1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十一年三月二十二日(火曜日)
午前十時二十九分開会
―――――――――――――
出席者は左のとおり。
理 事
木島 義夫君
松野 孝一君
稲葉 誠一君
辻 武寿君
委 員
鈴木 万平君
中野 文門君
亀田 得治君
藤原 道子君
柳岡 秋夫君
野坂 参三君
山高しげり君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局総務局第一
課長 長井 澄君
最高裁判所事務
総局家庭局長 細江 秀雄君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――
〔理事辻武寿君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/0
-
001・辻武寿
○理事(辻武寿君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員長が請暇中でありますので、その委託を受けまして私が本日の委員会を主宰さしていただきます。
本日は、裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案並びに訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/1
-
002・稲葉誠一
○稲葉誠一君 裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、これに関連するんですが、家庭裁判所の調査官は、今度、何人くらい要求して、何人くらい通ることになったのか、その点についてちょっと説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/2
-
003・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 家庭裁判所調査官は、本年度四十一年度に増員要求をいたしましたが、その総数は、当初要求では約百人ばかりでございます。正確に申し上げますと、百三名でございます。それに対しまして、結局、査定等の結果、話がつきまして本日の法案で計上していただいておりますのは、二十五名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/3
-
004・稲葉誠一
○稲葉誠一君 百二名を要求した具体的な根拠はどういうふうになっているのですか。これは、今でなくても、資料で出していただいてもいいですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/4
-
005・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、結局、家庭裁判所では家事事件と少年事件を担当いたしておりますが、そのうち、家事事件のほうは、事件もそうふえておりませんし、まあ調査事務も一応円滑にまいっておるというふうに考えておるわけでございまして、少年事件のほうを中心に要求いたしたわけでございます。そういたしまして、その少年事件の事件増加等に伴いまして調査官の増員ということで要求いたしましたものが約七十名でございまして、それに対しまして、事件増と関係なしに、いわばその資料調査等をもっと一そう強化する、つまり内容を充実させるというな趣旨で要求いたしましたのが約三十名でございます。両者あわせまして約百名と、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/5
-
006・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その具体的な資料を、今でなくてもいいですけれども、あとで出していただきたいと思うのです。百名ですか、百三名ですか、要求した科学的なある程度の――これは予算要求ですから、そういう関係で、そう厳密に科学的かどらかは別として、ある程度科学的な根拠があると思います。それを資料として提出願いたいと、こういうふうに思います。
それから、家裁の調査官は、現在何人くらいいるわけですか。そして、いる中で、昭和二十八年に制度が改正になってから試験制度が変わったわけですか。その後に入ってきた人と前からいる方との区別ですね、これは明らかになりませんか。いろいろこまかい点の資料は、私のほうで前もって話していないわけですから、急にそろえられなければ、この次でけっこうですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/6
-
007・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 家裁の調査官の現在の定員の点でございますが、お手元に法務省のほらから資料として出していただいております「裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案参考資料」というものがございます。それの四ページのところに、「裁判官以外の裁判所職員の新旧定員内訳」という表がございます。それの一番右の端の欄をごらんいただきますと、合計数が出ておるわけでございますが、それの上から六行目くらいになりますか、家裁調査官の欄がございます。そこに、現在の定員が千百三十二名と、こういうことになっておるわけでございます。それで、今度二十五名増員していただきますと、千百五十七名というのが改正後の定員でございます。
なお、家裁の調査官補でございますが、調査官補のほうは、現在の定員が二百十二名ございまして、これは増員になりませんので、今後も二百十二名と、こういうことになるわけでございます。
それから、家裁調査官がどういうふうに定員的にふえてまいっておるかという点でございますが、これはあるいはこまかい表はあとで資料として提出したほうがよろしいかとも存じますが、家裁調査官と調査官補と合わせまして、三十九年当時大体千百名ぐらいでございましたが、その後三十二年ごろに約四十名増員になりました。三十五年、三十六年、三十七年と逐次二、三十名ずつ増員になってまいっておるわけでございます。そして、三十八年にも六十五名、三十九年四十名というふうに相当な増員をしていただきまして、そうして先ほど来申し上げましたような数字になってまいっておるわけでございます。その実際の補充の状況につきましては、調査官補は、大学卒業者等から採用いたしまして、そうしてそれを調査官研修所に入れまして教育をいたしまして、その卒業いたしました者から逐次家裁調査官を充員してまいっているわけでございます。大体、一年に四、五十名程度の卒業者があるわけでございます。なお、それと別に、昇任試験で調査官になってまいっている者もあるわけでございます。こういうような方法によりまして充員してまいっている、かような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/7
