1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成五年五月二十六日(水曜日)
午後零時十一分開議
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○議事日程 第十九号
平成五年五月二十六日
正午開議
第一 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、農業機械化促進法の一部を改正する法律
案、農業経営基盤の強化のための関係法律の
整備に関する法律案及び特定農山村地域にお
ける農林業等の活性化のための基盤整備の促
進に関する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/0
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001・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
農業機械化促進法の一部を改正する法律案、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案及び特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/1
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002・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。田名部農林水産大臣。
〔国務大臣田名部匡省君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/2
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003・田名部匡省
○国務大臣(田名部匡省君) ただいま議題となりました農業機械化促進法の一部を改正する法律案、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案及び特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、農業機械化促進法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
農業の機械化につきましては、農業生産力の増進と農業経営の改善を図る観点から、生物系特定産業技術研究推進機構における試験研究を促進するとともに、各種の融資、助成等の措置を通じて高性能農業機械等の計画的な導入に努めてきたところであります。
しかしながら、我が国農業と農村をめぐる状況は、経済の高度化、人口や産業の都市への集中といった諸情勢の変化の中で、農業就業者の減少、高齢化の進行等、近年大きく変貌しております。
このような状況の中で、経営感覚にすぐれた農業の担い手が夢とやりがいを持って取り組める魅力ある農業づくりを進めていくため、農業の機械化を一層促進することが急務となっております。
このため、政府といたしましては、農作業の効率化と労働負担の軽減に資する高性能農業機械等の開発・実用化を促進し、これを農業者が効果的に導入して農業経営の改善を図っていくための所要の措置を講ずることができるようにするため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一に、高性能農業機械等の開発及び実用化等を促進するため、農林水産大臣は、高性能農業機械及び農業機械化適応農業資材の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針を定めることとしております。
第二に、都道府県知事の定める高性能農業機械導入計画の内容を整備拡充し、農作業の安全性の確保に関する事項等を追加することとしております。
第三に、基本方針に基づいて高性能農業機械の実用化を促進するための事業を実施しようとする者は、当該事業に関する計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができることとしております。
第四に、生物系特定産業技術研究推進機構の業務を追加し、認定を受けた計画に係る高性能農業機械の実用化を促進するための事業の実施に必要な資金の出資を行うとともに、農業機械化適応農業資材の開発に関する試験研究及び調査を行うことができることとしております。
続きまして、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
我が国の農業は、国民への食料の安定供給という重大な使命に加え、地域社会の活力の維持、国土・自然環境の保全などの多面的な機能を有しており、我が国の経済社会の均衡ある発展と豊かでゆとりのある国民生活の実現のために欠かすことのできない重要な役割を果たしております。
しかしながら、近年の農業を取り巻く情勢を見ますと、農業労働力の非農業部門への流出が続く一方で、農業従事者の兼業化、高齢化が著しく進行するなど深刻な問題に直面しており、農業経営に意欲と能力のある者を確保するため、農業を職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものにしていくことが緊要な課題となっております。
このような状況に対処し、農業の健全な発展を図るためには、さきに農政審議会において取りまとめられた「農業構造・経営対策の課題と対応の方向」に示されておりますとおり、経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担うような農業構造を確立するため、各般にわたる農業経営基盤の強化に関する施策を総合的かつ効果的に推進することが急務であると考えております。
