1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年二月二十四日(金曜日)
午後一時三十一分開議
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○議事日程 第六号
昭和五十九年二月二十四日
午後一時三十分開議
第一 永年在職議員表彰の件
第二 農業共済再保険特別会計における農作物
共済及び畑作物共済に係る再保険金の支払財
源の不足に充てるための一般会計からする繰
入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付
)
第三 地方交付税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、日程第一
一、国家公務員等の任命に関する件
一、昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号
)
一、昭和五十八年度特別会計補正予算(特第1
号)
一、日程第二及び第三
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/0
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001・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
前島英三郎君から海外旅行のため明二十五日から九日間の請暇の申し出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/1
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002・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/2
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003・木村睦男
○議長(木村睦男君) 日程第一 永年在職議員表彰の件
議員徳永正利君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。
つきましては、院議をもって同君の永年の功労を表彰することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/3
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004・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
同君に対する表彰文を朗読いたします。
〔徳永正利君起立〕
議員徳永正利君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
〔拍手〕
表彰状の贈呈方は、議長において取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/4
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005・木村睦男
○議長(木村睦男君) 藤田正明君から発言を求められました。発言を許します。藤田正明君。
〔藤田正明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/5
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006・藤田正明
○藤田正明君 お許しをいただきまして、私は議員一同を代表し、ただいま永年在職のゆえをもって表彰されました徳永正利先生に対し、一言お祝いの言葉を申し述べさせていただきます。
徳永先生は、昭和三十四年第五回参議院議員通常選挙に御当選され、自来今日まで二十五年の長きにわたり、本院議員として御活躍をされてこられました。その間、大蔵委員長、議院運営委員長及び予算委員長を歴任されるなど本院の枢要な役職にあって議会政治発展のため力を尽くされ、昭和五十五年七月には全会派一致の推挽を得て本院議長に当選され、三年間にわたりその重責を全うされたものであります。議長御在任中は、その豊かな政治経験と明朗闊達なお人柄により、各会派間の話し合いによる本院の円滑な運営に努められますとともに、参議院改革にも積極的に取り組まれ、本院の独自性の確立、権威の高揚のため多大な功績を残されたものであります。
また、徳永先生は、第二次田中内閣におきまして運輸大臣に就任され、その卓越せる政治手腕を遺憾なく発揮されました。
一方、党内におきましては、参議院自由民主党幹事長及び議員会長等を歴任され、現在は自由民主党の最高顧問の要職につかれるなど、我が国政党政治の発展のため力を尽くしてこられたのであります。
ここに我々一同は、徳永先生の二十五年にわたる御功績に対し、深甚なる敬意を表しますとともに、本日、栄誉ある表彰を受けられましたことにつきまして心から祝意を表する次第であります。
現下、我が国内外の諸情勢はまことに多事多難であり、本院に対する国民の期待もまた大いなるものがございます。どうか徳永先生におかれましては、この上とも御健康に留意されまして、本院の使命達成と議会制民主主義の発展のため、より一層の御尽力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第でございます。
簡単でございますが、お祝いの言葉といたします。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/6
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007・木村睦男
○議長(木村睦男君) 徳永正利君から発言を求められました。発言を許します。徳永正利君。
〔徳永正利君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/7
