1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年四月五日(金曜日)
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議事日程 第五号
平成八年四月五日
正午開議
第一 郵政省設置法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 郵政省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫
定措置法の一部を改正する法律案(内閣提
出)、林業労働力の確保の促進に関する法律
案(内閣提出)及び木材の安定供給の確保に
関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明
及び質疑
午後零時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/0
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001・土井たか子
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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日程第一 郵政省設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/1
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002・土井たか子
○議長(土井たか子君) 日程第一、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長大木正吾さん。
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郵政省設置法の一部を改正する法律案及び同報
告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔大木正吾君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/2
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003・大木正吾
○大木正吾君 ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における我が国の郵政行政をめぐる国際的な諸情勢の推移等にかんがみ、郵政行政の強力な推進を図るため、郵政省の所掌事務に係る重要な政策の企画、立案及び実施に関する事務を総括整理する郵政審議官一名を置こうとするものであります。
本案は、四月二日本委員会に付託され、昨四日日野郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、採決いたしましたところ、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/3
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004・土井たか子
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/4
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005・土井たか子
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、林業労働力の確保の促進に関する法律案(内閣提出)及び木材の安定供給の確保に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/5
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006・土井たか子
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案、林業労働力の確保の促進に関する法律案及び木材の安定供給の確保に関する特別措置法案について、趣旨の説明を求めます。農林水産大臣大原一三さん。
〔国務大臣大原一三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/6
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007・大原一三
○国務大臣(大原一三君) ただいま議題となりました林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案、林業労働力の確保の促進に関する法律案及び木材の安定供給の確保に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国林業及び木材産業は、国民生活に不可欠な林産物の供給を初めとして、森林の有する国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能の発揮の増進など、国民経済の発展と国民生活の向上に大きな役割を果たしております。
一方、戦後植林された一千万ヘクタールの人工林が充実期を迎えつつある中で、近年の我が国林業及び木材産業を取り巻く環境は、国産材価格の低迷、伐出経費等の経営コストの増大、製品輸入の増大等により、一段と厳しいものとなっております。
このような状況のもとで、林業生産活動の停滞、森林整備水準の低下、林業労働者の減少、森林組合、素材生産業者等の森林施業を担う事業主の経営の脆弱化等に対処して、林業経営の安定及び林業労働力の確保を図ることが急務となってお
