1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月七日(水曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 本名 武君
理事 仮谷 忠男君 理事 倉成 正君
理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君
理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君
理事 東海林 稔君
安倍晋太郎君 小澤 太郎君
大野 市郎君 鹿野 彦吉君
熊谷 義雄君 小坂善太郎君
小山 長規君 坂田 英一君
坂村 吉正君 田中 正巳君
丹羽 兵助君 野呂 恭一君
藤田 義光君 湊 徹郎君
粟山 秀君 伊賀 定盛君
角屋堅次郎君 栗林 三郎君
兒玉 末男君 佐々栄三郎君
柴田 健治君 島口重次郎君
芳賀 貢君 美濃 政市君
森 義視君 神田 大作君
中村 時雄君 斎藤 実君
中野 明君
出席国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
農林政務次官 草野一郎平君
水産庁長官 久宗 高君
委員外の出席者
水産庁漁政部長 池田 俊也君
水産庁漁政部企
画課長 下浦 静平君
水産庁生産部長 亀長 友義君
水産庁漁港部長 瀬尾 五一君
専 門 員 松任谷健太郎君
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六月七日
委員實川清之君辞任につき、その補欠として角
屋堅次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員角屋堅次郎君辞任につき、その補欠として
實川清之君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
中小漁業振興特別措置法案(内閣提出第六九
号)
外国人漁業の規制に関する法律案(内閣提出第
九六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/0
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001・本名武
○本名委員長 これより会議を開きます。
中小漁業振興特別措置法案及び外国人漁業の規制に関する法律案の両案を一括議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤実君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/1
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002・斎藤実
○斎藤(実)委員 私は、外国人漁業の規制に関する法律案並びに中小漁業振興特別措置法案について、関連して水産庁長官にお尋ねをいたします。
外国人漁業の規制に関する法律案についてございますが、この法律案は、制度的には、領海内の漁業、沿岸国の一方的な管轄に属しておりまして、なおかつ、国際開港条約によって各国が独自の立場で漁船の寄港を規制することができるという特例がありますので、国際慣行上においては私は問題が起きないと思うのです。私が指摘をしたいのは、この法律案によって、ソ連及び韓国は日本の漁船は行かないから問題ないとして、国際間の相互主義の立場から、わが国の漁業は長い間それぞれの沿岸国から各種の便宜を受けて今日まできておるわけです。したがって、外国人の漁業を規制することによってわが国の海外漁業が受ける影響については、長官としてどういうふうにお考えになっておるのか、まずその点からお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/2
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003・久宗高
○久宗政府委員 今回御提案申し上げております規制の内容は、少なくとも沿岸に漁業のある国におきまして、国際的にも、この程度の規制は基本的な形といたしまして国際的に熟しておると私どもは考えております。したがいまして、国際的に問題を起こすような内容ではございません。ただ、お尋ねのように、わが国といたしましては、遠洋漁業その他におきまして遠く海外に出ておりまして、現にいろいろな国におきまして漁港を利用さしていただいておる経緯もございますので、それにどういう影響があるかという御懸念かと思うのでありますが、この点は、いろいろ国の発展段階によって違うと思いますけれども、現在十二海里の形をとりながら、あるいはそれをとってないにいたしましても、港の利用を積極的に協力していただいておる国が相当多いわけでございますが、これはそれなりに利益がありまして、たとえば漁船が寄りますとか、そこに水揚げがありますとかいう利益がございますので、さような意味で港の利用を許しておるわけでございます。したがいまして、いまのところ、私どもといたしましては、国際的にほとんど問題ない。この程度の基本的な規制を日本側でいたしたといたしましても、報復的に向こうが港の利用を——現在私どもが利用しておりますところで、それがこのためにチェックされるという心配はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/3
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004・斎藤実
○斎藤(実)委員 次に、わが国と大韓民国との間に漁業に関する協定が結ばれました。その第一条第一項において、「両締約国は、それぞれの締約国が自国の沿岸の基線から測定して十二海里までの水域を自国が漁業に関して排他的管轄権を行使する水域として設定する権利を有することを相互に認める。」という協定があるわけです。この協定を実施するために、漁業に関する水域の設定に関する法律が制定されたわけです。同法に基づく政令で、その十二海里の範囲が、日本では島根県、山口県、九州の福岡、佐賀、長崎県の沿岸から十二海里までとする、こういうふうにきめられているわけですね。いま私が申し上げた日本沿岸の一部だけ漁業水域が設定されて、残りの水域は三海里となっているわけです。したがって、韓国にしてみれば、公海の自由というたてまえからして、日本の沿岸へ出漁することは当然考えられる。日本の、いま私が申し上げましたような九州の一部以外のところで、相当韓国やその他ソ連の漁船が出没して漁をしている、こういう事実も私は聞いておるわけですが、この点についてどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/4
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005・久宗高
○久宗政府委員 御指摘のように、日本と韓国の間におきましては、両国の合意に基づきまして専管水域をそれぞれ引いておるわけでございます。そこで、それの具体的な区域を指定いたしますための法律に基づきまして、現在のところ、いまお話しのございましたような地域に限定いたしまして、私どもは韓国に対して専管水域を引いておるわけでございますが、これは現実の漁業の実態から見まして、競合の起こるおそれがあります地域に限定しているわけでございまして、条約のたてまえから申しまして、必要がございますれば、条約の規定どおり、日本の沿岸全域にわたりまして専管水域を引くことは何ら問題がないわけでございますが、ただ、今日の段階でそのような大げさな形をとることの可否もございますし、現在の段階では必要がないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/5
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006・斎藤実
○斎藤(実)委員 いま水産庁長官の御答弁の中に、必要があれば当然考えられるという答弁がございましたけれども、必要があればという事態はどういう事態なのか、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/6
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007・久宗高
○久宗政府委員 これは度合いの問題になるわけでございますが、たまたま一部試験調査が行なわれたとか、そういう程度ではございませんで、ほんとうに多数の漁船が来て、そして操業が行なわれて、それを放置いたします場合には両国の漁業調整上も非常に問題があるという事態に立ち至れば、あるいは立ち至る前に措置が必要かと思うのであります。しかし、私どもといたしましては、現在まで——昨日から日韓の漁業委員会もいたしておりますが、現実の問題といたしまして、さような事態を現在はすぐ予測する必要がないだろう、また、さような気配があります場合にも、いきなり区域の指定をするというよりは、話し合いをもっとしてみて、さような事態を避けるような賢明な方法があり得るのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/7
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008・斎藤実
○斎藤(実)委員 いま答弁を承りましたけれども、多数の漁船というお話がございました。ただばく然と多数という意味は、十そうも多数でしょうし、それから十五そうも多数でしょうし、多数というのではなくて、もう少し具体的に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/8
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009・久宗高
○久宗政府委員 多数と申しましたのは、ごく常識的に申し上げたわけでございますが、さような相当の数の漁船が来るにつきましては、卒然と来るのではなくて、それまでにいろいろな経緯があって、いろいろな出漁の準備でございますとか、先方におきます役所なり業界のお話とか、さような背景があって動いてくると思いますので、現実に個々の漁船が参りますものとの関連におきまして、もしそのような動きがやや長期にわたって相当の問題になりそうな気配がございますときには、これはまず両国政府で話し合いをする必要があるであろう。また、その事態がどうしてもそういうような話し合いで排除できない場合の最終的な措置といたしましては、専管水域の問題は、条約上すでに内容がございますので、いつでも必要があれば引けるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/9
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010・斎藤実
○斎藤(実)委員 こういう場合どうでしょうか。たとえば、韓国なりソ連が四千トンないし五千トンの母船一そうないし二そう、それから百五十トンないし二百トンくらいの独航船が二十そう、一つの船団ですが、こういう一つの大がかりなものが日本の三海里付近に出漁するという事態が、私の調査ではあるわけですが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/10
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011・久宗高
○久宗政府委員 いまのところ、いまの御質問どおりの形のものは現実に予想されないと思います。三海里のすぐそばまで来て大規模な母船式云々ということは考えられないわけでございますが、ただ、先ほどの御答弁は対韓国について申し上げたわけでございまして、対ソということになりますれば、これはやはり公海におきます何らかの協定と申しますか、さようなものが必要ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/11
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012・斎藤実
○斎藤(実)委員 私は具体的な事例を申し上げてみたいと思う。私がいま漁業水域、専管水域のことに触れるという一つの前提として、わが国が今日まで日ソあるいは日米漁業条約等によって、最近は沿岸漁業には非常に制限を加えられてきておる。これは事実だと思う。ところが、最近各国とも、われわれとしては非常に問題となっておる専管水域を設定しつつある。ことしの四月に妥結した日米交渉では、一応日本としては過去の実績を認めさせた。しかもその期限は二年だということで、日米の漁業条約が妥結して、なお今後各国とも漁業水域を設定し、専管水域に踏み切るという機運になってくるのではないか。アメリカにしても、二年以後は完全にこれは締め出すというふうになるかもわからない。この問題は、日本の水産にとっては非常に大きな重要課題だ、こういう意味で私は申し上げておるわけです。韓国の漁船については、昨年八月、御承知のように、日高沖合いに六そうの韓国船団が三海里近くまで来て試験操業を行なったという。ところが、韓国は一応サケ・マスについてはことしは取りやめたわけですが、近い将来北洋に再びサケ・マス漁業進出は濃厚だという判断だ。日本の沿岸に対する進出は今後とも十分考えられる。韓国では、御承知のように、五カ年計画で漁業量の倍増を計画しておりますし、一方では日韓漁業協定によって、日本から九千万ドルの民間借款を得ておりまして、当然沖合い、遠洋進出を国策として推進するという背景もあるわけです。以上のようなわけで、明年あるいは将来、韓国の漁船が日本沿岸へ進出することは火を見るよりも明らかである。こういう判断の上に立って、水産庁長官はこの問題についてどのようにお考えになっておるのか、御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/12
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013・久宗高
○久宗政府委員 サケ・マスにつきましては、すでにいろいろ経緯を御存じだと思いますので省略いたしますが、韓国で国の計画といたしまして、漁業に非常に重点を置かれまして計画的に進めようとしておられるのはそのとおりでございますし、私どもといたしましても、条約に基づきまして、これについて必要な御協力をしたいと思っておるわけでございますが、直接いまお話のような、日本の周辺に対韓国につきましてべったりと専管水域を引かなければならぬような形の問題に発展するようには、私どもは考えておらないわけでございます。
なお、現在先方でいろいろ計画を組んでおられます内容といたしましては、ごく向こうの本来の沿岸の問題と、それからいわゆるこちらで申します沖合いの問題と、さらに遠洋の問題も含まれておるわけでございますが、私どもといたしましては、全体の計画のお話を聞きまして、これが急なテンポで動きますと、過渡的にいろいろな競合が起こるわけでございますが、全体の計画から見まして、これが非常に激しい形で両国漁業の競合を起こすような形には動かないように、計画の内容も調整しておりますし、また実施いたします年次計画におきましても、そのテンポの調整をいたしましてお話し合いを進めておるわけでございまして、ただいまのところでは、韓国の援助との関連で、すぐにでもいわゆる専管水域を引かなければならぬというふうには考えておらないわけでございますが、これはあくまで現段階の問題でございまして、現実にある地域につきまして、どうしても専管水域を引かなければお話し合いがつかない、調整がつかないという場合におきましては、もちろん、これはすでに条約上も問題がないわけでございますし、国内的にも法律をつくっていただいておりますので、必要があれば実施したいと考えておるわけでございます。ただ、念のために申し上げますが、現段階におきまして直ちに引くということはいま考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/13
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014・斎藤実
○斎藤(実)委員 いま専管水域を直ちに引く考えはないという御答弁なんですが、特に北海道周辺は沿岸漁業民が非常に多いし、そうかといって、いわゆる北洋の宝庫ですから、ソビエトあるいは韓国等も非常にねらってくる、これは当然だと思う。それによって北海道の沿岸の漁民が被害を受けたり、あるいは漁獲量が少なくなったり、それから網が損傷されたという事実があって、今後ともある可能性が起きてくる場合はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/14
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015・久宗高
○久宗政府委員 繰り返し申し上げますように、これは程度の問題とその展望でございます。かりに専管水域を引くといたしましても、そういった問題が起こってきて、しかも話し合いがうまくいかないで、専管水域だけをつくるといったような状態では、十二海里より先の問題も実はあるわけでございます。たまたま十二海里という線がございますけれども、そういう問題が起こります場合には、十二海里の中の問題と関連いたしまして、十二海里の外の問題も含めて、ある話し合いなり取りきめをする必要が、おそらく客観的に起こるのではないかと考えますので、私どもといたしましては、専管水域の問題は、これはいつでも引ける問題でございますけれども、そういう事態に対処いたしますためには、そういう専管水域はいつでも引けるという前提のもとに、それも含めましたその海域全体の調整について、まず両国間で話し合うのが本来の筋ではないかというふうに考えているわけでございます。現在のところ、そこまで詰めてあまり先ばしってその問題を論議することは、必ずしも得策でないという判断を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/15
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016・斎藤実
○斎藤(実)委員 私は、実は北海道周辺に、北朝鮮の船団、それからソ連の船団も三海里付近まで来て操業しているという事実をここで申し上げたい。
ソ連のサンマについてですが、これは南千島を拠点としてサンマ漁を行なっているわけです。これは母船形式で約六千トンから一万二千トン、これが十二そうという形態です。独航船では約二百トンから二百五十トン、二百十そう内外が北海道の花咲沖で五海里ないし六海里近くまで接近して操業しているという事実があるわけです。これは北海道の監視船がキャッチした事件ですが、御承知のように、きのうも答弁があったように、ソビエトでは漁獲目標の倍増計画をして、相当漁獲の目標を日本近海に置いているという、これも事実でございます。その他サバ、これは百トン級の漁船ですが、六そうで北海道の道東沖合いで操業しているという事実、イカについても、同じく昨年は百トン級で二十そう、松前沖の十海里沖合いで操業しているという事実もございます。こういう事実もあるわけです。
それから、北朝鮮ですが、道の取り締り船の北王丸の調べでは、これは昨年ですが、四千トン級の母船で、大体百トンから百五十トン級の独航船が二十そう日本海北部で流し網を操業していたという事実があるわけです。
で、何といっても日本の沿岸漁民を守るという立場の上から、やはり外国船が来てその資源を減少さしたり、あるいは魚をとる量が少なくなってみたり、競合することによって生活が成り立っていかないという場合が生じてくるんじゃないか。しかも北海道の場合は、漁業権が三海里沖合いにも設定されているわけです。影響が非常に大きい。こういう事実があるわけです。先ほど申し上げましたように、ソ連にしてもあるいは韓国にしても北朝鮮にしても、相当日本の沿岸に出漁するという背景があるわけです。こういう事実と、また今後も起こるという判断の上に立って、漁民を守るという立場の上から、この問題と真剣に取っ組むべきではないかという考えを持つわけですが、再度御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/16
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017・久宗高
○久宗政府委員 たびたび御説明申し上げておりますように、今回の外国人漁業に関する法律を出した経緯といたしまして、従来私どもといたしましては海外に出ておる漁業の体系でございましたので、沿岸につきまして当然沿岸国が普通に国際的にやっておりますような規制、その国内法の体系の整備ということを怠っておったわけでございまして、昨年来の経緯にかんがみまして、まず閣議決定におきまして抜本的な考え方を明らかにいたしますとともに、今回その後の経緯も含めまして、それと総合いたしまして、最小限度の措置といたしまして寄港その他の措置を含んだ本法案を出しておるわけでございますが、ただいま御質問のございましたように、数カ国の関係でさような動きが出てまいりました場合に、もちろん本法は領海と港の利用についての規制でございますので、これは最小限度いかなる場合においても必要でございますが、それ以上の問題につきましては、これはやはり事態の推移に即しまして、国際的な、つまり、公海におきます二国間あるいは三国間の協定という形で、資源の利用関係を調整する必要が起ころうというふうに考えておるわけでございます。御指摘のように、ソ連の計画によりますと、相当のたん白資源を太平洋地域におきまして依存するというかっこうになってまいるといたしますれば、現在問題になっておりますようなサケ、マス、カニといったもの以外に、多獲性魚につきまして相当の計画が動いてくるものと考えざるを得ませんし、これに対する私どもの体制を急速に整備いたしまして、必要があればさような協定を結ぶ必要があろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/17
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018・斎藤実
○斎藤(実)委員 農林大臣がお見えになっておりますので、農林大臣から御答弁をいただきたいのですが、水産庁長官といろいろ質問を申し上げ、答弁も承っておるわけですが、先ほど来、北海道周辺の外国船による漁業の事実について、二、三事例をあげて申し上げたのですが、実際に韓国、北朝鮮あるいはソビエト等の船によって、沿岸漁民が現実に被害を受けておるわけです。そこで、国際的な専管水域の設定という風潮も起きておりますし、世界の趨勢になってきているのではないか、こうも考えられるわけです。現実に被害を受けております日本の周辺海域に、必要があるところに対しては十二海里の漁業水域を設定して、沿岸漁業者の不安を除却して、わが国の漁業秩序を維持すべきではないかというのが、これは各漁業従事者の声でもあるし、また私どもの考え方なんですが、農林大臣からこの点について所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/18
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019・倉石忠雄
○倉石国務大臣 先ほど政府委員からお答えいたしましたことが私どもの方針でございますが、専管十二海里は、御存じのように、別に国際法できめられたものでもありませんし、それぞれかってに各国がやっているわけです。わが国は、韓国との間については部分的には協定がございますけれども、そういうもののない地域においてどうなるかということは、私どもの日本がいままでほかの国と漁業の話し合いをいたしておる実績等も、先方では、専管水域の宣言があるにもかかわらず、われわれの実績を尊重されておること等もございまして、いまにわかに十二海里に設定するということは考えておりませんけれども、先ほど水産庁長官も申し上げましたように、だんだんと日本を取り巻く近隣の諸国が漁獲高についていろいろな考え方を持ってくるようになりますと、やはりたとえばソ連との間においても、多獲性魚についても取りきめもしなければならなくなるでありましょうし、いろいろ相手国によって事情は違ってまいると思いますが、そういうことについて慎重に検討いたして対処してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/19
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020・斎藤実
○斎藤(実)委員 一九五八年にジュネーブで開かれた国際海洋法会議で、国際海洋条約が誕生したわけです。この条約を背景として、沿岸国の領海、漁業専管水域の設定が問題になりました。アメリカとカナダの共同提案の、領海権は沿岸から六海里、さらにその外側の六海里、プラス十二海里を漁業専管水域とするという案が、一票で否決になったわけです。それ以来、この論議が六・六案として世界各国の間に常識化してしまったと判断できるわけです。十二海里の漁業専管水域が世界の大勢になりつつあると農林大臣も先ほど御答弁がございました。国連加盟国の中で、漁業専管水域を設定していない国が何カ国あるのか、あるいは三海里から十二海里までは何カ国あるのか、十二海里の国と十二海里以上の国が何カ国あるのか、この四点についてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/20
