1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十一年三月二十九日(火曜日)
午前十時五十七分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 木内 四郎君
理 事
長谷川 仁君
増原 恵吉君
森 元治郎君
委 員
笹森 順造君
高橋 衛君
廣瀬 久忠君
岡田 宗司君
加藤シヅエ君
佐多 忠隆君
大和 与一君
渋谷 邦彦君
国務大臣
外 務 大 臣 椎名悦三郎君
政府委員
外務政務次官 正示啓次郎君
外務大臣官房長 高野 藤吉君
外務省中南米・
移住局長 廣田しげる君
事務局側
常任委員会専門
員 瓜生 復男君
参考人
海外移住事業団
理事長 廣岡 謙二君
海外移住事業団
理事 丸山 幸一君
海外移住事業団
総務課長 増田 甚平君
海外移住事業団
啓発課長 永田 良三君
—————————————
本日の会議に付した案件
○海外移住事業団法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/0
-
001・木内四郎
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
去る二十六日付けをもちまして専門員の結城司郎次君が辞任され、その後任として瓜生復男君が任命されましたので、この機会に御紹介を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/1
-
002・瓜生復男
○専門員(瓜生復男君) どうぞよろしくお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/2
-
003・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 海外移住事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の提案理由の説明はすでに聴取いたしておりますので、これより補足説明を聴取いたしたいと思います。廣田中南米・移住局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/3
-
004・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 議題になりました法律案の概要を御説明申し上げます。
まず第一に、移住者に対する渡航費は従来貸し付けでございましたが、今回これを支給に改めまして、そのために必要な資金を海外移住事業団に交付する、こういうことが第一の目的でございます。
同時に、いままで既往の債権がございますが、これが利子を含めまして五十六億円ぐらいにのぼりますが、その債権は、国が事業団に貸し付けまして、事業団が各移住者にそれぞれ渡航費を貸し付けるわけでございますが、国が事業団に貸し付けた既往の債権を免除する、こういうことを目的としております。
第三に、いままで渡航費が貸し付けでございましたので、その貸し付け条件に関する法律がございましたけれども、今後支給になりますので、その法律を廃したいと存じます。
第四に、事業団の役員に監事がございます。その監事の権限は、監査の結果に基づいて必要があると認めるときは理事長に意見を提出することができると、また、理事長を通じて外務大臣に意見を提出することができるように現在の法律はなっておりますけれども、理事長を通じないで直接外務大臣にも意見が提出できるように、この点を改正いたしたいと思います。
次に、役員の欠格条項でございますが、現在の法律は、「国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員、又は地方公共団体の長」が欠格——役員になれないわけでございますけれども、これをもっと各層から人を役員に送り込めという趣旨で、特に性質上欠格条項を適用する必要のあるもの以外はこれからはずすという趣旨に基づきまして、ただいま申し上げました国会議員及び地方公共団体の議会の議員を欠格条項からはずしたい、こう考えております。
次に、事業団の余裕金を運用する場合に、現在の法律によりますれば、国債その他外務大臣の指定する有価証券の取得、それから資金運用部への預託、それから銀行預金または郵便貯金の三つがございますが、これが今後は外国銀行または信託会社等に対する金銭信託も加えたい、こういうふうに考えております。
以上が、大体の法律の改正案の趣旨でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/4
-
005・木内四郎
○委員長(木内四郎君) この際参考人の出席要求に関する件についておはかりいたしたいと思います。
本案審査のため、参考人として、海外移住事業団関係者の出席を求めることに御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/5
-
006・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。
なお、出席を求める日時及びその人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/6
-
007・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、参考人といたしまして、海外移住事業団理事長の廣岡謙二君、同じく理事の丸山幸一君、同じく総務課長の増田甚平君、啓発課長の永田良三君の出席を要求することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/7
-
008・木内四郎
○委員長(木内四郎君) これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/8
-
009・森元治郎
○森元治郎君 議事進行ですが、もう少し廣田移住局長、この「日本人の海外移住の現状と戦後における推移」という、こんな大きなものを持ってこられたのですが、けさ渡されたんでよくわからないのですが、ちょっとひとつ要領よく大まかに説明してくださいませんか。減っているのかふえているのか、地域別、業種別、そのくらいでいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/9
-
010・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) ただいまの資料につきまして概略御説明申し上げます。「日本人の海外移住の現状と戦後における推移」というのがございます。これは一ページ目にございますが、戦後二十七年に海外移住が再開されましてから現在までに十四万二千人が海外に出ております。そのうち、渡航費の貸し付けを受けて出た移住者の数が五万七千八百三十八名になっております。その約五万七千のうち一番多く出ましたのが三十五年の約八千人というのがピークでございまして、その後遺憾ながらだんだん減りまして、昨年度は約千百名、本年度は現在までのところ千名を切る状況でございます。ただ、その内訳でございますけれども、農業移住者が大部分でございますけれども、技術移住者も従来九百十三名出ておりまして、最近になりましてから技術移住者の数がだんだんにふえているという現象がございます。次に三ページでございますが、カナダ及びアメリカ合衆国への移住でございます。これはカナダにつきましては一九六二年に移民法の改正がございまして、現在のところ、国籍に関係なく、いわゆる能力あるいは技術のある者を受け入れるという新しい制度ができまして、日本からも一本年度は百八十八名のも一のが現在のところ出ております。次にアメリカ合衆国についてでございますが、これも昨年の十二月に移民国籍法が改正されまして、従来の国別の割り当て制というのが、過渡期間がございますけれども、二年後には国籍別の、出身国別の割り当て制がなくなりますので一技術を持った者などは非常に優先順位が高く、今後日本の対米移住というものも相当道が開けるのじゃないか、こういうふうに考えております。五ページに、先ほど申し上げましたように、最近減っておりますけれども、今後の見通しとしては、ここに書いてございますように、青年層の間に相当希望者がふえているということ、それから北海道あるいは東北 岩手県等を中心にします東北六県等で集団移住の計画も進んでおりますので、それから先ほど申しましたような技術移住者もふえておりますので、今後は移住者の数も前年、前々年よりはふえるのではないか、こういうふうに考えております。六ページに従来からの数の表がございますが、省略させていただきます。次に、一一ページに「海外移住事業団の事業実施状況、四十年度実績(見込み)及び四十一年度計画の概要」というのが書いてございます。