1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年三月十六日(木曜日)
午前九時開会
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委員の異動
三月十四日
辞任 補欠選任
前川 清成君 富岡由紀夫君
三月十五日
辞任 補欠選任
櫻井 充君 前川 清成君
平野 達男君 平田 健二君
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出席者は左のとおり。
委員長 池口 修次君
理 事
岩井 國臣君
田村耕太郎君
中川 雅治君
前川 清成君
峰崎 直樹君
委 員
泉 信也君
田浦 直君
田中 直紀君
野上浩太郎君
溝手 顕正君
若林 正俊君
尾立 源幸君
大久保 勉君
大塚 耕平君
平田 健二君
広田 一君
荒木 清寛君
山口那津男君
大門実紀史君
糸数 慶子君
国務大臣
財務大臣 谷垣 禎一君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融、
経済財政政策)
) 与謝野 馨君
副大臣
内閣府副大臣 櫻田 義孝君
財務副大臣 赤羽 一嘉君
事務局側
常任委員会専門
員 藤澤 進君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官
兼行政改革推進
事務局特殊法人
等改革推進室長 大藤 俊行君
内閣府計量分析
室長 齋藤 潤君
防衛庁防衛局次
長 金澤 博範君
防衛施設庁施設
部長 渡部 厚君
金融庁総務企画
局長 三國谷勝範君
総務省統計局長 衞藤 英達君
外務大臣官房審
議官 梅本 和義君
財務省主計局次
長 松元 崇君
財務省主税局長 福田 進君
財務省理財局長 牧野 治郎君
国税庁次長 石井 道遠君
林野庁次長 辻 健治君
参考人
日本銀行総裁 福井 俊彦君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
(財政政策等の基本施策に関する件)
(金融行政に関する件)
○平成十八年度における財政運営のための公債の
発行の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/0
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001・池口修次
○委員長(池口修次君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、櫻井充君及び平野達男君が委員を辞任され、その補欠として平田健二君及び前川清成君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/1
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002・池口修次
○委員長(池口修次君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/2
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003・池口修次
○委員長(池口修次君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に前川清成君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/3
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004・池口修次
○委員長(池口修次君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
財政及び金融等に関する調査並びに平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/4
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005・池口修次
○委員長(池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/5
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006・池口修次
○委員長(池口修次君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
財政及び金融等に関する調査並びに平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/6
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007・池口修次
○委員長(池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/7
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008・池口修次
○委員長(池口修次君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/8
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009・峰崎直樹
○峰崎直樹君 おはようございます。民主党・新緑風会の峰崎でございますが、ちょっと風邪を引いておりますので時々お聞き苦しいことがあろうかと思いますが、お許しいただきたいと思います。
今日は、与謝野大臣あるいは谷垣大臣に、所信に対する質疑ということでございますので全般的に質疑をしたいわけでありますが、前回金融担当大臣に、ベルシステム24の買収問題、これ調べてみますと相当規模の大きいMアンドAなんですね。たしか二千四百億を超すということで、これだけのMアンドAが行われていながら、しかも、前回私お話ししましたように、資料がありますので一枚目見ていただいたら分かるんですが、この日興コーディアル証券によるそのベル24を買収したときの仕組み、スキームは、これは正にライブドアとほとんど変わらない。あるいは、前回私の表現によりますと、ライブドア以上に問題があるんではないかということを指摘をさしていただきました。
そこにもう一回念のために、二月の三日の質問でございましたから一か月以上たってもうお忘れになったかと思いますので、そのスキームをそこに書いておりますけれども、ライブドアの場合は例の投資事業組合で組織がありますが、日興コーディアルの場合には株式会社という形態でSPCをつくって、そしてベル24を一〇〇%、これを非上場の会社にしてしまったというやつですね。出資形態は、日興の場合は単独出資、ライブドアの場合は少なくとも組合でございますので複数出資と。持ち株割合は一〇〇%と、ライブドアの場合は恐らく九九%以下であろうと。資金依存度は一〇〇%と重度依存と。意思決定は、日興コーディアルであり、ファンド運営者ということで、こういう仕組みを考えたわけであります。
次の資料その他に各種新聞が書いておりますけれども、次の三枚目のところが一番理解をしていくためには分かりやすいわけでありますが、「日興グループが連結外し」と書いてありますが、一〇〇%出資の日興プリンシパル・インベストメンツという会社を使って、また一〇〇%のSPCをつくって、それでベルシステム24という上場企業である、一部上場企業のかなり優良な会社をわざわざ非上場にしてしまっていると。これを全部連結外しをして、そしてその利益だけはこの本体に付けていると、こういう仕組みでございます。これはどう見ても問題じゃないですかと。今はやりのそういう投資事業組合その他を使った利益隠し、粉飾決算、こういうふうに該当するのではないですかということを前回私は質問をさしていただきました。かなり時間が少ないんで口早にお話をしてしまいましたけれども、その際、お答えとして大臣の方から、その点について法令にどのように抵触するか調査をしてみたいと、こうおっしゃっておりました。
どのような調査をし、そしてどのような結論が出られたのか、まずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/9
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010・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 個別の問題のことでございますので行政当局としてはコメントをいたしますことは、当該企業あるいは監査法人等の関係者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあること等から差し控えさしていただきたいと思います。前回の私の答弁も、このような観点を踏まえまして、会社の名誉にかかわる問題でもあることから、相手方の名誉を不当に傷付けないような方法で勉強してみたいとの趣旨を申し上げたものでございます。
あくまで一般論として申し上げれば、会社が他の会社等の意思決定機関を支配していると認められる場合、当該他の会社は連結されることとされており、当該会社等を連結対象とするか否かについてはその具体的な事態に即しつつ判断されることになるわけでございます。
また、金融庁としては、提出された財務諸表に法令に照らし仮に問題があるとすれば、法令に基づき厳正に対処していくことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/10
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011・峰崎直樹
○峰崎直樹君 何だかトーンが随分下がっちゃったなという感じがするんですよね。前回お話を聞いたときには、これはやっぱりよく調べて、調査して報告しますよということで私どもは受け取ったわけでありまして、約一か月以上の期間においてどのような調査されたのかなと思ったら、いや、もう個別の企業にわたることは一般論でしか答えられませんと、こういう話になってくると、一体これは何かがこの間あったのかなというふうに思わざるを得ないわけであります。
これは私、まあ私たちも例の偽メール事件があって、事実データとかそういうことについては、できる限りこれはもうデータは公表されているものを使って私たちは質問をさしていただいてるんですね。ですから、これがその事実に反するんなら指摘は間違えていますよということなんですけれども、今私がお話をした限りにおいても、こういう投資スキームだと今おっしゃいましたですよね、実質支配基準ということで、支配をしているところは連結に入れなければいけないと。それに様々な例外規定があることも私よく知っていますけれども、その例外規定にも全部これ当てはまらないというふうに私は思うんですよ。
その意味で、今おっしゃられた点で、じゃ、個々の問題について具体的に一つ一つ指摘していきますので、それについては本当にどうであったのか、その金融庁の見解をじゃお聞きしたいというふうに思います。
それでは、日本の会計基準というのがございます。会計基準がありますね。この会計基準の中で、連結の範囲、今私も申し上げましたけれども、これ連結財務諸表原則、第三、一般基準のうち連結の範囲、第二項というのがございますけれども、その中でこういうふうに書かれていますね。支配をしているか支配をしていないかということについては、他の会社の意思決定機関を支配していることをいい、次の場合には、当該意思決定機関を支配していないことが明らかに示されない限り、当該他の会社は子会社に該当するものとすると。一番目、議決権五〇%超、いわゆる持ち株基準の所有の会社、それから議決権四〇%から五〇%以下、かつその他支配事実のある会社、これに該当する、当然のことですね、一〇〇%ですから。
ということは、まずその原則からすると、この日興コーディアルがそのSPCを使ってベル24をいわゆる傘下に収めた。そうすると、これは実質支配しているがゆえに、連結してこれはいわゆる会計表示をしなきゃいけない、会計を示さなければいけない、その条件に当たると理解して間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/11
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012・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 株を保有する場合、投資を目的にした保有と、それから支配を目的とする株の所有と二通りあると私ども考えておりますが、例えば、公認会計士協会の平成十四年四月十六日、連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱いというのを読んでみますと、財務諸表提出会社であるベンチャーキャピタルが営業取引としての投資育成目的で他の会社の株式を所有している場合には、支配していることに該当する要件を満たすこともあるが、その場合であっても、当該株式所有そのものが営業の目的を達成するためであり、傘下に入れる目的で行われていないことが明らかにされたときには子会社に該当しないものとして取り扱うことができると、こういう規則もあるというのはもう先生当然御存じのことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/12
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013・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そうなんですよ。それは日興側がそれを根拠にして実は私たちのやっていることは正当だという。それをそのまま今大臣もおっしゃたんですよ。じゃ、それ一つ一つじゃあ言っていきましょうね。
そこで、今のその監査委員会報告第六十号の2―三―(六)―⑥という、私もよく分からぬです、これ会計の専門家だったら分かるんでしょうけれども。で、一つはベンチャーキャピタルだというんですよ。これベンチャーキャピタルですか。ベンチャーキャピタルというのは未公開会社に対し投資をして、それをIPO、すなわち公開をさせる、そのことでキャピタルゲインを得るというものがベンチャーキャピタルなんでしょう。今度のやつは何がこれベンチャーキャピタルなんですか。ちょっとそれ証明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/13
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014・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 繰り返しになりまして大変恐縮なんでございますが、個別の問題でございますのでコメントは差し控えさせていただきたいわけでございますが、一般論として申し上げれば、日本公認会計士協会の実務指針において、先ほど申し上げましたようにベンチャーキャピタルが投資育成目的で他の会社の株式を所有している場合には、傘下に入れる目的で行われていないことが明らかにされたときには子会社に該当しないものとして取り扱うことができると、こう記されております。これはもう先ほど申し上げたとおりですが、ベンチャーキャピタルの投資先について連結対象とするか否かについては、個々の具体的な実態に即しつつ判断されることになります。
この実務指針に基づいて、日興コーディアルグループはベルシステム24とNPIHを連結対象としていないとの報道があることは承知しておりますけれども、個別問題についてコメントすることは、当該企業等の関係者の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがあること等から差し控えさせていただきたいと考えております。
いずれにいたしましても、金融庁としては、提出された財務諸表に法令に照らして仮に問題があるとすれば、法令に基づき厳正に対処をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/14
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015・峰崎直樹
○峰崎直樹君 一か月半前に私は同じようなことを質問して、法令上問題ないんですかということを言ったんです。調査をしてみて、今一つ一つ言って、今これベンチャーキャピタルかどうかと聞いてもそれに答えられないですよ。いや個別の問題だと。ベンチャーキャピタルであればということの前提条件が付いて、更にいろいろ、このいわゆる監査委員会報告第六十号にはいろいろな条件付いています。それに照らし合わせてみて、これは問題じゃないですかということを言ったのに、いや一般論として、いや個別企業の利益でということでおっしゃっているけれども、私が何度も言っているように、これはライブドアと同じ、あるいはライブドアと同じようなスキームを使って、しかも二千四百億を超すような、最近におけるMアンドA案件では物すごい大きい規模のやつなんですよ。
そうすると、この問題は市場の皆さん方も皆関心を持っていますよ、それはもちろん。で、金融庁がどういう判断を下すかというのを今日恐らくみんな関心を持って見ていると思うんですよ。それでずっとこの今のやり取りをしていると、個別の案件にわたって、一般論と、これ全部返っていったら、何のこれ議論しているのかということになっちゃうんですよ。
私、今おっしゃっていることについて一つ一つ反論することできるんでそのままやってもいいんですけども、時間の無駄になってしまうような気がしてならないんですけども、これ本当に私、今のような対応で、また今おっしゃったんですよね、最後。また、もう更に調査をしますというふうにおっしゃいましたね。いつまでに、じゃ調査結果を明らかにするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/15
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016・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 当然のこととして、そういうことが報道され、また国会でも御指摘を受けたわけでございますから、それらは金融庁に重大な注意の喚起を促しているわけでございますから、個別の問題、これをこういう調べをしています、こういう調査をしていますということを具体的には申し上げられませんけれども、報道あるいは国会での質疑を通じて、金融庁は十分こういう問題に対する注意は喚起されたと思っておりますし、また法令に照らして調査すべきことはきちんと調査しているということは、是非そうお考えいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/16
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017・峰崎直樹
○峰崎直樹君 調査をした結果、これは法律違反犯していないと、こういう判断なんですか。それとも、いや、まだ引き続き継続して調査をしている最中だと、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/17
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018・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 何も申し上げられないということは、結果が出てないということであるというふうに推定していただいて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/18
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019・峰崎直樹
○峰崎直樹君 どうもそのはっきりしないんですよね。
もう一つ、これ証券取引等監視委員会というのがございますから、それに関連して、これインサイダー取引のこのプロセスの中で疑惑も出てきているように思えてならないんですが、そういうことを証券等監視取引委員会の側から随分一生懸命調査されているんでしょう。ですから、そういうことのあれはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/19
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020・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) これもまた一般論として申し上げるわけでございますけれども、証券取引等監視委員会においては、インサイダー取引等の法令違反に該当する事実があると疑われる場合には、必要に応じて調査を行い、その結果悪質な法令違反行為が認められるケースでは、当然のこととして厳正に対処してまいりましたし、これからも対処してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/20
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021・峰崎直樹
○峰崎直樹君 この資料に付けていますから、その資料に基づいてちょっとお話を、これ具体的な事実を申し上げますので、是非これはそのインサイダー取引に該当するかどうかということについて調査をしてもらいたい。
それは、十月二十七日に、もちろんこれ二〇〇四年の十月二十七日ですけれども、ベル24の株のTOBを発表しているわけです、TOBをね。ベル24を全部TOBを吹っ掛けたわけですから。その直前に、平成十六年九月から十月にかけて役員などに対するストックオプションが行使されて、八万三千株が新株が発行されているんです。行使直前の八月三十一日の取締役会で、会社の取締役等に対する六万九千九百五十株のストックオプションの割当てが払込金額未定のまま急遽決定された。
仮に、権利行使価格が一般的な時価の一割引き、こういうふうに通常言われていますが、一株二万円であったとすると、TOBの買取り価格は二万八千円でありますから、このベル24の役員などはわずか一か月間で五億五千万円の利益を得たことになる。これはもう絵にかいたようなインサイダー取引、こういうふうに思われませんか。ちょっと私の今の、事実が間違えてたらあれですけども、どういうふうに思われますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/21
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022・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 今、委員が言われたような事実があったかどうかは分かりませんけれども、また私からは独立した存在として監視委員会が存在いたしますけれども、監視委員会は典型的なインサイダー取引というのは決して見逃すような組織ではないというふうに御理解をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/22
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023・峰崎直樹
○峰崎直樹君 この後ろに資料四を書いています。それで、要するに事実関係を私申し上げたんですよ。
もう一つ申し上げますよ。九月末にEB債という、これまあEB債って何ですかって聞かないと分からない、新しい、出てきているんですけれども、このEB債を発行してベル24株のTOBの直前にTOBによる株価が上昇することを知りながら身内にオプション付きの金融商品、これを日興プリンシパル・インベストメンツ・ホールディングスから日興プリンシパル・インベストメンツに発行して、これでもうけさせたわけです。これもインサイダー取引じゃないですかと、こういうふうに指摘されているわけです。
これ後ろに、全部この資料を後ろに、四ページ目に私の事務所で作った資料四というのがありますから、これ前回も資料を渡しているんですよ、これ。だから、事実、いや知りませんからと言われないで、こういう事実を出して調査をしてもらって、改めてどうだったんですかということで、今のお答え聞いていても、分かりました、我々、証券等監視取引委員会はそんなものの見逃すような組織じゃありません、本当ですかと言いたくなるんですよ。見逃しし続けているんじゃないですかと言いたくなるようなことがですね。
そういう、このインサイダー取引というのはなかなか摘発しにくい、私はおとり捜査を入れないとなかなかできないんじゃないかと思っているぐらいですけれども、そういう典型的なインサイダー取引というものが行われているということを私今指摘をしました。これはこういう流れからするとインサイダー取引に当たりませんかということを類推しているんですが、これは調査をするということも約束してもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/23
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024・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 私が監視委員会にこういう捜査をしろ、調査をしろと言うことは、命ずる実は立場にない、監視委員会は極めて独立性の高い組織でございますが、国会の場でこういうものが取り上げられたということは当然監視委員会の知るところとなるわけでございますから、それだけ今日の御質問で監視委員会の注意は喚起されたというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/24
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025・峰崎直樹
○峰崎直樹君 どうも金融庁はこの問題に関しては非常にある意味ではこう遠慮しているというか、あるいは何かこうやましいところでもあるんじゃないかというふうに思われる。
どだい、僕なんかもこの何年間かの歴史ちょっと振り返ってみても、その日興に今監査をやった監査法人は、御存じのように中央青山ですよね。中央青山というのは奥山さんという方が理事長をやっている。この方は竹中大臣の時代に金融庁の中の何かプロジェクトチームに入っていただいて、でいろいろやられた方ですよ。私も大変努力をされたことは敬意を表するんですが。
どうもこの中央青山が、カネボウであれ足銀であれ、いろいろその粉飾決算その他に手をかされて、今度はこの問題が起きてきていると。そうすると、これはどうも金融庁は中央青山というところに何か気兼ねをしているか何かこう、何かそういう、何といいましょうかね、持っていらっしゃるんじゃないかなというふうに、マーケットなんかでもそういう見方をする人たちが増えてきているんですよ。そんなまあ日本というのはなあなあの世界なのかなということで、こういうところを直していかないと駄目なんだろうと思うんですが、そこら辺、大臣、何か御意見ありますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/25
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026・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 金融庁は別に中央青山に遠慮をしているということは全くありませんし、我々の役割、あるいは監視委員会の役割は、法令に照らして法令に違反している者に対しては常に厳しい態度で臨んでおります。
したがいまして、この件につきまして、金融庁として扱うべきもの、あるいは監視委員会として扱うべきもの、いずれも、法令に照らして法令に沿っていないという点があれば、それは当然厳しく対応していく、対処していくというのは当然のことでございまして、そこには遠慮とかそういうもの、あるいは政治的配慮とかというものは一切排される世界があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/26
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027・峰崎直樹
○峰崎直樹君 大臣は、この間恐らく質問したときも、要するに証券等監視取引委員会の独立性を強めなきゃいかぬと言ったときに、いやあれは独立していますよと、こうおっしゃっていましたね。
ところで、ちょっとお聞きするんですが、この証券等監視取引委員会のいわゆる委員というんですか、SEC、日本版SECというか、その委員の中に、ひょっとするとこれ中央青山から何かなされている方おられますか。──それじゃ、私がやります。じゃ、私の方で答えましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/27
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028・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 中央青山の御出身者がおられるそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/28
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029・峰崎直樹
○峰崎直樹君 要するに、証券等監視取引委員会の重要決定事項、まあ委員長はたしか検事さんだというのを知っていますけど、元検事だと知っていますが、重要な決定をするところの委員に実は公認会計士の中から唯一出ておられるのが中央青山出身の、名前は言えません、まあ御本人のためにも名前言わない方がいいでしょう、分かっていますけれども、就任されているわけです。
そうすると、どうもこの間の一連の動きの中で、こんなでたらめないわゆることをやって、でたらめというか、粉飾決算あるいはインサイダー取引かもしれないと私が指摘したようなことをやっていながら、どうもきちっとした対応が取れないというのは、そういういわゆる証券等監視取引委員会の中にそういう方もおられるということも、どうも私たちは疑わざるを得ないような気がするんですけれどもね。大臣、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/29
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030・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 監視委員会の委員に選ばれる方は、人格、識見とも高い方にお願いをしているわけでございまして、そういう出身母体によってそれぞれの方の意思が曲がるということはないと私は確信をしております。
加えまして、ここは三人の合議制でございますから、一人の意思ですべてが決まるところでもないと、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/30
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031・峰崎直樹
○峰崎直樹君 今、くしくも、三人しかいない、その中の一人が実はこの中央青山から出ておられるんです。
そうすると、これだけ大問題を起こし続けた中央青山ですよ。このベルシステム24の問題で、再びこれライブドアと同じような罪で私は間違いないと思っています、黒だと思っていますけれども、そのことで問題を指摘されたら、これ中央青山に対する処分というのは相当重いものになるだろうと思いますね。アメリカでもアーサー・アンダーセンという会計士の会社が事実上なくなりましたよね。だから、それに匹敵するぐらい大きい問題、私、はらんでいるように思うんですよ。
しかし、これぐらいやらないと、もしかすると日本の監査制度、監査というのが、私は、公認会計士の皆さん、専門家おられるから、そちらの方が質問してもらうのが一番いいと思っているんですけれども、私はそれぐらいこれ厳しく対応していかないといけないのに、こういう問題は、やっぱり今大臣がお答えになったことでは国民は納得しないんじゃないですか。
また教えてほしいんですけれども、引き続き、その証券等監視取引委員会、この本省に何人そのいわゆる専門の方がいらっしゃるのか、ちょっと数は分かりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/31
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032・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 三百名余でございまして、地方の財務局を入れますと五百名を若干超える数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/32
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033・峰崎直樹
○峰崎直樹君 その三百少々の中にこれまた中央青山からも数人と、こう私は聞いているんですけれども、出向の方がおられるという、こういうふうに聞いているんですけれども、まあ恐らく出向者というのは多分中央青山以外の監査法人からも出ているのかもしれませんが、これは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/33
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034・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 監査委員会は、およそ各分野の御専門家をお願いして、職員としてお願いをしております。これは例えば弁護士の方、検事出身の方、税理士の方、またその中には公認会計士の方も当然専門家として監視委員会に来ていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/34
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035・峰崎直樹
○峰崎直樹君 出向されている方々は専門的な立場で出されていると思うんですが、しかし今の一連の流れ見ても、金融庁とこの中央青山との関係含めて、どうもやはり毅然たる態度を取られていないというのは何かあるんではないかというふうに国民はやっぱり不信を抱くと思うんですよ。
その意味でも、今回の事件というものを私は厳正にこれ調査をして、そして国民の前に明らかにしてもらいたいと思いますし、もう一度お願いしたいんですけれども、先ほどのインサイダー取引の問題もそうですし、国会の場に、私の今日、先ほどのお話聞いていると、ほとんど回答らしい回答が返ってきていません。私、今日百分もらっていますけれど、もうこれで三十分過ぎて、一般的なお話をする時間がもうあと一時間足らずしかなくなってしまいましたんでね。その意味では是非この問題について、引き続き金融庁としてこのベル24の問題について、問題があったのかないのか、インサイダー取引というものがあったのかないのか、あったとすればそれは当然犯罪ですから、犯罪としてそれは告発するなりそういうものがやられるのか、その点、私要望しておきたいと思いますが、大臣、お答えをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/35
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036・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 法令違反があれば当然のこととして、法令違反の内容を詳しく調査することは当然でございますし、法令に基づいて処分をするということであれば、そのことについては行政処分のほかに告発ということもございまして、そういう意味では金融庁も監視委員会も、関連の法規につきましては、これからも厳正に法令に照らして行動してまいる決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/36
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037・峰崎直樹
○峰崎直樹君 法令に照らして行動するつもりですじゃなくて、この問題について調査をいたしますという、そして、その調査結果が出れば当然のことながら白か黒かというのは出ると思うんですが、これ是非明確にしていただきたいんですけれども、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/37
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038・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 峰崎委員がこれだけ時間を使われて、国権の最高機関の国会でこれだけ質問をされたということは、黙っていても証券監視委員会の聞き及ぶところになると思います。その点は私から監視委員会に申し上げるわけにはまいりませんけれども、こういう問題が国会で真剣に取り扱われたということは監視委員会も注意を持って聞いていると私は確信をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/38
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039・峰崎直樹
○峰崎直樹君 是非、この問題については、臭い物はふたをするということではなくて、是非明確な調査をし方針を出していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
それでは、財務大臣、あるいは今度は経済財政担当大臣としても、かねてから経済財政担当大臣をこの委員会に是非来ていただきたいと思ったんですが、金融担当大臣と一緒になられたんで大変助かっておりますので、是非お願いしたいと思うんですが。
そこで、両大臣にお聞きしたいんですけれども、日本経済が非常に順調に回復をしていると、こういう指摘をされているわけですけれども、私、先日の予算委員会で余り時間がなかったので、日本経済というのは本当に構造改革がされてきちんと回復されているんだろうかというところに疑問を持っております。
私は非常に危機感を持っているのは、国際的な資本の流れというかお金の流れを含めて見ていると、実はアメリカだけが、まあアメリカという国は基軸通貨国である、まあ準基軸と言っていいのか、最近はややあれですけれども、要するに、どんどんと消費をして、そしてもう貯蓄率がマイナスになるぐらいまで消費をして、一方で住宅バブルと言われるような状況になっていて、どんどんお金を支出をしているけれども、しかしまたアメリカの財務省証券のところに世界各国からお金が集まってくると、こういう構造になっているわけですね。
そして、そのアメリカがそういう消費を拡大し、また一方で中国が、私は、設備投資がGDPの中の五〇%近くなるというのは、日本が高度成長の六〇年代あるいは一九五五年以降の高度成長の中でもGDP比で五〇%近くまで行ったことはないんじゃないかと思うんです、三〇%台まで行ったことがあるような気がします。それぐらいその設備投資の過剰なものが我が日本の経済を引っ張っていっていると。それが実は日本経済の今回、回復過程のリーダー役になっていたんじゃないのか、そしてそれが日本の設備投資に火が付いて、ようやくこのところ雇用あるいは内需に火が付き掛かっているのかなと、こういう状況だと思うんですね。そうすると、この構造というのは、どうも一九八五年のプラザ合意のときに指摘された、その日本という国のいわゆる輸出主導型の経済といいますか、その経済構造と余り変わらないままに、徐々に復活遂げているとはいいながら、そういう形になってきちゃったのかなというふうに私は思うんですよね。
そうすると、アメリカの双子の赤字含めて、そんなにいつまでも長くアメリカの財務省証券を買い続けてまた赤字出してもそれは、財務省証券を買って、あるいはお金がまたアメリカに流れてそこでうまく資金循環が進むと、こういう事態というのはいつまで続くかなと。一つは、オイルの問題ですね、油の値段を始めとする一次産品の値上がりと。そうすると、そういうものが起きて、アメリカがどうやらその需要を中心にして、内需を中心にして、個人消費を中心にしながら伸びていった経済が、あっ、これはやっぱり我が国も設備投資を中心にして投資力を強化をしなきゃいかぬねと、こういうふうに転換をしてくると、お隣の中国も、中国のバブルもはじけたとすると、これは日本経済、また輸出からどんどん低下をして、輸出が下がることに伴って設備投資もダウンをし、国内経済がダウンをするという、そういうプロセスをたどっていくんではないかと。
そうすると、やっぱり日本の経済構造というのはきちっと変えてないというものが大きな要因になってくるんじゃないかと思うんですが、そういう経済のこれからの見通しといいますか、現状について、与謝野大臣とそれから谷垣大臣、ともにマクロ経済というか、経済全体をしっかり見ておられると思いますので、そういう問題はないのかなと、そういうリスクというものについて我が国は脆弱な体質を依然として持ち続けているんじゃないかというふうに思うんですが、どう思われるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/39
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040・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 政府は景気は回復しているという経済報告をしておりますが、その根拠になっておりますのは、やはり個人消費それから設備投資、それから輸出がほぼバランスよく日本の経済成長に貢献しているということで、そういう意味では輸出主導、外需主導のものではない経済であるということが一つの大きな特徴で、内需主導であるということが一つ。それからもう一つは、以前ですと公需というのがございました。これは公共事業を中心とした政府、地方自治体の財政支出による経済の下支え効果、こういうものは全く働いていない経済の回復でございまして、そういう意味では、我々としては、景気が回復しているという表現を使うに至ったわけでございます。また、設備投資も一時の過剰は解消されておりまして生産と出荷がほぼ平行線をたどっておりますし、また企業は需要に応じて設備を増やしていくという、大変堅実な経営をされていると思っております。
ただし、今、峰崎委員が言われたような、リスクはどこにあるのかと。私は日本の経済はそんなのんびりと構えていてずっと安定していくものではないと思っております。一つのリスクは、やはり当然のことながら、石油が今六十ドルになっておりますけれども、ここから先、石油の値段がどうなっていくのか、これは日本だけではなく世界経済を直撃する問題でございます。
それからもう一つは、やはり中国とかインドとかというところの経済力も上がってまいりましたし、技術力も相当なものになってまいりましたので、どの分野で日本の経済が競争的な優位を保てるかという、どの分野が日本の分野かと、日本が活動できる分野は果たして残されるのかという、これはかなり中長期的な深刻な問題であると思っております。したがいまして、国際競争力を維持できるかどうかというのが、実は真に日本の経済の課題であると思っております。
もう一つの要因、例えば中国の経済がどうなるのか、それからアメリカの双子の赤字、こういうものがどうなるのか、切りなく財政上の赤字、貿易上の赤字を垂れ流して、例えばアメリカ経済はやっていけるのか。この問題は実は深刻な問題でございまして、アメリカの国内でもいずれは審判の日がやってくるのではないかということをおっしゃる方もおられます。これは聖書の言葉から取った、ザ・デイ・オブ・レコニングという表現だそうでございますけれども、お札を刷り続けて使い続けるということがいつまでも続くのかという、これは本質的な問題の一つとして我々は直面しているということは正直に申し上げたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/40
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041・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も、今、日本経済の現状については内需、外需等々がバランスを取れて回復してきているという与謝野大臣の分析に全く同調しております。ですから、これについては繰り返して申し上げることは避けたいと思いますが、今後、日本経済の問題点というのは、昨日、大塚委員の御議論を伺っておりまして、いわゆる三つの過剰を克服してくる過程で結局金融政策というものに非常に負担が掛かって、そのことが家計等々にもしわ寄せが来ているんではないかという御指摘がございましたけれども、私は、それは巡り巡って結局日本の財政に負担が来ていて、後の世代にツケを先送りする形で今の経済の体質の改善を図ってきたという面はやっぱり残された問題でございまして、ここに取り組むことは必要だと思っております。
それから、世界経済を見ますと、峰崎委員がおっしゃいましたアメリカの双子の赤字を中心として世界の金の流れがアメリカに向かっている。日本もたくさんアメリカの財務省証券を買っております。こういう世界のインバランスをどう、そこの危険性をどう克服し解決していくかということは、G7等々の財務大臣会合では常に中心的なテーマでございます。与謝野大臣のお話のように、アメリカにも最後の審判が来るんじゃないかという議論があるようでございますけれども、アメリカでも今後五年間で財政赤字を半減させていくという取組をしておられまして、私はそのアメリカ政府のお取り組みが順調に進んでいただきたいと切に望んでいるわけでございます。
これについては、世界の三極のそれぞれの問題点という形でG7でも繰り返し指摘をしておりまして、アメリカについてはそういう財政のインバランスというものを克服していくべきである、双子の赤字というものを乗り越えていくべきであると。それから、ヨーロッパについてはいろいろな構造的な問題が取り上げられ、日本についても構造的な問題と財政の問題が取り上げられているわけでございまして、そういう問題に対しての目配りが必要であろうと思っております。
それから、今後、世界の経済の流れの中で、今アメリカのインバランスというようなものは金の流れでうまく、何というんでしょうか、回転をすることが一応できているわけでございますけれども、アメリカも金利が上がっているわけでございますし、ヨーロッパもそういうことでございます。日本はそういう局面にはまだ来ておりませんけれども、いわゆる量的緩和政策を解消するというところまで参りました。そういたしますと、今後、世界全体は金利が上がっていくという傾向があるわけでございまして、今まで豊富で安価な資金が潤沢に発展途上国等にも流れ込んでいたということが世界の経済の順調な発展に物すごく大きな意味を持っていたと思いますが、金利の上昇局面になりますと、そういう傾向が大きく変わってくる可能性がございます。今のところは発展途上国はそこのところを非常によく頑張っておやりになっているというふうに私は見ておりますけれども、引き続きこの金利の流れが金の流れをどう変えていくかということには十分注意を払っていかなければならない局面なのではないかと思っているわけでございます。
