1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月六日(水曜日)委員会において、
次の通り小委員及び小委員長を選任した。
文化財保護に関する小委員
有田 喜一君 久保田藤麿君
河野 洋平君 谷川 和穗君
中村庸一郎君 西岡 武夫君
小林 信一君 斉藤 正男君
長谷川正三君 鈴木 一君
有島 重武君
文化財保護に関する小委員長 中村庸一郎君
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昭和四十三年三月六日(水曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 臼井 莊一君 理事 久保田藤麿君
理事 坂田 道太君 理事 谷川 和穗君
理事 西岡 武夫君 理事 小林 信一君
理事 鈴木 一君
有田 喜一君 稻葉 修君
久野 忠治君 河野 洋平君
周東 英雄君 床次 徳二君
中村庸一郎君 藤波 孝生君
渡辺 肇君 加藤 勘十君
川村 継義君 斉藤 正男君
原 茂君 有島 重武君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部大臣官房会
計課長 井内慶次郎君
文部省初等中等
教育局長 天城 勲君
文部省大学学術
局長 宮地 茂君
文部省社会教育
局長 木田 宏君
文部省体育局長 赤石 清悦君
文部省文化局長 安達 健二君
文部省管理局長 村山 松雄君
文化財保護委員
会事務局長 福原 匡彦君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
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三月一日
史跡称名寺の裏山保存に関する請願(小林信一
君紹介)(第一八六八号)
同(唐橋東君紹介)(第一九六九号)
学校図書館法の一部改正に関する請願外三十三
件(上村千一郎君紹介)(第一八六九号)
同外一件(坂本三十次君紹介)(第一八七〇
号)
同外十四件(竹下登君紹介)(第一八七一号)
同(坪川信三君紹介)(第一八七二号)
同外五十七件(渡海元三郎君紹介)(第一八七
三号)
同外百十三件(長谷川峻君紹介)(第一八七四
号)
同(八木徹雄君紹介)(第一八七五号)
同(荒木萬壽夫君紹介)(第一九五六号)
同外二十九件(宇野宗佑君紹介)(第一九五七
号)
同外八十四件(大石八治君紹介)(第一九五八
号)
同外九件(奧野誠亮君紹介)(第一九五九号)
同外五件(亀山孝一君紹介)(第一九六〇号)
同外六十五件(木野晴夫君紹介)(第一九六一
号)
同外三十五件(久野忠治君紹介)(第一九六二
号)
同(小坂善太郎君紹介)(第一九六三号)
同外一件(田川誠一君紹介)(第一九六四号)
同外三十三件(辻寛一君紹介)(第一九六五
号)
同外十二件(根本龍太郎君紹介)(第一九六六
号)
同(野原正勝君紹介)(第一九六七号)
同外四十九件(葉梨信行君紹介)(第一九六八
号)
同外二十八件(亀山孝一君紹介)(第二〇四四
号)
同外一件(佐々木秀世君紹介)(第二〇四五
号)
同(佐々木義武君紹介)(第二〇四六号)
同外二十七件(坂本三十次君紹介)(第二〇四
七号)
同外四十八件(塩川正十郎君紹介)(第二〇四
八号)
同外四十九件(田中伊三次君紹介)(第二〇四
九号)
同外四件(谷川和穗君紹介)(第二〇五〇号)
同外百六十五件(永山忠則君紹介)(第二〇五
一号)
同外六十九件(原田憲君紹介)(第二〇五二
号)
私学の財政援助に関する請願(麻生良方君紹
介)(第一九四一号)
同(岡沢完治君紹介)(第一九四二号)
同(鈴木一君紹介)(第一九四三号)
同(吉田泰造君紹介)(第一九四四号)
同(本島百合子君紹介)(第一九四五号)
幼児教育振興に関する請願(太田一夫君紹介)
(第一九四六号)
同(唐橋東君紹介)(第一九四七号)
同(北山愛郎君紹介)(第一九四八号)
同(小松幹君紹介)(第一九四九号)
同(野口忠夫君紹介)(第一九五〇号)
同(長谷川正三君紹介)(第一九五一号)
同(華山親義君紹介)(第一九五二号)
同(森義視君紹介)(第一九五三号)
同(八木一男君紹介)(第一九五四号)
同(山崎始男君紹介)(第一九五五号)
外国人学校制度創設反対に関する請願(板川正
吾君紹介)(第二〇五三号)
同外一件(神門至馬夫君紹介)(第二〇五四
号)
同外五件(武部文君紹介)(第二〇五五号)
同(長谷川正三君紹介)(第二〇五六号)
同(山花秀雄君紹介)(第二〇五七号)
同(山本政弘君紹介)(第二〇五八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の
件
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八号)
文教行政の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
文教行政の基本施策に関し、文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/1
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002・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 第五十八回国会において文教各般の問題を御審議いただくにあたり、所信の一端を申し述べたいと存じます。
本年は、明治百年の記念すべき年でありまして、わが国の歴史と先人の業績を顧みるとともに、わが国及びわが国民の将来にわたる一そうの発展を期する年であります。
この百年の間、わが国は幾多の試練と苦難に逢着しつつも常によくこれを切り抜け、たくましい発展と成長を遂げてまいりました。このことは、もとよりわが国民の勤勉さ、資質の優秀さによるところではありますが、さらに教育の力があずかって大きなものがあったと思うのであります。
今後、わが国が国際社会において、はるかな将来にわたって発展し続けていくためには、伝統的な文化のいしずえの上に、新しい文化や科学をたゆみなく創造し発展させていく必要があると考えます。そのためには、国民特に青少年の一人一人がたくましい精神と身体を養い、高い理想を求め、広い視野に立ち、正しい知識を持って、才能を十分に発揮することが必要であります。
今日、世界各国が相競い、非常な熱意を持って教育の改善充実に力を傾けておりますのも、各国が自国の将来の繁栄と発展への期待を青少年に託しているからにほかなりません。この重大なときを迎え、私は、みずからに課せられました重責に思いをいたし、文教行政の進展のため、一そうの精神を重ねてまいる所存であります。
もとより、文教に関する施策は、一時の思いつきによることなく、遠い将来をおもんばかり、長期的視野に立って、地道にきめこまかく着実に推進していかなければならないと思うのであります。
今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策については、目下、中央教育審議会において検討を進めているところでありますが、以下、当面する文教施策の若干の問題について申し述べたいと思います。
まず、初等中等教育の普及充実につきましては、教職員の資質の向上と処遇の改善をはじめ、施設設備の整理、教職員の定数の充実等についてさらに努力を重ねるとともに、特に教育の質的向上をはかるため、時代の進展と児童生徒の適性、能力に即応するよう教育内容の改善をはかりたいと存じます。また、教育の機会均等の趣旨を一そう推し進めるため、教科書無償の完全実施、教材整備の推進等教育費の父兄負担の軽減や、身体的または地域的に恵まれない条件にある子供のための特殊教育、僻地教育の充実改善等の措置をとるとともに、交通安全教育及び学校給食の充実等にも意を用いてまいりたいと存じます。
また、後期中等教育については、その拡充整備を進め、働きながら学ぶ青少年のための勤労青少年教育の充実等について一そう力を注いでまいりたいと考えております。
私は、真の教育は、学校教育と家庭や地域社会における教育とが相まって行なわれるべきものであると考えております。このため、世界の諸国から敬愛され信頼される国家社会を建設し、充実した個人生活、豊かな家庭生活を築くために必要な社会教育の充実につとめるとともに、青少年の健全な育成のため、体育、スポーツの振興にも一そうの努力を続けてまいります。
第二に、私学の振興について申し上げます。
わが国の教育において占める私学の役割りの重要性にかんがみ、文部省としても従来から私学振興には力を注いでまいりましたが、昨年六月、臨時私立学校振興方策調査会の答申がありましたので、これを契機として、新たに私立大学の経常的教育研究費の助成を行なうこととするなど、さらに私学の振興をはかってまいりたいと存じます。なお、各種学校についても、その役割りの重要性にかんがみ、社会的要請に応じてその制度の法的整備をはかる所存であります。
第三に、高等教育の整備充実と学術の振興について申し上げます。
高等教育に対する国民の要求は、今日ますます増大しつつありますので、国立大学、高等専門学校の教育、研究内容の充実、施設設備の整備についても意を用いてまいります。また一方、大学の規模がますます拡大することに伴い、さらにまた、学生運動の行き過ぎ等にも関連して大学の管理運営体制の確立が問題となっておりますが、私は、大学が、その重要な使命にかんがみ、教育研究のきびしさに思いをいたし、大学の教育指導と管理運営のあり方に徹底的検討を加え、自治の確保と教育研究の充実につとめられんことを衷心より期待するものであります。
学術につきましては、その振興の基本的施策について検討を進めてまいるとともに、科学研究費の増額など研究環境の整備をはかることといたしております。
第四に、文化の振興につきましては、伝統的な文化の保護と新しい芸術文化の創造を推進するとともに、すぐれた文化を広く国民に普及し、特に青少年に親しませるための施策を推進してまいる所存であります。なお、文化行政の機構については、行政の能率化をはかるとともに、芸術文化に関する行政と文化財保護行政との調和をはかり、これらを一体的に推進することができるよう機構の整備を行なうことといたしております。
第五に、教育、学術、文化の国際交流と、発展途上にある国に対する教育、学術、文化に関する国際協力の推進については、留学生教育、東南アジアに対する教育協力の拡充等をはじめ、二国間あるいは国際機関を通じての国際交流と国際協力を一そう推進してまいるとともに、一九七二年に開催される札幌オリンピック冬季大会につきましても、スポーツを通じての国際親善の成果を十二分にあげ得るよう万般の準備を進めたいと存じます。また、もっぱら外国人を対象として行なわれる組織的な教育についても新たに法律上の制度を創設することといたしております。
最後に、沖繩における教育につきましては、その本土復帰の日の一日もすみやかならんことを熱望しつつ、本土の教育との一体化と教育水準の向上のための努力を続けるとともに、小笠原諸島の返還に際しては、教育条件の整備に万全を期したいと考えております。
以上、文教行政の当面する若干の問題について所信の一端を申し述べましたが、これらのうちには予算上の措置のみならず法律上の整備を要するものもあります。私は、文教委員各位の御協力と御援助を得て、これらの課題の解決に努力するつもりであります。文教のことは、申すまでもなく国民各層の熱意と積極的な協力なくしてはその進歩発展を期し得るものではないと考えます。私は、微力ではありますが、今後とも努力を続けてまいるつもりでありますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/2
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003・高見三郎
○高見委員長 次に、昭和四十三年度文部省予算の概要につきまして説明を聴取いたします。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/3
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004・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 昭和四十三年度文部省所管の予算案につきましてその概要を御説明申し上げます。
まず、文部省所管の一般会計予算額は六千五百二十四億九千六百三十三万七千円、国立学校特別会計の予算額は二千五百四億三千八百六十九万六千円でありまして、その純計は、六千九百八十三億六千七百二万五千円となっております。この純計額を前年度当初予算と比較いたしますと、およそ七百五十四億円の増額となり、その増加率は一二・一%となっております。
以下、昭和四十三年度の予算案におきまして特に重点として取り上げました施策について御説明申し上げます。
まず第一は、教育費の負担軽減であります。
このことにつきましては、かねてから努力を重ねてまいったところでありますが、明年度は特に父兄負担の軽減に留意し、教材整備の促進、教科書無償の推進、就学援助の強化、遠距離通学費補助の拡充、学校給食の普及充実につとめましたほか、地方公共団体の超過負担の解消を促進する等の施策を進めることといたしました。
