1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年三月十日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第六号
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平成十八年三月十日
午前十時 本会議
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第一 平成十八年度における財政運営のための
公債の発行の特例等に関する法律案及び所得
税法等の一部を改正する等の法律案(趣旨説
明)
第二 国務大臣の報告に関する件(平成十八年
度地方財政計画について)
第三 地方税法等の一部を改正する法律案及び
地方交付税法等の一部を改正する法律案(趣
旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/0
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001・扇千景
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
日程第一 平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する等の法律案(趣旨説明)
両案について提出者の趣旨説明を求めます。谷垣財務大臣。
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/1
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002・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま議題となりました平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する等の法律案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について御説明申し上げます。
平成十八年度予算においては、一般歳出の規模について、二年連続で前年度の水準以下に抑制するとともに、新規国債発行額についても三十兆円を下回る水準としたところであり、あらゆる分野にわたり歳出を厳しく見直した上で、めり張りのある予算の配分を実現しました。
しかしながら、我が国の財政収支は引き続き厳しい状況となっており、特例公債の発行等の措置を講ずることが必要であります。
本法律案は、厳しい財政事情の下、平成十八年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置等を定めるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、平成十八年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとするなどの特例措置を定めております。
第二に、平成十八年度において、電源開発促進対策特別会計の電源立地勘定から二百九十七億円、電源利用勘定から二百九十八億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとするとともに、後日、予算の定めるところにより、それぞれその繰入金に相当する額に達するまでの金額を一般会計から同特別会計の電源立地勘定又は電源利用勘定に繰り入れることとしております。
第三に、平成十八年度において、財政融資資金特別会計法第十五条の規定による財政融資資金特別会計からの国債整理基金特別会計への繰入れをするほか、財政融資資金特別会計から十二兆円を限り、国債整理基金特別会計に繰り入れることができることとしております。
第四に、平成十八年度において、国民年金事業、厚生年金保険事業及び国家公務員共済組合の事務の執行に要する費用に係る国等の負担を抑制するため、国民年金法、国民年金特別会計法、厚生保険特別会計法及び国家公務員共済組合法の特例を設けることとしております。
次に、所得税法等の一部を改正する等の法律案について御説明申し上げます。
本法律案は、現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施するとともに、定率減税を廃止し、併せて法人関連税制、土地・住宅税制、国際課税、酒税、たばこ税等につき所要の措置を講ずるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、所得税から個人住民税への三兆円規模の本格的な税源移譲に関し、所得税の税率構造を改組するとともに、平成十一年以降、景気対策のための暫定的な軽減措置として継続されてきた定率減税について、経済状況の改善等を踏まえ廃止することとしております。
第二に、法人関連税制について、民間の研究開発活動を促進する観点から研究開発税制を見直すとともに、産業競争力の向上を図る等の観点から情報基盤強化税制の創設等を行うこととしております。
第三に、中小企業関係税制について、中小企業の経営基盤の強化を図る観点から、中小企業投資促進税制の対象資産を拡充するとともに、同族会社の留保金課税の見直し等を行うこととしております。
第四に、土地・住宅税制について、土地取引の活性化を図る観点から土地の売買等に係る登録免許税の特例を創設するとともに、既存住宅の耐震化を促進する等の観点から所得税の耐震改修税額控除制度の創設等を行うこととしております。
第五に、国際課税について、租税回避行為を防止する等の観点から非永住者の範囲の見直し等を行うこととしております。
その他、酒類の分類の簡素化及び酒類間の税負担格差の縮小、たばこ税の税率の引上げ、所得税の地震保険料控除の創設、相続税の物納制度等の見直しを行うほか、情報通信機器等に係る投資促進税制の廃止等既存の特別措置の整理合理化を図るとともに、特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税制度等期限の到来する特別措置の適用期限を延長するなど所要の措置を講ずることとしております。
以上、平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/2
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003・扇千景
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。黒岩宇洋君。
〔黒岩宇洋君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/3
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004・黒岩宇洋
○黒岩宇洋君 民主党の黒岩宇洋でございます。
私は、ただいま議題となりました二法案に関しまして、民主党・新緑風会を代表しまして関係大臣に質問いたします。
さて、本日は小泉総理に御出席いただいておりませんが、総理が好んで使う米百俵の精神について、地元新潟出身の私から一言苦言を呈させていただきたいと思います。
総理のおかげで米百俵の故事がすっかり有名になったことはうれしい限りです。しかし、この故事は、当初、今の痛みに耐えて明日を良くしようという呼び掛けに用いられました。現在は教育にお金を掛けるべきという意味で使われることが多いようです。教育ももちろん大事ですが、米百俵の最も言わんとするところは既得権益の打破であります。
当時の階級社会では、藩から藩に送られてきた米は武士だけで消費することは当然のことと考えられていました。しかし、長岡藩では、武士がその既得権をなげうって、戦に敗れ疲弊している町民の子供らを含む将来の担い手教育に米百俵を使ったのです。これぞ長岡藩士の高潔さと地元の人々は誇りにしている、これが米百俵の精神です。米百俵は、国民に投げ掛けるだけではなく、権力者側がしっかりと受け止めなければならない歴史の教訓なのです。