それからもう一つは、与謝野大臣もおっしゃいましたけれども、原油価格の高騰が日本にもいろんな影響がございますけれども、エネルギー効率の改善等でその影響は最小限に抑えることができている国の一つであろうと思っておりますが、発展途上国等々で、この原油価格の影響により、現在、全体が順調に回っている環境にいかなる問題が及んでいくかということは、引き続きよく注意をしておかなければならない問題であろうというふうに思っております。
したがいまして、与謝野大臣がおっしゃったのと全く同一の結論でございますが、現在、日本経済は順調に回復してきておりますけれども、そういう大きな世界の中で日本は決して安閑としているわけにはいかないということだろうと思っておりまして、人口が減少していくということと、この大きな世界の競争条件の中で耐えられる日本の体質をつくっていくということが一番大事なのではないかと。
大きな質問でございますので、あらあらまとめましたので、ちょっと欠けている点もたくさんあろうかと思っておりますが、御容赦を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/41
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042・峰崎直樹
○峰崎直樹君 今、お二人の大臣から見通しを伺っていると、ああ、これは二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの回復を、まあ二〇一一年なのか一〇年代初頭なのか、これ正式にもしあれでしたらお答え願いたいと思うんですが。どうも、あの前提条件にはこういうリスク要因というのは本当に十分加味されているんだろうか。いや、場合によっては危機シナリオというか、私は今、谷垣財務大臣がおっしゃられたアメリカがインバランスを、双子の赤字含めて、もうそれを抜本的に変えなきゃいけないというふうに転換をしたときに、日本経済にどんな影響を与えるんだろうかと。相当やはり深刻な影響が返ってくるんじゃないかというふうに思うんですね。
だから、そういったことなども含めて見ると、この二〇一〇年代初頭、あるいは二〇一一年、こういったものについての政府側から出ている議論というのは、非常に何かそこら辺が、底の浅いと言ったら怒られるんですけれども、そういったことが十分考慮されていない、考慮されないままに出されているんじゃないかなというふうに思えてならないんですけれども、その点どのように考えていったらいいのかなと。谷垣大臣。どちらでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/42
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043・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 二通りに考えていただければと思っております。日本の経済を良くしようという成長目標、それに対する官民挙げての努力、こういう日本の経済を活性化しようという努力の問題と、それからもう一つは、やはり日本の財政を立て直すという問題と多分前提が違うんだろうと思っております。
財政を立て直すときには控え目の前提で物事を考えていかなければならないと私は思っておりまして、何かどんどん名目成長率が上がっていって、どんどん税収があって、だから財政再建を考えなくても大丈夫だよというようなことではなくて、控え目な堅実な家計運営をやるんだということを前提に物事を考えていくと。そういう意味では、今試算を幾つもしておりますけれども、控え目な前提で、成長率も控え目な前提で、余り突拍子もないことを前提に考えないで財政再建を図っていくべきだと思っております。ただ、日本の経済を大きく飛躍させようという話、これは別の次元での努力だと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/43
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044・峰崎直樹
○峰崎直樹君 分かりました。また、それ具体的に出されれば、また少し議論をしたいと思いますが。
二〇一〇年代、これは一一年ですか、それとも二〇一〇年代初頭なんですか、どっちなんですか。いつも思うんですけど、前は二〇一二年とか一三年とかおっしゃっていたんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/44
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045・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 今のプライマリーバランスの赤字を、過去数年間のプライマリーバランスの改善度がそのまま将来とも毎年実現していったとしたら、二〇一一年というところにグラフが行くんですけれども、一応計算では二〇一一年で計算していますけれども、ただ、シミュレーションしたからといって実際にそこで到達できるかどうかは今後の問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/45
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046・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) これは与謝野大臣がお答えになるべきことかもしれませんが、政府として公にコミットしておりますのは、二〇一〇年代初頭を目標と、プライマリーバランス回復の目標とするということでございまして、今、与謝野大臣のおっしゃった、付表と言いましたか、あそこでシミュレーションが示されているのは閣議決定というわけではございませんで、一応そういういろいろなシミュレーションをした作業結果、思考整理と、こういうことではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/46
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047・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そうすると、二〇一〇年代初頭と、分かりました。二〇一〇年代初頭というところまでの間にいわゆる増税、基幹税ですよね、所得税あるいは消費税を始めとする基幹税での増税策といいますか、それは、あれはたしか考えられていたんでしょうかね。二〇〇八年とか九年とかという年にやられるという前提だったんでしょうか。ちょっと中身、私、正確に今持っていないんで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/47
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048・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 税を上げますというところまで話は行っておりません。
歳出歳入のギャップはどのぐらいになるかということ、これは今日も夕方諮問会議がございますけれども、そういう中ではそのプライマリーバランスに対するギャップを、支出、歳出だけでやったらどういうことが起きるのかと。要するに、全く増収措置をとらないで現行税制の下で物事を進めていって、それを倹約、歳出カットだけで収めるとしたらどの分野でどのぐらいのことになるのかと、これがまず多分数字として出てまいります。これは谷垣大臣の方でやっていただいている仕事でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/48
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049・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そこで、谷垣大臣、前にたしか二〇〇七年度に消費税の引上げを考えていると、こうおっしゃられて、大変勇気のある発言だなというふうに思ったわけであります。というのは、二〇〇七年度というのは、ちょうど統一自治体選挙あり、また参議院選挙ありで政治的には大変難しい時期に、しかしやらなきゃいけないんだというふうにおっしゃられたんですね。今もその考え方は持っておられるんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/49
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050・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、峰崎委員が、いわゆる基礎的財政収支の回復を二〇一〇年代初頭にするときに基幹税を上げるということが視野に入っているのかどうかというお尋ねと関係してくることでございますが、私は、当然、財政再建を成し遂げるためには歳出改革を徹底してやらなきゃいけない、無駄な歳出、それから国家がやらなくてもいいような歳出項目、こういうものを徹底的に変えていくということは、もう絶対になければならないことだと思っているわけであります。
しかしながら、これはまだ政府できちっと固めたわけではございませんけれども、財政を見させて、預からせていただいておりまして、平成十八年度お出ししている予算も公債依存率は三七・六%でございます。相当いろいろ抑制をしてまいりましても依然としてそういう状況でございます。加えて、今までの長期国債残高、国、地方合わせてGDPの一五〇%という状況でございます。
それで、今後考えておかなければならないことが幾つかございますけれども、そういう状況の中で、二年前でしたか、年金法案を国会で御議論をいただいて作っていただいたわけでありますけれども、あのときもその附則の中に、今後基礎年金を三分の一から二分の一税を入れていくと、その道筋が書いていただいているわけでございます。平成十九年度に税の抜本改革を成し遂げて、そして平成二十一年度までに基礎年金を支出していく割合を高めていくと、こういうことが書いていただいておりまして、それに一体どう対応していくかという問題もこれから考えていかなければならないことだろうというふうに思っております。
それから、加えまして、一生懸命そのプライマリーバランスの回復に努力をするといたしましても、これだけ国債を発行しているということは、金利の高騰ということについて極めて弱い体質を持っているということでございまして、それの目配りというのも欠かせないだろうというふうに思っております。そういうことを考えますと、何らかの歳入策、税ということをお願いせざるを得ない。私は余り時間の余裕がないんだろうというふうに思っているわけでございます。
じゃ、いつかということになりますと、現在、歳入歳出一体改革と、与謝野大臣の下で議論をさせていただいているわけでございますけれども、余り時間、今年の半ばごろに選択肢を示して、道筋を、工程表を示していって、それで国民的な議論をしていただいて、平成十八年度内に結論を得るということになっておりますが、余り時間がないということを前提にいたしますと、そこで得られた結論は来年度の予算なり税制にできるだけ反映させていくというのが自然の流れではないかと。私は、まだこれは個人的な意見ではございますけれども、そう考えているわけでございまして、そういう流れが先ほど峰崎委員がおっしゃいましたような私の表現になっているわけでございます。
ただ、スケジュールも大事でございますけれども、この問題を考えますときにスケジュールだけで物事が進むわけではないということは私は百も二百も承知しているつもりでございます。その前提として、やはり国民が日本の財政の現状を見て、なるほどこうだと思っていただかなければ進まないわけでございまして、私は、スケジュールも大事だけど、スケジュールよりもどうやったら国民の皆さんになるほどこうだと分かっていただけるか、今はそれを一生懸命やるべき時期だと実は思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/50
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051・峰崎直樹
○峰崎直樹君 先ほど本当に勇気ある発言だなと思ったのは、先日、ある経営者といいますか経営者の方から、会社は駄目な会社をほうっておくと緩慢に自然死の状態になると。それをこうV字型に回復させていく議論を聞いたことあるんですけども、そのときに、やっぱり徹底的に危機感というものを共有しなきゃいけないと。
恐らく、消費税の引上げとかの問題が起きるときに、国民に理解をとおっしゃいましたけども、私は、小泉改革というのは、この五年間の間に、そういう本当の、国民に、ああ、これは本当に大変なんだなという危機感を持たせるという点では失敗しているんじゃないかと思うんですよね。ですから、それが全部財政に、いまだに三七%ですか、国債依存度が。そういうやはり構造をずうっと、要するに先延ばしなんですよ。私は、そういう意味で、もちろんこの間、経済状況からしてそうならざるを得なかったという側面なきにしもあらずなんだけども、やはり財務大臣というのは大変つらい立場だと思うんですけれども、そういう危機感をやはりきちっと訴えていく、国民には。あの郵政改革における情熱ぐらいは、やっぱり国民に対する危機感の訴えに費やしてほしかったなというふうに個人的には思っているんですけどね。
そこで、今、ちょっと余談になりますが、ちょっと離れ、今までの議論に。
先ほど、これ以上、要するに歳出カットとかいろいろなことを言う。そうすると、小さな政府を目指されているというふうに、まあ私どもは、小泉さんや竹中さんの時代はそう思っているんです。両大臣がどう思われているかというのは後でお聞きしてみたいというふうに思いますが、より小さな政府を目指していいのかということですね。
そこで、ちょっとこの表で、この間お聞きしたかった、予算委員会で総理大臣に本当はお聞きしたかったところなんですけども、何ページでしょうか、資料九という、「対人信頼感の比較」というのがあるんです。日本、韓国、フィンランドの学生比較調査と。出ましたですか、グラフが載っているやつです。東京大学の社会情報研究所の橋元良明先生のところの調査によるもので、ちょっと年号が出てませんけど、一番新しい、二〇〇三年ごろだったというふうに記憶しておりますけども。
それで、一番新しいデータなんですけども、「ほとんどの人は他人を信頼している」、フィンランドという国は──何でフィンランドというのか。これ今、例のダボスの会議のところで、最も世界で競争力のある国だというふうに言われている国ですね、フィンランド、学びの国とも言われていますが。それでずっと調べてみると、フィンランドは、非常に他人を信頼していますよというのが、非常にそう思うが一六・八%、ややそう思うを入れると何と七割を超えて実はそういう人がいる。ところが日本、韓国もそれよりは低いけども、日本を見ると、他人を信頼する度合いというのは極めて低いと。余りそう思わない五〇・一、そう思わない一四・六ですね。
「私は人を信頼する方である」、フィンランドは二八・六そう思う、ややそう思うが四六%で、合わせるとこれまた七〇、四人に三人を超えていると。韓国もそれに次いで人を信頼する方だと言っているんですけどもね。日本はもう、どうですか、非常に低いですね。余りそう思わない二七・一、そう思わないが八・〇、合わせると三人に一人以上は人を余り信頼していない。
ここから先、また、「この社会では、気を付けていないと誰かに利用されてしまう」ぞと、こういうふうに思う人が、フィンランドは、そう思うが三・八、ややそう思うが二一・六ですか、非常にそれに対する、社会に対する信頼感というのが減っていると。ところが、日本見てください。韓国もこれ似たり寄ったりのところがあるんですけども、日本は三人に一人以上は気を付けないとだれかに利用されるぞというふうに思っている。さらに、ややそう思うを入れると、これまた八割近いんですね。
さらに、一番最後の質問で、「ほとんどの人は基本的に善良で親切である」、何か昔は日本ってそういう国だと思っていたんですけれども、今見ていると、フィンランドは、そう思う二七・〇、ややそう思う五五・六、八割を超えて、基本的に善良で親切だと。日本は、七・〇と三〇・八、本当にここまで人の見方というんですか、変わってきているんですよね。
私は、別にフィンランドという国がどういう国か分かりませんけども、だんだんこういう形で国民の若い人たちの意識そのものも相当変わってきているんではないかなと。その変わってくるに当たって、国の政治、あるいは国の経済政策なり国の政治の政策の基本方向というのはかなり影響してきているんではないかというふうに思えてならないんですけども、この点、こういうデータを見られて、両大臣、どう思われますですか。ちょっと感想をお聞きしてみたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/51
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052・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 何かにわかには信じられない低い数字が日本に関して出ておりまして、むしろ日本人同士は逆の結果が出るんではないかなと思って先生の資料を拝見していたわけでございますが、やはりこういう国民の雰囲気というものが、まあ実際は経済にも影響が出てくる可能性もありますし、社会全体の穏和さとかそういうことに関しても出てくるということで、決してこの数字は好ましい傾向ではないというふうに感じたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/52
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053・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も与謝野大臣がおっしゃったのと同じような感想で聞かせていただきました。
実は、私は財政演説の中で、やや異例かとも思いましたけども、今年の財政演説の中では、家族や地域社会や、国と国民のきずなを取り戻さなきゃいけないというようなことを申し上げたわけでありますが、峰崎委員がお示しになりましたような、私がああいうことを言ったのは、こういうことがやっぱり背景にあるんだなと改めて思ったような次第でございます。
ただ、ああいうことを私が申し上げるについてはかなりちゅうちょもございまして、といいますのは、私、今財政をやっておりまして、今、日本がやらなきゃならないことは、日本の内臓脂肪といいますか、余分に付いたぜい肉みたいのを落とす作業はどこかでやらないとこの先の日本はないと思っているわけですが、余り早くきずなきずなとか、そういうことを言い過ぎますと、何か内臓脂肪を取る努力が、気合が入らなくなっちゃうというようなタイミングでもまずいなという気持ちがございまして、今がそのタイミングかどうかはちょっと、相当悩んだわけでございますけれども、やっぱりこういう数字は私どもよく頭に留めながらこれから仕事をしていかなければならないんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/53
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054・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そこで、質問にもちょっと加えておいたんですけども、この世の中だんだん、経済の分野やっていますから、競争の問題とか市場ということを大切にするということは当然のことなんで、しかし、その市場にはルールが必要だと。違反する者はきちっとした罰則を付ける。昨日も大塚議員が総理に対して厳しく迫ったわけですけども、社会の風潮がどうも損得基準、損か得か、それが支配をして、だんだんと善悪というものがおかしくなっちゃっているんではないかという。
それは、ライブドアの堀江さんがよくお金で買えないものはないとかという、そういう発言をされたりして、だんだんこれはおかしいんじゃないかなというふうに思ってきたんですけども、そういう意味でその価値基準というものの在り方みたいなものがどうも、小さな政府にしようというときに、より小さな政府にしていくというときに、民間でできるものは民間で、地方でできるものは地方で、まあ民というのが一体それは株式会社なのか、それとも市民団体なのか、NPOなのか、そこら辺はいろいろ僕はあると思うんですけども、しかしどうもそこの発想のところが、要するに効率性から考えて最もいいものは何なのかということだけが基準になっていって、人々の間のきずなとか連帯感というのがそがれてしまってきているんじゃないかということですね。
実は、私も何度か質問したことあるんですが、アメリカの政治学者でロバート・パットナムという人がいるんですけども、この方がイタリアの南部と北部を調べて、南部よりも北部が非常に経済も発展しているし、南部はなかなか発展の度合いが低いという。なぜそうなっているのかと見たときに、非常に人々の間の連帯感、きずなが非常に希薄な地域と高い地域というふうに分けて、実に見事にそれを論証しているんですね。
僕はフィンランド行ったことはありませんし、北欧三国も十分よく分かっているわけではないんですが、どうも政府の規模が大きくなったら経済的な効率が落ちて、そして日本の社会はお先真っ暗になるぞと、こういう話があるんですけれども、どうも私はそうじゃない解決の道があるんじゃないかなというふうに思えてならないんです。その意味で、より小さな政府に進めていくということについて両大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/54
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055・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 小さな政府で、一番小さな政府というのは言わば夜警国家という、国は防衛と警察しかやらないという、これは我々が習った一番小さな政府。一番大きな政府は揺りかごから墓場までという、生まれたときから亡くなられるまで公が全部サポートしていくと、これが一番大きな政府というふうに我々習ったわけでございますけれども。
私は、日本の国というのは、国民負担率から考えますと、小さな政府、大きな政府の中ぐらいのところに位置しているんだろうと思っております。それは、直接の税、社会保険料の負担率というのはまだ三〇%台ですけれども、赤字国債を出して社会保障をやっているという分はやはり国民負担率に勘定しなきゃいけない部分でございまして、そういう意味では、全体としては国民負担率、年によって違いますけれども、四五%前後の国になってしまっている。それで、国家公務員の数や何かを各国と比べましても、相当努力を今積み重ねてきております。自民党の昨年九月のあの選挙の公約はどう書いてあるかといいますと、やはり国民負担率、日本の社会としては五〇%が上限ですねということを前提に実はあらゆる政策が書かれておりまして、私のイメージする政府というのは、国民負担率、どんなに大きくなっても五〇%が限度だというのを私はイメージをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/55
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056・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 小さな政府とか簡素で効率的な政府とかいろんな表現がございますけれども、私、今、構造改革、まあ構造改革という表現もございますが、我々が目指しているものは、かつての高度経済成長とかあるいは人口が増えていく構造の中でのいろいろな成功した仕組み、それが必ずしも現在は本当に効率的な、うまく回転していく仕組みでなくなっているものがたくさんあるのではないかというふうに思っております。したがって、それを、地方でできることは地方で、民間でできることは民間でという形で政府の役割を見直しながら、人口が減少していく社会に耐えられるものにしていこうということが一つの本質で、徹底的に与謝野大臣のおっしゃった夜警国家のようなものを目指すんではないんだろうというふうに思っているわけでございます。
それからもう一つは、結局、私は財政を担当しているからでもございますが、今のじゃ日本の政府の規模が物すごく小さいのかどうかというような議論がいろいろございますけれども、給付とかそういう面から見ますとそんなに、何というんでしょうか、ばかでかい政府ではございませんけれども、割合スリムな中くらいの国なんではないかというふうに思っております。
問題は、それに対する負担がアンバランスになっているところに一つの問題があるわけでございまして、やっぱりそれは直していかなきゃならぬというのがもう一つあるんだろうと思います。これは小さくとか簡素で効率的ということとは必ずしも同じではないと思いますが、私はそういうふうに思っております。
その上で、やはり日本国民が何を求めているのかということもよく考えなきゃいけないと思っておりますが、小さな政府とか簡素で効率的な政府と多くの方が求めているわけでございまして、私はそれはそうだと思いますが、じゃ医療なんかに関して、国民皆保険制度というのはやめてもっとスリムにしようという方はいないんではないかと思います。私は、そういう辺りで日本型のものを求めていく必要があるんではないかというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/56
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057・峰崎直樹
○峰崎直樹君 日本型とかいろいろ中身がよく分からないんで反論のしようがないんですが、もう時間もあと三十分足らずになってしまいましたのでもう少し、今度は税の問題などに集約したいんですが、財政の問題で最後に二点ちょっとお聞きしたいんです。
一つは、財務大臣にお願いしてましたけれども、国と地方自治体の抱えている、国というのは当然のことながら中央政府、社会保障基金制度もそうですけれども、そういう公的な債務の総額というのは幾らになるんですかと、また債権と相殺した純債務の総額は幾らになるんですかと、この点をまず第一にお聞きしたいことです。
と同時に、まあ恐らく後で出てくると思うんですけれども、こういう公的な債務が、国だけじゃなくて、財務省所管だけじゃなくて、地方政府もそうでしょうし、様々なところにあるとした場合に、こういう公的な債務を、私は、たしかイギリスとかフランスとかドイツに債務管理庁というのがあったんですけれども、そういう債務管理庁というものを設けて本格的にきちっとこの国債管理政策を進めていく、そういうことが非常に重要な課題になるんじゃないかと思うんですが、その点どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/57
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058・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) まず、国と地方自治体の抱えている公的債務の種類及び総額は幾らなのかということについてお答えさせていただきたいと思います。
この国全体の公的債務の総額、いろいろな整理の方法があるかと思いますが、まず財政運営の観点から将来の負担とも言うべき長期の債務について、その利払い・償還財源が主として税財源により賄われる債務を国、地方の双方について集計いたしまして、国及び地方の長期債務残高として公表しております額が、平成十八年度末時点で七百七十五兆円と見込んでおります。その内訳を申しますと、国の長期債務残高として六百五兆円を見込んでおりまして、そのまた内訳は、普通国債残高が五百四十二兆円、特別会計の借入金等が六十三兆円でございます。それに加えまして、その他の債務であります財政融資資金特別会計の国債として百四十一兆円、そして政府短期証券百四十二兆円を含めた総額を八百八十八兆円と見込まれておりまして、この額は財政法二十八条による平成十八年度予算参考書類において国債及び借入金の現在高としてお示しをさせていただいておるところでございます。
で、次に純債務ですね、この債務と相殺した純債務の総額について続けてお答えさせていただきたいと思いますが、企業会計の手法を用いて作成させていただいております国の財務書類におきまして、国の資金調達に係る債務のほかに退職給付の引当金や公的年金に係る債務等が計上されておりまして、これは一般会計及び特別会計を合わせた総額で、これは平成十五年度末になりますが、九百四十一兆円となっております。併せて、国の負債から貸付金、現金、預金、また固定資産等を合わせた国の資産を差し引いた資産負債差額は、一般会計及び特別会計を合わせた総額で、同じように平成十五年度末におきましてマイナスの二百四十五兆円となっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/58
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059・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 債務管理庁というお話がありまして、私も諸外国の制度をよく承知しているわけではありませんけれども、例えばドイツのようなところにおきましては、国債管理政策は、企画立案は財務省の内部部局であるけれども、実際の国債管理政策の執行は財務省一〇〇%出資子会社がやっているとか、フランスでは、企画立案は財務省、それから管理政策の執行は、何というんでしょうか、エージェンシー、財務省の内部部局ではあるんですが、エージェンシーみたいなところでやらせていると。それから、イギリスは、財務省の一部局が国債管理政策を執行しているが、業務運営上一定の自主性を有するというようなことでございまして、いろんな形態があるんだろうと思います。
で、私どもの基本的な考え方は、これだけやはり公的債務というものをたくさん抱えておりますと、その国債管理政策をしっかりやるに当たっては財政との連携が基本的に大事だと思います。財政はこっちの方向、右の方向を向いている、国債管理政策は左の方向を向いているというんじゃマーケットもなかなか信用してくれないということではないかと思っておりまして、私は同一のところできちっとやるのが一番いいんだというふうに考えているわけでございます。
で、今の委員のお話を伺っておりますと、国の公的債務だけじゃなく、地方の債務をどうしていくかという問題も併せて御関心だと思いますが、これは公的債務管理政策に関する研究会というのをやっていただいておりまして、そこでいただいております報告では、公的債務管理当局において管理すべき債務は国債等の中央政府のコントロール下にある債務であって、地方債、年金等は国の財政資金の調達に伴うものではなく、またガバナンスの枠組みも異なることから、統一的な政策立案を行うにはなじまないというような御指摘をいただいているわけでございますが、いずれにせよ、私どもはこれだけ国債を抱えているわけでございますから、国債管理政策というものはどういうものがあるべきかというのはできるだけ視野を広くして勉強をしなけりゃいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/59
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060・峰崎直樹
○峰崎直樹君 財務省が内部でやれば、それは財政との一体と言っているのかもしれませんが、大臣、一千兆近くなっているでしょう、金利一%をうまく運用したと、そうすると十兆円実は言ってみれば損得あるわけですよ。そうすると、ここら辺はやっぱりプロフェッショナルの人たちをいかに活用するかとか、こういう時代に僕はなっているんじゃないかという気するんですよ。
ですから、そういう点での私はやはり、今お話聞いているだけで、ああ、これは財務大臣の下では駄目だなというふうにちょっとこう思った次第なんですけれども、やっぱりそこは本当に発想を変えてやらないと駄目だなと。我々も債務管理庁構想を少しまとめようかなと思っているんです、民主党としてもですね。是非、そういったことも考えていただきたいなというふうに思います。
それと同時に、今ちょっと、予算書に出ているのかもしれませんが、本当に分かりやすく、例えば債務保証をしているのは一体どのぐらいあるのかとか、本当にきちっと分かりやすくちょっと資料を作ってもらえないかなというふうに思いますので、要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/60
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061・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) その点では、先ほど申し上げた研究会でも、公的債務管理当局はできるだけ分かりやすい形で情報を提供せよという御指摘を受けておりまして、それを受けて、国債だけではなく、地方債それから政府保証債、借入金等の状況を一覧性を持った形で債務管理レポートという形で公表しておりますので、後でお届けをいたします。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/61
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062・峰崎直樹
○峰崎直樹君 今、筆頭理事もおっしゃっていますけれども、私もそう思います。是非、我々国会議員でもちゃんと分かるようにしていただきたいと思います。
さて、税のところまでようやくたどり着いてきて、あともう二十分近くになってしまいましたけれども、いろいろ聞きたいことたくさんありました。
そこで、私は、大変ショッキングな事実というかデータ見て、こんな状態まで落ち込んだのかなと思うのは、実はジニ係数を調べて、所得再配分による所得格差是正効果、資料六というところがございます。二〇〇二年のこれは厚生労働省の所得再分配調査ということでございますので、率直に申し上げて、まあいろんな統計表の取り方によっていろんな見方ができるので、これだけで見ていいかどうかというのは私も別問題だと思いますが、当初所得のジニ係数は〇・四九八三と。再分配後でジニ係数B、これは〇・三八一二まで下がって、改善度としては二三・五%ですと。これだけ再分配効果が出てきていますよということなんですが、その中で税による所得再分配効果は何と〇・八%、つまり〇・四九八三に対して〇・四九四一と。もう改善度〇・八%というのはほとんど改善されていないということでしょう。社会保障による再分配所得については、ジニ係数〇・三九一七まで下がっていますから、これは二一・四%とかなり改善されている。
よく、所得税には所得再配分効果がありますということで、いや、超過累進課税が入っておりますからと、こうあるんですけれども、こんなに落ち込んできてしまっているということについて大変、私自身、所得税というのはそういう税なんだと思ってきたわけでありますが、ここまで落ち込んでいることに対して、財務大臣、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/62
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063・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、個人所得課税の所得再分配機能というのは近年低くなってきていることは御指摘のとおりでございます。
これがこうなってまいりましたのは、昭和六十二年、六十三年のあの税制改革、それから平成六年の税制改革等を通じまして国民の勤労意欲とかあるいは事業意欲、こういうものに対する配慮、それから諸外国でフラット化が進んでいるというような外国法制等々、そういうことにかんがみまして個人所得課税の累進構造を緩和してきたということが背景にあることは御承知のとおりでございます。
所得再分配機能を見ますのは、今も委員もおっしゃいましたように、所得税だけではなくて、歳入面、社会保障等の歳出面も含めた全体の見方が必要であろうと思っておりますし、その際に、やはり平等感あるいは勤労意欲ということと同時に、機会の平等とかあるいは結果の平等ということに対して国民意識がどうなっているかということもよく考えなければいけないことだろうと思っております。
ただ、所得課税について今後の検討課題ということの大きな論点は、こういう累進制というほかの税にはない機能を持っているわけでございますので、そこをどういうふうに今後発揮をさせていくのかという点はよく議論をしていかなければならない点だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/63
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064・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そういうことも含めて所得税の抜本的な改革をなすというのが定率減税廃止のときの条件だったんじゃないですか。ようやく、私も賛成なんですが、いわゆる所得税において今控除ですね、所得税における控除制度、これを税額控除に変えようという動きがあります。私もそうだと思うんですよ。
要するに、所得控除で基礎控除だとか勤労者控除だとか様々な控除あるけれども、これは高額所得者で限界税率が高い人には非常に効いてくると、だから最低税率のところだけで税額控除でぼんと返しちゃえと。こうすれば、所得再配分機能というのは実に上がってまいりますよ。もっと言えば、今度はそのマイナスの所得税といいますか、いわゆる非常に所得の低い方々に対して所得を還付してくるというクレジットですね、そういう形で転換をしていけば、いわゆる所得再配分機能というのは更に私、向上していくだろうと思うんですよ。だから、私は、その所得税の抜本的改革がなされた段階で定率減税の廃止というのは進めますよと書かれていたから、そういうことが当然なされるだろうと思ったんですよ。
かつて、所得税の問題に関して財務省は一番今まで強調していたのは何かというと、課税最低限が高過ぎる高過ぎると。最近、ほとんど言わなくなったんですよ。なぜ言わなくなったかというと、諸外国で全部税額控除に変わっていったんですよ。そうしたら、諸外国で変わっていって、そういうふうに変わっているんだったら日本でじゃそれを検討して、真っ先にこういう、ジニ係数で見ている限り再配分機能を失っているんであれば、より高めるには税率を上げるだけでなくて、所得控除から税額控除へ切り替えるような、そういう努力というのはもっと私なされてしかるべきだと思うんですけれどもね。
ようやく、今与党税調でも何か議論されているという話を聞いたんですが、財務大臣、それは、こういう所得税の抜本改革を約束した定率減税の廃止の前提条件として考えるべきじゃなかったんですか。見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/64
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065・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 二つ問題がございまして、一つは定率減税を廃止する前提は何なのかという議論があろうかと思います。それからもう一つ、私ども先ほどから歳出歳入一体改革ということを言っておりますが、その中心にやはり消費税があるだろうということは、これは私そう思っているわけでございますし、かなり多くの方がそう思っていただいていると思います。そういう消費税等々を入れるときに、じゃほかの税制はどうあるべきかという問題がもう一つあろうかと思っております。
それで、定率減税に関して言えば、確かに税制の抜本改革までのつなぎというような位置付けで入れられたことは御承知のとおりでありますけれども、これに関しましては今まで配偶者特別控除の上乗せ部分とかあるいは年金課税の見直し等ということをやってまいりましたし、また今年は、るるは申しませんけれども、三位一体改革の中で地方住民税との形での税源移譲という形をいたしますので、その中で整理をしていかなければならないという課題、これは非常に大きな課題でございまして、それと併せて今回の定率減税をやらしていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/65
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066・峰崎直樹
○峰崎直樹君 恐らくは、今お話聞いていて、税を取り巻く環境というのはすごく変化していると思うんですよね。また同時に、その結果、所得環境、格差も拡大したりいろいろ問題になっているわけですけれども。
さっきもおっしゃいましたのでちょっと気になったのは、それはもう消費税しかないよと、こうおっしゃっている。私はその前に、消費税今五%です。世界でも最も低い消費税率だという、それは間違いないと思うんですけれども。しかし、この税を取り巻いている状況を見て、所得税そのものの総合課税の考え方は下ろしてないんでしょう。なかなかこれ、これ徴税努力というか大変だと思うんですよね、所得をどう把握するかとか事業性所得だとか。
そういう意味で、徴税環境、本当大変だと思うけれども、しかしいわゆるその所得税において改革をしなければいけない問題というのは、私はやっぱり一つは公正な、公平な条件だと思っているんです。なぜかというと、この所得税の正確な把握というのは、ほかの社会保障の給付と全部連動してくるんですよね。だから、所得の公正な把握というものが必要だということを我々言い続けてきているわけです。
そのときに、金融所得と、特に配当利子課税、今、利子低いですけれども、配当利子課税なんかは今一〇%下がっていますよ。IPO、すなわち株式の公開でいえば五%ですよね。そういうふうに優遇してきた、それは間違いない。今まで貯蓄から投資へということで優遇してきた、間違いないけれども、もう一度そういうところへ返ってみて、本来所得税というものが持っているそういう、景気が上がればよく上がっていく、あるいは景気が悪くなっても落ち込んでいく、そういうある意味では性格をやっぱり持っていると思うんで、そういうところの改革というものを全体として見て、しかも資産課税というものが一体どうなっているのか。諸外国には富裕税とか様々な税が入ってきていますよね。
そういう総合的な中で見て、さあ、いきなり消費税ですよと。なぜ消費税がまずいかなと思うのは、とにかく課税最低限以下の方々、あるいはもうとにかく食うや食わずの方も、もうとにかく買えば消費税払うわけですよ、税をね。だから、本当にそういう意味では、もうあらゆる人から税を取り立ててしまうような仕組み持っているわけですから、ここに実は手を付けるというのは、よほどやはり国民の皆さんが理解と納得を得ないと私はまずいと思っているんですよね。
そういう意味で、今おっしゃられた点、どのように考えておられるか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/66
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067・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに個人所得課税は、峰崎委員がおっしゃいましたように、垂直的公平の確保という点から見て、総合課税というものを基本とするというのを私どもも思っているわけでございます。
だけど、御指摘になりました金融資産性所得に関しましては、まあいろんな点からその特質にかんがみて分離課税をやるというようなことになっているのは御承知のとおりでございます。これは金融資産を活用しなければならないとか、あるいは株式の売買に伴って損益を通算するようなこと、それから譲渡時期を自由に選択できるというようなことをどう乗り越えていくかとかいろんな問題、技術的な問題点も合わせましてこういうような形になっている。こういうところは今後ともよく検討していかなければならないところだろうと思います。
それから、資産性の課税につきましては、やっぱり経済のストック化というようなことにどう対応していくかというようなことも我々よく検討していかなければならない課題だろうというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/67
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068・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そこで、両大臣にお聞きするんですけれども、相続税という税金があるんですけれども、課税される方々は本当に五%以下だというふうに、相続受けるとき。しかも、九十歳以降で亡くなられて、相続する人が七十代とか、本当に老老で受け継いでしまうような、それを是正されることなんですが、よく機会の平等とおっしゃるんですよね、結果の平等じゃなくて。じゃ、その機会の平等をパーフェクトにやろうとしたら、これ相続税一〇〇%ですよ。そういう意味で、高額所得者の方々が一番相続税を逃れる方法というのは教育投資なんです。
そういう意味で、本当に、何というんでしょうかね、この相続税について、政治的にはなかなかその相続税を強化するというのは難しいと思うんですが、本当に機会の平等を考えられるのであれば、もう少しこの機会の平等を達成するために相続税というのを私はきちんと強化をしていくべき税目ではないかと思っているんですが、その点、両大臣、どう考えておられるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/68
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069・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) 相続税につきまして、今、峰崎先生の御発言にあったように、相続を契機として世代間の財産移転に着目して資産の再分配を図ると。こういった意味では、他の税目ではなかなか代替できない固有の機能を有しているものというふうに考えております。
この相続税の負担、これまでは累次の減税や各種特例の拡充により大幅に緩和されてきたというのは事実だというふうに思っております。しかし、今御指摘にもありましたように、経済のストック化の進展や、あとは所得税、消費税などの他の税目による負担とのバランス等を考慮しますと、今後は資産の再分配機能を有する相続税の役割は一層重要なものと考えておりますので、今後の税制の抜本的な改革の議論の中でこれもしっかりと議論を進めていく必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/69
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070・峰崎直樹
