの実績を差っ引いて、御承知のとおり八百七十万戸くらい建てると、四十五年までに一世帯一住宅が充足されるであろうということでまいりました。ところがいまもお話しになりましたように、産業経済の急激な変転等あるいは人口も予想を上回って、この前の国勢調査で御承知のとおり、増加がありました。五年間に約五百万人くらいの人口の増加があった。三十八年の、五年ごとにやっております住宅調査によりますと、三十六年に想定いたしましたのと相当違ってきておる。それはいまのお説のとおり、急激に産業が発展した。したがってそれに対する人口の移動ということで、人口の都市集中という現象が予想以上に急激に起こってきた。同時にまた、当初想定いたしました以上の世帯分離が、これは戦後の傾向でありますが、多かった。こういう事情から、資料に示しておりますように、いろいろ計算いたしますと、この前の国勢調査の世帯数では、建設省が前に想定いたしました昭和四十五年の二千四百万世帯というものに、もうすでになっている、こういう状態があらわれた。こういういろいろな想定をいたしまして、これを改定しなければ、昭和四十五年に一世帯一住宅ということは前の計画では不十分である、こういうことから、さきに御説明いたしました閣議決定のように、六百七十万戸が最終決定いたしたわけであります。
そこでお説のとおりに、住宅というものについて今日まで、もちろん政府といわず民間といわず努力をしてきましたが、戦後の荒廃があまりにもひどかったために、まず数ということに重点を置いてまいりました。二十年間に一千万戸余というものが建ちましたが、それは民間のほうは相当の努力をしておる。政府施策が四〇%に足りない、こういう実情でありました。そこで、衣食住といわれておる中で、住生活がこういうことでは、これはほんとうの国民生活の安定の基礎にはならない。これは理屈を言うまでもなくそうであると思います。やはり人間は一定の安住の地があって、そこで家庭の安定をはかる。経済活動も文化活動もそこが基礎でありますから、社会を構成し、国をなす以上は、何が何でも早く住生活を安定させることが政治の最高の目標ではないか。今日社会活動、住民活動といわれておりますけれども、それが欠けておっては、ただ言うだけであって本物ではない。したがって困難がありましょうけれども、この住宅充足計画をどうしても最重点に置かなければならない。と同時に、経済も安定いたしましたが、まだまだ問題はありますけれども、国民の生活もだんだん向上していくべきものである。したがって量の問題もさることながら、質の向上を漸次はかってまいらなければならない。こういう考え方で、今度正式に政府は、御承知のとおり方針をきめまして、しかも従来これは建設省の計画ということでやっておりましたが、そういうことでなしに、いま御審議を願っておりますように、法律をもって国家の最高方針として、政府の責任を明らかにする。必ずこれは充足するという政府の責務を明らかにするために、国家の最高意思をきめて、いかなる政府であろうともこれを遂行すべきである。こういうことが今日の政治の最も大切なところであろう。こういうことで数や内容についていろいろ御議論があろうと思いますが、そういう意味でこの法律の御審議をお願いしておるわけであります。と同時に、建設省が主体となって政府施策住宅をやっておりますが、そのほかに御承知のとおり、厚生省所管で年金還元融資等で相当やっております。なお労働省もやはり同じような趣旨でやっております。なお公務員住宅ということで大蔵省もある程度やっておりますが、これもやはり国民からいいますと、住宅であるに違いはないのでありまして、しかも規模といい建設戸数といい、そういうものは全部ひっくるめて、総合的な計画を立て、国も地方も足並みをそろえて、計画的な遂行をすべきである、こういうことについて行政機構を一本にしたらどうかという意見もありますけれども、そう簡単にまいりませんので、法律によってそういう総合計画を進めることが適当である、こういう趣旨で、いまおっしゃった単なる建設省ということでなしに、国民の政治をあずかっております政府の最高責任者、また最大の責任者、こういうつもりで四十一年度からこれを強力に推進していく、これがお願いしておるわれわれの基本的な趣旨でありまして、政府の態度もそこにあるということを御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/9
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010・小金義照
○小金委員 そこで、住宅の数を増し、質を向上させ、環境の整備をするということは住宅政策の根本でありますから、いま大臣もお認めになって、われわれももちろん認識しておる産業の著しい変貌、これが居住を左右しておりますが、昭和三十五年の第九回の国勢調査においてすでにあらわれてきた大都市地帯への人口の大移動が五年後の昨年の十月一日ですか、第十回の国勢調査において顕著にあらわれてきております。十月一日現在の日本の総人口は九千八百二十七万余人ということになっております。宮城、石川、広島の三県だけがわずかに人口増加したのみでありまして、北海道は別でありますが、東北、北陸、中国、四国及び九州は人口の減少地帯ということになっておりまして、関東、東海及び近畿、この地方に人口が集中してきております。これは明らかにここにメガロポリスが形成されつつあるといわれるゆえんだと思うのであります。
