1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月十五日(月曜日)
午後零時二分開議
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○議事日程 第八号
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平成十一年三月十五日
正午 本会議
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第一 中小企業経営革新支援法案及び中小企業
総合事業団法案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御紹介いたします。
本院の招待により来日されましたハンガリー共和国国民議会議長ヤーノシュ・アーデル閣下の御一行がただいま傍聴席にお見えになっております。
ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。
〔総員起立、拍手〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/1
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002・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一 中小企業経営革新支援法案及び中小企業総合事業団法案(趣旨説明)
両案について提出者の趣旨説明を求めます。与謝野通商産業大臣。
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/2
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003・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 中小企業経営革新支援法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
昨今の経済環境を見ますと、経済のグローバル化、消費構造の多様化、経済構造のサービス化、情報技術の進展等の大きな変化が見られております。その中で、中小企業においては、製品、サービスの高付加価値化、市場指向性の追求、企画提案型の経営戦略の追求等の今日的な経営課題に的確に対応することが極めて重要となっております。
こうした状況におきまして、昭和三十八年に施行された中小企業近代化促進法では、業種ぐるみの近代化のための施策が推進されてきており、また、中小企業新分野進出等円滑化法につきましても、その支援対象が生産額または取引額が相当程度減少している等の要件に該当するものに限定されていることから、経済的環境の変化の中で、中小企業の新たな経営課題への取り組みに対し的確な支援策を講ずるためには、大幅な見直しが必要となってきております。
このため、経済的環境の変化に柔軟に対応して、中小企業が創意工夫を生かした新商品、新サービスの開発や新たな生産方式の導入などの新たな事業活動を通じて経営の相当程度の向上を図ることを経営革新としてとらえ、こうした経営革新を行おうとする個別の中小企業、グループ等への支援を強化するため、中小企業近代化促進法と中小企業新分野進出等円滑化法を発展的に統合し、本法律案を提案した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、通商産業大臣は、経済的環境の変化に即応して中小企業が行う経営革新に関する指針を経営革新指針として定めることとしております。
第二に、経営革新指針に基づき、単独でまたは共同で行おうとする経営革新に関する計画を作成し、行政庁の承認を受けた中小企業者及び組合等に対し、中小企業信用保険法の特例、中小企業近代化資金等助成法の特例、中小企業投資育成株式会社法の特例、課税の特例等の措置を講ずることとしております。
第三に、経済的環境の著しい変化による影響を受け、生産額または取引額が相当程度減少している業種に属する事業を行う中小企業者を構成員とする組合等が、その中小企業者の将来の経営革新に寄与するための経営基盤の強化に関する計画を作成し、主務大臣の承認を受けた場合には、当該組合等及びその構成員に対し、中小企業信用保険法の特例、中小企業近代化資金等助成法の特例、課税の特例等の措置を講ずることとしております。
以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。
次に、中小企業総合事業団法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