○峰崎直樹君 何か余り期待した答弁ではなかったんですけど、要するに、機会の平等をこれから保障していくというときに、だんだんと長男長女社会みたいな形になっていますから、多分相続を受ける方々というのは相当のこれから金額を増えていくんじゃないかなというふうに見ていますので、そういう意味で、だから取ればいいということを言っているんじゃなくて、やはりそういう資産の偏重といいますか、そういったことに対する対応を私は怠りなく進める必要があるんじゃないのだろうかというふうに思っているわけであります。
もう時間が大体私の予定に参りましたので最後になりますが、私もこれを聞いてびっくりしたんですけれども、明治時代の後半ですか、約百年以上前になりますけど、その当時、一番大きな重要な税金、税目というのは大体地租とか、それからたばこ税とか酒税とかと、こういうものが非常に重要な税だったというんですけれども、これから五十年ぐらい先でも構わないんですけれども、基幹税というのは一体どういう税目になっているんだろうかねということを何か想像されたことはありますでしょうか。ちょっと財務大臣に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/70
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071・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) いや、そういう御質問があると伺いまして、若干ブレーンストーミングもしましたんですが、なかなかぱっとした答えが思い浮かべませんで、まあ五十年前がどうだったかなと考えてみますと、昭和三十六年で、峰崎委員も私も多分高校一年生だったんだろうと思いますが、あの当時のことを思い出し、それからじゃ五十年後を当てはめてみても余りいいアイデアが浮かびませんでした。
ただ、いずれにせよ、恐らく所得税というものは所得という一番分かりやすいものに着目する税でございますから、今後これが基幹税的な役割を、恐らく五十年後も所得税というのは基幹的な役割を果たすだろうと思いますし、累進税というような性格も持っているわけでございますね。
それから、やはり消費税についても多分基幹的な役割を果たすと思いますが、一番分からないのは実は法人税でございます。やはり国際的な経済関係がどうなっていくか、その中で競争条件を維持していくというようなことを考えるとどういうものになっていくのか、ここらはなかなかちょっと御質問通告受けてからのあらあらの考えで、なかなか考えがまとまらないというのが正直なところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/71
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072・峰崎直樹
○峰崎直樹君 与謝野大臣はどんなふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/72
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073・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 恐らく私は、谷垣さんと唯一違うところはやはり法人税、法人の所得も重要な税源として残っているだろうと思っております。
付加価値に着目した消費税というのは恐らく五十年後も重要な役割を果たしていると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/73
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074・峰崎直樹
○峰崎直樹君 ちょっとくだらないやや質問だったんですけれども、恐らく歴史が後で振り返って、あの当時はこういうことを考えていたんだなというふうになるのかもしれません。
実は、もうあと二分で私の時間が来ますんですが、本来、後の税法のところで議論すればいいんですけれども、今年から実は公示制度、要するに高額所得者の番付表が出なくなると。この間、お金持ちの研究という、橘木さんと一緒にやられた森さんという方にちょっと来ていただいて勉強会をやったんですけれどもね、これがなくなると引き続き調査をするのに実に困るねという話なんですよね。
要するに、格差社会だとか何とかと言われているときに、確かに弊害として、個人情報保護法だとかあるいは高額所得者だからということで、そういうことが分からないわけじゃないんですけれども、何となく、いや、ますます高額所得者の実態を分からなくさしてしまうんじゃないかと。そういう意味で、ただ何といいましょうか、元へ戻せというふうに私は言わない、言うつもりはないんですが、少なくとも職種別にとか、あるいは、いずれにせよ、その高額所得者の情報は少なくともきちんと開示してもらいたいなと。そして、いわゆる日本におけるリッチ、スーパーリッチの研究というか、そういうものにそごがないように是非お願いをしたいなというふうに思っております。
この点、財務大臣、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/74
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075・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の点は、従来、番付を発表したときにいろいろ嫌がらせを受けたとか、そういう苦情がたくさんあったのは事実でございまして、今回こういうようなことをさせていただきました。今後、今おっしゃったような点を、統計とかですね、そういうものでどうできるのか、私どもも少し研究してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/75
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076・峰崎直樹
○峰崎直樹君 今、定足数達していますか。切ってる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/76
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077・池口修次
○委員長(池口修次君) 行っていますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/77
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078・峰崎直樹
○峰崎直樹君 大丈夫。ちょっと、定足数が足りないとなかなか、本来、質問に立てないとかということもあるので……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/78
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079・池口修次
○委員長(池口修次君) 呼んでもらっていますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/79
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080・峰崎直樹
○峰崎直樹君 呼んでもらっている。どうしましょうか。いいですか、続けさせていただいていいですか。いや、本来は続けられないんですけど、もうあと私の時間ないんで。
最後に、これ、先ほどのその日興コーディアルのベル24の件なんですが、先ほどおっしゃられた、私がこう発言したことがそれぞれの部署できちっと見てると、こういうお話があったんですが、私、前回、二月三日のときに参考人の招致をお願いしたんです。で、いつも逮捕された後、事件が終わって逮捕された後になると、いや、司直の手に掛かっているからもう駄目だということなんで、できれば私は、先ほどちょっともう中途半端に終わりましたけれども、会計基準の解釈の仕方とか、そういうところを是非議論してみたい。そういう意味で、奥山理事長ですか、公認会計士協会じゃないです、もう既に。中央青山の理事長さん、それからもう一人は有村社長さんですか、改めて参考人として是非招致したいなと。取り計らいをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/80
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081・池口修次
○委員長(池口修次君) この件については、後ほど理事会で協議をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/81
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082・峰崎直樹
○峰崎直樹君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/82
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083・前川清成
○前川清成君 民主党の前川清成でございます。
今日は、財政金融委員会の皆さん方の御好意でこの委員会で質問をさしていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、昭和五十六年から五十七年にかけてサラ金地獄という言葉が人口に膾炙をいたしました。夜逃げ、自殺、無理心中、日本じゅうが塗炭の苦しみを味わいました。そこで、高金利、違法な取立て、過剰貸付け、このサラ金三悪から国民を守るために貸金業規制法が制定され、当時の大蔵省にサラ金に対する監督権限が付与されました。大蔵省からの分離によって今現在は金融庁がサラ金に対する監督権限を有しておられますが、この貸金業規制法の制定の経緯あるいは制定の趣旨については与謝野大臣も同様にお考えいただいていると聞いてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/83
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084・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 貸金業規制法は、昭和五十八年、貸金業の業務の運営がいわゆるサラ金問題を中心に大きな社会問題になりまして、社会に重大な影響を及ぼしていた状況を背景に、議員立法により制定されたわけでございます。
この法律の趣旨は、貸金業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うなどにより、その業務の適正な運営を確保し、もって資金需要者の利益の保護を図るとともに、国民経済の適正な運営に資すると、こういう趣旨であったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/84
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085・前川清成
○前川清成君 大臣、今、私、時間を省略させていただきたいと思って私の方から趣旨を申し上げたんです。私の申し上げたことと大臣のお答えになったことは同じとお聞きしていいですね。大臣は資金需要者と分かりにくい日本語をお使いになられましたけれども、これはお金を借りる人、消費者、消費者を守るためにサラ金を規制すると、で、監督権限を金融庁に与えると、こういうことだと思うんですが、この監督権限、金融庁は実はほとんど行使しておられません。平成十六年度一年間に一万八千四百三十四件の苦情や相談が各地の財務省に寄せられています。しかし、この苦情や相談に基づいて財務省の処分はわずかに八件です。率にして〇・〇四三%。どうしてかくも苦情や相談の件数に比べて行政処分の件数が少ないのか、その少ない理由について与謝野大臣にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/85
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086・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 貸金業者に対する行政処分は、苦情相談等のほか、立入検査や報告徴収を含めた様々な手段により事実関係を把握した上で行われており、また苦情相談等の内容には様々なものがあることから、金融庁としては苦情相談等の件数と行政処分の件数を単純に比較することは適当でないと考えております。
いずれにいたしましても、当局としては、引き続き貸金業規制法等に基づき、厳正かつ適切に貸金業者の監督に当たってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/86
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087・前川清成
○前川清成君 今大臣がおっしゃった、苦情や相談には様々な種類のものがあると、こうおっしゃいました。それはどういう御趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/87
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088・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 十六年度に財務局が受けました一万八千件の苦情相談については、分類をいたしますと、一つは無登録業者及び都道府県登録業者にかかわる苦情、第二は業者名を特定しない債務整理についての相談等も含まれておりまして、一万八千件がすべて財務局登録業者に対する苦情というわけではございません。
また、財務局としては苦情の多い業者についてモニタリングの対象とする等、適切な実態把握と厳正な監督に努めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/88
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089・前川清成
○前川清成君 大臣ともう少し実りある議論ができるかなと思って今日は楽しみにしてたんですけど、ちょっとその紙頼みではですね。
大臣、その一万八千件のうちに、実質的な苦情や相談でないのがあると、こうおっしゃいました、今。どれぐらいあるんですか。そこもおっしゃっていただかないと、一万八千件も苦情や相談が寄せられてて、わずかに八件しか処分してないと。それを、金融庁としては少ないとは思っていないということの合理的な根拠にはならないと思うんです。一万八千件もサラ金に関する、高利貸しに関する苦情が寄せられてて、わずか八件なんです。それこそ、先ほど峰崎委員の方から何かなあなあがあるんじゃないか、そういうふうにありましたけれども、これもそう疑わざるを得ないんですが、その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/89
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090・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 苦情等の件数は、例えば平成十五年度は一万六千件、そのうち無登録業者にかかわるものは三千六百件、それから十六年になりますと一万八千件を苦情件数は超えますが、そのうち無登録業者にかかわるものは七千件近いと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/90
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091・前川清成
○前川清成君 大臣、是非、私、一年生議員でして、今日は大臣に教えを請うつもりで質問をさせていただいておるんです。大臣が一万八千件のうち三千件は無登録の業者に関する苦情だったと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/91
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092・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 七千件ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/92
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093・前川清成
○前川清成君 七千件。七千件が無登録の業者に関する相談だったと、こうおっしゃいました。七千件が無登録の業者だったら、どうして処分が少なくなるのか。それは確かに行政処分は少なくなります。そこから先、金融庁が国民を守るためにどのような御尽力をされているのか、この点について全然言及されないのは私は残念に思うんです。
具体的な例を一つお示しいたしたいと思います。
大臣は、一万八千件に比べて行政処分八件、必ずしも少なくないんだと、こういうふうにおっしゃいました。しかし、このような驚くような例もあります。大阪高等裁判所の平成十一年十月二十六日の判決は、アイフルの従業員が取立てに当たって債務者に暴行を加えたことを認定した上で、アイフルに対して三十五万円の損害賠償を命じました。取立てに当たって債務者を殴ったと、こういうことです。そして、アイフルはこの判決を不服として上告することもなく、確定しています。この事件はあのNHKの特集にあった宇都宮弁護士の「消費者金融」という岩波新書でも紹介をされています。
宇都宮弁護士が非人間的な取立てと、そこまで言い切ったこのアイフルの暴行事件、金融庁は何か処分をされたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/93
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094・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 御指摘のアイフルの問題でございますか、これは近畿財務局は貸金業規制法に基づく行政処分を行っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/94
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095・前川清成
○前川清成君 取立てに当たって債務者を殴ると、そのような明らかな不法行為が行われたにもかかわらず、どうして行政処分を行わないのか、貸金業規制法二十一条の解釈としてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/95
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096・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 行政処分を行っていない個別の事案に対する対応については、従来から答弁を差し控えさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/96
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097・前川清成
○前川清成君 ですから、私は、貸金業規制法二十一条の解釈をお答えいただきたいと、こういうふうに申し上げています。貸金業規制法の二十一条の一項は、取立てに当たって人を威迫しあるいは私生活若しくは業務の平穏を害するような言動があったときは、登録取消し等の行政処分を科すると、このように明言をしています。取立てに当たってサラ金が消費者を殴っても、これは貸金業規制法二十一条の今申し上げた構成要件には当たらないというのが金融担当大臣の御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/97
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098・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 貸金業者ないしその従業員が取立て行為を行う際に際して、債務者に対して暴行、脅迫を加えた場合を含め、どのような場合が業務停止等の行政処分の対象となるかどうかは、具体的事案における行為の内容、態様等を総合的に勘案して判断されることとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/98
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099・前川清成
○前川清成君 ライブドアがニッポン放送株を時間外で大量に取得しました。そのときに当時の伊藤大臣はわざわざ、裁判官でもないのに、これは適法ですというふうにコメントされました。ライブドアという個別の当事者に関して、ニッポン放送株の購入という具体的な取引に関して適法、違法という判断を当時の伊藤大臣はお示しになりました。この事件でお答えになれなくて、どうしてライブドア事件はお答えになったのか。
もしも今このアイフルの事件についてはお答えできないと、こうおっしゃるのであれば、まず最初には、なぜ個別事件についてはお答えいただけないのか。二番目には、そのお答えできない、お答えいただけない個別事件と、お答えいただける一般論との間の明確なメルクマールをお示しいただきたいと思います。政府にとって都合が悪い、だからこれは個別事件だと、そういう理由で答えない、こんなことが認められたら私は議会制民主主義なんか成り立たなくなってしまうと、そう思うんです。ですから、この点、是非、何がお答えいただける一般論で、何がお答えいただけない個別事件なのか、明確にメルクマールをお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/99
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100・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) それぞれ行政処分の対象とするかどうかは、それぞれ事案にかんがみて判断をいたします。それは真剣な作業をやりますけれども、行政処分をしなかった場合についてその理由を明らかにするということは従来しておりません。それは相手も社会的存在でございますし、それぞれ社会の中で生きていくための立場もあり、利害関係もあり、信用もあり、名誉もありということで、その点は是非理解をしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/100
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101・前川清成
○前川清成君 大臣、質問にお答えいただいてません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/101
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102・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) まず、伊藤大臣がああいう答弁あるいは記者会見でのお答えをしたのは具体的事案に触れているではないかという御指摘でございます。これは、私、何回も国会で答弁さしていただいておりますが、伊藤大臣の答弁を精査してみますと、やはり一般的なケース、一般論を述べられたものと私は判断をしております。
そこで、委員の御指摘は、伊藤大臣は個別事案について触れたんであるから与謝野も個別事案について答弁をしろと、こういうことであったらちょっとそれはできないと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/102
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103・前川清成
○前川清成君 いや、大臣、そうじゃなくて、今、大臣自らおっしゃいました。伊藤大臣の答弁を精査してみたら、それは個別的な案件についてコメントしたのではなく一般論を述べたにすぎないんだと、だから構わないんだと、今大臣おっしゃいました。だから、私は、個別事件というのはどういう事件を言うんですか、一般論というのはどういうことを言うんですか、個別事件と一般事件、どこで区別するんですか、その判断のメルクマールをお示しくださいと、こう申し上げている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/103
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104・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 個別事案というのは、具体的事案が存在をしていて、その事実関係もあるという話。それから、一般論というのは、ある条文の解釈について、ある仮定を設けた一般的な解釈論だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/104
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105・前川清成
○前川清成君 私たちの生活というのは個々のささいな出来事の積み重ねですので、この国会の議論も個別具体論はやらないというふうにやってしまったら非常に味気ない抽象的な空中戦になってしまうと思うんです。しかし、ここは時間がありませんので、大臣と水掛け論をやっても仕方ありませんので、是非私の申し上げたこと、お心にも留めていただきたいと思います。
それで、大臣の方から今一般的な条文の解釈だったら一般論なんだと、こういうふうなお答えがありましたので、もう一度お尋ねいたします。
サラ金が取立てに当たって債務者を殴ると、これは、しかしこの場合に、サラ金が取立てに当たって債務者を殴る、この場合には行政処分は科せられるんですか、科せられないんですか。アイフルは科せられませんでした。武富士だったらどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/105
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106・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) いわゆるサラ金からお金を借りようが銀行からお金を借りようが、これは言わば消費貸借契約という民事上の問題でございまして、その取立てに当たって暴行、脅迫等々、社会で違法とされている手段を使うということは、どの契約であっても許されないことであるというのはもう先生御承知のとおりでございまして、この場合でも一般的な債権を取り立てるときにそんな違法な手段は取れるはずもないですし、また仮にサラ金業者がそのような挙に及んだときには、高い違法性を持つ行為でございまして、その場合には当然その程度のひどさによっては行政処分の対象になる、あるいは刑事罰の対象になる、これはもう当然のことだろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/106
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107・前川清成
○前川清成君 私が冒頭わざわざ昭和五十六年から五十七年にかけてのサラ金三悪について言及したのは、意味のないことではなかったんですね。銀行法で、あるいは銀行業法で、銀行員は取立てに当たって債務者を殴ってはあきませんと、こんなことわざわざ触れてないですよね。でも、貸金業規制法二十一条にはわざわざ書いてあるんです。この貸金業規制法に基づく当時の大蔵省銀行局の通達によると、例えば免許証を取り上げたらあかんとか健康保険証を取り上げたらあかんとか、あるいは金を借りてない本人以外の人に対して取立てを行ってはいけませんよと、極めて具体的な禁止事例が挙げられておる。なぜこんな具体的な禁止事例が挙げられているか。五十六年から五十七年にかけてサラ金が正にこんな取立て行為を繰り返してきたからです。そうでしょう。だから、今の大臣がおっしゃるように、銀行であろうとサラ金であろうと殴ったらあかんのは当たり前ですからと言われても、それは一般論としてはそうですけれども、金融担当大臣のお言葉としてはやっぱりこのサラ金問題の歴史的な経緯というのを十分に御認識いただいてないような気が私はいたします。
それで、次の質問に進めさせていただきたいんですけれども、サラ金からの平均借入額、これが一債務者当たり幾らかということを──ちょっと後ろの役人、ちょろちょろせぬでええねん。昨日、質問取りのときに聞いたら、そんなこと調べてるはずがありませんよというようなお答えでした。ところが、金融庁は調べていらっしゃらないということですが、全く国会議員でありますので特別な証拠収集手段を持たない私でさえ容易に調べることができました。消費者金融白書というのが日本消費者金融協会から発行されています。それの平成十六年度版によれば、消費者は平均して三・三社のサラ金を利用して、平均利用年数は六・五年、平均借入金額は百四十五万円、こういうふうに整理されています。ですから、私はもうサラ金というのは、短期小口の資金需要に応じている、そういう存在とは言えないんじゃないかな、こんなふうに思っています。
それで、今日お配りした表を恐縮ですがお目通しいただきたいんですが、この平均借入額である百四十五万円に現在の出資法の上限金利であります二九・二%の金利が付きますと、年間で利払いだけで四十二万五百円、月にしますと三万五千四十二円になります。その平均である百四十五万円を借りて二九・二%の金利を支払ったならば、毎月毎月三万五千四十二円支払ってても元金は一円も減らないと、こういうことであります。
これも昨日質問取りの役所の方に、年収三百万円の方、恐らくサラ金を利用するのは年収三百万円あるいは三百万円以下の方が多いと思いますので、年収三百万円の人が頑張ってサラ金に返済できる金額は幾らぐらいですかと、こういうふうに聞いたら、これもやっぱりそんなの調べられるはずありませんよというようなお答えでした。しかし、これについても総務省が家計調査というのをやっています。この表に書き込ませていただきました。総務省の家計調査年報の二人以上の世帯に関する第四表というのがあります。これによりますと、年収二百五十万円から三百万円の世帯にあっては、返済可能額、手取りの収入から、給与から税金や社会保険料支払って、家賃を払って食費を払って最後に残ったお金、この返済可能額は一万九千七百二十八円、年収三百万円から三百五十万の御家庭にあっては毎月二万六千百八十円です。といいますと、総務省の調査、そしてサラ金業界の調査を前提にいたしますと、平均的な借入金額百四十五万円を借りて二九・二%の金利を支払ったならば、年収三百五十万以下の御家庭にあっては永遠にサラ金からの借入れを完済することができないということになってしまいます。ですから、その消費者金融白書によりますと、十年以上借り続けている方がおよそ三割いらっしゃることになっています。
そこで大臣、この点をお伺いしたいんですが、金融庁は昨日、サラ金の平均的な借入額も、サラ金からの平均的な借入額も年収三百万円の御家庭の返済可能額も調べてないと、こういうふうなお答えでしたけれども、やっぱりそのサラ金、消費者金融業者の監督官庁であれば、その営業の実態というのをまず第一に詳しく把握する必要があるのではないかと思っているんです。個別具体的なことはやらないと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、やっぱり現実に市民が、生活者が、消費者がどういうふうな生活を送っているのか、これを知ることが政治の第一歩ではないかと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/107
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108・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 平均借入額につきましては、消費者金融連絡会に加入している大手五社の顧客一口座当たりの平均借入残高は、平成十七年三月末においては五十五万九千円と承知をしております。消費者金融連絡会に加入している五社というのは、武富士、アコム、プロミス、アイフル、三洋信販でございます。
また、消費者金融業者から借入れに関する資金需要者の返済可能額については、当該資金需要者の年収のみならず、保有資産、家族構成、生活実態、金利などの貸付けの条件にもよりますんで、一概に判断することは困難であると思っております。
いずれにいたしましても、資金需要者の借入れが過剰なものとなることを防止するためには、一つは資金需要者が節度ある借入れをすることはもちろんでございますけれども、貸金業者の方も顧客の資力、信用、借入れの状況、返済計画等について調査し、顧客の返済能力の範囲内で貸付けを行うことが重要であると考えておりまして、当局としては引き続き貸金業者に対する適切な指導に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/108
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109・前川清成
○前川清成君 その消費者金融連絡会というのはどういう団体なのか、大臣、御存じだと思いますけど、ただ一点、抗議しておきます。
昨日の夕方の質問取りの段階で、調べてないっておっしゃったんでしょう。だから、僕はそのことを前提に今日の質問構成したんですよ。調べておられるんなら幾らですかって聞きますよ。それが一晩明けて、質問者である私に何の連絡もないまま、消費者金融連絡会、要するに武富士、アコム、アイフル、大手五社、この統計資料によると幾ら幾らですと。これはやり方として、大臣に申し上げてるんじゃないんです、大臣はお答えいただかなくて結構です。役人のやり方、質問取りのやり方、汚くないですか。そういうやり方をされるのであれば、これからもう我々は質問取り応じませんよ。どういうことですか、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/109
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110・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) これは、各社の有価証券報告書を一つずつ調べてまいりまして、それで平均を出したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/110
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111・前川清成
○前川清成君 私は大臣にそこを答えてくれと言ってるんじゃなくて、昨日の四時三十分の段階で、いや、申し訳ありませんと、そんなん調べてません、統計ありませんとおっしゃったでしょう。奈良井さん、今いてるの、言うたでしょう。それを一晩明けて、質問者である私に何の通告もなく、やり方汚いですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/111
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112・池口修次
○委員長(池口修次君) この件につきましては、後ほど理事会で協議をさせていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/112
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113・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 業界全体について統計はないというのは今でも同じでございますが、御質問がそういうことであるということで、いろいろ手持ちの資料の中から大手五社の顧客の一口座当たりの残高を計算して、今日用意したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/113
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114・前川清成
○前川清成君 大臣は、今、サラ金の調達金利がどの程度か御存じでしょうか。今大臣がおっしゃった消費者金融連絡会のホームページによりますと、アコムは一・六一%、アイフルは一・六七%、プロミスは一・七四%、この調達金利で融資資金を調達してきます。それを二九・二%で貸す。その差額が粗利になるわけです。こんだけ、私にとりましては物すごい暴利だなと、アンバランスだなと。
一・六%で仕入れてきたやつを二九・二%で売るわけですから、物すごいアンバランスだなと私は思うんですけれども、貸金業界の中には、金利を自由化しなさいと、すなわち、出資法上の上限金利を撤廃して天井なしで金を貸せと、こういうふうな主張があるらしいんです。そして驚くべきことに、その主張に呼応する議員連盟ができたとかできてないとか、こんなふうに聞いているんです。大臣は、その議員連盟の動きについて御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/114
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115・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 何か超党派で議員連盟をつくろうという動きがあるということは聞いておりますけれども、やはり私は、出資法とか貸金業法というものの上限金利というのは極めて社会的に重要な上限であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/115
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116・前川清成
○前川清成君 私も大臣のおっしゃるとおり、この上限を設けておくというのは極めて大事なことだと思っています。
一部自由論者の方は、自由にすれば競争によってどんどん金利は下がっていくんだと、こういうふうにおっしゃいます。しかし、今金利は幾ら下げるのは自由なんですね。下限については制限がないわけです。だから、どんどん競争すればいいわけです。しかし、競争は行われていない。むしろ、上限がなければどうなるか、このことを是非大臣と一緒に考えさせていただきたいんですが。
大阪の八尾市で、お年寄り三人がやみ金から一万五千円を借りた。しかし、取立てが続いて、線路を枕に心中をなさったと、こういう事件がありました。つい先日、ようやくその犯人らが逮捕されました。大臣におかれましては、このお三人の無念さ、お察しいただけるかと思うんですけれども、上限金利の規制が仮になくなってしまったならば、この三人のお年寄りを心中に追い詰めたやみ金グループ、逮捕することは可能かどうか、大臣の御所見お伺いしたいんですけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/116
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117・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 出資法も上限金利を設けておりますし、また貸金業法を作りますときも、まあグレーゾーンは残っておりますけれども、上限金利という考え方を取り入れました。
これは、上限金利を取り払えば金利が下がっていくというのは、そんなはずもなくて、借りる方は当然立場が弱いですから、幾らの金利を定められてもお金が必要だというそういう状況の中で非常に非常識な契約というものが結ばれる可能性の方が高いと私は思っておりまして、やはりこういう上限金利を設け、私はその上限金利は随分高いなと思いますけれども、それでも一定の範囲内での契約、金銭の消費貸借契約が結ばれるというこの制度というのは極めて重要な制度だと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/117
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118・前川清成
○前川清成君 実は、今やみ金と言われている業者もほとんどは登録業者なんです。なぜ登録業者か。金融庁に監督してほしいからじゃなくて、登録がないとスポーツ新聞等に広告が載せられないから。ですから、やみ金を無登録で捕まえることはできないというのが実態なんですね。
上限金利の規制を仮に撤廃してしまいますと、無登録では捕まえることはできない、上限金利違反で捕まえることもできない。結局、八尾の三人を心中に追い詰めたやみ金グループについて、その規制する手段が私はなくなってしまう、そういうふうに思います。社会的な事実としては、やみ金が三人のお年寄りを殺したんじゃないかと、こう言うかもしれませんが、刑法の構成要件的には、それは殺したというふうに評価できませんので、やはりこの上限金利の規制というのは、大臣もおっしゃっていただいたとおり、極めて重要な社会的な規制だと思っています。
それで、実際にいわゆる自由化の波に乗って上限金利を撤廃した国があります。それが韓国です。その点について金融庁に答えていただけることになっているんですが、大臣、よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/118
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119・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 韓国について調べておけという先生の御指摘でございましたので、韓国においては、一九九八年、利子制限法が廃止されまして、上限金利規制、これは年二五%、廃止の二か月前四〇%、これが撤廃をされまして、二〇〇二年に再び上限金利規制、すなわち年六六%が導入されたと承知をしております。
金利規制が撤廃された背景としては、通貨・金融危機を韓国が経験したときにIMF主導で高金利政策が取られたためと言われております。また、二〇〇二年に再び上限金利規制が導入された理由としては、上限金利規制の撤廃等によりまして、暴利的な利息を取る貸金業者等が大変増加をしまして、社会問題化したことなどが指摘をされております。
諸外国による貸金業制度等については十分に参考にすべきものと考えておりますが、その際は、やはり各国のそれぞれの事情も考える必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/119
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120・前川清成
○前川清成君 韓国の経緯については今大臣がお答えいただいたとおりなんですけども、私は賢明な大臣に是非御認識いただきたかったのは、IMFの指導に従って金利の上限を撤廃した結果、韓国の庶民がどういう目に遭ったか。高利貸しが合法的に許された、それによってどのような違法な取立てが行われたのか。心中があって、自殺があって、そして町に浮浪者があふれる、そういう事態を正に引き起こしたその負の一面について是非大臣に御認識いただきたいと思いまして、あえて失礼ながらこの質問をさせていただいたんです。その点について今大臣のお言葉にはなかったんですが、是非この点、また何らかの機会に資料等お読みいただくようにお願い申し上げたいと思います。
時間がありませんので、ちょっと次の質問に進ませていただきたいんですが、事業を起こされた方が、商売がだんだん大きくなるにつれて、その取引する金融機関も信組、信金、地銀、都市銀行と変化されていきます。企業側にとって、当初の段階にとっては信組や信金というのは大事なパートナーであります。その信組や信金が一時期倒産が相次ぎましたけれども、現在、信組、信金の経営は安定していると、こういうふうにお伺いしてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/120
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121・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 信金、信組も、経営は大分良くなってまいったと思いますが、それは主要行に比べますと中小企業、零細企業にもたくさん貸しておりますので、そういう意味では主要行のところまではもちろん行っておりませんが、自己資本比率の推移を見ましても地域銀行は大体九%、信用金庫は一一%、信用組合は九%と、少しずつですが安定した状況になってきていると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/121
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122・前川清成
○前川清成君 当面、信組や信金の倒産はないというふうに承ってよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/122
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123・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 全く御心配なく考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/123
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124・前川清成
○前川清成君 それで、郵便局が民営化をされました。民営化されました結果、例えば郵便局が住宅ローンでありますとか年金の受取とか、あるいは中小零細事業者に対する事業資金の貸付けとか、これまで信組や信金が担っていた業務に進出するんじゃないかなと、そうなると信組や信金の経営を圧迫するんじゃないかなと、私はそんなふうな心配をしています。
そんな心配はないのかどうか、そして民営化された郵便局と信組や信金が裸で競争してもいいのかどうか、この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/124
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125・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 今郵便局が持っている資金量は大体二百二十兆、半分は国債等々で使ってしまっておりますから、郵便銀行を始めるときには恐らく郵便局の資金量は百五十兆ぐらいまでは落ちてくるだろうと言っておりますから、それでも銀行をスタートするときに三十五兆のお金がある、貸出し可能なお金がある。
