1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十二日(火曜日)
午前十一時二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 木内 四郎君
理 事
草葉 隆圓君
長谷川 仁君
増原 恵吉君
森 元治郎君
委 員
鹿島守之助君
笹森 順造君
廣瀬 久忠君
岡田 宗司君
佐多 忠隆君
羽生 三七君
渋谷 邦彦君
国務大臣
外 務 大 臣 椎名悦三郎君
政府委員
外務大臣官房長 高野 藤吉君
外務省アジア局
長 小川平四郎君
外務省条約局長 藤崎 萬里君
事務局側
常任委員会専門 瓜生 復男君
説明員
外務省大臣官房
外務参事官 内田 宏君
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本日の会議に付した案件
○在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査(国際情勢に関する件)
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001・木内四郎
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
まず、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案の二法案を便宜一括して議題といたします。両案に対する提案理由の説明はすでに聴取しておりますので、これより補足説明を聴取いたします。なお、両案につきましては衆議院で修正議決されておりますので、この際便宜政府当局から修正点についても御説明を願いたいと思います。内田総務参事官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/1
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002・内田宏
○説明員(内田宏君) 御説明申し上げます。
在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につき補足説明をいたします。
この法律案につきましては、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の別表を改正することによりまして在勤俸の支給額を改めますとともに、これに伴い必要な若干の付随的規定を設けているものであります。
在勤俸支給額の改正につきましては、現行のものは昭和三十七年四月に改正されて以来四年間据え置かれておりますが、この間に世界各地とも物価、生活条件等の変動が生じております。その結果といたしまして、現行のものは、額自体について見ましても、また、各任地間の給与の均衡という見地からも種々の不合理を生じており、これを是正して在外公館の活動を補強するためにも、ぜひとも在勤俸の支給額を改正することが必要となった次第であります。
今回の改正案の要点は次のとおりであります。わが国の在勤俸の基準額となっております在米大使館における九号俸——これは官補級でございます——の単身在勤者に支給されます給与額は現在三百六十米ドルでありますが、これを一〇%べースアップいたしまして三百九十六米ドルといたします。その結果といたしまして、同大使館における三号俸——これは一等書記官級でございます——三号俸以下の職員は一律に一〇%のべースアップとなり、特命全権公使は一・二四%、一号俸(参事官級)及び二号俸(参事官及び一等書記官級)は、それぞれ三%及び五・六%のべースアップとなります。特命全権大使の給与につきましては、今回は据え置きといたしました。
在米大使館におきます九号俸単身在勤者に支給される額を基準として定められております現行の各地の地域差を全面的に再検討いたしまして、必要な改定を行ないました。特に西アフリカ、中近東及び中南米の一部の地域にあって、種々の条件の悪い勤務地におきます給与を特に厚くいたしまして、地域差の最高限を在米大使館における場合に比し、現在の二割六分増より四割増にまで引き上げました。その結果といたしまして、各公館により昇給率に若干の相違がありますが、全公館平均をとりますと、号俸別での昇給率としましては、公使一・六%一号俸二・三%、二号俸約七%、三号俸以下は約一〇%と相なる次第でございます。
次に、在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案につきましては、すでに提案理由説明書により詳しく申し述べてある次第でございますが、さらにこれを補足する意味で御説明いたします。
まず、アフリカ西海岸のガンビア大使館の新設は、わが国の、アフリカ新興独立国には進んで外交関係を設けて親交を深め、アジア、アフリカ諸国との関係をますます緊密化していこうとする政策に基づくものであります。
在シンガポール総領事館の大使館昇格につきましては、すでに昨年八月のシンガポールの独立以来半年以上を経過いたしておりまして、同国のアジアにおける重要性にかんがみ、この際ぜひともこの実現をはかりたい次第でございます。
また、中華民国の高雄、オーストラリアのパース、ソビエト連邦のナホトカの各総領事館の新設は、いずれも提案理由説明の際に申し上げましたとおり、それぞれアジア及び太平洋地域において、わが国との通商関係その他、今後もますます関係が緊密化し、重要性を増す地域でありまして、ぜひとも総領事館の設置を必要とするものでございます。
次に、米国北西部のポートランド領事館の総領事館昇格、カナダのエドモントンの領事館新設は、前者については、わが国の対米貿易の重要性はもちろんのこと、米国にあるわが国公館がすべて総領事館であるのに比し、ポートランドのみが唯一の領事館であるところから、現地米側官憲等も総領事館への昇格を強く希望している次第であります。また、カナダのエドモントン領事館の新設は、同地域の経済的重要性と今後の発展にかんがみ、ぜひとも領事館を新設し、同地域へのわが国の経済進出をはかる必要があるのであります。
最後に、釜山領事館の総領事館昇格につきましては、釜山地域が韓国産業の一大中心地として今後ますます発展することが予想されるほか、釜山は韓国唯一の貿易港で、全貿易の約半分が同港を通じて行なわれ、さらに漁業の中心地でもあり、その韓国経済における重要性は、あらためて申し述べる必要はないと思われます。一方、日韓漁業協定の実施、紛争の処理、海難の救助、多数の二重国籍者、企業進出に伴う商社駐在員等にかかわる領事事務の処理等、公館の任務と処理事務は今後ますます増加することが予測されますので、ぜひとも総領事館に昇格する必要があるわけでございます。
以上、提案理由の補足説明でございますが、ただいま委員長から御指示がございましたが、本案は年度内に成立できませんでしたので、衆議院において採決されました際に修正を受けております。衆議院で修正済みで参議院に付託されております議案につきましては、在勤俸につきましては四月一日に遡及します。それから、名称、位置のほうにつきましては、施行の日からというふうに修正がついて本参議院のほうに付託されておることを申し添えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/2
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003・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 以上で説明は終了いたしました。
御質疑のおありの方は、順次御発言願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/3
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004・森元治郎
○森元治郎君 参考のために伺っておきますが、世界で国の数——独立国のですね、それから、日本とまだ国交のない国。数は少ないと思うから、国名を教えてもらいたい。
それからもう一つは、ネパールには大使館を置くことになって、大使がおらない。インドの兼轄になっているかと思うのだが、その事情はどうなっているか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/4
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005・内田宏
○説明員(内田宏君) お答え申し上げます。
わが国が独立国として認めている国の数は、百二十四カ国でございます。
それから、ネパールにつきましては、インドの兼轄地域になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/5
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006・森元治郎
○森元治郎君 ネパールに置くつもりがあるのかないのか。そういうことを大蔵省に要求したことがあるのかどうか。それから、独立国として認めているもの百二十四ですが、その他国として国交のないものもあるのだろうが、その全部の数と国名。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/6
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007・内田宏
○説明員(内田宏君) まずネパールにつきましては、実は当初の概算要求の際には要求したわけでございますけれども、本年の財源の窮屈さその他の関係から数を減らさざるを得なくなりました次第で、ネパールは最終的には本年は置けないということでございますけれども、ネパールに実館を置くという方針には変わりはございません。
それから、森委員の御質問の国でございますが、わが国が国として認めております国は、百二十四カ国でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/7
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008・森元治郎
○森元治郎君 そうじゃなくて、それはわかりました。国交のない国もあるのだろう。たとえばモンゴルなんかはないし、そういうほかに国と名のっているものが幾つ残っているのかな、世界に、きょう現在。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/8
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009・内田宏
○説明員(内田宏君) 正確には条約局長の御答弁がよかろうと存じますけれども、わが国といたしましては、国として認めているのは先ほど申し上げた数でございまして、あと、政権が存在しております事実はございましても、わが国として承認していないものがございますので、先ほど申し上げましたように、わが国が独立国として認めているのは百二十四カ国、こう申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/9
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010・羽生三七
