1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十二年六月十五日(木曜日)
午後一時三十二分開会
—————————————
委員の異動
六月七日
辞任 補欠選任
小柳 勇君 野々山一三君
六月八日
辞任 補欠選任
亀田 得治君 竹田 現照君
六月十四日
辞任 補欠選任
竹田 現照君 亀田 得治君
六月十五日
辞任 補欠選任
亀田 得治君 大矢 正君
野々山一三君 田中 一君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 浅井 亨君
理 事
後藤 義隆君
田村 賢作君
久保 等君
山田 徹一君
委 員
木島 義夫君
斎藤 昇君
中山 福藏君
松野 孝一君
大森 創造君
田中 一君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 田中伊三次君
政府委員
法務省民事局長 新谷 正夫君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
経済企画庁総合
開発局参事官 山下 武君
法務省民事局第
三課長 住吉 君彦君
—————————————
本日の会議に付した案件
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/0
-
001・浅井亨
○委員長(浅井亨君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る六月七日、小柳勇君が委員を辞任され、その補欠として野々山一三君が委員に選任されました。
また本日、亀田得治君及び野々山一三君が委員を辞任され、その補欠として大矢正君及び田中一君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/1
-
002・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 次いで、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。田中法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/2
-
003・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、最近における市町村の廃置分合等に伴い、簡易裁判所の名称、管轄区域等を変更しようとするものであります。以下改正の要点を申し上げますと、
第一は、簡易裁判所の名称の変更であります。すなわち、市町村の廃置分合により静岡県の吉原市が富士市の一部となりましたので、これに伴い吉原簡易裁判所の名称を富士簡易裁判所に変更するほか、これと同種の理由によりまして、布施簡易裁判所の名称を東大阪簡易裁判所に、平簡易裁判所の名称をいわき簡易裁判所に、それぞれ変更しようとするものであります。これらの名称の変更は、いずれも地元住民の希望をも考慮したものでございます。
第二は、簡易裁判所の管轄区域の変更であります。御承知のとおり、裁判所の管轄区域は、おおむね行政区画またはこれに準ずる区域を基準として定められておりますが、市町村の廃置分合により、現在尾道簡易裁判所の管轄に属している広島県の松永市が福山市の一部となりましたので、これに伴いその区域を福山簡易裁判所の管轄区域に変更し、また、現在福島富岡簡易裁判所の管轄に属している福島県の双葉郡久之浜町及び大久村がいわき市の一部となりましたので、その区域をいわき簡易裁判所の管轄区域に変更しようとするものであります。これらの管轄区域の変更は、いずれも、土地の状況及び地元の住民の希望を考慮するとともに、関係諸機関の意見をも十分参酌いたしたものであります。
第三は、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表の整理でありまして、市町村の廃置分合、名称変更等に伴い、同法の別表第四表及び第五表について当然必要とされる整理を行なおうとするものであります。
以上が下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/3
-
004・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/4
-
005・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 次に、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題とし、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/5
-
006・田中一
○田中一君 今回提案されたこの法律案の内容は、司法書士並びに土地家屋調査士の団体としての性格を法人化しようということになっておるわけでありますけれども、従来任意団体として各法務局単位に士会があったわけなんですけれども、こうしなきゃならぬという理由の大きな問題について、たとえば教育制度をどうこうとかというような問題もありますが、案際にねらっているものはどこにあるのか。いままでのものであっては、国民から信頼とか、あるいは他の不自由な、不便なことがあるということならば、それのほんとうの理由はどういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/6
-
007・住吉君彦
○説明員(住吉君彦君) ただいま民事局長が商工委員会に出ておりますので、かわって御説明申し上げます。
両会の法人格付与を希望しております真意は、会としての財産の維持、管理の必要が主たるものでございます。そのほか、司法書士会におきまして会員が全国で約一万二千名、調査士会におきましては一万六千名をこえておりますが、このように会員の増加とともに対内、対外的にいろいろの関係が出てまいります。すなわち、対内的には会が会員の指導、育成、品位の保持ということにその目的を持っておりますが、対外的には会としての一般国民に対する啓蒙あるいは業務に関する相談ということをいろいろやっておりますが、現在いずれも人格なき社団としていろいろの面で支障を生じております。そういう関係で、今回両会に法人格を付与していただきたい、こういう趣旨の法案を提出いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/7
-
008・田中一
○田中一君 この法律案が、資格ある土地家屋調査士が営業する場合には強制加入をしなけりゃならないというようなことになっていますが、これは俗に言う強制加入という一つのことばであらわしていいのか、どういうことばで表現したらば妥当なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/8
-
009・住吉君彦
○説明員(住吉君彦君) ただいま先生お話しのとおり、私どもは強制加入と、こう申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/9
-
010・田中一
○田中一君 憲法上職業選択の自由という大原則がある以上は、自分の職業を営む場合に、こういう団体に入らなければおまえの営業は、職業は認めぬぞということは、憲法違反のにおいも相当あるわけです。私は強制加入という表現のしかたをすることは不当であると思うのです。また、誤解を生ずると思うのです。強制加入的な行政指導ということに重点を置いているのじゃないかと思うのですが、その点は法務大臣どうでしょう。十九条の解釈はどういうぐあいに表現したらいいのですか、法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/10
-
011・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 憲法との関係でございますが、いま先生仰せのように、この法律によりますと、加入をしなければ業務を行なうことができないつこれは本法のみならず、弁護士会におきましても、医師会におきましても、似た立場をとっておる法律はたくさんあるわけでございます。そこで問題は、やろうと思ってもやれないではないかということになるわけでありますが、これは試験制度とともに、その団体に加入をしなければ業務を行なうことができないということは、憲法上の職業選択の自由の原則の上からは差しつかえないものではなかろうか。逆に申しますと、試験に合格しても、加入をしても、その人についての何か特別の方法によって業を行なわしめないのだというようなへんぱな取り扱いをいたしておりません場合には、試験に合格をしている者は参加をすれば業務はできるのだ、こういう条件のついた職業選択の自由ということになるわけでありますが、これは憲法でいう職業選択の自由に抵触しないのではなかろうか、こう考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/11