三十五兆のお金というのはそう生易しいお金ではなくて、地銀が持っているお金の総額と一緒でございまして、そういうものが新たに金融の世界に貸出しとして入ってくるというのは、これは物すごい影響があると思います。ましてや、郵便局のネットワークは全国二万五千あるわけですから、情報量、それから地域との密着度とか、そういう点では大変優れた組織でございます。
そういう意味では、私は郵便銀行が業務を開始するに当たっては、余り力を背景に強引なことをやって、地域で営々と育ってきた信用金庫、信用組合あるいは地銀の分野を力任せで侵食していくというのは好ましくない、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/125
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126・前川清成
○前川清成君 投資サービス法、いわゆる金融商品取引法がこの国会に提出されるに至りました。技術的な事項ではなくて、基本的な考え方について大臣に一、二点お伺いしたいと思っているんです。まずは最初、不招請勧誘についてです。
不招請勧誘という言葉をお聞きになって、恐らく、私もそうでしたけれども、大臣も何のことかお分かりにならなかったかと思うんですが、大臣、いかがでしたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/126
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127・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 私の事務所、自宅にも電話が掛かってきて、与謝野馨さんですかなんていう話で、私の知り合いかなと思いましたら、何かどっかにマンションがある、金融のいい商品があるとかってそう言うんで、これは招かざる客という意味では、もう言葉としては直ちに、直観的に分かります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/127
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128・前川清成
○前川清成君 非常にいい大臣を持って私たち国民は幸せだと思います。大臣のところにそういう勧誘の電話が掛かってくるだろうとは思ってもいませんでした。
それで、要は、今大臣にお答えいただきました。何の断りもなく、こちらの都合も聞かず突然電話を掛けてくると。で、言葉巧みに金融商品を勧める。リスクも十分に説明しない。その結果、高齢者等がとらの子を失うというような悲劇が相次いでいます。ですから、ややこしい言葉ですが不招請勧誘、これが世界の各国で、いわゆる先進国と言われる国々ではどこでも法制度として取り入れられています。
今度の金融商品取引法も第三十八条の三号で掲げられていますが、内閣府令と政令で残念ながらほとんど骨抜きにされてしまっているんじゃないかなと思うんです。今、大臣がお答えいただいたように、この不招請勧誘というのは大切な制度だと私は思うんですが、結局、金融商品取引法三十八条で禁止されるのは一つの取引だけですよね。わずか一種類の、今大臣がおっしゃったマンションどうですかとか、それは含まれない。その点について、大臣、どのように御認識なさっていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/128
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129・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 多分、先生は為替の先物取引のみしか規制されていないじゃないかということを言っておられると思いますが、これはおいおいいろんなことを整備していかなきゃいけないと私は思っておりますが、これだけに限定したものではないと私は解釈をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/129
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130・前川清成
○前川清成君 今の大臣の御発言は、今回提出された三十八条の三号は政令で定めるとなっているんですね、不招請勧誘はしたら駄目ですよと。どういうものかは政令で定めるとなっているんですが、大臣、今のお答えは政令で広く適用範囲をお決めいただくということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/130
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131・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 先ほど申し上げましたように、検討しなきゃいけないということは、要するに金融商品取引法の不招請勧誘の禁止規定対象に追加すべき取引類型が生じた場合には政令において対応できるような、そういう立法上の制度設計になっております。
要するに、基本は、投資家を保護するという基本の概念から出発している考え方であるというふうに我々は理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/131
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132・前川清成
○前川清成君 アメリカでは、ブッシュ大統領の英断で不招請勧誘が広く法制度として採用されるに至りました。ドゥー・ノット・コールといいまして、私のところには勧誘の電話を掛けないでくださいねと、こういうふうに届け出ておきますと、業者は電話を掛けてはいけない。もし掛けると、それは罰金を取られてしまう、こういう制度がアメリカででき上がりました。アメリカでも営業の自由との間で問題があるんじゃないかなというふうに議論がありましたけれども、嫌やとあらかじめ言うている人のところにまで押し掛けて営業するまでの営業の自由はないだろうということで、この不招請勧誘は商品の種類を問わず広く認められています。
大臣、私は、本来はこれぐらい広い不招請勧誘を認めておかないと、どんどん高齢化が進展していきます。また、リスクについて非常に高い商品、説明が難しい商品も出てきます。知らなかったばっかりにとらの子の預金を失って老後路頭に迷うと、こういうことのないように、この不招請勧誘の制度を広く制度として定着させる必要があるんじゃないかなと。
もし、リスクの高い商品に挑戦してみたいという人は自分で調べて、あるいは本を読んで、それから自分で証券会社へ買いに行くと。だから、そんな人たちはリスクを十分認識しているから問題はないんです。いきなり何の断りもなくテレビ見ていたら電話掛かってきて、言葉巧みにうんうんと言われて判こ押してしまった、これが危ないわけです。
ですから、この不招請勧誘についてもっと広く認めるべきではないかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/132
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133・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 多分、私のところに掛かってくる電話も、ただ電話帳に載っているやつを上から下にずっと掛けていくような大変不愉快な電話で、電話を切るときにはかなり向こうが嫌みを言ったりという、まあとんでもないことだなと思っておりまして、こういうものをどうやって規制していくかというのはこれから考えていかなきゃいけないことの一つでございまして、外為の先物、為替の先物等、もうやり方、やり口が分かっているようなものに関しましては禁止をしてまいりますし、これからいろんな商品あるいは会員権等の勧誘が電話を通じてなされ、それが投資家に大変なリスクを負わせるというようなものについてはいろんな類型が出てくると思います。そういうものは政令で次々と追加をしていくと、こういう作業が必要になってくると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/133
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134・前川清成
○前川清成君 最後に、もう一点だけお尋ねをさせていただきます。
今度の金融商品取引法の二条二十四項の四号では、先物取引がこの金融商品取引法の適用範囲から除外されることになります。その金融商品取引法の提出の理由としては、横断的にあらゆる金融商品について同等の保護を与えるためにこの法律を作ったんだというふうに書かれているにもかかわらず、先物取引という非常に大きな部分がすぽっと抜けてしまうんです。
この点について大臣の御見解をお聞きし、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/134
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135・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 元々、先方様に法律があって、すぽっと抜けているわけではなくて、それをこちらに取り込むということも難しいわけでございますので、こちらと同じ規定を設けてくださいと、こういうことで、商品の保護の法律はこちらの法律と同じ、同趣旨の規定を設けていただくということで政府内での話合いができたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/135
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136・前川清成
○前川清成君 終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/136
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137・岩井國臣
○岩井國臣君 先週の予算委員会でも指摘させていただきましたけれども、デフレ脱却を確実なものにして国の債務負担を軽減していくには、私は、今こそ積極的な財政運営、イメージとしては公共投資というものをイメージしておりますが、そういう積極的な財政運営で経済成長を促す必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
十八年度末の普通国債残高見込みは五百四十二兆円、これは一般会計税収の十二か年分に相当します。地方の長期債務残高なども含めますと、先ほども出ておりましたけど、七百七十五兆円と、対GDP比で実に一五〇%。世界にこういう国はないわけでございまして、これはもう大変なことだと、そういうことになっておるわけであります。財務省は将来の増税やむなしという世論に一生懸命訴えておられるわけでありますが、しかしながら、増税などそう簡単にできるわけがないんじゃないかと私は思うんですね。
私は、地方消費税、地方ですよ、地方消費税、必要だと思っておりますし、それから相続税などの税制改革、税制改革いろんな面で総合的にやらなければならないと思いますが、しかし増税についてはよほど慎重でなければならないものであろうというふうに考えております。危機感をあおり過ぎて、またぞろ日本の国債の格付が下がらないとも限らない。財務省は日本の国債格付でヒヤリ・ハットを起こしたことがあるわけですよね。
財政危機の原因は無駄な公共事業ということになっておりますけれども、私はそれは間違いであると、この前の予算委員会でも指摘いたしました。財務大臣はそれを当然お認めになりました。私の考えでは、公共事業は多分、財政再建の救いの神になるんじゃないかというふうに思っているんです。そこが財務大臣とは考えが違いますよね。今後、おいおいにその話をしていきますけれども、取りあえずは国の財政のバランスシート、貸借対照表を取り上げたいと思います。
国の財政状況については、保有している金融資産等を差し引いた、先ほども出ておりましたけど、純債務で見るべきだ。むしろ国際的にはこれは常識になっておるのではないんでしょうか。純債務で見れば債務の対GDP比は実質五〇%程度であって、ヨーロッパ並みだと思います。日本の財政は決して危機的状況ではない、そう言う識者も、私もそう思っておりますが、そう言う識者もおられるわけであります。五〇%という数字はまあともかく、ちょっと横に置いていただいて結構ですが、日本の財政は決して危機的状況ではない。だから、日本の国債は何の問題もなく取引されているのではありませんか。昨年十二月十四日の産経新聞に載っておりましたが、小泉総理の恩師、加藤寛先生も、純債務は二百五十兆円程度であるから財政危機をあおるべきではないというふうなことを述べておられたようであります。
そこで、財務大臣にお聞きするわけでありますが、財政状況を純債務で見れば財政危機とまでは言えないとのそういった意見、私もそういう意見でありますが、そういう意見について、識者にそういう意見いろいろあるわけでありますけど、そういう意見につきまして財務大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/137
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138・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、岩井先生おっしゃった、純債務で見るべきか、それともグロスで見るべきかというのは、いろいろ今までも意見があったことは私も承知しております。
それで、OECD発表の数値によりますと、二〇〇四年末の日本の総債務、グロスの残高がGDP比約一六〇%とされておりますが、そこから政府の持っている金融資産を差し引いた純債務残高、ネットで見ますとGDP比約八〇%となっていて、それによれば我が国の財政状況は危機的とは言えないのではないかという議論がしばしばあるわけですね。
それで、ただ、このネット債務残高の計算に当たっては、年金積立金についても政府の保有する金融資産として差し引かれているというふうに承知しております。これは我が国では、完全な賦課方式によって公的年金を運営している国々ではそういう形で見てもいいんだろうと思いますが、我が国の場合は政府が将来の年金給付のために保険料を財源とした年金積立金、これはGDP比で約四割になるんですが、これを持っております。これは将来の年金給付のために取り崩すことが決まっているものでございますから、これは国債や地方債の償還あるいは利払いの財源として使ってしまうことはできないものではないかと、当然そう考えております。したがって、これらを差し引いたネット債務残高によって国債や地方債といった債務の履行能力を判断することは私は問題があると思っております。ですから、日本の債務残高はネットで見ればまだ小さいという楽観論によることはできないのではないかと。
それから、欧州でもEUに参加する、通貨統合に参加するための財政基準というのを決めておりますが、これはGDP比三%、債務残高GDP比六〇%、これが参加のための基準だということになっておりますが、これは、債務残高は欧州でもグロスで見るということにされているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/138
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139・岩井國臣
○岩井國臣君 ところで、財務省自身、貸借対照表を作成し、公表しておられますね。それによりますと、十五年度末でマイナス二百四十五兆円。財務省が宣伝しておられる普通国債残高が五百四十二兆円と比べると、かなり違う印象を受けるわけであります。しかし、まあマイナスはマイナスですよね。
ところが、ところがですよ、内閣府の国民経済計算書、これはまあ経済企画庁の時代からずっとやっておるわけでありますが、これは国際標準になっているんじゃないかと思いますけれども、それによりますと、地方政府を含む国全体で、負債を差し引いた正味資産は十五年度末で八十兆円とされております。マイナスではなくってプラスなんですね。正味財産が残っておる。財務省の貸借対照表とは全く違います。
そこで、貸借対照表の中身をよく分析してみたいわけであります。負債が相当あるということになっておりますが、本当にそうなのか。企業会計の考え方を入れるのも良いんですが、例えば、すぐに支払義務が発生するわけではない、例えて言いますと郵政公社等からの預託金百六十三兆円、保険特別会計の責任準備金九兆円、公的年金預り金百四十三兆円、退職給付引当金十六兆円といったものが負債に計上されております。これは国民経済計算の考え方とは違うのではありませんか。これで国の財政状況を評価するのが適切なのかどうか、そこが問題だと思います。
国のバランスシートでは、負債といっても将来の税収等で賄う債務負担行為や制度上の支払義務に見合った積立て等の義務的経費といったものは峻別されなければならないのではないかと、そのように考えておりますが、以上の私の見解に対しまして財務大臣はどうお答えになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/139
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140・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、岩井先生が指摘されましたように、国民経済計算の貸借対照表における正味資産、これ平成十五年末はプラス八十兆円、それから国の財務書類の貸借対照表の方は、資産、負債の差額が、これも平成十五年度末でマイナス二百四十五兆円と乖離があることは事実でございます。
国民経済計算というのは、国連が加盟国にこういうものを導入したらどうだと勧告した言わば国際的な基準でございますが、これは各国の経済状況等を体系的に記録して国際比較を行おうというのが目的でございます。こういうことから、国民経済では、国によって中央政府とか地方政府の役割に違いがございますから、中央政府、地方政府、それから社会保障基金、こういうものを合わせた一般政府という概念をつくって、貸借対照表では一般政府の資産、債務の状況が示されているということでございます。
他方、国の財務書類の方は、我が国の財政制度を前提にして、企業会計、今企業会計がどうかという御議論もございましたけど、企業会計の考え方を活用して一般会計と特別会計を合わせた国全体の財政状況についてできるだけ分かりやすく説明すると、そして財政活動の効率化、適正化に関する財務情報を提供することを目的としているわけでございます。
そこで、先ほどおっしゃった乖離はなぜ生じているかということになりますが、これは、内閣府の国民経済計算におきます一般政府のデータでは地方政府が含まれておりまして、ここは全体として資産超過になっているということがございます。それから、国民経済計算では、公的年金について、これは先ほどのOECDの統計と同じでございますが、積立金は資産計上しているけれども、賦課方式の年金制度を前提に、年金債務は負債計上していないということがございます。
そこで、すぐに払う必要のないようなものを入れているのは問題ではないかということでございますが、企業会計では企業の財務状況をきちっと把握するために、現に生じている借入金というだけではなくて、借入金のような債務というだけではなくて、例えば退職給与引当金、これは過去の雇ったということによって生じる将来の費用でございますが、こういうのも負債として計上するということになっておりまして、この考え方を活用した国の財務書類においても同様の考え方に基づいて負債に計上しているわけですが、これは私は妥当ではないかと思います。
今、岩井先生は、国庫債務負担行為とか義務的経費はどうなんだということでございましたけれども、国庫債務負担行為は、契約の相手方が債務を履行しない限りこれは負債には計上されないということでありますし、義務的経費というのは、これはフローの概念でございますから、ストックの財務状況を示す貸借対照表上にはそれを入れてくるのは適切ではないんではないかと思っております。
それから、OECDのSNA、一般政府の概念の中では、おっしゃったような預託金とか責任準備金とか、預託金の方はSNAでも含まれるんじゃないかと思いますが、責任準備金や公的年金預り金、退職給付引当金というものは含まれてないのは事実でございます。しかし、責任準備金というのは、例えば、翌年度以降の労災年金の給付に必要と見込まれる額の計上でございますし、公的年金も年金預り金も財政再計算で財政見通し上の必要な所要の積立金と、こういうことでございますし、退職給付金も年度末に全職員が退職した場合に必要な、これもまあ仮定ではございますが、退職金相当額を計上しているわけでございまして、これはやはり国債や何かの、国債や地方債の償還に充ててしまっていいという財源ではないんだと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/140
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141・岩井國臣
○岩井國臣君 財務省の考え方を今大臣から述べていただいたわけでありますけど、そのことについては、お話聞いてもまだ疑義が残っております。
私自身は、そう作為的、意図的に増税に結び付けるような形で資料をお作りになっておるとは思っておりませんが、ただ見方については、見解についてはちょっと意見の相違がまだあるように思います。いずれまた、時期見て、機会を見ていろいろ議論さしていただきたいと思いますが、世の中には、財務省が意図的に、増税のために意図的にわざわざ財政状況が厳しいと宣伝しているという指摘も、いや、あるんです。そういうことを言う人もおります。僕は思ってませんけどね、そこまでは思ってないけど。
債務負担が大きいか小さいかは一国の経済力との兼ね合いで決まるわけですね。したがって、例えば対GDP比で見るわけでございますけど、これが悪化してきて、ずっと悪化しておりますが、その理由はGDPそのものが縮んでいるからだと、そういう指摘もあるわけですね。経済成長がないと、GDPが縮まる上、税収も減って、財政状況の悪化を加速させるのは当然だろうと思います。逆に、積極的な公共投資や民間投資の誘発で名目GDPを伸ばしてこそ、税収は上がり、また債務の対GDP比が下がっていくのではないか、財政状況は改善するのではないかというふうに思うわけでございますが、財政赤字の解消に向けては、緊縮財政ではなくって、公共投資の増額など積極財政に転換すべきだというのが私の持論というか立場でございまして、その点、財務大臣の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/141
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142・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も、財政赤字の解消については、先ほど与謝野大臣からもいろいろ御議論があったところですが、実質成長率を上げていくということは、これはなきゃならないだろうと思っております。その上で、我が国、特に小泉内閣の下におきましては、改革なくして成長なしということでいろいろ努力をしてまいりまして、その結果、現在、財政出動ということには頼らずに国内民間需要に支えられた景気回復が続いているところですが、岩井先生は、これは消極財政だから本当にデフレをきちっと脱却するためには積極財政に転ぜよと、私は、小泉総理のおっしゃり方を全部借りるつもりはございませんけれども、やはり平成十八年度予算も三七・六%公債に依存していると、こういう形でございますから、まあ消極財政と言われてもなあという気持ちは率直に言ってあるわけでございます。
ですから、なかなか毎年の毎年のフロー、これだけ新たに公債を付け加えていくという状況から見ましても、私は、それほど消極的ではないんだ、これでも頑張っているんだと思っているわけでございますが、岩井先生のおっしゃるような積極財政に転換するというゆとりは、なかなかそういう状況ではないのではないかと。むしろ財政運営の信認を維持する観点から、先ほど来の御議論のように、歳出歳入一体改革というのを進める必要があるのではないかと考えているわけでございます。
財務省はいろいろ増税のために着々と手だてを打っているという御批判があるのもよく私の耳にも入ってきておりますが、それは私の身の不徳の致すところでございまして、誠心誠意きちっと正しいことを言わしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/142
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143・岩井國臣
○岩井國臣君 それは、名目成長率だけじゃなくって金利の問題も大変大きいですから、そういう政策も併せてやらなきゃいかぬわけでございますけど、もう少し私は積極財政に転じていただいた方がいいのではないかと思います。
公共事業につきましては、平成十四年一月の「改革と展望」に従いまして、景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の水準を目安にするというふうなことで抑制されてきました。「改革と展望」の対象期間は平成十八年度まででしたですよね。で、大幅な追加が行われていた以前の水準とは、平成十五年三月の衆議院の国土交通委員会で財務省のお答えとして、バブル崩壊後、最初の景気対策が平成四年でございますので、それ以前の水準、すなわち平成二年ないし三年の公共投資の水準というふうに答弁されておられるわけであります。これらに従えば、平成十八年度予算案の公共投資関係費は七兆九千億、平成二年度の八兆二千億あるいは平成三年度の八兆七千億をもう既に下回っておると、「改革と展望」の目標を達したと言えるのではないかと思いますが、財務大臣、公共事業の現在の水準についてどのようにお考えになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/143
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144・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今指摘されましたように、平成十四年一月の閣議決定の「改革と展望」は、景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の水準を目安ということでございまして、これは平成二年度だというふうに考えているわけでございます。
そこで、今委員は公共投資関係費の方を引かれたと思いますが、公共事業関係費で見ましても、平成二年度は七兆三千二百十七億円、これに対しまして平成十八年度予算における公共事業関係費は約七・二兆円でございますから、「改革と展望」で言っております目安を下回る水準に現在来ているということは、そのとおりでございます。
ただ、公共事業につきましては、今の財政水準、財政事情の厳しさ、それから社会資本整備が相当進んできたということ、それから我が国の水準と諸外国の水準の比較等々をいたしますと、引き続き重点化、効率化を図っていかなければならないのではないかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/144
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145・岩井國臣
○岩井國臣君 現在、経済財政諮問会議を中心に、歳出歳入一体改革の議論が進められております。
財政再建の必要性については十分私も分かっておるつもりであります。しかし、その経済財政諮問会議の中で、我が国の社会資本ストックは既に欧米諸国並みに整備されていると。今財務大臣もそのような認識をおっしゃったと思いますね。もうかなり社会資本も整備されてきたと、こうおっしゃっていた。あるいは、こういうことも経済財政諮問会議で言われている、公共事業は無駄だからやらなくてもいい。そういう、まあそれは財政諮問会議そのものではそんな議論はないかも分かりませんけど、そんなことを言われる人も、メンバー、おられるわけですよね。
今後の公共事業につきましてどのように考えておられるのか、公共事業そのものについての財務大臣の御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/145
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146・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 岩井先生とは同じ自民党京都府連に属しておりまして、いろいろ御一緒にやらしていただいておりますのに、やや意見が違うところがあって恐縮でございますが、私も、公共事業は無駄であるとか、よく巷間、人一人、車一台通ってない、シカやイノシシばかりが通っているような道路があるとか、心ない批判がございますけれども、そういう考え方は全く持っておりません。
ただ、先ほど申しましたように、我が国の社会資本整備はもう格段に進捗してきておりまして、さらに、これから人口が減っていくということを踏まえますと、既存ストックをどう有効に活用していくかということがやはりこれからの大事な点になってくるのではないかと。それから、コスト縮減や入札、それから契約の見直しに取り組んでいただいておりますが、こういうことを更に進める必要があるのではないかと。それから、先進主要国と比較しますと、我が国の公的固定資本形成の水準は依然として高いのではないかということ。それから、先ほど来の御議論でございますが、民需主導の景気回復が続いておりまして、今後とも構造改革を推進して、民間主導の経済成長を図る必要があることと。こういうことに留意する必要があるのではないかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/146
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147・岩井國臣
○岩井國臣君 公共事業の投資水準でございますけれども、欧米諸国並みにすべきという、そういう主張がございますね。財務省にもそういう考えがあるんじゃないかと思いますが。その根拠といたしまして、国民経済計算に基づきまして一般政府の総固定資本形成、いわゆる一般政府IGのGDPに対する比率が用いられております。我が国の一般政府IGについては、平成十七年度の推計値で三・四%になっているかと思います。フランスの三・三%、アメリカの三・二%とおおむね同等の水準になっているものと認識しておりました。しかし、昨年十月の財政制度等審議会では、この一般政府IGの中身を十分類にされまして、そのうち三つの分類のみを公共事業相当分としてくくり出した上で欧米諸国と比較し、依然として投資水準は高いんだと、そういうことを言っておられます。これまでの議論を混乱させるのではありませんでしょうか。財務省はどのように認識しておられるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/147
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148・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) まず、公共事業の御専門の岩井先生に御答弁させていただくのは大変恐縮でございますが、まず、私は、いろいろこの公共事業の統計というのはフローで見るのかストックで見るのかとか、それぞれの統計の傾向性があるということは言うまでもないというふうに思っております。
そこで、岩井先生、先ほどもおっしゃられました一般政府ベースの公的固定資本形成、これIG全体のGDP比ですけども、先生の言われた二〇〇五年の推計値というふうにおっしゃられましたが、我々の認識では、直近では平成十六年度、二〇〇四年度の数字として認識をしておりまして、これは日本は三・七%と。先進諸国に比べてどうかというと、これはフランス三・二%、アメリカ二・六%、イギリス一・八%、ドイツ一・四%ということで、この統計でも先進諸国に比べて高いものというふうに認識をしておるわけでございます。
そして、その次に、財政諮問会議で取り上げたこのSNA統計というのは、これ一般政府に係る、これ私たちは別に恣意的なものというふうにして統計を作ったというふうには認識をしておりません。こういう統計もあるんだろうと。この一般政府に係る十の支出分類のうち、公共事業関係費と認識される三つ、経済業務、環境保護、住宅・地域アメニティーと、この三分野に分類して、ここを公共事業に相当するものとして比較をした場合どうかと。この数字につきましては、この平成十五年度現在で、我が国が三・四%、フランスが一・三%、アメリカが一・一%、ドイツが〇・九%、イギリスが〇・五%になっていると。
こういったことでございまして、これ議論を混乱させるかどうかというか、まあいろいろな指標があるということであって、このSNAの比較統計について、恣意的なもので何か日本の公共事業が進んでいるといったものを、結論を先にありきというような統計ではないというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/148
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149・岩井國臣
○岩井國臣君 それは財務省としてはそう言わざるを得ないと思うんですけど、どうもやっぱりおかしいんですね。公共事業の投資水準につきまして、私はどうしてもやっぱり恣意的な操作をなさっているのではないかなという疑念が払拭できません。
例えば、御承知かと思いますが、我が国の河川は欧米の河川に比べて非常に急流であり、その分自然災害に対する備えの必要度合いが高いということはお分かりいただけると思うんですね。近年も集中豪雨が続発というか、増えておりまして、自然災害が頻発しているんですよ。また、欧米諸国において、近年の水害を受けて、治水への国の関与を強くし、治水安全度を高めていく方向もあるというふうに聞いております。
道路につきましても、高速道路や都市圏の環状道路の整備水準というのは欧米に比べてまだまだ低いわけであります。既に多くのストックができ上がっておる欧米と、いまだ整備途上の我が国では、ストックの量に大きな差があるものと思います。また、国土・地形条件の相違もありますね。地形、地質が違います。例えば、同じ道路の長さを、同じ長さのものを造るにしても、日本はアメリカの大体二倍のコストが掛かるわけですよね。
このような国情の違いというものを無視して、投資水準の高さだけでいろいろと物を考えるというのはおかしいんじゃないか。公共事業を抑制しようとする、まあそういう恣意的なものをやっぱり感じざるを得ないということでございます。この点を財務大臣に十分御認識いただいた上で、平成十九年度以降の予算編成に臨まれるよう強くお願いをしておきたいと思います。答えは今は結構でございますんで、駄目だと言われても困るんで。
次の質問に移りますが、財政再建の今度方法ですね。財政再建は必要だと思いますよ。だけど、その方法論でいろいろとやっぱり考え方というのがあるんだろうと思います。
先般、日銀の量的緩和政策が解除されましたけれども、今ようやくにしてデフレを脱却しつつあるんだと。量的緩和を解除したらまたぞろデフレに戻るんではないかという、そういう心配をする人もあるわけですけれども、私は、デフレ脱却が確実になるまでは積極的な財政運営が不可欠であろうというふうに考えております。
財務省は、まずは徹底した歳出削減に取り組んだ上で消費税等の増税をお考えのようですけれども、これはとんでもないことじゃないかという気がしてならないんですね。財務大臣のお考えをお伺いしたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/149
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150・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど、今日の朝からのこの当委員会の御議論でも申し上げたところでございますけれども、私は、財政を立て直す上では歳出歳入両面から取り組む必要があると思っております。
それで、その中でも、無駄な歳出を省くということは当然やらなきゃいけない、歳出構造を変えていくということはやらなければいけませんが、現に三七・六%の公債依存率、平成十八年度予算もそういうことでやる。それから、長期国債残高がGDPの一五〇%を超えているという状況では、歳出カットだけではもう限界がございます。
しかも、それに加えまして社会保障が、これはどうしても抑えても、これだけの高齢化でございますから抑え切れない面がある、毎年一兆円ほどの自然増があるという状況。それから、先ほど申しましたから多くは申しませんが、これから基礎年金の国庫負担をどうしていくかというような問題。さらには、金利負担に非常に弱い状況ということを考えますと、私はそんなにゆっくりはしておれないという気がいたしておりまして、まあ与謝野大臣の下でこれからしっかり議論してまいりますが、何らかの歳入策ということを御理解をいただく必要があるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/150
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151・岩井國臣
○岩井國臣君 一日も早いデフレ脱却のためには、これも私の考えですが、どっちみち将来やらなければならない公共事業を民間資金を使って前倒しにやればいいんじゃないでしょうか。そういう趣旨から、私たちは議員立法でいわゆるPFI推進法を作りました。財務省は、景気刺激のために国土交通省を督促して、どっちみち将来やらなければならない公共事業、幾つかあるわけでありますけど、そういうものをPFIでやればいいのではないでしょうか。いかがでしょうかね。
PFIは、貸借対照表でいいますとオフバランスというのが世界の常識であります。財務省は、景気刺激のために国土交通省を督促して、どっちみち将来やらなければならない公共事業をPFIでやればいいと私は考えておりまして、その点についての財務省の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/151
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152・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) まずもちまして、PFI推進法の立法につきましては、岩井先生に大変御尽力をいただきましたことに心から敬意を表したいと思います。先生に御尽力いただきましたPFI推進法に基づきまして、政府として今、効率的かつ効果的な社会資本を整備、管理することを積極的に推進しているところでございます。
なかなか国土交通省がというようなお話もございましたが、平成十八年の二月二十八日現在で、このPFI法に基づく事業、全国で二百三十三事業ございます。国土交通省関係だけでも四十六事業ございまして、これ私たちはこのPFI推進法、順調に利用されているのではないかというふうに考えております。
先生今言われました、将来やらなければならない公共事業を前倒ししてやるべきだと、こう言われました。私、公共事業の中でもちろん、先ほど大臣からも御答弁もありました防災、減災等による安全、安心な社会をつくるとか国際競争力の強化とか都市再生とか、こういった重点化、効率化をしていくということはすごく大事なことだというふうに思っておりますし、限られた財政状況の中でPFI法を有効に使っていくというのは大変、何というか、賢い知恵だというふうに私は思っております。
しかし、さはさりながら、これ国土交通省を督促してというのは、どの公共事業を優先して、何が優先してやられるべきかというのは、やはり一義的には国土交通省が決定をするべきだというふうに思っておりますし、その公共事業に対して、従来の方式で公共事業をやるのかPFIを採用するのかというのは、それは、これも正に釈迦に説法ではございますけど、バリュー・フォー・マネーというんですか、採算を取って国土交通省が決定するべき話ではないかというふうに思っております。
蛇足ながら、これもあれですけど、PFIの導入というと、とかく私の同僚議員の中でも、PFIを使うと国の財政負担が発生しないというふうに勘違いしている議員もいますが、そんなことはございませんで、国の財政負担も当然発生するわけでございまして、そのことについても留意することがあるということは言うまでもないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/152
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153・岩井國臣
○岩井國臣君 財政負担は発生するんですけれども、そういう意味で借金といえば借金かも分かりませんが、利子は払わないで済むようなやり方もあるはずなんですよ。利子は払わない、利子分は払わないと。原資だけ何年か掛けて少しずつ払っていくと、利子は払わないというやり方もあると思います。いろいろ検討していただければと思うんです。
時間がなくなってまいりましたんで、ちょっと地域通貨について問題提起をしておきたいと思います。
総務大臣の私的懇談会で地方分権二十一世紀ビジョン懇談会というのが開催されました。破綻法制の議論が進んでいるやに聞いております。ローカル・オプティマムというんですか、ローカル・オプティマムなどと、そんなことをいろいろ言われておりますが、結局は企業の競争原理である選択と集中で過疎地域を切り捨てるのではないかと。私は、総務省のみならず竹中大臣のそういったお考え方につきましては大変疑問に思っておるわけです。地域政策というのは、やはり共生と分散なんです。選択と集中ではないというふうに私は考えております。
地方分権改革推進会議というのがございますが、そこでは、「中山間地域における町村等、小規模な基礎自治体が総合行政を確保し、豊かな生活圏を構築することは、急激な人口減少が見込まれる中、国土保全の観点からも重要である。」と、そういうふうに言っていただいておるわけでありますけれども、過疎地域を切り捨ててはならないと思います。私たちは歴史と伝統文化を生きておるわけで、歴史と伝統文化に生きているのではありません。過疎地域という影の部分にもやはり光を当てていかなければならないというふうに考えております。
ハイエクの「貨幣発行自由化論」というのがあります。そしてまた、「エンデの遺言」という本もあります。これは、今はやりの地域通貨の必要性を日本人に訴えたものではないかというふうに考えております。また、地域通貨に関連する最近の経済学の本としては複雑系経済学あるいは進化経済学、そんなものもこう出ておるんですね。
質問になりますけれども、時間大丈夫ですかね。私は、過疎地域と農山村地域の活性化のためには、地産地消とそれを支える地域通貨というものが不可欠ではないかというふうに考えております。地方分権あるいは地域振興の観点から、ひとつこれからいろいろと検討しなければならないのではないかと思っておりますが、この点につきまして財務大臣、何か感想でも御意見でも、何かありましたらちょっとお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/153
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154・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 岩井先生が大変研究された結果の御質問に対して、この役所の作った一、二枚の紙で答弁するのは甚だ心苦しく感ずるところでございますが、ちょっと前に、本部長は内閣総理大臣が務めておられますが、地域再生本部の会議が官邸で行われましたときに、その中で、地域通貨を使ったいろいろな取組の御紹介がございまして、それで、それは多く地産地消というものを地域内の生産及び消費の拡大、地産地消というものを目指してやられておったと思いまして、私はこういうものがどれだけ利用できるかというのは大変面白いなとそのとき感じました。
一般論でございますが、地域通貨というものを使って地産地消をやっていく取組は十分研究をして進めていただきたいと思っておりますし、また私どもでも勉強はしたいと思っておりますが、ただ、私どもとして一点考えておかなければならないのは、一般的にその換金が確保されたものと、どこでもだれでも何にでも利用できるということになりますと、いわゆる紙幣類似証券取締法との関係はどうなるのかというような問題もあるわけでございます。ただ、そういうようなことを注意してやっていただいたら、私は大変有力なツールになるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/154
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155・岩井國臣
○岩井國臣君 今、私、過疎地域等の地域をイメージしながら地域通貨の話をしましたが、実は地域通貨の問題というのは、昨日の予算委員会で田村耕太郎先生が言われました国有財産の証券化の話がありますね、それと結び付けて、財政再建にも役立つ可能性があるように思うんですね。当面はそこまでいきなりいかないかも分かりませんが、地域通貨についてはひとつ総務省もそうだと思いますが、財務省におかれてもしっかり勉強していただく必要があるのではないかというふうに思います。そういうことで、今日は一つの問題提起をさせていただきました。
私自身は、もうちょっといろいろと考えにゃいかぬのですけど、一国二通貨、円は利子が付くわけですけど、利子の付かない通貨の発行というものも考えたらええのではないかというふうに今思っておりまして、一国二通貨、ちょっと勉強したいなと思います。また、時期見て、そんな話はいろいろと議論させていただきたいと思っております。
終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/155
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156・池口修次
○委員長(池口修次君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時十七分休憩
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午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/156
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157・池口修次
○委員長(池口修次君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/157
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158・荒木清寛
○荒木清寛君 福井総裁には、大変ありがとうございます。