人口の大都市地帯への集中傾向は世界的な現象でありまして、昨年のいまごろ私はアフリカとかヨーロッパを回ってみましたが、後進国でも相当な大都市への人口集中があらわれてきております。絶大な独裁的強権をもってしても容易にこの人口の大都市集中は押えがたいといわれるのでありますが、自由民主主義の国において政策によってこれを抑止しようとすることは、努力はしなければならぬかもしれませんが、おそらくそれだけでは成功しないだろう。他方また人口の減少地帯の町村では、消防を組織する人さえなくなっている、消防力さえなくなっているというような町村もあるように聞いております。そこで、メガロポリス地帯の集中人口に良好な住宅を供給することは、これはもちろん努力しなければなりませんが、同時に、地方の中小都市や農山漁村の人たちにも住みよい住宅と環境、文化、産業活動を与えるという政策が必要であります。大臣はその間の調整と申しますか、バランスといいますか、そういうことについてどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/10
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011・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 お説のとおりに、人口の都市集中は世界的傾向といいますか、いずれの国もその傾向が強うございます。一番強いのは産業が戦後急激に発展いたしましたわが国でありますが、これは世界的な傾向であります。
〔委員長退席、廣瀬委員長代理着席〕
おっしゃるとおりにソ連あたりでも、やはりモスクワ等の大都市に人口が集中するということで、その対策にはなかなか困難を来たしておる、これが実情でございます。こういう傾向というものは、今日だけでなくて、人間生活を営みます以上は、第一に経済的に生活のしやすいところ、あるいは文化に浴しやすい地点、いわゆる地の利といいますか、そういうところに集まって、できるだけみずからの努力と社会環境あるいは自然条件、こういうものが組み合わさって人間の生活をよくしようということは、これは当然でありますから、したがってそういう傾向が都市に集まりますと、文化に浴せられる、あるいは住みよいかどうかは別として、生活が何となくしやすい。こういうことで、これはことばが適当でないかもしれませんが、砂糖にアリが集まると同じ現象と私は思っております。したがってある程度はやむを得ない。またそれがあってしかるべきであるということもありますが、いまやわが国においてはそれが逆に弊害を来たしつつある。その対策もなかなか不可能に近い、こういう状態にだんだん移行しつつあると思っております。したがって、これをそのまま放置するということは、これは政治の上できわめて不適当である。かといって、これを人力によってただせきとめるということは、これはお説のとおりなかなか不可能でありますから、やはり経済生活的にも文化生活的にもそういうふうに集中しなくても、他にもあるという状況をつくるということが、また今後の政治の大きな仕事であろうと思っております。今日までもいろいろ対策を講じてきておるわけでありますけれども、やはりそういう状態というものがまだつくられておらないというところに今日の減少がなかなかとどまらない、こういうことだろうと思いますから、これは早急にはまいりませんが、やはり私は一番基本的な問題は、道路あるいは鉄道、あるいは今日の航空あるいは港、こういういわゆる地の利の便の悪いところに自然の状況だけにまかせないで、政治あるいは人工によって地の利のカバーをする。これがなければどんな理論を述べてもそれは理論であって、人間はそういうもので規制されない。ここに問題があろうと思います。したがって私ども道路政策その他交通、通信、運輸、あるいは文化生活というものに相当努力はしてきておりますけれども、何と申しますか、これは戦後の経営がなかなか意あってその気持ちのとおりいかなかったという事情もありますが、昨日衆議院を通してもらいました高速自動車道などというものも、やはりそういう大きな観点からあれを御審議願い、御賛成をいただいたものと私どもは確信をいたしておりますが、そういうものとあわせて、やはりいまおっしゃったような対策を講ずべきである。新産業都市であるとか、あるいは地方の工業開発の計画等すべてそのねらいがあると思うのでありますが、まだまだそういう問題が総合的に、しからば都市に集中しなくてもいいような状況がまだ今日形成されておらない、こういうところに問題があろうと思います。したがってこういうものをできるだけすみやかに形成すると申しますか、つくり上げるということが大切である。