海外移住事業団は三十八年の七月に発足されたわけでございますが、その後、全国の都道府県各県に地方事務所を設け、あるいは従来外務省の所管でありました横浜、神戸の移住あっせん所をそれぞれ移管しまして、現在各移住センターと名づけております。海外支部といたしましてはブラジルに五支部、その他パラグアイ、アルゼンチン、ボリビア、ドミニカにございます。予算でございますが、四十年度の予算が交付金が約十一億でございまして、四十一年度の予算は十四億というふうに増加してございます。事業の実施状況でございますが、一二ページになります。 まず事業団のやっております事業を大別いたしまして、「調査および啓発活動」を行なっているわけでございますが、調査のためには、ここにございますような移住者の動態調査であるとか、農家経済の現地における経済調査であるとか、いろいろの調査を行なっております。それから啓発活動としては、一ページの下のほうにございますが、事業団として「海外移住」という月刊雑誌、あるいは「海外移住速報」というようなものも出しておりますし、それから、特に青少年に対する啓発というものに重きを置きまして、五百八十校にのぼる高校を指定しまして推進高校としておりますし、それらの指導をする先生を南北米に派遣しまして、そして現地の事情等もよく見さして、それで帰ってきて生徒たちによく教える、あるいは日本海外移住学生連盟というのが大学五十校ばかりが参加しておりますが、そういうものが毎年研修のために、主としてブラジルでございますが、行っております。それに対する補助をやっておる、こういうようなわけで、宣伝、啓発に努力しているわけでございます。
事業団の事業の第二の柱は一四ページにございますけれども、いわゆる「移住相談およびあっせん」でございます。これは移住希望者が各地方事務所に参りましていわゆる移住の相談をし、あるいは希望によりまして移住地をあっせんする、こういうようなことをやっております。事業団の地方事務所も手不足でございますので、本年の一月からは各府県に移住事業の経験者を百名余り選びまして、移住相談員としていまのような相談、あっせんに協力していただいておるという状況でございます。
次に一五ページでございますが、「移住者の訓練講習と送出」、ただいま相談あっせんをし、大体移住をしたいという希望者に対しては、ここに書いてございますように、各訓練所において訓練をしかつ送り出しの事業をやっておるわけでございます。
一九ページに「技術移住の開拓」とございますが、これは先ほど申しましたように、技術移住の面が大きく開けてきましたので、さらにここに書いてございますようないろんな施策をして、さらに技術移住を推進したいと考えております。
二一ページに「移住者の受入れ業務」とございますが、これは、移住者が現地に参りましてから、いわゆる事業団としては移住地を設営いたしまして、そして移住者がそこで定着をし営農ができるように、ここに書いてございます各種の施策をやっております。
二四ページに、「受入後の援護・指導」とござらますが、これも営農面、教育、医療等につきまして、ここに書いてございますように各施策をして、移住者が落ちついて移住地において営農生活ができるように各般の施策を進めております。
二七ページに「移住者に対する融資」でございますが、これは向こうに参りましていろいろ営農を進めていく上に現実に金が要るものですから、事業団として各種の融資をできるだけたくさんやるという考えで各種の融資をやっております。
大体以上が事業団の現在やっております事業の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/10
-
011・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 いまいただきました資料の一〇ページに、「移住関係旅券発給統計から見た国別、年次別移住者総数」というのがございますけれども、この中で総計が、この数字が出ておりますのですけれども、場合によっては、移住してそしてまた成功しなかった、あるいはいろいろの事情によって帰ってきた人がある、そういうのはこの数字の上ではどうなっておりますのですか。たとえばドミニカの数字が総計千三百二十七というふうになっておりますけれども、これは最初出た数字と、帰ってきた数字との差し引きと、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/11
-
012・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) お答えいたします。ここにある、たとえばドミニカの千三百二十七と申しますのは、出ていかれた年次別に書いてございますが、出ていかれた数の総計でございまして、その後お帰りになったような場合には、この表には載ってございません。ですから、この表は、出ていかれた数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/12
-
013・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 この帰ってきた数というのがここにやはり出ていなければ、移住の成績がどういうふうになっているかということがわからないわけでございますね。それはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/13
-
014・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 御指摘のとおりでございます。ただ、帰られた方も相当ございますけれども、全体から申し上げれば、割合から申せば数はたいして多くないと、こういうふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/14
-
015・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 それから渡航費支給の条件、現在どうなっているかということと、それから移住者の資格というものがやはりリストに出ておりましても、それぞれによって違うのじゃないかしらと思うのでございますけれども、たとえば農業移住者あるいは技術移住者、炭鉱移住者とか、いろいろのその条件があると思いますけれども、移住者ということばは、そういうような資格ということは全然考えないで、移住者ということばで全部包括してしまうわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/15
-
016・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 御指摘のとおり、移住者の中には、いわゆる事業団が計画しておりますいわゆる計画移住者、これは大部分が農業移住者でございますが、その他に技術移住者ももちろん若干入ってございます。その他計画移住じゃなくて、呼び寄せとか、指名呼び寄せとか近親呼び寄せとかということで参ります移住者ももちろんおります。その方々も、あるいは向こうに行かれまして農業に従事される、あるいは技術方面に従事される、いろいろございますが、移住者と申しますときは、それらのすべてを含んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/16
-
017・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 この中にカナダの移住者のことが書かれております。それで最近カナダの移民法が変わって、日本からの移住者を歓迎するような状態になっているというふうに伺いました。そこで、二万名くらいのワクというのがございますが、その二万名というのは、年間二万名でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/17
-
018・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) カナダにつきましては別にワクはきまってございません。いわゆるカナダにおいて必要とするような職種、あるいは技術、技能を持っている方を個々に、移民官がおりまして、そこで本国から来るいろんな資料に基づきまして、この種の職種の人はカナダでぜひほしいという場合に、移民官がその移民を、移住を許可するわけでございまして、別に人数の上では制限はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/18
-
019・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 それでは、カナダの移民というのは、労力を提供するというようなのは資格の条件に合わなくて、何か一つの技術、専門的な技術というものが証明される、そういうような条件の者だけが適格者であると、こういうふうになるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/19