まず、お尋ねいたしますが、先週、日銀は量的緩和政策の解除を決定をしたわけでありますが、政府はいまだデフレ脱却宣言をしておりませんし、日銀もそうした見解ではないと承知をしております。また実際、消費者物価指数の前年比は、ここ数か月にわたってプラスに転じてはおりますけれども、まだプラス一%という範囲でございまして、大変不安定さを残しているわけでございます。そうした中で、住宅ローンの金利の上昇あるいは中小企業の借入金利の上昇等で家計や実体経済への悪影響ということも若干の懸念がございます。
そういう意味で、今回の量的緩和政策の解除がデフレの逆戻りあるいは景気の腰折れということにつながるものではないということにつきまして、改めて総裁から御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/158
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159・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。
先週、日本銀行では量的緩和政策の枠組みに終止符を打たせていただきましたけれども、私どもの意図しておりますところは、直ちに金融引締めに向かうということではございませんで、日本経済が最終的に物価安定の下で持続的な成長の実現に向けて、しっかり軌道を歩んでいくように引き続き金融面でしっかりとサポートをしていきたいと、緩和的な金融環境を維持することにより、そうした経済に対するサポートをしっかりしていきたいというところに主眼がございます。そういう過程をきめ細かい金融政策によってなだらかに支えていきたいというのが本旨でございます。
私どもの経済の見方は、経済は非常にバランスの取れた形で着実に回復していると。内需、外需のバランスの取れた牽引力、そして企業部門、家計部門の間のバランスも非常にいい状況が実現してきておりまして、息の長い景気回復を実現させていく条件が整ってきていると。物価の面でも、物価の基調は次第に好ましい方向に変わってきておりまして、特に消費者物価指数で見ますと、ここ数か月安定的にゼロ%以上となり、このプラスの基調はこれから更に定着していくというふうに見込まれる状況でございます。
したがいまして、これまで役割を果たしてきました金融政策の枠組みの中のうち、量の意味はほとんど失われたということでございますので、金融緩和政策のポイントが、短期金利がゼロである、ゼロ%であるという効果にほぼ絞られてきたということでございます。そうした実態を金融政策の枠組みの中でも明確に表に出して金融政策の透明性を高め、今後、市場と金利を通ずる対話を繰り返しながら、バランスの取れた経済の姿がよりよく定着していくように金融面からサポートしていきたい。
具体的には、当面、無担保コールレートをおおむねゼロ%というふうに誘導いたしますけれども、将来は経済・物価情勢の変化に応じて徐々に金利水準の調整を行っていかざるを得ないというふうに思っておりますが、引き続き経済がバランスの取れた持続的な成長過程をたどる中にあって物価の上昇圧力が抑制された状態が続いていくというふうに判断されるのであれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持されるであろうと、維持していくことが可能であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/159
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160・荒木清寛
○荒木清寛君 今もお話がございましたように、ゼロ金利政策は当面続けるということでございまして、私もその御説明を聞きまして安心をしていたんですが、しかし量的緩和政策解除後の福井総裁あるいはそのほかの審議委員の国会等における発言等から、このゼロ金利の解除も意外と早いのではないか、そういう観測を呼んでいるところでございます。
といいますのは、やはりいつゼロ金利を解除するかにつきまして具体的な方針が特段示されておりませんで、ある意味では、そういう裁量の範囲内にあるということから様々な観測を呼んでいるのかと思います。
先般、物価安定の目安としましては、消費者物価指数の前年比ゼロ%から二%、さらに、委員の中心値は一%前後であるというふうに提示をしておりますけれども、こうした基準が今後のこのゼロ金利の解除の判断とどうリンクするのか、全くそれは関係のないそういう指標であるのかということについてお尋ねいたします。
特に、日銀の審議委員の中にもいろいろな意見があろうかと思いますけれども、つい先般までお務めであった方が昨年出版をされた本を読みますと、この量的緩和解除の判断に際しては若干の辛抱をしても日銀にとっては損はない、こういうことが書かれておりまして、私はそれを読みましてそうだなというふうに思ったわけであります。
そうした意味で、ゼロ金利の解除につきましてもやはり相当慎重にやっていただきたいというのが私の見解でございますが、差し当たりまして、この物価安定の基準とこのゼロ金利解除の関係性につきまして御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/160
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161・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) 今回公表させていただきました中長期的な物価安定のいわゆる理解というものでございますが、これは、現時点において政策委員がそれぞれ中長期的に見て物価が安定していると理解する物価上昇率、これを数字で表現すれば全体としてどのような範囲にあるかを明らかにしたものでございます。
数字で表現する以前のこの本質のところは、日本経済の中で日々行動される経済主体、これは企業あるいは家計に属する我々一人一人が、将来物価が上がるあるいは下がるということに、何といいますか、惑わされることなく経済活動が展開できると、こういう状況のことを指しておりますが、そのことを数字で表現すればどうかと。日本は過去長い年月にわたって、諸外国に比べて物価の上昇率が非常に低かったというふうな経験則も踏まえ、日本の国民の皆様方が頭の奥底に秘めておられる物価観というものはかなり低いものであろうというふうな推測をも持ちながら今回明らかにした数字でございます。
各政策委員は、物価の安定についての基本的な考え方をそういうふうに踏まえながら理解を表面に出したわけでありますけれども、そうした理解を念頭に置いた上で今後、経済・物価動向について情勢判断を行い、かつ金融政策を具体的に決定していくということになります。
この枠組みは、インフレターゲティングのように物価安定の数値的な目標を定めて、ある期間内に達成するということを目指すものではございません。しかし、我が国経済の現状において、金融政策の透明性を確保しながら適切なその運営を図っていく上で最もふさわしいものではないかということで今回、こういうものを決定し、打ち出させていただいたわけでございます。
今後の金融政策の運営としては、無担保コールレートをおおむねゼロとする期間を経た後、先ほど申しましたとおり、経済、物価の情勢変化に応じて徐々に調整を行うということでありますが、この場合に、重ねて申し上げれば、経済がバランスの取れた持続的な成長過程をたどる中で物価の上昇圧力が抑制された状況が続くと判断されるのであれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いと考えています。
具体的にゼロ金利を修正する時期がいつかというふうなことを考えるには、まだ量的緩和の枠組みに終止符を打たせていただいた直後でございまして、それを論ずるには余りに早過ぎるというふうに考えています。当面、供給されました多額の流動性を円滑に吸収する過程が正に始まったばかりでございますし、四月の末にはまた新しく展望レポートの中で、二〇〇六年度、二〇〇七年度に及ぶ日本銀行として標準的な経済、物価の見通しを公表させていただくつもりでございます。
それにつきましては、望ましい物価安定の下での安定的な経済の拡大というパスにそれがしっかり乗るものであるかどうかという評価も加えて明らかにさせていただきます。
そうしたことが市場の中できちんと評価されて初めてゼロ金利解除についての市場の期待感というものも安定した形になっていくだろうというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/161
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162・荒木清寛
○荒木清寛君 福井総裁はもう結構でございます。
そこで、財務大臣に一点お尋ねいたしますが、午前中の議論でも、国の公債残高は平成十八年度末に五百四十二兆円、これに財投や地方の債務を加えますと、現在でも一千兆円を超える債務があると、このように認識をしております。
そこで、量的緩和の解除あるいは今後のゼロ金利の解除等によりまして長期金利が上昇した場合には、当然これは財務体質悪化の原因になっていくわけでございまして、この点についてどういう対策を今考えているのか。それは財政再建に尽きるのかもしれませんけれども、やはり当面のそういう金利上昇に対する備えというのが必要かと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/162
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163・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) これだけやはり借財をしておりますと、金利変動リスクというものが非常に高いわけでございます。じゃ、何をやるかということになりますと、今、荒木委員がおっしゃいましたように、まず財政がきちんと取り組んでいるということを示して、いわゆるプレミアムリスクというものを最低限に押さえ込んでいくと。その上で国債管理政策を適切に運営していくということに尽きるのではないかと思っております。
それで、財政をきちっと改善をしていくという意味合いにおきましては、一つは、二〇一〇年代初頭に向けてプライマリーバランスを回復しようということで今努力をいたしておりますし、さらに与謝野大臣の下で、歳出歳入一体改革の道筋を付けようというのもその努力の大きな部分でございます。
それに加えまして、毎年毎年借換債等相当な国債を発行して、これを消化していかなければならないわけでございますので、まずマーケットのニーズがどこにあるのかということをよくつかんで、マーケットのニーズに応じた消費設計をしていくと。その上で、やや日本の国債保有というのは国家機関を中心に偏っておりますので、今まで国債を必ずしも持っていただいていない個人であるとかあるいは外国であるとか、そういうところにできるだけ国債保有者を多様化していくと、そういうようなことを組み合わせまして、安定的な消化、それから中長期的な調達コストの低下というものを図っていくということではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/163
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164・荒木清寛
○荒木清寛君 次に、金融担当大臣にお尋ねいたします。
ライブドア問題に関しましては、事件に関しましては、堀江前社長が容疑否認のまま証券取引法違反で起訴されておるところでございます。先般の委員会でも私も取り上げましたが、この問題は事前規制から事後の監督へという中で、事後のチェックがきちんとできるかどうかが問われる、問われている問題であると考えます。そうした意味で、証券取引等監視委員会の機能強化を、私は機能を強化すべきであるというふうに考えておりますし、この委員会等でも様々な議論が行われてきたところでございます。
そこで、大臣としまして、この監視委員会の機能、機構、人員等の強化、見直しについて今どういう検討状況であるのか、御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/164
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165・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 監視委員会が持っております権限というのはアメリカ等に比べて遜色はないと私は思っておりますけれども、やはり人数などはもう明らかにアメリカの十分の一、また証券取引の監視に関します経験とか歴史とかというものはやはり浅いわけでございます。
それから、やはり人材を広く集めなければならないという点については、公務員法上一定の制限もございまして、せっかく経験を積んだ方がまた元に戻ってしまうという、そういうこともありますが、この事件が落ち着きましたら、どういうふうに組織や権限、人員、こういうものは謙虚な気持ちでもう一度見る必要はあると思っておりますが、今直ちにそういうことを議論したり着手したりという時期ではないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/165
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166・荒木清寛
○荒木清寛君 今もお話がございました、アメリカ型のいわゆるSEC型に改編をすべきであるという意見も強いわけでありまして、それは私は傾聴に値をすると思います。
ただ今回、金融商品取引法を政府は提出をしているわけでありまして、これは言うまでもありませんが、金融商品全般につきまして、従来の個別の業法による縦割りの規制を改めまして横断的な規制をしまして、投資家を保護し、また健全な市場を実現をすると、こういう法案を提出しているわけですね。
そうした意味で、私は、これと平仄を合わせるという意味でいえば、この証券取引等監視委員会も預金や保険も含めた金融商品全体を、金融取引全体を監督あるいは監視をする形にすることを検討すべきではないか。いわゆるイギリスのFSA型といいますか、そういうものも十分に参考にして、そういう改編を私は、今すぐ着手をするということではないというお話でありますけれども、しかし一遍検討すべきではないかと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/166
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167・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 何か事がありますと、すぐこれは組織の問題、権限の問題だというふうに考える方がおられますけれども、今回、ライブドア事件の本質というのは、典型的な証取法違反事件でございまして、これは昔からございます風説の流布とか偽計とか、あるいは有価証券報告書の虚偽とか、こういうどちらかといいますと類型的には昔から想定されている私は犯罪だったと思っております。
そこで、証券監視委員会の権限不足とか、そういうことで起きた事件かと、そういうことを考えてみますと、決してそういうことではないと私は思います。ただし、これからいろんな新しい金融商品も出てまいりますし、今回新たに業界横断的な法制を国会にお願いしているわけでございますから、どうすれば事後チェックがより行き届いたものになるのかということは国会でも、また我々も考えていかなければならない課題であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/167
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168・荒木清寛
○荒木清寛君 是非検討方をよろしくお願いいたします。
そこで次に、貸金業制度問題につきまして、午前中もかなり議論がございましたが、大事な問題でありますので、私もお尋ねいたします。
三月十日に開かれました貸金業制度等に関する懇談会では、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の間のいわゆるグレーゾーン金利を撤廃する方向で大筋合意をしたというのが報道でございます。まだ議事録要旨等は発表されておりませんけれども、そのとおりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/168
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169・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) お答えいたします。
三月十日にも貸金業制度等に関します懇談会が開かれておりますが、現在、この懇談会におきましては各種の議論をこれから深めていく段階でございます。十日におきましても、いわゆるグレーゾーン金利問題を含めまして金利規制の在り方につきまして議論がなされ、様々な意見が出されておりますが、現段階でグレーゾーンを撤廃する方針で合意したということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/169
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170・荒木清寛
○荒木清寛君 まだ検討を進めているということでしょうが、やみ金融対策法、平成十六年一月一日施行の附則十二条に定めます貸金業制度の在り方についての見直しの期限、要するに三年、施行後三年を目途として見直すという、その期限が間もなく来るわけです。来年の一月ということになりますね。
そうしますと、政府としては、この貸金業規制法及び出資法の改正案をいつのタイミングで国会に上程をする予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/170
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171・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) いわゆる貸金業法でございますが、これは従来から議員提案によって行われてきているものでございます。
この改正につきまして、先般の改正に当たりまして施行後三年を目途として必要な見直しを行うということになっておりますが、行政当局が改正法案の提出時期等につきまして現段階でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/171
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172・荒木清寛
○荒木清寛君 ただ、これは先ほどの懇談会というのは、この三年を、三年後の見直しということを視野に入れて検討をしているんじゃないんですか。しかし、いずれにしましても、これはやはり政治主導ということであれば我々もしっかり議論をしていきたいと考えております。
そこで、先ほども統計がないということについて随分大臣も批判をされておりましたが、この消費者金融などにおける多重債務者というのは何人ぐらい、あるいは何十万人、何百万人存在していると考えるんでしょうか。ちなみに、多重債務者というのは、複数の借り手から自身の返済能力を超える多額の債務を抱えている債務者、このように言えるかと思いますが、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/172
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173・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 多重債務者につきましては、明確な定義があるわけではございませんで、その実態につきまして確たることを申し上げることは困難でございます。
なお、いろんな指標がございますけれども、例えば個人の自己破産申立て件数あるいは特定調停の件数につきましてはよく言われるところでございますが、個人の自己破産申立て件数ということで申し上げますと、これは平成十五年にかけて増加いたしまして、その年に二十四万二千件程度でピークを迎えておりますが、その後減少いたしまして、平成十七年でございますが、速報で十八万四千件となっているところでございます。特定調停の件数につきましても、平成十五年にかけまして増加し、同年五十三万七千件でピークになっておりますが、その後減少し、平成十七年は、速報値でございますが、二十七万五千件となっているところでございます。
多重債務の実態と対応策につきましては、現在、その貸金業制度に関します懇談会におきましてその他の貸金業制度等をめぐる諸問題とともに勉強をしているところでございまして、引き続き議論を深めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/173
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174・荒木清寛
○荒木清寛君 ただ、多重債務者が何人いるかということが分からずして、金利をどうするのかという、そういう政策判断はできませんですね。このいわゆる被害者の会等のお話によりますと、百五十万人から二百万人ぐらいではないか、あるいは先ほども引用がございましたが、消費者金融白書といういわゆる日本消費者金融協会が出している白書がございますが、その中の論文でも数百万人規模だという推定をしているわけですね。
だから、ここはやはり、いろいろこれは推計をする手掛かりになる指標はあるわけですから、政府としてもこの実態をきちんと、何人そういう方がいるのか、この実態を把握すべきである、調査すべきであると考えますが、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/174
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175・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 概数はいろいろ推計できましても、実際の多重債務者がどのぐらいいるかというのは多分正確には分からないと思いますけれども、政策を考えていく場合に、大体このぐらいではないかということを推論できるというところまではある程度のデータを集める必要があるんではないかと思いますが、しかしこれは正確ながっちりした数字にはなり得ないというのは、委員も多分お分かりいただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/175
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176・荒木清寛
○荒木清寛君 昨年の十二月十五日、そして今年の一月十三日、一月十九日に重要な最高裁判決が相次いでありまして、一言で言いますと、いわゆるみなし弁済、いわゆるグレーゾーン金利についての弁済を一定の要件で有効にするという、この適用を極めて厳格に解釈をしております。
私は、こうした最高裁の判例を読みますと、裁判所は、このグレーゾーンの金利帯があること自体おかしいと、こういう認識を持っているというふうに思います。先ほども与謝野大臣から、この上限金利は随分高いという率直なお話もあったわけであります。
私は、このグレーゾーン金利というのはやはりなくさなければいけないし、この出資法の上限金利二九・二%を利息制限法の制限金利、まあ一五から二〇%になるわけでありますけれども、そこまで引き下げまして、グレーゾーンというのをなくして、みなし弁済規定も撤廃すべきである、こう考えますが、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/176
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177・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 繰り返しになって恐縮でございますが、金融庁では昨年三月から、貸金業制度等に関する懇談会を開催いたしまして、貸金業制度等をめぐる幅広い論点について勉強をしているところでございます。
引き続き、いわゆるグレーゾーン金利を含む金利規制の在り方、その他貸金業をめぐる諸問題についても議論を深めてまいりたいと思いますが、金融庁は、当然、一連の最高裁判決を重く受け止め、金融行政に生かしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/177
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178・荒木清寛
○荒木清寛君 最後の課題といたしまして、財務大臣に特別会計改革につきまして何点かお尋ねいたします。
行政改革推進法案が国会に提出をされまして、この三十一ある特別会計について抜本的にメスを入れることになっております。この法案の中でも、今後五年間で二十兆円程度の財政貢献といいますか、余剰金の圧縮ということがうたわれているわけであります。
ただ、この二十兆円の圧縮といいますか、財政貢献というのは、ある意味で、大変な金額なんですけれども、そのとき限りの効果でございますね。それとは別に、特別会計をスリム化することによりまして、毎年毎年のそういう、いわゆる財政改革効果といいますか、歳出削減効果というのもあるはずでありますので、そうしたことにつきましてもきちんと目標を示して改革に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/178
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179・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、荒木委員からお話がございましたように、今回の特別会計改革では、今後五年を目途に今三十一ある特別会計を三分の一から二分の一へ大幅に削減しようと。そうすると、明治二十三年の制度発足以来一番少ない数になるということでございますが、一つはそれをやろうと。
それからもう一つは、今お話がありましたように、今後五年間で合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指そうという、私どもとしては相当踏み込んだつもりであるわけですが、その第一歩として、十八年度予算では合計十三・八兆円のこの積立金、余剰金を財政健全化のために活用することとしております。
それで今、一回限りというお話がありましたけれども、その出てくるものの性格によりまして、一種のストックになっているものは、これだけの負債のストックを減らすのに使おう、つまり国債を圧縮していくことに使おうと、それから毎年毎年の言わばフロー的に出てきますものは、毎年毎年のその一般会計に入れて、毎年毎年の財政を少しでも健全化し国債発行額を圧縮しようと、そういう考えでやらしていただいているわけであります。
それで、特会改革を進めるに当たりましては、統廃合による事業の見直し、それから業務の効率化、こういうものを図って、これをきちっと予算へ反映させていくということが必要だと思っております。
それで、各特会の性格も踏まえながらきちっとやらしていただきたいと思っておりますが、さらに、今申し上げたような資産あるいは剰余金を一般会計に繰り入れたり、国債償還に充てるということだけではなくて、もう少し全体の効率化、スリム化というものも考えるべきではないかというお話だったと思います。私どももそのとおりだと思っておりまして、それぞれの歳出削減などを通じて借入金であるとかあるいは一般会計からの繰入額を圧縮するということを目指していかなければならないと思っているわけでございます。
ただ、特別会計はいろんな性格のものがございますので、例えば手数料収入などの歳入は歳出削減による事業縮小に伴って減っていくと、その手数料なんかはむしろ縮小しちゃうというようなこともございますので、歳出削減がすべて収支改善につながるかどうかということもありますが、全体のその効率化を目指していくということはこれからきちっとやらしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/179
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180・荒木清寛
○荒木清寛君 一つ具体的に関連してお尋ねいたしますが、外国為替資金特別会計の積立金の縮減についてでございます。
この会計の資産は年々増加をし、平成十八年度末には百六十兆円に上ると見込まれております。これに伴い、積立金も増加をしまして、同年度末で十五兆円に膨らむと見込まれております。外為特会の積立金の水準につきましては、経済財政諮問会議でも指摘がありましたように、これは竹中大臣が指摘をしたようですが、この資産に対する積立金のウエートが民間の保険会社に比べて過大である、縮減ができるという指摘もあるわけでございます。
もちろんこの外為特会から一般会計に対しましては毎年毎年この剰余金という形で繰り入れられまして、財政貢献がされていることは承知をしておりますけれども、これまでこの巨額の積立金につきましては手が付けられていないわけでございます。
したがいまして、この特別会計の今回の見直しの中で、もちろんマーケットにも十分配慮しつつ一定程度この積立金につきましても取り崩しまして、これを国債の残高の縮減に充てるということも検討しなければいけないと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/180
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181・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 外為特会の積立金額ですが、十八年度末の見込積立金額は約十五・一兆円になりまして、確かに巨額のものがあるのは事実でございます。
それで、これがどうやってできてきたかと申しますと、十七年度末時点で外為特会では累積で約三十五兆円の運用益を生じる見込みとなっておりまして、今までそのうち約三十五兆のうち二十兆円は一般会計に繰り入れて、毎年毎年の税外収入等の中で大きなウエートを占めてきておりますが、その残りの十五兆円を積立金として積み立てているわけでございます。
それで、今これをもう少し取り崩すことができないかという御趣旨でございましたけれども、この積立金は将来における歳入不足、外為特会のですね、これの可能性に備えて設けられているものでございまして、特別会計、やはり相当現在は、例えば日米の金利差、相当金利差がございまして、運用益等が積もる状況でございますが、未来永劫そういうことを期待するわけにもいかないわけでございますので、そうなったときの準備でございまして、これがある程度ありませんと、特会運営の持続可能性とか収支の健全性に疑念を抱かれると。そうすると、ははあ日本の特会はかなり窮屈になってきたなと、そろそろ為替介入なんかももう事実上できないんじゃないかというような言わば思惑をマーケットに持たれますと、私どもはこの外為特会を持っているというようなことが十分機能が果たせないというふうに考えておりまして、確かに今後とも運用益の中から一般会計に入れるものは今後も出てくると思いますが、現在の積立金を取り崩すことは私は適当でないと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/181
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182・荒木清寛
○荒木清寛君 もちろん私も一定程度の積立金が必要であることはもう当然だろうと思いますが、この積立金の残高も毎年少しずつ増えているわけですね。果たしてこの水準が本当に最小限度必要なのかどうかということは、是非聖域としないでやはり種々の観点から検討していただくことを要請をいたします。
まあ多少時間ありますが、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/182
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183・大門実紀史
○大門実紀史君 大門でございます。
昨日、予算委員会で午前午後とも貸金業、サラ金、クレジット問題取り上げましたけれども、今日もお二人からございましたけれども、ちょっとしつこいようですけど、もう一回この問題を私、取り上げさせていただきたいというふうに思います。
まず、昨日のテレビでの放映された部分で、与謝野大臣の答弁に心から敬意を表したいというふうに思いますし、いろいろございましたのをお伝えしたいこともありますので、最初にその問題、触れさせていただきます。
大臣が、サラ金のテレビCMや広告が、あるいは一流銀行が一緒にやっているということを不愉快に思うという発言が今日の全国紙に一斉に全部取り上げられました。昨日、実は質問を見て、私の質問を見ていただいた某新聞の編集委員の方、大変有名な方でテレビにもよく出られる方ですが、すぐ私の部屋に来られて、与謝野大臣の答弁が大変すばらしかったということで、私の質問よりも与謝野さんのことを褒めに来られたわけでございますけれども。
実はマスコミの事情が今どうなっているかを少しお話ししないと、と思いますが、要するにサラ金業界からのテレビだとか新聞への広告料、広告はすごいものがございまして、今年間三百億ぐらいの広告収入になっているわけです。そうなりますと、なかなか大手の新聞もテレビも消費者金融、サラ金問題が起きてもなかなか追及しない、取り上げなくなっているわけですね。現場の心ある良心的な記者とか、あるいはジャーナリストは悶々としている状況があるわけです。
朝日新聞でかつて武富士から五千万円の広告料収入をもらったということで大変な、たたかれた事件がありましたけれども、とにかくマスコミがなかなかこの問題今、大変な問題になっていても取り上げているのは一部ですね。やみ金なら取り上げるんですけれども、サラ金のは取り上げないという傾向になっておりまして、例えばジャーナリストの須田慎一郎さんという方がいらっしゃいますけれども、彼が、昨日私取り上げましたけれども、プロミスと三井住友のことを新聞に、これは名前言いませんが、大新聞の夕刊に書いたら、そのプロミスから広告を取り下げると、広告を出さないというふうな脅しを掛けられたとか、それ以来なかなか須田さんもテレビでもしばらく出られなくなったとか、いろんなことがあるわけです、実際には。
そういうことからいって、何といいますか、きちっとこの問題を明らかにしたいけれどもできない状況がある中で、大臣がきっちりとああいうことを言われて、みんな非常に元気をもらったということを言っておりました。それを大臣に伝えてほしいということもありましたので、お伝えをしておきたいというふうに思います。
もう一つは、今日のこの新聞を見ていてもまだ情けないなと思うんですけれども、一斉に出ておりますけれども、サラ金という言葉なんですね。これは国会議員の中でも、私たちがサラ金と言うと、サラ金って何だとその言い方はと言う一部議員がいるぐらい、実は業界がサラ金と言われるのを物すごい今ぴりぴりとしているんですね。
これは御存じのとおり、もう随分たちますが、かつてサラ金地獄が大社会問題になって、それで八三年に貸金業法制定となったわけですけれども、あのときのイメージがみんなに残っているわけですね。それを払拭されるような正常なことやっていたらだれも言わないんですけれども、同じようなことをやっていると。だからサラ金と言いたくなるし、まあ言われているわけですけれども、業界としては物すごくぴりぴりしております。
今日の朝の新聞でも、サラ金という表現を使っているのは朝日と毎日だけです。毎日はサラ金、括弧消費者金融と、括弧を付けているわけですね。このサラ金という言葉を使った場合でも、サラ金業界から物すごい抗議が行く、弁護士さんにも物すごい抗議が行くというふうな状況でございます。
ちなみにお伝えしておきますけれども、日弁連ははっきりと、このサラ金という言葉に対して抗議を受けて、回答をしております。元々、サラ金というのは、サラリーマンの社員証があれば無担保無保証で融資するという業態を示す言葉であったと。貸金業者側も普通に自らも使ってきたと。何も侮べつ的な用語ではないと。そもそも利息制限法違反の高金利で貸し付けている限り、不当取立てとかこういうトラブルが起きると。その意味で、サラ金という用語が不適切な使用法であるとは到底思えないと、言えないという反論をきちっとしておりますけれども、使うと、そういうふうに抗議をすると。そうすると、みんなびくびくしちゃうわけですね。今堂々とサラ金というふうに書いているのは我が党の赤旗ぐらいのものでございまして、ほかのところはみんなこうやって隠すわけですね。やっと大臣がテレビでサラ金と言ってくれたんで、朝日も毎日もこうやって書けるようになったというふうなことでございます。
まあサラ金という言葉がどうかじゃなくて、別に私も消費者金融と言ったっていいと思うんですけれども、これだけトラブルを起こしていると、やっぱり言われても仕方がないかなというふうに思うところでございます。
読売新聞にはもう一つ記事が載っておりまして、消費者金融大手五社がテレビCMの自粛時間を、四月から自粛する時間を延長するということを決めたことが分かったということだそうでございます。これは、かつて消費者団体からもサラ金のテレビコマーシャルは自粛してほしいというのがあって少しは自粛してきたんですけれども、さらに、批判されている多重債務者を増加させる一因と指摘されるなど、社会的な批判が高まっていることに配慮したものということで、大臣の発言、私の質問が影響したかどうかはちょっと時間が近過ぎますので分かりませんけれども、とにかく業界も自粛をしようとしているというところでございます。
申し上げたいのは、そういう業界であるということでありまして、きちっと物を言う、指摘するところは指摘するということを、特に国会が恐れてはならないというふうに思うところでございますけれども、大臣、何か御感想があればお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/183
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184・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 人間、長い人生を歩んでいますと、どんなに高い金利を払ってもお金を手に入れなければならないということは多分あるんだろうと私は思います。私はそのことを全く否定はいたしませんが、その高い金利で消費を慫慂するようなことが当たり前の社会であっては私はならないと。
ただ、いろいろな小説にも物語にも、やむを得ず高い金利でお金を借りるという場面は出てまいります。これはそういう異常な場面として私どもは理解するべきであって、二十数%の金利というものが社会的な常識として当たり前だと受け取られるような社会は、私は、つくってはいけないんだろうというふうに個人的には思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/184
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185・大門実紀史
○大門実紀史君 ありがとうございます。
業界ばかり気にする議員がいる中で、マスコミの関係者が言っておりましたが、さすが大物政治家だというふうに言っておりましたし、与謝野さんの名前が総理候補になぜ出ないのかと、私が言っているわけではございませんですけれどもね、そういうことまで言うぐらいみんなを勇気付けた、心ある良心的なジャーナリストを勇気付けた昨日の御答弁でございました。
それでは、本題に入ります。
私が言ったんじゃないですよ、そのマスコミの関係者が言ってたわけでございますけれども。
本題に入りますけれども、先ほどからございましたみなし弁済が、なかなかこれからそういう貸金業者が取っていくのが難しくなったとか、あるいは取引利益開示義務ももう最高裁の判決でほぼ終止符が打たれたというふうに思います。
この貸金業界の主張は、昨日の予算委員会で申し上げましたけれども、二つございまして、金利規制を撤廃してほしいと、若しくは出資法の上限、これを元の四〇・〇〇四ですか、に引き上げてもらいたい。もう一つは、貸金業法の十七条書面、十八条書面のIT書面化ですね、一括適用してほしいと、こういうことが主な要求ですけれども、私、昨日は言いませんが、これはアメリカの強い要望でもございます。
このアメリカの要望についていろいろ調べてみましたけれども、国会の経過でいいますと、二〇〇〇年六月に出資法の上限金利が四〇・〇〇四から二九・二%にまで下げられました。このときは商工ローン問題がきっかけでございましたけれども、さらに、その後、破産増加とか社会問題化がもう収まらない、トラブルが収まらないということで金利の見直しが検討されたことがございます。
ただ、それに対して、昨日も言いましたが、業界団体ですね、逆に四〇・〇〇四への、二九・二になったものを四〇・〇〇四へ戻してくれというかなり強い運動が起こりました。そして例のやみ金問題が起きたときに、このときにはもうそもそもこの出資法の上限金利四〇・〇〇四から二九・二になっているわけですけれども、二九・二のままでいいのかどうかという議論があのときあったわけですが、結局、二九・二のままでやみ金対策法が成立をいたしました。
ちょうどこれ、こういう議論がされたときに、ですから二〇〇〇年から二〇〇三年の間ですけれども、〇二年の七月に、先ほど言いましたアメリカですけれども、例えば在日米国商工会議所、ACCJが出資法上限金利の引下げをしないように強く求めるという意見書を出しました。そこにはこう書かれています。更なる上限金利の引下げは一見借入れ負担を軽減するかに思われるが、実際は貸付けを制限し、消費者、中小企業、経済全般へのマイナス影響が懸念されると。あるいは、市場で決定すべき金利の操作は、経済回復に必要な規制改革の原則から外れることになるというふうな意見書を出しております。
当時、プロミスの常務がそのときの業界の中の話として、シティとかGEキャピタルなどが、アメリカの巨大金融資本系列の消費者金融会社ですけれども、これ以上の引下げは死活問題と在日米国商工会議所を通じて反対しているというふうな、一緒に運動しているというようなことを新聞で語っておりますけれども、こういう働き掛けは当時金融庁にもあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/185
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186・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) お答えいたします。
御指摘のとおり、平成十四年七月、それから平成十六年十一月にも在日米国商工会議所から意見が提出されているところでございます。
その内容は、最初の場合には出資法の上限金利を現行の二九・二%から引き下げないこと、後の場合には書面交付の電子化、簡素化などを求めると、こういった内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/186
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187・大門実紀史
○大門実紀史君 もう一つ意見書が出ていると思います。二〇〇四年十一月ですね、〇四年十一月には、先ほど言いました二つの、強い要望の二つ目ですけれども、貸金業法十七条書面、十八条書面、つまりお金を借りたときに交付する書面と返してもらったときに交付する書面ですね、この書面のIT書面一括法の適用、適用してほしいということを柱とした貸金業の改正をという意見書が出ております。
これにはどんなこと書いてあるかというと、現在のクレジット業界における発展を踏まえて、修正されてない、いまだ適用されてないと、これは非現実的なことだということとか、いろいろ書いておりますけれども、要するに、まあIT一括化法適用しろということでございますけれども、この意見書には米国商工会議所、経団連、都銀懇談会及び、そういうところで再三の呼び掛けをしてきたとも書いてあります。経団連も、あるいは都銀の、都市銀行も要望してきたということがこの意見書には書かれております。こういう働き掛けも金融庁の方にありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/187
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188・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 答弁が重なったかもしれませんが、平成十六年十一月に意見書が提出されておりまして、ここでは書面交付の電子化、簡素化などを求めるよう提言がされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/188
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189・大門実紀史
○大門実紀史君 こういうアメリカの要望というのは、金融庁として、これは議員立法でございましたけれども、どういうふうに当時受け止められていたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/189
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190・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) いずれにいたしましても、この貸金業法の金利あるいは書面交付につきましては、それぞれ各般のところから様々な意見が提出されているところでございます。私どもは、そういった意見は意見として、規制緩和は規制緩和として、それぞれ是々非々でこれまで対応してきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/190
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191・大門実紀史
○大門実紀史君 私は、このさすがのアメリカの要望でも、出資法の金利を引き下げるとか、それはもう日本の中で全然あり得ないと思いますが、そのもう一つの要望でありますIT書面一括法の方ですけれども、これも今現在も強い貸金業界の要望になっておりますけれども、これはそもそも、二〇〇一年四月に施行されたわけですけれども、なぜそもそも貸金業がその対象から除外されているのか、その理由を教えてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/191
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192・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律案というのがございますけれども、その中で、経済のIT化が進展する中で、書面の交付あるいは書面による手続を義務付けている規制が電子商取引等の阻害要因になっているとの指摘を踏まえ、その緊急的な見直しを行うものとされておりますが、このうち幾つかのものについては対象法律から除外するということになっております。幾つかの項目の中の一つといたしまして、一つには契約をめぐるトラブルが現に多発する等、書面の代替が困難なものという項目がございまして、その例として貸金業規制法が挙げられていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/192