今法律案では、従来どおりの既得権を温存する特別会計の大胆な改革に手を付けず、サラリーマン増税など取りやすいところから取るという姿勢ばかり目に付きます。およそ米百俵の精神にのっとった法律案でないことを指摘し、以下、関係大臣に質問いたします。
冒頭、昨日日銀が決定しました量的緩和政策解除について、その御所見を関係大臣にお聞きいたします。谷垣大臣、与謝野大臣、竹中大臣、お答えください。特に竹中大臣、御不満がございましたら、この場ではっきりとおっしゃってください。
それでは、特例公債等法案に関連してお聞きいたします。
小泉総理は、本年度の予算について、国債発行額を三十兆円未満に抑えたと声高に喧伝されておりますが、これがまやかしであることをまず申し上げなければなりません。今回の特例公債法において、電源開発促進対策特別会計から五百九十五億円を一般会計に繰り入れることとされておりますが、これは後日、同特別会計に返却しなければならないことは法文上明らかであります。この隠れ借金である五百九十五億円がなかったならば、国債発行額は三十兆円をオーバーしてしまうのです。これは国民をだましていることになりませんか。小泉総理なら公約を守らなくても大したことはないで済ますかもしれませんが、谷垣大臣、真摯にお答えください。
平成十二年度末に三百六十八兆円であった国債残高は、小泉内閣発足以降大幅に増加し、平成十八年度末には五百四十二兆円に拡大しております。その半分以上に当たる二百九十六兆円が赤字国債によって占められています。毎年度の特例公債法案では「速やかな減債に努める」としているものの、実際は建設国債と同じく六十年償還ルールで処理されています。財政健全化には、赤字国債の借換えを原則認めないなど、その発行及び残高縮減に関する目標を設定すべきではありませんか。谷垣大臣、お答えください。
次に、特別会計改革についてお伺いいたします。
昨年十二月に閣議決定されました行政改革の重要方針では、国自体が担う必要性が薄いものは民間にゆだねるとの方針が示されましたが、掛け声倒れに終わったと言わねばなりません。個々の特別会計の見直しについては検討の文字が並ぶだけで、民営化を明示したものは全くありませんでした。特別会計はあくまでも廃止、民営化を基本とし、官が関与する必要があるものは、一般会計にできる限り吸収する方向で見直しを行うべきではないでしょうか。また、特会見直しによって歳出をどれだけ削減するのか、財政健全化について明確な数値目標を定めるべきではありませんか。谷垣大臣、お答えください。
今回、財政融資資金特別会計から十二兆円を国債整理基金特別会計に繰り入れることとなりましたが、特別会計全体では、平成十六年度決算で一・四兆円の剰余金、二百七兆円にも上る積立金が存在します。財政融資資金特別会計の積立金は、平成十七年度末で二十四兆円に上り、取崩し後も約半分が残ることになるのです。旧資金運用部特別会計を含め、これまで決算上不足を生じたのは過去たったの三回、最高二百六十九億円にすぎません。積立金とはけたが三つも違うのです。政府は、積立金からの取崩し額の水準は妥当だと考えているのでしょうか。谷垣大臣の見解を伺います。
今回、積立額の約半分に当たる十二兆円を取り崩したわけですが、半分というのは目分量で決めたような大ざっぱな数字です。取崩し額の算定をどのように行ったのか、算定根拠について、谷垣大臣、具体的に御説明ください。
また、外国為替資金特別会計にも平成十八年度末で十五兆円に上る積立金が存在します。これも過去に決算不足が生じたのはわずか二回です。この外為特会の積立金も国債残高の縮減に充てたらいかがでしょうか。谷垣大臣は衆院では否定的な見解を述べていますが、お変わりないでしょうか、お聞きします。
逆に、竹中総務大臣は、二月二十三日の経済財政諮問会議において、外為資産の積立金の資産に対する割合が高過ぎる点を批判し、そんなに必要でなく検討すべきと発言していますが、この積立金の取崩しについては賛成なのですね。閣内不一致でも構いませんから、正直におっしゃってください。
政府内で積立金の取扱いには議論があるようですが、今後の積立金の制度設計の在り方についても併せて両大臣にお伺いいたします。
次に、年金事務費への保険料の流用についてお聞きします。
年金事業等の事務費の特例は、財政構造改革法に伴う平成十年度から十五年度までの六年間の時限措置として導入されたものです。本来ならば平成十六年度から事務費の全額国庫負担というあるべき姿に戻るはずでしたが、平成十六年度の特例公債等法案以降今回までこの特例措置は継続されてきました。しかも、平成十八年度は前年度に比べ八十一億円も保険料からの流用が増加し、一千億円以上が年金事務費に充てられています。保険料の流用は国民の年金に対する信頼を損なうものであり、即刻停止するとともに、全額国庫負担の原則に戻り、効率的で厳正な予算執行を行うべきです。
昨年十二月十八日、谷垣財務大臣と川崎厚生労働大臣は、社会保険庁の事務費に保険料を流用する特例措置を恒久化することに合意したと伝えられていますが、来年度以降もこのように保険料から拠出していくのか、両大臣にお伺いいたします。
それでは次に、所得税法等改正案に関連してお聞きします。
平成十七年六月の政府税調が公表した個人所得課税に関する論点整理は、各種控除を縮小、廃止する増税色の強いものでありましたが、これに対し自民党は、昨年の衆院選のマニフェストで、所得捕捉しやすいサラリーマン増税を行うとの政府税調の考え方は取らないと公約しました。一方で自民党は、十九年度を目途に消費税を含む税制の抜本改革を実現するとも公約しています。十九年度に行うとしたサラリーマン増税を前提としない抜本改革とは具体的に何を指すのか、政府・与党を代表し、谷垣大臣、お答えください。
このたびの定率減税廃止にサラリーマンの不満は爆発寸前であります。片や、上場株式の譲渡益課税の特例は引き続き維持され、原則二〇%の税率が半分の一〇%と優遇されています。コンピューターの前に座りキーボードを指でたたくだけでネット取引上もうけた人間が優遇され、額に汗し働いた者から減税の恩恵を奪い去る、定率減税の廃止は正に格差社会を助長する不公平税制だとは思いませんか。谷垣大臣、お答えください。
定率減税の廃止については、国、地方合わせて約三・三兆円の増税が実施されることとなり、個人消費や我が国経済への与える影響について十分検証することが不可欠になります。政府は定率減税による具体的影響についてどう認識しているのか、改めて谷垣大臣にお伺いいたします。
定率減税廃止により景気が悪化した場合はどう責任を取るのでしょうか。与党税制改正大綱には、「今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する。」と、景気の動向によっては定率減税廃止見直しの姿勢が示されておりますが、これについて谷垣財務大臣は、衆院において、もし悪くなったとき、すぐ定率減税廃止を見直せということではないと答弁されております。これは税制大綱の文言をほごにされるということですか。経済状況によって見直すことはないのか、谷垣大臣、明確にお答えください。
次に、同族会社の役員給与にかかわる経費の見直しについてお聞きいたします。
今法律案には実質的な一人会社のオーナー役員への役員給与の損金算入制限措置が盛り込まれました。このことによって親族で経営する中小零細企業のオーナーまで打撃を被ることになるのです。財務省は同族会社のうち二%しか本見直しの適用を受けないと発表していますが、中小企業団体のアンケートでは、軒並み約三割もの同族会社が適用を受けるという結果になっております。平均的な年収の社長の事業所で年間約六十万円の増税となり、総額では一年間に二百九十億円の増税見込みとなっています。今現在も苦しんでいる中小零細企業をまだ苦しめるというのですか。谷垣大臣、お答えください。
それでは最後に、財政再建策についてお聞きします。