-
008・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかるのですが、昭和二十八年に制度が改正になって、公務員の上級職の試験になったわけですか、調査官補の試験が。その試験によって採用になった者と、それ以前に採用になってというか、古く裁判所なりあるいはどこかについて、どこかと言っちゃ悪いけれども、かわってきた人が残っていた、それとの統計的な数字がどうなっているかということを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/8
-
009・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) お話の点につきましては、ただいま詳細な資料を持っておりませんので、あとで提出さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/9
-
010・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それから、なぜ公務員の上級職の試験にするようにしたわけですか。制度が変わったんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/10
-
011・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいまのお尋ねでございますが、従来、家庭裁判所調査官は、当初は裁判所につとめておりました書記官あるいは事務官その他の機関から家庭裁判所調査官に採用しておったわけでございます。したがって、従来は、むしろ法律上の専門の調査官が主たる要員であったわけでございます。しかし、家庭裁判所の科学性――いわゆる少年事件あるいは家事事件におきまして、医学、あるいは心理学、社会学、教育学というような人間関係に関する諸科学の知識をもつ者が必要であるということにだんだんなってまいりまして、その後、昭和二十八年以来、家庭裁判所の調査官の採用方法としまして、そういうふうな社会学、心理学等の学問を勉強した人たちから調査官を採用するという方針にきまりまして、その後上級職の甲の試験としてそういう専門職の人たちを採用するということになって今日に至っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/11
-
012・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、何人ぐらい昭和二十八年以来受験生があって、何人ぐらい合格しているか、いまのところは、千五百人ぐらい受けて、五十人ぐらい受かっているのですか、そういう具体的な統計を、これは今でなくてもいいと思いますが、出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/12
-
013・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいま仰せの点は、後ほど資料を整えまして提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/13
-
014・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、教育学と心理学と社会学――社会学が社会と福祉と二つに分かれるわけですか、それで四つに分かれるわけですか。どういうふうにして試験するわけですか。初めから教育なら教育、心理なら心理、社会なら普通の社会と福祉と二つに分かれているのですか。それ別に何人というふうに採用するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/14
-
015・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、家裁調査官補を採用する試験につきましては、A種とB種とC種というふうに分けてやっておりまして、A種と申しますのが大体心理学系統の科目を専攻した人が受けるものでございます。心理学概論あるいは社会心理学とか臨床心理学というようなものについて試験をやっているわけでございます。それからB種ですが、これがお話の社会学関係の専攻者の試験になっているものでございますが、これがイと口に分かれまして、イのほうは社会学概論とか社会心理学というようなものを試験いたしておりますし、口のほうは社会福祉法制とかあるいはソシアル・ケースワークというようなものについて試験をいたしておるわけでございます。それからA、B、CのCというのが、これが教育学の関係でございまして、教育学概論とかあるいは教育心理学というような科目について試験をいたしておるわけでございます。大きく分けますればA、B、Cという三種に分かれますし、なおBの中では二つに小分けされておる、こういうような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/15
-
016・稲葉誠一
○稲葉誠一君 昭和二十八年の試験以来の学歴が大体どういう学歴かということ、それは相当高い学歴の人が入っているように私聞いているのですが、それと、男女別ですね、これを明らかにしてもらいたいんですが。いまは、あれですか、女の人のほうが多く入っているのですか。多くまでいかないにしても、半々ぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/16
-
017・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) 二十八年以来の男女別の合格者の数は、現在手元に資料を持ち合わせておりませんので、後ほど資料として提出いたしたいと思います。現在、男女どちらが多いかというお尋ねでございますが、概数を申し上げますと、やはり最近は女性の合格者のほうが多いということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/17