-
012・田中一
○田中一君 法務大臣は弁護士を職業にしているけれども、弁護士会に属さない弁護士というものはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/12
-
013・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 弁護士会に属さない弁護士はございます。ございますが、業務はとれない。弁護士会に入らないと業務がとれない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/13
-
014・田中一
○田中一君 業務としてでない特別弁護人としての弁護行為はできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/14
-
015・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) それはできることとなっております。その事件のみについてできることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/15
-
016・田中一
○田中一君 医者は大体、日本医師会、各地の地域医師会に入っております。これは医者が医療を業務として行なう場合には医師会に入らなければならないということに医師法はなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/16
-
017・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) そうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/17
-
018・田中一
○田中一君 そうすると、医者が業務を行なわない医療行為というものを行なう場合には、医師会に加入しないでも、弁護士と同じように自由だというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/18
-
019・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) これは詳しくは存じません。医師会に入らなければ、業務は行なえない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/19
-
020・田中一
○田中一君 業務を行なうのじゃない、医療行為を行なう。医療行為を行なう場合と業務を行なう場合と違うわけです。したがって、医療行為というのは、報酬を受ける目的で行なう医療行為ではないわけです。その場合にはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/20
-
021・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) それは医師の資格を持っておりますと差しつかえがないと思います、業務でなければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/21
-
022・田中一
○田中一君 司法書士並びに土地家屋調査士から見て、この十九条の表現はきびしいという見方もできますが、またあいまいな表現のしかたを使っているとも見えるわけです。たとえば、「調査士会に入会している調査士でない者は、第二条に規定する土地又は家屋に関する調査、測量又はこれらを必要とする申請手続をすることを業とすることができない。」。ところが憲法では、二十二条に、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」とありますね。この職業選択をする自由、土地家屋調査士会に入会せざる限りできないということ、これはたとえば憲法にあるような「公共の福祉に反しない限り」という場合の「公共の福祉に反する」というおそれが単独ではあるのかどうかということが問題になってくるわけですが、その点はどうですか。土地家屋調査士がその団体に加入しないで業として行なう場合に、公共の福祉に反するおそれがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/22
-
023・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) その場合は、公共の福祉に反するといいますか、公共の福祉の上からやむを得ず制限をするといいますか、そういう立場で試験制度をとり、そうして試験に合格したる者は会に入会をするという条件を付しているものと考えます。先生の仰せのような憲法論として申しますと、そういうことになるのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/23
-
024・田中一
○田中一君 私は常に、国が直接行なう行政行為といいますか——というのが当たるかどうかわからぬけれども、行なう場合に、国民に俗に言うげたをあずけて、国民の責任において事をなさして、だから厳格に言うと国の委任行為ですよ。国が一つの資格者に委任をして、そうして業または業と同じような仕事を行なわせる場合がたくさんあるわけなんですよ。たとえば医者にいたしましても、医療行為というものは、憲法で明らかに健康を保障するという条文があるわけです。当然これは国がしなければならないわけなんです。しかしながら、それが一つの国の行政としてできない。それはできないというか、じかにはできないでしょう。だから、民間の医師というものに試験制度あるいは資格を与えるような非常な勉強をさせて、そうして委任をする。一種の委任行為ですよ、国民の健康というものに対する。そうして制約をする。たとえば、日本医師会に入らなければ、地域医師会に入らなければその業務を行なうことを認めないということ、これと憲法の職業選択の二十二条の条文との間に私はもっと明快な解釈が必要だと思うのです。強いものでもいいと思うのです。何とならば、医療関係に属する者は全部国家公務員である——国家公務員法上の公務員という形でもっていっていいかどうかわからぬけれども、自由社会の今日の日本の現状から見れば。そして、国じゃなくて民営として一つの資格をやると害いながら、やはり国の一つの委任行為である。土地家屋調査士の場合でも、これは極端な例は、登記法によって、土地家屋調査士は自分の調製したところの測量とかあるいは家屋の調査とかいうものを自動的に、これが土地台帳なり家屋台帳といいますか、これにそのまま移行してしまうわけですね。移ってしまうわけです。したがって、登記をするまではこれはもうほんとうの業としての仕事なんですが、登記所にそれが運ばれるとこれはほんとうの公文書なんですね。これはもう絶対のものです。そして、もしそれをおまえ間違ったならばと言って、永久、おそらく本人が生きている限りその責任は負わされているのですよ。登記所へ移って国の公文書となって、土地台帳にそのまま記載される。したがって、そのまま移ることになっておりますね、法律では。その責任まで土地家屋調査士が引き受けなければならぬということは、ちょっと問題があるのじゃなかろうかと思うのですよ、責任まで。本来ならば、土地家屋調査士は国民の委嘱によって調査、測量業務を営んで、そうして書類を作成して、そして登記所に持っていって登記をすると法律にある。はたして登記そのものの内容が正しいか正しくないかということのもとは、これは何らいわゆる法務局がそれに対するチェックをしていないのです。これは正しいのだという証明がないのです。また、正しいか間違いがあるかということのチェックをすることをしないわけなんです。そして相手の責任だけは残っている。これは、そういう重大な国の公文書をつくるための一つの基礎的な書類をつくる、図面等をつくるのだから、おまえさんの身分というものは、十分に法務省がその人間を知らなければならぬから、こういう強制加入というような団体に入らなければ業務ができないというような規制をする。私はこういうものはたくさんあるのじゃないかと思うのですよ。また一方、この土地家屋調査士を業とする者とすれば、これが一つの義務であると同時に権利かのごとき誤解というか、誤認をしている形が相当あるのです。これならば、はっきりと国の仕事、行政を代行する受託者だというような立場を強く持つことのほうが正しいのではないかと思うのです。これは弁護士でも、なかなか土地家屋調査士の仕事なんというものはやっている太いやしませんよ。これは昔よく司法書士にも書類をつくるのはできたし、理論でも何でもない。実体的の一つの労働なんですから、技術的な労働なんですから、それならばもっとはっきりとそうしたものを身分上の国から一つの仕事を預けられた者としての立場を確立しなければならないのじゃないかと思うのです。その点は将来の問題としてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/24