経済財政諮問会議の「改革と展望」の内閣府試算では、十五兆円に上る大幅な歳出削減を前提に、二〇一一年度にプライマリーバランスを黒字化するとしています。仮にそれが可能であったとしても、それはあくまでも国と地方を合わせた財政収支であり、二〇一一年時点でも国は依然として約五兆円ものプライマリー赤字であることには何ら変わりはありません。
したがって、地方財政の黒字を当てにした財政再建目標と言わざるを得ず、国家財政としての財政再建目標が必要であると考えます。国家財政は、平成十八年度一般会計予算で見ても約十一兆円の大幅なプライマリー赤字となっています。このプライマリー赤字をいつまでに解消するのか、国の財政再建目標を早急に策定すべきではありませんか。谷垣大臣、お答えください。
政府部内では、財政再建の手法をめぐって意見が対立していると聞きます。竹中総務大臣と自民党の中川政調会長は、経済成長率の上昇による増税幅の圧縮という楽観的な財政再建シナリオを描いていますが、与謝野経済財政大臣と谷垣財務大臣は、成長率の上昇により長期金利も上昇し、国債利払い費も増加するとして、消費税の本格増税は避けられないとの見通しを描いています。この結果、竹中ラインでは歳出削減議論が先行し、与謝野ラインでは消費税を含めた財政再建論議を重視しています。これでは、政府部内における認識が一致していないと言えるのではないでしょうか。谷垣大臣、そして竹中大臣、与謝野大臣の財政再建手法を是非お聞かせください。
これまで述べましたように、政府の特別会計改革や税制の改革はまだまだ不十分であります。今までの複雑怪奇に入り組んだ財政を解きほぐし、既に権益につかっている人間がそれを解き放してこそ真の税制、財政改革ができるのです。
小泉政治の五年間で、富める者は富み、富めぬ者は更に貧しくなり、光はともかく、影ややみばかりが目立つ社会となってしまいました。努力によって競争を勝ち抜き、光を浴びることは大変すばらしいことです。しかし、片や努力しても報われない人もいます。困った人、弱った人、病んだ人に優しい税制、そして更には優しい政治を私たち民主党は主張し、実践してまいります。
ここしばらくの間、私たち民主党は突風にあおられていました。今もあおられているのかもしれません。しかし、疾風に勁草を知る、強い風が吹いて初めて強い草を見分けることができるのです。私たちは、まだまだ続く今通常国会で真の強さを発揮し、真正面から政府・与党に論戦を挑んでいくことを強く訴えまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/4
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005・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 黒岩議員から私に対して十六問、御質問がございました。
まず、量的緩和政策の解除についてのお尋ねでございますが、日銀においては、政策決定会合において十分に議論を尽くした上で量的緩和政策を解除されたものと理解しており、その判断を尊重したいと考えております。
政府としては、従来より、デフレ脱却に向けて政府、日銀一体となった取組が必要であるとの考え方を申し上げてきたところでございます。
今般、日銀から、いわゆるゼロ金利の継続により、引き続き経済を金融面から責任を持って支えるとともに、市場の安定を確保するため適切な金融政策運営を行うといった姿勢が示されたところでございまして、今後とも、日銀が政府と認識を共有し、政府の経済政策と整合的な金融政策運営に取り組んでいただけるものと考えております。
次に、国債発行額三十兆円と電源開発促進対策特別会計から一般会計への繰入れについてのお尋ねがございました。
電源特会につきましては、平成十八年度予算におきまして、特会改革推進の観点から歳出歳入を厳しく見直し、その上で余剰と考えられる財源の有効活用を図るため、一般会計への繰入れを行うこととしております。
十八年度予算における国債発行額三十兆円以下の抑制については、社会保障分野などを始め、歳出歳入全体にわたって厳しい見直しを行った結果、達成することができたものでございまして、電源特会の資金の活用も特会改革推進の一環として行ったものであります。したがって、電源特会から一般会計への繰入れだけを取り出して、これによって国債発行額を三十兆円以下に抑制したといった御批判は当たらないものと考えております。
次に、特例公債の発行及び残高の縮減に関してお尋ねがございました。
我が国財政は極めて厳しい状況にございまして、特例公債の発行額は、高齢化の本格的な進展により社会保障関係費が増加してきたこと等により、平成十八年度の新規国債発行額三十兆円のうち約八割、二十四兆円を占めております。これは過去に特例公債脱却目標を設定した時期に比べ極めて高い水準にございます。
このような財政状況の下では、仮に議員の御指摘のように特例公債の借換えを認めないこととしたとしても、その償還のためには別途特例公債を発行せざるを得ず、特例公債の発行及び残高の縮減に直ちにつなげることは困難でございます。
財政健全化の視点から、特例公債の発行及び残高の縮減は重要な課題であると認識しておりますが、政府としては、まずは二〇一〇年代初頭に、国、地方合わせた基礎的財政収支を黒字化の実現を目指しております。さらに、将来に向けた財政健全化の道筋を示していくことが重要であるとの認識の下、本年の六月を目途に、歳出歳入一体改革について選択肢及び改革工程を明らかにすることとしております。
それから、特別会計改革についてのお尋ねでございますが、現在三十一ある特別会計については、それぞれの制度趣旨までさかのぼった上で、事業の必要性の減じた特別会計は廃止する、事業の必要性はあるが国が行う必要性が薄いものは民間にゆだね又は独立行政法人化する、一般会計と経理区分する必要性の薄れた特別会計は廃止し一般会計の事業とする、事業類型が近似している特別会計は行政改革の効果を確実に出すことを前提として統合すると。以上の視点から見直しを行いました結果、その数を現行の二分の一から三分の一程度に大幅に削減し、明治二十三年の制度発足以来最小の数となる見込みとなっております。
また、御指摘の数値目標につきましても、今後五年間で合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すこととし、その第一歩として、十八年度予算において合計十三兆八千億円の積立金、剰余金を国債残高の圧縮のために活用することとしているなど、着実に成果を出しているところでございます。
次に、財政融資資金特別会計の積立金の取崩し額についてのお尋ねがございました。
平成十八年度予算における財政融資資金特別会計から国債整理基金特別会計への繰入額の算定に当たりましては、その原資が財政融資資金の金利変動準備金であることを踏まえれば、今後の財務の健全性に配慮する必要があること、十八、十九年度までは財投改革前に預けられた郵貯等の預託金の払戻しが多額に上る等の資金繰りの制約があることを勘案し、繰入れ可能な上限額として十二兆円と判断したものであります。
なお、この金額については、財政制度等審議会においても、十二兆円という金額については、財務の健全性、資金繰りから見ると、上限の水準と考えられるとの指摘を受けているところであります。
今回の繰入れにより、金利変動準備金の準備率は千分の五十三程度に低下すると見込まれることから、民間ではなし得ない超長期、固定の融資を行う財政融資資金の金利変動による損失リスクが高まるのは事実であり、これ以上の取崩しは困難であると考えております。
次に、外国為替資金特別会計の積立金についてのお尋ねがございました。
外国為替資金特別会計における積立金は、将来における歳入不足の可能性に備えて設けられているものであり、特別会計運営の持続可能性及び収支の健全性に疑念を抱かれ、望ましくない為替変動を招来することがないよう、十分な額を保有する必要がございます。
このような観点から、現時点における積立金額は政府の介入能力に対する信認を確保する上で必要なものと考えております。したがって、積立金を取り崩して他の財源に利用することは適当ではないと考えております。