このため、地域において育成すべき多様な農業経営の目標を関係者の意向を十分踏まえた上で明確化するとともに、その目標に向けて農業経営を改善する者に対する農用地の利用の集積、経営管理の合理化など、農業経営基盤の強化を促進する観点から、農用地利用増進法を初め関係七法律に
つき所要の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農用地利用増進法の改正であります。
同法の題名を農業経営基盤強化促進法に改め、効率的かつ安定的な農業経営を育成するための基本的な法律とし、新たに都道府県の基本方針及び市町村の基本構想において育成すべき農業経営の目標等を明確化するとともに、これらに即して農業者が作成する農業経営改善計画を市町村が認定する制度を設けることとしております。また、従来の農用地利用増進事業を拡充して農業経営基盤強化促進事業とするとともに、農地保有合理化法人に関する制度を整備し、その事業内容の充実等を図ることとし、これらの措置により総合的に農業経営基盤の強化対策を推進することとしております。
第二に、農地法及び農業協同組合法の改正であります。
農業経営の法人化を円滑に推進するため、農業生産法人、農事組合法人の事業及び構成員の範囲を拡大するとともに、これに対応して、農業協同組合の正組合員の範囲を拡大することとしております。また、農業協同組合の行う農地保有合理化事業の実施等に必要な農業経営に関する制度の整備等を行うこととしております。
第三に、土地改良法等の改正であります。
農業経営基盤の強化のための生産基盤の整備を円滑に推進するため、土地改良事業の一人施行方式の導入、農林漁業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫による無利子資金貸付制度の創設等の措置を講ずることとしております。
最後に、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
いわゆる中山間地域につきましては、我が国農林業生産において大きな地位を占めるとともに、国土や環境の保全等の多様な役割を果たしております。
他方、これらの地域においては、地勢等の地理的条件が悪く、一般の農業の生産条件が不利であることに加え、近年、農林業の担い手の減少、高齢化の進行が著しいことから、農林業の生産活動が停滞し、これに伴い耕作放棄地等が増大しつつあります。さらに、魅力ある就業・所得確保の機会が乏しいこともあって、農林業のみならず地域社会全体の活力が低下しつつあり、このまま推移すれば、中山間地域の果たすべき役割に重大な支障を生ずることが懸念されております。
このような状況に対処し、中山間地域の活性化を図るためには、さきに農政審議会において取りまとめられた「今後の中山間地域対策の方向」に示されておりますように、各地域の諸条件に応じて、その創意工夫を生かしつつ、農林業の活性化を図るとともに、農林地の効率的かつ総合的な利用、他産業の導入等を行うことにより、地域における就業・所得機会の増大を図ることが急務であると考えております。
以上の観点から、関係省庁が連携して、中山間地域について、農林業を中心としてその他の事業を含めた活性化のための基盤の整備を促進するための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域である等の要件を備えた特定農山村地域を含む市町村は、農林業等活性化基盤整備計画を作成することができることとしております。計画においては、農林業その他の事業の活性化の目標、農林業等活性化基盤整備促進事業の実施に関する事項、農林業の生産基盤の整備及び開発並びに産業振興に必要な公共施設の整備に関する事項等について定めることとしております。
第二に、計画を作成した市町村は、農業者の組織する団体が作成した新規の作物の導入その他生産方式の改善によるその構成員の農業経営の改善及び安定を図るための措置等に関する計画及び農林業等活性化基盤施設の設置に係る事業を行う者が作成した事業計画について、それぞれ認定を行うことができることとしております。また、国及び都道府県は、農業経営の改善及び安定のための計画の認定を受けた者に対して、必要な資金の確保に努めることとしております。
第三に、計画を作成した市町村は、第二の認定を受けた者等の必要な農林地の確保や農林業等の活性化の基盤となる施設の円滑な整備等の促進を図るため所有権移転等促進計画を定め、所有権の移転等を促進する事業を行うことができることとしております。
このほか、土地改良法及び森林組合法の特例、税制上の特例、地方財政上の特例等に関し所要の措置を講ずることとしております。
なお、衆議院において、政府提案に係るこれら法律案のうち、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案につきましては、農業経営改善計画の認定に当たり地域の関係者の理解と協力を得るよう努める旨の規定を追加する等の、また、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案につきましては、本法律施行後における豊かで住みよい農山村の育成を図るために必要な方途についての検討に関する規定を追加する修正が、それぞれなされております。
以上、農業機械化促進法の一部を改正する法律案、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案及び特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/3
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004・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。谷本巍君。
〔谷本巍君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/4
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005・谷本巍