そのうち、まず教材整備の促進につきましては、昭和四十二年度に設定いたしました教材基準の充実を十カ年計画で行なうことといたし、その第二年目の整備充足をすることといたしました。また、教科書無償につきましては、国、公、私立学校を通じて、中学校及び特殊教育諸学校の中学部の第三学年までの児童、生徒に対して教科書の無償給与の措置を講じ、義務教育の教科書無償給与が完成することになりました。
次に、就学援助の強化につきましては、要保護、準要保護児童生徒の就学奨励として、生徒の特別教育活動費を新たに中学校の支給対象品目に加えるとともに、修学旅行費の補助単価の改定を行なうことにいたしております。
次に、遠距離通学費につきましては、対象人員を一万人増加いたしましてその拡充につとめました。
次に、地方公共団体の超過負担の解消の促進につきましては、公立文教施設の単価の引き上げ及び構造比率の改善に特に配慮し、また、義務教育費国庫負担金の給与費のうち政令都府県の給料定額の是正をはかることといたしました。
また、学校給食の普及充実につきましては、完全給食の実施を目途として、引き続き単独校及び共同調理場の給食施設、設備の充実をはかるほか、栄養職員の増員等の施策を行なっております。さらに小麦粉及び脱脂粉乳につきましては、従来のとおり補助を継続することとし、所要の補助金を計上いたしております。
第二は、私学の振興であります。
私立学校の助成方策については、昨年臨時私立学校振興方策調査会の答申により、基本的な方向が示されましたので、その趣旨を十分勘案いたしまして、具体的助成方策について慎重に検討を加え、従来行なってきた助成の拡充改善を行なうほか、新たに経常的教育研究費について助成を行なうことといたしました。
まず、私立学校振興会に対する政府出資金及び財政投融資資金からの融資につきましては、合わせて二百七十億円に拡大し、私学全般の施設の改善充実に充てることといたしました。
また、新たに私立大学の教育研究の充実向上をはかるとともに、経営の健全化に寄与するため経常的教育研究費の助成を行なうこととし、三十億円を計上いたしました。
次に、私立大学理科等教育設備整備費助成及び私立大学研究設備整備費助成につきましても合わせて四十五億円を計上しましたほか、私立幼稚園に対する施設費の補助の拡充等の施策を講じております。
第三は、教職員の資質向上と初等中等教育の充実であります。
まず、教職員の資質の向上と勤務条件の改善につきましては、学級編制の標準を原則として小・中学校いずれも最高四十五人に改めるとともに、特殊学級の増設、充て指導主事の充実等のための増員をはかるほか、新たに給与改善費として十五億円を計上いたしております。
次に、僻地教育の振興につきましては、僻地の教育環境の改善等のため、引き続き各種の施設、設備の充実をはかりましたほか、僻地派遣医の内容の充実等を加えて総合的かつ重点的に施策を推進することといたしております。
次に、特殊教育の振興につきましては、養護学校及び特殊学級の計画的な普及と就学奨励費の内容の改善のため必要な経費を増額いたしますとともに、新たにろう学校の聴能訓練設備及び特殊教育学校寄宿舎設備に必要な経費を計上しております。
次に、後期中等教育の拡充整備につきましては、定時制通信制併置高等学校の設置に要する経費の補助を行なう等引き続き定時制教育及び通信教育の振興をはかるとともに、新たに高等学校の理数科教育に対する設備費の補助等、高等学校教育の多様化に対処するための施設及び設備等に必要な経費を計上しております。
次に、理科教育設備及び産業教育の施設設備の充実につきましては、引き続き新基準による計画的な改善充実を行なうことといたしております。
次に、幼児教育の重要性にかんがみ、父兄の要望にこたえて、引き続き幼稚園の普及整備のために必要な助成を強化いたしますとともに、所要の教員を確保するため、私立の大学及び短期大学の教員養成課程に対する設備の補助を行なうことにいたしております。
また、公立文教施設につきましては、引き続き既定計画の線に沿ってその整備を進め、特に建築単価の引き上げ、構造比率の改善、公害対策等に留意することとし、公立文教施設整備費三百十五億円を計上いたしました。
このほか、前年度に引き続き、教育課程の改善、道徳教育及び生徒指導の充実並びに教職員の研修及び研究活動の推進に必要な諸経費を計上いたしております。
第四は、高等教育の整備充実と育英奨学事業の拡充であります。
国立学校特別会計予算につきましては、前年度の当初予算額と比較して二百三十二億円の増額を行ない、約二千五百四億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの繰り入れ二千四十六億円、借り入れ金二十二億円、附属病院収入二百九十九億円、授業料及び検定料五十八億円、学校財産処分収入五十億円、その他雑収入二十九億円であります。歳出予定額の内訳は、国立学校運営費千九百六十六億円、施設整備費五百三十八億円などであります。
国立大学の拡充整備につきましては、まず、大学入学志願者の急激な増加に対処するための既定計画に沿って、大学及び短期大学の入学定員の増加をはかり、二千七百一人の増募を行なうことにいたしました。このため大学について、一大学の創設、三文理学部の改組、十五学科の新設及び九学科の拡充等を行なうことにいたしました。
次に、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費等各大学共通の基準的経費につきましても、引き続きその増額をはかっております。
また、新制大学における大学院修士課程の拡充、附属病院、附置研究所の整備につきましても配慮をいたしておりますが、特に附属病院につきましては、看護業務の整備についての増員を行なうほか、病院教官の増員等臨床研修に必要な措置を講じております。
次に、専門的技術者育成のため既設の工業高等専門学校六校に各一学科を新設することにいたしました。
次に、国立学校施設の整備につきましては、財政投融資資金及びその他の収入を財源の一部に含めて予算額を五百二十八億円に増額し、一段とその整備の促進をはかることといたしておりますが、なお、施設整備の円滑な実施をはかるため、後年度分において、百七十二億円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。
また、育英奨学事業の拡充につきましては、大学院奨学生及び高等学校特別奨学生の増員を中心として引き続き事業を拡充し、また、私立大学特別奨学生に関する特別な配慮を加える等全体で十二億円余を増額いたしております。
第五は、研究費の拡大と学術の振興であります。
わが国の学術の水準を高め、ひいては国民生活の向上に寄与するため学術研究の推進につきましては、引き続き努力をいたしております。昭和四十三年度予算につきましては、まず、科学研究費を一段と増額いたしますほか、引き続き研究所の整備を行ない、また、ロケット観測、南極地域観測等につきましても、それぞれの目的に応じて必要な経費を計上いたしました。なお、在外研究員の派遣のための経費についても増額計上いたしております。
第六は、青少年の健全育成と社会教育の振興であります。
青少年の教育問題は、近時ますますその重要性を加えており、これに対処するためには学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を用いるべきところであると存じます。
まず、社会教育は、国民の一般的、職業的教養の向上に大きな役割りを果たすものであり、その普及振興は、学校教育の充実とともにきわめて重要なものであります。このため引き続き社会教育指導者の養成確保に一段と意を用い、社会教育主事等の講習会のほか、各般の指導事業の充実強化につとめております。
また、特に青少年健全育成及び家庭教育を重視し、学校外における少年の健全指導事業の拡充、家庭教育学級の充実強化等必要な措置を講じました。なお、青少年の研修、訓練の場としての国、公立青年の家等、青少年教育施設を整備するとともに青少年団体等の育成も強化したいと考えております。
このほか、青少年に対する映画、テレビの影響力にかんがみ、積極的に優良な映画、テレビ番組の製作の奨励及び普及を促進することといたしました。また、社会教育の施設につきましては、青少年教育施設のほか、公民館、図書館、博物館等の施設、設備の整備を一そう推進することといたしております。
第七は、芸術文化の振興であります。
わが国芸術文化の振興をはかるとともにすぐれた芸術文化を広く国民に普及し、また、わが国の伝統的な文化財を保存いたしますことは、国民生活の向上の上からもきわめて必要なことであります。
このため、引き続き芸術の創作活動の助成、地方芸術文化の振興並びに芸術関係団体に対する助成を行なうほか、歌舞伎、文楽等のすぐれたわが国の伝統芸術の保存とその振興をはかるため国立劇場の助成を行ない、さらに国立の美術館、博物館の整備及び公立文化施設整備費の補助を進めるほか、新たに明治百年記念芸術祭特別公演等を行なうため必要な予算を計上いたしております。
また、文化財保存事業につきましては、文化財の修理、防災施設の整備等を一そう充実することといたしておりますが、特に最近国土開発の急速な進展に伴ってその必要性を痛感されております史跡、埋蔵文化財の保護につきましては、特別の配慮を加え、平城宮趾の買い上げ及び発掘調査につきましても必要な予算を計上することといたしました。
第八は、体育、スポーツの振興であります。
体育は、心身ともに健全な国民の育成をはかる上にきわめて重要な意義を持つものであります。
このため、体育、スポーツの普及につきましては、広く青少年一般にスポーツを普及奨励し、その体力の向上をはかるため、水泳プール、体育館、運動場及び柔剣道場等の整備を促進し、また、スポーツテストの普及、スポーツ教室等の実施、スポーツ団体・行事の助成、指導者養成等について、引き続き必要な経費を計上いたしております。このほか、第十九回オリンピック競技大会への選手団派遣に必要な経費を補助するほか、札幌オリンピック冬季大会の実施準備経費を増額計上して、競技施設の建設、設備に一段と力を注ぐことにいたしました。
第九は、国際交流の推進と教育援助の拡大であります。
まず、外国人留学生教育につきましては、その受け入れ体制の強化をはかるとともに、留学生の増員及びその給与の改善を行なうことといたしております。また、国際学術文化の交流を促進するため、引き続き教授、研究者の交流を推進するとともに新たに日独間の文化教育に関する人物交流の促進をはかることといたしました。
なお、最近、特にアジア、アフリカ諸国に対する教育協力の要請が高まってまいりましたおりから、教育指導者の招致、理科設備の供与及び指導者の派遣を実施するほか、新たにアジア諸国への留学生の派遣及び産業教育のための協力に必要な経費を計上いたしております。
さらに、ユネスコ国際協力につきましては、ユネスコ事業への参加体制の強化、日本文化研究国際会議の開催、国際大学院コースの継続等、一段とその事業の推進をはかることといたしました。
以上のほか、沖繩の教育に対する協力援助費につきましては、これを増額し、別途総理府所管として計上いたしております。
以上文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げました次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/4
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005・高見三郎
○高見委員長 この際、ただいまの概要説明につきまして補足説明を聴取いたします。井内会計課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/5
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006・井内慶次郎
○井内政府委員 お手元にお配りいたしております予算要求額事項別表に従いまして、昭和四十三年度文部省所管の予算案につきまして、大臣の説明を事務的に補足説明申し上げます。
第一ページをお願いいたします。
まず、文部省所管の一般会計予算額は、前年度当初予算に比べておよそ六百七十九億円増の六千五百二十四億九千六百三十三万七千円、国立学校特別会計の予算額は、およそ二百三十一億円増の二千五百四億三千八百六十九万六千円でありまして、その純計は六千九百八十三億六千七百二万五千円となっております。この純計額は前年度当初予算と比べましておよそ七百五十四億円の増でございまして、その増加率は一二・一%でございます。一ページの注にございますように、前年度予算額のカッコでくくっておりまする金額は四十二年補正前の当初予算の金額でございます。
以下二ページから重要事項に基づきまして御説明を申し上げます。
まず第一の柱は教育費の負担軽減でございます。
その第一といたしまして、父兄負担の軽減につきましては、大臣から御説明いたしましたように、特に重点的に予算を計上いたしました。すなわち、教材整備につきましては、義務教育費国庫負担金の教材費につきまして、昭和四十二年度に設定いたしました教材基準の七〇%を十カ年計画で整備充足することといたし、その第二年目として、前年度より約六億八百万円増の五十億円を計上いたしました。養護学校教育費国庫負担金の教材費につきましても同様の措置を講じております。
