1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十二日(火曜日)
午前十時三十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 斉君
理 事
野知 浩之君
和田 鶴一君
武内 五郎君
渡辺 勘吉君
宮崎 正義君
委 員
小林 篤一君
櫻井 志郎君
田村 賢作君
高橋雄之助君
仲原 善一君
温水 三郎君
森部 隆輔君
大河原一次君
川村 清一君
鶴園 哲夫君
中村 波男君
森中 守義君
矢山 有作君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
政府委員
農林政務次官 後藤 義隆君
農林大臣官房長 大口 駿一君
農林省農政局長 和田 正明君
農林省農地局長 大和田啓気君
農林省畜産局長 桧垣徳太郎君
農林省園芸局長 小林 誠一君
水産庁長官 丹羽雅次郎君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
説明員
農林省農政局農
産課長 加賀山国雄君
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本日の会議に付した案件
○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/0
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001・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案、漁船損害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、まず、農林大臣から提案理由の説明を聴取し、続いて、政府委員から提案理由の補足説明、提出資料の説明を聴取することといたします。農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/1
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002・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につき、その提案理由を御説明申し上げます。
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法は、北海道における寒冷のはなはだしい特定の畑作地域を寒冷地畑作振興地域として指定いたしまして、この地域内の農業者で営農改善計画を立てて、これに基づいてその営農の改善をはかろうとする者に対し、農林漁業金融公庫が必要な資金を貸し付けることにより、当該農業者の経営の安定をはかることを目的とするものでありまして、昭和三十四年に制定されたものであります。
この法律に基づき農業者が資金の貸し付けを受けようとするときは、所要の資格認定を受けることとされており、その申請の期限は当初昭和三十九年三月三十一日とされておりましたが、なおその後認定を希望する農家が多数残っていたため、第四十六回国会において二カ年延長され、昭和四十一年三月三十一日までとなっているのであります。しかしながら、昭和三十九年度には、全道的な大冷害のため、農家が当面の経済再建に追われ、営農改善計画を樹立する余裕がなく認定戸数は激減し、昭和四十年度末においても法改正当時予定した計画を相当程度下回る見込みであり、なお昭和四十一年度以降に認定を希望する有資格農家は約三千百戸見込まれている状況であります。
したがいまして、この資格認定の申請の期限をさらに二カ年延長することとし、もってこの制度に基づく北海道寒冷地畑作地帯の農業の振興を継続してまいることといたしますとともに、あわせて、貸し付け金の償還期間につきまして現行二十年を二十五年に延長し、据え置き期間につきまして現行の五年を六年以内に改めまして、当該地域の畑作農業者の経営の安定をはかることとした次第であります。
以上がこの法律案を提案する理由とその内容であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
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次に、漁船損害補償法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
昭和二十七年に漁船損害補償法が漁船保険法にかわって制定されて以来、漁船保険の保険加入隻数は逐年伸長し、現在十三万隻、保険金額で千六百億円に達しております。これは漁船損害補償法制定当初に比較いたしますと、加入隻数で約二・五倍、保険金額で約十二倍にも達しているのでありまして、この漁船損害補償制度が漁業経営の安定に資するところまことに大なるものと確信いたしておる次第であります。しかしながら漁船損害補償法制定以来十数年を経過した現在、現行の漁船損害補償制度には、若干の問題点も出て来ており、今回法律を改正することにより、このような点につきまして制度的改善をはかりたいと考えているのであります。
その第一は、満期保険制度の改正に関することであります。
満期保険につきましては、昭和二十八年に漁船の適期における更新のための資金の円滑なる調達をはかることを目的として設けられた制度でありまして、漁業者に十分利用されることを期待してきたのでありますが、普通損害保険に比較し保険料率において一部不利な点があったこと及び保険期間中途において全損した場合に積み立て保険料が掛け捨てになったこと等により満期保険の加入隻数は毎年七百隻前後にとどまり、従来漁業者に十分利用されていないうらみがあったわけであります。このため、今回この点の是正をはかるべく満期保険に関する規定の一部を改正し、普通損害保険との均衡をはかる等の措置を講ずることといたしたいと考えております。
第二は、国の漁船再保険特別会計に生じた剰余金の活用についてであります。
過去数年来、漁船の大型化、保険加入隻数の増加による危険の分散、異常災害発生の減少等により危険率が低下したため国の再保険特別会計におきまして毎年剰余が累積し、過去二回にわたる再保険料率の引き下げにもかかわらず、現在その額は三十二億円余に達しております。
このため、保険収支の均衡するように別途再保険料率の引き下げを明年度に行なうことといたしておりますが、すでに生じた剰余金につきましては、国の再保険経営上必要な準備金二十億円を留保した残額である十二億円を漁船保険組合の中央の指導団体である漁船保険中央会に交付金として交付し、農林大臣の監督の下に漁船保険の振興に資する事業に対する指導、助成等を行なわせ、漁船保険事業の健全な発達をはかってまいりたいと考えているのであります。
今回の改正において、これに関しまして必要な規定を新たに設けることといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/2
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003・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 和田農政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/3
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004・和田正明
○政府委員(和田正明君) では、ただいま提案になりました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の補足説明を申し上げます。
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の目的は、提案理由で御説明申し上げたとおりでありますが、この法律によって営農改善資金の貸し付けを受けようとする農業者は、同法第六条第一項の規定によりまして、営農改善計画を作成してその貸し付け資格について北海道知事の認定を受けなければなりません。
認定の申請の期限は同条第三項の規定により本年三月三十一日とされております。また、貸し付け金の償還期間は二十年以内、据え置き期間は五年とされております。本改正法案は、この認定申請の期限をさらに二ヵ年延長するとともに、償還期間と据え置き期間につきまして所要の改正をしようとするものであります。
昭和三十四年にこの法律が施行されましてから、同法第二条の規定に基づき寒冷地畑作振興地域を二十二地域指定いたし、この地域内については、道を通じまして、地域ごとに営農条件に応ずる営農方式例を作成させて地域内農業者に対し営農改善計画の作成について指導してまいりました。さらに、この計画を実行するために必要な営農改善資金の貸し付けを受けようとする者に対しては貸し付け資格につき北海道知事の認定を実施し、農林漁業金融公庫から長期低利資金の融通を行なう等営農改善計画の達成に必要な措置を講じ、これに要する助成及び指導を行なってまいりました。
営農改善資金の貸し付けにつきましては、昭和三十四年度から昭和三十八年度までに六千七百八十七戸の認定を行なったのでありますが、なお昭和三十九年度以降認定を希望する農家が約五千戸残っていましたため、第四十六回国会において資格認定の申請期限を二ヵ年間延長して昭和四十一年三月三十一日といたしました。
しかしながら、昭和三十九年度には全道的な大冷害のため、農家が当面の経済再建に追われ、営農改善計画を樹立する余裕がなく、認定戸数は激減して四百二十二戸となり、昭和四十年度においても二百五十戸程度と予測され、法改正当時予定した計画を相当程度下回る見込みであり、なお昭和四十一年度以降に認定を希望する農家は約三千百戸と見込まれる状況であります。したがいまして、これらの事情を考慮して資格認定の申請の期限をさらに二ヵ年延長して昭和四十三年三月三十一日とすることとした次第であります。
また、償還期間の延長につきましては、農林漁業金融公庫の融資する農地、牧野の改良造成に必要な資金の償還期間がすでに二十五年以内とされていることにかんがみ、この際貸し付け金の償還期間を五ヵ年延長して二十五年以内とするとともに、据え置き期間につきまして現行の五年を六年以内として同一農家に対し三ヵ年にわたって分割して貸し付けた資金の償還が同一時期に開始できるようにし、借り入れ者の償還が容易となるよう改めることとした次第であります。
このほか、この法律による営農改善資金の運用の改善をはかることとし、法を適用すべき対象農業者につき農業所得現行四十万円程度以下としているのを六十万円程度以下とし、営農改善の所得目標につき現行五十万円ないし六十万円としているのを八十万円とし、一戸当たりの貸し付け金の最高限度につき現行百万円としているのを二百五十万円とするとともに、貸し付け対象施設の範囲の拡大、畜産経営拡大資金の活用等所要の改善措置を講ずることとしております。
なお、この改正法の施行は、公布の日からといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/4
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005・山崎斉
○委員長(山崎斉君) それでは水産庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/5
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006・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案につきまして補足して御説明申し上げます。
この法律案を提案する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたのでここでは省略することといたしまして、以下この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。
第一に、満期保険制度の充実をはかったことであります。
その第一点は、満期保険の損害保険料率を調整したことであります。
漁船損害補償法では、商法の規定を準用いたしまして、保険金額の保険価額に対する割合により、損害のてん補をいたしておりますが、満期保険は、保険期間中保険価額を不変更といたしておりますので、第二年目以降におきましては、全損以外の場合に、普通損害保険に比べ、損害てん補の上におきまして若干不利になる点が出てまいります。このため、第二年目以降におきましては、満期保険の損害保険料率に一定の割引率を乗じまして損害てん補上の不利な点を補うことといたしました。
第二点は、満期保険に加入している漁船が全損し、または委付された場合でも、積み立て保険料の払い戻しを行なうこととしたことであります。
現行の満期保険制度におきましては、保険期間中途において漁船が全損し、または委付されたときは、それまでに積み立てた積み立て保険料が掛け捨てになり、これが漁業者の加入意欲を阻害している傾向がありましたので、このたび保険設計を改めることにより、新たに、全損し、または委付された場合でも、積み立て保険料の一部を払い戻することができる規定を設けました。
第二に、国の漁船再保険特別会計に生じた剰余金の活用を図ったことであります。
さきに提案理由説明において申し述べましたように、政府は、昭和四十一年度におきまして、漁船再保険特別会計に生じた剰余金三十二億円のうち、再保険の経営に必要な準備金二十億円を留保した残額である十二億円を漁船保険中央会に交付し、漁船保険事業の健全な発達をはかってまいりたいと考えているのであります。
このため、現在の漁船保険中央会の事業に新たに漁船保険の振興に資する事業に対する助成事業を加え、漁船保険中央会の事業の強化をはかることといたしました。
また、交付金にかかる経理につきましては、特別の勘定を設け、他の経理と区分し、交付金にかかる収入、支出及び財産の状況を明らかにして整理しますとともに、その勘定にかかる事業につきましては、予算の認可、決算書の承認等の農林大臣の監督規定を設けることにより交付金の適切な使途がはかられるようにいたしております。
なお、政府が漁船保険中央会に交付金を交付するにあたっては、漁船再保険特別会計法の改正を必要としますので、これに伴う所要の改正規定を附則に設けることといたしております。
以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明といたします。
続いて資料につきまして御説明いたします。
冊子が二つございまして、一つは、漁船損害補償法の一部を改正する法律案関係資料というのが縦書きのでございます。もう一つは、見出しが横書きの、漁船損害補償法の一部を改正する法律案資料で、縦書きのほうは、法律案、先ほど大臣から御説明申しました提案理由、補足説明、法律案要綱、法律案の新旧対照表、それから漁船損害補償法の一部を改正する法律案の参照条文。
それから横書きのほうは、漁船損害補償法の背景でございますところの——見出しについてまず申し上げますと、現行漁船損害補償制度の概要、それから漁船普通保険の最近の三ヵ年の実績、それから満期保険加入の状況、それから普通保険勘定損益の経過、それから漁船保険中央会の組織、漁船保険の組合の全国の一覧表を付してございます。
内容について簡単に御説明いたしますと、一ページは、この制度の趣旨でございます。法律の趣旨でございます。昭和二十七年にできまして、漁船につき、不慮の事故によって生じた損害の復旧と、適期における更新とを容易にして、漁業経営の安定に資することを目的とする法律であることを明らかにいたしております。
第二は、漁船保険組合の構成、それから種類、それから組合員、組合の運営の規定につきまして説明をいたしております。組合の種類につきましては、地域組合と業態別の組合がございまして、その数は三ページにございますように、地域組合は四十六組合、業態別組合は七組合、全体で五十三組合という形に相なっております。
それから五ページの第三、漁船保険のところは、保険の仕組みについてでございまして、通則といたしましては、これは相互保険であるというごと、その次に、加入資格漁船の規定、それから保険金額に関します規定、それから保険料率に関します規定、それから支払い保険金、損害てん補の範囲という点につきまして詳細に書きしるしておきました。
それから八ページにまいりまして、漁船保険の種類でございますが、これは八ページの(1)にございます普通損害保険というものと、一一ページにございます満期保険、それから一二ページにございます特殊保険の三種類からなっておりますことをしるしまして、それぞれにつきまして仕組み及び規定をわかりやすく書いたつもりでございます。
それから一三ページは、保険料の国庫負担等でございまして、国庫負担の対象になる船はどういうものかというのが(1)でございます。一四ページで、国庫負担の額はどういうようにして行なわれているか。それから一五ページでは、そういう保険料に関します国庫負担のほかに、事業に対します補助金に関することが書いてございます。
一六ページは、政府が行ないますところの再保険の関係につきまして、政府は、先ほど申しました漁船保険組合がその組合員に対して負う保険金の支払い責任を再保険する旨の百十四条の関係におきまして、政府の再保険の仕組みを書いてございます。これに関連いたしまして、漁船再保険審査会に関すること及び漁船再保険特別会計に関することを書いてございます。
第六は、漁船保険中央会の構成、任務について書いてございます。
それから以下は数字でございますが、一九ページは、普通保険の最近の三ヵ年の実績でございます。三十九年は一番下に書いてございますが、わが国におきます在籍漁船数は三十七万七千隻でございますが、との保険に入っておりますのはその次の欄の十三万三千隻で、保険の加入率は三五%、保険価額は二千五十五億に及び、保険金額は千六百五十三億に及んでおる。保険料に対する国庫負担額は八億二千二百万円に相なっております。事故の大要を申しますと、三十九年では三万三千件の事故がございまして、損害額が四十億、支払い保険金額が三十三億、支払い再保険金が二十九億六千七百万、こういう実態にございます。
その次は、満期保険でございますが、満期保険は、加入の実態が悪いので今回の改正をいたしたわけでございますが、その実情について申しますと、単年度加入の状況では、上欄の三十九年度の欄でごらんになっておわかりのとおり、三十七万隻に対して三十九年単年度では六百八十七隻の加入でございます。累積で三十九年度末の実情は、その下の欄で三千七十隻が加入の状態でございます。保険金額は約十億、こういう形になっております。
その次は、普通保険の損益の関係でございますが、一番右の欄にございますとおり、各年におきます損益の累積でございまして、三十九年度末におきまして、次年度繰り越し損益が三十二億五千三百万円に相なっておる。この中の一部を書き出そうというわけでございます。
二二、三ページは、漁船保険中央会の組織、事業の範囲、それから役員、収支の状況でございます。
最後の第六は、全国におきます届出の保険組合の一覧を書いてございます。
なお資料の不足の点は、御要望によって今後提出することにいたします。
以上で、説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/6
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007・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 和田農政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/7
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008・和田正明
○政府委員(和田正明君) ただいまお手元にお配りをいたしました三枚とじの資料について御説明をさせていただきます。
一枚目にございますのは、この法律に基きます資金融通についての実施の状況でございまして、注にもちょっと書いてございますが、昭和三十三年度は要綱で実施をいたしまして、昭和三十四年度から法律になりましたわけでございます。毎年その表にございますような戸数について営農計画を立て、これに認定をいたしまして、農林漁業金融公庫から金の貸し付けをしてまいりましたわけでございますが、先ほど提案理由の御説明でも申し上げましたように、三十八年で一応期限が切れますときに、なお約五千戸ほどの貸し付け希望者がいるということで、当時二ヵ年の延長措置について法案の御審議をいただき、二ヵ年間延長して今年度の年度末までということにいたしたわけでございますが、四十年度は先ほどもちょっと申しましたように、まだ終了いたしませんのではっきりいたしませんが、二百五十戸程度が計画認定になる予定になっております。概況は大体そういうことでございます。
それから二枚目は、この法律に基づきます俗称マル寒資金が農林漁業金融公庫から貸し付けられておりますので、農林漁業金融公庫の他の資金の利率、償還条件、据え置き期間等を一覧表にして比較ができますようにしたものでございまして、特別御説明をすることはございません。
それから三枚目は、今度の改正法案の提出にあたりまして、今後手直しをしてまいりたいと考えておりまするこの資金の内容の現行と、改正後の比較でございますが、一番最初に、営農改善の目標でございますが、改善計画を立てます場合に、現行では農業所得がおおむね五十万ないし六十万円程度になるような目標を前提として営農改善計画を立てておるわけでございますが、実情にそぐいませんので、改正後はそれをおおむね八十万円程度というふうに目標金額を上げたいということでございます。
それから二番目は、法律を適用して資金の貸し付けをいたします対象農家を、現在の資金では農業所得おおむね四十万円程度、粗収入でおおむね七十万円程度以下の農家について営農指導をし、資金の貸し付けをするわけでございますが、それを今回の改正後は、おおむね六十万円程度以下というふうに対象農家の範囲を拡大してまいりたい。
それから三が、貸し付け対象の種目でございます。このマル寒資金は、土地改良と、それから主務大臣指定施設と二つからなっているセット融資でございますが、そのうちの主務大臣指定施設が畜舎、サイロ等、現在、七種目でございますのを十二種目追加して、貸し付け対象になります指定施設の範囲を拡大をいたしたい。
それから貸し付け条件でございますが、償還期間につきましては、提案理由でも申し上げましたとおり、現在二十年以内でございますのを二十五年以内というふうに五年間延長いたし、さらに据え置き期間は現在五年以内でございまして、いままで貸し付けは大体三年にわたって貸し付けを受けておりますが、その貸し付けを受けました時期に対応して、五年の据え置き期間がございますので、償還の開始時期が三回にばらばら分かれておったわけでございます。それを今度六年以内と改めまして、三回に分けて借りるととには変わりがないといたしましても、償還はそのいずれをも合計をして、七年目から一本で償還計画が立ちますように、改正をいたしたいというふうに考えております。
それから二戸当たりの貸し付け金の最高限度は、現在は他の公庫資金を合計をいたしまして、百万円ということになっておりますが、それを今回、この法律による資金だけで二百五十万円までとし、その他の資金は、これとは別ワクということで処理をいたしてまいる。
第五が、畜産経営拡大資金につきましては、現行の資金では、マル寒資金の貸し付けを受けますときには、畜産経営拡大資金の貸し付けが受けられないというふうになっておりましたのを、改正後は、この畜産経営拡大資金のうち、牛の導入部門につきましては、この資金を借りた者にも貸し付けが受けられるようにいたしたいということでございます。
以上が、大体、今後の、この法律の施行後に改正を予定している内容でございますが、そのうち、四の貸し付け条件の(1)にございます償還期間と据え置き期間とは法律事項でございますが、その他の事項は、従前から運用で、次官通牒で処置をしてきております事項でございますので、法律の公布と同時に、このような内容に運用を改めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
以上で、資料の説明を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/8
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009・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 次に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/9