それから、積立金について更なるお尋ねでございますが、国の財政については、民間経済と異なり、必要な経費の財源は随時国民に負担をお願いするのが原則でありますが、例えば社会保険事業の積立金のように、特別の資金を保有することにより効率的な財政運営が可能となる場合には、資金の保有が例外的に認められているところでございます。
こうした積立金については、行政改革推進法案第十七条第二項において、今後五年間で積立金及び剰余金の縮減その他の措置により財政の健全化に総額二十兆円程度の寄与をすることを目標とするとされており、政府としては、今後、積立金を精査する中で、明確な必要性がないものについては財政健全化のために活用することとしております。
それから、年金事務費についての御質問でございますが、平成十九年度以降については、社会保険庁改革が実施されることにかんがみ、その一環として、受益と負担の明確化を図る観点から、国民年金法等を改正し、恒久措置として年金事務費に保険料を充てることを可能とすることとしております。
平成十八年度においては、現下の厳しい財政状況にかんがみ、国庫負担と保険料負担の区分を明確化した上で、国民年金法等の特例として保険料を充てることを可能とする措置を講じることとしております。
いずれにしても、年金事務費については、適切かつ効率的な執行を図ること等により、国民の信頼を高めることが重要と考えております。
次に、税制の抜本的改革についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、与党税制改正大綱や与党の政権公約において、十九年度を目途に、少子・長寿化社会における年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現するとの道筋が示されているところでございます。
今後、歳出歳入一体改革の取組の中で、経済の状況や財政、年金財源の問題など様々な連立方程式を頭に入れながら、また、サラリーマンなど特定の職種の方のみに負担が偏ることのないよう、消費税、所得税、法人税、資産税など税制全体の改革について国民的な議論を行っていく必要があると考えております。
それから、定率減税の廃止は格差社会を助長する不公平税制ではないかとのお尋ねがございました。
定率減税の廃止は、平成十一年度に景気対策として導入された暫定的な税負担の軽減措置を、現在の経済状況が導入時に比べ改善していること等を踏まえ元に戻すものであることから、適切な措置であると考えております。
個人所得課税の所得再分配機能の在り方については、今後、税体系全体の見直しを総合的に論議する中で、経済社会の動向も踏まえつつ、税制全体として国民にどのような税負担を求めることが適当かといった観点から幅広く議論していく必要があると考えております。
それから、定率減税廃止による我が国経済への影響についての御議論でございますが、定率減税の廃止など制度改正等のマクロ経済への影響を論じる際には、各々の制度改正による個々の負担増のみに着目すべきではなく、例えば年金給付が毎年一兆円以上増加する見込みであること等も含めて総合的に考える必要がございます。また、現在、景気は回復しております。さらに、先行きについても、企業部門の好調さが雇用・所得環境の改善を通じて家計部門に波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれます。
こうしたことを踏まえれば、定率減税の縮減、廃止によるマクロ経済への影響は十分吸収できるものと考えております。
定率減税の廃止を経済状況によって見直すことはないのかとのお尋ねがございました。
平成十八年度与党税制改正大綱においては、定率減税の廃止について、「今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する。」とされているところであります。
政府としては、こうした与党税制改正大綱の考え方も踏まえ、今後の経済動向を十分注視しながら、適切な経済財政運営に努めてまいりたいと考えております。
次に、同族会社の役員給与にかかわる経費の見直しについてのお尋ねでございますが、今般の措置は、あくまで実質的に個人事業者と同視できる特定の同族会社のみを対象として、租税回避行為を防止し、課税上の不公平を是正するために講じるものでございます。中小零細企業や開かれた経営が行われている中小企業への適用を除外するなど、対象を相当程度限定しており、その上で今般の措置を講じることは、課税の適正化の観点から不可欠と考えております。
なお、十八年度税制改正におきましては、同族会社の留保金課税制度の抜本的見直し、交際費の損金算入範囲の見直し、中小企業投資促進税制の拡充を行うなど、全体として中小企業に手厚い配慮を行っております。
次に、国のプライマリーバランス黒字化の時期及び国の財政再建目標の策定に関してお尋ねがございました。
我が国財政は、国、地方の債務残高がGDP比で一五〇%を超えるなど極めて厳しい状況にあります。政府としては、まずは二〇一〇年代初頭の国、地方合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指しております。
また、国の財政再建目標の策定につきましては、国、地方それぞれが果たすべき責任の範囲を明確化し、国、地方でバランスの取れた財政健全化を推進するとの観点から検討に値するものであると考えており、経済財政諮問会議における歳出歳入一体改革の検討の中で十分に議論したいと考えております。
最後に、財政再建の手法に関してお尋ねがございました。
財政健全化に向けて、これまで小泉内閣においては、まずは徹底した行財政改革を行う必要があるとの認識の下、公共事業費を約四割削減するなど、あらゆる分野において聖域を設けることなく、十三兆円を上回る歳出改革を断行してまいりました。
しかしながら、公債依存度が三七・六%と極めて高い水準にあること、GDP比で一五〇%を超える国、地方の長期債務残高、金利が上昇した場合の利払い費の増加圧力、高齢化の本格的な進展に伴う社会保障関係費の増加圧力などなど、依然として厳しい財政事情であることを踏まえれば、歳出削減だけで財政再建を図ることが困難なことは明らかでございます。
したがって、今後、歳出歳入両面からバランスの取れた財政構造改革を強力に推進していくことが重要であると認識しております。政府としては、本年六月を目途に歳出歳入一体改革についての選択肢及び改革工程を明らかにすることとしており、これらの取りまとめに向けまして引き続き精力的に議論を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/5
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006・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 量的緩和政策解除に関するお尋ねがございましたが、私の答弁は谷垣大臣の趣旨と同じでございます。
デフレからの脱却は、現時点でのマクロ経済の最大の懸念材料であることには変わりはなく、引き続き政府、日本銀行が一体となって取り組んでいく所存でございます。
財政再建の手法に対する考え方についてのお尋ねがありましたが、もちろんいろいろな意見がございますけれども、財政を再建しようというその強い意志については三人の間で全く相違はございません。(拍手)
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/6
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007・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 黒岩議員より四点の質問がございました。
まず、日銀の量的緩和政策解除についてのお尋ねでございます。