住宅問題についてはいまおっしゃったとおり、私どもは都市人口の集中あるいは都市住宅ということに今日まで相当力を入れてまいりましたが、これももちろんでありますけれども、農村住宅の改良ということをしないと、今日の農村の生活というものは、都市生活を一ぺん見たり体験した若い人たちは特に、それは農村もよろしいけれども、あの姿でおれないというのが率直なところであろうと私は思います。したがって、それは微々たるものでありますが、数年前から試みておりました農村住宅の改良あるいは補修等をもっと強力に進めなければならない。そういう意味で農林省にもそういう考え方を相談いたしまして計画をいたしましたが、これはなかなか膨大なものでありますから一ぺんにはまいりませんけれども、今年度は昨年よりは予算としては約二倍の想定をいたしましたが、全体からいうと微々たるものであります。しかしこれはもちろんさっき申し上げましたる総合政策とあわせて農村住宅の改良あるいは近代化と申しますか、そういう点は今後ゆるがせにならない大きな問題である。ただ問題は、都市の住宅事情は非常に緊急である。緊急ということは忘れてはならない非常にむずかしい問題でありますけれども、政府としてはさような考えで計画を進めたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/11
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012・小金義照
○小金委員 新住宅建設五カ年計画、この計画戸数等について、また内容について、いま住宅局長から御説明をいただきましたが、当初私たちの承知しておるところでは、この第一次五カ年計画というのは七百六十万戸、ところが今度は諸般の情勢から判断して、九十万戸減の六百七十万戸建設の目標が立てられております。これではたして五年後に、わが党が長い間目標として努力してきた一世帯一住宅の目標が達成できるかどうか。
それから第一次五カ年計画という以上は、第二次、第三次の五カ年計画があるはずであります。それは人口の増加とかあるいはまた世帯の細分化、そういうようなものを見込んで第二次はお考えになるのか。あるいはまた、この六百七十万戸が達成し切れないというようなことも予想されておるのか。達成し切れないということは予想されないでしょうけれども、第二次の五カ年計画には人口の増加、世帯の細分化、それからさらに、建てかえというようなことを含めての五カ年計画が予想されるのか。第一次だけの計画で進むんだということは言えないはずだと思うのですが、どういう御趣旨で第一次、第二次というふうにやられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/12
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013・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 その点はきわめて問題でありますが、当初私どもが昨年いろいろ検討いたしまして、建設省としての考え方を公にいたしました。そのときに、いまおっしゃったとおりに七百六十万戸これは想定人口を昭和四十五年で一億三百四万、これは先ほどお話しの国勢調査からずっと傾向線をたどりまして、人口問題の研究の専門家等の意見も聞き、昭和四十五年ごろ、日本の人口を一億三百四万、こういう想定を立てました。それからこまかい数字については、あとで住宅局長から御説明いたしますが、それと世帯の構成人員はどうあるべきか。その人口の中にやはり一人暮らしの人、その他いろいろな人があるわけでありますから、そういう人を約七%、こういう想定をいたしました。そういう人は別にして、一世帯の世帯人口というものを三・七人くらいの想定でいけばおおむねいいんじゃないか。こういう計算から、これは数字的に当てずっぱうじゃなくて、計算いたしまして、いわゆる七百六十万戸くらいあれば、まず一世帯に一住宅が実現できる、こういう計算をいたしたのであります。ところが、いろいろまた私どもの案を中心に検討いたしました際に、問題になりましたのは、ほかは問題になりませんけれども、急激に世帯分離があった傾向が、将来まだずっとこのままいくのであるかどうか、余談でありますけれども、日本の経済成長がああいうふうにずっと同じ傾向でいくはずであったのが、いかなくなったことと同じでありまして、昭和三十五、六年ごろから人口の移動が非常に多かった、産業人口の移動が多かった、農村の離農といいますか、農村からの都市集中が多かった。これは当然に住宅を伴うわけでありますから、そういう傾向は必ずしも同じカーブをとるものでなかろう。ここは一番の問題でありまして、そういういろんなことから計算いたしまして、世帯を三・八人というくらいのところで計算して、ちょうど一世帯一住宅ということができるんじゃないか、こういう意見等もありまして、問題は標準世帯を三・七くらいで計算するか、三・八で計算するかの差で、数字的には九十万戸という——これは基礎が大きいものですから、〇・一の数字がそういうふうにあらわれてくるわけであります。その差が、七百六十万戸が逆になって六百七十万戸と、いかにもつくった数字のように見えますが、そういうことであるわけであります。したがって、私どもは将来の五年後の想定もいろいろ入っておるわけでありますから、厳密な意味において、それは一字一句も違わないということをここで申し上げることはできませんが、非常に詳細に検討した数字でありますから、そう大差はない。これは必ず実行する。この一世帯一住宅はいわゆるインチキ政策ではないと確信を持っております。今後の経済の動向から、わが国はもっと経済発展をもちろんやらなければなりませんし、今後、災害というようなものも想定以外に出るかもしれませんが、各種のデータから想定して、かようなことになっておる、こういうことを御理解願いたいと思います。