ります。あわせて、木材製造業者等に対する木材の安定供給を確保し、木材製造業の事業規模の拡大を図ることが必要であります。
このような観点から、充実しつつある国内の森林資源を木材として適切に供給できる国産材時代を迎える上での基本的条件を整備するため、林業経営基盤の強化、林業労働力の確保の促進及び森林所有者等から木材製造業者への木材の安定供給の確保に関する措置を総合的に講ずることとし、これらの法律案を提出した次第であります。
次に、これらの法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
まず、林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案についてであります。
第一に、林業改善資金助成法の改正であります。
林業経営の改善を促進するため、林業改善資金の新たな貸付金の種類として、新林業部門導入資金を創設することといたしております。新林業部門導入資金は、林業経営の改善を促進するために普及を図る必要があると認められる森林施業の方法及び木材以外の林産物の生産の方式を導入し、新たな林業部門の経営を開始するのに必要な資金とすることといたしております。
第二に、林業等振興資金融通暫定措置法の改正であります。
同法の題名を林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法に改め、都道府県の基本構想において育成すべき林業経営の目標等を明確にするとともに、林業を営む者がこの基本構想に即して作成する林業経営改善計画を都道府県知事が認定することといたしております。
この林業経営改善計画の認定を受けた者を地域の林業を担うべき者として法的に位置づけるとともに、当該林業者に対する支援措置について林業経営基盤の強化を促進する観点から拡充することとし、農林漁業金融公庫資金のうち森林の取得に必要な資金及び林業改善資金のうち新林業部門導入資金について、それぞれ償還期限の延長等を行うとともに、認定を受けた林業経営改善計画に従って林業経営の規模を拡大した場合に、課税の特例措置を講ずることとしております。
続きまして、林業労働力の確保の促進に関する法律案についてであります。
第一に、基本方針等の策定であります。
農林水産大臣及び労働大臣は、林業労働力の確保の促進に関する基本的な方向等を明らかにする基本方針を策定することとし、都道府県知事は、当該都道府県における林業労働力の確保の促進に関する方針等を明らかにする基本計画を策定することができることといたしております。
第二に、雇用管理の改善及び事業の合理化に取り組む事業主の計画に対する認定制度であります。
事業主は、雇用管理の改善及び事業の合理化を一体的に図るために必要な措置についての計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができることとし、このような認定事業主に対し、林業改善資金の貸し付けの特例、課税の特例等の支援措置を講ずることとしております。
第三に、林業労働力確保支援センターの指定であります。
都道府県知事は、認定事業主の委託に基づく林業労働者の募集、新たに林業に就業しようとする者等に対する林業就業促進資金の貸し付け等、林業労働力の確保のための支援業務を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人を、都道府県ごとに一個に限り、林業労働力確保支援センターとして指定することができることといたしております。
第四に、雇用管理者の選任等であります。
事業主は、事業所ごとに雇用に関する事項を管理する雇用管理者を選任するように努めるとともに、雇い入れ時に、林業労働者に対し、雇用に関する文書を交付するように努めることといたしております。
最後に、木材の安定供給の確保に関する特別措置法案についてであります。
第一に、都道府県知事による指定地域の指定であります。
都道府県知事は、その地域における森林の林齢その他の森林資源の状況から見て、林業的利用の合理化を図るべき相当規模の森林があること等の要件に該当する地域を指定地域として指定することができることといたしております。
第二に、木材製造業者等と森林所有者等とが共同して作成する事業計画に対する認定制度であります。
指定地域内に事業所を有する木材製造業者等と当該指定地域内の森林の森林所有者等は、共同して、木材の安定的な取引関係の確立を図る事業に関する計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができることとしております。
第三に、認定を受けた事業計画に従って行う措置についての関係法律の特例措置であります。
事業計画の認定を受けた者が事業計画に従って行う立木の伐採、林地の開発行為及び保安林における伐採についての森林法の適用の特例措置等並びに森林組合等の事業の員外利用についての森林組合法の特例措置を講ずることとしております。
第四に、国有林野事業における配慮であります。
国は、木材安定供給確保事業の円滑な推進のため、国有林野事業における木材の供給について適切な配慮をすることとしております。
第五に、木材安定供給確保支援法人の指定であります。
農林水産大臣は、認定された事業計画に基づく木材の買い受けに係る債務の保証、木材の生産または流通に関する情報の提供等、木材の安定供給の確保のための支援業務を適正かつ確実に行うこ
とができると認められる公益法人を、全国に一を限り、木材安定供給確保支援法人として指定することができることとしております。
以上、林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案、林業労働力の確保の促進に関する法律案及び木材の安定供給の確保に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、林業労働力の確保の促進に関する法律案(内閣提出)及び木材の安定供給の確保に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/7