金融政策は日銀が独立して決定するものであり、今回の量的緩和の解除についてその是非を直接評価する立場にはないと思っております。
ただ、いずれにしましても、日本銀行におかれては説明責任をしっかりと果たしていただきたいと思っております。説明責任の果たし方についてはいろんな考えがありますが、引き続き御尽力をいただくことを期待しているところでございます。
次に、外国為替資金特別会計の積立金についてお尋ねがありました。また、今後の積立金の制度設計の在り方についてお尋ねがございました。
先般、諮問会議におきまして、私の方から、外為資金の積立金の水準については、その性格や民間の積立状況も踏まえ、リスク評価を含めた検討が必要ではないかとの問題提起を行ったところでございます。この問題については、目下、外為特会を所管されておられる財務大臣の下で検討が行われておりまして、そこで適切に判断をされていくものというふうに承知をしております。
また、今後の制度設計の問題についてでございますが、私としては、引き続き経済財政諮問会議における資産負債管理の議論の場などでしっかりと議論をしていきたいというふうに考えております。
最後に、財政再建手法についてのお尋ねがございました。
現在、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字に向け、国と地方が歩調を合わせて歳出歳入一体改革を進めることとしておりまして、諮問会議を中心に議論しているところでございます。
これは、基本方針二〇〇五に基づき、今年の年央を目途に選択肢と改革工程を明らかにする、そして十八年度中に結論を得ることとされております。歳出歳入それぞれの改革の具体的な内容についてはこれから議論することとなるわけでございます。
なお、三月七日の経済財政諮問会議において、まずこれまでの基礎的財政収支の改善要因について事実認識を共有した上で議論を進めていくことが重要なことを申し上げたところでございます。
いずれにしましても、今後とも財政の健全化に向け国、地方を通じた徹底した歳出の見直しが必要である、このことについては共通の認識がございまして、諮問会議においてしっかりと協力して議論をしていきたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣川崎二郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/7
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008・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 社会保険庁の年金事務費についてお尋ねがございました。
平成十九年度以降、年金事務費の一部に保険料を充てる措置を恒久化することとし、今国会に提出することとしている社会保険庁の改革法案に所要の改正規定を盛り込むこととしております。したがって、平成十八年度については、平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に基づき、年金事務費の一部に保険料を充てる特例措置を継続することとしております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/8
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009・扇千景
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/9
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010・扇千景
○議長(扇千景君) 日程第二 国務大臣の報告に関する件(平成十八年度地方財政計画について)
日程第三 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
以上両件を一括して議題といたします。
まず、総務大臣の報告及び趣旨説明を求めます。竹中総務大臣。
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/10
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011・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 平成十八年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、平成十八年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、累次の経済財政運営と構造改革に関する基本方針等に沿って、歳出全般にわたり厳しく見直しを行い、その抑制に努めております。一方、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額を確保することを基本としております。
引き続き生ずる財源不足については、特例地方債の発行、一般会計からの加算等により補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生じないようにしております。
さらに、三位一体の改革による国庫補助負担金の改革に対応し、所得譲与税による税源移譲の措置を講じております。
以上の方針の下に平成十八年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳出歳入の規模は八十三兆千五百八億円となり、前年度に比べ六千百七十九億円、〇・七%の減となっております。
次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けた改革の一環として、個人の所得課税に係る国から地方公共団体への税源の移譲を行うための個人住民税の税率の見直し、定率減税の廃止、土地及び住宅に係る不動産取得税の税率の引下げ措置の延長、平成十八年度の固定資産税の評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整、地方のたばこ税の税率の引上げ等の措置を講ずるほか、非課税等特別措置の整理合理化等を行うこととし、併せて所得譲与税の増額等について所要の改正を行うこととしております。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
平成十八年度分の地方交付税の総額につきましては、一般会計から交付税特別会計への繰入れ等により十五兆九千七十三億円を確保するとともに、普通交付税の算定のための単位費用の改定等を行うほか、児童手当特例交付金の創設、退職手当債の拡充、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備に係る財政上の特別措置の延長、地方公務員共済組合の事務に要する費用に係る地方団体の負担の特例措置の延長等を行うため、関係法律を改正することとしております。
以上が地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/11
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012・扇千景
○議長(扇千景君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。高嶋良充君。
〔高嶋良充君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/12
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013・高嶋良充
○高嶋良充君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに地方財政計画について、関係大臣に質問をいたします。
