1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年三月十四日(金時日)
午後零時一分開議
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○議事日程 第八号
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平成九年三月十四日
正午 本会議
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第一 平成九年度における財政運営のための公
債の発行の特例等に関する法律案及び租税特
別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に
係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の
一部を改正する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一 平成九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び租税特別措置法及び阪神・淡路大喪災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
両案について提出者の趣旨説明を求めます。三塚大蔵大臣。
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/1
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002・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 平成九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨の説明を申し上げます。
まず、平成九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案につきまして御説明を申し上げます。
平成九年度予算につきましては、我が国財政の危機的状況にかんがみまして、医療保険改革を初めとする各般の制度改革を織り込むことにより一般歳出の伸び率を一・五%と九年ぶりの低い水準に抑制するとともに、公債減額四兆三千二百二十億円を実現するなど、財政構造改革元年として財政健全化に向けた第一歩を踏み出したところであります。
その中で、特例公債については、前年度当初予算における発行予定額から四兆五千二百八十億円減額したものの、引き続き平成九年度においても発行せざるを得ない状況にあります。
本法律案は、以上申し上げましたように、厳しい財政事情のもと、平成九年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置及び厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れの特例に関する措置を定めるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、平成九年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができること等としております。
第二に、平成九年度における一般会計からの厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れのうち経過的国庫負担については、七千二百億円を控除した金額を繰り入れるものとするとともに、後日、将来にわたる厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることのなしより、七千二百億円及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
本法律案は、最近における社会経済情勢等に顧み、住宅土地関連税制等について適切な対応を図るほか、租税特別措置の整理合理化その他所要の措置を講ずるとともに、阪神・淡路大震災に関する特例等の措置を講ずるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
まず、租税特別措置法の一部改正について申し上げます。
第一に、住宅土地関連税制について、住宅需要を刺激するための措置として、住宅取得促進税制を当初拡充した上、段階的に適正化を図っていくという見直しを行うこととするほか、住宅の取得等に係る登録免許税の特例の拡充、不動産譲渡契約書等に係る印紙税の税率の引き下げ等の改正を行うこととしております。
第二に、社会経済情勢等に対応するため、特定の中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除の創設等の措置を講ずるほか、沖縄振興の観点から、沖縄に対する税制上の特例措置の新設、拡充を行う一方、企業関係の租税特別措置等について整理合理化等を行うこととしております。
以上のほか、民間国外債の利子等の非課税制度等適用期限の到来する特別措置について、実情に応じてその期限を延長する等、所要の措置を講ずることといたしております。
次に、阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部改正について御説明申し上げます。
阪神・淡路大震災の被災者の住宅の再取得等を支援するため、被災者が住宅の再取得等に係る住宅借入金等を有する場合の住宅取得促進税制の特例等の措置を講ずることといたしております。