-
025・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 先生仰せのごとくに、登記なら登記という場合を考えてみると、司法書士は登記に関する書類を一切作成して提出をする。それから、提出いたします書類に添付をする実測を要する図面等は司法書士はやる権限がございませんので、これは土地家屋調査士がその図面をつくります。これを添付いたしまして登記所に提出する。そうすると、法務局はこれを受理するが、いま先生仰せのとおり、そう害われてみるとなるほどと思うのでありますが、実体的にこれを現地に及んで実測をして調査をするわけでない。ときどき起こっておりますね、何番地といって売ってみたところが、それは何番地じゃないので、何番地は左でなしに右にあったといったようなことが起こっておりまするが、先生仰せのごときそういうたてまえで、ただいま形式的な受理をしてそれに判こをついておりますから、そういうことが起こるのでございます。したがって、そういうことの起こりますということは、裏を返せば、司法書士の仕事も土地家屋調査士の仕事も、まことに重要な国家の登記に関連をして、国民の権利義務に関する重大なことを扱うのだから、そこで試験制度もある。同時に、人格の向上並びに親睦をはかりながら、仕事の指導もしていかなければならぬということでありますので、これに法人格を与えて法人にもしてやりたいというふうに、御要望に応ずるごとくにやろうとする努力が今回のこの法案のお願いとなってお手数をわずらわしておるのでございます。でございますが、しかし、先生のお説を承ってまいりますと、なるほど、将来の問題でありますけれども、こういう重要な仕事をいたしますものを民間の営利団体として手数料制度で仕事をさせるということに放任をしておかないで、これほど責任を負わすものであるならば、何か国家が身分の上から考えるべきものではなかろうかということをいまごろに気がついたと言っては申しわけないのでありますが、お話を承ってなるほど考えるのであります。これは重要な御意見であると存じますので、将来の問題としてこれをひとつ検討してみることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/25
-
026・田中一
○田中一君 土地家屋調査士、これはあらゆる業務の技術的、事務的なミックスした一つの新しい職業なわけです。これは、たとえばかつて戦後だいぶさむらい法がたくさんできましたから、司法書士法もでき、測量士法もで吏、いろいろ関係するものができたのです。何というか、登記を要する書類等に関するいろいろなものができた。最近北海道で非常に大きな問題になっているのは、北海道開発局が一つの事業を行なう場合に、測量士に測量を依頼するわけなんです。たとえば道路の改築工事をやる。あるいは買収等の問題が起こる。そうすると、民間——国有地ではありません、民有地に対して測量をやって、これはどのくらいで買収するとかなんとかいう問題をきめなければならぬ。また、買収したものに対するあらゆる手続をさせているわけです。これは、土地家屋調査士でなく、測量士にやらせている。測量士は今度それを、それほど法律でもっていろいろな責任を負わしておる土地家屋調査士に依頼しないで、測量士が調製した書類を、開発局なら開発局そのものが自分で登記をするという書類を作成して自己登記をするわけです。何も、しいて土地家屋調査士に頼まなくても、自分で正規の書類をつくれば、これは認めてくれます。自分でやるのを認めてくれないはずはございません。そうすると、開発局は開発局で、測量士に書類から測量から一切の手続をさせて、自分で登記した形でもって——開発局が登記手続をしたという形で測量士にそれをさせてしまう。そうして、むろんこれは一つの請負行為でやっておりますから、だから土地家屋調査士が当然受くべき報酬は受けているわけなんです。またこれは、この法律をつくってから今日までもう十六、七年になりますが、しばしば起こったのは、土地家屋調査士がおらないという地域があるわけなんです。登記所はなるほど一定の、たとえば三多摩地区で言えば、立川なら立川にあるとか、あるいは青梅にあるとかいいます。そのずっと僻地にあるところの村などでは、できないものだから、どうしても土地の吏員、役場の吏員にやってもらう、一切の図面、手続を。これは資格などは持っておらぬわけです。そうして自分で登記するという形でもって持っていくという例があるわけなんですが、こういう点は見のがしているわけなんですね。制裁する何もないのです。こういう点についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/26
-
027・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) いまのお話に対する答えでございますが、自分の申請を自分がみずから図面をつくる。人につくらすという場合は、委託を受ける者は資格者であって、それは団体に加入しておらなければならぬけれども、自分の図面を自分がつくって自分が申請するということは一向差しつかえがないというたてまえになっておると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/27
-
028・田中一
○田中一君 だから、地方の土地家屋調査士がおらない地区とかは、役場の土木あたりの人がつくってやるのです。これは業としてじゃなくて、報酬をもらってやるのです。反復して同じことを繰り返すと業だという定義になっておりますが、おらないものだからやむを得ず、一々十里先の立川まで行ってやってもらってまた行くのじゃ金がかかってかなわぬということで、人に頼んで測量をして、そして書類をつくってもらう。そして自分でつくったかのごとき登記行為をするわけです。しかし、実際は、土地の吏員等が手数量をもらって、お礼をもらってやってるという事実がたくさんあるわけなんです。
それから司法書士しかりです。司法書士も一応代書的な手続の行為をやるのですが、これも測量ぐらいのことはできるわけですよ、もう単純なものは。三角点からもってどうこうという高度なものじゃなくて、これとこれを測量してこうするのだという場合はできるわけなんです。それでも通るわけですよ。登記所は通ってしまいますよ。そういうものでも、司法書士が自分の登記と同じような形で手数料を取ってやってるというものがたくさんあるわけなんですよ。私は、これは測量士は測量として、司法書士は手続とか、土地家屋調査士はその二つをミックスした完全なものをまとめてつくっているという組み立て屋だから、一番どうもそういう測量士並びに司法書士から攻められて当然自分が行なう業務というものを侵されているということになるわけなんです。もっと積極的に、さっき法務大臣が言ってるように、土地家屋調査士でなければ登記事務を行なうことができないという形までに発展さすことがぼくは必要だと思うのです。個人の登記は認めません。だれかが立証しなければだめでございますよということぐらいまで行くべきだろうと思うのですが、その点どうですか。というのは、同じような業態があると思うのです。非常に国民の利害、社会の福祉上の重大な問題等を考えた場合に、この人間の手続でなければだめだというようなことがあると思う。たとえば国家試験をとって資格を与え、そうしてその登記所というものは、永劫、日本の国が存在する限り、登記法が存在する限り、土地家屋が国有にならない限り、これに対する責任を負っているわけなんですよ。こういうような大きな責任を負わすならば、登記事務というものを土地家屋調査士以外にさしてはならないのだ、土地家屋調査士がきめられている業務の場合には——というくらいの優遇と言っては語弊があるけれども、それに見返る一つの権利的なものを与えたらどうなのか。それはこういうことなんですよ。そんなことをしたのでは国民の負担が重くなるじゃないか、そんなことは許されないというようなことを言うかもしれない。反論する人は言うかもしれないけれども、しかしながら、大きな責任を負わすということになり、かつまた他からそれを侵され、自分の名前で出すのは自由でございますよというところに間違いがあるのではないか。そうしたならば、この強制加入の——営業には、どこまでも法務局長の指導下に団体というものを規制し、そこに加入しなければできないのですから、測量、一切の届け出というものは土地家屋調査士でなければできないというような形までに発展させるということが望ましい。法務大臣は将来ともそういう方向に向かって検討しようということだとぼくは理解したいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/28