この法案は、平成九年六月及び同年九月の閣議決定「特殊法人等の整理合理化について」に基づき、特殊法人等の整理合理化を推進し、あわせて中小企業施策の総合的かつ効率的な実施を図るため、中小企業信用保険公庫及び中小企業事業団を解散して中小企業総合事業団を設立するとともに、繊維産業構造改善事業協会を解散して必要な業務を中小企業総合事業団に移管しようとするものであります。
次に、この法案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、中小企業信用保険公庫、中小企業事業団及び繊維産業構造改善事業協会を解散し、中小企業総合事業団を設立することとしております。
第二に、中小企業総合事業団は、中小企業構造の高度化及び中小企業の新事業の開拓を促進するために必要な指導、資金の貸し付け、出資及び助成等の事業、中小企業に対する事業資金の融通を円滑にするための債務の保証等についての保険及び信用保証協会に対する資金の貸し付け、中小企業の経営管理の合理化及び技術の向上を図るために必要な研修、指導等の事業並びに小規模企業共済法及び中小企業倒産防止共済法の規定による共済制度の運営等の事業を行うこととしております。また、繊維産業構造改善事業協会が行ってきた必要な業務を当分の間、実施することとしております。
第三に、中小企業総合事業団の役員につきましては、特殊法人の統合の趣旨に即して、役員数の縮減を行うこととしております。
その他、財務及び会計に関する規定を整備するとともに、三機関の統合に伴う経過措置等を講ずることとしております。また、あわせて、税法その他関連法律について所要の改正を行うこととしております。
以上がこの法案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/3
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004・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対
し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。平田健二君。
〔平田健二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/4
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005・平田健二
○平田健二君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました中小企業経営革新支援法案、中小企業総合事業団法案について、総理及び関係大臣に質問をいたします。
まず第一に、中小企業経営革新支援法案の産業政策上、また、中小企業政策上での歴史的意義についてお伺いをいたします。
本法案のもととなりました中小企業近代化審議会答申や、ことし一月の産業再生計画などから容易に読み取れますように、昨今の通産省のあらゆる施策は、限りある財政的支援を将来性のある産業に重点配分すべきであり、構造不況業種への底上げ的支援はむだで、やる気のある者だけを支援しようという姿勢を明確に打ち出してきております。
このことは、この法案の前身である中小企業近代化法と中小企業新分野進出等円滑化法が適用要件としていました業績の落ち込み要件を除外したことや、最後の産業別支援法となりました繊維産業構造改善臨時措置法が廃止されることからも明らかであります。
通産行政の方針転換の象徴である本法案の審議に際し、通産省の説明ではその本質が明らかにはなっておりません。本法案の歴史的意義として、業界の底上げ的支援からやる気のある企業への重点配分への産業政策上のターニングポイントであることを明確にすべきだと考えます。通産大臣の所見をお伺いいたします。
また、昭和三十一年の機械工業振興法から始まりました我が国の産業別支援法の最後となりました繊維産業構造改善臨時措置法がこの法律により廃止されます。
私は、繊維産業は我が国の明治以来の富国強兵策から戦後の復興までをリードした我が国のあらゆる産業の先駆けであり、その繊維産業対策をどのようにするかは、今後のあらゆる産業政策を考える上で非常に重要であると何度となく指摘をしてまいりました。法律の廃止に当たり、戦後の繊維法が果たしてきた役割をどのように評価し、総括するのか、そして繊維政策から何を学んできたのか、通産大臣より所見を伺います。
さらに第二点目として、従来の産業政策の基本単位であった組合、業界団体中心の政策からの脱却についてお伺いいたします。
通産省は、産業政策を遂行するに当たり、業界団体、組合といった同業者の組織化に力を注いでまいりました。それらの組織に通産省のOBが多数おりますことは周知の事実であります。
従来の産業政策は、こうした組合を重要な基本単位としていましたが、本法案では個別企業だけでも支援を受けられるスキームとなっております。このことは、今後は業界団体や組合という存在は不要だということを意味するのでありましょうか。通産行政の大きな転換であると考えますが、その理由と、通産省として業界団体、組合を今後どのように位置づけていくのか、通産大臣の見解を伺います。