次に、教科書無償の推進につきましては、約十八億三千万円増の百二十六億円を計上いたしております。この内容は、昭和四十三年度の小学校一年から中学校二年までの児童生徒の後期用及び転学用の教科書と、昭和四十四年度の小学校一年から中学校三年までの児童生徒の前期用教科書の購入費などであります。これをもちまして義務教育の教科書無償給与が完成することになりました。なお、昭和四十四年度前期用教科書から購入価格を改定し、定価の九六%から九九%とすることにいたしました。
次に、就学援助の強化であります。まず要保護、準要保護児童生徒の就学援助につきましては、その対象はそれぞれ全児童生徒の三%及び七%で従来と変わりませんが、児童生徒数の減少等により若干金額の下回っているものもございます。しかし、その内容におきましては、学用品費の単価増三%、生徒の特別教育活動費を新たに中学校の支給対象品目に加えるほか、修学旅行費の単価増一〇%などの改善を行なっております。
また、夜間の定時制高校の就学援助につきましては、引き続き給食施設の整備と夜食費の単価の引き上げを行なっております。
五ページにまいりますが、遠距離通学費補助につきましては、対象人員を一万人増加いたしまして、その拡充をはかっております。
次に、地方公共団体の超過負担の解消の促進でございます。この点につきましても、大臣から御説明いたしましたように特に意を用いたところでございます。すなわち、まず公立文教施設整備費につきましては、建築単価について、小・中校舎でいえば鉄筋一〇・二%、鉄骨一一・三%、木造九・六%の引き上げを行ない、また構造比率につきましても約五%の改善を行なっておりまするほか、離島にかかる小・中学校については、現行負担率二分の一または三分の一から三分の二に引き上げることといたしております。なお、新産都市、産炭地域等に対する負担率のかさ上げを引き続き行ない、地方公共団体の超過負担の解消に資することといたしております。
政令県の給料定額につきましては、義務教育費国庫負担金の給与費において、政令四都府県について定められております国庫負担の最高制限給料定額を、前年度に引き続き三%改定することといたしまして、その所要額を計上いたしております。
次は学校給食の普及充実でございまするが、八十三億円を総額といたしまして計上いたしております。すなわち、まず学校給食用物資につきましては、前年度に引き続き脱脂粉乳に対する百グラム当たり四円六十銭の補助、小麦粉に対する百グラム当たり一円の補助を継続することにいたしております。なお、義務教育諸学校の生乳の使用につきましては、これを百六十万石に増加することといたしまして、必要な経費を農林省所管予算に計上いたしております。
六ページにまいりまして、高度僻地学校児童生徒パン、ミルク給食費につきましては、単価の引き上げを行なうほか、新たにマーガリン等の添加物を供することといたしました。
準要保護児童生徒給食費の補助につきましては、単価の引き上げのほか、前年度に引き続き貧困市町村の設置する僻地の学校について特別措置を講じております。
七ページにまいります。学校栄養職員につきましては、共同調理場、単独校合わせて四百十人を増員いたしました。また、給食の施設設備につきましては、単価の引き上げを行なっております。
学校給食用物資の低温流通化促進につきましては、前年度と同じく一カ所設けることといたしております。
第二の大きな柱は、一一ページの私学の振興でございます。
まず、私立学校振興会に対する政府出資金は、前年度と同額の十五億円でありますが、このほか財政投融資資金からの融資が十億円増の二百五十五億円、自己調達資金が七十億円見込まれており、貸し付け資金総額は三百四十億円となっており、これによりまして学生の増募に伴う施設の拡充及び既設大学等の施設整備などに遺憾なきを期しております。なお、貸し付け条件につきましては、一一ページ備考にございまするように、一、貸し付け率の引き上げ、二、経営費の貸し付け年限の延長、三、各種学校の対象範囲の拡大等の改善をはかることといたしました。
次に、新規補助金でございまするが、私立大学の教育研究の充実向上をはかるとともに経営の健全化に寄与するため、経常的な教育研究費の一部を助成するとともに、私立の短期大学の研究設備についても必要経費の一部を補助するために新たに三十億円を計上いたしました。
次に、教育研究設備補助等につきましては、私立大学理科等教育設備整備費及び次のページの私立大学研究設備整備費を合わせまして約二億一千万円を増額いたしております。
第三の柱は、教職員の資質の向上と初等中等教育の充実でございます。一二ページでございます。
まず、教職員の資質の向上と勤務条件の改善につきましては、教職員の研修の充実、各種教育研究団体等の助成などについて、前年度に引き続き各種研修会、講習会等の開催、教育研究団体の助成などを行なうことといたしております。また、新たに教員給与問題の調査研究費を九百六十九万五千円計上いたしまして、教員給与の実態の把握並びに基本的な検討をいたすことにいたしております。
次に、義務教育諸学校においては、約二十九万人の児童生徒数の減少が見込まれておりますので、学級編制の標準を、標準法実施の計画に従い四十六人から四十五人に引き下げることによる増員を見込みましても、なお三千二百四十五人の減が見込まれるのでありますが、反面養護教員、事務職員の増一千三百二十六人、特殊学級の増によりまする担当教員の増一千五百五十八人、充て指導主事の百人の増等を行ないますので、全体で教職員定数の減員は二百六十一人となるわけであります。
また、教職員給与の改善といたしましては、新たに給与改善費といたしまして十五億円を計上いたしました。このほか政令県の給料定額の是正、旅費単価の引き上げ等を行なうことといたしております。以上の措置を行ないました結果、義務教育費国庫負担金の給与費は、総額では前年度より二百十四億円増の三千二百八十八億八千二百万円となっております。
次に、一四ページの教職員によりまする宿日直を廃止する公立小・中学校の施設を保全するために、防火、防犯設備を設置いたしまする経費の一部を補助するために、六千校を対象にいたしまして新たに七億二千万円を計上いたしております。
次に、初等中等教育の充実でございます。
まず、教育内容の改善充実につきましては、道徳教育、生徒指導、教育課程などについて、前年度に引き続き研究推進校の設置、指導資料の作成配付、講習会の開催などを行なうことといたしております。
次に、一六ページに参りまして、僻地教育、特殊教育の振興等であります。
僻地教育につきましては約四十一億円を計上いたしました。その内容としては、教員宿舎のうち、離島に設置いたしまする教員宿舎につきまして補助率二分の一を三分の二に改善したこと、スクールバス、ボート、ジープの台数を増加したこと、寄宿舎居住費のうち、食費、日用品費等の単価の引き上げを行なったこと、僻地派遣医の内容の充実をはかったことなど、全般的にきめこまかく改善を行なうことといたしております。
また、特殊教育の振興につきましては約十七億円を計上いたしております。まず、養護学校十六校、特殊学級千二百学級の増設をはかりましたほか、新たにろう学校聴能訓練設備、特殊教育学校寄宿舎設備の補助を新規に行なうことといたしました。
また、前年度に引き続き、特殊教育推進地区の設置及び特殊教育の総合的研究調査を行なうことといたしております。
さらに就学奨励費につきましても、その内容の充実をはかるとともに、新たに専攻科の学校給食費をその対象に加えております。
二三ページに参ります。同和教育の関係につきましては、高等学校等進学奨励費補助の補助対象人員を大幅に増員いたしましたほか、社会教育関係におきましても事業の強化をはかっております。
次は、後期中等教育の拡充整備でございます。まず、定時制教育及び通信教育の振興につきましては、勤労青少年の生活の実態に即した教育をねらいといたしまして、前年度に引き続き定時制、通信制併置高校三校を設置することといたしましたほか、給食費の単価を引き上げるなど、計十三億七千万円を計上いたしております。
また、すぐあとで御説明いたしますが、高等学校産業教育施設設備費補助及び理科教育設備費のうち、理数科の設備費によりまして高等学校教育の多様化に対処することといたしております。
理科教育設備費につきましては、引き続き新基準による整備を進めるほか、先ほど申し上げました理数科教育設備を含めまして約十三億二千万円を計上いたしております。
次に、産業教育の充実であります。まず、一般設備費及び一般施設費につきましては、新基準に基づく年次計画による整備といたしまして四十五億五千万円を計上いたしております。このほか昭和二十七年度から二十九年度までに購入いたしました設備の更新費一億二千万円、高等学校衛生看護科施設設備費六千五百万円を計上いたしました。また、実習船につきましては、トン当たり単価の改定を行なっております。
三〇ページに参りまして、幼稚園教育の振興でございます。公立の幼稚園につきましては、引き続き計画的に新増設をはかるため百七十五園の新設、百学級の学級増に必要な施設設備費の補助を行なうことといたしておりますほか、私立幼稚園につきましても、施設設備費補助といたしまして一億三千万円を計上いたしております。
次に、学校保健、学校安全の改善につきましては、三一ページにございますが、児童生徒の交通安全のために新たに交通安全教育センターの補助金を計上いたしますとともに、さきに御説明いたしましたように、僻地学校における保健対策につきましても配慮しております。
次は、三三ページの公立文教施設の整備でございます。昭和四十三年度は第二次五カ年計画の最終年度として、既定計画に従って整備が進められるわけでございます。二十億円増の三百十五億円を計上いたしております。このうち建築単価及び構造比率につきましては、先ほど御説明いたしましたような改善を行なっておりまするが、各事項ごとの事業量、補助率、それから単価、構造比率につきましては、三三、三四、三五、三六ページにわたりまして備考に資料を掲げておりますので、ごらんをいただきたいと思います。なお、事業量につきましては、社会増地域における教室不足の解消等の措置を講じております。
第四の大きな柱は、高等教育の整備充実と育英奨学事業の拡充であります。
まず、国立大学の拡充整備のうち、学生入学定員につきましては、前年度に引き続き入学志願者の増加を背景として、かなり大幅な定員増を行ないまして、大学で二千六百一人、短大で百人、計二千七百一人の増となっております。その具体的な内容といたしましては、九州芸術工科大学の創設、千葉大学、愛媛大学、高知大学の各大学の文理学部の改組、学科の新設、拡充改組、学生増募等をその内容としております。
教官当たり積算校費、学生当たり積算校費等の基準的経費につきましては、それぞれ五%の増額を行なっております。
三八ページの附属病院関係でございますが、北海道大学等五大学の歯学部附属病院の整備をはかるほか、附属病院管理の円滑化及び研究生の指導体制の確立に資するための病院教官百人の増、及び研究生等が実際に診療に従事する場合の診療協力謝金五億五千六百万円等を計上いたしました。
次に、国立学校施設の整備であります。前年度より十八億七千万円増の五百十六億七千万円を計上して、さきに御説明いたしました学生増募その他に対処することといたしております。このほか国庫債務負担行為限度額として四十四年度分百七十二億が認められております。
次に三九ページ、国立高等専門学校の拡充整備につきましては、既設の六校に各一学科を増設するほか、全療制度実施に伴う管理要員の増員等を行なうことといたしております。
公立大学の助成につきましては、理科教育設備の助成を四百四十万円、研究設備の助成を三百三十万円増額するとともに、公立大学在外研究員派遣費補助を新規計上いたしております。
次は四〇ページ、育英奨学事業の拡充でございます。日本育英会への貸し付け金は約十二億円増の約百三十三億円でありますが、このほか返還金からの充当が約三十二億円ほど見込まれますので、事業量総額は約百六十五億円となる予定であります。また、その内容につきましては、一般貸与につきまして大学院の奨学生の増員、特別貸与につきまして高等学校及び大学学部の奨学生の増員をはかっております。
なお、前年度に引き続き、日本育英会の特別奨学生のうち、私立大学に進学する者につきまして貸与月額を五〇%引き上げ、自宅七千五百円、自宅外一万二千円といたしております。
第五の柱は、四十一ページの研究費の拡大と学術の振興でございます。
まず、科学研究費につきましては、約八億三千万円増の五十億円を計上いたしましたが、特に小事項のうちの科学研究費は二〇%増となっております。
次に、重要基礎研究の推進であります。まず、研究所につきましては、東京大学社会科学研究所の改組を行なうほか、既設の研究所の整備充実をはかっております。
そのほか、四二ページになりますが、第十次南極地域観則に要する経費約七億九千万円、科学衛星及びロケットによる宇宙空間の観測に要する経費約三十億四千万円、巨大加速器に関する基礎研究に要する経費二億五千万円を計上して、これらの重要な研究を推進することといたしております。
なお、在外研究員等の派遣人員を増員して、一そう充実をはかっております。
第六の柱は、四十三ページの青少年の健全育成と社会教育の振興でございます。