○谷本巍君 農業構造三法案について、日本社会党・護憲民主連合を代表し、総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。
山村の過疎化は急ピッチになってきました。今提案されました特定農山村法案は、融資政策を基本にこれら条件不利地の農林業の基盤を整備しようというものでありますが、それだけではしょせん無理というものではないでしょうか。
農水大臣に伺いたい第一点は、農産物市場開放体制のもとで既に経済的に成り立たなくされたこれら地域に、たとえ低利であろうと融資政策をもって農林業の崩壊に歯どめをかけることができ
ると本当に考えているのかどうかということであります。と言えば農水大臣は、付加価値の高いものをつくればよいとお答えになるでしょう。しかし、どこでもそれをつくれば価格の暴落は必至となります。その点、大臣はどうお考えでしょうか。
四月九日、衆議院本会議で私どもの党の辻一彦君が、所得補てん政策を含む中山間地域等農業振興法案を提案いたしました。総理、今必要なのは、そうした所得補償を含む施策の実現であります。衆議院が政府提出法案の原案を修正し「必要に応じ所要の措置を講ずる」という条文を追加したのも、そうした含みがあってのことであります。
中山間地域を守ることの重大さは、例えば水問題一つを取り上げてみても明白なのではないでしょうか。川下の河川は、建設省や自治省、そして自治体の責任と負担で整備されておりますが、肝心なのはその川上であります。そこでは毛細管のように無数に張りめぐらされた堀や小川や農業用水路等々があります。それらは、美しい農山村の景観同様、農林業の生産活動を通ずる農家の無償労働で維持されているのであります。
ECは条件不利地域を対象に所得補てん政策をとってきました。その最大の理由は、こうした国土と環境保全の問題とともに、大都市への人口集中を避け都市の安全と効率的機能を守ることにありました。総理、農水大臣並びに自治大臣、一たん過疎化させた山村をもとに戻すことはほとんど不可能なのであります。今、急ぐべきことの一つは、国土保全という意味合いから地方交付税による過疎防止対策の徹底強化であり、そしてもう一つは、我が党が示したような所得補てん政策の採用に踏み切ることであります。その御所見を伺いたいのであります。
次に、農業経営基盤強化法案について農水大臣に伺います。
既に政府は、例えば稲作については十ないし二十ヘクタール単位の単一経営五万戸の育成と生産の集団化などの目標を示し、本法案においては、その育成に向け特定の農家を認定し、農地の集積と助成をそこに集中するなどの方針を示しておりますが、これには多くの問題があります。その一つは、認定農家と一般農家で差別をつけるような選別的政策は日本の農村にはなじまないということであります。
西欧の模倣とも言われた農業基本法農政は、日本の農村社会が西欧と比べ成り立ちも性格も全く違うということを無視してきたのではないでしょうか。水田を柱とした複合型の日本農業は、水などの共同管理を通じて相互扶助的地域社会をそこにつくってきました。それは競争と切り捨ての社会ではなく落ちこぼれを出さぬ社会であり、したがって特定農家の突出も歓迎しないという性格を備えております。単作・専作化を基本に、選別的手法による政府の画一的押しつけ型の構造政策が農家の創意を奪い、専業農家と兼業農家の遊離、分断状態さえ生んでしまったのはまさしく悲劇的でさえあります。
最近の自主的地域農業づくりで最も注目をされるのは、こうして分断された作目を複合的に結合し、消費者とも結んだ有機農業生産運動であります。そこでは農基法農政が軽視してきた高齢者と女性がすぐれた担い手として活躍しておりますから、大型機械の運転等々で若手専業農家の出番がふえていきます。そうした協力関係が培われるなら、飛び地借地による不合理な規模拡大など専業農家の青年が抱える問題解決の道も開かれるなど、無理のない地域農業づくりが可能となっていきます。また、こうした運動の多くが、有機農業生産を媒体としながら健康で豊かな共同社会づくりに乗り出していることが注目されなければなりません。
日本列島は北海道から沖縄まで気象も自然もさまざまなのであります。四月九日の衆議院本会議で我が党の辻一彦君が地域からの積み上げによる分権型農政の確立を目指す地域農業振興法案を提案したのも、こうした誤れる農業基本法農政転換を目指してのことでありました。農水大臣、選別政策はやめるべきです。まして、大規模農家を何戸つくらないと補助事業の指定はしないといった、これまで間々見られた強権的押しつけはあってはなりません。今求められているのは、地域の特性と日本型農村社会のよさを生かしながら、環境保全型農業の確立に向け、予算の裏打ちも伴う分権型農政への思い切った転換を行うことであります。大臣の御所見をお聞かせください。
第二に伺いたいのは、耕作放棄地を出さぬ農政の確立についてであります。
後継ぎのない高齢者の増大などで、農地の売り手、貸し手がふえていくでありましょう。しかし借り手が少なく、そのため、規模拡大はおろか耕作放棄地の増大さえ予測されているのであります。
本法案は特定農家の規模拡大に向けさまざまの施策を講じようとしておりますが、新農政は、肝心の価格政策については、需給価格への再編成と内外価格差の縮小を目指すとしております。これでは農地の買い手、借り手が規模拡大に向け追加投資もできません。また、規模拡大には圃場整備が必要となりますが、その負担金の過大さが小作料水準を引き上げ、農地の賃貸借を困難にする状況があります。これらの問題をどう解決していくのか、大臣の御所見を伺いたいのです。
第三に伺いたいのは、企業農業の発生に厳重な歯どめをかけるべきだということであります。
新ラウンドにおけるドンケル合意案等に対する世界の消費者団体や環境団体等の最大の批判は、家族農業をつぶして企業農業への再編成を進めることは安全な食糧確保と地球環境保全にとって許すことのできない暴挙だということにあるのであります。