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010・川村清一
○川村清一君 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法、いわゆるマル寒資金法の一部改正案について、これから審議するわけでありますが、この法律は昭和三十四年に制定せられまして、その後、昭和三十九年に、法の一部改正が行なわれ、さらに今回、また改正案が提案されるという、ずいぶん長い経過を経て今日に至っているわけであります。今回改正されます趣旨につきましては、ただいま農林大臣から御説明があり、さらに政府委員から補足説明があった次第でございますけれども、大体了解されましたが、昭和三十四年に制定されましてから今日まで七ヵ年の長きにわたって運用せられておるわけであります。
そこで、まず最初に、補足説明で大筋の説明がございましたけれども、これに加えて、この法律が今日まで運用されました実績なり、また、その効果なりというものにつきまして、もう少し具体的に御説明を願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/10
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011・和田正明
○政府委員(和田正明君) 運用の実績につきましては、お配りをいたしました資料でごらんをいただきます以外に、特別御説明申し上げることもないのでございますが、当初予定をいたしました、特に三十九年に二ヵ年延長をいたしましたときの予定戸数が約五千戸あると申し上げましたが、それが著しく減りました点につきましては、提案理由の御説明の中でも申し上げましたとおり、相当、三十九年の大冷害による農家の経済再建というようなことが一つの大きな障害であったと思いますが、そのほかにも資金ワクでございまするとか、その他いろいろな点で問題があったと考えましたので、今回資金のワクを広げましたり、償還期限を延長いたしましたりいたしまして、借り受けます農家の便宜をはかってまいりたいというふうに考えたわけでございます。
それから、この資金の行政効果でございますが、御承知のように、五年間据え置き期間がございますので、必ずしもまだ完全な償還期間に入っておりませんこと、あるいは営農改善の目標が七年ないし十ヵ年後というふうに設定をしてございますので、完全な行政効果を判断をいたすことは、必ずしも適当な時期ではないかとも思いますが、そのうち北海道庁が実施をいたしました調査について、簡単に二、三の指標をあげて御説明申し上げますと、三十五年と六年と七年とに借り受けました農家についてでございますが、その当時、この対象農家の農業所得は平均三十六万六千円でございまして、ちょうど三十五年、三十六年、三十七年の三ヵ年の北海道の一般農家の農業所得の平均は四十万九千円でございますから、やはりそれより若干低い農家であったわけでございます。この農家の昭和三十八年におきます平均的農業所得が五十四万七千円、それから三十九年が五十四万七千円でございます。それに対しまして北海道総農家の平均では、三十八年が五十三万三千円、三十九年が四十三万一千円ということでございまして、三十八年までは上昇いたしましたが、三十八年、三十九年とほぼ横ばいでございます。ちょうど三十九年が御承知のように北海道の大冷害の年でございましたので、総平均の農家において四十三万一千円と落ち込んでおりますときに、この資金の対象農家が三十八年とほぼ同じ金額の所得を上げておるということは、ある程度この資金の措置によって寒さに対する対抗力を備え得たものではないかというふうに判断ができるかと思います。
それから第二に、土地の利用状況でございますが、これらの農家が貸し付けを受けます前の経営面積が八・七ヘクタール平均でございましたのが、三十九年には一一・一ヘクタールと平均の経営面積を拡大をいたしておる。
それから乳牛の頭数について見ますと、資金導入前が平均二・九頭の成牛でございましたのが三十九年には七・三頭になり、育成牛も導入前二・一頭でございましたのが三十九年に四・〇頭というふうに乳牛の頭数も増加をいたしております。
それから農作物の作付利用につきましては、投入前の飼料作物の作付割合が平均四〇%強でございましたのが、三十九年には六五%というふうに、自給飼料の対策もある程度増加をいたしましております。
大体、いままでの調査の範囲ではこの程度の効果があったというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/11
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012・川村清一
○川村清一君 行政効果の面について、いろいろ御説明があったわけでありますが、非常に数字が出てまいっておりますので、この面につきましては、またあとでいろいろ審議をしたいと思いますので、ひとつ資料として御提出を願いたいと存じます。
それから、この法制定以来、今日までの実績でございますが、これは昭和三十四年に本法が制定されまして、その当時、この法の適用を受ける農家戸数というものを大体二万八千戸と推定しておると私は聞いておったわけでありますが、これは一体事実かどうか。
それから、その二万八千戸というものを推定して、三十四年以来、この法の運用がなされてまいったわけでありますが、御提出の資料に明らかなように、三十四年度は千九百二十四戸とわりあい順調にいきましたが、三十五年はわずか四百九十戸でございまして、三十四年、三十五年、二ヵ年で合計二千四百十四戸の認定しか行なわれておらないわけであります。で、もし二万八千戸を推定したというのが事実であるとするならば、これは非常に大きな見通しの誤りであったわけでありますが、そのことから三十六年に、これは法改正でなくて、要綱を改正したと、こういうふうに聞いておるわけでありますが、その間の経緯を御説明願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/12
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013・和田正明
○政府委員(和田正明君) 三十五年の認定戸数がどういうわけで少なかったかということにつきまして、的確な理由の把握は私どもも実はよくわからないのでございますが、ただいま御指摘がございましたように、三十六年に、認定手続等の手続の簡素化をいたしたのが三十六年でございますので、非常に計画書が複雑でございまするとか、あるいは計画書とさらに別に公庫に提出いたします書類を別個につくりますとか、そういう点があったわけでございます。それらをできるだけ簡素にし、また、道庁に提出をいたしまするものと同じものが公庫に提出をされますようにいたしまする等、手続の簡素化をはかりまして、認定の促進をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/13
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014・川村清一
○川村清一君 この二万八千戸というのは、これはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/14
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015・和田正明
○政府委員(和田正明君) 二万八千戸は、三十三年にこの制度が発足をいたしますときにはおよそ想定をいたした数字でございますことは、先生御指摘のとおりでございます。
そこで、三十八年の十月に希望戸数をさらに道庁を通して再調査いたしましたときには五千八百戸台で、さらに三十八年度中に貸し付け認定等を受けるものを差し引きまして、最初に提案理由で御説明を申しましたように、約五千戸が今後引き続き貸し付けを受ける希望があるということであったわけでございますが、その後、約八百戸は構造改善事業が実施をされましたために、その事業でカバーができまして、この資金の融通が必要でないということになり、さらに二百八十戸ほどは離農等のためにこの貸し付け対象からはずれるということでございまして、大体、昨年の秋の道庁の把握によれば、三千百戸程度が今後の貸し付け対象農家として希望しておるという数字に相なっておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/15
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016・川村清一
○川村清一君 三十六年に要綱の改正を行なった、それは三十四年、三十五年の認定戸数があまり少なかったので、結局、手続の簡素化をはかるために要綱の改正を行なった、こういうような御説明でございました。その結果が、この資料によりますというと、三十六年は千三百四十二戸三十七年は千六百八十五尺三十八年は千三百四十六戸と、わりあい順調に認定が行なわれてまいりまして、この三カ年で四千三百七十三戸認定されております。そこで、三十四年以降三十七年までには六千七百八十七戸でありまして、いろいろここで事情が当然あってそういうことになったと思うわけでありますが、最初二万八千戸と推定いたしたとするならば、わずか二四%にしか達しておらないわけでございます。そこで、こういったような実績を踏まえまして、さらに北海道庁の調査によって本法の適用を希望する農家が千戸ある、このような理由から三十九年に法改正が行なわれた。この法改正は今回とは若干違いまして、ただ、法律面において法の二カ年延長をはかっただけでございまして、貸し付け条件であるとか、あるいは運用面における改正はなかったわけであります。ところが、まだ五千戸あるということで、法の改正を行なった。もちろん、法改正ということは国会において行なうわけでありますから、政府が提案をされまして、そうして国会で論議をして、国会がそれを可決した。こういうようなことでございますので、その法の運用につきましては、提案者である政府は完全にそれを果たさなければならない義務が国会に対してあると思うわけであります。しかるに、その結果は、三十九年はわずか四百二十一戸で、四十年は大体二百戸という見通しでございますならば、合計六百二十二戸でございます。五千戸計画いたしまして、実績は、三十九年は——これは三十九年まで法が適用されたわけでありますから、四十年、四十一年とこういくわけでありますけれども、いずれにいたしましても、四十年はわずか二百戸ということでありますならば、やはり政府といたしましては、どこにその理由があったかということをひとつ明らかにして、そうしてやはり国会に対する責任を明確にしなければならない、かように私は思うわけであります。そこで、なぜこのように実績が低調であったのか、その点につきまして、もっと分析して、はっきりしていただきたいと思うわけです。ただ、三十九年は、北海道は大冷害であった。だからしてこれらのこの資金を借り受けるための営農改善計画を立てる、そういういとまがなかったとかいうようなことだけでは、私は了解できないわけです。もっと深い大きな原因があったのではないかと、かように考えられますので、この点をもう一度ひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/16
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017・和田正明
○政府委員(和田正明君) 当初の二万八千戸が、その後の貸し付け数字あるいは今後の貸し付け希望数字と必ずしも合いませんで、ある程度減少いたしております理由としては、先ほどもちょっと申し上げましたように、この資金が三十四年に制定をされましたときには、当時公庫資金には、いわゆるセット融資というのが、これが最初でございまして、そういう意味で画期的な意味を持っておったわけでございます。その後に、御承知のように農業改善事業の推進資金でございますとか、あるいは畜産経営の拡大資金でございますとか、あるいは近代化資金制度というようなものができました結果、そういうものを利用する農家もふえたというようなことにも原因があるいはあろうかと思います。それから三十九年と四十年についてのきわめて——当初約五千戸と申しましたのが、三十九年の実績で四百二十一戸、それから四十年度はいま二百五十戸というふうに予想いたしておりますが、それにしてもきわめて少ないわけで、その理由についてはいろいろ御指摘もございましたけれども、先ほど提案理由でも御説明を申し上げましたように、何と申しましても、三十九年の大冷害が北海道の畑作農家の経営の根底に対して非常に深刻な打撃を与えましたので、そういう不安定な状況を前提にしては、なかなか将来の畑作農家の振興に対する農家の考え方も積極的にならなかったというようなことが基本的な原因であろうというふうに私どもは考えておりまして、それ以外に特に大きな理由があるとは思っておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/17
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018・川村清一
○川村清一君 まあ私はいま説明されたそれらのものがみな原因だと思いますけれども、どうも大臣の趣旨説明なり、あるいは補足説明等によりますというと、非常に実績が計画どおり上がらなかった原因の最大なものは、これは三十九年の冷害による、こういうふうに言っておる、そこが理解できないわけであります。もちろん冷害も原因であったことはわかりますけれども、これが最大のものであるというふうには考えられないのであります。なぜかと申しますと、この法律の制定の由来を見てみますというと、これは昭和二十八年、二十九年、北海道は非常に冷害であったわけです。そして昭和三十一年は、これはまあ開聞以来と言われるような大冷害があったわけであります。そのために北海道の農家、特に畑作農家は多額の負債をしょってもう処置ないというような状態になってまいったわけであります。そこで、北海道の道庁はじめ、農業団体、道民がこぞってこの苦況を何とか脱却しなければならない、北海道の畑作農業の安定をはからなければならないというようなことで、その対策を練っていただくように、中央に対して強い折衝を始めたわけであります。その結果、たしか昭和三十二年だと思いましたが、農林省にこの問題を調査する調査室というものが設定せられたわけであります。そうして昭和三十三年に要綱をもってこれに対する対策が立てられたわけであります。
〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕
当時私は、北海道議会の議員でございまして、その運動には参加しておりましたし、このことを知って、感謝しておったわけでございます。それが昭和三十四年に法律として制定される、こういう経過をたどってきておるのであります。したがって、そもそものこの法律の発端は、冷害から抜け出る、冷害から受けた損害というものを何とか早くこれを除かなければならないという立場から、この法律の制定を願って、できている。こういう考え方からいくならば、昭和三十九年の冷害は、まさに北海道開拓史上最大のこれは冷害でございまして、総額実に五百七十二億という大冷害を受けたわけです。その冷害から何とか抜けなければならない、これは農民の最大の願いなはずでございます。したがって、この冷害の損害から抜け出るために力になるものであるならば、あらゆるものを利用していく、これが農民の気持ちだろうと私は考えておるわけであります。
したがって、この三十九年の年は、もちろんこれは冷害で、心にそう思いながらも、農協もこれらの計画を樹立するための人手が足りないとか何とかで、やはり準備がおくれてできなかったかもしれないけれども、四十年の年に、わずか二百戸か二百五十戸しかこのいわゆる認定ができないとするならば、これは私は、冷害に大きな理由があるのではなくして、ほかにもっと大きな理由があると思うわけであります。その理由は何か。先ほど農政局長が話されましたように、いわゆるこの認定手続、営農計画、改善計画を立てる手続なり認定手続が非常に複雑であるとか、あるいは昭和三十四年本法制定当時は、このマル寒資金は確かに農民にとって有利な資金であったかもしれません。農民は非常に喜んでおった資金でありましょう。ところがその後、ただいま御説明にもありますように、構造改善資金であるとか、あるいは近代化資金であるとか、いろいろの農業金融制度が行なわれてまいったわけであります。経済状態も変わってきたわけであります。そこで、農民にとりましては、このマル寒資金というものがそんなにありがたい、魅力のある制度ではなくなってきたのではないか、それが結局実績をあげ得なかった最大の理由ではなかったかと私は考えるのであります。
したがって、いまこの法律を改正するにあたりましては、法律条項としては、いわゆる返済期限、据え置き五年を六年にする、二十年を二十五年にする、これは法律条項でありますけれども、そこに重点があるのではなくして、むしろ次官通牒にある、いわゆる運用面、この内容に大きな重点があるのではないかと私は考えるわけであります。そうでなければ、いま三千戸まだあると言いましても、一体これから、四十一年、ことしの四月以降ですね、四十一年、四十二年の二カ年間運用いたしまして、予定どおり三千戸を消化する御自信が一体あるかないかということをお尋ねしたいわけであります。と同時に、運用面の改正をされておりますが、この運用面の改正で一体満足できるのか、これでいいのか、こういう点に一つの疑問を持つわけでありますが、この点の御解明をひとついただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/18
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019・和田正明
○政府委員(和田正明君) この法律の制定に至ります経過等につきましては、ただいま川村委員からお話のございましたようなことで制定されましたことは、御指摘のとおりでございますが、三十九年の実績が著しく下回りましたことは、やはりその年が何と申しましてもひどい冷害の年でございましたので、当面の農家の経済再建というようなことが農家自身の頭に強く響きまして、長期的な計画を立てる余裕がなかったということは、やはり実態ではなかったかと思います。ただ、四十年度になりましても戸数があまり伸びなかったことの理由につきましては、推測でございますが、ちょうど昨年の五、六月ごろからすでに、道庁から今後の運用についての改正の希望の意見等も述べられておりますので、それらを前提として、道庁の指導も四十年度には必ずしも積極的ではなかったというようなこともあるいはあったのではなかろうかというふうに推測をいたしておるわけでございます。で、法律事項を除きまして、運用面で種々の改正を加えましたことは、やはり三十一年から二年にわたりまして行なわれました調査の基本的な内容について問題があるということではなくて、やはり御指摘のように、その後の経済事情の変化なり、あるいは他の金融制度とのバランスなり、そういうような点を考えまして、今後運用面で大いに改善を加えていく必要があろうということで、先ほど御説明をいたしましたような内容にいたしたわけでございますが、大体三千百戸でございますので、二年間で千五百戸ずつということで自信があるかというお話でございますが、道庁も三千戸程度の貸し付け希望者があるということを調査をいたしておりますし、また、内容についても相当思い切った改正も加えたのでございますから、法律制定の当初の趣旨に沿って今後営農面でも、また計画設定面でも積極的に指導をいたしまして、所期の効果をあげるようにしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/19
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020・中村波男
○中村波男君 関連。いま川村委員の質問の経過から非常に私、問題を感じたわけでありますが、と申しますのは、最初に二万四千戸推定をいたしまして今日に至っておるわけでありますが、四十年度は二百五十戸予定といわれまするけれども、大体これが的確な四十年度の戸数だと考えますと、これから二カ年間に三千百戸程度希望者があるということを考えましても一万三千戸ぐらい。初めから考えますと相当大きな開きというものができておる。そこで、三十九年度に法改正をやって二カ年延長された戸数から見ますと、たいへんな実績があがっておらない。それは三十九年度の冷害ということを大きな理由にしておられますが、四十年度はそういう理由が付加されないということを考えましても、実績があがっておらない。さらに、今後三千百戸程度の希望があるから二カ年延長するんだというお話でありますが、そこでお尋ねしたいのは、このように希望があり、想定がされ、実施が具体的な段階でそれに伴ってこないのは、ただ冷害とかなんとかいうそういう理由でなしに、もう少し根本的な問題を内蔵しているのじゃないかというように考えるわけです。その点の判断をもう一度局長からひとつお聞かせいただきたいと思いますのと、それから、もう二カ年延長して、三千百戸希望があるからやるのだというお話でありますが、二カ年経過したあとに、まだ千戸なり八百戸なりできなんだ場合には、さらにまた二カ年なり三カ年なり延長するというそういう腹がまえで、残れば続けていくというお考えでおやりになるのか。この二カ年間には三千百戸の希望をこれは完全にとはいえなくとも実施するという、また、させていくという、そういう強い腹がまえといいますか、想定のもとに提案をされているのか、二つをあわせて御説明をしていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/20
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021・和田正明
○政府委員(和田正明君) 当初二万八千戸程度と推定をいたしましたときには、三十一年、二年と調査をいたしましたあとで、その当時の経済事情を前提として、先ほど川村委員からお話がございましたように、特に北海道の畑作ということが、非常に過酷な気象条件のもとにあるわけでございますから、そういう事情の中で、中庸程度の農家を、根本的に寒さに対する抵抗力をつけて、今後の発展の基礎条件をつくってやろうという趣旨でこの制度ができまして、そういう前提で二万八千戸という一応推定をしたわけでございますが、その後経済上の変化もございまして、一部離農したものもございますし、ほかの制度でカバーができましたために、この資金の借り受けをしないことになりました農家等もおりました結果、こういう数字になってまいりましたわけでございます。
〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
で、今回の延長にあたりまして、三千百戸は二年間でぜひ達成をいたしたいというかまえで私どもは臨んでおりますが、それと同時に、並行いたしまして御審議をいただいております四十一年度の予算案で、五百万円強で調査費を計上いたしております。一応そこで、希望農家が三千百戸ほど残っておりますので、それらについて、従前からいろいろ貸し付け条件その他運用面で、道庁側の希望のありました点等を考えて、改善をいたしますのとあわせて、その二年間に三十一年及び三十二年における調査と、その後の経済事情の変化、それからこのような制度によりまする実際の行政上の効果等を十分見きわめもいたしまして、このまま二年後にただずるずると延長するということではなくて、前回の調査と今度やります調査との比較の中で、今後さらに北海道の中庸程度の畑作農家が今後発展をしていきますための基礎条件をつくってやりますためには、四十三年以降どういう点に重点を置けばいいかということを、その調査費等を利用いたしまして判断をいたしまして、実施をしてまいりたいというふうに考えておりまして、二年後にただこのままで延長するかどうかということをいま考えているわけではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/21
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022・川村清一
○川村清一君 大臣が十二時過ぎると何かお出かけになるそうでございまして、不在になるというお話でございますから、質問を、前のほうをまたあとでやることにして、大臣にお尋ねしたいことを先にひとつ質問させていただきたいと思います。