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008・徳永正利
○徳永正利君 ただいまは、二十五年在職のゆえをもちまして、院議をもって表彰をいただき、さらにまた、心温まる御祝辞を賜りまして、まことにありがたく、心から感謝申し上げる次第でございます。
この二十五年を顧みますと、思いばかり多くして、何事をなし得たかを思いますとき、まことに内心じくじたるものがございます。とにかく今日までどうにかやってこられましたのも、先輩、同僚諸君の温かい御厚情のたまものと、私を御支持いただきました選挙民の皆様方の御支持のたまものでございまして、心からここにこの席をかりましてお礼を申し上げる次第でございます。
戦後、参議院となりましてから、この議場で二十五年の勤続表彰を受けますのは、私が三十六人目で、そして現在在籍しておる者としては八人同だそうでございます。
私が初めて議席を得ましたのは、昭和三十四年の通常選挙でございました。このときに、全国区、地方区、それに与野党合わせまして五十二人の者がいわゆる新人として初めて国会の赤じゅうたんを踏んだのでございますが、その後、五回の選挙を繰り返しますうちに、あるいは疲れ果てて倒れ、あるいはまた多くの人がむなしく世を去っていかれまして、とうとう五十二人おったうちで私がたった一人になってしまいました。議員生活のいかに厳しいかということを思わざるを得ないのでございます。
この間、私は、皆様方の御推挙により、満場一致をもって議長の栄職を賜りました。感激ひとしおなものがございます。
私は、議長に御選任いただきましたときに、皆さん方の御信頼にこたえるべく、ひそかに参議院改革の旗手たらんと実は志したのでございますけれども、力足りず見るべき業績もなく、ざんきの至りでございます。
私は、昭和十六年、充員召集を受けました。その前に、昭和三年から一水兵として海軍の軍籍にあったわけでございますが、昭和十六年に充員召集を受けまして、引き続いて敗戦まで軍籍にありました。その間、戦友の多くを戦場に失ったのでございます。そうして二十年の暮れに、追われるようにして、人目をはばかって復員してまいりました。そのとき私は、二度とこの祖国の土を踏むことのできない戦友のみたまに対しまして、再び日本を戦火にさらしてはならないという誓いを立てたのでございます。と同時に、物心両面にわたって悲惨な運命を背負わされた戦没者の遺族の援護を、生き長らえた申し開きの意味をも含めまして決意をいたしたのでございます。
私の政治へ志した原点は、二度と戦争を起こしてはならないということでございます。
地球を破壊し、人類の滅亡をかける核戦争をするほど人間は愚かでないことを私は信じます。しかし、人類の歴史は、おのれの欲望を満たすために、あるいは生存のためには限りない殺りくを繰り返してきております。この事実の否定は、いかに困難をきわめようとも、いつの日か世界の支持を受けるまで、私は、英知を集め、冷静に科学的に手段を尽くして、粘り強く努力を続けていかなければならないと思います。
二十一世紀まであと十六年でございます。我が国は、多くの犠牲によって得た平和のうちに、努力を重ねまして豊かな物質文明に恵まれましたけれども、豊かな心を養うことを怠り、その努力を忘却したところに現代政治の悩みがあると私は思います。
これからは、国民の政治への信頼をより高め、国心なりといえども、長い伝統と歴史に培われた日本の心を取り戻して、心豊かで国際的にも説得力を持つ人材、思想、文化を生み出して、そして世界の国々から畏敬されるような国づくりが大切だと思うのでございます。
私はこの機会に、みずから省み、あの廃墟の中に立って決意した初心に立ち返りまして、皆様方の驥尾に付し、やがて公衆の視界から立ち去るまで精いっぱいの努力をしてまいるつもりでございます。
顧みますと、浅学非才の私が、今日栄光ある日を迎えることができましたのは、健康に恵まれたということでございます。ここに改めて、天地の恩、父母の恩、そして同僚知友の皆様方の御恩に対して、深く感謝の意を表する次第でございます。
それにいたしましても、豊かな天賦の才能を持ち、あるいは資質を持ちながら、志を得ず、不幸にも世を去られた同期の諸君に対しまして、追悼の誠をささげますとともに、今後は、現に盛んな同僚諸君の手足まといにならないように、御活躍の妨げをして年寄りの冷や水にならぬように、よくよく戒心してまいるつもりでございます。どうか、今後とも御指導、御厚情を賜りますように心からお願い申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。
ありがとうございました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/8
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009・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
内閣から、人事官に内海倫君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/9
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010・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、これに同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/10
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011・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、
昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)