-
020・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) カナダの移住につきましては、いわゆる向こうに行きまして事業主に雇用される場合、約五百種の職種がございます。それから自営——自分で営業をやります職種として約百二十ございますが、その中には、もう非常に多種多様でございまして、たとえば大工さんであるとか、あるいは看護婦さんであるとか、お医者さんであるとかいろいろございますけれども、総じて申し上げれば、いわゆる何らかの技術、技能を持った方が歓迎をされると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/20
-
021・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 それでは、その技術というものは、何か特定の検定試験とか、そういうようなものでなくても、向こうの移住局の役所のほうで認めたものであればいいと、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/21
-
022・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 大部分のものについてはそうでございます。ただ、お医者さんにつきましては、やはり一定の資格がないといけませんので、たとえば向こうに参りまして、向こうの医師の検定試験といいますか、そういうものを通らなければなりませんけれども、大部分のものについては、特にいま申し上げたような証明書とか検定試験というものはないというふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/22
-
023・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 そういたしますと医者、歯医者、看護婦、そういうような医療関係の者でも技術移住者というその名目のもとで道が開けた、こういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/23
-
024・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/24
-
025・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 それで、その場合はやはり渡航費は支給されるんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/25
-
026・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) カナダにつきましては、向こうに行きまして、カナダ政府のそういう受け入れ体制が非常によくできておりまして、着きまして、早いのでは一週間、わりあいに短期間のうちに職がきまるようでございます。御参考までに申し上げますと、ブラジルの移住とカナダの移住の違うのはそこの点でございますが、ブラジルの移住の場合には、行く前にもうどこどこの移住地に入るというようなことがきまっておりますけれども、カナダの移住につきましては、こちらで大体こういう職種なら向こうに口があるというのはわかりますんですが、現実にどこで働くかということをきめずに向こうへ行きまして、向こうへ行きましてから、向こうの移民の事務所に出頭いたしますれば、さっき言ったように、わりあい短期間に職がきまる。しかも、いわゆる給料も月相当高い。一例を申し上げれば、たとえばこちらの技術学校を出て向こうへ行かれるような場合、大学を出て行かれるような場合は大体三百ドル以上の月給が取れるというようなわけでございまして、わりあいにそういう意味で生活も安定しているということから考えまして、従来ともカナダに行かれた方には渡航費を貸し付けた例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/26
-
027・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 そういたしますと、カナダの技術移住者というものは、日本のいわゆる知識階級の人の将来の職場の開拓としても非常にこれは希望の持てるものであるというふうに考えて、これは将来ずっと成長していくものであるというふうに見てよろしいんでしょうか。それとも、非常にみんながこれはいいというわけで押しかけると、また、途中で日本人だとか東洋人だとかいうような差別待遇を受けるというようなおそれがあると考えなくちゃならないものでしょうか、その辺はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/27
-
028・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 現在のところ、カナダはむしろ非常に積極的に日本からそういう技能、技術を持った方を歓迎しておりますので、今後ともこういう意味の移住者は相当伸びる、向こうにおいても歓迎されるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/28
-
029・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 それから、ここに出ておりませんですけれども、カナダが技術移住者を歓迎すると同じような条件で、オーストラリアも将来そういうことを考えているというふうなことを聞いておりますんですけれども、それは現在どういうようなふうに発展しておりますか、その後の事情を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/29
-
030・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 最近の向こうの新聞等によりますと、大使館から報告もございますけれども、そういう意味において、従来いわゆる白豪主義といわれたオーストラリアにおいても、技術、技能を持った人が非常に少ないので、国籍のいかんを問わず、こういう者を入れてはどうかという機運が相当高まっているようでございます。ただ、現在はその段階でございまして、カナダですでに始まっているような具体的の段階にまでまだ至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/30
-
031・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/31
-
032・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 他に御質疑は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/32
-
033・森元治郎
○森元治郎君 大臣、この海外移住の形勢はだんだんに細くなってくるが、やっぱり大臣というような人が出先を回ってやって、現状を見て、彼らに希望を持たせ、それからマスコミのほうも書くでしょうし、大いに移住に熱といいますか、関心が深くなると思うので、いろいろの定期協議なんかに、どんどんパリ、ワシントンに行かれたついでに、おもなところをPRに回られるのも大事なことだと思うのですが、やってみる気はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/33
-
034・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) やってみる気はございますけれども、実際問題として時間がないので、まだ実現しておらない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/34
-
035・森元治郎
○森元治郎君 これは時間がないのじゃなくて、まず行く決心をしないとね。これは選挙だってそうでしょう。出るという決心がなければ選挙には出られないし、出ても勝てないし、まずこれは決心をしなければならぬのだな。わずかにいま海外に十四、五万の人しかいないようでありますが、ぜひ行ってもらいたいと思うのですね。これはたいへんな人気を呼ぶだろうと思うのです。あなたがサンパウロあたりからヘリコプターで二、三カ所回る。あるいはペルーでも、東京にうんと便利のいいところで、一週間もあれば行けるんですよ、ヘリコプター使えば。ぜひ行ってもらいたいと思う。テーク・ノートしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/35
-