-
018・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調査官補に採用になって、辞令が出たけれども、現実に調査官補にならないでやめてしまった人、任地まできまっておって行かないでやめた人がある程度あるのじゃないですか。これは毎年明らかになっているのじゃないですか。どの程度あるのかわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/18
-
019・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) その数も、ただいま資料持ち合わせておりませんので、正確な数を申し上げられませんが、若干名はやはり採用になって任地の都合あるいは家庭の事情等で辞退する人があるということは、私も聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/19
-
020・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調査官補の採用のときに、どういうような募集要項を出すわけですか。これは、官報へ出すわけですか、各大学などへ回すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/20
-
021・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、いろいろな方法をとっておるわけでございますが、お話の官報に掲載いたしますし、また、大学等へもこの「受験案内」いうものを配りましてそうして募集をいたしますし、また、各所にビラといいますかそういうものを出したり、いろいろな方法をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/21
-
022・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その募集の方法で、具体的にどういうようなことを言って募集しているのか、これを明らかに説明してもらいたいと、こう思うんですが。これは一つ問題になってきているんです。問題になってきていると言うと語弊がありますけれども、あとから話に出ますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/22
-
023・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) その採用試験の「受験案内」というものは、私手持ちいたしておりますので、これは、あるいはお目にかけるなり、後ほど提出するなりいたしてもよいわけでございますが、問題になっております点、私、ちょっとあんまり正確に存じておりませんので、お尋ねによりましてあとで申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/23
-
024・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、委員会へ出すなり、あるいはまた私個人なり――個人というのはおかしいけれども、委員会へ出してもらいたいんですが、その募集のときに、官補になって一年九カ月たったら研修所に入って一年研修する、そうしたらば調査官になられると、こういうふうに書いてあるんですか。これはどういうふうに書いてあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/24
-
025・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) この私の手持ちいたしております資料では、給与の点では、初任給と、それから一定の期間後、つまり一年後にどのくらいの給与になるかというようなことをあらわしておりますし、なお、昇進の関係等につきましては、これは抽象的な表現で記載しておるわけでございまして、たとえば「一定年限の経過を経て」というような表示にしてございまして、一年半で云々ということはこの書類にはないようでございますが、あるいはほかにそういうものがあったかとも存じますので、なおよく調査いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/25
-
026・稲葉誠一
○稲葉誠一君 一年九カ月と言うんですがね。一年九カ月たつと、それから研修所に入って一年間研修するんだ、それから調査官になれるんだ、こういうふうな話だと、こう言うんですよ。そこまで具体的に出ていないかもわかりませんがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/26
-
027・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 私の手持ちいたしておりますのは、「昭和四十年度裁判所職員(家庭裁判所調査官補)採用試験受験案内」という昭和四十年五月十五日に作成いたしましたものでございまして、大体これと同様なものが各所に出ておるものと了解いたしておりますが、この書類自体は一年九カ月云々というようなことはないようでございます。ただ、しかし、ほかに全然その種のものがないかどうか、もう少し調査いたしました上で申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/27
-
028・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、調査官研修所の定員というのは三十名でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/28
-
029・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) 調査官研修所の定員はただいま五十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/29
-
030・稲葉誠一
○稲葉誠一君 初め三十名だったのですか。初めから五十名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/30
-