-
029・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) いま先生のお示しのようなことが、山間僻地に参りますと、間々あるのではなしに、たくさんあるのじゃないかと、こう考えられるのでございます。そこで、そういう場合に、やむを得ず役場の書記に頼んで幾らかお礼をして書いてもらった場合といえども、受理するときの提出の形としては、本人の申請を本人みずからが作成して、本人みずからが図面をつくったというたてまえで出しておりますので、現在はやらしておるのでございます。しかし、責任の非常に重要な権利義務を生ずるものであって、それが実態に沿わざるものがなしとしないというふうな重要なことを考えてみますと、資格ある者が団体に加わって、その団体の指導を受けて業務をやっていくということがまことに正しいのではないかと、こう考えるのであります。一つ先生の仰せになりますことで困った問題だと思いますことは、そういうふうにいまお示しのごとくに、厳格に個人としての申請は一切認めないのだということに踏み切ってしまう場合においては、ただいまも事務から御説明申し上げましたように、司法書士は日本全国で一万二千名、土地家屋調査士は日本全国でわずかに一万六千名しかおりません。そういうわずかな数でございますので、山間僻地に行きますと登記をいたします有資格者というものが比較的にいないのでございます。非常に少ないわけでございます。そうすると、登記をする権利を有する国民の皆さんに非常に不便をかけるというようなことが一つ出てきはしまいかということを考えますので、それさえなければ、直ちにいまここでこうしたいということも答弁として申したいのでございますが、そういう事情が反面にございますので、御意見まことにごもっともなことだと存じますので、これはこの制度を整備徹底していくという観点から、これをいかにしていくべきか、かれこれ勘案をいたしまして、ひとつ十分に積極的な姿勢でこの問題の検討をしてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/29
-
030・田中一
○田中一君 どうも法務大臣は昔から答弁がうまいから困るのだけれども、こういうことがあるのですよ。建築をする場合に、作図は、三十坪以上の木造建築は二級建築士が製図をしなければならないのですよ。建築士が製図をしなければならないというのですよ。届け出も、その製図をした二級建築士でなければできない。鉄筋コンクリートの場合には三十平米ですか、十坪以上のものは必ず二級建築士以上の者にしてもらわなければできないということになっているのです。ところが、これは建築という性格上技術的な面がありますからそういう規制をしているわけですが、土地家屋調査士は百億の仕事もできるのです。それから五十万の仕事も一つの登記行為で終わってしまうのですね。社会に及ぼす影響というものは、事の大小とか金銭でものを割り切るばかりが能じゃありませんけれども、そうした行為をチェックする義務は登記所にあるわけなんです。登記所はしゃしませんよ。自分で自分の書類をつくって登記するという、ただ登記行為だけです。ところが、間違った登記をした場合には、これは将来とも国民生活、社会に大きな害悪をもたらす場合が多いわけなんですよ。たとえば、自分の家を適当に近隣の判こを取って五百坪のものを千坪と書くこともきっとあるでしょう。あるいは、所有者がどこに行ったか行くえ不明とかいう場合には、だれかに証明をもらって、近隣の者に判こをもらってくるということになるでしょう。そういうことをした場合に受ける社会的なあれというものが、相当影響が強いと思うのです。だから、むろんむずかしい問題です。むずかしい問題ということは、国民の負担というものを考えた場合に、何もかも土地家屋調査士でなくちゃ届け出ができないとなればたいへんだろうと思うのですが、しかしながら、こうして各地の法務局のもとにすっかり訓練されて、国家試験も受け一つの資格を取りその業務を行なうという場合には、当然国がしなければならないことなんですよ。本来ならば、登記という一つの厳然たる権利義務を明らかにする行為ですからね。これに対する立証するもの、間違いないなら間違いないということをしなければならない。といって、登記所のほうにそういうものを一々提出した書類によって——建築の場合には必ず提出書類によって調べます、ああこれは間違いないといってOKしてよこすのです。それで完成ということにします、法務局も。ことに権利の問題ですからね。財産の問題とか、いろいろ問題がありますよ。それを登記所の職員が一々現場に立ち入って所有関係も調べて、これで間違いない、正しい書類だということになって、初めてその信憑性ということが証明され、かつまたそこで初めて土地家屋調査士の義務も責任も解除されるわけなんです。それをしないで、一方的に義務だけ負わしているという形で残されている書類なんです。これはやはり国が、土地家屋調査士の品位、地域社会における重要性というものを考えて、権利義務、財産の保全というものをはっきりやるためにはこれだけの費用がかかるんだ、これは当然なんだというような普遍的な常識というものが地域社会に理解されてくるようになると、そうした将来のトラブルがなくなってくるわけなんです。そこまで発展する方向で法務大臣が考えようというならば、納得します。しかし、これにむろん反論がありますよ、議論を言えば。それはたいへんなことじゃないか、特定の者にそんな権利を与えるというけれども、もしそれができなければ手数料を上げなさい、生活できるような手数料を支給するような制度を——これは地方条例にまかせておりますね。もしそれが、前段のものが完成するならば、日本の地域社会に、だれそれがどこまでの担当という、登記所がちゃんと所管区域というものがきまっていると同じように、それには必ず何人かの土地家屋調査士がいなくちゃならないのだ、こういうきめ方をするわけであります。そうすれば別に不便はないのです。弁護士はからだ一つ持って行けば法廷で弁論できますが、それから考えるとたいへんなことですよ。あいつを信用するから、あいつが持ってくるならば間違いないのだという認定のもとに登記されている行為が、非常にあぶなっかしいことになる。