036・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) まあお話の趣旨はよくわかりますが、実際問題として全くひまがない。国会の会期が、やはり多い場合には八カ月くらいあります。そういう間はもう絶対に縛りつけられて動きがとれないという状態で、そういう点もお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/36
-
037・森元治郎
○森元治郎君 そこで、私はかねがね思うのですがね。日本の国務大臣——外務大臣は一人しかいないが、日本のようにだいぶ仕事の面が広くなりますと、海外担当相というかな、そういうふうに翻訳しておるのだろうと思うのだが、外務大臣があって程度の高い外交方針をきめ、外交折衝をやり、その一方、ことばも達者な身軽な有能な海外担当相、こんなものを内閣の中に一つつくるということも大事だろうと思うのです。官房長官の国務大臣昇格なんというより先だと思うのだな。官房長官の国務大臣昇格というのはおかしいので、昔は、椎名さん御存じのように、官房副長官だのチンピラなんかは閣議に入れないのですよ。大原則を閣僚がきめるのですね。ところが、いまは役人ばかり閣議室に一ぱい入っておるのですよ。みずから程度を下げたということなんですね、国務大臣。どうですか、この海外担当国務相というもので外務大臣のお忙しさを補い、常時密接に海外との連絡をはかる、この案はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/37
-
038・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) イギリスにそれに似た制度があることは御存じと思うのですが、外務大臣のほかに外務省に国務大臣がおる、四人くらい。そのうちの一人が外務次官。あとの三人は、たしか世界じゅうの地域を分けて、アジアはだれ、あるいはアメリカはだれというふうに大体担当をきめておるという制度のようですが、まあそれに似た制度をとれば、かなり専門的にして念の届いた施策が可能になってくると、私はまあ大体そういう趣旨においては——私が賛成したってそういうものができるとは限りませんけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/38
-
039・大和与一
○大和与一君 ちょっと話は古いかもしれぬですがね、沖繩に基地ができるときに、日本人が約四千人くらいですかボリビアに行ったというのですね、移住で。これはたいへんなところでしてね、アメリカからの札をもらって行った日本人ですわね。たいへんな苦労をして死ぬ苦しみをしたそうです。当時わが党の議員が行ったときに、何とか日本人として扱ってもらいたいということを言って、若干改善されたということを聞いておりますが、そのことはどうなっているか。あるいは、その後沖繩から行っている人は、まともな扱いを受けているか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/39
-
040・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 御指摘のとおり、ボリビアのサンタクルスのそばに、沖繩移住地が隣り合って三つございます。現在四、五千名の者がいると思います。初め入植当時は相当苦労されたようでございますが、現在は、アメリカ側のほうからのいわゆる補助金等も相当出ておりまして、現在、ちょうどそのそばに、事業団のわがほうの移住地が——サンファン移住地と言っておりますが——近くにございますが、大体、両移住地とも最近は軌道に乗りつつあるという段階でございます。
なお、沖繩の方でありましても、日本人でございまして、海外の移住地に直接アメリカ側の援助で出ましたけれども、いわゆる在留邦人保護というような観点におきましては、わがほうの大使館でめんどうを見ております。問題はないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/40
-
041・大和与一
○大和与一君 そうすると、そのときは、特別急に、そういうふうな形になったから行ったんだけれども、その後はまだ海外に、沖繩から続々と行ってるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/41
-
042・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 最近はそうたくさんは出てないように思っております。いずれにいたしましても、現在向こうで定着された方が四、五千人いらっしゃるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/42
-
043・大和与一
○大和与一君 そうすると、いまのお話では、最近は日本から行っている移住の人と同じような状態で生活をし、心配ないと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/43
-
044・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) そのとおりでございます。ただ、個人個人の例をあげますれば、いろいろございますと思いますけれども、全体としてはその後順調に伸びておると、かように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/44
-
045・岡田宗司
○岡田宗司君 委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/45
-
046・木内四郎
○委員長(木内四郎君) ちょっと待ってください。さっき渋谷委員から発言を求められております。渋谷委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/46
-
047・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 大臣、時間がないそうですから、基本的な問題について。
アメリカ合衆国を除いた中南米の移住状況を見ますと、昭和三十五年をピークとして激減していると、こうしたことが統計の上からも明らかにされておりますが、政府として今後海外移住というものを必要とするか、必要と認めるか認めないのか、認めるとするならば、その問題に対する基本的な考え方をどのように持っていて、具体的にどう進めるのか、それについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/47
-
048・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 国内の経済の発展に伴って労力が不足がちでございまして、移住者の数が非常に減ったと、しかし、よく調べてみると、青年に、大いに海外でひとつ働きたいというような気持ちを持った者がかなりあるということをわれわれは気がついておるわけであります。そこで、こういう情勢に対処して、従来のように量に重きを置くということでなしに、質に重きを置いて、そして移住先の国々の建設に協力し得る技能を備えた者を送り出す、そうすることが新しい情勢下における新しい移住政策ではないか一こういう考え方をきめまして、最近、そういう点に重点を置いて活動をしておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/48
-
049・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いま私申し上げた中に、政府として今後そうした一つの、いま大臣の説明のあった背景を基本として必要とするかどうか、また、積極的にこれを推進する意思があるのかどうか、これがまだ御答弁がなかったようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/49
-
050・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本といたしましても、いわゆるアジアの先進国の立場から、比較的開発のおそい国々の経済開発、それに協力するという責任を持っておるわけであります。中南米の移民政策というものはぜひそうなければならぬ、そうすることによって、大きな意味における日本の海外発展というもののいしずえを築き、また、日本人に対する認識を十分に深めてもらうということがきわめて大切である。いわば非常に世界が狭くなった、そうして、日本といたしましても、先進国の一員として広く低開発諸国の開発に責任を持つ、そういう意味からいたしましても、こういうことはきわめて重大な問題であるとこう考えて、これは積極的に進出政策というものを今後推進すべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/50