以上、提案の二法律案につきまして、その趣旨を申し上げたところでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。益田洋介君。
〔益田洋介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/3
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004・益田洋介
○益田洋介君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました二法律案につき、橋本総理並びに関係大臣の御所見をお伺いいたします。
まず、平成九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案についてお尋ねいたします。
本法律案は、平成九年度予算の財政的裏づけを行うことを企図した法案ではありますが、政府予算案にはさまざまな疑問を抱かざるを得ません。
まず、政府は予算案を緊縮型予算と銘打って編成したと公言しておりますが、早急に構造改革を図る必要がある我が国経済の実情を無視したものであり、到底容認できるものではございません。
先月、ベルリンで開催された主要七カ国蔵相・中央銀行総裁会議、G7におきましては、これ以上のドル高に歯どめをかけることで合意いたしました。このことは、一九九五年四月に急激な円高ドル安からの「秩序ある反転」以来続けてきたG7路線の転換でもありました。この路線転換の背景には、米国の財政赤字縮小の要因となったドルの信頼の回復がありました。その一方で、今年度予算案を見て、日本政府の経済運営に対する不信、日本経済の先行きに対する不安が世界じゅうで噴出し、市場で円売りが加速するという結果につながってきているという客観状況があることを否むわけにはまいりません。
そこで、ルービン米財務長官は我が国に対し、日本の課題は内需主導型の成長と整合的なマクロ経済政策をとることだと指摘し、日本の景気回復を輸出主導ではなく内需主導で進めてほしいという意向を表明したわけですが、この点に関する総理の見解をお伺いしたい。
本年度は、消費税率引き上げによる五兆円増税に加えて、所得税、住民税の特別減税打ち切りで二兆円、医療費など社会保障制度の改悪で二兆円と、合計九兆円もの負担が国民に押しつけられようとしております。年収七百万円程度の家族四人の標準世帯を例にとるならば、一人当たり実に年間十八万円の負担増になる計算であります。
住専問題の処理に失敗し、国民に第一次処理だけでも六千八百五十億円もの負担を強いた記憶がまだ生々しい今日、この上また新たな負担を強要するというのは一体どうした行政運営上の感覚から生じるところなのでしょうか。このように身勝手な行政上の失態のツケ回しを国民に対し繰り返し、経済成長の基盤となる国民生活を圧迫し続ければ、大幅な景気減速を招くことは必至であります。
こうした事態を直視し、どのような対応をし、さらにはその責任をどのようにとられるのか、総理の見解を伺います。次に、九年度予算案は、財政構造改革への取り組みという観点からもまことに不十分と言わざるを得ません。内外の世論を待つまでもなく、我が国の財政体質はここ数年急速に悪化しております。例えば、地方を含めた国の財政収支は、国内総生産GDPの六%、長期債務残高は九〇%になんなんとしております。一方で、EUの二〇〇二年通貨統合に向けての目標は、財政赤字をGDP比三%以下、債務残高を同六〇%以下に抑えるとしているものでございます。このような先進各国との比較において、我が国の現状は最低ランクに位置すると言わざるを得ません。
財政再建のために、まず公共事業費を中心に経費別、省庁別に数値目標を掲げたコスト削減の徹底から始めるべきであると私は考えます。ある新聞の一月十四日の世論調査では、今年度予算案における歳出削減は不十分であり、かつ予算案に修正が必要であるとの意見が実に七一%という高率に達しております。
ところが、公共事業費の事業別、省庁別配分比率は微動だにしていないし、農業関係者でさえ首をかしげるウルグアイ・ラウンド対策費が安易に計上され、また、整備新幹線の未着工区間に事業費がついたりして、ばらまき型利益誘導予算とのそしりを免れないわけであります。この点につき、総理並びに大蔵大臣の所見をお伺いしたい。
さらに、政府は、予算案において本年度特例公債の発行を四兆三千億円減額したと胸を張って強調しておられるようですが、もともと八年度予算において十二兆円もの特例公債を発行したこと自体が異常であったわけです。本年度の場合も実態は、繰り返し総理の言われる増税なき財政再建とは裏腹な九兆円に上る大増税により相殺しただけのことで、特例公債の減額はトータルで見ますれば減額には当たらないものであります。
このことを踏まえると、私ども新進党がかねてより主張してきた特別減税の制度化や所得税減税を実施し、見かけの数字合わせではなく、実質的に個人消費に活力を与え、景気の落ち込みを防ぐことが重要であると強調せざるを得ません。しかも、九年度末の国債発行残高は、八年度末見込みに比べ十三兆円増の二百五十四兆円に達する見通しであります。
政府は、本伝を財政構造改革元年と自慢げに呼称されておりますが、実情は財政再建の糸口さえ見えてこない。こうした実態を顧み、国民の誤解を招きかねない事実とは異なる財政構造改革元年などという呼称を用いることは、私は、今後慎んでいただきたいと切に要望いたしますが、総理、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
また、いわゆる隠れ借金の累計は今年度末には二兆円余り増加すると言われておりますが、そのうち一兆円は旧国鉄長期債務の増加分であります。特に、旧国鉄の長期債務はことし四月に二十八兆円を超えることは確実であり、何ら対策を講じないで返済ができない場合には、昭和六十一年の閣議決定に基づき国民の負担にツケ回されるという深刻な状況でございます。