昭和五十八年度特別会計補正予算(特第1号)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/11
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012・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。予算委員長西村尚治君。
〔西村尚治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/12
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013・西村尚治
○西村尚治君 ただいま議題となりました昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)、同特別会計補正予算(特第1号)の二案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
一般会計の補正は、歳出につきまして、災害復旧費四千四百六十五億円、義務的経費一千四百十一億円、給与改善費五百十二億円など、当初予算作成後に生じた事由に基づき緊要となった事項について経費の追加を行うこととしており、その総額は九千三百二十七億円となっております。
他方、歳出の修正減少として、既定経費の節減一千九百七十六億円、地方交付税交付金八百三十二億円等により、総額四千七百二十八億円の減額を行っております。
歳入につきましては、最近までの収入実績を勘案して、租税印紙収入二千六百三十億円、昭和五十八年分の所得税減税一千五百億円、合計四千百三十億円の減収を見込むとともに、日本銀行納付金等の雑収入二千二十五億円、建設国債四千四百五十億円、前年度剰余金受け入れ二千四億円など、合計八千七百二十八億円の歳入増加を見込んでおります。
本補正の結果、昭和五十八年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対し四千五百九十八億円増額され、五十兆八千三百九十四億円となります。
また、特別会計予算については、一般会計予算の補正に関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計等十五特別会計について所要の補正が行われております。
なお、総合経済対策を推進するため、一般会計及び六特別会計において、一般公共事業に係る国庫債務負担行為三千九十一億円を追加計上しております。
補正予算二案は、二月八日国会に提出され、十日に竹下大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って、二十三、二十四の両日、中曽根総理大臣及び関係各大臣に対し国政全般にわたり広範な質疑が行われましたが、以下質疑の主なもの若干につき、その要旨を御報告申し上げます。
まず、中曽根総理の公約であり、国民の関心が高い「増税なき財政再建、これは五十九年度の大幅増税でつぶれ、この方針は破られたのではないか」との質疑があり、これに対し中曽根総理大臣より、「増税なき財政再建の基本理念である徹底した歳出削減を行い、全体として対国民所得比の租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にとらないとの方針は厳守している。不公平税制の是正や自然増収による増収は、増税なき財政再建の範疇に入らない」旨の答弁がありました。
補正予算に関する質疑として、「五十八年分減税を除いて二千六百三十億円もの租税印紙収入の減額補正を行っており、しかも税収の減額補正が三年連続行われた点で、政府に過大見積もりの癖があるのではないか。これとは逆に、日銀納付金が毎年度補正で相当多額に追加計上されるのは、過小見積もりの操作ではないか。また、既定経費の節減額千九百七十七億円は、当初予算計上が甘い上に、予算成立後にあらかじめ留保させる等の措置をとっており、真の経費節減ではないのではないか」等の質疑があり、これに対し竹下大蔵大臣より、「税収の減は、五十八年度当初経済見通しの名目成長率五・六%が、実績見込みでは四・五%程度と伸び悩んだことの影響が大きく、毎月の税収実績を勘案して減額補正を行った。なお、石油税については、だれも予想できなかったOPECの原油価格値下げが税収を狂わせたことも大きい。日銀納付金については、日銀の純益金が内外の金融経済情勢を反映して増減するためで、意図的に操作しているわけではない。経費節減は、歳出の追加が必要となった際、まず既定経費を精査して財源捻出に努めているもので、当初から経費を膨らませるようなことはない。しかし、御指摘の点は財政当局に対する御叱正と心得、今後の財政運営に当たりたい」旨の答弁がありました。
経済、景気動向について、「政府の五十八年度内需主導による景気回復の方針は、四月と十月の二回にわたる経済対策も実効が上がらず、外需依存型の経済運営に陥っているが、どう反省しているか。内需拡大のために積極的な施策をとるべきではないか」等の質疑があり、これに対し河本経済企画庁長官より、「昨年春ごろからの米国経済の回復に引きずられ、ようやく世界経済も不況を脱しつつあり、そうした情勢のもとで外需の寄与度が高かった。我が国経済の回復力はなお弱く、昨年十月政府が決めた総合経済対策を現在推進している。第二次石油危機以降四年を経過し、ようやく昨年後半からの景気回復も、地域間、業種間のばらつきが残っており、今後、より一層適切な施策を機敏に進めるよう努めたい」旨の答弁がありました。
なお、質疑はこのほか広範多岐にわたって行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して糸久委員が反対、自由民主党・自由国民会議を代表して藤井委員が賛成、公明党・国民会議を代表して峯山委員が反対、日本共産党を代表して内藤委員が反対、民社党・国民連合を代表して伊藤委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)、同特別会計補正予算(特第1号)の二案は、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/13