そこで、それでは第一次、第二次というこの計画は要らないのじゃないかという議論が出る余地がまたあるわけでありますが、私どもは、今後やはり年次を追うて内容をできるだけ充実し、いわゆる質の向上をはかりたいと思います。過去において、今日までに建てました家も、これでもう家はあるのだという考え方では、わが国の社会生活としては不十分である。それを充足するとともに、また次に第二次、第三次ということになると思いますが、もっと良質のものにだんだん改造していかなければならない。数がかりに間に合っても、だんだん良質の家にかえていかなければならない。これが今後のわが国の発展の重要な要素であろうと思います。いわゆる豊かな生活をする国ということになりますと、西欧にはなかなか追いつきませんけれども、西欧の三分の一程度の家で、家はありますと言うわけにはまいらぬと思います。そういう意味で日本の経済力、国民所得の発展に応じて、やはり法律に基づいて第二次、第三次と計画を立てて、そうしていわゆるほんとうの理想に近づくような住宅を逐次建てていかなければならない。もちろんその中には人口の動態、あるいは世帯人員というものにある程度の変動があると思いますが、そういう考え方でかような構想を出しておるということを御理解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/13
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014・小金義照
○小金委員 大体わかりましたが、民間自力建設に依存するといいますか、そちらに頼むというような戸数が約四百万戸ということになっております。大体公団の住宅でもなかなか土地が得られない。民間自力の住宅建設の場合には土地の問題が非常に大きいのじゃないかと思います。瀬戸山大臣は、土地の問題については非常にいい構想を御発表になりましたが、これの実現にはなかなか曲折があると思います。住宅の宅地の問題が先行するので、宅地の問題は重要でありますが、これは他の委員から質問していただきますけれども、この民間自力の建設になっておる四百万戸計画は、どういう根拠といいますか予想でそういう計画を立てられましたか。ことに土地が関連しておるので土地政策が相当民間自力建設の場合には響くのじゃないか、こういうようなことも考えられて、これから不動産取引とも関連して、相当な大きな問題じゃないかと思います。この点を大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/14
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015・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおりに、住宅はもう前提が土地であります。一番私どもが心配もし、また最大の努力をしなければならないのは、家を建てる前提の土地政策、また土地の取得、宅地の開発、これが一番の大きな努力をしなければならない問題であろうと思います。民間の住宅戸数というものを、これは数字的に御必要があれば住宅局長から申し上げますが、これは大体小金委員も御承知だと思いますけれども、こちらから押しつけるわけにはいかないものでありますから、従来の実績を基礎にして積算いたしております。その実績を基礎にして、今日までの進みぐあい、今後の日本の経済力の発展、国民所得の増高、こういうものを勘案いたしまして、今後一二%ないし一四%ぐらいの伸びであろうという想定から、こういう数字を出しております。ただ民間はかってにやるだろうというだけではいけませんから、やはり税制上、資金上これもできるだけ今後家が建つような方法を、今日の段階において講じておりますが、不足すれば追加した政策を進めていかなければならない。ただ土地の問題は、あとでまた御議論なさるそうでありますが、やはりこれは急に間に合いませんから提案しておりませんけれども、こういう問題のみならず、日本の場合はやはり土地利用区分というもの、土地政策に強力な方法を講ずる。しかもこれはできるだけすみやかに講ずる。そういうことを合わせ、住宅政策の推進をはからなければ、計画どおりいかないだろう。当面の措置はいろいろとります。またお願いしておるわけでありますが、基本的にはやはり土地利用政策、土地取得の方法、税制その他かみ合わせて、もっと根本的な問題をできるだけ早急に立てて国会等の御協力を得たい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/15
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016・小金義照
○小金委員 宅地を豊富に供給するという方法が大事だということは瀬戸山大臣もおっしゃるし、私も全く同感でございますが、持ち家政策とともに、宅地の問題については私は国税、地方税を通じて税制の問題が相当むずかしいと思います。しかし、これもできればやはり並行してやらないと、なかなか宅地も得られないのじゃないかと思います。この点についても格段の御留意をお願いいたします。