○羽生三七君 それは全部国交を持っておるの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/10
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011・内田宏
○説明員(内田宏君) これは兼館等もございまして、実館はないところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/11
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012・羽生三七
○羽生三七君 いや、館ではなくて、国交は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/12
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013・森元治郎
○森元治郎君 外交というのは、アメリカとかソビエトばかり見ているのが外交じゃなくて、地球の裏表全部平等に目を届かしているのが外交なんですよね。国が幾つあるのだかわからないのじゃ外交にならんのだな。北ベトナムもないし、モンゴルもないし。いろいろ時間とるから、そんなことは調べて来なさいよ。きょう議題となっているのは、在外公館の名称、位置だから、すっとんきょうな質問をしているのじゃなくて、ぴったりした質問なんだな。だめだよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/13
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014・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 速記とめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/14
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015・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/15
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016・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 国としての存在は認めておりながら国交を持っていないものとしては、現在私がすぐ思いつくのはアルバニアだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/16
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017・羽生三七
○羽生三七君 モンゴールと北ベトナムは。そういうのは何だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/17
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018・岡田宗司
○岡田宗司君 あれは国じゃないの。認めてないというのは、国じゃないというの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/18
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019・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) アルバニアの場合には、国があるということは法律的にも全然規定しておらないわけでございますが、これは実際上国交を開く必要もないために開いておらない、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/19
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020・岡田宗司
○岡田宗司君 モンゴリアはどうするんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/20
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021・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) モンゴリアの場合には、国連に加盟の承認を行ないましたときに、全会一致で承認をされた。そのときに日本としては事実上承認したものと考える、そういうことであります。したがって、まあ外交関係を持っていないことは事実でございますが、そのときすでに事実上承認いたしておりますので、何らかの国家としての行為を行なおうと思うならば行なえる状態にはなっておると、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/21
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022・岡田宗司
○岡田宗司君 それはいいんだけれども、それは国なのか、国でないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/22
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023・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) モンゴリアは国でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/23
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024・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/24
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025・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/25
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026・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) モンゴリアは百二十四カ国の中に入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/26
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027・森元治郎
○森元治郎君 私の聞いているのは、しろうと的、小学校の教科書みたいなことを聞いておるわけだ。世界で国といわれておるものは、国交があろうとなかろうと、国といわれているのは幾つぐらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/27
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028・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 国といわれているものということばの意味でございますが、日本政府として国と認めておるものということならば、はっきり先ほど来申し上げているように御答弁申し上げられるのでございますが、世間では常識的に、日本政府が国と認めていないものも、みずから国と称し、また一般にこれを国と認めている向きもあるわけでございます。そういうものを勘定するとなると、明確には答えにくくなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/28
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029・森元治郎
○森元治郎君 それは明快にしてもらいたいですね。世間が、よその国が言っている、あるいは自分で独立したと言っている、そういう国は幾つあるか、ひとつ大至急調べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/29
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030・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) つまり、日本のほうではいわゆる分裂国家のうち、西ドイツあるいは南ベトナム、大韓民国、中華民国を国として認めている。それに単純に、その反対側のものを足し算で足しまして、東ドイツ、北ベトナム、朝鮮民主主義人民共和国、それから中華人民共和国、こういうものを足して、その総計ということになると、ちょっとまた事態が不明確になるわけでございます。というのは、反対のほうを認めている国は、こっちが国として認めているものを国として勘定しておらないわけでございまして、それを全部総計したものを国として扱っている国は、世界じゅうに一つもないことになるわけでございます。そこに常識論といわゆる政府の立場で国として見るものとの食い違いが出てきますので、単純な算術でやるわけにいかないことが出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/30
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031・森元治郎
○森元治郎君 そういう条約局長のむずかしい理屈は別として、これを整理して出してください、資料として。たとえば北ベトナム分裂国家はあるし、北京の中華人民共和国はあるし、北朝鮮、それからアルバニア、たくさんあるわけですね。そういうのを出してみてくださいよ、数で、表にして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/31
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032・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/32
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033・羽生三七
○羽生三七君 いまのモンゴールのことで、これは国連加盟のときに全会一致で承認したので、事実上も日本もその際承認したので、国交を開こうと思えば開ける条件の中にあるとおっしゃったのですね。それをなおかつ国交を開かない理由はどこにあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/33