まず、青少年教育の振興につきましては、少年の遊び場の不足、交通等による事故の頻発、少年非行の深刻化等の現状にかんがみ、市町村が少年の健全な遊び場の助長、団体活動の促進等を通じて、学校、家庭外における少年の生活指導のために要する経費を新規に補助するほか、青少年教育の振興をはかるために行なう青年学級、留守家庭児童会、勤労青年学校等の運営に要する経費の補助を行なうことといたしております。
次の家庭教育、婦人教育の振興につきましては、家庭教育学級を一千学級増設してその拡充をはかっております。
次の青年の家等の拡充整備につきましては、国立中央青年の家の全面改築をはかり、既設の青年の家を整理充実するほか、地方公共団体に対し、青少年活動の拠点となる青少年施設の施設整備費を補助するために要する経費を計上いたしております。
次に、社会教育団体の育成助長につきましては、民間の社会教育関係団体が行なう青少年の社会奉仕活動、国際交流等の事業に対しまして補助するため一億一千万円を計上いたしております。
社会教育の施設整備でございますが、公民館につきましては八館の増、図書館につきましては、館の増と、図書購入費の単価を三百五十円から六百円と増額をいたしました。そのほか博物館等合わせまして約五億二千万円を計上いたしております。
映画、放送等の教育利用の促進につきましては、前年度に引き続き教育テレビ放送の実施委託の拡充をはかるほか、新たに既設地域視聴覚ライブラリーにおける視聴覚教材の整備を促進するため、教材フィルム購入費を補助するために要する費用を新規計上いたしました。
第七の柱は、四六ページ、芸術文化の振興でございます。
まず、文部省で明治百年記念事業を実施するため、芸術祭特別公演等の経費といたしまして八千万円を計上いたしております。芸術祭特別公演としてアジア民族芸能祭を実施することとしております。
次に、芸術団体の助成につきましては、日本近代文学館への補助を行なうこと等を含め、前年度より千八百万円が増額されております。
次に、地方芸術文化の振興として、地方文化施設整備費補助七千五百万円、青少年のためのオペラ、新劇などの地方公演に要する経費二千六百万円、また、芸術家の長期在外研修を行なう経費一千二百万円をそれぞれ計上いたしております。
国立劇場に対しましては、一般管理費等その運営に要する補助金四億二千万円を計上しました。
次に、国立博物館、美術館等の整備につきましては、施設設備及び特別展の経費等を計上いたしまして、その充実につとめることといたしておりますが、特に東京国立博物館の東洋館の新営落成、東京国立近代美術館の新館移転、奈良国立博物館の陳列館新宮等が目立っております。
次は、四九ページの文化財保護の推進でありますが、まず、国宝等の保存修理、防災施設の充実につきましては、引き続きこれらに必要な経費の増額をはかり、七千六百万円増の十億四千万円を計上いたしております。
次に、史跡埋蔵文化財等の買い上げ及び環境整備等の促進につきましては、最近の急速な国土開発の進展に伴い、史跡名勝天然記念物及び埋蔵文化財の保護対策のため、史跡等の買い上げ補助を約九千万円増額するとともに、昭和三十八年度から始められた平城宮跡の買い上げの最終年度として約一億三千万円を計上いたしております。
第八の柱は、五一ページの体育・スポーツの振興でございます。
まず、体育・スポーツ施設の整備につきましては、水泳プールを六百カ所から六百五十カ所に、国民柔剣道場を十カ所から十五カ所にそれぞれ拡充し、新たに野外活動施設一カ所を設置するなど、体育施設整備費補助十一億五千万円を計上いたしております。
また、国立競技場、オリンピック記念青少年総合センターにつきましては、一般管理費等その運営に要する補助金をそれぞれ計上いたしております。
体育・スポーツの普及奨励のための組織の育成と指導者の養成につきましては、明治百年を記念した全国青年大会開催費として五百万円増の一千万円を計上するなど、増額につとめておりますが、その内容はおおむね前年度と同じでございます。
五四ページにまいりますが、スポーツの国際交流につきましては、第十九回オリンピック競技大会等の選手派遣費といたしまして、スポーツの国際的な大会に要する経費約八千六百万円を計上いたしました。
次に、五五ページの昭和四十七年二月に開催されます札幌オリンピック冬季大会の準備の経費でございますが、国が施工主体となって整備いたします施設費といたしまして約二億九千万円、地方公共団体並びに札幌オリンピック冬季大会組織委員会がそれぞれ施工主体となって実施いたします施設整備費補助約六億六千万円、また、選手育成強化対策費といたしまして約一億四千万円等、全体として十二億四千七百万円を札幌オリンピック冬季大会経費として計上いたしております。
なお、国庫債務負担行為として、国が施工主体となるもの約三十五億、地方公共団体並びに札幌オリンピック冬季大会組織委員会が施工主体となるもの約六億円が認められております。
第九の柱は、国際交流の推進と教育援助の拡大でございます。
まず、留学生教育の拡充につきましては、新たにアジア諸国四カ国に対して日本人留学生を派遣する経費を計上いたしました。
また、国費外国人留学生の新規受け入れの数を三十五人増員するとともに、奨学金の単価を月三万円から三万三千円に増額することといたしました。
さらに、日本国際教育協会に対する補助のうち、東京の駒場の留学生会館の女子寮を増築することといたしました。
次に五七ページ、国際学術交流の推進でございますが、前年度に引き続き文化協定締結国等との学者交換といたしまして約千八百万円、日米間の文化教育に関する人物交流の促進として約千四百万円を計上するほか、新たに日独間の文化教育に関する人物交流として十人分の派遣費を新規計上いたしております。
次に五八ページにまいりまして、アジア・アフリカ諸国への教育援助の拡大につきましては、AA諸国への教育協力を推進するため、AA諸国の五カ国に対し理科教育、産業教育の現職教育のための指導者五人の派遣、またそれぞれに必要な理科教育、産業教育設備を供与する経費、及びAA諸国五カ国から教育指導者各一人を招致するための経費等、合わせまして約二千九百万円を計上いたしました。
最後に、ユネスコ活動の推進でございます。まず、ユネスコ事業への参加体制の確立のため、わが国の国内ユネスコ活動を一そう促進するとともに、ユネスコ活動に関し、アジア地域諸国と連携を密にいたしまするため約二千三百万円、ユネスコ活動への協力としてアジア地域諸国の期待にこたえ、わが国がユネスコの事業計画に対し積極的に協力するために必要な経費といたしまして約三千七百万円を計上いたしました。
以上で補足説明を終わります。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/6
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007・高見三郎
○高見委員長 この際、小林信一君より発言を求められております。これを許します。小林信一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/7
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008・小林信一
○小林委員 ちょっと質問しますが、この文化財の予算というものはやはり文部省がひっくるめて発表するものですか。文化財なら文化財の委員会として出すんじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/8
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009・井内慶次郎
○井内政府委員 文部大臣が所管いたしまする予算といたしまして一般会計と特別会計とございます。特別会計は国立学校特別会計でございまして、一般会計の中で文化財保護委員会関係の経費も文部大臣所管の予算、こういうふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/9
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010・小林信一
○小林委員 了解いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/10
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011・高見三郎
○高見委員長 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/11
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012・高見三郎
○高見委員長 政府より提案理由の説明を求めます。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/12
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013・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず第一は、国立大学の学部の設置についてでありまして、千葉大学に人文学部及び理学部を、愛媛大学に法文学部及び理学部をそれぞれ設置しようとするものであります。これらの学部の設置は、既設の文理学部を改組してその教育研究体制の整備をはかろうとするものでありまして、一方、これは大学入学志願者の急増に対処する国立大学の拡充整備計画の一環ともなるものであります。
なお、文理学部の改組につきましては、昭和四十年度から実施してまいりましたが、これをもって計画は一応終了するわけであります。
第二は、国立大学の大学院の設置についてであります。
これまで大学院を置かなかった国立大学のうち、充実した学部を持つ茨城大学、大阪教育大学、香川大学及び高知大学の四大学に修士課程を設置し、もってその大学の学術水準を高めるとともに、研究能力の高い人材の養成に資そうとするものであります。
以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/13
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014・高見三郎
○高見委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/14
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015・高見三郎
○高見委員長 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。
理事各位と協議の結果、文化財保護に関する調査のため、小委員十一名よりなる文化財保護に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/15
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016・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/16
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017・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認め、小委員に
有田 喜一君 久保田藤麿君
河野 洋平君 谷川 和穗君
中村庸一郎君 西岡 武夫君
小林 信一君 斉藤 正男君
長谷川正三君 鈴木 一君
有島 重武君
以上十一名の方々を指名いたします。
なお、小委員長には中村庸一郎君を指名いたします。
なお、小委員及び小委員長の辞任の許可、小委員及び小委員長の辞任に伴う補欠選任並びに小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合の、その期日、人選、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/17
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018・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/18
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019・高見三郎
○高見委員長 次に、文部行政の基本施策に関する件について質疑の通告がありますので、これを許します。谷川和穗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/19
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020・谷川和穗
○谷川委員 いずれの国家におきましても、教育の問題はきわめて重大な問題である、それぞれの民族の将来を決定する大きな問題だ、こういうことで、その国の施策の最重点施策に置かれておるのが普通であろうと思います。特に近代国家におきましては、その国家の形成の度合いがきわめて変化に富む過程に今日あるというようなことから、ことのほか教育の問題につきましては論議が集中をいたしておるように感じます。