第三点目として、中小企業総合事業団法案と行政改革との関連についてお尋ねをいたします。
中小企業事業団と中小企業保険公庫、さらには繊維産業構造改善事業協会の三者は、中小企業が中心という以外に共通点はなく、まさに木に竹を接いだ数合わせのためのものであります。これらの特殊法人の統廃合は、自民党の行革本部の二度の簡単なヒアリングで決定してしまったというのが実際の経緯であり、三つの特殊法人の統合の積極的な理由は一切示されておりません。今回の統合のメリットは何か、通産大臣に伺います。
また、特殊法人統廃合は今国会でも八本の法律案が提出されており、本法案を含む三本が二つ以上の特殊法人の統合であります。例えば日本輸出入銀行と海外経済協力基金との統合でできた新法人の人員は二名、率にして〇・二%しか削減されてなく、国民金融公庫と環境衛生金融公庫との統合では五千名規模で八名、率にしてやはり〇・二%しか削減されておりません。本法案の中小企業総合事業団では、理事が二十一名から十三名に、職員が九百四十四名から九百三十七名へと七名、率にして〇・七%もの削減を図ったことは、一連の行革の中ではむしろ画期的なものでありましょう。
現に働いている方々の雇用問題は重要であり、単に数を減らせばよいというものではありませんが、この統合の実態を見るとき、一番小さな繊維協会が引っ越しをするのみで、残りの二つの実態は何も変わりません。統合するための費用ばかりがかさむだけであり、国民がなるほど経費節減になったと思えるものではありません。将来に向けて国民の負担を少しでも減らそうという政府の姿勢を明確にすべきだと考えますが、総理並びに通産大臣の決意を伺います。
第四点目として、繊維産業政策についてお尋ねをいたします。
本法案によりまして、繊維産業構造改善臨時措置法は廃止され、同時に繊維産業構造改善事業協会も新総合事業団へと吸収され、その業務は当分の間の附則業務となります。行政が当分と言う場合、私の知る限りでは一年程度から三十年程度のことを指す非常に深い意味のある言葉と理解しておりますが、それでは当該業界関係者は政府との関係をどう考えればいいのか不安であります。事前の説明では五年が一つの考え方であるということでありますが、この当分の間が一年や二年で終わるものではないこと、そして絶えざる検証の上、必要性が認められる場合にはその限りでもないことを明らかにしてください。
また、この法案が新たに提案をしております繊維産地活性化基金は、国と県が一対一の比率で出資し、産地間の連携事業等を支援するための基金を設置するというものであり、この設置の手続としては、産地を抱えている県が国に申し出ることとなっております。しかし、地方財政が極めて危機的状況にある今日、二分の一の負担を嫌い、基金の設置を申し出ない県があり得るかもしれません。産地の規模、県の財政状況等を検証し、国が基金設置のリーダーシップをとることも必要だと考えますが、通産大臣の所見を伺います。
その上で、独自の支援法は廃止されますが、繊維産業が我が国の重要な基幹産業である事実はいささかも変わるものではないと考えます。しかし、繊維産業が直面している状況は極めて厳しく、政府が産業集積地として調査した三百八十六地域の統計でも、転廃業の八割が繊維産業関係者であるとのデータもあります。また、産地の繊維産業は中小零細企業が多く、繊維産業構造改善事業協会の指導、助成のもとに構造改善に努めてきた現実もあります。
繊維産業構造改善事業協会の機能の中小企業総合事業団への移転に際しては、繊維産業の特殊性を勘案するとともに、繊維事業協会が行ってきた情報化基盤整備事業を引く継ぐことが重要であります。法律の廃止が政府としての支援の打ち切りでないこと、中小企業総合事業団においても繊維施策が総合性を持って実施されていくことを通産大臣より明らかにしてください。
第五点目として、中小企業信用保証制度と中小企業金融についてお伺いをいたします。
昨年の十月から始まりました政府の貸し渋り対策大綱に基づく特別信用保証制度は、施行後五カ月で十六兆円もの保証申し込みがあり、保証協会の上部団体である信用保険公庫は通年の倍以上の件数を取り扱っておりまして、引き続き円滑な保証業務の遂行をお願いいたしますが、この勢いですと特別保証枠は当初の予定の十八カ月で二十兆円という想定を大きく上回ることは必至であります。今日の中小企業を取り巻く状況を見ますと、この特別枠は非常に大きな意味を持つものとなっているようでございますが、総理はこの特別枠拡大について現段階でのお考えはありませんでしょうか、お尋ねをいたします。
また、先週十二日には、大手銀行十五行に七兆四千五百九十二億円もの大変な金額が注入されました。昨年の一兆八千百五十六億円の公金注入が、貸し渋り、とりわけ中小企業への貸し渋りに何ら意味を持たなかったことは国会でも明らかにされています。今度の注入こそ同じ轍を踏まないよう、政府には強力な指導が必要だと考えますが、中小企業への貸し出しが拡大するという政府の担保を金融再生担当大臣よりいただきたいと思います。