これは現に一つの例があるんですよ。これはおもしろいから裁判をやってもらっているのです。国と土地の交換をやった男がございます。そこに十何坪くらい、交換して国に売ったのですが、土地台帳に残っているんですよ。本人も知らないから、これは何だろうと見たら、売った土地のほかに十六坪何合という土地が残っているのです。その会社つぶれたものだから、それに目をつけて、裁判所がそれを差し押えた。いつの間にかそれが東京都になってしまった、国が東京都に払い下げて。その場所は高速道路の敷地になっている。一番迷惑するのは所有者なんです。日の丸とけんかしたら三代くらいかからないと片づかないのです。そのときに、判事でしたか、こういうことを言っておりました。私行って一ぺん会いましたところが、「先生、土地台帳というものは間違いがあることもあり得るという見解を裁判官は持っているんです」と言った。明治五年につくった台帳なんです。分筆して十六坪幾ら残っている。「土地台帳というのはこれは間違いないというきめ方はわれわれしておりません」と言うのです、裁判官が。実際土地台帳そのものが間違っているのじゃなかろうかという疑問をわれわれは持ちます。明治五年につくった土地台帳を、一体それを何で証明するかとなれば、実際その台帳からえんえんとして存続しているという、分筆されたり何かした、売買されたときの経緯がありますよ、動いた。残った土地は自分のものじゃないかというふうにわれわれは常識的に判断しますが、やはり裁判所はそうは考えません。「土地台帳そのものが間違っているのじゃなかろうかという疑いを持ちます」ということばを聞いたので、これはおもしろい、それじゃそばにいる弁護士にやってみろと、そのかわりお金を三万円以上出せないと、どうなるかなと言っているうちに、もう十五年くらいやっているのです。そういうふうに土地台帳さえも間違いがあり得るのだということになると、裁判所で出るということになりますと、これは非常に重大な問題になる。これは登記所は、本人が書ってきたのだから、したということで済むかもしれないが、間違った測量や間違った書類を出したのではたいへんなことになる。そうして罰則も明らかに土地家屋調査士にはあります。司法書士の場合にはちょっと違う、これは事実行為と両方あるのです。ミックスして完成しているものです。そういう点で、そこまでのものをさせるのには、身分と業務を保障する意味において十九条というものがある以上、もう少し責任を明らかにするために、土地家屋調査士以外には登記事務はできないのだというようなことにまで発展したとしても、国の一つの制度として、これをそこまで飛躍させれば、社会でこれは認めますよ。国会周辺のデモですら、総理大臣が、裁判所の命令を聞かずして、ぽっと異議があると言えば、それが中止になってしまうんでしょう。それはなるほど国の最高機関は立法府と言うけれどもですね、もう行政権というものは非常に大きいんです、強いんです。裁判所の決定すらくつがえすというのですよ。かつての造船疑獄の指揮権発動だってある。その重大な行政権というものを一応まかせておるわけだ。だから、真実を登記することが大事だ。登記法の精神というものが、間違っても、どろぼうしたものでも何でも書類さえ取れればいいんだということじゃ、責任は果たせないと思うんですよ。けれども、またあなたのように優秀な弁護士が、私のようにこういうような通念的な暴論を言うと、あんた方にこんなものは何だと言ってしかられるかもわからないけれども、私がこんな余分なことを言うのも、それを土地家屋調査士でなければできないということに発展させたらどうかということなんですよ、大きな義務と責任を負わすならば。それができなければ、もっと手数料を上げるように指導なさいよ。民事局長、そのぐらいのことはしなさいよ、ほんとうですよ。安いもんですよ。これで食っている司法書士はたくさんあります。測量士もわりあいにあります。土地家屋調査士というもので食える者はほとんどない。食えなければおしまいなんです、これだけで。私はそういう実態から言って、今度のこの法律の改正というものはまあ非常な前進です。法人格を持たなければ金も貸してくれません、団体には。また、各地方法務局は、何とかその団体を自分の手元に置いて常に教育をする、人格を陶冶するということもやって品位を上げているわけですから、いい前進です。その場合には、それはやっぱり反対給付というものを何らかの形でもって安定し保障するという方法をとるように一だいぶ長くしゃべりましたけれども、法務大臣ひとつ最後にその問題についての答弁をしてほしいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/30
-
031・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) お説は、ごもっともな御意見だと腹から思うのであります。よいかげんに思いついて申し上げているんじゃない。お説ごもっともと考えます。ごもっともと考えますが、直ちにすっきりした御回答をできませんのは、現実の問題として、先生仰せのごとくに方針をとりまして法改正をかりに行なった場合において、全国津々浦々におります、へんぴな所におります人々が、自己の登記を、実測を自己ができないということになるわけでございますので、そういう点をいかに調整するかということは、これまたたいへん重大な問題の一つになると私は考えますので、この点もひとつ考えの中に入れまして、積極的な姿勢で、先ほど申し上げましたように、これはひとつ考えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/31
-
032・田中一
○田中一君 次に、土地家屋調査士の業務を侵すものに対する対策はどう考えておられますか。たとえば、さっき法務大臣も言っているように、地方の僻地においては役場の吏員等が行なっているということ——行なってもいいんだということだけじゃないと思うんです。
それから、測量士が北海道開発局の仕事をやる場合には、書類を自分で全部つくってやっていると、これもそれでいいんだというわけじゃございません。私は、土地家屋調査士中心に、これは両方ミックスした仕事でございますものですから、それを質問しているわけです。それをどう取り締まる——取り締まるということばが適当なことばかどうか知りませんが、どういう形でそれらのそうした、しいて言えば犯罪ですよ。違法行為ですよ。権限外の仕事をやっておるわけです。これはおそらく登記所等でも見のがしているんじゃないか。個人の名前において書類が来るからやむを得ませんということだけでは済まないわけです。こんなことはもう法務大臣もお考えになってもすぐわかる。やっておるだろうとかなんとかおっしゃっておりました。どうするのですか、一体。それは局長でもいいが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/32
-
033・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 確かに、御指摘のように、末端に参りますと、土地家屋調査士でない者が業として調査士のなすべき仕事をやっておる場合があるんじゃないかということもうかがえるわけでございます。しかし、これは大臣も先ほど申し上げましたように、調査士あるいは司法書士のいないような地区におきましては、これは本人がみずからつくるというたてまえにすれば別段問題はないわけでございますけれども、それも技術的にできないということから、測量だけを頼んで、それをまあ自分がやったものとして登記所に出してくるというふうなことは、確かに考えられるわけであります。これは実質を追求してまいりますれば、確かに土地家屋調査士法十九条の規定に違反するのではないかという問題とつながってまいります。また、北海道の場合におきましても、これは北海道庁としてやっておるのか、あるいはそうじゃなくて全然庁とは別個の測量士にそういうことを依頼してやらせておるのか、その辺の実質の問題もあるわけであります。もしも土地家屋調査士法十九条に違反するような事態でございますれば、これは私どもとしても看過すべきものではないと思っております。しかしながら、現在までのところ、具体的にどういう人がどういうことをやったかということは、これは残念ながら法務省のほうに、あるいは法務局のほうに通告もございません。ただばく然とそういうことも行なわれておるんじゃないかというふうなうわさのような形で流されてくるわけであります。私どもとしては、明らかに法律違反の行為があれば、これは厳正に法律の規定に照らして処置するという態度でおるわけでございますけれども、なかなかそこまで事件が進んでまいらないというのが実は実態でございます。北海道の問題につきましては、札幌の法務局と北海道庁の間でいま連絡をとらせています。かりそめにも法律に違反するような形で測量を行なわれておるとすれば、これは何とか手を打ってさようなことのないようにすべきであるという態度で実は臨んでおるわけであります。まだその最終的な報告が参っておりませんけれども、少なくとも私どもといたしましては、いま申し上げましたように筋目を正して、法律違反は法律違反として処置するだけの心組みは十分持っておるつもりでおります。