-
051・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いまの大臣のお答えですと、積極的にということでありますし、確かにアルゼンチンやブラジルの国自体としての要望を考えましても、最近技術関係の能力者の移住というものを非常に強く要望しておる、こういう観点からも、特に日本の若い青少年の優秀な人たちを送ることは非常に大事じゃないかということが言えるのであります。
ところで、現在の移住という具体的な業務状況を考えてみますと、はたして理想的に運営されているかどうかということについて、はなはだ疑問とせざるを得ない問題があるわけです。で、監督官庁である外務省として、いま大臣の言われたその趣旨に沿うてその実現化を期そうとするならば、今後どのような対策をお持ちになっていらっしゃるのかお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/51
-
052・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 御質問の趣旨は、その事業団に対する指導の問題でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/52
-
053・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 当然、指導ですね。基本的な問題としては、指導が主体になりますから、指導がありませんと、実際が動かないという関連的な問題が出てまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/53
-
054・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) ただいま大臣から御答弁のありましたように、われわれとして前向きの姿勢で移住を進めたい、そのためには、移住事業団がいわゆる執務体制を確立いたしまして、これは本部、地方、海外支部を含めまして、全体としてそういう執務体制を整えまして、先ほど、一番初めに私から申し上げたような事業団でやっている各事業を積極的に推進さしていくように、外務省としても指導監督したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/54
-
055・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 大臣、時間でしょうから、けっこうですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/55
-
056・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 大臣どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/56
-
057・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 まだお伺いすることが残っておりますが、この次にいたします。
いま局長からお話がありましたように、前向きで今後の指導体制を強化しながら万全の体制を組んでいきたいという趣旨に理解しておりますが、はたして海外移住についての啓蒙宣伝という、そうした実際的な行動の面について万全であるかどうか。これは各都道府県の移住事業団の支部というのですか、出先機関というのですか、の実態を見ますと、わずか二人ないし三名、その中には婦人もいる。これでは啓蒙宣伝というものに万全を期するとおっしゃられても、はたして期待できるかどうかということは、だれでも常識で判断できる問題でありまして、そういう機構上の問題についても、啓蒙宣伝というようなことを強力に押し進めるためには、どうしても母体となるべきそういう問題が浮き彫りにされてくるわけですが、そういう機構上の問題を通して外務省としてはどういう指導をされ、これから督励をされていかれようとするのか、お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/57
-
058・廣田しげる
○政府委員(廣田しげる君) 現在、事業団の各都道府県に置いております地方事務所の定員は、全体で百五十二名ございますけれども、これを機械的に配置するのじゃなく、県によっては多いところで七名、少ないところで二、三名ということになっております。もちろんこれで十分ではございませんので、御指摘のとおり、いろんな各地方事務所としてやることも多いのでございますので、年々これをふやしたいと努力はしておりますけれども、予算の関係等もございまして、思うようにふえておりません。ただ、これを補う意味におきまして、中央、地方、在外の支部を通じまして人事交流をやりましたり、あるいは職員の研修等を行ないまして質の向上につとめたいと考えております。なお、先ほどの、地方におきます手不足のため、地方事務所だけでは十分に啓発宣伝も行なえないので、各地方の公共団体あるいは移住に御関心のある各種の民間団体の協力も得まして強力な業務を遂行していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/58
-
059・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 確かに予算等の問題がありまして十分とは言えないそうした面はわかりますけれども、やはり地方の事務所におきましては、どうしてもそういう制約のもとに採用される職員等の問題につきましても、しょせんは一人で二役三役、四役、五役も引き受けてやらなければならぬという、そういう相当な能力者を配置する必要があるのじゃないか。特に現在潜在移住希望者が約三百万人と言われている。はたしてそれだけいるかどうかわかりませんけれども、そうした希望者があるにかかわらず、何ら具体的な措置が講じられないというその結果を考えましても、いま申し上げたように、啓蒙宣伝の面等について相当大きな盲点が考えられる。その一つは、いま申し上げたような問題でありまして、はなはだしきは二人いるうちの一人が女子職員であり、一人が出てしまったのじゃあと応待にも困る。こんなことでは、前向きの移住政策を推進すると言われても、とうてい期待できないということを感じますので、その点は移住局長が答弁されましたように、強力にひとつ推進をお願いしたい。
それから次に申し上げたいことは、まあ移住事業団の組織を通じての問題なんですが、これはむしろ廣岡さんのほうにお伺いしたほうがいいと思うのですけれども、現在の体制で完全——完全というそのことばに当たらないにしても、きわめて充実された体制に置かれているかどうかということをまず最初にお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/59
-
060・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) ただいま局長から御答弁のありましたように、私も、現在の体制——人員の点から申しましても、また予算の面から申しましても、必ずしも十分であるとは考えておりません。私どもは発足まだ二年八カ月ぐらいでありますので、だんだんとそういう面については充実を進めておりますけれども、これをカバーする意味におきましては、やはり研修をやるとか、あるいはまた海外事情に通暁さすためにできるだけの機会に現地の視察をさせますとか、現に引率者という制度でもって、現地からも内地の事情あるいは内地の考え方を徹底させるために職員を引率者として日本に返すとか、また、こちらの地方事務所の職員もできるだけ向こうのほうに行かせるというような方法等を講じることによって十分にカバーしていく、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/60
-
061・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 最近いろいろな風評を聞く中に、海外移住事業団の職員となられる方の中には、腰かけ的な気持ちで入っておられる方が多い。しかも、その一つの証明になるかどうかわかりませんが、出向者が非常に多いというのですね。そういう点からも、もちろん腰かけ的であってはいけないわけでありますし、何と申しますか、海外移住審議会あたりで答申された内容にかんがみましても、相当情熱を持ってやってもらわなければ困る。これは国の仕事でありますから、言うまでもない。ところが、どうもそういう気配、空気が事業団内部では乏しいのではないかと言われる向きも特にあるんですが、その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/61
-