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008・土井たか子
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。白沢三郎さん。
〔白沢三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/8
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009・白沢三郎
○白沢三郎君 私は、新進党を代表して、ただいま農林大臣より御提案のありました林野関係三法案に対して、橋本総理大臣並びに関係大臣に御質問をいたします。
我が国は、資源の少ない国と昔から言われ、工業生産や消費生活に必要な原材料の多くを輸入に頼っております。また、国土面積の中で、農業、工業あるいは居住に適した平地は約三割程度しかないとも言われております。
しかし他方では、我が国は水資源の豊富な国であり、また豊かな緑の国でもあります。そして、豊かな水資源も、また豊かな緑も、ともに豊かな森林があってこそ存在することができるということは言うまでもないことであります。
我が国が有する数少ない資源である森林を守り育て、そして活用することは、政治の重要な責務であると言わなければなりません。また、国民の間にも、良好な自然環境の確保や安全でおいしい水の確保を願う切実な要望が高まっております。さらには中山間地の振興と生活環境の向上、そしてその結果としての中山間地における定住人口の確保も重要な課題であります。
しかしながら、従来、森林政策は国政の中では片隅に追いやられており、農林水産政策の中ですら大きな位置づけを与えられていなかったとの感を抱かざるを得ないのであります。森林政策の成否にかかっている国土保全、環境保全、水資源確保、地域振興という数々の課題は、経済的にも国民生活の面から見ても極めて重要なものであります。したがって、林野二法の質問に入る前に、まず、国政の中における森林政策の位置づけについて橋本総理はどのように認識をしておられるのかをお伺いしたいと思います。
さて、木材が経済財である以上、森林にかかわる経済活動すなわち林業が順調に展開しない限り、森林を守り育てることも不可能であり、このような観点から、以下、三法案の内容について御質問をいたします。
第一は、林業の経営規模の拡大であります。
今回の林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案の中では、林業等振興資金融通暫定措置法を改正し、森林組合や専業的林家が経営・施業規模の拡大を含む林業経営改善計画を作成し、知事の認定を受けた場合には、金融・税制上の優遇措置が受けられることとしております。
確かに、時間の経過による相続の繰り返しや林業経営の不振の中で、林地所有者の細分化、林地不在地主の増加あるいはまた林業経営放棄地主の増加等の林地所有及び林業経営の状況の著しい変化は事実であり、今回の法案の中で、所有権の移転あるいは施業の受託を通した経営規模の拡大を支援する方向性を打ち出したことは評価をいたしたいと思っております。
だがしかし、この方向性を打ち出したのは遅きに失したのではないかと思わざるを得ないのであります。なぜなら、私の知る限りでも、林地の所有権の分散は相当程度に進んでおり、また不在地主や経営放棄地主の比率も急増しております。本法案の提出に至るまでこのような状況をどのように認識をしておられたのか、また、今日まで経営規模の拡大という方針がなぜ明示をされなかったのか、農林水産大臣にはっきりとお聞きをしたいと思っております。
また、このたびの改正案は、単に経営規模の拡大を含む林業経営改善計画の認定を受けた者に対して金融・税制上の優遇措置を講ずるだけであり、より積極的な経営規模拡大のための指導、誘導、支援措置は全く講じられていないのであります。果たしてこのような改正案で林業経営の規模の拡大が促進できると考えておるのか、あるいはまた近い将来に何らかの法的措置を追加的に講じられるおつもりなのか、農林水産大臣にお伺い序したいと思います。
第二は、伐採時期の長期化と林業経営の複合化の推進についてであります。
今回の改正案では、林業改善資金助成法の改正により、林家等が伐採時期の長期化やシイタケ次どの特用林産物の導入による経営の複合化を行う場合を融資の対象とするとともに、林業等振興資金融通暫定措置法の改正により、これらの林家等が林業経営改善計画の認定を受けた場合にはその償還期限を延長するとしております。
確かに、木材価格の低迷を踏まえた高付加価値化の要請や木材販売のみに頼る経営の不安定さを考えるときには、これらの点についても改正案の意図するところは大いに評価できるのであります。
だがしかし、長伐期化に転換する場合、このような措置だけで従来の伐採時期を選択したより以上の収益性が確保できるのかどうか。また、複合
経営の対象が余りにも限定され過ぎているのではないか。さらには、複合経営の促進と林業経営規模の拡大とは相反するのではないかという疑問さえ生じるのでありますが、これらの点について農林水産大臣の明快なる御見解をお伺いしたいと思っております。
第三は、林業労働力の確保についてであります。
今回の林業労働力の確保の促進に関する法律案では、林業を支える根幹である林業労働者の確保のために、林業事業者が雇用管理の改善及び事業の合理化に関する計画を策定して、その計画について知事の認定を受けた場合には、金融・税制上の優遇措置が受けられるとしております。さらには、林業労働力確保支援センターを設けて、林業労働者の就業資金の貸し付け、委託募集の実施、機械の貸し付けや研修、情報提供等を行うとしております。