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021・久宗高
○久宗政府委員 いまのお尋ねの国別の計数につきましては説明員から御説明をさせますが、その前に、いまのジュネーブ会議以後十二海里が常識化したという一般的な御認識があるようでございまして、事実一般にはそういうふうに受け取られているようでございますが、厳密に申しますと、ジュネーブ会議におきます例の六プラス六という場合には、その外の六につきまして、その中での既存の漁業はどう扱うかという内容を当然に含んで論議がされておったわけでございます。ところが、それがああいう形で否決されまして、もとの状態に返ってまいりましたので、現在のところでは、かりに十二海里とある国でお引きになりました場合に、三海里より外の九海里におきまして、他国の実績のある漁業をどう取り扱うかという問題については、全く百鬼夜行の形になっておるわけでございます。私どもは三海里にこだわっておるのではございませんで、さような既存の漁業の実績というものをどう扱うんだということが、何らかの形で国際的に確立しておるならば、これは問題がないと思うのでございますけれども、非常な不幸な形になりまして、ジュネーブ会議がうまくまいりませんでした結果、陣取り戦のように、ただ海域を延ばすことだけが一つの風潮になりまして、延ばされた国も、全然相手国と話し合いのできないような国内法になっておりましたし、ここが全くまちまちでございますので、そのような状態で、そこのところを全く抜きにいたしましてただ十二海里という問題には追随できないということを私どもは申し上げているわけでございます。そこで、現在の段階におきましては、私どもが一番努力しておりますのは、それにもかかわらず、いろいろ十二海里問題が出てまいりますので、そのような国で特にわれわれと直接問題のございますところにつきましては、その十二海里の中でわれわれの伝統的な漁業なりあるいは若干の実績のある漁業について、一体どうしてくれるのかという問題を具体的に固めていっているわけでございまして、国際慣行におきましても、さような実績の積み重ねと申しますか、こういうことが新しく国際の慣行をつくっていくというふうに考えますので、他の国にはあまり実績がございませんが、私どものように世界各国にさような実績を持っておる国が、積極的にそのような個々の事例を固めてまいりますことによりまして、その十二海里の中におきます伝統的な漁業の扱いというものについて、新しい国際法上の慣行といわれるようなものを確立していきたい、そういう過程にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/21
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022・亀長友義
○亀長説明員 各国の領海及び専管水域につきまして、現在声明をいたしております国の数について御説明を申し上げます。
ただ、専管水域と申しましても、中には漁業水域とか保存水域とか、その他いろいろな名称を使っておりまして、慣行では一致をいたしておりません。現在領海を三海里とする国が十二ございます。この十二は、領海三海里以外何も設けていない国、たとえば日本のような国をさしておるわけでございますが、これが十二ございます。さらに、領海は三海里であって、その外に十二海里までの漁業水域を設けておるものが五つございます。同じく領海は三海里で、十五海里までの漁業水域を引いておる国が一つでございます。そのほか、領海を四海里とするものが二、領海を四海里としてさらに漁業水域を十二海里までとするものが一というふうに、非常にこまかい表になりますが、領海を六海里としてそれ以外何もない国が四カ国ございます。領海を六海里として、その上に六海里の、すなわち十二海里までの漁業水域を主張しておる国が五ございます。領海を六海里として、その外に距岸百六海里の専管水域を主張している国が二カ国、単に領海を十二海里としております国が二十三カ国ございます。これは専管水域を設定していないのであります。領海を十二海里として、さらにその外に距岸百十二海里までの保存水域を設定している国が二つございます。このほかに、領海を五十海里とする、あるいは百三十海里とするというような国もございます。それから領海を二百海里とする国が五カ国ございます。
かように慣行はいろいろでございまして、いわゆる距岸十二海里の専管水域を主張している国は、領海三の上に立つものが五カ国、領海を四としてその上に十二を引いたものが一カ国、領海を五としてその上に十二海里まで引いたものが一、領海を六としてその上に六海里プラスして十二海里の専管水域を引いたものが五、領海を九として三海里の専管水域をプラスしたものが一というふうな状況でございまして、要するに、専管水域距岸十二海里という整理をいたしますと、これが十三というのが現在の状態でございます。もちろん。このほかに、現在国内法で制定予定のものという情報の入っておるものも若干ございますが、いまの数字の中には入れておりません。
国連加盟国の数について、私資料を持っておりませんが、世界の国の全体の数はおおむね百二十九というのが外務省の調査でございます。これは、国の数というものも非常に算定のむずかしいものでありまして、独立を宣言したり交戦中のものがいろいろございますが、日本政府の承認、未承認を問わず、おおむね国家の形をなしておるという事実上の数字を拾いますと、大体百二十九であるという調査になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/22
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023・斎藤実
○斎藤(実)委員 いま御説明をいただきましたが、領海三海里で、漁業専管水域が六海里とか十二海里とか、あるいは二百海里とかいうふうに、ずいぶん各国がまちまちなようであります。これは自国の漁業権益を守るという立場で、一方的に各国が独自で設定できるのだろうと私は思うのですけれども、一方公海の自由という問題もひっかかってくるわけですが、この一方的に設定する専管水域と公海の自由という問題についてどういうふうに判断すべきか、長官の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/23
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024・久宗高
○久宗政府委員 日本政府といたしましては、確立された国際法上のいわゆる領海というものにつきましては、三海里という基本的な考え方に立っておるわけでございます。また、専管水域の問題でございますが、これにつきましては、二国間で合意された場合を除きましては、ある国が一方的にそれを宣言して当然に第三国を縛るという形のものではあり得ない。これは御指摘のように、いま申されましたもう一つの重要な柱でございます公海の自由というものについての制限になってまいりますので、これには世界各国におきましてきわめて慎重な態度で接すべきだという考え方が私どもの基本的な態度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/24
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025・斎藤実
○斎藤(実)委員 専管水域に関連して御質問したいのですが、日米交渉が四月の末に五カ月ぶりで妥結をしました。これは率直に言って、アメリカが一方的に設けた漁業専管水域十二海里の法律的な根拠をたな上げにして、いままでの日本漁業の実績に近いものを認めさせることができた。ある一部業界では、上々とはいわないまでも、中くらいの成果であった、こう見ているようですが、私は、その内容は、長い間世界一を誇ってきた日本漁業を大きく転換させる問題がこの中に含まれているのではないか、今日まではいわゆる攻める漁業から、これからは追われる漁業、守る漁業へと踏み出したのではないかというふうに考えるわけです。日ソ漁業交渉も、農林大臣もいらっしゃいますし、相当な困難な問題であるということは私らもわかります。それで、日ソ漁業の問題は、同じ海面でのサケ、マス、カニをとり合う配分の交渉が中心ではないかというふうに私は考えるわけです。ですけれども、今回の日米協定は、公海の自由の原則を旗じるしとする日本が、他国の一方的な漁業専管水域宣言を実質的にはこれを認めた初めての前例になるのではないか。これが今後国際的に及ぼす影響は非常に大きいと判断せざるを得ないわけです。今後とも各国ともいろいろな交渉が控えているわけです。ニュージーランド、スペイン、アフリカのモーリタニア等に対して今後どのような態度で臨むのか。相手国の十二海里を一応認めるのか、あるいはアメリカの場合と同じように、専管水域の問題を法律論をたな上げにして交渉するのか。現在交渉しておるようですけれども、この三カ国についてどういう態度で今後臨まれるのか、これは農林大臣から御答弁お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/25
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026・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いま御指摘の国々は、それぞれ日本と折衝の間に話がみんなまちまちでありますから、一がいにお答えすることは困難でありますが、わが国はやはりいま御指摘のように、つい最近ニュージーランドとの話し合いはやっておりまして、これもやはり大体わが国の希望は達せられる模様でありますが、その他、いまお話しのスペインとの関係もある。そこで、漁船の拿捕の問題の起きておるインドネシア等にもいろいろトラブルがありまして、外交関係でいま折衝しておるわけでありますが、要するに、それぞれ相手方との事情が違ってはおりますけれども、わが国は、ランニングでもやはり一番先に立っている者は常にあとから追ってくる者には追われる、そういう立場と言い得るかもしれませんが、私どもが持っております権益、ことに、先ほど冒頭にお話のありました日米につきましては、先ほどのお話のように、大体私どもの目的が達成されておる。日ソ間においても、まあ一般の常識であの程度であろうという。これから残された問題は、さっきちょっと触れましたように、多獲性魚の問題等もございましょう。いろいろな問題がさらに提起されてくることは予想いたしておりますけれども、私どもは、世界の各国ともたん白資源を求める意味において、あるいはまた生業としての漁業について、いわゆる低開発国がたいへん着目してきたことを見逃すことはできないわけであります。したがって、私どももそれに対応いたしまして、先日ここでお話のありましたように、やはり日本の漁業というものが、国際的にりっぱに競争場裏に勝っていくための近代化その他の諸般の要素を整えて、そしてわが国の持っておる強い力を維持することに力を注いでいかなければならない。それと並行してまた、先ほど来お話のありました専管十二海里の問題等につきましても、やはりわが国の持っております既得の権益を守るようにいたしながら、折衝をしてまいりたい。相手方がある話でありますから、なかなか簡単にはまいりませんけれども、ただいまそういう努力を鋭意続けておる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/26
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027・斎藤実
○斎藤(実)委員 いま農林大臣から、日米交渉の経緯あるいは今後外国との交渉についての考え方等も承りましたが、日米漁業交渉の内容は一応二カ年になっておるわけですね。一応わが国の既得権益が認められたというお話でございました。このわが国の既得権益が将来いつまでも守られるという保証はどこにもないんじゃないか。日本国民としてみれば、非常に不安な感じを私は率直に持つんじゃないかと思います。将来いつかは完全に締め出しの時期が来るのではないか、こういうふうにある業界の方も国民も心配しているわけでありますが、この点について農林大臣から、この問題に限って御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/27
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028・倉石忠雄
○倉石国務大臣 お話の点は、たいへん国際間の次元の高い立場に立たれたお話だと思います。私考えますのに、やはり事柄は漁業の条約でありましても、その背景としては、いろいろな外交関係がもちろん大きなウエートを占めておると思います。日米間が今日のような状態で続く場合、あるいは間違ってもっと違った立場に立つ場合、これは非常に影響を受けるでありましょう。ソビエトとの間においても、現在のようなムードで進められていく場合と、そうでない場合とは、非常に違ってまいるでありましょう。私はそういうことを考えますと、やはり国会議員として、また政府におりますものから見て、国際間において有力なる発言を維持存続するということのためには、わが国はほかの方面においてもそれ相当の実力を備えてまいることが、やはりすべての外交の基本ではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、わが国は国連を中心とした一貫した平和主義国家でありますから、そういう立場に立って、やはり現状のような比較的多数国との間に友好のムードを持ちながら、漁業の面その他の面においてもそういう角度で折衝を続けてまいる。彼らもそれぞれ事情はありましょうけれども、やはりわが国の有力なる漁業国としての立場、国際間におけるわが国の立場を考えてみましたならば、そうむちゃも言うはずはありませんし、またそのようなことのないようにつとめるのが私どもの義務ではないか、このように理解いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/28
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029・斎藤実
○斎藤(実)委員 専管水域の問題は大体以上にいたしまして、アメリカやソビエトが現在着手しております問題で、深海魚の漁獲について、わが国も非常に注目しなくちゃならないというふうに考えるわけです。
〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕
昭和四十年度におきまして、わが国の全漁獲量が六百八十八万トンに対して、遠洋漁業による漁獲量は百六十万トンで、約四分の一の比率になっているようですが、あとは沿岸漁業の量になるわけです。将来需要の伸びもありましょうし、それから国際的な漁獲量も増大しているという判断の上に立って、いずれも資源の減少、あるいは専管水域によって制限されてくれば、資源の問題が非常に先行きを心配せざるを得ない、こういうように考えるわけです。わが国の漁業発展のためには、深海魚の資源の調査と技術の開発が非常に大事ではないか、これは各方面の権威者あるいは技術者等も、この問題について非常に注目をしているわけですが、政府としてもこの問題について大々的に力を入れて乗り出すべきではないか、将来の日本漁業の発展のために本腰を入れるべきではないかというふうに考えるわけですが、この問題について政府の考え方、どういう具体的な対策を持っていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/29
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030・久宗高
○久宗政府委員 まさに御指摘のような問題がございます。私どもといたしましては、現在の資源関係から見まして、単に生物学的な資源論と、実際の経営問題を加えましたものの関係になりますので、考え方はなかなかむずかしいと思いますけれども、少なくとも現在の技術水準におきましても、必ずしも、一般にいわれておりますような、資源が非常に詰まってきてもう処置なしだというふうには考えておらないわけでございます。もう少し経営の組織なりあるいは調査も含めました検討をいたしますれば、現在の技術水準におきましても、まだまだ利用開発可能な資源というものが相当あるというふうに考えてはおりますけれども、しかし、少し長い目で見ました場合には、確かに、御指摘のようなもう少し深いところ、これを基礎にいたしました新しい漁業の体系を打ち出すような準備が当然必要だと考えておるわけでございます。特に米国なりソ連におきましては、水産も含めました海洋全体の問題といたしまして、相当の金をつぎ込みまして、組織的な検討が進められておるように聞いておりますし、その点におきましては、だいぶわが国におきましては懸隔があるわけでございまして、最近海洋関係の方とも、科学技術庁を中心といたしまして、いろいろ検討が進められておるわけでございまして、特に私どもといたしましても、現在のトップレベルの——現在の水準でございますれば、一応トップレベルと考えてよろしいと思いますけれども、少し長期の問題になりますと、深海ないしは中層につきまして、現在の技術段階よりもう一つ上の段階の基本的な研究なり調査なり、またそれに先行いたしますような一連の準備に、直ちに取りかかる必要があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/30
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031・斎藤実
○斎藤(実)委員 先ほど来、専管水域の問題については、農林大臣あるいは水産庁長官の御答弁を承りました。私としては、日本を取り巻く世界の漁業情勢が非常にきびしくなってきていると思う。日本の漁業も転換期に立っているという判断の上に立って、このきびしい現実を、国際的な視野の上に立った専管水域問題をさらに検討し直す時期が来ておるのではないか、私はこのように考えるわけですが、先ほどの答弁のように、この問題について十分ひとつ検討していただいて、日本沿岸漁民が安心して漁業に励めるような措置をとってもらいたいということを要望して、次の質問に移ります。
次に、中小漁業振興特別措置法案に対して一、二点御質問を申し上げます。
この法案は、中小漁業に対する融資と税対策に主眼を置いておりまして、当面カツオ・マグロ漁業と以西底びき漁業を対象としておりますが、これ以外の地元関連産業である、たとえばサケ・マス漁業あるいは沖合い底びき漁業が、この範囲に含まれるのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/31
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032・久宗高
○久宗政府委員 これは何度も申し上げましたように、私どもといたしましては、今回の発足にあたりましては、二つの業種を予定しておりますけれども、他の業種につきましては、経営が非常に不安定になったという認識に基づきまして、このような措置が必要な場合におきましては、決して限定するつもりはないわけでございます。
ただ、ただいま御質問のありましたサケ・マスでございますが、少なくとも今回のこの段階におきましては、御承知のとおり、現在の漁業関係の中では相対的にきわめて有利な形の漁業になっておりますので、当面指定をする考えはございませんけれども、しかし、この漁業とても、事態の変化によりまして、この法律に基づきまして指定をする必要が客観的に起こるような事態におきましては、もちろん指定をすることにやぶさかでないわけでございます。
なお、沖合い底びきの問題でございますが、これは経営的にはなかなかむずかしい問題がある漁業でございますし、また、すでに一部の調査をいたしておりますが、先般も申し上げましたように、これは相当広範囲にわたる問題でございまして、もう少し内容を吟味する必要もございましょうし、また、業界におきます一連の体制の問題もございますので、続けてもう少し検討さしていただきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/32
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033・斎藤実
○斎藤(実)委員 いまサケ・マスについては考えていないというような御答弁ですが、これは操業は五、六、七と三カ月あるわけです。漁期の終了後はカツオ、マグロ、サンマ、イカつり等の仕事をするわけです。兼業というかっこうになると私は思うのですが、年間を通すと必ずしも安定した漁業と言えないと私は思う。当然この問題は将来は考えてもらいたいということが一点です。
それから、明年度に対象とするものがあれば、お聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/33
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034・久宗高
○久宗政府委員 率直に申しまして、私どもは、この法案を具体的に準備いたします過程におきまして、一応自信を持って詰めてまいりましたのが現在の二業種でございます。したがいまして、他の漁業種類についても予備的な調査は進んでおりますが、いまのところ、まだ明年度何という具体的なお話をする段階にまで至っておりません。しかしながら、私どもといたしましては、この二業種の法律が通りました場合に、これを適確に軌道に乗せますのと並行いたしまして、他の漁業種類につきましても基本的な調査を進めまして、この法案を適用する必要があるかどうかという問題につきましては、突っ込んだ吟味をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/34
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035・斎藤実
○斎藤(実)委員 これは農林大臣にお尋ねするわけですが、この法案に関連もございますので、御質問申し上げます。
五月二十三日に起きた事件ですが、北緯四十一度四十八分、東経百三十一度四十六分の日本海上で、マスはえなわの漁船第八松登丸が北朝鮮の漁船から射撃を受けて、松田船長が連行された事件が起きているわけですが、何ぶんにも北朝鮮の問題でもございますし、外務省においても、日本は北朝鮮とは国交がない、直接北朝鮮側に、どういうわけで抑留されたのかということを聞いてみたり、釈放交渉が、国交がないために方法がない。その釈放交渉を行なう方法がないというふうにもいわれておりますが、事件が事件であるだけに、この周辺の漁民が非常に不安におちいっているわけですが、前回の米ソ駆逐艦の衝突事故等を契機に、今後ともこういう事態が起きるのではないかというふうに考えるわけですが、わが国の漁民の安全をはかるという立場から、この点についてどう処置されるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/35
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036・久宗高
○久宗政府委員 若干事実関係が伴いますので、先に政府委員としてお答えさしていただきます。
この問題は、まことに不幸な事件でございますが、事柄の性質は、私どもは、やはりこれは漁具紛争と申しますか、そういう範疇に入る問題かというふうに理解しておるわけでございます。御承知のとおり、北鮮とは国交関係もございませんので、たいへんやっかいな問題なのでございますが、先年もさような問題が起こりまして、その場合にも、これはむしろ漁具紛争と申しますか、海上におきまして漁具の紛争が起こりまして、そういう形の解決方法がとられたわけでございますが、今回はたまたま船長が向こうの船に乗せられまして、船長だけ向こうへ引っぱっていかれてしまったという結果になったわけでございますが、その周の詳しい事情を一応聞き取ってみますと、やはり漁具がひっかかり合いまして、それの処置について話し合っているうちに、そこでは話がつきませんで、港に帰って、おそらく漁具紛争の内容として話し合うためにさような必要があったのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、向こうの官憲に逮捕されたという形ではございませんで、漁業者同士が海上でぶつかって、その漁具をどっちが切った、切られたといった問題を含めまして、たまたま海上から向こうの港まで連れていかれたというふうな実態であろうと思うのでございます。ただ、私どもといたしましては、さような形で向こうへ引っぱっていかれますと、これは交渉の方法がございませんので、外務省から、すでに国会でも御答弁いたしておりますように、日赤を通じましてこの釈放方について交渉を進めておるわけでございますが、残念ながら今日までめどがまだいまのところはついておらぬわけでございます。交渉のルートといたしましては、日赤を通ずる以外にないわけでございますが、事の性質は、私どもは、やはり従来若干ございました漁具紛争の問題ではないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/36