私ども衆議院の文教委員会に籍を置きます委員一同も、そういった観点から先ほど来文部大臣の所信表明その他について聞いてまいったのでありますが、特に大臣にお尋ねをいたしたいのでございますけれども、大臣の所信表明の中にも、長期的な展望のもとに正しい姿勢で基本的な教育計画を打ち立てたい、そして着実にそれを前進させていきたいんだ、こういう言い回しがございました。ついては、特に私が前段申し上げましたような理由を踏まえて、今日の中央教育審議会における審議の状況と今後の見通し、さらには今後文教行政を担当なさいます大臣として、一部に、たとえば国防教育などの問題について大臣から御発言があったような報道もございます。この真意はいずれにあったのかということもあわせてこの際最初にお伺いを申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/20
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021・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 お答えをいたします。
わが国の学校教育は、過去一世紀にわたりまして長足の進歩を遂げ、その普及度は国際的にもきわめて高い水準にあるものと考えます。わが国の近代国家としての成長と発展にきわめて重要な役割りを果たしてまいりましたことは明らかであろうかと思うのであります。
一方、現在の学校教育につきましては、新学制発足後二十年を経た今日、制度的にもまた内容的にも多くの問題点が指摘せられておるわけでございます。その総合的な検討がいまや要求されておると思うのであります。さらに技術革新の急速な進展と社会の複雑化とは、今後における学校教育にますます多くの新しい課題の解決を要求することが予想されるのであります。そこで文部省といたしましては、昨年七月中央教育審議会に対しまして「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」という諮問を行ないました。わが国の学校教育のこれまでの実績を再検討し、問題点を明らかにいたしました上で、今後における国家社会の進展に即応して、長期的な展望のもとに学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について現在御審議を願っておるわけであります。今後の審議は、おおむねまずこれまでの学校教育の実績の分析、評価、それから本審議会で改善方策を検討すべき重要な問題点は一体何か、将来に向かっての予測または目標をどのように決定するか、また問題点の解決と将来の目標達成のための基本的施策の検討、こういうような順序で審議が進められるものと存じておる次第でありますが、大体昭和四十三年度末までに、いま申しましたうちで、これまでの学校教育の実績の分析、評価でありますとか、あるいはこの審議会で改善方策を検討すべき重要な問題点の決定、こういう事項に関する審議を終了することで一応のめどが立っておるようなわけでございます。せっかく御検討を願っておるところであります。
それから、私が国防教育について発言をしたということでいろいろ問題を起こしたような気がするのであります。これにつきましては、私はあまり言いわけがましいことを申し上げるのは好みませんので、特に弁解をしたこともないのでありますが、せっかくのお尋ねでございますので、私のこの問題についての気持ちをひとつ申し上げまして御了解をいただきたいと思うのであります。
私の発言は、新聞にかなり大げさに伝えられておるのでありますけれども、実はそのような意図を持って特に発言したものでも何でもないのであります。新聞の記者諸君と懇談をいたしております際に、つまりいろいろな問題があったわけでありまして、いろいろなことをかってにしゃべっておったのでありますが、その際にはしなくも出たことばでありますが、しかし、その際申したことは、私は別に間違ったことを申したとも思っておりません。私の平素の考えがそのままに出たのであります。そういうことでありますので、措辞その他においてもふぞろいの点もありましょうし、また決して整った発言でも何でもない、こういうことであったのであります。
その心持ちは、先般衆議院の本会議で社会党の山内君からの御質問もございまして、その際にもいろいろ申し上げたところでございますが、現在御承知のように学校教育の中で国防教育とか防衛教育とかいうふうなものを取り立ててやっていないことは皆さん御承知のとおりであります。私もまた別にこれをやろうとは思っておりません。一体国防教育とは何か、防衛教育とは何かということすら実はよくわからないのであります。そういうようなものを取り立ててやってもおりませんし、またやろうとも思っておりませんけれども、あるいは道徳の時間とか、あるいは歴史の時間とか、国語の時間とか、いろいろな科目を通じまして御承知のように国に対する理解と愛情を高めていく、こういうふうなことが行なわれておるわけであります。私は、国に対する理解を高め、あるいは愛情を養っていくということは、国のために国民が尽くしていく、あるいはまた国を守っていく、こういうような心持ちに通ずるものと考えておるのであります。現在の教育の中においてそのようなものがすでにあると申し上げてもよろしいと思うのであります。いやしくも独立国の国民である以上、その国を愛しその国に尽くしその国を守っていく、この資質はどなたも持っておらなければならない大事なものじゃないかと思うのであります。そうであるといたしまするならば、やはりそのような心情と申しますか、意識と申しますか、そういうふうなものは幼いうちからだんだんとつちかっていくのが適当ではないか、このようなことを実は申したのにすぎないのであります。この考えは何もそういうことを佐藤さんが何か言ったから急に言ったとかなんとかいうような意図的なものでも何でもございません。平素私の考えておる点がそのまま出たということでございます。そのように御承知を願いたいと思うのであります。
さらにふえんして申し上げますれば、私の申し上げました国に尽くすとか、国を守るとかいうようなことは、およそいかなる国においても国民として当然持っていなければならない大切なものではないか、このように存じます。これは私をして言わしむるならば政策以前の問題でございます。国を守るためにいかなる政策をとっていくか、こういうふうな問題はそれぞれ考え方があろうかと思います。しかし、いかなる政策をとり、いかなる方法を考えるにいたしましても、基本的にはそのような心持ちというものがぜひなければならぬものではないか、こういうような考えでございまして、政策論議以前の問題というような気持ちでものを言ったつもりでございます。同時にまた、学校教育の場に、いわゆる国防の問題でありますとか、安全の問題でありますとかということに関する各種の政策論議をそのまま持ち込んでいくということは、むしろ私は賛成しがたい問題でございます。またしかし、子供の発達段階に応じましてはそういうことも当然学校の中で議論の種にもなろうかと思います。そういう際にも、教師としてはきわめて慎重な態度をもって指導をしてもらいたいものである、かようにむしろ考えておるものでございます。要するに、安全保障条約がどうであるとか、自衛隊がどうであるとかというようななまの政策論議をそのまま持ち込んで、どちらがいいのか悪いのかというような議論をせられるという問題でなくて、政策以前の問題として、いやしくも独立国民でありますならば、国のために尽くしていく、国を守っていく、そういう心情なり意識なりというものは小さいうちから養ってもらいたい。そのやり方につきましては、これはわれわれがかれこれ言うべきことじゃない、専門の教育者の皆さんが十分研究せられまして、子供の発達段階に応じて適切な指導教育をやってもらいたいというのが、私の教職者諸君に対する期待であります。そういう心持ちで申したということを御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/21
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022・谷川和穗
○谷川委員 最初に私は、国家が形成されて、特に近代国家というものはまだその発展の途上にあって、それがゆえに非常に大きな社会的変革を遂げているのだということを前提に教育問題に入ったわけでございまするが、まあそういったものは後ほどまたあらためていろいろな制度論でお聞きいたしたいと思うのであります。
この際一点お伺いをさしていただきたい。常々考えておったことでございますが、ただいまの大臣の御発言の中にもしばしば出てまいりましたことに、学校教育というものがあります。私は、文部省が文部行政を行なう以上、当然学校教育に対する文部省の立場というもの、これが明治以来伝統的に非常に大きなウエートを占めてきたものだということを否定するものでございません。しかしながら、教育というものは、やはりこの大臣の所信表明の中にも「学校教育と家庭や地域社会における教育とが相まって」云々ということばがございます。私は青少年育成の問題を考えた場合には、特に社会教育とか、あるいは家庭における教育であるとか、体育、スポーツ、こういったものが果たす役割りというのは非常に重大なものがあると思うのでありますが、この点につきまして大臣の御所見をお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/22
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023・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 今日の教育を考えます場合に、私は、先ほどの所信表明でも申し上げたわけでございますけれども、ただ学校教育のみでやっていけるものではないと思います。広く申せば、結局現在の日本を背負っておるわれわれおとながすべて協力して教育の実績をおさめるためにやっていかなければならぬ。幾ら学校で先生方が骨を折られましても、家庭がなってないということになりますれば健全な育成は望みにくい。あるいはまた、一歩社会へ出れば、外へ出れば、子供の人格形成上好ましからざる現象は随所にある、こういうような状態のもとに教育の実績をおさめることも困難ではなかろうかと思うのであります。非常に広くものを考えれば、おとながそれぞれその責任を全うするということが何よりも大事な基礎条件じゃないか、かようにさえ思うのでございますけれども、いま御指摘のように、私は、青少年というものを考えましたときに、青少年が、近ごろよく言われることばでありますけれども、自分さえよければよいとか、自分たちの家族さえしあわせであればそれでよいとかいうような考えだけで人生を送るということはいかがであろうかと思うのであります。安易な現実主義に流れることがなく、自分が自分の力を生かして、ただ単に自分たちのためだけでなく、世のため人のために何をなし得るかというようなことについて深く青少年に考えてもらうということが、教育といたしましても非常に重要なものじゃないかと思うのでございます。
文部省は、従来から学校教育の充実ということにつとめることはもちろんでございますけれども、家庭及び社会における教育を振興するためにだんだんと施策を講じてまいりました。四十三年度におきましては、先ほど御説明いたしましたように、青少年教育施設の拡充整備だとか、青年に対する学習機会の提供でありますとか、青少年団体の活動の助長でありますとか、少年健全育成であるとか、あるいはまた家庭教育の振興でありますとかいうような、いわゆる社会教育についての施策も、私は決して十分とは申しませんけれども、年々努力を続けてまいったところでございます。ことにまた青少年の体育あるいはスポーツの振興のごときは、青少年のたくましい人格形成の上から申しましても、また秩序、規律を尊重する人間形成の上から申しましてもきわめて有意義なものである、かように考えて、この方面には特に留意してまいりたい、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/23
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024・谷川和穗
○谷川委員 ただいま大臣の御答弁をお伺いしておりまして私は非常に同感を感じたのでございますが、その点は、すなわち教育というものは制度の拡充整備だけではその目的は達せられないのだ。人づくりである以上はやはり指導理念の確立というのが非常に大事なんだ。その方面では学校教育ばかりでなく、広く一般社会全体、あるいは家庭をも巻き込んでということばを使うのはおかしいかもしれませんが、とにかくともども今後教育行政を担当していきたい。こういう大臣の御所見に対しましては私は全幅の賛意を表したいと存じます。
ついては、大臣の所信表明の順序にのっとっていろいろとお伺いしたいと存じますが、大臣御退出の時間の関係もおありになると思います。ひとつ最初に大学問題についてお伺いをいたしたいと存じます。