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034・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) これはまあ私、政治的なことは抜きにしまして、実際に日本政府として実館を開いて外交関係を持つというのは、それの必要がある国に持つわけでございまして、もう事務的に申し上げますと、そういう優先順位からいってそこまでに及んでいないと言うのが一番正確じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/34
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035・羽生三七
○羽生三七君 そうすると、実館を置くかどうかの必要性だけで、事実上モンゴールとはいつでも正式な−国連を通じての事実上承認ということでなしに、正式の外交関係を持つ、また持たなければならぬと思うのですが、その点は外務大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/35
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036・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは法律上の障害は別にないと思います。政治的に国交を開く必要があれば置ける、こういう状況だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/36
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037・佐多忠隆
○佐多忠隆君 新聞の伝えるところによれば、モンゴールとの間に国交を回復する準備をしておられるというようなことが伝えられておりましたが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/37
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038・羽生三七
○羽生三七君 墓参の問題や何かいろいろ兼ねて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/38
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039・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは別に、ここへきてモンゴールと国交を開くというような問題について具体的に問題にしておるわけではございまません。以前からこれに対しては、一つの懸案といえば懸案、そういう状況に置かれておる。ここへきて特別の意味をもって検討するというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/39
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040・佐多忠隆
○佐多忠隆君 特に墓参団を派遣するとかあるいは生存者を調べてもらうとかいうような意味において、政治的な交渉が必要になっているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/40
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041・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ政治関係を抜きにして、人道問題として墓参の申し入れをしようかという考え方を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/41
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042・羽生三七
○羽生三七君 それでまあこういうことを言うのはどうかと思うけれども、あまり聞いたこともないような国ともどんどん国交を回復しておるのに、一番近いところにおって、いま出たような問題もあるのに、あえて積極的にならない理由がぼくにはわからない。アジアで一番近いところにおる国で、しかも国連で全会一致で承認されておる国となおかつ国交を開かないという、いかにも、幾ら実館を置く事実上の必要に迫られておるわけじゃないということを言っても、それじゃどうも説得力がないわけですね。何かあるんじゃないですか。なかったらさっさとやったらいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/42
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043・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) とにかく、そういう意味においては懸案の事項であることは間違いございませんが、いま急いでこれを認めようというような研究はまだいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/43
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044・佐多忠隆
○佐多忠隆君 アメリカがモンゴールに対してはどういう関係なり態度をとっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/44
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045・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) アメリカも国連の加盟に関する決議の場合には異論を唱えなかったわけでございますが、それについて、異論を唱えなかったことの意味合いをどういうふうにつけるかということは、法律的にはまあその国のかってでございまして、おれはあのとき異論を唱えなかったけれども、全然承認の意思もないのだという立場をとることも理論上可能なわけでございます。このモンゴリアの場合について合衆国政府が現実にどういう立場をとっておりますか、私、公表されたものを何も存じません。それはもう、いかような立場をとることも可能であるというふうにしか申し上げられないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/45
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046・佐多忠隆
○佐多忠隆君 そうすると、日本と同じように、事実上の承認はしているけれどもそういう国交はいまだ回復していない、こういう状態ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/46
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047・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) そういう立場をとっておるということも可能でございます。一つの可能な立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/47
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048・佐多忠隆
○佐多忠隆君 現実にはどういう状態にあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/48
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049・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 外交関係を持っていないことは、これはもう事実でございますが、外交関係を持っていない現在の状態をもってどういうふうにアメリカ政府が見ているかということについては、はっきり承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/49
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050・岡田宗司
○岡田宗司君 第一次世界大戦の後にモンゴルが独立をしたとき、それまで宗主権を持っていた中華民国がそれを否認している。おそらく台湾政府はいまもそういう立場をとっている。この台湾政府がモンゴリアを承認しない、このことが日本なりあるいは他国が——まあアメリカもそうでしょうが、アメリカあたりがモンゴリアを承認しモンゴリアと外交関係を持つことに対して異議を唱えている、これが影響しているのじゃないかと私は思うのですが、その台湾政府のモンゴリアに対する態度、それから日本なんかがこれを認めようとすることに対して台湾政府はどういう態度をとっているのか、その点外務大臣どうお考えになっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/50
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051・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) まず事実関係は事務当局から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/51
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052・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 事実関係としましては、中華民国はモンゴール共和国を承認しておりません。モンゴールのほうも、実はこれは想像でございますけれども、中華民国に承認してもらいたいというわけでもないだろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/52
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053・羽生三七
○羽生三七君 そうすると、国連で台湾が反対したのかどうなんですか。国連では全会一致だから、棄権したの、どうしたの、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/53
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054・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 中華民国は棄権をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/54
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055・岡田宗司