031・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) 当初から五十名でございますが、しかし、調査官研修所に入所いたします際には試験をいたしますので、その試験の成績によって五十名全部入るということは限らないわけでございます。したがって、三十名ないし四十名の場合もございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/31
-
032・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調査官研修所に毎年何名入っているか、これはあとで資料として出していただきたいと思うのですが、それから現在調査官研修所にはいれる資格のある人が調査官補で何人ぐらいいるわけですか。――二百十名ぐらいいるのじゃないですか、ちょっと違うかもわかりませんけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/32
-
033・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) 正確な数はただいま記憶いたしておりませんが、調査官補の総数が現在二百十二名でございますから、そのうち、先ほど稲葉委員から御指摘のとおり、一年九カ月ぐらいたてば大体受験資格を与えて受験さすわけでございます。したがって、いま二百十二名のうちで二年近くたった人が何名かということははっきりいたしませんが、後ほど資料を整えで提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/33
-
034・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ですから、二百十二名が研修所へ入る資格があるんだと。ところが、官補になってから何年ぐらいたっているかということを、ずっと二百十二名の内訳を明らかにしていただきたいわけなんです。なぜこういう質問をするかといいます、どうも、調査官補の人たちは、一年九カ月たてば研修所に一年間はいれる、一年間の研修が済むと調査官になれるというふうに考えている人も相当いるわけです。初めそういう話だったんだと。ところが、実際なってみると、定員が――ぼくは三十名と聞いたのですが、いま五十名というんですから、五十名かもわかりません。五十名全部が調査官研修所に入っているのかもわかりません。これは数字であとで明らかになると思いますが、そうすると、二百十名の人がおって、これがかりに五十名としても、四年間かかるわけですね、官補になって研修所に入るまでに。もう、最高かもわかりませんけれども、四年ぐらいかかっちまうわけです。私の計算では、三十名の定員と聞いておりましたから、七年となるわけですけれども、これはちょっとオーバーじゃないかと思いますが、いずれにしても、そうなってくると、調査官補になってから研修所に入って調査官になるのがおくれるわけです。こういう現象がいまあらわれておるのではないかと思うんですがね。そこら辺のところを数字的に明らかにしてもらいたいと思います。あるいはこれが違っているかもわかりませんから、いずれにいたしましてもあとで明らかにしていただきたい。
一年間研修しないというと官になれないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/34
-
035・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 調査官の採用は、調査官研修所で一年間研修を受けるのが本筋でございますが、そのほかに外任試験という制度もあるわけでございます。調査官研修所に入らなければどうしても調査官になれないというわけではないわけです。試験に合格すれば調査官になり得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/35
-
036・稲葉誠一
○稲葉誠一君 昭和二十八年に上級職の甲に変わって、制度が変わってというか、そういう後においてなおかつ昇任試験というものによって官になっている人がどの程度いるのか、それから正規に研修所を経て官になっている人がどの程度いるのか、これはあとで明らかにしていただきたいと思うんですがね。だから、調査官研修所というものを設けた以上は、内部の昇任試験で官になるというのは、これはまあいろいろなやり方があると思いますが、本筋からいくと、少し違ってくるんではないか、こういうふうに考えるわけですけれども、これはいろいろな司法行政上の問題もあるでしょうから、いずれにいたしましても、その数字を明らかにしてもらいたいと、こういうふうに考えます。いまも、あれですか、制度が変わった後においても、なおかつ内部で昇任試験というような形で官補から官になっておるわけですか。どの程度あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/36
-
037・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) 現在、官補から官になります者は、調査官研修所の養成部の課程を修了した者のみをやっております。そのほかに、特別研修ということを実施した年も過去においてはございます。そういうふうな特別研修あるいは養成部の研修を修了した者以外に内部で試験をして官にするということとは、ただいまのところやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/37
-
038・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調査官補の中には、くどいですけれども、一年九カ月たつと――一年九ヵ月というのはどこから出てきたか私もわかりませんが、研修所へ一年間入って官になれるというふうに考えている人が相当あるわけですね。それが話が違ってきているというので、だいぶ不満――と言うと語弊がありますけれども、一定のやはり理想を持って入ってきている人が相当あるわけです。調査官補には、大学なんかで心理学をやった人があるわけですし、社会事業関係をやったとか、いろいろな理想を持って入ってきた。ところが、話が違うというので、その他いろいろな事情がありますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうなことがあるから私は聞くわけですが、そうすると、調査官補をやっていて官になれるのがおくれるというので代行をつけておるのがどの程度あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/38