それから、民度が向上していきますと、いま瀬戸山大臣もおっしゃったように、いい住宅に移りたいと思うのは当然であります。しかし、いい住宅に移るということは、同時に自分の家という感覚といいますか、その欲望といいますか、そういうことで、持ち家政策に瀬戸山大臣非常にお力を入れておられて、私も全くこの点は同感で、ぜひこれをなるべく多く、早く実現させたいと思いますけれども、その反面、先ほどの五カ年計画の際にちょっと私は申しましたが、公社住宅等古くなったから建てかえよう、これはおそらく第二次五カ年計画になってくると、それらが中心になるのではないかと思います。その際に、もうすでに居住されている方が、今度改築されると家賃が上がるのではないかとかいろいろなことで、一部の者が反対をされる、また同意をしないというようなことで、これはこまかい問題になりますからお答えは要りませんけれども、現実の居住者の処遇、ことに建てかえの場合なんかの問題が方々で起こっているやに私は聞いておりますけれども、この問題についても御留意願いたい。同時に、公営住宅なんかについて払い下げを希望されている向きもまた持ち家の気持ち等に合致するものでしょうが、払い下げしてほしいという希望もあるようですが、これらについて私は相当弾力的な政策をとられたほうがいいのではないかと思いますけれども、大臣の御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/16
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017・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 住宅政策の場合にいろいろ御議論がありますのは、持ち家にするか、いわゆる供給にするかという問題があるわけであります。しかし私はざっくばらんに言って、できれば自分の家としていろいろ住みよいかっこうにつくっておりたいというのは、これは人間の心理だろうと思います。そういう社会になりたいと思いますけれども、なかなかそうはいかない。そういう力のない人は、その力にある程度の国家的な各種の措置を講じて、自分で家を所持されるということが望ましい。けれども、なかなかいまの日本の状態、よその国でもそうでありましょうが、そうありたいけれども、そうはできない。収入上あるいはその他の状況もあるでしょうが、そういう方がたくさんあります。ですから私ども政府がやる住宅政策は、基本的にはそういうところにまず重点を置かなければならない。ただもう少し力を借せば持ち家ができるという方には、そういう政策をとるべきである、かように考えております。したがっていまのところは、私どもは政府の一般財政の投資というようなものは、そういう力のない人を早く、少なくとも住宅の心配をされないようにするということは、当面としてはやはりここにウエートを置くべきであると考えておりますが、基本的には自分でおやりになるというのが人間のたてまえであろうと思います。そういう意味で、公営住宅というものは、これは全部とは言いません。やはり自分でできない方に対する家として、公営住宅等のいわゆる賃貸住宅を持っておりますから、それを全部払い下げるというわけにはまいらない。けれども、相当年数がたって、わが家として愛情が出てきた。また力もできれば、これを改良してわが家にしたいという希望はだれしもありますから、集団的に大きな建てかえをして土地を利用するとか、あるいはもっと高層建築に建てかえられるとか、こういうようないわゆる戦後やりました十戸とか二十戸とかばらばらにやっております公営住宅は、できるだけ希望に応じていわゆる持ち家に転換したい。そういう方々も相当経済力も出ておられますから、持ち家に転換して、わが家として愛情を込めて、それをりっぱに仕立てたい、こういう方にはできるだけ払い下げをしたい。それで持ち家に転換したい。
同時に、今度試みました公団住宅等についても、賃貸ばかりではなくて、収入もふえておりますから、やはり家賃だけで自分のものにならないというのも、何となく不満足なところもあるわけであります。またそれだけの力のある人も入っております。だから何年かすれば自分のものになるという制度を試みにひとつやってみようということで、御承知のとおり、今度五千戸、そういういわゆる賃貸的な分譲住宅というものをやります。それから従来産労住宅等について、いつまでも借家だというよりも、みずからもある程度努力し、将来自分の家になるのだという方式をとってみようじゃないかということで、これも産労の分譲住宅、賃貸的な分譲住宅といってもよろしいでしょうが、これも今度五千戸新たに計画を進めようということでやっておるわけでありますが、やはり持ち家と賃貸の家と申しますか、そういうものとをかみ合わせていかないと、いまの住宅政策はバラエティーがありますから、うまくいかないであろう、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/17
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018・小金義照