まず最初に、大臣にお尋ねいたしますことは、北海道におきましては昭和三十九年の大冷害にかんがみまして、どうしても冷害のない寒冷地の畑作営農を確立しなければならない、この際ぜひ国に抜本的な対策を打ち立てていただきたいというようなことから、北海道庁あるいは北海道農業会議その他北海道の農業団体みな一丸となりまして、いろいろ対策を練りました結果、大きな問題として五つあげまして、ぜひこの実現のために努力してもらいたいということを中央に対して申し出ているわけであります。一つは、総合土地改良の問題であります。それから一つは、これはやはり酪農を発展させなければなりませんが、その飼料対策としていわめる草地改良事業をぜひやっていただきたい。一つは、負債整理であります。莫大な負債を抱えまして営農計画が立たない、ぜひこの負債整理に努力をしてもらいたい。もう一つは、これは畑作振興の上からぜひやらなければならない問題でございますが、畑作共済制度を確立してもらいたいということと、もう一つは、冷害に対する一つの処置といたしまして、農家林の整備拡充。問題を五つにしぼって中央にお願いしておる状態でございますが、この問題につきまして大臣は御承知であるかどうか、ひとつお伺いをしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/22
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023・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいま川村委員からの御指摘の点でございますが、北海道における冷害問題は、これは三十九年、四十年も北部において相当の冷害があったということは言うまでもありませんが、この際に北海道庁及び関係の皆さんから、ただいまの申されました冷害対策の問題の解決策としての問題としてこの五つをやはり陳情も受け、また、その必要性を私どももよくこれを了承いたしておるわけでございます。その問題として、一つは、総合的な土地改良の問題でございますが、これらについては酪農の振興と関連いたしまして、草地の造成改良という問題について十分これらを考えなければなりませんので、四十一年度においても若干それらに関する予算等をも計上いたしておるわけでありまするが、なお国全体としての土地改良の長期計画の一環としてもその中へ包含しておる次第でございます。また、畑作共済の問題にいたしましても、これは特に北海道において以前から研究調査をしていただいておるのであります。これは御了承のとおりでありますが、なおその他の地帯においてのこれらに対する問題として、必要な個所についての調査をいたしております。これらはまだまとまった結論はもちろん出ておりませんのでありまするが、急いで、畑地全体についての共済でございまするが、これらについての結論を得べく調査検討を進め、また、総合的な調査をさらに進めてまいるという段階にあるわけでございます。それから金融措置、いわゆる負債整理に関するいろいろの問題でございますが、これらの問題については、もちろん自作農資金の問題もございまするし、また、マル寒資金の改正等によりましてもこれらの問題を充足してまいりたい。もちろん、この負債整理の問題としては非常に十分とはいうわけにはいきませんでございますけれども、これらの一般の金融政策それらとあわせて、マル寒資金の改正等をあわせてそれらの問題をでき得る限り解決していくというふうに考えておるわけでございます。なお、この冷害全体、冷害に関する根本的な問題といたしましては試験研究等も必要でありまするし、長く冷害に対してのいろいろの試験研究をいままでも続けておりました。それらの試験成績の結果を十分現地に普及させるということをさらに加えて進めていかなければならぬと同時に、いままでの研究以上にまだ研究の足らない面に向かっても、これはさらに一そうの研究の面についても努力を払っていかなければならぬかと思うのでありますが、全般のこの冷害問題というものについての根本的な対策というものについては、ただいまこれらの問題は特に重要であると思いますが、さらに北海道以外の面についても同様にその他の面に関連いたしましても十分の検討、研究と、そして、できた研究を普及するということとあわせて、これらの問題を進めてまいりたい、かように考えております。きわめて重要な大切な問題として進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/23
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024・川村清一
○川村清一君 ただいま北海道が強く要望しております五つの問題を具体的に提示いたしまして大臣の御所見を伺ったわけでございます。大臣は口ではきわめて重大な問題である、重要な問題である、しかしながらすべてこれは検討だ調査だということで、具体的なお答えは一つもないわけであります。
そこで、私は一つずつさらに深めてお尋ねしますが、畑作共済制度の問題でございます。これについて大臣は、きわめて重要な問題である、十分調査し検討しというお答えでございますが、この畑作共済制度の確立の問題は、これは単に北海道だけの問題ではなくして、畑作を営農されておる全国農民の問題になるわけでございますが、一体これから何を調査し何を検討されるのか、問題が提起され、この問題の解決の農民の運動というものは、これはもう何年も前から続いている問題であり、おそらくこの国会においても、もう何回何十回となく取り上げられておる問題ではないかと思うわけであります。大臣は農林大臣ですから、いま水産庁のほうも所管されておりますのでおわかりだと思うのですが、漁業共済制度ができておるわけです。で、先ほど提案された漁船保険とは違う、漁船災害補償とは違う漁業共済制度ができておるのです。まだ国会の附帯決議に従って国の再保険まではいっていませんが、しかしながら、一応形はできた。それには漁具漁網の損害だけではないのです。漁獲災害があるのですよ。一体、漁業の漁獲というものと農業における畑作の収穫というものと、どちらのほうが見通しが立ちますか。だれが考えたって、海でとる魚よりも陸で生産される畑作物の生産の見通しのほうが立ちますし、過去の実績だって確実につかめるのではありませんか。非常に不安定な漁業においてさえも漁業災害補償制度ができておるにかかわらず、農業畑作共済制度というものはこれから検討する、調査するといったって何を一体調査し、何を一体検討するのか、一体、政府はやる気でいるのかいないのか、この点を、大臣の責任ある御答弁を願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/24
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025・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) この畑作の共済の制度化につきましては、御了承のとおりに、北海道におきましては、昭和三十三年度から三十八年度まで、麦類、バレイショあるいは大豆等を対象として調査を実施してまいりましたことは御指摘のとおりであります。昭和三十九年度からは二カ年計画の目標で、過去数年間の資料のいままでの整備と、それからして共済事業実施の可能性等の保険制度上の問題を明らかにするため、農業共済及び畑作に関しまする専門家によるところの検討の会議を具体的に進めてまいりましたのでありますが、さらに、四十一年度からは、内地主要畑作地帯について、北海道以外にも三カ年間、制度化の可能性について調査を予定しておるのであります。これらの結果を待って対処することにいたしておるのでありますが、なお具体的にどういうことを主として検討するかということになりますと、一つは、作付及び数量の変動がわりかた大きい。いま水産の問題についてお話になりましたが、畑作におきましても作づけ及び収量の変動が大きい。特に地域差が非常に大きいということ。それから二つには、畑作物は地域的特性が強くて、主産地の被害が全体の生産を左右する。地域的危険分散の機能が非常に少ない。全般的に普及していない。麦のようなのは別としまして、普及していない。だから災害が起こるとそこだけが非常に大きな災害を受けて、その危険分散というのが地域的に非常に困難であるという問題。それからまた収量及び損害評価についても非常に困難性がある。そこへもってきて、価格変動も大きい、こういういろいろの問題がございまするので、それらについてその畑作のほうの技術者、それから一方は保険の専門家、これらの人々のいわゆる研究会というものを具体的に進めてまいるという段取りでございます。したがって、これらの検討をなるべく早く完了いたしたいとは存じておりまするが、いま直ちに実施の面には入るわけにはいかない、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/25
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026・川村清一
○川村清一君 なかなか実施の段階にいかないその理由は、ただいまるる御説明になったその御説明は私もわかるわけです。しかしながら、そういう状態になっておるのは一体だれの責任か。たとえば、価格変動が非常に多いと、したがって、農民は作付するいわゆる面積、数量といったようなものをやはりその価格変動に見合って年々変えていくといったようなことから、的確に恒常的に数字をつかめない、こういったようなことがこの制度を設ける大きな阻害になっておる。だとするならば、政府のいわゆる農政というものを、いわゆる価格なら価格に対する農政というものを切りかえなければ、いまのこういうやり方をそのまま認めておっては、それではいつまでたったって、この制度の確立はなされることはないのではないですか。大臣は、本気になって、この畑作作物の共済制度を確立しなければ農民の営農は安定しない、主管大臣としてぜひそうしたいと、こういう心がまえでこれを検討されるとするならば、単にこの問題だけでなく、生産とそれから流通、価格、こういったような問題を総合的に検討いたしまして、正しい農政に指向しなければこの問題は解決しないと私は思うわけです。大臣は本気になって、一体この畑作共済を実施されるという前向きの姿勢で検討されておるのかどうか、もう一度お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/26
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027・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) もちろん前向きの姿勢で研究いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/27
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028・川村清一
○川村清一君 次にお尋ねしますが、北海道の農家の負債について先ほどいろいろお話がありましたが、これも的確な御答弁ではございません。大臣は、北海道の農家の負債というものを一体どういうふうに実態を把握されているのか御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/28
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029・和田正明
○政府委員(和田正明君) 北海道の農家の負債のことにつきましては、先生も御承知のように、三十四年から三十六年にかけまして、農家負債整理特別事業というのを実施いたしまして、借りかえのために五十五億一千八百万円ほどの自作農維持資金を貸し付けをいたしたわけでございますが、三十七年以降につきましても、四十年度までに合計して八十一億二千万円ほどの貸し付けをいたしまして、負債の自作農維持資金による長期のものに借りかえを実施いたしてまいりましたわけでございます。今後とも必要に応じまして維持資金の活用をはかることは当然でございますが、私どもは、道庁からの要望事項としては、畑作営農の振興資金の融通制度の確立というようなことの強い要望がございましたように理解をいたしております。そういう意味も含めて畑作農家の中庸程度の農家に、今後発展をいたします基礎条件を確立をしてやりますために、単に延長ばかりではなしに、制度の運用面等についても改善を加える趣旨で、この法案を提出をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/29
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030・川村清一
○川村清一君 ただいまの局長の御説明によりますというと、北海道の農家の負債整理のために、ずいぶん多くの金を出しているように承わったわけでありますが、私の承知しておるのとは若干この数字が違うようでございますので、私の承知しておることを申し上げますので、どこか間違っておったら、ひとつさらに御訂正願いたいと思います。
私の承知しておりますのは、農林省は昭和三十五年に北海道の負債の問題を調査いたしまして、そして三十六年に自作農維持資金融通法の附則を改正いたしまして、整理を必要とする固定化負債二十三億を借りかえ措置によって整理した。その後、農林省としては別段調査はしておらない。この北海道の負債整理の問題はきわめて重大な問題でございまして、御承知のように、昭和二十八年、二十九年と三十一年の大冷害で固定化負債が累積いたしまして、ばく大な金額にのぼったわけであります。これを整理しない限り、北海道の営農は成り立たない、こういうようなことから北海道庁におきましても、ずいぶんこれに力を入れまして、昭和三十年には二十億、昭和三十一年の冷害に対しまして、昭和三十一年にさらに二十億の負債整理のための措置をいたしまして、道費をもってとの利子補給をしたという非常な努力をしたわけであります。こういう北海道自体の努力というものを農林省も認めまして、先ほど私が申し上げましたような措置をとったと、こういうふうに私は承知しておるわけでございますが、私の承知では、北海道の農家の固定化負債は昭和三十六年に二十三億なにがしの金を出して整理した、これ以後は調査しておらない。ところが、ただいまの局長の御説明によれば、何年かには五十五億何千万円、何年かには八十一億何千万円、ばく大な負債整理資金を融通したようなお答えでございますが、これはちょっと了解できかねますので、もう一度説明をたまわりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/30
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031・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 私からお答えいたします。いま農政局長が申し上げたとおりですけれども、農林省といたしましては、三十四年と三十五年に三十二億円の割り当てを北海道にいたしたわけでございます。その結果、北海道庁においても三十六年度においてさらに三十七億円の要求をしてまいりまして、要求といいますか、希望をいたしまして、これに対して私どもといたしましては、三十六年度に二十三億の配分をいたしたのでございます。したがいまして、三十四年、三十五年の三十二億と、三十六年の二十三億とを加えまして、当時において五十五億ほどの融資をいたしたわけでございます。自作農資金につきましては、その後も北海道に対しまして相当額の割り当てをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/31
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032・川村清一
○川村清一君 それでは、三十九年の冷害以後さらに調査をされたり、あるいは道庁からの要求がありますか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/32
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033・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 冷害その他の災害がありますと、必ず北海道庁から私どもに冷害対策あるいは災害対策としての融資の要望がございまして、北海道庁とも話し合いの上その都度相当額の融資をいたしてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/33
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034・川村清一
○川村清一君 現在どの程度の固定化負債があるか、御調査になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/34
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035・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 実は私北海道の農協あるいは農家全体の資料は現在農地局として手持ちはございませんけれども、私どもが直接関係いたしております開拓農家の分について申し上げますと、開拓農家の負債といたしましては、最近の時点において残高が二百三億円でございます。一戸当り約九十五万円、そのうち延滞額が三十四億ほどでございます。これも二戸当りにいたしますと十九万円ほどでございまして、開拓農家としますと、内地に比べて北海道の固定負債といいますか、延滞額のウエートは相当大きなものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/35
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036・川村清一
○川村清一君 これはもちろん制度金融に対する負債だけでなく、農協に対する負債も含めての勘定になっているわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/36
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037・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) これは政府資金ばかりではございません。農協の負債も含めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/37
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038・川村清一
○川村清一君 ただいま農地局長から開拓に対する負債の実態の御説明があったわけでございますが、これは一般農家、開拓農家を含めまして、一年以上の延滞を持っている固定負債でございますが、これが大体において百二十九億、しかもこの負債の実態はほとんどが制度金融に対する負債ではなくて、農協に対する負債である、このことはどういうことかと申しますというと、制度金融の返債は、とにかくこれは借り先が日の丸なんですから、遠慮会釈もなくこれは取られるわけでございます。そうしますと、これは結局農協のほうに肩がわりしていくわけでありまして、農協がたいへんな実態になっておる。特に開拓農協等におきましては、これは農協の経営が成り立たないと、こういうような状態になってきておりますので、北海道の負債の整理につきましては大臣もまあ相当熱意を持っておられるようでございますが、それから局長の御説明によれば、大体今日まで五十五億程度の融資をこの面の融資をされておる、こういうような御答弁でございます。しかしながら、三十九年の大冷害によって負債はさらに激増してきておるのが実態でございますので、この点につきましてはぜひひとつ力を入れて解決のために努力をしてもらわなければならないと考えておるわけであります。
それから第三に、大臣にお尋ねいたしますが、総合的な土地改良、それから大草地改良、これは大草地改良等につきましては、公共事業に入ってきておるわけでありますが、大臣の話では、ぜひやらなければならない、相当熱意を持ったような御答弁でございますが、今年の開発予算等を検討いたしてみますというと、まことに微々たるものでございまして、こんな程度では、これは何年たったならこれらの事業が完成されまして、そして土地条件というものが改善され、畑作物あるいは酪農が振興いたしまして、ほんとうに北海道の寒地農業が確立するその日はいつなのか。これは見当もつかないような、百年河清を待つような状態ではないかと私は思うわけでございます。そこで、大臣としてもう一度お伺いしたいことは、この土地改良なり草地改良に対して明年度の予算、さらに明後年度の予算においてひとつ大いに奮発して大きな事業を強力に実施していくと、こういう前向きの姿勢であってほしいと思うわけでありますが、これに対する御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/38
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039・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 北海道におきますところの農業基盤整備事業は年々相当な幅で増加しております。今年について申し上げますと、四十一年度におきまして北海道関係の農業基盤整備費は二百三十七億九千万円ほどでございます。これは四十年度の補正後の二百五億九千万円ほどに比べて相当な増額でございます。また、私ども四十一年度から北海道につきまして新しい事業種別の国営事業を行なうことをきめまして、一つは御承知と思いますけれども、畑作地帯総合土地改良パイロット事業でございます。さらに内水排除事業も新しく国営事業として始めることにいたしたわけでございます。
なお四十年度を初年度といたします土地改良十カ年計画におきましては、北海道に対する配分額は明記いたしておりませんけれども、事業量の内容につきましては十分北海道開発局、あるいは北海道庁と打ち合わせ済みで、北海道の基盤整備事業が合理的に、またすみやかに行なあれるなうに配慮いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/39
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040・川村清一
○川村清一君 大臣がお帰りになるので大臣にいろいろ聞いているので、なるべく大臣のお答えを願いたいと思うわけであります。
大臣にお尋ねしますが、農林省の四十一年度予算に北海道・南九州畑作地域農業振興対策調査研究に必要な経費として五百八十万計上してありますが、これは一体どういうようなことをするのか。先ほど大体大臣が何かお答えになったようでございますが、もっと具体的に、この予算を使ってどういう調査研究をなさろうとしているのか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/40