-
039・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これもいま正確な数字ではございませんが、先ほど来申し上げておりますとおり、調査官補二百十二名の中に大体半分程度は代行がついておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/39
-
040・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはどうして代行がつくわけですか。つけなければならない具体的な根拠というものがあるわけですか。いま言ったような形で、本来ならば研修所に入って官になれるのがずっとおくれているからそういう形をとっているわけですか。便法としてやっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/40
-
041・細江秀雄
○最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) 代行をつけております理由でございますが、調査官は高度の知識とそれから十分な実務の経験がなければならないわけでございますが、調査官が現在のところやはり実務の面から申しますと数が不足しておるということでございますので、その数の不足を補うために、ある程度経験を積んだ調査官補に代行の辞令を出しまして調査官の仕事をやらせておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/41
-
042・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その場合の調整は四%でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/42
-
043・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/43
-
044・稲葉誠一
○稲葉誠一君 書記官補の代行の場合の調整は、これは一六%ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/44
-
045・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、代行書記官補制度がございました当時はやはり四%であったわけでございますが、ただ、その制度は現在ではなくなっておりますので、現在ではそういうことはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/45
-
046・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、書記官が代行のときは四%の調整があったけれども、これはいろいろ議論があったといたしましても、書記官補がなくなって書紀官になったのが大半なんですか、ならなかった人もいるんですね、この点はこれはいま直接関係がないかもわかりませんけれども、何か試験をやったんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/46
-
047・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは書記官補の数から書記官に組みかえていただきましたわけでございますので、本来は書記官補から書記官になれるはずであったわけでございますが、ただ、事務官のほうで同様に書記官補の資格を持っている者もございまして、その関係で書記官補は必ずしも実際の書記官補がすぐに書記官になり得たというわけでもございませんが、お話のとおり、試験等をいたしまして選考をいたしまして書記官に任用いたしました。その場合には、事務官で書記官補の資格を持っている者から書記官に任用いたしました関係で、まだ書記官補であった人で書記官になれずに若干残っておるように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/47
-
048・稲葉誠一
○稲葉誠一君 家裁の調査官の官補の場合と、それから地裁の書記官の官補の場合と、初め四%、四%だったんですが、実質的には片一方は試験をやってほとんど書記官になってしまったから、そういう関係で待遇に開きが出てきているわけじゃないですか。そうではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/48
-
049・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、具体的な人間をとって考えますと、代行調査官補の人たちが逐次調査官になってまいりますわけでございますので、その昇進の時期的な関係が書記官の場合どうかということになろうかと思いますが、一がいにこれは調査官補が非常に不利な扱いを受けているということはないと思います。ただ、制度といたしまして、現在では、書記官補という制度はなくなっておりますのに対しまして、調査官補という制度はともかく残っているというところに、両者のアンバランスといいますか、そういう問題があるわけでございます。具体的な人間としては、必ずしも不利な扱いを受けているとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/49
-
050・稲葉誠一
○稲葉誠一君 書記官の場合に書記官補をなくして、調査官の場合に調査官補を残しておくという具体的理由があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/50
-