さらに、信用保証制度をめぐっては、旧債振りかえと言われる悪質な事象が問題となりました。通産大臣は、対策として金融監督庁の監視強化、代位弁済の無効などを挙げておられますが、金融監督庁は民間人と銀行との仲裁権限等は一切なく、また監視体制も十分とは言えません。
信用保証協会の独自の対策ですぐできることとして、一つは信用保証協会の定款等を書き直し、悪質な旧債振りかえをした金融機関との取引の停止を明記すること、もう一つは信用保証協会と金融機関との基本文書である約定書の有効期間を一年ごとの更新制とすることなどがあります。
これらのことだけで悪質な金融機関との取引を停止できるのであり、通産大臣の意向次第で簡単にできることでありますが、信用保証制度の重要性、さらには旧債振りかえという問題は今回の特別保証だけの問題ではないことなどからして、早急な信用保証協会サイドの対応策が必要だと考えます。通産大臣の大英断を期待申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/5
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006・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 平田健二議員にお答え申し上げます。
まず、特殊法人の統廃合についてお尋ねがございました。
政府といたしましては、平成九年に特殊法人の整理合理化の閣議決定を行いまして、これを実施いたすべく、今国会で所要の法律案を御審議いただいておるところでございます。特殊法人の統廃合に当たりましては、単に国民負担の観点からのみならず、新たな時代の要請に対応することのできる体制が簡素にして効率的なものとなるよう努めておるところでありまして、今後とも特殊法人の整理合理化を着実に推進してまいりたいと思います。
次に、信用保証枠拡大についてお尋ねがございました。
既に中小企業の十社に一社に当たる約六十八万九千件が保証承諾を受けまして、承諾金額も約十三兆五千億に上っておりまして、多くの中小企業の皆様に御利用いただいております。
御指摘の信用保証枠拡大につきましては、景気動向や貸し渋り対策の実施状況等を注視いたしまして検討すべき課題であると考えておりますが、今後ともそうした動向につきまして十分注意をいたし、貸し渋り対策に万全を期してまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/6
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007・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 平田議員にお答えを申し上げます。
まず、中小企業経営革新支援法の歴史的意義に関する御質問ですが、これまで中小企業振興法の根幹とされてきた中小企業近代化促進法が、主として業種ぐるみで中小企業の近代化を促進してきたことに対して、新法は中小企業を取り巻く著しい環境変化とその経営課題の転換に対応していくため、中小企業の創意工夫を発揮して経営革新を行うことを支援していくものでございます。
次に、繊維政策が果たしてきた役割についてのお尋ねですが、通産省としては、過去四十年以上にわたりその時々の繊維産業をめぐる状況を踏まえて重点を移しながら、設備調整、構造改善、情報化基盤整備などの施策を実施してまいりました。
現在、繊維産業は大変厳しい状況にございますが、他方、二百万人を超える雇用を支え、また、国際的に見ても質の高い製品を供給している事実からすれば、これまでの繊維政策は一定の役割を果たしてきたものと理解をしております。
次に、業界団体や組合の位置づけに関する御質問ですが、中小企業経営革新支援法においては、中小企業の創意工夫による経営革新を支援することとしており、個別企業とともに組合による取り組みも対象となります。今後とも、組合や業界団体は、その構成員である中小企業の経営向上に重要な役割を果たすことが期待されていると認識をしております。
次に、中小企業総合事業団法について、三法人の統合のメリットに関するお尋ねですが、本法案は融資、信用保険、指導、研修、共済等の事業を一体的に行わせ、特殊法人等の整理合理化を推進しつつ、各法人の知見の相互活用により、中小企業施策の総合的かつ効率的な実施を図るものであります。また、統合に際し、高度化融資の抜本的改革、中小企業、中小ベンチャー企業の新事業開拓支援を強化することとしております。
次に、中小企業総合事業団への統合による経費節減に関するお尋ねですが、今回の統合に当たり、組織、役職員数、予算及び業務について必要な見直しを行い、スリム化に最大限努めてまいります。中小企業対策の重要性から、中小企業に対するサービスの低下がないよう配慮しつつ、今後とも業務や組織について必要に応じ不断の見直しを行ってまいります。