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037・斎藤実
○斎藤(実)委員 日本海の海上で起きた事件ですし、この漁船の基地の住民あるいは漁民が非常に心配しておりまして、安心して操業できるような対策をしてもらいたいという陳情を受けておるわけですね。聞くところによりますと、北朝鮮の漁船は大部分が武装しておるということも聞いておるわけです。一ぺんこういうことが起きたということは、また再び起きる可能性もある。生命にかかわる重大な問題でもございますので、農林大臣から、この問題についてどう処置されるのか、御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/37
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038・倉石忠雄
○倉石国務大臣 事柄はただいま政府委員から申し上げましたとおりでございますが、お説のように、公海のできごとでもありますし、われわれとしてはまことに遺憾千万だ。そこで、外務省は、ただいま熱心に日本赤十字社を通じてその釈放を要求しておるのでありますが、なおこういうことのないように努力を続ける、それから一日も早く釈放が行なわれるように外務省を督励いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/38
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039・斎藤実
○斎藤(実)委員 以上で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/39
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040・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 次に美濃政市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/40
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041・美濃政市
○美濃委員 中小漁業振興特別措置法案につきましてお尋ねをいたしたいと思いますが、まず第一に、この法案で経営規模を拡大するというのでありますが、経営規模拡大の方向はどのようにお考えになっておりますか、それをまず最初にお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/41
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042・久宗高
○久宗政府委員 経営規模の拡大につきましては、いろいろな漁業種類によりまして考え方も違うと思います。また、振興計画を立てます場合にも、その焦点がおのずから異なると思うのでございますが、従来御説明しておりますように、カツオ・マグロについて申し上げますと、やはり複船経営、つまり、一隻だけではなくて、数隻の組み合わせによる形が一番適当ではないだろうかというふうに考えております。しかし、以西底びきのような漁業種類につきましては、適当な船型と申しますか、あるいはスタントロール化ができるような体系に船型を持っていくということが、具体的には経営規模の拡大につながるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/42
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043・美濃政市
○美濃委員 ただいまの御答弁は方法論だと思うのです。その前に、漁業資源関係その他から見て、経営規模を拡大して漁家の所得を拡大するということを考えますときに、隻数なりトン数なり許可水域の問題、これが一体拡大できるのかどうか。その拡大なしに、方法を改めることによって——これは合理的に方法を改めるということだけでありまして、基本的な漁家の所得の拡大とはちょっと意味が違うと思うわけです。そういう合理的な方法を進めていくと、こういう法律をつくって、これは一面農業にも出てくるわけですが、経営拡大、経営拡大と言いながら、漁家の許可数を減らしていくという、いわゆる切り捨ての問題にもつながってくるわけです。基本的な拡大の方向なしに拡大政策を進めていっても、ただいまの御答弁は方法論でありまして、基本的な拡大政策とは違うと思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/43
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044・久宗高
○久宗政府委員 その業種全体の問題と、また個別の経営体そのものの問題と、二つに分かれると思うのでございますが、御承知のように、水産におきましては、資源の制約がございますので、新たな資源を求めて、それによる量的な拡大と申しますか、そういう形ではなくて、個々の経営体そのものが合理化、近代化すること、その場合に、現在のような零細な規模では、コストの関係から見ましても適応できないというような考え方で、この場合におきましては、振興計画を業種ごとに立てますけれども、焦点は個々の経営の合理化と申しますか、近代化と申しますか、それを施設その他の関連で具体的に規定していこうという考え方に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/44
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045・美濃政市
○美濃委員 しかし、その個々の経営を近代化する、合理化する、それと、昨日も質疑応答を聞いておりましたが、現在の漁民所得の問題ですね。現在の漁民の所得の中で、一体そういうことが具体的に可能であると考えておるかどうか、これは拡大するといえば、トン数なり隻数なりあるいは許可海域なりをふやして拡大するのであれば、その合理化設備の能力を発揮できると思いますけれども、現在の低所得の中で、ただこういうふうに法律の表現だけで拡大する——御答弁の方法がまずいと考えるわけではないのですけれども、そういう方法をとるといっても、結局所得は低所得でありますから、そこの全体的な方法の前に、拡大生産をする基本的条件は一体何かということであります。基本的条件についての政策はどういうふうに進めていくかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/45
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046・久宗高
○久宗政府委員 基本的と申しますと、結局生産性の問題になると思います。しかし、お尋ねの前段にございましたように、私どもの今回の提案の中でも、零細な経営がそれを克服してまいります場合に、いろいろ方法も違うと思うのでございますが、協業化という問題は、これは経営の共同化の場合もございましょうし、作業の共同化の場合もございましょうし、どうしてもそのような形が客観的に必要になってくると思うのでございます。さような問題との関連におきまして企業の問題は考えていくのが本筋ではないだろうか。もちろん、これは個々の経営の問題でございますので、それを強制するわけにもまいりませんけれども、さような要請がございました場合に、それに対しまして税制上その他金融上の便宜を与えまして、それを慫慂するということによりまして、最終的にはぎりぎり詰めますと、一人当たりの生産性をいかにふやすかということに帰着すると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/46
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047・美濃政市
○美濃委員 沿岸漁業の問題になりますと、全国事情はどうかわかりませんが、北海道の、特に北方漁業の水域におきましては、いわゆる底びき漁業と魚資源との関係で、沿岸漁業者は底びき禁止区域の拡大を要求するし、そこにかなりの問題があるわけですが、昨年も若干の調整は行なわれたように聞いておるわけですが、これらの関係について、こういう法律をつくって、さらにただいま申し上げたような資源維持と沿岸漁業との調整関係は今後どのように考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/47
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048・久宗高
○久宗政府委員 私どもの感じでは、これは本質的には漁業法の体系の問題だと思います。沿岸と沖合いの操業上の調整につきまして、非常にこまかい規制をいたしまして、御指摘のございました沖合い底びきの問題にいたしましても、これは内地でも北海道でも同様でございますが、長い歴史的な過程を経まして、それぞれの体系が一応いまのような形におさまっておるわけでございます。これを基本的に規制しておりますものは、漁業法に基づきます許可制度の運用によりましてこれをやっておるわけでございますが、ただ、御質問にございましたような中小漁業についてこのような対策をとった場合に、それが沿岸の圧迫にならないか、あるいは沿岸についてはどうかというお話であるとすれば、私どもといたしましては、沿岸関係については沿振法にパックしていただきまして、構造改善事業という形で、個々の経営を相手にするというよりは、むしろ全体の体制の整備に力を入れておるわけでございまして、業態が違いますので、中小漁業の範疇におきましては、今回お願いしておりますような振興計画によりまして、個別企業の合理化なり近代化というものを進める形で案を進めておるわけでございます。したがいまして、それが直接沿岸に非常な影響を及ぼすというような観点は、もしそういう問題がございますれば、これはむしろ漁業法のほうの運用によりまして調整していくよりしかたがないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/48
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049・美濃政市
○美濃委員 私は、この法律の中で扱う検討よりも、しからばその漁業法の調整の中で現在どのように考えられておるか、こういう法律をつくる限りにおいて、さらにこの関係は調整を要するとお考えになっておるかどうかをお尋ねしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/49
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050・久宗高
○久宗政府委員 お尋ねは、沖合い底びき漁業と沿岸漁業との関連でございましょうか。おそらくそういう御質問かと思うのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/50
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051・美濃政市
○美濃委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/51
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052・久宗高
○久宗政府委員 これはよく御承知と思うのでございますけれども、内地におきましても、実に長い歴史的な過程を経まして、これがむしろ沿岸漁業なり沖合い漁業の中心課題で今日まできておるわけでございまして、一応の秩序がそこに保たれておりますのが現在の体制でございます。しかしながら、私どもといたしましては、今回の一斉更新にあたりましても、このような中で沖合い底びき漁業はやはり底魚が問題でございますので、なるべくその加重を減らしたいということ、これを外に出します場合には、できるだけ沿岸への圧力がかかりませんように、たとえば北転というような形でできる限りの処理をしてきたわけでございます。
具体的なお尋ねの北海道についてでございますが、北海道につきましても、北海道の内部問題として、沿岸漁業の関係の方と沖合い底びき関係の方が、長年の間毎年お話をしてこれを固めてきておられるわけでございますが、先般相当体系的に、北海道全体におきます沿岸漁業の関連と沖合い底びきの関係を調整されたわけでございまして、そのときの考え方といたしましては、たとえばカレイでございますとか、毛ガニでございますとか、高級魚につきましては、極力沿岸漁民の操業の場を確保するたてまえをとられ、さらに他方スケソウダラ等の資源上比較的問題のないものにつきましては、沖合い底びきの安定した操業を進めるという基本的な考え方で、これは道庁の非常な御努力によりまして、最近一連の漁業の体制を集大成されたというふうな段階にきておるわけでございます。私どもといたしましては、このような沿岸と沖合い底びきの問題につきましては、単なる一方的な規制ではありませんで、関係者の相当突っ込んだお話し合いの結果規制がきまりませんと、その実施にも問題がございますので、このようなお話し合いが続けられてまいりますことについて、必要がある場合、水産庁といたしましても、御相談を受けて秩序の維持につとめておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/52
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053・美濃政市
○美濃委員 次にお尋ねしたいことは、共同化と協業化という問題です。共同化という表現と協業化という表現とがありますが、いわゆる漁業生産組合によって法律的に強行するものではないという答弁で、私もそう思うのですが、強行しないまでも、体制整備を指導する過程において、共同化という表現と協業化という表現の中に、意識的な相違が若干あるように考えるのですが、この表現はどういうふうにお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/53
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054・久宗高
○久宗政府委員 昨晩、御質問の内意だけお伺いいたしまして、あとで水産庁で大議論をいたしまして、結局よくわからないわけでございますが、これはあまり厳密な意味ではございません。私どもといたしましては、最近の例としては協業化ということばを使っておりまして、これは釈迦に説法で恐縮でございますが、一応生産過程についての協業化といいます場合に、大規模生産の有利性を発揮するような措置といたしましての協業経営、協業組織がこの中に含まれると考えておるわけでございます。この場合、協業経営と申しておりますのは、いわゆる経営の共同化でございまして、協業組織は作業の共同化、こういうような一応の仕分けをしているわけでございますが、これは厳密な意味でこれを使い分けて何か特殊な意味を持っておるものではございません。しいて申し上げれば、共同化ということばが従来使われておりました場合には、農業においてもそうでございますし、水産もそうでございましたが、主として流通過程におきます共同化の問題が共同化の本来の形くらいに考えておったわけでございます。生産部面におきまして、経営全体なりあるいは作業自体の共同化が問題になってまいりました時期に、多少そのニュアンスをもちまして書き分けておるわけでございまして、本質的な差があるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/54
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055・美濃政市
○美濃委員 この字句の表現は本質的には変わらないかもしれませんけれども、意識的にはかなり変わるのではないかと思う。たとえば昭和三十六年に農業基本法を策定するにあたって、私は当時北海道から、あのときの農林大臣は福田さんであったわけですが、農業の基本問題の答申が行なわれたときに、農林省から旅費をいただいて研修にきたことがあるわけです。そのときの農業基本問題調査会のメンバーは、共同化という字句ではなかなか意識的にきつ過ぎる、協業という字句でなければ法律文案にならないのだ、こういう説明を受けた記憶があるわけです。そこで、共同化を進めるということになると、やはり人間の意識の指導がかなり先行しなければならぬわけですね。事業の体系もさることながら、体系は、共同化することによって合理的に資本装備その他が節約できる。過剰投資、これはいずれの場合でも排除されて、生産性の向上ができるということは、各段階において理解はついておるわけです。ただ、やれるかやれぬか、意識的に共同化体系に入れるかどうかというところに、今日合理的だと理論的には考えながら、実際に進まない原因があるわけです。そこで、協業と考えて協業という字句で指導する意識と、共同化という意識で指導する意識と、多少意識の相違があると私は思うわけですが、その点どのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/55
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056・久宗高
○久宗政府委員 お話を承りまして、私も若干思い出したわけでございますが、確かにその辺はだいぶ議論のあったところのように思います。今日までやってみまして、特に問題を漁業に移して考えました場合に、特に役所が共同化と、こう申しました場合に、受ける感じといたしましては、何でもかんでも一本にしてしまうといったような感じに一般の方は受け取るようでございますし、事実またさような指導が不用意に行なわれた面もなきにしもあらずと思うのでございます。
〔仮谷委員長代理退席、委員長着席〕
考えてみますと、やはり漁業のような場合におきましても、作業の共同化の部面が相当多うございますし、また同時に、先ほど御指摘のような資源の限定とか操業隻数の限定ということがございますと、やはり企業それ自体が一本になるといったような場も実際出てまいりますものですから、その辺は、現在行政の指導といたしましては、協業化と申しますか、その中で幾つかの経営の組織でございますとかそういうふうに仕分けておりますので、このほうが実際的ではないだろうか。観念的に共同化を進めるのは、指導上も間違いを起こしやすいと思いますので、もう少しそれをかみ砕いた、もう少し実証的にいたしましたものといたしましては、現在使っております協業化のほうが受け取りがよろしいかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/56
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057・美濃政市
○美濃委員 質は変わらないというのでありますが、この点はもっとこれからもこの方法を進めて、各段階——これは漁業だけでないわけですね。各段階にこういう表現が使われておるわけです。この場合は漁業ということになりますけれども、これを進める指導体制の理論体系意識というものをきちっと整理してかからないと、ただその形だけで法律にこういう表現を使って進めようとするには、あまりにも——片や一面大産業は非常にはなやかな資本主義体系の中でありますが、いわゆる非常に所得も低いこういう特に一次産業部門あるいは中小企業部門の各段階の法律にこの字句を表現しておるのですけれども、これも単にどの段階においてもいまのところ法律上こういう表現を使っておるということだけでありまして、実際にこれを法律に使った以上、これは現実にできれば、私は、各段階において資本装備のいわゆる過剰投資を防ぎ、資本効率を上げて生産性が上がると思うのでありますが、それに対する指導体制というものが不十分であると思うのです。この点どのようにお考えになっておるか。また、この形を進める指導理念、指導体制はどのようにお考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/57
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058・久宗高
○久宗政府委員 この種の振興計画が中央で立てられまして、それを末端に適応してまいります場合に、しばしばいろいろな誤解なり指導の誤りが起こり得るわけでございます。したがいまして、今回のような個別に振興計画を立てます場合には、さようなことのないように、これは役所のルートだけではございませんで、それぞれ業界のほうにも末端までの組織がございますし、あるいは労働の組織のほうにもそれぞれの組織がございますので、それぞれの組織を通じまして、誤りのないような形で進めてまいりたいと思っておるわけでございます。特別な指導体制というのはこれのために設けてはおりませんけれども、結局は、この問題は業種別に検討いたしますので、中央なり地方なりそれぞれの段階におきまして、関係者がやはり集まりまして、内容をできるだけ具体的なものにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。その際におきましても、共同化という問題につきまして、御指摘のように、これにつきましてはやはり心がまえが相当問題になるわけでございまして、個々の経営としては実は相当踏み切りにくい問題です。しかし、将来を考えますと、当然踏み切らなければならない問題ではなかろうかと考えますので、この辺、上からの押しつけにならないように、しかし、実際には踏み切られるだけのデータを持って慫慂できるような勉強をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/58
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059・美濃政市
○美濃委員 そこで、この共同化というのは、私は意識と申し上げましたが、もちろん意識も大切ですが、いずれも経済行為でございますから、法律にこういう字句を使う以上、そういう振興計画を立てる上において、いわゆる法律上の字句を言いますが、協業化を進める場合、特別の個別振興計画よりも、共同化に伴うものに対する税法特例措置、それはそれとして、それ以上ほかに、どうしてもこの体系が将来の有利性があるという答弁なんですから、そうすると、それを進める政策の上で、何か優遇措置をお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/59
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060・久宗高
○久宗政府委員 一応今回御提案しております税制の改正の中身を御吟味いただきますれば、少なくとも中小漁業関係で、他の施策でやっておりましたものの中で、これはぜひわがほうにもほしいというものは全部取り込んだつもりでございます。したがいまして、税法関係では、私どもといたしましては、できるだけの一応の準備ができておると考えておるわけでございますが、ただ、やはり御指摘のように、この種の問題につきましては、それに伴う利益の問題もございますけれども、やはりその漁業の展望と申しますか、これをなるべく的確にお示しすることが、個々の企業の方がどういう形の協業の内容を選ばれるか、またどのぐらいのテンポで、どのぐらいの覚悟で臨まれるかということの一番ポイントになるというふうにも考えますので、そのようなバックグラウンドの提示と申しますか、こういうことにつきまして、役所として一番ウエートを置いて考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/60
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061・美濃政市
○美濃委員 次に、振興計画と、あわせて各地域で実際に行なう改善計画と申しますか、これについてちょっとお伺いいたしたいと思います。
私の判断しておるところでは、通例このような計画を立てますと、いわゆる農林大臣が定める振興計画という全国画一の計画が先行いたしまして、非常に硬直性が高い。画一的に定める計画でございますから、その計画が全部だめだというふうには考えておりません。しかし、地域の実態、おのおのの経済実態から、画一の計画で承認される関係上、その実態に真に適合する経営計画がゆがめられる、こういう面が多いわけでありますが、この対策については、そういう弊害を除却するためにどのようにお考えになっておるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/61
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062・久宗高