既に日本においては、畜産部門にあっては、インテグレーションにも見るように、資金、飼料等の供給を通じ企業の農業支配が顕著になっております。本法案は、一定の限度とはいえ農業生産法人への一般企業の資本参加を認めるなど、法人の要件緩和を行おうとしております。これが企業の農業支配に大きく道を開いていく契機となるのではないかということが案じられております。一般企業が後継者のいない農家と組んで農業生産法人をつくれば、やがて企業は農地をも取得できるようになるといった指摘もその例であります。資本による農業支配と農地の買い占め、乱開発等の問題を含め、この際しかとした防止策を示していただきたいのであります。
最後に、宮澤総理に円高是正と国境措置問題について伺います。
米等の市場開放阻止はこれら農業三法案の不可欠的前提となりますが、同時に重大なのは円高是正であります。かつてアメリカ米の二、三倍と言われた日本の生産者米価は、今日では六倍を超えてしまいました。その間、一ドル三百六十円であった円は最近では百十円となりました。米等の内外価格差の拡大は文字どおり円高の所産と言わなければなりません。今や日本の農産物純輸入額は不名誉にも世界第一位を継続していますが、その輸入額増大の足取りも、これまた円高の推移と比例をしております。
そのもとで、政府は、内外価格差縮小を名分に農産物行政価格の引き下げ、据え置きを強行してまいりました。労賃も物価も上がる中のことであります。規模拡大を行った農家の中には目算が狂い倒産に追い込まれた例も少なくありません。だが、それほどの犠牲を払いながらの内外価格差縮小への努力は、相次ぐ円高によって帳消しにされておるのであります。
問題はそれだけではありません。今日のような円高が続くなら、多くの農業、食品関連加工資本の海外移転に一層の拍車がかかっていきます。国内における農業、食品関連加工業の空洞化は、地域雇用への影響とともに、日本農業空洞化に拍車をかける重要な要因となっていきます。
宮澤総理、農家がいかに規模拡大を図ってもその努力が円高に吸収されてしまう現状からするなら、農業経営基盤強化法案の審議にしても、さらには新農政の論議にしても、しょせんはざるに水を注ぐようなものでしかないのであります。本法案審議の前提的要件として、米等の市場開放阻止の問題とともに円高是正についての確約をいただきたいということを強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/5
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006・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 中山間地域に対しまして、今ECで行われておりますようないわゆる直接所得補償方式を導入するという問題についてお話がございましたが、このようなECのやり方が本当に地域全体の活性化に資するのか、あるいは地域における定住を促進することになるのかどうかということ、また果たしてこのような施策が国民的な合意が得られるかどうかなど、いろいろ難しい問題が私はあるのではないかというふうに思っております。むしろ、政府としましては、中山間地域対策の一層の推進のために、今御審議をいただいております特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案、これは衆議院で修正がございましたが、これを含めまして成立を見ました暁には、その適切な運用に努めてまいることがこの地域の振興に資するのではないかというふうに考えます。
次に、ウルグアイ・ラウンドとの関係で、いわゆる国境措置についてお尋ねがありました。
我が国は御指摘のような世界最大の農産物の純輸入国でございますから、そういう意味で世界の農業貿易の安定と発展に非常に貢献していると申すことができます。そのような輸入国の立場から見ますと、現在のいわゆるダンケル合意案の農業部門については輸出補助金に比べまして国境措置の取り扱いにバランスを欠いていると考えておりますことは、従来も申し上げてまいりましたし今でもそう考えておりまして、ここにいろいろな問題がございます。このような問題につきましては、我が国としましては、ウルグアイ・ラウンドの交渉において適切な配慮が払われてしかるべきであるというふうに考えております。
ウルグアイ・ラウンド交渉の現段階におきまして各国とも農業問題についてそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、我が国といたしましても、これまでの基本的方針のもとに、主張することは主張いたさなければならないと思います。そして、相互の協力によって解決に向けて最大限努力してまいりたいと思っております。
次に、円の問題についてお話がございました。
我が国といたしまして、為替相場がいわゆるファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい。これはまた我が国ばかりでなく、先般開かれましたG7における会議の声明も、各国が同様な意識を持っていることを表明いたしております。もちろん、為替相場が思惑等によりまして短期間のうちに大きく変動する、あるいは不安定な動きを示すということは好ましくございません。このような場合には適宜適切に対処をいたしまして為替相場の安定を図ってまいることが必要であると考えております。
残りのお尋ねにつきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣田名部匡省君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/6
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007・田名部匡省
○国務大臣(田名部匡省君) 谷本議員のお尋ねにお答え申し上げます。
まず、中山間地域における付加価値の高い作物への転換につきましては、それぞれの地域の気象あるいは立地などいろいろな条件を生かしながら適切な作物を導入することが必要だ、こう考えております。