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193・大門実紀史
○大門実紀史君 そういうことですね。契約をめぐるトラブルが現に多発するなど書面の代替が困難なものを外すという趣旨がございます。
こういう点でいきますと、これは金融庁のお考え、お聞きすればいいわけですけれども、お聞きしたいわけですが、もう今回も取り上げられているように、トラブルは減るどころかいろんな面で増えております。IT書面一括法を適用するというふうな状況ではないというふうに判断いたしますが、金融庁の考えを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/193
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194・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 繰り返しになりますが、貸金業制度につきましては、金融庁といたしましては、昨年三月から懇談会を開催いたしまして、諸問題につきまして幅広い観点から議論をしていただいているところでございます。引き続き、書面の交付の在り方を含めまして議論を深めていただきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/194
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195・大門実紀史
○大門実紀史君 いや、議論を深めるんじゃなくて、懇談会の議論じゃなくて、金融庁のお考えを聞いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/195
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196・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 繰り返しになりますが、貸金業懇談会におきましては各種の項目につきまして議論をしているところでございまして、一つ一つにつきまして現在答えが出ているあるいは方針が出ているというところではございません。引き続き、あらゆる問題につきまして議論を深めていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/196
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197・大門実紀史
○大門実紀史君 いや、繰り返さなくていいんですよ。はっきりしているわけですね、IT書面一括法の適用を除外された理由が。で、トラブルは減っていないと。金融庁としての考え方をきちっと今段階で聞いているわけで、懇談会が金融庁のすべての、それじゃあれですか、政策決めるんですか。懇談会が出したらそのとおりやるんですか。今現在の金融庁の考えを聞いているわけで、あなた答えられないなら大臣にお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/197
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198・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 当然、各方面からいろんな意見が来ております。多分、在日米国商工会議所の意見も貴重な御意見の一つだと思いますけれども、貴重な御意見はほかにも多数ございますので、まあその意見もたくさんの意見の中の一つとして参考にはいたしますけれども、それが物事を決めるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/198
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199・大門実紀史
○大門実紀史君 質問したことと違うんですけれども、じゃ、次へいきます。
恐らく、一言申し上げれば、IT書面一括法を適用されるときはみなし弁済がなくなったとき以外はあり得ないと、最高裁判決を顧みますと、それ以外はあり得ないというふうに思いますので、ということです。
もう時間少なくなりまして、また機会あれば質問したいと思いますが、幾つかに絞りますけれども、私はこういう問題を考える上で、外国の例をきちっと研究すべきだと思っております。
金融庁は、アメリカ、イギリスに現地調査やられたわけですね、去年の秋ですか。で、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツは全然違いますが、まずアメリカ、イギリスに現地調査をされたということですけれども、それで、これは懇談会で報告をされておりますですね。
ちょっと短いものしか分かりませんので、簡潔でいいんですけれども、要するに、このアメリカ、イギリスでクレジット被害といいますか多重債務といいますか、そういう問題がどのように発生しているか、その辺で分かることあればまず教えてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/199
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200・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 欧米諸国におけます実態につきましては、様々な制度の違いもございまして、正確に比較するということは困難でございますが、例えばアメリカにおける破産申立て件数、これを各種のデータから推計いたしますと、これは人口比で日本の倍以上であります。
英国におきましては、統計の取れるイングランドとウェールズにおきましていろんなデータを基に取りますと、日本よりは少ないのでございますが、二〇〇四年にかけて増加してきているという状態でございます。
各国で、例えばこの破産を取り巻く諸制度等が異なりますことから単純な比較はできませんが、また高金利によるものか否かの判断とか、そういうところは困難なところがございますが、こういった統計や懇談会における各種ヒアリングによりますと、米英におきましても多重債務問題は存在しているのではないかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/200
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201・大門実紀史
○大門実紀史君 まだあれですか、そのもっと詳しい発生の原因とか金利がどうなっているかとか、そういうことまでは、そういうことも幾つかお調べになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/201
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202・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) いろいろ各国によりましてその金融制度あるいは司法の制度等異なりますので、単純な比較というのはなかなか困難なところがあるところは御理解いただきたいと思います。
私ども、いろいろな各種データから、破産件数、そういったものを人口比で割るとか、そういった工夫をいたしますと、今言ったように、アメリカであれば人口比で日本の倍以上、イギリスの場合にはそれよりは少ないんですが、やや最近増加傾向といったことが見て取れるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/202
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203・大門実紀史
○大門実紀史君 そうしたら、逆にドイツ、フランスですが、これは調査行かれたわけじゃないと思いますが、資料あると思いますんで、ドイツ、フランスについて、この二つの国では上限金利がどういうふうになっているか教えてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/203
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204・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) ドイツでございますが、上限金利につきましては、これは判例上でございますけれども、市場貸付金利の二倍、それともう一つは、市場貸付金利に一二%を加えた率、このいずれかの低い方とされていると承知しております。
フランスの場合には、上限金利は金融機関による与信の平均利率に連動して変化するという具合に承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/204
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205・大門実紀史
○大門実紀史君 ドイツ、フランスの最新の上限金利というのはお分かりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/205
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206・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) ドイツの場合には、これは現在の市場貸付金利ということから推計しますと一〇%台の後半ということではなかろうかと考えております。
フランス、これは二〇〇六年の第一・四半期における状況でございますけれども、これは千五百二十四ユーロ、ここの上限で変わってございまして、それ以下の貸付けの場合には一九・六七%、これを超えるリボルビング、当座貸越し、割賦販売、こういった場合には一七・三七%、それ以外の個人向けその他の貸付けの場合には七・八九%とされていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/206
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207・大門実紀史
○大門実紀史君 日本は市場金利の方はドイツ、フランスに比べて低いのに、ドイツ、フランスはこの上限金利は一〇%前後日本よりも低いわけですね。大体、ドイツが一八パーぐらいですかね、フランスが二〇パーぐらいですね、一九・六七ですからね。日本が二九%ですから、一〇%前後低いわけでございます。公定歩合で見ると、日本が〇・一換算になります。ドイツ、フランス、二・二五でございます。ドイツ、フランスが二・二五ですね。例えば、長期国債の金利で見ますと、十年物ですけれども、日本は一・五ですけれども、ドイツは三・三と、非常に調達金利が日本よりも高いのに、上限金利は、これ市場金利と連動でございますけれども、低いわけでございます。こういう調整がきちっとされていると。まあ一八%、一九%がいいとは言いませんが、日本よりはいろいろ上限金利に制限があるということだというふうに思います。
イギリス、アメリカの例、取り上げる時間ありませんでしたけれども、非常に対照的な、イギリス、アメリカとドイツ、フランスは対照的で、日本はまた独自のグレーゾーンがあって、違う事態が進んでいるということでございます。
こういう外国のいろんなものをもっと分析されていって、今後そういう高金利被害が少なくなるように金融庁としても研究努力をお願いして質問を、ちょっと早いですが、終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/207
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208・糸数慶子
○糸数慶子君 無所属の糸数です。
私は、無認可共済についてお伺いしたいと思います。
まず、本年四月からの改正保険業法の施行によりまして、無認可共済は通常の保険会社若しくは少額短期保険業者のいずれかに移行することが義務付けられることになります。
実は、昨年来、無認可ではありますが、まじめに自主的に健全運営されている共済の各団体や、これに加入されている人たちからも数多くの要請文が届いております。また、金融庁の方にも何度も陳情に行かれたと聞いておりますが、それは一言で申しますと、自主的に健全経営している実績ある共済は適用除外にしてほしい、あるいは消費者保護の名目で保険業と同列にみなして一律に規制することは法改正の趣旨に反するのではないかというものでございます。
三月十日に法律の施行期日を定める政令、改正施行令の政令が公布されていますが、これらの政省令については、金融庁では十二月の二十八日から一月の二十七日までこれはパブリックコメントを求めて、三月九日にコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方を発表されていることは私も承知いたしております。
金融庁としては、これらの多くの共済の皆さんの懸念を払拭できたというふうにお考えでしょうか、御答弁お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/208
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209・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) お答えいたします。
保険業の定義からの除外を要望されております共済団体の方々とは、これまでも繰り返し面談を重ねまして継続的に御意見や御要望を伺ってきたところでございます。
その中で、一つは昨年、保険業法を改正し、およそ保険の引受けを行う者につきましては、その契約者を保護し、健全な運営を確保するために必要な規制の対象とすることとしたこと、次に、こうした法改正の趣旨からすると、新たな改正保険業法の対象となる団体には必要な対応を取っていただくことになること、移行に当たりましては私どもとしてもよく御相談に乗ってまいりたいという具合に考えていることを繰り返し御説明してきたところでございます。
今後とも、こうした皆様方が新制度へ円滑に移行し、契約者保護等が図れますよう、それぞれの事情をよく伺いながら相談に乗ってまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/209
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210・糸数慶子
○糸数慶子君 今お答えございましたが、この政令公布後も要請は続いているわけでして、これは懸念が払拭されたとは言えないというふうに思います。
次に、知的障害者の入院互助会や、様々な問題から一般の保険に加入することのできない人々を支援する共済がありますが、このような共済は掛金の負担増などの問題によって少額短期保険業者に移行することが困難であるため、その存続が危ぶまれるという大変な深刻な状況に置かれているというふうに聞いております。
金融庁はしっかりと実態を把握されて、今回の施行令改正の中でこのことについて配慮されたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/210
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211・三國谷勝範
○政府参考人(三國谷勝範君) 知的障害者の互助会が長年にわたりまして有意義な活動をされてきたことは私どもも十分承知しております。
昨年来、互助会の方々からも面談などを通じまして継続的に御意見や御要望を伺ってきたところでございます。
これらを踏まえました上で、知的障害者の互助会に限りませず、現在共済を行っている団体の中には小規模に運営されているところもあることに配慮いたしまして、保険業法施行令改正におきまして、一つは、相手方とする者の総数が五千人以下の場合に、もう一つは、施行日から七年間、三つ目は、少額短期保険業者に係る最低資本金、純資産額、供託金につきまして、これを一千万円を五百万円とする、そういった経過措置を設けたところでございます。
こういった経過措置なども活用いたしまして、共済を行っている方々が新制度へ円滑に移行し、健全な運営と契約者保護等が図れますよう、今後ともそれぞれの事情をよく伺い、相談に乗ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/211
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212・糸数慶子
○糸数慶子君 御答弁いただいたとおりなら、どうして知的障害者の入院互助会の皆さんの御心配はほとんど解消されましたと言えないのでしょうか。
三月九日のコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方の「一、保険業の定義から除かれるもの関係」の中で、「民間の保険会社に相手もされず、自分達ではどうすることもできない知的障害者の入院互助会を本法律で規制することは、知的障害者の自立の手段を、社会的弱者の自立支援を促すとうたった政府自らが潰してしまうことになりはしないかと危惧している。保険業法施行令第一条の三に「知的障害者の入院互助会」を加えてほしい。」というその意見に対して、金融庁の回答は、「検討の結果、「保険業」の定義から除外することは困難と考えます。」という大変そっけないものになっていますが、それでは皆さんを納得させることはできないのではないかと思います。
今回の保険業法の改正は、悪質な業者を排除するのが目的であって、問題のない健全経営を行っている共済が円滑に移行できないということになれば、これはもう本末転倒になってしまいます。
この法律と直接関係ありませんが、実は沖縄におきまして模合というのが今でも多くの人々の間で盛んに行われています。これは一種の頼母子講みたいなものなんですが、沖縄ではユイマールというお互いに助け合っていく互助の精神というのがこの模合の中に生かされています。私は、この互助の精神、自治の精神を生かした共済に対しては規制を掛けないのがこの保険業法の一つの理念だと考えますが、与謝野金融担当大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/212
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213・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 各党の方と障害者団体の方、何度も金融庁に来られまして、保険業法の適用除外はできないかということを随分我々も検討いたしました。しかし、残念ながら、一律に法の網をかぶせざるを得ないという結論になりましたけれども、やはりその際、そういう仕事が成り立っていくために何ができるかということで、用意すべきお金一千万円を五百万円にしましょうとか、我々としてはできる限りの工夫をしたつもりでございますし、今後とも、そういう方々には申し上げてございますけれども、どういうことでも我々としては御相談に乗りたいと、こういうことを申し上げてきたところでございます。
そういう方々の主張されていることも私としては十分分かりながら、やむを得ない選択を取ったということを是非御理解をしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/213
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214・糸数慶子
○糸数慶子君 先ほども申し上げましたけれど、やはりこの保険業法の改正に関しては悪質な業者を排除するのが目的であって、本当に問題のない健全経営を行っている、共済が円満に行われているところに対するやはり温かい手を差し伸べていくということだけは是非今後とも協議をしていただきたいというふうに思います。
大臣はこれから別日程がおありのようでございますので、御退席をどうぞ、よろしくお願いいたします。
次に、米軍再編の問題についてお伺いいたします。
今、米軍再編協議の現状についてお伺いしたいと思いますが、去る三月の十二日に実施されました山口県岩国市における住民投票のその結果についてでありますが、その住民投票の結果は極めて重要な意味を持っています。在日米軍の再編協議が大詰めに入っているこの段階におきまして、岩国市の住民は、昨年十月に日米間で合意されました在日米軍再編協議の中間報告に対して明確に反対という意思を表示いたしました。
中間報告では、神奈川県の厚木基地の米空母艦載機が岩国基地に移転するということになっていますが、このような住民の命や財産を脅かし、その上、騒音など、日常の生活環境に影響を与える問題に対して、はいそうですかというわけにはいかないのです。事前の説明もなく、それを頭越しに決められたことに岩国市の井原市長は事の重大さから住民投票を決断したわけでありますが、これは当然だと思います。
既に御存じだと思いますが、この投票率が五八・六八%で、移転反対が四万三千四百三十三票、これは八七・四%を占めました。有権者数が八万四千六百五十九のその半数を超えたことになりますが、投票結果の法的拘束力はないものの、井原市長はこの結果を重く受け止めて、この移転案の撤回を求めたいと語っています。
そこでお伺いいたします。
在日米軍再編協議におきましては、現在、審議官級の協議が進められていますが、米側はこの住民投票の結果について承知していますか。もし承知しているのであれば、どのような反応を示されているのか、外務省にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/214
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215・梅本和義
○政府参考人(梅本和義君) お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘のように、岩国市におきまして、空母艦載機の岩国飛行場への移駐受入れをめぐり住民投票が行われたと、また反対多数の結果となったということにつきましては米側も承知をしております。
ただ、米側としては、本件はあくまでも日本の国内政治の問題である、国内調整の問題という立場でございまして、特段の反応というものを示しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/215
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216・糸数慶子
○糸数慶子君 では、この住民投票の結果について防衛庁はどう受け止められていらっしゃるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/216
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217・渡部厚
○政府参考人(渡部厚君) お答え申し上げます。
ただいまの御指摘の住民投票の結果につきましては、私どもも承知しているところでございます。
空母艦載機の岩国飛行場への移駐等につきましては、日本全体の安全保障、抑止力の維持及び地元負担軽減の面から是非とも実現しなければならない事案でございます。また、この事案が実施されることで直接影響を受けることとなる岩国飛行場周辺住民の生活環境は、滑走路が沖合に移設されるということもございまして、現状より著しく悪化することがないように十分留意しているところでございます。
そういうことでございますので、今後とも地元の皆様方にはこの事案の内容あるいはその必要性につきまして誠心誠意御説明し、御理解と御協力が得られるよう今後とも最大限の努力をしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/217
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218・糸数慶子
○糸数慶子君 岩国市の住民投票と同時に、沖縄県におきましても、県民の声を政府側に届けるために、三月五日に頭越し合意に反対する県民総決起大会が開催されました。総決起大会にはおよそ三万五千人の県民が参加いたしまして、この中間報告で示されましたキャンプ・シュワブ沿岸への新たな軍事基地建設に対して怒りを持って反対の意思表示をいたしました。昨日から今日にかけてましてその実行委員が今こちらに、防衛庁あるいは外務省、内閣府に申入れをしに来ております。
このほか、在日米軍の再編におきまして、米軍の配備やその訓練移転などで何らかの影響を受ける地方自治体のほとんどは反対の意思表示をしております。
このような状況下で三月末の最終報告を取りまとめることができるのでしょうか。その上、中間報告におきましては、最終報告に向け地元との調整を完了することを確約するという文言があるわけですが、この地元との調整、要するに、地元の同意を得て三月末までに最終報告を取りまとめることになっております。
そこでお伺いいたしますが、沖縄県民、そして岩国市の住民、さらに反対を明確にしているその他多くの地方自治体の住民の声について政府としてどのように認識されているのか、防衛庁の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/218
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219・渡部厚
○政府参考人(渡部厚君) お答え申し上げます。
在日米軍の兵力態勢再編につきましては、関係地方公共団体を含めまして、国民の皆様方の御理解なくして実行することは困難であると認識しております。
このため、昨年十月二十九日のいわゆる2プラス2共同文書発表の直後から、防衛施設庁長官ほかによりまして、また昨年十一月以降は、防衛庁長官を先頭に沖縄県を始めとしまして関係地方公共団体を訪問いたしまして、直接、同文書の内容あるいは方向性等について誠心誠意御説明してきたところでございます。現在は、国側からの説明というにとどまらず、関係地方公共団体の皆様方からいただきました御質問あるいは御要望につきまして誠心誠意御説明しているところでございます。
このような中、御指摘のように、沖縄県におきましては、普天間飛行場の移設に係る政府案については受け入れられない旨の、また岩国市におきましては、先般実施されました住民投票の結果、反対が大多数を占めるといったことなど、関係地方公共団体の厳しい御意見があることは私どもとしても承知いたしているところでございます。
他方、政府といたしましては、我が国全体の安全保障の体制をどのように確保していくかという立場と、地元の方々に対する負担軽減を図るという異なった立場があるわけでございますが、この二つの立場の良い接点をいかにつくり上げるかが必要であるというふうに認識しております。
いずれにいたしましても、2プラス2共同文書において示されました兵力態勢の再編につきましては抑止力の維持と地元負担軽減の観点からまとめられましたものでありますので、政府といたしましては、今月末の具体案の最終的な取りまとめに向けまして、関係地方公共団体等の御理解と御協力が得られるよう今後とも誠心誠意説明に努めながら、個別の施設・区域に関連する再編案が実現できますように最大限努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/219
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220・糸数慶子
○糸数慶子君 三月末とされている最終報告を延ばして地元との同意を最優先に考えるべきだというふうに思いますが、防衛庁、外務省はそれについてどのようにお考えか、再度お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/220
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221・梅本和義
○政府参考人(梅本和義君) お答え申し上げます。
現在、今月末までに在日米軍の兵力態勢再編についての具体案の最終的な取りまとめを行うということに向けまして、米側との協議を進めておるところでございますが、同時に、これは今防衛施設庁の方からも御説明もございましたが、関係する地元公共団体等の御理解と御協力を得るというために、引き続き誠心誠意説明に努めてきております。
まだ三月末まで時間がございます。私ども、最後まで、ぎりぎりまでこの努力を続けていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/221
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222・渡部厚
○政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。
これまでの経過につきましてはただいま御答弁させていただいたとおりでございますけれども、いずれにしましても、今月末の具体案の最終的な取りまとめに向けまして、関係地方公共団体等の御理解と御協力が得られますように、今後とも誠心誠意御説明に努めながら、個別の施設・区域に関連する再編案が実現いたしますように最大限努力していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/222
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223・糸数慶子
○糸数慶子君 今の御答弁を伺いましても、この現在の状況というのは国と地方との考え方に開きがあります。膠着状態に言わばあるわけですが、その主な原因はやはり国や政府にあると思います。
中間報告におきましては、その事前の説明は一切なく、小泉首相以下各大臣は、抑止力の維持と地元の負担軽減という矛盾する、容易には理解し難い答弁を繰り返してまいりました。そして、最終報告に向けては、誠心誠意説明に当たり、地元の御理解と御協力を得られるように努めたいと、これまたオウム返しの答弁であります。
このような答弁で地元の同意や理解、協力が得られるわけはありません。その象徴的な対応が沖縄県の稲嶺知事の沿岸案反対表明であります。
稲嶺知事は政府の頭越し合意に怒っています。当然とも言える対応であって、沖縄県を始めとして関係する地方自治体の住民は、日米間でどのような協議がなされているのか全く知らされておりません。マスコミ等の報道を通してしか知る由もない状況であります。その報道等についてただしても、協議中を理由に明らかにしていらっしゃいません。本来なら、米側はこのような意見があり、そして日本側はこう主張している、地元としてはどう考えるかという、誠意を尽くして説明する必要がないでしょうか。
最終報告の取りまとめに関しましては、安倍官房長官は地元の同意はなくても日米合意を優先させる旨の発言をしています。小泉首相や額賀防衛庁長官、麻生外務大臣は、誠心誠意御説明をして地元の御理解と御協力が得られるよう努力すると答弁していらっしゃいます。さらに、自民党の山崎拓安全保障調査会長に至っては、小泉首相と稲嶺知事とのトップ会談で決着をと発言していますが、地元にとってはそのような政府側の発言に翻弄されているというのが現状でありますが、そこで、改めまして防衛庁にお聞きいたしますが、現時点で在日米軍の再編協議の対象となる地方自治体に対してどのような誠心誠意ある説明をなさっておられるのか、その内容をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/223
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224・渡部厚
○政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。
若干繰り返しになるかと思いますけれども、まず、昨年十月二十九日の2プラス2共同文書発表直後から、防衛施設庁長官ほかによりまして米軍及び自衛隊施設が所在します関係地方公共団体を中心としました関係地方公共団体に対しまして、同文書の内容や方向性等について御説明いたしました。その後、昨年十一月以降は、防衛庁長官、副長官及び政務官がそれぞれ関係地方公共団体を訪問いたしまして、直接首長さんたちに対して同文書の内容あるいは方向性について御説明を行ったところでございます。
それで、関係地方公共団体の首長の方々からは、我が国全体の安全保障の体制については全般的に御理解をいただいているところでございますが、これ以上の負担を増やさないように努力してほしいといったような御要請をいただいているところでございます。
また、こうしたほかにも、地元からの御要望を受けまして、市町村議会の全員協議会でありますとか、あるいはその自治体の地区の皆様方でありますとか、いろいろな機会をとらえまして御説明を行っております。
また、あわせて、関係地方公共団体の皆様からいただきました御質問あるいは御要望につきましても誠心誠意御回答をしているところでございます。
なお、これらの地方公共団体からいただきました御質問に対する回答等につきましては、いわゆる地元の説明の状況でございますが、これにつきましては私どものホームページに掲載させていただきまして、広く国民一般の方々にもごらんいただけるようにしているところでございます。
いずれにしましても、今月末の最終的な取りまとめに向けまして最大限努力していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/224
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225・糸数慶子
○糸数慶子君 それでは、新聞報道等による具体的なその事項や案件、中身についてお聞きしますが、まず確認しておきたい重要な点は、九九年の十二月に閣議決定されました辺野古沖案、要するに従来案を正式に断念し、中間報告で示された沿岸案を四月を目途に閣議決定するというような政府方針が報道されていますが、稲嶺知事が苦渋の選択をし、受入れ条件とした軍民共用空港、十五年使用期限は白紙撤回されることになるのでしょうか。外務省、防衛庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/225
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226・梅本和義
○政府参考人(梅本和義君) 今、報道についての御質問がございましたが、御指摘のように、閣議決定を行うということで政府として調整を進めておるというような事実は現在ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/226
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227・糸数慶子
○糸数慶子君 今朝の新聞にも出ておりましたけれども、そのような事実は承知していないということでございますね。
では、具体的にお伺いしますが、この具体的な今基地問題の中身として、例えば那覇軍港と牧港補給基地、キャンプ・キンザーですね、それにキャンプ桑江の三施設の全面返還は合意されたのでしょうか。沿岸案とのパッケージではなく、個別に三施設の全面返還を合意されたということですか。これは防衛庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/227
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228・金澤博範
○政府参考人(金澤博範君) お答えいたします。
2プラス2共同文書におきましては、抑止力の維持と地元負担の軽減につき全体として実現を図るということを統一的なパッケージという言葉で表現しているわけでございます。統一的なパッケージの中には、土地の返還ですとか普天間代替施設の設置、あるいは在沖海兵隊のグアム移駐の検討の具体案等が含まれるわけでございます。
現在、米側と鋭意、嘉手納以南の主要基地につきましてできるだけ多く返還してくれという折衝をしておりますけれども、具体的に固まってそれが合意されたということではございません。引き続き協議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/228
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229・糸数慶子
○糸数慶子君 次に、在沖米海兵隊の司令部要員を含む八千人のグアムへの移転とその移転費用についてお伺いいたします。
当初、この移転費用がおよそ七十六億ドルとされておりました。その後八十億ドルとなり、さらに米側は約百億ドルと算定しています。二〇〇六年度予算案の換算レートで約一兆二千百億円に上る多額な移転費用になっております。
外務省にお伺いしますが、外国の軍隊が移転することに際して、その当事国が移転費用を負担した例はございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/229
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230・梅本和義
○政府参考人(梅本和義君) お答え申し上げます。
我が国として第三国間の他国での事例について確定的に申し上げるような立場にはございませんが、そういう前提であえて申し上げますと、今私ども承知している範囲で、米国とその同盟国との間で、御指摘のような軍隊の海外移転に伴い受入れ国、駐留の受入れ国が移転費用負担をしたという、そういうような例はないというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/230
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231・糸数慶子
○糸数慶子君 実は、西ドイツにおいて一九九〇年にソ連軍の東ドイツからの全面撤退に際して、その費用として当時の金額で一千六百億円を負担しています。その負担は旧ソ連への経済的な援助も含まれていますが、この撤退費用と今回のような米軍の移転費用と同じように見るのは問題があると思います。
そこで、谷垣大臣にお伺いいたしますが、この多額な移転費用を日本側が全額負担するのですか。率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/231
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232・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今まで御議論がありましたように、三月末の取りまとめに向けて防衛、外交当局、今努力をしておられる最中で、まだ何もこの件に関しては決まっておりません。したがって、経費負担について私の立場から今コメントを申し上げることはございません。
いずれにせよ、去年の秋のいわゆる2プラス2の共同文書で日米両国で適切な資金的その他の措置を見いだすための検討を行うとされておりますので、今後、そういった議論が詰められなければならないという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/232
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233・糸数慶子
○糸数慶子君 最後に申し添えておきますが、政府は在日米軍再編に関して、その推進を図る上で在日米軍再編推進法案も念頭にあると聞いております。
米国側は、今回の在日米軍再編に関しては、すべてが一つのパッケージだと主張しています。要するに、この沿岸案は、グアムへの移転そして基地の整理、縮小はすべてパッケージだということで、この点が問題であるということを指摘いたしまして、私の質問は終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/233
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234・池口修次
○委員長(池口修次君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/234
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235・池口修次
○委員長(池口修次君) 平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する等の法律案及び国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/235
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236・中川雅治
○中川雅治君 自由民主党の中川雅治でございます。
まず、平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に関連して質問させていただきます。
十八年度予算案では、新規国債発行額を三十兆円を切る水準としたことは高く評価しています。しかしながら、公債依存度は三七・六%、国と地方を合わせた長期債務残高のGDP比も一五〇%を超えるなど、諸外国と比べて我が国の財政は依然として厳しい状況にあります。
そこで、まず財政健全化の目標に関連して幾つかお尋ねいたします。
政府は、二〇一〇年代初頭に国、地方のプライマリーバランスの黒字化を目指しているわけですが、さきに内閣府が「改革と展望」の参考試算として示した試算によれば、二〇〇二年度から二〇〇六年度のプライマリーバランスの改善幅はGDP比で年平均〇・五%から〇・六%であり、この改善ペースで推移すれば二〇一一年度にプライマリーバランスは黒字化することとなるとあるわけでございます。
私は、二〇〇二年度から二〇〇六年度のプライマリーバランスの改善幅がGDP比で平均〇・五%から〇・六%となったというのは小泉内閣の構造改革の成果だ、谷垣財務大臣の御努力の成果だと言ってもよいと思うのでありまして、これは実額で示して、もっと国民にPRした方がよいと思います。
二〇〇二年度から二〇〇六年度までの小泉政権の五年間でプライマリーバランスの赤字額は実額で、パーセントじゃなくて、実額で幾らから幾らへと幾ら改善したのか、お示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/236
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237・齋藤潤
○政府参考人(齋藤潤君) まず、二〇〇二年度の基礎的財政収支について申し上げます。
国が二十六・三兆円の赤字、地方が一・五兆円の赤字でございまして、国、地方合わせて二十七・八兆円の赤字となっております。また、二〇〇六年度の基礎的財政収支につきましては、「改革と展望」の参考試算におきまして、国が十六・五兆円程度の赤字となるのに対しまして、地方が二・一兆円程度の黒字となり、国、地方合わせますと十四・四兆円程度の赤字になると見込んでおります。
したがいまして、五年間の収支改善幅で申しますと、国が九・八兆円程度、地方が三・六兆円程度、国、地方を合わせますと十三・四兆円程度となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/237
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238・中川雅治
○中川雅治君 今お示しいただきました国、地方合わせて十三・四兆円という改善幅は小泉政権の成果だと言ってもよいのでありまして、小泉政権になって国と地方の長期債務残高が増えたことばかり指摘する方がいるわけですが、政府はこうしたプライマリーバランスの改善額をもっとPRした方がよいと思います。
次に、内閣府の試算では二〇一一年度にプライマリーバランスの黒字化を達成する試算をしていますが、その試算の二〇一一年度のプライマリーバランスの姿を見てみますと、国はGDP比で〇・八%の赤字なんですね。地方が〇・八%の黒字となっておりまして、国と地方合わせて確かにプライマリーバランスは均衡することになっているものの、まあ言ってみれば地方頼みの黒字化達成であると言ってよい状況だと思います。
もちろん、その二〇一一年度黒字化というのは、単に今までのペースで改善が進んだ場合にそうなるというだけであって、政府は二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字化を達成するということを目標としていることはもちろん承知しているわけでございますが、こういう試算がありますと、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化という目標は、どうも国だけではやっぱり赤字で、地方頼みで何とか実現しようとしているんじゃないかというように思ってしまうわけであります。二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス黒字化っていう場合に、やはり国はどれだけ頑張るのか、そこを詰めて示していかないと、国はこういう事情があってなかなか難しい、地方の方でもっとやってもらいたいと、こういうようなことになってしまうおそれがあると思います。
そこで、谷垣財務大臣にお尋ねいたします。
二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス黒字化という場合、国分で見るとどうなっているのか、あるいは国だけで見るとプライマリーバランス黒字化達成はいつを目標としているのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/238
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239・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、中川委員おっしゃいましたように、二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支を国、地方合わせてバランスを取るということを目標に今やっているわけですが、国と地方、個別に目標というものは立ててないのが現状でございまして、内閣府が一定の前提の下に試算をしていただいた、二〇一一年に国、地方合わせてバランスを取るという場合に、国はまだマイナス〇・八%と、御指摘のとおりでございます。
やはり国と地方がそれぞれどういう役割分担をして具体的にプライマリーバランスを回復していくかというきちっとした目標を設定するということは、それぞれの努力なりあるいは役割分担というものを明確にして今後の道筋をきちっとすると思いますので、今はございませんけど、私はそれは必要だと思っております。
今、与謝野大臣の下で歳出歳入一体改革の議論を進めておりますが、そういう中で委員が今示唆されたような目標をきちっと形作れないかどうか、議論を進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/239