本日は、ポスト小泉の有力候補と言われる安倍官房長官、谷垣財務大臣にお越しをいただいておりますので、まず小泉改革継承の二つの課題についてその認識を伺います。
第一は、格差社会の問題についてであります。
今、日本は所得格差、地域格差が顕在化し、生活保護や自殺者の増加、パートタイマーなど労働市場の二極化、そして地域経済の疲弊など、構造改革の影の部分がますます大きくなってきております。
しかし、小泉総理は、格差が出るのは別に悪いことではない、ピンチはチャンスなどと、まるで人ごとのような国会答弁で、競争を是認をしております。これは米国型の市場経済原理主義の徹底であり、そこには弱者に対する目配り、気配りなどどこを探しても見付からないのであります。
これでは努力した人が報われる社会ではなく、成功した者だけが報われる社会、正に勝ち組社会になっていると言わざるを得ません。
このような小泉政権の構造改革路線による行き過ぎた規制緩和によって生じた改革の影に対して、私たち野党だけではなく、政府・与党の内部、つまり身内からも批判が出てきているではありませんか。ポスト小泉と目されている安倍官房長官と谷垣財務大臣は、このような小泉改革を更に進めていくおつもりなのか、それとも国民が実感している不安を払拭するために小泉改革の軌道修正を図るおつもりがおありなのか、明快な答弁を求めます。
第二は、小泉総理はポスト小泉の内閣においても簡素で効率的な政府、いわゆる小さな政府路線を推進するよう求めています。
しかし、我が国は、政府支出の規模、国民負担の大きさ、国民に占める公務員の割合などの国際比較においても、そんなに大きな政府にはなっておりませんし、むしろ小さな政府と言えるのであります。内閣府の平成十七年度年次経済財政報告でも、「政府支出の規模ということでは先進国の中でも日本は比較的「小さな政府」である。」と、政府さえも認めているではありませんか。
元々小さな政府である日本の現状を改革をして更に小さな政府にすれば、政府は国民のニーズにこたえられなくなり、政治不信が一層増大して、適正な負担を国民に求められなくなるのではないですか。さらに、格差拡大やセーフティーネットの崩壊など、新たな社会問題を発生させることになるのではありませんか。小泉総理から改革の継承を求められている安倍官房長官と谷垣財務大臣は、このようなリスクを冒してまで一体どこまで小さな政府にしようとしておられるのか、お尋ねをいたします。
日本は、早くも人口減少社会に突入しています。少子高齢社会では、政治はこれまで以上に弱者に対して手厚い政策を取る必要があると私は考えています。そのための政策に金や人を掛けることは、決して大きな政府をつくることではないことを申し添えておきます。
さて、地方分権を確立することは、民主主義を根付かせるためにも大事なことであるのは改めて指摘するまでもありません。
有識者は、民主政治とは自己統治で、地方でこそ根付かせなければならないと強調されています。つまり、政策はもちろん、そのために必要な金も地方の住民が自分たちで決める、そして結果も引き受けるというのが地方分権の核心であります。具体的に言えば、教育、子育て、高齢者や障害者の福祉、そして町づくりなど、暮らしを支える公共サービスは、住民から集めた地方税を中心に設計をして、住民が選んだ首長と議会が決めていくことであります。全国知事会は、こうした地方の意見を立法過程に反映する規定を憲法で明記することを要求をしています。総務大臣、自己統治に対する見解と併せ、憲法改正で地方分権を盛り込むことに対しての見解を伺います。
新聞報道によると、三位一体改革の決着に対する都道府県知事のアンケートでは、評価できないと答えた知事が半数以上の二十五人もいました。その理由は、国の財政再建を優先させ、地方の裁量拡大につながるものは少ない、あるいは国の関与が残り、数合わせに終わったなど、手厳しい意見ばかりでした。このような意見は、全国知事会が要求した補助金の削減率が一二・一%にとどまったのですから無理もないことであります。総務大臣はこの知事の厳しい評価をどう見ておられるのか、率直な見解を伺います。
補助金を廃止をして地方に税財源を移す、そして財政面で地方の自由度や裁量性を高め、これによって国と地方を通じた行財政改革を実現をしていく、これが三位一体改革の目的であったはずであります。しかし、これまでの補助金改革、税源移譲、地方交付税改革はいずれも極めて不十分だと言うほかありません。中途半端に終わった原因は一体どこにあるとお考えなのか、総務大臣の見解を伺います。
地方交付税の改革は、中央集権システムを変え、地方の自立を実現するために極めて重要な課題でありますが、結果は満足がいくものではなかったと言わざるを得ません。この三年間で地方交付税及び臨時財政対策債の合計額が五兆円以上も削減をされており、地方団体からは「きわめて厳しい財政運営を強いられるとともに、住民の行政ニーズにきめ細かく対応することが困難となる事態も懸念される。」との声明が出されております。
また、国庫補助負担金削減後も引き続き地方が実施すべき事業については税源移譲するとともに、所要額は交付税で措置するとされていますが、総額の削減傾向が著しい交付税では必要な財源確保が困難となり、事業が実施できないとの懸念があります。特に、税源の乏しい過疎地域では影響が深刻となっており、都市と地方の財政格差がより一層拡大することになります。地方交付税の大幅な縮減に対する総務大臣の認識を伺います。
補助金改革では、地方が猛反対した生活保護費の補助金削減は見送られました。当然のことであります。国が費用の四分の三を負担する生活保護費は、本来、憲法第二十五条の生存権規定の下、国の責務で負うべきものであり、地方に押し付けるのは本末転倒であります。
しかし、政府はこそくにもその代わりとして、母子家庭向けの児童扶養手当や、子供のいる一定所得以下の世帯向けの児童手当について、国の負担割合を下げたり、高齢者の施設介護に関する介護保険の国庫負担率も下げました。また、教職員給与に対する補助率も引き下げたのであります。
このような地方の自由度を拡大をしない補助率の引下げは、そもそも三位一体改革の方針には含まれていなかったはずであります。なぜ引き下げなければならないのか、地方分権を推進する立場の総務大臣の見解を伺います。
また、このような措置は国から地方への単なる負担転嫁であると考えますが、財務大臣の答弁を求めます。
福祉施設の施設整備費補助金の一部が地方に移譲されることになったのは、一定の評価をしたいと思います。しかし、税源移譲額を廃止補助金額の五割にするのは、骨太の方針で最低でも八割としていたのと食い違っているではありませんか。これは、全国市長会が分権改革の原点として要求したものであり、約束違反ではありませんか。なぜこのようにしたのか説明を求めます。さらに、今後、ほかの公共事業の補助金についても地方に税源移譲すべきであると考えますが、どう対応するおつもりなのか、総務大臣と財務大臣に明確な答弁を求めます。
住宅ローン減税は、国税において景気対策の観点からこれまで行われてきたものであり、そのような税制を所得税内で処理できないからといって住民税で後始末させるのは筋違いではありませんか。また、最終的に国費で補てんするという約束はあるものの、当面は地方の負担で実施せざるを得ないことも問題であります。所得税内で処理できなければ、国庫補助金を個人に交付するという形での決着を行うべきであり、地方に負担を掛けるべきではないと考えますが、財務大臣の答弁を求めます。
十八年度は、三年に一度行われる固定資産税の評価替えの年であります。固定資産税の評価替えは公示地価の七割を目標に行われていますが、地価下落傾向は大都市では近年収まりつつありますが、地方では依然として下落が続いているのであります。にもかかわらず、今回の地方税改正法では、負担調整措置により、固定資産税の税負担を前年度より五%ずつ引き上げようとしております。このような措置は納税者から見れば納得できないと考えますが、総務大臣の答弁を求めます。