本来、旧国鉄債務の解決策は昨年末までに策定されていなければならなかったわけですが、実際には何らの方策もとられず先送りされ、逆に一日三十五億円の金利が雪だるま式にふえているのが実情でございます。総理自身が運輸大臣をされていた当時の政策が原因でいわれなき借金がツケ回される国民の政治不信は募るばかりでございます。
特定財源制度を見直し、道路整備関連税などを旧国鉄債務の償還財源に充てるという試案が財政構造改革会議で検討されるとのことですが、これらにつき総理の御所見をお伺いいたします。
さて、公共事業の大半を請け負う特殊法人の改革も行き詰まり状態にあるのが現状でございます。抜本的な改革を標榜するのであれば、一般会計の六割を超える財政投融資資金を投入することはやめるべきであります。このことにより、財投資金の出口ともいうべき特殊法人の改廃を促進し、入口となる原資、すなわち郵便貯金や年金保険料が縮小されれば、郵便貯金民営化案も現実味を帯びてくることになると考えます。
財政構造改革は、財政投融資制度や特殊法人の抜本改革を避けては通れず、その意味で郵便貯金民営化論議を封じ込めてはならない、そのように考える次第です。この際、郵政大臣及び厚生大臣の忌憚なき考えを伺いたいと存じます。
次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
この改正の大きな柱ともいうべき住宅取得促進税制は、従来であれば景気対策の一環として位置づけられるものかもしれません。しかし、今回の消費税率五%引き上げで、実際には、四、五千万の住宅を購入した場合、六年間の控除額が百八十万であったとしても、ほとんど消費税分に相殺されてしまうことになるわけでございます。
御苦労されている被災者の方々に本気で手を差し伸べるのが政治の仕事であるならば、私は、神戸のエンタープライズゾーンや沖縄の自由貿易地域を経済特区として位置づけ、活性化を図るような思い切った施策を断行すべきと考えます。それはひいては日本の経済構造改革に寄与し、我が国全体の景気を刺激するものと考えますが、総理の所見をお伺いしたい。
最後に、危機管理に対する総理の姿勢をお伺いいたします。
阪神・淡路大震災で首相官邸の危機管理体制の欠如がクローズアップされて二年が経過しました。しかし、その後も日本海重油流出事故、米軍による劣化ウラン弾誤射事件、動燃再処理工場爆発事件と、いずれも初動対応や情報伝達のおくれが指摘され、問題化しております。動燃の事故では、排気筒の十二台のモニターが放射線漏れを感知していたにもかかわらず五時間も見逃していて、首相官邸に報告が入ったのは実に午後四時過ぎであったと言われております。
このことは、橋本政権の視野に国民の憤りや募る不安といったソフトな感性が入力されていないあらわれであると私は考えざるを得ないわけです。動燃事故の直接の監督官庁は科学技術庁でございますが、危機管理の最終責任は総理にあると考えます。財政危機の管理もできない上、安全に対する危機管理能力もない、そうした橋本総理は速やかに退陣すべきだと考えますが、この点に関する総理の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/4
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005・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 益田議員にお答えをいたします。
まず、日本の景気回復についての御質問がございました。
我が国経済の最近の動向を見ますと、景気は回復の動きを続けております。そして、そのテンポは緩やかではありますが、設備投資を初め民間需要は堅調に推移をいたしております。
九年度につきましても、政府経済見通しでお示しをいたしましたように、消費税率の引き上げなどにより年度前半は景気の足取りが緩やかになるものの、規制緩和などの経済構造改革の実施等と相まって、次第に民間需要を中心とした自律的回復が実現されるとともに、持続的成長への道が開かれてまいる、そのように考えております。
次に、消費税率の引き上げは所得税などの恒久減税などとおおむね見合うものであります。我が国の構造変化に対応した税制改革の一環として確実に実施をしていく必要があります。また、特別減税は、我が国経済が回復基調にあること、そして危機的な財政状況をさらに悪化させないこと、こうした点から実施をしない決断をいたしました。
政府経済見通しにおきましては、これらの措置をも盛り込んだ上で、来年度の経済の姿につき、次第に民間需要を中心とした自律的回復が実現されていくとともに、持続的成長への道が開かれていくと見込んでおります。
政府としては、安易に財政に頼らず、民間需要中心の自律的な景気回復の実現を図り、中長期的な安定成長につなげていくためにも、適切な経済運営に努めるとともに、各般の構造改革を一体的かつ積極的に進めてまいる所存であります。
九年度予算につきましては、各般の制度改革の実現に努めた結果として、一般歳出の伸びは一・五%と九年度消費者物価上昇率の見通しを下回り、実質伸びがゼロになりました。同時に、国債費を除く歳出を租税等で賄える範囲内にとどめたこと、四・三兆円の公債減額を実現すること、こうした内容を持っていることは今さら申し上げるまでもありません。私どもは改革の第一歩を踏み出したと考えておりますが、今後さらに思い切った財政構造改革を進めていく必要があることは御指摘のとおりであります。
次に、特定財源制度と旧国鉄債務の関係についてのお尋ねがございました。