○久宗政府委員 この種の計画が立てられました場合に、しばしばそれが問題になりまして、また、実施過程での御発言の大部分というものが、やはりそういう形で出ておるわけでございます。私どもも法律をつくりますと、みんなああいう形にならざるを得ないわけでございますので、法律の形なり振興計画の立て方は、法文によりますといまのような形になっておりますが、考え方といたしましては、今回の中小漁業の取り上げ方、その中の特殊な業種が取り上げられていくわけでございますし、また絶好の機会でございますので、これはあくまでその業界の自主的な努力というものを基礎に置きまして、作業といたしましても、もちろんこれは農林大臣がきめるという形をとっておりますけれども、やり方といたしましては、今回は何とかしてそのような御批判のないような形に進めてまいりたいということを大体業界とも話し合っているわけでございますので、これは実施の過程でいろいろ御批判をさらに受けたいと思いますし、また御支援を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/62
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063・美濃政市
○美濃委員 そういたしますと、実施の過程で、一応の振興計画を定めたとしても、地域性は十分弾力的に取り入れた実施計画を——農林省はこれは策定するのでなくて、その地域で作成された実施計画は弾力的にそれを承認して運用するということでありますか、そのように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/63
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064・久宗高
○久宗政府委員 最終的な形といたしましては、振興計画というもので何か文書ができるわけでございますが、その中で必要がございますれば年次的な問題を織り込んでもいいし、地域性を織り込んでもいいと私どもは考えておるわけでありますが、かりに地域性を織り込んだといたしましても、やはり非常に抽象的なものになるのではないかというふうに思います。しかし、考え方といたしましては、取り上げた業種にもよりますけれども、たとえば以西底びきでございますれば、これはそれ自体一つの地域性を持っておりますし、カツオ・マグロのように非常に全国的なものになりますと、これを一体どういうふうに地域的に考えるかという問題もございます。したがいまして、取り上げます業種によりましていろいろ違うと思いますけれども、御指摘を受けますような、画一性のためにその計画そのものが意味をなさないようなことにならないような努力はいたしたいと思っております。ただ、補助の率でございますとか、税の適用でございますとか、これはやはり一律な形をとらざるを得ませんので、むしろ計画の内容によりましては、たとえばどういう業種を選ぶとか、そういうような問題の中で、必要があればさような地域性を考慮してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/64
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065・美濃政市
○美濃委員 ただいまの点は、地域性が実施の中では十分従来の弊害におちいらないようにするというのでありますから、その推移の結果によると思いますので、質問は次に移ります。
次に、この計画の中で、「水産物の保蔵及び輸送の施設に関する事項」、こうなっておりますが、この保蔵という字句、これはどの程度の設備をお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/65
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066・池田俊也
○池田説明員 保蔵設備と申しますと、大体水産物の場合は鮮度の関係がもちろんございますので、われわれは普通冷蔵庫がそれに該当するのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/66
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067・美濃政市
○美濃委員 これを進める中で冷蔵庫を考える、これは豊凶による需給調整上も非常に大切な施設であると思うのですが、次の金融対策の中で対策に入っていないのでありますが、こういう設備になりますと、おのずとそういう消費価格の問題もあるでしょうし、かなり長期低利のこれを推進する資金体制が入ってこないと、計画と資金体制が合わないように思うのです。それはどのようになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/67
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068・久宗高
○久宗政府委員 この水産物の加工、保蔵の施設の問題でございますが、これは御承知のとおり、このような措置をとります以前から、中小漁業ないしは沿岸の非常に重要な施策といたしまして、すでに御承知のとおり、農林漁業金融公庫から、たとえば個人用の施設でございますと今回の措置と同じような六分五厘でございます。それから共同施設につきましては七分五厘といった金利で融資の措置が実はとられておるわけでございます。さような関係で、今回の特に以西底びきなりカツオ・マグロの問題につきまして、先ほど申しましたように、これは個別の企業の近代化、合理化をめどにいたしまして、ある種のこの項目に金利を援助する、この税制はこういうふうに措置するという個別の対策をとっておりますので、今回の指定との関連におきましては、特別にこの保蔵、加工施設につきまして公庫ですでに処置をしております資金以外の措置をとる必要がないと考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/68
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069・美濃政市
○美濃委員 私のお尋ねしておるのは、よくわかりましたが、この際特別融資措置はしなくても既設融資でやる。ただし、この種の施設が特に回転の早い、償却年限の短いものは別でございますけれども、この種の融資あるいは船舶漁業の基本融資が六分五里というのは、いわゆる漁業の所得あるいは置かれている国民の食生活に及ぼす影響等を考えますとき、六分五厘の資金でできておりますということはどうかと思うのです。先ほどもお尋ねしておることは、年限の長い、特にこの設備についてはかなり長期の耐用年数があるわけです。長期低利の資金措置を必要とすると思うのですが、六分五厘そのものについて疑義があるわけです。それは今後すみやかに改善を要すると思うのです。どのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/69
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070・久宗高
○久宗政府委員 これは最初にお尋ねがございまして、かぶとを脱いだのでございますが、私どもも立案過程におきましては、もう少し安い金利がほしいという気持ちは率直に持っておったわけでございます。いろいろ詰めてみますと、やはり金利の体系の問題もございまして、漁業内部におきましても、やや中小漁業におきます所得関係が総体的にはいいという関係もございますのと、また、この種の低利資金といたします場合の原資、もとの資金でございますね、原資の関係といったようなもの、その他横の関係をずっと詰めてまいりますと、一応この段階ではスタートを切ることに重点を置きまして、六分五厘でやむを得ぬということで実は了承してしまったわけでございます。これはやはり今後の経営との関連におきまして、私どもといたしましては、実施をしてまいりました場合に、どうしてもいかぬかどうかということで検討はしたいと考えておるわけでございますが、今回の段階におきましては、現在の総体的な金利関係から申せば、一応これをスタートラインにしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/70
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071・美濃政市
○美濃委員 これは、せっかく大臣がお見えになっておりますので、大臣にお伺いしたいと思いますが、いまお話を承りますと、長官は不十分というふうに解釈し、もっと安い金がほしい、こう言っておるのであります。この政策は縦横の関係と、こう言いますけれども、私は六分五厘で十分とは考えられぬのであります。これは今後すみやかに改善措置を要すると思うのであります。できればこの法案の審議中に改正すべきである、もっと低利、長期にすべきであると思うのですが、大臣はどのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/71
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072・倉石忠雄
○倉石国務大臣 御存じのように、農漁業関係の利子につきましては、四十二年度でいろいろなものについて一分ずつ引き下げることに努力をいたして成功いたしました。この法律は、そもそも中小漁業の振興ということが目標でございますので、私どもは、資金コストが許せばなるべく低利のほうがいいと思いますが、そういう意味で将来とも努力してまいりたいと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/72
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073・美濃政市
○美濃委員 次に、流通取引関係についてお尋ねをいたしたいと思います。
手元にありますこれは、統調の資料をいただいたわけですが、昭和四十年における段階別の市場価格の統調資料によりますと、キロ当たり生産地市場で六十三円、それが六大市場の市場価格は百三十九円、それから消費地小売り市場は二百七十五円と、こうなるのですが、非常に危険をおかして生産、漁獲するものよりも、六大市場の流通取引の段階で生産地市場価格の倍以上になるということは、これもたびたび論議されておると私は思うのですが、こういう点に積極的なメスをいままで——これも第一次産業の生産物に対しては、との法律にも流通改善ということは入っておるわけでありますが、しかし、世界的に見ても異常といわれる日本のこの種の体系に、積極的に改善に取り組む姿勢が出てこないのであります。今回の場合は、前回の弊に堕すことなく、せめて一つの糸口をつければ、次々と物価高にあえぐいわゆる国民大衆のためにも——ただ単に法律に表現することで、あと法律ができてしまえば何も具体的な施策の手が伸びぬというのは、まことに遺憾とするところだと思うのでありますが、この関係は、いわゆるこの法律に該当する指定業種だけの問題を言っておるわけじゃないのです。全般的にこれから先どのようにこの政策を進めようとお考えでありますか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/73
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074・久宗高
○久宗政府委員 お尋ねの前提になっております。先ほど御指摘になりました資料でございますが、これは相当問題のある資料でございまして、ちょっと説明をさしていただきたいと思います。
実は白書をつくります際に、それぞれ部内資料といたしまして、いろいろな利用できます資料の調製をいたすわけでございまして、その中に不用意にこの御引用いただきました数字が入っているわけでございますが、これはまさに比較すべからざるものを比較して、しかもその差まで出してあるわけであります。これは間違いでございます。間違いと申しますのは、それぞれ産地から消費地に参りますまでにどれだけの開きが出てくるかというものを見るものといたしましては、非常に不適当な、全く違うものを比較したものでございますために、いまのような係数で申しますと四倍近いギャップになっているわけでございますが、これはこのような比較にたえるような数字ではございませんで、たまたまそれをここに載せておりますために、お目にとまって御指摘を受けたわけであります。誤解が生じてもいけませんので……。むしろそういう意味でお調べをいただくとすれば、やはり同じものがどういう形で行ってどういう価格になったかという意味におきまして、いわゆる追跡調査によりまして吟味すべき問題ではないだろうかと思います。若干古い数字で恐縮でございますが、三十七年度におきまして、やはりこの種の価格問題が非常に問題にされました場合にやりました追跡調査によりますと、同一産地、銘柄、魚体のものが、生産地から最終の消費地までどういうかっこうで行ったかという数字によりますと、二・五倍という数字になっております。これはもちろんそれを調査いたしました時期のその日の問題、どのくらいの範囲になるかという問題はございますけれども、少なくとも四倍といったような数字はこれは間違いでございまして、常識的に考えましても、そのような数字ではございません。一応私どもが実証的に調べました追跡調査によれば二・五倍、かりに消費地におきます最終価格を一〇〇といたしました場合に、四〇台の数字になるというふうに、逆算いたしますとなるわけでございます。したがいまして、いま御指摘を受けました表の御利用は、これは比較すべからざるもので、部内資料でございますので、注を非常に簡略にしておりますために、誤解を生じたものと思いますので、その点だけ御注意をいただきたいと思います。
なお、御指摘の問題と関連いたしまして、水産関係でこの物価問題を扱います場合に、生産地価格、消費地価格の比較の場合に、どうもギャップが大き過ぎるという問題があって調べてみたわけでありますが、これは、産地市場におきます魚種、魚の種類の構成と、消費地の卸あるいは小売り市場におきます魚種の構成とが、それぞれ異なっておるわけでございます。つまり、別の意味におきまして小売り価格を調べる、別の必要から調べますと、そこで現実に売られている魚を調べますので、どういう魚が産地からどう来たかというものを調べるのには適当でない問題がその中に含まれておるわけでございます。消費地で申し上げますと、産地市場に上場されるもののうち、生鮮魚など比較的単価の高いものがいわゆる小売り価格の中に入ってくるわけでございます。ウエートが高くなってくるのです。それからまた、御承知のとおり、相当高級な輸入魚種が直接上場されるといったような関係もございまして、どうも産地におきます魚種構成と、消費地価格の中に織り込まれてまいりますものとの間にさような差がございますために、ある時点で並べてみますと、実態と異なった格差がそこにあらわれるというふうに思われますので、この点を念頭に置いていただきたいと思うわけでございます。
なお、御質問は、さような問題を抜きにいたしまして、いずれにしても、問題になっております水産物の価格問題につきまして、従来の施策が十分ではないじゃないかという御指摘がありますが、私どもも、最終的には、これが生産部面におきます零細性と、最終の消費者の段階におきます消費者の所得の水準なり、また末端におきます小売り商の零細経営、この二つの零細経営に両端を縛られまして、その間にいろいろな流通の幾つかの段階が入ってまいりますので、本格的に取り上げますと、やはり今回取り上げておりますような生産対策というもの、根本的にはこちらからずっと固めていかなくてはならないのじゃないかというかまえできておるわけでございます。しかし、現に途中におきます流通過程の問題も、当然現実の行政として問題になりますので、しばしば御説明申し上げておりますような経費の節減につきまして、また市場の組織の問題につきまして、一連の対策をとっておるわけでございますが、根本的なかまえといたしましては、やはり生産面におきます零細性と、その生産の不安定さというものが、基本的にはこの水産物関係では相当な問題がある。これを克服せざるを得ないという考え方に立っておるわけでございまして、なお、御承知のとおり、加工の分野が非常に広がっておりますので、もう少しその間のチェーンを結んでいくとしますれば、水産物関係はやりようによっては相当価格の安定に資し得るはずだ、加工部面が多いという意味におきまして、そういう関係から取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/74
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075・美濃政市
○美濃委員 この資料の信憑性がいま出たわけですが、それは私もあえてこの資料に固執はいたしませんが、いずれにしても、流通体系が悪いということが言えるわけです。
そこで、世の中は非常に進んでいるわけですが、いつまでもあのわからないせり売り機構で、ああいう市場の体系でよろしいかどうかということに、私は疑問を持っているわけです。これはこれから先の近代流通を考えますときに、生産者団体、漁業協同組合等によって、いわゆるそれぞれの価格の表示販売、そうして魚を売る立場にある小売り人が、自由に選択して表示価格で持っていけるような市場体制をつくるべきであると思うのです。とにかく思惑が入ったり、あるいは仮需要が入ったり、不漁であればむちゃくちゃせり上げていく。あるいは豊漁であればたたく。この種の関係は、先ほどお話にありましたように、貯蔵設備なりあるいは加工の進行によって、ある程度豊凶の調整能力を持たなければならぬでしょうし、徳川時代から続いてきたあの市場特有のせり表現による、ああいう近代的でない流通体系を、いつまで日本の消費経済市場は続けようとするのか。この監督は主として農林省にあると思うのであります。こういうことを検討されたことがあるかどうか。検討されたとすれば、いつの時期にこういう体系を改めなければならぬとお考えになるか。私は近代的でないと思うのです。ここまで進んだ世の中において、ああいう徳川時代から続いてきておる流通体系をそのままで過ごしておるところに問題があると思います。世界の流通体系を見ても、非常に生産者価格も安定し、消費者価格も安定し、中間経費が圧縮されておるという実例は多いと思うわけであります。そういう体系は、世界の進んでおる国々の中に実例もあるわけでありますから、そういう体系を積極的に取り入れるべきであると思うのであります。どのようにお考えになって、どこまで検討されておるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/75
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076・久宗高
○久宗政府委員 所管の問題に触れましてたいへん恐縮なんですが、市場関係につきましては、経済局が直接担当しておりますので、その分野におきまして、市場関係について、すでに物価問題がこれだけやかましくなっておる過程におきまして、根本的な検討をやっておるわけでございます。御指摘のような、急激な過密都市との関連におきまする過渡期におきまして、なかなか思うように問題が解きほぐせないという非常に困難な問題にぶつかっておるわけでございます。施設その他につきましては、一応年次計画がございまして、また市場関係の審議会におきましても、本格的に取り上げておるわけでございますが、私どもその前段階の生産部面を担当しておる者といたしましては、ただいま申しましたような生産の安定化、またマーケッティングを組織化していきます場合に、それに対応できるような生産体制に持ってまいりたい。今回協同組合の合併問題につきまして御提案いたしておりますのも、そういった関連があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/76
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077・本名武
○本名委員長 午後二時に再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時五十八分休憩
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午後二時十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/77
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078・本名武
○本名委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き、質疑を行ないます。美濃政市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/78
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079・美濃政市
○美濃委員 午前中お伺いいたしました流通改善の問題は、かなり検討を要すると思いますので、本日は流通改善の問題はこの程度にしておきたいと思いますが、この際、これは漁業だけに限らず、農産物においても、非近代的な穀物取引所等のああいう流通機構の問題、これは私どもの判断では、たとえ主食であれ、間接食糧であれ、国民の食糧がああいう非近代的な流通で行なわれるべきでないと考えるわけですが、これらの問題をあわせまして大臣にお伺いいたしたいわけですが、この点、いまどのようにお考えになっておるか、また検討はされておるかいないか、さらに今後の課題として、非常に時代おくれのしておる日本のこれら一連の流通機構の改善をどのようにお考えになっておるか、お伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/79
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080・倉石忠雄
○倉石国務大臣 流通機構の改善につきましては、政府も熱心にその近代化につとめておるわけでありますが、流通機構の中心といわれます取引所、この取引所の取引方法につきましては、皆さんよく御存じのように、長年の伝統でああいうやり方をいたしておりますが、これもやはり、たとえば築地のああいう市場などでも逐次改善されて、私どもとしても、これをひとつ能率的に改善するようにいたしたい、そういうことで研究を進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/80
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081・美濃政市
○美濃委員 次に、金融の中で一つ落ちておりましたのでお伺いをいたしますが、「農林漁業金融公庫からの資金の貸付け」、この条文の中で、「漁船の改造、建造若しくは取得」となっておりますが、この「取得」は、共同化を進めるにあたって、現在保有しておる——まあいろいろ、これは漁業権もあるでしょう、漁業権も含めて取得対象にして、一応漁業協同組合もしくは漁業生産組合、これらを頂点とする共同化を進める過程の取得資金の対象と考えてよろしいかどうか、その他の取得もあると思いますけれども、これをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/81
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082・久宗高
○久宗政府委員 御質問の趣旨がちょっとのみ込みかねておるわけでございますが、あるいは漁業権の取得あるいは許可の承継に関する費用といったものが融資の対象になり得るかという御質問でございますれば、さようなものは含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/82
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083・美濃政市
○美濃委員 そうじゃないのです。共同化を進めるとき、たとえば共同化に参加しようとする漁業者の持っておる船舶、漁具、こういうものを生産法人であれば生産法人に委譲するでしょう。設備委譲をしなければ共同化にならぬわけですから、その委譲を法人が受ける場合の取得、この取得は、やはり漁家によっては負債のある漁家もあるのですから、経営を一応法人に切りかえるわけですから、切りかえるときには、それはそのときの時価で取得をさせて、負債があれば、それは負債償還をさせてきれいにして、いわゆる共同化法人経営に入る、これが好ましいと思うのですが、この取得資金というものは、そういうふうに使うんだというふうに解釈してよろしいかどうか。共同化の場合の参加する者の取得資金……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/83
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084・久宗高
○久宗政府委員 共同化の場合に、取得の必要な物的施設につきましては、見ることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/84