三位一体改革の後の地方分権をどう実現していくのかというねらいで、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会が一月に総務省に設立をされました。この懇談会では、破綻法制の整備について検討が行われているようでございますが、その前にやるべきことがあるのではないですか。それは、国と地方の役割分担の明確化を図ること、地方への権限移譲、税源移譲を大胆に進めること、そのことによって分権型社会を実現することが先決ではありませんか。
さらに、現在の地方財政の危機が国の景気対策という国策によってもたらされていることを棚上げにして、首長の責任だけを問うのであれば、国の責任転嫁と言わざるを得ません。総務大臣の答弁を求めます。
最後に、地方分権とは、地方が国の下請であることをやめて住民本位の行政を実現することであり、そのために、自主財源を持ち、国の関与なしで政策を実行することであると私は考えています。しかし、補助金と地方交付税の分配権限は霞が関が握っているのが実情であります。だから、地方分権をめぐる闘いには長い歴史があったのです。このため、真の地方分権を実現するためには、霞が関の抵抗を抑え込む強力なリーダーシップと不退転の戦を闘い抜く決意が不可欠であると思います。
私ども民主党は、これから強力なリーダーの下に、国と地方の役割分担を明確にし、補完性の原理に基づき、地域のことは地域で決める、そのような分権型社会の実現を目指し、国民とともに闘い抜く決意を申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/13
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014・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 高嶋議員から八問、質問をいただいております。
まず、地方分権、自己統治と憲法改正についてでございます。
地方分権、自己統治につきましては、正に、地方にできることは地方にとの理念の下、地方の自由度の拡大とともに、責任を明確化することが必要であるというふうに考えております。また、憲法改正が議論される際には、地方自治、地方分権は盛り込まるべき重要な論点になるものというふうに認識をしております。
次に、三位一体改革についての地方団体からの評価についてお尋ねがございました。
三位一体改革の結果につきましては、地方六団体からは、三兆円という大規模な税源移譲を基幹税により行うことにより、これはこれまでにない画期的な改革であり、今後の地方分権を進める上に大きな前進であるとの評価をいただいております。
御指摘のように、地方団体ごとにそれぞれの立場で様々な御意見があることは承知をしておりまして、それらを素直に受け止めて、更なる改革に取り組んでまいりたいと思っております。
次に、三位一体改革の達成度合いについてのお尋ねがございました。
三位一体の改革については、関係者の間に様々な意見の違いがある中で、一定の成果を得たところでございます。しかしながら、地方分権に向けた改革に終わりはないという認識でございまして、平成十八年度までの改革の成果を踏まえつつ、地方団体の意見も聞きながら、更に地方分権を推進し、地方の自立と責任を確立するために努力をしてまいります。
次に、財政格差と地方交付税の縮減についてのお尋ねがございました。
三位一体の改革を進める中で、地方交付税総額は、臨時財政対策債を含めて、平成十六年度から十八年度にかけて、御指摘のとおり五・一兆円の抑制をしております。これは、国、地方ともに極めて厳しい財政状況の下で、国、地方を通じた歳出の見直しを行い、地方財政計画の規模を抑制してきた結果として地方交付税も抑制されてきたものでございます。
一方、三位一体の改革におきましては、個人住民税の一〇%比例税率化により、税収が特定の団体に偏ることのないようにするとともに、交付税の算定により確実に財政調整する等、財政力格差拡大への対応には意を用いているところでございます。
次に、国庫補助率の引下げについてのお尋ねがございました。
今回の補助金改革の検討に当たりましては、地方から反対の強かった生活保護の国庫負担率の引下げは行わなかったこと、地方から要望の強かった施設費の補助金を税源移譲の対象としたことなど、地方の意見にも配慮しつつ、政府、与党間における協議や地方とも協議を重ねまして、三兆円の税源移譲を実現するために取りまとめたものでございます。
改革案には補助率の引下げも含まれておりますが、その他の補助金改革による地方の裁量の拡大と三兆円の税源移譲の実現による地方の自主財源の強化と併せて、今回の改革全体として地方分権の進展に資するものというふうに考えております。
次に、施設費の税源移譲等についてお尋ねがございました。
今回の税源移譲に結び付く補助金改革案につきましては、累次の基本方針や三位一体の改革の全体像に係る政府・与党合意を踏まえて取りまとめたものでございます。
施設費については、地方の裁量度や自主性を拡大するものとして地方から税源移譲の対象とするよう強い要望がある一方で、建設国債を財源としている等の問題点があり、その税源移譲の可否について、国と地方の協議の場や政府・与党協議会等において議論を重ねました。その結果、最終的に税源移譲の対象とすることとし、その際、税源移譲割合を五割とすることとしたものでございます。
また、公共事業についてお尋ねがありましたが、これは、税源移譲により、地方の創意工夫を生かし、より効率的、合理的な事業執行が可能となるという一方で、地域によって偏在が大きい、また災害関連事業などが多いなどの問題点も指摘されておりまして、昨年の地方の改革案において、優先して税源移譲すべきものから除外されたという経緯がございます。
これらの論点も踏まえつつ、今後、国と地方の役割分担の議論をした上で検討していく必要があるというふうに考えております。
固定資産税の見直しについてお尋ねがございました。
土地に係る固定資産税については、評価の水準は全国的に統一されましたが、一方で、従来税負担が低かった土地について負担調整措置を講じ、負担水準の均衡化を進めてきました。依然として負担水準のばらつきが残っておりますので、今回、負担水準が低い土地について、課税の公平の観点から均衡化を更に促進することとしたものでございます。
最後に、地方団体の破綻法制についてお尋ねがございました。
地方分権二十一世紀ビジョン懇談会においては、地方の自由度を拡大し、責任を明確化するという観点に立って幅広く議論をしているところでございます。破綻・再建法制は、地方の自由度の拡大に対応して、地方が自らの責任をしっかり果たしていくための仕組みの一環として議論しているものでございまして、地方の更なる権限拡大や税源の移譲と表裏一体で議論をしているわけでございます。
また、御指摘のように、これまで発行した地方債の取扱いをどうするかとか、過去の景気対策の実施を要請した国の責任についての指摘も多数そこではなされておりまして、こうした過去の債務の課題を十分に踏まえた上で議論を進めているところでございます。
いずれにしましても、こうした観点も含め、また、地方側とも十分に意見交換をしながら議論を進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣安倍晋三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/14
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015・安倍晋三
○国務大臣(安倍晋三君) 高嶋議員にお答えします。
まず、格差についてのお尋ねがありました。
近年、所得の格差が広がっているとの指摘がありますが、年金などによる所得再配分の効果や高齢者世帯の増加等の影響を考慮すると、統計データからは所得格差の拡大は確認されないとの報告を受けているところです。格差については様々な見方があると考えられますが、将来の格差拡大につながるおそれがあるフリーター、ニート等若年層の非正規化や未就業の増加、生活保護受給者の増加、また回復にばらつきが見られる東京などの都市と地方の格差といった最近の動きは、注意が必要です。