道路等の特定財源制度は受益者負担に基づくものであり、これを旧国鉄債務の償還財源に充てることが適当か、また、国民の御理解をいただくことができるかどうか、私は慎重な検討を必要とすると考えておりますが、いずれにせよ、国鉄長期債務などの本格的処理を平成十年度から実施できるよう、最終的な国民負担のあり方としていかなる措置があるかを幅広い検討の中で私どもとして決めていかなければなりません。
次に、神戸のエンタープライズゾーンについてのお尋ねがございました。
この構想につきましては、これまでお地元の方から税制上の措置や規制緩和などに関する一般的な御要望を承っておりますが、具体的な事業内容について現在地元において検討中だと伺っております。政府としては、こうしたお地元の検討を踏まえて、具体的な御要望を伺った上、どのような支援ができるかなどについて検討していきたいと思います。
また、沖縄の自由貿易地域につきましては、大田知事御自身にもメンバーに入っていただいております沖縄政策協議会で自由貿易地域の今後のあり方についての検討を進めることとしており、現在、沖縄開発庁を中心に関係各省庁、そして沖縄県がともに作業を進めております。今後ともにこの協議会での検討を深めるとともに、県から具体的な構想が提示されることとなれば、協議会等の場において真剣に検討してまいります。
次に、日本海重油流出事故等についての危機管理の責任を問うお尋ねがございました。
この事件が発生いたしました当初は、人命救助というものが問題だったことは御承知のとおりであります。そして、この人命救助につきましては、乗組員三十一名を救助すると同時に、その時点で発見をいたしました流出油に対し防除措置を開始し、全力を尽くしてきました。しかし、残念ながら船体首部の、海上保安庁の諸君が必死で努力をしてくれたのですけれども、海岸への漂着という事態になり汚染が拡大をいたしましたこと、こうしたことについては本当に残念であります。
現在も、応急対策、被害者対策あるいは再発防止策について関係閣僚会議を通じて対策を講じつつありますが、今後ともに政府一体となった取り組みを行ってまいりたいと思います。
次に、劣化ウラン弾問題への御質問、御意見がありました。
アメリカ側に対し通報の著しい遅延につき遺憾の意を表明しつつ、三月末までに日米間で事件・事故のきちんとした通報体制を合意、公表する考えであります。
また、沖縄県におきまして、アメリカ側からの通報後、政府が直ちに同県に通報すべきであったというお考えがあることは承知をいたしておりますし、私自身、この点については知事にもおわびを申し上げてまいりました。地元の方々の気持ちに対する配慮が欠けていた、これは私は甘受をいたします。そして、今度の反省に立って、今後はこのような遅延のないように最大限努力をしてまいります。次に、動燃における爆発事故への対応につきましてのお尋ねでありますが、私は、昨日の参議院予算委員会でも申し上げましたように、「もんじゅ」の事故の中からあれだけ大きく批判を受けました動燃に、連絡のおくれ、事実の隠ぺいといったことの反省が今回全く生かされていない、本当に残念な気持ちがいたします。
今後、地元の方々の不安、不信を払拭して、「もんじゅ」の事故の後に円卓会議等である程度回復してまいりました信頼をもう一度取り戻すために、調査委員会を公開で行う等、信頼感を得る努力をすると同時に、情報伝達に万全を期すだけの体制を整え、事故の原因究明と再発防止に全力を挙げてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/5
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006・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 同様の質疑をいただいておりますが、重複いたしませんように、予算編成者、原案作成者として申し上げさせていただきます。
九年度予算案について大変な御批判をいただきました。しかし、五百兆を超える国、地方の長期国公債、借金が累積をいたしております。今これに歯どめをかけませんと深刻な事態が出ますことは御承知のとおりであります。平均五%という利子で計算をいたしてみましても二十五兆の利払い、そのほかプラス元金でございますから、気が遠くなることであります。よって、総理指示により、財政構造改革元年として聖域を設けず全力を尽くせという趣旨に基づき予算編成に当たりました。赤字国債の減額は、まさに後世にツケを回さないという大人たちの気持ちを体しまして、政府・与党一体となってやり抜いたところでございます。
歳出の伸び率は一・五でありますが、消費税初年度効果ということで、満額は入りませんから、二・七兆というオーソライズされた収入額でございます。そしてそれに加えて、国家が、政府が支払う消費税四千億円でございますから、一般歳出に一・五%、元金は四十三兆でありますから、それを引きますと〇・六%以下ということであり、まさにほぼゼロシーリングに近い形で編成が行われたわけでございます。
公共事業その他ばらまきではないかという御指摘でありますが、公共事業予算の配分につきましては、公共投資基本計画の考え方や社会経済情勢の変化、国民のニーズ等を踏まえまして、国民生活の質の向上に直結する分野や次世代の発展基盤の整備など、経済構造改革に資する分野への重点的な配置をいたしたところでございます。
御指摘のウルグアイ・ラウンド対策につきましても、全体として着実な事業執行が図られますように各事業に予算措置をいたしたところであります。
整備新幹線の取り扱いにつきましては、収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、そしてJRの同意等を基本条件といたしまして、これが合意し確認をされたことによりまして、その取り扱いを厳正に判断してまいるということであります。