導入すべき作物の選択や営農に当たっては、市場や食品産業の関係者などの助言、指導による需給動向の的確な判断、地域の関係機関が一体となった濃密な営農・経営指導、さらに国の関係機関による作付・需給の動向などに関する情報の提供などによって適切に対処してまいりたいと考えております。
次に、中山間地域への所得補償政策、今総理からお答えがあったことに尽きるわけでありますが、いずれにしても、構造政策の達成状況、国民のコンセンサスの形成状況などを踏まえ引き続き検討していく必要があると考えております。
農業経営改善計画の認定制度に関するお尋ねでありますが、この制度は、地域の特性に即し経営改善を図ろうとする農業者に対して重点的に農用地の利用権の集積等を図ることによって将来にわたる担い手を確保しようとするものであります。また、その運用に当たっては、集落における話し合いをベースとして、兼業農家、高齢農家などとの間で労働力提供や地域社会の維持管理の面で適切な役割分担を図り、地域農業全体の活性化を目指してまいる考えであります。さらに、環境保全型農業技術の確立に努めてまいる考えであります。
次に、規模拡大と価格政策に関するお尋ねですが、農産物価格政策の運用につきましては、これまでも生産費、需給事情などを参酌して適正な価格水準を設定してきたところであり、このうち生産費については、規模拡大に伴い必要となった経費を含めて投下された諸経費が積み上げられ、規模拡大部分も含めて再生産が可能となるようにされているところであります。今後とも、効率的、
安定的経営体の育成に配慮しつつ、価格政策の適切な運用に努めてまいる考えであります。
土地改良負担金の軽減でございますが、従来から償還方法の改善や利子補給などの各般の対策を講じてきており、今後とも、農家負担の軽減に努め、規模拡大に向けて土地改良事業の一層の推進を図りてまいりたいと考えております。
農業生産法人の要件緩和に関するお尋ねでありますが、今回の法案では、農業生産法人の経営安定、発展を図る観点から事業及び構成員の範囲について一定の要件を緩和するものでありますが、この場合にも、企業が農業生産法人を支配することのないよう、構成員の範囲の拡大に当たり議決権などに一定の限定を設けることとしております。また、農業生産法人に対する十分な監督体制が整備されていることから、企業による農業支配には十分な歯どめがなされているものと考えております。
なお、農地の権利移動などに関する規制については、従来どおり適正に対応してまいる考えであります。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣村田敬次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/7
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008・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) 谷本議員の御質問のうち、地方交付税に関する問題について私からお答え申し上げます。
いわゆる中山間地域は、近年の過疎化、高齢化の進展等の中で地域社会の活力が低下をしております。自治省としてはこのような農山村地域の活性化を図ることは極めて重要な課題であると認識しており、従来から、過疎債の活用、地方交付税の基準財政需要額の算定の充実等に努めているところでございます。特に平成五年度から、森林の公有化や農道、林道の大幅な整備促進を図るためのふるさと農道・林道緊急整備事業の創設など、農山村地域の振興対策等を積極的に推進することとしております。
今後とも、関係省庁と十分連絡をとりながら、これらの地域の振興を通じて住民生活の向上を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/8
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009・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) 風間昶君。
〔風間昶君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/9
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010・風間昶
○風間昶君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました農業機械化促進法の一部を改正する法律案、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案の三案につきまして、総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。
初めに、基本法農政と新政策についてお伺いいたします。
近年における農業生産の担い手の減少、高齢化と、耕作放棄地の増大、さらに海外からの市場開放要求など、我が国農業は危機的状況にあります。こうした状況が、猫の目農政という言葉に象徴される政府・自民党の理念なき農政によって引き起こされたことは言うまでもありません。農業基本法が目標とした生産性の向上と農業所得の増大による他産業従事者と均衡する生活が達成できなかった原因についてどのように認識しているのか、まず初めに総理にお聞きしたいと思います。
また、農水省が昨年示した「新しい食料・農業・農村政策の方向」でも、土地利用型農業について、生産性向上、規模拡大を柱とした経済合理性の追求による農業の活性化を目指していますが、基本法農政の失敗を繰り返すことはないのか、この点についてもあわせて宮澤総理にお尋ねいたします。
次に、食糧自給率の向上についてお聞きします。