○小金委員 これは住宅局長あるいは公団の総裁に聞いたほうがいいかもしれません。しかし根本的な問題として大臣に伺っておきたいのは、団地が、ことに公団の団地が相当敬遠されているところがある。これは単にベッドタウンにされたのでは地方はたまらないというような、感情的なこともありますけれども、なぜ団地がきらわれるか。おそらく、私どもが研究した結果、地元の地方自治体の負担が過重になる、重過ぎることになります。たとえば、子供が生まれる、幼稚園をつくる、学校をつくる。そのほかのいろいろな地元の負担が第一に重くなり過ぎるのではないか。第二に、地元民との関係です。地元民と団地の入居者との融和策が十分とれてない節も、私現実にぶつかったことがございますが、この問題。第三番目に、団地にもっと都市機能的なものを持たしたらどうか、こういうことを考えられるかどうか。近郊の千葉県、埼玉県、神奈川県、こういうところに団地が造成されまして、たいへんりっぱな町ができます。おおむねこの人たちは東京あるいは横浜等に通う人であります。いわゆるベッドタウン化すので困るという苦情が出ております。これはやはり、大きな団地になれば、その団地一つが都市機能を持つようなことにすれば、比較的在来の住民との交渉が円滑になるし、またぶつかることも少ないというふうにも考えられる。たとえば、大きな団地をつくるときには、環境の整備、それから公共の施設なんかはもう団地自身がつくるというふうにしていくべきではないか。
ちょうど昨年のいまごろ、私はイギリスのケンブリッジのそばのハーローという町に行った。わざわざ見に行った。それはロンドンから大体五十マイル前後のところに幾つかのニュータウンをつくって、その二つ目を私見たのですが、このハーローに行ってみて、現実に聞いてみると、何百世帯か知りませんが、相当大きなものである。まず中央に学校とりっぱな図書館をつくる。それから公会堂のようなものもつくる。そこでもうすべての用が足りるようにしてある。と同時に、そこに入居した人は、ロンドンに通う人はわずかに数人である。近所に工場とか職場をやはり配分してあるように、私、短い調査でしたが、聞いてきたのです。
そういうような都市機能を持たしたらどうかというような意見がありますが、これについては大臣はどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/18
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019・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 御説のとおりでありまして、従来、住宅をできるだけ急速に、できるだけ大量にということになりますと、どうしてもやはり一団地でやらないと経済効率等がうまくいきません。そういう公団等の住宅をあっちもこっちもというと、なかなか、土地の問題もありますし、経済効率も悪うなりますから、どうしてもやはり集団的なところをやるよりほかにない。こういうことで、必ずしも人口が増加し家が建つこと自体がけしからぬというお話じゃないのでありますけれども、やはり集団的な家が建ち、そこに相当多くの人が入りますと、社会生活を営む上の各種の施設が要る。学校であるとか幼稚園その他要るわけであります。水道も要る、下水道も要る、あるいは当然に道路、交通もです。ところが、率直に言って、従来はまず家だということで、相当離れた山林原野、畑の中に——家はりっぱだけれども、どうもそういういわゆる社会生活環境というものが伴わない、それはやはり地元でやるのだというようなことでは、これは財政の面で地元から文句が出るのは当然であります。これは大きな欠陥でありまして、忘れておるわけではないけれども、それが伴わなかった。こういう点を改めるために、従来はある程度融資をするとかやっておりましたけれども、今度は、公団等においてはそこまで施設をする、上下水道あるいは街路あるいは学校あるいは幼稚園等、十分満足とはいえぬかもしれませんけれども、その区域におけるいわゆる公共的なものはまずこちらでやる。あとで年賦その他によってそれを地方に移管する、こういうことを今度制度として始めることにいたしまして、公団法の改正等においてもそれをお願いいたしたわけであります。
その団地と近隣居住者との何となくそぐわない点ということは、これはなかなか法律や銭金ではいかぬところがありますが、結局いまお話しのように、社会生活のできる状況をつくっていく。こういう意味で、従来も、ただベッドタウンだけではなしに、やはり近傍に働く場所をつくるという意味では、首都圏あたりでは——近畿圏あたりもだんだんそういうことをしなければなりませんけれども、要するに働く場所の備わった、相当大規模な新しいタウンをつくる。ベッドタウンでなくて、ニュータウンをつくる、こういうことが今後のわれわれの仕事であろう。工業団地等もだんだん分散してつくっておりますのはそういう意味でございますが、ただ現在は経済、産業の形態によって、これが必ずしも意のごとくいっておりません。けれどもやはりそういうところに大きな力をいたすべきであろうという考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/19
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020・小金義照
○小金委員 大臣のお考え方、まったくありがたいことで、ぜひそういうふうな点にも意を用いていただきたいと思います。
それから、かつて当委員会か何かの問題になって、宅地の大量供給計画から、宅地の先行取得が必要だ、土地の価額の騰貴を抑制することが大事だというようなことに関連して、農地との調整を考慮しつつ、土地利用計画を策定しろ、第二に、土地利用促進のための空閑地税の問題、第三に、公的機関における土地価額の公示、こういうような問題が提起されたように伺いますが、大臣どういうように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/20