JRは旧国鉄ではございません。民営鉄道という基本論がありますから、私鉄運営の基本と同じ原理で取り組まなければなりません。この結果、四・三兆円の公債減額を実現いたしたところであります。
以上に見られますように、九年度予算については、全体として抑制を図る中で重点的、効率的な資金配分を行ったものでございまして、現時点では最善、最高の予算であると考えております。円滑な御審議と一日も早い成立を希望する次第でございます。
次に、財政構造改革元年という呼び名でございますが、ただいま申し上げましたとおり、九年度予算は財政構造改革の第一歩を踏み出したものであると考えておりますが、今後とも財政構造改革に強力に取り組んでいくことが重要であると考えております。(拍手)
〔国務大臣堀之内久男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/6
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007・堀之内久男
○国務大臣(堀之内久男君) 郵貯民営化論議に関する御質問でございますが、総理もたびたび答弁されておるとおり、財政投融資については、その基本的役割や必要性は将来においても残ると思いますが、その受け持つ具体的な役割は社会経済情勢などの変化に応じ見直されていくものと考えております。
ところで、郵便貯金は、高齢化の進展がとりわけ顕著な離島や山間辺地はもちろん都市部においても、民間金融機関の店舗配置の手薄な住宅地などを含めバランスよく店舗を配置し、国民生活に密着した基礎的金融サービスをあまねく公平に提供するという大きな役割を果たしており、今後ともこの体制で事業の効率化、合理化の促進を初めとする改革に積極的に取り組んでまいることが国民福祉の向上に資するものであると考えております。
ただ、いずれにいたしましても、今後、国がどのような機能を果たすべきなのか、聖域なく検討される中で、政府・与党内において十分議論がなされるものと承知をいたしております。(拍手)
〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/7
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008・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 益田議員のお尋ねは、財政構造改革は財投制度や特殊法人の抜本改革を避けては通れず、その意味で郵貯民営化論議を封じ込めてはならないと考えるが、厚生大臣どう思うかというお尋ねであります。
私は同感であります。ただ、郵貯民営化だけを私は言っているのではありません。いわゆる郵便貯金、簡易保険、郵便事業、この郵政三事業は民営化が必要であり、可能だと言っているわけであります。
今、内閣の方針として、民間にできることは民間に任せようというのが大方針であります。その総論を私は各論に推し進めるべきだと思っております。郵便局をなくせと言っているんじゃありません。郵便局の仕事は重要であります。ただ、私は、あの郵便局の仕事は役所でなくてもできると言っているんです。役人でなくてもできる。民間人に任せても、民間企業に任せても十分できると言っているのであります。
民間企業は、利益を上げなきゃ倒産してしまいます。利益を上げて、法人税を納めて、固定資産税を納めて、設備投資は自分の金でして、国民によい商品、よいサービスを提供します。しかし、官の仕事は、民間と同じ仕事をしているにもかかわらず、法人税は納めない、固定資産税は納めない、設備投資をするときは予算を要求してくる、これでは経済は活性化いたしません。
私は、そういう意味において、この郵政三事業は財政投融資制度の根幹の見直しにつながる、さらには行政、財政、金融、抜本の改革につながるから主張しているのでありまして、今後、橋本内閣の方針は、一切の聖域なくしてあるべき議論を進めていくことでありますので、その中で賛否両論ある議論でありますので、活発な議論が必要であると思います。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/8
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009・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 本岡昭次君。
〔本岡昭次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/9
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010・本岡昭次
○本岡昭次君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、ただいま議題となりました法律案について、総理並びに関係大臣に対して質問をいたします。
まず、財政構造改革に関連して総理にお尋ねいたします。
昨年来、総理は、平成九年度を財政構造改革元年とし、既存の歳出に思い切ってメスを入れると述べておられますが、でき上がった予算はどうでしょうか。公債発行は四兆三千億円減額されましたが、厚生年金への繰り入れ延期等によるいわゆる隠れ借金は二兆五千億円も増加しています。四月からの消費税率引き上げと特別減税打ち切りによる六兆四千億円の税収増は一体どこへ消えてしまったのか、国民は素朴な疑問を抱いております。