062・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) 現在、南米における現地採用職員を除きまして、本部、地方事務所、センターを通じまして定員は三百七十二名でございます。その中で、若干ただいま御説明のありましたような出向者が参っておるのでありまするが、これも私の考えといたしましては、まだ当初の段階でありますために、内部事情等から申しまして、出向者を若干採用するということはある期間はやむを得ないと思います。しかし、これはだんだんと経過いたしますにつれまして、いわゆる事業団プロパーの人たちを採用する——まあ、現在年齢的にもそういう時期にまいっておりませんのでありますから、いたしかたはないのでありますけれども、将来においてはそういう方針でもって人事をやりたい、こう考えております。
また、その人たちが非常に情熱的でない、腰かけ的に事を処理する傾向があるのではないかというようなお話であったのでありますけれども、私の見るところにおきましては、それぞれその職に応じまして懸命な努力をなさっておると思っております。また、常に私どもはそういう批判を受けないように十分にお互いに戒節していって職務の運営に遺憾のないようにということは、私ども常に注意はいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/62
-
063・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 私、いまおっしゃられた理事長のことばがまともであるとするならば、次に私が申し上げるようなことが起こり得ることではないということを申しげたいことがあるのですが、一つは、神戸の移住センターで起こった問題の中に、これはたしか廣岡理事長あての手紙があるのです。昇給の問題にからんでリンチ事件が起こった事実はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/63
-
064・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) 昇給といいますか、昨年の十一月に事業団の内部における給与のアンバラ並びに他の事業団、公団等の給与関係から見て是正しなければならぬような体系にございますので、これを是正を、調整をいたしました。その間に、意見の交換ということでございましたでしょうか、若干、遺憾なことでありまするが、暴力といいますか、やったという事態があったようでございまして、私は、いかなる意見の対立があっても十分にディスカッションをする、そうしてお互いに納得させていくというようなことは当然必要だと思いまするけれども、いかなる場合におきましてもいやしくも暴力をふるうということは、これを絶対に避けなければならぬという私、日ごろの考え、信念でもございます。そのことを聞きまして、その者を私の部屋に呼びまして十分に戒飭を加え今後、そういうことが一切ないようにということを注意を与えた事件が一つあったことを記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/64
-
065・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 それは事実あったということをお認めになったわけですが、もう一つは、神戸センターの業務課長が解任になった理由は、どういうことで解任になったのですか。四十年九月かなんかにやめておりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/65
-
066・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) 神戸の移住センターにおけるその事件というものは、ただいまお話がございましたけれども、解職したという……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/66
-
067・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 解職か、あるいは本人が辞職願いを出したか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/67
-
068・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) 本人の都合によりましてやめたいと——それは神戸の移住センターじゃございませんで、群馬県の群馬県にございますが赤城研修所に勤務いたしておったのでありますが、本人はそこへ行くことを非常に喜びまして、大いにこれから張り切ってやるということを言っておったのでありまするが、どういう理由でありますか、やめたい、自分の父親が病気であると、それで、帰って看病しなければならぬからやめたいという理由でもって私のほうへ申し出たのであります。このことにつきましては、担当の者からも再々慰留をいたしました。にもかかわらず、そういう理由で本人が自発的に退任をいたしたのでありまして、われわれのほうでそれを何らかの理由で事をかまえてやめさしたというような事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/68
-
069・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いまの御説明は、私が聞いているその話とはだいぶ方向が違いますけれども、私は事実を確認しているわけじゃありませんから、その問題はその程度にしておきますが、そのほかにも背任事件のようなものが起こったり、これはもう日本だけではなくして、もう現地のほうでも公金を着服したなんていう事件が起こっているようでありますが、そういうような事件が起きなければならないという事業団内部の空気というものを私は心配するのですが、なぜそういうことが起こらなければならないのかという問題、いま理事長はそういうことのないように善処していきたいという話もあったようでありますけれども、とにかく、われわれとしても非常に移住問題を重視しておりますので、入ってくる話というのは決していい話は入ってこないですな、材料が。特に最近若い人たちが採用になって、希望に胸をふくらませて国家的な意義のある仕事を積極的にやっていこうと、こういう決意に燃えてやろうとしても、先輩の幹部の人たちに、どうしても出ばなをくじかれるというような空気が非常に強いというようなことも聞いておるわけです。そこに何らかの目に見えない一つの派閥的な流れがあるとか、あるいはそうした若い人たちが情熱を持っているにかかわらず、先輩幹部の職員の人たちが、口では理にかなったようなことを申しましても、実際問題として、いろいろなそういういまここにあげただけでも——まだ資料持っておりますけれども、事件が起きなければならぬというところに、きわめて事業団内部に対する不明朗なものを感じると、したがいまして、そうした問題について、今後、最高責任者である理事長が、どういう決意とそれから抱負を持って対処されるのか、まずそのことをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/69
-
070・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) 申すまでもなく、移住事業団の仕事は移住者を対象とし、その人たちの将来の福祉の向上、生活の安定ということにできるだけ協力し、指導していくという人道的なものを含んでおることは申すまでもないことであります。したがって、この事業に従事いたしまする者といたしましては、まずその移住者のためによかれと思うようなことにつきましては、十分に慎重に、また積極的にあらゆる面で協力をすべきである、また適正な指導をやるべきであるというように考えておるのでありますが、御承知のように、この事業団が発足いたしましたのは、従来の海外協会連合会及び振興会社という二本の事務を統合承継いたしたものであります。また、その当時の両方の職員をそれぞれ適当に採用いたしましたのでありますが、また、地方事務所設置にあたりましても、地方海外協会なり、必要な場合、県のほうから事務の供出を受けたということもございます。また、在外におきましては、本部の派遣職員と、現地で採用しておりまする日系の職員というものが組になって働いておるというのが事業団の内部の現状でございます。したがって必ずしも一その間に気分が一致するとか、それぞれのニュアンスを持って入ってまいりました関係もございまして、これを事業団の目的に糾合いたしまして事務を処理していくという間に、あるいはただいま御指摘のあったようなことからして若干明朗を欠くというようなことがなきにしもあらずであったと思うのでありますが、私はこういう気分を一新する、私の就任以来の念願は、そういう事情でありまするだけに、このもやもやした気分を一新さして、清新はつらつな精神のもとに、前向きに移住振興の革新のために努力するということでもって当たってまいっておるのであります。なお、若干そういう点が起こっておるとも思いまするけれども、私どもの考えるところを職員の諸君もだんだん理解してくれておりまするし、若い職員を採用もいたしておりますので、これら職員が、今後において打って一丸となった体制のもとに、このようなことのないように十分な指導につとめてまいるという所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/70