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085・美濃政市
○美濃委員 これは見る範囲というのは、全部見るというふうに解釈してよろしゅうございますか。有形、無形、いわゆる既得権も含めてですね、その対象になるものは全部融資対象にするのだというふうに解釈してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/85
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086・久宗高
○久宗政府委員 物的施設に限ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/86
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087・美濃政市
○美濃委員 次に、労災関係について。賃金体系は昨日かなりの質疑がかわされましたので、省略いたしたいと思いますが、労災関係についてお伺いいたしたいと思います。
私がいままで調べた範囲においては、漁業自営者には労災保険が適用されないように聞いておるわけですが、これは自営者といっても、中小漁業の場合、漁船なり漁具なり小さい施設を持っておるというだけでありまして、経営から見れば、他産業並みの所得にもならないという形態が多いわけでありますから、純然たる自営者であっても、その中身は漁業労働者である、経営の実態はそう考えるべきであると思うのであります。そうすると、この種の事業に従事しておるわけですから、どうしても沿岸漁家安定のためには、自営者とい、にども、沿岸漁業者はみずから自営者であっても、船に乗ってやはり自活の道で働いておるものですね。これを、船に乗らない人は必要ないと思いますけれども、やはり労災保険の対象にすべきであると思いますが、この方法、あるいは現在どうなっておるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/87
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088・久宗高
○久宗政府委員 お尋ねのような問題が、長い間論議されておったわけでございますが、調べてみますと、昭和四十年度の改正によりまして、中小漁業者につきましての特殊な道が開かれたわけでございます。内容を申し上げますと、常時三百人以下の労働者を使用する中小業主につきまして、その事業に雇用される労働者と労働者災害補償保険関係が成立していますときには、特別加入ができるわけでございます。また、漁船によります水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行なっておりまして、それを常態とする自営漁業者及びその事業に従事する家族従事者につきましても、特別加入の道が開かれておるわけでございますが、どうも実績を調べてみますと、このような改正が行なわれましても、まだ下部への徹底が不十分のようでございまして、実績面ではあまり目立った動きは実はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/88
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089・美濃政市
○美濃委員 もうちょっと具体的にお尋ねをしておきたいと思います。
私の調べたときには、そういうことがなかった。何か調査する過程において、先ほど私の質問に対して御説明のありました、いわゆる自営者であってもみずから船に乗っておる者に加入の道は、漁業協同組合を通じてあるのでなかろうかというような話を聞いたことがあるのですが、具体的な方法はどうなっておるのか。漁業協同組合を通じて自営者が労災の手続をすることになっておるのか、それとも一人一人でするのか、その点ちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/89
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090・下浦静平
○下浦説明員 私からお答え申し上げます。
ただいまの御質問の点は、おっしゃるようなことになっておりまして、先ほど長官からの御答弁にもございましたように、特別加入制度という道が、実は四十年の六月の法律改正によりまして開かれたわけでございます。もっとも施行は十一月からということになっております。その特別加入制度の中の一つといたしまして、先ほどのお話のとおり、漁船によります水産動植物の採捕の事業につきましては、労働者を使用しないで行なうことを常態といたしております。いわゆる自営漁業者及びその事業に従事する家族従事者、これらにつきましては、特別加入を認めるということになっております。
具体的なやり方といたしましては、おっしゃいますように、漁業協同組合が事業者というぐあいにみなしまして、そのもとで個々の自営漁業者が働いておるというぐあいに、一つの法律上の擬制と申しますか、そういう技術的な取り扱いになっておりますが、それでこういう特別加入を認められておるわけでございます。なお、法律上は、これは任意加入適用の制度の取り扱いを受けておるわけであります。したがいまして、具体的な手続といたしましては、漁業協同組合がそういう手続をとるということになろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/90
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091・美濃政市
○美濃委員 そういたしますと、もちろん、漁業協同組合とは雇用関係は成立していないわけですから、手続上漁業協同組合を経由でもいいのですが、漁業協同組合を経由して手続をすることは間違いございませんね。それと同時に、都道府県に対して、そういう法改正ですから、法律ができておるのだから、知らぬということはないはずですけれども、たとえば北海道あたりは知らぬわけですよ。二、三日前に、私は北海道水産部にたずねたわけですが、知らないのですよ。各都道府県は知らないのじゃないか。こういう点の周知徹底をすることは大切なことですから、はかっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/91
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092・久宗高
○久宗政府委員 これは労働省関係を通じまして、通知がいっておるはずでございますけれども、なお、念のため私どもからも注意を喚起するようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/92
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093・美濃政市
○美濃委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/93
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094・本名武
○本名委員長 柴田健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/94
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095・柴田健治
○柴田委員 中小漁業の振興に関連し、また沿岸漁業の振興に関して、角度を変えて、水産庁の長官やそのほか政府委員の方にお尋ねしたいのです。
瀬戸内海は、内海漁業として御承知のとおりに、いまや養殖漁業に大きく切りかえられようとしておるわけですが、今日、まず前もってお尋ねしたいのは、内海漁業に従事しておる漁民の数をおわかりならお知らせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/95
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096・久宗高
○久宗政府委員 瀬戸内海におきます沿岸漁業の漁家数でございますが、四十一年度におきましては三万七千ございます。全国の一七・二%という計数になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/96
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097・柴田健治
○柴田委員 三万七千の漁民があって、年間の漁獲量というのは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/97
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098・久宗高
○久宗政府委員 生産額は四百二十億円で、全国の二〇・五%という数字でございまして、八海区の中で一番単位当たりは大きな形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/98
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099・柴田健治
○柴田委員 いま沿岸漁業の中で、内海漁業としてただいま御説明をいただきました漁民数なり漁獲高、それらを考えて、今後の内海漁業の振興について、やはり構造改善という立場で水産庁も力を入れておられると思うのですが、内海漁業で、いまや投資額も非常に大きくなっておるわけであります。御承知のように、漁業振興に関して、漁民の自己資金なり、また系統資金なり、政府資金なり、いろいろな形で投資をしていることは間違いないわけですが、そういう立場から、今日漁民が関心を持っておりますことをお尋ねを申し上げたいのです。
御承知のように、五月十九日に、日本土木学会から、本四連絡橋ということで五本のルートが技術的に可能だということの答申がなされたことは、もう皆さん御承知のとおりだと思うのです。これに関連して、漁民のほうから見る連絡橋に対する反響というものがいま出てきておるわけです。どのルートにかかるのか、こういうことから、非常に心配いたしておるのでありまして、今後の漁業に対する熱意、また、それに投資をしてこれからひとつ思い切って新しい養殖をやっていこうという、そういう考え方から、漁民の気持ちというものが非常に複雑になっておる、これはいなめない事実であるということは、ひとつ承知しておいていただきたいと思うのであります。それに関連して、本四連絡橋がどのルートにかかるかは、今後の政治課題でもありましょうし、まだまだいま技術的な問題で答申がされただけでありまして、今度は経済効果という面から調査をせられていくわけでありますが、この経済調査の中で、水産庁としては、漁業というものが入るのか入らないのか、ひとつ見解を聞かしておいていただきたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/99
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100・久宗高
○久宗政府委員 お尋ねの問題につきましては、ただいま御質問にもございましたように、純土木的な見地での見解が示されまして、したがいまして、この段階におきましては、運輸省の御関係からも特別な御連絡はまだ受けてないわけでございます。かりに計画が何らかの形で進みます場合には、当然御相談があるはずでございますし、私どもといたしましては、必要な調査は、その段階において、計画の内容によりましていたさなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/100
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101・柴田健治
○柴田委員 まあ、連絡がないから、連絡があってから調査なら調査をやる、こういうことでございましょうが、やはり漁民の立場からいうと、ことし投資したらもう明年投資額が返ってくるというような筋合いのものではないわけで、相当ビジョンを持って、長期の計画の上に立って、今度の中小漁業振興に関して、この法案の中でも明確になっておるように、振興計画というものを立てるというぐらいになっておる。振興計画を立てていく立場から見ても、非常に心配が出てくる。それから、これから調査するということは、まあ当然だと思いますけれども、連絡があるなしにかかわらず、水産庁としては、とにかくこれからの内海漁業の振興については、別の角度で調査をやるべきではないか、私はこういう考えを持っておるのですが、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/101
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102・久宗高
○久宗政府委員 内海の問題でございますので、私どもも非常な関心を持っておるわけでございますが、何ぶんにも具体的な計画の形が出てまいりませんと、その経済効果なりあるいは漁業への影響ということが措置できませんので、いまの段階では、手がかりが実はないわけでございますが、いずれにいたしましても、運輸省のほうでいろいろ御検討なさいます際に緊密な連絡をとりまして、必要な調査はいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/102
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103・柴田健治
○柴田委員 この五本のルート、明石−鳴門線、宇野−高松線、日比−高松線、児島−坂出線、尾道−今治線、こういうことで五本のルートが技術的には可能だという答申がなされておるわけでありますが、この路線をたとえてお尋ねをするわけでありますが、仮定の問題ですからとやかく言えませんが、漁民の立場からいうと、どの路線にかかった場合はどうなるかということは、もう先のことを心配いたしておるわけです。たとえば、魚の魚道といいますか、たとえば紀伊水道から内海に入ってくる魚道、豊後水道から伊予灘を経由して入ってくる魚道というものがあると思うのです。その立場から言うと、たとえば明石−鳴門に連絡橋がかかった場合に、紀伊水道から上がってくる魚道が変更があるのかないのか、変わるのかどうか、こういう一つの心配が出てくるし、それにまた潮流の関係がある。五本のルートの潮流というものが、大体水産庁としては、それぞれの海区において潮流というものの調べがもういままでにもあるわけだと思うのですが、それぞれの五本のルートの潮流というものはどういう形になっておるのか、ちょっとお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/103
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104・久宗高
○久宗政府委員 詳しい技術的な内容についてはいま手元にございませんが、いずれにいたしましても、内海の漁業の振興との関連におきまして、私どもといたしましては、現在それぞれのルートなりどういう橋の構造になるのかといったようなことにつきましては、まだ案そのものがきまっておらないわけでございますので、判断の下しようがないわけでございます。しかしながら、本件につきましては、橋のかかり方いかんによりましては、いずれかの影響があり得ると考えますので、案の成熟過程におきまして、なるべく緊密な連絡を運輸省方面ともとりまして、それに従った必要な調査はしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/104
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105・柴田健治
○柴田委員 まあ、将来のことだということで回答が十分得られない。私は十分回答を得ようと思ってお尋ね申し上げるということも考えていないわけです。要するに、いろいろ調査してみなければわからぬ問題だと思うのでございますから、問題を提起して、水産庁のほうも専門的にやはり漁民の立場を守る、漁業を振興させていくという純粋な立場で、いろいろ調査を願って、お互いに本問題を解決していかなければならぬ、こう思っておりますがゆえに、問題を提起するという立場で、お尋ねを兼ねて申し上げているわけでありますが、要するに、橋のかかる場所においては、魚によっては、まあいろいろあると思いますが、とにかくタイのごときは、内海のタイというたら有名なんですが、このタイは、やはり越冬は水深の深いところへ逃避して生息する。産卵期になってくると備讃瀬戸に上がってきて、備讃瀬戸で産卵をしていく。ちょうどサケ・マスと同じように——サケ・マスも、ソビエトのサケ・マスは、放流しておるのは、やはり産卵期になると自分の川へ帰っていく。日本の北海道で水産庁がいろいろやって放流しておるサケ・マスは、日本の川に帰ってくる。こういうことで、魚も賢いのでありますから、やはり魚道の変化が万が一あるとするならば、いろいろ支障がくるのではないかということと、それからまた、この工事にかかって影響があるのは、まあ工事の期間が二年や三年、五年はかかるのじゃないか。そうすると、海の濁りといいますか、そういう濁りによって弊害の起きる漁業、たとえば海藻類、ノリの養殖や何かはたいへんなことになるのじゃないか、こういう心配があるわけでありますし、それに関連して、この工事中における補償問題も出るのじゃないか。どこにかかるかは別としても、将来漁業補償というものが出てくるのじゃないか。そういう問題が起きた時分に、水産庁としては、それぞれの省の中に入って漁民の立場を守るということから、もっと真剣に、いまからこの問題と取り組んで、十二分なる調査をする必要があるのではないか、こういう考えを私は持っておるわけでありますが、それに対する調査の取り組みの姿勢というものをひとつお聞かせ願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/105
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106・久宗高
○久宗政府委員 いずれ事が進んでまいります過程におきましては、いろいろ問題が出得ると思いますが、この種の問題は、やはり御注意のございましたように、なるべく早い時期から緊密な連絡を保ちまして、必要な調査をしておくべきだと思いますので、建設省ともよく御連絡をとりながら準備を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/106
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107・柴田健治
○柴田委員 調査をやるというありがたい御答弁をいただいたのですが、機関としてはどこを使われるのか。たとえば水産庁が都道府県の水産のそうした技術機関を動員してやられるのか、それとも水産庁直属の宇品の水産研究所だけを主体にしてやられるのか、そういう点はどういう構想があるか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/107
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108・久宗高
○久宗政府委員 これも計画内容がはっきりいたしませんと的確なお答えができないわけでございますが、従来この種のものにつきましては、もちろん中央も参加いたしますが、地方におきまして直接御関係のところの試験研究機関というものの御協力は当然得なければなりませんし、また、そのような中央、地方を通じました体制で臨む必要があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/108
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109・柴田健治
○柴田委員 今後そうした調査をしていただくということで、われわれも力強く感じるわけでありますが、われわれも勉強させていただきたい。そういう立場から、今後そうした御調査を願うことにいたしまして、まず、この連絡橋がかかることによって、漁船の搬出入というか、出入りについて、いま内海漁業に携わっておる船、大きさにもよりましょうが、一トンから五トン、五トンから十トンということで、トン数によって隻数が違うと思いますが、現在内海漁業に携わっておる漁船の数は幾らぐらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/109
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110・久宗高
○久宗政府委員 内海で動いています漁船の隻数につきましては、調べましてすぐ御返答申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/110
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111・柴田健治
○柴田委員 船というものは、非常に危険度の高いものですけれども、反面からいえば、安全性のある乗物でもある、こういわれるのでありますが、やはり連絡橋のかかる場所においては、漁船の出入りについては非常に危険度が高い。これは海難防止協会等でいろいろ調査をせられて、海難防止の立場からいろいろとまた権威ある答えが出るのではないかと思いますけれども、やはり漁民からいうと、簡単にそこらに橋をかけていただいたのでは、われわれの玄関をふさがれるようなものである。玄関をふさがれるのを黙って見ておるわけにいかない。そういうことで、いろいろな角度からの意見が出る。内海漁船の搬出入について、この関係も水産庁としても今後いろいろと研究をしてもらいたい。関係機関ともよくひとつ連絡をとりながら研究していただきたいと思うのですが、そういう心がまえがあるかどうか、ひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/111
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112・久宗高
○久宗政府委員 最初にお答えいたしましたように、計画の内容が具体化してまいりますれば、それに即応いたしまして内海漁業にどういう影響があるのか、またそれに対してどういう対策を打つべきなのかという問題を具体的に検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/112
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113・柴田健治
○柴田委員 この連絡橋に対して運輸省なり建設省が、たとえば道路橋にするのか、また道路と鉄道の併用橋にするのか、それは今後の問題でありましょうが、どちらにしても、漁業という立場の水産庁、農林省のほうに連絡なしにかってに進めていくということはあり得ないと私は常識的にものを考えるわけです。あり得ないと思うのですが、十二分に事前に連絡があると思いますが、そういう解釈を持っておってもいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/113
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114・久宗高
○久宗政府委員 これは当然にさような御連絡があるべきはずでございますし、また事の経過から申しまして、ただいまの段階では、純土木的な技術的な関係の一部の答申が出たというふうに伺っておりますが、私どもといたしましても関心の深い問題でございますので、事前に御連絡をいただきますような調整をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/114
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115・柴田健治
○柴田委員 その点、地方では、漁業に対する関心が非常に薄いというか、たとえば航路のしゅんせつをやる工事、また公有水面の埋め立てに関して、漁業振興ということを忘れて、かってに公有水面の埋め立てをやろうとして、あとから漁業補償の話をするとか、あるいは航路のしゅんせつにしても、かってに港湾整備計画を立てて、運輸省から施工の認可を受けて工事が始まるようになってから漁業問題に取り組む、こういうことがいままでしばしば地方であったことは間違いない。そういう立場から私は心配している。かってに向こうさんが計画をされて、これから工事をやります、漁業の問題は水産庁よきに計らって、補償だけ取り組んでくれというようなばかな話はおそらくないだろうとは思いますけれども、いままでしばしば日本の官庁機構の中では起きておりますから、非常に心配をいたして、愚問ではあろうと思いましたけれども、お尋ね申し上げたようなわけであります。やはりせっかく計画を立てるなら、事前に——本日の漁業というものは年々漁場が縮小されていっておることは間違いないのでありますから、漁業の振興をはかっていく窓口である水産庁に連絡なしに、かってにあとで、漁業補償だけやってくれ、そういうことがないように、事前にひとつ水産庁もこちらから取り組んでいくだけの熱意と姿勢がほしい、そういう気持ちでお尋ね申し上げるので、そういうことはないとわれわれ信じておりますが、ないと水産庁お考えなのか、長官のお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/115