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014・木村睦男
○議長(木村睦男君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。高杉廸忠君。
〔高杉廸忠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/14
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015・高杉廸忠
○高杉廸忠君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十八年度補正予算二案に対し、反対の討論を行うものであります。
現下の経済、財政事情を見ると、経済は昨年半ば以降、丸三年に及ぶ不況からようやく脱し、徐々に上向き始めているものの、一方、財政は、際限なく累増を続ける国債の重圧にあえぎ、まさに瀕死の重病人と言っても過言ではない状況にあります。
ちょうど一年前、政府は、国会審議の場で、五十八年度経済が必ずや内需主導型経済になることを公言し、かつ国民に約束をしてきました。しかし、GNP成長率三・四%の当初見通しだけは、アメリカ経済の予想外の回復と、思いも寄らぬOPECの原油値下げとによって辛うじて達成されそうでありますが、政府が公約した内需型経済への転換は全くのかけ声だけに終わっており、経済の実相は相も変わらぬ外需主導型そのものであります。
民間住宅建設の実質二・六%増の当初見通しは、実績見込みでは何とマイナス五・一%と、段階金利政策を導入したことによって見通しに百八十度の狂いが生じ、これが内需の足を引っ張ったことは明らかであります。このような政府の政策が完全な失敗であったことを、何よりも如実に物語っているのであります。
外需に支えられて国内の景気もようやく低迷を脱したとはいえ、人事院勧告の大幅抑制を初め民間の低い賃上げが災いし、消費が一向に伸びないばかりか、中小企業の倒産件数は月を追って高まり、昨年十一月、十二月には危機ラインと言われる千八百件台を記録し、本年一月に入っても、この季節としては記録的な千五百件台に迫る千四百九十三件に達しているのであります。
すなわち、輸出依存度の高い大企業の企業収益は着実に増加しているものの、国内消費依存度の高い中小企業は、消費低迷の中で血のにじむような努力の末、ここに来て力尽きていくものが次第にふえてきており、極めて深刻な状況であります。
財政再建には、何よりもまず景気の拡大を通じて税収増を図ること以外に王道はなく、現在政府がとっている公共投資までも長期にわたって抑制するという政策では、財政再建はこれ以上一歩も進むものでないことは明白であります。
私は、このことを強く指摘し、以下数点にわたって反対の理由を明らかにするものであります。
まず第一に、政府は、五十八年度予算審議の途上で、五十八年中に景気浮揚に役立つ相当規模の減税を実施することを約束しておきながら、財源不足を理由にわずかに二千百億円の減税しか行わなかったことであります。
今日、GNPの規模は二百八十兆円に達しており、わずか二千百億円では景気浮揚に役立つなどとは到底言い得るものではないのであります。しかも、五十二年以降六年間にわたって実質増税を国民に押しつけてきた政府が、大幅減税を約束をしておきながら、極めて僅少な、独身者に千円余り、標準世帯で四、五千円程度のものであたかも約束を果たしたかのように見せかけるこのやり方は、国民に対する重大な背信行為であり、断じて容認することはできないのであります。
第二に、五十八年度税収が五十六年、五十七年度に引き続き、三年連続修正減少を行う事態に至っていることであります。
もとより、五十八年には、わずかでありますが、所得税減が行われております。また、思いがけぬOPECの原油値下げも行われたことは事実であります。しかし、これら特殊事情による税収の減少を除いても、なお源泉所得の伸び率低下による税収減を見込まなければならない状況こそは、政府の経済政策が完全な失敗であったということ以外の何物でもありません。一年だけならまだしも、三年連続の見込み違いは、政府の政策そのものに重大な欠陥があることを如実に示しているものであります。その近視眼的財政運営は、ここに至って完全に破綻したと言わざるを得ず、このような補正予算を、もはや認めることはできないのであります。
第三に、五十八年人事院勧告を無視し、給与改善策としてわずか五百十三億円しか計上していないことであります。
五十七年度の完全無視に引き続き、人事院勧告が二年連続無視されたことは、スト権の代償措置としての人事院勧告制度そのものの根幹に触れるばかりか、憲法に保障された労働基本権をじゅうりんしたものと言わざるを得ません。さらに、五十八年民間春季賃上げ率が四・四%と史上最低の伸びにとどまったことは、五十七年度人事院勧告凍結が大いに影響を与えていることは火を見るより明らかであります。財界と歩調を合わせ、民間賃金抑制を画策するこのような政府の暴挙を、断じて認めることはできないのであります。
第四に、五十七年度に続き、一般公共事業の国庫債務負担行為の追加を行っておきながら、これを次年度予算の先取りとして使おうとしていることであります。
政府は、景気対策と言えばオウム返しのように公共事業の前倒しを主張してきましたが、累年にわたるこの窮余の一策も、今日では何ら実際的効果のないことが明らかになってきております。小手先だけに頼った見かけ倒しのこのような予算並びに政府の安易な姿勢を厳しく追及するものであります。
第五に、五十八年度当初から既定経費の節減を義務づけていたことであります。