私どもが主張してまいりました公共事業の繰り延べ、住都公団等特殊法人に対する補助金の見直し、ウルグアイ・ラウンド農業対策事業の見直し等についても、総理は近々歳出削減指針を示されるようでありますが、このような意気込みを平成九年度予算編成の前に示していただけなかったことが何よりも残念でなりません。
この際、計画期間を五年から六年に延長するというまやかしの削減案でお茶を濁してはなりません。一たんすべて白紙に戻し、それぞれの事業の必要性、費用対効果等について厳しく問い直すべきではありませんか。
また、つい先日、関西地区の大震災復旧・復興工事を含む公共工事についての百五十六社八百七十二件という大がかりな談合疑惑が明るみに出ました。こうした談合疑惑が発覚した以上、数年前の埼玉談合事件のように政治的圧力での刑事告発見送りといううやむやな決着とならぬよう、政府の厳正な対応を強く求めるものであります。
今回の談合事件への対応及び今後の是正策について、総理とともに建設大臣の御決意もお聞かせ願いたい。
次に、租税特別措置法改正案に関連してお尋ねいたします。
今回の税制改正はどのような哲学、理念に基づいて議論されたのか、さっぱり私にはわかりません。財政構造改革元年にふさわしく、特に企業関係の租税特別措置を初め、徹底した整理合理化、廃止を行っていくことが求められています。ところが、企業関係では廃止二項目に対して新設二項目であり、結局、本年度の七十七項目と変わっておりません。また、全体では廃止四項目に対して新設九項目と、むしろ増加しております。これでは財政構造改革元年にふさわしい税制改革と言えないのであります。
特に、国産アスファルト等に係る石油税分の還付制度の新設につきましては、石油諸税の二重課税見直しの代償措置として政治的に決められたことは周知の事実であります。そもそも道路等の特定財源については、財政を硬直化させ、むだな公共事業の温床になっているとの批判が強くあります。財政構造改革の観点からは、この際、調整併課に改めた上で一般財源化する等の思い切った改革を行うべきだと考えますが、いかがですか。
もう一点、昨年の税制改正で、公益法人の情報公開促進、課税強化の観点から新設された公益法人等の収支計算書提出義務についても、本年一月一日以降の事業年度から適用されることとなっておりました。しかし、一度も適用されないまま、政令改正によって適用規模が年間収入五千万円超から八千万円超に引き上げられることとなりました。このように短期間のうちに後ろ向きの改正を行う理由は一体どこにあるのですか。
これらの諸点につきまして、総理及び大蔵大臣の御所見をお聞かせください。
次に、阪神・淡路大震災の被災者に対する税制上の特例措置についてお尋ねいたします。
平成七年一月十七日、一瞬にして数千人の生命を奪った阪神・淡路大震災から三年目を迎えております。依然として約四万世帯の方が仮設住宅での厳しい生活を余儀なくされております。そうした中で、今回、被災者の住宅再建を支援するため、住宅取得促進税制の特例が提案されています。住宅借入金の年末残高一千万円以下の部分に適用される控除率を全控除期間を通じて二%とする特例措置が講じられることは、被災者の生活再建の支援策として高く評価をいたします。しかしながら、今回の特例措置による負担軽減も、消費税率引き上げと特別減税打ち切りによる負担増が加わって、実質どの程度の効果が上がるのか疑問であります。
第一に、大蔵省は、被災者が抱える借入金の実態についてどのように把握し今回の特例措置を講ずるに至ったのか、また、該当者をどの程度と見込んでいるのか明らかにすべきだと考えます。
第二に、六年間の控除額の合計が最大で二百十万円となっております。これは一般の方の百八十万円の枠と比べてわずか三十万円の優遇でしかありません。被災者の住宅再建を本当に促進するというなら、少なくとも枠を最大三百万円まで拡大すべきであります。
第三に、今回の特例措置は、いわゆる被災者の二重ローンの解消に役立たないということであります。今回の改正では、住宅ローンを抱えて被災に遭われた方の従前の住宅ローン残高については現行の住宅促進税制が適用されることになっております。被災者が抱える二重ローンの重圧を少しでも軽減しようとするのであれば、従前の住宅ローン残高も今回の対象に加えるべきであると考えます。
これらの点について、大蔵大臣の明快な御答弁をお願いいたします。
私は、阪神・淡路大震災による経済的打撃から早期に立ち直るためには、こうした特例措置に加えて、被災地域を対象としたいわゆる経済特区を設置して税制上の優遇措置を講ずることが必要であると考えております。既に兵庫県においては具体的に本年一月からエンタープライズ構想が動き出しております。地方税については時限を区切って優遇措置が先行実施されました。国税についても特段の配慮を講ずべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
また、平成七年にとられた阪神・淡路大震災への税制上の特例措置も、今後、順次その期限を迎えることになります。復興が実現するまで特例措置を今後とも継続することが最低限必要であります。特に、被災した零細・中小企業者についてはさらなる優遇措置の創設も検討すべきであると考えますが、大蔵大臣の御所見をお願いします。
最後に、今回の税制改革で見送られた消費税改革についてお伺いいたします。
今回の消費税引き上げについて、今後、国民の理解を求めていくためには、現行消費税の持つ構造的欠陥を徹底的に是正することが不可欠であります。
そのためには、第一に、消費者が支払う消費税の一部が事業者の手元に残るいわゆる益税を解消することであります。第二に、事業者が税額計算をする際の現行の帳簿方式を、より透明性の高いEU型のインボイス方式に早急に移行することであります。第三には、生活必需品に対して、例えば軽減税率を適用することなどによって低所得者に対する逆進性の緩和に本格的に取り組むことが必要であります。