-
071・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 理事長のいま述べられたその決意をどこまでも具体化していただきたいということを切望いたします。
つい先ごろですか、新入職員の歓迎会のときかなんかに、理事長は非常におおらかなところを見せられて、困ったことがあったら何でも相談に来いと言われて、さっそくある職員が自分の一身上の問題かどうかわかりませんけれども、ぜひ理事長にお目にかかりたいということで、秘書役かなんかを通して取り次いでもらおうとした。そうしたら、君みたいな者はとうてい理事長になんか会う資格はないんだというような意味のことを言われて、けんもほろろな扱いをされたというようなこともある。そういうことは理事長の耳に入らないで、せっかく理事長がそういうような非常にりっぱな考え方を持って臨まれようとしているにかかわらず、幹部であるからといって、今度一般の職員のそうした希望なりというものを踏みにじるような空気があるならば、これまた、先ほど来から申し上げておるような結果を招かないと限らない。やはり一職員に至るまで、ほんとうに情熱を傾けてやろうとするからには、そういう人たちの建設的な意見というものに耳を傾けていただきたい。あるいは途中の部長か課長が悪いのかそれはわかりませんけれども、神さまじゃないんですから、対等の立場でそういう意見をどんどん取り上げて、事業団が充実した、整備された組織と機構をもって対処してもらいたいと、こう要望します。どうですか、理事長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/71
-
072・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) ただいま事例として御指摘になりましたことは私の耳には入っておりません。あるいはそういうことがあったとすれば、それは私の本旨ではないのであります。われわれとしましては、相当——私自身も、先ほど申しましたように、若い諸君には特に注意をいたしておるのでありまして、彼らの意見を聞き、私の考え方を述べて、ともにこの強化のために進んでいくということが私の望むところでありますけれども、そういうことがもしあったといたしますれば、十分に注意をいたして、今後そういうことがないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/72
-
073・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いままで申し上げたことは、主として——国内における問題でありますが、現地の場合においてもむしろもっとひどい、つまり、目が届かないところで仕事をやっておるわけですから、あるいは最高責任者の支部長あたりがでたらめなことをやらないとは限らない、そういうことも想像できるわけです。一番困るのはだれかというと、移住者です。これは当然の問題だろうと思うのですがね。いままでもそのためにどれほどいやな思いをしながら苦しんできたかという移住者の声も聞いておるわけです。そこで、現地におけるそうした支部長なり本部の職員ですね、大体いまどの程度の期限でもって人事の交流を本部とやっているのですか。やっぱり清新の気をみなぎらせるためには、当然人事の交流等も可及的に行なわなければならない場合も出てくるであろう、このように思われるのでありますが、この点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/73
-
074・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) 従来はかなり人事が停滞いたしておりました。したがって、六年、七年同じところに勤務しておるという人もおったのでございますが、やはり人事刷新、交流という意味から申しましても、最近は三年ないし四年というぐらいの見当でやっていこうということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/74
-
075・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 私が申し上げるのは、ほんとうに優秀で移住者のために献身的な働きをしてくださる方であるならば、五年なり十年いても一向差しつかえないと思う。ところが、お山の大将になってしまって、あるいは公金を横領しかねない、そういうような行動をやったり、移住者のそういう苦しみというようなものを何ら受け付けてくれないというようなものが、現地の新聞やなんかを通しましても見ないという、そういう事実はないんです、いままで。そうした場合に、今度事業団の本部として的確な判断のもとに直ちに解職するとか、あるいは本国に呼び寄せるとか、そういう処置がとられていなかったという向きがあるように感じられるわけです。そうしたような問題が起こった場合、今後どういう処置をされていかれるのか、その点について特に最も密接な移住者との関係を持つ現地の支部でありますから、その点を明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/75
-
076・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) 繰り返して申すようでありますが、私といたしましては、責任体制の確立ということ、それから、それの裏付けとして、信賞必罰というようなことが柱になるべきものだと思います。新聞等に伝わること、必ずしも当を得たものと私考えておりません。事実を曲げて報道されておるということもあるようでございますが、しかし、事と次第によりまして、もし万一そういうようなことがありといたしますならば、先ほど申しましたような点から十分に注意を喚起するなり、あるいは信賞必罰という点でもって臨みたいというようなことについては、私はやぶさかでないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/76
-
077・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いまの理事長の今後の方針について、着実にそれは実行されていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
で、時間もだいぶ過ぎましたので、どうかと思いますが、次にお伺いしたいことは、最近の日本の移住状況を考えてみますと、イタリアであるとかあるいはその他の国々の移住者と比較いたしまして、ほかの国々は非常に現地の人たちとの交流、溶け込み方も早い。そのために経済的な自立関係もわりあいにスムーズにいっているということを聞いておりますし、実はそうであります、現地に行って見た場合。ところが、日本の場合は、何か隔絶された地域にほうり出されてしまって、現地人との交流も一全くない。しかも手持ちのお金はない。また土地が荒れているためにいろいろな化学肥料を使わなければならぬというようなことで、どうしてもそうした点を解決するためには、現地のいわゆる相手国とのいろいろな折衝というものも必要になるでありましょうし、また、融資の問題、機械設備の貸与の問題、いろいろなそういうような問題がいまだに解決されないままに今日まで来ているということ。大体どこの国もそうであろう。ブラジルは非常に日本人も多いというような観点から、相互援助の関係でもってどうやらやっておるようでありますが、それもアマゾンあたりの奥地に入ってまいりますと、それがもう全然ほかの地域と同じである。むしろそれ以下である。あるいはウルグァイ、ボリビア、アルゼンチン、ペルーにいたしましても、どこの国を見渡しても、条件はほとんど変わりない。いま申し上げたような未解決の問題をかかえて非常な苦しみをしている。そういうことで苦情を訴えてこられるような手紙を受けております。事業団として、そうしたような一番解決を急がなければならない、たとえば肥料の問題であるとか、あるいは機械設備の貸与の問題であるとかはどうされるのか。いままでの国会審議の答弁では、たとえば融資の問題にしても、その回収が実際できないということから制約を受けて、それも行き詰まっている。じゃせめて機械設備であるとか、あるいは肥料の延べ払いによる支払いを認めるとか、そういうような抜本的な強力な態勢というものが望めないのかどうか、そうした点について概要を、今後の対策の一環として御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/77