次に、繊維関連業務の実施期間についてのお尋ねですが、現行の繊維産業構造改善臨時措置法が五年間の時限法であることを踏まえつつ、三年ないし五年程度が経過した時点で、中小企業総合事業団に移管される事業の必要性について見直しを行うことを考えております。
次に、繊維産地活性化基金についてのお尋ねですが、基金創設については基本的に地方自治体の判断を尊重したいと考えております。しかしながら、自治体が基金に拠出をせず、運用益に相当する額を補助金の形で支出するとの形式も認められる予定としております。これにより、国としても、関係の地方自治体が繊維産地活性化基金を創設しやすいよう、最大限の配慮を行ってまいりたいと考えております。
次に、繊維産業に対する支援についてのお尋ねですが、繊維産業構造改善事業協会の業務の計画的な移管に加えて、繊維産業の実態を十分に踏まえながら、一般的な中小企業政策をきめ細かく活用することにより、繊維産業の支援に努めてまいりたいと考えております。
次に、旧債振りかえについてのお尋ねですが、当省としては信用保証協会を通じた実態調査や政府系金融機関、中小企業団体を通じたサンプル調査を行っており、さらにフォローアップ調査も行っているところであります。これらの調査などの結果、問題となる事例が掌握され、改善が見られないと判断される場合は、議員の御指摘も十分に念頭に置きながら断固たる対応をとってまいります。
以上です。(拍手)
〔国務大臣柳沢伯夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/7
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008・柳沢伯夫
○国務大臣(柳沢伯夫君) 平田議員から、公的資金の注入による中小企業金融の円滑化の確保についてお尋ねがありました。
今回資本増強を受けることとなりました各金融機関からは、法律上の要件として経営健全化計画を提出願っておりまして、そこには必要的記載事項として、国内企業向けの貸し出し、特に中小企業向け貸し出し等の額を増加させる旨の計画が盛り込まれております。
そして、この計画の履行状況につきましては、政府として報告を徴することとなっており、報告はこれを公表することとされております。この意味で、金融機関の中小企業向けの貸し出しの増加は、広く国民の監視のもとに置かれていることになっておりまして、金融再生委員会としても、このようなシステムのもとで的確なフォローアップを行うことによりその確保を図ってまいりたい、このように考えております。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/8
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009・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 海野義孝君。
〔海野義孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/9
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010・海野義孝
○海野義孝君 公明党の海野でございます。
私は、公明党を代表して、政府提出の中小企業経営革新支援法案及び中小企業総合事業団法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
最初に、小渕総理にお伺いいたします。
経済再生内閣として日夜御努力いただき、八カ月経過いたしました。長銀、日債銀の一時国有化、中小企業金融安定化特別保証制度による二十兆円の特別融資枠の設定、第三次補正予算による追加景気対策、金融機関大手十五行に対する約七兆五千億円の公的資金投入など、まさに政策発動のラッシュでありました。
十六日に発表される三月の月例経済報告では、景気判断を上方修正すると言われております。政策面の下支え効果が経済指標の一部にあらわれておりますが、景気の先行きはなお予断を許しません。
今般、中小企業関連二法案が上程された機会に、景気回復、やや長い視点に立った経済構造改革と中小企業の役割について総理の見解をお聞きいたします。
次に、産業再生計画と中小企業への影響等について質問いたします。
政府は、一月に産業再生計画を閣議決定しました。この具体的推進に向け、今月中にも官民首脳による産業競争力会議が発足すると承知しております。産業の再生を目指し、閣僚と企業経営者が税制や雇用政策、起業、すなわち事業を起こす支援のあり方などが議論されることは、遅きに失したとはいえ大変重要なことであります。
問題は、競争力強化のため、産業界に思い切ったリストラが予想されることであります。リストラの対象となる労働者が他の企業や産業に円滑に再就職できる仕組みや新規産業の育成策、世界に通用する技術開発の支援などの万全な施策が肝要です。とりわけ、我が国産業を支える中小企業への影響が懸念されますが、この点での総理のお考えを述べてください。