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041・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 先ほどの問題でありますが、畑作振興につきましては、所要の施策を講じてまいりましたのでありますが、今回さらに経済情勢の変化等に伴う農家の実態、不況施策の効果の実態の把握等に観点を置いた調査研究を施行するものであって、その調査に基づいて四十三年度以降さらに講ずべき重点的施策を検討する考えでございまするが、要するに、畑作についての研究なり調査というものは残念ながら非常に不十分でございます。これは言うまでもありません。最近に至って北海道の皆さん並びに農林省においても十分この畑作の振興という問題については前向きに非常な努力を払いつつありまするが、今日までの、最近の努力でありまして、ずっと以前から考えますというと、日本の国として畑作に対する検討は非常に少ない。そこで、北海道だけではなしに、畑作に関するほんとうの問題というものは、水田に比較して、これは比較の問題でありまするが、非常に足らないということを私も痛切に感じておる一人であります。農林省といたしましては、そういう点にかんがみまして、最近は、最近といってもここ十数年になりましょうが、かなり畑作には大きくその方向へ向かっての努力は続けてはまいっております。たとえば、先ほどの冷害の問題にいたしましても、先ほど申すのを落としましたが、北海道からの陳情の中に非常に大きな要求がございました。たとえば、冷害備林の造成というものにつきましても、今回千ヘクタールのパイロット事業を実施するといったようなこともやっておるわけでございますが、さようなことでいろいろ農地の造成という問題、それから酪農の問題、酪農について絶対に必要なところの草地造成の問題、それから飼料作の問題といった問題について相当、これは具体的には一々申しませんが、非常に力を尽くしてはおるつもりでございます。しかし、いま申しましたように、この畑作振興そのものについての私の感じとしては、総合的、抽象的に申しますと、そういう点についての畑作振興、畑作に関する調査あるいは施策というものは水田に比較して足らない、少ないという点を個人的にもきわめて痛切にそれを感じておるわけでございまするが、そういう関係でありまするので、このいまのマル寒資金が、これが二年で延長をどうするかというような問題等もありますし、それがなくても、なおさらのことでありますが、そういう意味において畑作振興についての姿勢、これこそ真剣な考えを持ってそれらの調査を進めていきたいと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/41
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042・川村清一
○川村清一君 まあ一般論としてはわかったわけです。今度の予算に計上されております五百八十万何がしの金というものは、北海道・南九州畑作地域農業振興対策研究に使う予算であると、こういうふうになっておりますので私はお尋ねしているのでありまして、いわゆる積雪寒冷地というきわめてきびしい気象条件にある北海道、それから特殊の土地条件、さらに災害の多発地帯である南九州、この両地域の畑作営農振興のために抜本的な対策を打ち立てるのだ、そういう姿勢で今後それに関する研究、調査を進めていくんだと、そういうための、そのことを目的としたところの機構を農林省に設けて、そしてその職員がもっぱらその点に努力をいたしまして、一年なり二年その研究を積んだならばそれを基底にして先ほど申し上げましたように用地のこの営農が文字どおり安定するような抜本的な対策を立てるんだと、こういう目的を持って、そういう事業をするためにこの予算を計上したものと私は理解しておるわけでありますが、この理解に間違いがないかどうか、大臣の責任ある御答弁をいただきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/42
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043・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) この予算の五百八十万円についての調査費は、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/43
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044・川村清一
○川村清一君 重ねてお尋ねしますが、それでは、そのために農林省の中に、まあかりに、仮称で言えば、たとえば対策室といいますか、これはまあマル寒資金ができるまえに、昭和三十二年に農林省内に調査室をつくったという、そういう前例もあるわけでありますから、対策室、そういう機構を設けて専門的にこの仕事をするんだ、こう確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/44
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045・和田正明
○政府委員(和田正明君) 結局、法案が施行になりましたら、関係各局の応援を得まして農政局の中に対策室というようなものを省内限りで設置をして、ただいまお話しのような調査をいたすように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/45
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046・川村清一
○川村清一君 大臣に、もう時間でございますから最後に御質問——まだ五分いるそうですから……。
それで、大臣、この四十一年度における公庫のマル寒資金の貸し付けワクといいますか、貸し付け額はどのくらい予定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/46
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047・和田正明
○政府委員(和田正明君) 十億円の予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/47
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048・川村清一
○川村清一君 十億円ですか、百億円ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/48
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049・和田正明
○政府委員(和田正明君) 十億円の予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/49
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050・川村清一
○川村清一君 そうしますとね、まあ運用の中に入って、またこれはあとからやりますけれども、大事な運用面の変更において貸し付け限度額を百万から二百五十万まで上げたわけですね。もちろんまるまる二百五十万という、全部が二百五十万であるはずはないわけでありますが、二百五十万と上げておいて十億とは一体どういうことになるのですか。それと関連して、三千百を二カ年でやるということは、一体どういう点を、私頭が悪くてよくその辺が理解できないので、その辺を数字的に明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/50
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051・和田正明
○政府委員(和田正明君) 四十一年度中に千五百戸四十二年度に千六百戸の計画認定をいたす前提で、年次別の資金ワクの計算をしておりまして、本年度は一応十億円ということに判断いたしたわけでございますが、大体推定上は間に合うと思いますが、過不足等につきましては、今後ともやり繰り等をいたしまして、資金ワクに迷惑がかからないようにするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/51
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052・川村清一
○川村清一君 一体、貸し付け限度額二百五十万と、それをことしは千五百戸認定すると、そういう計算で十億というその予定額が出てきておるわけですか。十億という予定額がきまって、そうしてこっちのほうは千五百戸貸し付けるのだ、限度額は二百五十万だ、こういう計算なんですか。これは重大です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/52
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053・和田正明
○政府委員(和田正明君) そういうことではございませんで、先ほども申し上げましたように、この金は一度で貸してしまうわけではない。計画認定後、三年間の間に逐次事業の進行と同時に合わせて借りていくわけでございますから、いま申し上げましたように、四十一年度の新規認定を千五百戸というふうに前提をおきましても、新規貸し付け等を考えますと、今年度は一応十億で間に合うというふうに推定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/53
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054・川村清一
○川村清一君 間に合うと推定されておるそのところがわからないのですが、もちろん二百五十万を一気に借りるわけでない。三カ年で貸し付けることはわかるわけでありますが、かりに、三カ年ですから、八十万として、八十万で千五百戸貸し付けたら一体何ぼになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/54
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055・和田正明
○政府委員(和田正明君) いま例をあげられましたように、千五百戸全部が八十万円借りるというふうにおっしゃれば、十二億という金額になりますけれども、過去における借り入れの実績認定と、借り入れとの実績が若干ズレ等もございますので、そこらを頭に置いて計算をいたしますと、本年度について一応十億ということになるわけであります。もちろんこの金額で不足でございますれば、先ほどもちょっと申し上げましたように、公庫の全体の融資ワクの中で調整等をはかりまして、資金不足のないように手当はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/55
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056・川村清一
○川村清一君 そういうでたらめな話をされても非常に迷惑なんです。で、私はかりに八十万借りたらどうなるかということを、千五百戸で十二億になるわけであります。もちろん八十万以下のものもあるだろうし、多いものもあるかと思いますが、それからもう一つ重大な問題は、これはあとからいろいろ金融のいわゆる貸し付けの対象の条件をお尋ねしていくわけでありますが、大臣、前に借りた人はもうこれは借りられないのですか。いままで限度額百万円、百万円で貸し付けを受けた人は、いま二百五十万になったと、これで法律改正のこの恩典は、すでに借り受けをした農民にはないわけでありますか。恩典が与えられないわけでありますか。この点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/56
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057・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 必要がある場合には追加をいたします。この限度の、いわゆる相違からくるところの追加はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/57
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058・川村清一
○川村清一君 そうしますと、いよいよ局長の言われていることがでたらめだということになると思うわけであります。新規のほうでも足りないんですから。ところが今度は、前に借りた人にも貸すというんでしょう。それであと間に合うはずがないでしょう、十億で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/58
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059・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 先ほど農政局長からもお答えいたしましたとおり、従来の貸し付けの経過から見て一応この程度にいたしておるが、どうしてもそれは足らないというときにはやりくり——やりくりというのはおかしいが、取り消しいたしますが、公庫内の貸し付けのワクの変更でもやりまして、必ずそれを満たすことにいたすという方針でやっておりますから、御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/59
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060・川村清一
○川村清一君 それでは、大臣そろそろお引き揚げになられると思いますので、今度は大臣はおいでにならなくてもお尋ねできる問題に問題を移してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/60
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061・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/61
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062・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/62
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063・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 大臣、二、三分ですけれどもね、私もこの次にお伺いしようと思っているんですけれども、いま川村委員が二回にわたりまして、今後の北海道の畑作あるいは南九州の防災畑作営農ですね、この問題について二回にわたって質問をしたわけですね。で、五百八十万円の金の問題まで出して話をしたんですが、大臣何か思いついたように、それはそのとおりなんだというお話ですが、それは五百八十万円組んであるんですが、本気にやる気あるんですか。やる気があるんですか。本気に五百八十万円のやつこれからやるというんですね、それ、あなた。これからの問題について盛んに誘導尋問やっているのに、何だかもさもさしている。すぐやるんですか、本当に。何か適当な外郭団体に調査の委託でもして終っちゃうんですか。どうなんです、やる気あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/63
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064・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 五百八十万円の何は、先ほども申しましたように調査はやります。しかも、それは農政局内においてこれをやらすようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/64
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065・山崎斉
○委員長(山崎斉君) これをもって、暫時休憩いたします。
午後零時三十三分休憩
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午後一時四十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/65
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066・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行ないます。川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/66
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067・川村清一
○川村清一君 それでは午前に引き続き、質疑を行ないたいと思います。
今度の法改正によりまして、法律の部分ではございませんが、次官通牒の運用の面で、若干変わっている面がございますので、これに関連して、いろいろお尋ねしたいと存じます。
まず第一にお尋ねいたしますことは、この法の適用対象農家でございますが、これは所得が、大体六十万以下——いままでは四十万から五十万というのを引き上げまして、六十万まで上げたわけであります。そこで、経済状態が大きく変わり、物価なんかも相当上昇しているこの中で、所得六十万程度の農家というのは、北海道の畑作農家におきましては、一体どの程度の規模のものか。もちろん畑作、酪農、あるいは混合、いろいろありましょうけれども、大体この法の適用対象になる所得六十万程度の農家の営農規模とかいうようなものについて、御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/67
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068・和田正明
○政府委員(和田正明君) 農林省の農家経済調査でまいりますと、三十八年度におきます北海道の農家の平均の農業所得が、五十三万三千円ということになっております。一方、北海道の報告によりますと、大体五町から七町五反くらいの階層のところを境にいたしまして、上下——いままでは、ややそこの戸数が増加傾向にありましたが、ごく最近ではやや減少というような傾向を示しております。ここらを分解基軸というふうに考えますと、経営面積としては大体七町歩前後の経営農家が多いということになるのではなかろうかと思います。その辺の階層の所得を農家経済調査で調べてみますと、畑作で六十二万一千円、主畜経営で六十一万六千円、混同経営で五十二万七千円というようなことになっております。それからまた同じように、北海道の農家経済調査の報告書を調べてみますと、これはサンプルが少ないのでございますが、約三百弱の農家について、畑作、主畜、混同のそれぞれの経営についてみますと、六十万円以下の農業所得をあげております農家が、カバー率が六七%ということになっております。午前中にもいろいろ先生からも御指摘がございましたように、この制度の趣旨が、北海道の非常に過酷な寒さ、寒冷地であるというその条件を克服して、中庸程度以下の農家が将来安定的な経営に到達し得る基礎をつくっていくという趣旨でございます。大体六十万円前後のところに重点をおいて、それ以下の農家をそれ以上に振興さしていくということを考えるのが適当ではないかという判断をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/68
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069・川村清一
○川村清一君 六十万以下の所得の農家、北海道の農業構造の中では大体中庸程度、この中庸程度のものを引き上げるためにやるのだという御説明でございまして、そこで、重ねてお尋ねしたいのは、六十万以下の所得農家というのは、畑作で大体全体の六七%程度だというようなことで、経営規模としては大体七町歩程度の規模であるというようなお話でございました。で、私が特にお尋ねしておきたいことは、この法律は、最初は三十万で、三十万から発足して、そして四十万から五十万に上がって、そして今回六十万に上げていくわけなんです。で、その中庸以下という、中庸程度ということはわかるわけでありますが、その六十万以下の六七%、この六七%全部が決してこれを受けられるものではないと私は思うわけでありますが、結局六十万程度まで引き上げていっても、現在三十万あるいは四十万、五十万といったようなものもあるんじゃないかと思います。それらのものはこの法の適用対象にならないのではないかと思うわけであります。そこで、法の適用になる層とならない層との大体の比率ですね。この六七%のうち、どの程度はこれからはずされるのか、除外されるのかということをお聞きしておきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/69
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070・和田正明
○政府委員(和田正明君) ただいま大体七町歩程度の経営を前提において六十万以下ぐらいというふうに申し上げましたが、北海道でも現に農業所得の非常に高い、粗収益でももちろん高い農家もあるわけであります。そういう農家は、いわゆる上層農家は当然除外をされるわけでございまして、それが先ほど申しました道庁のサンプル調査では三〇%くらいあるわけであります。それから下のほうでございますが、下のほうというと恐縮でございますが、これは六十万円以下であれば、特別な二種兼業の農家でございますと、近く離農を予定しております農家でありますとか、そういう特殊なものを除きますれば制度としては対象になるわけでございますが、もちろん今後とも農業生産を振興していく意欲が十分でなければならないわけで、それが借り入れをいたしまして、今後生産を振興していく過程の中で営農計画というものが立てられて、八十万程度の目標に達成するような、そういう経営計画が立てられれば、六十万円以下でも当然対象として、本人の希望があれば借りていくことができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/70
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071・川村清一
○川村清一君 私のお尋ねしておることにはっきりお答えしていただけないのですが、私のお尋ねしておりますことは、上層の農家はこれは別です。そこで、六十万以下で、この法の適用を受けられないものはどの程度あるのか。と申しますのは、これはやはり営農振興計画を立てて、その計画を北海道知事が認定したときにおいて融資が受けられるわけでありますから、現在の営農の規模におきましていろいろ資金を借り受けて営農をやっても、といいますのはその限度額がきまっておるわけでありますし、それから、いままでの負債がうんとあればその負債の重圧でとうていこの再生産資金のほうに向けることができないと、こういったようなことで所得目標八十万を上げる、そういう計画を立てることもできない農家は当然これからはずされるわけであります。そのはずされる農家というものはどの程度あるのかということをお尋ねしている。何%くらいあるか。上のほうは三〇%あるということはわかりましたが、その下のほうは何%ぐらいあるのか、これを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/71
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072・和田正明
○政府委員(和田正明君) この法律の適用対象になります地域は積算温度でございますとか、そういうようなことで二十二の地域を指定をしてございますので、そのうちから当初推定をしたときが、午前中に申し上げましたように、二万八千戸が有資格者であったわけでありますが、現段階ではそれらのうち、残りましたもののうち三千百戸が希望をしておるということでございまして、何%落ちるかというような数字的な統計資料を手もとに持ちあわせておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、二種兼業農家のようなもので、その中から将来一種兼業農家に変わっていき、農家としての振興をしたいという意欲のあるものまでは含みますが、一般的に二種兼業農家のように、特に農家所得としてはどのような金額になるにしても、農業所得があまりに低いような場合には最初から対象にいたしてまいらなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/72
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073・川村清一
○川村清一君 そうしますと、こういうふうに考えてよろしいわけでございますか。まあこの資金を借り受けられる者、六十万以下の者、そして営農計画を立て得ることができる者、それからそのほか構造改善資金であるとか、あるいは近代化資金であるとか、いろいろ資金はありますから、そういうものも借り入れる者がありましょう。そこで、そういうものを一切がっさい含めまして、結局下層農家といいますか、この資金の対象になれない者、いわゆるもう二種兼業農家であって、離村しなければ、離農しなければどうにもならないと、こういう者以外は、希望さえあれば全部この資金を借り得る対象になるのかどうか、ここを私ははっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/73