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116・久宗高
○久宗政府委員 お尋ねのようなケースで、非常に連絡がおくれまして、結果を持ち込まれて困っております問題が非常に多うございます。したがいまして、今回の問題につきましても、できるだけ事前によく連絡をとるような処置をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/116
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117・柴田健治
○柴田委員 私、漁民と話し合いをしてみて聞かされることでありますが、たとえばノリの養殖をやる。真珠の養殖は別でありますけれども、いろいろ今後の内海の漁業の振興については、もう養殖に大きく切りかえなければならぬ。一日でも早くそういう考え方を水産庁は明確に出してもらいたい。そうしないと、振興計画、また投資計画、構造改善事業というものは考えられないじゃないか、こういう意見が強く出ておるわけでありますから、この本四連絡橋については、場所がいかなるところならこうなる、この路線がついたときにはこうなるぞ、こういうようなある程度の見通しを持って指導してもらいたい、こう思うのですが、そこまでいけるかどうか、いろいろ不安があると思うのでありますが、ひとつ見解を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/117
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118・久宗高
○久宗政府委員 お気持ちはよくわかりますし、私どもはさような御注意を頭に置きまして事に当たりたいと思うわけでありますが、何ぶん計画そのものが非常にまだ抽象的な段階でございますし、特に橋の構造といったような問題になりますので、時期を失しないようによく御連絡をとりまして、勉強いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/118
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119・柴田健治
○柴田委員 いずれまた、そうした調査をしていただく機関にもいろいろお話を承れたらと思っておりますが、今後の問題でありますので、慎重に手落ちのないように十二分に——何としても三万七千の漁民が非常に関心を持っておる問題でありますから、われわれがとやかく申し上げる前に、水産庁はやはり権威ある機関を動員して調査をしていただくということで、一つの問題を提起いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/119
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120・本名武
○本名委員長 角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/120
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121・角屋堅次郎
○角屋委員 私は、ただいま審議しております外国人漁業の規制に関する法律案並びに中小漁業振興特別措置法案、この二法案に関連をして、簡潔に数点御質問を申し上げたいと思います。
この二法案につきましては、本委員会に上程されましてから、与野党各委員から非常に広範な立場から、しかも法律案の条文の内容につきましても綿密に審議がなされてまいりましたので、あらためて私からさらに質問をするという内容については、条項的にはきわめて少ないかと思うのであります。したがいまして、そういう慎重審議の経過もございますので、簡潔に御質問を申し上げてまいりたいと思います。
まず最初に、大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、数日来御承知の中近東の紛争の問題が出てまいりまして、この紛争そのものについては、政府も厳正中立の立場からの早期解決を強く希望しておられるようでありますが、これはそういうことで御努力願わなければならぬと思いますけれども、ただ、この紛争の状態が長期になるということになりますと、中近東は御承知のようにいわば石油の重要な産地という事情もございますので、わが国の産業、経済、またきょう審議をしております漁業関係についても、重油であるとか、あるいはガソリンであるとか、そういう燃料面で直接影響が及んでくるわけでございまして、これは単に水産関係ばかりではなしに、農林省関係のその他のところにも、そういう面では経済活動として相当な影響を持ってまいる重大な問題でございます。これらの点についでは当然閣議でも爼上にのぼっておると思いますけれども、特に農林水産の立場から見て、この中近東の紛争いかんというものをどう受けとめて対処していかなければならぬとお考えかということを、まず冒頭にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/121
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122・倉石忠雄
○倉石国務大臣 中近東の紛争につきましては、直接漁獲にどうとかいうことよりも、いまお話しのように、石油関係——大体わが国はあの地方から全体の六〇%余りの油をとっておるわけであります。外務省からの通報によりますと、アラビア石油は、従業員が従軍するというようなことで職場放棄の傾向が出てきましたので、そういう意味で操業を中止せざるを得ないという状態。それから油送船が、やはりスエズ運河が危険であるということで喜望峰を迂回しなければならぬということのようでございます。そういうことだけでもかなり運賃にも響きますし、わが国経済には、これがもし長期にわたるようなことになれば、たいへんな影響を持ってくると思うのでありますが、まだ今日の段階では、どのように進展してまいりますか、詳報を得ておりませんので、そのときどきの変化に対応して政府は善処してまいらなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/122
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123・角屋堅次郎
○角屋委員 この問題は本法案と直接関連してお尋ねをしたわけではございませんけれども、非常に重大な局面を迎えておりますので、これがわが国の産業、経済全体にも大きな影響を持ってくるという立場から、政府としてもすみやかに平和的解決の方向で最善の努力をしてもらわなければならぬ、かように思います。
漁業全般の問題につきましては、与野党のそれぞれの委員から、わが国の水産業の現状に顧みて将来の展望についての長期ビジョンというものを明確に持たなければならない、こういうこと等々についても議論がなされたやに承っておるわけでありますが、何といっても現在のわが国の年間の水産の漁獲高が大体七百万トン前後、レポートによりますれば、若干下回っているが、最近それを少しこえた数字が出ておりますけれども、現実には、反面、蛋白質資源としての国民的需要というものが、今後あるいは九百万トンなり一千万トンをこえてくるというふうな形になってまいりますと、やはりわが国の水産業の振興は、単に沿岸、沖合いばかりでなしに、遠洋漁業も含めて、真剣に対処していかなければならぬことは当然でございます。沿岸漁業の問題についても、もちろん今日いろいろ問題はございますし、これはいわば漁業喪失という、経済の発展との見合いの公害の問題等も含めて、いろいろ対処しなければならぬ問題もございますし、また、沖合い、遠洋漁業の問題になってまいりますと、国際的制約というものを十分打開しながら、新しい漁場開発等も求めて水産業を伸ばしていかなければならぬ、こういうことに相なってまいるわけでございますが、これらの問題についてはすでに議論が十分なされておりますので、この機会に深く触れることについては省略をいたしたいと思います。
しかし、今回政府が出してまいりました中小漁業振興特別措置法案、これは申すまでもなく、沿岸漁業等振興法との関連において、それを受けて今回提案されたわけでございますけれども、私どもの観点からいたしますならば、やはりまず直接足元にある沿岸漁業の根本的な振興をどうするかということが今日きわめて重要問題として考えられなければならない。
私どもは、かつて沿岸漁業等振興法案の議論をいたしました際に、私どもの党からは漁業基本法と同時に沿岸漁業振興法というのを出して、政府案に対置をして議論をしてまいりました経緯がございます。おそらく政府のお考えからするならば、沿岸漁業等振興法に基づいて、沿岸漁業についてはすでに全国四十二地区を中心にして沿岸漁業の構造改善事業を実施してきているのだ、こういうふうな御説明をされるかもしれませんけれども、私は中小漁業振興特別措置法案の内容については基本的に賛成でありますけれども、同時に、やはり沿岸漁業等振興法に基づく沿岸漁業振興法というものをひとつ根本的に考えてみてはどうかということを思うわけであります。
これはすでに今日委員会の議論の中でも、いま現実に実施をされている沿岸漁業構造改善事業については、一地区の金額としても実にスケールが小さい、したがって、今日補完事業という形でさらに継ぎ足していかなければならぬという事態でございますけれども、むしろ、やはり漁場の改良あるいは魚田開発、あるいはまた養殖、養魚等々を含めて、沿岸漁業の今日の実態に即した根本的な振興対策というものを法律的に体系化して、それに基づいた強力な施策というものを実施をしていくということが、中小漁業振興特別措置法案と対置しながら真剣に考えられていかなければならぬということを思うわけです。これは来年の通常国会を目ざして水産庁としても真剣に考えてもらいたい。すでにわれわれとしては、この問題については沿岸漁業振興法案という法案を出した経緯もございますので、農林大臣としてももちろん中小漁業振興特別措置法案を出されたのでありますが、この趣旨については基本的にわれわれも異議はございませんけれども、やはり一番関係者も多く、しかもまた沿岸漁業の場合は多くの問題をかかえている実態から見て、これを出されるのであれば、これと並行的に沿岸漁業振興法を真剣に考えられるべきではなかろうか、こう思うわけでありますけれども、今後の問題としてひとつ大臣のお考えを聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/123
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124・倉石忠雄
○倉石国務大臣 御承知のように、農業でもそうでございますが、私どもがいまお話の法律等を制定いたしますときにいろいろ予測いたしましたことと、数年たってだんだんと実際の状況は変化をしてまいります。ただいま御審議を願っております中小漁業の振興につきましても、いまお話のような過去の経緯とも照らし合わせまして、これはやはり総合的に計画を進めるべきである。私どもも沿岸漁業について全部をつまびらかにしておるわけではありませんが、われわれが知っておる範囲内でも、やはりまだまだわれわれの考えておる施策が十分に徹底して成果をあげておるとは思っておりません。だんだんとそういうものを充足してまいって、私どもが所期いたしておるような近代的沿岸漁業が成立してまいるように逐次つとめていくべきだ。予算の関係もございますけれども、そういう方向で漁業は漁業として沿岸が立ちいくようにいたしたい、そういうことで総合的な施策を進めてまいる必要がある、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/124
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125・角屋堅次郎
○角屋委員 立法的検討という点について私申し上げたのであります。その点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/125
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126・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いまそういうことについて新しい立法措置ということを考えてはおりませんけれども、先ほど申しましたように、やはり経過を見まして、私どもは総合的に推し進めていくことについて立法措置が必要であるということになりましたならば、慎重に検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/126
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127・角屋堅次郎
○角屋委員 この基盤整備の問題に関連をして、第三次漁港整備計画の進捗率が非常におくれておる等々の関連から、漁港整備問題も議論が出ておるように承っております。この点は、八年計画でもってやっておる昭和三十八年以降の第三次漁港整備計画、これは今日の実態から見て内容等についても再検討しなければならぬ。あるいは予算規模等についてもさらに拡大強化をしなければならぬ。また漁港の問題につきましては、かつて漁港法の一部改正をわれわれが議論したとき、あるいは第三次漁港整備計画を国会で承認する前提に立って議論をいたしました際にも、いわゆる漁港の種類になっておる一種、二種、三種、特定三種あるいは四種、こういう種類の問題についても、この機会に検討をする必要があるのじゃないか。あるいは北海道、内地、離島、こういうものを含めての補助率の問題で、特に内地の補助率についても最近逐年修正がなされてきておりますけれども、根本的にやはり引き上げていくべきじゃないかというふうな議論がなされてきた経緯がございます。やはり私の気持ちから率直に言うならば、第三次漁港整備計画は八カ年の終了をそのまま進捗のおくれた状態で推移して、あるいは来年以降については従来のものよりももっと予算を追加していくという姿勢でいくにいたしましても、そういう形ではなしに、この際、最近の漁港の修築事業にいたしましても、改修、局改にいたしましても、それらを含めて中核漁港を中心とした漁港整備の根本的な方針の確立の上に立って、時代に即応した漁港整備をやらなければならぬということが望まれておる現状からいたしまして、これについても、やはり来年度を目ざして第三次漁港整備計画の内容について再検討をし、新しい世直しのもとに予算規模、指定漁港あるいはいま言った種類、補助率等の問題も含めて、来年を目ざして漁港整備計画については政府として積極的な姿勢をとるべき時期にあるのではないか、こういうふうに考えておるわけですけれども、この点についてひとつ見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/127
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128・久宗高
○久宗政府委員 漁港の問題につきまして、現在の計画の終末を待たずに本格的な検討のし直しをしたらいいではないかという御意見がだんだん強く出てきておるわけでございます。私どももほぼ同じような感覚を持っておるわけでございますが、先ほどのお尋ねの中で、沿岸漁業について何か特別な法制を考えないかというお尋ねがございましたけれども、これらのものもみんな一貫いたしまして、先ほども先生から御指摘のございましたような技術方面におきましても相当いいものが出かかってきておりますし、また労働関係におきましても次の段階におきまして相当の流出があり得るということも考えられますので、そのような問題を全部組み合わしてみますと、何か相当大きな制度的な打ち出しが必要であろう。その場合に、おそらく御指摘の漁港が一つの核になりまして、これを中心にした一連の考え方というものが熟し得るのではないかというふうに考えるわけでありますが、一連の要素につきまして、もう少しその条件の熟するのを見定めて考えたいというふうに考えておりまして、もちろん、漁港関係におきましても、審議会におかれまして相当根本的な検討をしようではないかという機運が出ておりますので、十分審議会とも御相談を進めながら事に当たりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/128
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129・倉石忠雄
○倉石国務大臣 農林省で一般的に沿岸漁業等について相談をいたしますときには、ただいま水産庁長官が申し上げましたような考え方で議論いたしておるわけであります。したがって、これからもなお精力的にそういう方向で勉強を続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/129
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130・角屋堅次郎
○角屋委員 時間の関係もありますから、私は簡潔に法案の中身について、数点入ってまいりたいと思います。
まず、外国人漁業の規制に関する法律案に関連してでありますが、いままで午前中の議論の中にもありましたけれども、いわゆる領海問題というのが、この問題と関連して爼上にのぼっておりました。実はこの領海問題については、私ども社会党の場合にも、今日の全体的な国際情勢といいますか、国際的な漁業環境の中で日本の領海をどの範囲のものにすべきかということについては慎重な検討をしておりまして、率直に言って、まだ結論を持たない段階でございます。外国から日本の国内の水域に近づいてくるという事態からしますれば、外に延びた形で外国から入らないような形が望ましいとも思いますけれども、反面、日本のように外国にどんどん国際漁業の関係で出ていって、いわゆる十二海里の中においても漁業の実績を持っておる関係地域が相当にあるという事態からまいりますと、必ずしもそういうことばかりでいかないだろうということもございますが、その問題に入ります前に、私は、領海問題についての今後の国際的な動きがどうかということについて、少しくお伺いをいたしたいと思う。
と申しますのは、第一回の国際海洋法会議、これはたしか一九五八年だったと思いますが、第二回の国際海洋法会議が二年おくれた一九六〇年、そういうふうに開かれましたが、残念ながら、第二回の国際海洋法会議の本会議で、わずか二票の差ということでございましたけれども、三分の二の多数を得ることができずに、領海問題についての国際的な意思統一ができなかった。そして、現実に、各委員の質問に対して領海問題で政府自身がお答えのような各国それぞれ種々さまざまな形を今日とって、日本との間でも二国間交渉その他でこれからもやはり問題を進めていかなければならぬという時代にございます。しかし、私は、日本が領海問題について三海里をとるかどうかという問題と同時に、やはり国際的に領海問題について各国共通の意識が統一してでき上がるということに対する日本自身の国際会議に向けての努力というものがひとつ必要であろうと思う。そういう前提に立って考えます場合に、今日、国際紛争の問題が新しく出てまいりましたこと等もございましたし、第二次国際海洋法会議の経緯等もございまして、いま直ちにそういう気運にあるのかどうかということについてはいささか疑念がございまするけれども、しかし、なるべく早い機会に第三次国際海洋法会議に向けて、しかも、こういう百鬼夜行という形で水産庁長官が言われますけれども、そういう事態が続行していくのではなしに、なるべく早い機会に最大公約数として、また日本の国際漁業の立場から見ても了承のできる、そういう形で意思統一のできるような努力というものが、領海論の議論と同時に政治的にはなされていかなければならぬのじゃないか、こう思うわけでございます。こういう点について、現状をどう判断をされ、私が申しましたような方向に対して今後政府としてそれを進めることが妥当であるというふうに考えておられるかどうか、それらの点についてひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/130
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131・倉石忠雄
○倉石国務大臣 領海は、御承知のように国際法で三海里ということでございます。私どもは、ただいま領海についてはそういう国際常識のもとにいままでもやってまいりました。ところが、専管水域というようなことで、いまお話しのように、かってに各国がいろいろな都合のいいようなことを始めたということについては、先ほどここで生産部長がお答えいたしたとおりであります。そこで、私どもといたしましては、これは外務省の専管の仕事ではございますが、御指摘のように、やはり漁業の問題にいたしましても、いろいろ諸外国との間に、この専管水域云々のことをそれぞれかってに主張いたしますためにとかくトラブルが生じやすいことも御存じのとおりでありますから、私どもとしては、そういうことにつきまして、外務省とも協力いたしまして、どういうふうな態度をとるべきかということは常に研究をいたしておるのでありますが、これはやはりいろいろな利害得失もありまして、いまにわかにどういうことがいいということの決定的な判定を下すことはなかなかむずかしいと思います。しかし、いまお話しのような状態にあります国際関係においては、外務省とも協力いたしまして、どういう立場をわが国がとることがいいかということは、常時検討を続けていかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/131
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132・角屋堅次郎
○角屋委員 私は、農林大臣ともあろうものが、領海は三海里で国際的に統一されておるという発言はいささか心外であります。それは、午前中の質疑に対しても、領海三海里説もあれば、四海里説もあれば、あるいは十二海里をとるものもあれば、いろいろ各国によって広い幅の中で分かれておる、こういうことでお話があったやさきでありますけれども、これは大臣が錯覚を起こしておるとすれば、水産庁長官のほうから少しくお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/132
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133・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私が申し上げましたのは、ことばがまずかったのかもしれませんが、いままで国際的に三海里ということは通説になっておりまして、ずっとわが国もこれでやってまいった、それをただいま変更するということについては慎重でなければならない、こういうことを申し上げたかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/133
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134・久宗高
○久宗政府委員 大臣の申されたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/134
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135・角屋堅次郎
○角屋委員 これは、午前中の政府の説明員の答弁から見ても、少しいまの答弁は問題でありますけれども、問題であるということを指摘しておく程度にいたします。
そこで、いずれにしても、領海問題については、私はやはり大臣の錯覚があると思いますが、各国によってそれぞれ差異がある。これを統一的にする国際会議というものを持って、少なくともこの点については最大公約数の答えを出さなければならぬ、こういうふうに考えております。また、政府自身もそういう方向に対して努力すべきだと思います。
問題は、そういう問題とも関連をするのですけれども、外国人漁業の規制に関する法律案、現在のところでは、領海問題云々については関連はありまするけれども、アメリカその他でやっておるような形の十二海里なら十二海里の専管水域というものを頭に入れた考え方をこういう外国人漁業の規制に関する法律案の中で考えなかった、そういうスタートの理由というものがあればこの際お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/135