大蔵大臣は、これらの課題に対して今後どのような決意で取り組むお考えか、具体的かつ明快な御答弁をお願いしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/10
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011・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本岡議員にお答えを申し上げます。
まず第一に、平成九年度の公共事業予算についてのお尋ねがございました。
平成九年度、例えば御指摘の公共事業予算につきまして、七年ぶりに前年度と実質的に同水準にとどめまして、重点的、効率的な配分に努めるなど、さまざまな努力をいたしております。今後ともに、それぞれの事業の必要性を費用対効果分析の活用などによりまして客観的に評価することによりまして、効率的な公共事業予算となるよう努めてまいります。
また、特殊法人等に対する補助金についてもお触れになりましたが、私どもは、平成七年の閣議決定を踏まえて、抑制に努めながら、真に必要な財政需要に対し所要の財源配分を行ったところであります。
次に、談合疑惑についてのお尋ねがございました。
公共事業をめぐる談合事件というものは決してあってはならないことでありまして、報道されました関西地区の問題につきましても、法に違反するような事実があれば関係機関において厳正に対処せられるものと考えております。
次に、租税特別措置の整理合理化につきましてお尋ねがございました。
平成九年度の税制改正におきましても、現下の重要な政策課題に対応する措置を講じた一方で、既存の諸措置につきましては、政策目的、効果などを十分に吟味して、廃止を含む整理合理化を行っております。今後も、財政構造改革が現下の最重要課題であることも踏まえながら、その整理合理化を徹底していくことが必要であると考えております。
次に、今回の消費税率の引き上げに伴って個別間接税を調整すべきという御質問がございました。
今回の消費税率の引き上げは、あらゆる財貨サービスに対しそれぞれ取引価格の一律二%の負担増を求めるものであり、特定の物品について調整併課を行うという措置はとらないことといたしました。
また、道路等の特定財源について一般財源化すべきではないかという御意見をいただきましたが、特定財源制度は、それが資源の適正な配分をゆがめ、財政の硬直化を招く傾向を持つことから見て、その妥当性について常に見直していくべきものではございますけれども、道路整備事業などにつきましては、施設の利用者による施設の整備費用の負担という受益者負担の理念に基づいて特定財源制度によって事業を実施することにつきましては、現時点では私は合理性があると考えております。
次に、公益法人等の収支報告の収入金額の基準について御意見がありました。
昨年六月、宗教法人法におきまして、主務官庁に対する収支計算書の提出を要しない小規模法人の範囲が八千万円以下の法人と定められましたこと、公益法人等の約七割が宗教法人で占められておりますことなどを考え、五千万円から八千万円に引き上げることとしたものでございます。次に、阪神・淡路大震災の被災地を対象とした経済特区をというお話がございました。
被災地に対して国税で特段の配慮をせよという御意思だと思いますが、阪神・淡路大震災の被災地における事業活動の復旧などへの対応として、国税におきましても、被災代替資産の特別償却、特定の事業用資産の買いかえ特例など、さまざまな措置を講じてきておることは御承知のとおりでありまして、震災復興に係りますこれらの特例措置は、税制としてできる限りの対応を行ったものでありまして、最大限の御活用をお願い申し上げたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/11
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012・三塚博
○国務大臣(三塚博君) ただいま総理からも四点にわたり御答弁がございました。重複しませんように申し述べさせていただきます。
租税特別措置法の哲学、理念を問うということでございます。
税制については、公平、中立、簡素を旨とすべきということは言うまでもございません。また、租税特別措置が例外的ないわゆる特別な措置であるということも言うまでもございません。こうした基本的な考え方を踏まえ、具体的な改正に当たりましては、最近における社会経済情勢にかんがみ、住宅取得促進税制の見直しなど住宅土地関連税制等についての適切な対応、特定の中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除の創設、沖縄に対する税制上の特例措置の新設、拡充等の措置を行うことといたしております。また、同法律案は、阪神・淡路大震災に関します特例等の措置を講じたものでございます。
次に、租税特別措置の整理合理化についてのお尋ねであります。
総理からも骨子について答弁がございました。私は、租税特別措置法の哲学、理念を踏まえながら、その整理合理化を徹底していくことが必要であると考えておるところでございます。
特定財源の問題についてのお尋ねでございます。
先ほど総理も申されたわけでございます。特定財源制度は、それが資源の適正な配分をゆがめ、財政の硬直化を招く傾向を持つものでありますことから、その妥当性については絶えず見直していくべきものでありますけれども、道路整備事業等については、施設の利用者によります施設の整備費用の負担という受益者負担の理念がそこに入っておる特定財源制度でございます。本件の実施に当たりましては、現時点では合理性があると考えておるところでございます。