我が国の平成三年度のカロリー自給率は四六%であり、穀物自給率も二九%と戦後最低を記録し、年々更新しております。この数字は平成二年一月に閣議決定した平成十二年度における主要農産物の需要と生産の見通しを下回っており、政府は危機感を持って受けとめる必要があります。新政策でも食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけるとしていますが、平成四年度の「農業の動向に関する年次報告」によると、低下の要因分析をするだけで具体的な施策については触れておりません。
自給率向上を図るためには、国境措置の堅持とともに、優良農地の確保、耕地利用率の向上、単収の増大など具体的な政策が必要であります。これらについてどのような施策を用意しているのか、また、農業白書が自給率低下要因としている飼料穀物、大豆、菜種などについては今後も輸入に依存するのかどうか、農水大臣の明快な答弁を求めたいと思います。
次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉について二点お尋ねいたします。
初めの問題は、新ラウンド交渉の見通しについてであります。
新ラウンド交渉は四極通商会議で動き出したようにも見受けられますが、トロントでの合意は農業など激しい対立分野の解決を後回しにしたものであり、年内合意の可能性については依然として不透明な状態にあると言わざるを得ません。ウルグアイ・ラウンド交渉の行方は我が国農業の存続につながる重要問題でありますので、現時点における宮澤総理の見通しをお聞きしたいと思います。
二番目の問題は、ドンケル事務局長の交代と、最終合意案いわゆるドンケル・ペーパーの行方についてであります。
農業交渉という極めて困難な分野を抱えたウルグアイ・ラウンド交渉が、一昨年十二月、最終合意案としてまとめられた背景にはドンケル事務局長自身の指導力もあったと思いますが、六月に退任することが決まっているガット事務局長の交代によって最終合意案の基本は維持されるのか、あるいは最終合意案について日本政府は大幅な修正を迫っていく考えはないのか、さらに後任事務局長の人選について我が国は現在どのような対応をしているのか、総理にお尋ねいたします。
次に、農業経営基盤強化法案について伺います。
政府は昨年六月の新政策において、十年後の稲作経営の規模を十から二十ヘクタールにまで拡大することを目標とし生産性の向上を図るとしておりますが、私はその実現性について疑問視せざるを得ません。それは、十から二十ヘクタールの農地を集中させるには今後十年間で百七十五万ヘクタールの農地を流動化させなくてはならず、これは過去十年間に流動した七十一万ヘクタールの二倍以上の数字であります。今回の法律整備でこ
の百七十五万ヘクタールの目標達成が果たして可能なのでしょうか。余りにも非現実的であると言われても仕方がないのではないですか。目標達成に至るプロセスと手段について農水大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
また、生産性の高い土地利用型農業を目指すということであれば、水田営農活性化対策の減反面積割合で北海道が依然として高い水準にあるのはなぜなのか。今後、減反の面積比率は生産性の高い順に割り当てる等に方針変更されるべきではないかと考えておりますが、農水大臣の答弁を求めたいと思います。
さらに、本法律案によって担い手に農地を集積するためには、当然、農地を提供する出し手が必要であります。効率的かつ安定的な農業経営を育成する規模拡大であるならば、農地の出し手である規模の小さな農家や高齢農家にとって安定的に農地を任せられる体制が確立されなければなりません。この点についてどのような対策を考えておられるのか、農水大臣に伺いたいと思います。
次に、特定農山村地域農林業活性化法案についてお尋ねいたします。
中山間地域の過疎化と荒廃は全国的な現象であり、人口の減少や高齢化の進展等による地域活力の低下が懸念されております。今こそ過疎化対策は急がなければなりません。ことしの農業白書でも、中山間農業地域で耕作放棄地が激増していることが報告されております。従来の農政のひずみが中山間にあらわれていると言ってよいのではないでしょうか。
今回政府が中山間地域対策でとろうとしている対策の柱は、中山間農業地域への支援として五十万円を限度とした融資制度が中心であります。私は、農村を地域としてとらえ、地域振興のために、中山間地域での農地の公的管理や各県などでつくっている農業の担い手基金などへの地方財政措置を講じるべきであると思いますが、自治大臣のお考えを伺いたいと思います。
また、国民に安定的に食糧を供給し国土及び環境を保全していく立場から見れば、中山間地域対策は農業者だけの問題でないととは明白であり、そこに人が定住することに着目して条件不利地域対策をとるべきであります。地域特性を生かした高付加価値型・高収益農業への転換を言うのであれば、もっともっと積極的に国民世論に対して訴える努力を行っていくべきであり、中山間地域に対する直接所得補償、デカップリングの導入について農水大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
最後に、新政策については、今日危機的状況にある我が国農業の活性化と農業者の生活向上を図るものでなければなりません。農政の骨格となっている食管制度の課題について新政策は具体的方向を示しておりませんが、今後、食管制度の見直しについてどのようにお考えなのか、農水大臣にその見解についてお聞きします。
農業・農村活性化に向け、従来の枠組みにとらわれない活発な議論と施策の実現が重要であります。総理大臣並びに関係大臣の明確な責任ある答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/10
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011・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、農業基本法の目標が十分に達成されなかった原因は何かというお尋ねでありました。