昭和三十八年の一月に文部大臣になされた中教審の答申の中に、新しい大学観と申しますか大学の使命、大学の果たすべき社会的機能についてこう答申をされております。すなわち学術研究、職業教育とともに市民的教養を与え、人間形成を行なうこと、これが戦後の新しい大学観として確立されるべきものなんだという意味の答申がなされておりますところが、その答申のあとに大学——あるいは高等教育、こう言ったほうが正しいかもしれませんが、高等教育に対する人口の殺到、こういったような問題から、どうも教師と学生との間の人間的な接触が減少しつつあるという点を指摘をいたしております。
私は今日の学生問題を考えた場合に、この答申は三十八年度に出されておりますけれども、これとまた違った面の問題が起こってきておるのではなかろうかというふうな感じがいたしております。すなわち、一部の学生の諸君の中で学生の自主的活動の意義というものを誤解をして、その限界を逸脱をしておるような行為が見られるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。私自身は、日本の大学の中で確立された——これは明治以来われわれの先輩が営々として確立しきたったことであって、あの激しかった軍閥政治のもとにおいてすらそのよき伝統を保ちきたったという意味で、私はその先輩のなされたことに非常に敬意を表するわけでございますけれども——確立をいたしてきた大学の自治というものは、あくまで学問の自由を確保するためそれが一番いい制度なんだという、そういう制度的自治をさしておるものであると思っております。したがって、学生の行なう自主的活動と、それから大学の自治というものの中にはおのずからいわゆる限界といいますか、違った次元のものがあるのだというふうに考えるのは当然だと思っております。こうした明治以来今日まで確立された大学の制度的な自治と、それから学生の行なう自主的活動の節度と限度、こういうものについて大臣はどういうふうにお考えになっておるか、文部大臣の御見解をお伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/24
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025・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 きわめて重要な御質問であると思うのでございます。大学につきましては、いわゆる大学の自治というものが認められておりますことは仰せのとおりでありまして、御承知のように学問の自由を実質的に保障するために、大学における教育研究につきましては大学が自主的に決定して行なうという、いわゆる大学の自治というものが従来から認められておるところであります。ただ、御質問にもありましたが、このいわゆる大学の自治と学生の自治というものとの間に何か大きな混乱を生じておると申しますか、紛淆を生じておるように見受けられることはまことに遺憾に存じております。学生の自治につきましては、これはいわゆる大学の自治とは次元を異にするものと私は考えます。学生の自治につきましては、これが現に各大学において認められておりますのは、学生生活における自律性を涵養していくとか、あるいはまた社会性の陶冶でありますとか、あるいは学生相互の啓発等の、いわゆる教育的意義に基づくものであると考えるのであります。すなわち、大学教育の一環として私は学生の自治というものは認められておると思うのであります。したがって、大学によって認められておりますところの学生の自治には私は一つの限界があろうかと、かように考えております。むろん学生固有の自治権というようなものを認めておるものではないと存じます。しかし、最近における一部学生の行動は、あたかも大学の自治の一部として学生にも固有の自治権があるかのごとく考えて行動しておるのじゃないか、このように思われる行動をしばしば行なっておるのであります。中には大学当局の管理、責任体制までも否定するかのごとき言動に出ることが少なくないのであります。これは本来の学生の自治活動の限界を逸脱したものといわざるを得ないのであります。一部の大学におきます学園紛争におきましては、学生が学校管理にまで自治権を主張しておる、こういうような事例もあるようであります。学校においていわば教育される立場にある学生の手に学校の管理権をゆだねるというようなことは、これは許されないことであります。また、学生が大学における規律を無視いたしまして、知性に欠けた暴力行動を行なうような場合におきましては——これが現在随所に見受けられる現象であります。そういうような場合におきましては、大学としてはその教育責任の重大性ということに思いをいたされまして、厳正なしかも深い愛情をたたえた態度をもってこれに臨む必要があろうかと考えます。
〔委員長退席、坂田(道)委員長代理着席〕
また、学外におきまして、学生は一個の市民としての立場を持つということもいえるでありましょう。しかし、よりよき人間形成の途上にある修学中の学生としましては、やはり学生の本分にもとらないような行動をぜひとってもらいたい、それが当然ではないか、かように私は考えます。いわゆる全学連傘下の一部学生の一連の行動は、本来の目的であるところの好ましい学生の自治活動とは認められない政治的活動、秩序破壊の暴力的行動でありまして、それが本来の学生の自治活動を許されておる趣旨に反することはまことにはなはだしいものがある、こう申してもよろしいのじゃないかと存じます。大学としましても、このような意味における学生の行動につきましては、その指導に十分留意いたしまして、教育の任に当たる側の責任を全うしてもらいたいものと強く期待をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/25
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026・谷川和穗
○谷川委員 私は、今日こうした学生運動の行き過ぎなどにも関連して、大学の管理運営体制の確立が問題となっておる——大臣の所信表明の中にございまするが、こういった問題が起こるのはやっぱり時代の進展が非常に激しいということが第一点。それによって大学の果たすべき社会的機能もいま大きな変遷を遂げつつある途上なんだということ、これが第二点。これでいろいろな問題が起こってきている面が確かにあるというふうに考えております。
ついては、この大臣の所信表明の中に、大臣としては、大学が管理運営のあり方に徹底的検討を加え、自治の確保と教育研究の充実につとめられんことを衷心より期待する、こういうふうにございまして、大学のいわゆる自主的な管理運営に対する検討、これを自分としては期待してみたいのだという基本的な姿勢をお打ち出しになっておられます。私はそれでけっこうだと思いまするが、ただ今日、国民一般の間には大学の管理体制に不信感を抱き始めた向きが確かにございます。そして大学の管理体制の中にどこか欠陥があるのではないか。あるいは国立大学についていえば、大学それぞれによって管理職の範囲が区々になっておる、それぞれ違うのだというようなことも国民が聞いて、どうもこういうことのために大学の管理運営がむしろ乱されて、そのために最も大事な大学の自治、これが逆に一方的に侵され始めてきておる危険があるのではないかという不信感を抱き始めておるように私は感じておるのでありますが、この点につきましては、ひとつ事務当局からでけっこうでございますが、御答弁をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/26
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027・宮地茂
○宮地政府委員 大学の管理運営につきましては、実は御承知のように学長を長といたしまして、その下に教育的な学問的な系統としましてはそれぞれ学部長あるいは教養部長、こういった一連の組織がございます。また、それらの事務を扱うものといたしましては、事務局長以下の一連の組織がございます。
大学の管理運営と申します場合に、いわゆる建物の管理、このほうは国有財産法に基づきましていろいろな管理がなされておるわけでございますが、ただ大学という有機的な組織体、営造物、こういう観点から、やはりこの管理問題としてはいろいろ問題が起こってこようかと思っております。
また、お尋ねの管理職でございますが、これは大学当局が人事院と協議して管理職の範囲を定めるということで、ある大学によりますれば、管理職とは学部長あるいはせいぜいその下のそれぞれの学科の主任といった程度のところ、中には少なくとも教授全員である。いろいろ一般の企業体等の管理職と大学の管理職というものとはなかなかむずかしい面もございますし、個々の大学におきまして、これは学問研究の自由ということとも関連いたしまして、今日まで一律にこうだという規定を定めがたい現状になっております。
それからついででございますが、大学の自治ということから、組織体としての大学、特に管理運営につきましては教授会というものがございますし、また評議会といったものもございます。ただ遺憾ながら、教授会あるいは評議会が、人事の問題につきましては教育公務員特例法によりましてそれぞれの権能、職分が規定されておりますが、その他の面につきましては特に法制的に整備されていないということで、各大学によっても違いますが、さらには学長といたしましては、あらゆる問題につきまして教授会、評議会で決定をして、その決定に学長はただ従って、教授会、評議会のきめた範囲内においてのみ動くといったような慣行になっております。いろいろな点で管理運営につきましては現在問題もございますし、文部省としても、これを法的に整備するか、あるいは大学自身の人の自覚によって行なうか、いろいろ問題がございますが、現状はそういう状況で、ともかく検討し、すっきりしていかなければならないという現状にあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/27
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028・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 大学の管理の問題につきましては、御指摘のように現在いろいろ問題があるわけでございます。ことに近来の一部学生の暴走、それに対する大学の能力、こういうふうな点からいたしまして、いろいろ論議の的になっていることは、そのとおりであります。私は、いまのような状態がそのまま継続することになりますというと、いわゆる大学の自治そのものが危うくなってくる、このようなむしろ心配をいたしております。また、大学の当事者といたしましても、現在は、ほんとうにどうすればいいかという問題について苦悩しておる段階であろうかと、実は考えるのでございます。この問題は、ひとり大学だけの問題でもないと私は思います。ことに現在のような一部学生の暴走、こういうふうなことをとらえて考えまするときに、その原因はいろいろあろうかと考えます。また、学生諸君に対して同情すべき原因も多々あろうかと思うのであります。それからまた、大学教育だけが問題となるべきではなくして、やはり学校教育全体を通じて考えさせられる問題もあろうかと思うのであります。また、国立大学を例にとって申せば、その設置者であるところの政府が、はたして国立大学に十分なことを今日までやってきておるかどうか、国立大学の施設設備の不完全、こういうふうな点にも、政府としては考えなければならない点があるということを率直に認めなければならないと私は思うのであります。原因はきわめて複雑であり、多岐に分かれておると思うのでありますが、当面する問題として考えましたときに、何と申しましても、やはり大学の当局が責任を持って、みずから主張しておられますところの大学の自治を守っていくという、この強い決意と覚悟というものが必要ではないかと存じます。だてに大学の自治というものが認められておるのではないのであります。やはり国民諸君の信頼のもとに大学自治というものは認められておるわけでございますから、そういう意味におきまして、その責任を少なくとも全うするために格段の努力をしてもらいたいというのが、私の衷心からの希望でございます。私は、やはり学問研究の自由というようなことを考えまするならば、それにふさわしい学園であってほしいのであります。しかも、それは大学の自治を標榜せられる各大学の責任者が責任を持ってやっていくと同時に、ここに学ぶ学生諸君もともどもに協力して、自分たちのりっぱな学園をつくっていく、こういう気持ちでやってほしいと思うのであります。
それをいたしまするにつきましても、何と申しましても、現在の責任者である大学の当局者がその責任を全うするために格段の努力をしていただきたい。もちろん、政府といたしましても、これに対しまして決して協力を惜しむものではないのであります。大学の自治を大学の当事者だけにまかしておいて、それでよいというふうに私は単純には考えておりません。われわれとして協力すべきことは、やはり協力していかなくてはならぬ。こういう反省のもとに、いまさまざま申し上げておるわけでございますけれども、ともかく大学の自治をあくまでも主張しておられるのが現在の大学の諸君であります。また、これはきわめてりっぱな理想であると考えるのであります。この大学の自治は私も尊重してまいりたい。その尊重というたてまえの上に立って、われわれも及ばずながら御協力をしますけれども、大学の責任者が一そうその責任を自覚して真剣な努力をしてもらいたい。どの程度の成果があがるかというような問題よりも、真剣に努力するという態度が私としては最も期待するところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/28