予算審議の段階から補正予算を見込み、そのための財源を当初予算の各項目の中に組み込んでおくというこのやり方は、果たして真の予算と言い得るものでありましょうか。使用禁止の金が組み込まれた予算が見せかけの予算であることは言うまでもなく、約二千億円に上る使用禁止予算を内包した五十八年度予算が粉飾予算なら、その二千億円を使った補正予算もまた粉飾予算とも言うべきものであります。
以上が反対の理由であります。こうした安易な予算編成技術だけに頼った本補正予算二案は、断じて認めるわけにはいかないのであります。
最後に、さきの総選挙で国民が選択をしたのは保革伯仲であり、それこそが金権腐敗政治からの脱却と、中曽根内閣の危険きわまりない軍拡路線への警鐘を意味するものであると思います。しかし、国民の意思に反し、なりふり構わず新自由クラブを抱き込んで連立内閣をつくった政府に、現在、これらに対し真摯な反省とほとばしるような改革への熱意が全く感じられないことは極めて遺憾であると言わざるを得ません。
金権擁護、軍事大国化を目指す中曽根政治に、この際、反省を促し、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/15
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016・木村睦男
○議長(木村睦男君) これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/16
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017・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/17
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018・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、両案は可決されました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/18
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019・木村睦男
○議長(木村睦男君) 日程第二 農業共済再保険特別会計における農作物共済及び畑作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長伊江朝雄君。
〔伊江朝雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/19
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020・伊江朝雄
○伊江朝雄君 ただいま議題となりました農業共済再保険特別会計における農作物共済及び畑作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、昭和五十八年度において低温等による水稲、小豆等の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済再保険特別会計の農業勘定に生ずる再保険金の支払い財源の不足に充てるための資金として、同年度において一般会計から百十五億六千二百七十六万三千円を限り、同勘定に繰り入れる等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、共済掛金算定の基礎、米の需給計画及び消費拡大策のあり方、果樹共済への地域別加入状況と促進策等につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/20
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021・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/21
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022・木村睦男
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/22
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023・木村睦男
○議長(木村睦男君) 日程第三 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長大河原太一郎君。
〔大河原太一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/23
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024・大河原太一郎
○大河原太一郎君 御報告いたします。
ただいま議題となりました法律案は、昭和五十八年度地方交付税の総額について、所得税収入の減額補正に伴う落ち込み額を補てんするため、約三百二十二億円の特例加算をすることを主な内容とするものであります。
委員会におきましては、補てん措置における国の責任範囲、今後の地方財政対策のあり方等について熱心な質疑が行われました。
質疑を終局し、討論を行い、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/24
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025・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/25
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026・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X00619840224/26
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