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021・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 この委員会ではしばしばそういう問題で御意見を承っておりますし、なおこの委員会としてもそういうことを決議され、本会議等においても院議をもって決議されておること承知をいたしております。そういう院議を尊重するといいますか、それがあるなしにかかわらず、そういう時代であろうという判断をいたしております。そういうことを私ども体しまして、土地政策と申しますか地価対策について、いま国会等にもお願いしておるわけでありまして、いまお願いしております土地収用法の改正あるいは土地譲渡税の改正等がその一連の問題であります。ただ土地利用計画については、さっきも申し上げましたこれが基本でありますが、なかなか農業政策その他の関係でそう一朝一夕ではできませんから、いま私ども宅地審議会において土地利用区分と申しますかこの制度についてできるだけ早く結論をまとめるということを検討を願っております。これはやはり一番問題は日本の農業政策について農地をどうあらしめるべきかというものとのかね合いがありますからそう簡単でございませんけれども、これをいたしませんと、もっと進んだ強力な地価対策、土地政策ということは根本的にはなかなかできません。これは今後の大きな政治の課題であって、しかもこれは課題としておくばかりでなく、早く解決をすべき、方針を策定すべき問題だとして、いま鋭意検討をいたしておるということでございます。
空閑地税の問題でありますが、これはいろいろ御議論があり、諸外国においても検討しておりますけれども、何を空閑地とするか、どの程度のものをするか、それが規制できるかという、これもきわめてむずかしい問題でありますから、検討は進めますが、これはやはり土地利用計画と相伴って、そういうものともかみ合わせて立つべき土地政策であろうと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/21
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022・小金義照
○小金委員 第一にあげました農地との調整問題ですが、これは食糧の自給、ことに穀物でなく野菜なんかの生産との関係が非常に大きいと思います。昨日かなにか東京都で野菜の安売りデーをきめたところが、かえって高くなったということを盛んに訴えられたり、伝えられたりしておるのですけれども、私は、緑地帯とともに農業地帯を設定するということはなかなかむずかしい問題で、大臣がおっしゃったように日本の農業政策の基本にも関係してくるし、いろいろな閣僚間の交渉だけでなく、政府として基本方策をこれについて考えるだけではなくて、立てて実行していただきたいと思います。
それから、いまこの三点についてはそういうお考えを承りましたが、さっき大臣もお触れになりましたけれども、交通、運輸、通信の関係、これが団地ばかりでなく、地方で住宅をつくり、また地方で産業を興すというようなときに非常に大きな問題でありますけれども、これなどの点については、公団の団地を予定される場合には、具体的に関係省庁と折衝があるのですか。これは住宅局長から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/22
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023・尚明
○尚政府委員 通常相当規模の団地を建設いたしますと、当然通勤等の交通の問題が出ますので、きわめて大きいものにつきましては運輸省とも交渉いたしますが、一般的にはそれぞれの近傍の国鉄あるいは私鉄の会社等と打ち合わせをいたして、こちらの工事の竣工する時期あるいは何万人くらいになるかということについて協議いたしてやっているわけでございます。しかし実際問題としまして規模が大きいものほどこれが重要でございますので、それはきわめて緊密にやらざるを得ないし、やっておるわけでございますが、むしろ中間的な規模のときにそれが十分に行なわれているかどうかということにつきましては、全国各地について必ずしも十分とは言えないような事態が起きるのが今日の実情でございます。したがいまして今後はむしろ中小の規模でそういう問題が起きるというような意味でわれわれは行政指導いたしまして、できるだけ緊密な連絡のもとにこれを行なわせるというふうな指導が今後は必要なわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/23