051・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) その点は、前回の国会でございましたか、書記官補を書記官に組みかえる裁判所法を改正していただきます際にもいろいろ御議論のあったところでございまして、私どもとしては調査官補制度を永続的に将来ともどうしても維持すべきものとは考えているわけでもないわけでございます。ただ、書記官補のほうは、これはいわば法律職でございまして、裁判所の職員全体が一種の法律職である。そういう点から、必ずしも書記官補を書記官の給源と考えませんでも、つまり事務官という形で採りました者から書記官を任用してまいりましても、特別にさほどの不都合が生じないわけでございます。現に、書記官研修所に入っております者は事務官というような資格にいたしておりまして、そういうことで別に格段の支障はないわけでございます。それに対しまして、家庭裁判所調査官のほうは、先ほど来いろいろお話も出ておりますとおり、教育学、心理学、社会学というような、いわば非常に特殊な技術、技能を身につけておられる方でございまして、また、そういう必要があるわけでございまして、裁判所の中でもいわば一つの特別のコースになるわけでございます。そういう意味で、これを事務官にいたしまして事務官から調査官に採用するというコースをとりますことが必ずしも妥当でないのではないか。そういう意味で、調査官の給源を確保する、こういう意味で調査官補というものを置きまして、調査官補で実務をやりながら次第に家庭裁判所の実際の状況を覚え、そうして調査官研修所で教育を受けていく、こういう形にすることが調査官として採用する経路として非常にふさわしいのじゃないか。その間には、先ほど家庭局長から説明いたしました代行制というようなもので、これは一面から申せば手不足を補うという面もございますが、また、一面においては、実際に自分が具体的な事件を処理して、そういうことによって見習いをして次第に成長していく、こういう意味もあるわけでございまして、こういうようなコースをとることが調査官制度としては妥当ではないかというようなことでいまのところかようになっているわけでございます。しかしながら、この点も、書記官補制度の廃止と関連いたしまして、将来制度の立て方については検討いたさなければならぬということでいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/51
-
052・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調査官補を採用するときに、いつになったら調査官になれるという説明を、採用なりあるいは試験のときどっちかは別として、どういう説明をしているんでしょうかね。一年九カ月たって研修所に一年入って調査官になれるというような説明を聞いていると言う人が多いんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/52
-
053・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、あるいはどういう機会にどういう人がどういう説明をいたしておりますか、さらに十分調査いたしました上で申し上げたいと存じますが、私どもちょっと考えましても、やはりこれは調査官研修所の入所試験とかいうものもいろいろあるわけでございますので、そういうはっきりした形で何年何カ月で研修所へ入って、何年後には調査官になれるという具体的な数字で約束することは少ないんじゃないかと思いますが、しかし、私の直接の所管でもございませんから、なお十分調べまして御説明申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/53
-
054・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調査官研修所は定員が五十名だと。いつも何人ぐらい入っているか、あとで明らかになると思いますが、これをふやすわけにはいかないのですか、この研修所の定員というものを、五十名というのは非常に少ないような感じを受けるわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/54
-
055・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはいろいろな面からの問題が関連することであろうと思います。一つは、調査官研修所をどんどん卒業してまいりましても、欠員がなければ調査官になれないわけでございますから、そういう意味で、どんどん増員になってまいるとか、あるいは上級者がどんどん退職してまいるというようなことで調査官の欠員というものがどんどんできてまいるという前提でございますと、調査官研修所の採用人員も大幅にふやすべきであり、また、ふやすことが可能でありましょうが、その点にも一つの問題があろうと思います。なおまた、もう少し実際面といたしまして、何ぶんにも現在の調査官研修所がまだ仮住まいをしていることは稲葉委員つとに御承知のとおりでございまして、これも逐次司法研修所、書記官研修所とともに営繕計画ができておりますので、数年後には調査官研修所というものがりっぱにでき上がるという見通しを立てておるわけでございまして、そうなりますれば、そういう施設面からの隘路はなくなるわけでございます。現在のところは、そういう施設面の隘路もあるわけでございます。それやこれやを勘案いたしましたところが現在のような実情になっておると、かようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/55
-
056・稲葉誠一
○稲葉誠一君 家裁の予算で人員なりそれからまあ予算金額をとっていて、実際はそれを大部分地裁のほうに流用している。大部分流用しているというのは一〇〇%もあるでしょうけれども、そういうのもあるんですか。人的には家裁のほうに辞令が出ているわけです。ところが、実際にはほとんど地裁のほうをやっておる。それは、判事の場合もあるし、判事補の場合もあるし――まあ判事補の場合はないかもわかりませんが、そういうのが相当あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/56
-
057・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、結局、具体的には非常にデリケートな問題になってまいりますが、いわゆる独立庁のような場合には、これは人員の関係でもその他はっきり分かれておるわけでございますが、たとえば併任庁、特に問題は支部等でございますが、支部等になってまいりますと、ことに乙号支部等では定員一人というようなところが通常でございます。そうなると、定員一人を、家裁の定員を置くか、地裁の定員を置くか、両方〇・五ずつ置くというわけにはまいりませんので、地裁の定員を置くという場合に、地裁の定員で家裁の仕事を援助するということになりますし、家裁の定員で置く場合には、家裁の定員のものが地裁の仕事をやる、こういうようなことになるわけでございます。そういう全体の定員を各庁、支部等に配賦いたします際に、ここは家裁の定員を置く、ここは地裁の定員を置くというようなことになりますので、その場合に、ある程度家裁の定員が食われておるという感じを受ける場合もあろうかと思います。しかし、これは、大局的に見れば、相互持ち合いでございますが、双方比較いたしますと、やや実際には家裁の定員で地裁の仕事をしておるほうが多いということはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/57