○岡田宗司君 それから、いまのお答えでは、台湾も承認していないけれども、モンゴルも承認を、つまり中華民国から承認を欲していない、これは一つの事実でしょう。けれども、そのことが、たとえば台湾政府はモンゴリアを承認していないのだと、他国がモンゴリアを承認するときに、あるいは承認したときに、台湾政府は抗議をしておるかどうか、それからまた、日本がそういう意思表示をするようなことについて、あるいはあらかじめ台湾のほうから、そういうことは台湾としては承服できないのだというような意味の何か意思表示があったかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/55
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056・藤崎萬里
○政府委員(藤崎萬里君) 最初のは国連決議のときでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/56
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057・岡田宗司
○岡田宗司君 いや、国連決議ばかりでなくて、一般的にどこかの国がモンゴリアを承認した場合に台湾政府から抗議をしたことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/57
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058・小川平四郎
○政府委員(小川平四郎君) 特に台湾政府から他の国が承認した場合にその国に異議を申し立てたかどうかということは、承知しておりません。それから、わが国に対しては特にそういう申し出はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/58
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059・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、国連にモンゴリアが加盟するときに台湾政府が棄権をしたという事態、あるいは他国がモンゴリアを承認したときに反対を唱えなかった、あるいは異議の申し立てをしなかったというようなことからすれば、日本がいまモンゴリアを直ちに承認しても、台湾政府が日本側に抗議をするの反対をするのということもあり得ないと私は思うのですがね。その点はどういうふうに御判断なされますか。これは外務大臣の御判断だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/59
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060・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) モンゴルを承認しておる国は、共産圏の国以外にイギリス、それから北欧等もこれを承認しております。こういう場合に台湾政府がこれに対して抗議を申し入れたという事実はないようであります。
それから日本がモンゴルを承認するかしないかということは、これは日本の独自の判断でやり得ることでございまして、もしこれを承認することが国益に合致するというのであれば、別にあらかじめ台湾政府の意向を打診する必要は私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/60
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061・岡田宗司
○岡田宗司君 中川大使がモスコーでモンゴル大使と会われて、そして墓参の問題だのあるいは生存者の確認の問題だので話し合いをされたということが伝えられておるし、向こうもそれをモンゴルの政府に報告をして、そして回答をしようということになったというお話ですが、いままではモンゴルとの間にはごくわずかの貿易があるだけでほとんど限られておる、人の行き来も他の共産圏の国と比べるとたいへん少ないというような状況ですが、今後外交関係を持つということについて、いますぐ手続をとられないにしても、事実上の関係を深めていくという方針をおとりになるのかどうか。すでに大使の接触を始めたということは、その第一段階であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/61
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062・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 今度の墓参の申し入れ、それから、御指摘のとおり、ごくわずかでも物資の交流が行なわれておるというこの事実の関係については、これはもうすでに行なわれておることでございます、程度の差はございますけれども。これを否定する考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/62
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063・岡田宗司
○岡田宗司君 いや否定はできないことなんでしょうが、私の聞いているのは、モスコー駐在の日本大使が、とにかく初めてモンゴルの大使と会談をして、正式にそういう問題について会談をし、モンゴル政府に申し入れたということは、まあ国交を開くということをいますぐやるのではないにしても、事実関係を前進させようとしておるのかどうかということをお伺いしているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/63
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064・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 事実関係を積極的に前進させなければならぬということになりますと、いろいろ研究する問題もございますけれども、しかし、これは自然の成り行きにまかして、墓参の必要があれば墓参の申し入れをする、それから、なお現在以上に物資の交流をする必要があればまたこれも認める、こういう程度でございますが、さらにこれを積極的に前進させるかどうかということにつきましては、まだ十分に研究をしておりませんのではっきり申し上げるわけにいかない、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/64
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065・岡田宗司
○岡田宗司君 いままでは公式に日本の大使なりなんなり、日本政府の代表者がモンゴル政府の代表者と話し合ったということはなかったでしょう。そうすると、それが初めて今度行なわれたということは前進ということじゃないんですか。前と同じなのか、あるいは後退なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/65
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066・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ前進といえば前進、自然の成り行きに従っておるといえば自然の成り行きに従っておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/66
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067・岡田宗司
○岡田宗司君 もしそれじゃモンゴル政府のほうから好意的な回答がもたらされて、それに基づいて日本政府がみずから墓参団なんかを派遣するというような措置をとったら、これは前進と解されるんですか、解されないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/67
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068・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは前進だと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/68
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069・岡田宗司
○岡田宗司君 これでやめておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/69
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070・佐多忠隆
○佐多忠隆君 モンゴリアの承認の問題が、数日前に期せずしてアメリカでもそれを考え、いろいろな手続的な準備をしているということが報ぜられ、ちょうど同じときに日本でもそれをやっているんだというふうに新聞でも報ぜられたと記憶するんですが、その辺は新聞の誤報なんですか、事実何か若干準備しておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/70
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071・小川平四郎
○政府委員(小川平四郎君) 全くの偶然でございまして、私どもも非常におかしかったのでありますが、事実を調べますと、アメリカで新聞記事が出ましたときに、たまたまその朝のアメリカの新聞が何かモンゴル問題の社説を書いたそうでございます。それが記者会見で出まして、ラスク長官がそれに答えたというのがアメリカ側の様子でございまして、たまたまその日にやはり外務省の記者の懇談会で話が出まして、それにまあいろいろ話が出た、全くの偶然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/71
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072・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 外務公務員の給与に関する問題に関連しまして、この表を見ますと、大体各国とも大使以下十一号俸まで均衡がとれているように思うんですが、若干大使の欄、公使の欄を見ますと、それぞれの国によって相当の開きがあるところがありますが、これはその国の経済的な事情によるものか、それから大使級の経歴によるものか、そういうことを勘案しての給与の差があるのか、あるいはその外交折衝上においてどうしても必要なのか、いろいろ考えられると思うんですが、その開きがある、段階があるというその理由についてまずお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/72
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073・高野藤吉