次に御質問のありました法人税における収支計算書の提出制度につきましては、平成八年度の税制改正において公益法人等に対する課税の適正化の観点から設けられたものでありますが、その際、事務負担を考慮しまして、年間収入金額五千万円以下の小規模な法人については収支計算書の提出を要しないこととしたところでございます。
しかしながら、その後、宗教法人法において、主務官庁に対する収支計算書の提出を要しない小規模法人の範囲が八千万円以下の法人と定められたこと、そして公益法人等の約七割が宗教法人で占められておりますことを勘案し、今回、本制度における収入金額の基準を引き上げるといたしたところでございます。
次に、阪神大震災被災者に対する住宅取得促進税制の特例についてのお尋ねでございますが、今回の措置は、被災者の方々の強い御要望を踏まえまして、住宅再建のインセンティブを与えるため、思い切った特例を講じたところでございます。
被災者の有する自己資金の多寡等の経済状況、取得する住宅の価格水準はさまざまであり、その借入金の状況や特例の該当者等について確たることは申し上げがたいのでありますけれども、本特例につきましては、従来にない思い切った措置であると思います。これまでの住宅に関する税制上の措置や財政金融面の措置とあわせた住宅再建促進効果が期待されます。以上のようなことからへ被災者における早期の住宅再建に大きな効果を示すものと期待されておるところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
次に、この控除額の合計限度額を拡充すべしとの御指摘でございます。
今回の税制改正においては、入居一、二年が三十万円、残り四年間が二十五万円という現行の住宅取得促進税制の控除額を、六年間通じて三十五万円に引き上げており、税制としてとり得る最大限の措置と考えておるところでございます。なお、一年間の控除額三十五万円は、平均的サラリーマンの給与収入七百万円に対する一年間の所得税額二十六・六万円を大きく上回ることをお考えいただきたいと存じます。
従前の住宅ローンの残高も控除の対象に加えるべきであるとの本岡議員の御指摘でございますが、被災者に対しましては、雑損控除の前倒し適用により所得税額の軽減を行うことなど、最大限の配慮を行ってきたところでございます。今回の住宅取得促進税制の特例措置は、震災から二年を経過してもまだ住宅再建ができない方々の御要請を踏まえまして、住宅再建ができない経済的な事情を最大限配慮し、新たに措置するものであることを御理解いただきたいと存じます。
阪神・淡路大震災の特例措置の継続についてのお尋ねでございますが、大震災に対する税制上の対応としては、その被害の広範性を踏まえ、同時に大量集中的に発生いたしましたことを考えますと、税制としてはできる限りの対応を行ってきたところであると存じます。
こうした税制上の特例措置の今後の扱いについては、被災地全体における復旧状況を踏まえ、各種施策の状況を考慮しながら、適用期限の到来する各年度の税制改正の課題として処理してきており、今後とも適切に対応してまいりたいと考えるところでございます。
なお、今回の改正案においては、二千万円特別控除の適用期限を延長いたしたところであります。
次に、阪神・淡路大震災によって被災をいたしました企業の事業活動の復旧等への対応としては、国税においても、被災代替資産の特別償却、特定の事業用資産の買いかえ特例など、種々の措置を講じてまいったところであります。特に、被災代替資産等の特別償却につきましては、中小法人の場合の特別償却率を大法人に比べて高く設定しているところでございます。震災復興に係るこれらの特例措置は、税制としてできる限りの対応を行ったものであり、最大限の活用をお願い申し上げたいと存じます。
最後に、消費税に関する御指摘については、本年四月の税率引き上げとあわせ、次のような改正を実施いたします。
まず、消費税の中小特例措置を大幅に縮減いたします。これにより、いわゆる益税の解消は相当に前進するものと考えております。
また、制度に対する信頼性を高める観点から、帳簿に加え請求書等の保存を要件とする仕入れ税額控除の方式を導入いたします。
今後、こうした改正の効果や中小事業者の事務の実態等を把握しながら議論を進めてまいりたい、と考えておるところであります。
また、軽減税率の採用については、軽減税率の範囲を合理的に定めることは難しい、新たな事務負担のコストが価格にはね返るので税率五%のもとでは価格低下の効果に疑問があるといった問題があり、将来的な検討課題であると考えます。(拍手)
〔国務大臣亀井静香君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/12
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013・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 議員御指摘の事案につきましては、現在、徹底的な調査を実施いたしておるところでございます。この結果を踏まえまして、厳正適切に対処してまいる考えでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X00819970314/13
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014・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三分散会
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