次に、経営革新支援など中小企業二法と経済再生との絡みについて質問いたします。
ただいま提出されております中小企業経営革新支援法案は、中小企業の自助努力を基本とする経営革新の支援及び経営環境激変のときの経営基盤強化に対する支援を行うものであります。
また、中小企業総合事業団法案は、平成九年六月閣議決定による特殊法人の整理合理化計画に基づき、中小企業信用保険公庫など三法人を統合し、新たな事業団を設立するものであります。この二法案は、経済及び産業再生の推進上どのように位置づけられ、また効果を期待しているのかお答えください。
次に、与謝野通産大臣に質問いたします。
政府提出の中小企業関連二法案と中小企業基本法との関係について、お伺いいたします。
経営革新支援法案は、中小企業を取り巻く厳しい経営環境の変化に対応して、構造改革支援策としての中小企業近代化促進法、新分野進出法の二法の見直しの必要から提出されました。
近代化促進法は、昭和三十八年に制定されました中小企業基本法が示す近代化施策を受けて、同年に制定されたものであります。
また、新分野進出法は、高度経済成長期の規模拡大、プラザ合意後の円高対応等、時代に応じた構造改革支援のため、昭和六十一年に制定され、最近では平成七年に法改正されております。
一方、中小企業総合事業団法は、中小企業施策の総合的及び効率的推進等を図るため、三法人が統合されます。
そこで、今般の経営革新支援法案及び総合事業団法案と、中小企業の憲法とも言うべき中小企業基本法との関係はどうなるのでありましょうか。従来法及び予定される統合後の総合事業団と従来の三特殊法人に比べ、中小企業基本法の精神が強化されると言えるでしょうか。通産大臣の答弁を求めます。
次に、中小企業経営革新支援法案と中小企業の経営活性化についてであります。
本法案は、最近における中小企業を取り巻く経済環境と経営課題の変化に対応する施策と考えます。例えば、国際的コスト競争の激化、ソフト面重視の経営戦略、現場密着の提案型企業経営、経済のグローバリゼーション化、規制緩和等がもたらす競争力を備えた中小企業の誕生など、中小企業政策や経営課題が複雑化、多様化しております。
本法案によれば、こうした観点を踏まえ、従来のハードに加え研究開発、人材育成などソフト面、さらに、経営革新や経営基盤強化などの計画を策定する個人及び共同出資会社など広範にわたり強力な支援が行われるとされております。本法案は従来法に比べ格段に運用効果大と思いますが、通産大臣は中小企業の経営活性化にいかなる効果があるとお考えか、お答えください。
次に、中小企業総合事業団法案による中小企業経営への阻害要因についてお尋ねいたします。
本法案は前法案と異なり、行政改革に伴う複数法人の統合によるものであり、統合によるメリットの発揮よりも、機動的、効率的な事業運営の確保が懸念されます。中小企業者など利用者の利便性に配慮し、計画申請の様式や方法を簡便化することが必要だと考えます。三法人の統合により中小企業経営の阻害要因になっては、百害あって一利なしであります。与謝野大臣は、本法案が施行される場合、以上を踏まえどのような行政指導をされるのか、お伺いいたします。
次に、総合事業団発足と繊維産業への施策についてお聞きいたします。
本法案によれば、六月をもって繊維産業構造改善臨時措置法が廃止され、構造改善事業は経営革新支援法、繊維産業構造改善協会は総合事業団法で扱われることになります。繊維産業に特化していた施策が総合的な中小企業対策として講じられることに伴うものですが、問題は、繊維産業は二百万人を超える雇用者を擁する地場産業であり、中小企業従業者の約五%を占めるすそ野の広い多くの中小業者に支えられております。私は、最近多くの繊維関係の組合連合会の幹部と面談いたしましたが、繊維産業及び企業の活性化は景気浮揚にとっても喫緊のことであります。通産大臣の総合事業団運営と繊維産業への施策について答弁を求めます。
次に、中小企業関連二法案が成立した場合、法律の運用こそが画竜点睛であります。幅広い中小企業が法の活用ができるよう、利用者の利便性への配慮と各種支援策を十分活用できるよう、周知徹底を図るべきだと考えます。通産大臣のお考えを伺います。
最後に、小渕総理、プラス成長への見通しと今後の施策についてお伺いいたし、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/10
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011・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 海野義孝議員にお答え申し上げます。
冒頭、海野議員から、経済再生内閣としてこれまでの取り組みにつきまして、「政策発動のラッシュ」との印象的なお言葉で評価をいただきました。ありがとうございました。