○政府委員(高野藤吉君) 大使の在勤俸は、御指摘のとおり、いろいろ差がございます。それは、その国においていろいろ外交折衝等で重要性を持っているということ、それから、したがいまして、外交団の打ち合わせ、その国の政府との打ち合わせ等々におきましていろいろ出費も要るということで、重要性及びそれに伴う出費に基づきまして差がつくわけでございまして、特に大使の格をつけているわけではございません。しかし、重要なところには、基本的には格と申しますか、古い経歴の方が行くということはございますが、前段のほうを重く見てやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/73
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074・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 そういたしますと、この欄で、ポーランド、チェコスロバキアがございますが、この辺あたりは非常に年間給与が最高の率を示しているように思えるわけです。ところが、われわれが考えてみた場合に、やはりアメリカであるとか、あるいはフランスであるとか、まあイギリスであるとかいうふうな国々と比較してみた場合に、その重要の度合いというものがどうしてそんなに違うのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/74
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075・高野藤吉
○政府委員(高野藤吉君) 共産圏におきましては、別の角度でファクターが一つ加わりまして、御承知のように、非常に物価が高い、住居が住居難、それから、物資がないので隣接諸国からこれをどうしても取ってこなきゃならぬということで、そういう物価面といいますか、特殊事情に基づきまして、共産圏においては自由圏よりも一応高くなっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/75
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076・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 確かに御説明のこともよくわかるのですが、同じ共産圏の中でも、特に東欧諸国なんかを見ますと、相当格差があるように思うのですが、そんなに極端に事情は違わないと思うのですが、それもやはりそうした経済的な、その国の事情によって格差ができてきたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/76
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077・高野藤吉
○政府委員(高野藤吉君) まあ一応その国の物価高、それから物資の入手の難易等々を勘案いたしましてつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/77
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078・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 十一号俸というのがありますが、この十一号俸に該当するのはどういう立場の人ですか。理事官補あたりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/78
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079・高野藤吉
○政府委員(高野藤吉君) 十一号というのは、外国へ行きまして一番まあ下と申しますか、最初のあれでございます。しかし、これはまあ向こうへ行きますのでも、御承知のとおり、上級試験を通った人、中級試験を通った人、初級試験の人とございまして、上級試験の場合は九号俸、十一号俸は中級ないし初級の人が行った場合にそれにするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/79
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080・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 そうしますと、大体理事官補あたりと見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/80
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081・高野藤吉
○政府委員(高野藤吉君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/81
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082・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 問題の論点を少々変えますが、現在外国に在勤される、まあ大公使を初めとする外交官の方々は、いろいろ国柄の事情、その人の能力等によっても違いがあると思うのですが、平均どのくらいですか、在勤年限といいますのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/82
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083・高野藤吉
○政府委員(高野藤吉君) 大体三年から四年になっております。まあ例外は人事の都合でございます。大体在外は三年、四年、五年と、それから一カ所の場合もありますし、二カ所を転勤する場合もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/83
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084・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 大体まあ平均三年ないし五年ということですが、きわめてその国に好感を持って迎えられ、のみならず、いてもらいたいという人もおられると思うのですが、その場合、いま御説明にありました例外の部類に入れて、期限の延長というような措置はいままでもおとりになっていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/84
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085・高野藤吉
○政府委員(高野藤吉君) 館の必要上どうしてもその人にいてもらいたいという場合に、本人が希望すれば五年以上、最近は七年いたという場合もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/85
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086・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 それから次にお伺いしたいことは、同じ外交官の中でも学歴によって相当出世の速度が違うということを、事実、私も聞いておりますし、たとえば、まあ東大出身あるいは、その先ほどのお話しのあった上級、中級、初級試験に合格したその順位、それから、まあ傍系といいますか、外語大学あたりを出たような人たち、だいぶその差が、五年、十年、年限がたつに従って広がる。また、非常に不満を持っている人たちの声を聞きます。事実そういうようなことがあるのかないのか。これは外務大臣にお伺いしたいと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/86
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087・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは学校別でなくて、入省時の資格によって異なるのでありまして、資格がない場合にも、実際問題として能力があるというような場合には、これを抜てきして大使にすると、こういうことでありまして、特別の意味のない格差はついておらないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/87
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088・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いま大臣からまことに合理的な、そういう方法でもって人事なんかについてもやっているという意味のお答えがあったのですが、しかし、実際問題として、われわれが外国なんかへ行って聞く話では、やはり相当それに対する抵抗があると、しかし、それはまともに言えないと、言えば自分の首にも関係するしというようなことも考えられるのですね。いま私申し上げたように、たとえば外語大学あたりを出まして、非常に能力がある、その国の事情についてもエキスパートである。ところが、二等書記官くらいで五年も六年も七年も同じ地位に甘んじていなければならないというようなことも聞いておりますし、また、そうしたこともあり得るだろうと思うが、むしろそういうきわめて能力のある人なんかは、人材登用という、そうした立場に立って国全体の外交ということを考えれば、むしろそういう人たちの登用こそ大きなプラスになるのじゃないだろうかと思うことが一、二回ございました。そういう面で、はたしていま大臣がおっしゃられたように、理想的な形態でもって人事の配置というものが行なわれていないような気がするのですがね。特に東大出身だとか、そういう主流派とか反主流派などということがときどき取りざたされておるようでありますけれども、そういう事実があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/88
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089・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 学校によって差別をするとかというようなことはないのでありまして、一定の資格試験に合格した者については平等に扱っておるというのが現状のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/89
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090・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 それが間違いなければまことにけっこうなことだと思うのですが、一人一人たんねんに私が当たって聞いたわけではありませんから、全体的なそうした問題についての流れというものを調査することはできませんけれども、しかし、その点は十分ひとつ考慮していただきたい、こう思います。