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240・中川雅治
○中川雅治君 ありがとうございます。
二〇一一年度にプライマリーバランスが黒字化するという試算がありますと、それは国と地方合わせてなんですけれども、ちょっと聞いただけでは、このままの改善努力を続けていけば国だけでもこのプライマリーバランスの黒字化が達成できるんじゃないかというような、そういうふうに誤解される向きもあると思うんですね。なかなか国、地方合わせてというところを前提としてしっかり頭に入れていないで、プライマリーバランスの均衡というのはこのままの努力を続けていけば二〇一一年度に達成できるんですよと言うと、ああそうか、意外に簡単なんだなというふうに思う向きもあると思います。
そこで、それは国について言えば大いなる誤解ということになるわけでありますので、私はやっぱり、今大臣からも御答弁いただきましたように、国として達成すべき分というものをきちんと策定していく必要があると思います。
そこで、例えば国のプライマリーバランスを二〇一一年度に黒字化するには、要調整額、すなわち財政改善努力の必要額は幾らになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/240
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241・齋藤潤
○政府参考人(齋藤潤君) 「改革と展望」の参考試算におきまして、二〇一一年度に国と地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を達成するケースというものと、それから具体的な方策として決定された以上の追加的な財政収支改善努力が行われないケース、この二つにつきまして、国、地方別の基礎的財政収支を試算しております。
それによりますと、まず国と地方合わせた基礎的財政収支の黒字化を達成したケースでございますけれども、これにおきましては、二〇一一年度の基礎的財政収支、これが国で四・九兆円の赤字になる一方で、地方で五・〇兆円の黒字、合わせて〇・一兆円の黒字になるという結果になっております。
また、追加的改善努力が行われないケースにおいては、同じく二〇一一年度の基礎的財政収支が国で十五・三兆円の赤字である一方、地方で〇・四兆円の黒字、合わせまして十四・九兆円の赤字になるという結果になっております。
したがいまして、こうした試算に基づいて考えますと、国の基礎的財政収支を均衡させるために解消しなければならない赤字幅ということで申しますと、黒字化を達成したケースでは四・九兆円、追加的改善努力がない場合には十五・三兆円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/241
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242・中川雅治
○中川雅治君 今お示しいただきましたような大変大きな額の改善をしていかなければ二〇一一年度について国の方は黒字ということにならないわけでありますので、そこのところはこうした試算を示すときにもしっかりと誤解を招かないようにしていただきたいというふうに思うわけであります。
プライマリーバランスが黒字となるということは、財政健全化の目標といたしましてはこれは大きな一里塚だと思います。プライマリーバランスの均衡により、現世代の受ける受益や行政サービスの負担を将来世代に先送りすることなく現世代で負担することになるわけですから、プライマリーバランスの黒字化はまず是非とも達成しなければならないというふうに思います。
しかしながら、金利が成長率を上回れば、プライマリーバランスが均衡又は若干の黒字になっても公債発行残高の対GDP比率というものは拡大していくおそれがあるわけであります。それからまた、利払い費に加えて債務償還費まで税収で賄っていかない限りは、これは公債残高は増大し続けるということになるわけであります。したがって、私は、この二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化というのは財政健全化の第一歩にすぎないというふうに思いまして、やはり次の目標がどうしても必要だというふうに思います。
財政再建とかあるいは財政健全化という言葉はよく使われるわけですけれども、どのような状態になったら財政再建が達成されたのかという、そういうふうな問題でもこれはあると思います。
本日開かれる経済財政諮問会議で、民間議員の方から、二〇一五年度にプライマリーバランスをGDP比で二%黒字にするとの目標を設定するよう提案があると報道もされておりますし、私もそのように聞いているわけでございます。
いろいろな目標の設定の仕方があると思いますが、私は、例えばEU諸国の通貨統合のための経済条件であります長期債務残高のGDP比六〇%というのも一つの参考になると思います。
ただ、これはもう、我が国にとってはもう夢のような目標でございまして、いきなりオリンピックで金メダルを取ることだと、これが目標だと言うようなものだと思いますので、これは非常に正に理想といいますか、そういった非常に大きな目標だろうとは思いますけれども、やはりそのプライマリーバランスの黒字化ということの次の政府として目指すべき財政健全化の目標や達成時期を示すことは必要だというふうに思います。この点についての谷垣大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/242
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243・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、中川委員のおっしゃったこと、私、全く賛成でございます。
二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支を回復すれば、その年のいただいた税金でその年の政策は打つことができる。その限りにおいてツケを後の世代に先送りしないような形は取れるということでありますが、それは今までの借金と金利払いを全く、一応度外視しておいてということになるわけでございますから、今よく議論がございますように、今後、名目金利の方が常に名目成長率より低いという状況が仮にあるとすれば、そのままほうっておいてもだんだんGDP比に占める借金の割合が減っていくということになりますけれども、なかなかそんなことを望めるわけではないといたしますと、やっぱり何らかの目標を設けて、発散しない、GDP比でどんどん増えて金利が更に金利を呼んでいくという状況を防がなければならないと私は思っております。
したがいまして、今後、国債残高のGDP比をどう抑えていくかという目標をつくる必要があるのではないかと思っておりまして、それはプライマリーバランス一定の黒字というものをやっぱりつくっていって、だんだんGDP比を引き下げていくというようなことが何か必要ではないかと。委員がおっしゃいましたように、恐らく今日の経済財政諮問会議で民間議員から何らかの御提案があるというふうに私も思っておりますので、今後十分議論をいたしまして目標というものを定めていかなければいけないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/243
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244・中川雅治
○中川雅治君 次に、内閣府の試算によれば、二〇一一年度にプライマリーバランスの黒字化を達成した場合の二〇一一年度のマクロ経済の姿によれば、名目成長率は三・二%、名目長期金利は三・九%となっております。ですから、実際には、この数字が違ってきますと二〇一一年度のプライマリーバランス黒字化は無理になる可能性も大きくなるわけであります。
本年六月をめどに示される予定の歳出歳入一体改革に関して、将来の財政の姿を俯瞰する上でキーとなる成長率と金利について、それらの関係をどのように考えるかについては議論のあるところでございます。したがって、歳出削減、増税の選択肢を示す場合には、前提としての成長率と金利について複数の組合せで示すことが必要と考えますが、谷垣大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/244
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245・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、中川委員がおっしゃるような方向で、今、与謝野大臣の下で幾つかの選択肢を示し、工程表も作ろうということで作業をしているわけでございます。金利と成長率の関係というのはどう見ていくかというのは、中川委員のおっしゃるようにいろんな議論があるところでございますけれども、過去の推移を見ると、どちらかが常に高くなるとか常に低くなるというものではないと思っておりますが、近年では長期金利が名目成長率を上回る傾向があるということは留意しておく必要があるのではないかと思っておりまして、その辺りの幾つかのやはり姿、これからの可能性というものを前提に置いてきちっと対応できるような作業をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/245
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246・中川雅治
○中川雅治君 ありがとうございます。
これから、実際の経済財政運営では金利が成長率を大きく上回ることのないように、政府、日銀は一体となって努力していかなければなりませんが、量的緩和政策の解除後の日本銀行の運営に注文を付けることがあればおっしゃっていただきたいと思います。
また、財務省の国債管理政策、現状大変うまくいっていると考えておりますけれども、この国債管理政策は、これから金利の動向が非常に微妙な状況になってまいりますとますます重要になってくると思います。一昨年十月には、諸外国においても国債管理政策の策定、執行に重要な役割を果たしているプライマリーディーラー制度の日本版である国債市場特別参加者制度が導入されまして、これまで四十年の長きにわたり国債の安定消化に重要な役割を果たしてきた国債シンジケート団、いわゆるシ団が廃止されることになったわけであります。こういうことになりますと、ますます長期金利が急上昇することのないように、国債管理政策というものが重要になってくると思いますので、日本銀行への注文と同時に、国債管理政策に対する谷垣大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/246
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247・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 日本銀行は、金融政策決定会合の中でいろんなことを議論されながら適切に御判断されるというふうに思っているわけでございますが、今般の量的緩和政策の解除の際に、日本銀行から、当面、長期国債の買入れ額は現状を維持するという旨の御発表がございまして、これは、日銀におかれましても長期金利にも目配りをして金融政策を運営をしていくという姿勢を示していただいたものと受け止めております。今後とも、この長期金利を含む市場全体の安定ということに配慮をしていただいて、適切な金融政策運営を行っていただくことを期待しているわけでございます。
一方、今、中川委員おっしゃいましたように、現在の多額の国債残高の現状を踏まえますと、私たち財務省としても国債金利の上昇による利払い費の影響等々については細心の注意を払う必要があると思っております。
そのための第一は国債に対する信認を確保していくということだろうと考えておりまして、それはやはり財政規律に対して日本政府はきちっと取り組んでいると、財政規律をきちっと追求しているということだろうというふうに思っておりまして、その点については、歳出歳入一体改革の今の経済財政諮問会議の取組というのは大きなものでございますので、その中でひとつ、はっきりと国債に対する信認も取り付けられるような、そういう道筋を示していきたいと思っております。
その上で、国債管理政策について、これは中川委員も随分今まで情熱を傾けられたわけでございますが、近年の国債管理政策のいろいろな取組の変化、新しい手法を入れたことについてお触れになりました。
国債の安定消化を図るという観点からいたしますと、一つ大事なことは、市場との対話を十分に行いながら市場のニーズ、動向を踏まえた国債発行をしていく、発行計画を立てていくということだろうと思いますし、それから日本の国債保有というのはやや国等の機関に偏っている面がございますので、国債の保有というものをもう少し多面化していくと申しますか、そういう努力が必要だろうと思っております。この辺りは、マーケットのニーズもにらみながら商品設計等もしながら保有者の多様化を図っていくということに取り組む必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/247
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248・中川雅治
○中川雅治君 ありがとうございます。
今大臣も御答弁されましたように、国債管理政策としては、国債に対する信認を取り付けていくと、信認が低下しないようにしていくということが大事である。同時に、大臣も今国債の保有者の多様化を進めるというお話がございました。
そこで、今おっしゃいました国債の保有の多様化についてでございますけれども、今国債については、市中金融機関がおおむね三分の一、郵貯、簡保がおおむね四分の一を保有していると。一方、個人投資家や海外投資家の保有割合を高める施策を財務省の方では既に講じてきていることは私も承知しております。
やはり安定消化という意味では、あるいは国債市場の安定という意味では、多様な投資家が保有をしている、特に個人投資家の保有比率は日本の場合非常に低いわけですから、ここをもっと高めるためにいろいろ魅力ある商品を市場との対話を通じながら作り出していくという努力、これはもう今までも続けてきておられるわけでありますが、今後ともそうした努力が必要だろうと思います。
ただ、海外投資家に対して、どんどん、どんどんということもないんでしょうけれども、より販売を強化していくという動きに対しましていろいろ異論も私、直接聞くことがあるわけなんですね。特に、海外投資家向けということで、財務省では昨年一月から国債に関する海外説明会を開始し、これまでに三回、欧、米、アジアの主要都市において実施していると聞いているわけでございます。
これに関連して、ちょっと例が良くないのかもしれませんが、国債というのは国内で消化していれば、家庭の中で妻が夫から借金をしているようなものなんで問題はないと。他人から借りる、隣の家から借りたり親戚から借りるとその家庭が崩壊するというか破綻するというようなもんだと。
国内で千四百兆貯蓄があるんで、ここに消化をしていただいていれば問題はない。しかし、その千四百兆というのもこれからどうなるのか、貯蓄率どんどん落ちていますから、私はここのところは非常に不安なんですけれども、海外にどんどん持ってもらうと、これは財政規律の面からも問題ではないかという意見も見られるわけであります。
ですから、ここは財務省が海外投資家に対し国債保有の促進を図っておられるその意義、趣旨をきちんと説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/248
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249・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) 今お話がございましたように、我が国では銀行等の金融機関の国債保有割合が高く、個人や海外部門等の保有を促進することはいろいろ御意見、御異論あることも承知しておりますが、財務省としては国債の安定的な消化に資することになるというふうに考えております。国債の保有者層を多様化するということが、いろんな意味でのリスクを分散することになるというふうに考えております。
そういった観点から、そういった考え方に基づきまして、昨年一月以降、三度にわたりまして、ヨーロッパ、アメリカ、アジアにおいて国債に係る海外の説明会、いわゆるIRを実施するなど、海外投資家による国債保有促進を全力を持って図っているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/249
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250・中川雅治
○中川雅治君 次に、今回の公債特例法案では、財政融資資金特別会計の金利変動準備金から十二兆円を国債整理基金に繰り入れ、国債残高を圧縮することとしておりますが、この点について質問をしたいと思います。
財政投融資につきましては、平成十三年度の財投改革により、それまでの郵貯、年金から受動的に資金を受け入れる仕組みを廃止いたしまして、つまり郵貯、年金から当時の資金運用部に預託をするという仕組みを完全にそこで廃止をしたわけであります。経過措置は残っているわけですが、正に受動的に資金を受け入れる仕組みは廃止をした。真に政策的に必要な資金のみを財投債により能動的に調達する仕組みに改められたところであります。この改革によりまして、特殊法人等の見直しの成果と相まって、毎年度の財投計画はスリム化していきまして、十八年度の財投計画は、ピーク時である平成八年度の約四割の水準にまで縮減しております。
今回の十二兆円の繰入れは、財政融資資金特別会計が金利変動に備えるために積み立ててきた金利変動準備金から行われるものでありますが、こうした繰入れが可能となった背景には、財投改革の結果、財投の規模のスリム化が進んできたことがあると思います。全体の規模が縮減したことから、金利変動に備えるための必要額を他に振り向ける余力が出てきたわけであります。言わば、財投改革によるスリム化の成果がこの十二兆円の繰入れによる国債残高の縮減という形で結実したと言ってもよく、今般の措置は小泉構造改革の先駆けとしての財投改革の成果であると評価をしております。
しかしながら、十二兆円というのは腰だめで、金利変動準備金二十四兆円の、単にそれを二分の一としたものにすぎないんではないかとか、十二兆円よりもっと多く拠出できるんではないかといった声があるわけですけれども、実際はどうなんでしょうか。
私は、もちろん特別会計に余剰資金を残すべきでないと思っておりますが、他方で、財政融資資金が、利ざやを取らずに独立採算で民間では成し得ない超長期固定の政策融資を行っていることにかんがみれば、その金利変動といいますか金利リスクに備えた十分なバッファーを持つこともまた重要であると思っております。
調達より運用の方が期間が長いわけですから、今の低金利局面では利益が出ておりますが、今後金利上昇局面に入ったらどうなるのか。高い調達コストを払いながら低金利の運用に甘んじなければならず、赤字が累積していく可能性があるわけなんですね。
金利変動準備金というのは、正にこうした事態に備えて今生じている利益を積み立てているものであります。
我が国の長期金利の推移を見てみますと、一九七八年十月から一九八〇年四月までの一年六か月で長期金利は四・八%上昇しております。一九八〇年四月から一九八二年三月までの一年十一か月で三・四%下落しているわけです。また、一九八七年五月から一九九〇年九月までの三年四か月で長期金利は五・九%上昇しているんですね。一九九〇年九月から一九九四年一月までの同じ三年四か月で五・七%下落しているわけであります。
ここのところ非常に長期にわたって一%台の長期金利が続いておりますので、このような金利変動が起きる可能性というものを実感として余り考えないという状況になっているんではないかと思うんですね。ですから、二十四兆円も金利変動準備金を積み立てる必要はない、拠出額は十二兆円では少ない、もっと出せと、こう言っている人もいるようでありますから、ここはきちんと説明していただきたいと思います。
要するに、財政融資資金特別会計においては、今後どのような金利変動までは耐えられるものとしてどのくらいの金利変動準備金が必要なのか、今回拠出する十二兆円の根拠は何か、さらに今後の拠出の見通しについてどう考えているのか、谷垣大臣より御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/250
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251・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) このたび財融特会の積立金、金利変動準備金のうちから十二兆を国債の償還に充てようということで財政再建に使わしていただくことになったわけですが、それができるようになりましたのは、中川さんが正に設計図を引いて苦労された財投改革の成果、そして財投が最盛期の四割ぐらいの水準までスリム化をしてきたということで、金利変動準備金に余裕が出てきたということが背景に私はあると思っております。その上で、今二十三兆強、今までありました十二兆を出していこうと。
これはどういう考えかといいますと、今まで議論していただきまして、大体その金利変動に耐えられるように設計をしなければいけないわけですけれども、そうすると大体総資産の千分の百までは金利変動準備金を積み上げろというのが私ども審議会からいただいていた基準でございます。
それで、ちょっと私は数字がよく頭に入っておりませんが、この十二兆を出すまでは千分の七十幾つまでためておりましたが、先ほど申しましたように全体の圧縮から見てここまでは出せるだろうというので十二兆出すと千分の五十三に今度なりまして、それで審議会の方からはここまでがぎりぎりであろうという御評価をいただいております。
ですから、これ以上なかなか出すというわけにはいかないということであろうと思っておりますが、千分の百というのはどういう想定でできてきたかということを申し上げますと、今までの二十年ぐらいの間の金利変動というものを例に取りまして、一番大きいときはやっぱり八%ぐらいになるだろうと、そういう二十年ぐらいの間の循環でどれだけのリスクに耐えられるかというシミュレーションを行いまして、千分の百までやはり必要ではないかという結論を出していただいたわけでございます。
ですから、中川委員のおっしゃるように、今のような歴史的低金利といいますか、ゼロ金利の局面でありますと、八%というようなことはちょっと想像が付かない世界にもうなっているわけでありますが、今までの二十年間ぐらいのいろいろな推移を見てみると、そういうようなことはやはり現実に起こり得る可能性があるわけでございまして、やっぱりそれだけのバッファーを持っておかなければいけないということだろうと思います。
他方、民間の保険会社等々がそれだけの金利変動準備金は積んでないじゃないかと、余りにも厚い変動準備金の積み過ぎだという御議論もございます。この点に関しましては、先ほど委員が指摘されましたように超長期で貸しているというようなことに加えまして、民間の保険会社等は資本というものがございまして、金利変動に対してやはり十分耐えられる形を持っているわけでございますが、財融特会にはそういうものがございません。
そういう比較で申しますと、これはいろんな、保険会社等々いろんなところがございますが、千分の百より積んでいるところはたくさんあるわけでございまして、私どもの今の現在の千分の五十三というのはまだまだ努力をしなければならない水準であるというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/251
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252・中川雅治
○中川雅治君 ありがとうございます。
過去実際に生じた金利変動等を踏まえて十分な検証を行った上で金利変動準備金は千分の百まで必要だという結論を得たということでありますが、もちろん今の御説明で分かるわけでございますけれども、一般的にちょっと分かりにくいのは、結局、千分の百まで必要だと言っておきながら、今千分の七十ぐらいなんですね。それを十二兆出すと五十三ですか、まで下がってしまう。
ですから、普通千分の百まで必要だと、もう千分の百を超えることが確実だ、だからその分は拠出しましょうということであれば分かります。しかも、スリム化がこれから進んでいくんで、その辺を見通してこのくらいはということなんでしょうけれども、まだ達していないところに拠出をして、千分の百じゃなくてその半分ぐらいまでですね、ですから、審議会で千分の百までは必要だと言われた水準にほど遠い水準になるところで拠出をしているというところがちょっと分かりにくいんだと思うんですね。
ただ、これは、これからのスリム化によって余力が生じてくるということをかなり先取りしているということだと思うんです。ということは、これから一生懸命更にスリム化していかなければならないということにもつながるわけで、それこそ退路を断ってこれから更に一層財投のスリム化を進めていこうと、こういう決意にもつながるわけで、私は今回の拠出は非常に評価をしているわけであります。
ただ、もっと出せあるいは要らないじゃないか、これからも出せと、こういう、事情が分からないでこう言う方がいるわけなんですね。そんな、何かため込んでるんじゃないかというふうなことを思っちゃうんですね。
そこで、財政融資資金というのは、これは結局、繰り返しになりますけれども、調達より運用の方が長い、貸付けの方が長いわけでありますから、金利変動に非常に大きな影響を受けるわけであります。今は低金利局面がずっと続いてきていて逆に利益が出てたまっているんですが、今度はその逆の金利状況になりますと財政融資資金がどんどん赤字になっていく、赤字が累積していく。
しかし、そのときに一般会計から穴埋めしていいよと言う人はまずいないわけですよ。あのときに拠出したよと言って、それをまた返してくださいと言っても、これはもう絶対にそういうことは許されないと思うんですね。何やっていたんだと、必ずそういうふうに非難されると思います。これは私の長い間の経験でございます。
そこで、やはり必要な金利変動準備金は積み立てていくと、しかし将来の金利変動の予測が変わったり、あるいはスリム化が更に進んで余裕が出るということになることが見込まれる時点でまた拠出していくと、これは当然なんですが、そういった言わば独立採算の主体として責任ある運営をしていただきたいというふうに思います。
それでは次に、所得税法等の改正等に関する法律案に関連して質問をいたします。
これから歳出歳入一体改革の議論が本格的に始まるわけであります。消費税を含めた抜本的な税制改革の議論も始まります。私は、この過程で是非、株式譲渡益課税について考え直していただきたいと思います。午前中も峰崎委員から御質問がありました。税制の所得再分配機能が非常に落ちているという御指摘がありまして、私もこれは非常に問題だというふうに思います。
株式譲渡益は、昭和二十七年まで総合課税とされていたのが、昭和二十八年に非課税となったわけであります。しかしながら、昭和三十六年に、年五十回以上かつ二十万株以上の継続的取引から生ずる所得は総合課税となりまして、昭和六十二年にこの継続的取引の基準が年三十回以上かつ十二万株以上となったわけなんですね。以前は、一定の回数や株数を超えて取引したものについては申告により総合課税とする。つまり、累進税率に基づく高い税率により課税されていたわけであります。
ところが、平成元年度に課税ベースの拡大を図るとの観点から、株式譲渡益について原則非課税から原則課税へと変更になったんですが、総合課税の部分はなくなりまして、申告分離課税と源泉分離課税の選択制となったわけであります。この場合の源泉分離課税というのはみなし利益方式が採用されておりまして、言わば広く薄く課税することにしたわけなんですね。さらに、平成十一年度において申告分離課税への一本化が図られたわけであります。
その後も、上場株式等に係る譲渡益に対する税率の引下げや損益通算範囲の拡大を認める一方、特定口座制度を導入するなど、税務署に行かずに一般投資家が手軽に投資することを可能にする制度へと見直しが行われてきました。こういう税制改革は、バブル崩壊後、金融機関の破綻や不良債権問題の拡大等によって株式市場が冷え込みを続ける中で証券市場を支える大きな役割を果たしてきたことは事実だと思います。
ですから、この長い株式不況の時代においては、こういう税制改正というものも果たしてきた役割は大きいと思いますので、私はそこは評価をしておりますが、しかしながら、現在、ライブドア株の取引量を見ましても、いわゆる個人がインターネット取引でもうどんどん株式市場に参入をしてくる、またインターネット投資家がジェイコム株式の誤発注に乗じて二十億円もうけるというふうな、こういう報道もあるわけであります。そうしますと、上場株式等に係る株式譲渡益はすべて一〇%の分離課税となっている現状は、もう公平性の観点から看過できないというふうに思われます。
まず、ちょっと国税庁にお伺いしたいんですが、株式等の譲渡所得について、例えば一千万円以上、五千万円以上、一億円以上、五億円以上、十億円以上と、こういうふうに区切った場合、人員と総金額はどうなっていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/252
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253・石井道遠
○政府参考人(石井道遠君) 国税庁が毎年行っております申告所得税の標本調査というものがございます。これによりますと、平成十五年分でございますが、所得税確定申告書を提出して納税額のある方のうち、株式等の譲渡所得等のあった方は全体でまず十八万四千人おられます。金額は全体で八千八百九億円でございます。これを所得金額の階級別で見てみますと、一千万円以下の階級は、人員が約十三万七千人、所得金額で千六百五十六億円。それから、一千万円超五千万円以下の階級で見ますと、人員が約四万一千人、所得金額が二千三百十八億円。さらにその上の五千万円超、これ全体で一つでくくっておりますが、の階級では、人員が約五千人、正確に申しますと五千三百十人、所得金額が四千八百三十五億円となっております。
なお、五千万円超でさらに一億円以上、五億円、十億円という御質問でございますけれども、現在のKSKシステムにおきましては五千万円超ということで一括してくくっておりますので、そのような階級の把握は行っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/253
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254・中川雅治
○中川雅治君 今五千万円超ということで一くくりにしてその統計を取っておられるということなんでありますけれども、まあ五千万円超でも大変な譲渡所得の金額になっていますね。やはり、現在の株式市場の状況からすれば、株式等の譲渡所得につきましては、一億円以上、五億円以上といった区切りでも人員と金額をしっかり把握して公表すべきであると思うんですが、どうでしょう。国税庁は統計を改善して公表する意思はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/254
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255・石井道遠
○政府参考人(石井道遠君) 今先生御指摘のとおり、国税庁といたしましても近年におけるこの経済情勢の変化ですとか、あるいは株式の譲渡所得の申告状況を踏まえまして、今後、株式の譲渡所得の分布状況を改めて分析をして、御指摘のような高額な所得について更に詳細なこの分類による統計を作成、公表する方向で検討していきたいと思っております。
ただし、株式の譲渡所得についてこのような階級区分の変更を行うためには、先ほど申しました標本調査全体の集計方法、あるいは計数を集計するためのシステムの見直しということが必要でございますので、その所要の期間は必要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/255
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256・中川雅治
○中川雅治君 先ほど峰崎委員もおっしゃいました税務の統計を改善するという一環としてこうした改善もしていただきたいということをお願いしておきます。
それから、この問題に関連しまして、私は、インターネットでの取引を繰り返して短期間に何億円ももうけたり、誤発注に乗じてインターネット取引で瞬時にして巨額のもうけを得るなどは、これもはや貯蓄から投資へとか個人投資家の育成といったスローガンでは説明できない状況であると思います。また、デフレ経済の長期化や不良債権処理に伴う人的リストラの影響もあって、経済格差が拡大、固定化するのではないかとの指摘もあるところであります。ですから、確かに所得税は累進課税なんですけれども、こういう制度がそれを打ち消しちゃっているようなところもあるんではないかと思うんですね。
私が試算したところでは、例えば上場株の取引で二千五百万円の譲渡益を上げた者、これ独身の場合で計算しますと、二百四十万円の税金で済むのに対しまして、二千五百万円の給与収入の者、これも独身ですが、そうすると七百五十万円の税金、まあ約三倍もの税金を払わなくてはならないわけであります。ですから、この給与収入、もちろん事業所得も同じですが、それとこの株式の譲渡益との間には非常に大きな税金の負担格差があると。特に高額になればなるほどその格差が際立ってくるということであります。
で、その株式譲渡益課税の税率に係る優遇措置が来年末に期限を迎えるわけであります。ですから、今のこの一〇%、上場株式の一〇%の優遇分離税率というのは正に優遇措置でありまして、本来二〇%ということになっているわけなんで、財務省は恐らく二〇%に戻したいとも思うでしょうけれども。
私は、証券市場の大衆化を進めていく、せっかく活発してきた株式市場を冷え込ませないためにも、基本的にはこの優遇税率は維持していくと。しかし、他方で多額の株式譲渡益を得た者については、ぬれ手にアワとまでは言いませんが、不労所得という言葉もあるわけですから、公平性の観点からも相当高率の課税をしてしかるべきだと考えます。
ですから、諸外国の例を見ましても、例えばアメリカ、イギリスは株式譲渡益は総合課税となっていますし、フランスは一定限度を超えれば二七%の申告分離なんですね。ですから、上場株式について譲渡益が幾らになってもすべて一〇%分離というのは世界でも例がないんではないでしょうか。
我が国の場合、金融所得課税の一体化の流れがあるわけですし、午前中の大臣の答弁にもございましたが、事業所得が大きくなると、特に譲渡益をいつ出すかというのは、例えば非常に損をしてもう上がる見込みのない株を持っている場合にいつそれを売買して実現するかというのは、これはその個人の判断にゆだねられるわけですから、そういう意味で、事業所得が大きくなったときに株の売買を実施して意図的に損益通算をするというようなケースを起こさないためにも、私は分離課税は維持すると。これは仕方がないというか、あるいはそれでもまあいいんではないかと思いますが、大口の株式譲渡益については、分離課税の下でも幾らから幾らまでは何%というか、どんどん累進にしていくということなんですね。しかもそれは必ず申告分離にして公平性を確保すべきだと考えますけれども、谷垣大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/256
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257・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 中川委員から株式譲渡所得について今までの沿革も振り返った上で御提言があったわけでありますが、我々は近年、やはり少子化、高齢化の中で、金融資産というものは有効に活用しなきゃいけないということで、ですから貯蓄から投資へというようなことで五年間の時限立法で申告不要制度の中で税率を一〇%とする優遇措置をやってきたと。
そこで、今おっしゃった大口の株式譲渡益に対して累進的な高い税率を掛けていこうと。これは、確かに所得税、税制全体の所得再分配機能というものをもう少し発揮できないかという観点からいえば意味があるものでございますし、それから委員の御指摘にもありましたけれども、ある意味での課税の公平性というものにも意味があるのではないかとお聞きして感じたところでございます。
他方、今まで我々が追求してまいりました金融商品間の課税の中立性であるとか制度の簡素性、それからもう一つやはりあると思いますのは、海外への資本逃避の可能性と、こういった辺りもよく検討をしておかなければいけないことかなと思うわけでございます。
いずれにせよ、十九年度でこの今の制度は切れるわけでございますから、よく議論を、今委員のおっしゃったような点も視野に入れながらよく議論をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/257
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258・中川雅治
○中川雅治君 ありがとうございます。
次に、少子化対策税制についてお伺いいたします。
与党税制改正大綱においては、平成十九年度を目途に、少子・長寿化社会における年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系全体の抜本的改革を実現するとなっておりまして、こういう道筋が示されているわけでございます。
最近、我が国におきましても税制を含めた少子化対策に関する議論が盛んになってまいりました。私は、減税を含め少子化対策のための財源を国債発行に依存することになれば、むしろ将来の子供や孫の世代に負担を付け回すことになり、少子化対策の趣旨に反してしまうという意見については十分認識しておりますし、ですから、正に税体系全体の抜本的改革の中で効果的な少子化対策税制を考えていかなければならないと思っております。
少し先走ってお聞きいたしますが、少子化対策税制といたしましては、扶養控除の拡充、扶養控除の税額控除化、それと夫婦共有財産制度を取っているということで制度の前提が違っていますが、フランスのようなN分N乗方式などが考えられると思います。
我が国の税体系の中で少子化対策税制として現実的なものはどのようなものだとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/258
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259・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) 今お話ございましたように、少子化は我が国にとっても大変大きな問題であるという認識でございます。少子化対策といたしまして、子育て家庭への経済的支援の在り方については、これは税制面だけではなくて、税制、財政両面についての御議論がされているところでございます。
税制面につきましては、現行は所得控除として設けられているわけでございますが、この点、留意点として、所得水準によって負担軽減効果が異なるという側面がございます。そういったところから、財政的な支援という意味合いが強い税額控除という形態を取った方がいいのではないか、こういった御意見もありますが、この税額控除につきましては非納税者には負担軽減効果が及ばないといった側面もございます。
N分のN乗方式、今委員御説明ありましたようにフランスで採用されておるわけでございますが、いかんせん日本との所得税の体系自体と異なるところが多くて、クリアをしなければいけないと、こういった留意点もございます。
また、与党の中でも、税制だけではなくて、この子育て支援というのはナショナルミニマムとして子供の健全な育成に国が一定の責任を負うと、こういった概念から、税による施策から給付による施策に一元化して抜本的に拡充すると、こういった意見も出ているわけでございます。
いずれにせよ、この問題につきましては、少子化対策全体の議論の中でこれまで取られました施策の効果を十分に検証しながら、今後更に効果的な施策を取るべく議論が深められるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/259
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260・中川雅治
○中川雅治君 次に、今般の税制改正案に盛り込まれております実質的な一人会社のオーナー役員の役員給与の給与所得控除相当部分について、法人段階で損金算入することを制限する措置に関してお伺いいたします。
これは、個人事業者と同視できるような所有と経営が事実上一体化した同族会社について、オーナーへの役員給与が損金算入扱いになり、更にオーナーが給与所得控除を受けることがいわゆる経費の二重控除となることを是正する措置だと説明されておりまして、私もそのように聞いているわけでございます。
しかしながら、この措置が関係者にどうもすっきりと納得してもらえないのはなぜなんだろうかと考えますと、どんな企業でも法人だと、これオーナー企業といっても、あるいは実質的な一人会社といっても、これは法人だということを認めているわけですね。で、法人だということを認めている以上は役員給与は損金として認められるべきものでありまして、その例外をつくる理屈がすっきりしていないんじゃないかと思うんですね。
それで、実質的な一人会社のオーナー役員の役員給与については給与所得控除の適用が今まであるわけですけれども、ですから給与所得控除の性格からいって、これを全額認めることは適当でないんだとして給与所得控除の方を制限する方がむしろ分かりやすかったと思うんですね。
給与所得控除の性格というのは、例えばサラリーマンの必要経費の概算控除という性格、あるいはサラリーマンというのは、まあいわゆるオーナーと違って担税力はどうなのかというようなことで、そうした面に配慮したものだとか、いろいろかつて説明されてきたと思います。
今、財務省の方では、はっきりと給与所得控除の性格はこうだって言ってないと思いますが、例えば必要経費の概算控除といっても、サラリーマンとオーナー役員とではやはりどういうものが概算控除としての必要経費なのか、これは相当違ってくると思うんですね。サラリーマンとオーナーとではやはり同じ給与をもらっても、担税力と言うのはどうかとは思いますが、そこも違いがあるということで、オーナーとサラリーマンとで給与所得控除に差があっても、これはきちんと理屈を付けて説明していけば分かっていただけるかなと思うんですね。
ところが、給与所得控除額分を法人段階で損金算入することを制限するというふうにしたものですから、理屈がねじれているというんでしょうか、何かすっきりしないんですね。それで、いろいろな方に説明しても分かってもらえないと。ちょっと税分かっている方は、給与所得控除を制限すべきだったですね、あるいは、オーナー役員の給与収入というのは事業所得だとした方がすっきりしていますねと言うんですね。ですから、経費の二重控除を是正する措置だという点は分からないわけではないんですが、この理屈が非常に分かりにくいということだと思います。
なぜ今回このような形の改正をすることになったのか、大臣から御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/260
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261・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今度の措置は、今、中川委員おっしゃいましたように、所有と経営が事実上一体化しているようなオーナー企業で、いわゆる二重控除、不公平じゃないかというのがありまして、それにこたえようということがございます。それと同時に、オーナーへの役員給与の支給を通じた課税所得の操作が行われるというようなことが今まであって、それを防止しようという観点から、法人段階で経費の適正化を図ろうと、私どもはそう考えてやったわけです。
つまり、役員給与につきましては、不相当に高額な役員給与など、それを損金不算入とすると。従来から法人段階での損金算入を制限することをして、それで課税上の弊害を防止する対応を講じてきたわけですが、今度の措置もこういう従来の法人税法の考え方にのっとって法人段階で損金算入ということにしたというふうに私は考えているわけです。
こういう対応は、一つは所有と経営が事実上一体化している、そういうオーナー企業におけるオーナーへの役員給与の支払というのは、株主に対する法人の利益の還元だという点において、損金不算入とされる配当の支払と差別化がなかなか難しいという点が一つございます。
それからもう一つ、今回の措置をとる動機になりましたのは、今年の五月から会社法が施行されまして、その中で法人成りというものが今までより以上にたやすくできるということになるわけでございますので、租税回避を目的とする法人成りを防止しようということがやはり必要でございまして、そのためには特定の形態の法人に着目して、法人段階で手当てを講じることによって課税の公平を図ろうと、このように考えたわけでございまして、十分合理的な対応ではないかというふうに思っているわけでございます。
仮に個人段階での給与所得控除の見直しという方法を取った場合には、特定の法人のオーナーだけに、オーナーに着目した措置を講ずるということはなかなか難しい点があって、一般の給与所得者を含めた幅広い観点から検討していくということになるんではないかと思いますが、そこはなかなか処理が難しいことになるんではないかと、こんなふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/261
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262・中川雅治
○中川雅治君 御趣旨は理解をいたします。
そして、その給与所得控除に手を付けるということになると、これは、今大臣がおっしゃったように、特定のオーナー役員の給与、役員給与についてだけいじるということになるのはなかなか、少なくとも十八年度の税制改正としては難しいということも理解できますが、問題の根幹は給与所得控除制度にあるわけでありまして、法人経営者であるオーナー役員が青天井の給与所得控除を受け取ることが適当でないということであれば、これはどういうふうに区切っていくのか、いろいろ議論のあるところでしょうけれども、オーナー役員の個人段階での課税について給与所得控除を一定程度制限するなど、給与所得控除、まあこれからいろいろな税制の抜本的見直しの中で検討されるわけでしょうから、その中でこの問題も併せてもう一度議論していただきたいと希望いたします。
それから次に、国有林野事業特別会計法の改正案に関連してお伺いいたします。
国有林野事業特別会計は、昭和二十二年に国有林野事業を独立採算制で運営することを趣旨として設置され、その後、伊勢湾台風等による激甚な災害を契機として、昭和三十五年に治山事業を着実に推進するため治山勘定が設けられ、国有林野事業勘定との二勘定の体制となっているわけであります。