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074・和田正明
○政府委員(和田正明君) もう大体いまお話しのように、本人の希望があって、営農計画も立てました場合に、五年ないし十年後に一応農業所得が八十万円程度以上になるし、それからまた、本人の意識としても農業を今後職業として選択をしていくし、家族労働もそういうことに適しておるというような範囲を想定をしておるわけでございますから、いま先生御指摘のように、一種兼業農家以上であれば、希望があって計画さえめどが立てば、貸し付け対象になるというふうにお考えになってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/74
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075・川村清一
○川村清一君 まあ私どもといたしましては、現在二種兼業農家であっても、この営農意欲のある者は、何とか農業でやっていきたいと、こういうような意思のある農家に対しましては、これはやはり引き上げてやらなければならない、引き上げるようないろいろな行政措置をしてやるべきではないかと、かように考えておるわけであります。そこで、それらの農家は、そういうボーダーライン以下の層は、一体北海道でどのくらいあるのかということをお尋ねいたしましても、それについては、その明らかな数字をつかまえておらないということははなはだ遺憾であります。せっかくこの法を改正いたしまして、これの期間を二カ年延長した、こういう処置の中で、二戸でも多く、この法の運用によってひとつ立ち上がらせたいと、こういうようなやっぱり考えがなければならないと思うわけでありますので、そういう点から考えていって、除外される戸数を的確につかんでおらないことは残念なことでありますので、これはぜひひとつ調査していただきたいと思います。
それに続いてお尋ねいたしますことは、所得目標八十万、結局そこまで、まあそれを目標にしてやっていくということであります。そこで、この八十万という数字は何を基礎にして出てきたものか。それから、八十万所得のある農家というのはどの程度の農家なのか。北海道というきびしい自然条件の中で八十万の所得をあげ得る農家というものの営農規模というのは一体どの程度のものであり、八十万の所得があれば、自立経営、自立農家ということが言えるのかどうか。この点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/75
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076・和田正明
○政府委員(和田正明君) いまの御質問にお答えをいたします。
前に、前段の御質問では、冒頭申し上げたのでございますが、二種兼業農家でも、本人自身が、今後農業を中心にして、つまり一種兼業農家以上のような形に自分の農業経営を持っていきたいという意欲がある者で、もちろん計画がそういう人の中で立てられる人であれば、対象にはするわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
それからただいまの御質問の、八十万円でございますが、先ほどちょっと申しましたように、大体いま北海道の農家経営で、経営面積で申しますと七町前後のところが一つの分解の基軸になっておるようだということを申し上げたわけでございますが、そのもう一つ上の、七町から十町ぐらいの階層の農家を北海道の農家経済調査で調べてみますと、専業農家の所得で七十七万九千円くらいになっております。また、農家経済調査等を調べましても、そういうような前後の数字が出てまいりますので、一応八十万円ということに、つまり現在の階層から少なくとももう一つ上の安定的な農業経営の階層へ上がり得るようなことを、一つの目標といたしたわけでございます。これで自立経営たり得るかというお尋ねでございますが、この法制度そのものが北海道の非常な寒さというものを除去して、それに耐え得る農業経営にまで、中庸程度の農家の農業を振興させようということにねらいがあり、進んでその結果として、今後本人が一そうの努力をし、さらにその他の一般の制度がその上に加わってまいりますれば、将来、自立経営農家たり得るような基礎条件を整備をするということが目標でございますので、この制度そのものでただちに自立経営農家を育成するということではなくて、自立農家たり得る基礎条件を整備をして、北海道における非常な気候条件に対する抵抗力をつけることが、その基礎条件をつくるものであるというふうに、この制度の趣旨ができ上がっているものと理解している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/76
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077・川村清一
○川村清一君 この制度によって、北海道の農家にさらに自立経営ができる状態にまで発展させていく基礎をつくる、いわゆる基礎条件をつくる法律であるというような御説明でございます。まあそれはそれなりにはわかりますけれども、この八十万というこの数字が、お話を聞くというと、現在七町から十町歩の経営をやっておる農家、これの所得が大体七十七万九千円であると。あるいは農家経済調査による調査も大体このくらいの数字であると。だからまあ八十万ぐらいがちょうどいいのではないかといったように、非常に八十万という数字が、まあ現状がこうだからこうだといったような簡単な立場できめられておる。もっと十分農家経済状態というものを分析して、そこから八十万というものを出して、この八十万は決して満足な数字ではないのである、しかし、その八十万を基礎にしてさらに発展して、ほんとうに自立経営たり得る農家に仕上げていくのだと、こういうような御説明ならばわかるのですが、どうもその点がはっきりしない。まあ思いつきみたいに出てきた八十万というように思われてしょうがないわけであります。と申しますのは、この所得倍増計画におきまして、政府は自立経営農家として経営面積——これは北海道ではない本州の水田農家でございますが、二町五反経営で、そういう二町五反の自立経営農家を百五月育成する、こういうことを言っている。それでそのときに、この二町五反の水田農家の粗収入が大体百万で、所得がまあ六十万ですか、六十万程度、それから中期経済計画の中では、自立農家の大体の所得水準というものは、全国平均は八十万というように出しておると私は記憶しておるわけでありますが、こういうようなものに比べてみて、この北海道農業の経営の実態からいって八十万、これはまあこれで満足しておるのでないというお考えは十分わかるわけであります。わかりますけれども、八十万という所得目標でいいのかどうかということ、ここに一つの疑問がありますし、それから八十万の所得目標達成するためには、どのような営農をやるのか。この点につきましては、御承知のように、この経営計画を立てるにつきましては、北海道知事が営農方式をまずつくりまして、それに準拠して、この市町村等が営農類型を作成をいたしまして、その営農類型によって各農家が営農計画を立てるということになっているわけであります、そこで、前には六十万の所得目標、今度は八十万の所得目標ですから、八十万の所得をあげる目標のそれでは営農類型はどういうのか。たとえば土地は七町から十町というようなことを言われましたが、それから、酪農するとするならば、一体乳牛は何頭ぐらい持たなければならないのか、こういったような問題が起きるわけでありますが、これらについてどういうのかひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/77
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078・和田正明
○政府委員(和田正明君) 先ほど来申し上げておりますように、八十万というのがこの対象になります農家の最終目標ではございませんで、将来さらに伸びるための基礎条件を整備するというために、このマル寒の資金の貸し付けをいたすわけでありますから、今後ともさらにこの農家がそういう基礎条件の整備をされた上で一そう飛躍をすることを期待をいたすわけでございます。
そこで、営農類型でございますが、これは道庁が御承知のように大体地帯別にいろいろ定めますことでございますが、一例をちょっと申し上げてみますと、根釧内陸におきます牧野型の主畜経営ということで一つ例をとりますと、土地の面積が二十二町歩、そのうち畑が七町二反、採草牧地が十四町歩、その他の土地として八反歩、それから乳牛を十五頭程度、もちろんいまのは搾乳牛も育成牛も含んでの数字でございますが、そういうことで計算をいたしますと、農家所得としては七十九万九千円ぐらいのものが出るというのが一つの例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/78
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079・川村清一
○川村清一君 そうしますと、八十万という所得目標は、これはやはりいろいろな角度から検討いたしまして、そしてたとえばいまお話しのありました根釧内陸地帯における主畜経営の実態等をも勘案して、そういう立場から八十万という数字をはじき出したんだ。こういうふうにまあ理解して差しつかえないかどうか、それをはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/79
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080・和田正明
○政府委員(和田正明君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/80
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081・川村清一
○川村清一君 そうしますと、八十万の所得をあげるためには、ただいまの営農類型、これはまあ実例でございますから、局長からお話がありましたように、そこの農家の経営規模というものは、土地が二十二町歩、畑が七町二反歩、採草牧草地が十四町、その他八反ありますが、乳牛十五頭、こういう経営で七十九万九千円、約八十万の目標に達するということであります。もちろんこの指定地域というものは、北海道は広いんですから、根釧の営農類型がそのま十勝の営農類型であり、あるいは北見の営農類型になるわけでございませんけれども、いずれにいたしましても主畜農業をやるとするならば、この程度の規模が必要だということが明らかになるわけであります。
そこで、それに続いてお尋ねしなければならないのは、この法律の運用内容が変わりまして、所得目標が八十万になった、それから融資の貸し付け限度額も二百五十万に上がった、据え置き期間が一年延び、返済期限が五年延びた、こういうことになるわけでございます。
こういう条件の中で、こういう八十万の所得をあげるような計画を立てるためには、六十万の一体所得の経営というものはどんな程度かということを先ほどお聞きしたら、まあ七町、七町としても、しかし、この七町からいまの二十二町なんということになれば、これはばく大な土地が取得されなければならないと思うわけでございます。それから主畜であるとするならば、乳牛も相当数入れなければならないと思うわけであります。ところが、これは二百五十万の金でもって一体そういうことが全部できるかどうかという問題であります。さらには、午前中いろいろお伺いいたしましたように、負債の整理があるわけであります。負債を整理するとするならば、また自創資金の貸し付けを受けなければならない、こういうような状態になってくるわけでありますが、この問題に関連して、先ほどの補足説明では、今度は畜産経営拡大資金であるとか——土地取得資金のことは言いませんでしたね——畜産経営拡大資金、これも一括して貸し付けるような、こういうようにしたいというようなお話等があったわけでありますが、いま私が申し上げましたように、土地も取得しなければならない、牛もふやさなければならない、借金の返済もしなければならない、そうでなければ所得目標八十万を達成するような農家経営にまで持っていくことはできない。そしてこの八十万の農家経営ができても、これはまだ自立農家までいくのではなくして、自立農家一歩手前の経営である、こういうふうな御説明、こう了解するわけであります。
そこでお尋ねしたいことは、まあ私が申し上げましたように、その乳牛の導入資金であるとか、土地の取得資金であるとか、あるいは負債を整理する自創資金であるとか、こういうものは一体どういうことになるのか、この点をお尋ねしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/81
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082・和田正明
○政府委員(和田正明君) 営農改善のための計画を立てます段階で、当然土地取得なり、あるいは乳牛導入なりも、その経営計画の中へ加味をされなければなりませんので、マル寒資金は土地改良と、それから主務大臣指定施設とが融資対象でございますから、そのほかに乳牛の導入のための資金と、それから土地取得資金とはいずれも一本の借り受け申し込み書で申請ができるようにし、また、貸し付け決定も一本で貸し付けの決定ができるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。で、旧債の借りかえの問題につきましても、当然農家によってはそういう問題が起こってくると思いますが、それらも経営計画の中には織り込んでまいるわけでございますが、それについては自作農維持資金を必要に応じて活用をいたしまして、償還計画が立てられるように考えていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/82
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083・川村清一
○川村清一君 ただいまの御説明は、説明としてそれで了解できますが、そこではっきりしていただきたいことは、かりにこの営農資金を二百五十万を限度として借りることができる、そのほかに畜産の拡大資金、あるいは土地取得資金、あるいは負債の状況によっては自作農維持資金、こういうものを一本の計画の中で借りることができる、こういうことですが、それは金額的にいうと、二百五十万の上に当然上積みされる金額であろう、こう考えるわけでありますが、それに間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/83
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084・和田正明
○政府委員(和田正明君) 二百五十万は、この法律によります土地改良のための資金と、それから各種の施設の資金とでございますから、土地取得資金あるいは乳牛の導入のための資金は、二百五十万とは別ワクで上乗せで考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/84
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085・川村清一
○川村清一君 そうしますと、それはそれなりでわかりますが、いままでは家畜の導入資金につきましては、この法律が適用されて、貸し付けを受けておる三年間は借りることができないというふうに聞いておったわけですが、そこで、この法八条に、「国は、第六条第一項の規定による認定を受けた営農改善計画の達成を図るため、当該営農改善計画に基く家畜の導入については、国が所有する家畜の貸付その他の助成措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定してありますが、この法八条は、いままでどのように運用されてきたのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/85
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086・和田正明
○政府委員(和田正明君) 詳細は、畜産局長が来ておりますので、必要があれば追加説明をして、いただきますが、この八条は、この法律ができました当時は、寒冷地対策のために国有の牛を貸し付けます制度がございまして、その規定がこの営農類型との関連の中で、努めるという趣旨でできておったわけでございますが、その後この貸し付けの制度がなくなりまして、現在のように、家畜導入資金という制度にかわりましたのでございます。したがいまして、現在はこの八条は、国としてはすでになくなりまして、北海道が道有のものを貸し付けするという事業だけが現在のところ残っているという形にいっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/86
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087・川村清一
○川村清一君 国としては、その八条がなくなったということはどういうわけなんですか。この法律の条文は、これは消えたのですか。この法文はなくなったのか。この法律には、八条にこういうふうに明記されてあるのですが、国としてはなくなったということは、これはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/87
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088・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) この法律が施行されました当時は 国有貸し付け牛の貸し付け制度がございましたこと、農政局長の答弁のとおりでございますが、その後、貸し付け制度の目的は農家の資金負担あるいは育成中の危険負担を除いて家畜の育成による利益を農家に確保するという趣旨であるということであれば、国有貸し付けに伴います種々の難点がございますので、これを家畜の所有主体は都道府県にまかせるということにいたしまして、国はその家畜の購入費の二分の一を助成するということで、県有貸し付け制度が国有貸し付け制度にとってかわったわけでございます。また、その趣旨は貸し付け頭数を拡大する上にもやりやすいというような点もございまして、さような制度に相なりまして、その後ずっと国はこの制度のために助成を続けておるわけでございます。そういう意味では「その他の助成措置を講ずる」という趣旨で、第八条は、私の考えとしては、そのまま効力を残し、かつそれに従って事業を推進しておるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/88
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089・川村清一
○川村清一君 その答弁は、そのことははことばとしてそれなりに理解できるわけです。ところが、私の聞いておることは、法律にこうはっきり書いてある。法律を改正してこの法文を削除したというなら話がわかるのでありますが、この法律は生きているんでしょう、いまは。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/89
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090・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) ただいま御説明申し上げましたように、道に助成することによって家畜の導入についての国の助成措置を講じておりますので、第八条は必ずしも削除その他のことを必要としないのではないだろうかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/90
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091・川村清一
○川村清一君 法律学者でないから法理論の議論はちょっとできませんけれども、常識的にこの法文を読んだならば、まず第八条に、「国は、」と書いてある。主体は国です。そして「第六条第一項の規定による認定を受けた営農改善計画の達成を図るため、当該営農改善計画に基く家畜の導入に
ついては、国が所有する家畜の貸付」——国が所有するとはっきりうたってある。「国が所有する家畜の貸付その他の助成措置を講ずるよう努めなければならない。」こうある。国が所有する家畜の貸し付けを、そういう運用をやめたならば、当然これは法を改めなければならないことではないですか。これをやめたのはかってにやめた、そんなことは、行政庁が法律にあるものを都合によってかってにやめたということは、こんなことは許されますか。それから北海道庁が家畜の貸し付け制度をいま一体とられておるのかどうか御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/91
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092・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御質問の趣旨は私どもわからぬわけではございませんがも多少法律論的にこまかく申し上げますと、国の所有する家畜の貸し付けは実は年々の予算措置としては、県有貸し付け牛制度に切りかえまして以来やっておらないのでございますが、国の貸し付け牛制度は、国が取得いたしました家畜を貸し付けをいたしますと、そこから生まれました雌牛の返還を受けて、さらに貸し付けをしていくということで回転をいたす制度になっているわけでございます。そういう意味では、現在も回転中の国有の牛を貸し付けをいたしているわけでございます。でございますので、八条はそういう意味では、積極的な意味ではございませんが、国の所有する家畜の貸し付けというものが続いております限り矛盾をするものではない、むしろ存置をすべきではないだろうかという気がするのでございます。それで北海道庁は毎年特殊地帯に対する国の助成を受けて家畜の貸し付けをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/92
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093・川村清一
○川村清一君 そうしますと、現在はその制度の運用はしておらない、しかし、過去において貸し付けた牛があるので、それぞれの、いわゆる子供を回しておる、だから国の所有する家畜の貸し付けはやはりやっているんだ、だからこの法律を削除する必要はない、こういうような御答弁です。それから、北海道に対しては現在もこの貸し付け牛をやっている、こういうふうな御説明でございますが、この点もよくひとつ調べていただきたい、私はこの間までは北海道議会の議員をやっておったものですから、北海道の事情をよく知っておりますから……。それは北海道ももっておる子返しの牛はありますよ、国と同じように子供を回しているかもしれませんけれども、この点をよくひとつ調べていただきたい。子返しの子供をどの程度にどう回しているのか、一体国有の貸し付け牛が何頭あって、実際回っておる牛がどのくらいあるのか、これをひとつ道府県別に資料として後ほど御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/93
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094・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 現在、国有の牛の貸し付けが子返しの範囲内でどう動くかということは、手元の資料にも明確でございませんので、後日資料として提出をいたします。都道府県有の貸し付け牛制度になりましてからは、たとえば昨年の、四十年に北海道に対して乳牛千二百頭、肉牛八百頭、合計二千頭の貸し付けについて国の助成をいたしておりまして、これは実行いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/94