私は、公平、フェアな競争が行われることにより、日本が活力を維持し、世界の中においても強い経済を形作っていくことが大切であると認識していますが、一方、勝ち組、負け組が固定化されてはならず、再チャレンジ可能な社会をつくっていくことが大切であると考えています。このため、格差社会とならないように、また地方と都市の差ができないように様々な施策をしっかりと講じてきたところであります。今後とも、このような考え方の下で構造改革を更に進めてまいります。
次に、小さな政府についてお尋ねがありました。
政府はこれまで、民間の活力を生かし、経済の活性化につなげていくとともに、企業も地域も個人も努力をすれば報われる社会を目指して、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にとの方針の下、簡素で効率的な政府の実現を目指してきたところであります。
他方、どうしても一人でやっていけない人に対して、お互い助け合いながら支援の手が差し伸べられることは必要であり、このために雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革などに取り組んできたところであります。
政府としては、引き続き、景気の回復を図るとともに、多くの国民や地域が持っている潜在力が自由に発揮され、国民一人一人が将来の夢と希望を実感できる活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/15
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016・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 高嶋議員にお答えいたします。
最初のお尋ねは、格差社会と構造改革に関するものでございました。
日本は人口減少社会に入っておりますし、グローバル化に伴う競争に耐えていかなければならないわけでございますから、そのために個人や企業がその持てる能力を最大限発揮できる仕組みをつくって、我が国が将来にわたって持続的に発展していけるよう構造改革を進めていくことは私は不可欠であると、このように考えております。
一方、改革の進展によっていわゆる格差社会が生み出されるのではないかという批判、不安の声もあることもよく承知をしております。将来にわたって活力ある社会を構築していくためには、いったん生じた格差が固定化していくというのは良くないと思います。機会の均等を確保して再挑戦可能な社会をつくっていくということが必要であると考えております。
今、官房長官からも御答弁がございましたけれども、いわゆるフリーターの増加や若年労働者の失業率の高さ、それから地域ごとの経済動向や中小企業の業況、こういったものには十分注意を払う必要があると考えておりますが、これらの点に留意しながら、改革の成果が広く浸透していくよう適切に対応する必要があると考えております。
次に、小さな政府をどこまで進めるのかという御議論でございますが、我が国は、今申し上げたような世界的な競争条件の変化あるいは人口減少社会の到来、こういう構造変化に直面しておりますので、こういう変化に的確に対応して持続的な経済成長を実現していくためには、諸改革、財政構造改革を始めとする諸改革を引き続き推進して、簡素で効率的な政府をつくっていく必要があると考えているところでございます。
この簡素で効率的な政府とは、国が行う必要がないものについては民間あるいは地方にゆだねる、こういうことによりまして、全体として政府の役割を見直していくと同時に、無駄を徹底的に省いていくという考え方を言っているわけでございまして、必ずしも福祉や負担の面で規模の小さい政府を目指していくというのではないというふうに考えております。
他方、現在の我が国は、現世代が負担に比べて大きな便益を受けておりまして、その差を日々刻々、将来世代に先送りしているともいうべき状態にございます。こういう受益と負担の関係をどうするのかということは、我が国の将来の国の在り方にかかわる課題でございまして、単なる数字のつじつま合わせではございません。こうした点について、国民にできる限り具体的な選択肢を示しながら、国民的な議論を積み重ねていくということが不可欠であると考えているところでございます。
次に、国庫補助負担金改革についてのお尋ねがございました。
三位一体改革における国庫補助負担金改革は、地方の権限と責任を拡大するとともに、国、地方を通じた行政のスリム化を図る、こういう観点から、国と地方の役割分担に応じた事務事業及び国庫補助負担金の在り方の見直しを行ったものでございます。
そういう考え方の下で、税源移譲に結び付く改革、それから地方の自主性、裁量性を高める交付金化の改革、スリム化の改革、こういったことを実施することといたしまして、その中で国と地方の役割や責任の分担の見直しを行うとともに、それに伴う必要な税源の移譲を行ったところであり、地方からも評価されていると認識しております。
地方にできることは地方にという方針の下で、これらの改革全体を通じて、地方の役割や責任が拡大し、地方分権が一層推進されたものと考えておりまして、地方への負担の転嫁といった御指摘は当たらないものというふうに考えております。
それから、これに関連して、施設費の税源移譲についての御議論がございました。
財務省としては、財政論の立場から、建設国債対象経費を税源移譲の対象とすることは不適当であると申し上げてきたところでございますが、現在の国の財政における税収比率がおおむね五割であるということにかんがみ、移譲割合が五割であれば公債依存度は悪化せず、財政の悪化に極力つながらない形であること、それから、三位一体の改革を進める趣旨の一つとして地方の自主性の発揮があり、施設費と関連する経常的経費を併せて移譲することによって、地方が施設整備と関連事業を一体的に行って、地方の実情に応じた事業の実施が可能となる面があること等々を踏まえまして、地方案にも配慮して、三位一体の改革の実現を図るとの観点から、ぎりぎりの判断として受け入れることとしたものでございます。
十九年度以降の国と地方の改革については、昨年十一月の政府・与党合意に基づいて、十八年度までの改革の成果を踏まえながら、国と地方の行財政改革を進める観点から、真に地方の自立と責任を確立するための取組を行っていくことが重要と考えております。
なお、公共投資につきましては、納税者の視点から、国、地方を通じた事業量の縮減が求められており、スリム化を行っていくことが重要であると考えているところでございます。
それから次に、住宅ローン減税を個人住民税で行うことについてのお尋ねがございました。
税源移譲に伴って所得税額が減少する結果、住宅ローン減税に係る税額控除について控除し切れない金額が生じる場合については、こうした者の所得税額は既にゼロとなっていること等を踏まえて、翌年度分の個人住民税からその金額を減額することとしております。
また、本措置の実施に関しては、対象者の個人住民税の減額に係る申告書について、一定の場合に税務署長が受理するほか、個人住民税の減収額についてもその全額を国庫で補てんするなどなど、その円滑な執行に向けた万全の体制整備を行ってまいりたいと考えておりまして、地方の負担で実施されているとの御指摘は当たらないものと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/16
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017・扇千景
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X00620060310/17
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