今回の特会法の改正案は、この二つの勘定を統合するものであります。したがって、法改正によりまして治山勘定が廃止され、補助治山事業は一般会計で経理することとなるわけでありますが、治山事業自体は荒廃した森林の再生等により山地災害から国民の生命、財産を保全する事業でありまして、私はその重要性については変化するものではないと考えております。
治山事業については、限られた財源の中で国民の安全、安心を確保するため、効率的、効果的な事業執行が不可欠であると考えますが、これまでコスト縮減などどのような工夫を行い、今後どのように効率的に事業を進めていくお考えなのか、ここで確認しておきたいと思います。林野庁から説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/262
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263・辻健治
○政府参考人(辻健治君) 治山事業につきましては、平成十五年度に策定いたしました林野公共事業コスト構造改革プログラムに基づきまして、例えば現場内で発生した根株等を緑化工事の生育基盤材として有効活用する、あるいは、現地に存在いたします巨石等を材料として活用しコンクリートの使用量を削減することなどのコスト縮減の取組を進めてきたところでございます。
また、近年の山地災害の発生状況を踏まえ、平成十八年度の政府予算案におきましては、災害に強い森林づくり緊急対策といたしまして、山地災害の発生の危険性の高い箇所に一層の重点化を図る、そして民有林野部局と国有林野部局の連携による一体的かつ総合的な治山対策、国土交通省との連携による流木災害対策、地震等の災害時に孤立するおそれが高い山村集落に係る重点的な治山対策などを推進しているところでございます。
これらの取組を通じまして、限られた財源の中で治山事業の一層の効率的、効果的な実施を図り、国民の安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/263
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264・中川雅治
○中川雅治君 国有林野事業は、昭和四十年代後半から外材の輸入が増加する一方で、伐採量の減少、木材価の低迷などから財務状況が急速に悪化いたしました。経営悪化に対処するため、昭和五十三年から四次にわたる改善計画の策定、実施にもかかわらず、経営状況の悪化が続き、平成十年には累積債務が三・八兆円に達する事態となりました。こうした事態を受け、平成十年十月に国有林野事業改革特別措置法が成立し、国有林野事業の抜本的改革が実施されることとなったわけであります。
累積債務約三・八兆円のうち約一兆円については将来的な林産物収入等により特会から返済することとされ、それ以外の約二・八兆円は一般会計に承継され、国民負担となったのであります。国有林野事業が負担する約一兆円の債務については、一般会計から利子相当額の繰入れを行うことにより、債務の累増を防止した上で、五十年掛けて林産物収入等による返済をすることとされています。
このように、平成十年に大きな国民負担の下で抜本的改革が実施されたのでありますが、この一兆円の債務についてはいまだ全く返済されておりません。ここで、累積債務返済に向けた国有林野事業の取組状況をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/264
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265・辻健治
○政府参考人(辻健治君) 先生御指摘のように、国有林野事業につきましては、平成十五年度までを集中改革期間ということで、組織、要員の徹底した合理化、縮減など、抜本的改革に取り組んできたところでございます。この結果、平成十六年度には当初の収支見通しどおり新規借入金をゼロとして収支均衡を実現したところでございます。
国有林野事業が承継いたしました一兆円の累積債務につきましては平成六十年度までに返済するということとされておりまして、現在、木材価格が低迷するなど厳しい状況ではございますけれども、今後につきましては、成熟しつつある人工林資源を中心に収穫量が増大すると見込まれること、そしてコスト縮減を図り、効率的な事業運営に努めることなどを踏まえまして、引き続き収支両面にわたる努力を尽くす中で、一般会計からの利子補給を受けつつ、債務の返済に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/265
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266・中川雅治
○中川雅治君 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/266
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267・山口那津男
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
大臣を始め皆さんには大変お疲れのところを申し訳ございません。私が最後でありますから、御協力をいただきながら皆さんの期待にこたえたいと思います。
まず初めに、昨日、確定申告の期間を終了したわけでありますけれども、近年、電子申告というのを導入してまいりました。試行の時期を経てこれが本格導入されて、結果が出つつあるわけでありますけれども、この進捗状況というものがどうなっているか。十六年分所得についてはまだ結果がまとまっていないかもしれませんけれども、これまでの状況をごらんいただいて、その進捗状況がどうなっているか。そして、その制度の目的がかなっているかどうか、特にその効用といいますか、利点が発揮されつつあるかどうか、この点についての御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/267
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268・石井道遠
○政府参考人(石井道遠君) 本年の所得税確定申告期におきますいわゆるe―Taxの利用件数、詳細は現在集計中でございますので確たる点は申し上げられませんが、概括的に申しますと、二月十六日から三月十五日までの確定申告期におけるこのe―Taxの利用件数、昨年は約一万七千件でございましたが、本年は約三万二千件、前年の約一・九倍と見込まれております。それからまた、個人の方がそのe―Taxを利用されるに当たりましては利用開始届出書というものをあらかじめ出していただくことになっておりますが、本年一月の利用開始届出書の件数は昨年の約二倍出ておりまして、したがいまして、平成十七年度全体で見ましても昨年十六年度の一万八千件を大幅に上回ることになるのではないかと見込んでおります。
それから、そのメリットが十分発揮しているかどうかという点でございます。
御承知のとおり、e―Taxの利用者の方にとりましては、一々税務署に赴くことなく申告手続を行っていただけるということが可能でございますし、また御自身の会計処理から、申告書データの作成、提出までを一貫して電子的に行うということで、省力化なりペーパーレス化ということが期待されているところでございまして、そういう点での効果というものが徐々に出ているのではないかと思いますし、一方、私ども税務署側にとりましても、申告書を一々発送する事務あるいは収受をする事務、さらにこの収受したものをKSKのデータに入力する事務というようなことが省略できますので、事務の効率化あるいは経費の節減ということにも資するわけでございまして、私どもはそのような効果が生ずるものと考えております。したがって、今後更に利用が促進されるように私どもも取り組んでいきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/268
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269・山口那津男
○山口那津男君 今の御答弁のように、着実に利用は進んできていると、その効用も多面的に認められるということでありますから、是非その利用を促進するように、その利便性を図る御努力をお願いしたいと思うのでありますが、ただ一方で、納税者の側から見た場合に幾つかの問題点もいろいろ言われているところであります。
我々が耳にいたしますのは、申告書には、紙で申告した場合、添付書類が必要になるわけですね、支払調書でありますとか各種納付を証明する書類でありますとか。これはe―Taxを利用しても別途添付するために持参して提出しなきゃならないわけですね。そうすると、電子申告しても結局添付書類を出す手間というのは従来と変わらないわけだから、まあ申告書だけ先に送っても余り意味がない、ここが何とかならないかと、こういうふうに納税者から声が出ているわけであります。
それとまた、従来ですと控えを同時に持っていって受領印を押してもらうわけですね。そこで申告したかどうかというのを一応の証明ができると、直ちにできるという状態になるわけであります。これが取引や銀行借入れやその他に一般にはよく利用されるわけでありますね。ところが、電子申告の場合ですと、一応その受信をしたという通知が納税者に戻されて、それをプリントアウトすれば証明できるということにはなっておりますし、また後日納税証明も発行していただけるということですから、一応制度はあるわけでありますが、しかしこれが十分に納税者側に周知徹底されてなくて、その利用の仕方というものも知られてなくて、結局直ちに証明できないのではないかという一種誤解とも思える通念というのがあるわけですね。その他細かいところを言えば、いろいろとまだまだ不備な点というのはあろうかと思います。
こうした点の改善について是非検討していただきたいと思うのでありますが、どのようにお考えでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/269
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270・石井道遠
○政府参考人(石井道遠君) 今、先生からるる問題点、御指摘いただきまして、私ども十分その点は認識をいたしております。特に、挙げられました添付書類の件、これは現在電子申告の場合でも別途送付をいただいているわけですけれども、この点に関しましては、申告の適正さということは一方で確保することが前提となりますが、添付書類のオンライン化の送信を認めるなど、添付書類そのものの送付を不要とする方向で検討を進めているところでございます。
今月末に私どももオンライン利用促進のための行動計画というものを策定する予定で、現在、いろいろな点について努力をしておりますが、今申し上げました添付書類のオンライン化のほかに、税理士関与の場合における納税者本人の電子署名の省略ですとか、あるいは早期還付などのインセンティブの措置、あるいは確定申告期における利用可能時間の拡大などの普及策を盛り込む予定にいたしております。
ただ、オンライン利用拡大のためには、電子署名のための公的個人認証などの普及拡大が前提となるわけでございますので、その普及拡大には政府全体として取り組む必要がございますために、関係府省との連携も図ってまいりたいと思っております。
それから、御指摘がございました、申告した場合に、それが直ちに確認できるシステムは今あるわけでございますが、その周知がなかなか図られてない、あるいは実際の取引においてそれが利用しづらいという御指摘があることも承知はいたしております。現在、すぐ受け取ったことの確認は電子的に打ち返すようになっておりますけれども、その周知をe―Taxのホームページ上でもお知らせはしておりますが、引き続き皆様に認識していただけますように努力をしたいと思っております。
それから、紙で申告した場合には収受印が押されてそれが銀行取引等の場合にも利用されるのに対して、電子申告の場合にはそういうことがなかなかしにくいのではないかということも耳にしております。
先ほど申しました、収受印を押したその申告書に代えまして、送信した申告書と税務署側からの受信通知をプリントアウトして持っていっていただければ、金融機関側でもそれを前提にした取扱いをしていただけるように、年末から年始にかけて金融関係団体等に対しては周知をしております。なお努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/270
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271・山口那津男
○山口那津男君 細かい点で、御答弁は結構ですけれども、例えば年末調整をやった場合に税額の納付超過額が生ずる場合があるわけですが、これを翌月以降納付額に充当したり、あるいは源泉徴収税の還付請求をする、いずれか選べるという制度があるわけですね。その場合も、一年間納付した領収書のコピーを添えるというふうに現行制度はなっているわけでありますけれども、しかし、これについてはもう税務当局に既に納付済通知書というのが出されているはずでありまして、税務当局側で確認できるのではないかと、そういう意味で、この領収書のコピーを添付する手間というのは省けるんじゃないかと、こんな指摘もありますので、これら併せてまた御検討を続けていただきたいと思います。
さて、次に、定率減税を廃止するということになるわけでありますが、国民年金法の附則十五条、十六条等におきまして、この平成十七年度、十八年度は国庫負担割合を引き上げて所要の税制措置を講ずると、こういうことが規定をされているわけでありますけれども、定率減税の十七年度の廃止分については国庫負担率引上げにかなり寄与できたと思うわけでありますが、このたびの改正で、残りの半分についてはこれ寄与する率が非常に低いのではないかと思われます。ということは、この国庫負担率引上げに対する解決というものが先送りされた形になっておりまして、これは私から見れば、国債発行を抑えるためにここが使われてしまったのではないかとも思うわけであります。
いずれにしても、今後、平成二十一年までにこの国庫負担率二分の一引上げの税制措置といいますか、これをやり遂げなければならないという中で、今後、消費税に過重な期待が掛かるようなおそれも感じるわけでありますけれども、この点について財務大臣としてどう評価されていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/271
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272・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 基礎年金の国庫負担割合につきましては、十六年の年金改正、附則の十五条、先ほど委員引かれましたけれども、その中で、平成十七年、十八年の二か年度は所要の税制上の措置を講じて、そして国庫負担の割合を適切な水準へ引き上げろと、こう書いてございまして、それに基づきまして、平成十七年度では定率減税の縮減を踏まえまして、現行の国庫負担割合三分の一プラス千分の十一、それに単年度限りの措置として千百一億円加算したということでございます。
平成十八年度は、国債発行三十兆円にできるだけ近づけるという目標がございまして非常にやりくりが厳しかったわけでございますけれども、定率減税の縮減、廃止を踏まえて、現行の国庫負担割合、これは三分の一プラス千分の十一に約二千二百億円加算いたしまして、三分の一プラス千分の二十五という形にしたわけでございます。
いずれにしましても、二分の一へ引上げするということにつきましては、十六年年金改正法の附則の十六条で、平成十九年度を目途に所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で平成二十一年度までに実施するということになっておりまして、今後、この法律の規定を踏まえて、財源の在り方も含めて検討しなきゃならないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/272
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273・山口那津男
○山口那津男君 次に、先行減税というのを行いまして、法人税の関係で研究開発税制でありますとかあるいはIT投資促進税制でありますとか、幾つかの制度を行ったわけであります。その後、景気の回復が今行われつつ、進行しつつあるわけでありますけれども、果たしてこの取られた法人税の諸制度というものが景気回復にどれだけ寄与しているのかどうか、ひいては税の自然増収にどれだけ寄与しているのかどうか、この辺は私どもはよく認識できないところであります。
しかし、この特定の分野に対して思い切った投資を促進するためにやったということは、我が国の産業力を、競争力を育てるとか、あるいはそれが実質的な経済成長の基礎的な力になるとか、そういう目的になっているはずでありますが、その所期の成果が達成されつつあるのか、あるいは将来そういう実を結ぶための種として着実に育ちつつあるのかどうか、この点の大臣の御認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/273
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274・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、山口委員がおっしゃった平成十五年度税制改正、研究開発税制やIT投資促進税制などの日本経済の回復に向けた定量的な何か数値を示せというとなかなか難しゅうございますが、ちょっと資料を見てみますと、研究開発投資額の動向で見ますと、平成十五年から十六年度にかけて七千億円投資額が増えていると。それから、平成十六年度から平成十七年度、これは推計も入っておりますが、約七千億円増えていると。それから、IT投資額の動向で見ますと、平成十四年度が二十一・八兆円でございましたけれども、十五年度が二十三兆円、十六年度が二十四・二兆円、それから十七年度が二十五兆円というふうに増えてきておりますので、やはり私は政策税制が一定の効果を発揮したというふうに考えております。
現在、景気は回復しておりまして、先行きについては、こういった形での企業部門の好調さが家計部門へ波及してきた、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれているわけでございまして、こういう経済状況を背景として、税の自然増収にもつながったというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/274
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275・山口那津男
○山口那津男君 この点は、歳入歳出一体改革を考えていく中で、経済成長率とその自然増収に占める要因といいますか、これを分析する上で非常に大事なことだろうと思います。是非、実証的に税制と自然増収あるいは経済成長との関係は証明できるような、そういう見方というものもこれからよく検討していただきたいと思います。
続いて、今国会では格差社会というものがいろいろ論議になっているわけであります。格差はいつの時代もあるわけでありますが、それが現在拡大しているのかどうか、あるいはそれが将来固定化してしまうのかどうか、この点は非常に憂慮すべきところもあるわけであります。
考えてみますと、高齢化が進展してきているわけでありまして、単身世帯というのも多くなってきているわけでありますから、人生長くやっていればそれは資産や所得の面で格差が広がるというのは、ある意味で当然のことだと思います。それから、バブル崩壊後、学校の新卒の学生生徒の皆さんがなかなか職にすぐに就けなかったということもございました。ですから、こういう皆さんは人生の言わば社会生活の出発点から格差が付いてしまったと、こういうことも言えるわけですね。現在、ニートやフリーターあるいはその他の非正規雇用者というものが改善されつつありますけれども、しかし、そのバブル崩壊後の一定の世代、特に現在二十代後半から三十代前半の方々はなかなか正規雇用に就けないでいると、こういう実情もあるわけであります。
そうした格差を広げる要因のもう一つとして税制がどうかかわっているか。これは、先ほど来同僚委員から、所得再分配機能が弱まったと、こういう御指摘がるるあったところであります。私も同感でありまして、いわゆるバブルの起こり掛ける時期というものは、高度成長期を顧みて、努力した者がより一層資産が蓄積できるような、そういう税制にということもかなりの強い主張がありまして、累進度を弱める、所得税においても相続税においてもそういう改革が累次なされたわけですね。一方で消費税が導入されまして、これはまた逆進性をおのずから持っている税制で、相まって格差が拡大すると、こういう要因になったことは否めないだろうと思うわけであります。
そうした点で、この格差を更に税制だけでとらえるのではなくて今度は歳出でどうやるかということによっても、この格差を是正する対応策というのは取れるわけでありますが、さて、ここからが質問でありますけれども、今後の税の抜本改革を行う中で、税体系全般でこの所得再分配機能を強める、そういう制度というものをつくるべきだと私は思っております。政府側としてどのように今思っていらっしゃるか、この点を財務大臣に御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/275
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276・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 所得再分配あるいは格差の問題につきまして山口委員からいろいろお話がございまして、高齢化が進んでくれば、ある程度それは人生の結果として差が出てくることもやむを得ない面があるが、特に若い人たちのニートやフリーターというようなことを通じて格差が固定化するのは好ましくないと、そういったことにもう少し税もいろいろ考えられる点はないかと、ちょっとやや強引に要約したかもしれませんが、そういう御趣旨であったと思います。
確かに、内閣府でつくっておられる平成十五年度の年次経済財政報告にもよりましても、一九八一年以降租税負担による所得の不平等度の改善度は年々低下している、それに対して社会保障による改善度は上昇していると、こうなっております。ただ、同時に、租税と社会保障を併せて見ると、所得の不平等度の改善度は年々拡大する傾向にあると、こういう指摘もされているわけでございます。
そこで、なぜこの租税負担を通じた不平等度の改善が低下したのかということになりますと、これは昭和六十二年、六十三年の税制改革、それから平成六年の税制改革、いずれも個人所得課税の累進緩和というものが図られたと。その背景には、個人のやはり勤労意欲とか、あるいは国際的な所得税制のスリム化というようなことが背景にあったのは事実でございますが、結果として、その再分配機能は低下をしてきたと。
やはり今後考えなければならないことは、もちろんこれは税だけで考えてはいけないので、社会保障とか、そういった政策全体としてどういうふうに考えていくかということを同時ににらまなければいけませんが、税の所得再分配機能をどうしていくかというのは今後の非常に重要な点だろうと思います。
そういう中で、一番もう少し議論を詰めていかなければならないと思っておりますのは、先ほどやはり勤労意欲や何かの点でなかなか、諸外国と比べたときに、今、国と地方を合わせますと五〇%ということでありますが、諸外国との比較でなかなかそこらをどういじれるかという問題がやっぱりございまして、機会の平等と結果の平等というようなものをどう平等感や勤労意欲といった点から調整していくかと、相当ここは煮詰めた議論をしなければいけないんではないかなと思っております。今後、消費税、所得税、法人税、資産税、税体系全体を見ながら、そのような議論を詰めさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/276
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277・山口那津男
○山口那津男君 バブル崩壊後、不景気が長らく続いたわけでありますけれども、しかし、最近、その回復傾向が顕著になってきているわけであります。日銀の量的緩和政策が解除されたということもその一つの表れでありましょうし、それから、その不景気の期間中、いわゆるセーフティーネットの様々な制度というものがその力を発揮したわけでありますけれども、しかし、これも変わりつつあると、こういうふうに思われます。
その一つとして、雇用保険の財政、これが給付がだんだん減ってきまして、その内容が改善されつつあると思われます。これがもっとこの勢いで良くなっていけば、将来は保険料を軽減するというようなこともあり得るかと思うんですね。また一方で、中小企業に対する貸出しで、公的な信用保証制度というものもあるわけでありますが、これが政府が財政支援を行わなければならない部分があるわけですけれども、これも金額は減りつつあるわけであります。倒産件数が減ったということも如実に反映しているわけでありますが、財務省から見て、これらセーフティーネット制度というものが改善される中で、財政的に寄与しているという部分があろうかと思いますが、その点をどのように分析されていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/277
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278・赤羽一嘉
○副大臣(赤羽一嘉君) 山口委員御指摘のように、景気回復を受けましてセーフティーネット制度の状況の改善が財政に寄与しているというのは、具体的な数字として表れておるところでございます。
まず、雇用保険財政につきましては、完全失業率の年平均が過去最高の五・四%となりましたのは平成十四年でございますが、平成十四年における求職者に対する給付費は約二・一兆円、国庫負担金が約六千四百二十六億円でございました。これが平成十七年には、完全失業率、年平均でございますけれども、四・四%まで低下したことを踏まえまして、今回の平成十八年度予算におきましては求職者給付費を一・五兆円と見込んでおります。国庫負担金は、対前年度マイナス約三百億円減の約三千九百四十七億円を計上しているところでございます。
公的信用保証制度につきましても、直近のピークは平成十一年度でございまして、このときの保証債務残高は四十三兆百九十一億円でありましたが、平成十六年度末には約三分の二の二十九兆七千四百三十三億円となっておりまして、こうした残高の減少や、先ほどお話もございました保険事故の減少等に伴いまして、中小企業金融公庫への国の出資金につきましても、平成十四年度には四千三十八億円だったものが、十七年度には九百二億円になっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/278
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279・山口那津男
○山口那津男君 好ましい傾向だと思いますが、いずれにしても、そうした今御指摘されたことは企業活動に関連する部分のセーフティーネットのものでありまして、そこから漏れてしまう、違うセーフティーネットに頼る必要がある、そういう部分をこれからどう対応すべきかということが課題だろうと思っておりますので、また別の機会に議論をさせていただきたいと思います。
そこで、この日銀の量的緩和解除、これもまた景気回復の反映の一つであろうと思うわけでありますが、日銀総裁、お忙しいところありがとうございました。お伺いさせていただきたいと思いますが、緩和解除を決定する前にも、この場で御質問させていただきまして、住宅ローンの金利への影響というものを懸念している、これは所得の差もあるし、地域の差もあるし、いろいろ格差がまだある中で影響を懸念するという立場で御質問させていただいたわけでありますが、解除の決定によりまして、案の定、この住宅ローン金利については少なからず影響が出てきていると私は思っております。
それを受けて、マンションについては最近、不動産経済研究所で、契約率は好調であるけれども新規発売戸数というのは抑制されているといいますか、四か月減っていると、これは耐震偽装事件の影響があると、こう言われているわけでありますけれども、しかし、これからこの住宅ローン金利が上がっていく、あるいは住宅供給を支える資金の、供給側に対する資金の流れも影響を受けるというふうになった場合に、このマンションを含む住宅需給に対してどのような影響が生じていくとお考えになられるか、この点の御認識を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/279
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280・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) 委員御指摘のとおり、私どもも、この住宅投資というのはこれからの日本の景気を安定的に支えていく一つの重要な需要項目だというふうに見ております。したがいまして、関心を持って予測も立てておりますが、現在までのところ、住宅投資、これを新設の住宅着工戸数で見ますと、昨年後半以降年率百二十五万戸と、かなり高目の水準で推移しているというふうに認識しております。良好な金融環境の下で供給側の積極的な販売姿勢、あるいは、需要の方からも団塊ジュニア、高齢層を中心とした需要増、これがしっかりしていたということだと思います。分譲とか貸家を中心に増えてきているというのが最近の特徴でございます。
直近のところは、耐震偽装問題の影響等も若干あるのかなというふうな数字が出ておりますけれども、それを含めましても、先行きについて当面底堅く推移するんではないかというふうに私どもは一応見ております。あくまでもマクロ的な見方でございます。
そこで、量的緩和政策に終止符を打って、今後の金融環境がどうかということでございますが、これも引き続き短期金利がゼロであるというところから再スタートすると、当面ゼロ%、その先も比較的低い金利でもって緩和的な金融環境を提供し続けていける可能性が高いんではないかというふうに私どもは見ておりまして、そういう目から見ますと、マクロ的な金融環境がそう急変するわけではない、住宅投資全般に対して強いダメージを与える可能性というのは余りないんではないかというふうに見ておりますが、委員御指摘のとおり、住宅ローン金利というのは一本ではありませんで、借り手によって様々でございます。借入期間等によって市場金利の変動の影響を受けやすい借入れの仕方というものもございます。
そうしたところにどういう変化が出てくるか。家計の所得が増えるところでちゃんと金利が上がるということがあれば一番いいんですけれども、そうでない場合もあるかもしれません。私どももそこのところはまあきめ細かくフォローしていかなければならないなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/280
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281・山口那津男
○山口那津男君 総務省の家計調査、最近の調査によりますと、実質収入が七か月連続で前年同月比マイナスとなっていると、こういう結果になっているわけですね。
住宅ローンを組んでいる家計から見ますと、この金利が上昇する、また税制面で増税傾向があるというようなことになりますと、この家計調査の結果が正しいとしますと、やはり負担感が増すと、こういう、いずれもそういう要因になっているんだろうと思うんですね。
この金融緩和解除、量的緩和解除とその後の政策によってここが家計の圧迫要因になってはまずいんだろうと私は思うんでありますが、その点は日銀総裁としてどのように考えていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/281
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282・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) 家計調査の最近の動向を見ておりますと、所得の状況、少し下振れているというふうな感じの推移が出ております。私どももそこは注意深く見ておりますが、この種の統計、過去から、過去にさかのぼってみましても、一時的な振れを示す場合もございます。
今回、一時的な振れかどうかよく分からないんですけれども、別途、毎月勤労統計など別の統計で補って指標を読ませていただきますと、何と申しますか、家計所得の動向は比較的安定していて、今の家計調査が示すほど大きなスイングを示しているわけではないんではないかなというふうに一応見ています。
また、家計の所得につきましては、賞与の増加とか所定内給与の持ち直しを受けて、一人当たり名目賃金で見て緩やかな増加を続けていると認識しておりまして、今後、量的緩和の枠組みは解消いたしましても、我々は慎重な金融政策を行って景気の回復を更にサポートしていけば、家計の所得が更に増えるという方向で実現していける可能性が強いわけですので、一方での住宅ローンの上昇等をうまくオフセットできる形で進んでいけばいい。ただ、家計ごとに状況はかなり違うと思いますので、相当きめ細かく見ていく必要があるなというふうには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/282
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283・山口那津男
○山口那津男君 昨年のボーナスの動向でありますとか昨日の大手企業の春闘の結果とか見てみますと、サラリーマンの所得の状況というのは改善しつつあると我々は実感するわけでありますね。
ところで、総務省、この家計調査統計というものが、今、日銀総裁のお述べになったような認識とちょっと溝があるというようにも、実感からちょっと異なるというようにも思えるわけでありますが、この家計調査統計の特徴とか、何か別なその評価というものがあり得るのかどうか、この点は調査をする側として一応証明の場をお与えいたしますので、どうかその評価を率直にお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/283
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284・衞藤英達
○政府参考人(衞藤英達君) 答弁の機会を与えていただきましてどうもありがとうございます。
家計調査でございますが、世帯の収入支出を、この動きを的確にとらえられますよう、統計理論に基づきまして調査対象世帯を抽出して調査を実施しておりまして、家計の所得状況を適切にとらえていると判断しております。
なお、家計調査でございますが、毎月公表している、お話の実収入、手取り収入でございますが、これは二人以上の勤労者世帯、サラリーマン世帯ということでございまして、自営業などのこのサラリーマン以外の世帯とか、あと単身者世帯ですね、これは含まれていないことを一言申し添えておきます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/284
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285・山口那津男
○山口那津男君 そういう前提があるわけでありますけど、是非世の中の幅広い所得層を反映するような統計の取り方というものも検討していただければなと、こう思います。
さて、そこで、日銀の政策委員の水野氏が先日大津市で講演を行いまして、ここで中立金利というものを御指摘されております。潜在成長率プラス物価上昇率ということで、これが両方プラスすると二以上に、二%以上になる可能性にも言及されているように思われるわけであります。そして、ゼロ金利が長期間続くとの期待が過度になると資産バブルが起きやすい、量的緩和解除で終わりではないとの二の矢三の矢のメッセージを出していかなければならないと、こう述べられたとも言われているわけでありますが、こうした考え方が短期金利及び長期金利にどう影響するかということは我々も非常に注視しているところであります。長期金利も緩和解除決定後上昇した部分もありますし、またこの水野氏の講演の後も上昇している場面もあるわけですね。
この水野氏の考え方、発言というものが日銀の政策委員の多数意見なのかどうか、あるいは総裁としてはどうお考えになるのかどうか、この点についてお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/285
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286・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) 個々の政策委員が持っておられる見解につきまして私の立場からそれがいいとか悪いとか、私とどう違うかとかいうふうなことをコメントする立場にはないわけでございますが、日本銀行の政策委員会での議論の仕方というのは、その出発時点では様々な見解を持った委員が集まって、しかしその見解をお互いに、何といいますか、ぶつけ合いながら一つの結論を見いだすための創造的な過程ということで、各委員の頭の中はどんどん進展していくものでございます。最後まで頭が分かれたままで足して二で割るというふうな結論の出し方でないものですから、水野委員が今どういう考えを持っておられようと、これからの議論を通じて水野委員の頭の中も進展するでしょうし、私自身が今何か持っているとしましても、それはまた進展するもんだと、こう御理解いただきたいと思います。
まあ、それを前提といたしまして、私ども今後金融政策を行っていきます場合に、何よりも我々が標準的だと思える見通しが真に物価安定の下での持続的な成長のパスというものに沿っていくかどうかと、これがもう一番大事な判断の基準でありますけれども、仮に望ましい方向に行っているなと思った場合でも、先々を見通して、起こる可能性は少なくてもいったん起こってしまうと大変負担の大きいリスクというのはあるわけで、そこも十分点検しながら今後やっていきたいということを既に発表文の中で示しております。
そういったことからいいますと、例えば今、企業の収益率が改善し、物価情勢もひところに比べて好転していると、こういう状況の下にありますので、金融政策の面からの刺激効果はどちらかというと、時の経過とともに強まる方向にございます。金利を一定水準の下で考えれば、経済が良くなり、物価上昇率が上がれば刺激効果は逆に強まるという関係になります。そうなりますと、中長期的に見て経済活動の振幅が大きくなりはしないかどうかという点は一応留意事項だということであります。経済の振幅を大きくしてしまいますと景気が短命に終わってしまうものですから、そうならないようにするというためには、そういった点はあらかじめ留意しておく必要があると。
ただし、現在政策委員会のメンバーが共通して持っております理解は、現時点においてはこのようなリスクが発生する可能性は高いと考えているわけではないということです。基本的には、先行き物価安定の下での持続的な成長を実現していける可能性が高いと見ているわけでして、したがって、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持していける可能性は少なくない、高いと、こういうふうに判断しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/286
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287・山口那津男
○山口那津男君 また、水野委員は、アメリカのバーナンキFRB議長は金融引締めを持続する可能性が高いと、こういう発言もされていらっしゃるわけであります。アメリカは二〇〇四年から利上げを小刻みに十四回ほどやってきているわけですね。今もなお景気拡大の局面にあると、こうも言われているわけであります。こうした水野委員の認識の評価はともかくとして、このアメリカの今後の金融引締めの持続性の可能性について、日銀総裁としてどのように御認識されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/287
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288・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) 私の立場で他国の金融政策について具体的にコメントすることは適当でないと思いますけれども、先週末から行ってまいりましたBISの中央銀行総裁会議で、バーナンキ議長も初めてお越しになられまして、みんなと一緒に活発な議論をしたわけで、バーナンキ議長の展開をされました議論を聞いております限り、その前任のグリーンスパン議長の取られてきた政策、姿勢、今委員がおっしゃいました四・五%まで金利を引き上げられてきた過程における一貫した姿勢を基本的に引き継ぐという姿勢が非常に強いんだなということが一つ確認されました。
現在の時点に即して言えば、米国経済、住宅市場における若干のクーリングオフという現象は出ておりますけれども、それを含んでも比較的バランスの取れた堅調な景気の拡大が続くという基本認識に立っておられるようですし、エネルギー価格の高騰が今後続いても、引き続き適切な金融政策を行っていけば、米国経済についてその持続的な成長と物価の安定をなお続けていくことができるという確信を持っておられると、そういうふうな感じも受けた次第でございます。それが望ましいということは各国の立場から見ましてもそうであって、米国の金融政策が途中でおかしなことにならないようにという点は各国中央銀行総裁からもいろんな意見が出ていたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/288
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289・山口那津男
○山口那津男君 最後に伺いますが、これまでの議事要旨によりますと、委員の中には望ましい物価上昇率という言葉を使って意見を述べられる方もいらっしゃったようであります。今回の決定によりますと、中長期的な物価安定の理解という言葉を使われまして、ゼロから二%の消費者物価指数という数字を出し、なおかつ一%という中心値もお触れになったわけであります。しかし、数字は出たものの、これによって具体的にどういう政策をこれからお取りになるかというのは必ずしも明確ではありません。そして、その望ましい物価上昇率というのが何を意味し、これとどう違うのかということも知りたいところであります。あわせて、この点の総裁の御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/289
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290・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) 私が就任しまして既にちょうど三年ぐらいたったわけですけれども、過去三年間、日本銀行として物価の安定というものについて基本的にどう理解するか、かつ、理解したところをいかに表現して国民の皆様方にお伝えしていくかということについては繰り返し議論してまいりました。先般、量的緩和の枠組みに終止符を打つ、この段階で慌てて議論したということではなくて、先週の結論は過去三年間にわたる議論の最終的な一つの結論だというふうに御理解いただきたいというふうに思います。
三年前の時点にさかのぼりますと、ある委員は、望ましい物価の姿というものを国民の皆様にお示しするのに、その委員の出発点の頭の中はかなりインフレーションターゲティングに近いものを印象に持ちながら、あるいはヨーロッパ流の、何といいましょうか、物価安定の定義とか参照値とかいうものに近いものを出発点として頭に抱いて議論に臨まれた方とか、あるいはもう数字は一切好ましくないという立場で議論を出発された方とか、様々でございました。
私なんかも実は迷いながら参加したところもありますけれども、しかし、ずっと議論をしていって、先週の結論に対しては全員一致でこれは決まったと、これが日本銀行の政策委員会の議論の進め方なわけでございます。結局最後は日本の実情に合っていることと。日本の国民の皆様がそんなに明示的に意識しておられなくても、心の中で何が物価安定というふうに意識して行動しておられるかということとできる限り平仄の合った形でやっていく方が、我々が今後何かを、物を言っていく場合あるいは実際に政策行動する場合に一番心に通じやすいだろうということで先週のような結論になったということでございます。
この先週の物価安定についての理解、数字的な表現もしたわけなんですけれども、明らかに言えますことはインフレーションターゲティングではないと。一定の期間内にある物価水準を実現するということにそんなにこだわらないということなんです。中長期的な物価の安定という共通のイメージの下で、望ましい経済の姿を最終的に実現していくと。要するに、持続的な景気の拡大が続くということが一番国民経済的な経済的福祉が高まるわけですので、その姿の実現をしていきたい。その仲介項は、中長期的な物価安定の姿、で、国民の皆様方の意識とも相通ずるものと。したがって、経済構造が変われば幾らか変わるかもしれないというんで、我々の方も一年たったら点検しながらいきましょうと。中長期的なものですからそんなに簡単に変わるものじゃないと思いますが、それでも構造変化というのは結構激しいですから、まあ点検はきちんとやりましょうと、こういう姿でやりました。
したがって、これは今後また国民の皆様からもチェックをちょうだいして、頭の塗り替えも必要なのかもしれませんが、我々は国民の皆様と意識を通じ合える一つの道具を持ったという意識でございますので、これ十分頭に置いて情勢判断もし、金融政策の運営もしていくと。
しかし、非常に硬直的に物価の安定を短期間のうちに実現すればすべて良しという理解には立っていないと、ここが非常な違いでございます。あくまで最終的な姿は物価安定の下での持続的な経済成長と。この秋でイザナギ景気を抜くとか言っていますけれども、記録を達成すればいいというものじゃないんで、その先、更に長く続くような経済にしたいというのが本当の心でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/290
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291・山口那津男
○山口那津男君 これで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/291
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292・池口修次
○委員長(池口修次君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X00720060316/292
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