この法律が制定され施行されましてから後、一般的に見ますと、畜産あるいは施設園芸を中心に生産性の著しい向上を見るなどの成果がございました。しかし、一方で稲作などのように土地利用型の農業につきましては、生産性向上のおくれ、あるいはよその産業に従事しております人々の所得との所得の不均衡などの事態が生じております。これは、農業労働力が農業部門の外へ、農外部門へ流出したこと、あるいは都市化の進展に伴いまして農地価格が高騰したことなど、経済の高度成長を背景とした環境の激変が主な原因ではなかったかというふうに考えております。
いわゆる新政策の中でこの失敗を繰り返すことはないのかというごもっともなお尋ねでありますが、新政策で目指しております力強い農業構造の実現のためには、何よりも、農地利用の集積などによりまして意欲的な農業者の経営規模の拡大を強力に推進することが大切でございます。これについては、高齢で後継ぎのない農家などの保有しております農地がふえてまいります。そういうようなことから農地の流動化の条件が整ってきておりますから、各般の施策の実施でこの新政策の目指しております目標は十分に実現可能と考えておりまして、そのような御心配はございませんように十分の施策をいたすつもりでございます。
それから、ウルグアイ・ラウンドの交渉のこれからについてお尋ねがございましたが、ウルグアイ・ラウンド交渉を成功裏に終結させることは、多角的自由貿易体制の維持強化、さらには世界の繁栄のために重要な課題であります。
七月にサミットがございますが、先般主要国間で合意がございまして、ダンケル・ペーパーの基本に関する部分は一応別といたしておきまして、主要国間で市場アクセスあるいはサービス等々についてひとつ精力的にこれから交渉をしようではないか。したがって、サミットまでにその部分についての進展を図っておきまして残りの基本的な部分は年末までに妥結を図ろう、こういうことで、ただいま市場アクセス等々についての多国間、二国間の交渉が始まったところでございます。我が国といたしましても、他の主要国とともにこの交渉の成功に向けて努力をする決心でございます。
そこで、ダンケル合意案並びにダンケル事務局長の交代についてお尋ねがございました。
ダンケル合意案は、ダンケル氏がウルグアイ・ラウンド貿易交渉委員会の議長という職責に立ちまして、交渉開始以来の交渉の経緯を踏まえて、まあたたき台として取りまとめたものと位置づけられております。したがいまして、ダンケル事務局長が交代した後もこの合意案のような位置づけは基本的に変わることはない。たたき台と申しましたのはちょっと言葉が不適当であったかと思います。この交渉の結果を踏まえて一応ダンケル氏の立場において取りまとめたものと、こう表現を変えさせていただきますが、この合意案そのものの位置づけは基本的に変わることはないと思っております。
そこで、ウルグアイ・ラウンドを早期に妥結するということになりますればこの合意案の修正はなるべく少なくしたいとは思っておりますけれども、先ほども申し上げましたが、農業部門について申しますと、輸出補助金の扱いに比べまして国境措置の扱いはバランスを欠いておる、例外なき
関税化が示されていることなどの点で我が国にとっては問題をいろいろ含んでいると考えております。このような我が国の意見は、ウルグアイ・ラウンド交渉のこれからの過程において適切な配慮が払われなければならないものというふうに考えます。
それから、事務局長の任期は六月末ということでございますので、御指摘のように後任の人選をいたさなければなりません。我が国を含めまして、各国がジュネーブでいろいろな候補者について水面下の話をいたしておるということでございます。特定の人の名前がまだ挙がっておりませんで、我が国としては、世界経済、国際貿易問題への見識を持った人物が選ばれなければならない、そういう努力をいたしておるところでございます。
残りのお尋ねにつきましては関係大臣からお答え申し上げます。(拍手)
〔国務大臣田名部匡省君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/11
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012・田名部匡省
○国務大臣(田名部匡省君) 食糧自給率に関するお尋ねでありますが、国内における食糧供給力の維持強化のため、一定の国境措置を維持するとともに、一つには、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体の育成を図ることが重要であると考えております。その次に、農業の基盤整備の推進及び優良農地の確保、三点目として、バイオテクノロジーを中心とした先端技術の開発普及、こういう具体的な施策を展開してまいりたいと考えております。
飼料穀物の輸入依存に関するお尋ねでありますが、国土条件に制約がある我が国において飼料穀物などを大量に生産することは困難でありまして、需要の大宗は輸入に依存せざるを得ないという状況にあります。したがって、これらの品目については、輸入の安定確保に努めながら、国内生産と備蓄を組み合わせることによって安定供給を図っていく考えであります。
農地の流動化目標達成の見通しに関するお尋ねでありますが、これは後継ぎのいない高齢農家などの保有する農地の増加という事情を考慮すると、今後十年間に過去十年間の流動化実績の二、三倍に相当する農地を流動化していかなきゃならぬという状況にあるわけであります。このような農地流動化の可能性を現実のものとするために、農地保有合理化促進事業など各般の施策を強化し、今後も一層の政策努力を行うこととしております。
次に、水田営農活性化対策における転作等目標面積の配分についてでございますが、稲作の生産性などを考慮することによって今後稲作を担う地域に一層配慮した配分としているところでありまして、その結果、北海道の転作等目標面積は大きく緩和されたところであります。今後とも、水稲作と転作とを組み合わせた生産性の高い水田営農の確立を図る観点から、適正な配分に努めてまいりたいと考えております。