林業労働力の確保は林業の維持発展のために不可欠であることは言うまでもないことであり、今回の改正の意図するところは、私自身、率直に評価をするものであります。
だがしかし、林業労働力の確保のためには、林業経営の近代化による雇用労働者の確保か、または林業経営への新規参入によるしか方法はないと思われるのであります。この観点からしますと、林業経営の近代化の基礎的な条件となる経営規模の拡大及び施業の機械化とこの施策を果たしてどのようにリンクさせるのか。また、林業労働力確保支援センターが、運用次第によっては林業経営者の自主性を損なうことになるのではないか。そしてまた、同センターの役割は、経営支援的な側面を主とするのか、それとも雇用管理の改善及び雇用の確保という雇用政策の側面に重点を置くのかという疑問さえ生じるのであります。これらの点について、農林水産大臣の御見解をお伺いすると同時に、あわせて労働大臣の御見解もお伺いをしたいと思っております。
第四は、木材の安定供給の確保についてであります。
今回の木材の安定供給の確保に関する特別措置法案では、指定地域において、木材製造業者等と森林所有者が木材の安定的供給の確保のための取引関係の確立やあるいは施設整備についての共同の計画を作成し、知事の認定を受けた場合、支援法人による債務保証や森林法等の特例を認めようとしているのであります。
これは、考えてみますと、林業の川上と川下の間を調整し、国産材の質、量、納期等の改善のための条件づくりを支援し、外材に対抗できるようにしようというものであり、林野政策が流通段階に本格的に関与する画期的なものと私は評価をするのであります。
しかしながら、認定事業計画に基づく木材の買い受け代金等に係る債務は、木材安定供給確保支援法人による債務保証を受けられるということになっておりますが、農林大臣、果たしてこの程度の優遇措置では川下からの参加は余り期待できないのではないか。また、果たしてこれらの措置でどの程度外材と対抗できるようになるかという予測、さらには、この制度を利用していかに木材の消費者との連携を図っていくのか、これらについて全く不明であります。農林水産大臣に御見解をお伺いしたいと思っております。
第五は、林野三法の仕組みとその運用についてであります。
林野三法は、それぞれ将来を見据えた内容を持っていると一定の評価をするものでありますが、この仕組みは、農水省が基本となる方針を定め、そしてそれに基づいて都道府県が計画を定め、事業者がそれに適合する計画を作成した場合には優遇措置を与えて誘導しようとする、いわゆる伝統的な行政手法によっております。
林野行政のように営利事業と森林の保全等とを調和させなければならない場合にはやむを得ない手法でもありましょうが、その運用に当たっては、事業者等の自主性、創造性を十分に尊重するとともに、過剰な行政介入を抑止して、自己責任原則が貫かれるような運用をされるべきであると考えますが、農林大臣の御見解を賜りたい。
最後に、森林の持つ公益的性格についてであります。
森林は、保安林、水源林等を見ても明らかなように大きな公益性を持っており、そのために必然的に収益性が圧縮される結果を招いております。冒頭に申し上げた森林の機能を果たすためには、この公益性とそれによる経済財としての制約は当然の前提とせざるを得ません。したがって、保安林等に係る部分については、民有林、公有林、国有林の別を問わず、その所有に係る負担について一層の制度的配慮を行い、国民全体が森林の恩恵に対する負担を分かち合うべきであると考えておりますが、最後に総理大臣並びに農林水産大臣の明快なる御見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/9
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010・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 白沢議員にお答えを申し上げます。
我が国は国土の約七〇%が森林に覆われておりますが、その森林がまさにあなたの御指摘のように緑と水の源泉であり、地球環境の保全を図り豊かな国民生活を実現していく上でも、これを健全な状態で次の世代に引き継いでいくことが大切なことであることは言うまでもありません。
私は、森林の整備を重要な課題と受けとめてまいりました。そして、天然林の保全・造成あるいは複層林の育成を含めて、森林資源の長期的な整備の基本方向を定めた森林資源に関する基本計画に基づきまして、木材供給だけではなく、国土や環境の保全等公益的機能を高度に発揮し得るよう森林の計画的な整備に努めているところであります。
公益性を持つ保安林等に係る負担については国民全体が分かち合うべきではないかとの御指摘がありました。
森林の有する公益的機能の重要性にかんがみ、森林に係る投資計画である治山事業五カ年計画及び森林整備事業計画を策定し、治山、造林、林道の各公共事業を、今、総合的にかつまた着実に実施しているさなかであります。さらに、緑の募金等による国民の自主的な活動を通じた森林の整備につきましても積極的に支援していくこととしております。
御指摘のように、切れない山がふえればそれだけその緑を維持するコストはかかります。今後とも、このような公共投資や国民参加による森林の整備を計画的かつ着実に進めてまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣大原一三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/10
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011・大原一三
○国務大臣(大原一三君) 白沢議員にお答え申し上げます。
六問ございましたが、逐次触れさせていただきます。