また、先ほど来いろいろ、調査士制度の拡充あるいは調査士そのものの地位の向上というふうな問題と関連しまして、登記所の業務あるいは登記制度そのものについての鋭い御批判をいただきました。確かに、土地家屋の登記というものを正確にしていくという観点から考えまする場合に、まだまだ私どもとしても研究いたすべき点が多々あろうかと思うのであります。ただ残念ながら現在の実情は、全国津々浦々に至るまですべて同じような形で事務が処理できるような形態まで行っておりません。この土地家屋調査士法ができました際にも、これは沿革的なことで、すでに先生御存じのことと思いますけれども、税務署時代に事実上行なわれておりました調査員というものがございます。これを法制化いたしまして、この土地家屋調査士というものができたわけであります。さらに進んでそれが強制会制度になり、さらに今回法人化するということになってまいりますると、徐々にではございますけれども、この制度そのものもだんだんと発展充実をしてきておりますし、また将来もさらに一段と前進することがわれわれとしては期待できるわけでございます。一挙にこれを解決する、すべての問題を一挙に解決するということはなかなか困難でございますけれども、調査士会あるいは調査士そのものの今後の発展の状況、充実の状況とにらみ合わせながら、今後の問題を検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/33
-
034・田中一
○田中一君 登記所に登記行政的な区域があると同じように、それは可能ならば、全部土地家屋調査士会員に命じて、登記所単位の配置を命すればいいんです。それは充足されます。法律違反を犯す者はなくなってきます。それはあの人たちに頼まなければだめなんだということを浸透させればいい。これはできます。それから北海道の場合には、北海道の法務局は請負として行なわしているんですから、いやその届け出の業務だけはこれただにしてますということも言うかもわかりません。それで、見積もりに入っておりませんと言うかもしれない、請負ということになると。しかし、これはだれも変な仕事でもって、取れる手数料を取らないでやっているばかありませんからね、これは入っているものと思う。したがって、札幌の法務局は、これは不当であるという判断をして、本省に書類が来ているはずです。ところが、本省ではまだそれに対する——いま局長の話を聞いていてもわかるとおり、ほんとうのそれに対する判断——判断というか、措置をとっておらぬということは、これ遺憾であります。そのために、いま土地家屋調査士と測量士の間でもって相当な紛争が起きてます。請負業務ということになると、何もかも全部包含されるわけです。これはひとつ、同じ法務局と民事局と開発局の問題ですから、早期に解決して、そういうトラブルをなくするように、お互いがお互いの分野を守ってやるようにしないと、これは内地の——内地ということばはいけないけれども、本州にも波及するおそれがありますから、さっそくこれを解決をしていただきたいと思います。これは札幌法務局は、不当であるという判断を出しております。よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/34
-
035・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 先ほど申し上げましたように、札幌の法務局に私のほうから指示いたしまして、そういう違法な行為の行なわれないようにすること、さらに開発局との連絡も十分とって、もしもそういう土地家屋調査士法違反のような事実だとすれば、これは防止する必要があるから、そういうように措置をとるようにという趣旨で札幌の法務局に指示いたしております。まだ判決が出ておりませんけれども、先生の御期待になるような方向で努力するものと私どもも期待いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/35
-
036・田中一
○田中一君 それから、同じ北海道の問題ですがね、北海道では明治二十九年から、当時払い下げ済みのものの連絡調査という事業を行なっておる。それは四十一年で終わりました。これには、お互いの利害関係者の双方の判こがちゃんとついて、承諾書がついている図面ができているんです。大体一ヘクタール——六ヘクタールといったかな、待ってくださいよ——道路四間ないし五間を取ってその中を払い下げになるんです。そういうことをずっとしておるんです。だから、北海道では査定図というものがきめられておる、完成しておるわけなんですね。これを何とか土地台帳として、いわば何というか登記台帳みたいなものですね、これに法務省としては現実として認めたらどうかということの申請を——申請というか、申告を再三再四法務省に持ち込んできているのですが、実はこいつはがんとして応じない。これは道庁が明治二十九年から国費をもって行なっている事業なんですから、これは法律十七条の図面だということに認定すればいいではないかと言って二、三年前からやかましく法務省に申告しているのです。申し出ている。ところが受理しない。受理してないのです。こいつは、こういうものを、国費をもってつくった正しい図面である限り、これを採用したらどうかということなんです。現在では、この調査はやめて、それで国土調査法による調査を行なっております。こいつはなかなからちがあかないですよ。北海道は、御承知のように、開拓使が入って以来というものが全部官有地ですから、払い下げようというので、そういう区割りをして、アメリカ人がどのくらい来たか知らぬけれども、区割りをして払い下げをしている。道路が幾ら、何が幾ら、全部でき上がっているのです、全道で。で、どういう経緯でこれが認められないのか、一時はそれにちょっとミスがあった図面を、原図を持ってきて民事局に持ち込んだそうです。それでも言を左右にしてそれを認めようとしないということです。私はね、道という地方自治団体がつくったのじゃなくて、国費をもって当時の内務省時代の道に委嘱してつくったというものが、国の登記面を立証する原図として採用されないはずがないと思うのです。どういうわけなんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/36
-
037・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 先ほど来お話しの北海道で作成されましたその連絡調整図と申しますか、公式につくられました図面を不動産登記法の十七条の図面として採用しないかというお話でございますが、実はこのただいまお話しのようないきさつと申しますか、民事局で採用しないというふうな措置をとっているというふうなことは、私の代になりましてからはございません。むしろ最近におきましては、この地図がぜひとも登記制度上必要である、何とかして正確なものをつくらなければならぬという意気込みで私ども取っ組んでいるわけでございます。場合によりますと、現状と非常にかけ離れたような地図が残っている。これは明治年間に、税務署時代に作成されました図面でございますので、実態と決して合っていないというふうなこともございますし、また場合によればもう使用のできないようなものも間々あるわけであります。そういったことを補う意味におきまして、できるだけ早い時期に正規の地図を登記所に備えよう、こういうつもりでいろいろ計画してございます。既存の地図の整備のこともさることながら、第十七条地図を作成するということも実はぜひともやらなければならないということで努力いたしております。まあ一部予算化された面もあるわけでありますが、これは何としても、仰せのように、早く登記所の地図を整備してまいりたいというつもりでかかっているのであります。端的な話が、国土調査法に基づきまして図面ができ上がっております。これも、登記所側ではぜひともそれを登記所に送っていただいて、それを登記所の原図とするというふうな措置も講じているのであります。先ほどお話しの北海道の地図につきましても、同様の正確度の高い図面のようであります。私どもとしましては、それをいけないという理由は毛頭ないと思います。ただ道庁に保管しておりますその地図をそのまま右から左へ登記所にいただくわけにもこれはまいらないわけで、それを登記所用の地図にやはり写し直す等の措置が必要でございます。直ちにそれができるわけのものではございませんので、できるだけ早い時期に登記所の地図を備えるという方向で、ただいまの北海道の図面も十分に活用さしていただくようにしたいと思います。実は、先ほど申し上げたように、民事局のほうで言を左右にして拒否しているということは、最近は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/37
-
038・田中一