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136・久宗高
○久宗政府委員 専管水域につきまして繰り返して申し上げた考え方を重ねて申し述べることになるわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、専管水域の問題につきましては、二国間の合意によれば別でございますけれども、それを一方的に宣言してそれが国際的に通用するという立場はとれないと考えておりますので、今回の外国人漁業の規制の法律におきましては、まず現在の領海におきます操業の問題を規制いたしますと同時に、港湾の利用につきましての規制を根本にいたしまして、これをまず固めておきたい、もちろん、それだけで処理のできない問題につきましては、二国間あるいは数国間におきまして国際的な漁業の協定という形で規制するよりほか方法がないのではないかということで、いずれにいたしましても、この最小限度のことだけはまずこの段階でとっておきたい、さような意味から、十二海里専管水域の問題をこの中に織り込まなかったわけでございます。もちろん、繰り返し申し上げますように、十二海里の問題につきましては、先ほど御質問にもございましたように、外の関係にも響きますし、また安全操業とも関連を持ってまいります問題でございますので、きわめて慎重な態度で事に臨みたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/136
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137・角屋堅次郎
○角屋委員 これは、現実に国際的に日本の直接関係のあるアメリカあるいはニュージーランドあるいはスペイン、またこれから交渉していく国々も含めて、そういう問題との関連で当面専管水域等の問題については触れていないと思いますが、いずれにしても、最近の韓国あるいはソ連等々の日本近海における操業等の問題に関連をして、早晩やはり日本の場合においても専管水域問題というものに、本法と関連をして触れざるを得ない時期が来るのではないか。これは、一般的に国際法のうちの関連を国内法としてあらわすか、あるいは、いま長官の言われたような二国間の取りきめという形でしばらくの間処理されるかという技術的な問題はあろうと思いますけれども、日本の場合においてはこれから外国の漁業実績というものが現実に積み重ねられていくだろうということ等も関連をしてまいりますと、従来から日本は、専管水域等を外国が設けた場合においては、日本の領海の基本的見解あるいは外国の当該国の領海に対する基本的見解というふうな論争の問題をたな上げにして、従来の漁業実績をどうするかという形でアメリカの場合においても処理してきたし、また、これからニュージーランド、スペイン等の問題についても処理しようという姿勢があるわけでありますが、そういう問題と関連をいたしますと、今後日本近海においては、いまのこの法律のような形をとっていく限りにおいては、早晩関係国の漁業実績というものは日本近海において増大をしてくるだろうというふうなこと等もあわせ考えます場合には、早晩専管水域的なものを日本においても考えなければならない時期が来るのではないか、こう思うわけでありますけれども、この点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/137
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138・久宗高
○久宗政府委員 専管水域そのものの問題につきましては、世界の動向その他から考えましても、また、いま御指摘のような観点から考えましても、当然突っ込んだ検討が要るわけでございます。しかしながら、かりに専管水域を設けましても、なおかつその背後におきます寄港の問題についての的確な処理、それから、その十二海里を越えた先の公海におきます条約、協定と申しますか、こういうものに対する準備、このようなものが組み合わされて、日本列島周辺におきます漁業秩序の維持ができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/138
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139・角屋堅次郎
○角屋委員 この際ちょっと、十二海里以内における国際漁業の舞台における日本漁業の漁業実績というものについて若干お伺いをいたしておきたいと思います。
これはすでにアメリカとの関係においては話し合いがまとまったわけでありますから、資料については公にできると思いますが、何か事前に承りますと、いま交渉をやっておるニュージーランド、あるいは今後のスペインその他の問題については、相手国との外交交渉の問題もあって、十二海里以内における漁業実績等の問題については、いまの時点でそれらの詳細を明らかにしていくことについては対外的に配慮する必要がある、こういうふうなあらかじめの話も承ったわけでありますが、それらの問題も考慮した上に立って、いわゆる国際漁業の舞台において、十二海里の範囲内において日本の漁業実績の実態が大体どういう状況であるか、これをひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/139
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140・久宗高
○久宗政府委員 御質問にもございましたように、非常に微妙な問題でございますので、総ワクにつきまして、ほぼ私どもの感覚として持っておりますのは、約百二十億ないし百五十億といったようなものがその実態として考えられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/140
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141・角屋堅次郎
○角屋委員 すでに公表してもいいはずのアメリカの場合はどの程度でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/141
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142・久宗高
○久宗政府委員 アメリカの場合におきましては、大体四十億ないし五十億のウエートを持っておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/142
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143・角屋堅次郎
○角屋委員 おそらく、そういう従来の十二海里の範囲内における漁業実績というものに対する日本政府のとってきた対外交渉の姿勢等の問題は今後にも課題があるわけでございますから、今回の外国人漁業の規制に関する法律案の取り扱いにおいては、最近各国がとろうとしておる一定の専管水域の設定という動向については今日時点では日本政府として慎重に対処した立場からとらないということであるんじゃないかと判断いたしました。しかし、先ほど申しましたように、これは早晩日本の場合においてもこの問題をどう取り扱うかを考えざるを得ない時期が来るであろうというふうに私は思います。今日時点においてはそういう問題の指摘程度にいたしておきたいと思います。
それから、いわゆる日本の水産物の漁獲高の動向から見、また国内の蛋白質資源の需要状況から見て、やむを得ず外国から買い入れなければならぬ、こういう一次産品の受け入れ体制の問題でございますけれども、率直に言って、私どもは、国内漁業の保護の立場、こういった問題、あるいは国内におけるところの漁獲物の市場操作の秩序の確立、いろいろの問題から見て、今後の課題として水産物の輸入増大傾向ともからみ合って、これは韓国のノリ等の場合には一定の方式をとっておりますけれども、そのノリ以外の問題等も含めて一次産品の輸入受け入れ体制の問題ということについては、今後の展望も十分考えながら、農林省として十分検討をしなければならぬ大きな課題の一つではないか、こう思うわけでございますが、これらの検討についてどうお考えになっておられるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/143
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144・久宗高
○久宗政府委員 この問題につきましては、今回御審議いただいております中小漁業のもとの法になっております沿振法との関連におきまして、審議会におかれましても一つの考え方を打ち出しておられるわけでございます。相当広範な問題でございまして、まだ十分案が固まるところまでまいっておりませんが、私どもは、あそこで御指摘を受けておりますような方向でこの問題は考えるべきだということで、個々の品目につきましてやや掘り下げた検討をすでに開始しておるわけでございます。ただ、御承知のとおり、この種のものにつきまして一般に扱われます場合に、単なる貿易問題といたしましてどういう制度にするかというような角度の取り上げ方がされておるものが多いわけでございますが、どうも最近の事情で突っ込んで考えてまいりますと、どの海域でだれがとってどう処理するかという問題との関連がございまして、単なる貿易問題ではないのではないかという問題が伏在してまいります。したがいまして、各国との間におきます漁業の協定とか交渉とか、そういうものとの関連におきまして、あまり画一的な方式で扱ってよろしいかどうか、この辺が実は疑問になっておるわけでございます。さような意味におきまして、いずれにいたしましても、一次産品の問題、特に水産物になりますと、先ほど申しましたように、漁場におきます競合の問題、あるいはそれをだれが加工するかといったような問題まで響いてまいりますので、少し幅の広い検討が必要ではないかということで、担当を分けまして検討に入ろうとしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/144
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145・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの一次産品の問題を今後輸入漁獲物の増大と関連をして考えていかなければならぬということは、私指摘したとおりでございますけれども、最近国会の大きな政治問題のような形を呈しております公社、公団、事業団の改廃問題、そこで水産物価格安定の問題に関連しては爼上に上っておる問題が一つあるわけであります。私はこの機会にそういうことを深く触れようとは思いませんけれども、われわれもかつて、多獲性大衆魚の価格安定あるいは水産物価格の全体的な安定というものをどうするか、豊漁貧乏の嘆きをやはり与えてはいけないという意味から、一定の法律案を提出した経緯がございます。したがいまして、一次産品の取り扱いを考える場合においても、国内の水産物の価格安定をどうするか、そういう問題と十分関連をさせながら考えていく必要があるだろう、こう思いますし、最近公社、公団、事業団の爼上に上ったものはすべて一刀両断という風潮がございますが、これは、任務の終わったものについてそれをやめていくことについては私は何ら異議がございませんけれども、しかし、生まれたそれぞれのものについては、国会でも議論をし、その必要を認めて発足をしていったという問題も相当あるわけであります。しかも、それらについて、今日の問題として現状のままでは存在理由が薄いとかあるいは十分でないとかいうことがありましても、今後の問題と関連をして新しい展望に対処する具体案が整備されてまいりますならば、それはその中に包含されていくべきものだという性格のものも私はあろうかと思うのでありまして、これらの問題について、実態にメスを入れずして機械的な取り扱いというものに終わることについて非常に問題がある。これは私自身が従来からこの種問題を取り扱ってきた立場からの考え方でありますけれども、それは別として、とにかく、一次産品の問題の場合には、国内における漁獲物の価格安定という問題と十分関連をさせながら、水産庁としても具体的に施策を樹立してもらいたいというふうに要望しておきたいと思います。
外国人漁業の規制に関する法律案の内容についてもいろいろありまするけれども、時間の関係もありまするから、そうしてまた、いままでに相当議論をされてまいりましたから、詳細に触れることについては省略いたします。
中小漁業振興特別措置法案の問題について数点お伺いいたしたいと思います。
これはすでに各委員からも指摘があったところでございますけれども、少なくともこの中小漁業振興特別措置法案というタイトルを付するのであれば、この法案の中身についてもそのタイトルにふさわしいようなスタイルをとってはどうか、率直に言ってそう思うのです。たとえば、第二条のところでいわゆる指定業種方式をとっているわけですけれども、これは、具体的にはカツオ・マグロ、そして以西底びき、本年度はそれをやろうという考え方をとっているわけでありますが、この第二条のこういう形をとる場合においても、また別に関係業者自身から指定業種に入ることを申し入れるという道をあけるということが立法上考えられていいだろう。少なくとも中小漁業振興特別措置法案というタイトルをやる限りにおいては、政府自身がその必要を認めて政令で指定業種をきめていくという方式と、その政令で指定業種をきめるその前の段階として、関係業界からも第二条第二項、一号、二号に該当するような条件がみずからあると判断して申し入れるものについては、政府自身もそれが時期に来ているかどうかについて検討を加える、そして、時期に来ていると見るならば政府みずから指定する、——指定でないけれども、それを受け入れて指定業種の中に入れていく、こういう形の一つの道が第二条第二項との関連において考えらるべきではないのかということが第一点であります。
さらに、第三条の中小漁業振興計画、この計画の内容にはいかなるものを含むのか、年次計画をするのか、あるいは画一的・硬直的にならないかといういろいろな点について御指摘がございましたけれども、私は、この中小漁業振興計画というものを農林大臣が定めていくというこの考え方は、法律の条文の考え方からいけば、農林大臣が中小漁業振興の基本計画を示す、そして、それに基づいて具体的な実施計画というものは関係団体あるいは関係者自身が立てていく、こういう形でいくのが一つのいき方だろうと思います。また、かりに政府案のように、農林大臣が中小漁業振興計画をきめていくという形を一歩譲ってとる場合においても、少なくとも、条文上において第三条第四項に書くべきものかと思いますけれども、農林大臣は中小漁業振興計画を定めるにあたっては関係者の意見をあらかじめ聞かなければならない、こういうふうにして、民主的ルールを通じて関係者の自主性、主体性、かつ関係者の計画樹立への責任参加というふうなものを考えていく必要があるのではないか。公害対策基本法その他多くの法案を見ましても、政府がこの種の問題をきめるにあたっては民主的ルールをとるというのが当然含まれておるし、これが立法の普通のいき方ではないかと思うのです。
私は時間の関係がありますからそれらの関係の問題については一括して申し上げますけれども、中小漁業振興計画という指定業種についての計画を樹立していく場合には、本法に基づく独自の審議会を設けるという形をとるか、あるいは沿岸漁業等振興法の沿岸漁業等振興審議会というものにこの決定にあたっての意見を求めて最終決定をするという方式をとるか、いずれをとるにいたしましても、日本漁業全体の生産量の約半分近くを占めておる重要な中小漁業の振興問題について政府が計画を示すにあたっては、審議会のルールを通ずるという問題が一点と、また、関係者の意見を聞くという形を法律で明定するという民主的ないき方をとる等について、なぜ十分な配慮を立法的に加えなかったのかという点が、私は問題であろうと思うのであります。これは、大臣やあるいは水産庁の長官に答弁を求めるというだけではなしに、本日慎重審議でここでの議論が終わります段階において、各党の理事間でも、この法律案を最終的に処理するにあたって、いま言った問題についてはひとつ十分に検討してもらいたいというふうに私自身は考えております。そういうことを各党の理事の方々に要請する気持ちを加えまして、政府自身がこの法案をつくるにあたって、いま言ったような点についてどう考えておられるか、参考までに承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/145
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146・久宗高
○久宗政府委員 御指摘を受けました点は、私どもも立法の準備をいたします過程でずいぶん議論をいたした問題でございます。最終的な形といたしましては中小企業近代化促進法のシステムに近い形をとったわけでありますが、ただいま御指摘のございました問題につきましては、たとえば、民間からの要望を受けてそれを確認するというような考え方もあるわけでございますし、また、そういったような方式をとっております法令もございますけれども、考え方といたしましては、私どもは、むしろこれはほとんど共同作業によってつくらなければならないというくらいに実は考えているわけでございます。また、業界におきましても、いわゆる単なる経営主だけではなしに、学働の組織とも関連いたしまして突っ込んだ御相談をいたしたい、こう考えておりますので、その最終的な形は政府の責任においてきめるという形をとったわけでございまして、決して民間からの御要望なりあるいはその業界の盛り上がった御要望というものと全く離れて政府が指定をするという考え方ではないわけでございます。
また、御指摘のございました審議会の問題でございますが、この法案そのものが、沿振法に由来して、その中を具体化する形で出ておりますので、当然沿岸漁業等振興審議会の議を経て最終的な案の確定へ持っていきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/146
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147・角屋堅次郎
○角屋委員 結局、私が指摘した点については、水産庁長官の御答弁では、趣旨において基本的に反対の意見はなかったのじゃないか、そういうふうに承ります。だとすると、第二条第二項のところで、指定業種は政令で定めるというこの関連の次のところに、やはり第二条の一号、二号に該当する関係者自身の判断で政府に申し入れるという道を書いておいて、それに対して、その時期に来ていると判断するか、あるいはまだその時期ではないと判断するかという政府自身の判断の問題があろうかと思いますけれども、そういうことをぜひ最終の法案処理にあたって考えてもらいたいと思いますが、この点については異議ございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/147
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148・久宗高
○久宗政府委員 一番私が問題になると思いますのは、この種の施策をいたしまして、金融で措置をいたしましたり、補助金を出したり、いろいろございますけれども、今度の場合にはやはり税制が非常に大きなウエートを持つわけでございます。そこで、税の関係になります関係で、これをほぼわれわれの要求どおりに通そうといたしますと、やはり計画自体について農林大臣の計画であるという形が必要ではなかろうか、これは立案過程におきます実感でございます。また、近代化促進法におきましてもさような経過がとられておると考えておりますので、若干その問題がこの背景に伏在しているわけでございますので、いまのような形でそのような金融なり財政的な裏打ちが得られたというのが今日までまいりました経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/148
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149・角屋堅次郎
○角屋委員 ここで法案の細部の点まで突っ込んでいろいろやろうとは思いません。問題指摘として、第二条第二項との関連において、単に政府みずからが計画的にきめていくものばかりではなしに、関係業者自身の申し入れによって政府みずからがこれを判断し処理していくという形が一つ開かれなければならぬだろう。それは、現実に以西底びき、あるいはカツオ・マグロの問題が出てきており、その時期が熟しているという判断のもとに本年やろうとしているわけですけれども、しかし、中小漁業全体の業種の実態を見てまいりますと、これらの業種が他の業種に先がけて優先的にやられなければならぬというふうに受け取っていいかどうかには議論の存するところでありますし、また、他の業種についてもすみやかにやったほうがこの振興のためによろしいと判断できる部面も当然考えられるわけでありますから、私は特にその点を指摘しておきたいわけであります。
同時に、少なくとも第三条のところにおいては、いま関係業界と一体になってというようなことを言われますけれども、立法の明定としては、そういうものの関係者の意見をあらかじめ聞かなければならぬということを明らかにすることは当然であろうというふうに思います。いま沿岸漁業等振興審議会の意見を聞くというルールについて申し述べられましたけれども、少なくともそれらの問題について独立の審議会をこの法律案でつくるということを私自身が言いますのは、何といっても、日本の漁業全体の中で生産量において約半数近くのものを占めてくるという重要性から見て、中小漁業の振興について全般的な議論をし、必要なことについて大臣に献策をする、あるいは振興計画についてその内容が適切であるかどうかについて意見を申し述べるということ、二つともいずれも重要な内容でありますから、場合によっては独立の審議会をつくってもよろしい。ただ、独立の審議会をつくる場合には、沿岸漁業等振興審議会との一体的運営という意味から見て、その委員の適当な人がこの審議会の中に入る、そのほかに学者等で適当な人を加えるという構成でいいのではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、いずれにしても、この法律案自身からは、審議会のパイプを通じて振興計画がきまっていくということは必ずしも読み取れない。それらの問題についてはやはり明定する必要があるであろうというふうに率直に言って考えております。
融資、減税の問題についてもいろいろ議論がなされてまいりましたので、私はこの機会に多くを申し上げるつもりはございません。しかし、いずれにしても、中小漁業は、沿岸漁業等から見れば資本その他のスケールは大きいわけでございますけれども、政府が最近国会に出された水産のレポートを見ましても、やはり設備投資あるいは運転資金等々、資金の問題については相当に苦労をしておる関係者が多いというのが実態であります。したがって、単に設備投資のみならず、いわゆる運転資金の問題も含めて考えていくかどうかという問題も、当然議論としてこの法案をきめるにあたってなされたのじゃないかと私は思います。いずれにしても、そういう経緯から見まして、少なくとも政府の制度金融を使うという場合における金利、償還期限の条件については、これを政府案が提示をしておる形よりも、でき得べくんば今度の国会審議の最終段階を通じて、年六分五厘というものについては修正をしていく英断をすべきではないか、こう率直に言って私は考えておるわけであります。償還期限、政府機関との問題については、やはり借金というのはできれば早く返せばいいわけでありまして、長期低利というのが農林漁業金融のわれわれの合いことばのようになっておりますけれども、これは実態に即してこの程度でよろしいということであれば、三年、十八年ということについては必ずしも拘泥はいたしません。ただ、金利の問題については、附帯決議等でなるべく早くというのではなしに、率直に言って、やはり実効をあげるためにも、この機会に六分五厘については法の修正をすべきである、こういうふうに強く私自身は考えておるわけであります。それらの問題について政府のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/149
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150・久宗高