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024・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 私からもちょっと触れておきますが、大体ああいうことでございますけれども、さっきも土地の問題でお話がありましたように、今後住宅政策を進めますについては、相当大規模な団地と申しますか、町づくりをしなければならぬということで、従来は既存の鉄道、軌道あるいは道路、バス、こういうものと話し合いをしてやっておりましたけれども、それが交通過密の大きな原因になって、もうそういうものだけでは解消ができない、こういうところが大都市周辺の大きな問題であります。したがってそういうものにだけ依存ができない、新しく高速軌道をつくるとか、あるいは地下鉄道をつくるとか、こういう段階に入っておると思います。そういうことは国鉄総裁もそういう考えのお話がありましたが、今後の大きないわゆるニュータウン式のものは、そういうものを全部相談して計画をまとめて進めるべきである、かように考えておるわけでございます。
〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/24
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025・小金義照
○小金委員 もう時間もきましたので、私はあとの問題は同僚委員の質問にお譲りするのでありますけれども、昨年の法律第百二十四号の地方住宅供給公社法、これが施行されて一年近くなるように承知しておりますが、これは一体どういう活動をしておりますか。実は住宅難、住宅難という声が大きいが、この地方の住宅供給公社ができると、これが相当活発に働いてくれる——公的機関に依存するもの、また民間の自力建設に期待するもの、こういうようなおおよその分け方はありますけれども、われわれが相当期待を持っているのが地方の住宅供給公社の活動ぶりでございます。まだ一年にならないので十分なことはないかもしれないが、いままでの実績と、それから今後どのくらい期待ができるかというようなことをもし考えておられたら、今後の期待の分について住宅局長から御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/25
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026・尚明
○尚政府委員 昨年御審議願いまして地方住宅供給公社法が成立いたしましたわけで、在来民法に基づきまして地方公共団体が出資しておりましたいわゆる住宅協会あるいは住宅公社と称していたものが、この法律に基づきまして組織変更して、特別法に基づく地方住宅供給公社になったわけでございます。
まずその設立の状況を御説明申し上げますと、昭和四十一年の四月一日現在で、四十六都道府県中、山梨県及び神奈川県を除く全県の組織変更もしくは新規設立を見た次第でございます。また政令指定の大都市は、資格のある都市が九つございますが、そのうち大阪、名古屋、京都、神戸、北九州、福岡の六市が設立を完了いたしました。神奈川県も近日設立されることになっております。
そこでこれらの公社は、旧民法法人時代の実績として、たとえば昭和三十九年度には賃貸住宅、分譲住宅あるいは産労住宅、中高層住宅等合わせますと、一万三千三百五十九戸の事業を行なっていたわけでございますが、新たに新法に基づきまして、これとともに積み立て分譲住宅の制度も設立され、この公社を通して行なわせることになりました結果、四十年度においては全公社で二万三百五十八戸の各種住宅が建設される予定になっております。四十年度は二万三百五十八戸の住宅建設数が近く完了する予定でございます。そうして当四十一年度におきましては、さらに分譲住宅を中心に戸数がふえまして、三万二千七百二十七戸の建設を計画いたしております。
なお積み立て分譲のための積み立てを行なう計画につきましては、四十一年度に二万戸積み立て分譲住宅を供給し、四十二年度には二万二千戸を供給し、四十三年度に二万四千戸分を供給する予定で、ことしのうちから積み立て募集ということをその一部について行なう予定にいたしている次第で、順調に各県とも設立し、順調に積み立て分譲住宅の仕事が伸びている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/26
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027・小金義照
○小金委員 もう時間もまいりましたので、あとは同僚の議員の質問に譲りますけれども、これは相当期待を持たれる制度の改正でもあり、新設でもございますから、これを十分活用していただいて、いろいろな生活協同組合とかその他で建設をやっておるようでありますが、積み立て制度を活用して民間の資金も活用されるのですから、この運営及び発展については格段の御努力をお願いいたします。
ちょうど時間がきましたからこれでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/27
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028・田村元
○田村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十七日水曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X02119660422/28
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