農地の出し手農家が安定的に農地を任せられる体制、こういうお尋ねでありますが、効率的かつ安定的な経営体に安心して農地を任せられるように、市町村あるいは農地保有合理化法人といった公的な機関が中心となって利用権設定などを行う仕組みを適切に運用するとともに、今回の法案によって新たに農地の売買信託の制度を創設し、その際、委託者に対して無利子資金の貸し付けを行う農地信託等事業を行うことにいたしております。
中山間地域への所得補償政策の導入に関するお尋ねでありますが、これはなかなか難しい問題がたくさんございます。真に地域の活性化や定住の促進に資することになるのか、あるいは国民的な合意が得られるかという問題がございまして、構造政策の達成状況あるいは国民のコンセンサスの形成状況を踏まえながら引き続き検討をいたしてまいりたい、こう考えております。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣村田敬次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/12
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013・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) 風間議員の御質問のうち、地方公共団体に対する財政措置についてお答えを申し上げます。
中山間地域の活性化を図ることは極めて重要な課題であると認識しており、自治省としては従来から、過疎債の活用、地方交付税の基準財政需要額の算定の充実等に努めているところでございます。特に平成五年度におきましては、森林や山村地域の振興を図るため、森林の公有化や農道、林道の整備のほか、担い手対策基金に対する地方財政支援措置、総額一千八百億円を超える措置等を講ずることとしたところでございます。今後とも関係省庁と連絡を図りつつ各種施策の充実に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/13
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014・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) 答弁の補足があります。田名部農林水産大臣。
〔国務大臣田名部匡省君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/14
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015・田名部匡省
○国務大臣(田名部匡省君) 大変失礼いたしました。食管制度に関する答弁漏れがございましたので申し上げます。
今後とも制度の基本を堅持するという方針のもとに、新政策などの方向に即し生産者の創意と工夫の発揮による生産の活性化を図るとともに、多様化、高度化した消費者ニーズにより的確に対応し得るよう、市場原理、競争条件の一層の導入を進める考えでおります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/15
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016・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/16
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017・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) 日程第一 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長野別隆俊君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔野別隆俊君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/17
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018・野別隆俊
○野別隆俊君 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、郵便貯金の預金者に対し利益の増進を図り、あわせて金融自由化に的確に対応するとともに郵便貯金事業の健全な経営確保に資する等のため、定額郵便貯金の利率を市場金利を勘案して郵政大臣が定めることとするとともに、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金の運用範囲を拡大すること等を行おうとするものであります。
委員会におきましては、郵便貯金事業のあり方、金融自由化と預金者の利益確保、定額郵便貯金の商品性等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、五項目から成る附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/18
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019・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/19
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020・原文兵衛
○議長(原文兵衛君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112615254X01919930526/20
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