○久宗政府委員 先ほど来御意見として出ておるわけでございますが、いまの関係業界の申し入れ云々という問題、あるいは審議会の問題でございますが、私どもも立案過程でずいぶんそのような問題につきましても議論をいたしました。また、法制局あたりとも詰めた議論をいたしたわけでございますが、法律の体系がいまの近代化促進法をほぼ写しておりますのと、それから、援助の内容が特に税制の関連がございますので、それらの関係から詰めていきます過程におきまして、立法技術上はいまのような形にならざるを得ないというのがいままでの私どもの実感でございます。ただ、おっしゃいます意味は非常によくわかるわけでございます。したがいまして、これの運用にあたりましては、先ほど考えていきたいということを申し上げたわけでございます。いまのどの業種を持ち上げるかという問題につきましては、これはもちろん政府が恣意的に指定できる問題ではございませんで、法律でおきめいただいておりますような条件が熟しまして初めて取り上げられるわけでございますが、いずれにいたしましても、中小漁業の中のある業種を取り上げることになりますので、このような御判断を得ます場合に、やはり一応沿岸審議会のような形で取り上げられて吟味されてしかるべき問題ではないかというふうに思うわけでございます。決して私どもが恣意的に、これはいい、これは悪いというふうな判断のできる性質のものではないと思うわけでございます。ただ、今回最初にカツオ・マグロと以西を取り上げましたにつきましては、調査の段階といった問題もございまして、まだこれよりももっと必要なものがあり得ると思うのでございますけれども、それらの調査が不十分でございましたり、あるいは業界におきます体制が不十分でありますために、この法案のいわば最初に取り上げますものといたしましては必ずしも自信がございませんで、取り上げなかったという経違もあるわけでございます。したがいまして、ただいま御質問のございました一連の問題につきましては、一応法の形式といたしましては現在のような形にならざるを得なかったという点を繰り返し申し上げるわけでございます。
なお、利子の問題につきましては、午前中も申し上げたわけでございますが、少なくとも政府案といたしましては、現在におきます金利体系その他とのバランスということを考えました場合に、一応六分五厘を頭に置きまして法案を提出いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/150
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151・角屋堅次郎
○角屋委員 爼上にのぼっております二法律案については、問題はさらにいろいろあろうと思いますけれども、以上の数点で質問を閉じたいと思います。これは、後ほどまだ水産の関係二法がございまして、ここにおられる仮谷さん等といろいろ最終的に処理をいたしました漁業災害補償法等も出てまいりますので、それらの時期にいろいろ水産全体の問題については譲ってまいりたいと思います。
最後に、これは外国人漁業の規制に関する法律案あるいは中小漁業振興特別措置法案と直接関連がないのでありますけれども、大臣にお伺いをいたしたいのは、予算委員会でも私ちょっと議論をいたしましたが、米価審議会委員の任期がきょうで切れるわけであります。私も直接関係があったのですけれども、われわれがいろいろ承っておるところでは、最後は総理裁断でやられるのかどうかという予測も伝わっておるわけです。どうも、考えてみますと、倉石農林大臣自身は除きたいという考えが相当強くて、総理大臣自身は政治的にいろいろ諸般の情勢を考えるともう少し弾力的に考えたほうがいい、そういうことが伝わってきておるのでございますが、それはともかくとして、米価審議会というのは、去年の場合もことしの場合も、わが国農政上から見ましても、あるいは国政全般の問題から見ましても、きわめて重大な審議会でありますし、われわれが言っておる気持ちというのもやはり十分判断をして善処をされるという問題ではないかと思いますが、最終段階でありますから、農林大臣の当面の心境といいますか、考え方をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/151
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152・倉石忠雄
○倉石国務大臣 お尋ねの件につきましては、お話しのように、きょうが任期満了の日であります。そこで、ぼつぼつ委員の御委嘱を始めなければなりませんが、いまお話しのように、総理大臣が弾力的で、農林大臣が国会議員をお願いしないことにたいへん強硬だということですが、私は宣伝がへたなものですから、とかくそんなふうに伝えられるかもしれませんが、いろいろ検討いたしまして、こちらでお願いしたいと思っている方でも、まあ去年辞表を出されたり何かしたいきさつもあって、お受けしていただくのにもなかなか骨が折れるのではないか。実はこれからいろいろ御相談するわけでありますが、そんなようなことで、米価決定の前の麦価決定までには間に合うように、ひとつなるべくりっぱな委員さんを委嘱してお願いしたい、こういうことで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/152
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153・角屋堅次郎
○角屋委員 私は最近の新聞の書き方にも問題があると思うのですけれども、米価審議会から国会議員を排除なんということが書いてある。何か、われわれ米審でやったこともございますけれども、審議会の中で、いままで政府が御任命になった方々の一般の方々で、米価なら米価の場合に、十分米価問題に見識を持ち、また公正な立場から議論をしてこられたかどうかということになると、これは議論の存するところだと思うのです。そういうことについて、私は個人の問題にもなってまいりますから、そういうことには具体的には触れませんけれども、同時に、いままで任命した方々にお願いするときに困るというが、一億の民の中から有能の人を二十人、二十五人求めるということでございますから、学者を求めるにしても、あるいは一般の関係の人を求めるにしても、野にまだ適材は幾らもあるのであって、従来の委員に必ずしもこだわる必要はないし、また従来の委員よりも、もっと他に適当な人がずいぶんあるというふうなわれわれの見解からいたしましても、委員の構成が相当に難航するということを理由に、国会議員の審議会参加についてちゅうちょするというのは、これは当たらざるところであると私は思うのです。要は、こういう重大な問題について、国会議員も含めて審議会として十分議論をするかどうかという基本論の問題だと私は思うのです。本問題については、われわれの今日まで強く要請をいたしてまいりました経緯も考えられて、善処されるように強く希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/153
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154・本名武
○本名委員長 森田重次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/154
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155・森田重次郎
○森田委員 時間がおそくなりましたので、なるべく簡単にお尋ねいたしたいと思います。
漁業振興法案が出ておるのでありますが、私は、それらの沿岸漁業中心の振興として最も大事なものは漁港の整備だ、こう考えるのでありまして、この点は水産庁でも異論のないところだと思うのであります。ただ、案外これが遅々として進まない。したがって、沿岸漁業がなかなか振興してこない、私らはこう見ているのであります。そこで、最も大きい問題になる点はどういうことかというと、地元負担が多いという点にわが県としてはかかっておる。わが県のみではない、貧弱な漁村において地元負担が多いというので、結局漁港整備が進まないということになるように思うのであります。
そこで、端的にお伺いいたしますが、国のほうからの助成と地元負担の割合でございます。これは、特殊な漁港は特殊目的をもって国のほうで相当めんどうを見るのですからいいのですが、一般漁港としておきましょう。そういうふうに見て、離島の漁港というものに対してどういう割合の国家助成がいっておるか、この点を漁港部長さんからお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/155
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156・瀬尾五一
○瀬尾説明員 漁港整備事業の国の負担率につきましては、漁港法または離島振興法等に規定がございまして、ただいまの御質問の離島におきましては、漁港施設の中の防波堤とかあるいは泊地のような水域外郭施設につきましては、一〇〇%国が負担し、あるいは補助する、こういうことになっておりまして、そのほか、岸壁でありますとか、背後の臨港交通施設等につきましては、八割とか六割とかいうことで、本土一般の——まあ本土一般は御承知のように五割でございますが、それよりも高い負担率になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/156
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157・森田重次郎
○森田委員 北海道はどんなふうに取り扱われておりますか、あわせてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/157
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158・瀬尾五一
○瀬尾説明員 北海道の漁港修築事業につきましては、漁港法の附則に規定がございまして、当分の間は先ほど申し上げましたように、離島と同様に外郭水域施設は一〇〇%、それから係留施設、輸送施設につきましても高くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/158
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159・森田重次郎
○森田委員 そこで、私は青森県ですが、岩手県でも秋田県でもみな同様だと思うのですが、どうして同じような待遇を与えてもらえないかということです。この点、どういう理由か、その理由をはっきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/159
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160・瀬尾五一
○瀬尾説明員 離島につきましては、御承知のように、離島振興法というのがございまして、非常にへんぴな気の毒な離島が多うございまして、その振興のためには国が高い負担率をして促進をしていかなければならない、こういう趣旨でございます。それから北海道につきましては、北海道開発のために、特にいろいろと立地的な条件もございまして、これも国の負担率を上げて整備を促進しなければならない、こういう意味だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/160
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161・森田重次郎
○森田委員 そこで、そういう理由でそうきまっておるのでしょう。ところで問題は、北海道と津軽海峡一つ離れた青森県あるいは岩手県、秋田県、こういう場所は、北海道より悪条件の町村でも、同じような恩典に浴することができない。政治の要諦は地域格差是正にある、劣っているものには国家が助成してやって、そうしてほかのものと同じように待遇してその振興の基盤をつくってやる、これが私は政治の要諦のように実は心得るわけなんです。ところが、ただ本土だという意味で、何か一般的に非常に豊かな町村ででもあるかのように——いまあなたのお話の中に、離島には気の毒な場所があるから、それは特に助けてやるのだということがあった。ところが、離島ということと本土ということとそういうふうに明瞭に区別して、本土は豊かで離島は貧乏だという議論というものは、私は少し大ざっぱ過ぎるじゃないかと実は考えるのですよ。内地だってとてもやり切れない町村が幾らでもあるのですから、これらをひとつ何か助けてもらうような方法でないと、ただ内地だというばく然とした包括的な理屈で放任されていたのでは、困っている漁村なんというものはいつまでたってもうだつが上がらないと私は考える。これはいままで水産庁でどの程度までその問題を御検討なさったのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/161
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162・瀬尾五一
○瀬尾説明員 ただいまの御質問でございますが、一がいに離島、一がいに北海道、一がいに本土といいましても、なかなかただいまお話がございましたように幅が広うございまして、接触点になりますと、なかなかけじめのむずかしい問題もあろうかと思いますが、水産庁といたしましては、漁港整備事業を推進するにあたりまして、ただいまの御質問のように、本土におきましていわゆる地元負担と申しますか、そういう負担が困難なために整備ができないというようなことも従来往々ございまして、私どもといたしましては、何らかの方法でこれをひとつ解決しなくてはいけないということで、従来いろいろ検討を重ねておったわけでございます。それで、いま全国に漁港が二千八百近くあるのでございますが、その漁港の所在地の市町村の財政力と申しますか、財政指数と申しますか、こういうようなものにつきましてもいろいろ検討を従来からいたしまして、やはり本土の漁港につきましても、国の補助率を上げて、漁港整備の促進が円滑に進むようにしなければならないという観点から、従来も努力をいたしてまいりまして、御承知のように、一昨年は一、二種漁港を四割から五割に上げたわけでございます。また昨年は局部改良事業につきましては三分の一から二分の一に補助率を上げております。もちろん、これで十分というわけではございませんが、非常に大きな努力をいたしておりまして、階段を一段上がったと申しますか、そういうことで努力をいたしておりまして、したがいまして、最近では、特殊の非常にお気の毒なところは別といたしまして、地元負担のために予算を返上するというようなところは非常に減ってきたように考えております。なお、漁港修築事業の費用負担を少し分けて考えてみますと、漁港修築事業を一〇〇といたしますと、本土のほうにおきまして大体国のほうで半分、五〇%持っておるわけでございますが、他の五〇%につきましては、その事業が県営事業であるか、また市町村事業であるか、また漁港種別によっても多少違いまして、一がいには言えませんけれども、大体国が持つ以外のものにつきまして県が半分ないし九割近く、逆に言いますと、地元市町村が五%ないし一〇%というふうに、県自身でも軽減を考えてやっておるところもございます。したがいまして、私どもといたしましては、貧弱な漁港所在地の地元負担の軽減につきましては、国自身でもなるべく多く持って負担の軽減をはかると同時に、県当局にもできるだけ負担をするようにということで行政指導をしてまいっておる次第でございます。いまのところ、一昨年の一、二種の補助率アップ及び昨年の局改の補助率アップを契機としまして、国の上がった分の恩恵は、県がこれを着服せずに地元にそれの恩恵を及ぼすと申しますか、そういうことを考えつつ、また、これを契機としまして、国もよけいに持ったのだから、県もこの際よけい持とうというような県も出てまいりまして、最近は地元負担というものに対しましての改善はかなり行なわれておると思っておる次第でございます。しかしながら、私どもこれで十分とは決して思っておりませんので、今後とも県御当局とも十分連絡し、地元の軽減をはかるとともに、国の負担率、補助率のかさ上げにつきましても、これまた御承知のとおり非常にむずかしい問題でございますけれども、そういう問題につきましても努力をいたしまして、地元負担の軽減をはかって漁港整備事業の適切な推進を期していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/162
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163・森田重次郎
○森田委員 そこで、地元のことを申し上げてたいへん恐縮ですが、青森県というところは日本有数の貧乏県です。その上に沿岸漁村というものが非常に貧乏だ。つまり、二重に貧乏が重なっておる。そとにもってきて、何か普通の行き方でいくお考えになっておるような御答弁ですけれども、まず二階から目薬程度のことではたして地元のほうに徹底しておるかどうか、問題です。
ここで、もう一つ、地元の問題を申し上げてみたい。五月二十九日の産経新聞の夕刊でございますが、ここの「目」という欄にこういう題目の記事が載っておるのでございます。「荒廃した漁場」というのであります。ちょっと読んでみます。「津軽海峡につき出たマサカリ型の下北半島突端近くに、風間浦村という小さな漁村がある。いまがヒラメ、カレイ漁の最盛期のはずなのだが、目の前に広がる海は、沿岸漁民たちの不信と密漁とで荒廃した漁場だ。「×月×日、西風弱くナギ。暗くなる午後七時ごろ、きょうも沖合い二キロ海域に密漁船五隻が見える」「×月×日、組合員高橋勝が投繩中のタコ網が密漁船の開口板でずたずたに破られてしまった」村の漁協組が書きつづっている〃密漁警戒日誌〃の一節である」云々とありまして、「風間浦村は貧しい。村の年間予算規模はわずかに四千万円。漁場を荒らされた組合員の大半に当たる九百五十人が漁をあきらめて県外出かせぎをはじめているという。」だが、その密漁をしたのが隣村の人だった、こういうのです。「隣村から密漁にやってきた漁民たちはもっと貧しい。かれらも、また、ルールをおかしてまでして不法出漁しなければ食っていけなかったのだ。」「そして、沿岸の漁場に〃魚群アパート〃をつくってくれという計画も、いつまでもにぎりつぶしになっていたという。「取る漁業」から「つくる漁業」へという水産行政のうたい文句も、かけ声だけに終わっていたのではなかったか。かれらを密漁に追い立てたものが何かを考えてみたい。さきほど発表された「海上保安白書」によると、昨年度の密漁など漁業関係法令違反は四千五百八十三件。うち小型漁船の底引き網漁業の違反が二千七百五十五件。「風間浦村」は、まだ日本列島沿岸のそこここにあるのではないか。」この「そこここにあるのではないか。」ここが私は問題だと思うのです。これをもう少し水産庁で突き詰めてもらいたいと思うのです。こういう貧乏な村に地元負担をやれ、こういうのでしょう。結局村でも負担ができなくて、どこかの漁業組合にこれをまかせる。そうすると、その部落が負担しなければならないというのが実情なんです。御存じのとおり、津軽海峡をはさんだあそこの太平洋岸というのは、日本有数の漁場のはずであります。したがいまして、他府県からたくさんの船が行って、前の漁場でどんどん漁をしているにかかわらず、これらの漁民は沿岸から指をくわえて見ているよりしかたがないという姿なんです。われわれは、こういう点、すぐ目の前に漁場がある。漁港さえ整備されて、近代装備の船ができ上がるならば、すぐ前へ出て行って他府県と競争しても魚がとれるはずなんです。ところが、いつまでも漁港の整備ができないので、いま放てきされているというところに、私らはどうも地元代表として責任を感ぜざるを得ないのであります。
そこで、時間がありませんから、私は先を急ぎますが、いま読み上げたとおり、これによりますと、一年の財政が四千万円だという。これは若干あるいは検討の余地はありそうですか、とにかくこの新聞には出ております。そこで、私は新潟県の佐渡をひとつ例にとって調べてみたのです。佐渡は離島でございます。これを見ますと、相川町が四億八千万円、端数は省略します。沢田町が二億三千万円、金井町が二億三千万円、畑野町が一億七千万円、真野町が二億一千万円、荻町が一億一千万円、羽茂町が一億円、新穂村が一億九千万円、赤泊村が一億一千万円、こうなっているのであります。さらに長崎県を調べてみました。それによりますと、長崎県の南松浦郡、これもやはり五島で離島になっておるようでありますが、これによりましても、やはり富江町が一億四千八百万円、玉の浦町が二億五千七百万円、三井楽町が一億四千万円、岐宿町が一億九千四百万円、奈留町が一億四千二百万円、若松町が一億三千六百万円、上五島町が一億五千三百万円、新魚目町が一億五千六百万円、有川町が一億五千四百万円、奈良尾町が一億七千万円、さらに壱岐郡を調べてみましても、郷の浦町が三億二百万円、勝本町が一億三千七百万円、芦辺町が二億五千四百万円、石田村が一億三千七百万円、それから対馬のほうも調べてみますと、これまた最原町が二億七千八百万円、美津島町が二億七百万円、豊玉村が一億三千二百万円、峯村が一億五千二百万円、上県町が一億一千六百万円、上対馬町が一億五千二百万円となっている。これは全部離島です。ところが、木県のそれを見ますと、風間浦村が一億七百万円、これが最上です。佐井村は七千九百万円、脇野沢村は七千七百万円、こうなっているのであります。つまり、下北というところは、目の前にいい漁場を持ちながら、こういう貧弱な一年間の財政で暮らしを立てているところなんです。ところが、いま漁港部長さんのお話だと、人並みに内地だと、こう言われて、向こう側の北海道は殿様扱い、本県はほんとうの貧乏であるにかかわらず、こういう差別待遇をされている。これはやはりもう少し真剣に考えてみる必要があるのではないか、こう私は思うのでございます。
そこで、大臣、これは政治問題として大きな問題なんです。だから、私は、内地だからといったって同じに取り扱ってもらいたくないと思いますが、しかし、富裕な県もありましょう、富裕な町もありましょう。そこまで同じ並みにしてくださらなくともいいが、何か内地だといって同じたぐいにされたのでは、私は、ほんとうの政治だとは考えられないのです。そこで、何かこれは特殊な研究をして、この財政上の——ただ甲乙、高低のみが標準になっていけるものだとはわれわれはむろん考えておりません。あらゆる条件を総合してみて、そうしてこれはやはり貧乏県だから、もっと助成してやらなければならないというようなことを私は考えてもらいたい。とにかく行ってみてください。私は、この下北郡の易国間なんていうところに行くと、漁港なんだという。何が漁港なんだ。ただ海の中にケーソンを二つ、三つ並べておいて波がどんどんあれして、これが漁港でございます。こう言うんだ。見ていて涙が出ますよ。だから、もう少し水産庁の漁港部長さん方、向こうのはうを見ていただいて、そうしてこれを何とか救うてやろうという大慈悲心を起こすのでなければ、ほんとうのいい政治だとは私は考えられない。そこで、きょうは特に時間をいただいてこれだけの問題を訴えたいのであります。大臣、私は、これは決して小さな問題だとは考えられない。中小漁業振興法を出してみたところで、足場の漁港がぴんとしていなければこれは話にならないというのが私の考え方なんです。聡明なる大臣、ひとつこの問題を取り上げて、水産庁に検討を仰せつけくださって、そうしていま私が申し上げましたようなことをいろいろ御検討の結果、やはりおくれた貧乏な村の漁港に対しては、少なくとも北海道並み、離島並みの待遇を与えてもらいたい。大体下北というところは陸の孤島といわれているところなんです。陸の孤島ですから、のど首は本州につながっておりますけれども、実際は離島と同じに取り扱っていい場所だと私は考えるのであります。この点、私の県のことを申し上げてたいへん恐縮でございましたけれども、これは、やはりこの風間浦村ならば日本じゅうどこにもあるはずだ、こう考えますので、一般的な政治論としてきょうはひとつ大臣に特にお願い申し上げ、大臣の所信をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/163
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164・倉石忠雄
○倉石国務大臣 国会議員というものは、申すまでもなく地域の代表者でありますから、地域のことを御心配いただいて御論議になるのは、これはわれわれ国会議員の義務だと思います。ごりっぱな話でございまして、私どももいま傾聴いたしたわけでございますが、自治体は御承知のように特交その他で自治体としてのめんどうはそれぞれあるかもしれませんが、私どもの行政もやはり手の届かないところもあるようでありますから、そういう点はとくとひとつ協議をいたしまして、できるだけのことをだんだんいたしていかなければならぬ、大いに研究を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/164
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165・森田重次郎
○森田委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/165
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166・本名武
○本名委員長 ほかに質疑の申し出がないようでありますので、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
次会は、明八日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X01819670607/166
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