まず第一は、林業経営の規模拡大の問題でございますが、これにつきましては、従来から経営規模の拡大のための施策を講じてきたところでございますけれども、今回の改正案は、これまでの施策をさらに一歩進めまして、林業の経営者が作成する林業経営改善計画の中で規模拡大を明確に位置づけ、これに対し林地取得資金の償還期限の延長等の新たな措置を講ずることといたしております。
また、法による措置とあわせて、平成八年度予算案で、規模拡大を促進するために林業経営改善計画の認定を受けた者に対する助成金の交付を行うことといたしております。
これらの施策を十分組み合わせながら実行に移してまいりますが、議員御指摘のように、これで十分であるとは思っておりません。今後とも、これらの施策を中心にして、さらに拡大前進していかなければならぬものと思っております。
次に、長伐期化と複合経営の推進に関するお尋ねでございますが、御指摘のように、長伐期化をやりますと、当面の所得の減少というような事態が起こるわけでございます。すなわち、伐採収入が先に延びることなどから、当面の所得の低下に対応するために特用林産物の生産に対し支援措置を行うこととしておるところでございます。
我が国の林業経営の実態を見ますと、林業経営だけでは所得の十分な確保ができないというのが大方の実態でございまして、この問題につきましてもなかなか難しいところがございますが、林業改善資金による特用林産物との複合支援、さらにまた農業や民宿等の事業などについても別途支援措置を講じているところでございます。
経営規模の拡大と複合経営化の関係は、御指摘のように相反する面も持っておりますが、しかしながら、それぞれの態様、それぞれの山村において、経営実態に応じて選択することによってできるだけ定住の加速材にしていかなければならぬ、かように考えております。
第三番目に、林業労働力の確保の新施策について、議員大変な御評価をいただいたことに感謝を申し上げますが、最後に問題点も御指摘がございました。林業労働力確保支援センターにつきましても、新たな施策を追求することになりますが、雇用管理の改善と事業の合理化等に対する支援措置を総合的に、労働省のお力もおかりしながら漸進的に進めてまいりたい、かように考えております。
四番目に、木材の安定供給の確保に関する特別措置法案に基づく措置でございますけれども、委員御指摘のように、我々も今回の措置は画期的なものだと思っております。川上と川下との小ロットの結び合いではなくて、大ロットで相互間を結び合わせることによってトータルとしての経営を安定させていき、外材と対抗をしていこうという努力、この点については御評価を願いたいと思います。
ただ、これにつきましても、木材製造業者の積極的参加、法案に基づく事業が円滑に実施されるかどうか、大変難しい課題もたくさん抱えていることは存じ上げております。平成八年度予算案においては、低利運転資金の融通、設備資金に対する利子助成等の措置も積極的に講じてまいりたいと思っております。なお、木材安定供給確保支援法人による消費地における展示会の開催、消費者への木材利用相談活動などにより、消費者との連携を図ってまいりたいと考えております。
なお、これらの施策を行うにつきまして、いわゆるお仕着せの政策ではなくて、事業者等の自主性、創造性を尊重すべきではないかという御指摘でございますが、我々も全く同感でございます。さよう心得て運用していくつもりでございます。
最後に、公益性を保つ保安林等に係る負担については国民全体が分かち合うべきではないかという御指摘、我々もそういう気持ちで林務行政を進めてまいらなければならぬと思います。林政は、国土政策、水資源政策、さらには環境、緑の資源の供給源として、我々も、総理大臣からただいま御指摘がございましたように、国の重要施策の一環として位置づけて、今後も努力をしてまいる所存でございます。
以上、お答えいたします。(拍手)
〔国務大臣永井孝信君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/11
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012・永井孝信
○国務大臣(永井孝信君) 林業における雇用管理の改善についてのお尋ねでありますが、林業労働者については、林業事業体の経営基盤の弱体化等から、雇用関係が不明確であること、不安定な雇用であることなど、雇用管理面での改善の立ちおくれが見られるところであります。こうしたことから、若者を中心に林業労働力の確保が困難と
なっているところであります。
このため、今国会に提出しております林業労働力の確保の促進に関する法律案におきましては、まず一つには、雇用管理の改善と事業の合理化を一体的に進めるための林業事業体の計画を認定することとし、支援センターが通年雇用化の推進等の雇用改善について支援を進めること、二つには、林業事業体において雇用管理に責任を有する者の選任に努め、林業労働者の雇い入れに際し、雇用関係を明確にするための文書の交付を励行する等の雇用管理体制の整備を図ること、三つには、林業労働者確保のための募集・採用活動を適切に行うための措置を講ずること等の内容を盛り込んでいるところであり、これらを活用することにより林業労働者の雇用の改善を積極的に進めてまいる所存であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01419960405/12
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013・土井たか子
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
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014・土井たか子
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十四分散会
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