それから、いまあとから申し上げた問題の中で、外務省の内部などで主流派、反主流派というものがある。その流れに応じてやはり人事の異動というものを行なわれる傾向に置かれているということも、前からも聞いているのでありますが、そうしたような問題が、まあ、ありましょうかと言えば、ありませんというふうに言うかもしれませんけれども、あるようなやはり感じを受けるのですよね。実際私もそういう事実をつかんでおりますけれども、その点どうなんですか、大臣、変な質問かもしれませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/90
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091・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) どうも、すべてこれは外務省に限ったわけではございません。人間のやることでありますから、それはいろいろなそこに申し分の余地もあると思います。なるべくそういうことのないように心がけていくという以外には、これはお答えのしようがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/91
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092・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 なるべくということは、その裏を返して言えば、いままであったというふうにも、たいへん意地悪く解釈すれば、考えられるのでありますが、私があえてそのことをお聞きしたのは、日本の外交というものが、そういうような内部の派閥の対立でもって軟弱外交の展開ということをおそれるわけです。もちろん、それは政府自身としての基本的な外交方針というものも問題になります。これが一番大きな問題だとは思いますけれども、それでは、やはり出先の人たちが安心して、確信を持って外交折衝というものができないのじゃあるまいか。足をしょっちゅう引っぱられるような思いでもって、ほどほどに、適当に、当たりさわりなくその外交というものをやっていく。これでは決して前向きの外交はできないと思うが、やはりその人たちが安心して、日本政府を代表しているという自覚の上に立った、そうしてまた、たとえ自分がへまをやったとしても、あとは外務大臣が、あるいは政府が拾ってくれるのだというようなかたい決意があってほしいと思うが、その点どうですか。あとで具体的な問題を出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/92
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093・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私の見たところでは、そういう派閥によって人事を左右するというようなことはないと考えておりますが、いろいろな見方もあることでしょうから、これは人間のやることですから、欠点がないとは言えない。どこまでもやはり精進してそういうことのないようにしなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/93
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094・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 それだけの御回答で、私もそうですがと言うわけにはまいりませんけれども、あとは水かけ論になりそうですから。ただ、こういう問題があったのですが、かつて国連の場において松平さんが失言をしたということで、時の外務大臣は小坂さんであったと思うが、ばっさりインド大使かなんかに左遷されたという事実があるのですね。これはそれ以上こまかいことは私は申し上げませんが、私は情けないと思う。また、事実そうしたことが今後もあり得るとするならば、こんなこわいことはないと思う。先ほども申し上げたように、やはり外交官として本気になって、本腰を入れて、たとえ少々の大きなミスは許されないとしても、また、へまがあったとしても、政府はそれを拾ってやる、その人の能力に応じて起用してあげるというような方法ですね、そうしたことをわれわれは強く希望しておるのですけれども、そういう点についてはどうでしょうか、あっさり、ばっさり首にしたりなんかしちゃうと言うか、責任を転稼すると言うか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/94
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095・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答えいたします。松平氏の場合は、別に失言のためにどうということはないようでございます。たまたまインド大使があいたので、それでその大使にした、こういうことでありまして、特別に公平を欠いたような措置をとったというようなことはないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/95
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096・木内四郎
○委員長(木内四郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/96
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097・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/97
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098・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 時間の関係もあるようですから、これ以上のことは、またの機会ということにいたしまして。
それから、アメリカであるとか、特にワシントンその他大きな大使館には、各省から出向の参事官級の人が出ているようでございますが、他の省から出た参事官あるいは一等書記官という人たちと、それから要するに外務省本流の参事官、一等書記官級の方々と往々にして意見が合わない。意見が合わないということよりも、呼吸が合わない。どうしても対立的なそういう感情が起きやすいということをしばしば聞くわけでございますが、この点についてどういう考え方を持っておられるのか。また、そういう事態が起こった場合に、外務省としてどういう——どこが一体中心——当然外務省が中心になることはわかり切った話でありますが、善処をされるのか、そうした基本的な考え方について、その一点だけを大臣にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/98
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099・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 特に他省出身の者との間に事をかまえるというような、そんな顕著な事例は私は何も聞いておりません。これはまあ同じ外務省内部にもよくあることでございまして、人の使い方のじょうずな人、また使われ方のじょうずな者、そこらでうまく調節がとれていくはずなんですけれども、両方ともなかなかそういう修練を積んでいない人だと、どうしても一緒には置けないというようなことはありますが、他省からの出身者で大使と事をかまえるというようなことは、私はほとんど聞いたことはございません。なるべくそういう点はないようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/99
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100・木内四郎
○委員長(木内四郎君) それでは両案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/100
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101・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/101
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102・森元治郎
○森元治郎君 岡田さんも一、二御質問がありますから、短かく御質問をします。
一つは、やっとモスクワの領事条約の交渉が妥結になるようでありまして、その結果、グロムイコ外務大臣が来月半ばに日本に来られ、日本も受け入れ準備をしているということがはっきりしてまいりました。けさのテレビを見ておりますと、ソビエトのほうは、グロムイコ外相が来たときには、核拡散防止条約とか、あるいは国連における日ソの協力などということを提案するだろう、それから、日本側はと見ていますと、北方領土、それから北方海域における安全操業、それから、サハリンその他の墓参、こういうことが報道されています。おそらく外相の指導なり、外務次官の記者会見の結果そういうふうに出たんだと想像します。そこで、このテレビを見た感じでは、せっかくグロムイコ外相が来られるのに対して、日本側の態度、準備というものが少し甘いのじゃないかと思うのです。簡潔に御質問をすれば、北方領土問題は、外務大臣がおいでになったときに、これはきまっていることで幾ら努力しても何ともならなかった。また、今度日本にグロムイコが来たら、外務大臣はこれをやろうとするおつもりなんだと思うのですが、これは日ソ間の話というとすぐその問題を出すのは、通っても通らなくても、一応やったという形をつけるためなのか、本気にやるつもりなのか、その点が一つ。そして、領土問題というだけで、平和条約という字が出てこないのですね。これを片づけて平和条約へという世論指導であるならば、聞いていてわかるのですが、ただ北方領土。きわめて安易だと思うのですが、見通しがあっておやりになるつもりなのか。
それから、せっかくグロムイコが来るのならば、第二点は安全保障という問題。彼はよく非武装地帯の設置を言いますし、核拡散防止条約、非核保有国に対する安全保障とか、いろいろ言っておりますが、この機会に日本及び周辺、極東の安全のため、平和のためへの施策というものについての隔意なき意見の交換ということをやる用意があるのかどうか。四月中旬に来る予定だったのですから、外相が来たら十分お話するつもりだったと思いますので、準備はできていると思いますが、その態度をお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/102
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103・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 新聞にどう出ておりますか知りませんが、おそらく推測記事であろうと思います。