-
058・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの点は、地裁の定員で家裁のほうの仕事をしているというのは実際にはあまりないのじゃないかと思うんです。家裁の定員で、ことに判事補のような場合に、実際地裁の仕事をしているというのが大半ではないかと思うのですが、それが独立庁でない場合には、特に家裁が何か地裁の付属物みたいな感じを与えている現象なきにしもあらずだと、こういうふうに思うのです。ですから、家裁の予算なり人員で実質的には地裁の仕事をしているというのがどの程度なのか、これはなかなかわかりにくいと思うのです、率直に言いますと。資料ということで調べますと、これは全国全部調べなければならないので、たいへんだと思いますから、それはいいですから、大体どの程度あるかという点ですね、これは明らかにできるのじゃないかと思うんです。こまかいのは全国全部照会してまとめなければならないのじゃないかと思いまして、たいへんだと思いますが、あるいはわかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/58
-
059・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、お話のとおり、調べましても、ほとんど数字的には困難ではないかと思うわけでございますが、先ほど地裁の判事で家裁の仕事をするということはほとんどないのじゃないかというお話でございますが、それは決してそうではございませんので、乙号支部等で地裁の定員を配置しておるところもむろんあるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、両者を比較いたしますと、家裁の定員を配置しておいて地裁の仕事をするほうが、その逆の場合が多いということは申し上げられますけれども、しかし、地裁の定員だけ配置してあって家裁の仕事をしておるという庁もむろんあるわけでございます。しかし、それは、具体的な事務量と申しましても、結局、たとえば乙号支部で定員一人配置しておれば、そこの家裁の仕事も地裁の仕事もやっておるわけでございますから、そういう意味では家裁の定員が地裁の仕事をまかなっておる、こういうことになりますし、その逆の場合は逆になるということで、その具体的な事務量ということはちょっと容易ではないように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/59
-
060・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、甲号支部にしても、乙号支部にしても、まあ甲号は大体三人いるでしょうけれども、あるいは二人のところもあるかと思いますけれども、乙号は一人ですけれども、それはほとんどは七割から八割は普通の地裁の仕事をやっておるわけじゃないですか。家裁の仕事はもちろん少年審判なんかありますけれども、その片手間にやっておるというのが実情だと思いますがね。調停のときなどはほとんど判事は出てきませんし、まとまったときにただ呼んできてともかく書いたものを読む程度のことですからね。これは実情の話であって、いまここで論議してもなんですから、省略しますけれども、全体の印象として、家裁が独立庁でない場合に、地裁の付属物――と言うとことばが過ぎますから、そうでありませんけれども、事務の影響を受けておるということが考えられるんですが、まあそれはいま言われた形の中である程度認められているんじゃないかと思うのですが、そうすると、独立庁というのは、現在六大都市のほかにもあっちこっちふえておりますね。将来独立庁をどの程度つくっていく――建物の関係もありますから、一がいには言えませんけれども、おおよそのめどとして幾らくらいたったならば独立庁に全部するのだとか、あるいは独立庁にしないのだとか、いままでの併任みたいな形でいくのだとか、これはどういうふうになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/60
-
061・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ただいまの稲葉委員のお話にお答えいたします前に、その前段の点についてちょっと先ほどのお答えを補足させていただきたいと思うわけでございますが、たとえば甲号支部の場合に、判事は地裁の定員で配置し、判事補は家裁の定員で配置する、あるいはその逆ということもしばしばやっておるわけでございますが、これは、私どもの立場から申しますと、本来下級裁判所の定員というものを一本にしていただいて、そして地裁、家裁という区別を定員上なくしていただければ、一番わかりいいわけでございますが、現在のところは、一応、地裁の定員何人、家裁の定員何人となっておるものでございますから、そこで、これを下級裁判所に配置いたします場合にも、同じ甲号支部の中で、地裁定員何人、家裁定員何人というような技術的な操作をするような結果になっておるわけでございます。
それからなお、執務の実態ですが、これは実際問題として私どもの場合も数年前実態調査をいたしました。一体、地裁の事務量と家裁の事務量がどういう関係になるのかということも、なかなかむずかしい問題でございまして、これは、考え方によれば、民事訴訟の判決でも欠席判決のようなものはきわめて簡単でございまして、それに対しまして少年審判部のようなものは非常に手間がかかるというような面もございまして、これはその裁判官のやり方にもより、また、その現地の事件の状況にもよることで、件数だけでどちらのほうに仕事のウエートがかかっておるというふうにもまいらない面があるわけでございます。そういういろいろな面でなかなか執務量の把握ということもむずかしいということをつけ加えさせていただきたいわけでございます。