○田中一君 少なくとも国費をもって、国の命令でつくっているという図面が、その信憑性がどうこうなんということは考えられないです。そして、現在は北海道は独立した自治体になっていますけれども、これを法務省は全部国のほうに移管させることですね、これは私はできると思うのですよ。これは大臣どうお考えになりますか。ほんとうにそういうものができておりながら一おそらくたいへんな金をかけたと思うのです、それをつくるには。そうしてやりながら、それが全然生きてないということは、一つのセクトですよ。そういうことを考えて、国の金を浪費してはいかぬです。むろんメートルじゃございません。間だそうだ——何間、何間というんだそうだ。それは直さなければならないでしょうけれども、そうした原図がある以上、国が全額持ってつくった以上、それは活用するのは当然であります。法務大臣どうお考えになりますか。この書類をいち早く法務省のほうに移して、何も北海道庁は拒否することもありません、これを生かすのですから。そして札幌の法務局なら法務局のほうに移すということなんですよ。そういうことは不可能ですか、法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/38
-
039・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 私はどうもその間の事情に暗いのですが、これは北海道全域について国費で道庁に命じてつくらしておるという地図ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/39
-
040・田中一
○田中一君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/40
-
041・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 全部それは問ですか、尺貫ですか、尺貫法で規定しておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/41
-
042・田中一
○田中一君 間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/42
-
043・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) なるほど。じゃ民事局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/43
-
044・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 私のほうといたしましては、その地図を利用さしていただいて登記所の地図をつくることについては、決してやぶさかではございません。むしろ、国土調査なんかの場合には、積極的に地図をつくって送ってもらいたいということを言っておるぐらいでございます。したがいまして、これは北海道庁の事情もよく私ども存じませんけれども、向こうで全面的にそういう協力体制に出られるのでありますれば、これはわれわれとしても喜んでこの原図を資料といたしまして将来の対策を考えなきゃならぬ、またそうしたいというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/44
-
045・田中一
○田中一君 法務大臣、それは町村知事と話し合って、国の書類として取り上げると言うと何か変に聞こえますけれども、利用するという道を国としてはかれませんか、はかれるはずだと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/45
-
046・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) お説をよく胸に置きまして、ひとつよく考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/46
-
047・田中一
○田中一君 北海道の住民は全部この図面によって払い下げを受けているんです。これは全くの絶対のものなんです。
そこで、いま恵庭、広島等で道路をつくっております。測量その他で来るのはそれと違う。出雇えば、頑としてこれは承知しないんです。この図面によって、境界の両方の権利者ですね、これは全部調印しているんです。この図面で全部調印しているんだ。一つもトラブルがないんです。いま転売、転売でいろいろ変わってきている土地はたくさんあります。広島、恵庭というのは何郡といったかね、千歳の飛行場に行く道ですがね。まずこの辺でやっている土地の買収なんかは、この図面と違っているもので来るもんだから、承認しないで、境界線がきまらないでいるんですよ。もとの原図というものがあれば、これはもう双方の権利者が調印してこれを確認しているんです、全部書類はそろっている。何とかこれをどういう方法かとって、接収ということばがいいのか、借りるというのか知らぬけれども、何かの形で国のものとしてそれを活用するような方法をひとつ努力していただきたい。ここに書いてあったかな。三百間平間というんですか——だそうだ。三百間、百間と百五十間区割りして、その表のほうに、一区画ごとに——大体五町歩になる、五町歩に四間または十間の道路を全部回して、それは道路だといってきめているんです。そうすると、またそれによってこっちで三百間平方というんですかね、それがあって、また四間または十間の道路をつくる。これは札幌の町もそのとおりです。こういう原図があるわけなんですから。それが、道路をつぶしたりなんかする場合がある。これは私道じゃない、公道です。公道までそれでなっている。それは売っているわけじゃないんですが、ところがそこに道路が入ったりなんかするものだからえらい問題が起きている。だから、その原図というものを法律的に認めれば、かつての払い下げた土地の所有権の区域がこれなんだときめれば、もちろんこんなトラブルはなくなっちゃう。それを政府が認めようとしないところに問題がある。これからますますそういう紛争が起こると思う。どこもそういう大きい区割りで全道やっているわけなんです。こういう貴重なものがあるにかかわらず、国費をもって作製したものがあるにかかわらず、これを十七条の原図として認めようとしないところに、態度に——これはいまの民事局長の責任じゃないかしらぬけれども、これは四、五年前からやっていることなんですが、取り上げていないんですよ。これは国としても遺憾なことでありますから、どうか十分何かの機会にひとつ答弁するようにしてください。さもなければ、ぼくはいまここでもって質問書でもつくって提出してもよろしい、そうすれば七日間のうちに答弁しなければならぬことになりますから、そのくらい知っているんだけれども、まあ田中さんだからそんなことはしなくてもいいと思うけれども、これは急速にひとつ対策を考えて立ててもらいたい。
それで、山下君、地方でいま国土調査法に基づく調査をやっておりますが、一体国土調査法に基づく調査、これが現在どのくらい進んでおりますか。これ資料でも何でもいいから全貌を説明してほしい。できるなら資料をほしい、あとでもって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/47
-
048・山下武
○説明員(山下武君) お答えいたします。
国土調査を効率的に実施したいということで、昭和三十七年に国土調査を促進するための特別措置法が制定されまして、翌三十八年に政令が出まして、その法律に基づいた十カ年計画が策定されたわけでございます。したがいまして、進捗の状況は、その十カ年計画に基づいた進捗の状況を申し上げることが一番わかりやすいかと思いますので、ごく簡潔に申し上げさしていただきます。
十カ年計画できめられました内容は、基準点の測量というのがございまして、計画では六千五百点でございました。それが、三十八年から四十二年度まで実施いたしました点数は五千二百点で、全体の八〇%行っております。それから次に土地分類の本調査というのがございまして、一万六千方キロでございます。それを五カ年間に六千四百方キロを実施いたしまして、約四〇%進んでおります。それから土地分類の細部調査でございまして、二千五百方キロの計画になっておりますが、五カ年間で二百方キロ実施いたしまして、八%実施。それから地籍調査でございますが、計画では四万二千方キロでございまして、同じく三十八年から四十二年度の五年間に一万二千三百方キロ実施しまして、二九%実施いたしております。以上が実績になっております。いずれ資料はまた後ほど届けさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/48