-
078・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) お話のように、現在移住地におきましては、それぞれ入植条件あるいは気象その他の立地条件あるいは作物のいかんというようなことによりましてさまざまであります。よくいっておるところもありますし、まだまだその過程にあって十分成果があがらないというところもございます。私どもといたしましては、その立地、実情に即するような、また臨機にそれをとり行なっていきますような態勢のもとに考慮してまいる方針であります。いろいろお話がございましたが、たとえば移住地の環境整備の一環といたしましては、どうしても教育とかあるいは医療、衛生というような面につきましても十分な配意をしていかなければならぬ問題があるわけであります。また、営農上からいたしましても、農作物一辺倒、米一本やりというようなことでまいったようなところでは、これをあるいは畜産導入による多角経営の方向へ指導していくとか、あるいはまた、生産物に加工を加えて適当な工場に転換をはかっていきますとか、あるいは機械化を取り入れてできるだけそのコスト・ダウンの方向へ考えてまいらなければならぬとか、いろいろございます。また、融資の基準につきましても、現在やっておりまする基準ではたして実情に合っているかどうかということも検討いたしますると、必ずしも間尺に合わないような段階に来ているのではないか。したがって、これらにつきましても、外務省あるいは大蔵省と十分協議をいたしまして、もう少し伸縮性のある、弾力的な基準にこれをかえる。土地分譲条件等につきましては、ある程度これを緩和する方向へ——多分四月一日以降実施できると思うのですが、それとあわせて、一般農業融資基準につきましても、ただいま外務省を通じ大蔵省に改訂方を折衝中でございます。そういうように、各方面にできるだけ要求いたしまして、移住地の整備育成並びに移住者の定着安定のために、あらゆる施策を通じてやっていくというように今後も続けてまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/78
-
079・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いまの問題に関連して一つの実例があるのですが、これはドミニカに起こった問題ですが、非常に畑地が荒れているために、どうしても化学肥料の高価なものを使わなければならないということで、三井物産を通じてその点を要請したらしいのです。三井物産のほうでも非常に好意的にこれを取り計らってくれた。ただし、代金の支払いについては移住事業団の保証を必要とする。ところが、事業団としては保証はむずかしいということで、これが未処理のままになっているという状況なんですが、これは、そういう問題については、事業団としては、いわゆる延べ払いの条件なんでありますが、保証はできないような仕組みになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/79
-
080・廣岡謙二
○参考人(廣岡謙二君) 担当の丸山理事からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/80
-
081・丸山幸一
○参考人(丸山幸一君) その事実については、私どもはまだ承知をいたしておらないわけでございますが、若干想像でございますが、肥料等の購入資金については短期営農資金でございますが、融資の制度があるわけでございます。三十万円程度貸せるというシステムになっております。したがって、こちらから融資をして、それで三井なら三井の商社に払ってやればいいわけです。それを保証ということになりましたのは、あるいは、想像でございますが、融資限度の三十万円をオーバーしている。したがって、キャッシュの融資はできないから保証というようなことにあるいは相なったのではないかというようなことが考えられるわけでございますが、あえてドミニカのみならず、保証全体の問題について、事業団法の中には保証ができることになっております。ただ、この運用等につきまして、ブラジルにおいても、アルゼンチンその他についても、この運用等につきましてなお若干検討を要する点がございますので、まだ本格的に実は保証に踏み切っておらないわけでございます。そこで、御指摘のような点があったのではないかと思いますが、この融資ワクの問題について、先ほど理事長から御答弁申し上げましたが、融資のワクの問題について、全体のワクを広げるというようなことで、現在監督官庁である外務省及び大蔵省と数回にわたって現在協議中でございまして、近いうち大体前向きで結論が出るのではないかというように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/81
-
082・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いま、よくこの問題については存じていないというような意味のことを申されましたが、これは一九六六年二月四日に三井物産からドミニカの移住者に対しての手紙があるのです。それによりますと、肥料代金の延べ払いに対する海外移住事業団の保証に対し、早速同事業団を訪問し種々打ち合わせをいたしましたが、事業団事業第二部の結論として、こうある、これは知らないということはおかしいです。二月四日のことですよ。知らないとするならば、機構上によほどおかしい点があるのかどうかですね。報告が全然担当理事のほうになされていないのかどうか、それではあまりにも無責任過ぎるし、かわいそうじゃないかという気がするんですよ。いまのお話ですと、保証ができないことはないということになれば、もっと弾力的な考え方をもって、もっと積極的にその解決に当たってあげるべきじゃないか、切実な願いがあるのじゃないか。この手紙ごらんにいれてもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/82
-
083・丸山幸一
○参考人(丸山幸一君) 失礼しました。実は私は融資を担当いたしておらないのでございまして、業務を担当しておりますので、ほんとうに申しわけございません。したがいまして、さっそくよく実情調査をいたしまして善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/83
-
084・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 まあ、事ほどさようにということがありますけれどもね、いろいろ担当部門も違っているだろうと思うのです、理事の方々は。しかし、わずか百五十名そこらの諸君を統率する理事なんですから、もっと連帯感に立って、こうした問題等についてはもう知悉しているというくらいでいいのじゃないかと私はそう思う。しかも、先ほどの理事長のお話をまた繰り返して恐縮でありますけれども、非常に理事長としてはいろいろな考え方を持っていらっしゃる。にもかかわらず、私はその担当じゃないからと言われたら、これは移住者がかわいそうになっちゃう。こんなことがこんなにしょっちゅう繰り返されていたんでは、何のための一体海外移住なのか。それでなくても、欧州先進国と比較をされて、日本の移住政策はなっていないと、こういうふうに言われているその昨今であります。ですから、そうした問題、ドミニカに限らず、いま申されたように、この保証問題については切実な思いで待ち望んでいるのだと、こう思うのですね。もうとにかく地域的に見ても相当離れた距離にある国でありますから、ちょっとおくれてもすぐ一カ月、二カ月たっちゃう。向こうのほうでは一日も早くやってもらいたいという気持ちなんですね。それを推進するのが事業団の役目であるわけなんですから、もっとこの点について責任を持ってお進めいただきたい。このように特に希望しておきたいと思うのです。
で、こまかい問題等はまだたくさんありますけれども、本日は大要だけを質問いたしまして終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/84
-
085・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 他に御発言がなければ、本日は、本案に対する質疑はこの程度にいたしたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00419660329/85
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。