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095・川村清一
○川村清一君 さらにお尋ねいたしますが、この点につきましては、農地局長、畜産局長から明確にお答えを願いたいわけでございますが、北海道のいわゆる畑作農家で、この法適用の対象になる資格を持つ農家、これが営農改善計画を立てるわけであります。そしてこの法によって限度額二百五十万まで借りる、こういう計画です。それから土地については、先ほど営農類型で出ておりましたように、まあ二十二町歩までいくならば、かりに十町歩の土地を取得しなければならない。そこで十町歩の土地を取得する資金を借り受けなければならない。牛については現在六頭か七頭しかいないので、これを先ほどの頭数まで引き上げるためには、なお相当数の牛を入れなければならないので、やはりその資金がぜひ必要である。それから、現在負債が、かりに五十万なら五十万ある。これをぜひ返さなければこの営農計画は成り立たない、こういったような条件を総合的にして、こういう改善計画を立てた場合において、農地取得資金はその必要額の金を必ず借りることができるとか、それから乳牛あるいは肉牛の家畜の導入資金、経営拡大資金、これをその必要量だけ借りることができるのか、自創資金も同じでありますが、こういうようなことがはっきり約束できるのかどうか。いまの、大臣あるいは農政局長、農地局長、あるいは畜産局長の御答弁というものは、議事録に出て流されていくわけでありますから、農民はこれはほんとうにいいことだといって喜ぶに違いないのです。ところが、実際にこの運用の時点に立ったときに、全部打ち切られる、あるいはそんな計画は認定されないというようなことになれば、農民にとってはまさにぬか喜びということになるわけですが、そういう点は心配ないのか、安心して農民はそういう計画を立てていいのかどうか、この点をぜひはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/95
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096・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 公庫から貸し出します農地の取得資金の限度額は現在八十万円であります。したがいまして、非常な大規模の農地の面積を取得資金によって一ぺんに買うというふうにはまいりません。私ども現在国会に提案いたしております農地管理事業団法が成立いたします暁には、農地管理事業団による融資の条件は、限度は置いておりませんけれども、現在公庫が貸し出しますところの土地取得資金については八十万円という限度がございますので、それ以上一ぺんに借りるというわけにはまいらない状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/96
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097・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 畜産経営拡大資金につきましては、貸し付け限度額は、畜産経営のための経営施設を含めまして、乳用牛について二百五十万円、肉牛について二百万円ということに相なっております。そのうち施設資金はマル寒資金から出るわけでございますので、家畜導入部分については、この畜産経営拡大資金から資金供給をするということでございます。
多少お答え以上のことにわたるかもしれませんが、従来の制度では、六頭未満の牛を持っておるものが六頭以上の経営に達するための資金を必要とする場合に経営拡大資金を貸し付けるのであるということに相なっておりましたが、マル寒資金との調整の上では、現に六頭以上の牛を持っておりましても、さらに経営を拡大する必要があるという場合がございますので、現在大蔵省等と従来の方針を再検討する必要がございまして、一定限度の家畜の頭数以下のものが、その頭数までふやそうとする計画を持つ場合には導入資金を貸し付けるということを改めることにいたしたいと考えております。そういうことになりますれば、お話に出ました、家畜の導入のための計画が営農改善計画の一環として計画されます限り、ただいま申し上げました金額の範囲内で貸し付けることに支障がございませんし、そういう意味では安心をして計画されて差しつかえないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/97
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098・川村清一
○川村清一君 この土地取得資金も限度額八十万円までは、これはマル寒資金の目的を達成するために貸し付けることができる、それから畜産の拡大資金もマル寒の目的を達成するために貸し付けすることができる。そこで、マル寒の目的は何か、所得目標八十万、所得目標八十万を達成するための営農計画の中におきまして土地取得八十万以下の金額、それから畜産拡大資金二百五十万以下の金額であれば、当然その計画の中に入れて、そうして借り受けすることができる、こういうふうに解釈して差しつかえございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/98
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099・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 取得資金八十万円以内ならば計画に従って貸し出すことは当然できるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/99
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100・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御質問のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/100
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101・川村清一
○川村清一君 そこで、私はそこまでいろいろな御配慮を払っていられるならば、もう一歩進めて、ひとつこの施策を進めていただきたいと思う。その内容はどういうことかと申しますと、この法律の運用の面なんですが、法律の改正は、御提出になっておるように、二カ年延長することと、あと五年を六年に、二十年を二十五年にするだけなんです。運用の面のほうが大事なんです。ですから、きょうの論議は運用面に集中して議論をしてきております。そこで私の主張することは、この通達の中にある貸し付けの対象事業の範囲、この貸し付け対象事業の範囲というものは、これは先ほどもいろいろ御説明もあったように、現在のところは土地改良なんです。農地または牧野の改良または造成、これが一つ、もう一つは、主務大臣の指定する農業用の施設なんであります。この施設にいままでの改正の中ではだんだん種類をふやしてきた。今回も十二品目か何かふやすということでございますが、いまの最も大事なこの土地取得資金、土地取得の事業、それから畜産拡大の事業、いわゆる乳牛の導入事業です。この二つの事業をこの貸し付け対象事業の範囲の中に入れて、そうして文字どおり、これをセットとして貸し付ける方法を講ずることができないのかどうか。いまお考えになっておられることは、これはマル寒資金として二百五十万まで貸し付ける。あと土地取得資金、乳牛の畜産拡大資金、こういうものは別ワクではあるけれども、計画の中に一本に入れて貸し付ける、こういうことだ。
そこでですね。なぜ私がそういうことを言うかというと、その資金の返済の場合を考えるわけです。そうしますと、マル寒資金の返済と、それから土地取得資金の返済、それから畜産拡大資金の返済、やはり別々にこれを返済していかなければならない。一括して計画に乗り、借りてはおりますけれども、それぞれ別の資金でやる制度でございますから、これを払うについては別々に払っていかなければならない。これがもしももう一歩進んで、この対象事業の中にこれを入れてもらえば、いわゆるこれを全部、三つを合わせた負債を、負債の中で償還計画を立てて、そうしてこれを一本で払っていくことができるのではないか、これは農家にとりましては非常に便宜な方法ではないかと思うわけでありますが、この点について、ひとつお考え、御検討をいただけないだろうか、この点をひとつお伺いしたいと思うわけです。こうやったら何か不都合な点があるのかどうか、その点もあわせてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/101
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102・和田正明
○政府委員(和田正明君) 先ほど来それぞれ政府委員からお答えを申し上げておりますように、経営計画の中では、土地取得の中では、土地取得の計画にせよ、あるいは乳牛の導入の計画にせよ、本で経営計画を立て、また土地取得資金、あるいは家畜導入資金も同一の借り入れ申し込み書で、一本の借り受けができるようにいたしたわけでございますが、先生御説のように、さらに進めて、みな一緒にしたらどうかというお話でございますが、現在公庫の融資制度そのものが、いろいろ議論をすれば利害得失もございましょうが、セット融資で貸しますもの、あるいはメニュー方式のもの、それぞれ農家の立場を考えて併用いたしております関係もございまして、現段階におきましては、マル寒資金については、冒頭の補足説明で申し上げたように処理をいたしますが、土地取得資金、家畜導入資金につきましての貸し付けの手続等については、一本化をはかりまして簡素化をはかってまいりますけれども、据え置き期間や償還条件等の関係で全部一本にしてしまうということは、現状では困難であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/102
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103・川村清一
○川村清一君 私の質問の割り当ての時間がもう切れるようですから、これ以上議論する時間がございませんが、この問題は非常に議論があると思うのです。ただいまの局長のお話も一理はあるのです。しかしながら、そうかと言って、それじゃ公庫資金は、牛なら牛の導入資金は一体一本かというと、そうでもないと思うのです。これは構造改善事業の中にもあるし、またその他のほうにもあるのではないかと思うわけです。ですからこの点はまたいずれ機会をみて議論したいと思いますが、ぜひひとつ御検討をいただきたいと思うわけです。
最後に、一番大事なことを言わなければならないのですが、それは金利の問題です。で、本日質問の冒頭に申し上げましたように、三十四年本法が制定当時は確かにこれは有利な金融制度であり、農民は喜んでおった、非常に魅力を持っておったと思うわけです。その後いろいろな制度金融が出てまいりまして、このいただいた表を見ましても、このマル寒資金の金融が特段有利だとは何もないわけです。どの金融も、これは金利は似たり寄ったり。これがマル寒におきましては、土地改良資金につきましてはこれは五分ですか、それから小団地三分五厘、それから大臣の指定施設は五分五厘、しかしながら、経営構造改善資金のほうになりますと、これは非補助事業等におきましては三分五厘、こういったような安い金利がたくさんあるわけなんです。さらにいずれこの委員会においても問題になろうと思いますが、農地管理事業団において計画されておるものにつきましては土地の取得資金につきましてはこれは三分、返済期限三十年、三分三十年という低利長期の資金を考えていらっしゃる。ところが、このマル寒資金創設の趣旨というものを考えてみるならば、当然いま管理事業団が考えておるような、そういう金利のところにもってきても決してこれは間違いでないと思うのです。本法制定の趣旨から言ってですね。との金利をもっと引き下げるような措置をなされるお考えがないかどうか。この点をひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/103
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104・和田正明
○政府委員(和田正明君) まあこういう金融の金利は安ければ安いほどいいということもあろうかと思いまするけれども、現在農業の中でも成長部門だというふうにいわれております果樹なり、あるいは畜産なりの貸し付け資金がちょうど五分五厘でございまして、そういう意味ではこの法律の趣旨から考えまして現行五分五厘というマル寒の貸し付け資金が特に他との比較で均衡を失しているというふうには考えておらないわけでございます。ただ午前中の御質疑の中にもいろいろございましたように、四十一年度と四十二年度とに北海道の畑作の今後の重点事項をどうもっていくかというようなことについて十分調査研究を進めるわけでございますが、そういうような調査の結論等も待ちまして実態に合うように今後考慮はしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/104
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105・川村清一
○川村清一君 他の制度金融、公庫金融の金利と均衡を失しているとは思わないというふうなただいまの局長の御答弁、均衡を失していないから、いわゆる均衡しているからこの法に対する魅力がなくなったのだということを私が申し上げているわけです。したがって、昭和三十四年、本法制定当時に立ち返って、ほんとうに農林省の皆さんが、この自然条件のきびしい北海道において営々として畑作農業にいそしんでおる農民の営農を安定させる、自立農家にまで育成していくのだというお考えでありますならば、この点はもっともっと配慮されまして、少なくとも農地管理事業団がやろうとしておるそういう金利まで引き下げても差しつかえないのではないか、また当然そうすべきではないか、私はそう考えるわけであります。それから、私は北海道だけのことを言っているようではなはだあれでありますけれども、一般にこれはもう農業保護に関する金融、金利というものは、もっともっと引き下げていかなければならない。長期低利の金融制度や金利体系にもっていくということが日本の農業を育成するこれは最大の問題ではないかと思うわけであります。諸外国はみんなそれをやっている。それをほかの金融体系がこうだからなんということは、はなはだもってこれは日本の農業を発展させる、確立させ、農民の所得を向上さして生活を安定させる、そのための行政を施行する責任官庁である農林省の皆さん方として、はなはだこれはいただけない考えでないかと私は思うわけであります。ぜひその点まで考えていただきたいし、それから午前中に大臣も言っておりましたが、ぜひひとつこの問題を解決するための抜本的な対策を打ち立てるための対策室というものを農林省内に設けて、そうしてこの目的に向かって強力な行政を進めていただきたいと思うわけであります。
最後でございますので、これについて政務次官のひとつ決意を、責任ある決意を御披瀝願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/105
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106・後藤義隆
○政府委員(後藤義隆君) ただいまお話がありましたが、生産性の低いところの農業に対する金融につきまして、他の生産性の高いものに対するものと比較いたしまして金利が安くなければいけないということは、私は当然だと思っております。私どもはその方向に向かって努力をいたしますが、なお、それにつきまして、先ほどからいろいろ話もあったのでありますが、現在のところでも土地取得資金のごときは三分五厘でありまして、そしてこれはわりあい全国的にそういうような土地取得については安くしてありますし、それからまた農地事業団はどうなりますか、はっきりまだ将来のことはわかりませんが、それとの関係もありますが、ただいまお話しのとおり、なるべく金利が下がるようなふうに、やはり十分に検討してまいりたいと思っております。そして御期待に沿うように努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/106
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107・川村清一
○川村清一君 対策室……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/107
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108・後藤義隆
○政府委員(後藤義隆君) 対策室は農政局内に置きます。そうしてやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/108
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109・川村清一
○川村清一君 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/109
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110・高橋雄之助
○高橋雄之助君 この法律が昭和三十四年に施行されましたことは、先刻来川村委員からもいろいろ発言があり、政府当局からもその経過についていろいる御答弁がございまして、いまさら重ねて申し上げる必要はないのでございますが、何と申しましても、北海道の昭和二十八年、九年、昭和三十一年のあの凶作に対処いたしまして寒冷地営農改善を徹底して行ないまして、北海道の農業の安定、畑作農業の安定をはかろうということの考えに立って、あのような非常に長い期間をかけて運動もいたし、さらにまた、農林省内部において特に対策室を設けてこの法律ができたわけでございまして、私どもその当時は、このマル寒資金制度は、北海道の畑作農業にとって最大、唯一のものであるという、大きな期待をもって、この実現を切望しておったわけでございまして、非常にあの法律ができましたときには、北海道の農民はこぞってこれをひとつ機会に北海道のいわゆる畑作営農の安定を期しよう、こういう情熱を傾けておったわけでございます。ところが、いよいよこの法律が施行されて実施に入りましたところが、先ほどからもいろいろお説があったのでございますが、諸般の手続上の問題が非常に複雑でございまして、なかなか審査を受ける段階までの手運びが非常に困難な事情もございまして、私どもも当時農業団体の一員としていろいろいわゆる法の運用についての簡素化を強く要望してまいったわけでございます。したがいまして、当初大きな期待をかけて出発したのでございますけれども、一、二年やってみましたけれども、なかなかそれが完全な軌道に乗っていかない、こういうことでいささか期待をいたしておりました上からも失望したという感じも実は持ったわけでございまして、そういうような中で、昭和三十六年に一部その手続上の簡素化等についても御配慮をいただきまして、まずまずということでこれに取り組んでまいったわけでございまして、自来その数も非常にふえてまいっておることは数字をもって示されておるわけでございまして、その簡素化によって多少上昇してまいったわけでございます。しかしながら、先刻からいろいろ質疑の中にありましたように、昭和三十九年に北海道有史以来の大凶作に遭遇いたしまして非常な被害をこうむったわけでございまして、農業被害が五百七十三億、しかもこれに対処しましていろいろ政府のほうに強く要請いたしまして、国会のほうでもこれを重視していただきまして、いわゆる災害資金を百十二億、さらに自創資金を五十五億その他関連する資金をいろいろと御配慮いただきまして、三百億以上の資金をもって、さらにまた、系統農協が約七、八百億余の自己資金をもってこれが対策に当たったわけでございまして、自来今日に至っておるのでございますが、さらに北海道の農業が先ほど申しましたとおり、昭和二十八年、三年続く凶作に遭遇いたしまして、非常な負債をしょったわけでございます。それに伴いまして、道を中心として負債整理運動が展開されまして、先ほどからいろいろお話がありましたとおり、国からもかなりのこの負債整理に伴う制度資金等も御配慮いただいたわけでありまして、ようやく負債整理のめどをつけつつある中で、いま申しましたような大凶作に遭遇いたしたのでございまして、農家の負債がさらに大きくなるというような状態になった次第でございます。そういうようなわけでございまして、私どもは大きな期待をかけてマル寒資金によるいわゆる安定した農業を行なうための情熱を傾けて進んでまいったわけでございますが、いま申しましたとおり、昭和三十九年のあの大凶作に遭遇いたしまして、単なるマル寒資金に頼っておるのみでは、いわゆるこの畑作農業の完全なる安定対策、いわゆる恒久対策が確立しないという結果に相なってまいったわけでございまして、そこで、昨年の七月に北海道知事も国に対し、あるいはまた、国会に対しまして、北海道のいわゆる冷害恒久対策に関するところの要望書が提出されたのでございまして、先刻それについてもいろいろ質疑があったわけでございますが、その中には五つの項目があるわけでございます。これについては大臣も承知しておりまして、個々に対処すると申されておったわけでございますが、この五つの項目は、いわゆる恒久対策の総合的な一貫したものでございまして、これがいろいろと欠けてまいりますと、いわゆる恒久対策の完全な確立というものが困難でございます。したがいまして、川村委員も先ほどから五項目についての強い発言があったと承知しておるわけでございますが、私どもも同様なことを強く要望するわけでございますが、私はいま申しましたとおり、マル寒資金がいわゆる三十九年に、先ほど申しました諸般の事情等もございまして、なかなかこれが順調に進まない。したがいまして、二カ年の期限延長が行なわれ、四十一年の三月でこの法律が切れる。その前に、私は先ほど申しました道の要望されたことは、単に道ばかりでなく、農業団体、農民こぞってのあの要望でございまして、あの要望をつくるまでの一つの段階があるわけでございまして、いろいろな農民代表あるいは団体あるいはその他学識経験者、それぞれが集まりまして、北海道が再び災害からのがれるためのいわゆる恒久対策をいかにするかという問題を取り上げて取りまとめたものでございます。そういうようなことでございまして、私はそのことを一日も早く取り上げていただいて、そのことをひとついわゆる実施に移してもらいたい、こういうようなことを切望しておった一人でございます。したがいまして、昨年の道からの要望と同時に、農林大臣、農政局長、農地局長その他の方々にいろいろと、官房長にもお願いしておったのでございまして、ようやくまあそれをひとつ取り上げてみようというような気持ちになっていただいたのでございまして、われわれは意を強うしておったわけでございますが、しかしながら、そのことが今日の段階ではなかなか容易でないという問題もございますので、これは今後対策室を設けて、鋭意それに見合って成案を求めよう、こういうことでございますから、これに対してはその一日も早く成案ができることを期待してやまないのでございます。内容についてもいろいろございますが、そういう点についてこの期間の延長を認め、また、内容の一部改正等をわれわれは認めるわけでございます。その間にいま申しましたとおり作業を鋭意ひとつ選めてもらいたい、こういうことを強く要望するものでございます。しかし、この期間が二カ年延長をいたしまして、内容も一部改正し、いわゆる貸し付け限度の問題あるいはいわゆる返済期日の問題等々があるわけでございますが、二カ年この法律が延びているから、その間に国九州を含めて対策室で成案をまとめればよろしいということについては、私どもは強くこれは意見があるわけでございます。と申しますのは、二カ年といいますると、ちょうど昭和四十四年の年にならなければ、われわれの強く、あすにでもその実現をしてもらいたいという切望が三カ年か四カ年後でなければ実際において予算化され、その内容が明らかになって、北海道農業がこのようでなければならぬということになるということは、今日のいわゆる進んでおる農業の事情、あるいはまた経営の内容等についても、一日も早くその緒につかなければ、その成果はおさめる日が非常に将来において長くなる、こういう問題等もございますので、私どもの強くお願いしたいことは、北海道は前にも、マル寒資金の場合においても、北海道の事情については相当突っ込んだ調査を進められておる。その後北海道の農業の進み方についても、おおよそ農林省は知っておるはずでございますし、また道庁もその点についてはかなり詳細な資料をすでに持っておるはずでございますから、私は少なくも四十一年中に成案をまとめて、四十二年にそれが実施されるというような状態にしてもらいたい。もちろん南九州もそのことは切なる願いでございましょうが、あわせてこれはぜひやっていただくことを要望しますが、北海道の場合、そういう資料はそうむずかしくない、かように考えるわけでございますので、少なくとも四十一年で成案をまとめるということの熱意をひとつ持ってもらえるかどうか、この点について農政局長にその考え方をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/110