-
049・田中一
○田中一君 これは実態調査ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/49
-
050・山下武
○説明員(山下武君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/50
-
051・田中一
○田中一君 これは宅地だ、これは農地だという実態調査になっておりますね、これは。これは日本国土全部やった場合には、いまの十カ年計画でいって何百年かかるのです。やはり何百年ぐらいになるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/51
-
052・山下武
○説明員(山下武君) 間接なお答えになるかと思いますが、地籍調査だけで見てまいりますと、四十二年度までに実施いたしました全部の地籍調査が全国土の約五%程度を実施しておるということになりますので、まあ十五、六年の間に五%ということになりますと、大体何十年になりますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/52
-
053・田中一
○田中一君 何十年じゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/53
-
054・山下武
○説明員(山下武君) まあ年限から申しますと、相当の年数がかかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/54
-
055・田中一
○田中一君 そこで、四十二年度幾らつきましたか、予算。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/55
-
056・山下武
○説明員(山下武君) 全体で十二億六千万円ついております。それは全部でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/56
-
057・田中一
○田中一君 これは事業費ですか。補助金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/57
-
058・山下武
○説明員(山下武君) 予算額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/58
-
059・田中一
○田中一君 これはいま北海道やっているのですよ。法務大臣、ぼくはむだじゃないかと思うのですよ、明治二十九年から実施して完成しているものが。この国土調査法に基づく国土調査というものは非常に疑問があると思うのですよ。というのは、かつての登記されている土地というものは、明治初年登記法——登記法というよりも、地租が税金の一番最初のように聞いておりますけれども、明治五年にできた土地の登記というものは、余分に登記すれば税金取られるのですから、一坪一銭か二銭、あるいは五厘で買った土地かもわかりませんが、そういうことで、地租がもとで税金取られるから、非常に小さく申請しているものなんです。ところが、実際に国土調査やって調べてみると、相当なわ延びがある。山林などは、三割八分ぐらい私が調査したところではなわ延びになっているところがある。どんなに小さいところでも、縮まっているものは一つもありません。必ず三割から、一割五分、二割五分ぐらいはあたりまえです。山林など、私の調べたところでは、大きいものは五割ぐらい小さく登記されているというものが多いのですよ。こういうものは、結局国土調査やると、これがそのまま登記されてしまうのです。あれは総理大臣が認定であったかすれば、そのまま登記されてしまうのです。そうすると、すぐに翌年から税金がかかるわけです。いままで、メートル法ではちょっとわからぬけれども、何町何反というものが、すぐになわ延びが発見されて税金がよけいかかる。税金は現金支出ですから、農家にとっては非常に大事です。それで、これをいまから七、八年前にやめさせたのです。登記されても、旧登記面積で税金を取れといって、経済企画庁長官と自治省との間に協定を結んで、通達を出して、一府県単位で完成しなければ税金取りませんという通牒を出しているはずです。強硬に主張してそうなっているのです。そういうようなものを国土調査法で行なっているにかかわらず、またいま北海道で国土調査の仕事をやっているのです。かつての投下した資金というか、金というものをむだにしてしまっているということは、何としても生かしてほしいという願望があるわけです。北海道なんかやる必要ないですよ。そこから移動さえわかればいい。原図ができている、十七条原図というのができているのですから。ことに、いまの国土調査法でやると、おそらく何百年とかかるのじゃないかと思います。これは白髪三千丈なら千年かかると言って私は笑っているのです。
民事局長、五月二十何日かの——二十四日だったか、二十日だったか、全国の法務局長会議があったでしょう。あのときに、はっきりとこの図面で十七条を基礎としたいという言明をしたのはほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/59
-
060・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 先般法務局長と地方法務局長の会同を開催いたしまして、これは主として管理業務の面についての会議でございました。したがいまして、個々の登記事務その他の行政についてはあまり立ち入った協議はいたさなかったのでございますけれども、しかし、予算の説明をいたします段階で、先ほど、私もちょっと御説明申し上げましたように、法務局の地図の整備ということは非常に大事な事業であり、われわれもそれを重点として考えているので、なるべく早くこれを実現したいということを説明いたしたことはございます。その際に、先ほどの国土調査法に基づく地図、これは北海道に限りません、全国各地でつくられておりますものもできるだけ活用して、法務局のほうの地図の不備なところを補っていくようにという考え方で従来やってきておりますので、その趣旨の説明はいたしたと思いますけれども、具体的にいま先生のおっしゃるような趣旨での説明はなかったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/60
-
061・田中一
○田中一君 これは先ほど法務大臣が言ったから、この問題は、連絡調査図というものは、これはひとつ生かすようにしていただきたい。
それから最後に伺いたいのは、今度は全国の調査士会も自分で事務を持った。東京も持っております。各地とも全部そういうことになると思うのです。ここに、共済事業というところに重点があるならば、これらのいわゆる民族に奉仕しているというような、国民に奉仕しているというような重要な仕事をしているこの人たちのために、これに付随するもっとひとつ積極的な方法をとってやってほしいと思います。それは、たとえば一万五千人という数があるんですから、そこに老後の年金制度的なものをつくってやるとか、あるいはこれに付随するいろんな事業が行なわれるような指導をしてほしいと思うんです。そうして、資格者は大体三万人程度いると思うんです 業を営んでいる者が一万四、五千人だと思いますけれども、これで業として生活が立つんだということになりますと、もう少し業者がふえると思うわけです。法律によって、たしか二年間一ぺんも業務を営まぬと営業ができなくなるんだということになっておったはずですね。だから、だんだん減ってくるんです。だから、生活ができる報酬、それから保障、こういうものを十分に考慮して、重要な、国民の財産を保障する業務なんですから、そういう点についてひとつ、今回の改正の趣旨が大きな前進だとするならば、なお一そう、田中さん、あなたことし一ぱいは大臣するらしいから、その間に——弁護士の商売から見たらこんなものちっぽけな商売なんです。でも、小さくても大事なことなんだから、ひとつ十分に考えてやるようにしていただきたいと思います。
私これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/61
-
062・浅井亨
○委員長(浅井亨君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105515206X00819670615/62
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。