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029・坂田道太
○坂田(道)委員長代理 関連して河野洋平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/29
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030・河野洋平
○河野(洋)委員 大臣のお話で、私はほとんど了解をいたしたのでございますが、非常に大事な問題、重要な問題だと思いますので、お尋ねを重ねていたしたいと思います。
と申しますのは、ただいま大臣もお話しになりましたように、学生が大学を出ればりっぱな市民であり、社会人であると同様に、大学も、その場所にありましては、社会——その地域を構成する一つの建物である。そういうものだと思うのですが、そうであるならば、ひとつ大学の自治というものも、ただ単に大学の自治というだけにとどまらず、市民、社会、そういったものもひとつ頭に入れた大学当局の管理がなければならないのではないか、こう思うわけでございます。
と申しますのは、これはたいへんなまのまま大臣のお耳に入れるのは恐縮でございますが、私の聞き及んでおりますことによりますと、九州大学の教養部の学生会館において、二月の十二日の夜から十三日の朝にかけて、学生同士の大乱闘があったということが伝えられているわけでございます。これはその事件の発端等いろいろあったようでございますが、二月の十二日の夜の十時ごろから九州大学の教養部の学生会館の中で三派系の全学連の諸君が乱闘を始めた。そうして付近の住民は怒号、罵声、あるいはガラスの割れる音等いろいろ耳にして、非常に不安を感じた、こういうことを付近の方々は言っておられるわけです。付近の方々の話によれば、夜の十時ごろ、同会館の二階で学生が乱闘している状況がわれわれにもうかがわれた。そうして学校の当直員は、あとで聞いたところによると、二階にちょっと行きがけたんだけれども、もう学生の何人かが、たいしたことはないよということで、それすら確認もしなかったそうでございますが、その乱闘でかなりのけが人が出た。中でも一人、西南学院の学生は重傷を負って、これは角材のようなもので頭をなぐられたり、顔をなぐられたりして、かなりひどい重傷であった。聞くところによりますと、一時はかなり大がかりな手術をしなければならぬ、人命にかかわるのではないかというふうな重傷者まで出たし、後ほど見たところでは、会館の中にはぼやの——ストーブが倒れて火災を起こした。まあ、ぼや程度のもので消しとめたようですけれども、火災を起こしたあとが歴然としておったということが、付近の人たちや、後日大学の関係者等によって明らかにされているわけです。にもかかわらず、学校の当局者は、警察あるいは消防署に対する通報もしなかったことはもちろん、翌日になっても、積極的にそれらの報告もしなかった、そうして一週間後に、地元民の——私の聞いておりますところでは、婦人会であるとか、あるいは町内会商店連合会、あるいは校区のPTAの人たちで組織する社会福祉協議会の人たちによって、かなり強い抗議書を学校に出されたという話を私は聞いているわけでございます。その抗議書の中では、非常に素朴な市民の声として、大学の自治にこだわって私ども市民の生活を度外視することは絶対に許せない。何とかき然とした態度で、いやしくも市民の生活を無視するがごときことのないように要望するという趣旨の要望書が、学校当局に出された事実がございます。これは私は非常に大事な問題だと思います。もちろん学内に警官を導入するとか、すぐにそういったことにつなげて考えることがいいかどうかということは、また別といたしましても、そういう市民生活に影響がある、あるいは学生の人命に影響がある、こういった事件が起こった場合には、やはり学校当局としては適切な処置をとるべきである。その適切な処置というのは、警官導入であるかもわからぬし、あるいは消防署を呼ぶことであるかもわかりませんが、少なくともはっきりした態度をとるべきではなかったか。聞くところによると、その後も再三、警察当局との連絡も不十分で、協力はさっぱりないということを地元の新聞記者の方々も言うておるそうでございますが、警官導入に対する文部省当局のお考え、あるいはそういう市民生活に対する学校当局の考え、こうしたものは積極的に文部省としても指導なさるべきではないか、こう考えるわけでございます。局長にでも御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/30
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031・宮地茂
○宮地政府委員 これに対する基本的な考え方は後ほど大臣からお述べいただくこととして、いまの御質問に対しましての事実関係を申し上げたいと思います。
大体いま仰せられたとおりでございますが、大学のほうから報告が参っております。二月十二日の夜の十一時ごろから十三日の明け方の七時ごろの間に、九州大学の学生会館集会室で二十数名の学生が乱闘をした。西南学院の学生一名が相当の重傷を負った。大学といたしましては、この学生会館の館長は教養部長でございます。国有財産管理責任者としましては学長でございますが、学長は、その管理責任者に教養部長を充てておるということでございます。
以上のようなことでありまして、近所にも迷惑をかけましたが、国有財産としての会館の集会室につきまして——これは金銭の評価もして大学が報告しておりますが、金銭的には数万円のようでございますが、ガラスや出入り口のドア、天井等が損壊をされておる。これにつきまして大学当局としましては、現在、原因その他諸種の事情を調査中のようでございます。また、これを県警のほうでは、当初任意捜査ということで学校と話し合っておりましたが、一応大学の自治とかいろいろ問題のあるところでございますので、警察としては、捜査権に基づきまして強制捜査に切りかえまして、二月二十五日に八十名の捜査員によりまして捜査が行なわれた。その捜査には水野学長が立ち会っております。
以上が事実でございまして、以上のような不詳事件が起こった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/31
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032・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 御指摘になりました九州大学の中における事件はまことに遺憾な事態だと私は思います。私は、このような事実は、すでにそのような事態によりまして大学の自治が非常に侵害せられておると思います。ただ、事態によりましては、大学の力をもってしては、そのようなものに対して直接実力をもってどうするというようなことはできません。これに対して説得その他はもちろんやるべきであるし、やってもおろうかと思うのでありますけれども、それに応じないで、実力的に不法に大学の施設を占拠しておる、こういうような事態というものは不正な状態であり、不法な状態であります。それが許されておるということが、すでに大学の自治というものが侵害せられておると言わざるを得ないのであります。
従来、大学と警察の関係につきましては、御承知のように、大学のほうは、とにかく警察官の導入というふうなことは非常にきらってきておる。これも沿革のあることであります。一がいにその考え方が無理だとも言い切れぬ面もあろうかと思いますが、いわば警察に対しましては、近ごろよくいわれることばでありますが、警察アレルギーにかかっているのではないかというような感じがしないでもないのであります。同時にまた、警察のほうから申しますと、大学に対しては非常に遠慮しておる。大学にちょっと入るということについては、非常にちゅうちょもし、遠慮もしておるというのが今日までの姿であったかと思うのであります。昔の時代ならいざ知らずでありますが、今日のような時代あるいは今日のような社会ということを考えましたときに、昔そのままの考え方を踏襲する必要はないのではないか。お互いに大事な仕事を受け持っているわけでありますから、もっと協力するというふうな気持ちがあってもよろしいのではないかと思うのであります。大学が不正なる集団によりましてその秩序を破壊せられる、あるいはその営造物に損壊を受ける、こういうふうな場合に、大学が実力団体でない以上は、やはり警察が実力をもってこれを排除するという道を選ぶのも別に差しつかえないことではないかと思います。同時にまた、警察がしゃにむに押し込んでくるというような態度も決して歓迎すべき事態でない。そこに相互の信頼と協力関係というものがほしいと思うのであります。また、大学は治外法権の場ではございません。大学に犯罪ありということで警察がこれを捜査するというような場合には、私は快くそれに協力をされることがあってもいいのではないかと思います。とかく従来その関係が、長年の因縁もございまして、うまくいっていないと思うのでございますけれども、大学管理の責任を全うする上から申しましても、大学の自治を守る上から申しましても、大学としましては、必要に応じては警察官の導入について必ずしもちゅうちょする必要はない。また、警察側のいわゆる要請に対しまして、大学もこれに対しては協力をして社会の治安を守っていくというふうな態度をとられても、何も大学自治の権威に関することでもない、このように考えているわけでございます。今後はそういう点について、お互いに妙によそよそしい、あるいは毛ぎらいするというような態度ではなくて、互いにその大事な職務を果たします上において協力していく、こういうふうな心持ちであってほしいと念願している次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/32
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033・谷川和穗
○谷川委員 大学の管理というものの中には非常に広い意味が含まれておって、その中身は、先ほど来私が論議しております大学の自治に直接関連のある問題が当然大部分なんでございます。したがって私は、ここでは国立学校の物的財産の管理についてのみ、先ほどの一般国民の間に大学管理に対する不信感が起こりつつあるということを前提に御要望をひとつ申し上げたいと思います。
国有財産法にのっとれば、国有財産というのは二つしかない。行政財産と普通財産、その行政財産の管理は、国有財産法の第五条で各省各庁の長になっております。すなわち国立大学の物的財産に関する限り、その最高の責任者は文部大臣であります。このことは法律上もう間違いがない。国有財産法の法意だとか、あるいはただいま申し上げました国有財産法の第五条の管理機関についての明記されている法文だとか、あるいはそれを受けて文部省には、それぞれ文部省の訓令として文部省所管国有財産取扱規程というものをお持ちであるようでありますが、ひとつこういうものを至急整備していっていただかないと、たとえば国立大学の秩序が混乱して、大学自体の措置ではその回復ができない場合には、大学当局はすぐ警察の出動を要請してまで——ここが非常に大事だと思いますが、要請してまで秩序の回復をはかるべき責任があるのだというような議論に結びつけられたり、あるいは文部大臣が国有財産管理の最高責任者なんだから、文部大臣自身が出動を要請する指揮命令権があるのだからというような議論にまで発展するおそれがなきにしもあらずだと思います。私はこういうことを考えて、この際、ひとつ文部省におかれましても、少なくとも国立大学の中の物的財産の管理については、もう少し整備を進められることを、この時点におきまして要望をいたしたいと存じます。
それではその次に、大臣の所信表明の中では特に触れられておりませんでしたけれども、先ほどの予算の説明について大臣の口から、さらには補足いたしまして会計課長の口からはなお詳しく出てまいりました、すでに閣議決定をいたしておりまする事項でございますので、初等中等教育の普及充実の中の教員の処遇改善の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。
大臣の所信表明の中では、初等中等教育の普及拡充につきましては、五つの方策を考えておられるようであります。すなわち、教職員の資質の向上、それからそれに当然関連のあることと思いますが処遇の改善、これが一つと、それから施設設備の整備、これがまあ三つ目といいますか、二つ目といいますか、三つ目と考えて三つ。それから四番目に教職員の定数の問題であります。これらはすでにもう相当のところまでいっているが、さらに努力を重ねたい、こういう表現になっております。その次に、特に五番目といたしましては、教育内容の改善をはかりたいと思う、こういう所信表明の表現になっておりますが、私は、今日の教育問題、また、その教育問題の中でも最も基幹をなすところの義務教育レベル、あるいはそれに直接つながった段階におきます教育の問題を議論する限り、この大臣の所信表明に述べられました五つの項目だけでは、やはりまだ不十分な問題があるんだ、こう考えます。