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111・和田正明
○政府委員(和田正明君) 四十一年度に調査費を計上いたしまして、なお引き続き明年四十二年度にも同程度の調査費の計上を予定をいたしておりますが、午前中にもお答えを申し上げましたように、三十一年、二年に相当基本的調査ができていますので、その調査以後の経済事情の変化なり、あるいはこのマル寒の法律によります融資の行政効果なりをなお詳細調べまして、今後さらに重点的にどういう施策を進めていくことが三十一年当時の調査の方向を一そう有効に進めるものであるかということについて、農政局の中に調査対策室を置きまして調査をいたす方針でございますが、もとより、調査の結果を集計し、それを取りまとめるためにじんぜん日を延ばすつもりは毛頭ございませんで、極力この二年間の延長の間に空白を置かないように、次の対策が打てるように積極的に努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/111
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112・高橋雄之助
○高橋雄之助君 いま、二年の間、必ずしも、四十一年に必ずこの調査が終わって、四十二年からいよいよこれを北海道のいわゆる要望あるいはそれに伴う政府の考え方を取りまとめて進めるという的確な答弁をいただかなかったわけでございますが、私どもはどうしてもやはり四十一年度にやってもらいたい。さらにまた、農林省の農政局の中に対策室を設けるという先ほどのお説でございますが、とれについては、先ほど申しましたとおり、北海道庁もかなり東京に人を用意しておるわけでございますし、あるいはまた本庁といたしましても、これらについてもいろいろこれを担当している職員も多数いるはずでございますが、これについて単に農林省だけでそれを進めるお考えでございましょうか、あるいはまた道庁のそのほうのいわゆる経験の深い、あるいはまた内容についても直ちに作業に入れる、そういう職員のひとつ応援を得て、対策室の機能を能率的に発揮するというお考えがございましょうか、その点ひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/112
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113・和田正明
○政府委員(和田正明君) 高橋先生おっしゃいますように、道庁からも人を派遣して協力をしたいという申し入れがございましたし、同時に宮崎県、鹿児島県からも同趣旨のお申し出がございますので、それらの県の練達の士の応援も得まして、先ほど申しましたようにせっかく努力をいたすというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/113
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114・高橋雄之助
○高橋雄之助君 なお今後いろいろと対策室でそれぞれ各面にわたりましての調査が進められましょうし、また、せっかく鋭意今後も北海道の農業、畑作農業がほんとうに安定し、ほんとうに鋭意農民が営々と営農に努力するという体制を確立する。それは単に——まあこういうことを申し上げてあれでございますけれども、ややもすると、いろいろな案が立ちますけれども、それが途中でいろいろと変わってしまって、当初のいろいろな熱意が非常に途中から熱意の欠けた形になってしまう。こういうことが往々にあるわけでございまして、そういうことのないように今後さらに調査事項の中でもお考えを願います。また、将来の本道の農業の占める、北海道の位置づけというものが非常に大きいものであることは、私が申し上げるまでもなく農林省自体も重々それを承知しておると思います。米にいたしましても、あるいは畜産にいたしましても、あるいはまた果樹その他にいたしましても、北海道の占める位置というものはまことに重かつ大なるものがあろうと実は考えておるわけでございまして、その点に十分ひとつ意を用いて、対策室でいろいろ案を練っていただきたい、かように考えますし、それから先ほども川村委員からちょっとお話がありましたが、やはりいまの農業はかなり投資しなければなりませんし、北海道の経営規模というものは、これは府県と違いまた大きな面がございますので、いや応なしに相当の資金が投下されないと、いわゆる完全な恒久的な営農形態というものが確立しないという現状でございますので、それにはやはり最も長期な、そして低利ないわゆる資金融通を考えてやる。そうして、これは農林大臣もいわゆるしばしば言っていることでもございますが、ほんとうに情熱を傾けて農業に誠心努力するという者を一人でも多くやはり育成するという前には、そういう諸条件をやはりたくわえてやって、そしてそれに大いに努力させるということがなければ、単なるものの考え方、一時的なものの考え方では、これはすべて失敗してしまう、かように考えますので、そういう意味で、やはり今度の一部改正の中で、百万を二百五十万にし、あるいは農地その他の問題については別ワクのものを考えていく、あるいはまた、今日までマル寒資金によって進めておりますけれども、どうしても資金が足りないという者に対しては、さらにそれに加えて貸し付け、融資をすることも考えてやろう、こういうことでございますが、さらにもう一歩進んだものの考え方に立ってもらわないと、せっかく力を入れながら、結果がまずい、そして批判を受ける、こういうことは農林省としては再び私はとっていただきたくない、こういうことを特に要望するわけでございますが、そういうことについての考え方をちょっとお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/114
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115・和田正明
○政府委員(和田正明君) 三十一年の冷害のあとでの相当大がかりな基礎調査をいたしておりまして、その調査の結果に基づきまして、現行のマル寒法等を制定して冷害対策を進めてまいりましたわけでございますが、先ほど来高橋先生いろいろおっしゃっておられますように、その後の状況の変化なり寒冷地対策としての根本的な五項目の御要望が北海道から出ておることも十分承知をいたしておりますので、過去におきます基本的調査との関連の中で四十一年、四十二年度の調査を進めまして、いたずらにただ現在の制度にこだわるだけではなしに、今後基本的に重点を置きますべき政策の方向を見出しまして、できるだけよりよいものとして、そして具体化をするように積極的な努力をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/115
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116・宮崎正義
○宮崎正義君 いま川村委員あるいは高橋委員のるる質問がございました分と重複する点があると思いますが、よろしく御了承願いたいと思います。
まず最初に、この臨時措置法が三十四年これが認定を受けまして発足して、それから三十九年までやって、三十九年でまた改定して、今回またその改定を行なおうとしているわけですが、この三回にわたって改正していこうというのは、現地の実態をつかんでいないからじゃないかとこのように思うわけなんですが、この際、こういうふうな段階を経て今後も私はやっていくんじゃなかろうかと、これを心配するわけですが、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/116
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117・和田正明
○政府委員(和田正明君) 法律の改正を御審議をいただきましたのは、昭和三十九年の二年延長と今回と二回になるわけでございます。午前中の御質疑に対していろいろお答えを申し上げてまいりましたとおりでございますが、この制度ができまして以後、構造改善の資金でございますとか、あるいは家畜の導入資金でございますとか、近代化資金でございますとか、まあいろいろな制度ができました関係もありまして、当初予定をいたしました二万八千戸が、必ずしもこの制度のみにたよるということではなく、他の制度によって実際にはうまく農業の経営の振興の目的を果たした農家も相当数あるわけでございますが、三十九年度の際には、なお約五千戸ほどの農家が借り受けを希望しておるという北海道の調査をもとにいたしまして、二年の延長の措置をとったのでございますけれども、ちょうど三十九年が御承知のように北海道の大冷害でございますために、予想したとおりの事業の進捗を見ず、また四十年度につきましては、その後の内容の改正等についての道庁の要望等もありまして、実際には積極的な経営計画作成の指導を手控えておったというような事情もありまして、当初の予定どおりの数字が進まなかったわけでございます。昨年の秋の道庁の調査で、なお三千百戸の借り入れ希望者が残っておるということでございますので、とりあえず二年間延長いたしますとともに、その機会に制度の内容を法律面でもまた運用面でも改正をしてよりよきものにしてまいるわけでございますが、その二年間に同時並行的に、北海道の寒冷地畑作の振興対策につきましての調査費を計上をいたしまして、この二年間の延長とあわせて調査を行ない、四十二年度に完了をいたしまして、それ以後の対策につきましては、それらの調査の結果を待ちまして、今後打つべき重点的な施策を見い出してまいりたいというふうに考えておりまして、ただ、このまま三度にわたって延長だけを済ますというふうには考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/117
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118・宮崎正義
○宮崎正義君 先ほどもお話があったようですが、この調査の関係で、四十一年度の一般会計ですか、それに調査費を計上したということなんですが、これなんかも私は手ぬるい行き方だと思うのですが、もっと早く調査することはもちろんでありますが、そのために道庁もあることなんだし、高橋委員も先ほど言っておられましたけれども、そういろ連携というものが、非常に地方自治体との連携というものがあるようでないんじゃないか、そういうところに大きな欠陥があると思うのですが、その点どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/118
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119・和田正明
○政府委員(和田正明君) この法律を立案をいたします過程では、三十一年の大冷害を前提にいたしまして、二カ年にわたって農林省内に調査室を置きまして、基本的な調査を道庁とともに実施をいたしたのでございます。その調査の結論に基づきましてこの法律を制定をいたす段取りにいたしたわけでございまして、今回の調査は別にその基本的な調査そのものがむだになってしまったとか、直さなければいけなかったということではなしに、その後相当経済事情の変化もございますし、それからこの制度によって貸し付け対象になりました農家もそろそろ償還時期に入るとか、あるいは経営計画の目標に達成をすべき年次に近づいておりますので、この資金の融通制度の行政効果を把握をするとか、そういう観点での調査をいたすわけでございまして、それを補完的に調査をいたしまして、今日までとってまいりました制度に、さらにプラス・アルファをすべく重点事項を見出だしていきたいということを申し上げておきます。私どもは、別に北海道庁との連絡が悪かったとか、非常にふだん連絡がとれなかったとか、そういうふうには考えておらなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/119
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120・宮崎正義
○宮崎正義君 三十九年の場合もそうだったのですが、この冷害があったという報道があって、調査団が、じゃいつごろ調査団を繰り入れて政府はやっていったか。その時期等どういうふうに記憶なさっておられますか、その点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/120
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121・和田正明
○政府委員(和田正明君) 昭和三十九年の冷害につきましては、たしか三月十日に発表をされました気象庁の暖候期予報に基づきまして、気温の異変ということにつきましてはさっそく同庁でも通達をいたしたのでございますが、現実に冷害の参りましたのは七月でございますので、同庁はすぐに対策本部を設けまして、情報の伝達なり技術指導の面なりに遺憾なき処置をいたしたのでございますが、こちらからそれぞれの技術者が現地に参りましたのは八月ごろであったという記憶をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/121
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122・宮崎正義
○宮崎正義君 現地では非常に、これは前にも話が出たと思うんですが、こういう災害がありますと、入れかわり立ちかわり立ちかわり入れかわり調査団が来て、現地の人の実際の作業ができないという不平をずいぶん聞いているんですが、いまお話しのように、私の記憶では一カ月程度おくれて政府の調査団が入ってきた。それによってまたやりかけようとしたものの、手をこまねいて、そしてこの問題について当地の者がどういうふうに困っているかということを考えられない点があるゆえに、そういうふうなおそく対策を講ずるようになるのじゃないか、こう思うわけです。こうした手の打ち方のおそい関係で、緊急対策が緊急対策にならずに、困っている者は自殺していくとか、離農していくとか、一家離散をしていくという暗い事件が起きているわけです。何事も災害が起きたときに、すみやかにその対策を講じていくというのが当然の処置なんですが、その点がいつもおくれているようで、また同時に、現地を困らしているようでありますが、この点についてどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/122
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123・和田正明
○政府委員(和田正明君) 水稲だけに限って、三十九年の冷害の事情等について簡単に申し上げますと、御承知のように北海道内の稲作は、三十二年以来ずっと年々豊作が続きまして、その影響もございまして、農家自身がやはり収量の高い晩稲の作定に少し油断をいたしまして集中をいたしましたきらいがあったのじゃないかということが一つ考えられます。それから三十七年、三十八年は、八、九月ごろの気温が非常によろしゅうございましたので影響が少なかったのでございますが、三十九年には、先ほど申しましたように、七月の低温期になってまいりましたので、ちょうどわせが減数分裂の時期にわたっておりましたので、その低温で全然花が咲き得ないような状態になり、さらに八月以降の日照不足で中晩稲も相当いもち等の発生を見まして大被害を受けるというようなことになったわけでございます。先生のお尋ねの御趣旨は、手おくれではないかというのは、そういう決定的な収獲がほとんどないような被害を前提にした、あとのたとえば翌年度の営農資金の貸し付けでございますとか、いわゆる天災融資法等の貸し付けの問題等が手おくれであったのではないかというようなことかとも思いますが、私、いま三十九年のいつ、そういう手当をいたしましたか、必ずしも明確な記憶はございませんが、それほど手おくれなしに、一般的には天災融資法等の発動もいたしたように思いますし、また、翌年度の種もみの確保のためにも当年度内に相当額の予算を計上をいたしまして種もみの種子の確保等もいたしたわけでございますが、御趣旨のような点が間々ないとも限りませんので、今後とも慎重に指導をしてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/123
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124・宮崎正義
○宮崎正義君 間々あるほうが多いわけなんですか……。
次は、品種の選定についてですが、肥料の作物だとか、牧草だとか、あるいはジャガイモだとか、そういうものに対する選定の誤まり等があったかどうか、この点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/124
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125・和田正明
○政府委員(和田正明君) 品種の選定が誤まりがあったと申しますよりは、先ほどちょっと触れましたように、やはりとかく日照が不足をいたしましたり、あるいは急に低温がまいったりいたしますような地帯でございまするにもかかわらず、数年間の豊作になれて、農家が少し晩稲の作付け面積を大きくし過ぎたというようなことが決定的な要因ではなかったかというふうに考えておりまして、その後はそういう中晩稲の作付け品種のバランス等についても十分指導をいたしておる次第でございます。おそらくその他の作物につきましても、特に品種の選定の誤まりがあったというよりは、やはり七月ごろの開花期直前の非常な低温と八月以降の日照不足とが決定的な要因であったというふうに私どもは承知をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/125
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126・宮崎正義
○宮崎正義君 たとえていうならば、いま水稲の話にも出ましたのですが、稲でいえば冷温ガラス室があって、その実験室を設けて研究を進めているようですが、畑作の場合なんかはどういうふうな実験設備を持ってやっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/126
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127・和田正明
○政府委員(和田正明君) いま担当の園芸局を呼んでおりますので、ちょっと所管外でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/127
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128・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ちょっと速記とめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/128
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129・山崎斉
○委員長(山崎斉君) それじゃ速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/129
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130・宮崎正義
○宮崎正義君 研究所、試験場等について道なら道の基礎研究をやっているところに補助、助成といいますか、そういうふうに将来お考えになっているかどうか、助成金を出していくとか、そういうようなことをお考えになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/130
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131・和田正明
○政府委員(和田正明君) ちょっと手持ちに具体的な数字を持ち合わせておりませんが、北海道と限らず、各都道府県の県立の試験場に対しましては、それぞれ施設の増設のためなり、あるいは研究に要します基本的設備なりは毎年相当額補助をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/131
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132・宮崎正義
○宮崎正義君 大体国は、基礎的な研究のために国立の研究所等があるように聞いておるわけですが、この点はどうなんでしょうか。実際の応用面の研究というのがどのようになされているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/132
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133・加賀山国雄
○説明員(加賀山国雄君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、試験研究のことにつきましては、農林水産技術会議のほうの所管でございますので、申し上げられない点もございますけれども、いま宮崎先生がおっしゃいましたとおり、国が基本的な研究をいたしまして、それに基づいて道府県の試験場が、それに都道府県の中でやるべきような試験研究をやっておると、そういうふうに了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/133
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134・宮崎正義
○宮崎正義君 実際問題としては、こういう施設に対する補助はやっておるかどうかという、総合的な実験の面についての助成というものはされてないというふうに聞いているわけですが、この点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/134
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135・加賀山国雄
○説明員(加賀山国雄君) これも技術会議のほうの所管の予算でございますけれども、私の存じております範囲で申し上げますが、都道府県の試験研究に対する助成というのは包括助成というかっこうになっておりまして、その中で各都道府県の試験研究機関に必要なテーマにつきまして助成をいたすような仕組みになっております。それでございますから、北海道につきましても、今度北海道の試験場はたしか全部で九つ試験場ができたと思いますが、九つの試験場に対しまして、その年度年度で必要な試験研究テーマに関連をいたしまして、必要な実験費並びに施設費を助成をする、そういうふうなかっこうになっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/135
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136・宮崎正義
○宮崎正義君 北海道は九つですか。私の記憶では宗谷と十勝——十勝は昭和三十六年ころ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/136