それから次に、独立庁の問題でございますが、これまた稲葉委員のお話しのとおり、建物が独立いたしておりますところが二十庁ばかりあるようでございますが、私どもが俗に独立庁と呼んでおりますのは、所長が独立して任命されており、それに伴っていろいろな事務局のスタッフも一応完全に独立しておる、こういうようなところを俗に独立庁と呼んでおるわけでございます。これは、制度的なものでもなんでもないわけで、全く事実上の扱いのようなものでございますが、そういういわゆる独立庁、いま申し上げましたような意味における独立庁というものは、現在のところ十四庁でございます。これは各高裁所在地は全部いわゆる独立庁でございます。そのほかに、横浜、京都、神戸、金沢、岡山、熊本というようなところが入りまして合計十四庁になっておるわけでございます。ただいま御審議いただいております昭和四十一年度予算で新潟に独立所長を置くということを要求いたしまして計上されておりますので、これが通りました暁には、あるいは新潟がいわゆる独立庁になろうかと考えるわけでございます。そうして、これを今後どう扱ってまいるかという問題でございますが、これは、いろいろ現地の裁判官の御意見等を聞きましても、率直に申し上げてやはり利害両面があるようでございます。家裁として独立して非常に力を入れて仕事を充実さしていくという面で独立の専任の所長がおられるということが非常にプラスの面もあることは確かでございます。しかし、同時にまた、あまり小さなところで二つに分けますと、かえって勢力分散にもなり、そしてまた、判事補諸君等が相互に両方の仕事を勉強するというような場合の人事関係についても何がしかの隘路ができるというようなことで、むしろ小さいところでは兼任所長のほうがいいというような御意見も強いわけでございまして、同時に、稲葉委員のお話しになりました庁舎の独立性という問題もこれにからんでまいりまして、そういう点をいろいろ総合的に考えながら参りたいと考えておるわけでございまして、現在のところは一応十四庁、今後大きな庁についてはそれをふやしてまいるということも検討の対象になろうと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/61
-
062・稲葉誠一
○稲葉誠一君 きょうは最初の質問ですし、私も予算委員会に行かなければなりませんから、この程度で終わりますけれども、家庭裁判所の所長があるところは十四だと、熊本がある、今度は新潟だと、こうなってくると、どういう理由で独立の所長をそこに置くのかということが何かこうはっきり区分けができていないような感じを受けるわけですがね。ぼくは全部独立の所長を置くべきだという考え方に立つわけですが、これは理由があるわけですか。そういう方向に進むというのなら話はわかるわけですが、熊本とか、新潟とか、ぽつんぽつんと独立の所長を置くのは、何か別の理由があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/62
-
063・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 新潟について今度独立所長を置いてはと問題になってまいりましたのは、やはり事件数等の関連で比較的事件数も多く、したがって職員も多いというようなことが一つの根拠として考えられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/63
-
064・稲葉誠一
○稲葉誠一君 一人の所長が家裁の所長を兼任しているところでは、これはいろいろいま言ったように議論があると思うのですけれども、家裁の関係の人たちとしては何か気分的におもしろくないし、すべてのことが地裁中心にいく。家裁制度は新しい制度ですから、その地裁の所長は家裁の制度というものになじんでいない人がほとんどなわけですね。そういう関係から、どうも地裁中心になり過ぎる、あらゆる面でなり過ぎるという意見が相当出てきているわけですが、これは議論のあるところですし、いろいろ問題点があるかとも思います。ただ、家裁の所長で非常に熱心な、家庭裁判の問題について何といいますか見識を持っている人がやっているところは、非常にうまくいっているわけですね。いま宇田川さんは京都に行ったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/64
-
065・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 京都の所長でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/65
-
066・稲葉誠一
○稲葉誠一君 宇田川さんが神戸にいたころなんかは、この神戸にいた調査官の人たちの声を聞くと、非常にうまくいったと、こう言うんですね。ところが、それがいわゆる併任のところにくると、とにかく家庭裁判所は全く付属物みたいに扱われて、ひがみかもわかりませんが、付属物みたいに扱われてきたということで、それはいろんな例が出てくるわけですけれども、そういう関係があるわけですね。だから、家庭裁判なら家庭裁判に対して情熱を持ってやってくれる所長というものをもっと養成すべきではないかと、こう考える一わけですね。そうでなくて、何かそれが地裁の所長が兼務しているという形で、片手間に家裁の仕事が行なわれているという空気というか、そういうものがなきにしもあらずではないかと、こういうふうに考えるので、私は家裁の所長を全部それに対して見識を持ち情熱を持っている人から選ぶべきだ、ただ地裁の所長の、何といいますか、まあ年功序列というか何というか、地裁の所長になれないから家裁の所長にするという形ではおかしいのじゃないかと、こう思うのですが、いまのところはことばが過ぎていれば取り消しますけれども、この点は十分お考え願いたいと、こういうふうに思うわけです。
その他いろいろ聞きたいことがありますけれども、家庭局長がほかに行かれておりますから、きょうはいままでに質問した中で資料をいただくことになっていますその資料をあしたじゅうくらいにできるものはいただいて、あさってその質問をできれば続けてやりたいと、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/66
-
067・辻武寿
○理事(辻武寿君) 他に質疑の方はありませんか。-なければ、両案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十六分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X01019660322/67
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。