その一番大きな問題は、やはり教員の処遇に対して文部省がこれを今後どう持っていこうとしておるのかということであると思います。教員の給与について、この際、私はこれは日本の教育の明治以来の伝統的な方策であるというように確信をいたしておりますが、手厚い配慮を払って、そして優秀な青年が喜んで教職へ集まってくるというような配慮を行なうべきであると思いますが、このことについて、文部省としては従来どのような措置を講じてきたのか、ごく簡単でけっこうでございますが、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/33
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034・天城勲
○天城政府委員 たいへん基本的な問題についての御質問でございますが、最初に私から、教員の給与の改善について従来から私どもの考えてまいりました考え方、とってまいりました措置を簡単に申し上げたいと思います。
戦後の問題でございますけれども、昭和二十三年に新しい学校制度の発足とともに、教員の俸給の切りかえ措置が行なわれたわけでございますけれども、このときに、当時はまだ一般の公務員と同じ俸給表によって教員の俸給が措置されておりましたが、その切りかえの段階におきまして、一般の公務員より大体一割程度高い切りかえ措置によりまして進んでまいりました。
その後、教員給与制度につきましては、非常に複雑なことがございますけれども、昭和二十九年に、一般公務員の中で、行政職と教員の俸給表とが別立てになってまいりまして、教員の職務と責任の重要性に基づいた俸給表ができたわけでございます。
それ以後、御案内のように毎年人事院の勧告に基づいて給与改定を実施しておりますが、この間に、われわれといたしまして、教員の待遇改善について人事院にもいろいろ申し入れをいたしておりまして、その結果、給与改定率におきましても、若干ながら一般の行政職よりも上回る措置が大体行なわれております。また、初任給引き上げ等も行なわれてきておるわけでございます。二十九年以来、俸給表も別でございますので、一般の行政職との比較が簡単にできませんけれども、たとえば同じ大学卒業の初任給を比較してみた場合にも、現在の教員の場合には、大学卒の上級職乙という俸給表に比べますと、大体二号程度上回っているというのが実情でございます。
なお、教員給与の給与体系そのものにつきましては、その職務の上からいきましていろいろ問題点も前から指摘されております。われわれも検討いたしておる点でございますが、明年度におきましては、特に全面的な実態調査を行なって、将来の改善の資料を得たい、このように考えているのが経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/34
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035・谷川和穗
○谷川委員 教員の給与については、これは法律に基づかなければ当然支出できないことでございまするし、したがって、おそらくこの十五億円に関しての法律の提案が近々なされると思います。そのなされた時点においてさらに審議を続けるということを前提に、私は、ごく基本的な考え方につきまして、むしろ私の考えておりますところと感じておることを率直にこの際申し述べさしていただきたいと思っております。そういうふうな角度で、大臣のおいでになる間に、この教員の処遇改善の問題は、日本の教育の資質、日本の教育の将来のことを考えますると、非常に重大な問題だということから、取り上げさしていただきたいと存じます。
〔坂田(道)委員長代理退席、委員長着席〕
教員というものは三種類しかない。その中で一番多い地方公務員、この問題に限ってひとつ話を進めさしていただきたいと思います。
当然のことでありまするけれども、学校の運営の経費は設置者負担である。法令に特別の定めのある場合を除いては設置者負担である、これが一つの原則だと思います。それから、その学校の経費というものの中には給与が含まれるんだ、これも当然のことだと思います。その給与と給付というものと、それから勤務時間、これはもう不可分なものである、これも言えると思います。さらに地方自治法二百十条あるいは地方自治法二百三十二条の三で、地方公共団体の経費支出はすべて法令または予算の定めを必要とするということが制度上確立しておることだと思う。私は、ここで質問をいたしたいことは、その学校を運営をする経費、この中には教員の給与も、それから給付も含まれ、それがいま申し上げましたような体系から、法律あるいは条例の定めがなければいけないんだ、こういうふうになっておりまするが、実際の問題として、今日問題になっておりまする時間外勤務の問題を取り上げた場合には、実支出額の関係では、事務職員についてのみ国庫負担及び県費負担を認めておる、こういう解釈をせざるを得ない形になっておるし、さらには地方交付税を調べてみますと、地方交付税の中には、教育費という項が立っておるが、その中には、時間外勤務については事務職員にのみ計上されていて、教員については全然計上されていないという事実がございます。ということは、文部省が今日まで学校運営の中に、教員というものと教員以外の職員と二つに分けて考えてきたんだ、私はこう考えざるを得ないと思いますが、それは一体いかなる理由でそういうふうに分けてきたのか、その点について御説明願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/35
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036・天城勲
○天城政府委員 広く教職員の給与の問題でございますが、学校におきます教職員には、御指摘のように教育職の俸給表の適用を受けます校長、教員と、それから事務職員とがございます。事務職員は、一般の事務に従事する県の事務吏員と本質的に異なることはないし、勤務の実態もそれに類似しておりますので、一般の職員と同じような給与の扱い方をいたしておりまして、御指摘の超過勤務手当は支給いたしております。また負担法によりまして、府県の負担であり、国庫が給料の半分を負担しておるという制度でございます。ただ、教員に対しましては、先ほども申し上げましたように、二十三年の切りかえ当時から、一般の職員よりも高い切りかえ率をもって処遇してまいりましたことと関連いたしまして、教員の過超勤務についてはこれを命じない、したがって支給しない、こういう指導を一応やってまいったわけでございます。もちろん法律的には超過勤務の実態があればこれは支給しなければならぬという現行の規定になるのでございますけれども、指導といたしまして、給与上の措置とあわせてそのような指導をしてまいったわけでございます。しかし、教員の勤務の実態についていろいろ問題がございますので、一昨年教員の勤務の実態についての調査をいたしたわけでございますが、その調査の結果、時間外の勤務と認められる実態がございましたので、私どもといたしましては、これに対する措置をいたさなければならぬ。こう考えまして、このたび教員の時間外の勤務に対する措置といたしまして、新たに教職特別手当制度を設けたい、かように考えて、教育公務員特例法の改正案を国会に御審議をわずらわしたいと思って、提出しておるわけでございます。教員と事務職員の職務の違いから別々な扱いがされておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/36
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037・谷川和穗
○谷川委員 教員と事務職員の態様の違い、こういうことだろうと思いますが、それによって区別があるんだ。そうしたらば、今回の教職特別手当は超過勤務手当の代替措置として出すのだというようにいわれているようでありますが、そうなりますと、たとえば教員が休みである時間でない、つまり児童、生徒が休みであるという夏休みの授業中の教員の勤務態様はどうなっておるのか、あるいはこの夏休み中も給与を支給するのはおかしいじゃないかという議論も成り立つし、あるいは外国の例はどうなっているか、その点について、簡単でけっこうでございますから御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/37
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038・天城勲
○天城政府委員 ただいま提出いたしました法案で考えております教職特別手当は、要するに教員の正規の勤務時間外の勤務についての措置でございます。したがいまして、これと関連いたしまして、いま御指摘の夏休みの問題が出たわけでございますけれども、学校教育法で夏休みと一般にいわれておりますのは、子供の休業日、学校に登校しなくてもいいということでございまして、教職員は勤務に従事しておるというたてまえになっておるわけでございます。事実、実態におきましても、臨海とか林間学校あるいは水泳指導、クラブ活動の指導、あるいは命令による研修等、教職員がいろいろ勤務いたしております実態も出ておりますし、また一般に、いわゆる登校をして勤務をしない日につきましては、自宅研修制度というたてまえをとってきております。要するに勤務しておるというたてまえになっておるために給与が支払われているわけでございます。そういう前提で考えますと、年間を通じて、夏休み以外のときの時間外勤務は、夏の休みがあるからそれも相殺できるのじゃないかという御議論もあるようでございますが、夏休みといえどもこういうふうに勤務というものがありますし、勤務の中には、場合によれば朝早く、あるいは時間外ということも実態としてございます。そういう意味で、夏休みの問題は夏休みの問題として処置すべきではないか、かように考えておるわけでございます。
なお、外国の例でございますが、これは現在の日本の給与のたてまえがこのようになっておるわけでございますが、全然新しい立場で問題を考えれば、また別の議論も成り立つかと思っております。外国における例は、いまこまかい資料は手元にはございませんけれども、たとえば俸給については、夏休みというものを勤務日でないと規定いたしまして、一年の俸給を十一カ月に計算した年俸制度によってやっておる国もございます。その他それに伴いまして、必要な勤務については必要な手当を出すというやり方をいたしておる国もございます。これはそれぞれの国の俸給の考え方やあるいは勤務に対する考え方によっていろいろあろうかと思うのでありますが、わが国の現状におきましては、勤務に対応するものが給与である、勤務時間外の問題に対するものについて処置するのが通常いわれておる時間外の手当の問題でございます。ただ教員の場合には、時間外の勤務が、現在のいわゆる超勤手当のように、一時間勤務すれば幾らというような時間計算になじまない分野が非常にたくさんございます。したがって、時間計測に基づかない一律の教職手当を支給したほうが教員の勤務の態様によりよく適応するのではないか、こういう考え方からこのたびの教職手当を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/38
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039・谷川和穗
○谷川委員 ちょっと進行上の点についてお尋ねをいたしたいと思いますが、大臣は何時までここに御在席になられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/39
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040・高見三郎
○高見委員長 大臣は、一時に参議院の本会議に出られなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/40
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041・谷川和穗
○谷川委員 実は私は国民的なといいますか、国民として聞きたいような根本的な問題についてお伺いしようと思ったのでありますが、大臣があと十数分しかここにおいでになられないということであれば、とてもその間において私の聞きたいことは聞けません。私は、それじゃ私の質問を留保させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/41
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042・高見三郎
○高見委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X00219680306/42
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