国連における協力の問題は、すでに先般のソ連訪問の際の共同声明にも出ておるところでありまして、これを重ねてやるか、もしやるとすれば、協力の方法まで入らなければ同じことを繰り返すことになりますから、これは意味がないと思います。
それから、核拡散防止については、これは共同声明で、 「核兵器戦争のもたらす惨害を回避し、全世界の平和を確立するためには、核兵器の全廃を含む全面完全軍縮の実現が必要であると認める。」ということでございまして、入っておると言われれば、入っておるとも言えますが、特に核拡散防止の最近の動きに対する具体的な話し合いは、そう突っ込んではしなかったのでありますから、今度これを取り上げるかどうかはまだ決定しておりません。
それから安全操業の問題は、これはグロムイコ外相の訪日後にイシコフ漁業相がたしか日本を来訪することになっておるはずでございます。同漁業大臣の所管でありますので、イシコフ氏の来訪の際にこの問題を協議したいと思っております。
それから、北方領土の問題は、同じことを何べんも繰り返すということはかえって問題解決のために逆効果になるおそれもございます。取り上げるかどうかということはもちろんまだきめておりませんけれども、いまこの問題については白紙であります。
まあグロムイコ外相との会談に際して、限られた時間ではありますけれども、せっかくの機会でありますから、十分に最近の情勢についての会談を効果的に遂げたい、こう考えております。ただいまから、別に予定しておりませんので、ここで申し上げることができないことをまことに遺憾に存じますが、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/103
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104・森元治郎
○森元治郎君 新聞を見ていないと言うが、これはどこの外務大臣でも、昔の歴代外務大臣は新聞を読むし、海外の人もみんな新聞を読むのですから、新聞はよく読んでいただきたいと思います。テレビもスイッチをひねれば見れますから、これもぜひ見ておいていただきたい。そうしないと、世界情勢がわからなくなります。
そこで、お話を聞いていると、一体何のために呼ぶのか。ただ領事条約ができました、この間ぼくが行ったとき、たいへんごちそうになったから、こっちでもごちそうをしようというような呼び方では——ソビエトの外務大臣がせっかく来るのですから案があるはずです。いまのお話によると、効果的な話をやりたい、案はできていない、態度はきまっていない、了承願いますというのだが、これでは了承しようにも了承できない。核拡散については決定しておらない、魚は魚の大臣が来てから、北方領土は逆効果になるからこれは白紙。一体どうなんですか。態度はこれから決定するのでしょうか。せっかく来るのですから、せっかく来る以上、私が聞いた平和の問題も含めて、安全保障なと平和の問題——もちろんベトナム問題も入りましょうし、それから、中共の承認の問題もありましょう。あるいは国連における第二十一総会における中共代表権問題も出るでしょうし、あるいはこちらから出してもいい。問題はたくさんあると思う。せっかく話し合いのムードができた上に立脚して、平和のためにこれを積極的に利用していくということが必要だと思うのです。そこで、この際にやりたいことは何ですかと伺いました。魚はイシコフ、核決定はしていない、あとは抽象的に隔意なく十分最近の情勢について御相談したいだけでは、これはつまらぬことだと思うのです。ひとつ大政治家としての、大外交家としての抱負経綸をこの際お述べになる必要があると思うのです。ちょっと政治家椎名さんの御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/104
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105・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 百聞一見にしかずと言いまして、やはりまだ東洋、ことに日本のほうは見ておらないというわけであります。ぜひ日本の実情に接したいというような口吻も見えておりました。それが何よりも一番大きな来訪の重点じゃないかと私は考えますが、もちろん、その際を利用して、両国の関心のある問題あるいは懸案の問題等について、まだ十分に結論を得ていないような問題につきましても、会談の際に話し合いをいたしたいと、こう考えております。いまのところはまだきまっておりませんので、申し上げることができませんのは遺憾でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/105
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106・岡田宗司
○岡田宗司君 最近のベトナム情勢に対する外務大臣の評価をお伺いしたい。御承知のように、グエン・カオ・キ政権が非常に危機にある。この危機は、単にいま政権を握っている将軍の交代というよりももっと深いものがある。たとえば仏教徒、これは南ベトナムで一番大きな社会勢力でありますが、それがはっきりと軍事政権打倒というような線を打ち出しておる。選挙をやって民主主義政府をつくると同時に、かなり反米的な色彩もあらわれてきておる。アメリカでもこれについて非常な心配をしているということが外電で伝えられてきた。アメリカはすでに二十四万の兵隊を送り、百数十億ドルの金をつぎ込んでおる。それにもかかわらず、ジョンソン大統領あるいは他の政府高官たち、アメリカの軍部の指導者が予期していたところとほど遠い結果しかあがってない。いや逆に、それらの人々の予想しなかったような結果があらわれておる。これはアメリカの対ベトナム政策というものが失敗をしておるということを意味すると思う。今後も、私は、どうもアメリカがベトナムで強固な南ベトナム政権をつくり出して、そしてこの戦争を遂行することがむずかしい、こういうふうに見ておる。この南ベトナム情勢の見通しということは、これはアジアの平和と安定の問題に重大な関係を持っている。おそらく外務大臣も、外務省の当局も、この南ベトナムの情勢の推移ということには非常な関心を払っていると思うのですが、外務大臣は、いま非常に流動的ではありますけれども、こういうような事態というものが将来南ベトナムにどういうような状況をもたらすか、その点についての外務大臣の見通しについてお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/106
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107・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 見通しといいましても、これは私はここでこうだという判断はいたしかねるわけでございます。ただ、相当国内の混乱というものが長きにわたって続いている。そうして、一方においてはゲリラの破壊活動が随所に起こっておるというようなことでございまして、相当民生が疲弊をしている、非常に暗い場面にいつまでも立たされているということのために起こるこれは一つの現象だと思うのでございまして、やっぱり軍事行動によって国内撹乱者の鎮圧につとめると同時に、これと並行して力強く平和建設を推し進めて、民生の安定を一日も早く持ち来たすということが必要なのではないか。どうも、そういう点において欠けるところがあるので、それでかような現象が起こっていると、こう思います。しからばどういうことをやればいいかということは、これは現地の実情に沿って具体的に推進してまいることでございますので、一がいには言えないと思います。概括的に言えば、そういう事情にあるものと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/107
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108・岡田宗司
○岡田宗司君 ホノルル会談で、ジョンソン大統領はグエン・カオ・キ政権にてこ入れをして、それを強力たらしめるためにも民生安定をはかる。ところが、その民生安定のチャンネルになるグェン・カオ・キ政権が深刻な危機にあるということで、民生安定も事実上できない。しかも、軍事政権がああいうような事態になって軍部が仲間割れをしている。そうすると、アメリカが考えているようなベトコンの制圧もできない。アメリカ軍自身の軍事行動もベトコンなり北ベトナム側の強い反撃にあって非常に死傷者もふえている。そうしてアメリカが大いに軍事的情勢が改善されたと言うにかかわらず、事実は基地周辺にくぎづけにされているような状態。こういってみると、アメリカ側が戦争遂行をやっているということ自体が南ベトナムの人民の間で問題にされることはあたりまえだと思うのですが、このことは、やはり私は将来のアジアのベトナムにおける事態の解決について大きな関係を持っていると思うのです。で、こうなってくればくるほど、私はベトナム問題を全体として解決する方向が生まれ得る条件も出てくると思うのです。日本政府としても、アメリカのやっていることを一生懸命支持したり、あるいはアメリカのやっていることに対してお手伝いをしようというようなことでいくというと、将来非常な日本として間違ったことをやりかねない。たとえば、南ベトナム政府のほうからさきに人が来て、日本側に経済援助の申し入れがあった。それからまた、今度は東南アジア経済閣僚会議に南ベトナムのほうからも代表が来て、そうして南ベトナムに対する日本側の援助というものを申し入れている。これは、南ベトナムにおける政府が安定をして、民心を把握しておって、その政府を通じて仕事が行なわれるような状況でなければ、私は経済援助とかなんとか言ったって、これは全く効果ないと思うのです。こういうような状態でも、政府は、南ベトナムに対してなおかつ経済援助をするおつもりがあるのか。政権がぐらぐらしている。これは民心を得ていない。だから、このぐらぐらしていつ倒れるかわからない政府に経済援助すれば、南ベトナムのいまのグエン・カオ・キ政権は安定するというふうなお考えを持っているのか。あるいはグエン・カオ・キ政権は、もう見込みはない、だから、この政府を通じての経済援助ということはちょっとできかねる。こういう立場なのか。そこはどういうことになっているのですか。外務大臣の御判断を、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/108
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109・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) 四十一年度の予算において、南ベトナムに対する協力は、主として難民救済、そういう人道上の意味における協力をできる限りしょう、財政計画に許された範囲内においてできる限りやろうと、こういうのでございまして、政権の問題とは離れて、とにかく人道上の見地から救済の手を伸べていこう、こういうのでございます。もし、あまり政権を中心にして内部の紛乱が激しい、とても救済の手を伸べるにも伸べられぬというような状況なのか、それともそれはそれ、これはこれで、また、この方面には余地が十分にあるという状況なのか、その点は十分に考慮に入れて、そうして実施してまいりたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/109