そこで、景気回復、経済構造改革と中小企業の役割についてお尋ねがございましたが、我が国の中小企業は、経済社会の発展を支えており、経済の活力の源泉であることは言うまでもありません。
我が国の経済発展のための基盤整備を図るため、経済構造改革を推進しておりますが、その中で、中小企業が持ち前の機動性、創造性、こうしたものを発揮しつつ、厳しい経済状況に積極的に対応していくことを強く期待いたしております。
リストラによる中小企業への影響についてのお尋ねでありました。
現下の極めて厳しい経済状況を打開し産業再生を図るために、産業再生計画に盛り込まれた新事業・雇用創出対策等を強力に実施いたしてまいります。同時に、中小企業が厳しい経済状況に対応し得るよう、その経営革新、技術開発に対する支援などの中小企業対策をこれまた強力に推進してまいります。
なお、御指摘のとおり、近く、私自身も参画いたしまして官民による産業競争力会議を発足させ、日本の産業競争力の強化に向けまして官民大いに知恵を出し合い、将来の発展を期してまいりたいと考えております。
次に、中小二法の位置づけについてお尋ねがありました。
産業再生を図るためには、新事業創出や既存企業を核とした産業活性化が重要であります。こうした観点に立ちまして、新事業団のもとで創業者、ベンチャー予備軍に対する支援や新事業開拓への取り組みを強力に支援し、中小企業経営革新支援法では、中小企業の創意工夫ある新製品等の開発等を促進してまいりたいと思います。
最後に、プラス成長への見通しと今後の施策についてお尋ねがございました。
私は、緊急経済対策を初めとする思い切った諸施策と民間の真剣な取り組みとが相まって、平成十一年度には我が国経済の実質成長率が〇・五%程度まで回復するものと確信いたしております。私は、この平成十一年度を経済再生元年と位置づけ、日本経済の再生に全力で取り組んでまいる覚悟であります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/11
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012・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) お答え申し上げます。
中小企業関連二法案と中小企業基本法との関係についてのお尋ねですが、中小企業基本法については、多様で活力ある中小企業の育成発展を図る観点から、所要の見直しを進めているところでございます。中小企業関連二法案についても、中小企業基本法の見直しと同様の視点で、中小企業の創意工夫ある経営の向上を強力に支援するものであります。
次に、中小企業経営革新支援法案の効果に関する御質問ですが、本法は、新たな中小企業支援策の中心的な法律であります。製造業のみならず、商業、サービス業も含む全業種の中小企業が行う経営の向上につながる新たな事業活動への取り組みを強力に支援するものであり、多くの中小企業の経営の活性化に本法が貢献することを期待しております。
次に、中小企業総合事業団の事業運営に関するお尋ねですが、中小企業総合事業団法は、新事業団のもとに各種の事業を一体的に行わせ、特殊法人等の整理合理化を推進しつつ、知見の相互活用により中小企業施策の総合的かつ効率的な実施を図るものであります。統合に伴い、中小企業へのサービスが向上するよう、新事業団を指導監督してまいります。
次に、今後の繊維産業に対する施策についてのお尋ねですが、繊維産業、とりわけ繊維中小企業を取り巻く環境が極めて厳しいことを踏まえ、繊維産業構造改善臨時措置法が廃止された後も、繊維事業協会の業務を当分の間、中小企業総合事業団に移管することとしています。
また、地域における繊維産地の活性化を支援するため、繊維産地活性化基金制度を創設するほか、一般中小企業対策等の枠組みの中でもしっかりとした対策を行ってまいります。
次に、中小企業関連二法案の利用者の利便性への配慮と周知徹底に関するお尋ねですが、施策を利用される中小企業の方々の利便性に最大限意を尽くして、制度の具体化に努めてまいります。また、本法による中小企業支援策が多くの中小企業の方々に利用されるよう、その周知徹底も図ってまいりたいと考えております。
以上です。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/12
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013・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十七分散会
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X00819990315/13
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