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137・加賀山国雄
○説明員(加賀山国雄君) それは畑作でございますか。先生のおっしゃいますのは、畑作の試験研究場でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/137
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138・宮崎正義
○宮崎正義君 畑作。話が全然違う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/138
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139・加賀山国雄
○説明員(加賀山国雄君) 全部で道の試験場というのは九つになったと、そういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/139
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140・宮崎正義
○宮崎正義君 わかりました。
いま北海道の——先ほどちょっとお話が出たと思うんでございますが、一戸当たりの借財の金額というものが三十六万七千円、これが北海道の農家戸数に割った借財の実態だというふうに私は調べているわけですが、現在金を借りて負債があって、払えない農家というのは、じゃあどのぐらいあるかということを調べてみたんですが、延滞しているのが約六万、五万九千六百八十三戸ある、こう言われておりますが、この一戸当たりの負債をしているような北海道の農家の実態といいますか、そういう実情にある農家の人たちが、かてて加えて、この冷害に、また昨年も、四十年においては一部でありますが、冷害を受けているというところもあるんですが、こういう実情に照らして、この措置法が、暫定的なものより恒久的なものに変えていかなければ、この農家の人たちを救恤するということはできないと思うのですが、この点についてもどういうふうに手を差し伸べられていくか、伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/140
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141・和田正明
○政府委員(和田正明君) 北海道の農家の負債の実情でございますが、三十九年度末の調査によりますと、内地都道府県の一戸当たりが十一万九千円に対しまして、北海道は五十四万二千円という数字に相なっております。ただ、この借り入れ金のうち、北海道の場合は非常に長期借り入れの占めるウエートが高うございまして、同じ三十九年度末で、内地でございますと長期借り入れが四五%ですが、北海道の場合には五七%が長期借り入れ資金になっておるわけでございます。このことは、要するに北海道の農業経営が、内地の農業経営に比べまして、経営面積やら、家畜の頭数やらも非常に多いために、主としてそういう投下資本と申しますか、設備の上で、内地に比較のできないようないろいろな設備を必要といたします結果、こういうふうに長期借り入れが多いと考えられますし、また、一戸当たりの財産の内容等を調べてみましても、やはり内地とは比較にならない多額のいろいろな農業資産を所有しておりますわけでございます。最近の借り入れ金の増加の傾向等を調べてみましても、特に三十九年度には例の大冷害がございましたので、やや変調でございますけれども、三十五年からのずっと年度の平均の伸び率等を見てまいりましても、借り入れ金の増加の割合は、内地よりもむしろ北海道のほうがやや低目でございまして、現状においては、これらの平均的数字だけを見ます限りにおいては、特に北海道の農家の資産状況が、三十九年度の冷害を契機に著しく悪くなってきたというふうには判断をいたしておらないのでございます。ただ、三十四年から三十六年にかけまして、北海道の農家負債の整理をいたしますために自作農維持資金の活用を制度的にはかってまいったわけでございますし、また、その後も、災害等のために農地を手放さなければいけないというような事情に対しましては、先ほど高橋委員からも数字をあげてお話がございましたように、自作農維持資金等を相当多額に貸し付けておるわけでございますが、今後とも三千百戸の農家がこの法律に基づきます貸し付けを受けるにあたりまして、作成をいたします経営計画の中には、延滞になりました借金をも計上いたしまして、必要があれば自作農維持資金の制度を活用して、それの借りかえをはかり、長期の返済ができますように、この資金とあわせて活用していくことを考えてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/141
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142・宮崎正義
○宮崎正義君 最もいま悪いような状態になっていると思われるのは、上川の奥のほう、稚内よりのほうですが、美深とか、あっちの名寄だとか、こういうところは昨年の冷害にも遭遇しているわけですけれども、昨年の分のことについては、どういうふうな考え方をされておるのか、昭和四十年度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/142
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143・和田正明
○政府委員(和田正明君) 四十年度の冷害につきましては、天災融資法で九億円、それから自作農維持資金で一応六億五千万円ほどの貸し付けの計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/143
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144・宮崎正義
○宮崎正義君 公明党で主張いたしておりますのは、将来は八十万円になさろうとしているその年間所得のものを、百万円というふうに主張しておるのでありますが、先ほど川村委員からも質問がありましたようですが、六十万円の根拠と、八十万円の根拠について伺っておられたようですが、この物価上昇の点についてにらみ合わせまして、六十万円の線では……。私はもっとあたたかく、引き上げてやるというような行き方が好ましいと思うんですが、この点について、もう一度はっきりとお答え願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/144
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145・和田正明
○政府委員(和田正明君) 農業所得六十万円という目標は、今後貸し付けの対象にいたします農家の農業所得が六十万円以下のものということでございますが、先ほども申し上げましたけれども、道庁の調査をいたしました約三百戸の調査でも、六十万円程度の農業所得といいますと、六七%程度の北海道の農家をカバーいたしますので、貸し付け対象としては上層農家をはずすという意味において、この程度で適当であろうというふうに考えております。
それから八十万円と申しますのは、一方、六十万円の計算をいたしましたもう一つの基礎が北海道の農家経済調査等を基礎にいたしまして、大体七町歩前後くらいの経営の層というところが六十万前後になっておるわけでございますが、その上のわりあい安定的に農家戸数も伸びております七町ないし十町の経営農家の農業所得が八十万円前後であります。そこらを一応の目標数字といたしたわけでございます。もちろんこれだけで農業経営として万全だということではございませんで、この法律の出発当初からの趣旨が中庸の農家を対象にして、北海道の非常に過酷な自然条件に対する抵抗力をつけて、さらに将来一そう飛躍をしていくための基礎条件を整備するということにあるわけでございますから、この資金の貸し付けを受けました農家が今後さらに技術面の指導なり、本人自身の意欲なり、いろいろなくふうを加えまして、一そう農業の振興をはかって経営を拡大し、農業所得を増加していくための一応の基礎条件をつくるわけでございますから、八十万円というととろを一応の目標にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/145
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146・宮崎正義
○宮崎正義君 御存じのように、農業に携わる人たちというのは、一生涯の年齢、働ける時間、働ける年数ということを考えてみましても、二十五年ないし三十年が農業に携わる、普通考えられている年数じゃないかと思うんですが、その年数の間に、米ならば三十回、まるまるとれて一生涯の間に三十回、それが冷害等がありまして、一生涯三十回しかとれないものが二十五回になり、あるいは二十四回になっていく。そのとれなかったときの農家の人の生活というものが憂えられるわけなんですが、普通勤労所得者たちと違って、収入もそのつど毎年違っていくわけなんです。こういう考え方の上から申しまして、今度一年間延ばされた、六年を据え置きとされたということも私はそういう人生の長い間の姿から見ていっても、少し短かいんじゃないか。もう少し据え置いてやるべきじゃないかというふうに考えるんですが、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/146
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147・和田正明
○政府委員(和田正明君) 五年の据え置き期間を六年にいたしました趣旨は、この営農改善計画を認定を受け、また、貸し付けの認定を受けまして以後、個々の農家によって事情は違うと思いますけれども、一挙に金額の借り入れをいたすわけではございませんで、大体三年ぐらいに分けて、次へ次へと借りながら、施設をつくったり、あるいは土地改良を進めていったりしてまいるわけでございます。従前の仕組みでございますと、それぞれの借りた日から五年の据え置きということになりますので、三回に分けてもし借りるといたしますれば、償還の時期が三度に分かれてまいりますので、それを一年延長いたしまして、最後の三年目に借りた金を含めて七年目から……借りる時期はばらばら三年間に借りたけれども、返すときは七年目から一本で返していけるようにすることが営農計画も立てやすいし、本人の償還の上にも便利であろう、そういう意図で考えたわけでございます。もちろん据え置き期間がさらに長くなれば長いほどいいのではないかということはあるいはあろうかと思いますけれども、他の制度とのバランスその他を考えましても、六年ということになりますれば、現在の公庫では、果樹のような、植えつけをしましても収穫が上がりますまでよほど長期の間資本を寝かさなければいけませんものを除きましては、大体五年三年というような形でございますので、ほかとのバランスから考えましても六年というふうにいたしましたことは、この際一応私どもとしてはこの辺が適当であろうというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/147
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148・宮崎正義
○宮崎正義君 北海道は果樹の問題がわりあいに少ないのですが、それにしても、よく俗にいわれております桃栗三年カキ八年ですか、しぶしぶ梅は十三年、ばかの大梨十八年とかいわれておりまして、そういうふうに農業に携わる人の一生涯における働く年数というものはごくわずかなんです。そこで、私たちの食生活を守ってくれて、そうして何不自由なく私どもが食生活を続けられておるのは、負債の中にある人、また負債をされていない人もいるでしょう、そういう農家の方々のとうとい働きによって私たちのこの肉体が保ち、人生が終えられるというその陰には、先ほど申し上げましたような、そのような農業労働者のとうとい働きがある、こういう観点から考えてみましても、最大の私は措置をしてやるのが当然だと思う。いまの御説明も、ある面においてはいいかもわかりませんが、全体の面においてはちょっと私は納得のいかない点があるように思うわけなんですが、この点もう一度念を押して伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/148
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149・和田正明
○政府委員(和田正明君) 先ほども申し上げましたように、また、午前中お配りをいたしました資料に、農林漁業金融公庫の貸し付け状況の一覧表がお配りをしてございますが、果樹のような特殊なものを除きますれば、大体の制度が三年、長いもので五年というようなことでございまして、それを一応六年以内というふうにいたしましたのは、現在の貸し付け制度としては相当思い切った改正をいたしたつもりでおるわけでございます。また他面、先生のおっしゃることもございましょうが、あまり据え置き期間が長くなり、償還期間にずれ込みまして、逆に子の代でも償還し切れないで孫の代まで借金が続くということもまた基本的な問題もあろうかと思いますので、ここらあたりが現段階においてはまずまずの線ではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/149
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150・宮崎正義
○宮崎正義君 孫子の代まで借金を背負うということはどうかと思いますが、では離れていくときにはどうなるか、離れていくときにどういうふうな手を差しのべられておるか。たとえば離農者に対する、早くいえば離農年金だとか、あるいはまた職業の訓練とか、あるいは公営住宅を与えるとかいう現時点の農家の人たちの立場に対しても、ではどういうふうな手をあたたかく差しのべられておるか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/150
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151・和田正明
○政府委員(和田正明君) 現在農家が農地等を売りまして農業を離れていきます場合には、主として労働省の所管をいたしております失業者対策とか、あるいは中高年齢層の転職の対策あるいは広域職業紹介事業等を活用をいたしまして職業訓練その他が行なわれておるわけでございますが、現在なお必ずしも十分とはいえませんので、それらの点につきましても、せっかく労働省ともお打ち合わせをいたしまして、労働行政の面で一そう拡充をはかっていきたいということを考えておるわけでございます。また、離農年金につきましては、現在御承知のように国民料金制度がございますが、それが今回国会に提案をされております限りで一カ月五千円程度の給付に相なると思いますが、厚生年金等に見られます報酬に比例をしました付加年金部分が国民年金の上に実現をいたしておりませんので、それらを農民年金制度としてさらに仕組むことによりまして一そうリタイアの促進でございますとか、老後の生活の保障とかいうものが得られるということもひとつ考えられると思いますが、今年度の予算で調査費等も計上いたしまして、過去において離農をいたしました農家の実態等を把握をいたし、いま申しましたようなことを一つの例として申し上げたわけでございますが、抜本的な対策あるいはおっしゃいましたような意味での愛情のある手の差し伸べ方を、ひとつ調査を通じましてできるだけ早く逐次充実をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/151
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152・宮崎正義
○宮崎正義君 その対策を速急にやっていただくように希望を申し上げておきます。たいがい離農していく人たちは借財が多くありまして、しかもそれが農協に借り入れている、離農していく場合にはその借財の埋め合わせをして、その埋め合わせし切れないというような事態の人たちが多いわけです。ですから、将来の問題じゃなくて、現実の問題としていっときも早く愛情がある、農林大臣の言われる愛情のある農政というものを如実に示すことが何より大事なことだと私は思います。借財といいましても、ほとんどが農協の借財である。飼料にしても肥料にしても得ていくもの、また資金の助成がありましても、先に自分の借財を農協で引かれていく、実際には手元になかなか額面どおりのものが入ってこない、こういうふうな実情もよく聞いているわけですが、こういう点についての実態をどういうふうに御承知になっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/152
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153・和田正明
○政府委員(和田正明君) いまお尋ねの趣旨が必ずしも理解ができませんでしたのですが、農協からの肥料代あるいはその他の営農資金等の借り入れがあるものだから、このマル寒資金による金融を受けても、農協の借金の返済に当てられて、実際の営農の計画上の土地改良なり、あるいは施設の導入なりがむしろうまくいっていないのではないかという御趣旨のお尋ねであったかと思うのでございますが、私どもとしては、そのようなことにはなりませんように、この融資が本来の融資に結びつくように十分指導もしておりますし、ごくまれにそんなことがあるいはあってもいけませんので、例の農協の検査とか指導ということを十分指導をいたしておるわけでございますが、今後もそういう手違いが生じませんように積極的に指導なり監査なりをいたしまして、この資金が本来の目的に貸し付けられまするように一そうの指導をいたしたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/153
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154・宮崎正義
○宮崎正義君 先ほどの問題で、園芸局長見えたそうですから、品種の改良等につきましてどういうふうにおやりになっているか、その実情を伺いたいと思います。耐冷性の強いものに対する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/154
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155・小林誠一
○政府委員(小林誠一君) 大豆の品種の改良の問題でございますが、三十九年の冷害で相当被害を受けたのは事実でございましてそのために非常に減収になったわけでございます。で私たち農林省のほうといたしましては、現在その大豆につきましては道立の十勝の農業試験場でございますとか、あるいは茨城県の石岡の試験場、その他長野、佐賀、熊本県等の試験場、また国立の北海道の農試、東北の農試、そういうところで、県の試験場につきましてはいろいろ指定試験をやっておるわけでございます。また、国立農試でも育種の基礎でございますとか、栽培法でございますとか、その他の点についていろいろ研究をしておりまして、それによりましてなるべく反収のあがる品種を育成するようにいま努力しておるわけでございます。現実の問題といたしまして北海道の場合には、冷害のないときでも反収が低いのでございます。そういう意味から他の色豆と申しますか、雑豆と申しますか、そういう品種の栽培のほうにだんだん転換されているのが実情でございます。先ほど申しましたように各都道府県なり、あるいは国の農試におきましていろいろ試験研究をやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/155
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156・宮崎正義
○宮崎正義君 耐冷性品種でジャガイモなんかのわせ、おくて等のどんなものがおもに使われておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/156
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157・小林誠一
○政府委員(小林誠一君) 実はその点につきまして品種別にいまここに手持ちがないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/157
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158・宮崎正義
○宮崎正義君 じゃけっこうです。またあとで知らしていただきましょう。いまジャガイモ等のことについてお伺いしましたのですが、水稲なんかの場合でも耐冷性品種のユーカラを北海道に持っていきまして失敗したと思うのですが、こういうような農事試験場の活躍というものが私は大きな行く手をきめると思うのです。この農事試験場にいろいろな問題点があるんじゃなかろうかと、こう思うわけですが、一つには人的なこと、一つには実験室等のこと、そういうことがあるんじゃなかろうかと思うのですが、いずれにしても稲の場合でも冷水抵抗性の補助検査方法等ができている、その方法をどのように活用しているかということを伺っておきたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/158
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159・小林誠一
○政府委員(小林誠一君) 耐冷性品種につきましての研究でございますが、実はこの点につきましては技術会議のほうが本来は所管でございますので、詳しいことは存じ上げていないのでございますが、たとえば北海道の農試で行ないます豆類の低温の試験というようなことも、実は豆類基金協会の益金を運用いたしまして、それで道の農事試験場にその施設を設置いたしますことの補助をしておるわけでございまして、そういうようなものを通じまして、いろいろ冷害によって豆がどういうような影響を受けるかということにつきましては、園芸局でも力を入れてやっておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/159
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160・宮崎正義
○宮崎正義君 技術会議のほうが主ですから、これからずっとお聞きしていきたいと思いましたけれども、試験等の方法についてこまかく伺っておりましたけれども、また後日に譲りまして、時間等の関係で私の質問を終わりますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、また御答弁がありましたように、立法の精神はあくまでも生かしていただいて、そうして調査等は十分にして、これが暫定的なものでいいか、恒久性のものでいいかどうかということを判断を確立されて進められていくことを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/160
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161・和田正明
○政府委員(和田正明君) 先ほどちょっと三十九年の冷害におきます稲の実態について簡単に申し上げたのでございますが、ユーカラは先ほど私が申し上げました晩生種に属しまして、むしろこういうものを上川地帯に作付をしたこと自体がむしろ問題があるのではないかというふうに私どもは考えておりまして、もちろん先生のおっしゃるような意味で今後も、たとえばシオカリというような在来性品種がすでに作付されておりますが、今後も一そう品種の改良には力を入れていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01019660322/161
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162・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にとどめまして、散会いたします。
午後四時三分散会
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