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110・岡田宗司
○岡田宗司君 アジア局長に伺いますが、いまの状況でもって南ベトナム政府に経済援助、たとえばそれが難民救済であっても、そういうものを行ない得る状況にあるとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/110
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111・小川平四郎
○政府委員(小川平四郎君) 難民救助の問題は、政権の混乱その他にかかわらず、実施できると考えております。政局にかかわらず、われわれの援助については、事務当局、政府当局において熱心でございますので、政変とは関係なく、実施できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/111
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112・岡田宗司
○岡田宗司君 政権とは関係ないと言うけれども、向こうの政府が相手なんでしょう。政権と関係なく政府の機能が十分に動いているとはぼくらは考えられないのですけれども、そういうふうに、それでは、頭だけはぐらぐらしているけれども、下のほうは安定していて、そういう事業を遂行するに足ると、そういう御認識なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/112
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113・小川平四郎
○政府委員(小川平四郎君) 行政的に麻痺が来ているというふうな情報はございませんので、難民救済その他の事業については差しつかえないものと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/113
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114・岡田宗司
○岡田宗司君 しかし、サイゴンの治安にしても、北方地域の特にダナン地域における治安にしても、いま非常に不安定です。そうして交通さえ十分に行なわれていない状況で、どうやって難民救済ができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/114
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115・小川平四郎
○政府委員(小川平四郎君) サイゴンにおきましてはデモが起こっておる程度でございまして、一般のサイゴン市の状況にはさして変わりはないと思っております。御指摘の、一番問題がありますのはダナンでございまして、ダナンにつきましては、御承知のとおり、政府軍が派遣せられまして、いま特殊の状況になっていると思います。これにつきましては、特にいまダナン地区だけでございますので、状況の推移によりましてダナンに物資が行くかどうかという点はあるかと存じますが、全般的には差しつかえないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/115
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116・岡田宗司
○岡田宗司君 外務大臣に私申し上げますが、こういう状況で難民救済をやると言ったって、その金はどこに消えてしまうかわからないし、その効果が一体あがるのだかあがらないのだかわからない。そういうところに、何も、いまのような状況で救済事業を、政権がぐらぐらして、治安が悪いというところまでやることは私はないと思いますので、こういうような事態のもとにおける南ベトナムに対する経済援助はお差し控えになるほうがいい、こういう意見を申し上げておきますが、その点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/116
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117・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) いま、アジア局長からお答え申し上げたとおり、行政機能が麻痺するというような、ほとんど南ベトナムあげて混乱のるつぼになっておるというような場合には、手のつけようがございませんけれども、政権が弱まって倒れるかどうかというこれは政治上の争いでありまして、実際の問題として難民救済の方法が全然受け付けられないという状態ではないと、こう判断しておりますので、差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/117
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118・羽生三七
○羽生三七君 委員長、一問だけ、簡単ですから。
韓国関係ですが、さきに海洋丸事件は一応、船員も船も釈放されて解決したわけですが、あの事態が発生した事件の背景そのものはまだそのままだと思います。そこで、予算委員会等で提案をしておきました、現状の位置を確認するルールをつくること、ルールをつくる場合にどうするか、相互乗り組みだとか、レーダーをつけるとかいろいろ注文をつけたわけですが、そういう具体的な問題はその後、どう進んでおるのか。
それからもう一つは、漁船の場合の、海洋丸の場合の補償問題と、先般、前の問題につきまして一応補償基準が出て、いまその申請に基づく受け付けを開始しているようですが、そういうような基準も出た際であるので、今度の問題、海洋丸事件としてはその後どういう折衝を続けておるのか、また、賠償請求をやるのかどうか、それをやる場合の一体、基準とはどういうものか、その間の事情をその後久しく承っておらんので、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/118
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119・小川平四郎
○政府委員(小川平四郎君) 現地の警備あるいは先方との連絡につきましては、海上保安庁と相談しておりまして、海上保安庁も乗り気でございまして、現在、どういう方法が一番効果的であるかということを検討しておりますので、間もなく先方といろいろ話し合いを始めたいと思っております。特に連携巡視等につきましては、具体的に検討を進めております。
韓国側との処置でございますが、現在、海上保安庁におきまして船長からいろいろ聞きました事実、また、当方で当時から調べました事情及び書類、すなわち、船舶航海日誌その他を突き合わせまして、正確な事実の確認を行なっております。それができ次第、先方に提示して話を進めたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/119
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120・羽生三七
○羽生三七君 もう一点だけです。それで海上保安庁と連絡をして事を進めておるということはわかりますが、正規の外交ルートを、いまの特に前の問題ですね、具体的なルールをつくる問題を具体的に成功させるように外務省として積極的にやるのかどうか、これは外務大臣からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/120
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121・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) いまの御指摘の点は、これは今後のかような事件防止のために絶対に必要なことでございますので、この点は十分に念を入れて折衝をやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/121
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122・佐多忠隆
○佐多忠隆君 一問だけ。例のアジア外相会議、韓国が招集するあの会議に、バンコックでの予備会議にはオブザーバーを出すというふうに伝えられておりますが、韓国当局の新聞記者に発表したところによると、本会議にも正式に参加することの回答があった、こういうことを言っているようですが、その点の事情はどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/122
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123・椎名悦三郎
○国務大臣(椎名悦三郎君) バンコックにおける予備会議には、今回はオブザーバーということでなしに、正式の参加をいたしたいと思います。これは向こうに通知を出してあります。それから、本会議に出るか出ないかということは、これは準備会議に出て、情勢を十分に見た上で、正式に参加するかしないかの決定をいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/123
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124・岡田宗司
○岡田宗司君 ちょっといまの点で一つ。
これはアジア局長でいいのですが、十八日から三日間開かれるバンコックの予備会議のアジェンダはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/124
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125・小川平四郎
○政府委員(小川平四郎君) 準備会議の内容はまだ具体的に固まっておりませんで、実は招請状もございません。口頭でタイの外務省が招集するかっこうになっております、現地の大使に。十八日という日にちも、三日間というのは報道でございまして、三日間ということも言っておりません。十八日にとにかく大使が集まって協議をしようということでございますので、その準備会議において今後のやり方その他をみんなが集まってきめようということでございますので、正式にアジェンダその他はまだ出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/125
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126・木内四郎
○委員長(木内四郎君) 他に御発言がなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと思います。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113968X00619660412/126
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